説明

無停電電源装置、電源処理方法および電源処理プログラム

【課題】 製造不良に起因するものを含めた二次電池の熱逸走を防止すると共に、熱逸走によるシステムの信頼性や運用性の低下を防止する。
【解決手段】 無停電電源装置は、入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池と、前記二次電池の温度を測定する測定手段と、前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する充電停止手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置、電源処理方法および電源処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを含む電子機器や、情報処理システム、ハブおよびルータを含む通信機器や、ネットワークシステム等の、信頼性および運用性を向上するために、様々な手段が考慮されている。そのような手段の1つとして効果の著しいものに、無停電電源装置がある。機器およびシステムの稼働には電源供給が必要不可欠であるため、無停電電源装置は、機器およびシステムの信頼性や運用性の向上に大いに寄与している。
【0003】
無停電電源装置は、バッテリを有しているので、入力される交流電源が停電となった場合にも、バッテリに蓄えられた電力を電子機器に供給することができる。したがって、無停電電源装置は、停電時間が短い場合、停電が復旧するまで電子機器に電力を供給することができる。一方、停電時間が長い場合、無停電電源装置は、バッテリの電力量を考慮した上で、電子機器の動作を再開できる状態で停止する(シャットダウンする)こともできる。
【0004】
無停電電源装置のバッテリとして、メンテナンスフリー化、小型化、低価格化等の要求が高まっていることから、制御弁式鉛蓄電池が広く使用されている。
【0005】
制御弁式鉛蓄電池は、正極板に二酸化鉛を、負極板に海綿状の鉛を、電解液に希硫酸を、それぞれ用いた二次電池である。制御弁式鉛蓄電池は、正極、負極の双方から電解液中に硫酸イオンが移動することにより充電され、電解液中の硫酸イオンが正極、負極の双方に移動することにより放電する。
【0006】
制御弁式鉛蓄電池が充電されるとき、該電池および周辺の温度が上昇し、それにより充電電流が増加する。これは、充電されるときの電解液の分解により正極において酸素発生量が増大することと、密閉反応効率の向上に伴い負極において酸素吸収反応速度が増加することとの相乗効果により起こるものである。この反応熱と充電電流の増加に伴うジュール熱の発生速度が、バッテリの熱拡散速度よりも大きくなると、バッテリ温度が周囲温度以上に上昇する。そして、さらにバッテリ温度が上昇し、充電電流が増加するという悪循環が起こる。
【0007】
これは、「熱逸走」と呼ばれる現象である。熱逸走が起こると、バッテリの内部温度および内圧が上昇し、バッテリの安全弁機能により開弁し、開弁によりガスが放出され、その結果電解液が減少し、それによる内部抵抗の異常増加に伴って充電電流が減少する。その結果、熱逸走が収束する。熱逸走が発生すると、バッテリの保持時間がなくなることによりバッテリ性能が喪失したり、バッテリから発煙が発生したり、バッテリ電槽が熱変形したりするといった不都合が生じる。
【0008】
例えば、特許文献1に、熱逸走を防止する手段が記載される。特許文献1は、負極板の水素過電圧を高くすることによりフロート充電中の正極のガス発生量を低減し、さらにその効果の持続性を高めることにより、バッテリが熱逸走するのを防止することを記載する。
【0009】
また、特許文献2は、部分充放電が常時行われることによる二次電池の劣化を防ぎ、信頼性を持って維持しうる電源装置を開示する。
【0010】
また、特許文献3は、高温時の充電による二次電池の劣化を抑え、また周囲の環境に対応して充電電流を制御して充電を行う二次電池の充電装置を持つ無停電電源装置を記載する。
【0011】
また、特許文献4は、複数のバッテリの並列接続でなるバッテリ群を無停電電源装置に組み込んで充放電を繰り返す際に、異常を生じたバッテリを素早く且つ確実に検出することを記載する。
【0012】
ところで、バッテリは、通常、1個あたり2[V]のセル(単電池)を複数個直列に接続して構成される。例えば、6個のセルを直列に接続した12[V]のバッテリや、12個のセルを直列に接続した24[V]のバッテリ等が使われる。
【0013】
セルは、正極板、負極板およびセパレータを備える。セルは、製造上において一定の確率で電極格子の機械的欠陥(バリやゆがみ)あるいは異物混入等の製造不良が発生する。このような欠陥を持つセルは、長時間使用される間にセパレータが貫通され、電極間短絡が発生する場合がある。その結果、正常なセルが過電圧状態になる。
【0014】
これにより、充電電流の増加、ジュール熱の増加、温度上昇による電極部の化学反応速度の増加が生じ、そしてさらなる充電電流の増加、ジュール熱の増加が生じるという悪循環、すなわち熱逸走が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−117856号公報
【特許文献2】特開2003−018761号公報
