説明

無停電電源装置、無停電電源システム、および、無停電電源方法

【課題】 無停電電源装置自身の故障が発生した場合や、あるいは、無停電電源装置の設計ミス、製造ミスの場合の、無停電電源装置の改修交換において、交換前の無停電電源装置の状態記憶手段に格納されたバッテリの状態情報を新しい無停電電源装置に引き継ぐことを可能とする無停電電源装置、および、無停電電源システムを提供することにある。
【解決手段】 バッテリの寿命を判断するための状態情報を記憶するデータメモリ115と、状態情報の外部記憶300への送信、外部記憶300からの受信、データメモリ115への書き込みを制御するマイクロプロセッサ118を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無停電電源装置、無停電電源システム、および、無停電電源方法に関し、特に、バッテリの寿命を管理する機能を有する無停電電源装置、無停電電源システム、および、無停電電源方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータをはじめとする情報機器や情報処理システム、ハブ、ルータをはじめとする通信機器やネットワークシステムの信頼性や運用性を向上させるために種々の手段が考慮されている。無停電電源装置もそのような手段の一つとして効果の著しいもので、電源供給がシステム稼働に必要不可欠であることから、システムの信頼性や運用性の向上に大いに寄与している。
【0003】
このような機能を有する従来の無停電電源装置の基本的構成の一実施例を図7に示す。
図7の無停電電源装置900は、入力端子141を介して得られる商用電源等の一次電源(図示せず)からの交流電力をコンバータ102により所定の直流電力に変換し、蓄積用直流エネルギーとしてバッテリ104に供給(バッテリ104を充電)するとともに、インバータ103で再び所定の交流に逆変換して、この交流電力を出力端子142を介して負荷機器(図示せず)に供給する。
【0004】
上記構成において停電が発生した場合、即ち入力端子141に入力される交流電力が途絶えた場合、コンバータ102から出力される所定の直流電力は絶たれるが、バッテリ104からの直流電力が、インバータ103に供給される。その結果、停電が発生した場合であっても、インバータ103は所定の交流出力電圧Voの交流電力を所定の時間(以降「バッテリ保持時間」と称する)、出力端子142を介して負荷機器に供給することができる。 一方、近年は、このような無停電電源装置に対しメンテナンスフリーの要求や小型化、低価格化の要求が高まり、バッテリ104の密閉化や無停電電源装置の高実装密度化が急速に進行してきた。
【0005】
そこで、バッテリ104として制御弁式鉛蓄電池が使用され、この制御弁式鉛蓄電池を含めた無停電電源装置用部品が無停電電源装置筐体内に高密度に実装されるようになっている。
【0006】
ところで、制御弁式鉛蓄電池に使用される正極板は、鉛合金からなる正極格子に活物質として二酸化鉛が充填されたものであり、充電によって格子体の表面は酸化腐食されて体積が膨張し、活物質の脱落や内部応力の発生をもたらし、格子体の強度を低下させるとともに格子体を伸ばさせる。
【0007】
また一方、電解液中の水分減少が格子体の表面の酸化腐食とともに進行し、結果として制御弁式鉛蓄電池の劣化を進行させ、バッテリ保持時間の短縮をもたらす。
【0008】
通常制御弁式鉛蓄電池は、ある温度までは、設置環境温度が低い方が寿命が長く容量劣化が少なくなり、反対に設置環境温度が高くなると寿命が短く容量劣化が激しくなる。
【0009】
例えば、トリクル充電やフロート充電方式による使用における寿命は、設置環境温度が25℃と35℃では温度差が僅か10℃であるが、35℃における寿命は25℃の約1/2程度になり、所謂10℃2倍則(あるいはアレニウスの法則として知られている化学反応の法則)で劣化が進行する。
【0010】
さらに、制御弁式鉛蓄電池の寿命を過ぎて使用し続けると、容量が極端に少なくなるとともに制御弁式鉛蓄電池の充電電流量の増加と温度上昇の悪循環が生じて熱暴走が発生する、あるいは、漏液が発生し、最悪の場合制御弁式鉛蓄電池から発煙・発火が生じる危険性がある。
【0011】
