説明

無差別PAPCD4T細胞エピトープ

本発明は異なるHLA−DR対立遺伝子少なくとも15個に対して無差別(promiscuous)であるヒト前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)蛋白の新規なT細胞エピトープの発見に関する。本発明は又、新規なエピトープの1つ、又はそのようなエピトープと非相同ポリペプチドの融合ペプチドを含有する組成物に関する。更に、エピトープ又はその融合ペプチドの使用、及び、エピトープ又はその融合ペプチドを含有する組成物を本明細書において開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本願は、2006年8月11日に出願された米国仮特許出願第60/837,053号に対する優先権を主張するものであり、米国仮特許出願第60/837,053号の内容はその全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
HLAクラスII制限CD4+ T細胞は細胞性免疫において重要な役割を果たしており、そして抗腫瘍免疫応答の重要な成分である。CD4+ T細胞は腫瘍特異的CTLに対して必要な補助を提供し(非特許文献1)、そしてサイトカイン、例えばインターフェロンガンマ(IFNγ)を生産し、これは抗原提示細胞を活性化し、そして他の免疫学的作用を媒介することができる(非特許文献2)。数種の系における実験の結果は、CD4+ T細胞は有効な抗腫瘍免疫応答のためには必須であることを示している。強い免疫応答を発生させる場合にCD4+ T細胞が重要であることを鑑みれば、最適に設計された癌の免疫療法又は抗腫瘍ワクチンは最大の薬効のために腫瘍特異的CD4+ T細胞及びCD8+ T細胞の両方を誘導するはずである。
【0003】
ヒトの前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)は、前立腺において優勢に発現されているホスファターゼである。PAPの血清レベルの上昇は、しばしば前立腺癌または他の前立腺の状態の患者において観察され、最も高いレベルのPAPは転移した前立腺癌において見出される。加えて、骨疾患(例えば、パジェット病または副甲状腺機能亢進症)、血球の疾患(例えば鎌状赤血球症)、多発性骨髄腫、またはリソソーム蓄積症(例えば、ゴーシェ病)が中程度に上昇したPAPのレベルを示す。95%を超える前立腺癌細胞がPAPを発現することから、PAPを標的として用いる、前立腺癌のためのいくつかの免疫治療上の戦略が考案された。例えば、非特許文献3は、患者自身の免疫細胞が収集され、PAPに対して免疫反応性となるように刺激され、そして静脈注射により患者にもどされる臨床研究からの有望な結果を報告した。これらの新しい免疫学的な方法は、T細胞媒介免疫を含むPAP特異的免疫を効果的に誘導し得る。
【0004】
所定のT細胞エピトープの有用性はそのHLA制限により限定される。ペプチドエピトープは典型的にはHLA対立遺伝子の少数と生産的ペプチド−MHC複合体を形成し、これらの対立遺伝子を発現する個体においてのみT細胞応答を刺激する。このことは免疫学的試験及び臨床治験を特定のHLA型の個体に限定するものであり、それは一般的集団の20%未満である場合が多い。HLA対立遺伝子の多数により提示され得る、いわゆる無差別(promiscuous)T細胞エピトープが数種の腫瘍抗原に関して報告されている。無差別T細胞エピトープは複数のHLA対立遺伝子に結合して抗原特異的T細胞を刺激することができ、これにより異なるHLA型の個体におけるT細胞応答の誘導及び試験を可能にする。更に又、無差別エピトープは、これらのエピトープに基づいた免疫療法及びワクチンが癌の治療及び予防のために一般的集団に対して広範に適用できるため、価値あるものである。即ち、PAPを含む腫瘍抗原の以前は未知であった無差別エピトープに関連する新しい情報が必要とされていることは明らかである。
【0005】
本発明者等はヒトPAP蛋白配列における一連の新規無差別T細胞エピトープを発見した。該PAP蛋白の257〜271の領域を含むこれらのエピトープは、HLA−DRの関連においてCD4+ T細胞クローン(PAPc66)により認識され、そして少なくとも15種の異なるHLA−DRβ1対立遺伝子の抗原提示細胞により提示される場合、T細胞活性化を誘導することが可能である。異なるHLA−DRβ1対立遺伝子に対するこれらのエピトープの無差別性は、これらのエピトープを患者のHLA型に関係なくPAP特異的免疫応答を評価するための価値ある手段としている。更に又、これらのエピトープはPAP+前立腺癌の治療のためのペプチド系ワクチン又は免疫療法においてユニバーサルなCD4Tヘルパー細胞エピトープとして使用できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Topalian,1994.Curr Opin Immunol 6:741−745
【非特許文献2】Corthay等、2005.Immunity 22:371−383
【非特許文献3】Cancer Biology and Therapy (march 2005,vol.4.issue 3)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はPAP特異的T細胞応答を誘導するための多くの異なる種類のHLA対立遺伝子の抗原提示細胞により提示することができる新しいPAPエピトープについて記載する。第1の態様において、本発明はヒトPAP蛋白配列から得られたセグメント(残基257〜271、即ち配列番号1)を含む15〜18アミノ酸の単離されたペプチドを提供する。好ましくは、該ペプチドは、ヒトPAP蛋白配列の254〜274セグメントに対応する配列番号2の15〜18の連続したアミノ酸からなる。より好ましくは、該ペプチドは、配列番号1中に規定された配列を有す。同様に非相同ポリペプチドに融合したPAP由来ペプチドを含む融合産物も提供される。一部の場合においては、ペプチドはペプチド結合を介して非相同ポリペプチドに融合され、これにより融合産物は本質的に組み換え融合蛋白となる。
【0008】
好ましくは、PAP配列から得られた単離されたペプチド又はその融合産物は、少なくとも10種の異なるHLA−DR対立遺伝子、より好ましくは少なくとも11、12、13、14、15、又はそれ以上の異なる種類のHLA−DR対立遺伝子の抗原提示細胞により提示された場合に、PAP蛋白に特異的なT細胞免疫応答を誘導することができる。
【0009】
一部の実施形態においては、HLA−DR対立遺伝子は0101、0102、0103、1503、160201、0301、0302、0401、0402、040301、040501、1101、1102、1103、1104、110401、1201、1301、1302、1401、1402、0701、080101、080201及び0901よりなる群から選択される。
【0010】
一部の実施形態においては、PAP由来ペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。別の実施形態においては、非相同ポリペプチドは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。
【0011】
第2の態様において、本発明は上記したPAP由来ペプチド又はPAP由来ペプチドと非相同ポリペプチドをペプチド結合により連結した融合蛋白をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸、核酸を含む発現カセット、及び発現カセットを含む宿主細胞を提供する。
【0012】
一部の場合においては、ポリヌクレオチド配列は配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドをコードする。別の場合においては、ポリヌクレオチド配列は非相同ポリペプチドがGM−CSFである融合蛋白をコードする。
【0013】
一部の実施形態においては、発現カセットは組み換えウィルスベクターである。他の実施形態においては、発現カセットは配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド又は非相同ポリペプチドがGM−CSFである組み換え融合蛋白の発現を指向する。
【0014】
第3の態様において、本発明は上記したPAP由来ペプチド又は非相同ポリペプチドと融合させたペプチドの融合産物を、生理学的に許容される賦形剤とともに含む組成物を提供する。
【0015】
一部の実施形態においては、ペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。別の実施形態においては、非相同ポリペプチドは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。更に別の実施形態においては、組成物は更に抗原提示細胞を含み、これは細胞表面上の主要組織適合性複合体(MHC)分子と複合体を形成するPAP由来ペプチドを有する。
【0016】
第4の態様において、本発明はPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を患者において誘導するための方法を提供する。この方法は上記したPAP由来ペプチド又は非相同ポリペプチドと融合させたペプチドの融合産物、並びに生理学的に許容される賦形剤を含む組成物の有効量を患者に投与する工程を含む。
【0017】
一部の実施形態においては、ペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。別の実施形態においては、非相同ポリペプチドは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。
【0018】
第5の態様において、本発明はPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を患者において検出するための方法を提供する。この方法は以下の工程、即ち(a)患者から抗原提示細胞及びT細胞を得る工程;(b)抗原提示細胞及びT細胞をPAP誘導ペプチド、又は該ペプチドおよび非相同ポリペプチドを含む融合産物に接触させる工程;及び(c)T細胞応答を検出し、ここでT細胞応答の検出は患者におけるPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答の存在を示すものである工程、を含む。
