無停電で直流電源装置を更新する方法
【課題】電源装置の設置場所が狭隘な場所であっても、無停電で直流電源装置の更改工事を行うことができる方法を提供する。
【解決手段】既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機1、仮設整流器2、及び仮設蓄電池4から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられかつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置Aを設け、当該仮設電源装置Aの各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置Aの前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電して既設の直流電源装置の撤去、新設の直流電源装置の設置等を行う。
【解決手段】既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機1、仮設整流器2、及び仮設蓄電池4から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられかつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置Aを設け、当該仮設電源装置Aの各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置Aの前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電して既設の直流電源装置の撤去、新設の直流電源装置の設置等を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、狭い現場環境での老朽化した直流電源装置(整流器)を新しい電源装置に更改(更新)する工事において無停電で行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信機器は主に直流電源により駆動される。これらの直流電源を供給する整流器と呼ばれる(レクチャー、AC/DCコンバータ、充電器とも呼ばれる)電源装置を、通信事業者の小型通信局舎のスペースの限られた場所に設置している場合がある。また、このように通信電源として使用される場合は、バックアップ用の蓄電池を充電しながら直流負荷に電源を供給しており、停電時にこの蓄電池から直流負荷に供給する構成となっている。
【0003】
この電源装置Aは、具体的には図12に示すように、(既設)整流器11と(既設)蓄電池14から構成され、交流分電盤10の出力端子から交流電源を(既設)整流器11の整流回路11aに入力し、当該整流回路11aで直流に変換し、SID11bを通して電圧を調整し、直流分電盤12を通して多数の通信負荷設備13に直流電源を供給しており、前記整流回路11aから常時バックアップ用の蓄電池14に充電している。そして、交流分電盤10からの交流電源が停電した場合、前記既設蓄電池14から、常閉型の開閉器11c、前記SID11b、直流分電盤12を通して直流電源を各通信負荷設備13に供給している。
【0004】
この電源装置が老朽化してきたり、容量不足となった場合、新しいものに取り替える必要がある。その場合、当該更改工事を無停電で行うためには、仮設の電源装置を既設の電源装置の近くに設置してバイパスをとり、工事の間は当該仮設の電源装置から直流負荷に電源を供給し、新設の電源装置を設置後に、電源を切り替え、仮設の電源装置を撤去しなければならない。
【0005】
しかしながら、実際に設置されている前記整流器はメーカーから販売されているが、蓄電池の能力値を引き出すための電圧調整機能や平滑回路化機能等、付加機能が数多く搭載されており、大型となっている(負荷直流定格出力150AクラスでW800、D600、H1900程度)。このように種々の電源装置が開発されているが、特許文献1に示すように、すべて多機能型の大型電源装置となる傾向が強い。スペースに余裕のある場所に前記取り替えるべき電源装置が設置されている場合は、既設の電源装置の近くに置いて直接取り替えることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−217270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記通信事業者の狭隘な局舎では仮設電源装置として大型の電源装置を設置できるスペースがない場合が多い。それ故、停電作業により前記老朽化した整流器等の電源装置を新しいものに交換していた。また、この工事は1週間以上かかる。しかしながら、前記小型通信局舎でも直接ユーザへ接続される加入者回線が数百回線、通信局舎のトランジット回線(中継回線)を含めると数千回線が収容されている。これらはユーザのイントラネット、インターネットや携帯電話基地局、TV局、銀行等に接続される公共性の高い回線であり、電源停止は許されない。従って、前記狭隘な通信局舎の電源装置であっても、無停電による電源装置の更改工事が要求されている。
【0008】
この発明はこのような従来技術を考慮したものであって、電源装置の設置場所が狭隘な場所であっても、無停電で直流電源装置の更改工事を行うことができる方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、この発明は、狭隘な局舎での仮設電源装置の設置を可能にするために、仮設電源として必要な機能を従来品からリストラして、最小化を図ると共に、分割設置、用途別に構成を変えられるように機能別に分解した。この最小化と分割化により狭隘な局舎の空きスペースに効率的な仮設電源の配置を可能とした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明は、交流電源を整流器により直流電源に変換するとともにバックアップ用の蓄電池に常時充電する、既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機、仮設整流器、及びバックアップ用の仮設蓄電池から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられ、かつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置を設け、当該仮設電源装置の各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置の前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電したのち、既設の直流電源装置を撤去し、新設の直流電源装置を設置し、当該新設の直流電源装置を交流電源及び直流負荷に接続したのち、前記バイパス整流回路の接続を解除し、当該仮設電源装置を撤去する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、仮設電源装置の仮設整流器の後に仮設SIDを接続し、バイパス整流回路において、仮設整流器で整流した直流電源を、当該仮設整流器又は仮設SIDで電圧を調整して直流負荷側に直流電源を供給する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記仮設蓄電池の選定にあたり、直流負荷側の許容電圧幅、電源ケーブルの電路の電圧降下をパラメータとして蓄電池1セル当たりの放電終止電圧を決定し、これに直流負荷側の必要負荷電流値を考慮して蓄電池容量を決定し、蓄電池タイプ、充電電圧を決定して仮設蓄電池を仮決定し、当該仮設蓄電池が設置スペースに入るものであれば、当該仮設蓄電池を決定するが、当該仮設蓄電池が設置スペースに入らない場合は、前記蓄電池の1セルの容量を大きいものにしてセルの組数を少なくして仮設蓄電池の大きさを前記設置スペースに入るものに選定して仮設蓄電池を決定する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、仮設蓄電池を決定することにより、当該仮設蓄電池の標準特性(10HR容量換算)表により、容量換算時間Kから当該蓄電池のバックアップ時間を決定し、これが必要バックアップ時間の3倍か否かで、仮設SIDを使用するかどうかを決め、仮設SIDを必要とする場合であって、当該仮設SIDを設置できスペースがある場合は、仮設SIDを用いることとし、仮設SIDを必要とする場合であってもスペースがない場合は、蓄電池容量の増量を検討するが、蓄電池容量の増量のスペースがある場合に増量を決定し、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定することとし、前記蓄電池の増量のスペースがない場合は、既存の電源装置の既存蓄電池を用い、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3、又は4のいずれかの発明において、仮設整流器の選定にあたり、直流負荷側の必要負荷電流値以上となるように整流ユニット1個の定格電流値及び個数を仮決定し、前記仮設蓄電池の容量において負荷給電時のフル充電が24時間以内であることを条件とし、かつ当該仮設整流器を設置するスペースに合わせて、前記仮設整流器のユニット1個の定格電流及び個数の組み合わせを決定する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、従来の整流器に装備されているものうち、当該更改工事に不要な機能を除き、当該工事に特化した仮設電源装置に限定して小型化すると同時に各部材に物理的に分割した。これにより空きスペースの有効利用と現場状況による部材の組み合わせにより機能追加、削除、変更が可能となり、狭いスペースでの無停電による直流電源装置の更改(更新)工事が可能となった。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、仮設SIDを用いることにより、直流負荷側の電圧にあわせて電圧を調整できる。また、請求項3の発明によれば、仮設蓄電池の選定に当たって、負荷設備の許容電圧値、電圧降下値、設置スペース等を考慮して蓄電池の容量、蓄電池タイプ、充電電圧を決定するため、負荷側に悪影響を与えずに、狭いスペースに設置することができる。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、仮設蓄電池の容量決定、タイプ決定、充電電圧の決定にあたり、当該仮設蓄電池のバックアップ時間を算出し、これが必要バックアップ時間の3倍になっているか否かで、仮設SID、蓄電池の容量増量等をその設置場所があるかどうかで判断し、ない場合は既設の蓄電池を用いる等、設置場所の有無によって、使用部材を選定し、狭いスペースでの無停電工事が可能となる。また、請求項5の発明によれば、仮設整流器の選定にあたり、直流負荷側の必要負荷電流値以上となり、前記仮設蓄電池の容量において負荷給電時のフル充電が24時間以内であり、かつ当該仮設整流器を設置するスペースがあることを条件として前記仮設整流器のユニット1個の定格電流及び個数の組み合わせを決定するため、仮設整流器の選定が的確に行われ、当該狭いスペースでの無停電工事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明は、交流電源を整流器により直流電源に変換するとともにバックアップ用の蓄電池に常時は充電する、既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機仮設整流器、及びバックアップ用の仮設蓄電池から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられ、かつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置を設け、当該仮設電源装置の各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置の前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電したのち、既設の直流電源装置を撤去し、新設の直流電源装置を設置し、当該新設の直流電源装置を交流電源及び直流負荷に接続したのち、前記バイパス整流回路の接続を解除し、当該仮設電源装置を撤去する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【実施例1】
【0019】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の更改工事に用いる仮設電源装置の既設電源装置への接続構成を示す。この発明の仮設電源装置Aは、仮設交流入力分岐遮断機1、仮設整流器2、仮設SID3、仮設蓄電池4及び仮設遮断機5とから成る。前記仮設交流入力分岐遮断機1は既設の交流分電盤10の出力端子に空きがない場合に用い、交流分岐割入接続するものである。前記仮設交流入力分岐遮断機1は、前記交流分電盤10の出力端子に入力端子を接続し、複数の出力端子の一つに既設整流器11を接続し、他の出力端子に仮設整流器2を接続するものである。そして、既設整流器11で交流を直流に変換し、SIDで電圧を調整して直流分電盤12に至り、当該直流分電盤12から各通信負荷設備13に直流電源を供給する。一方前記仮設整流器2から仮設SID3及び仮設断路機5を経て既設の直流分電盤12に至るバイパス整流回路を構成している。既設蓄電池14は、停電時に既設整流器11の常閉型の開閉器を通して前記SIDに直流電源を供給する。また、仮設蓄電池4も同様である。
【0020】
前記仮設整流器2は、図2に示すように、複数の整流器ユニット2aを備えた(n+1)の冗長形を組んだものとし、一つのユニット2aがこわれても他のユニット2aが働き、負荷側に影響のないようにしている。また、無停電作業を意図し微小の電圧調整を可能とするため、複数ある整流器ユニット(冗長用も含めて)2aの一括電圧調整機能を残し、従来よりも電圧の微調整が可能な機能を採用した。すなわち、可変抵抗器2bを可変範囲を狭めて操作性向上を目的として鈍感に作動するようにした。また、前記仮設蓄電池への端子回路に開閉器2cを設けている。
【0021】
図3は当該仮設整流器2の外観を示し、ボックス型で、下にキャスター2d及び固定脚2eを設け、上部には、表示、蓄電池出力ブレーカ、整流器出力調整一括ボリューム2fを設けている。その下に三段で前記整流器ユニット2aを設け、下部に、交流入力端子、蓄電池入力端子、直流出力端子、接地端子等の端子盤2gを設けている。さらにボックスの上面には取っ手2hを設けている。
【0022】
