説明

無人飛翔体の耐障害性飛行制御システムおよび方法

【課題】複数の独立制御可能な制御ベーンを備える無人飛翔体(UAV)を制御するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】制御ベーンのそれぞれを、命令された操作をUAVに行わせる位置に移動する制御ベーン位置コマンドが供給される。制御ベーンの1つが動作不可能であることが感知され、動作不可能な制御ベーンの位置が決定される。動作不可能な制御ベーンの決定された位置に基づき、命令された操作をUAVにさらに行わせる新しい制御ベーン位置コマンドが決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
[0001]本発明は、米陸軍(TACOM)により与えられた契約番号W56HZV−05−C−0724の下で政府の支援によりなされたものである。政府は、本発明に対し一定の権利を有する。
【0002】
[0002]本発明は、一般的に、無人飛翔体(unmanned air vehicles)(UAV)に関し、より具体的には、UAVに対する耐障害性飛行制御システム(fault tolerant flight control systems)および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]さまざまな種類の無人飛翔体(UAV)は、戦場、国境警備、ならびにさまざまな他の防衛および安全保障関連の戦域に次第に配備されつつある。典型的なUAVの活動は、偵察および監視、部隊および地上車両の誘導、ならびに非照準線上ターゲティング(non-line-of-sight targeting)を含みうる。したがって、UAVは、地上部隊が(または航空部隊でさえも)直接的な照準線を欠いている区域における敵の部隊、不法な国境通過、および車両を検知するように構成することができる。
【0004】
[0004]人気が高まってきているUAVの特定の種類の1つに、ダクテッドファン型飛翔体がある。これらの種類のUAVは、その静止空力ホバリング性能、3次元高精度位置保持、低速飛行、高精度垂直離着陸(VTOL)の能力が卓越していることで知られている。それに加えて、ダクトは、動作中に近くで回転するファンブレードとの接触を防ぐ防護手段となる。ダクテッドファン型UAVは、典型的には、複数の制御ベーンの位置を制御することによって操作される。より具体的には、制御ベーンは、アクチュエータによって位置決めされ、次いで、アクチュエータは飛行制御システムによって制御される。
【0005】
[0005]いくつかの現行のUAV飛行制御システムは、ベーン制御アクチュエータが動作不可能であるかどうかを監視することはしない。その結果、動作不可能な制御ベーンは検知されないままになる可能性がある。さらに、UAV飛行制御システム内の制御法則は、制御ベーンのループを閉じない。むしろ、制御法則はUAVの回転速度に関してループを閉じ、これにより、これらの速度を強制的に0°/秒にすることによってUAVの姿勢を維持する。制御ベーンアクチュエータが動作不可能になった場合、飛翔体を安定させようとして制御法則により制御ベーン偏向がなおいっそう大きく動作不可能な制御ベーンアクチュエータに割り当てられるが、効果はない。その代わりに、UAVが不安定になり、潜在的に失われる可能性があるという効果のみが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]したがって、オペレータが喪失の危険性をほとんど、またはまったく冒すことなくUAVを制御可能に着陸させることができるような1つまたは複数の動作不可能な制御ベーンアクチュエータの効果を緩和するUAVに対する耐障害性飛行制御システムおよび方法が必要である。本発明は、少なくともこのようなニーズに対処できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]一実施形態では、複数の独立制御可能な制御ベーンを有する無人飛翔体(UAV)を制御するための方法は、制御ベーンのそれぞれを、命令された操作をUAVに行わせる位置に移動する制御ベーン位置コマンドを供給するステップを含む。制御ベーンの1つが動作不可能であることが感知され、動作不可能な制御ベーンの位置が決定される。動作不可能な制御ベーンの決定された位置に基づき、命令された操作をUAVにさらに行わせる新しい制御ベーン位置コマンドが決定される。
【0008】
[0008]別の実施形態では、複数の独立制御可能な制御ベーンを備える無人飛翔体(UAV)のための飛行制御システムは、複数の独立制御ベーンアクチュエータ、アクチュエータコントローラ、およびミッション管制装置を備える。それぞれの制御ベーンアクチュエータは、これらの制御ベーンのうちの異なる1つの制御ベーンに接続される。アクチュエータコントローラは、制御ベーンアクチュエータに接続され、さらに制御ベーン位置コマンドを受信するように接続される。アクチュエータコントローラは、制御ベーン位置コマンドに応答して、制御ベーンアクチュエータを制御して、制御ベーンのそれぞれを、命令された操作をUAVに行わせる位置に移動するように構成されている。ミッション管制装置は、アクチュエータコントローラに接続され、制御ベーン位置コマンドを供給するように構成されている。ミッション管制装置は、制御ベーンの1つが動作不可能であることを感知し、動作不可能な制御ベーンの位置を決定し、動作不可能な制御ベーンの決定された位置に基づき、命令された操作をUAVにさらに行わせる新しい制御ベーン位置コマンドを決定するようにさらに構成されている。
【0009】
