説明

無希釈の全血における凝固時間の光度判定

全血における凝固の光度検出のためのデバイス、システム、および方法。本発明は、実施および動作が容易である。また、本発明は、光度測定を用いて凝血を測定する所望の基準を満たすものと見なされるという利点を有する。また、本発明による全血検体に対する光度凝固試験デバイスは、家庭ユーザに対する医学的精度を確保すると同時に、構成が簡単である。本発明は、例えば抗体との血清反応の結果としての血液凝集の検出および判定にも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液のような易流動性の液体の凝固を検出するためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈または動脈血栓症、塞栓症、および心臓弁交換などの様々な心血管の症状を抱える益々多くの患者に対して、抗凝固療法が処方されている。抗凝固薬の活性および効能は、患者の生活様式および食事に影響されるため、当該薬物の治療域の範囲内の好適な投与量を維持するためには、血液の凝固状態を頻繁に監視することが必要とされる。患者にとって、この必要性は、少なくとも毎週クリニックを訪れて、痛みを伴う静脈血検体の採取を受けることを求めるものである。
【0003】
古典的かつ標準的な血液凝固試験は、凝血塊を形成するのに要する時間の測定を含む。凝血塊形成は、2つの一般的な手法、すなわち(a)試験において、凝血塊は液体と異なる挙動を示すことを前提として、血液検体の機械(例えば物理)特性の変化を検出すること、または(b)ここでも凝血塊は、血液による光の透過、反射率、または散乱に少なくともある程度影響し、かつ試験は、当該変化を正確かつ効率的に検出できることを前提として、検体の光学的特性を測定することによって判定される。
【0004】
最も基本的で古い機械的方法は、チューブを含む血液を連続的に傾けながら目視で監視して、凝血塊の形成を目視で検出することを伴う。一般的な機械的手法の自動化は、磁性の粒子、球、または棒を検体に浸漬させ、次いでそれらを外から加えた回転磁力によって移動させることに基づいている。磁性体の移動は、電子光学手段によって追従される。凝血塊形成は、磁性部分の移動と凝血塊との干渉によって検出される。粘度測定および移動に対する抵抗などの他の機械的手法が公表されたが、商業的成功は限られていた。
【0005】
光度測定は、凝血を検出するための他の手法である。光度測定は、媒体または対象物でまたは対象物内に物理的移動を誘発しない、あるいは対象物または媒体に機械的または物理的な力を加えない、媒体または対象物から、かつ/または媒体または対象物を通じて反射、透過、または散乱する光を測定することであるといえる。
【0006】
光学的な光度測定手法は、検体の機械的操作を必要としないため、自動化するのが最も簡単である。しかし、現在では、血液の光学的分析は、凝血塊を支障なく観察するために、分析に先だって血液細胞を除去することが必要であることが、この分野の専門家によって理解されている。したがって、この分野における現行の取組みおよび知識は、光学的方法は、分離血漿に対してのみ実施することができ、全血に対して実施できないというものである(NCCLS H21−A3;Collection,Transport,and Processing of Blood Specimens for Coagulation Testing and General Performance of Coagulation Assays;Approved Guideline−Third Edition,National Committee for Clinical Laboratory Standards;http://www.nccls.org/を参照)。凝血塊形成を測定するための光学的方法は、2種類の一般的形態、すなわち(a)透過光度測定、および(b)反射率散乱光度測定で適用される。
【0007】
光透過法では、分離血漿を透過する光の量を測定する。当該方法では、血液を含む容器の表面に通常垂直に光を照射し、容器の別の側の表面に垂直に透過光を検出する。凝血塊の形成は、透過光の量の減少に伴う。
【0008】
反射率散乱法では、検体から跳ね返る光(反射光)は、入射光と角度が異なり、この反射光の量が測定される。典型的には、しかし場合によっては、入射光は、直角でない角度で透過し、反射散乱光は、血液を含む容器の表面に垂直に測定される。凝血塊の形成は、反射散乱光の量の増加を伴う。一般的には比濁法、特にレーザ比濁法は、反射率光度測定の変形であり、感度および特定性を向上させることができる。「散乱」という用語は、一般に想定される直線経路からの光の偏向を意味する。散乱は、測定装置または機器の光学的および機械的構成に応じて、上述の透過光度測定によっても反射光度測定によっても測定することが可能である。
【0009】
光学光度測定法は、いくつかの最も一般的な実験室的凝固測定器を導き、凝固測定に対する現行の基準を提供する。新たに開発されたすべての技術が、光学光度測定法と比較される。凝血塊形成の光度判定は、比較的簡単であるが、試験に先立って、血液検体から血液細胞を除去することを必要とする。加えて、血漿検体を、凝固試薬で1:1または1:2の割合に希釈し、それをさらに光度測定分析に役立たせる。この検体調製工程(すなわち、血液の収集および保存と、それに続く血漿の分離)により、光度測定凝固試験は、適正に装備された実験室でしか実施することができない。
【0010】
糖尿病患者が家庭環境で定期的に実施する血糖監視などに関して、より多くの医療手順を患者の家庭に移そうとする保健医療における一般的傾向に従い、最近では、凝固時間の非実験室的測定のための方法およびデバイスが、開発されかつ商業化されている。プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)試験は、非実験室的、または家庭的形態で利用できる最も普及した試験である。これらの方法は、(指の穿刺によって得られた)毛管血液の比較的小さい検体に頼っている。献体のサイズが小さく、患者が血漿から細胞を分離できないため、家庭的方法では、凝血塊検出のための標準的で単純な光学光度測定手法は採用されない。その代わりとして、凝血塊形成のための様々な代替マーカが模索されてきたが、そのどれもが、分析的かつ/または商業的成功に至っているわけではない。
【0011】
特許文献によりいくつかの提案方法が提示され、献体の様々な電気特性、すなわち抵抗、インピーダンス、キャパシタンス、およびそれらの変形との相関が主張されている。電気測定は、応用が最も簡単な技術で、光度測定技術より簡単であるが、おそらく想定される結果を伝達するのに技術的欠陥があるため、どれも市場への導入に成功していない。Hemosense,Incが開発した、電気的手法の最近の電気化学的変形(例えば、米国特許第6046051号および6060323号)は、電気測定の問題を克服し、市場への導入に成功した。Roche(正式には、Boehringer;Basel、スイス)は、携帯測定装置での凝血塊形成の機械的検出を提示している。1つの測定装置は、血液検体に浸漬された磁性粒子の移動を追従することに基づくものである。他の測定装置は、透明毛管路の血液の移動を、それを通る赤血球の通過を観察することによって監視する。ITC(International Technidyne Corp,Edison,N.J.、USA)は、空気圧によって毛管を移動することに対する凝血の抵抗を測定することに基づいた、機械的な凝固測定器を提示している。後の2つの企業の測定装置または測定器は、極めて大きく、重く、かつ高価である。凝固時間測定のための全く異なる手法が、Avocet Medical,Inc(CA、USA)によって提示されている、同社は、蛍光原基質によってトロンビンの酵素活性を検出する化学反応に基づく試験を開発した(米国特許第5418141号)。
【0012】
これらの非光度測定法の欠点の1つは、それが光度測定法と同等であることを管理機関に対して証明する必要があることである。そのような同等性は、常に存在するとは限らない。
【0013】
背景技術は、光度測定を用いることによって、全血の凝固を検出するためのデバイス、システム、または方法を教示または示唆するものではない。背景技術は、簡単で使用が容易な当該デバイス、システム、および方法を教示または示唆するものでもない。背景技術は、易流動性の液体の凝固を検出することが可能な、当該光度測定デバイス、システム、および方法を教示または示唆するものでもない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、全血における凝固の光度測定検出のためのデバイス、システム、および方法を提供することによって、これらの背景技術の欠点を克服する。本発明は、実施および動作が容易である。また、本発明は、凝血を測定するための光度測定の利用についての所望の基準を満たすものと見なされるという利点を有する。また、本発明による全血検体に対する光度測定凝固試験デバイスは、家庭ユーザに対する医学的精度を確保すると同時に、構成が簡単である。本発明は、光度測定技術に準拠しているため、法的承認/認可をより容易に得ることができる。本発明は、例えば他の種類の凝固による、血液以外の易流動性の液体における移動の停止の試験に対しても有用である。
【0015】
本発明は、実装および動作が容易な光度測定デバイスを用いて、全無希釈血液検体における、凝血および/または凝血塊形成を検出できるという予想外の結果を提供する。光度測定の透過および反射の両方のモードを、場合によって用いることができる。
【0016】
凝固の光度判定は、光度測定による凝血事象の検出として説明されることができる。当該光度測定検出は、好ましくは、血液の移動、または凝固検出を目的として血液に添加された粒子もしくは他の対象物の移動を監視することを含まない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1つの任意の実施形態において、場合によって、乾燥した即使用可能形態の凝固試薬を含む、使い捨ての試験帯状中空デバイスの内側で光度測定を行うことができる。必要な血液の量を十分に小さく(マイクロリットルまたはその数分の一)して、患者に対する不快感および苦痛を低減するように、試験帯のサイズを小さくすることができる。次いで、場合によっては、かつ好ましくは低コストの低パワー光源および基本的な光センサを含むことができる、小さい携帯式測定器に試験帯を場合によって挿入することができる。あるいは、光源および感光デバイスを、チップ状にして使い捨ての試験帯に組み込むことで、ユーザインターフェースを向上させ、動作の容易さを高めることができる。場合によって、新規の信号解析手法を用いることによって、凝固時間の判定に要する時間を短縮できる。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態によれば、血液サンプルの凝固時間を測定するための方法であって、該サンプルの凝固時間より短い時間間隔で実施される方法が提供される。本発明の他の任意だが、好ましい実施形態は以下の通りである。本発明によれば、全無希釈血液における凝固を判定するための光度測定法が提供される。場合によって、この方法は凝固時間の判定に用いられる。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態によれば、無希釈全血のサンプルにおける凝固の光度測定検出のためのデバイスであって、
(a)無希釈全血のサンプルを収容する試験帯と、
(b)光が試験帯に投射されるように、光を放射する発光源と、
(c)光の量が無希釈全血の凝固状態に影響され、光の量に応じて凝固が判定されるように、試験帯からの光の量を測定するための光検出器とを備えたデバイスが提供される。
