無指向性アンテナ及び無指向性アンテナアレイ
【課題】アンテナの小型化を実現すると共に位相調整を容易に行うことができる無指向性アンテナを提供する。
【解決手段】無指向性アンテナ100は、長尺状の誘電体基板1と、誘電体基板の一方の面に形成された導電膜12と、該導電膜上に形成されたコの字型スロット2,3と、コの字型スロット2,3を覆うように配置され、無給電素子を構成する金属管4と、誘電体基板1の他方の面に形成され、コの字型スロット2,3に電力を供給するマイクロストリップ線路5,6とを備えている。コの字型スロットの2,3の全長はそれぞれλ/4〜λ/2であり、金属管4の長さはλ/2以下である。
【解決手段】無指向性アンテナ100は、長尺状の誘電体基板1と、誘電体基板の一方の面に形成された導電膜12と、該導電膜上に形成されたコの字型スロット2,3と、コの字型スロット2,3を覆うように配置され、無給電素子を構成する金属管4と、誘電体基板1の他方の面に形成され、コの字型スロット2,3に電力を供給するマイクロストリップ線路5,6とを備えている。コの字型スロットの2,3の全長はそれぞれλ/4〜λ/2であり、金属管4の長さはλ/2以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無指向性アンテナおよび無指向性アンテナアレイに関し、特に、PHSや携帯電話等の移動通信システムに使用される無指向性アンテナ及無指向性アンテナアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
PHSや携帯電話に代表される移動通信システムに使用される移動通信用基地局アンテナでは、水平面内の指向性が無指向性の垂直偏波アンテナが使用されている。
【0003】
図15は、従来の無指向性アンテナの構成を示す斜視図である。図15のアンテナは、誘電体基板151と、一次放射素子を構成するパッチアンテナ152と、無給電素子を構成する筒状金属体153と、マイクロストリップ線路154と、給電端子156とを有している。
【0004】
このアンテナでは、給電端子156に入力される励振電力が、マイクロストリップ線路154を介してパッチアンテナ152に給電され、パッチアンテナ152が励振される。そして、パッチアンテナ152から放射された電磁波によって、筒状金属体153よりなる無給電素子が励振され、筒状金属体153の外表面に高周波電流が誘起される。
【0005】
この誘起電流は、筒状金属体153の中心軸に平行な方向に流れ、円周方向に一様な振幅を有する。したがって、この誘起電流から放射される電磁波は、筒状金属体153の中心軸に垂直な面、即ち、水平面内において無指向性パターンとなる。
ここで、図15の無指向性アンテナでは、アンテナの直径が大きくなると、パッチアンテナ152と筒状金属体153との結合が弱くなり、その結果アンテナの帯域幅が狭くなる。このため、従来の無指向性アンテナにおいて所望の帯域幅を持たせるためには、アンテナの直径をあまり大きくすることができないという問題点があった。
【0006】
上記問題を解消するべく、図16に示すように、誘電体基板161と、矩形状の環状スロット162と、無給電素子を構成する筒状金属体163と、マイクロストリップ線路164と、給電端子166とを備えるアンテナが提案されている。図16のアンテナでは、誘電体基板161の表面側には金属薄膜からなる導電膜(不図示)が形成されており、この導電膜は、環状スロット2により囲まれている第1の部分と、それ以外の第2の部分とから構成される。導電膜の第1の部分は接地導体を構成し、この接地導体とマイクロストリップ線路164とで給電回路を構成する。また、マイクロストリップ線路164の先端は、導電膜の第2の部分まで延長されており、これにより一次放射素子を構成する環状スロット162に電磁結合給電を行っている。本アンテナによれば、帯域幅を狭くすることなく、無給電素子を構成する筒状金属体の内径を大きくすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−55025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のアンテナを用いて2周波共用のアレイアンテナを構成した場合、環状スロットと給電線部が占める割合が大きいことから、位相調整のための余長給電線を収容することができず、位相調整を行うことが困難であるという問題がある。また、余長給電線を収容するスペースがアンテナごとに必要となることから、アレイアンテナが大型化するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、アンテナの小型化を実現すると共に位相調整を容易に行うことができる無指向性アンテナ及び無指向性アンテナアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の無指向性アンテナは、誘電体基板と、前記誘電体基板の一方の面に形成された導電層と、前記導電層に形成され、平面視において両端がオープン形状をなし、その全長がλ/4〜λ/2であるスロットと、前記誘電体基板の他方の面に形成され、前記スロットを投影した場合に前記スロットの内側まで延出した給電路と、前記スロットを覆うように配置され、無給電素子を構成する金属環であって、その長さがλ/2以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無指向性アンテナは、低周波数帯fLの電磁波を放射する第1スロット及び高周波数帯fHの電磁波を放射する第2スロットと、前記誘電体基板の他方の面に形成され、第1スロットを投影した場合に前記第1スロットの内側まで延出した第1給電路と、前記誘電体基板の他方の面に形成され、第2スロットを投影した場合に前記第2スロットの内側まで延出した第2給電路とを更に備え、前記金属環が、前記第1スロット及び前記第2スロットを覆うように配置され、その長さが高周波数帯fHのλ/2以下である。
【0012】
また、前記第1給電路及び前記第2給電路が、前記誘電体基板の両端部に配置される。
【0013】
さらに、前記スロットのオープン形状が、前記金属環の開口側に配置されるのが好ましい。
【0014】
また、前記誘電体基板は長尺状であり、前記誘電体基板の幅寸法がほぼλ/5程度であっても構成可能である。
【0015】
さらに、前記誘電体基板に、前記給電路に沿って複数のスルーホールが形成されているのが好ましい。
【0016】
本発明の無指向性アンテナは、前記誘電体基板の端面に設けられ、前記金属環の軸方向両端部とそれぞれ係合する一対の櫛歯状係合部を更に備えている。
【0017】
また、本発明の無指向性アレイアンテナは、上記無指向性アンテナの複数が縦列配置されて構成されている。
【0018】
また、隣接する2つの無指向性アンテナ間において、一の無指向性アンテナにおける給電路と他の無指向性アンテナにおける給電路とがミアンダ部を介して接続される。
【0019】
さらに、本発明の無指向性アレイアンテナでは、上記無指向性アンテナの複数が交互に縦列配置され、3周波共用アンテナを構成している。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、導電層に形成されるスロットの両端がオープン形状をなしており、その全長がλ/4〜λ/2である。そして金属環がスロットを覆うように配置され、その長さがλ/2以下である。さらに、オープン形状をなす本スロット構成により、給電路の長さを短く構成することができる。したがってアンテナの小型化を実現する事ができる。また、本発明の無指向性アンテナの複数を縦列配置してアレイアンテナを構成する場合、隣接する無指向性アンテナ間にスペースを形成できるため、位相調整のための給電路余長をミアンダ形状で配置することが可能となり、これにより位相調整を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の無指向性アンテナの平面図であり、(a)は導電膜側から見た図、(b)はマイクロストリップ線路側から見た図、(c)は(a)の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】図2におけるマイクロストリップ線路とコの字型スロットとの位置関係を示す図である。
【図4】本発明に係る無指向性アンテナと従来の無指向性アンテナとの特性の比較を示す図であり、(a)は従来の無指向性(ループ型)スロットアンテナの特性、(b)は本発明における無指向性(コの字型)スロットアンテナの特性を示す。