そこで、無停電電源装置の性能上や安全上のために、制御弁式鉛蓄電池の設置環境温度や充電電圧や充電電流を計測して、制御弁式鉛蓄電池の寿命や劣化程度、あるいは蓄電池性能を検知する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平7−312233号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した従来の特許文献1の技術では、バッテリがそれまで使用されてきた履歴から算出された、バッテリの寿命を判断するための状態情報が無停電電源装置内の状態記憶手段に格納されている。一方、例えば無停電電源装置内部のコンバータやインバータ等の電力半導体素子が破損するといった故障が発生した場合、あるいは、無停電電源装置の設計ミス、製造ミスが判明した場合、無停電電源装置を交換する処置が取られる。無停電電源装置が交換された場合、無停電電源装置の状態記憶手段も変わってしまうため、前記状態情報も失われてしまう。
【0014】
このため、交換前の無停電電源装置の状態記憶手段に格納されていた、バッテリの前記状態情報を交換後の無停電電源装置に引き継ぐことができないという問題点があった。
【0015】
従って、交換時点以後は、これら従来技術で実現される機能の利用をあきらめるか、もしくは、経済性や地球環境保全性への悪影響があることを承知の上で、無停電電源装置900を交換時に制御弁式鉛蓄電池も新品に同時交換しなければならないという問題点があった。
【0016】
本発明の目的は、上述した従来の課題を解決する無停電電源装置、無停電電源システム、および、無停電電源方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の無停電電源装置は、バッテリの寿命を判断するための前記状態情報を記憶する状態記憶手段と、前記状態情報を外部記憶に送信する手段と、前記状態情報を前記外部記憶から受信し、前記状態記憶手段に書き込む手段を有する。
【0018】
本発明の第2の無停電電源装置は、本発明の第1の無停電電源装置であって、前記状態情報を送信する手段を起動させる操作スイッチと、前記状態情報を受信し、前記状態記憶手段に書き込む手段を起動させる操作スイッチとを有する。
【0019】
本発明の第1の無停電電源システムは、本発明の第1、または、2の無停電電源装置と、前記無停電装置が送信した前記状態情報を受信する手段と、前記状態情報を記憶する手段と、前記状態情報を前記無停電電源装置に送信する手段とを有する外部記憶装置とを備えた。
【0020】
本発明の第2の無停電電源システムは、本発明の第1の無停電電源システムであって、外部記憶装置はUSBメモリである。
【0021】
本発明の第3の無停電電源システムは、本発明の第1の無停電電源システムであって、外部記憶装置は携帯端末である。
【0022】
本発明の第4の無停電電源システムは、本発明の第1の無停電電源システムであって、外部記憶装置はリモートに設置された情報処理装置である。
【0023】
本発明の第1の無停電電源方法は、無停電電源装置が、バッテリの寿命を判断するための状態情報を記憶し、前記状態情報を外部記憶装置に送信し、前記状態情報を前記外部記憶装置から受信し、前記状態記憶手段に書き込み、前記外部記憶装置が、前記無停電装置が送信した前記状態情報を受信し、前記状態情報を記憶し、前記状態情報を前記無停電電源装置に送信する。
【0024】
本発明の第2の無停電電源方法は、本発明の第1の無停電電源方法であって、無停電電源装置の操作スイッチが操作されることにより前記状態情報を送信する手段を起動させ、前記状態情報を受信し、前記状態記憶手段に書き込む。
【0025】
本発明の第3の無停電電源方法は、本発明の第1、2の無停電電源方法であって、外部記憶装置はUSBメモリであることを特徴とする無停電電源方法。
【0026】
本発明の第4の無停電電源方法は、本発明の第1、2の無停電電源方法であって、外部記憶装置は携帯端末であることを特徴とする無停電電源方法。
【0027】
本発明の第5の無停電電源方法は、本発明の第1、2の無停電電源方法であって、外部記憶装置はリモートに設置された情報処理装置であることを特徴とする無停電電源方法。
【発明の効果】
【0028】
上述したように、本発明の無停電電源装置、無停電電源システム、および、無停電電源方法は、無停電電源装置自身の故障が発生した場合や、あるいは、無停電電源装置の設計ミス、製造ミスの場合の、無停電電源装置の改修交換において、交換前の無停電電源装置の状態記憶手段に格納された前記状態情報を外部に送信し、交換後の無停電電源装置に外部から前記状態情報を受信し、受信した前記状態情報を状態記憶手段に書き込むことができるようにしたため、新しい無停電電源装置に交換後もバッテリの使用されてきた履歴である前記状態情報を引き継ぐことが可能であるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態は、無停電電源装置100と外部記憶300とを含む。
【0031】
無停電電源装置100は、コンバータ102と、インバータ103と、バッテリ104と、バッテリ電圧検出器105と、バッテリ電流検出器106と、シャント107と、バッテリ温度検出器108と、サーミスタ109と、制御部110と、メモリデータ送受ポート200と、入力端子141と、出力端子142とで構成されている。