【0020】
好ましくは、試験帯は、無希釈全血のサンプルを収容するための反応チャンバを備え、反応チャンバにおける無希釈全血のサンプルの深さは約10mm未満である。
【0021】
より好ましくは、該深さは約1mm未満である。
【0022】
最も好ましくは、該深さは約0.1mm未満である。
【0023】
場合によって、光検出器は、サンプルからの光の反射率散乱、サンプルの光の透過、サンプルの光の透過率散乱、またはサンプルによる光の吸収のうちの少なくとも1つを測定する。好ましくは、光検出器は、サンプルの光の透過、サンプルの光の透過率散乱、またはサンプルによる光の吸収のうちの少なくとも1つを測定し、光検出器がサンプルから少なくとも1つの壁の反対側に配置されるように、反応チャンバの少なくとも1つの壁が、少なくとも部分的に透明である。
【0024】
場合によっては、かつ好ましくは、血液のサンプルは、力によって反応チャンバに入る。より好ましくは、該力は、毛管力、重力、真空、圧力、電気、内方浸透、浸透圧、疎水、親水もしくは遠心力、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。最も好ましくは、該力は、重力および毛管力のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、デバイスは筐体をさらに含み、発光源および光検出器が筐体内に含まれ、試験帯が筐体に挿入される。
【0026】
あるいは、デバイスは、筐体と少なくとも1つの光導体とをさらに含み、発光源および光検出器が筐体内に含まれ、発光源からの光が、少なくとも1つの光導体を通って試験帯に伝達され、試験帯からの光が、少なくとも1つの光導体を通って光検出器に伝達されるように、少なくとも1つの光導体の少なくとも第1の部分が筐体内に含まれ、少なくとも1つの光導体の少なくとも第2の部分が筐体から突出する。
【0027】
あるいは、デバイスは、筐体と少なくとも1つの光導体とをさらに含み、発光源および光検出器が筐体内に含まれ、発光源からの光が、少なくとも1つの光導体を通って試験帯に伝達され、試験帯からの光が、少なくとも1つの光導体を通って光検出器に伝達されるように、少なくとも1つの光導体の少なくとも第1の部分が筐体内に含まれ、少なくとも1つの光導体の少なくとも第2の部分が試験帯内に配置される。
【0028】
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、光検出器および発光源が、試験帯に取りつけられる。
【0029】
好ましくは、凝固状態は、サンプルの凝固レートに応じて判定される。より好ましくは、凝固レートは、偏向点、比率、およびレート比率のうちの少なくとも1つに応じて判定される。
【0030】
場合によって、凝固状態は、凝固時間に応じて判定される。
【0031】
好ましくは、発光源は、ランプ(白熱、ネオン等)または固体発光デバイス/チップのうちの少なくとも1つを備える。より好ましくは、固体発光デバイス/チップは、LED(発光ダイオード)、LASER、およびエレクトロルミネッセンスデバイスよりなる群から選択される。
【0032】
好ましくは、光検出器は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトセル、ダーリントンフォトトランジスタ、またはフォトマルチプライヤのうちの少なくとも1つを含む。より好ましくは、光検出器はフォトダイオードを備える。
【0033】
好ましくは、デバイスは、周囲温度で凝固を測定するように動作可能である。また、好ましくは、デバイスは、温度測定構成要素を含む。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、デバイスは、キットとして提供される。より好ましくは、キットは、医学的訓練を受けていない人員、患者、専門外もしくは素人、または家庭もしくは実地環境における任意の人物のいずれか一人または複数人によって、使用されるように構成される。場合によっては、かつより好ましくは、キットは携帯式である。
【0035】
本発明の他の実施形態によれば、無希釈全血のサンプルにおける凝固を光度測定するための方法であって、
サンプルの凝固を測定するためのデバイスを設け、デバイスは、測定のためのサンプルを収容するための反応チャンバを有する試験帯を備え、反応チャンバ内のサンプルを通る光路は、約10mmであること、
サンプルの凝固レートおよび凝固時間の少なくとも一方を測定することとを含む方法が提供される。
【0036】
好ましくは、凝固レートは、サンプル内の凝固時間を判定するために測定され、凝固レートを測定するための時間は、ほぼ凝固時間より短い。
【0037】
本発明の他の任意の実施形態によれば、無希釈全血のサンプルにおける凝固を光度測定するためのシステムであって、
(a)上述のデバイスと、
(b)デバイスによる測定の結果をユーザに提供するための少なくとも1つの出力デバイスとを備えたシステムが提供される。出力デバイスは、場合によって、印刷デバイス、表示デバイス、および遠隔位置に伝送するための伝送デバイスよりなる群から選択される。
【0038】
本発明の他の任意だが、好ましい実施形態によれば、血液における凝集の判定にも本発明を用いることができる。本発明の目的に応じて、「凝集」という用語は、好ましくは、粒子または細胞(例えば赤血球)が集合して、例えば特定の抗体に対する血清反応としての凝集塊になる反応または過程を含む。したがって、血液凝集は、好ましくは、血液細胞、特に赤血球の凝集を含むことができる。血液凝集は、細胞に向けられた抗体によって生じうる。以降、特に指定のない限り、「凝固」という用語は、少なくとも本発明によるデバイス、システム、および方法の動作に関して、血液凝集を含むものとする。
【0039】
本発明によれば、無希釈全血のサンプルにおける凝固の光度判定のためのデバイスであって、
(a)無希釈全血のサンプルを収容するための試験帯と、
(b)光が試験帯に投射されるように、光を放射するための発光源と、
(c)光の量が無希釈全血の凝固状態に影響され、光の量に応じて凝固が判定されるように、試験帯からの光の量を測定するための光検出器とを備えたデバイスが提供される。好ましくは、試験帯は、無希釈全血のサンプルを収容するための反応チャンバを備え、反応チャンバにおける無希釈全血のサンプルの深さは、約10mm未満である。より好ましくは、該深さは約1mm未満である。最も好ましくは、該深さは約0.1mm未満である。
【0040】
場合によっては、かつ好ましくは、光検出器は、サンプルからの光の反射率散乱、サンプルの光の透過、サンプルの光の透過率散乱、またはサンプルによる光の吸収のうちの少なくとも1つを測定する。より好ましくは、光検出器は、サンプルの光の透過、サンプルの光の透過率散乱、またはサンプルによる光の吸収のうちの少なくとも1つを測定し、光検出器が、サンプルから少なくとも1つの壁の反対側に配置されるように、反応チャンバの少なくとも1つの壁が少なくとも部分的に透明である。
【0041】
場合によって、血液のサンプルは、力によって反応チャンバに入る。好ましくは、該力は、毛管力、重力、真空、圧力、電気、内方浸透、浸透圧、疎水、親水もしくは遠心力、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。より好ましくは、該力は、重力および毛管力のうちの少なくとも1つを含む。
【0042】
場合によっては、かつ好ましくは、デバイスは、筐体をさらに備え、発光源および光検出器が筐体内に含まれ、試験帯が筐体に挿入される。
【0043】
あるいは、デバイスは、筐体と少なくとも1つの光導体とをさらに備え、発光源および光検出器が筐体内に含まれ、発光源からの光が、少なくとも1つの光導体を通って試験帯に伝達され、試験帯からの光が、少なくとも1つの光導体を通って光検出器に伝達されるように、少なくとも1つの光導体の少なくとも第1の部分が、筐体内に含まれ、少なくとも1つの光導体の少なくとも第2の部分が、筐体から突出する。
【0044】
あるいは、デバイスは、筐体と少なくとも1つの光導体とをさらに備え、発光源および光検出器が筐体内に含まれ、発光源からの光が、少なくとも1つの光導体を通って試験帯に伝達され、試験帯からの光が、少なくとも1つの光導体を通って光検出器に伝達されるように、少なくとも1つの光導体の少なくとも第1の部分が、筐体内に含まれ、少なくとも1つの光導体の少なくとも第2の部分が、試験帯内に配置される。
【0045】
場合によっては、かつ好ましくは、光検出器および発光源が試験帯に取りつけられる。
【0046】
また、好ましくは、凝固状態は、サンプルの凝固レートに応じて測定される。より好ましくは、凝固レートは、偏向点、比率、およびレート比率のうちの少なくとも1つに応じて測定される。
【0047】
好ましくは、凝固状態は、光の量が所定の値に達する時間に応じて検出される。
【0048】
また、好ましくは、凝固状態は、試験帯が無希釈全血のサンプルを収容した後で取得された複数の光測定値の変化の比率に応じて検出され、該変化の比率は、サンプルの凝固時間に比例する。より好ましくは、試験帯は反応チャンバを備え、該変化の比率は、血液が反応チャンバに進入したときの最初の光測定値に少なくとも部分的に応じて判定される。また、より好ましくは、該変化の比率は、トリガリングアルゴリズムに従って測定された最初の光測定値に少なくとも部分的に応じて判定される。最も好ましくは、トリガリングアルゴリズムは、所定の閾値を越える光の量の変化を検出するように動作する。また、最も好ましくは、該変化は、血液が試験帯に加えられた後に判定される。
【0049】
場合によっては、かつ好ましくは、凝固状態は、凝固時間の定量判定に応じて検出される。より好ましくは、定量判定は、光の量の値または大きさの少なくとも一方に応じて行われる。また、より好ましくは、定量判定は、基準値を基準とする。最も好ましくは、基準値は、サンプルの一部を収容するための制御反応チャンバ、または実質的に凝固過程が開始される前のサンプルによる最初の光測定値の少なくとも一方を含む。
【0050】
場合によって、発光源は、ランプ(白熱、ネオン等)または固体発光デバイス/チップの少なくとも一方を備える。好ましくは、固体発光デバイス/チップは、LED(発光ダイオード)、LASER、およびエレクトロルミネッセンスデバイスよりなる群から選択される。
【0051】
場合によっては、かつ好ましくは、光検出器は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトセル、ダーリントンフォトトランジスタ、またはフォトマルチプライヤのうちの少なくとも1つを含む。より好ましくは、光検出器はフォトダイオードを備える。
【0052】
好ましくは、デバイスは、周囲温度で凝固を測定するように動作可能である。また、好ましくは、デバイスは、温度測定構成要素を含む。
【0053】
本発明の他の任意だが、好ましい実施形態によれば、本明細書に記載されている特性のいずれかまたは組合せを有する、本発明によりデバイスは、キットとして提供される。好ましくは、キットは、医学的訓練を受けていない人員、患者、専門外もしくは素人、または家庭もしくは実地環境における任意の人物のいずれか一人または複数人によって使用されるように構成される。また、好ましくは、キットは携帯式である。
【0054】
好ましくは、キットまたはデバイスにより少なくとも凝集が測定される。
【0055】
場合によっては、かつ好ましくは、デバイスは、暗光背景を特徴とする。
【0056】
本発明の他の実施形態によれば、無希釈全血のサンプルにおける凝固を光度測定するための方法であって、