【図5】本実施形態に係る無指向性アレイアンテナの構成を概略的に示す図である。
【図6】図5の無指向性アレイアンテナの1.9GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。
【図7】図5の無指向性アレイアンテナの2.56GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。
【図8】本発明の第2実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の線B−Bに沿う断面図である。
【図9】誘電体基板にスルーホールが設けられていない無指向性アンテナとスルーホールが設けられている無指向性アンテナとの特性を比較する図である。
【図10】図8における金属管の固定方法を説明する図であり、(a)は誘電体基板の平面図、(b)は誘電体基板に金属管が固定された状態を示す。
【図11】図5の無指向性アレイアンテナの変形例を示す図であり、(a)第1変形例、(b)は第2変形例、(c)は第3変形例を示す。
【図12】図1の無指向性アンテナの変形例を示す図である。
【図13】図1におけるスロットアンテナの変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【図14】図1におけるストリップ線路の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【図15】従来の無指向性アンテナの構成を示す斜視図である。
【図16】従来の他の無指向性アンテナの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の無指向性アンテナの平面図であり、(a)は導電膜側から見た図、(b)はマイクロストリップ線路側から見た図、(c)は(a)の線A−Aに沿う断面図である。
【0024】
図1に示すように、無指向性アンテナ100は、長尺状の誘電体基板1と、誘電体基板の一方の面に形成された導電膜12(導電層)と、該導電膜上に形成されたコの字型スロット2,3(第1及び第2スロット)と、スロット2,3を覆うように配置され、無給電素子を構成する金属管4と、誘電体基板1の他方の面に形成され、コの字型スロット2,3に電力を供給するマイクロストリップ線路5,6(第1及び第2給電路)とを備えている。
【0025】
誘電体基板1は電気的絶縁体を構成する板状体であり、例えば、長さ100mm、幅19.8mm、厚さ0.8mmである。この誘電体基板1の幅寸法は、例えばほぼλ/5となるように設計される。導電膜12は、誘電体基板1の一方の面のほぼ全体に形成された所定厚さの膜であり、その厚さは例えば35μmである。
【0026】
コの字型スロット2,3は、誘電体基板1の長手方向に縦列配置されており、2周波共用アンテナを構成している(図2(a))。本実施形態では、コの字型スロット2は、1.9GHz等の低周波数帯fLの電磁波を放射し、コの字型スロット3は、2.56GHzの高周波数帯fHの電磁波を放射するものである。コの字型スロット2,3の深さは導電膜12の厚さと同一であり、導電膜12を貫通して形成されている(図2(c))。また本実施形態では、コの字型スロット2,3のオープン形状は、それぞれ金属管4の開口側に配置されている。コの字型スロット2の全長は、例えばλ/4〜λ/2、コの字型スロット3の全長も、例えばλ/4〜λ/2である。
【0027】
金属管4は、コの字型スロット2,3のほぼ全表面を覆うように配置された断面略円形の管であり、その長さは高周波数帯fHのλ/2、内径は20mm、厚さ0.1mmである。この金属管4は、半径方向に弾性変形する可撓性部材である。この金属管4を誘電体基板1に取り付ける際には、金属管4の外周面を半径方向に押圧した状態で誘電体基板1を挿通し、当該押圧を解除することにより、誘電体基板1の所定位置に挟持される。
【0028】
なお本実施形態では金属管4は断面略円形の管であるが、これに限るものではなく、断面略楕円形、あるいは断面略多角形の環状体であってもよい。また、金属管4は、コの字型スロット2,3の表面のほぼ全表面を覆うように配置されているが、これに限るものではなく、コの字型スロット2,3の表面の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
【0029】
マイクロストリップ線路5,6は誘電体基板1の幅方向端部に形成されている(図2(b))。マイクロストリップ線路5は、誘電体基板1の内側方向に延出したL字型の分岐線を有しており、マイクロストリップ線路5の主線に対して直角方向に延出した第1線路51と、第1線路51の端部から略直角方向に延出した第2線路52とを有している。マイクロストリップ線路6は、マイクロストリップ線路6の主線に対して直角方向に延出した第1線路61と、第1線路61の端部から略直角方向に延出した第2線路62とを有している。ミアンダ部53a,53bは、アンテナ特性を向上させるための線路が収容されたものであり、それぞれ第2線路52,62の端部から所定距離を隔てて配置されている。無指向性アンテナ100の端面には不図示の給電端子が配されており、該給電端子によりマイクロストリップ線路5、6に電力が供給されている。
【0030】
図3は、図2におけるコの字型スロット2,3とマイクロストリップ線路5,6との各位置関係を示す投影図である。
【0031】
図3において、スロット2は、第1線路51と略直角に配された第1スロット部21と、第1スロット部21の両端から該第1スロット部に対して略直角方向に延出した第2,第3スロット部22,23とを有している。すなわち本実施形態では、第1スロット部21と第1及び第2線路51,52とを1つの平面に投影した場合、第1スロット部21は、第1線路51に略平行に配置されており、且つ第2線路52と略直角に交差するよう配置されている。
【0032】
第1スロット部21の長さは、例えば6mm、第2,第3スロット部22,23の長さは、例えば23.8mmである。第1,第2,第3スロット部21,22,23の幅及び深さは同一であり、幅1mm、深さ0.035mmである。また、第1線路51の長さは、例えば5.1mm、第2線路52の長さは、例えば23.5mmである。なお、スロット2及び第1及び第2線路51,52の寸法は例示であり、上記値に制限されるものではない。
【0033】
スロット3は、第1線路61と略直角に配された第1スロット部31と、第1スロット部31の両端からそれぞれ該第1スロット部に対して略直角方向に延出した第2,第3スロット部32,33とを有している。すなわち本実施形態では、第1スロット部31と第1及び第2線路62,62とを1つの平面に投影した場合、第1スロット部31は、第1線路61に略平行に配置されており、且つ第2線路62と略直角に交差するよう配置されている。
【0034】
第1スロット部31の長さは、例えば6.0mm、第2,第3スロット部32,33の長さは、例えば18.6mmである。第1,第2,第3スロット部31,32,33の幅及び深さはほぼ同一であり、幅1mm、深さ0.035mmである。なお、スロット3及び第1及び第2線路61,62の寸法は例示であり、上記値に制限されるものではない。
【0035】
上記のように構成される無指向性アンテナ100では、給電端子に入力された励振電力が、マイクロストリップ線路5,6を介してコの字型スロット2,3に供給され、コの字型スロット2,3が励振される。そして、コの字型スロット2,3から放射された電磁波によって金属管4の外表面に高周波電流が誘起される。
【0036】
図4は、本発明に係る無指向性アンテナ100と従来の無指向性アンテナとの特性の比較を示す図であり、(a)は従来の無指向性(ループ型)スロットアンテナの特性、(b)は本発明における無指向性(コの字型)スロットアンテナの特性を示す。なお図4では、高周波数帯(2.56GHz)用のコの字型スロット2を例に挙げて説明する。
【0037】
本発明者は、誘電体基板1上に形成されるスロットをコの字型の形状とした場合における給電線路及びスロットの長さについて、以下のような実験結果を得た。すなわちマイクロストリップ線路5の分岐路において、主線から第1スロット部21と交差する位置までの長さをLb、第2スロット部22の長さをSYとし、所定インピーダンスを得るように形成する。一方、従来のループ型スロットで上記所定インピーダンスと同一のインピーダンスを得るように構成すると、Lb、SYは共にコの字型スロットの場合より大きい値となる(図4(a))。