また、前記仮設SID3は、図4に示すようにシリコンダイオードから成り、入力端子3aは前記仮設整流器2の出力端子に接続され、その出力端子3bは、前記仮設遮断機5を通して直流分電盤12に接続される。このSID3は蓄電池充電電圧と負荷電圧との誤差を埋める電圧調整用のもので、既存のものは、蓄電池の電圧が下がった場合に自動的に前記ダイオード回路を短絡し、電圧を上昇するようになっているが、今般のものは手動開閉器3cを設け、手動操作となっている。また、外観は、図5に示すように、ボックス型で、複数の各つまみ3dを動かして開閉する手動型となっており、つまみ3d(SID)一つにつき0.7V電圧降下することとなっている。
【0023】
また、前記仮設蓄電池4は、前記仮設整流器2の開閉器2cに接続されており、小型で容量が大きいHS型とした。
【0024】
次にこの仮設電源装置Aを用いて、既存の直流電源装置の更改手順を説明する。
図12に示すように、既存の電源装置は、交流分電盤10から既設整流器11に交流電源が入力し、整流回路で直流に変換され、かつSID11bにより電圧を調整されて直流分電盤12に至り、各通信負荷設備13に直流電源が供給される。そして、停電時のバックアップ用として前記整流器11の開閉器11cと蓄電池14が接続されている。
【0025】
そこで、前記交流分電盤10と既設整流器11との接続回線に並行して、図1に示すように交流分電盤10の出力端子と仮設交流分岐遮断機1の入力端子を接続し、当該仮設交流分岐遮断機1の出力端子の一方と前記既設の整流器11の入力端子と接続し、当該仮設交流分岐遮断機1の出力端子の他方と仮設整流器2の入力端子とを接続する。また、前記のように仮設整流器2、仮設SID3、仮設遮断機5を接続し、また、仮設整流器2の開閉器2cと仮設蓄電池4を接続する。さらに、前記仮設遮断機5と前記直流分電盤12の入力端子に接続する。これにより仮設電源装置Aの接続が終了する。そして、前記仮設交流分岐遮断機1の一方の遮断機を入れて既設整流器11への回路を接続して図1の交流分電盤10と既設整流器11とを直接接続した回線を外し、図1の構成となる。前記仮設電源装置Aの各部材は既設の電源装置の近くに設置する。
【0026】
その後、前記仮設遮断機5を閉路し、仮設交流分岐遮断機1の他方の遮断機を閉路する。これにより、交流分電盤10から、既設の整流回路と仮設の整流器2等のバイパス整流回路へと双方に電流が流れる。そして、前記各通信負荷設備13の負荷電圧等と、仮設の整流器2及び仮設SID3を調整し、当該調整終了後、仮設交流分岐遮断機1の一方の遮断機を開き、既設整流器11への交流電源の供給を止める。
【0027】
これにより、交流分電盤10、仮設交流分岐遮断機1、仮設整流器2、仮設SID3、仮設遮断機5、直流分電盤12へと電流が流れる。そこで、既設の電源装置である整流器11及び既設蓄電池14を取り外し、これらの取り外し場所に新設の電源装置である整流器及び蓄電池を設置する。そして、これらを前述と同様に、交流分電盤10の出力端子と整流器を、当該整流器の出力端子を直流分電盤12の入力端子に接続し、また、蓄電池を前記整流器に接続する。その後、仮設電源装置Aを撤去する。これにより、電源装置の更改工事は終了する。
【0028】
次に、前記仮設電源装置Aを設置する負荷設備の電圧及び電流、電源ケーブルの電路等に基づいて、仮設電源装置Aの構成及び容量等を選定する過程を説明する。図6はこの選定フローを示す。
【0029】
まず、図6において、ステップ1として負荷設備の許容電圧幅はいくらか(S1)を求める。例えば負荷電圧48V±10%であると、許容電圧幅は43.2V〜52.8Vである。ステップ2として電路の電圧降下はいくらかを求める。例えば、電路降下は2.4Vとする(S2)。次に、ステップ3として、これらの値により、蓄電池1セルあたりの放電終止電圧を決定する(S3)。前記の例では、2Vの蓄電池24個を用いると48Vとなり、前記降下電圧2.4Vを減ずると、48V−2.4V=45.6Vとなる。実際の装置では上記43.2Vまで耐えられる。電圧降下分2.4V÷24個=0.1Vとなり、1セル当たり2V−0.1V=1.9Vまで電圧降下してもよいこととなる。
【0030】
次に、ステップ4として、蓄電池によるバックアップ対象の負荷電流はいくらかを調べる(S4)。これは、当該電源装置から直流電源を供給する負荷設備の必要電流である。また、ステップ5として、当該電源設備に非常用発電機があるかどうかを調べる(S5)。非常用発電機がある場合は、蓄電池によるバックアップ時間は少なくて良い(S5a)。例えば、60分等、当該電源装置の所有者である顧客と相談する。また、非常用電源がない場合は、蓄電池によるバックアップ時間を長くする(S5b)。これも前記顧客の要望を加味して、例えば、180分と設定する。
【0031】
次に、ステップ6として、仮設蓄電池の設置スペースを考慮し(S6)、これまでのステップの数値等を考慮して、ステップ7で仮設蓄電池の容量を決定する(S7)。また、これによりステップ8として、当該蓄電池のタイプを決定する(S8)。また、そこで、ステップ9として、充電電圧を決定する(S9)。これを詳細に述べると、前記ステップ5までの数値を考慮し仮設蓄電池の容量、蓄電池タイプ、充電電圧を決定して仮設蓄電池を仮決定し、当該仮設蓄電池が設置スペースに入るものであれば、当該仮設蓄電池を決定するが、当該仮設蓄電池が設置スペースに入らない場合は、前記蓄電池の1セルの容量を大きいものにしてセルの組数を少なくして仮設蓄電池の大きさを前記設置スペースに入るものに選定して仮設蓄電池を決定する。例えば、仮設電池は1セル12V 200AHであるが、48Vを出すために4セルを直列に接続してこれを1組としている。そして、必要な容量が48Vで400AHの時には、1セル12V 200AH×2組(8セル)=400AHとするか、又は1セル12V 400AH×1組(4セル)400AHの選択肢があり、これを前記設置スペースによって決める。そして、前記ステップ7、8及び9を決定する。また、前記充電電圧は、当該上記例では、均等充電電圧が52.8V、浮動充電電圧が52.3Vとする。そして、ステップ10として、この蓄電池のタイプの容量(Aアワー)、充電電圧、前記ステップ4の必要電流値から容量換算時間K(時)を算出し、使用する当該電池の標準特性表を用いて、前記ステップ3での1セル当たりの放電終止電圧1.9Vから、放電時間T(分)を求め、これらにより蓄電池のバックアップ時間を決定する(S10)。
【0032】
そして、ステップ11として、1、2週間の仮設期間内に停電は3回はないだろうとの判断のもとに、前記ステップ10で決定した蓄電池のバックアップ時間が、必要バックアップ時間の3倍かどうかを調べる(S11)。必要バックアップ時間の3倍ある場合は、ステップ12で仮設SID3を必要とせず、仮設SID3をなしとする(S12)。また、必要バックアップ時間の3倍ない場合は、ステップ13で仮設SID3を設置する必要があると判断する(S13)。この仮設SID3の有無の差は、停電からの復電後の蓄電池の充電に関わる。仮設SID3がない場合は、蓄電池充電電圧は負荷電圧に合わせることとなり、この場合、蓄電池の充電電圧は、本来の充電電圧より低くなる。従って、停電で蓄電池が放電した場合、復電後は仮設SID3がある場合は、フル充電となるが、仮設SID3がない場合は、部分充電となるので、2回目以降の停電時のバックアップ時間が、仮設SID3がある場合よりない場合が短くなる。
【0033】