サンプルの凝固を測定するためのデバイスを設け、デバイスは、測定のためのサンプルを収容するための反応チャンバを有する試験帯を備え、反応チャンバ内のサンプルに関する光路は約10mm未満であること、
サンプルに光を透過させること、およびサンプルから光を反射させることのうちの少なくとも一方を行うこと、および
透過または反射光の少なくとも一方に応じて、サンプルの凝固レートおよび凝固時間の少なくとも一方を測定することを含む方法が提供される。
【0057】
好ましくは、凝固レートは、サンプルにおける凝固時間を判定するために測定され、凝固レートを測定するための時間は、ほぼ凝固時間より短い。
【0058】
場合によって、少なくとも凝集が測定される。
【0059】
好ましくは、該方法に使用されるデバイスは、本明細書に記載されているデバイスの特性のいずれかまたは組合せを有する。
【0060】
本発明のさらに他の実施形態によれば、全無希釈血液における凝固を判定するための光度測定方法が提供される。好ましくは、該方法は、凝固時間の判定に用いられる。
【0061】
本発明のさらに他の実施形態によれば、全無希釈血液における凝集を判定するための光度測定方法が提供される。
【0062】
本発明の他の実施形態によれば、血液サンプルの凝固を判定するための方法であって、サンプルの凝固時間より短い時間間隔で実施される方法が提供される。
【0063】
本発明のさらに他の実施形態によれば、無希釈全血のサンプルにおける凝固を光度測定するためのシステムであって、
(a)本明細書に記載されているデバイスと、
(b)デバイスによる測定の結果をユーザに提供するための出力デバイスとを備えたシステムが提供される。場合によっては、かつ好ましくは、出力デバイスは、印刷デバイス、表示デバイス、および遠隔位置に伝送するための伝送デバイスよりなる群から選択される。
【0064】
本明細書において、説明のみを目的とし、限定することを意図することなく、いくつかの用語について以下に述べる。
【0065】
「無希釈血液」という用語は、試験の前も最中も、血液の2倍または3倍の希釈をもたらしうる凝固試験の試薬のような液体を含む全血以外の液体を加えることによって希釈されていない血液検体を意味する。しかし、小数単位の体積(約10%)の全血防腐または抗凝固液の添加を、本発明による希釈と見なさないのが好ましいことに留意されたい。したがって、約10%または小数単位の希釈をもたらすクエン酸で防腐された全血は、本発明の目的に応じて、場合によっては、かつ好ましくは希釈されている血液とは見なされない。
【0066】
以降、「凝塊」言う用語と「凝固」という用語は、特に指定のない限り、区別なく用いられる。
【0067】
本明細書では、添付の図面を参照しながら例示のみを目的として本発明を説明する。ここで詳細な図面を具体的に参照すると、そこに示される詳細は、例示、および本発明の好ましい実施形態の例示的説明のみを目的としており、本発明の原理および概念態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供する目的で提示されている。この点において、本発明を根本的に理解するのに必要である以上に、詳細に本発明の構造的詳細を示す意図はなく、図面を参照しながら説明を読めば、本発明のいくつかの形態を実際にどのように実施できるかを当業者なら理解するであろう
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
本発明は、全血における凝固の光度測定検出のためのデバイス、システム、および方法に関する。本発明は、実施および動作が容易である。また、本発明は、凝血を測定するための光度測定の利用についての所望の基準を満たすものと見なされるという利点を有する。また、本発明による全血検体に対する光度測定凝固試験デバイスは、家庭ユーザに対する医学的精度を確保すると同時に、構成が簡単である。本発明は、例えば抗体との血清反応の結果としての血液凝集の検出および判定にも有用である。
【0069】
血液検体(またはサンプル、本発明ではこれらの用語を区別なく用いることができることを注記する)からの光の反射率散乱、検体の光の透過、検体の光の透過率散乱、または検体による光の吸収によって、凝固反応の光度測定を実現することができる。凝固検体と、例えば全無希釈血液などの非凝固検体との光度測定差は、場合によって、検体容器、光源、光背景、およびセンサ空間配置の特定の実装形態を採用することにより、本発明の好ましい実施形態によって向上されうる。以降、「容器」という用語は、検体を収容するための任意のデバイスまたは容器であるとともに、好ましくは、以下により詳細に説明する帯または試験帯を含むデバイスまたは容器を示す。
【0070】
場合によっては、かつ好ましくは、非常に小さい体積(マイクロリットル範囲)の血液に対して本発明を用いることで、本発明は、抗凝固療法を受ける患者の利益のために、家庭用凝固監視システムの基礎を成すことができる。したがって、本発明は、凝血に要する時間を判定する役割を果たすことができ、場合によって、プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)試験を含むが、それらに限定されない、凝固タイミングに基づく任意の医療試験に対して実施できる。本発明を、場合によって、任意の種類の凝集試験に用いることもできる。
【0071】
本発明の任意だが、好ましい実施形態によれば、デバイスは、場合によっては、かつ好ましくは、血液検体を収容するための容器を特徴とする。容器は、好ましくは、場合によって少なくとも1つの検体用入口を有するチャンバを特徴とする。チャンバは、場合によって、任意の中空構造および/または空洞および/または器として実装されうる。チャンバは、好ましくは、凝固時間を判定するのに必要な試薬を、より好ましくは乾燥した形で含む。「含む」という用語は、チャンバが試薬で被覆されうることも意味する。例えば凝固などの反応がチャンバ内で発生すると、場合によってそれを反応チャンバと呼ぶことができる。容器は、場合によって、「試験帯」または「帯」として実装することができ、好ましくは単一使用に向けられる(すなわち使い捨てである)。本発明の試験帯または帯は、場合によって任意の形状または幾何学的配置をとることができる。
【0072】
例えば血液などの検体を、容器としての試験帯の好ましい実施形態に導入または塗布する。試験帯は、例えば検体が場合によって帯を被覆する、かつ/または別の選択肢として任意の入口を通じて帯の中空構造体に進入することを可能にすることによって、検体を収容する。いずれの場合も、検体は、乾燥試薬があればそれと混合されるのが好ましい。中空構造体は、場合によって、空気の閉込めを回避することにより、中空構造体から空気を排除することによって、検体の円滑な進入を促すための出口を有することができる。当該空気の排除を可能にするための出口が存在しない場合は、閉じ込められた空気が、液体検体またはサンプルの進入を遅くする、または完全に阻止することになる。出口は、任意に様々な形状および大きさで実装されうる。小さい(例えばミクロン範囲の直径の)出口開口は、その大きさおよび相対的幾何学配置により、それだけで空気(気体)流通を可能にするとともに、血液などの水性溶液の流通を停止することができる。あるいは、場合によって、出口を、疎水性の多孔膜、網目、または、織布もしくは不織布で覆うこともできる。場合によって入口と出口の両方を容器の異なる位置に配置することができ、場合によって、例えば側方、上方または下方などの、容器自体の方向に対して様々な方向に向けることができる。
【0073】
場合によっては、かつ好ましくは、容器は、例えば容器の外側とチャンバとの間、または場合によってチャンバ間で、血液検体などの液体を輸送するための構造体である導管を特徴とする。場合によって、気体を輸送する、または真空の生成を可能にするように、導管を実装することもできる。導管は、場合によって中空であってもよい。
【0074】
また、場合によっては、かつ好ましくは、容器(または容器の反応チャンバ)の壁の少なくとも一部分、より好ましくは壁全体が、検体の凝固および/または凝集の光度測定を可能にするために、部分的に透明または半透明である。この任意の実施形態では、光検出器またはセンサは、好ましくは、検体(サンプル)から当該壁の反対側に配置される。
【0075】
容器は、光度測定を実施するように、好ましくは測定器に連通する(ただし、物理的に接触しているとは限らない)。測定器は、光センサまたは検出器の非限定的な例である。光度測定では、光透過、または反射率散乱、または透過率散乱、または吸収によって、容器内で生じる血液の凝固を容易に検出することができる。測定器は、透過する、かつ/または容器によりまたは容器から、反射かつ/または散乱する光を測定するための機器を含む。場合によっては、かつ好ましくは、測定器は、光の測定からいくつかのパラメータを計算することが可能である。血液の例示的な非限定例に関して、測定器は、好ましくは、光測定に基づいて凝固時間を計算することが可能である。場合によっては、かつ好ましくは、測定器は、光源、測光回路、処理回路、およびディスプレイを含むことができる。家庭での使用に向けて設計された測定器は、好ましくは携帯式、すなわち比較的小さく軽量で、場合によって電池で電力供給される。測定器は、場合によって、プリンタまたは電話などの外部デバイスに対する接続部を含むこともできる。測定器は、好ましくは、多数回の使用に向けられるが、場合によって使い捨てであってもよい。
【0076】
測光のための測定器の動作は、場合によっては、かつ好ましくは、損失が最小限で、好ましくは構造体の外側の周囲光に影響されることなく、2つまたはそれ以上の点の間で、光を伝達するように構成された構造体である光導体によって支援される。光導体は、全内部反射の原理に基づいて動作する。
【0077】
本発明の任意だが、好ましい実施形態によれば、容器は、場合によって、試験管または平坦な試験帯を含むが、それに限定されない様々な形状をとることができる。容器内のチャンバの形状は、例えば試験管状容器については、場合によって容器全体の形状に対応してもよく、あるいは例えば試験帯については、場合によって異なっていてもよい。例えば、試験帯については、チャンバは、試験帯の形状、例えば矩形、丸形、または屈曲形に対応していてもよい(試験帯におけるチャンバの異なる例示的な形状については図1を参照のこと)。チャンバの断面形状および/または輪郭は、矩形、丸形、または他の任意の形状とすることができ、システムの光学的設計要件によってはそれらの組合せを含むことができる。
【0078】
デバイスの他の実施形態において、容器は、場合によって2つ以上のチャンバを有することができる。さらなるチャンバは、場合によって、例えば制御反応チャンバとして機能できる。例えば、凝固反応チャンバが乾燥凝固試薬を含み場合は、制御チャンバは、場合によって、試薬を一切含まなくてもよいし、例えば塩または界面活性剤を含むが、それに限定されない非反応性成分を含んでいてもよい。したがって、試験の信頼性を向上させ、かつ異なる検体間の光学的挙動のばらつきを補償するために、場合によって、制御チャンバと反応チャンバでの血液の光学活性を比較することができる(図2を参照のこと)。
【0079】
容器は、好ましくは、乾燥した形の凝固試薬(および/または他の種類の試薬)を特徴とする。完全容器の製造において、試薬溶液を、完全に組立てられた容器に投入かつ/または配置し、比較的長時間にわたって乾燥することもできるし、場合によっては、組立てられていないまたは部分的に組立てられた(開放)デバイスに分配し、乾燥することもできる。第1の製造手法(完全に組立てられたデバイスの乾燥)は、より遅くてもよく、より高い乾燥温度を必要としてもよいが、反応チャンバの壁上の乾燥試薬を潜在的により均一にするものであってもよい。
【0080】