【0038】
よって本実施形態におけるコの字型スロットでは、マイクロストリップ線路5の分岐路、特に第2スロット部22と平行な部分の長さと、第2スロット部22との長さとを共にループ型スロットの場合より小さい値とすることができる。この結果、無指向性スロットアンテナ100の長手方向寸法を、ループ型スロットと比較して大幅に小さくすることが可能となっている。また、無指向性スロットアンテナ100の長手方向端部に十分なスペースを確保することが可能となるため、位相調整のための給電線路、すなわちミアンダ部53a,53bを当該スペースに配置することが可能となっている。
【0039】
図5は、本実施形態に係る無指向性アレイアンテナの構成を概略的に示す図である。
【0040】
図5の無指向性アレイアンテナは、図1の無指向性アンテナ100を長手方向に縦列配置したものである。例えば、無指向性アレイアンテナは、図1の無指向性アンテナ100が10個使用された構成となっており、その長さは860mmである。なお、無指向性アレイアンテナの長さは例示であり、上記値に制限されるものではない。
【0041】
本無指向性アレイアンテナでは、一の無指向性アンテナ100におけるコの字型スロット2(高周波数帯用)と、隣接する他の無指向性アンテナ100におけるコの字型スロット3(低周波数帯用)とが対向して配置されている。そして、一の無指向性アンテナ100における金属管4と、隣接する他の無指向性アンテナ100における金属管4とが所定間隔で配置されている。また、一の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5,6は、それぞれ隣接する他の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5,6と電気的に接続されており、本アレイアンテナの端部に設けられた不図示の給電端子から電力が供給される。一の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5と他の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5とは、位相調整を行うためのミアンダ部53を介して接続されている。
【0042】
ここで、アレイアンテナの長手方向寸法に制限があるという条件で2周波共用アンテナを作製する際には、周波数ごとに無指向性アンテナを作製すると長くなってしまうため、2つの周波数素子を交互に配置して小型化を図っている。このとき、素子間隔の最小値は、金属管4の長さで決定され、最大値は、グレーティングローブと呼ばれる不要波の発生を回避するべく高周波数側の波長によって決定される。よって周波数の組合せによっては、上記最大値と最小値の間の素子間隔では無指向性アンテナが収まらない場合がある。
【0043】
本実施形態における無指向性アンテナでは、コの字型スロットの全長が、従来のループ型無指向性アンテナの全長(λ)の約半分であるため、1つの金属管内に2つのスロットを配置して、1つの金属管が2周波で共振できる構成となっている。これにより、無指向性アレイアンテナではアンテナを構成するスペースを小さくすることができ、素子間隔の選択肢の幅を拡げることが可能となっている。
【0044】
図6は、図5の無指向性アレイアンテナの1.9GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。また、図7は、同アンテナの2.56GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。なお図6及び図7では、本実施形態に係る無指向性アレイアンテナとして、高周波数帯用のスロット2を15個、低周波数帯用のスロット3を20個使用した無指向性アレイアンテナの特性を示している。
【0045】
図6(a)及び(b)に示すように、垂直面内利得については、1.88GHz、1.9GHz、1.92GHzのいずれの周波数においても、ほぼ全ての角度θで高い利得を示しており、特にθ=−150°〜−30°及び30°〜150°で利得がほぼ−20〜−0dBである。また、水平面内指向性については、1.88GHz、1.9GHz、1.92GHzのいずれの周波数においてもほぼ無指向である。
【0046】
また、図7(a)及び(b)に示すように、垂直面内利得については、2.54GHz、2.56GHz、2.58GHzのいずれの周波数においても、ほぼ全ての角度θで高い利得を示しており、特にθ=−150°〜−30°及び30°〜150°で利得がほぼ−20〜−0dBである。また、水平面内指向性については、2.54GHz、2.56GHz、2.58GHzのいずれの周波数においてもほぼ無指向である。よって、本実施形態の無指向性アレイアンテナでは、高周波数帯fH及び低周波数帯fLの双方で、垂直面内利得及び水平面内無指向性がよいことが分かる。
【0047】
上述したように、本実施形態によれば、導電膜12に形成されるスロット2,3がコの字型であり、各全長がλ/4〜λ/2である。そして金属管4がスロットを覆うように配置され、その長さがλ/2以下である。さらに、オープン形状をなす本スロット構成により、マイクロストリップ線路5,6の各分岐路の長さを短く構成することができる。すなわち1つの金属管4内に2つのスロット2,3を配置して、1つの金属管4が2周波で共振できる構成となっている。これによりアンテナを構成するスペースを小さくすることができ、無指向性アンテナの小型化を実現することができる。また、無指向性アンテナ100の複数を縦列配置して無指向性アレイアンテナを構成する場合、隣接する無指向性アンテナ間にスペースを形成できるため、位相調整のためのミアンダ部53a,53bを当該スペースに配置することが可能となり、これにより位相調整を容易に行うことが可能となる。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の線B−Bに沿う断面図である。本第2実施形態に係る無指向性アンテナは、第1実施形態に係る無指向性アンテナにスルーホールを設けた構成となっている。なお、他の構成は、図1の無指向性アンテナと基本的に同一であるので、その説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0049】
図8において、無指向性アンテナ200において、誘電体基板1には、マイクロストリップ線路5に沿って、該マイクロストリップ線路5の両側にスルーホール71が列設されている。そして、スルーホール71内には、導電膜12と一体成形された半田等の導電体72が充填されている。そして、マイクロストリップ線路5側では、隣接する導電体72が電極パターン201により電気的に接続されている。すなわちマイクロストリップ線路5側では、マイクロストリップ線路5の両側に、該マイクロストリップ線路と平行となるように2列のパターン配線201が形成されている。マイクロストリップ線路6の両側にも同様にスルーホールが形成されており、その構成は基本的にスルーホール71と同様であるのでその説明を省略する。
【0050】
尚、本実施形態では、半田等の導電性材料からなる導電体72がスルーホール71内に充填されているが、これに限るものではなく、導電膜がスルーホール71の内周面に形成されていてもよい。
【0051】
図9は、誘電体基板にスルーホールが設けられていない無指向性アンテナとスルーホールが設けられている無指向性アンテナとの特性を比較する図である。
【0052】
スルーホールが形成されていない無指向性アンテナでは、1.9GHz帯でほぼ無指向となっている。一方、スルーホールが形成されている無指向性アンテナでは、1.9GHz帯でほぼ無指向であるのに加えて、2.56GHz帯における無指向性が改善されている。よって、無指向性アンテナ或いは無指向性アレイアンテナにおいてスルーホールを設けることにより、2周波の無指向性を更に向上することが可能となる。
【0053】
図10は、図8における金属管4の固定方法を説明する図であり、(a)は誘電体基板1の平面図、(b)は誘電体基板1に金属管が固定された状態を示す。
【0054】
図10に示すように、無指向性アンテナ300は、誘電体基板1の幅方向における両側面に設けられ、金属管4の一方の端面と係合する係合部313,315と、金属管4の他方の端面と係合する係合部314,316とを備えている。係合部313,314は、誘電体基板1の幅方向における一方の端面に形成されて、互いに協働して金属管4を所定位置に固定する。また、係合部315,316は、誘電体基板1の幅方向における一方の端面に形成されて、互いに協働して金属管4を所定位置に固定する。
【0055】
本実施形態では、係合部313,314,315,316は櫛歯型形状を有している。これにより金属管4の固定位置を変更したい場合や金属管4の長さが変更された場合であっても、金属管4を誘電体基板1に確実に固定することが可能となっている。
【0056】
そして、金属管4が誘電体基板1に固定された状態では、無指向性アンテナ300の平面視において、一部が金属管4の端面から突出した状態でコの字型スロット2が金属管4内に収容され、コの字型スロット3の全部が金属管4内に収容される。
【0057】
なお本実施形態では、無指向性アンテナ100の平面視においてコの字型スロット2の端部が金属管4の端面から突出するように配置されているが、これに限るものではない。無指向性アンテナ100の平面視において、コの字型スロット2の全部及びコの字型スロット3の全部が金属管4内に収容されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では係合部313,314が誘電体基板1の幅方向における一方の端面に形成され、さらに係合部315,316が誘電体基板1の幅方向における他方の端面に形成されているが、これに限るものではない。誘電体基板1の幅方向におけるいずれか一方の端面に、金属管4の軸方向両端部とそれぞれ係合する一対の係合部が形成されていてもよい。
【0059】
図11は、図5の無指向性アレイアンテナの変形例を示す図であり、(a)第1変形例、(b)は第2変形例、(c)は第3変形例を示す。
【0060】
図11(a)において、無指向性アレイアンテナ400は、無指向性アンテナ100に加えて、他の周波数帯、例えば900MHz帯用のコの字型スロット401を備えている。コの字型スロット401は、コの字型スロット2,3に縦列配置されており、その開口側がコの字型スロット3の開口側と対向するように形成されている。このとき、スロット401の全長はスロット2の全長のほぼ2倍であり、金属管4の長さもスロット401の全長に応じて大きい値となる。これにより、小型の3周波共用無指向性アンテナを構成することができる。
【0061】
また図5の無指向性アレイアンテナでは、2周波共用の無指向性アンテナであるが、これに限るものではなく、図11(b)に示すように、高周波数用スロット501を有する1周波用の無指向性アンテナ500を複数配置した無指向性アレイアンテナであってもよい。この場合、金属管4の長さは、例えばλ/2以下となるように設計される。
【0062】
また、図5の無指向性アレイアンテナでは、隣接する2つの金属管4が一定の間隔で配置されているが、図11(c)に示すように、隣接する2つの金属管4が異なる間隔(a≠b)で配置されていてもよい。
【0063】
図12は、図1の無指向性アンテナの変形例を示す図である。
【0064】
図12において、無指向性アンテナ600のコの字型スロット602,603は、誘電体基板1の幅方向に並べて配置されており、且つ、それぞれ金属管604の一方の開口側に向かって開口するように配置されている。そして、コの字型スロット602には、マイクロストリップ線路605から電力が供給され、コの字型スロット603には、マイクロストリップ線路606から電力が供給されている。
【0065】
図13は、図1におけるスロット2,3の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【0066】
図1におけるスロット2,3は略コの字型であるが、これに限らず、例えば図13(a)に示すように略へら型であってもよいし、図13(b)に示すように略U字型であってもよい。すなわち本実施形態の各スロットでは、平面視においてスロットの両端がオープン形状をなしていればよく、このオープン形状とは、環状スロットの一箇所が開放されることで形成されるスロットの両端の形状である。
【0067】
図14は、図1におけるマイクロストリップ線路5の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【0068】
図1におけるマイクロストリップ線路5は略L字型の分岐路を有しているが、これに限るものではない。マイクロストリップ線路906は、マイクロストリップ線路5の主線から内側に向かって略直角に延出する第1線路915のみを有していてもよい。この場合、第3スロット部23と第1線路915とを1つの平面に投影した場合、第3スロット部23は、第1線路915と略直角に交差するよう配置されている。これによりマイクロストリップ線路906を簡便な構成とすることができる。
【0069】
また、マイクロストリップ線路906は、マイクロストリップ線路5の主線から内側に向かって仰角略45°に延出する第1線路916のみを有していてもよい。この場合、第3スロット部23と第1線路916とを1つの平面に投影した場合、第3スロット部23は、第1線路916と略45°で交差するよう配置されている。これによりマイクロストリップ線路906の構成に自由度を持たせることができる。
【0070】
また、本実施形態は、本発明に係る無指向性アンテナ及び無指向性アレイアンテナの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における無指向性アンテナ及び無指向性アレイアンテナの細部構成に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 誘電体基板
2,3コの字型スロット
4 金属管
5,6 マイクロストリップ線路
12 導電膜
21,31 第1スロット部
22,32 第2スロット部
23,33 第3スロット部
51,61 第1線路
52,62 第2線路
53a,53b ミアンダ部
71 スルーホール
100 無指向性アンテナ
313,314,315,316 係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無指向性アンテナおよび無指向性アンテナアレイに関し、特に、PHSや携帯電話等の移動通信システムに使用される無指向性アンテナ及無指向性アンテナアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
PHSや携帯電話に代表される移動通信システムに使用される移動通信用基地局アンテナでは、水平面内の指向性が無指向性の垂直偏波アンテナが使用されている。
【0003】
図15は、従来の無指向性アンテナの構成を示す斜視図である。図15のアンテナは、誘電体基板151と、一次放射素子を構成するパッチアンテナ152と、無給電素子を構成する筒状金属体153と、マイクロストリップ線路154と、給電端子156とを有している。
【0004】
このアンテナでは、給電端子156に入力される励振電力が、マイクロストリップ線路154を介してパッチアンテナ152に給電され、パッチアンテナ152が励振される。そして、パッチアンテナ152から放射された電磁波によって、筒状金属体153よりなる無給電素子が励振され、筒状金属体153の外表面に高周波電流が誘起される。
【0005】
この誘起電流は、筒状金属体153の中心軸に平行な方向に流れ、円周方向に一様な振幅を有する。したがって、この誘起電流から放射される電磁波は、筒状金属体153の中心軸に垂直な面、即ち、水平面内において無指向性パターンとなる。
ここで、図15の無指向性アンテナでは、アンテナの直径が大きくなると、パッチアンテナ152と筒状金属体153との結合が弱くなり、その結果アンテナの帯域幅が狭くなる。このため、従来の無指向性アンテナにおいて所望の帯域幅を持たせるためには、アンテナの直径をあまり大きくすることができないという問題点があった。
【0006】