[0009]別の実施形態では、ダクテッドファン型無人飛翔体は、本体部、ファン、複数の独立制御可能な制御ベーン、複数の独立制御ベーンアクチュエータ、アクチュエータコントローラ、およびミッション管制装置を備える。本体部は、エアインレットおよびエアアウトレットを有するエアダクトを画成する内面を備える。ファンは、エアインレットとエアアウトレットとの間のダクト内に配設される。ファンは、駆動トルクを受けるように適合されており、そのトルクに応じて、エアインレット内に空気を引き込み、エアアウトレットから空気を放出し、それにより本体部において揚力を発生させるように動作可能である。それぞれの制御ベーンは、エアアウトレットの下流で本体部に接続される。それぞれの制御ベーンアクチュエータは、これらの制御ベーンのうちの異なる1つの制御ベーンに接続される。アクチュエータコントローラは、制御ベーンアクチュエータに接続され、さらに制御ベーン位置コマンドを受信するように接続される。アクチュエータコントローラは、制御ベーン位置コマンドに応答して、制御ベーンアクチュエータを制御して、制御ベーンのそれぞれを、命令された操作をUAVに行わせる位置に移動するように構成されている。ミッション管制装置は、アクチュエータコントローラに接続され、制御ベーン位置コマンドを供給するように構成されている。ミッション管制装置は、制御ベーンの1つが動作不可能であることを感知し、動作不可能な制御ベーンの位置を決定し、動作不可能な制御ベーンの決定された位置に基づき、命令された操作をUAVにさらに行わせる新しい制御ベーン位置コマンドを決定するようにさらに構成されている。
【0010】
[0010]さらに、UAVの耐障害性機構制御システムおよび方法の他の望ましい特徴および特性は、添付図面および前記背景技術と併せて、以下の発明を実施するための形態および付属の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0011】
[0011]本発明は、以下では、図面を用いて説明され、類似の番号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】[0012]無人飛翔体(UAV)の実施形態の一例を示す簡略図である。
【図2】[0013]図1に示されているUAVの底面図であって、その上の制御ベーンの配置を例示する図である。
【図3】[0014]図1のUAVを制御するために使用されうる例示的な飛行制御システムの2つの異なる実施形態のうちの一方の機能ブロック図である。
【図4】図1のUAVを制御するために使用されうる例示的な飛行制御システムの2つの異なる実施形態のうちの他方の機能ブロック図である。
【図5】[0015]ロール/補助翼操作を行うために制御ベーンの後縁部がどのように移動されるかを示す、図1のUAVの底面図である。
【図6】ピッチ/昇降機操作を行うために制御ベーンの後縁部がどのように移動されるかを示す、図1のUAVの底面図である。
【図7】ヨー/ラダー操作を行うために制御ベーンの後縁部がどのように移動されるかを示す、図1のUAVの底面図である。
【図8】[0016]1つまたは複数の動作不可能な制御ベーンを抑制するために図1のUAVを制御するプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0017]以下の詳細な説明は、本質的に例にすぎず、発明または発明の用途および使用を限定することを意図していない。本明細書で使用されるとき、「例示的な」という単語は、「一例、事例、または例示として使用される」ことを意味する。そのため、本明細書で「例示的な」と説明されている実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。本明細書で説明されている実施形態はすべて、当業者が本発明を製作するか、または使用することを可能にし、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲を限定しないように用意された例示的な実施形態である。さらに、前記技術分野、背景技術、概要、または以下の発明を実施するための形態で提示されている明示された、または暗示された理論により束縛されることも意図していない。
【0014】
[0018]図1を参照すると、無人飛翔体(UAV)の実施形態の一例の簡略図が示されており、これについて簡単に説明する。しかし、そうする前に、図示されているUAV100は、マイクロ飛翔体(MAV)として実装されているが、これは一実施形態の例にすぎず、UAV100はさまざまに実装することが可能であることに留意されたい。例えば、これは、有機飛翔体(OAV)または他の数多くの種類のダクテッドファン型飛翔体のうちのいずれか1つとして実装することが可能になる。
【0015】
[0019]その具体的実装形態が何であれ、図示されているUAV100は、本体部102、ファン104、およびエンジン106を備える。本体部102は、エアインレット114およびエアアウトレット116を有するエアダクト112を画成する内面108を備える。ファン104は、エアインレット114とエアアウトレット116との間のエアダクト112内に配設される。ファン104は、エンジン106に接続され、エンジン106から駆動トルクを受ける。受けた駆動トルクに応じて、ファン104は、エアインレット114内に空気を引き込み、空気をエアアウトレット116から放出し、それにより、飛行のための揚力を発生させる。
【0016】
[0020]図1にさらに示されているように、UAVは、それに加えて、複数の制御ベーン118を備える。制御ベーン118は、ファン104の下流に配設され、制御可能に移動されて、UAV100に操作性をもたらす。制御ベーン118の数および配置は異なっていてもよいが、図示されている実施形態では、UAV100は、エアアウトレット116のまさに下流に配置されている8個の制御ベーン118を備える。図2により明確に示されているように、制御ベーン118はペアで配設され、第1のペア118−1、118−2、第2のペア118−3、118−4、第3のペア118−5、118−6、および第4のペア118−7、118−8となっている。それぞれのペアを含む制御ベーン118は、好ましくは一緒に動作する。いくつかの実施形態では、それぞれのペアを含む制御ベーン118は、一緒に接続され、単一のアクチュエータを介して移動される。他の実施形態では、制御ベーン118は、それぞれ、独立したアクチュエータに接続される。両方の実例において、制御ベーン118は、飛行制御システムを介して制御可能に移動される。例示的な飛行制御システムの2つの異なる実施形態が図3および図4に示されており、次にこれらについて説明する。
【0017】