血液または他の検体は、毛管力、重力、真空、圧力、電気、内方浸透、浸透圧、疎水、親水もしくは遠心力、またはそれらの組合せ、または他の力を用いることによって、チャンバに進入することができる。重力および毛管力に支援された進入は、実施が最も簡単であるため好ましい。
【0081】
前述したように、本発明は、透過または反射光度測定で実施されうる。透過光度測定では、反応および制御チャンバの少なくとも2つの対向壁が、好ましくは、光を透過することが可能である(すなわち、少なくとも部分的に透明または半透明である)が、必ずしも透明(すなわち完全に透明)ではない。光路の長さ、すなわちその光の吸収が測定される血液または他の検体の層の厚さは、場合によっては、かつ好ましくは、標準的な光度測定キュベットの厚さより小さい、すなわち場合によっては、かつ好ましくは約10mmより小さい。好ましくは、光路は長さが約1mm未満で、より好ましくは長さが約0.25mm未満である。光源には場合によって白色光を採用できるが、例えば緑色光などの特定の光色(スペクトル)は、血液の場合は感度の向上をもたらすことができる。単色光は、特定性の向上をもたらすことができるが、本発明は、場合によって単色光を使用せずに実施されうる。全無希釈血液の透過光度測定による凝固の判定において、凝固血液は、非凝固血液より多くの光を吸収する。
【0082】
透過率または透過度は、(例えば血液などの)媒体を透過(または通過する)光の量として説明されることができる。媒体が光透過性を有さなければ、光の一部が吸収される。理想的な状況において、媒体が光学的に透明であるときに、入射光が媒体の表面に対して垂直に放射される場合は、光の透過部分が同じ角度で発生する。
【0083】
しかし、より一般的には透過散乱が生じる。入射光が媒体に対して垂直に放射されると、無作為に向けられる、すなわち垂直でない角度で向けられる透過光の量または部分は、透過散乱を表す。透過散乱は、通常は、媒体が濁っているとき、または例えば全血に伴う状況のように、光反射粒子を含むときに生じる。
【0084】
反射散乱光度測定では、反応および制御空洞の少なくとも1つの壁は、場合によっては、かつ好ましくは、少なくとも部分的に透明である。反射率または反射は、光が入射する表面から跳ね返る、または反射する光である。跳ね返る光の量は、表面の光学的特性に応じて変化しうる。表面が光学的に少なくとも部分的に透明またはクリアであれば、反射光の少なくとも一部は、その表面の背後に配置された物質によって反射される。理想的な状況において、入射角は反射角と等しい。しかし、より一般的には、無作為に向けられる、すなわち入射角ではない角度で向けられる反射光の量または一部である反射散乱または反射率散乱が生じる。散乱は、入射光が、それぞれ光を異なる方向に反射させる「鏡」として作用する、媒体(例えば血液)内の無作為に向いた粒子または構造体から反射されるときに生じうる。
【0085】
凝固監視に反射光度測定が用いられるときは、血液の層の厚さ、および血液の背後の面または光背景の色が、凝固血液と非凝固血液との間のコントラストに大きな影響を及ぼす。光背景は、場合によって、検体の背後、およびそれを通じて例えば血液などの検体の反射率散乱が、測定または検出される少なくとも部分的に透明な面の反対側に配置される反応チャンバ内の面である。光背景は、場合によって、容器の「背壁」を含むこともできる。背壁自体が、少なくとも部分的に透明であれば、背壁の背後の面は光背景を含む。光背景は、場合によって、凝固血液と非凝固血液との間の反射散乱のコントラストを増強するために用いられる。配置にかかわらず、光背景は、コントラストを増強することができる。
【0086】
血液を検体として具体化するための本発明の好ましい実施形態によれば、好ましくは少なくとも約0.01mm、より好ましくは少なくとも約0.1mm、最も好ましくは少なくとも約0.2mmの血液層の厚さ、および黒色光背景は、良好なコントラストを与えるが、場合によって他の厚さと光背景色の光学的組合せを用いてもよい。
【0087】
予想外に、黒色または暗色の光背景は、反射に基づくの凝固検出の向上をもたらすことが確認されており、当該所見は背景技術によって教示されている。したがって、米国特許第5986754号は、サンプルの光特性の変化の検出を促すために、フレネル反射器の形の光度反射背景を主張している。米国特許第6189370号、5789664号、5710622号、および5522255号は、生体液の特性を測定するための光背景を主張している。血液凝固の反射光度測定において、凝固血液は、非凝固血液より多くの光を反射する。
【0088】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、赤色光は、凝固血液と非凝固血液との間により良好なコントラストを生じるため、赤色光は、青色、緑色、または白色光より無希釈血液における凝固の反射率散乱検出に適していると思われる。コントラストは、場合によって、照射角がより小さい(すなわち入射光角度がより垂直に近い)ときにも向上する。
【0089】
試験帯は、表面に接着剤を有するまたは有さない平坦なフィルムから製造でき、この平坦なフィルムは、場合によって、好ましくは適切な寸法に型抜きされ、または打ち抜かれ、コンバーティングの技術分野でよく知られている様々な技術によってアセンブルされる。あるいは、試験帯全体、またはそのパーツを射出成形によって作製することができる。パーツ成形の場合は、超音波または熱接着を含むが、それに限定されない様々な方法によってアセンブリを遂行できる。さらに他の変形形態では、打抜きによって、平坦なポリマー材料にチャンバを形成することができる。試験帯は、場合によって、プラスチック樹脂、ガラス、金属、紙、およびそれらの派生物を含むが、それらに限定されない様々な材料から製造できる。
【0090】
前述したように、好ましくは、光に対する凝固試験帯の影響を、検出し、かつ/または本発明の他の実施形態の特徴である補足的な測定器によって測定する。測定器は、好ましくは、発光源および感光構成要素(光検出器)を含む。感光構成要素の機能は、その感光面に入射した光の量を、他の物理的単位、または光の強さに関する情報の形態に変換することである。測定器は、場合によって、光測定値を情報に変換する1つまたは複数の処理回路、ならびに問題の検体の凝固に関する情報を表示する任意だが、好ましいディスプレイを含むこともできる。場合によって、測定器に電池で電力供給して、携帯式にすることができる。光源は、場合によって、任意の種類のランプ(白熱、ネオン等)、あるいはLED(発光ダイオード)、LASERチップ、エレクトロルミネッセントデバイス、または他のデバイスのような固体発光デバイス/チップであってもよい。低コスト、低電力、耐久性、大きさ、および利用可能な放射色の観点から、LEDが好ましい。
【0091】
感光構成要素は、場合によって、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトセル、ダーリントンフォトトランジスタ、フォトマルチプライヤ、および他の増幅または非増幅光検出デバイスのような、広く入手可能なデバイスのいずれかであってもよい。ダーリントンフォトトランジスタは、高インピーダンスのダーリントン構成で入力トランジスタとしてフォトトランジスタに結合される、2つの別個のトランジスタで構成される。ダーリントンフォトトランジスタは、増幅回路を含む多くの種類の光センサの1つである。本発明の感光構成要素は、増幅回路を特徴とするデバイスおよび増幅回路を特徴としないデバイスを含む、光を感知するための任意の種類のデバイスを場合によって含むことができる。
【0092】
フォトダイオードは、可用性の広さ、低コスト、小サイズ、および耐久性の観点から好ましいデバイスの1つである。フォトダイオードの感度は、本発明の目的に十分対応している。
【0093】
フォトダイオードは、電気抵抗の変化で光に応答する。回路設計者は、さらなる処理を目的として、通常フォトダイオード抵抗を電圧に変換する。この変換は、場合によって、測定器の追加的な回路構成要素によって遂行できる。あるいは、集積増幅回路を有するフォトダイオードを含む増幅ダイオードを用いることができる。当該デバイスは、デバイスに当たる光の量に比例した大きさの電圧信号を発する。測定器は、好ましくは、光検出回路から受け取った信号を収集し、かつ例えばタイミング回路に基づいて凝固時間を導く、マイクロプロセッサなどの処理回路を含む。測定器は、場合によって、結果を示し、かつユーザに指示を与える表示部を特徴とすることもできる。場合によって測定器に付加することのできる他の出力デバイスとしては、1つまたは複数のプリンタ、プリンタインターフェース、例えば患者の医師に対して結果を伝送するための電話接続、およびコンピュータインターフェースが挙げられるが、それらに限定されない。一括して、測定器と容器と1つまたは複数の外部デバイスとの組合せは、場合によって本発明によるシステムを形成することができる。測定器は、場合によって、カレンダおよび/または時計、ならびに結果を記憶し、かつ結果を試験日と相関させるメモリを有することができる。
【0094】
場合によっては、かつ好ましくは、測定器は、反応チャンバの少なくとも部分的に透明な壁が、測定器の発光および光検出デバイスとともに光路内におさまるように、例えば凝固試験帯などの容器を受け取り、かつ/または該容器と連絡するための受け器を有する。透過光度測定の場合は、これらのデバイスは、放射光が、感知構成要素(例えばフォトダイオード)によって感知されるように、反応チャンバを横断し、試験帯の他の側から出るように、好ましくは試験帯の反対側に配置される(関連構成図として図3を参照のこと)。
【0095】
反射率散乱光度測定の場合は、発光デバイスと光検出デバイスの双方が、好ましくは試験帯の同じ側に配置され、同じ領域に面する(構成図として図4を参照のこと)。通常、光学設計者は、図4に示されるように、光源を試験面に対して垂直以外の角度で配置し、光検出デバイスを該面に垂直に配置するのを好む。しかし、両デバイスを90°でない角度に配置することが可能である。そのような場合、例えばデバイスを異なる角度で配置し、かつ/または偏光フィルタを光検出器の前に配置することによって、試験帯の外面からの光反射の影響を最小限にするのが好ましい。反射光は偏光し、適正に配置された偏光フィルタに吸収されうるが、散乱光は偏光せず、偏光フィルタに完全に吸収されない。
【0096】
測定器は、場合によって、周囲光および望ましくない反射の影響を最小限にし、かつ凝血の光改質効果に対する感度および選択性を最大にする目的で、追加的な光活性デバイス/構成要素を含むことができる。当該デバイスとしては、フィルタ(例えばカラーフィルタ、偏光フィルタ、および干渉フィルタ)、レンズ、マスク、開口、シールド、シャッタ、およびシールが挙げられるが、それらに限定されない。加えて、かつ場合によって、測定器は、周囲温度を測定し、かつ結果に対して温度補償を行う、または極端な温度でのシステムの使用を防ぐために、温度センサを含むことができる。さらに他の実施形態において、測定器は、場合によって、かつ好ましくは、試験帯を、標準的な凝固時間試験手順の温度である37℃に維持する加熱構造体を含む。当該試験は、例えばPCT出願第WO99/47907号に示されるように、結果に悪影響を及ぼすことなく室温でも実施されうるものと考えられる。
【0097】
本発明の任意だが、好ましい実施形態によれば、試験帯の入口が測定器の表面に近接しているために、患者の血液などの検体が測定器を汚染する可能性を最小限にするために、好ましくは、試験帯の長さを長くし、検体用導管を入口と反応チャンバとの間に設ける。より長い導管の潜在的な欠点としては、検体体積が増加すること、応答が遅くなること、検体体積が不十分であることによって失敗の可能性が高くなることのうちの1つまたは複数を挙げることができる。場合によって、試験帯および測定器の構成における以下の実施形態により、これらの潜在的な欠点を緩和または排除することができる。