上記問題を解消するべく、図16に示すように、誘電体基板161と、矩形状の環状スロット162と、無給電素子を構成する筒状金属体163と、マイクロストリップ線路164と、給電端子166とを備えるアンテナが提案されている。図16のアンテナでは、誘電体基板161の表面側には金属薄膜からなる導電膜(不図示)が形成されており、この導電膜は、環状スロット2により囲まれている第1の部分と、それ以外の第2の部分とから構成される。導電膜の第1の部分は接地導体を構成し、この接地導体とマイクロストリップ線路164とで給電回路を構成する。また、マイクロストリップ線路164の先端は、導電膜の第2の部分まで延長されており、これにより一次放射素子を構成する環状スロット162に電磁結合給電を行っている。本アンテナによれば、帯域幅を狭くすることなく、無給電素子を構成する筒状金属体の内径を大きくすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−55025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のアンテナを用いて2周波共用のアレイアンテナを構成した場合、環状スロットと給電線部が占める割合が大きいことから、位相調整のための余長給電線を収容することができず、位相調整を行うことが困難であるという問題がある。また、余長給電線を収容するスペースがアンテナごとに必要となることから、アレイアンテナが大型化するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、アンテナの小型化を実現すると共に位相調整を容易に行うことができる無指向性アンテナ及び無指向性アンテナアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の無指向性アンテナは、誘電体基板と、前記誘電体基板の一方の面に形成された導電層と、前記導電層に形成され、平面視において両端がオープン形状をなし、その全長がλ/4〜λ/2であるスロットと、前記誘電体基板の他方の面に形成され、前記スロットを投影した場合に前記スロットの内側まで延出した給電路と、前記スロットを覆うように配置され、無給電素子を構成する金属環であって、その長さがλ/2以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無指向性アンテナは、低周波数帯fLの電磁波を放射する第1スロット及び高周波数帯fHの電磁波を放射する第2スロットと、前記誘電体基板の他方の面に形成され、第1スロットを投影した場合に前記第1スロットの内側まで延出した第1給電路と、前記誘電体基板の他方の面に形成され、第2スロットを投影した場合に前記第2スロットの内側まで延出した第2給電路とを更に備え、前記金属環が、前記第1スロット及び前記第2スロットを覆うように配置され、その長さが高周波数帯fHのλ/2以下である。
【0012】
また、前記第1給電路及び前記第2給電路が、前記誘電体基板の両端部に配置される。
【0013】
さらに、前記スロットのオープン形状が、前記金属環の開口側に配置されるのが好ましい。
【0014】
また、前記誘電体基板は長尺状であり、前記誘電体基板の幅寸法がほぼλ/5程度であっても構成可能である。
【0015】
さらに、前記誘電体基板に、前記給電路に沿って複数のスルーホールが形成されているのが好ましい。
【0016】
本発明の無指向性アンテナは、前記誘電体基板の端面に設けられ、前記金属環の軸方向両端部とそれぞれ係合する一対の櫛歯状係合部を更に備えている。
【0017】
また、本発明の無指向性アレイアンテナは、上記無指向性アンテナの複数が縦列配置されて構成されている。
【0018】
また、隣接する2つの無指向性アンテナ間において、一の無指向性アンテナにおける給電路と他の無指向性アンテナにおける給電路とがミアンダ部を介して接続される。
【0019】
さらに、本発明の無指向性アレイアンテナでは、上記無指向性アンテナの複数が交互に縦列配置され、3周波共用アンテナを構成している。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、導電層に形成されるスロットの両端がオープン形状をなしており、その全長がλ/4〜λ/2である。そして金属環がスロットを覆うように配置され、その長さがλ/2以下である。さらに、オープン形状をなす本スロット構成により、給電路の長さを短く構成することができる。したがってアンテナの小型化を実現する事ができる。また、本発明の無指向性アンテナの複数を縦列配置してアレイアンテナを構成する場合、隣接する無指向性アンテナ間にスペースを形成できるため、位相調整のための給電路余長をミアンダ形状で配置することが可能となり、これにより位相調整を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の無指向性アンテナの平面図であり、(a)は導電膜側から見た図、(b)はマイクロストリップ線路側から見た図、(c)は(a)の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】図2におけるマイクロストリップ線路とコの字型スロットとの位置関係を示す図である。
【図4】本発明に係る無指向性アンテナと従来の無指向性アンテナとの特性の比較を示す図であり、(a)は従来の無指向性(ループ型)スロットアンテナの特性、(b)は本発明における無指向性(コの字型)スロットアンテナの特性を示す。
【図5】本実施形態に係る無指向性アレイアンテナの構成を概略的に示す図である。
【図6】図5の無指向性アレイアンテナの1.9GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。
【図7】図5の無指向性アレイアンテナの2.56GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。
【図8】本発明の第2実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の線B−Bに沿う断面図である。
【図9】誘電体基板にスルーホールが設けられていない無指向性アンテナとスルーホールが設けられている無指向性アンテナとの特性を比較する図である。
【図10】図8における金属管の固定方法を説明する図であり、(a)は誘電体基板の平面図、(b)は誘電体基板に金属管が固定された状態を示す。
【図11】図5の無指向性アレイアンテナの変形例を示す図であり、(a)第1変形例、(b)は第2変形例、(c)は第3変形例を示す。
【図12】図1の無指向性アンテナの変形例を示す図である。
【図13】図1におけるスロットアンテナの変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【図14】図1におけるストリップ線路の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【図15】従来の無指向性アンテナの構成を示す斜視図である。
【図16】従来の他の無指向性アンテナの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の無指向性アンテナの平面図であり、(a)は導電膜側から見た図、(b)はマイクロストリップ線路側から見た図、(c)は(a)の線A−Aに沿う断面図である。
【0024】
図1に示すように、無指向性アンテナ100は、長尺状の誘電体基板1と、誘電体基板の一方の面に形成された導電膜12(導電層)と、該導電膜上に形成されたコの字型スロット2,3(第1及び第2スロット)と、スロット2,3を覆うように配置され、無給電素子を構成する金属管4と、誘電体基板1の他方の面に形成され、コの字型スロット2,3に電力を供給するマイクロストリップ線路5,6(第1及び第2給電路)とを備えている。
【0025】
誘電体基板1は電気的絶縁体を構成する板状体であり、例えば、長さ100mm、幅19.8mm、厚さ0.8mmである。この誘電体基板1の幅寸法は、例えばほぼλ/5となるように設計される。導電膜12は、誘電体基板1の一方の面のほぼ全体に形成された所定厚さの膜であり、その厚さは例えば35μmである。
【0026】
コの字型スロット2,3は、誘電体基板1の長手方向に縦列配置されており、2周波共用アンテナを構成している(図2(a))。本実施形態では、コの字型スロット2は、1.9GHz等の低周波数帯fLの電磁波を放射し、コの字型スロット3は、2.56GHzの高周波数帯fHの電磁波を放射するものである。コの字型スロット2,3の深さは導電膜12の厚さと同一であり、導電膜12を貫通して形成されている(図2(c))。また本実施形態では、コの字型スロット2,3のオープン形状は、それぞれ金属管4の開口側に配置されている。コの字型スロット2の全長は、例えばλ/4〜λ/2、コの字型スロット3の全長も、例えばλ/4〜λ/2である。
【0027】
金属管4は、コの字型スロット2,3のほぼ全表面を覆うように配置された断面略円形の管であり、その長さは高周波数帯fHのλ/2、内径は20mm、厚さ0.1mmである。この金属管4は、半径方向に弾性変形する可撓性部材である。この金属管4を誘電体基板1に取り付ける際には、金属管4の外周面を半径方向に押圧した状態で誘電体基板1を挿通し、当該押圧を解除することにより、誘電体基板1の所定位置に挟持される。