【0019】
一部の実施形態においては、工程(c)はELISPOT、増殖試験、又はフローサイトメトリーにより実施される。別の実施形態においてはPAP誘導ペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】T細胞クローンPAPc66はPAPから天然にプロセスされたエピトープを認識する。(A)PAP融合蛋白PA2024、CHOPA2024およびhPAPGM、ならびにバキュロウィルス発現系(iPAP)および哺乳動物発現系(CHOPAP)由来PAPを、自己EBV−LcLおよびPAPc66を用いて滴定した。分析は10%FBS添加完全RPMI培地中に、1×10細胞/ウェルのPAPc66、2×10細胞/ウェルのEBV−LcL、ならびに50μg/mL(黒のバー)、25μg/mL(ストライプのバー)、および12.5μg/mL(点のバー)の抗原を有す96ウェル丸底プレートにおいて設定した。分析は5%CO下37℃において48時間インキュベートし、上澄みを採取してELISAによりIFNγについて試験した。(B)特定のPAPペプチドをマッピングするため、PAP配列から化学的に合成したペプチドを用いた。これらの94ペプチドは15アミノ酸の長さであって、11アミノ酸が重複しており、自己EBV−LcLおよび分析において2μg/mLの各ペプチドを用いてPAPc66を刺激する能力について個々に試験された。分析は(A)におけるように設定され、そして上澄みがELISAによりIFNγについて試験された。(C)ペプチド#65であるPAP257−271が、(A)におけるような分析設定で自己EBV−LcLおよびPAPc66を用いて滴定された。上澄みが、IFNγ産生に特異的なペプチドついてELISAにより試験された。
【図1B】T細胞クローンPAPc66はPAPから天然にプロセスされたエピトープを認識する。(A)PAP融合蛋白PA2024、CHOPA2024およびhPAPGM、ならびにバキュロウィルス発現系(iPAP)および哺乳動物発現系(CHOPAP)由来PAPを、自己EBV−LcLおよびPAPc66を用いて滴定した。分析は10%FBS添加完全RPMI培地中に、1×10細胞/ウェルのPAPc66、2×10細胞/ウェルのEBV−LcL、ならびに50μg/mL(黒のバー)、25μg/mL(ストライプのバー)、および12.5μg/mL(点のバー)の抗原を有す96ウェル丸底プレートにおいて設定した。分析は5%CO下37℃において48時間インキュベートし、上澄みを採取してELISAによりIFNγについて試験した。(B)特定のPAPペプチドをマッピングするため、PAP配列から化学的に合成したペプチドを用いた。これらの94ペプチドは15アミノ酸の長さであって、11アミノ酸が重複しており、自己EBV−LcLおよび分析において2μg/mLの各ペプチドを用いてPAPc66を刺激する能力について個々に試験された。分析は(A)におけるように設定され、そして上澄みがELISAによりIFNγについて試験された。(C)ペプチド#65であるPAP257−271が、(A)におけるような分析設定で自己EBV−LcLおよびPAPc66を用いて滴定された。上澄みが、IFNγ産生に特異的なペプチドついてELISAにより試験された。
【図1C】T細胞クローンPAPc66はPAPから天然にプロセスされたエピトープを認識する。(A)PAP融合蛋白PA2024、CHOPA2024およびhPAPGM、ならびにバキュロウィルス発現系(iPAP)および哺乳動物発現系(CHOPAP)由来PAPを、自己EBV−LcLおよびPAPc66を用いて滴定した。分析は10%FBS添加完全RPMI培地中に、1×10細胞/ウェルのPAPc66、2×10細胞/ウェルのEBV−LcL、ならびに50μg/mL(黒のバー)、25μg/mL(ストライプのバー)、および12.5μg/mL(点のバー)の抗原を有す96ウェル丸底プレートにおいて設定した。分析は5%CO下37℃において48時間インキュベートし、上澄みを採取してELISAによりIFNγについて試験した。(B)特定のPAPペプチドをマッピングするため、PAP配列から化学的に合成したペプチドを用いた。これらの94ペプチドは15アミノ酸の長さであって、11アミノ酸が重複しており、自己EBV−LcLおよび分析において2μg/mLの各ペプチドを用いてPAPc66を刺激する能力について個々に試験された。分析は(A)におけるように設定され、そして上澄みがELISAによりIFNγについて試験された。(C)ペプチド#65であるPAP257−271が、(A)におけるような分析設定で自己EBV−LcLおよびPAPc66を用いて滴定された。上澄みが、IFNγ産生に特異的なペプチドついてELISAにより試験された。
【図2】PAPc66は、MHCクラスII制限されている。PAPc66は、MHCクラスIIブロッキング抗体の存在下で、2×10細胞/mLの自己EBV−LcLおよび2μg/mLのPAP257−271で刺激された。分析は10%FBS添加完全RPMI培地中96ウェル丸底プレートにおいて、表示した濃度の抗HLA−DR◆(Dendreon)および抗HLA−DP■または抗HLA−DQ▲(Leinco Technologies,Inc.,St.Louis,MI)を用いて設定した。抗HLA−A2抗体(○)を陰性対照として用いた。PAPc66は、1×10細胞/ウェルで全てのウェルに加えられ、そして分析は5%CO下37℃において48時間インキュベートされた。インキュベーション後、上澄みを採取してELISAによりIFNγについて試験した。IFNγは、ペプチドなしの条件では検出されなかった。これらの結果は、PAP257−271がHLA−DRおよびHLA−DQの両方と関連して存在することを示す。
【図3】PAP257−271は、T細胞クローンPAPc66により認識される無差別MHCクラスII PAPエピトープである。(A)エピトープであるPAP257−271(RLQGGVLVNEILNHM)は、CD4+ T細胞クローン(PAPc66)によりMHCクラスIIと関連して認識され、15を超える異なるHLA−DRβ1対立遺伝子を有する9つの異なるHLA−DR血清学的ファミリー(β鎖;DR1、DR4、DR7、DR8、DR11、DR12、DR13、DR14、DR15)を示すリンパ芽球細胞系統により提示される場合、T細胞活性化を誘導することができる。図2において示されるように、該ペプチドは、HLA−DRまたはHLA−DQと関連して提示され得る。分析は、10%FBS添加完全RPMI培地中に、1×10細胞/ウェルのPAPc66、2μg/mLのPAP257−271、およびウェル当たり2×10 EBV−LcLを有す96ウェル丸底プレートにおいて設定した。表示されたHLA−DRβ1対立遺伝子にホモ接合である各HLA−DREBV−LcL系統が、PAPc66に対してPAP257−271を提示する能力について試験された。無関係なPAPペプチドおよびペプチド無しの対照もまた含まれた。5%CO下37℃において48時間インキュベート後、上澄みが、ELISAによりIFNγおよびグランザイムB(B)について試験された。結果は、各EBV−LcL系統についてのバックグラウンド(ペプチド無し)とともに示され、そしてPAPc66が差し引かれる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(定義)
「単離された」という用語は、核酸又は蛋白に適用する場合、核酸又は蛋白が、それが天然の状態で会合している他の細胞成分を本質的に含有しないことを指す。それは乾燥又は水溶液の何れかであることもできるが、好ましくは均質な状態である。純度及び均質性は典型的には分析化学の手法、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーを用いて測定する。調製品中に存在する主な物質種である蛋白は実質的に精製されている。特に、単離された遺伝子は該遺伝子の側面に位置し目的の遺伝子以外の蛋白をコードするオープンリーディングフレームから分離されている。「精製された」という用語は核酸又は蛋白が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じさせることを指す。特にこのことは核酸又は蛋白が少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。
【0022】
本出願において、「アミノ酸」という用語は天然に存在する、及び合成のアミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様の態様において機能するアミノ酸類縁体及びアミノ酸ミメティックを指す。天然に存在するアミノ酸は遺伝子コードによりコードされているもの、並びに、後に修飾されているアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリンである。アミノ酸類縁体とは天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、即ち水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類縁体は修飾されたR基(例えばノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸ミメティックはアミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが天然に存在するアミノ酸と同様の態様において機能することができる化合物を指す。
