説明

無摺動式ボールバルブ

【課題】 弁体とシート部材との間に異物が介入してしまっても、シート部材や弁体を傷つけることなく主通路を遮断できる状態にすることのでき無摺動式ボールバルブを提供する。
【解決手段】 連通路が形成された弁体と、連通路を介して連通する主通路が形成されたハウジングと、ハウジング内に配置されたシート部材と、主通路の弁体収容室側に該主通路の穴中心線方向に移動可能に設けられ、主通路と連通路とを連通させる接続通路が形成された環状のホルダーと、ホルダーが規定位置から主通路側に移動したときにホルダーを付勢する付勢手段とを備え、弁体は、シート部材に対して非接触な状態で回転可能で、且つ非貫通部分がシート部材と対向した状態でシート部材側に傾動可能に設けられ、シート部材は、弾性変形可能な軟質材料で構成され、ホルダーは、シート部材を弁体側に突出させた態様で保持可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体等の対象物を移送する移送経路上に配設されるバルブに関し、より詳しくは、ハウジングに所定の軸線周りで回転可能な弁体が内装された無摺動式ボールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体や気体等の対象物を移送する移送経路の遮断や切り換えを行うべく移送経路上に配設されるバルブには、種々タイプのものがあり、その一つとして、ボールバルブが広く一般に知られている。
【0003】
ボールバルブは、所定の軸線と直交する仮想面上を通って貫通する連通路が形成された弁体と、該弁体を内装する弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室内の弁体の連通路を介して互いに連通する少なくとも二つの主通路(例えば、二方弁の場合には、上流側及び下流側の二つの主通路、三方弁の場合には、分岐した三つの主通路)が形成されたハウジングと、該ハウジング内における各主通路の弁体収容室側の開口回りに配設された環状のシート部材とを備えている。
【0004】
かかるボールバルブは、弁体の外周面がシート部材に常時圧接するようになっており、弁体がシート部材に圧接した状態で所定の軸線周りで回転できるようになっている。これにより、ボールバルブは、シート部材によって弁体とハウジングとの間のシール性(液密性や気密性)が確保され、弁体を所定の軸線周りで回転させることで、連通路を介してハウジングの主通路が連通した状態と、弁体の連通路の両端開口間にある非貫通部分で主通路を遮断した状態とに切り換えることができるようになっている。
【0005】
しかしながら、一般的なボールバルブは、上述の如く、シート部材に面圧を常時作用させた状態(弁体がシート部材に圧接した状態)で弁体を回転させるようになっているため、弁体を繰り返し回転させると、弁体やシート部材が摩耗してしまう。その結果、上記構成のボールバルブは、弁体とシート部材との間をシールできなくなり、主通路を確実に遮断することができなくなるといった問題があった。
【0006】
そこで、シート部材の磨耗を抑制乃至防止できるようにした無摺動式ボールバルブが提供されている(例えば、特許文献1及び2参照)。無摺動式ボールバルブは、図6及び図7に示す如く、従来のボールバルブと同様に、ハウジング3’の弁体収容室30’内で弁体2’が所定の軸線L周りで回転可能に構成されているが、弁体2’の回転でシート部材4’を摩耗させることのないように、弁体2’がシート部材4’に対して非接触な状態で回転できるようになっている。
【0007】
そして、該無摺動式ボールバルブ1’は、弁体2’が所定の軸線L方向の何れか一端側(例えば、弁体2’の上部又は下部)で支持されており、弁体2’における所定の軸線L方向の他端側(弁体2’の上部が支持されている場合には該弁体2’の下部を、弁体2’の下部が支持されている場合は該弁体2’の上部)を付勢することで、弁体2’が所定の軸線L方向の一端側を傾動支点にしてシート部材4’側に傾動し、弁体2’の連通路R1’の両端開口間に形成される非貫通部分がシート部材4’に密接して主通路R2’,R3’を遮断するようになっている。なお、無摺動式ボールバルブ1’のシート部材4’は、一般的に硬質なもの(例えば、ステンレス等の金属製のものや、テフロン等の樹脂製のもの)が採用されている。
【0008】
これにより、上記構成の無摺動式ボールバルブ1’は、弁体2’を回転させる際に弁体2’やシート部材4’が摩耗することがないため、主通路R2’,R3’の切り換え等(弁体2’の回転)を繰り返し行っても弁体2’とシート部材4’との間を長期に亘って良好にシールできるとして、多岐に亘る分野に採用されつつある。
【0009】
すなわち、上記構成の無摺動式ボールバルブ1’は、各種分野において優れた性能が認められ、液体や気体等の流体を移送する移送経路(流通させる配管系)だけでなく、粉体や、混雑物を含んだ流体、雑多な廃棄物(破砕処理された廃棄物)等を移送する移動経路にも採用されつつある。
【特許文献1】特開2008−95811号方向
【特許文献2】米国特許3515371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記構成の無摺動式ボールバルブ1’は、弁体2’を回転させるときや、ハウジング3’の主通路R2’,R3’が連通路R1’を介して連通したときに、弁体2’とシート部材4’との間に隙間が形成されるため、粉体や、混雑物を含む流体、雑多な廃棄物を移送すると、異物(例えば、針金等の線材や、紐材、小径な塊状物等)が弁体2’とシート部材4’との間に入り込んだ状態になり、主通路R2’,R3’を遮断する(弁体2’をシート部材4’側に傾動させる)ときに、異物が弁体2’とシート部材4’とに挟み込まれてしまうことがある。
【0011】
そのため、上記構成の無摺動式ボールバルブ1’は、弁体2’とシート部材4’との間にある異物の存在で弁体2’がシート部材4’に圧接できずにこれらの間に隙間が形成されてしまい、主通路R2’,R3’を完全に遮断できなくなるといった問題があった。
【0012】
また、無摺動式ボールバルブ1’は、主通路R2’,R3’を遮断するときに弁体2’とシート部材4’との密着性(圧接力)を確保できるように、弁体2’の傾動量(移動量)が設定されているため、弁体2’とシート部材4’とに異物が挟み込まれた状態であっても、弁体2’が設定された移動量になるまで傾動しようとする。
【0013】
その結果、弁体2’とシート部材4’との異物を挟み込んだ部位に大きな力が局所的に作用し、シート部材4’や弁体2’に凹みができたり傷が付いたりすることもある。そうすると、シート部材4’と弁体2’との間に存在する異物を除去した後に弁体2’を傾動させてシート部材4’に圧着させても、弁体2’やシート部材4’の傷等が弁体2’とシート部材4’との間に隙間が形成してしまう結果、弁体2’とシート部材4’との間をシールできずに主通路R2’,R3’を完全に遮断できなくなるといった問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、弁体とシート部材との間に異物が介入してしまっても、シート部材や弁体を傷つけることなく主通路を遮断できる状態にすることのできる無摺動式ボールバルブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る無摺動式ボールバルブは、所定の軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通路が形成された弁体と、該弁体を内装する弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室内の弁体の連通路を介して互いに連通する少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングと、前記主通路同士を連通させた弁体の連通路周りと対向するように、少なくとも何れか一つの主通路に対応させてハウジング内に配置された環状のシート部材とを備え、前記弁体は、シート部材に対して非接触な状態で前記所定の軸線を回転中心にして回転可能に構成されるとともに、連通路の両端開口間に形成される非貫通部分がシート部材と対向した状態で前記軸線方向の何れか一端側を支点にしてシート部材側に傾動可能に設けられ、該弁体がシート部材側に傾動することによって非貫通部分がシート部材に圧接して主通路を遮断するように構成された無摺動式ボールバルブにおいて、少なくとも何れか一つの主通路の弁体収容室側に配置され、ハウジングに対して液密状態又は気密状態を維持しつつ前記主通路の穴中心線方向に移動可能に設けられるとともに、前記主通路と前記連通路とを連通させる接続通路が形成されたホルダーと、該ホルダーとハウジングとの間に介設され、ホルダーが少なくとも弁体収容室側の規定位置から主通路側に移動したときに該ホルダーを弁体側に付勢する付勢手段とを備え、前記シート部材は、弾性変形可能な軟質材料で構成され、前記ホルダーは、接続通路の弁体側の開口回りでシート部材を弁体側に突出させた態様で保持可能に構成されていることを特徴とする。なお、ここで「規定位置」とは、ホルダーのホームポジションであって、傾動した弁体がシート部材に対して適正に圧接し得る状態となるホルダーの位置を意味する。
【0016】
上記構成の無摺動式ボールバルブによれば、弁体とシート部材との間に小さな異物が介在した状態で主通路を遮断しようとすると、弁体の傾動に伴って異物がシート部材に押し付けられる結果、シート部材が異物に密接した状態で局所的に弾性変形することになる。これにより、シート部材が異物を部分的に躱した状態になる結果、弁体の傾動が阻害されなくなり、弁体が所定量傾動したときに、該弁体がシート部材に圧接して主流路が遮断されることになる。そして、弁体とシート部材との間から異物を取り除くことで、シート部材の弾性変形していた部分が元の状態に復元するため、それ以後における主通路の遮断についても確実に行うことができる状態になる。
【0017】
そして、弁体とシート部材との間に大きな異物(シート部材の弾性変形で躱すことのできない大きな異物)が介在した状態で主通路を遮断しようとすると、弁体の傾動に伴って異物がシート部材に押し付けられる結果、この場合においてもシート部材が異物に密接した状態で局所的に弾性変形することになるが、異物が大きいために該異物がシート部材の弾性変形による凹みに完全に入り込まず、シート部材の弾性変形で異物の存在を吸収できずに異物がシート部材から弁体側に突出した状態になる。この状態で弁体が設定された移動量(傾動量)移動すると、弁体の傾動(押し付け力の作用)に伴って異物がシート部材を介してホルダーを主通路側に押す結果、該ホルダーは、付勢手段の付勢に抗して移動する(逃げる)ことになる。
【0018】
従って、シート部材に対して弾性変形の限界を超えた状態で過大な力が作用しなくなるため、シート部材の破断や破損が防止される。そして、弁体とシート部材との間に介入した異物を除去することで、付勢手段の付勢でホルダーが規定位置に復帰するとともに、シート部材が自己の弾性で元の状態に復元する。これにより、それ以後における主通路の遮断についても確実に行うことができる状態になる。
【0019】
本発明の一態様として、前記ホルダーは、外径が主通路の内径よりも大径に設定され、前記ハウジングは、ホルダーを収容するホルダー収容部を備え、該ホルダー収容部は、弁体収容室に向けて開口するように少なくとも何れか一つの主通路に対して弁体収容室側で連続して形成されるとともに、内径がホルダーの外径よりも大径に設定され、前記付勢手段は、ホルダー収容部を画定して弁体収容室側を向く面とホルダーとの間に介装され、ホルダー収容部を画定する内周面とホルダーの外周面との間に環状のシーリング部材が介装されてもよい。このようにすれば、シート部材を保持するホルダーを移動可能に設けても、シーリング部材の存在でホルダーとハウジングとの間のシールを確実に図ることができる。
【0020】
この場合、前記ホルダー収容部は、内径が主通路の内径よりも大径に設定され、該主通路と連続する第一拡大部と、内径が第一拡大部の内径よりも大径に設定され、該第一拡大部と連続して弁体収容室に向けて開口する第二拡大部とを備え、前記ホルダーは、弁体収容室側の一端部にシート部材が嵌着された状態でホルダー収容部に収容されるホルダー本体と、該ホルダー本体に嵌着されたシート部材を固定する固定部材とを備え、ホルダー本体は、第一拡大部に収容される筒状の第一本体部と、該第一本体部と同心又は略同心になるように第一本体部に連続して形成され、外径が第一本体部よりも大径に設定されて第二拡大部に収容される筒状の第二本体部と、該第二本体部と同心又は略同心になるように第二本体部に連続して形成され、前記シート部材が嵌着される筒状の第三本体部とを備え、前記固定部材は、第三本体部に嵌着されたシート部材を該第三本体部とともに挟み込むように、シート部材に嵌着可能に構成され、前記付勢手段は、第二拡大部を画定して弁体収容室側に向く面と第二本体部との間に介装され、前記シーリング部材は、第一本体部の外周面と第一拡大部の内周面との間、及び、第二本体部の外周面と第二拡大部の内周面との間の少なくとも何れか一方に介装されることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、軟質材料からなるシート部材がホルダー本体の第三本体部と固定部材とに挟まれ、該シート部材における弁体の圧接する必要最小限の部分を弁体側に突出した状態にすることができる。これにより、主通路間で移送される対象物や弁体とシート部材との間に介入する異物からシート部材をホルダー(ホルダー本体及び固定部材)で保護することができ、移送の対象が廃棄物等の特異なものであってもシート部材が不必要に傷んでしまうのを防止することができる。また、前記シーリング部材が、第一本体部の外周面と第一拡大部の内周面との間、又は、第二本体部の外周面と第二拡大部の内周面との間の少なくとも何れか一方に介装されることで、ホルダーの移動を阻害することなくホルダーとハウジングとの間のシール(液密性又は気密性)を確実に図ることができる。
【0022】
本発明の他態様として、前記規定位置にあるホルダーが弁体収容室側に移動するのを規制するストッパーを備えてもよい。このようにすれば、規定位置にあるホルダーが不必要に弁体側に移動することがないため、シート部材を弁体が適正に圧接し得る位置で維持させることができる。これにより、弁体を傾動させたときにシート部材に対して常時同じような態様で密接させることができる上に、弁体とシート部材との間に異物が想定外の態様で進入してしまう等といった問題を確実に防止することができる。従って、シート部材が想定外の状況で破損する等といった事態になるのを防止することができる。
【0023】
また、本発明の別の態様として、前記付勢手段は、環状の皿バネで構成され、主通路と同心又は略同心になるように配置されてもよい。このようにすれば、ホルダーに対する付勢を周方向に均一に行うことができるため、ホルダーの復帰等を円滑且つ確実にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る無摺動式ボールバルブによれば、弁体とシート部材との間に異物が介入してしまっても、シート部材や弁体を傷つけることなく主通路を遮断できる状態にすることができるといった優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る無摺動式ボールバルブについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態に係る無摺動式ボールバルブは、対象物を移送する移送経路上に配設され、該移送経路の遮断と開放とを切り換えるための二方弁である。すなわち、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブは、移送経路を構成する二本の配管(図示しない)が接続され、その配管間で対象物の移送が可能な状態と移送が不能な状態とに切り換えることができるようになっている。なお、移送の対象(対象物)は、移送経路が設置される設備やプラント等に応じて適宜選択されるもので、例えば、異物を含んでいない液体や気体等の流体は勿論のこと、粉体や、異物を含んだ流体、小さく破砕された雑多な廃棄物等が移送の対象として選択されることがある。
【0027】
本実施形態かかる無摺動式ボールバルブは、図1及び図2に示す如く、所定の軸線Lと直交又は略直交する仮想面(図示しない)上を通って貫通する連通路R1が形成された弁体2と、該弁体2を内装する弁体収容室30が形成されるとともに、弁体収容室30内の弁体2の連通路R1を介して互いに連通する二つの主通路R2,R3が形成されたハウジング3と、前記主通路R2,R3同士を連通させた弁体2の連通路R1周りと対向するように、一方の主通路R2に対応させてハウジング3内に配置された環状のシート部材4とを備えている。
【0028】
前記弁体2は、シート部材4に対して非接触な状態で前記所定の軸線Lを回転中心にして回転可能に構成されるとともに、連通路R1の両端開口間に形成される非貫通部分がシート部材4と対向した状態で前記軸線L方向の一端側を支点にしてシート部材4側に傾動可能に設けられている。
【0029】
そして、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、弁体2がシート部材4に対して非接触な状態で回転可能に構成される、すなわち、弁体2がシート部材4との間に異物が進入(介入)する虞のある隙間を形成した状態で回転可能となっていることを前提に、一方の主通路R2の弁体収容室30側に配置され、ハウジング3に対して液密状態又は気密状態を維持しつつ該一方の主通路R2の穴中心線CL方向に移動可能に設けられるとともに、該主通路R2と前記連通路R1とを連通させる接続通路R4が形成されたホルダー5と、該ホルダー5とハウジング3との間に介設され、ホルダー5が弁体収容室30側の規定位置から前記一方の主通路R2側に移動したときに該ホルダー5を弁体収容室30(弁体2)側に付勢する付勢手段6と、前記規定位置にあるホルダー5が弁体収容室30(弁体2)側に移動するのを規制するストッパー7とを備えている。なお、規定位置とは、ホルダー5のホームポジションであって、弁体2がシート部材4側に傾動した状態で、該弁体2がシート部材4(後述する圧接部41)に対して適正に圧接し得る状態となるホルダー5の位置を意味する。
【0030】
そして、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、上述の如く、弁体2をシート部材4に対して非接触な状態で回転させた上で、該弁体2をシート部材4側に傾動させるに伴い、上記構成に加え、所定の軸線Lを通るようにハウジング3に挿通され、弁体2を所定の軸線L方向の一端側(本実施形態においてはハウジング3の下端側)で傾動可能に支持するとともに該弁体2を所定の軸線L周りで回転させる軸状のステム(以下、第一ステムという)8と、所定の軸線Lを通るように第一ステム8とは反対側でハウジング3に挿通され、所定の軸線Lの他端側(本実施形態においてはハウジング3の上端側)で弁体2をシート部材4に向けて付勢して該弁体2を傾動させる軸状のステム(以下、第二ステムという)9とをさらに備えている。
【0031】
前記弁体2は、一般的なボールバルブ1と同様、略球状に形成され、前記連通路R1が該弁体2の略中心を通る真っ直ぐな穴に形成されている。本実施形態に係る弁体2は、所定の軸線L方向の一端側となる下部に第一ステム8の一端部(後述する接続部80)を挿入するためのステム挿入部(以下、第一ステム挿入部という)20が凹設されている。該第一ステム挿入部20は、図3に示す如く、前記弁体2の回転中心となる所定の軸線Lと直交又は略直交する方向に沿って延びる一対の第一平面部20a,20bが前記所定の軸線Lを挟んで形成されるとともに、一対の第一平面部20a,20bと直角又は略直角をなし、且つ前記所定の軸線Lと直交又は略直交する方向に延びる一対の第二平面部21a,21bが前記所定の軸線Lを挟んで形成されている。
【0032】
図1及び図2に戻り、本実施形態に係る弁体2は、所定の軸線L方向の他端側(第一ステム挿入部20とは反対側)となる上部に、第二ステム9の後述する押圧部90に押圧(付勢)される被押圧部(以下、第一被押圧部という)22aが設けられている。該第一被押圧部22aは、弁体2の非貫通部分がシート部材4と対向した状態で、押圧部90による押圧力が該シート部材4に向けて作用するように設けられている。本実施形態において、弁体2は、上部に第二ステム9の端部を挿入するステム挿入部(以下、第二ステム挿入部という)22が凹設されている。
【0033】
該第二ステム挿入部22も、第一ステム挿入部20と同様に、非貫通状態の穴(凹部)で構成されており、該第二ステム挿入部22の内周(開口形状)を所定の形状とすることで、該第二ステム挿入部22の内周面の一部が第一被押圧部22aとされている。具体的には、該第二ステム挿入部22は、連通路R1の穴中心線CLと略同方向に延びる平面からなる第一被押圧部22aを備えた内周面によって画定されており、弁体2の非貫通部分と一方の主通路R2とが対向した状態(連通路R1の穴心と主通路の中心線とが直交した状態)で、第一被押圧部22a(内面)が弁体2の変位(傾動)を許容する方向と直交した方向に延び、押圧部90の押圧力が弁体2を変位させる方向に作用するようになっている。