【0028】
なお本実施形態では金属管4は断面略円形の管であるが、これに限るものではなく、断面略楕円形、あるいは断面略多角形の環状体であってもよい。また、金属管4は、コの字型スロット2,3の表面のほぼ全表面を覆うように配置されているが、これに限るものではなく、コの字型スロット2,3の表面の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。
【0029】
マイクロストリップ線路5,6は誘電体基板1の幅方向端部に形成されている(図2(b))。マイクロストリップ線路5は、誘電体基板1の内側方向に延出したL字型の分岐線を有しており、マイクロストリップ線路5の主線に対して直角方向に延出した第1線路51と、第1線路51の端部から略直角方向に延出した第2線路52とを有している。マイクロストリップ線路6は、マイクロストリップ線路6の主線に対して直角方向に延出した第1線路61と、第1線路61の端部から略直角方向に延出した第2線路62とを有している。ミアンダ部53a,53bは、アンテナ特性を向上させるための線路が収容されたものであり、それぞれ第2線路52,62の端部から所定距離を隔てて配置されている。無指向性アンテナ100の端面には不図示の給電端子が配されており、該給電端子によりマイクロストリップ線路5、6に電力が供給されている。
【0030】
図3は、図2におけるコの字型スロット2,3とマイクロストリップ線路5,6との各位置関係を示す投影図である。
【0031】
図3において、スロット2は、第1線路51と略直角に配された第1スロット部21と、第1スロット部21の両端から該第1スロット部に対して略直角方向に延出した第2,第3スロット部22,23とを有している。すなわち本実施形態では、第1スロット部21と第1及び第2線路51,52とを1つの平面に投影した場合、第1スロット部21は、第1線路51に略平行に配置されており、且つ第2線路52と略直角に交差するよう配置されている。
【0032】
第1スロット部21の長さは、例えば6mm、第2,第3スロット部22,23の長さは、例えば23.8mmである。第1,第2,第3スロット部21,22,23の幅及び深さは同一であり、幅1mm、深さ0.035mmである。また、第1線路51の長さは、例えば5.1mm、第2線路52の長さは、例えば23.5mmである。なお、スロット2及び第1及び第2線路51,52の寸法は例示であり、上記値に制限されるものではない。
【0033】
スロット3は、第1線路61と略直角に配された第1スロット部31と、第1スロット部31の両端からそれぞれ該第1スロット部に対して略直角方向に延出した第2,第3スロット部32,33とを有している。すなわち本実施形態では、第1スロット部31と第1及び第2線路62,62とを1つの平面に投影した場合、第1スロット部31は、第1線路61に略平行に配置されており、且つ第2線路62と略直角に交差するよう配置されている。
【0034】
第1スロット部31の長さは、例えば6.0mm、第2,第3スロット部32,33の長さは、例えば18.6mmである。第1,第2,第3スロット部31,32,33の幅及び深さはほぼ同一であり、幅1mm、深さ0.035mmである。なお、スロット3及び第1及び第2線路61,62の寸法は例示であり、上記値に制限されるものではない。
【0035】
上記のように構成される無指向性アンテナ100では、給電端子に入力された励振電力が、マイクロストリップ線路5,6を介してコの字型スロット2,3に供給され、コの字型スロット2,3が励振される。そして、コの字型スロット2,3から放射された電磁波によって金属管4の外表面に高周波電流が誘起される。
【0036】
図4は、本発明に係る無指向性アンテナ100と従来の無指向性アンテナとの特性の比較を示す図であり、(a)は従来の無指向性(ループ型)スロットアンテナの特性、(b)は本発明における無指向性(コの字型)スロットアンテナの特性を示す。なお図4では、高周波数帯(2.56GHz)用のコの字型スロット2を例に挙げて説明する。
【0037】
本発明者は、誘電体基板1上に形成されるスロットをコの字型の形状とした場合における給電線路及びスロットの長さについて、以下のような実験結果を得た。すなわちマイクロストリップ線路5の分岐路において、主線から第1スロット部21と交差する位置までの長さをLb、第2スロット部22の長さをSYとし、所定インピーダンスを得るように形成する。一方、従来のループ型スロットで上記所定インピーダンスと同一のインピーダンスを得るように構成すると、Lb、SYは共にコの字型スロットの場合より大きい値となる(図4(a))。
【0038】
よって本実施形態におけるコの字型スロットでは、マイクロストリップ線路5の分岐路、特に第2スロット部22と平行な部分の長さと、第2スロット部22との長さとを共にループ型スロットの場合より小さい値とすることができる。この結果、無指向性スロットアンテナ100の長手方向寸法を、ループ型スロットと比較して大幅に小さくすることが可能となっている。また、無指向性スロットアンテナ100の長手方向端部に十分なスペースを確保することが可能となるため、位相調整のための給電線路、すなわちミアンダ部53a,53bを当該スペースに配置することが可能となっている。
【0039】
図5は、本実施形態に係る無指向性アレイアンテナの構成を概略的に示す図である。
【0040】
図5の無指向性アレイアンテナは、図1の無指向性アンテナ100を長手方向に縦列配置したものである。例えば、無指向性アレイアンテナは、図1の無指向性アンテナ100が10個使用された構成となっており、その長さは860mmである。なお、無指向性アレイアンテナの長さは例示であり、上記値に制限されるものではない。
【0041】
本無指向性アレイアンテナでは、一の無指向性アンテナ100におけるコの字型スロット2(高周波数帯用)と、隣接する他の無指向性アンテナ100におけるコの字型スロット3(低周波数帯用)とが対向して配置されている。そして、一の無指向性アンテナ100における金属管4と、隣接する他の無指向性アンテナ100における金属管4とが所定間隔で配置されている。また、一の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5,6は、それぞれ隣接する他の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5,6と電気的に接続されており、本アレイアンテナの端部に設けられた不図示の給電端子から電力が供給される。一の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5と他の無指向性アンテナ100におけるマイクロストリップ線路5とは、位相調整を行うためのミアンダ部53を介して接続されている。
【0042】
ここで、アレイアンテナの長手方向寸法に制限があるという条件で2周波共用アンテナを作製する際には、周波数ごとに無指向性アンテナを作製すると長くなってしまうため、2つの周波数素子を交互に配置して小型化を図っている。このとき、素子間隔の最小値は、金属管4の長さで決定され、最大値は、グレーティングローブと呼ばれる不要波の発生を回避するべく高周波数側の波長によって決定される。よって周波数の組合せによっては、上記最大値と最小値の間の素子間隔では無指向性アンテナが収まらない場合がある。
【0043】
本実施形態における無指向性アンテナでは、コの字型スロットの全長が、従来のループ型無指向性アンテナの全長(λ)の約半分であるため、1つの金属管内に2つのスロットを配置して、1つの金属管が2周波で共振できる構成となっている。これにより、無指向性アレイアンテナではアンテナを構成するスペースを小さくすることができ、素子間隔の選択肢の幅を拡げることが可能となっている。
【0044】
図6は、図5の無指向性アレイアンテナの1.9GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。また、図7は、同アンテナの2.56GHz帯の特性を示す図であり、(a)は垂直面内利得、(b)は水平面内指向特性を示す。なお図6及び図7では、本実施形態に係る無指向性アレイアンテナとして、高周波数帯用のスロット2を15個、低周波数帯用のスロット3を20個使用した無指向性アレイアンテナの特性を示している。
【0045】