仮設SID3を必要とした場合、ステップ14で当該仮設SID3の設置スペースがあるかどうかを検討する(S14)。スペースがあれば、仮設SID3を設置することとする。前記スペースがない場合は、蓄電池容量を増量する必要がある。そこで、ステップ15でこの蓄電池の容量増量のスペースはあるかどうかを判断する(S15)。スペースがあれば、ステップ16で蓄電池容量増量を決定し(S16)、前記ステップ7に戻る。また、蓄電池の容量増量のスペースがなければ、ステップ17で前記既設蓄電池14を使用することと決定する(S17)。この場合、切替え手順は増加する。そしてこの既設蓄電池14を使用することとして前記ステップ7に戻る。このようにして仮設蓄電池4の容量、タイプ、充電電圧等を決定し、さらに仮設SID3の使用を決定する。
【0034】
次に、仮設整流器2の容量等を選定する。前記ステップ4で調べた負荷電流値に基づいて、ステップ18で、前記各整流器ユニット2aの1個の定格電流を何アンペアとし、これをいくつ置くかを仮決定する(S18)。例えば、負荷電流200Aの場合で、1個冗長形は持ちたいと考えた場合、100Aのユニット3を3個とする。そして、ステップ19として、負荷給電時の24時間以内のフル充電において、前記ステップ7で決定した蓄電池容量を基にして、ステップ18で仮決定した整流器の電流から負荷電流を減じた値で蓄電池容量を割った値が24時間以内かどうかを算出する(S19)。24時間以内であれば、ステップ20において、負荷電流以上の電流値を有する整流器とするには何アンペアのユニットを何個揃えるかを決定する(S20)。この決定に当たって、仮設整流器2の設置スペースはあるかどうかをステップ21で判断し(S21)、なければ、1個のユニットの容量を大きいものにし、数を減らす等に変更し、ステップ18に戻る。また、前記ステップ19において、24時間以上であれば、ステップ18に戻る。このようにして、仮設整流器2を設定する。
【0035】
また、この発明の仮設電源装置Aを用いた直流電源装置の更改工事において、負荷設備等の通信回線に影響が出てはいけないので、図7の構成により、実証試験を行った。実証試験内容は、
1. 既設負荷出力電圧50.7V、仮設負荷出力電圧50.2V、通信負荷設備電流合計17.8Aで仮設電源接続した場合(図8)。
2. 仮設負荷出力電圧50.2V→51.7Vにて仮設電源に負荷電流の95%が移行(図9)。
3. 既設整流器停止(図10)。
4. 既設整流器切り離し(図11)。
測定箇所としては、
交流入力電圧:既設整流器交流入力端子
負荷出力電圧:電流・直流分電盤入力端子
【0036】
上記1.〜4.における各測定波形を図8〜図11に示す。各測定において、負荷出力に異常電流・電圧は見られなかった。既設整流器・仮設整流器内部負荷出力近辺にあるノイズ除去回路の効果と推測される。ただし、図9では、前記2.の測定はサンプリング時間が長いため波形の一部を表示している。また、通信負荷にエラー測定器を接続し、実証試験中を通して伝送エラー試験(速度:6Mbps)を実施し、エラーフリーが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施例1の既設電源装置に仮設電源装置を接続した状態を示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1に使用する仮設整流器の回路構成図である。
【図3】この発明の実施例1に使用する仮設整流器の外観斜視図である。
【図4】この発明の実施例1に使用する仮設SIDの回路図である。
【図5】この発明の実施例1に使用する仮設SIDの外観斜視図である。
【図6】この発明の実施例1の仮設電源装置の構成の選定過程を示すフロー図である。
【図7】この発明の実証試験の構成図である。
【図8】この発明の実証試験における仮設電源装置接続時の電源波形を示すグラフ図である。
【図9】この発明の実証試験における負荷電流移行時の電源波形の一部を示すグラフ図である。
【図10】この発明の実証試験における既設整流器停止時の電源波形を示すグラフ図である。
【図11】この発明の実証試験における既設整流器の切り離し時の電源波形を示すグラフ図である。
【図12】この発明を使用する既設電源装置の構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1 仮設交流入力分岐遮断機 2 仮設整流器
2a 整流ユニット 2c 開閉器
3 仮設SID 4 仮設蓄電池
5 仮設遮断機
10 交流分電盤 11 既設整流器
11a 整流器 11b SID
11c 開閉器 12 直流分電盤
13 通信負荷設備 14 既設蓄電池
【技術分野】
【0001】
この発明は、狭い現場環境での老朽化した直流電源装置(整流器)を新しい電源装置に更改(更新)する工事において無停電で行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信機器は主に直流電源により駆動される。これらの直流電源を供給する整流器と呼ばれる(レクチャー、AC/DCコンバータ、充電器とも呼ばれる)電源装置を、通信事業者の小型通信局舎のスペースの限られた場所に設置している場合がある。また、このように通信電源として使用される場合は、バックアップ用の蓄電池を充電しながら直流負荷に電源を供給しており、停電時にこの蓄電池から直流負荷に供給する構成となっている。
【0003】
この電源装置Aは、具体的には図12に示すように、(既設)整流器11と(既設)蓄電池14から構成され、交流分電盤10の出力端子から交流電源を(既設)整流器11の整流回路11aに入力し、当該整流回路11aで直流に変換し、SID11bを通して電圧を調整し、直流分電盤12を通して多数の通信負荷設備13に直流電源を供給しており、前記整流回路11aから常時バックアップ用の蓄電池14に充電している。そして、交流分電盤10からの交流電源が停電した場合、前記既設蓄電池14から、常閉型の開閉器11c、前記SID11b、直流分電盤12を通して直流電源を各通信負荷設備13に供給している。
【0004】
この電源装置が老朽化してきたり、容量不足となった場合、新しいものに取り替える必要がある。その場合、当該更改工事を無停電で行うためには、仮設の電源装置を既設の電源装置の近くに設置してバイパスをとり、工事の間は当該仮設の電源装置から直流負荷に電源を供給し、新設の電源装置を設置後に、電源を切り替え、仮設の電源装置を撤去しなければならない。
【0005】
しかしながら、実際に設置されている前記整流器はメーカーから販売されているが、蓄電池の能力値を引き出すための電圧調整機能や平滑回路化機能等、付加機能が数多く搭載されており、大型となっている(負荷直流定格出力150AクラスでW800、D600、H1900程度)。このように種々の電源装置が開発されているが、特許文献1に示すように、すべて多機能型の大型電源装置となる傾向が強い。スペースに余裕のある場所に前記取り替えるべき電源装置が設置されている場合は、既設の電源装置の近くに置いて直接取り替えることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−217270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記通信事業者の狭隘な局舎では仮設電源装置として大型の電源装置を設置できるスペースがない場合が多い。それ故、停電作業により前記老朽化した整流器等の電源装置を新しいものに交換していた。また、この工事は1週間以上かかる。しかしながら、前記小型通信局舎でも直接ユーザへ接続される加入者回線が数百回線、通信局舎のトランジット回線(中継回線)を含めると数千回線が収容されている。これらはユーザのイントラネット、インターネットや携帯電話基地局、TV局、銀行等に接続される公共性の高い回線であり、電源停止は許されない。従って、前記狭隘な通信局舎の電源装置であっても、無停電による電源装置の更改工事が要求されている。