【0023】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は1本鎖又は2本鎖の形態の何れかにおけるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそれらの重合体を指す。特段の制約が無い限り、用語は参照核酸と同様の結合特性を有し、そして天然に存在するヌクレオチドと同様の態様において代謝される天然のヌクレオチドの既知類縁体を含有する核酸を包含する。特段の記載が無い限り、特定の核酸配列は保存的に修飾されたその変異体(例えば縮重コドン置換)及び相補配列並びに明示された配列をすべて包含する。特に、縮重コドン置換は1つ以上の選択された(又は全ての)コドンの第3位が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基により置換されている配列を形成することにより達成してよい(Batzer等、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka等、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);及びRossolini等、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。核酸という用語は遺伝子、cDNA、又は遺伝子によりコードされたmRNAと互換的に使用する。
【0024】
ポリヌクレオチド配列におけるエレメントの相対的位置が関わる場合、「下流の」位置とは参照点の3’側にあるものであり、「上流の」位置とは参照点の5’側にあるものである。
【0025】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「蛋白」という用語はアミノ酸残基の重合体を指すために本明細書において互換的に使用する。用語はアミノ酸残基1つ以上が相当する天然に存在するアミノ酸の人工的化学的ミメティックであるアミノ酸重合体に対して、並びに、天然に存在するアミノ酸重合体及び天然に存在するものではないアミノ酸の重合体に対して適用する。本明細書において、用語はアミノ酸残基が共有結合によるペプチド結合により連結されている完全長の蛋白(即ち抗原)を包含する何れかの長さのアミノ酸鎖を包含する。本出願においては、ポリペプチドのアミノ酸配列はN末端からC末端に向けて示す。換言すれば、ペプチドのアミノ酸配列を記載する場合、N末端から最初のアミノ酸を「第1のアミノ酸」と称する。
【0026】
融合蛋白の相手を記載する際に使用する場合、「非相同」という用語は1つのペプチド融合相手のもう1つのペプチド融合相手に対する関連性を指し:融合相手が融合ペプチド内に存在する態様が天然に存在する蛋白に観察できるものではない。例えば、前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)エピトープと融合して融合ペプチドを形成している「非相同ポリペプチド」は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のようなPAP蛋白以外の蛋白を起源とするものであってよい。一方、「非相同ポリペプチド」が無差別エピトープに直ぐ隣接しないPAP蛋白の別の部分から誘導されたものであってよい。「非相同ポリペプチド」は天然に存在する蛋白配列又はその一部分の修飾、例えばアミノ酸残基1つ以上の欠失、付加、又は置換を含有してよい。「非相同ポリペプチド」の起源(即ちそれがPAP蛋白又は別の蛋白からの何れから誘導されているか)には関わりなく、融合ペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を包含するPAP蛋白のサブ配列を含有してはならず、それは18アミノ酸長より大きい。一部の例示される実施形態においては、本発明において使用する「非相同ポリペプチド」は15〜20アミノ酸長以下を有し;別の実施形態においては「非相同ポリペプチド」は少なくとも100アミノ酸長を有する。
【0027】
「融合」又は「融合した」という単語は非相同ポリペプチドに連結した無差別PAPエピトープを含む本発明のペプチドを説明する際に使用する場合は、ペプチド結合を包含する何れかの共有結合によるエピトープと非相同ポリペプチドの間の連結を指す。
【0028】
「〜をコードする核酸配列」という表現はrRNA、tRNA、又は特定の蛋白又はペプチドの第1アミノ酸配列又はトランス作用性の調節剤に関する結合部位のような構造RNAに関する配列情報を含有する核酸を指す。この表現は特に、ネイティブの配列又は特定の宿主細胞におけるコドンの優勢性に合致するように導入してよい配列の縮重コドン(即ち単一のアミノ酸をコードする異なるコドン)を包含する。
【0029】
「発現カセット」とは宿主細胞における特定のポリヌクレオチド配列の転写を可能にする、特定された核酸エレメントのシリーズを有する組み換え又は合成により形成された核酸構築物である。発現カセットはプラスミド、ウィルスゲノム、又は核酸フラグメントの部分であってよい。典型的には発現カセットはプロモーターに作動可能に連結した転写されるべきポリヌクレオチドを包含する。
【0030】
「組み換え」という用語は、例えば細胞又は核酸、蛋白、又はベクターに関して使用する場合は、細胞、核酸、蛋白又はベクターが、外部原料からの核酸又は蛋白の導入、又はネイティブの核酸又は蛋白の改変により修飾されていること、又は細胞がそのように修飾された細胞から誘導されることを表す。即ち、例えば組み換え細胞は細胞のネイティブ(非組み換え)型内部には存在しない遺伝子を発現するか、又は、別様には異常に発現されるか、過少発現されるか、又は全く発現されないネイティブの遺伝子を発現する。
【0031】
「投与」又は「投与する」という用語は哺乳類、特にヒトに物質を接触させる種々の方法を指す。投与の様式は例えば限定しないが、物質を静脈内、腹腔内、鼻内、経皮、局所、皮下、非経口、筋肉内、経口、又は全身投与により、そして任意の他の手段による注射、摂取、吸入、移植、又は吸収を介して接触させることを含む方法を包含する。本発明の無差別PAPペプチド又は該PAPペプチドと非相同ポリペプチドを含む融合ペプチドの投与の1つの例示的な手段は、静脈内送達を介するものであり、その場合ペプチド又は融合ペプチドは水溶液、懸濁液、又はエマルジョン等のような静脈内注射のために適当な形態の医薬組成物として製剤できる。本発明の無差別PAPペプチド又は融合ペプチドを送達するための別の手段は皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、又はパッチ等を用いる経皮適用を包含する。
【0032】
特定の物質の「有効量」とは所望の結果をもたらすために十分である物質の量を指す。例えば、抗PAP免疫を誘導することを意図される本発明のペプチドを含む組成物の有効量は、被験体に投与された場合に免疫を誘導するという目標を達成するために十分な量である。達成すべき作用は検出可能な程度までの、疾患/状態及び関連する合併症の症状の進行の防止、是正、又は抑制を包含する。「有効量」の厳密な量は投与の目的に依存し、周知の手法を用いながら当業者により確認できる(例えばLieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1−3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);及びPickar,Dosage Calculations(1999)を参照)。
【0033】
「生理学的に許容される賦形剤」とは本発明の組成物の製剤中に使用される不活性な成分であり、これは無差別PAPペプチド、又は該PAPペプチドと非相同ポリペプチドを含む融合ペプチドの活性成分を含有し、そして、例えばそれを必要とする患者への注射による使用のために適している。この不活性成分は、本発明の組成物中に包含された場合に組成物の所望のpH、コンシステンシー、色、におい、又はフレーバーを与える物質であってよい。
【0034】
本明細書においては、「T細胞免疫応答」という用語は細胞表面上の分子の増殖、又は発現、又はサイトカインのような蛋白の分泌により測定した場合の抗原特異的T細胞の活性化を指す。
I.序論
本発明者等はヒトの前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)蛋白に由来する新規な無差別性のT細胞エピトープを発見した。これらのペプチドエピトープは、それらが少なくとも9種の異なるHLA−DR血清学的ファミリーおよび少なくとも15種の異なるHLA−DRβ1対立遺伝子に関して提示され得ることから、顕著なHLA無差別性を呈している。そのような広範なHLA−DRβ1対立遺伝子によるこれらのエピトープの提示のため、これらのエピトープは、一般的なヒトの集団におけるPAP蛋白を過剰発現する前立腺癌の治療のためのワクチン製造又は免疫療法におけるユニバーサルCD4 ヘルパーT細胞エピトープとして極めて価値あるものとなっている。
II.ペプチドの化学合成
本発明のペプチド、特に比較的短鎖のもの(例えば50〜100アミノ酸以下)は従来のペプチド合成又は当該分野で良く知られている他のプロトコルを用いて化学合成してよい。
【0035】
ペプチドはMerrifield等、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156(1963);Barany and Merrifield,Solid−Phase Peptide Synthesis,in The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology Gross and Meienhofer(eds.),Academic Press,N.Y.,vol.2,pp.3−284(1980);及びStewart等、Solid Phase Peptide Synthesis 2nd ed.,Pierce Chem.Co.,Rockford,III.(1984)により記載されているものと同様の操作法を用いながら固相ペプチド合成法により合成してよい。合成の間、保護された側鎖を有するN−α−保護アミノ酸を、自身のC末端により連結されている成長中のポリペプチド鎖に対し、そして、固体支持体、即ちポリスチレンビーズに対して段階的に添加する。ペプチドはジシクロヘキシルカルボジイミドのような試薬と反応させることにより活性化されているN−α−保護アミノ酸のα−カルボキシ基にN−α−脱保護アミノ酸のアミノ基を連結することにより合成される。活性化されたカルボキシルへの遊離のアミノ基の結合はペプチド結合の形成をもたらす。もっとも一般的に使用されているN−α−保護基は酸不安定性のBoc、及び塩基不安定性のFmocを包含する。
【0036】