[0021]図3を最初に参照すると、飛行制御システム300は、接続された(またはグループ化された)ペアの飛行制御ベーン118と一緒に実装されるUAV100を制御するように構成されている。つまり、上で指摘されているように、制御ベーンの第1のペア118−1、118−2は、一緒に接続され、制御ベーンの第2のペア118−3、118−4は、一緒に接続され、制御ベーンの第3のペア118−5、118−6は、一緒に接続され、制御ベーンの第4のペア118−7、118−8は、一緒に接続される。図示されている飛行制御システム300は、ミッション管制装置302、アクチュエータコントローラ304、および複数のアクチュエータ306(例えば、306−1、306−2、306−3、306−4)を備える。ミッション管制装置302は、例えば、遠隔送信機からの命令された操作を表す飛行制御コマンドを受信するように適合されている。ミッション管制装置302は、飛行制御コマンドに応答して、以下で詳述される制御法則を実行して、制御ベーン位置コマンドを生成し供給するように構成されている。アクチュエータコントローラ304に供給される制御ベーン位置コマンドは、制御ベーン位置(例えば、偏向(d))を表す。
【0018】
[0022]アクチュエータコントローラ304は、ミッション管制装置302によって供給される制御ベーン位置コマンドを受信するように接続され、このコマンドに応答して、アクチュエータ306を制御して、制御ベーン118を命令された位置に移動するように構成されている。アクチュエータ306は、それぞれ、異なるペアの制御ベーン118に接続され、異なるペアの制御ベーン118に関連付けられる。このため、アクチュエータ306のそれぞれの移動により、制御ベーン118の関連付けられているペアのそれぞれが命令された制御ベーン位置に移動(例えば、偏向)される。理解されうるように、制御ベーン118を命令された制御ベーン位置に移動すると、UAV100は命令された操作を行うことになる。
【0019】
[0023]次に図4を参照すると、独立移動可能な制御ベーン118と一緒に実装されるUAV100を制御するように構成されている飛行制御システム400が示されている。図示されている飛行制御システム400はまた、ミッション管制装置302、2つの独立したアクチュエータコントローラ304(304−1、304−2)、および複数のアクチュエータ306を備える。容易に理解されうるように、アクチュエータ306の個数は、すでに説明されている実施形態の個数の2倍である(例えば、306−1、306−2、306−3、306−4、306−5、306−6、306−7、306−8)。ミッション管制装置302、アクチュエータコントローラ304、およびアクチュエータ306は、すべて好ましくは、すでに説明されている実施形態のものと少なくとも実質的に同じになるように構成されており、したがって、その詳細な説明を繰り返さない。もちろん、主な相違点は、アクチュエータ306がそれぞれ、異なる制御ベーン118に接続されているという点である。そのため、個別の制御ベーン118を命令された制御ベーン位置に移動すると、UAV100は命令された操作を行う。
【0020】
[0024]制御ベーン118が、単一のアクチュエータ306にペアとして接続されるか、または別々のアクチュエータ306に個別に接続されるかに関係なく、制御ベーン118のペアは45度クロッキングされ、90度隔てられているので、制御ベーン118のそれぞれのペアは、ロール(または補助翼)、ピッチ(または昇降機)、およびヨー(またはラダー)の操作に寄与する。これは、図5〜図7を参照しつつ、以下のベーン偏向の表記法を使用して、より明確に説明されている。制御ベーンの第1のペア118−1、118−2の組み合わされた偏向は、「d」として参照され、制御ベーンの第2のペア118−3、118−4の組み合わされた偏向は、「d」として参照され、制御ベーンの第3のペア118−5、118−6の組み合わされた偏向は、「d」として参照され、制御ベーンの第4のペア118−7、118−8の組み合わされた偏向は、「d」として参照される。さらに、基準点506および508をそれぞれ貫通する図5内の502および504とラベル付けされた軸は、基準軸である。これに基づき、基準点506から見て基準軸502を中心とする、または基準点508から見て基準軸504を中心とする時計回り(CW)の方向の制御ベーンの偏向は、実線の矢印を使用して示されており、プラス(+)の符号を割り当てられている。逆に、基準点506から見て基準軸502を中心とする、または基準点508から見て基準軸504を中心とする反時計回り(CCW)の方向の制御ベーンの偏向は、破線の矢印を使用して示されており、マイナス(−)の符号を割り当てられている。
【0021】
[0025]上述の表記法を念頭に置くと、図5において、一方の方向へのUAV100のロール/補助翼操作は、制御ベーンの第1および第2のペア(d、d)が両方ともCW(+)方向に回転し、制御ベーンの第3および第4のペア(d、d)が両方ともCCW(−)方向に回転するように命令することによって実行されうることがわかる。図6に示されているように、一方の方向へのUAV100のピッチ/昇降機操作は、制御ベーンの第1、第2、第3、および第4のペア(d、d、d、d)がすべてCW(+)方向に回転するように命令することによって実行されうる。最後に、図7に示されているように、一方の方向へのUAV100のヨー/ラダー操作は、制御ベーンの第1および第4のペア(d、d)が両方ともCCW(−)方向に回転し、制御ベーンの第2および第3のペア(d、d)が両方ともCW(+)方向に回転するように命令することによって実行されうる。図5〜図7には示されていないが、図示されている方向と反対の方向へのロール/補助翼操作、ピッチ/昇降機操作、およびヨー/ラダー操作は、制御ベーンの各ペアの回転方向を反転することによって実行されうることは理解されるであろう。
【0022】
[0026]上記から、当業者であれば、飛行制御システム300、400によって命令される制御ベーンの偏向(d、d、d、d)は同等の操縦翼面偏向をもたらすことを理解するであろう。これらの同等の操縦翼面偏向は、本開示の残り部分において、補助翼偏向(δa)、昇降機偏向(δe)、およびラダー偏向(δr)と称される。当業者であれば、それに加えて、制御ベーン偏向(d、d、d、d)と操縦翼面偏向(補助翼(δa)、昇降機(δe)、およびラダー(δr))との間の関係が式
【0023】
【数1】