【0098】
1つの任意だが、好ましい実施形態において、測定器の発光および光検出デバイスは、好ましくは、光導体によって試験帯上の適切な位置に光接続される。光導体は、光学的に透明な材料で作製される場合は、場合によって、光ファイバで構成されるか、または試験帯の本体の一体部分として設計されうる。したがって、空気を基準として好適な屈折率を有する、場合によって様々な断面形状(好ましくは丸形)を有し、透明材料で構成される棒状ピースは、場合によって光導体として機能することができる。例えば金属層などの光反射層から形成された、光導体の表面に対するカバーであるクラッドによって、光導体の光伝達効率をさらに向上させることができる。当該構成は、血液導管の長さを長くせずに、構成される試験帯の長さを長くすることを可能にする。
【0099】
試験帯構造の任意だが、好ましい代替的な実施形態において、発光および感光デバイスを、場合によっては、かつ好ましくは、試験帯自体に組み込み、結合させ、かつ/または埋め込む。場合によっては、かつ好ましくは、それらのデバイスは、試験帯の構造がそれらのカバーを提供するように、「裸チップ」の形で試験帯に埋め込まれる。フォトダイオード、ダイオード、およびLED等の固体デバイスは、固体「チップ」および「パッケージ」で構成される。パッケージは、しばしば活性チップよりはるかに大きい。本発明の目的では、裸のチップを使用することが可能である。したがって、場合によっては、かつ好ましくは、LEDチップおよびフォトダイオードチップを、本発明に対する試験帯における単一パッケージにアセンブルすることで、コストを節約し、サイズを縮小できる。
【0100】
本実施形態において、試験帯は、発光および光検出チップの導電体を介して測定器に接続される。発光チップのための電源、およびフォトダイオードチップのための増幅回路は、好ましくは測定器の内側に配置され、より好ましくは単一使用されない。単一反応チャンバを有する試験帯の場合は、導電体の数は、好ましくは、グルコースセンサ試験帯に類似している、両チップに対する共通のアース、および各々に対する個別のアノードを含む3つの導電体に限定される。追加的な反応または制御チャンバは、1つの追加的な導電体を必要とする。
【0101】
前述のように、好ましくは測定器に含まれるマイクロプロセッサは、全試験システムに対して、(a)光源制御、(b)タイミングのトリガリング、(c)光測定データから凝固時間を判定するためのアルゴリズムなどの制御および解析機能を提供する。
【0102】
本発明の好ましい発光デバイス、すなわちLEDは、温度の影響を受け、温度の上昇とともに発光量がわずかに減少する。LED自体が、動作に際してある程度の熱を生成する。場合によって、様々なアルゴリズムを実装して、光出力のばらつきを最小限にする、または排除することができる。最も簡単な手法は、LEDに連続的に電力供給することである。一定時間後に、LEDの温度が安定するため、光出力も安定する。この時間期間は、場合によって秒単位の範囲であってもよい。制御アルゴリズムは、空の試験帯からの光出力を連続的に測定することができ、好ましくは、光のレベルが一定になったとき、または少なくとも測定に向けて十分安定したときに限って、ユーザに血液検体(または他の検体)を加えるように指示する。代替的な手法は、LEDに断続的に(周期的に)電力供給することである。それにより、LEDは加熱されず、その発光が一定に維持される。そのような手法では、試験帯から反射される光、または試験帯を透過する光の抽出も、断続的に行うのが好ましい。抽出レートは、求められる凝固時間分解能を与えるのに十分高いことが好ましい。
【0103】
凝固時間調整機能をトリガするためのアルゴリズムは、比較的簡単であるのが好ましい。このアルゴリズムの例示的な任意の実装によれば、制御アルゴリズムが、ユーザに血液検体を加えるように知らせた(かつ/またはユーザが、例えばデバイスのボタンを押すことによって検体を加えたことを知らせた)後に、アルゴリズム(またはこのアルゴリズムを実装するソフトウェア)は、好ましくは直ちに(または少なくともその後すぐに)、フォトダイオード(または他の光センサ)に、好ましくは連続的な光の測定値を採取または受領することによって、検出光レベルを監視させる、または監視するように指示する。血液が入ると、光の量は、血液が反応チャンバに入ったことを検出することが可能になるように、変化の少なくとも所定の閾値に対して著しく変化(増加または減少)する。当該閾値は、当該技術分野における技術に従って、特定のデバイスに対して発見的方法で容易に求めることが可能である。したがって、経過時間またはタイミング全般の測定が開始される。反射率散乱の場合は、血液が反応または制御チャンバに入ると、測定光の値が急激に上昇し、この上昇は、場合によってタイミング機能の開始を知らせる。逆に、透過モードの動作の場合は、光検出デバイスによって検出される光の量は、血液が入ると急激に低下すると予想される。したがって、場合によっては、かつ好ましくは、トリガリングアルゴリズムは、所定の閾値に対する光の量の変化を検出するように動作する。
【0104】
個々の光の測定値からの検体の凝固時間の偏差は、より困難な課題である。本発明のそれぞれ異なる例示的であるが、好ましい実施形態は、主たる3つの手法、すなわち動力学的手法、比率手法、および定量的手法を含む。
【0105】
凝固時間の動力学的測定
動力学的方法では、アルゴリズムは、光測定値の変化レートから凝固反応の状態を判断する。動力学的手法の長所は、基準または対照反応を必要としないことである。よって、動力学的アルゴリズムに対する試験帯は、場合によって単一の反応チャンバを含むことができるため、必要な血液検体をより小さくできるとともに、この構成は、充填段階においてより信頼できるものであるといえる。
【0106】
凝固反応レートは、試薬を含む反応チャンバに血液が入ってから連続的に変化する(以下の例を参照のこと)。光反射または透過の変化レートは、開始時に高く、時間の経過とともに徐々に低下する。場合によっては、凝固反応が完了したときに光の量が変化を止めないため、光の量の変化が停止する。本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、場合によって、2つの例示的な手法の1つにより光の量の変化レートから凝固時間を求めることができる。第1の手法は、標準的な手法の変形であって、凝固時間は、光測定値の変化レートが定められた低い値まで低下するのに要する時間、および/または光測定値の変化が完全に停止するまでに要する時間を実際に測定することに基づく手法である。この手法の1つの長所は、上記の背景技術の部分で説明したように、標準的な凝固時間測定に類似していることである。この手法の考えられる欠点は、凝固時間の高い値を示す血液検体の試験を完了するのに要する時間が長いことで、このことは、(ある病理学的症状を示す)病理検体、または抗凝固療法を受ける患者の検体に見られる。
【0107】
他の手法は、初期レート手法で、凝固反応の開始時における変化レートによって、検体の凝固時間を予測できる手法である。以下の例に示されるように、血液検体が反応チャンバに入った直後の光測定値の変化レートは、基準法で測定された検体の凝固時間値に反比例することが発明者によって確認された。したがって、凝固時間が短い、またはINR(国際規格化比率)が低いと判断される通常の検体は、光測定値の変化レートが大きい。「INR」という用語は、試薬の相対的効力に応じて調整される、患者の凝固時間と正常な母集団の平均または推定凝固時間との比に正比例する、「国際規格化比率」である(より厳密な説明については、例えば、http://www.medicine.uiowa.edu/path_handbook/Appendix/Heme/INR.htmlを参照のこと)。凝固時間が長い、またはINRが大きいと判断される病理検体は、光測定値の変化レートがより小さい。同様に、中間的な凝固値を有する検体は、中間的な変化レートを示す。
【0108】
本発明の他の実施形態において、光測定値の変化レートを、2つ以上の方法で測定することができる。
【0109】
経時的な変化レートに対する古典的な方法は、測定値の1次導関数である。光測定値がボルト単位になる場合は、電圧変化レートは、式#1で表される。
【0110】
式#1:レート=ΔV/Δt
ΔVは、時間期間Δt(好ましくは秒単位)にわたる電圧の差である
したがって、凝固試験のn秒目については、式を以下のように表すこともできる。
【0111】
式#2:レート時間=n(Vn−x−V)/(tn−x−t
Xは、任意の値(秒またはその約数もしくは倍数)でありうる時間間隔である。短い時間間隔(例えば1秒間または他の好適に短い時間間隔)は、急速に発生する変化に対するより高い感度、およびより高い分解能を提供するが、電気回路、数値化誤差、または周囲光によって引き起こされる測定値の変化を含む、または該変化から引き起こされうるノイズの影響を大きくする可能性がある。したがって、より大きいX値(すなわちより長い時間間隔)は、解釈がより明確で容易な一貫性のある結果をもたらす。
【0112】
凝固時間の比率測定
本発明の他の任意だが、好ましい実施形態である変化レートに対する比率法(ここでは「レート比率法」とも称する)は、凝血の状態に関連しない、測定器とその構成要素との間、試験帯と血液検体との間の、機械的、電気的、および任意の他の物理的相違を克服するという長所を有する。相違についてのいくつかの非限定的な例を以下に示す。
【0113】
(i)作製方法に起因する透過試験帯の光路長。光路長が長くなると、光透過値が小さくなる(すなわち、フォトダイオードの増幅感知により生成する電圧が小さくなる)が、凝固の影響は、光路の全長にわたって血液に影響を及ぼすため相対的なものである。
【0114】
(ii)血液における細胞の体積比率を示す値である検体のヘマトクリットレベル。ヘマトクリット値が大きくなると(すなわち、細胞の濃度が高くなると)、凝固過程そのものに影響を与えることなく、光透過(低下)および光反射率散乱(上昇)の両方が影響される。
【0115】
最も簡単な形式のレート比率法を、式#3によって示すことができる。
式#3:レート比率時間=n(Vn+x−V)/(tn+x−t
Xは、時間間隔である。
【0116】
レート比率値も、Xの時間間隔に対する電圧測定値を平均することによって、小さくできるノイズの影響を受ける。平均化によって既に時間間隔が求められているため、式#4は、n番目の時点に対する平均比率を示す。
式#4:平均比率時間=n(V+...+Vn+x)/(Vn+x+1+...+Vn+2x
式#4における分子と分母は、勿論、平均比率の意味に影響を与えることなく交換可能である。パラメータnおよびXは、任意の値をとることができるが、n=1秒でX=10秒である場合は、20秒間の光測定から平均比率が導かれることを認識すべきである。したがって、以下の例における試験結果によって示されるように、検体導入後の初期の時点の個々の平均比率は、場合によって、異なる凝固時間レベルを差別化するのに十分でありうる。
【0117】