【0032】
制御部110は、A/Dコンバータ111と、操作スイッチ112と、表示装置113と、プログラムメモリ114と、データメモリ115と、バッテリ寿命カウンタ116と、入出力インタフェース117と、マイクロプロセッサ118とを有している。
【0033】
入力端子141は、商用電源等の一次電源(図示せず)からの交流電力を入力する。
【0034】
コンバータ102は、入力端子141からの前記交流電力を直流電力に変換する。
【0035】
インバータ103は、コンバータ102からの前記直流電力を交流電力に変換する。
【0036】
出力端子142は、インバータ103からの前記交流電力を負荷機器に接続する。
【0037】
バッテリ104は、コンバータ102からの前記直流電力をシャント107を介して入力とする。
【0038】
バッテリ電圧検出器105は、バッテリ104の電圧Vbvを検出し、出力する。
【0039】
バッテリ電流検出器106は、シャント107からの出力によりバッテリ104の充放電電流を検出し、前記充放電電流に対応する電圧Vbiを出力する。
【0040】
サーミスタ109は、バッテリ104の表面温度を測定する。
【0041】
バッテリ温度検出器108は、サーミスタ109からの出力によりバッテリ104の表面温度を検出し、前記表面温度に対応する電圧Vbtを出力する。
【0042】
A/Dコンバータ111は、バッテリ電圧検出器105とバッテリ電流検出器106とバッテリ温度検出器108から出力されるアナログデータである前記電圧Vbv、前記電圧Vbi、前記電圧Vbtをデジタルデータであるバッテリ電圧値、バッテリ電流値、バッテリ表面温度値に変換する。
【0043】
データメモリ115は、本発明における「状態記憶手段」であり、たとえば、書き込み可能な不揮発性メモリである。データメモリ115は、バッテリ104の設置日時、バッテリ104の後述する状態情報を格納する。
【0044】
プログラムメモリ114は、無停電電源装置100の全体を制御する制御プログラム、各バッテリ平均温度における公知の標準寿命データ、バッテリ保持時間を演算するための公知の標準特性データ等、および、データメモリ115の情報を外部記憶300に対して、書き込み及び読み込みを実行するドライバを格納する。
【0045】
バッテリ寿命カウンタ116は、自身の有する現在時刻と、データメモリ115に格納されている前記設置日時とからバッテリ104設置後の経過時間を演算する。
【0046】
マイクロプロセッサ118は、プログラムメモリ114に格納された前記制御プログラム、前記ドライバを読み出し、実行する。また、マイクロプロセッサ118により実行される前記制御プログラムは、前記標準寿命データ、前記標準特性データ、前記バッテリ電圧値、前記バッテリ電流値、前記バッテリ表面温度値、および、前記経過時間に基づき、前記状態情報を算出し、データメモリ115に格納する。
【0047】
操作スイッチ112は、データメモリ115に格納されている前記状態情報、バッテリ寿命カウンタ116の有する前記現在時刻を液晶等の表示装置113に表示指示するための操作部、前記状態情報の外部記憶300への退避指示するための操作部、前記状態情報の外部記憶300からの復元を指示するための操作部を有する。
【0048】
入出力インタフェース117は、A/Dコンバータ111と、操作スイッチ112と、表示装置113とを前記マイクロプロセッサ118に接続する。
【0049】
メモリデータ送受ポート200は、入出力インタフェース117と、外部記憶300との間を互いに接続する。
【0050】
次に、図2〜図3を参照して、本発明の実施の形態の動作について、具体的な実施例を示して詳細に説明する。
本実施例では、図1における外部記憶300に対応して、USBメモリ301を使用しており、図1におけるメモリデータ送受ポート200は、USBポート201としている。
【0051】
まず、定常時の動作を説明する。
図2の無停電電源装置100は、入力端子141を介して得られる商用電源等の一次電源(図示せず)からの交流電力をコンバータ102により所定の直流電力に変換し、蓄積用直流エネルギーとしてバッテリ104に供給、即ち、バッテリ104を充電するとともに、インバータ103で再び所定の交流に逆変換して、この交流電力を出力端子142を介して負荷機器(図示せず)に供給する。
【0052】