固体支持体としての使用のために適する材料は当業者に良く知られており、例えば限定しないが、以下のもの、即ち:ハロメチル樹脂、例えばクロロメチル樹脂又はブロモメチル樹脂;ヒドロキシメチル樹脂;フェノール樹脂、例えば4−(α−[2,4−ジメトキシフェニル]−Fmoc−アミノメチル)フェノキシ樹脂;tert−アルキルオキシカルボニルヒドラジド化樹脂等を包含する。このような樹脂は市販されており、それらの製造方法は当業者に周知である。
【0037】
慨すれば、C末端N−α−保護アミノ酸をまず固体支持体に結合させる。次にN−α−保護基を除去する。脱保護されたα−アミノ基を次のN−α−保護アミノ酸の活性化されたα−カルボキシレート基にカップリングさせる。所望のペプチドが合成されるまでプロセスを反復する。次に得られたペプチドを不溶性重合体支持体から切断し、アミノ酸側鎖を脱保護する。より長いペプチドは保護されたペプチドフラグメントの縮合により誘導できる。適切な化学的手法、樹脂、保護基、保護されたアミノ酸及び試薬の詳細は当該分野で良く知られており、本明細書において詳細に考察しない(例えばAtherton等、Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press(1989)及びBodanszky,Peptide Chemistry,A Practical Textbook,2nd Ed.,Springer−Verlag(1993)を参照)。
III.ペプチドの組み換え生産
A.一般的な組み換え技術
組み換え遺伝子学の分野における一般的な方法及び手法を開示している基礎的なテキストはSambrook and Russell,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(3rd ed.2001);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);及びAusubel等編、Current Protocols in Molecular Biology(1994)を包含する。
【0038】
核酸に関しては、サイズはキロ塩基(kb)か塩基対(bp)の何れかで表示される。これらはアガロース又はアクリルアミドゲル電気泳動から、配列決定された核酸から、又は公開されたDNA配列から誘導される推定値である。蛋白に関しては、サイズはキロダルトン(kDa)又はアミノ酸残基数で表示される。蛋白サイズはゲル電気泳動から、配列決定された蛋白から、誘導されたアミノ酸配列から、又は公開された蛋白配列から推定される。
【0039】
市販されていないオリゴヌクレオチドは例えばVan Devanter等、Nucleic Acids Res.12:6159−6168(1984)に記載の通り自動合成装置を用いながら、Beaucage & Caruthers,Tetrahedron Lett.22:1859−1862(1981)において最初に報告された固相ホスホロアミダイトトリエステル法に従って化学合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は何れかの当該分野で認識されている方策、例えばネイティブのアクリルアミドゲル電気泳動又はアニオン交換HPLCを用いながら、Pearson & Reanier,J.Chrom.255:137−149(1983)に記載の通り実施する。
【0040】
組み換え生産は本発明のペプチド、特に比較的大きい分子量のもの、例えば無差別PAPエピトープとGM−CSFの融合ペプチドを得るための有効な手段である。本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えばWallace等、Gene16:21−26(1981)の2本鎖鋳型を配列決定するための鎖停止法を用いながらクローニング又はサブクローニングした後に確認できる。
B.発現カセットの構築
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の獲得
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は化学合成により得ることができ、あるいは、市販元より購入することができ、そしてこれを次に分子クローニングの標準的な手法を用いながらさらに操作してよい。
宿主生物における好ましいコドン使用のための核酸の修飾
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は場合により特定の宿主における好ましいコドンの使用に合致するように任意に改変することができる。例えば、細菌細胞の1つの系統における好ましいコドンの使用は、本発明のペプチドをコードし、この系統により好まれるコドンを包含するポリヌクレオチドを誘導するために使用できる。宿主細胞により示される好ましいコドンの使用の頻度は、宿主細胞により発現される遺伝子の大多数における好ましいコドンの使用の頻度を平均することにより計算できる(計算サービスはKazusa DNA Research Institute,Japanのウエブサイトから利用できる)。この分析は好ましくは宿主細胞により高度に発現される遺伝子に限定される。
【0041】
修飾終了時に、コーディング配列を配列決定により確認し、次に本発明のペプチドの組み換え製造のための適切な発現ベクターにサブクローニングする。
【0042】
コーディング配列の確認の後、組み換え遺伝子学の分野の定型的手法を用いて本発明のペプチドを製造できる。
C.発現系
本発明のペプチドをコードする核酸の高レベルの発現を実現するためには、典型的には、転写を指向する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、及び翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有する発現ベクター内にペプチドをコードするポリヌクレオチドをサブクローニングする。適当な細菌プロモーターは当該分野で周知であり、上記したSambrook and Russell及び上記したAusubel等において説明されている。本発明のペプチドを発現させるための細菌の発現系は例えばE.coli、バチルス種、サルモネラ及びカウロバクターにおいて入手できる。そのような発現系のためのキットは市販されている。哺乳動物細胞、酵母及び昆虫細胞に対する真核生物の発現系は当該分野で周知であり、やはり市販されている。1つの実施形態において、真核生物発現ベクターはアデノウィルスベクター、アデノ関連ベクター、又はレトロウィルスベクターである。
【0043】
相同核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターは、特定の用途に依存する。プロモーターは任意に、その天然の設定における転写開始部位からの距離と概ね同じ非相同転写開始部位からの距離に位置づけられる。しかしながら、当該分野で公知の通りこの距離におけるある程度の変動は、プロモーター機能を喪失することなく順応され得る。
【0044】
プロモーターの他に、発現ベクターは典型的には宿主細胞内の本発明のペプチドの発現のために必要な追加的エレメントの全てを含有する転写ユニット又は発現カセットを包含する。即ち典型的な発現カセットはペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結したプロモーター、及び、効率的な転写物のポリアデニル化、リボソーム結合部位、及び翻訳停止に必要なシグナルを含有する。ペプチドをコードする核酸配列は典型的には形質転換された細胞によるペプチドの分泌を促進するように切断可能なシグナルペプチド配列に連結される。そのようなシグナルペプチドは、特に、組織プラスミノーゲン活性化物質、インスリン、及びニューロン成長因子、及びニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)の幼若ホルモンエステラーゼ由来のシグナルペプチドを包含する。カセットの追加的エレメントはエンハンサーを、そして、ゲノムDNAを構造遺伝子(例えば非相同ポリペプチドをコードするもの)として使用する場合は機能的スプライスドナーを有するイントロン及びアクセプター部位を包含してよい。
【0045】
プロモーター配列に加えて、発現カセットは効率的な終止を可能とするために構造遺伝子の下流に転写終止領域を含有しなければならない。終止領域はプロモーター配列と同じ遺伝子から得てよく、或いは、異なる遺伝子から得てよい。
【0046】
細胞内に遺伝子情報を輸送するために使用される特定の発現ベクターは特に重要ではない。真核生物又は原核生物の細胞における発現のために使用されている従来のベクターの何れかを使用してよい。標準的な細菌の発現ベクターはプラスミド、例えばpBR322系のプラスミド、pSKF、pET23D、及び融合発現系、例えばGST及びLacZを包含する。エピトープタグも組み換え蛋白に添加することにより単離の好都合な方法としてよく、例えばc−mycが挙げられる。
【0047】
真核生物ウィルス由来の調節エレメントを含有する発現ベクターが典型的には真核生物発現ベクターにおいて使用され、例えばSV40ベクター、乳頭腫ウィルスベクター、及びエプスタイン・バーウィルス由来のベクターが挙げられる。他の例示的な真核生物ベクターはpMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウィルスpDSVE、及び、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、ネズミ乳房腫瘍ウィルスプロモーター、ラウス肉腫ウィルスプロモーター、多核体プロモーター、又は真核生物細胞における発現のために効果的であることがわかっている他のプロモーターの指向下に蛋白の発現を可能とする何れかの他のベクターを包含する。
【0048】
一部の発現系はチミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、及びジヒドロ葉酸還元酵素のような遺伝子増幅をもたらすマーカーを有する。或いは、遺伝子増幅をおこなわない高収率の発現系、例えば多核体プロモーター又は他の強力なバキュロウィルスプロモーターの指向下に本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を有する昆虫細胞におけるバキュロウィルスベクターもまた適当である。
【0049】