【特許文献3】特開2006−203978号公報
【特許文献4】特開平4−281339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に記載の熱逸走防止手段では、熱逸走に至る危険性を抑制できても、上記原因による熱逸走を防止できないという課題がある。
【0017】
また、特許文献2には、電池容量が減少する毎に随時に行われる充電モードでは、満充電以前に充電を停止して二次電池の劣化を防止することは記載されるが、無停電電源装置の動作中に起こる熱逸走を防止することは記載されていない。
【0018】
また、特許文献3には、二次電池がある温度以上であるときに充電による劣化が大きいと判断して、充電を停止することは記載されるが、無停電電源装置の動作中に起こる熱逸走を防止することは記載されていない。
【0019】
また、特許文献4には、バッテリ中の最大充電電流が所定値を越えたことから、または最大充電電流と最小充電電流との差が所定値を超えたことから、バッテリ異常を検出することは記載されるが、無停電電源装置の動作中に起こる熱逸走を防止することは記載されていない。
【0020】
本願発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、製造不良に起因するものを含めた二次電池の熱逸走を防止すると共に、熱逸走によるシステムの信頼性や運用性の低下を防止する無停電電源装置、電源処理方法および電源処理プログラムを提供することを主要な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る無停電電源装置は、入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池と、二次電池の温度を測定する測定手段と、測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、温度変化率が熱逸走判定値以上である場合、二次電池への充電電流の供給を停止する充電停止手段とを備える。
【0022】
本発明に係る電源処理方法は、入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池の温度を測定し、測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、温度変化率が熱逸走判定値以上である場合、二次電池への充電電流の供給を停止することを備える。
【0023】
なお同目的は、上記の各構成を有する無停電電源装置、並びに電源処理方法を、コンピュータによって実現するコンピュータ・プログラム、およびそのコンピュータ・プログラムが格納されている、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体によっても達成される。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によれば、製造不良に起因するものを含めた二次電池の熱逸走を防止すると共に、熱逸走によるシステムの信頼性や運用性の低下を防止することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る無停電電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る無停電電源装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の実施形態
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、無停電電源装置100は、二次電池101、測定部102および充電停止部103を備える。
【0028】
二次電池101は、入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる。測定部102は、二次電池の温度を測定する。充電停止部103は、測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、温度変化率が熱逸走判定値以上である場合、二次電池101への充電電流の供給を停止する。
【0029】
二次電池101は、以下に示す各実施形態のバッテリに相当し、入力電源は、同じく商用電源等、入力端子、コンバータに相当する。また、測定部102は同じくサーミスタ、バッテリ温度検出器、A/D(Analog/Digital)コンバータに相当し、充電停止部103は、同じくスイッチ、プロセッサ、スイッチ開閉駆動部に相当する。
【0030】
以上のように、第1の実施形態によれば、無停電電源装置100は、上記構成を有するので、製造不良に起因するものを含めた二次電池の熱逸走を防止すると共に、熱逸走によるシステムの信頼性や運用性の低下を防止する効果が得られる。
【0031】
第2の実施形態
図2は、本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、無停電電源装置10は、コンバータ11、インバータ12、スイッチ13、バッテリ14、サーミスタ15、バッテリ温度検出器16、制御部17、入力端子Aおよび出力端子Bを備える。