上記構成において停電が発生した場合、即ち入力端子141に入力される交流電力が途絶えた場合、コンバータ102から出力される所定の直流電力は絶たれるが、バッテリ104からの直流電力が、インバータ103に供給される。その結果、停電が発生した場合であっても、インバータ103は所定の交流出力電圧Voの交流電力を所定の時間(以降「バッテリ保持時間」と称する)、出力端子142を介して負荷機器にバッテリバックアップ供給することができる。
【0053】
ところで、バッテリ104として制御弁式鉛蓄電池が一般的に使用されるが、制御弁式鉛蓄電池は使用時間や使用環境温度、放電回数等により性能劣化の程度や寿命が大きく異なっている。そのため、特に重要な負荷機器に無停電電源装置100を使用する場合は、性能、寿命の管理が行われる。例えば、無停電電源装置100は、バッテリ104の表面温度、バッテリ104の電圧、バッテリ104の充放電電流を常時計測する。そして、無停電電源装置100は、前記経過時間、前記表面温度、前記電圧、前記充放電電流に基づき、前記標準寿命データや、前記標準特性データを参照して、実質換算の使用期間に対する残存寿命、残存容量を算出する。そして、無停電電源装置100は、前記残存寿命、前記残存容量を前記状態情報をとしてデータメモリ115に順次更新格納する。
【0054】
具体的な、前記残存寿命の算出の例を説明する。一例として表面温度に基づく前記残存寿命の算出について示す。前記制御プログラムは、算出処理を予め定められた単位時間(u)毎に実行するものとする。まず、前記制御プログラムは、前記標準寿命データを参照して、前記表面温度に対応する標準寿命データ(Lt)を得る。そして、直前の予め定められた単位時間(u)の、Ltに対する割合(u/Lt)を算出する。次に、前記制御プログラムは、前記標準寿命データを参照して、予め定めた標準温度に対応する標準寿命データ(Ls)を得る。そして、前記制御プログラムは、前記割合に基づき、前記直前の予め定められた単位時間(u)を、前記予め定めた標準温度に対応する標準寿命データに変換した時間(Ls×u/Lt)を算出する。次に、前記制御プログラムは、データメモリ115に格納されている前記状態情報から前回の前記残存寿命(Lr)を読み出し、前記変換した時間を減算(Lr−Ls×u/Lt)する。こうして、前記制御プログラムは、現時点の前記残存寿命を算出する。尚、前記残存寿命の初期値は、たとえば、バッテリ104を交換する時に、保守員の指示により、前記制御プログラムが、前記予め定めた標準温度に対応する標準寿命データを前記残存寿命として前記状態情報に格納する。
【0055】
次に、例えば無停電電源装置100にあるコンバータ102の内部やインバータ103の内部に使用する電力半導体素子等が破損するといった無停電電源装置100自身の故障が発生した場合を説明する。
【0056】
図3は、稼働中の無停電電源装置100の交換の必要性が発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
保守員が、USBメモリ301をUSBポート201に接続し、操作スイッチ112を操作して、前記状態情報の退避を指示する(ステップ401)。
【0058】
前記制御プログラムは、操作スイッチ112による前記状態情報の退避指示を検出すると、前記書き込み及び読み込みを実行するドライバを起動する(ステップ402)。前記書き込み及び読み込みを実行するドライバは、データメモリ115に格納されている前記状態情報を読み出し、入出力インタフェース117、USBポート201を介してUSBメモリ301に書き込む(ステップ403)。
【0059】
保守員が、USBメモリ301をUSBポート201から取り外す。続けて保守員が、無停電電源装置100を交換する。さらに続けて、保守員が、交換前無停電電源装置100に搭載されていたバッテリ104を取り外し、交換後無停電電源装置100に再搭載する(ステップ404)。
【0060】
そして、保守員が、USBメモリ301をUSBポート201に接続し、操作スイッチ112を操作して、前記状態情報の復元を指示する(ステップ405)。
【0061】
前記制御プログラムは、操作スイッチ112による前記状態情報の復元指示を検出すると、前記書き込み及び読み込みを実行するドライバを起動する(ステップ406)。前記書き込み及び読み込みを実行するドライバは、USBメモリ301に格納されている前記状態情報を、USBポート201、入出力インタフェース117を介して読み出し、データメモリ115に書き込む(ステップ207)。
【0062】
こうして、交換後の新しい無停電電源装置100のデータメモリ115に、継続使用するバッテリ104の前記状態情報が格納される。つまり、データメモリ115のデータを新しい無停電電源装置100に引き継ぐことが可能となり、これにより故障交換される無停電電源装置100にそれまで使用していたバッテリ104を継続使用することが可能となる。