【0034】
本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、押圧部90による押圧で弁体2をシート部材4側に変位(傾動)させた状態(弁体2がシート部材4に密接した状態)から弁体2を反対側に強制的に変位させる(弁体2をシート部材4から離間させる)ことができるようにもなっている。これに伴い、第二ステム挿入部22を画定する内周面は、前記第一被押圧部22aと略平行をなして対向する平面からなる別の被押圧部(以下、第二被押圧部という)22bを備えている。
【0035】
前記ハウジング3は、内部に弁体2を収容する弁体収容室30が形成されており、二つの主通路(穴)R2,R3が弁体収容室30を挟んで互いに対向するように形成されている。すなわち、上述の如く、弁体2の連通路R1が真っ直ぐな穴で構成されるため、二つの主通路R2,R3は、弁体2の連通路R1と略同心になるように形成されている。また、二つの主通路R2,R3は、弁体2の連通路R1の内径と同径に設定されている。
【0036】
本実施形態に係るハウジング3は、メインフレーム31と、該メインフレーム31に取り付けられるサブフレーム32とで構成されており、メインフレーム31にサブフレーム32と取り付けた状態で内部に弁体収容室30が形成されるようになっている。
【0037】
前記メインフレーム31は、弁体2を内装する弁体収容室30の一部を画定する本体部310と、第一ステム8を挿通するための第一ステム挿通部311と、第二ステム9を挿通するための第二ステム挿通部312と、他方の主通路R3を画定した筒状の配管接続部313とで構成されている。
【0038】
前記本体部310は、内部に弁体2を非接触状態で収容できる空間が形成されている。すなわち、本体部310は、一側面に弁体2を挿入するための開口(採番しない)を形成した凹部が形成されている。該本体部310の開口は、弁体収容室30(凹部)の略中心を通って弁体2の所定の軸線Lと直交する中心線CLを中心にして略円形状に形成されている。そして、この開口回りには、環状のガスケットGを嵌め込むための段差が形成さている。
【0039】
第一ステム挿通部311は、本体部310の下部に設けられており、弁体2の所定の軸線Lと略同心をなして貫通したステム挿通穴(以下、第一ステム挿通穴という)H1が形成されている。すなわち、第一ステム挿通部311には、本体部310の開口の中心線CLと直交するように、内外(本体部310の凹部(弁体収容室30)と外部)を連通させる第一ステム挿通穴H1が穿設されている。
【0040】
第一ステム挿通部311は、本体部310の一部として構成してもよいが、本実施形態においては、本体部310から独立した別の部材(以下、第一部材という)314を本体部310に取り付けることが構成されている。該第一部材314は、筒状部314aと、該筒状部314aの一端に連設されたフランジ部314bとを備えている。該第一部材314は、本体部310の下部に穿設された貫通穴(採番しない)に対して筒状部314aが挿入された状態でフランジ部314bに挿通したボルト(採番しない)が本体部310に穿設されたネジ穴に螺合されることで本体部310に固定されるようになっている。そして、第一部材314は、筒状部314aとフランジ部314bとの連続した穴でステム挿通穴H1が形成されている。
【0041】
第一ステム挿通穴H1は、内外を連通させる貫通した段付き穴で構成されている。そして、該第一ステム挿通穴H1(外向きに開口した部分)には、筒状のガスケットG(採番しない)が内嵌されており、ガスケットGにより所定の軸線L周りで回転可能とされる第一ステム8とのシール性を担保するようにしている。
【0042】
本実施形態に係る第一ステム挿通部311のガスケットGは、第一ステム挿通穴H1に内嵌され、且つ第一ステム8が挿通された状態で、第一ステム8の軸線方向に押圧されることで第一ステム8の外周面と第一ステム挿通穴H1の内周面とに密接し、第一ステム8の回転を許容しつつもシール性を担保できるようになっている。そのため、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、第一ステム挿通部311のガスケットGを押圧するためのガスケット押圧部材(以下、第一押圧部材という)350を備えている。かかる第一押圧部材350は、第一ステム8が挿通されるとともに、第一ステム挿通穴H1の外向きに開口した部分に挿入可能な筒状の押圧部351と、該押圧部351の一端部から外方に延出した鍔部352とを備えており、鍔部352に挿通したボルト(図示しない)を第一部材314のフランジ部314bに穿設されたネジ穴(図示しない)に螺入させることで、押圧部351がガスケットGを押圧できるようになっている。
【0043】
第二ステム挿通部312は、弁体収容室30(本体部310)を挟んで第一ステム挿通部311の反対側(本体部310の上部)に設けられている。そして、該第二ステム挿通部312には、弁体2の所定の軸線Lと略同心をなして貫通したステム挿通穴(以下、第二ステム挿通穴H2という)が設けられている。すなわち、第二ステム挿通部312には、本体部310の開口の中心線CLと直交するように、内外(本体部310の凹部(弁体収容室30)と外部)を連通させる第二ステム挿通穴H2が第一ステム挿通穴H1と略対向するように穿設されている。該第二ステム挿通部312は、本体部310の一部として形成してもよいが、本実施形態においては、本体部310の一部と、該本体部310とは独立した別の部材(以下、第二部材という)316とで構成されている。
【0044】
該第二部材316は、筒状部317と、該筒状部317の両端部に設けられたフランジ部318a,318bとを備えており、一対のフランジ部318a,318b及び筒状部317の連続した穴で、第二ステム挿通穴H2の一部を構成するようになっている。そして、本体部310の上部には、第二ステム挿通穴H2の一部を構成する貫通穴(採番しない)が穿設されており、第二部材316の穴が本体部310の貫通穴と同心になるように第二部材316を配置した上で、第二部材316の一方のフランジ部318aに挿通したボルト(採番しない)を本体部310に螺入することで第二部材316が本体部310に固定され、これらが第二ステム挿通部312を構成するようになっている。
【0045】
第二ステム挿通穴H2は、内外を連通させる貫通した段付き穴で構成されている。そして、第二ステム挿通穴H2(外向きに開口した部分)には、筒状のガスケットGが内嵌されており、該ガスケットGにより所定の軸線L周りで回転可能とされる第二ステム9とのシール性を担保するようにしている。
【0046】
本実施形態に係る第二ステム挿通部312のガスケットGは、第二ステム挿通穴H2に内嵌され、且つ第二ステム9が挿通された状態で、第二ステム9の軸線方向に押圧されることで第二ステム9の外周面と第二ステム挿通穴H2の内周面とに密接し、第二ステム9の回転を許容しつつもシール性を担保できるようになっている。そのため、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、第一ステム挿通部311と同様に、ガスケットGを押圧するためのガスケット押圧部材(以下、第二押圧部材という)353を第二ステム挿通部312にも備えている。
【0047】
かかる第二押圧部材353は、第二ステム9が挿通されるとともに、第二ステム挿通穴H2の外向きに開口した部分に挿入可能な筒状の押圧部354と、該押圧部354の一端部から外方に延出した鍔部355とを備えており、鍔部355に挿通したボルト(図示しない)を第二部材316の他方のフランジ部318bに穿設されたネジ穴(図示しない)に螺入することによって、押圧部354がガスケットGを押圧できるようになっている。
【0048】
メインフレーム31の配管接続部313は、内部の主通路R3が該本体部310の凹部内と連通し、該主通路R3の中心線CLが弁体2の所定の軸線Lと直交するように、一端側が本体部310に接続されている。すなわち、該配管接続部313は、主通路R3が第一ステム8の軸線Lと略直交し、且つ本体部310の凹部(開口)の中心CLと略同心になるように、本体部310に連設されている。そして、該配管接続部313は、他端側に配管を接続するためのフランジ319が設けられている。
【0049】
前記サブフレーム32は、メインフレーム31に取り付けられるもので、本体部310の一側面の開口回りに固定される接続用フランジ部320と、一方の主通路R2を画定した筒状の配管接続部321とを備えている。
【0050】
前記接続用フランジ部320は、板状の固定部320aと、該固定部320aの一方の面(メインフレーム31側に向く面とは反対側の面)に連設され、該固定部320a側から先端に向けて外径が縮径した縮径部320bとを備えており、固定部320a及び縮径部320bを貫通した穴(後述するホルダー収容部300)が形成されている。前記固定部320aには、本体部310の開口の周囲に形成された複数のネジ穴(図示しない)に対応する複数の貫通穴(図示しない)が穿設されており、該貫通穴に挿通したボルトを本体部310のネジ穴に螺入することで、当該サブフレーム32をメインフレーム31に固定できるようになっている。
【0051】
なお、接続用フランジ部320は、本体部310の一側面に密接するように固定してもよいが、本実施形態においては、前記ストッパー7をメインフレーム31とサブフレーム32とで挟み込んだ状態にして固定するようにしている。そのため、接続用フランジ部320の弁体収容室30側の面(固定部320aの他方の面)に形成された凹部(採番しない)にガスケットGが嵌め込まれている。これにより、メインフレーム31にサブフレーム32を固定した状態で、本体部310側のガスケットGがストッパー7の一方の面に密接するとともに、接続用フランジ部320側のガスケットGがストッパー7の他方の面に密接し、これらの間のシールを図ることができるようになっている。
【0052】
そして、サブフレーム32の配管接続部321は、接続用フランジ部320の他方の面側の開口縁部(縮径部320bの開口縁部)に一端側が接続されており、接続用フランジ部320(固定部320a)を本体部310に取り付けた状態で、内部の主通路R2が他方の主通路R3と対向し、該主通路R2の穴中心線CLが内装した弁体2の所定の軸線Lと直交するように設けられている。なお、該配管接続部321の他端部にも、配管を接続するためのフランジ322が設けられている。