【0032】
制御部17は、A/Dコンバータ21、スイッチ開閉駆動部22、バッテリ異常通知部23、プロセッサ24および記憶部25を備える。
【0033】
図2に示すように、コンバータ11は、入力端子Aに接続される。コンバータ11とインバータ12は、互いに接続される。インバータ12は、出力端子Bに接続される。
【0034】
入力端子Aは、商用電源等の入力電源(図示せず)から交流電力を入力する。コンバータ11は、入力端子Aが入力した交流電力を直流電力に変換する。インバータ12は、コンバータ11から出力される直流電力を、所定の交流電力に変換する。出力端子Bは、インバータ12から出力される交流電力を、接続される負荷機器(図示せず)に供給する。
【0035】
コンバータ11およびインバータ12の間に、スイッチ13およびバッテリ14が接続される。スイッチ13は、バッテリ14をコンバータ11およびインバータ12に接続したり切り離したりする。サーミスタ15は、バッテリ14の表面温度または雰囲気温度(以降、バッテリ温度と称する)を測定する。バッテリ温度検出器16は、サーミスタ15が測定したデータを取得する。制御部17は、バッテリ温度検出器16からのデータを取得する。
【0036】
バッテリ14は、コンバータ11から出力される直流電力を、スイッチ13を介して入力する。この直流電流によりバッテリ14は充電される。サーミスタ15は、バッテリ温度を測定し、バッテリ温度検出器16は、サーミスタ15から取得したバッテリ温度に対応する電圧値Vbtを算出すると共に、それを制御部17に供給する。
【0037】
制御部17の記憶部25は、コンピュータ(ソフトウエア)・プログラム(以下、プログラムと称する)、データ等を保持する、読み書き可能な一時メモリまたはハードディスク装置等の不揮発性の記憶デバイス(記憶媒体)である。記憶部25は、無停電電源装置10の電源が切断された場合にもその内容を保持する。記憶部25は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、電池等により電源をバックアップされたRAM(Random Access Memory)により実現できる。ただし、設定情報やデータはROM以外の記憶手段に格納される。
【0038】
記憶部25に格納されるプログラムは、後述する熱逸走の検出およびバッテリ14の保護動作を実行するプログラムと、その他公知の無停電電源装置10の動作を実行するプログラムを含む。
【0039】
A/Dコンバータ21は、バッテリ温度検出器16から取得するアナログデータである電圧値Vbtをデジタルデータであるバッテリ温度Tbに変換すると共に、そのバッテリ温度Tbをプロセッサ24に供給する。
【0040】
プロセッサ24は、記憶部25からプログラムを読み出すと共に実行することにより、制御部17の動作を司る。本実施形態および他の実施形態において、プロセッサ24は、記憶部25を適宜参照しながら、制御部17が備える各機能(各部)のプログラムを実行する。
【0041】
具体的には、プロセッサ24は、記憶部25を適宜参照しながら、制御部17が備えるスイッチ開閉駆動部22およびバッテリ異常通知部23のプログラムを実行する。
【0042】
プロセッサ24は、プログラムの実行の結果、熱逸走を検出すると、スイッチ開閉駆動部22およびバッテリ異常通知部23に、熱逸走が発生したことを含む情報(熱逸走情報)を通知する。
【0043】
スイッチ開閉駆動部22は、プロセッサ24から熱逸走情報を取得すると、スイッチ13を「閉」状態から「開」状態にする。すなわち、スイッチ開閉駆動部22は、バッテリ14をコンバータ11から切り離すことにより、バッテリ14に対する充電を停止する。なお、スイッチ13は、通常は「閉」状態である。
【0044】
バッテリ異常通知部23は、プロセッサ24の熱逸走情報を取得すると、バッテリ異常を知らせる異常ランプ(図示せず)を点灯させたり、バッテリ異常を知らせるブザー(図示せず)を鳴動させたり、バッテリ異常を負荷機器(図示せず)や監視装置(図示せず)に通知したりする。これにより、無停電電源装置10は、バッテリに異常が発生したことを管理者等に知らせる。
【0045】
図2に示す無停電電源装置10には、充電回路を記載していないが、充電電圧を安定に保ったり、過充電を防止したりする公知の充電回路を備えることが望ましい。
【0046】
定常時、無停電電源装置10は、入力端子Aを介して得られる商用電源等の入力電源からの交流電力を、コンバータ11により所定の直流電力に変換する。コンバータ11により生成された蓄積用直流エネルギーは、スイッチ13を介してバッテリ14に供給される。これによりバッテリ14は充電される。蓄積用直流エネルギーはまた、インバータ12に入力され、インバータ12により再び所定の交流に変換される。この交流電力は、出力端子Bを介して負荷機器(図示せず)に供給される。
【0047】
停電が発生したとき、すなわち、入力端子Aに入力される交流電力が途絶えたとき、コンバータ11から出力される所定の直流電力は絶たれる。そして、バッテリ14から直流電力がインバータ12に供給される。インバータ12は、バッテリ14から取得した直流電力を所定の交流電力に変換して、出力端子Bを介して負荷機器に供給する。その結果、無停電電源装置10は、停電が発生したときにも、所定の出力の交流電力を、所定の時間(以降「バッテリ保持時間」と称する)、出力端子Bを介して負荷機器に供給できる。