図6(a)及び(b)に示すように、垂直面内利得については、1.88GHz、1.9GHz、1.92GHzのいずれの周波数においても、ほぼ全ての角度θで高い利得を示しており、特にθ=−150°〜−30°及び30°〜150°で利得がほぼ−20〜−0dBである。また、水平面内指向性については、1.88GHz、1.9GHz、1.92GHzのいずれの周波数においてもほぼ無指向である。
【0046】
また、図7(a)及び(b)に示すように、垂直面内利得については、2.54GHz、2.56GHz、2.58GHzのいずれの周波数においても、ほぼ全ての角度θで高い利得を示しており、特にθ=−150°〜−30°及び30°〜150°で利得がほぼ−20〜−0dBである。また、水平面内指向性については、2.54GHz、2.56GHz、2.58GHzのいずれの周波数においてもほぼ無指向である。よって、本実施形態の無指向性アレイアンテナでは、高周波数帯fH及び低周波数帯fLの双方で、垂直面内利得及び水平面内無指向性がよいことが分かる。
【0047】
上述したように、本実施形態によれば、導電膜12に形成されるスロット2,3がコの字型であり、各全長がλ/4〜λ/2である。そして金属管4がスロットを覆うように配置され、その長さがλ/2以下である。さらに、オープン形状をなす本スロット構成により、マイクロストリップ線路5,6の各分岐路の長さを短く構成することができる。すなわち1つの金属管4内に2つのスロット2,3を配置して、1つの金属管4が2周波で共振できる構成となっている。これによりアンテナを構成するスペースを小さくすることができ、無指向性アンテナの小型化を実現することができる。また、無指向性アンテナ100の複数を縦列配置して無指向性アレイアンテナを構成する場合、隣接する無指向性アンテナ間にスペースを形成できるため、位相調整のためのミアンダ部53a,53bを当該スペースに配置することが可能となり、これにより位相調整を容易に行うことが可能となる。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に係る無指向性アンテナの構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の線B−Bに沿う断面図である。本第2実施形態に係る無指向性アンテナは、第1実施形態に係る無指向性アンテナにスルーホールを設けた構成となっている。なお、他の構成は、図1の無指向性アンテナと基本的に同一であるので、その説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0049】
図8において、無指向性アンテナ200において、誘電体基板1には、マイクロストリップ線路5に沿って、該マイクロストリップ線路5の両側にスルーホール71が列設されている。そして、スルーホール71内には、導電膜12と一体成形された半田等の導電体72が充填されている。そして、マイクロストリップ線路5側では、隣接する導電体72が電極パターン201により電気的に接続されている。すなわちマイクロストリップ線路5側では、マイクロストリップ線路5の両側に、該マイクロストリップ線路と平行となるように2列のパターン配線201が形成されている。マイクロストリップ線路6の両側にも同様にスルーホールが形成されており、その構成は基本的にスルーホール71と同様であるのでその説明を省略する。
【0050】
尚、本実施形態では、半田等の導電性材料からなる導電体72がスルーホール71内に充填されているが、これに限るものではなく、導電膜がスルーホール71の内周面に形成されていてもよい。
【0051】
図9は、誘電体基板にスルーホールが設けられていない無指向性アンテナとスルーホールが設けられている無指向性アンテナとの特性を比較する図である。
【0052】
スルーホールが形成されていない無指向性アンテナでは、1.9GHz帯でほぼ無指向となっている。一方、スルーホールが形成されている無指向性アンテナでは、1.9GHz帯でほぼ無指向であるのに加えて、2.56GHz帯における無指向性が改善されている。よって、無指向性アンテナ或いは無指向性アレイアンテナにおいてスルーホールを設けることにより、2周波の無指向性を更に向上することが可能となる。
【0053】
図10は、図8における金属管4の固定方法を説明する図であり、(a)は誘電体基板1の平面図、(b)は誘電体基板1に金属管が固定された状態を示す。
【0054】
図10に示すように、無指向性アンテナ300は、誘電体基板1の幅方向における両側面に設けられ、金属管4の一方の端面と係合する係合部313,315と、金属管4の他方の端面と係合する係合部314,316とを備えている。係合部313,314は、誘電体基板1の幅方向における一方の端面に形成されて、互いに協働して金属管4を所定位置に固定する。また、係合部315,316は、誘電体基板1の幅方向における一方の端面に形成されて、互いに協働して金属管4を所定位置に固定する。
【0055】
本実施形態では、係合部313,314,315,316は櫛歯型形状を有している。これにより金属管4の固定位置を変更したい場合や金属管4の長さが変更された場合であっても、金属管4を誘電体基板1に確実に固定することが可能となっている。
【0056】
そして、金属管4が誘電体基板1に固定された状態では、無指向性アンテナ300の平面視において、一部が金属管4の端面から突出した状態でコの字型スロット2が金属管4内に収容され、コの字型スロット3の全部が金属管4内に収容される。
【0057】
なお本実施形態では、無指向性アンテナ100の平面視においてコの字型スロット2の端部が金属管4の端面から突出するように配置されているが、これに限るものではない。無指向性アンテナ100の平面視において、コの字型スロット2の全部及びコの字型スロット3の全部が金属管4内に収容されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では係合部313,314が誘電体基板1の幅方向における一方の端面に形成され、さらに係合部315,316が誘電体基板1の幅方向における他方の端面に形成されているが、これに限るものではない。誘電体基板1の幅方向におけるいずれか一方の端面に、金属管4の軸方向両端部とそれぞれ係合する一対の係合部が形成されていてもよい。
【0059】
図11は、図5の無指向性アレイアンテナの変形例を示す図であり、(a)第1変形例、(b)は第2変形例、(c)は第3変形例を示す。
【0060】
図11(a)において、無指向性アレイアンテナ400は、無指向性アンテナ100に加えて、他の周波数帯、例えば900MHz帯用のコの字型スロット401を備えている。コの字型スロット401は、コの字型スロット2,3に縦列配置されており、その開口側がコの字型スロット3の開口側と対向するように形成されている。このとき、スロット401の全長はスロット2の全長のほぼ2倍であり、金属管4の長さもスロット401の全長に応じて大きい値となる。これにより、小型の3周波共用無指向性アンテナを構成することができる。
【0061】
また図5の無指向性アレイアンテナでは、2周波共用の無指向性アンテナであるが、これに限るものではなく、図11(b)に示すように、高周波数用スロット501を有する1周波用の無指向性アンテナ500を複数配置した無指向性アレイアンテナであってもよい。この場合、金属管4の長さは、例えばλ/2以下となるように設計される。
【0062】
また、図5の無指向性アレイアンテナでは、隣接する2つの金属管4が一定の間隔で配置されているが、図11(c)に示すように、隣接する2つの金属管4が異なる間隔(a≠b)で配置されていてもよい。
【0063】
図12は、図1の無指向性アンテナの変形例を示す図である。
【0064】
図12において、無指向性アンテナ600のコの字型スロット602,603は、誘電体基板1の幅方向に並べて配置されており、且つ、それぞれ金属管604の一方の開口側に向かって開口するように配置されている。そして、コの字型スロット602には、マイクロストリップ線路605から電力が供給され、コの字型スロット603には、マイクロストリップ線路606から電力が供給されている。
【0065】
図13は、図1におけるスロット2,3の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【0066】
図1におけるスロット2,3は略コの字型であるが、これに限らず、例えば図13(a)に示すように略へら型であってもよいし、図13(b)に示すように略U字型であってもよい。すなわち本実施形態の各スロットでは、平面視においてスロットの両端がオープン形状をなしていればよく、このオープン形状とは、環状スロットの一箇所が開放されることで形成されるスロットの両端の形状である。