場合によっては、かつ好ましくは、本発明は、凝固時間の高速測定のための比率法でもある。この方法は、凝固過程は急速に、すなわち血液が凝固試薬と混合された直後に開始するという、例に示され、かつ背景技術からも知られている所見から導かれたものである(例えば、Yonemura,M and Motoi,S、「Outline of the Reaction Features of Prothrombin Time(PT)Reagents」、Sysmex Journal International 7(2):50−54、1997を参照のこと)。この方法によれば、トリガリング(上記のトリガリングアルゴリズムを参照のこと)に採取された最初の光測定値は、さらなるすべての測定値の比較対象となる基準値としての役割を果たし、その基準値に対するそれらの単純な比率値が計算される。この「開始点に対する比率」値は、トリガリング後に急速に変化し、検体の凝固時間に比例する値をとる。本発明の反射率散乱モードでは、「開始点に対する比率」値が上昇し、透過モードでは、その値は低下する。比率法は、光測定システムの帯域幅、すなわち光測定の頻度に応じる。本発明の反射率散乱モードでは、最低限許容可能な頻度は、好ましくは、少なくとも毎秒約1回の読取りである。透過モードでは、好ましくはより高い頻度が実施される。本発明のこの任意の実施形態では、光の量(および/または変化レートまたは比率、あるいは光の挙動の任意の他の特性)の測定に対する時間間隔は、好ましくは、検査されているサンプルの凝固時間より短い。
【0118】
凝固時間の定量判定
凝固時間の定量判定は、その変化の動力学ではなく、光測定の値/大きさに応じる。例えば、場合によって、凝固状態は、測定光の量、または測定光の量の変化レートが、所定の値に達するのに要する時間に応じて検出される。光測定の値は、ヘマトクリット、光路差、および測定器と他の要素との間のばらつきなどの凝固反応そのものに関連しない、様々な物理的要因に影響されるため、補正のために適正な基準値を用いることが好ましい。基準値は、場合によって2つの潜在的な源から導くことができる。
【0119】
1つの源は、凝固試薬を含まない制御反応チャンバを含む。反応および制御チャンバについて他のすべての物理的要因が等しいと仮定すれば、これらのチャンバの光測定値の差が、凝固過程の唯一の影響を表す。
【0120】
基準値に対する他の源は、進入血液の最初の光測定値である。この時点で、凝固反応がまだ開始していなかったと仮定すれば、その測定値は、基準対照としての役割を果たすことができる。凝固反応は、上述したように非常に急速に開始することが示唆されているため、光測定回路の抽出レートまたは帯域幅は、好ましくは十分に大きく、かつ/または凝固試薬は、好ましくは、その溶解レートおよび/またはその効力を低下させるように調合される。
【0121】
補正された判定光測定値から血液検体に対する凝固時間を導くには、検体導入後の好適な時点を選択し、その値を、補正された光測定値と凝固時間を関連づける式に基づいて凝固時間に変換するだけでよい。そのような式は、多数の血液検体を、基準凝固時間法および本発明の方法によって同時に試験する一連の実験から導くことが可能である。
【0122】
本発明の他の実施形態は、患者の血液の凝固時間を測定するための試験キットである。キットは、少なくとも測定器および試験帯を含み、ランシングデバイス、ランセット、使用説明書、対照、測定器自体を試験するための試験帯(例えば着色されたプラスチック等)、較正帯、電池、予備電池、ティッシュ、および患者または保健医療専門家が血液検体を取得し、分析するのを支援することができる任意の他の品目をも含むことができる。試験帯およびそのパックは、好ましくは交換キットとしても提供され、説明書のコピー、較正器、対照、および他の品目をも含むことができる。対照、測定器、試験帯、ランシングデバイス、およびランセットは、キットのユーザに合わせて利用できるものであってもよい。キットは、場合によって、医学的訓練を受けていない人員、患者、家庭または実地環境における人物(後者は、場合によって、例えば軍事的状況および/または実地作業、ならびにハイカー、キャンパー、ハンター、運動家等にとっての屋外環境を含むことが可能である)によって使用されるように設計されうる。
【0123】
本発明の他の実施形態において、場合によって、血液検体における凝集の検出/測定に、本発明の方法を用いることができる。
【0124】
本発明の他の実施形態によれば、全無希釈血液における凝集を測定するための光度測定法が提供される。
【0125】
場合によっては、かつ好ましくは、本発明によるデバイスは、周囲温度(「室」温)で動作可能である。より好ましくは、デバイスは、温度測定構成要素を有する。当該構成要素は、例えば(上述のように)発光源が感温性を有する場合の特定の実施形態に対して有用でありうる。
【0126】
この方法は、場合によって、本発明によるデバイスの任意の実施形態で実施できる。
【0127】
図面およびそれに伴う説明を参照することにより、本発明の原理および動作をより深く理解できる。
【0128】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の説明に記載されている、または例の部分で説明される図面に例示されている、構成要素の構成および配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、あるいは様々な方法で実行または実施することが可能である。また、ここで用いられている語法および用語は、説明を目的としており、限定的なものであると見なされるべきではない。
【0129】
次に図面を参照すると、図1は、側方断面で示される、本発明による試験帯100におけるチャンバの異なる例示的な形状の概略構成図である。第1の形状は、「A」で標示される試験帯100で示される鍵穴形102で、第2の形状は「B」で標示される試験帯100で示される「U字」形104で、第3の形状は、「C」で標示される試験帯100で示される長方形106である。勿論、場合によって、異なる形状をチャンバに用いることも可能である。
【0130】
図2は、複数のチャンバを特徴とする容器を示す図である。複数のチャンバを、場合によって、並列または直列に配置することができる。第1の容器200は、好ましくは、直列に配置された複数のチャンバ202を特徴とし、第2の容器204は、好ましくは、並列に配置された複数のチャンバ206を特徴とする。矢印は、それぞれのチャンバ202および206への進入方向を示している。チャンバ206が並列に配置されるときは、血液サンプルは、好ましくは共通の入口導管208に入り、それが好ましくは分岐して、多数の並行空洞に至るマニフォールド210になる。
【0131】
直列配置では、血液は最初に、好ましくは凝固試薬を含まないチャンバ212に入る。血液は、好ましくは1つまたは複数の凝固試薬を含む次のチャンバ214も連続的に満たす。直列配列の理論的長所は、検体をすべてのチャンバ202に確実に満たすことによって、信頼性および/または再現性の程度が潜在的に高められることである。
【0132】
図3は、検体またはサンプルの光の透過に対する本発明による例示的なデバイスおよびシステムを示す図である。試験帯300は、入口302、および好ましくは少なくとも部分的に透明な壁を備えた反応チャンバ304を有する。入射光306は、発光ダイオード308から放射され、反応チャンバ304内の検体310を横切り、垂直方向の透過光成分312および散乱透過光成分314として出る。透過光312は、好ましくは電気信号318を処理システム320に伝送する光センサ316に当たる。処理システム320は、信号をデータに変換し、それを解析し、かつ検体の凝固時間を計算する。処理システム320は、好ましくは、いつ信号を測定すべきかを判断し、かつ/または凝固時間を計算するための1つまたは複数の前述のアルゴリズムを含む。場合によって、結果をディスプレイ322により表示し、プリンタ324によって印刷し、または例えば遠隔デバイスもしくは遠隔場所に、トランスミッタ326によって伝送することができる。
【0133】
図4は、反射率散乱に対する本発明による他の例示的なデバイスおよびシステム400を示す図である。図3の場合と異なり、入射光306は、発光ダイオード308から放射されるが、次に反応チャンバ304内の検体310から反射404および散乱402される。散乱光402は、光センサ316に当たる。システム400の残りの部分は、前述のように好ましくは異なるアルゴリズムが用いられることを除いて、図3の例の場合のように動作する。
【0134】
図3および4における上記構成要素のいずれかを、場合によって、当該技術分野で知られている構成要素から選択することができる。
【0135】
以下の非限定的な例によって、本発明のいくつかの態様を説明する。
【0136】
例1
試験帯の調製
トロンボプラスチン試薬:カルシウムを含む乾燥Innovin(登録商標)試薬(Dade Behring,Inc.、イリノイ州Deerfield)を、製造元の説明書に従って水に再懸濁させ、4から8℃で1週間保存した。
【0137】
本来のInnovin溶液(緩衝剤、カルシウム、およびタンパク質)の内容物と機能的に同等であるが、トロンボプラスチンまたは脂質を含まないInnovin塩溶液を、米国特許第5625036号に従って調製し、含めた。
【0138】
HEPES 1.4415gr
CaCl.2HO 0.16gr
NaCl 0.5844
グリシン 5.0gr
ウシ血清アルブミン(Bovuminar(登録商標)バイオテクノロジプレミウムグレードpH7、Serologicals Corp、ジョージア州Norcross)0.135gr
試薬グレード水 100mlまで
pHを7.0に調整
(ウシ血清アルブミンは、本来のInnovin(登録商標)試薬の成分ではない。それは、本来の試薬におけるタンパク質充填をシミュレートするために塩溶液に添加される)。
【0139】
接着剤で被覆された240ミクロン厚のポリエステルフィルム(Ritrama、USA)構造体が貼付された、平坦で光学的に透明な250または500ミクロン厚のLexan(登録商標)フィルムから、試験帯の基部を構成した。接着剤構造体は、寸法が20×4mmまたは20×3mmの長方形のトラフを定めた。トラフ領域を、ハンドヘルドの実験室用処理装置(Electro−Technic Products、イリノイ州Chicago、USA)による約1秒以内のコロナ放電で処理し、その直後に、InnovinまたはInnovin塩溶液を長さ16mmのトラフに塗布した。3×20mmのトラフに16.0μL溶液を塗布し、4×20mmのトラフに21.5μL溶液を塗布した。45℃で1時間乾燥した後に、トラフの試薬被覆領域を、コロナ処理した250ミクロンの透明Lexan(登録商標)フィルムで被覆した。
【0140】
調製した試験帯を室温で保存した。
【0141】
例2
反射率散乱に対する光およびLED出力の好ましい色の決定
赤色、緑色、および白色LED(LiteON、台北、台湾)を光源として用い、Texas Instruments TSL250光−電圧センサ(Texas Instruments、USA)を光測定デバイスとして用い、図4の構成図に従って反射測定試験を構築した。1mmのピンホールを有するマスクでセンサのレンズを被覆した。試験帯背後の背景(定義を参照)は、艶消しブラックのビニルフィルム(Ritrama、USA)であった。ExtechのDMMデータ取得ソフトウェアを実行するコンピュータに接続された、Extech380281デジタルマルチメータ(Extech Instruments Corp.、マサチューセッツ州Waltham、USA)によって、センサの電圧出力を記録した。光入射角は32.5°または60°であった。
【0142】
Innovin含有試験帯および空の試験帯(すなわち対照試験帯)に、全クエン酸塩防腐フレッシュ毛管血液を充填した。室温で5分間インキュベーションした後、対照試験帯の反射光値とInnovin試験帯の反射光値とを比較した(表1)。この試験における光入射角は32.5°であった。
【表1】

【0143】
赤色光は、凝固血液と非凝固血液との間に最大のコントラストを提供することが明らかである。この所見は、それらの試験帯のカラー走査、および(実質的に試験帯からの反射散乱光の記録である)画像のRGB(赤色、緑色、および青色)成分の解析によってさらに裏づけられた。光入射角を60°まで上げると、赤色光によるコントラストに対する顕著な影響がなくなった。