発現ベクター内に典型的に包含されるエレメントは又、E.coli中で機能するレプリコン、組み換えプラスミドを保有している細菌の選択を可能にする抗生物質耐性をコードしている遺伝子、及び真核生物の配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域のユニークな制限部位も包含する。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は重要ではなく当該分野で公知の多くの耐性遺伝子の何れも適当である。原核生物配列は任意に、必要に応じて真核生物細胞におけるDNAの複製を妨害しないようなものが選択される。抗生物質耐性選択マーカーと同様、既知の代謝経路に基づいた代謝選択マーカーも又形質転換された宿主細胞を選択するための手段として使用してよい。
【0050】
組み換え蛋白(例えば本発明のペプチド)のペリプラズムの発現が望まれる場合は、発現ベクターは更に、発現されるべき蛋白のコーディング配列の5’に直接連結されたE.coli OppA(ペリプラズムオリゴペプチド結合蛋白)分泌シグナル、又はその修飾された型のような分泌シグナルをコードする配列を含む。このシグナル配列は細胞質中に生産された組み換え蛋白を細胞膜通過によりペリプラズム空間内に指向させる。発現ベクターはさらにシグナルペプチダーゼ1に関するコーディング配列を含んでよく、これは組み換え蛋白のペリプラズム空間内への進入時にシグナル配列を酵素的に切断することができる。組み換え蛋白のペリプラズム生産に関するより詳細な説明は、例えばGray等、Gene39:247−254(1985)、米国特許第6,160,089号明細書及び同第6,436,674号明細書に記載されている。
C.トランスフェクション法
標準的なトランスフェクション法を用いて本発明のペプチドを大量に発現する細菌、哺乳類、酵母、昆虫、又は植物の細胞系統を作成し、それを次に標準的な手法で精製する(例えばColley等、J.Biol.Chem.264:17619−17622(1989);Guide to Protein Purification,in Methods in Enzymology,vol.182(Deutscher,ed.,1990)参照)。真核生物及び原核生物の細胞の形質転換は標準的手法に従って実施する(例えばMorrison,J.Bact.132:349−351(1977);Clark−Curtiss & Curtiss,Methods in Enzymology 101:347−362(Wu等編、1983)参照)。
【0051】
宿主細胞内に外来ヌクレオチド配列を導入するための周知の操作法のいずれかを使用してよい。これらにはリン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター、ウィルスベクターの使用、及び宿主細胞内にクローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、又は他の外来性の遺伝子材料を導入するための他の周知の方法が包含される(例えば、Sambrook and Russell,上出参照)。使用する特定の遺伝子操作法は、本発明のペプチドを発現できる宿主細胞内に少なくとも1つの遺伝子を良好に導入することができることのみが必要である。
D.宿主細胞内のペプチドの組み換え発現の検出
適切な宿主細胞内に発現ベクターを導入した後、トランスフェクトした細胞を本発明のペプチドの発現に好都合な条件下で培養する。次に組み換えペプチドの発現に関して細胞をスクリーニングし、これはその後、標準的方法を用いて培地から回収する(例えばScopes,Protein Purification:Principles and Practice(1982);米国特許第4,673,641号明細書;Ausubel等、上出;及びSambrook and Russell,上出参照)。
【0052】
遺伝子発現をスクリーニングするための数種の一般的方法は当業者の間で周知である。第1に、遺伝子発現は核酸レベルにおいて検出できる。核酸ハイブリダイゼーション手法を用いた特定のDNA及びRNAの測定の種々の方法が一般的に使用されている(例えばSambrook and Russell,上出)。一部の方法では電気泳動による分離を行うが(例えばDNAを検出するためのサザンブロット及びRNAを検出するためのノーザンブロット)、DNA又はRNAの検出は電気泳動を使用することなく実施することもできる(例えばドットブロットによる)。トランスフェクトされた細胞における本発明のペプチドをコードする核酸の存在は配列特異的プライマーを用いたPCR又はRT−PCRにより検出することもできる。
【0053】
第2に、遺伝子発現はポリペプチドレベルにおいて検出できる。特に、本発明のペプチド、特に十分大きい非相同ポリペプチドを含有するものと特異的に反応するポリクローナル又はモノクローナル抗体を用いながら遺伝子産物のレベルを計測するために、種々の免疫学的試験が当業者により類型的に使用されている(例えばHarlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Chapter 14,Cold Spring Harbor,1988;Kohler and Milstein,Nature,256:495−497(1975))。このような手法はペプチド又はその抗原性部分に対して高い特異性を有する抗体を選択することによる抗体製造を必要とする。ポリクローナル及びモノクローナル抗体を形成する方法は十分確立されており、それらの説明は文献、例えばHarlow and Lane,上出;Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol.,6:511−519(1976)に記載されている。
IV.ペプチドの精製
A.化学的に合成されたペプチドの精製
合成ペプチドの精製はクロマトグラフィーの種々の方法、例えば逆相HPLC、ゲル透過、イオン交換、サイズエクスクルージョン、アフィニティー、分配、又は向流分配を用いて実施される。適切なマトリックス及び緩衝物質の選択は当該分野で周知である。
B.組み換え生産されたペプチドの精製
1.細菌封入体からのペプチドの精製
発現は構成的なものとなるが、典型的にはプロモーター導入後に大量の形質転換された細菌から本発明のペプチドを組み換えにより製造する場合、ペプチドは不溶性の凝集塊を形成する場合がある。蛋白封入体の精製のために適当である数種のプロトコルが存在する。例えば凝集塊蛋白(以下、封入体と称する)の精製では典型的には例えば約100〜150μg/mlリゾチーム及び0.1% Nonidet P40(非イオン系界面活性剤)の緩衝液中のインキュベーションによる細菌細胞の破壊により、封入体の抽出、分離及び/又は精製を行う。細胞懸濁液はポリトロン粉砕機(Brinkman Instruments,Westbury,NY)を用いて粉砕できる。或いは、細胞は氷上で超音波処理できる。細菌を溶解する代替方法はともに上出のAusubel等、及びSambrook and Russellに記載されており、当業者に明らかである。
【0054】
細胞懸濁液は一般的に遠心分離し、そして封入体を含有するペレットを、封入体を溶解しないが洗浄する緩衝液、例えば20mM Tris−HCl(pH7.2)、1mM EDTA、150mM NaCl及び2% Triton−X100(非イオン系界面活性剤)中に再懸濁させる。可能な限り細胞破砕物を除去するために洗浄工程を反復することが必要な場合がある。封入体の残存ペレットを適切な緩衝液(例えば20mMリン酸ナトリウム、pH6.8,150mM NaCl)中に再懸濁してよい。他の適切な緩衝液は当業者に明らかである。
【0055】
洗浄工程の後、強力な水素受容体および強力な水素供与体の両方である溶媒(又はこのような特性の一方を各々が有する溶媒の組み合わせ)を添加することにより封入体を可溶化する。次に封入体を形成した蛋白を適合する緩衝液を用いた希釈又は透析により復元してよい。適当な溶媒は、限定しないが尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、体積/体積に基づく)、及び塩酸グアニジン(約4M〜約8M)を包含する。凝集塊形成蛋白を可溶化させることができる一部の溶媒、例えばSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)及び70%ギ酸は、免疫原性及び/又は活性の欠如を伴った蛋白の不可逆的変性の可能性のために、この操作法における使用のためには不適切である場合がある。塩酸グアニジン及び同様の試薬は変性剤であるが、この変性は不可逆ではなく、そして変性剤の除去(例えば透析による)又は希釈時に復元がおこる場合があり、これにより目的の免疫学的及び/又は生物学的に活性な蛋白の再形成が可能となる。可溶化の後、蛋白は標準的分離手法により他の細菌蛋白から分離できる。細菌封入体から組み換えポリペプチドを精製することに関する説明は更に、例えばPatra等、Protein Expression and Purification 18:182−190(2000)に記載されている。
【0056】
或いは、組み換えポリペプチド、例えば本発明のペプチドを細菌のペリプラズムから精製することが可能である。細菌のペリプラズム内に組み換えポリペプチドをエクスポートする場合、細菌のペリプラズム画分は、当業者に周知の他の方法に加えて冷温浸透圧ショックにより単離できる(例えばAusubel等,上出参照)。ペリプラズムから組み換えペプチドを単離するためには、細菌細胞を遠心分離してペレットを生じさせる。ペレットを20%スクロース含有緩衝液に再懸濁する。細胞を溶解するために、細菌を遠心分離し、ペレットを氷冷5mM MgSO中に再懸濁し、そして約10分間アイスバス中に保持する。細胞懸濁液を遠心分離し、上澄みを傾瀉して保存する。上澄み中に存在する組み換えペプチドは当業者に周知の標準的な分離手法により宿主蛋白から分離することができる。
2.精製のための標準的な蛋白分離手法
組み換えポリペプチド、例えば本発明のペプチドを可溶性形態で宿主細胞内に発現させる場合、その精製は以下に記載する標準的な蛋白精製操作法に従うことができる。この標準的精製操作法は又、化学合成により得られたペプチドを精製するためにも適している。
i.溶解度分画
