説明

無方向性電磁鋼ストリップの連続鋳造方法

無方向性電磁鋼は、種々の電気機器および装置、特に、ストリップのあらゆる方向において低鉄損および高透磁率が所望されるモーターにおける磁気コア材料として広く使用されている。本発明は、低鉄損および高透磁率を有する無方向性電磁鋼の製造方法に関し、この方法では、鋼溶融体を薄板ストリップまたはシートとして鋳造し、冷却、熱間圧延および/または冷間圧延して完成品ストリップにすることにより、鋼溶融体から鋼を製造する。完成品ストリップを、さらに少なくとも1回の焼きなまし処理に供し、このとき、磁気特性が発現され、本発明の鋼ストリップが、モーターまたは変圧器などの電気機器類における使用に好適なものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2002年5月8日に出願された米国特許仮出願第60/378,743号(この仮出願は、参照により、その全体が本明細書に援用される)の優先権を主張するものである。
【0002】
[発明の背景]
無方向性電磁鋼は、種々の電気機器および装置、特に、ストリップのあらゆる方向において低鉄損および高透磁率が所望されるモーターにおける磁気コア材料として広く使用されている。本発明は、低鉄損および高透磁率を有する無方向性電磁鋼の製造方法に関し、この方法では、鋼溶融体を薄板ストリップとして鋳造し、冷却、熱間圧延および/または冷間圧延して完成品ストリップにすることにより、鋼溶融体から鋼を製造する。完成品ストリップを、さらに少なくとも1回の焼きなまし処理に供し、このとき、磁気特性が発現され、本発明の鋼ストリップが、モーターまたは変圧器などの電気機器類における使用に好適なものとなる。
【0003】
無方向性電磁鋼の磁気特性は、完成品ストリップ厚さ、完成品ストリップの体積抵抗率、粒径、純度および結晶集合組織に影響され得る。渦電流により引き起こされる鉄損は、完成品鋼ストリップ厚さを減少させること、鋼ストリップの合金含量を増加して体積抵抗率を増大させること、または両者の組み合わせにより低下させることができる。
【0004】
従来の加工法(厚板スラブ鋳造(thick slab casting)、スラブ再加熱、熱間圧延およびホットバンド焼きなまし)による無方向性電磁鋼の確立された製造方法では、典型的には、合金添加元素(additions)であるケイ素、アルミニウム、マンガンおよびリン(これらに限定されない)を、好ましくは、残留窒素が存在する場合は大きな介在物の形態である完全なフェライト微細組織をもたらす組成で用いる。無方向性電磁鋼は、約6.5%までのケイ素、約3%までのアルミニウム、約0.05%までの炭素(これは、磁気老化(magnetic aging)を防ぐため、加工の際に約0.003%未満に低下させなければならない)、約0.01%までの窒素、約0.01%までの硫黄および残部の鉄を、製鋼法に付随する少量の不純物とともに含有し得る。一般に、モーター用ラミネーション鋼(motor lamination steel)と呼ばれるものも含めた無方向性電磁鋼は、ケイ素、アルミニウム、および鋼の体積抵抗率を増加させる同様の元素などの添加元素の比率により区別される。約0.5%未満のケイ素および他の添加元素を含有して約20μΩ−cmの体積抵抗率がもたらされた鋼は、一般的にモーター用ラミネーション鋼に分類することができ、約0.5〜約1.5%のケイ素または他の添加元素を含有して約20μΩ−cm〜約30μΩ−cmの体積抵抗率がもたらされた鋼は、一般的に低ケイ素鋼に分類することができ、約1.5%〜約3.0%のケイ素または他の添加元素を含有して約30μΩ−cm〜約45μΩ−cmの体積抵抗率がもたらされた鋼は、一般的に中間(intermediate)ケイ素鋼に分類することができ、最後に、約3.5%より多いケイ素または他の添加元素を含有して約45μΩ−cmより大きい体積抵抗率がもたらされた鋼は、一般的に高ケイ素鋼に分類することができる。典型的には、これらの鋼は、アルミニウム添加元素も含有する。ケイ素およびアルミニウムは、フェライト相の安定性を大きく増大させ、それにより約2.5%より多い(ケイ素+アルミニウム)を含有する鋼がフェライトになる、すなわち、加熱または冷却の際にオーステナイト/フェライト相変態が起こらない。かかる合金化添加元素は、体積抵抗率を増加させ、AC磁化の際の渦電流を抑制し、それにより鉄損が低下する。また、これらの添加元素により硬度が増大することにより、鋼の打ち抜き特性が改善される。逆に、合金含量が増加すると、特に大量のケイ素を用いた場合には、合金化のコスト増および脆性の増大により、鋼の製造がより困難になる。