【0048】
停電が回復(復電)したとき、無停電電源装置10は、入力端子Aを介して得られる商用電源等の入力電源からの交流電力をコンバータ11により所定の直流電力に変換し、コンバータ11により生成された蓄積用直流エネルギーは、スイッチ13を介してバッテリ14に供給される。これによりバッテリ14は充電される。
【0049】
図3は、無停電電源装置10の動作を示すフローチャートである。図3を参照して、無停電電源装置10のバッテリ14の熱逸走の検出およびバッテリ14の保護動作を説明する。
【0050】
無停電電源装置10の作動中、サーミスタ15は常時バッテリ14のバッテリ温度を測定し、測定した値をバッテリ温度検出器16に供給する。バッテリ温度検出器16は、取得したバッテリ温度を、それに対応する電圧値Vbtに変換する。そして、バッテリ温度検出器16は、電圧値VbtをA/Dコンバータ21に供給する。
【0051】
A/Dコンバータ21は、バッテリ温度検出器16から取得するアナログデータである電圧値Vbtをデジタルデータであるバッテリ温度Tbに変換すると共に、そのバッテリ温度Tbをプロセッサ24に供給する。
【0052】
プロセッサ24は、A/Dコンバータ21からバッテリ温度Tbを取得する(ステップS201)。例えば、プロセッサ24は、バッテリ温度Tbを1秒間隔で5回サンプリングし、その最大値と最小値を切り捨て3回分の値の平均をバッテリ温度Tbとしてもよい。
【0053】
続いて、プロセッサ24は、内蔵タイマ(図示せず)をスタートさせ、1分間を計測する(ステップS202)。1分経過すると、プロセッサ24は、再びステップS201と同じ手順によりバッテリ温度Tbを取得する(ステップS203)。プロセッサ24は、取得したバッテリ温度Tbに基づいて、単位時間を1分とするバッテリ温度変化率dTb/dtを次の(式1)にしたがって算出する(ステップS204)。
【0054】
(式1) dTb/dt=(現在の温度)−(1分前の温度)
ここで、バッテリ温度変化率とは、バッテリ温度の上昇率を意味する。続いて、プロセッサ24は、バッテリ14のバッテリ温度変化率dTb/dtが、熱逸走判定値A以上である(または熱逸走判定値Aより大きい)か否かを判定する(ステップS205)。ここで、熱逸走判定値Aは、熱逸走が発生しているか否かを判定するための判定値であり、無停電電源装置10のバッテリ14の大きさ(容量)、組み合わせて用いるバッテリの個数、配列方法等に基づいて予め最適値が決定される。
【0055】
プロセッサ24は、バッテリ14のバッテリ温度変化率dTb/dtが、熱逸走判定値Aより小さい(または熱逸走判定値A以下の)場合は、熱逸走が発生していないと判定し、処理をステップS202に戻す。
【0056】
一方、プロセッサ24は、ステップS205においてバッテリ14のバッテリ温度変化率dTb/dtが熱逸走判定値A以上である(または熱逸走判定値Aより大きい)と判定した場合、熱逸走が発生したと判断すると共に、バッテリ解放フラグをオンする(ステップS206)。バッテリ解放フラグとは、プロセッサ24が内部に保持するフラグである。
【0057】
プロセッサ24は、バッテリ解放フラグをオンにすると、スイッチ開閉駆動部22に対してスイッチ13をオフ(開)にすることを指示するとともに、バッテリ異常通知部23に対してバッテリに熱逸走が発生したことを示す情報を含む熱逸走情報を供給する。
【0058】
スイッチ開閉駆動部22は、上記指示に応答してスイッチ13をオフ(開)にする。これにより、バッテリ14はコンバータ11から切り離されるので、バッテリ14への充電は停止される。したがって、バッテリ温度の上昇により発生する熱逸走は収束の方向へ向かう。
【0059】
また、バッテリ異常通知部23は、プロセッサ24からの熱逸走情報に応答して、バッテリ異常を知らせる異常ランプを点灯させたり、バッテリ異常を知らせるブザーを鳴動させたり、バッテリ異常を負荷機器や監視装置にバッテリ異常を通知する。これにより、無停電電源装置10は、バッテリに異常が発生したことを管理者等に知らせることができる。
【0060】
以上のように、第2の実施形態によれば、無停電電源装置10のバッテリ14の温度をサーミスタ15が測定し、プロセッサ24がその測定値に基づいてバッテリ温度変化率dTb/dtを算出し、バッテリ温度変化率dTb/dtが熱逸走判定値以上である場合は、スイッチ開閉駆動部22がスイッチ13を「開」にする。これにより、バッテリ14がコンバータ11から切り離されるので、バッテリ14のバッテリ温度の上昇を停止できると共に、熱逸走を収束することができる。したがって、製造不良に起因するものを含めた二次電池の熱逸走を防止すると共に、熱逸走によるシステムの信頼性や運用性の低下を防止することができるという効果が得られる。
【0061】
第3の実施形態
図4は、本発明の第3の実施形態に係る無停電電源装置10の動作を示すフローチャートである。図4を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0062】