多くの場合初期工程として、そして蛋白混合物が複合体である場合、初期の塩分画は目的の組み換え蛋白、例えば本発明のペプチドから望ましくない宿主細胞蛋白(又は細胞培養用の培地から誘導される蛋白)の多くを分離することができる。好ましい塩は硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは蛋白混合物中の水の量を効果的に低減することにより蛋白を沈殿させる。次に蛋白がその溶解度に基づいて沈殿する。蛋白が疎水性であるほど、より低い硫酸アンモニウム濃度において沈殿する可能性が高まる。典型的なプロトコルは結果として生じる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%となるように蛋白溶液に飽和硫酸アンモニウムを添加することである。これにより大部分の疎水性蛋白が沈殿することになる。沈殿を廃棄(目的の蛋白が疎水性でない限り)し、目的蛋白を沈殿させることが分かっている濃度となるまで硫酸アンモニウムを上澄みに添加する。次に沈殿を緩衝液中に可溶化し、必要に応じて過剰な塩を透析又は透析濾過により除去する。蛋白の溶解度に依存している他の方法、例えば低温エタノール沈殿等は当業者に周知であり、複合体蛋白混合物を分画するために使用できる。
ii.サイズ示差濾過
計算された分子量に応じて、より大きい及び小さいサイズの蛋白を異なる孔径の膜(例えばAmicon又はMilliporeメンブレン)を通過させる限外濾過を用いて単離できる。第1の工程として、目的の蛋白、例えば本発明のペプチドの分子量より低値の分子量カットオフを有する孔径の膜を通過させて蛋白混合物を限外濾過する。次に限外濾過の保持物を、目的のペプチドの分子量より大きい分子カットオフを有する膜に対して限外濾過する。組み換え蛋白は膜を通過して濾液中に入ることになる。次に濾液を後述する通りクロマトグラフィーに付すことができる。
iii.カラムクロマトグラフィー
目的の蛋白(例えば本発明のペプチド)は又そのサイズ、実質的表面電荷、疎水性、又はリガンドに対する親和性に基づいて他の蛋白から分離できる。更に又、本発明のペプチドに対して作成された抗体をカラムマトリックスに結合し、ペプチドを免疫精製することもできる。これらの方法は全て当該分野で周知である。
【0057】
クロマトグラフィー手法は何れかの規模において、多くの異なる製造元から得た機材を用いながら実施できることは当業者に明らかである(例えばPharmacia Biotech)。
C.ペプチド配列の確認
本発明のペプチドのアミノ酸配列は多くの十分に確立された方法により確認できる。例えばEdman分解の従来法を用いてペプチドのアミノ酸配列を決定できる。Edman分解に基づく配列決定法の数種の変形例、例えばマイクロ配列決定、及び質量分析に基づく方法がこの目的のために頻繁に使用されている。
D.ペプチドの修飾
本発明のペプチドはより望ましい特性を達成するために修飾できる。化学修飾されたペプチド及び蛋白分解酵素による分解に対して抵抗性であるか向上した溶解性又は結合能力を有するペプチド模倣体の設計はよく知られている。
【0058】
本発明の無差別PAPペプチド又は融合ペプチドの修飾されたアミノ酸又は化学的誘導体は通常はPAP蛋白の一部ではない修飾されたアミノ酸の追加的化学特徴部分を含有してよい。ペプチドの共有結合修飾は本発明の範囲に含まれる。そのような修飾は選択された側鎖又は末端残基と反応することができる有機誘導体形成剤にペプチドのターゲティングされたアミノ酸残基を反応させることによりペプチド内に導入してよい。化学誘導体の以下の例は例示として示すのみであり、限定するものではない。
【0059】
蛋白分解性酵素による分解に耐性であるペプチド模倣体の設計は当業者の知る通りである。例えばSawyer,Structure−Based Drug Design,P.Verapandia,Ed.,N.Y.(1997);米国特許第5,552,534号明細書及び同第5,550,251号明細書を参照。ペプチド骨格及び側鎖の修飾の両方を二次構造模倣の設計において使用してよい。可能な修飾はD−アミノ酸、Nα−Me−アミノ酸、Cα−Me−アミノ酸、及びデヒドロアミノ酸の置換を包含する。今日まで、種々の二次構造ミメティックが設計されており、そしてペプチド又はペプチドミメティックに組み込まれている。
【0060】
他の修飾には天然のアミノ酸の非天然のヒドロキシル化アミノ酸による置換、酸性アミノ酸のカルボキシ基のニトリル誘導体による置換、塩基性アミノ酸のヒドロキシル基のアルキル基による置換、又はメチオニンのメチオニンスルホキシドによる置換が包含される。更に又、本発明の無差別PAPペプチド又は融合ペプチドのアミノ酸は同じアミノ酸であるが逆のキラリティーのもので置き換えることができ、即ち、天然に存在するL−アミノ酸はそのD配置により置き換えられてよい。
V.非相同ポリペプチドとのPAPエピトープの融合
本発明の1つの態様において、無差別PAPエピトープに相当するペプチドは、T細胞応答を誘導するPAPエピトープの能力が増強されるように共有結合を介して非相同ポリペプチドに結合させることにより、融合ペプチドを形成する。頻繁にはこの共有結合はペプチド結合であり、そしてPAPエピトープ及び非相同ポリペプチドは新しいポリペプチドを形成する。このペプチド結合はPAPエピトープと非相同ポリペプチドの間の直接のペプチド結合であってよく、或いはそれはPAPエピトープと非相同ポリペプチドの間のペプチドリンカーを用いて与えられる間接のペプチド結合であってよい。
【0061】
他の共有結合もまた非相同ポリペプチドにPAPペプチドを融合させる目的のために適している。例えば、あるペプチドの官能基(例えば非末端アミン基、非末端カルボキシル酸基、ヒドロキシル基、及びスルフヒドリル基)は別のペプチドの官能基と容易に反応し、そして2つのペプチドを結合するペプチド結合以外の共有結合を確立する場合がある。無差別PAPエピトープのペプチドと非相同ポリペプチドの間の共有結合による連結は又、適当な官能基を有するリンカー分子を用いることにより得ることもできる。そのようなリンカー分子はペプチドリンカー又は非ペプチドリンカーであることができる。リンカーを結合の前に誘導体化することにより露出させるか、又は追加的な反応性官能基を結合させてよい。誘導体化においてはPierce Chemical Company,Rockford,Illinoisから入手可能なもののような多くの分子のいずれかの取り付けを行ってよい。
VI.機能的試験
本発明の無差別PAPエピトープ(又はPAPペプチドと非相同ポリペプチドを含む融合ペプチド)は、少なくとも10種の異なるHLA−DR対立遺伝子、より好ましくは少なくとも12、13、14又は15種の異なるHLA−DR対立遺伝子の1つを有する場合がある抗原提示細胞によりエピトープが提示される場合に、PAP蛋白に特異的なT細胞免疫応答を誘導するその能力のために有用である。種々の機能的試験を用いることにより、種々の異なるHLA−DR対立遺伝子の抗原提示細胞に関して無差別性の態様におけるそのようなPAP特異的T細胞免疫応答を誘導する無差別PAPエピトープの能力を確認することができ、例えば増殖試験及びフローサイトメトリー試験によりT細胞受容体とペプチドエピトープの間の結合又はT細胞によるサイトカインの生産を検出する方法などが挙げられる。
【0062】
本出願の実施例において使用する機能的試験の系はこの目的のために特に適している。慨すれば異なるHLA−DR対立遺伝子に対して各々ホモ接合である少なくとも10種、好ましくは少なくとも12、13、14、15又はそれより多くの抗原提示細胞系統のパネルを用いて、PAP蛋白に対して特異的に応答(例えばIFNγ又はグランザイムBのようなサイトカインの生産による)するCD4 T細胞のクローン(例えばクローンPAPc66)に対してPAP由来ペプチドを提示する。ヒトPAP蛋白の残基257〜271(すなわち配列番号1)に対応するペプチドが陽性対照として使用された。そして非関連のPAP由来ペプチド、無ペプチド、及び各抗原提示細胞系統単独を試験の陰性対照として使用する。試験は各ウェル中抗原提示細胞及びCD4 T細胞を含有する適切な培地中におけるマルチウェル細胞培養プレートとして設定する。ペプチドは適当な濃度まで希釈し、そして各ウェルに添加する。適切な時間インキュベートした後、上澄みをウェルから収集し、そして492nmにおける吸光度に基づいてELISAにより計測できるサイトカインの生産に関して分析する。典型的には、PAP特異的CD4 T細胞応答を誘導する場合の本発明のPAPクラスII無差別エピトープの作用は同じ試験条件下において、例えば同じモル濃度において、PAPエピトープ257〜271(配列番号1に示すアミノ酸配列を有する)の作用の少なくとも25%であり、同じ個別のHLA−DR対立遺伝子の抗原提示細胞により提示される。より好ましくはそのような作用は同じ条件下でPAPエピトープ257〜271により示されるものよりも少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、又はそれより高値である。
VII.組成物及び投与
本発明は更に有効量の(1)無差別PAPペプチド;又は(2)PAPペプチドと非相同ポリペプチドを含む融合ペプチド;又は(3)予防及び治療の両方の用途におけるPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を誘導するための細胞表面上のMHC分子との複合体を形成する(1)又は(2)のペプチドを伴った抗原提示細胞(APC)を含む組成物を提供する。本発明の医薬組成物は種々の薬物送達系における使用に適している。本発明で使用するための適当な製剤はRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に記載されている。薬物送達方法に関する簡単な考察については、Langer,Science 249:1527−1533(1990)を参照されたい。
【0063】
抗原提示細胞(APC)は種々の方法によりペプチド負荷のために形成できる。出発原料は末梢血または、可動化をともなうかもしくはともなわない白血球除去物である。APCは多数の方法、例えば浮力密度遠心分離、水簸、磁気ビーズ及びプラスチック接着等を単独又は組み合わせて使用することにより単離できる。単離後、APCをサイトカイン、成長因子、活性化剤、及び成熟化剤の存在下又は非存在下に1〜14日間培養する。6〜48時間1μg〜1mg/mlの濃度において培地にペプチドを添加することによりAPCにペプチドを負荷させる。APCを採取し、洗浄し、そして注入のための適当な製剤中に再懸濁する。APCは新鮮時に送達することができ、或いは、後の時期における送達のために凍結保存することができる。