【0005】
ヒステリシス損を最小限にするには、完成品圧延焼きなましストリップにおいて適度に大きな粒径を達成することが望ましい。完成品圧延焼きなましストリップの純度は、鉄損に対してかなりの影響を有し得る。それは、分散相、介在物および/または析出物の存在が、焼きなましの際に粒の成長を阻害し、適度な大粒径および方位の形成を妨げ、それにより最終製品形態において高鉄損および低透磁率がもたらされ得るためである。また、完成品焼きなまし鋼中の介在物および/または析出物は、AC磁化の際の磁区壁運動を妨害し、さらに磁気特性を損なう。上記のように、完成品ストリップの結晶集合組織、すなわち、電磁鋼ストリップを構成する結晶粒の方位の分布は、鉄損および透磁率の決定に非常に重要である。ミラー指数により規定される<100>および<110>集合組織成分は、最も大きな透磁率を有するが、逆に、<111>型集合組織構成要素は最も小さい透磁率を有する。
【0006】
一般的に、無方向性電磁鋼は、通常「半加工」鋼または「完全加工」鋼と呼ばれる2つの形態で提供される。「半加工」鋼は、適切な粒径および集合組織を発現させ、製造応力を緩和するため、および必要であれば、老化を避けるための適度に低い炭素レベルを提供するため、使用前の製品に焼きなましを施さなければならないことになる。「完全加工」鋼は、ストリップをラミネーションに製造する前に磁気特性が完全に発現されている、すなわち、粒径および集合組織が確立されており、磁気老化を防止するために炭素含量が約0.003%以下に低下されていることになる。このグレードのものは、製造応力を緩和するために所望される場合を除き、ラミネーションを製造した後に焼きなましは必要とされない。無方向性電磁鋼は、ストリップの圧延方向に対してあらゆる方向に均一な磁気特性が所望される、または方向性電磁鋼のコストが妥当でないモーターまたは発電機などの回転装置に主に使用される。
【0007】
方向性電磁鋼が、二次粒子成長(または二次再結晶)として知られる方法により好ましい方位を発達させる(develop)ように加工されるものであることから、無方向性電磁鋼は方向性電磁鋼とは異なる。二次粒子成長は、ストリップの圧延方向に対して極めて方向性のある磁気特性を有する電磁鋼をもたらし、方向性電磁鋼を、変圧器用などの方向性が所望される用途に適したものとする。
【0008】
市販の無方向性電磁鋼は、典型的には、冷間圧延モーター用ラミネーション鋼(「CRML」)および冷間圧延無方向性電磁鋼(「CRNO」)の2つの類型に細分される。CRMLは、一般的に、非常に低い鉄損を要件とすることが、経済的に正当化するのが困難な用途に使用される。かかる用途では、典型的には、無方向性電磁鋼が、1.5Tおよび60Hzで測定したとき、約4W/#(ワット/ポンド)(約8.8ワット/kg)の最大鉄損および約1500G/Oe(ガウス/エルステッド)の最小透磁率を具備することが必要とされる。かかる用途では、使用される鋼ストリップは、典型的には、約0.018インチ(約0.45mm)〜約0.030インチ(約0.76mm)の公称厚さまで加工される。CRNOは、一般的に、より良好な磁気特性が要求される、より厳しい要件の用途に使用される。かかる用途では、典型的には、無方向性電磁鋼が、1.5Tおよび60Hzで測定したとき、約2W/#(約4.4ワット/kg)の最大鉄損および約2000G/Oeの最小透磁率を具備することが必要とされる。かかる用途では、鋼ストリップは、典型的には、約0.008インチ(約0.20mm)〜約0.025インチ(約0.63mm)の公称厚さまで加工される。
【0009】
以前の方法は、いずれも、経済的に上記磁気特性要件を満たす、鋳造ストリップから無方向性電磁鋼を製造する本発明の方法を教示または示唆するものではない。
【0010】
[発明の記述]