【0053】
これにより、該ハウジング3は、メインフレーム31にサブフレーム32を取り付けることで、内部に弁体2を内装するための弁体収容室30を画定するようになっている。
【0054】
そして、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、上述の如く、ホルダー5を備えているため、前記ハウジング3は、ホルダー5を収容するホルダー収容部300を備えている。本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、ハウジング3がメインフレーム31とサブフレーム32とで構成され、弁体2に対して一方の主通路R2側にシート部材4を配設するようにしているため、該シート部材4を保持したホルダー5を収容するホルダー収容部300は、サブフレーム32(接続用フランジ部320)に形成されている。
【0055】
該ホルダー収容部300は、図4に示す如く、弁体収容室30に向けて開口するように一方の主通路R2に対して弁体収容室30側で連続して形成されるとともに、内径がホルダー5の外径よりも大径に設定されている。より具体的には、ホルダー収容部300は、内径が主通路R2の内径よりも大径に設定され、該主通路R2と連続する第一拡大部301と、内径が第一拡大部301の内径よりも大径に設定され、該第一拡大部301と連続して弁体収容室30に向けて開口する第二拡大部302とを備えている。これにより、ハウジング3は、二つの流通路R2,R3のうちの一方の主通路R2側に弁体収容室30側に向けて穴径が段々に大きくなった段付穴が形成されている。
【0056】
そして、上述の如く、ホルダー5がハウジング3に対して液密状態又は気密状態を維持しつつ該主通路R2の穴中心線CL方向に移動可能となるように、第一拡大部301及び第二拡大部302の少なくとも何れか一方の内周面にOリングや角リング等のシーリング部材(本実施形態においてはOリング)Sを嵌め込むための環状溝303が形成される。本実施形態においては、第一拡大部301の内周面にOリングSを嵌め込むための環状溝303が形成されている。かかる環状溝303は、深さがOリングSの断面径(線径)よりも浅く設定されており、嵌め込んだOリングSの内周側が第一拡大部301の内周面から内側に突出した状態になるように形成されている。
【0057】
前記シート部材4は、弾性変形可能な軟質材料で成型されたもので、移送経路で移送する対象物の性状や該無摺動式ボールバルブ1の使用環境に応じて(耐熱や耐薬などを考慮して)選択され、例えば、天然ゴムや、合成ゴム(ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴム)、四フッ化エチレンゴム樹脂等で構成される。
【0058】
該シート部材4は、リング状に形成されており、ホルダー5に保持される環状のホルダー保持部40と、弁体2に圧接する圧接部41とを備えている。前記ホルダー保持部40は、シート部材4の周方向と直交する断面が四角形状に形成されており、前記圧接部41は、弁体収容室30側に向けられるホルダー保持部40の一方の面側にある内周側の角部に沿うように全周に亘って形成されている。
【0059】
圧接部41は、シート部材4の周方向と直交する断面が半円状に形成されており、円弧部分に弁体2が圧接するように、半円を画定する弦となる部分がホルダー保持部40に接続されている。また、ホルダー保持部40は、弁体収容室30側とは反対側に向けられる他方の面の内周側の角部、該他方の面及び弁体収容室30側に向けられる一方の面の外周側の各角部に対し、全周に亘って突出部42…が突設されている。そして、該シート部材4は、ホルダー保持部40の他方の面側の外周側の角部に突設された突出部42…は、シート部材4の径方向外方に突出するように形成されており、ホルダー5の後述するホルダー本体50(第二本体部501)と後述する固定部材52とに挟み込まれるようになっている。
【0060】
前記ホルダー5は、接続通路R4の内径が主通路R2及び連通路R1の内径に対応するように設定されている。本実施形態においては、弁体2の連通路R1とハウジング3の主通路R2とが同径又は略同径に設定されているため、ホルダー6の接続通路R4についても、連通路R1及び主通路R2と同径又は略同径に設定されている。すなわち、本実施形態に係る接続通路R4は、内径が連通路R1及び主通路R2と同径又は略同径に設定されて真っ直ぐに延びる穴で構成されている。
【0061】
本実施形態に係るホルダー5は、ホルダー収容部300に収容されることを前提に、外径が主通路R2の内径よりも大径に設定されている。すなわち、ホルダー5は、外径が主通路R2よりも大径で且つホルダー収容部300の内径よりもやや小径に設定されている。より具体的には、前記ホルダー5は、弁体収容室30側の一端部にシート部材4が嵌着された状態でホルダー収容部300に収容されるホルダー本体50と、該ホルダー本体50に嵌着されたシート部材4を固定する固定部材52とを備えている。ホルダー本体50は、第一拡大部301に収容される筒状の第一本体部500と、該第一本体部500と同心又は略同心になるように第一本体部500と連続して形成され、外径が第一本体部500よりも大径に設定されて第二拡大部302に収容される筒状の第二本体部501と、該第二本体部と同心又は略同心になるように第二本体部501に連続して形成され、前記シート部材4が嵌着される筒状の第三本体部502とを備えている。
【0062】
前記第一本体部500は、薄肉の筒状に形成されており、外径が第一拡大部301の内径よりもやや小径に設定されるとともに、穴径が主通路R2の内径と同一又は略同一に設定されている。これにより、第一本体部500は、第一拡大部301に収容(挿入)された状態で、第一拡大部301の内周面に形成された環状溝303内のOリングSが僅かに変形した状態で、該第一本体部500の外周全周に亘って圧接した状態になるように構成されている。
【0063】
第二本体部501は、第一本体部500に比して厚肉な筒状に形成されており、第一本体部500と同心又は略同心をなすように一端が第一本体部500の一端に接続されている。第二本体部501は、外径が第一本体部500よりも大径で且つ第二拡大部302の内径よりもやや小径に設定されるとともに、穴径が主通路R2(第一本体部500の穴)の内径と同一又は略同一に設定されている。これにより、第二本体部501は、第二拡大部302に収容(挿入)された状態で、外周面と第二拡大部302の内周面との間に僅かな隙間が形成されるようになっている。
【0064】
そして、第二本体部501は、軸線方向の長さが第二拡大部302の穴中心方向の長さよりも短く設定されており、第二拡大部302内に収容された状態で、弁体収容室30側とは反対側に向く面(以下、一方面という)と、第二拡大部302を画定する弁体収容室30側に向く面との間に、付勢手段6を収容する空間が形成されるようになっている。このため、第一拡大部301に収容された第一本体部500の一端側は、第二拡大部302にまで延在した状態になっている。また、第二本体部501は、一方面とは反対側の面(以下、他方面という)の外周部には、後述する固定部材52を当接させる固定部材当接領域Faが形成されている。該固定部材当接領域Faは、固定部材52を位置決めするために設けられたもので、他方面の内周部側に比して第二本体部501の軸線方向で一方面側にずれた位置に形成されている。すなわち、第二本体部501は、他方面の径方向の外側領域に段差が全周に亘って形成されている。
【0065】
前記第三本体部502は、第二本体部501に比して薄肉な筒状に形成されており、第二本体部501と同心又は略同心をなすように一端が第二本体部501の他端に接続されている。本実施形態に係る第三本体部502は、リング状のシート部材4が外嵌されるようになっている。すなわち、第三本体部502は、外周面にシート部材4の内周が密接した状態になるように、シート部材4を嵌着できるようになっている。また、第三本体部502は、軸線方向の長さがシート部材4のホルダー保持部40よりも短く設定されており、外嵌されたシート部材4の圧接部41が第三本体部502よりも外側に位置するようになっている。なお、本実施形態においては、シート部材4を第三本体部502に外嵌した状態で、圧接部41のみが第三本体部502よりも外側に位置するように第三本体部502の長さが設定されている。
【0066】
前記固定部材52は、環状に形成されている。具体的には、固定部材52は、第三本体部502に外嵌されたシート部材4(ホルダー保持部40)に外嵌される環状の固定部材本体520と、該固定部材本体520の一端側の内周から内側に突出した規制部521と、固定部材本体520の他端面から径方向外方に突出した位置決部522とを備えている。前記固定部材本体520は、外径が第二本体部501の外径よりも小径に設定されるとともに、内径がシート部材4の外径(周方向全周に形成された突出部42…の外径)と同径或いはやや小径に形成されている。
【0067】
前記規制部521は、固定部材本体520の内周から内側に突出しているため、固定部材本体520と同様に環状をなしている。該規制部521は、シート部材4(ホルダー保持部40)の弁体収容室30側に向く面に接触するように形成されている。また、該規制部521の内側に向けての突出量は、シート部材4の圧接部41に規制部521の先端が到達しない量になっている。これにより、第三本体部502に外嵌されたシート部材4に対して固定部材52を外嵌すると、シート部材4の圧接部41のみがホルダー5よりも外側に突出した状態になるように構成されている。
【0068】
前記位置決部522は、固定部材本体520の環状をなす他端面に連設されており、径方向外方に延出している。これにより、位置決部522についても、環状に形成されている。該位置決部522は、外径が第二本体部501の外径と同一又は略同一に設定されている。また、該位置決部522は、内径が固定部材本体520の内径よりも大径に設定されている。これにより、該固定部材52は、他端側に段差が形成されており、位置決部522のみが第二本体部501の外周側の領域(前記固定部材当接領域)Faに当接するようになっている。該固定部材52は、ホルダー本体51に対する嵌合或いは螺合で該ホルダー51に固定するようにしてもよいが、本実施形態においては、固定部材52の位置決部522をホルダー本体51にネジ固定するようにしている。なお、本実施形態においては、固定部材522に対してストッパー7が対向するように配置されるため、固定部材522を固定するネジの頭部は、固定部材522に設けられたザグリ穴内に位置し、ネジが固定部材522から外部に突出しないようになっている。