【0144】
(日付と血液検体が異なる)他の実験において、LED出力およびInnovinの量の影響を試験した。例1に記載されているように、Innovinを塗布した試験帯を調製した。それらと、二倍の体積のInnovinを塗布した試験帯とを比較した。結果を表2に示す。
【表2】

【0145】
より高出力のLEDを使用するとコントラストが約25%高くなる。Innovinの濃度を二倍にすると、約10%未満の比率の向上がもたらされた。
【0146】
例3
光の反射率散乱に対するトロンボプラスチン凝固試薬の影響
18μLのクエン酸塩防腐フレッシュ毛管血液検体を導入した後で、Innovin(すなわちトロンボプラスチンおよびカルシウムを含む試薬)またはInnovin塩(すなわちカルシウムを含むが、トロンボプラスチンを含まない試薬)を含有する試験帯、および対照試験帯(すなわち試薬を含まない試験帯)からの光の時間的反射率散乱を記録した。生の光測定値が図5Aに示されている。(血液の進入時に採取した)開始測定値に対する各測定値の算出比率が、図5Bに示されている。図5Aおよび図5Bを作成するのに使用された対照試験帯の反応チャンバは、試薬を一切含んでいなかった。塩試験帯は、塩およびタンパク質を含むが、トロンボプラスチンを含んでいない。Innovin試験帯は、乾燥Innovinを含む。図5Aは時間的光測定値を示す。図5Bは、それぞれ異なる種類の試験帯の各々について、開始光測定値に対する各時点における光測定値の比率を示す。
【0147】
血液の反射率に対するカルシウム含有試薬の影響は、図5Aから極めて明確である。試薬が存在しなければ、反射散乱光の量は、徐々に低下するのに対して、試薬が存在すると、反射散乱光の量が増加する。図5Bにおける比率は、トロンボプラスチン含有試薬の影響が、それを含まない試薬の影響に比べて顕著である。両試薬は、クエン酸塩防腐毛管血液の凝固を引き起こすのに十分なカルシウムを含有する(毛管血液も、その採取法により、比較的大量のトロンボプラスチン状成分を含有する)。しかし、Innovinは、トロンボプラスチンの含有量が多いために、より高速でより大きい凝固反応を引き起こすはずである。このことは、Innovin試験帯が塩試験帯より高レベルの反射率を引き起こしたため、図5Bから明らかである。加えて、Innovin試験帯における反射光は、塩試験帯における反射光より早く安定化した(図5Bの矢印を参照のこと)。
【0148】
例4
光の透過に対する凝固試薬およびLEDの色の影響
赤色(LiteON)、青色または緑色LED(Nichia(東京、日本))を光源として用い、Texas Instruments TSL250光−電圧センサ(Texas Instruments,USA)を光測定デバイスとして用いて、図3の構成図に従って透過測定試験デバイスを構築した。1mmのピンホールを有するマスクでセンサのレンズを被覆した。センサによる電圧測定値を解析するためのExtechのDMMデータ取得ソフトウェアを実行するコンピュータに接続された、Extech380281デジタルマルチメータ(Extech Instruments Corp.、マサチューセッツ州Waltham、USA)によって、センサの電圧出力を記録した。
【0149】
18μLのクエン酸塩防腐フレッシュ毛管血液検体を導入した後で、Innovin(すなわちトロンボプラスチンおよびカルシウムを含む試薬)、またはInnovin塩(すなわちカルシウムを含むが、トロンボプラスチンを含まない試薬)を含有する試験帯および対照試験帯(すなわち試薬を含まない試験帯)からの光の時間的透過を記録した。青色光源による生の光測定値が図6Aに示されている。緑色光源による測定値が図6Bに示されている。赤色光源が用いられたときは、光センサは光を検出することができなかった。
【0150】
その結果が図6Aおよび6Bに示されている実験では、対照試験帯の反応チャンバは試薬を含まない。塩試験帯は、塩およびタンパク質を含むが、トロンボプラスチンを含まない。Innovin試験帯は乾燥Innovinを含む。上の図は、青色光による時間的光測定値を示す。下の図は、緑色光による時間的光測定値を示す。
【0151】
図6に示されたデータによれば、(a)青色光源によってトロンボプラスチンまたは塩に対する明確な反応が検出されず、(b)緑色光源を用いたときは、各試験帯の間に明確な差が認められた。Innovinだけが、血液の透過を低下させ、トロンボプラスチンを含まない塩は低下させなかった。
【0152】
例5
プロトロンビン時間(PT)および光透過率
異なる凝固時間を有するように選択された市販のDade−Behring凝固対照血漿、およびフレッシュタイプ0赤血球から、PTが正常、中間的、および高い全血検体を、以下のように調製した。200μLのフレッシュなクエン酸塩防腐タイプ0の毛管血液3アリコットを、3000rpmで5分間遠心分離した。100μLの透明な血漿上澄み液を、各々のアリコットから除去して、各々の対照血漿の100μLアリコットと取り替えた。赤血球を再懸濁した後、再び遠心分離した。他の100μLの透明血漿上澄み液を除去して、同一の対照血漿の他の100μLアリコットと取り替えた。赤血球を再懸濁した後に、それらの再構成検体を、フレッシュな液体Innovin試薬を用いた管傾斜目視法によって、それらのおよその凝固時間について試験して、それらの検体が異なる凝固時間を示すことを確認した。およその凝固時間値は、正常な検体、中間的な検体、および高い検体について、それぞれ16秒、34秒、および44秒であった。
【0153】
緑色LEDを装備した光透過試験デバイス(例4に従って調製された)における、Innovin含有試験帯(調製の詳細については例1を参照のこと)にそれらの検体を加えた。生の光測定値が図7Aに示されている。各測定値の10秒間算出レート比率(レート比率の算出の説明については、発明を実施するための最良の形態の部分を参照のこと)が、図7Bに示されている。
【0154】
上部チャート(図7A)は、Innovin含有試験帯に加えられた、3つの全血検体の時間的透過光測定値を示している。それらの検体は、基準PT試験によって測定された、正常なPT値、中間的なPT値、および高いPT値を示している。下部チャート(図7B)は、レート比率の時間値を示している。
【0155】
図7Aの生データは、すべての検体が、例4の結果に従って、それらの光透過を減少させたことを示している。しかし、推定凝固レベルに従わない全体レベルの差を除いて、過渡電圧の形に際だった差は存在しない。このような明らかにランダムな差は、検体間のヘマトクリットおよび血漿濁度のばらつき、および/または試験帯の光路のばらつきによって生じうる。しかし、光測定値(図7B)に10秒間のレート比率を適用すると、検体間のばらつきに応じる凝固が明らかになる。このばらつきは、正常な検体、中間的な検体、および高い検体に対する最初のレート比率が、それぞれ0.915、0.941、および0.958であった反応の開始点(その値が、試験の最初の20秒間から導かれ、血液進入の時間であるチャート上の時間0)において既に検出可能である。反応の後の段階になって、レート比率値が、38秒、49秒、および68秒で、0.990値に達した時点で差が明白になる。同じ効果を有する他のレート比率値を選択することが可能である。
【0156】
例6
プロトロンビン時間(PT)および光反射率散乱
実質的に例5に記載されているように全血検体を調製した。例2に記載されている、反射率散乱試験デバイスを装備した、赤色LEDにおけるInnovin含有試験帯(調製の詳細については例1を参照のこと)に検体を加えた。生の光測定値が図8Aに示されている。各測定値の算出された開始点に対する比率(説明については、発明を実施するための最良の形態の部分を参照のこと)が、図8Bおよび8Cに示されている。
【0157】
図8Aのグラフは、Innovin含有試験帯に加えられた、3つの全血検体の時間的反射光測定値を示している。検体は、基準PT試験で測定された正常なPT値、中間的なPT値、および高いPT値を示す。図8Bのグラフは、「開始点に対する比率」の時間値を示している。図8Cのグラフは、図8Bにおける反応の最初の10秒間を示し、「開始点に対する比率」は、血液が試験帯に入ってから4秒以内の凝固時間の差を予測するものであることを証明している。
【0158】
例3の結果から推定されるように、すべての検体が反射率散乱を増加させた。例5のように、推定される凝固レベルに従わなかった、全体的なレベルの差を除いて、過渡電圧の形に際だった差は存在しなかった。それらのランダムに見える差は、検体間のヘマトクリットおよび血漿濁度のばらつき、および/または試験帯の寸法のばらつきによって生じたものといえる。
【0159】
しかし、凝固に関連する差は、各光測定値に対する「開始点に対する比率」値の時間的挙動を示す、図8Bおよび8Cに明確に示されている(開始点に対する比率の計算の説明については、発明を実施するための最良の形態の部分を参照のこと)。第1に、レート比率の全体的な値は、推定される検体のPT値に反比例する。このことは、より長い凝固時間は、凝固能力の低下の結果であることから推測される。正常な検体、中間的な検体、および高い検体の反射率が、低下の周期の後に増加し始める、63秒、101秒および141秒の時点を指す図8Bの矢印から、PTの程度を求めることができる。図8Cは、「開始点に対する比率」値の初期最大値を用いて、反応開始から4秒後に検体の凝固レベルを評価できることを示している。これらの比率は、PTが正常な(凝固レートが最大の)検体に対しては3.86、PTが中間的な検体に対しては3.12、PTが高い(凝固レートが最小の)検体に対しては2.86である。
【0160】
本発明をその具体的な実施形態とともに説明したが、多くの代替、修正、および変更を、当業者なら理解するであろうことは明白である。よって、請求項の精神および広い範囲内に含まれるすべての当該代替、修正、および変更を包括することが意図される。本明細書に言及されている登録番号で特定される、すべての出版物、特許、特許出願およびシーケンスは、その登録番号で特定される、それぞれ個々の出版物、特許、特許出願およびシーケンスが、具体的かつ個別的に示されて参照により本明細書に組み込まれるのと同じ範囲で、全体が参照により本明細書に組み込まれている。加えて、本出願における参考文献の引用および特定は、当該参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めることであると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明による試験帯における導管を有するチャンバのそれぞれ異なる例示的形状を示す図である。図1Aは丸形チャンバおよび短導管を示す図であり、図1Bは2つの導管を有する横型矩形チャンバを示す図であり、図1Cは特定の導管部を有さない(チャンバの端部が導管として機能する)縦型反応チャンバを示す図である。
【図2】複数チャンバ試験帯における、反応チャンバおよび導管の異なる任意の例示的配置を示す図である。矢印は検体の入力点を示す。
【図3】本発明による透過光度測定の例示的な概略構成図である。
【図4】本発明による反射率散乱光度測定の例示的な概略構成図である。
【図5A】本発明による3つの異なる種類の試験帯における血液からの光の反射率散乱を示す図である。
【図5B】本発明による3つの異なる種類の試験帯における血液からの光の反射率散乱を示す図である。
【図6】本発明による3種類の試験帯における血液の光の透過率における凝固血液検体と非凝固血液検体との差に対する光の色の影響を示す図である。