【0024】
で示されうることを理解するであろう。これらの式は、
【0025】
【数2】

【0026】
のように標準的な行列表記に書き換えることができる。
[0027]ミッション管制装置302内で実行される制御法則は、「理想化された」操縦翼面偏向(δa、δe、およびδr)について解く。δnの項は、本明細書では「無用の項」と称されることに留意されたい。これは、制御法則では使用されず、したがってゼロと仮定されるからである。つまり、
【0027】
【数3】

【0028】
である。この仮定の下で、偏向の式は
【0029】
【数4】

【0030】
となる。
[0028]UAV100が正常に動作している場合、動けなくなっていたり、または他の何らかの形で動作不可能になっているアクチュエータ306もしくは制御ベーン118がなければ、上記の計算は制約条件
【0031】
【数5】

【0032】
に従って実行されるが、
ただし、式中、
minは、最小の制御ベーン偏向角度であり、
maxは、最大の制御ベーン偏向角度であり、
minは、最小の制御ベーン角度変化率であり、
maxは、最大の制御ベーン角度変化率である。
【0033】
[0029]制御法則はリアルタイムで実行され、そのため、1つの時間ステップから次の時間ステップに移るときの前後に「チャタリング」しない滑らかに変化するアクチュエータコマンドを確実に生成する高速計算アルゴリズムであることに留意されたい。このようなチャタリングは、アクチュエータ306の寿命を縮める可能性がある。制御法則は、最適な操縦翼面偏向(δa、δe、δr)を求めようとすることによって、制御ベーン偏向(d、d、d、d)を割り当て、位置および速度の制約条件
Bu=d
に従って、m個の方程式とn個の未知数からなる以下の線形システムを最小にすることによって制御ベーン偏向(d、d、d、d)を割り当て、
ただし、式中、
Bは、m個の行(式)とn個の変数(未知数)を有する線形系中の式の係数を含む行列であり、
uは、費用関数の最低値をもたらすn個の未知数のベクトルであり、
dは、それぞれの式(右側)に対する所望の値を含むm個の要素からなるベクトルである。
上記の方程式系(δn=0の仮定を含む)を使用することで、
【0034】
【数6】

【0035】
が得られるが、
ただし、
【0036】
【数7】

【0037】
である。
[0030]方程式の数より未知数の数が多い場合(n>m)、解の数は無限である。そのため、解集合を制限するために、追加の制約条件が実行される。この追加の制約条件は、解(u)は指定された好ましい解(u)を近似するというものである。このアプローチは、二次費用関数
【0038】
【数8】

【0039】
によって与えられる。ただし、Wは、互いに関してn個の未知数について解くことの重要性を強調する重み行列であり、
【0040】
【数9】

【0041】
となるように制約される。Wに対するこの制約条件は、行列を強制的に正の定符号になるようにする。
[0031]UAV100の全体的構造および機能、および飛行制御システム300、400において実行される制御アルゴリズムについて説明したが、起こりそうもないが、仮に1つまたは2つの制御ベーンが動作不可能になるという事象を想定した場合、飛行制御システム300、400が実行するプロセスについて次にさらに詳しく説明する。しかし、そうする前に、飛行制御システム300、400は、少なくともいくつかの実施形態において、アクチュエータの位置のフィードバックなしで実装されうることに留意されたい。アクチュエータの位置のフィードバックが利用可能でない場合、アクチュエータ/制御ベーンが動作不可能になる前に送信された最後の制御ベーン位置コマンドが故障位置にあると仮定される。これは、通常使用されるアクチュエータ306が故障位置に「ロック」するので有効な仮定である。
【0042】
[0032]飛行制御システム300、400が実行する概略的なプロセスは、図8の流れ図に示されており、システム300、400が、制御ベーン118の1つ(または1つのペア)が動作不可能であると感知したときに開始する(ステップ802)。これは、直接的に、アクチュエータおよび/または制御ベーン位置フィードバックを介して、または間接的に、UAV100が命令された操作を行っていないことを感知することによって実行されうる。1つまたは複数の制御ベーン118が動作不可能であると判定された場合、動作不可能な制御ベーン(複数可)の位置が判定される(ステップ804)。これは、直接的に、アクチュエータおよび/または制御ベーン位置フィードバックを介して、または間接的に、上記のように、最後に命令された制御ベーン位置を使用して実行されうる。これ以降、動作不可能な制御ベーンの決定された位置に基づき、命令された操作をUAV100にさらに行わせる新しい制御ベーン位置コマンドが決定される(ステップ806)。
【0043】
[0033]飛行制御システム300、400が、上で説明され図8に示されているプロセス800を実行する特定の方法について、次にさらに詳しく説明する。最初にまず図3に示されている飛行制御システム300を備えるUAV100のその実装形態について説明し、次に、図4に示されている飛行制御システム400を備えるUAV100のその実装形態について説明する。
【0044】
[0034]起こりそうもないが、制御ベーン118の単一のペアが、図3に示されている飛行制御システム300とともに実装されるUAV100において動作不可能になったという事象を仮に想定した場合、制御ベーン118のペアが、動作不可能になる前に最後に命令された位置において動作可能になったことが仮定される。したがって、そのペア内の制御ベーン118は、同じ位置にロックされることになる。その結果、制御アルゴリズムは、新しい位置制約条件を呼び出すことになる。したがって、例えば、制御ベーンの第1のペア118−1、118−2が動作不可能になり、制御ベーンの第1のペア118−1、118−2に供給される最後に命令された位置がfであった場合、新しい位置制約条件は、以下のようになる。
【0045】
=f
min≦d≦dmax
min≦d≦dmax
min≦d≦dmax
次いで、上記のベーン割り当ての式は、以下のように3つの方程式(δa、δe、およびδr)と3つの未知数(d、d、およびd)からなる方程式系にまとめることができる。
【0046】
【数10】