図4に示す無停電電源装置10の動作は、上記第2の実施形態において説明した図3に示す動作に、さらにステップS302とステップS305を備える。熱逸走に至る可能性のあるバッテリ温度は、バッテリの種類に依存するものの、一般的には40℃から50℃以上である。このため、プロセッサ24は、ステップS302において、ステップS301で測定されたバッテリ温度Tbが、40℃以上か否かを判定し、40℃以上でない場合は熱逸走は発生していないと判断し、バッテリ温度の監視動作であるステップS303からステップS308を実行しない。これにより、プロセッサ24の負荷を軽減できる。
【0063】
また、一般的にバッテリ温度が70℃以上の場合は熱逸走が発生していると考えられる。このため、プロセッサ24は、ステップS305において、ステップS304で測定したバッテリ温度Tbが、70℃以上であるか否かを判定し、70℃以上である場合は熱逸走が発生していると判断する。そして、プロセッサ24は、ステップS306、S307における温度上昇率の確認動作を行うことなく、ステップS308においてバッテリを解放する。なお、ステップS302、ステップS305における判定温度は、適切に選択および変更されてよい。
【0064】
以上のように、第3の実施形態によれば、無停電電源装置10のプロセッサ24は、バッテリ温度が、熱逸走が発生していないと判断される温度である第1の基準値未満である場合はバッテリ温度の監視動作やバッテリの解放動作は行わない。一方、プロセッサ24は、バッテリ温度が、熱逸走が発生していると判断される温度である第2の基準値以上である場合はバッテリの温度上昇率の確認動作を行うことなくバッテリを解放する。これにより、プロセッサ24の負荷を軽減できるという効果が得られる。
【0065】
第4の実施形態
図5は、本発明の第4の実施形態に係る無停電電源装置30の構成を示すブロック図である。図5に示すように、無停電電源装置30は、第2の実施形態と同様に、コンバータ11、インバータ12、入力端子Aおよび出力端子Bを備える。
【0066】
また、本実施形態では、第2の実施形態において説明した無停電電源装置10の、スイッチ13、バッテリ14、サーミスタ15、バッテリ温度検出器16およびA/Dコンバータ21を、3つずつ備える。
【0067】
具体的には、無停電電源装置30は、コンバータ11とインバータ12との間に接続されたスイッチ13a、13b、13cを備える。また、スイッチ13a、13b、13cにそれぞれ接続されたバッテリ収容器18a、18b、18cを備える。
【0068】
バッテリ収容器18aには、バッテリ14a、サーミスタ15a、バッテリ温度検出器16aが収容される。同様に、バッテリ収容器18bには、バッテリ14b、サーミスタ15b、バッテリ温度検出器16bが、バッテリ収容器18cには、バッテリ14c、サーミスタ15c、バッテリ温度検出器16cが、それぞれ収容される。
【0069】
制御部17aは、A/Dコンバータ21a、21b、21c、プロセッサ24a、スイッチ開閉駆動部22a、バッテリ異常通知部23aおよび記憶部25aを備える。
【0070】
無停電電源装置30は、バッテリ収容器およびその内部のバッテリ、サーミスタ、バッテリ温度検出器を、それぞれ3つ備えることを記載しているが、2つ備えても、4つ以上備えてもよい。また、無停電電源装置30は、バッテリ収容器を内部に備えても、外部に備えてもよい。
【0071】
上記各構成要素は、第2の実施形態で説明した動作と同様の動作を行う。プロセッサ24aは、A/Dコンバータ21a、21b、21cからバッテリ温度Tbを取得し、第2の実施形態と同様に熱逸走が発生しているか否かを判定する。プロセッサ24aは、バッテリ14a、14b、14cのうちいずれかで熱逸走が発生したと判定したとすると、熱逸走が発生しているバッテリをスイッチ開閉駆動部22aに知らせる。
【0072】
スイッチ開閉駆動部22aは、通知されたバッテリに接続されるスイッチのみをオフ(開)にする。すなわち、スイッチ開閉駆動部22aは、熱逸走が発生したバッテリのみをコンバータ11から切り離すことにより、該バッテリに対する充電を停止する。これにより、無停電電源装置30は、熱逸走が発生したバッテリのみ充電を停止すると共に、熱逸走が発生していないバッテリの使用を継続できるので、全体のバッテリの保持時間は短縮されるものの、継続的に運転できる。
【0073】
以上のように、第4の実施形態によれば、無停電電源装置30は、複数のバッテリを備え、スイッチ開閉駆動部22aは、複数のバッテリのうち熱逸走が発生したバッテリへの充電のみを停止する。この構成により、熱逸走が発生していないバッテリの使用を継続できるので、第2の実施形態において述べた効果に加えて、継続的に運転できるという効果が得られる。
【0074】
第5の実施形態
図6は、本発明の第5の実施形態に係る無停電電源装置40の構成を示すブロック図である。図6に示すように、無停電電源装置40は、第2の実施形態に示した無停電電源装置10の各構成に加えて、サーミスタ41、周囲温度検出器42およびA/Dコンバータ43を備える。無停電電源装置40は、屋外に可搬されることが可能なタイプの装置である。
【0075】