【図7】本発明による透過率による凝固の判定を示す図である。
【図8】本発明による反射率散乱による凝固の判定を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無希釈全血のサンプルにおける凝固の光度判定のためのデバイスであって、
(a)無希釈全血のサンプルを収容するための容器と、
(b)光が前記容器に投射されるように、前記光を放射するための発光源と、
(c)光の量が無希釈全血の凝固状態に影響され、前記光の量に応じて凝固が判定されるように、前記容器からの前記光の量を測定するための光検出器とを備えたデバイス。
【請求項2】
前記容器は、無希釈全血のサンプルを収容するための反応チャンバを備え、前記反応チャンバにおける無希釈全血のサンプルの深さは、約10mmより小さい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記深さは、約1mmより小さい、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記深さは、約0.1mmより小さい、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記光検出器は、サンプルからの光の反射率散乱、サンプルの光の透過、サンプルの光の透過率散乱、またはサンプルによる光の吸収のうちの少なくとも1つを測定する、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記光検出器は、サンプルの光の透過、サンプルの光の透過率散乱、またはサンプルによる光の吸収のうちの少なくとも1つを測定し、前記反応チャンバの少なくとも1つの壁は、前記光検出器が、サンプルから前記少なくとも1つの壁の反対側に配置されるように、少なくとも部分的に透明である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
血液のサンプルは、力により前記反応チャンバに進入する、請求項2から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記力は、毛管力、重力、真空、圧力、電気、内方浸透、浸透圧、疎水、親水もしくは遠心力、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記力は、重力および毛管力のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
筐体をさらに備え、前記発光源および前記光検出器は前記筐体内に含まれ、前記容器は前記筐体に挿入される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
筐体と少なくとも1つの光導体とをさらに備え、前記発光源および前記光検出器が前記筐体内に含まれ、前記発光源からの光が、前記少なくとも1つの光導体を通って前記容器に伝達され、前記容器からの光が、前記少なくとも1つの光導体を通って前記光検出器に伝達されるように、前記少なくとも1つの光導体の少なくとも第1の部分が、前記筐体内に含まれ、前記少なくとも1つの光導体の少なくとも第2の部分が、前記筐体から突出する、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
筐体と少なくとも1つの光導体とをさらに備え、前記発光源および前記光検出器が前記筐体内に含まれ、前記発光源からの光が、前記少なくとも1つの光導体を通って前記容器に伝達され、前記容器からの光が、前記少なくとも1つの光導体を通って前記光検出器に伝達されるように、前記少なくとも1つの光導体の少なくとも第1の部分が、前記筐体内に含まれ、前記少なくとも1つの光導体の少なくとも第2の部分が、前記容器内に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記光検出器および前記発光源は、前記容器に取りつけられる、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記凝固状態は、サンプルの凝固レートに応じて判定される、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記凝固レートは、偏向点、比率、およびレート比率のうちの少なくとも1つに応じて判定される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記凝固状態は、前記光の量が所定の値に達する、または前記凝固レートが所定の値に達する時間期間に応じて検出される、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記凝固状態は、前記容器が無希釈全血のサンプルを収容した後で取得された複数の光測定値の変化の比率に応じて検出され、前記変化の比率は、サンプルの凝固時間に比例する、請求項1から16のいずれかに記載のデバイス。
【請求項18】
前記容器は反応チャンバを備え、前記変化の比率は、血液が前記反応チャンバに進入したときの最初の光測定値に少なくとも部分的に応じて判定される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記変化の比率は、トリガリングアルゴリズムに従って測定された最初の光測定値に少なくとも部分的に応じて判定される、請求項17および18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記トリガリングアルゴリズムは、所定の閾値を越える光の量の変化を検出するように動作する、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記変化は、血液が容器に加えられた後に判定される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記凝固状態は、凝固時間の定量判定に応じて検出される、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記定量判定は、光の量の値または大きさのいずれか一方に応じて行われる、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記定量判定は基準値を基準とする、請求項22または23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記基準値は、サンプルの一部を収容するための制御反応チャンバ、または実質的に凝固過程が開始される前のサンプルによる最初の測定値の少なくとも一方を含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記発光源は、ランプまたは固体発光デバイス/チップの少なくとも一方を備える、請求項1から25のいずれかに記載のデバイス。
【請求項27】
前記固体発光デバイス/チップは、LED(発光ダイオード)、LASER、およびエレクトロルミネッセンスデバイスよりなる群から選択される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記光検出器は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトセル、ダーリントンフォトトランジスタ、またはフォトマルチプライヤのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記光検出器は、フォトダイオードを備える、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
デバイスは、周囲温度で凝固を測定するように動作可能である、請求項1から29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
温度測定構成要素をさらに備える、請求項1から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記容器は試験帯を備える、請求項1から31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
少なくとも凝集が測定される、請求項1から32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
暗光背景をさらに備える、請求項1から33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項に記載のデバイスを備えたキット。
【請求項36】
前記キットは、医学的訓練を受けていない人員、患者、専門外もしくは素人、または家庭もしくは実地環境における任意の人物のいずれか一人または複数人によって使用されるように構成される、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記キットは携帯式である、請求項35または36に記載のキット。
【請求項38】
無希釈全血のサンプルにおける凝固を光度測定するための方法であって、
サンプルの凝固を測定するためのデバイスを設けることを含み、前記デバイスは、前記測定のためのサンプルを収容するための反応チャンバを有する試験帯を備え、前記反応チャンバ内のサンプルに関する光路は約10mm未満であり、前記方法はさらに、
サンプルに光を透過させること、およびサンプルから光を反射させることのうちの少なくとも一方を行うことと、
透過または反射光の少なくとも一方に応じて、サンプルの凝固レートおよび凝固時間の少なくとも一方を測定することとを含む方法。
【請求項39】
凝固レートは、サンプルにおける凝固時間を判定するために測定され、凝固レートを測定するための時間期間は、ほぼ凝固時間より短い、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも凝集が測定される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記デバイスは、請求項1から34のいずれか一項に記載のデバイスを備える、請求項38から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
全無希釈血液における凝固を判定するための光度判定方法。
【請求項43】
凝固時間を判定するための請求項42に記載の方法。
【請求項44】
全無希釈血液における凝集を判定するための光度判定方法。
【請求項45】
血液サンプルの凝固時間を判定するための方法であって、前記サンプルの凝固時間より短い時間間隔で実施される方法。
【請求項46】
無希釈全血のサンプルにおける凝固を光度測定するためのシステムであって、
(a)請求項1から34のいずれか一項に記載のデバイスと、
(b)前記デバイスによる測定の結果をユーザに提供するための少なくとも1つの出力デバイスとを備えたシステム。
【請求項47】
前記出力デバイスは、印刷デバイス、表示デバイス、および遠隔位置に伝送するための伝送デバイスよりなる群から選択される、請求項46に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−505788(P2006−505788A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551138(P2004−551138)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000958
【国際公開番号】WO2004/044560
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】