【0008】
この発明はこのような従来技術を考慮したものであって、電源装置の設置場所が狭隘な場所であっても、無停電で直流電源装置の更改工事を行うことができる方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、この発明は、狭隘な局舎での仮設電源装置の設置を可能にするために、仮設電源として必要な機能を従来品からリストラして、最小化を図ると共に、分割設置、用途別に構成を変えられるように機能別に分解した。この最小化と分割化により狭隘な局舎の空きスペースに効率的な仮設電源の配置を可能とした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明は、交流電源を整流器により直流電源に変換するとともにバックアップ用の蓄電池に常時充電する、既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機、仮設整流器、及びバックアップ用の仮設蓄電池から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられ、かつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置を設け、当該仮設電源装置の各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置の前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電したのち、既設の直流電源装置を撤去し、新設の直流電源装置を設置し、当該新設の直流電源装置を交流電源及び直流負荷に接続したのち、前記バイパス整流回路の接続を解除し、当該仮設電源装置を撤去する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、仮設電源装置の仮設整流器の後に仮設SIDを接続し、バイパス整流回路において、仮設整流器で整流した直流電源を、当該仮設整流器又は仮設SIDで電圧を調整して直流負荷側に直流電源を供給する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記仮設蓄電池の選定にあたり、直流負荷側の許容電圧幅、電源ケーブルの電路の電圧降下をパラメータとして蓄電池1セル当たりの放電終止電圧を決定し、これに直流負荷側の必要負荷電流値を考慮して蓄電池容量を決定し、蓄電池タイプ、充電電圧を決定して仮設蓄電池を仮決定し、当該仮設蓄電池が設置スペースに入るものであれば、当該仮設蓄電池を決定するが、当該仮設蓄電池が設置スペースに入らない場合は、前記蓄電池の1セルの容量を大きいものにしてセルの組数を少なくして仮設蓄電池の大きさを前記設置スペースに入るものに選定して仮設蓄電池を決定する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、仮設蓄電池を決定することにより、当該仮設蓄電池の標準特性(10HR容量換算)表により、容量換算時間Kから当該蓄電池のバックアップ時間を決定し、これが必要バックアップ時間の3倍か否かで、仮設SIDを使用するかどうかを決め、仮設SIDを必要とする場合であって、当該仮設SIDを設置できスペースがある場合は、仮設SIDを用いることとし、仮設SIDを必要とする場合であってもスペースがない場合は、蓄電池容量の増量を検討するが、蓄電池容量の増量のスペースがある場合に増量を決定し、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定することとし、前記蓄電池の増量のスペースがない場合は、既存の電源装置の既存蓄電池を用い、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3、又は4のいずれかの発明において、仮設整流器の選定にあたり、直流負荷側の必要負荷電流値以上となるように整流ユニット1個の定格電流値及び個数を仮決定し、前記仮設蓄電池の容量において負荷給電時のフル充電が24時間以内であることを条件とし、かつ当該仮設整流器を設置するスペースに合わせて、前記仮設整流器のユニット1個の定格電流及び個数の組み合わせを決定する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、従来の整流器に装備されているものうち、当該更改工事に不要な機能を除き、当該工事に特化した仮設電源装置に限定して小型化すると同時に各部材に物理的に分割した。これにより空きスペースの有効利用と現場状況による部材の組み合わせにより機能追加、削除、変更が可能となり、狭いスペースでの無停電による直流電源装置の更改(更新)工事が可能となった。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、仮設SIDを用いることにより、直流負荷側の電圧にあわせて電圧を調整できる。また、請求項3の発明によれば、仮設蓄電池の選定に当たって、負荷設備の許容電圧値、電圧降下値、設置スペース等を考慮して蓄電池の容量、蓄電池タイプ、充電電圧を決定するため、負荷側に悪影響を与えずに、狭いスペースに設置することができる。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、仮設蓄電池の容量決定、タイプ決定、充電電圧の決定にあたり、当該仮設蓄電池のバックアップ時間を算出し、これが必要バックアップ時間の3倍になっているか否かで、仮設SID、蓄電池の容量増量等をその設置場所があるかどうかで判断し、ない場合は既設の蓄電池を用いる等、設置場所の有無によって、使用部材を選定し、狭いスペースでの無停電工事が可能となる。また、請求項5の発明によれば、仮設整流器の選定にあたり、直流負荷側の必要負荷電流値以上となり、前記仮設蓄電池の容量において負荷給電時のフル充電が24時間以内であり、かつ当該仮設整流器を設置するスペースがあることを条件として前記仮設整流器のユニット1個の定格電流及び個数の組み合わせを決定するため、仮設整流器の選定が的確に行われ、当該狭いスペースでの無停電工事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明は、交流電源を整流器により直流電源に変換するとともにバックアップ用の蓄電池に常時は充電する、既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機仮設整流器、及びバックアップ用の仮設蓄電池から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられ、かつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置を設け、当該仮設電源装置の各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置の前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電したのち、既設の直流電源装置を撤去し、新設の直流電源装置を設置し、当該新設の直流電源装置を交流電源及び直流負荷に接続したのち、前記バイパス整流回路の接続を解除し、当該仮設電源装置を撤去する、無停電による直流電源装置の更改工事方法とした。