サーミスタ41は、無停電電源装置40の周囲温度を測定する。周囲温度とは、無停電電源装置40が設置される環境の温度であり、バッテリ14の温度変化の影響を受けない温度である。周囲温度検出器42は、サーミスタ41が測定した周囲温度を取得すると共に、該周辺温度に対応する電圧値Vatを算出する。周囲温度検出器42は、電圧値VatをA/Dコンバータ43に供給する。A/Dコンバータ43は、周囲温度検出器42から取得するアナログデータである電圧値Vatをデジタルデータである周囲温度Taに変換すると共に、その周囲温度Taをプロセッサ24bに供給する。
【0076】
プロセッサ24bは、A/Dコンバータ43およびA/Dコンバータ21から取得する周囲温度Taおよびバッテリ温度Tbに基づいて、熱逸走が発生しているか否かの判定を行う。
【0077】
図7は、本発明の第5の実施形態に係る無停電電源装置40の動作を示すフローチャートである。図7を参照して、本発明の第5の実施形態に係る無停電電源装置40の動作を説明する。
【0078】
無停電電源装置40の作動中、サーミスタ15は常時バッテリ14のバッテリ温度を測定し、測定した値をバッテリ温度検出器16に供給する。また、サーミスタ41は無停電電源装置40の設置された環境の周囲温度を測定し、測定した値を周囲温度検出器42に供給する。
【0079】
プロセッサ24bは、A/Dコンバータ43を介して周囲温度Taを取得すると共に、A/Dコンバータ21を介してバッテリ温度Tbを取得する(ステップS401)。
【0080】
続いて、プロセッサ24bは、内蔵タイマをスタートさせ、1分間を計測し(ステップS402)、1分経過すると、再び周囲温度Taおよびバッテリ温度Tbを取得する(ステップS403)。続いて、プロセッサ24bは、取得したバッテリ温度Tbと周囲温度Taとの温度差を算出する(ステップS404)。
【0081】
続いてプロセッサ24bは、算出した温度差に基づいて、単位時間を1分とする温度差変化率dT/dtを次の(式2)にしたがって算出する(ステップS405)。
【0082】
(式2) dT/dt=(現在の温度差)−(1分前の温度差)
ここで、温度差変化率とは、温度差の上昇率を意味する。続いて、プロセッサ24bは、バッテリ14の温度差変化率dT/dtが、熱逸走判定値B以上である(または熱逸走判定値Bより大きい)か否かを判定する(ステップS406)。ここで、熱逸走判定値Bは、熱逸走が発生しているか否かを判定するための判定値であり、無停電電源装置40のバッテリ14の大きさ(容量)、組み合わせて用いるバッテリの個数、配列方法、あるいは無停電電源装置40の設置環境等に基づいて予め最適値が決定される。
【0083】
プロセッサ24bは、温度差変化率dT/dtが熱逸走判定値Bより小さい(または熱逸走判定値B以下の)場合は、熱逸走が発生していないと判定し、処理をステップS402に戻す。
【0084】
一方、プロセッサ24bは、温度差変化率dT/dtが熱逸走判定値B以上である(または熱逸走判定値Bより大きい)と判定した場合、熱逸走が発生したと判断すると共に、バッテリ解放フラグをオンする(ステップS407)。
【0085】
プロセッサ24bは、バッテリ解放フラグをオンにした後、第2の実施形態において説明した動作と同様の動作を行う。
【0086】
以上のように、第5の実施形態によれば、サーミスタ15および41がそれぞれバッテリ14の温度および周囲温度を測定し、プロセッサ24bがバッテリ温度と周囲温度の温度差に基づいて温度差変化率dT/dtを算出する。温度差変化率dT/dtが熱逸走判定値以上である場合は、スイッチ開閉駆動部22がスイッチ13を「開」にする。これにより、第2の実施形態において述べた効果に加えて、無停電電源装置40が設置された環境の周囲温度の変動による熱逸走の誤検出を防ぐことができるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、例えば無停電電源装置の他、二次電池を備える装置に適用できる。
【0088】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池と、
前記二次電池の温度を測定する測定手段と、
前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する充電停止手段と
を備えた無停電電源装置。
(付記2)
前記充電停止手段は、前記測定された温度と、熱逸走が発生していないと判断される温度である第1の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第1の基準温度未満である場合、前記温度変化率を算出せず、前記充電電流の供給を停止しない
付記1記載の無停電電源装置。
(付記3)
前記充電停止手段は、前記測定された温度と、熱逸走が発生していると判断される温度である第2の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第2の基準温度以上である場合、前記温度変化率を算出することなく、前記充電電流の供給を停止する
付記1または2記載の無停電電源装置。
(付記4)
複数の前記二次電池と、
前記各二次電池の温度を測定する前記測定手段とを備え、