【0069】
そして、固定部材52は、位置決部522を固定部材当接領域Faに当接させた状態で、固定部材本体520の他端面の内周側(位置決部522の形成されていない内周側の環状領域)と第二本体部501の弁体収容室30側に向く面とで、シート部材4(ホルダー保持部40)の他方の面の外周側の角部に突設された突出部42を挟み込んだ状態になるようにも構成されている。これにより、シート部材4が圧接部41を除いてホルダー本体50と固定部材52とに包囲された状態になるようになっている。
【0070】
なお、本実施形態に係る固定部材52は、上述の如く、位置決部522が径方向外方に突出して第二本体部501の外径と同径に設定されているため、シート部材4に外嵌した状態で、位置決部522は、第二本体部501と同様にハウジング3の第二拡大部302内に位置し、シート部材4の配置が圧接部41に対して弁体2が適正に圧接できる配置となる規定位置にホルダー5が位置した状態で、位置決部522の弁体収容室30側に向く面が接続用フランジ部320(固定部320a)の弁体収容室30側に向く面と略面一になるようになっている。
【0071】
前記付勢手段6には、コイルバネや皿バネ等の種々タイプのものを採用でき、本実施形態においては、皿バネが採用されている。皿バネは、円環状に形成されており、その中心が主通路R2(接続通路R4)の穴中心線CLと同心又は略同心となるように、ホルダー5とハウジング3との間に介装されている。本実施形態においては、ホルダー5に第二本体部501が形成されるとともに、ハウジング3に対して第二拡大部302が形成されることで、上述の如く、第二本体部501と第二拡大部302を画定して弁体収容室30側に向く面(内面)との間に空間を形成するようにしているため、皿バネ6は、かかる空間内に配置されている。
【0072】
本実施形態において、前記皿バネ6は、穴中心線CL方向に三つ重ねて設けられており、ホルダー5が規定位置に位置した状態で、自然長になるように設けられている。すなわち、三つの皿バネ6…は、規定位置にあるホルダー5の第二本体部501と第二拡大部302の内面とに挟まれた状態になっているが、弾性変形していない状態になっている。従って、常態において、ホルダー5は、第二本体部501と第二拡大部302の内面との間で自然長の状態にある皿バネとの干渉で、所定の押し作用(皿バネを弾性変形させる力の作用)が生じるまで規定位置よりも主通路R2側に移動しないように規制された状態になっている。
【0073】
前記ストッパー7は、円環状のプレート(ドーナツプレート)状に形成されており、外周端部がメインフレーム31とサブフレーム32とに挟み込まれた状態で固定されている。本実施形態に係るストッパー7は、メインフレーム31とサブフレーム32とに挟み込まれた状態になっているが、実際にはサブフレーム32の接続用フランジ部320に対してボルト固定されている。すなわち、ボルト(採番しない)を介してストッパー7が固定されたサブフレーム32をメインフレーム31に固定することで、前記ストッパー7がメインフレーム31とサブフレーム32とに挟み込まれた状態になっている。
【0074】
従って、ストッパー7の外周端部には、サブフレーム31をメインフレーム31に固定するためのボルトを挿通させる複数の貫通穴(図示しない)がサブフレーム31(接続用フランジ部320a)の複数の貫通穴及びメインフレーム30(本体部310)の複数のネジ穴の配置に対応して穿設されている。このようにすることで、サブフレーム32をメインフレーム31から取り外したときに、ストッパー7もサブフレーム32とともにメインフレーム31から取り外せるようになっている。
【0075】
そして、ストッパー7が画定した内穴は、該ストッパー7が弁体2に干渉することのない穴径に設定されている。ストッパー7は、弁体2側とは反対側の内周縁部に段差が形成されている。これにより、ストッパー7は、段差によって形成される環状の空間内にホルダー5(固定部材52)が嵌り込むとともに、環状の空間を画定する弁体2側とは反対側を向いた面でホルダー5の移動を規制するようになっている。
【0076】
本実施形態において、ホルダー5(固定部材52)は、規定位置に位置した状態で、位置決部522が接続用フランジ部320の一方の面と面一となるように構成されているため、ストッパー7の環状の空間には、固定部材本体520が位置することになる。すなわち、ストッパー7は、弁体収容室30側とは反対側の面がホルダー5の位置決部522と対向するとともに、弁体収容室30側で径方向内方に突出した部分が固定部材本体520と対向するようになっている。これにより、ホルダー5は、規定位置よりも弁体収容室30側に移動することが防止されている。
【0077】
前記第一ステム8は、図1〜図3に示す如く、ハウジング3(第一ステム挿通部311)に挿通され、該ハウジング3内に位置する一端部に、弁体2の第一ステム挿入部20(一対の第一平面部20a,20b間:一対の第一平面部20a,20b及び一対の第二平面部21a,21bで包囲される領域)に挿入される接続部80が形成されている。
【0078】
該第一ステム8の接続部80は、前記一対の第一平面部20a,20bと対向するように、前記所定の軸線Lと直交又は略直交方向に延びる一対に凸条部81a,81bが前記所定の軸線Lを挟んで形成されるとともに、一対に凸条部81a,81bの延びる方向と直交又は略直交する方向に延び且つ前記所定の軸線Lと平行又は略平行な一対の第三平面部82a,82bが前記所定の軸線Lを挟んで形成されている。
【0079】
前記一対に凸条部81a,81bは、対向する第一平面部20a,20bに対して僅かに隙間があくように形成されている。すなわち、弁体2が傾動できるように一対の第一平面部20a,20bの間隔よりも一対に凸条部81a,81bの間隔が狭く設定されており、弁体2が傾動したときに各凸条部81a,81bが対向する各第一平面部20a,20bに対して線接触するように構成されている。
【0080】
前記第三平面部82a,82bは、対向する弁体2側の第二平面部21a,21bと面接触しており、第一ステム8を回転させたときのトルクが第二平面部21a,21bから第三平面部82a,82bに伝達できるように構成されるとともに、その接触面に沿った弁体2の移動(傾動)を許容できるように構成されている。
【0081】
そして、図1及び図2に示す如く、ハウジング3内に位置する第一ステム8の先端には、弁体2と点接触するように構成された凸部(採番しない)が形成されている。この凸部は、頂点(最も突出した部分)が第一ステム8(弁体2)の所定の軸線L上に位置するように形成されており、本実施形態においては、外面が球面状をなすように形成されている。そして、該第一ステム8は、前記凸部が弁体2の第一ステム挿入部20の奥部に形成される面(平面)に接触するように設けられる。すなわち、第一ステム8は、上方にある弁体2を支持できるように取り付けられる。
【0082】
第一ステム8は、ハンドル等を取り付けることで手動によって回転させることも可能であるが、本実施形態においては、第一ステム8の回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)が他端側に接続され、該駆動モータによる駆動により、弁体2の所定の軸線L周りで回転するようになっている。
【0083】
第二ステム9は、ハウジング3(第二ステム挿通部312)に挿通され、ハウジング3内に位置する一端部の外周の少なくとも一部に径方向外方に突出した押圧部90が設けられている。第二ステム9について具体的に説明すると、該第二ステム9は、ハウジング3に挿通されるステム本体91と、該ステム本体91の外周に対して部分的に突設された前記押圧部90とで構成されている。
【0084】
押圧部90は、湾曲した外周面に対する曲率中心がステム本体91の軸心に対して偏心した偏心カムであり、弁体2の非貫通部分がホルダー5に対向した状態で、第二ステム9を所定の軸線L周りで回転させると、弁体2の第一被押圧部22aに接触乃至押圧するようになっている。
【0085】
また、本実施形態に係る押圧部90は、弁体2の非貫通部分がホルダー5に対向した状態で、第二ステム9を所定の軸線L周りで逆回転(押圧部90に第一被押圧部22aを押圧させるとき回転方向とは逆方向に回転)させることで、第二被押圧部22bに対しても押圧できるようになっており、ホルダー5側に傾動(変位)した弁体2(非貫通部分)をホルダー5から強制的に離間させることもできるようになっている。
【0086】
上記構成の第二ステム9は、第一ステム8と同様に、ハンドル等を取り付けることで手動によって回転させることも可能であるが、本実施形態においては、第二ステム9の回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)が他端側に接続されている。すなわち、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータで第二ステム9を回転させることにより、弁体2を傾動させるに際して押圧部90(偏心カム)による弁体2に対する押圧力が所定の押圧力となるよう構成されている。
【0087】
これにより、押圧部90が摩耗して弁体2に対する押圧力が所定の押圧力よりも小さくなったとき、第二ステム9の回転角度を大きくすることで押圧部90(第二ステム9)を交換することなく、既存の押圧部90で弁体2に対して所定の押圧力を作用させることができるようになっている。なお、駆動モータ(第二ステム9)の回転角度の設定は、手動であってもよいが、例えば、第二ステム9のトルクを測定するトルクセンサを設け、そのトルクセンサの検知結果が所定値(押圧部90による押圧力が所定の押圧力となるトルク値)になるように駆動モータの回転角度を自動的に変更するように制御しても勿論よい。
【0088】
本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1の作動について説明する。
【0089】
まず、移送経路上で対象物を移送したときに何らのトラブルも発生していない状態での作動について説明する。上記無摺動式ボールバルブ1は、図1に示す如く、二つの主通路R2,R3が弁体2の連通路R1を介して連通した状態で、一方の主通路R2側から他方の主通路R3側(又は、他方の主通路R3側から一方の主通路R2側)に向けて対象物の移送が許容される。この状態で、二つの主通路R2,R3と弁体2の連通路R1とが同心又は略同心をなし、弁体2がシート部材4に対して非接触状態になっており、押圧部90が弁体2の第一被押圧部22a及び第二被押圧部22bの何れに対しても押圧していない状態となっている。