【実施例1】
【0019】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の更改工事に用いる仮設電源装置の既設電源装置への接続構成を示す。この発明の仮設電源装置Aは、仮設交流入力分岐遮断機1、仮設整流器2、仮設SID3、仮設蓄電池4及び仮設遮断機5とから成る。前記仮設交流入力分岐遮断機1は既設の交流分電盤10の出力端子に空きがない場合に用い、交流分岐割入接続するものである。前記仮設交流入力分岐遮断機1は、前記交流分電盤10の出力端子に入力端子を接続し、複数の出力端子の一つに既設整流器11を接続し、他の出力端子に仮設整流器2を接続するものである。そして、既設整流器11で交流を直流に変換し、SIDで電圧を調整して直流分電盤12に至り、当該直流分電盤12から各通信負荷設備13に直流電源を供給する。一方前記仮設整流器2から仮設SID3及び仮設断路機5を経て既設の直流分電盤12に至るバイパス整流回路を構成している。既設蓄電池14は、停電時に既設整流器11の常閉型の開閉器を通して前記SIDに直流電源を供給する。また、仮設蓄電池4も同様である。
【0020】
前記仮設整流器2は、図2に示すように、複数の整流器ユニット2aを備えた(n+1)の冗長形を組んだものとし、一つのユニット2aがこわれても他のユニット2aが働き、負荷側に影響のないようにしている。また、無停電作業を意図し微小の電圧調整を可能とするため、複数ある整流器ユニット(冗長用も含めて)2aの一括電圧調整機能を残し、従来よりも電圧の微調整が可能な機能を採用した。すなわち、可変抵抗器2bを可変範囲を狭めて操作性向上を目的として鈍感に作動するようにした。また、前記仮設蓄電池への端子回路に開閉器2cを設けている。
【0021】
図3は当該仮設整流器2の外観を示し、ボックス型で、下にキャスター2d及び固定脚2eを設け、上部には、表示、蓄電池出力ブレーカ、整流器出力調整一括ボリューム2fを設けている。その下に三段で前記整流器ユニット2aを設け、下部に、交流入力端子、蓄電池入力端子、直流出力端子、接地端子等の端子盤2gを設けている。さらにボックスの上面には取っ手2hを設けている。
【0022】
また、前記仮設SID3は、図4に示すようにシリコンダイオードから成り、入力端子3aは前記仮設整流器2の出力端子に接続され、その出力端子3bは、前記仮設遮断機5を通して直流分電盤12に接続される。このSID3は蓄電池充電電圧と負荷電圧との誤差を埋める電圧調整用のもので、既存のものは、蓄電池の電圧が下がった場合に自動的に前記ダイオード回路を短絡し、電圧を上昇するようになっているが、今般のものは手動開閉器3cを設け、手動操作となっている。また、外観は、図5に示すように、ボックス型で、複数の各つまみ3dを動かして開閉する手動型となっており、つまみ3d(SID)一つにつき0.7V電圧降下することとなっている。
【0023】
また、前記仮設蓄電池4は、前記仮設整流器2の開閉器2cに接続されており、小型で容量が大きいHS型とした。
【0024】
次にこの仮設電源装置Aを用いて、既存の直流電源装置の更改手順を説明する。
図12に示すように、既存の電源装置は、交流分電盤10から既設整流器11に交流電源が入力し、整流回路で直流に変換され、かつSID11bにより電圧を調整されて直流分電盤12に至り、各通信負荷設備13に直流電源が供給される。そして、停電時のバックアップ用として前記整流器11の開閉器11cと蓄電池14が接続されている。
【0025】
そこで、前記交流分電盤10と既設整流器11との接続回線に並行して、図1に示すように交流分電盤10の出力端子と仮設交流分岐遮断機1の入力端子を接続し、当該仮設交流分岐遮断機1の出力端子の一方と前記既設の整流器11の入力端子と接続し、当該仮設交流分岐遮断機1の出力端子の他方と仮設整流器2の入力端子とを接続する。また、前記のように仮設整流器2、仮設SID3、仮設遮断機5を接続し、また、仮設整流器2の開閉器2cと仮設蓄電池4を接続する。さらに、前記仮設遮断機5と前記直流分電盤12の入力端子に接続する。これにより仮設電源装置Aの接続が終了する。そして、前記仮設交流分岐遮断機1の一方の遮断機を入れて既設整流器11への回路を接続して図1の交流分電盤10と既設整流器11とを直接接続した回線を外し、図1の構成となる。前記仮設電源装置Aの各部材は既設の電源装置の近くに設置する。
【0026】
その後、前記仮設遮断機5を閉路し、仮設交流分岐遮断機1の他方の遮断機を閉路する。これにより、交流分電盤10から、既設の整流回路と仮設の整流器2等のバイパス整流回路へと双方に電流が流れる。そして、前記各通信負荷設備13の負荷電圧等と、仮設の整流器2及び仮設SID3を調整し、当該調整終了後、仮設交流分岐遮断機1の一方の遮断機を開き、既設整流器11への交流電源の供給を止める。
【0027】
これにより、交流分電盤10、仮設交流分岐遮断機1、仮設整流器2、仮設SID3、仮設遮断機5、直流分電盤12へと電流が流れる。そこで、既設の電源装置である整流器11及び既設蓄電池14を取り外し、これらの取り外し場所に新設の電源装置である整流器及び蓄電池を設置する。そして、これらを前述と同様に、交流分電盤10の出力端子と整流器を、当該整流器の出力端子を直流分電盤12の入力端子に接続し、また、蓄電池を前記整流器に接続する。その後、仮設電源装置Aを撤去する。これにより、電源装置の更改工事は終了する。
【0028】
次に、前記仮設電源装置Aを設置する負荷設備の電圧及び電流、電源ケーブルの電路等に基づいて、仮設電源装置Aの構成及び容量等を選定する過程を説明する。図6はこの選定フローを示す。
【0029】
まず、図6において、ステップ1として負荷設備の許容電圧幅はいくらか(S1)を求める。例えば負荷電圧48V±10%であると、許容電圧幅は43.2V〜52.8Vである。ステップ2として電路の電圧降下はいくらかを求める。例えば、電路降下は2.4Vとする(S2)。次に、ステップ3として、これらの値により、蓄電池1セルあたりの放電終止電圧を決定する(S3)。前記の例では、2Vの蓄電池24個を用いると48Vとなり、前記降下電圧2.4Vを減ずると、48V−2.4V=45.6Vとなる。実際の装置では上記43.2Vまで耐えられる。電圧降下分2.4V÷24個=0.1Vとなり、1セル当たり2V−0.1V=1.9Vまで電圧降下してもよいこととなる。
【0030】
次に、ステップ4として、蓄電池によるバックアップ対象の負荷電流はいくらかを調べる(S4)。これは、当該電源装置から直流電源を供給する負荷設備の必要電流である。また、ステップ5として、当該電源設備に非常用発電機があるかどうかを調べる(S5)。非常用発電機がある場合は、蓄電池によるバックアップ時間は少なくて良い(S5a)。例えば、60分等、当該電源装置の所有者である顧客と相談する。また、非常用電源がない場合は、蓄電池によるバックアップ時間を長くする(S5b)。これも前記顧客の要望を加味して、例えば、180分と設定する。
【0031】