【0047】
理解されうるように、この制約条件の組は、制御ベーン118の任意の単一のペアの動作不可能性に拡張されうる。
[0035]上記の例は、制御ベーン118の2つのペアが動作不可能になる場合に拡張することができる。例えば、制御ベーンの第1のペア118−1、118−2および第2のペア118−3、118−4の両方が動作不可能になり、最後に命令された位置がそれぞれfおよびfであったと仮定する。この場合、新しい位置制約条件は以下のようになる。
【0048】
=f
=f
min≦d≦dmax
min≦d≦dmax
また、このベーン割り当ての方程式の組は
【0049】
【数11】

【0050】
となる。
[0036]上記から、ラダーコマンドの式(δr)は、ベーンコマンドの割り当てについて解く際には使用されないことが観察されうる。このことは、UAV100に対する機体設計が静的に安定していない場合に起こりうる。したがって、飛行制御システム300は、飛翔体がひっくり返って回復できない姿勢にならないようにUAV100のピッチおよびロール姿勢を常時調整する。ラダー制約条件を緩和することで、飛翔体がそのz軸の周りで向きを変える(例えば、スピンする)ことが可能になり、またUAVオペレータが潜在的に着陸装置および制御ベーン118を犠牲にするとしてもエンジンおよび航空電子機器への損傷については最小限度に抑えながら飛翔体を制御しつつ着陸させることが可能になる。これは、着陸装置および制御ベーン118が比較的容易に交換することができ、また比較的安価であるため許容可能である。2つのベーンアクチュエータの故障は飛翔体性能をひどく低下させるが、オペレータは、UAV100をより安全な場所に誘導し、UAV100への損傷が小さくなるように着陸させることを試み、飛行チームおよび観察者が怪我をする状況に曝されることを低減することができる可能性がある。
【0051】
[0037]制御ベーン118のそれぞれが独立制御される、図4の飛行制御システム400に適用される概略的プロセス800の具体的説明を次に行う。このUAV100および飛行制御システム400の構成に関して、ベーン割り当ての方程式の数は倍になって方程式系
【0052】
【数12】

【0053】
となるが、
ただし、式中、
δaは、ベーンセット1からの補助翼制御の寄与分であり、
δaは、ベーンセット2からの補助翼制御の寄与分であり、
δeは、ベーンセット1からの昇降機制御の寄与分であり、
δeは、ベーンセット2からの昇降機制御の寄与分であり、
δrは、ベーンセット1からのラダー制御の寄与分であり、
δrは、ベーンセット2からのラダー制御の寄与分であり、
ただし、
ベーンセット1は、図4においてd1.1、d2.1、d3.1、およびd4.1としてラベル付けされているアクチュエータ306によって制御される制御ベーン118に対応する。
【0054】
ベーンセット2は、図4においてd1.2、d2.2、d3.2、およびd4.2としてラベル付けされているアクチュエータ306によって制御される制御ベーン118に対応する。
【0055】
[0038]理解されうるように、UAV100が正常に動作している場合、動けなくなっていたり、または他の何らかの形で動作不可能になっているアクチュエータ306もしくは制御ベーン118がなければ、上記の計算は制約条件
min≦d1.1≦dmax
min≦d1.2≦dmax
min≦d2.1≦dmax
min≦d2.2≦dmax
min≦d3.1≦dmax
min≦d3.2≦dmax
min≦d4.1≦dmax
min≦d4.2≦dmax
【0056】
【数13】

【0057】
に従って実行されるが、
ただし、式中、
minは、ベーンに対する最小の角度変化率であり(すべてのベーンは、同じ角度変化率を有すると仮定されていることに留意されたい)、
maxは、ベーンに対する最大の角度変化率である。
【0058】
[0039]起こりそうもないが、単一の制御ベーン118が図4に示されている飛行制御システム400とともに実装されるUAV100において動作不可能になったという事象を仮に想定した場合、制御ベーン118が動作不可能になる前に最後に命令された位置において動作可能になったことがここでもまた仮定される。そのため、制御ベーン118は、同じ位置にロックされることになる。その結果、制御アルゴリズムは、新しい位置制約条件を呼び出すことになる。したがって、例えば、制御ベーンの第1のペア118−1、118−2内の第2の制御ベーン118−2が動作不可能になり、制御ベーンの第1のペア118−1、118−2に供給される最後に命令された位置がf1.2であった場合、新しい位置制約条件は、以下のようになる。
【0059】
min≦d1.1≦dmax
1.2=f1.2
min≦d2.1≦dmax
min≦d2.2≦dmax
min≦d3.1≦dmax
min≦d3.2≦dmax
min≦d4.1≦dmax
min≦d4.2≦dmax
[0040]上記のベーン割り当ての式は、
【0060】
【数14】