本発明は、薄板鋳造ストリップから無方向性電磁鋼を製造するための方法を開示する。
【0011】
本特許出願明細書において、合金の組成の百分率(%)に関するすべての記載は、特に記載のない限り、重量パーセントで示す。
【0012】
本発明は、ケイ素、アルミニウム、クロム、マンガンおよび炭素の含量が、以下の通りである組成を有する鋼を提供する。
i. ケイ素:約6.5%まで
ii. アルミニウム:約3%まで
iii.クロム:約5%まで
iv. マンガン:約3%まで
v. 炭素:約0.05%まで
【0013】
また、上記鋼は、約0.15%までの量のアンチモン、約0.005%までの量のニオブ、約0.01%までの量の窒素、約0.25%までの量のリン、約0.01%までの量の硫黄および/またはセレン、約0.15%までの量のスズ、約0.005%までの量のチタン、および約0.005%までの量のバナジウムを含有し、残部は、本質的に鉄および製鋼法に付随する残余元素である。
【0014】
好ましい組成では、これらの元素は、以下の量で存在する。
i. ケイ素:約1%〜約3.5%、
ii. アルミニウム:約0.5%まで、
iii. クロム:約0.1%〜約3%、
iv. マンガン:約0.1%〜約1%、
v. 炭素:約0.01%まで、
vi. 硫黄:約0.01%まで、
vii. セレン:約0.01%まで、および
viii.窒素:約0.005%まで
【0015】
さらに好ましい組成では、これらの元素は、以下の量で存在する。
i. ケイ素:約1.5%〜約3%、
ii. アルミニウム:約0.05%まで、
iii. クロム:約0.15%〜約2%、
iv. マンガン:約0.1%〜約0.35%、
v. 炭素:約0.005%まで、
vi. 硫黄:約0.005%まで、
vii. セレン:約0.007%まで、および
viii.窒素:約0.002%まで
【0016】
一実施形態において、本発明は、鋼溶融体から無方向性電磁鋼を製造する方法であって、該無方向性電磁鋼がストリップのあらゆる方向に比較的均一な磁気特性を有し、該鋼溶融体が、ケイ素および他の合金化添加元素または製鋼法に付随する不純物を含有し、後に、約0.40インチ(約10mm)未満、好ましくは約0.16インチ(約4mm)未満の厚さを有する薄板ストリップに鋳造され、仕上げ焼きなまし(finish annealing)前の熱間圧延ストリップにおいて鋳放し粒組織の再結晶が最小限に抑えられるような様式で冷却または熱延加工(hot reduce)する方法を提供する。本方法の無方向性電磁鋼は、モーター、変圧器などの装置における使用に望ましい磁気特性を発現させるための、仕上げ焼きなまし処理前での追加の焼きなましまたは冷間圧延処理を行なわずに使用することができる。
【0017】
第2の実施形態において、本発明は、鋼溶融体から、ストリップのあらゆる方向に比較的均一な磁気特性を有する無方向性電磁鋼を製造する方法であって、該鋼溶融体が、ケイ素および他の合金化添加元素または製鋼法に付随する不純物を含有し、約0.40インチ(約10mm)未満、好ましくは約0.16インチ(約4mm)未満の厚さを有する薄板ストリップに鋳造され、冷却し、冷間圧延し、仕上げ焼きなましを施して、モーター、変圧器などの装置における使用に望ましい磁気特性を発現させる方法を提供する。
【0018】
第3の実施形態において、本発明は、鋼溶融体から、ストリップのあらゆる方向に比較的均一な磁気特性を有する無方向性電磁鋼を製造する方法であって、該鋼溶融体が、ケイ素および他の合金化添加元素または製鋼法に付随する不純物を含有し、約0.40インチ(約10mm)未満、好ましくは約0.16インチ(約4mm)未満の厚さを有する薄板ストリップに鋳造され、鋳放し粒組織の再結晶が最小限に抑えられるような様式で熱延加工し、冷間圧延し、仕上げ焼きなましを施して、モーター、変圧器などの装置における使用に望ましい磁気特性を発現させる方法を提供する。
【0019】