【0064】
本発明の医薬組成物は種々の経路で、例えば皮下、皮内、経皮、筋肉内、静脈内、又は腹腔内に投与できる。医薬組成物を投与する好ましい経路は、体重70kgの成人に対して本発明のペプチド約1μg〜10mg、好ましくは50μg〜1mgの2週毎用量において皮下又は皮内によるものである。適切な用量は1週毎、2週毎、又は1月毎の間隔において投与してよい。
【0065】
ペプチドパルスAPCは種々の経路で、例えば皮下、皮内、静脈内、又は腹腔内に投与できる。ペプチドパルスAPCは1週毎、2週毎、又は1月毎の間隔において細胞100万個〜100億個の用量で送達される。
【0066】
本発明のペプチドを含有する医薬組成物を製造するためには、不活性及び製薬上許容しうる賦形剤又は担体を使用する。液体の医薬組成物は例えば皮内、皮下、非経口、又は静脈内投与に適する溶液、懸濁液、及びエマルジョンを包含する。活性成分(例えば無差別PAPペプチド又は融合ペプチド)の滅菌された水溶液、又は水、緩衝された水、食塩水、PBS、エタノール、又はプロピレングリコールを含む溶媒中の活性成分の滅菌溶液が非経口投与に適する液体組成物の例である。組成物は生理学的状態に近似するために必要な製薬上許容しうる補助物質、例えばpH調節剤及び緩衝剤、張度調節剤、湿潤剤、界面活性剤などを含有してよい。
【0067】
滅菌溶液は所望の溶媒系中に活性成分(例えば無差別PAPペプチド又は融合ペプチド)を溶解し、そして次に得られた溶液をメンブレンフィルター通過により滅菌することにより、或いは、滅菌条件下で予め滅菌された溶媒に滅菌化合物を溶解することにより、製造できる。得られた水溶液はそのまま使用するためにパッケージングしてよく、又は、凍結乾燥し、凍結乾燥された製剤を投与前に滅菌水性担体と混合してよい。調製品のpHは典型的には3と11の間、より好ましくは5〜9、そして最も好ましくは7〜8となる。
【0068】
PAPペプチド又は融合ペプチドを含有する医薬組成物は予防及び/又は治療の処置のために投与できる。治療用途においては、組成物は、状態及びその合併症の症状を防止、治癒、退行、又は少なくとも部分的に緩徐化又は停止させるために十分な量において、PAP蛋白を過剰発現している腫瘍細胞の増殖により悪化する可能性がある状態にすでに罹患している患者に投与する。これを達成するために適当な量は「治療有効用量」と定義される。この使用のために有効な量は疾患又は状態の重症度及び患者の体重及び全身状態に依存するが、一般的には70kgの患者に対して2週毎にPAPペプチド又は融合ペプチド約1μg〜約10mgの範囲となり、70kgの患者に対して2週毎にペプチド約50μg〜約1mgの用量がより一般的に使用される。適切な用量は1週毎、2週毎、又は1月毎の間隔において投与してよい。
【0069】
組成物の単回又は多数回の投与は担当医により選択される用量レベル及びパターンで実施できる。何れの場合においても、医薬組成物は治療目的のために患者においてPAP発現腫瘍細胞の増殖を効果的に抑制するために十分な本発明のPAPペプチド又は融合ペプチドの量を備えなければならない。
VIII.PAPに対して特異的なT細胞応答を検出するための方法
本発明は更にPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答が患者に存在するかどうかを検出するための方法を提供する。この方法は以下の工程を含む:第1に、リンパ球、例えば少なくともT細胞、及び抗原提示細胞を患者から入手する。そのようなリンパ球が得られる適当な試料は血液、腫瘍浸潤液、及びリンパ節又はリンパ液を包含する。第2にT細胞に対する抗原提示細胞によってT細胞エピトープの適切な提示を可能とする条件下で、本発明の無差別PAPペプチド(又はPAPペプチドと非相同ペプチドを含む融合ペプチド)にT細胞及び抗原提示細胞を曝露する。第3に、T細胞応答のサインを、当該分野で周知の手段、例えばELISPOT、増殖試験、又はフローサイトメトリーによりインビトロで計測する。T細胞応答がこれらの方法の何れかにより検出される場合、患者においてPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答が存在すると結論付けることができる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は限定としてではなく説明としてのみ提示する。本質的に同様の結果を得るために変更又は改変することができる種々の非重要なパラメーターは当業者が容易に認識することになる。
(実施例1)
材料及び方法
組み換え蛋白及び合成ペプチド。PA2024は、治験細胞免疫療法sipuleucel−TのためにDendreon Corporationにより製造された、PAPおよびGM−CSF配列を含むDendreon Corporationが所有する組換え融合蛋白である。PA2024は、バキュロウイルスの系において発現させた。CHOPA2024およびhPAPGMは、PA2024に同一の配列であるが、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO)および293Ebnaをそれぞれ用いる哺乳動物系において発現させた。iPAPはバキュロウイルス発現系において生成される組換え蛋白であり、そしてCHOPAPは哺乳動物細胞において生成される組換え蛋白であり、両者をDendreon Corporationが生成、そして精製した。インビトロにおけるPAP特異的免疫応答を定義するために、PAP蛋白配列から94ペプチドを作成した。これらのペプチドは15アミノ酸長であり、11アミノ酸分オーバーラップしている(Genemed Synthesis,South San Francisco,CA)。全てのPAPペプチドを配列決定し、そして分析用HPLCおよび質量スペクトル分析により>95%純度であることが測定された。
【0071】
被験体及び健常者ドナー試料収集。全ての被験体及び健常者ドナーの標本を適切なInvestigational Review Boardにより認可されている治験責任者依頼プロトコルに従って収集した。インフォームドコンセントに続いて、ヘパリン処理したバキュテナチューブ又はシリンジ中に静脈穿刺により全血試料を収集し、輸送及び/又はプロセシングのために準備した。本発明者等の実験室で血液試料を受領した後、末梢血液単核細胞(PBMC)を密度勾配遠心分離により滅菌条件下で収集し、そして特定の試験における使用のために準備した。
【0072】
細胞系統。HLA−DRβ1 EBV−LcL系統は、フランスのストラスブールで開かれた第12回国際組織適合性ワークショップ(International Histocompatibility Workshop)(IHW)に源を発する英国細胞バンク(European Collection of Cell Cultures)から購入した。HLA−DR EBV形質転換リンパ芽球細胞は、HLA−DRβ1対立遺伝子(表1)にホモ接合である。EBV−LcLは、自己T細胞クローンの拡張および試験のためにB95−8細胞系統(ATCC、Manassas、VA)由来の上澄みを用いて多様な被験体PBMCから作成した。
【0073】
PAP特異的T細胞クローンのインビトロ作成。治験中の治療薬であるsipuleucel−Tを受けた被験体のPBMCを2mM L−グルタミン、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン、及び20mM HEPES緩衝液+10%ヒトAB血清(Gemini BioProducts,Calabasas,CA)を添加したRPMI1640(cRPMI+10%HS)中で、一晩CHOPA2024を10μg/ml含有するT−25組織培養フラスコ中で刺激した。翌日、IFNγ分泌細胞をIFNγ分泌試験細胞富化検出キット(INFγ Secretion Assay Cell Enrichment and Detection kit)(Miltenyi Biotech,Auburn,CA)を用いてPBMC培養物から単離した。IFNγ富化集団は、クローニングのために、10U/mL組み換えヒトIL−2(Invitrogen)を用いて、おおよそ1〜50細胞/ウェルで96ウェル丸底プレート内に播種した。非IFNγ分泌細胞を放射線照射し(3000rad)、そして支持細胞として用いた。プレートを37℃5%COにおいて7日間インキュベートした。クローニング第7日に、IFNγ分泌細胞を前に記載したとおり96ウェルプレート中で非特異的に増殖させた(Yee等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:16168−16173)。慨すれば、各ウェルに対し、25U/mL組み換えヒトIL−2及び10ng/mL抗ヒトCD3抗体を添加したcRPMI+10%HS培地(BD Pharmingen,San Diego,CA)100μLを各ウェルに、1×10/ウェルの照射自己EBV−LcL及び1×10/ウェルの照射同種異系PBMCとともに添加した。プレートを5%CO下37℃で14日間インキュベートし、次にウェルを目視により検査することにより、陽性の増殖を調べた。増殖陽性のクローンを24ウェルプレートに移し、そしてrIL−2、抗−CD3、及びアクセサリー細胞を用いながら上記した通り増殖させ、細胞数は増加量に合せた。
【0074】
T細胞クローンの抗原特異性。全ての分析は、cRPMI+10%FBS(ウシ胎児血清(Invitrogen,Carlsbad,CA))中の抗原またはペプチド、1×10細胞/ウェルのT細胞クローン、および2×10細胞/ウェルの抗原提示細胞を有す96ウェル丸底プレートにおいて3連で設定した。自己EBV−LcLを特異性分析において抗原提示細胞のために用い、そしてHLA−DRB1 EBV−LcLを用いてペプチドの無差別性を示すために分析を行った。全ての分析は5%CO下37℃において48時間インキュベートした。48時間後、上澄みを採取してサイトカイン生成について分析した。MHCクラスIIブロッキング分析は、上述のように自己EBV−LcLを用い、そして以下の抗体:抗HLA−DR mAb(Dendreon Corporation and Research Diagnostics,Inc.Flanders、NJ)、HLA−DQ mAb 1a3、およびHLA−DP mAb B7/21(Leinco Technologies、St.Louis、MS)を分析に加えて(25μg/mL〜0.1μg/mL)設定した。抗HLA−A2 mAb(HB−82、ATCC、Manassas、VA)をブロッキング分析において対照として用いた。