【0090】
そして、このように対象物の移送を許容した状態から主通路R2を遮断するには、第二ステム9をそのままの状態で維持させつつ第一ステム8のみを90°回転させる。そうすると、第一ステム8の回転力が第三平面部82a,82bを介して弁体2の第二平面部21a,21bに伝達され、弁体2も90°回転することになる。
【0091】
このように第二ステム9を回転させることなく弁体2を回転させるとき、押圧部90(カム)は、第一被押圧部22a及び第二被押圧部22bの何れも押圧しない状態(弁体2を傾動させるような付勢を作用させない状態)で維持し、弁体2はホルダー5に対して非接触状態のままで維持しつつ所定の軸線L周りで回転する結果、弁体2の非貫通部分が一方の主通路R2(ホルダー5)に対して隙間をあけた状態で対向することになる。また、第一ステム8のトルクを伝達した弁体2側の第二平面部21a,21bと第一ステム8の第三平面部82a,82bとが、弁体2を傾動させる方向に沿った状態(主通路R2の穴中心線CLと平行又は略平行になった状態)になり、第二平面部21a,21bと第三平面部82a,82bとが接触していても弁体2の傾動が許容された状態となる。
【0092】
そして、第二ステム9を回転させると、図2に示す如く、押圧部90が第一被押圧部22a(弁体2の上部側)を押圧して弁体2をシート部材4側に付勢し、その付勢で弁体2が傾動しようとする。このとき、第一ステム8の先端(弁体2を支持した支持点)を傾動支点にして弁体2が傾動し、弁体2が所定の移動量傾動した状態で、弁体2の非貫通部分がシート部材4に圧接する。そうすると、シート部材4(圧接部41)は、弁体2の圧接によって全周に亘って規定した変形量で弾性変形し、その弾性によって弁体2とハウジング3との間が液密又は気密にシールされる結果、一方の主通路R2(二つの主通路R2,R3間)が遮断され、対象物の移送が停止することになる。
【0093】
そして、この状態から対象物を移送する状態に切り換えるには、第二ステム9を逆回転(弁体2をホルダー5側に変位させる場合とは反対側に回転)させると、第一被押圧部22aに対する押圧部90の当接が解除される一方、該押圧部90が第二被押圧部22bを押圧することになり、第二被押圧部22bに対する押圧部90の押圧作用で、弁体2がシート部材4(圧接部41)から離間する方向に傾動する。
【0094】
その結果、弁体2が元の位置に復帰する一方で、ホルダー5が規定位置で位置決めされ、弁体2とシート部材4とが非接触状態(略一定の間隔)に戻ることになる。そして、第二ステム9を回転させることなく第一ステム8を逆回転(弁体2の非貫通部分をホルダー5と対向させる場合とは反対側に回転)させると、弁体2がシート部材4に対して非接触状態で回転し、二つの主通路R2,R3が弁体2の連通路R1を介して連通して対象物の移送を許容した状態に戻ることになる。
【0095】
次に、移送経路上で対象物を移送したときに弁体2とシート部材4との間に異物が介入してしまった状態での作動について説明する。なお、この場合においても、弁体2の回転乃至傾動の手順は、上述した正常時と同様であるので、弁体2の回転や傾動についての手順や各構成の動作についての説明を割愛し、弁体2を回転させて非貫通部分をシート部材4に対向させた状態から弁体2をシート部材4側に傾動させるときの弁体2、シート部材4、及びホルダー5の作用についてのみ説明することとする。
【0096】
本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、弁体2とシート部材4との間に小さな異物が介在した状態で主通路を遮断しようとすると、シート部材4が弾性変形可能な軟質材料で形成されているため、図5(a)に示す如く、弁体2の傾動に伴って異物Fがシート部材4に押し付けられる。その結果、シート部材4が異物Fに密接した状態で局所的に弾性変形し、シート部材4が異物Fを部分的に躱した状態になる。従って、弁体2の傾動が阻害されなくなり、弁体2が所定量傾動したときに、該弁体2がシート部材4に圧接して主流路R2が遮断されることになる。
【0097】
そして、弁体2とシート部材4との間から異物Fを取り除くことで、シート部材4の弾性変形していた部分が元の状態に復元するため、それ以後における主通路の遮断についても確実に行うことができ状態になる。なお、弁体2とシート部材4との間に介入した異物Fは、主通路R2,R3間で異物Fを移送することで自然に取り除かれること多いが、異物Fが堆積してシート部材4の弾性変形で異物Fを躱すことができなくなった場合には、メンテナンス等を行う際にサブフレーム32をメインフレーム31から取り外して異物Fの除去が行われる。
【0098】
そして、弁体2弁体2とシート部材4との間に大きな異物Fが介在した状態で主通路を遮断しようとすると、図5(b)に示す如く、弁体2の傾動に伴って異物Fがシート部材4に押し付けられる。その結果、この場合においてもシート部材4が異物Fに密接した状態で局所的に弾性変形することになるが、異物Fが大きいために該異物Fがシート部材4の弾性変形による凹みに完全に入り込んだ状態にならない(シート部材4の弾性変形で異物Fの存在を吸収できずに異物Fがシート部材4から弁体2側に突出した状態になる)ことがある。
【0099】
この状態で弁体2が設定された移動量(傾動量)移動しようとすると、弁体2の傾動(押し付け力の作用)に伴って異物Fがシート部材4を介してホルダー5を主通路R2側に押す結果、該ホルダー5は、付勢手段6の付勢に抗して移動する(逃げる)ことになる。
【0100】
これにより、シート部材4に対して弾性変形の限界を超えた状態で過大な力が作用しなくなるため、シート部材4の破断や破損が防止される。すなわち、シート部材4が一定位置に固定されると、上述のように異物Fがシート部材4の弾性変形による凹みに完全に入り込まない状態で、弁体2が設定された移動量(傾動量)移動し続けると、シート部材4が切断されたり部分的に破損したりしてしまうが、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、シート部材4の弾性変形で異物Fの存在を躱すようにできない場合にシート部材4(ホルダー5)が逃げるため、弁体2とハウジング3との間のシールを行うことができなくなるような大きなダメージをシート部材4が受けることがない。
【0101】
従って、弁体2とシート部材4との間から異物Fが除去されることで、付勢手段6の付勢でホルダー5が規定位置に復帰するとともに、シート部材4が自己の弾性で元の状態に復元するため、それ以後における主通路の遮断についても確実に行うことができる。なお、この場合においても、弁体2とシート部材4との間に介入した異物Fは、主通路R2,R3間で異物Fを移送することで自然に取り除かれることがあるが、異物Fが大きいために、一般的には、メンテナンス等を行う際に、サブフレーム32をメインフレーム31から取り外して異物Fの除去が行われる。
【0102】
以上のように、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1によれば、一方の主通路R2の弁体収容室30側に配置され、ハウジング3に対して液密状態又は気密状態を維持しつつ該主通路R2の穴中心線方向に移動可能に設けられるとともに、該主通路R2と前記連通路R1とを連通させる接続通路R4が形成された環状のホルダー5と、該ホルダー5とハウジング3との間に介設され、ホルダー5が少なくとも弁体収容室30側の規定位置から主通路R2側に移動したときに該ホルダー5を弁体2側に付勢する付勢手段6とを備え、前記シート部材4は、弾性変形可能な軟質材料で構成され、前記ホルダー5は、接続通路R4の弁体2側の開口回りでシート部材4を弁体2側に突出させた態様で保持可能に構成されているので、弁体2とシート部材4との間に小さな異物Fが介在した状態で主通路R2を遮断しようとした場合には、シート部材4が異物Fを部分的に躱した状態になる結果、弁体2がシート部材4に圧接して主流路R2が遮断され、また、弁体2とシート部材4との間から異物Fを取り除くことで、シート部材4の弾性変形していた部分が元の状態に復元し、それ以後における主通路R2の遮断についても確実に行うことができる。
【0103】
また、弁体2弁体2とシート部材4との間に大きな異物F(シート部材4の弾性変形で躱すことのできない大きな異物F)が介在した状態で主通路R2を遮断しようとした場合には、弁体2の傾動(押し付け力の作用)に伴ってホルダー5が付勢手段6の付勢に抗して移動する(逃げる)結果、シート部材4に対して弾性変形の限界を超えた状態で過大な力が作用しなくなるため、シート部材4の破断や破損が防止され、また、弁体2とシート部材4との間から異物Fを取り除くことで、シート部材4の弾性変形していた部分が元の状態に復元し、それ以後における主通路R2の遮断についても確実に行うことができる。
【0104】
従って、本実施形態に係る無摺動式ボールバルブ1は、弁体2とシート部材4との間に異物Fが介入してしまっても、シート部材4や弁体2を傷つけることなく主通路R2を遮断できる状態にすることができるといった優れた効果を奏し得る。
【0105】
また、前記ホルダー5は、外径が主通路R2よりも大径に設定され、ハウジング3は、ホルダー5を収容するホルダー収容部300を備え、該ホルダー収容部300は、弁体収容室30に向けて開口するように一つの主通路R2に対して弁体収容室30側で連続して形成されるとともに、内径がホルダー5の外径よりも大径に設定され、前記付勢手段6は、ホルダー収容部300を画定して弁体収容室30側を向く面とホルダー5との間に介装され、ホルダー収容部300を画定する内周面とホルダー5の外周面との間に環状のシーリング部材Sが介装されているので、シート部材4を保持するホルダー5を移動可能に設けても、シーリング部材Sの存在でホルダー5とハウジング3との間のシールを確実に図ることができる。
【0106】