次に、ステップ6として、仮設蓄電池の設置スペースを考慮し(S6)、これまでのステップの数値等を考慮して、ステップ7で仮設蓄電池の容量を決定する(S7)。また、これによりステップ8として、当該蓄電池のタイプを決定する(S8)。また、そこで、ステップ9として、充電電圧を決定する(S9)。これを詳細に述べると、前記ステップ5までの数値を考慮し仮設蓄電池の容量、蓄電池タイプ、充電電圧を決定して仮設蓄電池を仮決定し、当該仮設蓄電池が設置スペースに入るものであれば、当該仮設蓄電池を決定するが、当該仮設蓄電池が設置スペースに入らない場合は、前記蓄電池の1セルの容量を大きいものにしてセルの組数を少なくして仮設蓄電池の大きさを前記設置スペースに入るものに選定して仮設蓄電池を決定する。例えば、仮設電池は1セル12V 200AHであるが、48Vを出すために4セルを直列に接続してこれを1組としている。そして、必要な容量が48Vで400AHの時には、1セル12V 200AH×2組(8セル)=400AHとするか、又は1セル12V 400AH×1組(4セル)400AHの選択肢があり、これを前記設置スペースによって決める。そして、前記ステップ7、8及び9を決定する。また、前記充電電圧は、当該上記例では、均等充電電圧が52.8V、浮動充電電圧が52.3Vとする。そして、ステップ10として、この蓄電池のタイプの容量(Aアワー)、充電電圧、前記ステップ4の必要電流値から容量換算時間K(時)を算出し、使用する当該電池の標準特性表を用いて、前記ステップ3での1セル当たりの放電終止電圧1.9Vから、放電時間T(分)を求め、これらにより蓄電池のバックアップ時間を決定する(S10)。
【0032】
そして、ステップ11として、1、2週間の仮設期間内に停電は3回はないだろうとの判断のもとに、前記ステップ10で決定した蓄電池のバックアップ時間が、必要バックアップ時間の3倍かどうかを調べる(S11)。必要バックアップ時間の3倍ある場合は、ステップ12で仮設SID3を必要とせず、仮設SID3をなしとする(S12)。また、必要バックアップ時間の3倍ない場合は、ステップ13で仮設SID3を設置する必要があると判断する(S13)。この仮設SID3の有無の差は、停電からの復電後の蓄電池の充電に関わる。仮設SID3がない場合は、蓄電池充電電圧は負荷電圧に合わせることとなり、この場合、蓄電池の充電電圧は、本来の充電電圧より低くなる。従って、停電で蓄電池が放電した場合、復電後は仮設SID3がある場合は、フル充電となるが、仮設SID3がない場合は、部分充電となるので、2回目以降の停電時のバックアップ時間が、仮設SID3がある場合よりない場合が短くなる。
【0033】
仮設SID3を必要とした場合、ステップ14で当該仮設SID3の設置スペースがあるかどうかを検討する(S14)。スペースがあれば、仮設SID3を設置することとする。前記スペースがない場合は、蓄電池容量を増量する必要がある。そこで、ステップ15でこの蓄電池の容量増量のスペースはあるかどうかを判断する(S15)。スペースがあれば、ステップ16で蓄電池容量増量を決定し(S16)、前記ステップ7に戻る。また、蓄電池の容量増量のスペースがなければ、ステップ17で前記既設蓄電池14を使用することと決定する(S17)。この場合、切替え手順は増加する。そしてこの既設蓄電池14を使用することとして前記ステップ7に戻る。このようにして仮設蓄電池4の容量、タイプ、充電電圧等を決定し、さらに仮設SID3の使用を決定する。
【0034】
次に、仮設整流器2の容量等を選定する。前記ステップ4で調べた負荷電流値に基づいて、ステップ18で、前記各整流器ユニット2aの1個の定格電流を何アンペアとし、これをいくつ置くかを仮決定する(S18)。例えば、負荷電流200Aの場合で、1個冗長形は持ちたいと考えた場合、100Aのユニット3を3個とする。そして、ステップ19として、負荷給電時の24時間以内のフル充電において、前記ステップ7で決定した蓄電池容量を基にして、ステップ18で仮決定した整流器の電流から負荷電流を減じた値で蓄電池容量を割った値が24時間以内かどうかを算出する(S19)。24時間以内であれば、ステップ20において、負荷電流以上の電流値を有する整流器とするには何アンペアのユニットを何個揃えるかを決定する(S20)。この決定に当たって、仮設整流器2の設置スペースはあるかどうかをステップ21で判断し(S21)、なければ、1個のユニットの容量を大きいものにし、数を減らす等に変更し、ステップ18に戻る。また、前記ステップ19において、24時間以上であれば、ステップ18に戻る。このようにして、仮設整流器2を設定する。
【0035】
また、この発明の仮設電源装置Aを用いた直流電源装置の更改工事において、負荷設備等の通信回線に影響が出てはいけないので、図7の構成により、実証試験を行った。実証試験内容は、
1. 既設負荷出力電圧50.7V、仮設負荷出力電圧50.2V、通信負荷設備電流合計17.8Aで仮設電源接続した場合(図8)。
2. 仮設負荷出力電圧50.2V→51.7Vにて仮設電源に負荷電流の95%が移行(図9)。
3. 既設整流器停止(図10)。
4. 既設整流器切り離し(図11)。
測定箇所としては、
交流入力電圧:既設整流器交流入力端子
負荷出力電圧:電流・直流分電盤入力端子
【0036】
上記1.〜4.における各測定波形を図8〜図11に示す。各測定において、負荷出力に異常電流・電圧は見られなかった。既設整流器・仮設整流器内部負荷出力近辺にあるノイズ除去回路の効果と推測される。ただし、図9では、前記2.の測定はサンプリング時間が長いため波形の一部を表示している。また、通信負荷にエラー測定器を接続し、実証試験中を通して伝送エラー試験(速度:6Mbps)を実施し、エラーフリーが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施例1の既設電源装置に仮設電源装置を接続した状態を示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1に使用する仮設整流器の回路構成図である。
【図3】この発明の実施例1に使用する仮設整流器の外観斜視図である。
【図4】この発明の実施例1に使用する仮設SIDの回路図である。
【図5】この発明の実施例1に使用する仮設SIDの外観斜視図である。
【図6】この発明の実施例1の仮設電源装置の構成の選定過程を示すフロー図である。
【図7】この発明の実証試験の構成図である。
【図8】この発明の実証試験における仮設電源装置接続時の電源波形を示すグラフ図である。
【図9】この発明の実証試験における負荷電流移行時の電源波形の一部を示すグラフ図である。
【図10】この発明の実証試験における既設整流器停止時の電源波形を示すグラフ図である。
【図11】この発明の実証試験における既設整流器の切り離し時の電源波形を示すグラフ図である。
【図12】この発明を使用する既設電源装置の構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1 仮設交流入力分岐遮断機 2 仮設整流器
2a 整流ユニット 2c 開閉器
3 仮設SID 4 仮設蓄電池
5 仮設遮断機
10 交流分電盤 11 既設整流器
11a 整流器 11b SID
11c 開閉器 12 直流分電盤
13 通信負荷設備 14 既設蓄電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を整流器により直流電源に変換するとともにバックアップ用の蓄電池に常時充電する、既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機、仮設整流器、及びバックアップ用の仮設蓄電池から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられかつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置を設け、当該仮設電源装置の各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置の前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電したのち、既設の直流電源装置を撤去し、新設の直流電源装置を設置し、当該新設の直流電源装置を交流電源及び直流負荷に接続したのち、前記バイパス整流回路の接続を解除し、当該仮設電源装置を撤去することを特徴とする、無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項2】