【0067】
図14は、図1におけるマイクロストリップ線路5の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例を示す。
【0068】
図1におけるマイクロストリップ線路5は略L字型の分岐路を有しているが、これに限るものではない。マイクロストリップ線路906は、マイクロストリップ線路5の主線から内側に向かって略直角に延出する第1線路915のみを有していてもよい。この場合、第3スロット部23と第1線路915とを1つの平面に投影した場合、第3スロット部23は、第1線路915と略直角に交差するよう配置されている。これによりマイクロストリップ線路906を簡便な構成とすることができる。
【0069】
また、マイクロストリップ線路906は、マイクロストリップ線路5の主線から内側に向かって仰角略45°に延出する第1線路916のみを有していてもよい。この場合、第3スロット部23と第1線路916とを1つの平面に投影した場合、第3スロット部23は、第1線路916と略45°で交差するよう配置されている。これによりマイクロストリップ線路906の構成に自由度を持たせることができる。
【0070】
また、本実施形態は、本発明に係る無指向性アンテナ及び無指向性アレイアンテナの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における無指向性アンテナ及び無指向性アレイアンテナの細部構成に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 誘電体基板
2,3コの字型スロット
4 金属管
5,6 マイクロストリップ線路
12 導電膜
21,31 第1スロット部
22,32 第2スロット部
23,33 第3スロット部
51,61 第1線路
52,62 第2線路
53a,53b ミアンダ部
71 スルーホール
100 無指向性アンテナ
313,314,315,316 係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板の一方の面に形成された導電層と、
前記導電層に形成され、平面視において両端がオープン形状をなし、その全長がλ/4〜λ/2であるスロットと、
前記誘電体基板の他方の面に形成され、前記スロットを投影した場合に前記スロットの内側まで延出した給電路と、
前記スロットを覆うように配置され、無給電素子を構成する金属環であって、その長さがλ/2以下であることを特徴とする無指向性アンテナ。
【請求項2】
低周波数帯fLの電磁波を放射する第1スロット及び高周波数帯fHの電磁波を放射する第2スロットと、
前記誘電体基板の他方の面に形成され、第1スロットを投影した場合に前記第1スロットの内側まで延出した第1給電路と、
前記誘電体基板の他方の面に形成され、第2スロットを投影した場合に前記第2スロットの内側まで延出した第2給電路と、を更に備え、
前記金属環は、前記第1スロット及び前記第2スロットを覆うように配置され、その長さが高周波数帯fHのλ/2以下であることを特徴とする請求項1記載の無指向性アンテナ。
【請求項3】
前記第1給電路及び前記第2給電路が、前記誘電体基板の両端部に配置されることを特徴とする請求項2記載の無指向性アンテナ。
【請求項4】
前記スロットのオープン形状が、前記金属環の開口側に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項5】
前記誘電体基板は長尺状であり、前記誘電体基板の幅寸法がほぼλ/5であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項6】
前記誘電体基板に、前記給電路に沿って複数のスルーホールが形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項7】
前記誘電体基板の端面に設けられ、前記金属環の軸方向両端部とそれぞれ係合する一対の櫛歯状係合部を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項8】
請求項1記載の無指向性アンテナの複数、又は請求項2記載の無指向性アンテナの複数が縦列配置されて構成される無指向性アレイアンテナ。
【請求項9】
隣接する2つの無指向性アンテナ間において、一の無指向性アンテナにおける給電路と他の無指向性アンテナにおける給電路とがミアンダ部を介して接続されることを特徴とする請求項8記載の無指向性アレイアンテナ。
【請求項10】
請求項1記載の無指向性アンテナと請求項2記載の無指向性アンテナとが交互に縦列配置され、3周波共用アンテナを構成する請求項8又は9記載の無指向性アレイアンテナ。
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板の一方の面に形成された導電層と、
前記導電層に形成され、平面視において両端がオープン形状をなし、その全長がλ/4〜λ/2であるスロットと、
前記誘電体基板の他方の面に形成され、前記スロットを投影した場合に前記スロットの内側まで延出した給電路と、
前記スロットを覆うように配置され、無給電素子を構成する金属環であって、その長さがλ/2以下であることを特徴とする無指向性アンテナ。
【請求項2】
低周波数帯fLの電磁波を放射する第1スロット及び高周波数帯fHの電磁波を放射する第2スロットと、
前記誘電体基板の他方の面に形成され、第1スロットを投影した場合に前記第1スロットの内側まで延出した第1給電路と、
前記誘電体基板の他方の面に形成され、第2スロットを投影した場合に前記第2スロットの内側まで延出した第2給電路と、を更に備え、
前記金属環は、前記第1スロット及び前記第2スロットを覆うように配置され、その長さが高周波数帯fHのλ/2以下であることを特徴とする請求項1記載の無指向性アンテナ。
【請求項3】
前記第1給電路及び前記第2給電路が、前記誘電体基板の両端部に配置されることを特徴とする請求項2記載の無指向性アンテナ。
【請求項4】
前記スロットのオープン形状が、前記金属環の開口側に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項5】
前記誘電体基板は長尺状であり、前記誘電体基板の幅寸法がほぼλ/5であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項6】
前記誘電体基板に、前記給電路に沿って複数のスルーホールが形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項7】
前記誘電体基板の端面に設けられ、前記金属環の軸方向両端部とそれぞれ係合する一対の櫛歯状係合部を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無指向性アンテナ。
【請求項8】
請求項1記載の無指向性アンテナの複数、又は請求項2記載の無指向性アンテナの複数が縦列配置されて構成される無指向性アレイアンテナ。
【請求項9】
隣接する2つの無指向性アンテナ間において、一の無指向性アンテナにおける給電路と他の無指向性アンテナにおける給電路とがミアンダ部を介して接続されることを特徴とする請求項8記載の無指向性アレイアンテナ。
【請求項10】
請求項1記載の無指向性アンテナと請求項2記載の無指向性アンテナとが交互に縦列配置され、3周波共用アンテナを構成する請求項8又は9記載の無指向性アレイアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−21562(P2013−21562A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154193(P2011−154193)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(505035954)古河C&B株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(505035954)古河C&B株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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