特に、前記ホルダー収容部300は、内径が主通路R2の内径よりも大径に設定され、該主通路R2と連続する第一拡大部301と、内径が第一拡大部301の内径よりも大径に設定され、該第一拡大部301と連続して弁体収容室30に向けて開口する第二拡大部302とを備え、前記ホルダー5は、弁体収容室30側の一端部にシート部材4が嵌着された状態でホルダー収容部300に収容されるホルダー本体50と、該ホルダー本体50に嵌着されたシート部材4を固定する固定部材52とを備え、ホルダー本体50は、第一拡大部301に収容される環状の第一本体部500と、該第一本体部500と連続して形成され、外径が第一本体部500よりも大径に設定されて第二拡大部302に収容される環状の第二本体部501と、該第二本体部501に連続して形成され、前記シート部材4が嵌着される環状の第三本体部502とを備え、前記固定部材52は、第三本体部502に嵌着されたシート部材4を該第三本体部502とともに挟み込むように、シート部材4に嵌着可能に構成されているので、弁体2とシート部材4との間に介入する異物Fからシート部材4をホルダー本体50(第三本体部502)と固定部材52とで保護することができ、移送の対象が廃棄物等の特異なものであってもシート部材4が不必要に傷んでしまうのを防止することができる。
【0107】
また、前記付勢手段6は、第二拡大部302を画定して弁体収容室30側に向く面と第二本体部501との間に介装されているので、ホルダー5を確実に付勢することができ、規定位置に円滑に復帰させることができる。さらに、前記シーリング部材Sが、第一本体部500の外周面と第一拡大部301の内周面との間に介装されているので、ホルダー5の移動を阻害することなくホルダー5とハウジング3との間のシールを確実に図ることができる。
【0108】
また、規定位置にあるホルダー5が弁体収容室30側に移動するのを規制するストッパー7を備えているので、弁体2を傾動させたときにシート部材4に対して常時同じような態様で密接させることができる上に、弁体2とシート部材4との間に異物Fが想定外の態様で進入してしまう等といった問題を確実に防止することができる。従って、シート部材4が想定外の状況で破損する等といった事態になるのを防止することができる。
【0109】
また、前記付勢手段6は、環状の皿バネで構成され、主通路R2(接続通路R4)と同心又は略同心になるように配置されているので、ホルダー5の付勢を周方向に均一に行うことができるため、ホルダー5の復帰等を円滑且つ確実にすることができる。
【0110】
尚、本発明の無摺動式ボールバルブは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0111】
上記実施形態において、ホルダー5をホルダー本体50と固定部材52とで構成し、ホルダー本体50の第三本体部502に外嵌したシート部材4(ホルダー保持部40)に対し、環状の固定部材52を外嵌するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第三本体部502にシート部材4を内嵌し、該シート部材4に対して環状の固定部材52を内嵌することで、シート部材4を第三本体部502と固定部材52とで挟み込んだ状態にして、該シート部材4の一部(例えば、圧接部41)が弁体2側に突出した態様になるようにしてもよい。すなわち、ホルダー本体50の第三本体部502に対して同心になるようにシート部材4を嵌着し、このシート部材4に対して同心になるように固定部材52を嵌着させるようにすればよい。この場合も、固定部材52をホルダー本体50に対してネジ固定することが好ましい。
【0112】
上記実施形態において、ホルダー5をホルダー本体50と固定部材52とで構成し、ホルダー本体50の第三本体部502に嵌着したシート部材4に対してさらに固定部材52を嵌着することで、シート部材4を保持するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ホルダー5を単一な構成にし、該ホルダー5の弁体収容室30側に向く面に接続通路R4回りで環状をなす溝を形成し、該溝に対してシート部材4を嵌着させるようにしてもよい。すなわち、ホルダー5は、弁体収容室30側にシート部材4が全周に亘って突出した態様になるように該シート部材4を保持可能に構成すればよい。
【0113】
上記実施形態において、ホルダー5の外径を主通路R2の内径より大径に設定するとともに、ハウジング3に内径がホルダー5の外径よりも大径に設定されたホルダー収容部300を設け、該ホルダー収容部300内でホルダー5が移動可能となるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング3内にホルダー収容部300として主通路R2と同径の穴を設け、該穴内に外径が主通路R2よりも小径なホルダー5を収容するとともに、該ホルダー5の弁体収容室30側とは反対側の端面と所定間隔をあけて対向する環状の凸部を主通路R2とホルダー収容部300との境界位置の内周全周に形成し、該凸部とホルダー5との間に付勢手段6を介設するようにしてもよい。
【0114】
この場合においても、主通路R2,R3同士を連通させた連通路R1の開口回りでシート部材4が対向し、且つホルダー5からシート部材4が弁体2側に突出した態様になるようにすることは勿論のことである。なお、ホルダー5の外径を主通路R2の内径よりも小径にすると、接続通路R4の内径が主通路R2の内径よりも小径になってしまう上に、主通路R2との境界に対象物の移送が阻害される虞のある段差が形成されるので、対象物の移送を円滑に行うには、上述の如く、ホルダー5の外径を主通路R2の内径よりも大径に設定するとともに、接続通路R4の内径を主通路R2の内径と同径あるいはそれ以上にすることが好ましい。
【0115】
上記実施形態において、主通路R2と連通路R1とを同径又は略同径にして形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方の主通路R2を連通路R1よりも大径に設定し、ホルダー5の接続通路R4を主通路R2と連通路R1と対応させるように連通路R1側に縮径したテーパー穴で構成してもよい。また、これとは逆に、連通穴R1を一方の主通路R2よりも大径に設定し、ホルダー5の接続通路R4を主通路R2と連通路R1と対応させるように主通路R2側に縮径したテーパー穴で構成してもよい。なお、この場合、他方の主通路R3は、連通穴R1と同径に設定される。
【0116】
また、何れか一方の主通路R2,R3が他方よりも大径に設定され、この径の差を吸収すべく弁体2の連通穴R1がテーパー穴で構成されてもよい。この場合、ホルダー5の接続通路R4は、一方の主通路R2と同径又は略同径の穴に形成したり、連通穴R1と連続するテーパー穴に形成したりすればよい。
【0117】
上記実施形態において、シート部材4を該シート部材4の周方向と直交する断面が略四角形状となるホルダー保持部40と、該ホルダー保持部40の角部から突出した圧接部41とで構成したが、シート部材4の形態はこれに限定されるものではなく、例えば、シート部材4全体の周方向と直交する断面が略四角形状をなすように形成してもよい。この場合、ホルダー5は、弁体収容室30(弁体2)側に向くシート部材4の一方面側の少なくとも一部が全周に亘って弁体2側に突出するように、該シート部材4を保持可能に構成すればよい。
【0118】
上記実施形態において、第一本体部500の外周と第一拡大部301の内周との間にシーリング部材Sを介設したが、これに限定されるものではなく、例えば、第二本体部502の外周と第二拡大部302の内周との間にシーリング部材Sを介設したり、第一本体部500の外周と第一拡大部301の内周との間、及び、第二本体部502の外周と第二拡大部302の内周との間にシーリング部材Sを介設したりしてもよい。
【0119】
上記実施形態において、ホルダー収容部300を第一拡大部301及び第二拡大部302で構成するとともに、ホルダー5のホルダー本体50を第一本体部500、第二本体部501、及び第三本体部502で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、ホルダー収容部300の第一拡大部301を省略するとともに、ホルダー5の第一本体部500を省略した構成にしてもよい。この場合、シーリング部材を、第二拡大部302の内周面と第二本部501の外周面との間に介設すればよい。
【0120】
また、ホルダー本体50の第一本体部500、第三本体部502、及び固定部材52を省略して、ホルダー5全体を第二本体部501のみで構成、すなわち、周方向と直交する方向の断面が四角形状をなす筒状体でホルダー5を構成してもよい。この場合、ホルダー5の弁体収容室30側に向く端面に接続通路R4回りで環状をなす溝を形成し、該溝に対してシート部材4を嵌着するとともに、シーリング部材を、第二拡大部302の内周面と第二本部501の外周面との間に介設すればよい。但し、このように第一拡大部301及び第一本体部500を省略すると、付勢手段6が配設される空間が主通路R2と連通した状態になるため、粉塵等が進入して付勢手段6の変形等が阻害されることを考慮すれば、上記実施形態と同様に第一本体部500及び第一拡大部301を設けることが好ましい。
【0121】
上記実施形態において、ホルダー5を付勢する付勢手段6として皿バネを採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、付勢手段6として複数のコイルバネをホルダー5の周方向に連続して又は間隔をあけて配置するようにしてもよい。すなわち、ホルダー5を付勢する付勢手段6は、ホルダー5の全周に亘って連続的又は断続的に付勢できるように構成されればよい。
【0122】
上記実施形態において、付勢手段(皿バネ)6を自然長で配設するとともに、ストッパー7を設けたが、付勢手段6を自然長の状態で配置する場合、ホルダー5は、付勢手段6との干渉で規定位置に位置決めされるため、必ずしもストッパー7を設ける必要はなく、ストッパー7は必要に応じて設けるようにすればよい。但し、ホルダー5(ホルダー5)の不必要な移動を確実に規制するには、ストッパー7を設けることが好ましい。
【0123】
また、上記実施形態では、常態において付勢手段6が自然長になる(ホルダー5に付勢力をさせていない状態になる)ようにしたが、これに限定されるものではなく、ホルダー5が規定位置に位置した状態で付勢手段6がホルダー5を弁体2側に付勢するようにしてもよい。この場合、ホルダー5を規定位置に位置させるべくストッパー7を設けることは勿論のことである。なお、このように常態で付勢手段6がホルダー5を付勢するようにする場合には、シート部材4と弁体2との間に大きな異物Fが介入した状態で弁体2が傾動したときに、ホルダー5が主通路R2側に移動できるように付勢手段6を選択(付勢力を設定)することは勿論のことである。
【0124】