【0061】
となる。
[0041]所望の操縦翼面コマンド(δa、δe、およびδr)のそれぞれは、以下のようにそれぞれのベーン118からの寄与分の総和である。
【0062】
δa=δa+δa
δe=δe+δe
δr=δr+δr
グループ化されたベーンセット(例えば、一緒に接続された制御ベーン118のペア)の場合、ベーンの寄与分は、それぞれの制御ベーン118が、
【0063】
【数15】

【0064】
に示されているように、所望の制御力の1/2を与えるように等しいものとして仮定される。しかし、制御ベーン118が独立制御される場合、ペアのベーン118は、他の制御ベーン118に比べて多かれ少なかれ、他の制御ベーン118が動作不可能になることを克服することに寄与し、なおも所望の結果をもたらすことが可能である。
【0065】
[0042]この例をさらに続けて、次に、第2のアクチュエータセットに関連付けられている制御ベーン118−2および118−4が偏向f1.2およびf2.2で動作不可能になったと仮定する。この場合、ベーン割り当ての式は、以下の制約条件に従って解かれる。
【0066】
min≦d1.1≦dmax
1.2=f1.2
min≦d2.1≦dmax
2.2=f2.2
min≦d3.1≦dmax
min≦d3.2≦dmax
min≦d4.1≦dmax
min≦d4.2≦dmax
[0043]上記の制約条件から容易にわかるように、どのような解も、ベーン割り当ての式のうちの6つのみ満たすが、8つすべてを満たすことはない。これらの制約条件を満たす可能なアプローチは3つある。これらは、ラダーコマンド(δr)を満たすことを緩和すること、操縦翼面コマンド(δa、δe、δr)への最小の影響で制約条件を緩和すること、または段落[0028]、[0029]、および[0030]において説明されているような最適制御割り当て問題としてベーン割り当てを処理することである。第1のアプローチでは、ラダーコマンドの差(Δr)(動作不可能な制御ベーンについて(望ましいラダーコマンド)−(理想化されたラダーコマンド))は、
【0067】
【数16】

【0068】
のように、他の制御ベーンの式(δr1new=δr+Δr)に再度割り当てられる。第1の組のアクチュエータに対するベーンが動作可能であるとした場合、この第1の組に対するベーン割り当ては、以下の組の式を使用して解くことが可能になる。これらの割り当ては、すべてのベーンに対するベーン偏向制約条件が満たされるとした場合に2つのベーンの故障を許容すべきであることを暗示する。
【0069】
【数17】

【0070】
このアプローチはアルゴリズムとしては単純であり、このアプローチを故障したベーンの数が多い場合に拡張しようとした場合、面倒な事態が生じる可能性がある。
[0044]第2のアプローチでは、(δa、δe、δr)への影響が最小である制約条件が緩和され、差は、他のベーンセット(d1.1、d2.1、d3.1、およびd4.1)に再割り当てされる。このアプローチの結果、d1.2およびd2.2がf1.2およびf2.2の位置においてそれぞれ故障した場合に、d3.2およびd4.2に対する式の3つの組み合わせを解くことになる。第1の組の式は、差(Δr)が、昇降機または補助翼面コマンドではなく、ベーンセット1のラダー操縦翼面コマンド(δr)に再割り当てされるとした場合にd3.2およびd4.2の値について解かれる。方程式系
【0071】
【数18】

【0072】
は、故障ベーン位置f1.2およびf2.2が与えられた場合に解かれる。その結果得られるラダー差(Δr)は
【0073】
【数19】

【0074】
となる。次の組の式は、差が、ラダーまたは補助翼操縦翼面コマンドではなく、ベーンセット1の昇降機操縦翼面コマンド(δe)に再割り当てされるとした場合にd3.2およびd4.2の値について解かれることになる。方程式系
【0075】
【数20】

【0076】
は、故障ベーン位置f1.2およびf2.2とともに使用される。その結果得られる昇降機差(Δe)は
【0077】
【数21】

【0078】
となる。第3の組の式では、故障ベーンの位置がf1.2およびf2.2である方程式系
【0079】
【数22】

【0080】
を使用して、差が、ラダーまたは補助翼操縦翼面コマンドではなく、ベーンセット1の補助翼操縦翼面コマンド(δa)に再割り当てされるとした場合にd3.2およびd4.2の値について解かれる。その結果得られる補助翼再割り当ては
【0081】
【数23】

【0082】
となる。最後に、偏差の大きさが最低(min(‖Δa‖,‖Δe‖,‖Δr‖))である解が次いで選択され、以下の組の式のうちの1つの式において使用される。
ただし、以下の組
【0083】
【数24】