【0063】
本発明の第1の実施の形態によれば、無停電電源装置100のデータメモリ115に格納された前記状態情報を外部に送信すること、無停電電源装置100に外部から前記状態情報を受信し、受信した前記状態情報をデータメモリ115に書き込むことができるようにしたことにより、無停電電源装置100を交換した場合でも、交換前の無停電電源装置100のデータメモリ115に格納されていたバッテリ104の前記状態情報を引き継ぐことが可能になるという効果を有している。
【0064】
次に本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。本発明の第2の実施の形態においては、本発明の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である図1、図2にあった操作スイッチ112と、表示装置113が無いこと、外部記憶300が携帯端末302になり、RS232Cポート202で接続されることが、本発明の第1の実施の形態と異なる。
【0065】
次に、図4〜図5を参照して、本発明の第2の実施の形態の動作について、具体的な実施例を示して詳細に説明する。
本実施例では、第1の実施の形態と異なる動作について説明する。
【0066】
図3は、稼働中の無停電電源装置100の交換の必要性が発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
保守員が、携帯端末302をRS232Cポート202に接続し、携帯端末302を操作して、前記状態情報の退避を指示する(ステップ401)。
【0068】
前記制御プログラムは、携帯端末302による前記状態情報の退避指示を検出すると、前記書き込み及び読み込みを実行するドライバを起動する(ステップ402)。前記書き込み及び読み込みを実行するドライバは、データメモリ115に格納されている前記状態情報を読み出し、入出力インタフェース117、RS232Cポート202を介して携帯端末302に書き込む(ステップ403)。
【0069】
保守員が、携帯端末302をRS232Cポート202から取り外す。続けて保守員が、無停電電源装置100を交換する。さらに続けて、保守員が、交換前無停電電源装置100に搭載されていたバッテリ104を取り外し、交換後無停電電源装置100に再搭載する(ステップ404)。
【0070】
そして、保守員が、携帯端末302をRS232Cポート202に接続し、携帯端末302を操作して、前記状態情報の復元を指示する(ステップ405)。
【0071】
前記制御プログラムは、携帯端末302による前記状態情報の復元指示を検出すると、前記書き込み及び読み込みを実行するドライバを起動する(ステップ406)。前記書き込み及び読み込みを実行するドライバは、携帯端末302に格納されている前記状態情報を、RS232Cポート202、入出力インタフェース117を介して読み出し、データメモリ115に書き込む(ステップ207)。
【0072】
本発明の第2の実施の形態によれば、外部記憶300として携帯端末302を採用して、表示、操作を携帯端末302上で行うようにしたことにより、無停電電源装置100に操作スイッチ112、表示装置113を持つ必要がないという効果を有している。
【0073】
次に本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0074】
図5は、本発明の第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。本発明の第3の実施の形態の無停電電源装置100は、本発明の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である図4のRS232Cポート202が回線ポート203に、携帯端末302がリモートマシン303に変わっている点が異なる。
【0075】
本発明の第3の実施の形態の動作は、第2の実施の形態の実施例と同じなので省略する。 本発明の第3の実施の形態によれば、外部記憶300としてリモートマシン303を用いるようにしたことにより、例えば保守センタのリモートマシン303を使用すれば、バッテリ104の交換時期の一元管理も容易に可能にすることができるという効果を有している。
【0076】