前記充電停止手段は、前記測定された前記各二次電池から算出される温度変化率のうち、前記熱逸走判定値以上の温度変化率が検出された二次電池への充電電流の供給のみを停止する
付記1ないし3のいずれか1項記載の無停電電源装置。
(付記5)
自装置が設置された環境の周囲温度を測定する周囲温度測定手段をさらに備え、
前記充電停止手段は、前記周囲温度と前記二次電池の温度との温度差の単位時間当たりの変化である温度差変化率を算出し、該温度差変化率が、前記熱逸走判定値以上の場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する
付記1ないし4のいずれか1項記載の無停電電源装置。
(付記6)
前記充電停止手段は、前記入力電源と前記二次電池とを接続するスイッチを備え、前記充電電流の供給を停止する際に、前記スイッチにより前記入力電源と前記二次電池とを切り離す
付記1ないし5のいずれか1項記載の無停電電源装置。
(付記7)
入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池の温度を測定し、
前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する
電源処理方法。
(付記8)
前記二次電池の温度が測定された後、該測定された温度と、熱逸走が発生していないと判断される温度である第1の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第1の基準温度未満である場合、前記温度変化率を算出せず、前記充電電流の供給を停止しない
付記7記載の電源処理方法。
(付記9)
前記二次電池の温度が測定された後、該測定された温度と、熱逸走が発生していると判断される温度である第2の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第2の基準温度以上である場合、前記温度変化率を算出することなく、前記充電電流の供給を停止する
付記7または8記載の電源処理方法。
(付記10)
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記測定された複数の前記各二次電池から算出される温度変化率のうち、前記熱逸走判定値以上の温度変化率が検出された二次電池への充電電流の供給のみを停止する
付記7ないし9のいずれか1項記載の電源処理方法。
(付記11)
自装置が設置された環境の周囲温度を測定し、
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記周囲温度と前記二次電池の温度との温度差の単位時間当たりの変化である温度差変化率を算出し、該温度差変化率が、前記熱逸走判定値以上の場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する
付記7ないし10のいずれか1項記載の電源処理方法。
(付記12)
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記入力電源と前記二次電池とを接続するスイッチにより前記入力電源と前記二次電池とを切り離す
付記7ないし11のいずれか1項記載の電源処理方法。
(付記13)
入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池の温度を測定する処理と、
前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する処理とを
コンピュータに実行させる電源処理プログラム。
(付記14)
前記二次電池の温度が測定された後、該測定された温度と、熱逸走が発生していないと判断される温度である第1の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第1の基準温度未満である場合、前記温度変化率を算出せず、前記充電電流の供給を停止しない処理を
コンピュータに実行させる付記13記載の電源処理プログラム。
(付記15)
前記二次電池の温度が測定された後、該測定された温度と、熱逸走が発生していると判断される温度である第2の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第2の基準温度以上である場合、前記温度変化率を算出することなく、前記充電電流の供給を停止する処理を
コンピュータに実行させる付記13または付記14記載の電源処理プログラム。
(付記16)
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記測定された複数の前記各二次電池から算出される温度変化率のうち、前記熱逸走判定値以上の温度変化率が検出された二次電池への充電電流の供給のみを停止する処理を
コンピュータに実行させる付記13ないし付記15のいずれか1項記載の電源処理プログラム。
(付記17)
自装置が設置された環境の周囲温度を測定する処理と、
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記周囲温度と前記二次電池の温度との温度差の単位時間当たりの変化である温度差変化率を算出し、該温度差変化率が、前記熱逸走判定値以上の場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する処理とを