【0075】
INFγおよびグランザイムBのELISA。INFγ生産は、ELISA用の抗ヒトIFNγ抗体対(BD Pharmingen,San Diego,CA)を用いて計測した。慨すれば、イムロン4プレート(Thermo Labsystems/VWR,Brisbane,CA)を3μg/mlの抗ヒトIFNγ抗体、100μLで一晩コーティングした。プレートは、PBS(Invitrogen)中4%ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma,St.Louis,MO)で37℃で2時間ブロックした。プレートをPBS+0.05%Tween20で洗浄し、抗原特異的刺激に由来する上澄み試料100μLをウェルに添加し、そして1.25〜2時間室温でインキュベートした。プレートを洗浄し、ビオチニル化抗ヒトIFNγ抗体をPBS中1%BSA中に希釈(1μg/ml)し、そして室温で1時間プレートに100μLを添加した。洗浄した後、ストレプ−アビジンHRP(Strep−Avidin HRP)(BD Pharmingen)をPBST中1:1000に希釈し、室温で30分間ウェルに添加した。プレートを洗浄し、Sigma Fast OPDと暗所で15分間インキュベートした。2M HClを添加することにより反応を停止させ、分光光度計においてプレートの492nmの吸光度を読み取った。グランザイムB生成を測定するために、グランザイムB ELISAキット(カタログ番号3485−1H−20、Mabtech、Nacka Strand、Sweden)を用いた。被覆抗体(GB10)、ビオチン化検出抗体(GB11)、およびストレプ−アビジンHRP(Strep−Avidin−HRP)を、先に記載したプロトコルのもと製造者の推奨にしたがって使用した。
【0076】
結果
図1〜3に示した実験結果は、ペプチドPAP257−271が、前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)の、天然にプロセスされたMHCクラスII制限無差別エピトープであることを示した。このペプチドは、配列番号1に示したアミノ酸配列(RLQGGVLVNEILNHM)を有し、15を超える異なるHLA−DRβ1対立遺伝子を有する9つの異なるHLA−DR血清学的ファミリー(β鎖;DR1、DR4、DR7、DR8、DR11、DR12、DR13、DR14、およびDR15)を示すリンパ芽球細胞系統により提示される場合、T細胞活性化を誘導することができる。
【0077】
CD4+ T細胞クローンであるPAPc66は、ヒトPAPに対するT細胞免疫応答を刺激するように設計された、治験中の自己活性状態の細胞性免疫療法製品であるsipuleucel−Tを用いる前立腺癌の処置のための継続中の第3相臨床試験に関与している被験体から単離した。被験体の末梢血単球を、PAPとヒト顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子の融合蛋白(PA2024)で一晩刺激後、IFNγ分泌を選択のためのマーカーとして用いて、PAPc66を単離した。このクローンを単離した治験中の被験体は、HLA−DRBI0404,1501として分類した。このクローンはまた、適切に提示されたPAP257−271による活性化において、IFNγおよびグランザイムBを生成することが示された。
【0078】
本発明の新規の無差別エピトープは、PAP特異的な活性状態の細胞性免疫療法での処置の結果として生じる可能性のある免疫機構を調べるための道具を提供する。さらに、本発明のペプチドは、将来の癌免疫療法を推進するための、より普遍的な標的化戦略に寄与する。
【0079】
【表1A】

【0080】
【表1B】

【0081】
細胞系統は英国細胞バンク(ECACC European Collection of Cell Cultures)より入手し、それらはIMGT/HLA細胞要覧に記載されている(ウエブサイト:ebi.ac.uk/imgt/hla/cell query.html)。
【0082】
本出願において引用した全ての特許、特許出願、及び他の公開物は、公開されたアミノ酸又はポリヌクレオチドの配列も含めて、あらゆる目的のために、参照としてその全体が援用される。
【0083】

配列表

配列番号1 (ヒトPAP蛋白の残基257−271)
RLQGGVLVNEILNHM

配列番号2 (ヒトPAP蛋白の残基254−274)
EKSRLQGGVLVNEILNHMKRA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15〜18アミノ酸よりなり、配列番号1のアミノ酸配列を含む単離されたペプチド。
【請求項2】
非相同ポリペプチドに融合した請求項1記載のペプチドを含む融合ペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載のペプチドがペプチド結合を介して非相同ポリペプチドに融合されている請求項2記載の融合ペプチド。
【請求項4】
少なくとも10個の異なるHLA−DR対立遺伝子の抗原提示細胞により提示された場合にヒト前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を誘導する請求項1又は2記載のペプチド。
【請求項5】
少なくとも15個の異なるHLA−DR対立遺伝子の抗原提示細胞により提示された場合にPAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を誘導する請求項4記載のペプチド。
【請求項6】
HLA−DR対立遺伝子が0101、0102、0103、1503、160201、0301、0302、0401、0402、040301、040501、1101、1102、1103、1104、110401、1201、1301、1302、1401、1402、0701、080101、080201及び0901よりなる群から選択される請求項4記載のペプチド。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項1記載のペプチド。
【請求項8】
前記非相同ポリペプチドが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である請求項2記載のペプチド。
【請求項9】
請求項1又は3に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
【請求項10】
前記ポリヌクレオチド配列が請求項7又は8に記載のペプチドをコードする請求項9記載の核酸。
【請求項11】
請求項9に記載の核酸を含む発現カセット。
【請求項12】
組み換えウィルスベクターである請求項11記載の発現カセット。
【請求項13】
請求項7又は8に記載のペプチドの発現を指向する請求項11記載の発現カセット。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の発現カセットを含む宿主細胞。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のペプチド及び生理学的に許容しうる賦形剤を含む組成物。
【請求項16】
前記ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する請求項15記載の組成物。
【請求項17】
非相同ポリペプチドが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である請求項15記載の組成物。
【請求項18】
細胞の表面上の主要組織適合性複合体(MHC)分子と複合体を形成する請求項1記載のペプチドを有する抗原提示細胞を更に含む請求項15記載の組成物。
【請求項19】
ヒト前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を患者において誘導するための方法であって、該方法が該患者に請求項15に記載の組成物の有効量を投与する工程を含む方法。
【請求項20】
非相同ポリペプチドが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である請求項19記載の方法。
【請求項21】
ヒト前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答を患者において検出するための方法であって、該方法は、(a)患者から抗原提示細胞及びT細胞を得る工程;(b)該抗原提示細胞及びT細胞を請求項1又は2記載のペプチドに接触させる工程;及び(c)T細胞応答を検出する工程であって、ここでT細胞応答の該検出は該患者における該PAP蛋白に対して特異的なT細胞免疫応答の存在を示すものである工程、を含む方法。
【請求項22】
工程(c)がELISPOT、増殖試験、又はフローサイトメトリーにより実施される請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記ペプチドが配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項21記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−500037(P2010−500037A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524012(P2009−524012)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/075704
【国際公開番号】WO2008/022030
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(500072714)デンドレオン コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】