尚、メモリデータ送受ポート200は、上述した実施例以外のRS−422、IEEE1394、LAN、その他のインタフェース等、無停電電源装置100の具体的実現方法にとって最適なものを選択することが可能である。また、外部記憶300は、上述した実施例以外にサービスプロセッサ、ホストシステム、あるいは、ICカード、その他の記憶手段のいずれを選択しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は無停電電源装置に関し、特に、コンピュータをはじめとする情報機器や情報処理システム、ハブ、ルータをはじめとする通信機器やネットワークシステムに使用される無停電電源装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施の形態における、実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における、稼働中の無停電電源装置100の交換の必要性が発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2、第3の実施の形態における、稼働中の無停電電源装置100の交換の必要性が発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図7】従来技術の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0079】
100 無停電電源装置
102 コンバータ
103 インバータ
104 バッテリ
105 バッテリ電圧検出器
106 バッテリ電流検出器
107 シャント
108 バッテリ温度検出器
109 サーミスタ
110 制御部
111 A/Dコンバータ
112 操作スイッチ
113 表示装置
114 プログラムメモリ
115 データメモリ
116 バッテリ寿命カウンタ
117 入出力インタフェース
118 マイクロプロセッサ
141 入力端子
142 出力端子
200 メモリデータ送受ポート
201 USBポート
202 RS232Cポート
203 回線ポート
300 外部記憶
301 USBメモリ
302 携帯端末
303 リモートマシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの寿命を判断するための状態情報を記憶する状態記憶手段と、前記状態情報を外部記憶に送信する手段と、前記状態情報を前記外部記憶から受信し、前記状態記憶手段に書き込む手段を有することを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
請求項1の無停電電源装置であって、前記状態情報を送信する手段を起動させる操作スイッチと、前記状態情報を受信し、前記状態記憶手段に書き込む手段を起動させる操作スイッチとを有することを特徴とする無停電電源装置。
【請求項3】
請求項1、または、2の無停電電源装置と、前記無停電装置が送信した前記状態情報を受信する手段と、前記状態情報を記憶する手段と、前記状態情報を前記無停電電源装置に送信する手段とを有する外部記憶装置とを備えたことを特徴とする無停電電源システム。
【請求項4】
請求項3の無停電電源システムであって、外部記憶装置はUSBメモリであることを特徴とする無停電電源システム。
【請求項5】
請求項3の無停電電源システムであって、外部記憶装置は携帯端末であることを特徴とする無停電電源システム。
【請求項6】
請求項3の無停電電源システムであって、外部記憶装置はリモートに設置された情報処理装置であることを特徴とする無停電電源システム。
【請求項7】
無停電電源装置が、バッテリの寿命を判断するための状態情報を記憶し、前記状態情報を外部記憶装置に送信し、前記状態情報を前記外部記憶装置から受信し、前記状態記憶手段に書き込み、前記外部記憶装置が、前記無停電装置が送信した前記状態情報を受信し、前記状態情報を記憶し、前記状態情報を前記無停電電源装置に送信することを特徴とする無停電電源方法。
【請求項8】
請求項7の無停電電源方法であって、無停電電源装置の操作スイッチが操作されることにより前記状態情報を送信する手段を起動させ、前記状態情報を受信し、前記状態記憶手段に書き込むことを特徴とする無停電電源方法。
【請求項9】
請求項7、8の無停電電源方法であって、外部記憶装置はUSBメモリであることを特徴とする無停電電源方法。
【請求項10】
請求項7、8の無停電電源方法であって、外部記憶装置は携帯端末であることを特徴とする無停電電源方法。
【請求項11】
請求項7、8の無停電電源方法であって、外部記憶装置はリモートに設置された情報処理装置であることを特徴とする無停電電源方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−236974(P2008−236974A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76393(P2007−76393)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】