コンピュータに実行させる付記13ないし付記16のいずれか1項記載の電源処理プログラム。
(付記18)
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記入力電源と前記二次電池とを接続するスイッチにより前記入力電源と前記二次電池とを切り離す処理を
コンピュータに実行させる付記13ないし付記17のいずれか1項記載の電源処理プログラム。
【符号の説明】
【0089】
10 無停電電源装置
11 コンバータ
12 インバータ
13 スイッチ
14 バッテリ
15 サーミスタ
16 バッテリ温度検出器
17 制御部
21 A/Dコンバータ
22 スイッチ開閉駆動部
23 バッテリ異常通知部
24 プロセッサ
25 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池と、
前記二次電池の温度を測定する測定手段と、
前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する充電停止手段と
を備えた無停電電源装置。
【請求項2】
前記充電停止手段は、前記測定された温度と、熱逸走が発生していないと判断される温度である第1の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第1の基準温度未満である場合、前記温度変化率を算出せず、前記充電電流の供給を停止しない
請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記充電停止手段は、前記測定された温度と、熱逸走が発生していると判断される温度である第2の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第2の基準温度以上である場合、前記温度変化率を算出することなく、前記充電電流の供給を停止する
請求項1または2記載の無停電電源装置。
【請求項4】
複数の前記二次電池と、
前記各二次電池の温度を測定する前記測定手段とを備え、
前記充電停止手段は、前記測定された前記各二次電池から算出される温度変化率のうち、前記熱逸走判定値以上の温度変化率が検出された二次電池への充電電流の供給のみを停止する
請求項1ないし3のいずれか1項記載の無停電電源装置。
【請求項5】
自装置が設置された環境の周囲温度を測定する周囲温度測定手段をさらに備え、
前記充電停止手段は、前記周囲温度と前記二次電池の温度との温度差の単位時間当たりの変化である温度差変化率を算出し、該温度差変化率が、前記熱逸走判定値以上の場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する
請求項1ないし4のいずれか1項記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記充電停止手段は、前記入力電源と前記二次電池とを接続するスイッチを備え、前記充電電流の供給を停止する際に、前記スイッチにより前記入力電源と前記二次電池とを切り離す
請求項1ないし5のいずれか1項記載の無停電電源装置。
【請求項7】
入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池の温度を測定し、
前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する
電源処理方法。
【請求項8】
前記二次電池の温度が測定された後、該測定された温度と、熱逸走が発生していると判断される温度である第2の基準温度とを比較し、前記測定された温度が前記第2の基準温度以上である場合、前記温度変化率を算出することなく、前記充電電流の供給を停止する
請求項7記載の電源処理方法。
【請求項9】
自装置が設置された環境の周囲温度を測定し、
前記充電電流の供給を停止するに際して、前記周囲温度と前記二次電池の温度との温度差の単位時間当たりの変化である温度差変化率を算出し、該温度差変化率が、前記熱逸走判定値以上の場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する
請求項7または8記載の電源処理方法。
【請求項10】
入力電源の停電に際して、接続された機器への電源の供給源となる二次電池の温度を測定する処理と、
前記測定された温度の単位時間当たりの変化である温度変化率を算出すると共に、該温度変化率が、熱逸走が発生したか否かの判定値である熱逸走判定値以上であるか否かを判定し、前記温度変化率が前記熱逸走判定値以上である場合、前記二次電池への充電電流の供給を停止する処理とを
コンピュータに実行させる電源処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−105431(P2012−105431A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250975(P2010−250975)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】