上記実施形態において、ストッパー7を円環状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング3内における主通路R2の開口周方向に間隔をあけて複数にストッパー7を設け、各ストッパー7が開口周縁から中心側に延出するようにしてもよい。このようにしてもホルダー5をストッパー7に当接させて規定位置で位置決めすることができる。また、ストッパー7は、メインフレーム30とサブフレーム31とに挟み込まれた状態で取り付けられるものに限定されるものではなく、ストッパー7の固定態様は種々変更可能である。
【0125】
上記実施形態において、弁体2を回転させるステム(第一ステム8)をハウジング3の下部に挿通して設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一ステム8をハウジング3の上部に挿通したものであっても勿論よい。すなわち、上記実施形態と天地逆転させた構成のものであってもよい。
【0126】
上記実施形態において、弁体2を回転させる第一ステム8と、弁体2を付勢するための第二ステム9とを別個独立に設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、従来技術で引用した図7に示すような無摺動式ボールバルブ1’であってもよい。
【0127】
すなわち、ハウジング3’の弁体収容室30’内で弁体2’が所定の軸線L回りで回転可能に構成されるとともに、前記所定の軸線Lと直交又は略直交する方向に延びるように、弁体2’に対して所定の軸線Lを挟んで対向する一対のピン体P,Pが設けられ、前記軸線L上を通るようにハウジング3’に挿通されるとともに前記一対のピン体P,P間に挿通された軸(ステム)85’に対して、ピン体P,Pの軸心と平行又な略平行をなす一対の支持面86’,86’が形成された接続部80’と、前記支持面86’,86’に対して連続した傾斜面92’,92’の形成された押圧部90’とが形成された無摺動式ボールバルブ1’であってもよい。
【0128】
かかる無摺動式ボールバルブ1’は、ステム85’を所定量軸線L方向に移動させた後に、同方向に移動させつつ軸線L回りで回転させることで、接続部80’が弁体2’にトルクを伝達して弁体2’を回転させた後、押圧部90’が弁体2’(ピン体P)を押圧(付勢)して弁体2’をシート部材5側に傾動させ、弁体2’の非貫通部分をシート部材4に密接させるように構成されているため、上記実施形態の無摺動式ボール1と同様にシート部材4、ホルダー5及び付勢手段6を構成することで、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。なお、図7に示す無摺動式ボールバルブ1’は、従来技術に係るものであるため、シート部材4、ホルダー5及び付勢手段6を備えてないが、上記実施形態の説明を参酌することで上記実施形態に係るシート部材4、ホルダー5及び付勢手段6を適用し得ることは明らかである。
【0129】
上記実施形態において、二方弁について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング3に三つの主通路が所定の軸線L周りで所定角度毎に形成されるとともに、弁体2に三つの主通路のうち二つと連通する連通路と、残りの主通路に対して対向する非貫通部分とが形成され、弁体2を正逆回転させることで連通路R1を介して連通する主通路が切り替わる三方弁であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の一実施形態に係る無摺動式ボールバルブの縦断面図であって、弁体の連通路を介してハウジングの主通路が連通した状態を示す。
【図2】同実施形態に係る無摺動式ボールバルブの縦断面図であって、弁体の非貫通部分がシート部材に密接し、ハウジングの主通路を遮断した状態を示す。
【図3】同実施形態に係る無摺動式ボールバルブの第一ステム挿入部及び第一ステム(接続部)の関係を説明するための説明図を示す。
【図4】本発明の他実施形態に係る無摺動式ボールバルブの部分拡大断面図であって、図1のA部拡大断面図を示す。
【図5】本発明の別の実施形態に係る無摺動式ボールバルブの作用説明図であって、(a)は、弁体とシート部材との間に小さな異物が介入したときに弁体を傾動させた状態の部分拡大図を示し、(b)は、弁体とシート部材との間に大きな異物(シート部材の弾性変形でその存在を躱すことのできない大きな異物)が介入したときに弁体を傾動させた状態の部分拡大図を示す。
【図6】従来の無摺動式ボールバルブの縦断面図を示す。
【図7】従来の別の無摺動式ボールバルブの縦断面図を示す。
【符号の説明】
【0131】
1…無摺動式ボールバルブ、2…弁体、3…ハウジング、4…シート部材、5…ホルダー、6…皿バネ(付勢手段)、7…ストッパー、8…第一ステム(ステム)、9…第二ステム(ステム)、20…第一ステム挿入部、20a,20b…第一平面部、21a,21b…第二平面部、22…第二ステム挿入部、22a…第一被押圧部、22b…第二被押圧部、30…弁体収容室、31…メインフレーム、32…サブフレーム、40…ホルダー保持部、41…圧接部、42…突出部、50…ホルダー本体、52…固定部材、80…接続部、81a,81b…凸条部、82a,82b…第三平面部、90…押圧部、91…ステム本体、300…ホルダー収容部、301…第一拡大部、302…第二拡大部、303…環状溝、310…本体部、311…第一ステム挿通部、H1…第一ステム挿通穴、312…第二ステム挿通部、H2…第二ステム挿通穴、313…配管接続部、314…第一部材、314a…筒状部、314b…フランジ部、316…第二部材、317…筒状部、318a,318b…フランジ部、319…フランジ、320…接続用フランジ部、320a…固定部、320b…縮径部、321…配管接続部、322…フランジ、350…第一押圧部材、351…押圧部、352…鍔部、353…第二押圧部材、354…押圧部、355…鍔部、500…第一本体部、501…第二本体部、502…第三本体部、520…固定部材本体、521…規制部、522…位置決部、G…ガスケット、L…軸線、P…ピン体、S…Oリング(シーリング部材)、R2,R3…主通路、R1…連通路、R4…接続通路、Fa…固定部材当接領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通路が形成された弁体と、該弁体を内装する弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室内の弁体の連通路を介して互いに連通する少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングと、前記主通路同士を連通させた弁体の連通路周りと対向するように、少なくとも何れか一つの主通路に対応させてハウジング内に配置された環状のシート部材とを備え、前記弁体は、シート部材に対して非接触な状態で前記所定の軸線を回転中心にして回転可能に構成されるとともに、連通路の両端開口間に形成される非貫通部分がシート部材と対向した状態で前記軸線方向の何れか一端側を支点にしてシート部材側に傾動可能に設けられ、該弁体がシート部材側に傾動することによって非貫通部分がシート部材に圧接して主通路を遮断するように構成された無摺動式ボールバルブにおいて、少なくとも何れか一つの主通路の弁体収容室側に配置され、ハウジングに対して液密状態又は気密状態を維持しつつ前記主通路の穴中心線方向に移動可能に設けられるとともに、前記主通路と前記連通路とを連通させる接続通路が形成されたホルダーと、該ホルダーとハウジングとの間に介設され、ホルダーが少なくとも弁体収容室側の規定位置から主通路側に移動したときに該ホルダーを弁体側に付勢する付勢手段とを備え、前記シート部材は、弾性変形可能な軟質材料で構成され、前記ホルダーは、接続通路の弁体側の開口回りでシート部材を弁体側に突出させた態様で保持可能に構成されていることを特徴とする無摺動式ボールバルブ。
【請求項2】
前記ホルダーは、外径が主通路の内径よりも大径に設定され、前記ハウジングは、ホルダーを収容するホルダー収容部を備え、該ホルダー収容部は、弁体収容室に向けて開口するように少なくとも何れか一つの主通路に対して弁体収容室側で連続して形成されるとともに、内径がホルダーの外径よりも大径に設定され、前記付勢手段は、ホルダー収容部を画定して弁体収容室側を向く面とホルダーとの間に介装され、ホルダー収容部を画定する内周面とホルダーの外周面との間に環状のシーリング部材が介装されている請求項1記載の無摺動式ボールバルブ。
【請求項3】
前記ホルダー収容部は、内径が主通路の内径よりも大径に設定され、該主通路と連続する第一拡大部と、内径が第一拡大部の内径よりも大径に設定され、該第一拡大部と連続して弁体収容室に向けて開口する第二拡大部とを備え、前記ホルダーは、弁体収容室側の一端部にシート部材が嵌着された状態でホルダー収容部に収容されるホルダー本体と、該ホルダー本体に嵌着されたシート部材を固定する固定部材とを備え、ホルダー本体は、第一拡大部に収容される筒状の第一本体部と、該第一本体部と同心又は略同心になるように第一本体部に連続して形成され、外径が第一本体部よりも大径に設定されて第二拡大部に収容される筒状の第二本体部と、該第二本体部と同心又は略同心になるように第二本体部に連続して形成され、前記シート部材が嵌着される筒状の第三本体部とを備え、前記固定部材は、第三本体部に嵌着されたシート部材を該第三本体部とともに挟み込むように、シート部材に嵌着可能に構成され、前記付勢手段は、第二拡大部を画定して弁体収容室側に向く面と第二本体部との間に介装され、前記シーリング部材は、第一本体部の外周面と第一拡大部の内周面との間、及び、第二本体部の外周面と第二拡大部の内周面との間の少なくとも何れか一方に介装されている請求項2記載の無摺動式ボールバルブ。
【請求項4】
前記規定位置にあるホルダーが弁体収容室側に移動するのを規制するストッパーを備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載の無摺動式ボールバルブ。
【請求項5】
前記付勢手段は、環状の皿バネで構成され、主通路と同心又は略同心になるように配置されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の無摺動式ボールバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−101439(P2010−101439A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273918(P2008−273918)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】