仮設電源装置の仮設整流器の後に仮設SIDを接続し、バイパス整流回路において、仮設整流器で整流した直流電源を、当該仮設整流器又は仮設SIDで電圧を調整して直流負荷側に直流電源を供給することを特徴とする、請求項1に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項3】
前記仮設蓄電池の選定にあたり、直流負荷側の許容電圧幅、電源ケーブルの電路の電圧降下をパラメータとして蓄電池1セル当たりの放電終止電圧を決定し、これに直流負荷側の必要負荷電流値を考慮して蓄電池容量を決定し、蓄電池タイプ、充電電圧を決定して仮設蓄電池を仮決定し、当該仮設蓄電池が設置スペースに入るものであれば、当該仮設蓄電池を決定するが、当該仮設蓄電池が設置スペースに入らない場合は、前記蓄電池の1セルの容量を大きいものにしてセルの組数を少なくして仮設蓄電池の大きさを前記設置スペースに入るものに選定して仮設蓄電池を決定する、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項4】
仮設蓄電池を決定することにより、当該仮設蓄電池の標準特性表により、容量換算時間Kから当該蓄電池のバックアップ時間を決定し、これが必要バックアップ時間の3倍か否かで、仮設SIDを使用するかどうかを決め、仮設SIDを必要とする場合であって、当該仮設SIDを設置できスペースがある場合は、仮設SIDを用いることとし、仮設SIDを必要とする場合であってもスペースがない場合は、蓄電池容量の増量を検討するが、蓄電池容量の増量のスペースがある場合に増量を決定し、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定することとし、前記蓄電池の増量のスペースがない場合は、既存の電源装置の既存蓄電池を用い、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定することを特徴とする、請求項3に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項5】
仮設整流器の選定にあたり、直流負荷側の必要負荷電流値以上となるように整流ユニット1個の定格電流値及び個数を仮決定し、前記仮設蓄電池の容量において負荷給電時のフル充電が24時間以内であることを条件とし、かつ当該仮設整流器を設置するスペースに合わせて、前記仮設整流器のユニット1個の定格電流及び個数の組み合わせを決定することを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項1】
交流電源を整流器により直流電源に変換するとともにバックアップ用の蓄電池に常時充電する、既設の直流電源装置を新設の直流電源装置に更改する工事において、仮設交流入力分岐遮断機、仮設整流器、及びバックアップ用の仮設蓄電池から成り、これらは当該更改工事に不要な機能を具備せず、夫々独立して設けられかつ夫々着脱自在に電気的に接続された仮設電源装置を設け、当該仮設電源装置の各部材を前記既設の電源装置の近くに設置して、当該仮設電源装置の前記仮設交流入力遮断機に商用交流電源を入力し、これを仮設整流器に通して直流負荷側に直流電源を供給し、かつ前記仮設整流器から仮設蓄電池に充電させるバイパス整流回路を設け、当該バイパス整流回路に前記商用交流電源を通電したのち、既設の直流電源装置を撤去し、新設の直流電源装置を設置し、当該新設の直流電源装置を交流電源及び直流負荷に接続したのち、前記バイパス整流回路の接続を解除し、当該仮設電源装置を撤去することを特徴とする、無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項2】
仮設電源装置の仮設整流器の後に仮設SIDを接続し、バイパス整流回路において、仮設整流器で整流した直流電源を、当該仮設整流器又は仮設SIDで電圧を調整して直流負荷側に直流電源を供給することを特徴とする、請求項1に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項3】
前記仮設蓄電池の選定にあたり、直流負荷側の許容電圧幅、電源ケーブルの電路の電圧降下をパラメータとして蓄電池1セル当たりの放電終止電圧を決定し、これに直流負荷側の必要負荷電流値を考慮して蓄電池容量を決定し、蓄電池タイプ、充電電圧を決定して仮設蓄電池を仮決定し、当該仮設蓄電池が設置スペースに入るものであれば、当該仮設蓄電池を決定するが、当該仮設蓄電池が設置スペースに入らない場合は、前記蓄電池の1セルの容量を大きいものにしてセルの組数を少なくして仮設蓄電池の大きさを前記設置スペースに入るものに選定して仮設蓄電池を決定する、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項4】
仮設蓄電池を決定することにより、当該仮設蓄電池の標準特性表により、容量換算時間Kから当該蓄電池のバックアップ時間を決定し、これが必要バックアップ時間の3倍か否かで、仮設SIDを使用するかどうかを決め、仮設SIDを必要とする場合であって、当該仮設SIDを設置できスペースがある場合は、仮設SIDを用いることとし、仮設SIDを必要とする場合であってもスペースがない場合は、蓄電池容量の増量を検討するが、蓄電池容量の増量のスペースがある場合に増量を決定し、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定することとし、前記蓄電池の増量のスペースがない場合は、既存の電源装置の既存蓄電池を用い、再度、蓄電池容量、蓄電池の充電電圧を決定することを特徴とする、請求項3に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【請求項5】
仮設整流器の選定にあたり、直流負荷側の必要負荷電流値以上となるように整流ユニット1個の定格電流値及び個数を仮決定し、前記仮設蓄電池の容量において負荷給電時のフル充電が24時間以内であることを条件とし、かつ当該仮設整流器を設置するスペースに合わせて、前記仮設整流器のユニット1個の定格電流及び個数の組み合わせを決定することを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の無停電による直流電源装置の更改工事方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−288428(P2010−288428A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142772(P2009−142772)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
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