【0084】
は、‖Δa‖<‖Δe‖および‖Δa‖<‖Δr‖である場合に使用されるか、
または
この組
【0085】
【数25】

【0086】
は、‖Δe‖<‖Δa‖および‖Δe‖<‖Δr‖である場合に使用されるか、
または
この組
【0087】
【数26】

【0088】
は、‖Δr‖<‖Δa‖および‖Δr‖<‖Δe‖である場合に使用されることに留意されたい。このアプローチはアルゴリズムとしては複雑であり、ベーンの故障の可能なすべての順列を考慮しようとした場合に面倒な事態が生じる可能性がある。特に、これを3つまたはそれ以上のベーンの組み合わせに拡張しようとした場合にそうなる可能性がある。
【0089】
[0045]第3のアプローチでは、本出願の段落[0028]、[0029]、および[0030]において説明されているように、残りの6つの面にわたって所望のコマンドの割り当てを最適制御割り当て問題として処理する。最適制御割り当てアルゴリズムを使用する利点は、それが普遍的であり、アクチュエータの故障のそれぞれの可能な組み合わせについて問題を書き直すことを必要としないという点にある。それに加えて、この割り当ては、故障したベーンの位置(例ではf1.2およびf2.2)を含むすべての未知数および制約条件が与えられた場合に、それが最良の解であるという点で最適である。したがって、最適な割り当てに対する制約条件は、
【0090】
【数27】

【0091】
である。その結果得られる最適な割り当ては、すべての操縦翼面にわたって喪失ベーンの効果およびその結果のベーン偏向を共有して制御権限の全体的喪失を最小限度に抑えることになる。利点は、ここでは、上で説明された何組かの方程式を解かなくてもよいという点、および最適な割り当てについて解くプロセスを、労力を増やすことなく2つより多いベーンに拡張することができるという点である。ベーンの制約条件をベーンの故障位置に設定することによって、例の場合と同様に、追加のベーン故障を考慮することができる。
【0092】
[0046]当業者であれば、本明細書で開示されている実施形態に関して説明されているさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組み合わせとして実装することができることを理解するであろう。実施形態および実装形態のいくつかは、機能および/または論理ブロックコンポーネント(またはモジュール)ならびにさまざまな処理ステップに関して上で説明されている。しかし、このようなブロックコンポーネント(またはモジュール)は、指定された機能を実行するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアコンポーネントによって実現されうることは理解されるであろう。ハードウェアとソフトウェアとを入れ替えて使用できることを明確に例示するために、上では、さまざまな例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、概略的にその機能に関して説明されている。このような機能がハードウェアとして実施されるか、ソフトウェアとして実施されるかどうかは、特定の用途とシステム全体に課される設計制約とよって決まる。当業者であれば、それぞれの特定の用途についてさまざまな方法により説明されている機能を実装することができるが、そのような実装形態の決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈すべきではない。例えば、システムまたはコンポーネントの実施形態は、1つまたは複数のマイクロプロセッサもしくは他の制御デバイスの制御の下でさまざまな機能を実行することができる、さまざまな集積回路コンポーネント、例えば、記憶素子、デジタル信号処理素子、論理素子、ルックアップテーブル、または同様のものを使用することができる。それに加えて、当業者であれば、本明細書で説明されている実施形態は、単なる例示的な実装形態にすぎないことを理解するであろう。
【0093】
[0047]本明細書で開示されている実施形態に関して説明されているさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または本明細書で説明されている機能を実行するように設計されているこれらの任意の組み合わせにより実装または実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってよい。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または他のそのような構成としても実装されうる。「例示的な」という単語は、本明細書では、もっぱら「一例、事例、または例示として使用する」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的な」と説明されている実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。
【0094】
[0048]本明細書で開示されている実施形態に関して説明されている方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接、ハードウェアにより実行されるソフトウェアモジュールにより、またはこれら2つの組み合わせにより具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、または当技術分野で知られている他の形態の記憶媒体に格納することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサがその記憶媒体から情報を読み込み、その記憶媒体に情報を書き込めるようにプロセッサに接続される。代替的形態では、記憶媒体は、プロセッサに一体化することができる。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICに収めることもできる。ASICは、ユーザ端末に収めることができる。代替形態では、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内のディスクリートコンポーネントとして常駐することができる。
【0095】
[0049]本明細書では、第1および第2などの関係語、ならびに同様の語は、一方のエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションから、そのようなエンティティまたはアクションの間の実際のそのような関係もしくは順序を必ずしも必要とすることなく、または暗示することなく、区別するためにのみ使用されうる。「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、複数のもののうちの異なる単一のものを単に示し、請求項における言い回しで特に定められていない限り順番または順序を暗示しない。これらの請求項のうちのいずれかの請求項内の文の順序は、請求項の言い回しで特に定められていない限りそのような順序による時間的または論理的順番でプロセスステップが実行されなければならないことを暗示しない。プロセスステップは、本発明の範囲から逸脱することなく任意の順番での入れ替えを、そのような入れ替えが請求項の言い回しに反しない限り、また論理的に無意味にならない限り、行うことができる。
【0096】
[0050]さらに、文脈に応じて、異なる要素間の関係を記述する際に使用される「接続する」または「に接続される」などの語句は、それらの要素の間に直接的物理的接続がなされなければならないことを暗示しない。例えば、2つの要素は、互いに、物理的に、電子的に、論理的に、または任意の他の方法で、1つまたは複数の追加要素を通じて接続されうる。
【0097】
[0051]本発明の前記詳細な説明では、少なくとも1つの実施例が提示されたが、膨大な数の変更形態が存在することは理解されるであろう。この、またはこれらの例示的な実施形態は例にすぎず、本発明の範囲、適用可能性、または構成を制限することをいっさい意図していないことも理解されるであろう。むしろ、前記の詳細な説明は、当業者にとって、本発明の例示的な実施形態を実装するための重宝な指針となるであろう。付属の請求項において述べられているように、本発明の範囲から逸脱することなく例示的な実施形態において説明されている要素の機能および配置にさまざまな変更が加えられることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0098】
100 UAV
102 本体部
104 ファン
106 エンジン
108 内面
112 エアダクト
114 エアインレット
116 エアアウトレット
118 制御ベーン
118−1、118−2 第1のペア
118−3、118−4 第2のペア
118−5、118−6 第3のペア
118−7、118−8 第4のペア
300 飛行制御システム
302 ミッション管制装置
304 アクチュエータコントローラ(304−1、304−2)
306 アクチュエータ(例えば、306−1、306−2、306−3、306−4)
400 飛行制御システム
502 基準軸
504 基準軸
506および508 基準点
800 プロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の独立制御可能な制御ベーン(vanes)(118)を備える無人飛翔体(UAV:unmanned air vehicle)(100)を制御するための方法であって、
前記制御ベーン(118)のそれぞれを、命令された操作を前記UAV(100)に行わせる位置に移動する制御(control)ベーン(118)位置コマンドを供給するステップと、
前記制御ベーン(118)のうちの1つが動作不可能であることを感知するステップと、
前記動作不可能な制御ベーン(118)の位置を決定するステップと、
前記動作不可能な制御ベーン(118)の前記決定された位置に基づき、前記命令された操作を前記UAV(100)にさらに行わせる新しい制御ベーン(118)位置コマンドを決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
複数の独立制御可能な制御ベーン(118)を備える無人飛翔体(UAV)(100)のための飛行制御システム(300)であって、
それぞれのアクチュエータが前記制御ベーン(118)のうちの異なる1つの制御ベーンに接続された複数の独立した制御ベーン(118)アクチュエータ(306)と、
前記制御ベーン(118)アクチュエータ(306)に接続され、さらに制御ベーン(118)位置コマンドを受信するように接続されたアクチュエータコントローラ(304)であって、前記制御ベーン(118)位置コマンドに応答して、前記制御ベーン(118)アクチュエータ(306)を制御して、前記制御ベーン(118)のそれぞれを、命令された操作を前記UAV(100)に行わせる位置に移動するように構成されている、アクチュエータコントローラ(304)と、
前記アクチュエータコントローラ(304)に接続されたミッション管制装置(mission controller)(302)であって、飛行制御信号を受信するように適合されており(adapted to)、前記信号に応答して、前記制御ベーン(118)位置コマンドを供給する(supply)ように構成されている、ミッション管制装置(302)と
を備え、前記ミッション管制装置(302)が、
前記制御ベーン(118)のうちの1つが動作不可能であることを感知し、
前記動作不可能な制御ベーン(118)の位置を決定し、
前記動作不可能な制御ベーン(118)の前記決定された位置に基づき、前記命令された操作を前記UAV(100)にさらに行わせる新しい制御ベーン(118)位置コマンドを決定するようにさらに構成されている、
飛行制御システム(300)。
【請求項3】
ダクテッドファン(104)型無人飛翔体(UAV)(100)であって、
エアインレット(114)およびエアアウトレット(116)を有するエアダクト(air duct)(112)を画成する内面(108)を備える本体部(102)と、
前記エアインレット(inlet)(114)と前記エアアウトレット(outlet)(116)との間の前記ダクト内に配設されるファン(104)であって、駆動トルクを受けるように適合されており、前記トルクに応じて、前記エアインレット(114)内に空気を引き込み、前記エアアウトレット(116)から空気を放出し、それにより前記本体部(102)において揚力(lift)を発生させるように動作可能である、ファン(104)と、
それぞれの制御ベーン(118)が前記エアアウトレット(116)の下流(downstream)で前記本体部(main body)(102)に接続される複数の独立制御可能な制御ベーン(118)と、
それぞれの制御ベーン(118)アクチュエータが前記制御ベーン(118)のうちの異なる1つの(a different one of)制御ベーンに接続される複数の制御ベーン(118)アクチュエータ(306)と、
前記制御ベーン(118)アクチュエータ(306)に接続され、さらに制御ベーン(118)位置コマンドを受信するように接続されたアクチュエータコントローラ(304)であって、前記制御ベーン(118)位置コマンドに応答して、前記制御ベーン(118)アクチュエータ(306)を制御して、前記制御ベーン(118)のそれぞれを、命令された操作を前記UAV(100)に行わせる位置に移動するように構成されている、アクチュエータコントローラ(304)と、
前記アクチュエータコントローラ(304)に接続されたミッション管制装置(302)であって、飛行制御信号を受信するように適合されており、前記信号に応答して、前記制御ベーン(118)位置コマンドを供給するように構成されている、ミッション管制装置(302)と
を備え、前記ミッション管制装置(302)が、
前記制御ベーン(118)のうちの1つが動作不可能(inoperable)であることを感知し、
前記動作不可能な制御ベーン(118)の位置を決定し、
前記動作不可能な制御ベーン(118)の前記決定された位置に基づき、前記命令された操作を前記UAV(100)にさらに行わせる新しい制御ベーン(118)位置コマンドを決定するようにさらに構成されている、
ダクテッド(ducted)ファン(104)型無人(unmanned)飛翔体(UAV)(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107626(P2013−107626A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−202869(P2012−202869)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)