上記の実施形態の好ましい実施においては、鋼溶融体はケイ素、クロム、マンガンなどの添加元素を含有し、鋼溶融体を、約0.06インチ(約1.5mm)〜約0.16インチ(約4mm)の厚さを有する薄板ストリップに鋳造し、鋳造ストリップを、鋳放し粒組織を保持するような様式で急速冷却する、および/または熱間圧延ストリップの鋳放し粒組織の再結晶が最小限に抑えられるように熱間圧延する。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、当業者が一般的に理解しているのと同じ意味をもつ。本発明の実施または試験では、本明細書に記載したものと類似または均等な方法および材料を使用することができるが、好適な方法および材料は、以下に記載するものである。本明細書に記載したすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される。矛盾が生じる場合は、定義を含めて本明細書に従う。また、材料、方法および実施例は、単なる例示であって、限定することを意図するものではない。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0021】
[発明の詳細な説明]
前述の用語に包含される範囲を含めた明細書および特許請求の範囲の明白で一貫性のある理解を提供するため、以下の定義を提供する。
【0022】
用語「フェライト」および「オーステナイト」は、特定の結晶形の鋼を表すために使用する。「フェライト」または「フェライト鋼」は、体心立方あるいは「bcc」結晶形を有し、一方、「オーステナイト」または「オーステナイト鋼」は面心立方あるいは「fcc」結晶形を有する。用語「完全なフェライト鋼」は、最終の室温での微細組織とは無関係に、溶融体からの冷却過程において、および/または熱間圧延のための再加熱においてフェライト結晶形とオーステナイト結晶形間の相変態を全く受けない鋼を表すために使用する。
【0023】
用語「ストリップ」および「シート」は、厚さが約0.4インチ(約10mm)未満で幅が典型的には約10インチ(約250mm)より大きい、より典型的には約40インチ(約1000mm)より大きい鋼で構成される本明細書および特許請求の範囲の鋼の物理的特徴を表すために使用する。用語「ストリップ」には、幅の制限はないが、厚さよりもかなり大きい幅を有する。
【0024】
明確にする目的で、初期冷却速度は、鋳造用ロール(単数または複数)により提供される溶融金属の冷却速度であるとする。二次冷却速度という用語は、鋳造用ロール(単数または複数)から排出された後のストリップの冷却速度であるとする。
【0025】
本明細書で使用される用語「ロール」は、単一または対のロール、ドラムまたはベルトを指す。一般的に、内部冷却され、互いに反対方向に回転し、かつ概ね水平に保持されたそれらの軸に対して互いに平行に配置された対のロールを使用する。
【0026】
本発明は、急速に凝固させた鋳造ストリップから製造される、低鉄損および高透磁率を有する無方向性電磁鋼を提供し、鋳造ストリップは、約0.8インチ(約20mm)未満の厚さを有し、典型的には約0.4インチ(約10mm)未満の厚さを有し、好ましくは約0.16インチ(約4mm)未満の厚さを有する。この急速凝固プロセスでは、典型的には、2つの鋳造用反転ロールまたはベルトを使用するが、単一の冷却用ロールまたはベルトを使用してもよい。
【0027】
直接薄板ストリップ鋳造を無方向性電磁鋼の製造に適用するための技術的要件は、仕上げ焼きなまし無方向性電磁鋼において所望の磁気特性を達成するのに必要とされる冶金学的特性、すなわち、組成、析出物および介在物、集合組織および粒成長のため、ステンレス鋼および炭素鋼とは異なる。本発明の無方向性電磁鋼ストリップの製造方法では、単一のロール(もしくはドラム)、2つの鋳造用反転ロール(もしくはベルトもしくはドラム)または連続ベルトを用いて鋼溶融体をストリップ形態に凝固させることができる急速な焼き入れ/凝固プロセスにより、原材料用(starting)鋳造ストリップを製造する。好ましくは、ストリップは、近接した間隔で水平に配置され、反対方向に回転し、かつ内部冷却された2つのロール間で鋳造する。本発明の方法の実施においては、約0.03インチ(約0.7mm)〜約0.16インチ(約4.0mm)の厚さを有する薄板鋳造ストリップが好ましい。ストリップ鋳造用の装置および方法は、当該技術分野において、例えば、米国特許第6,257,315号、同第6,237,673号、同第6,164,366号、同第6,152,210号、同第6,129,136号、同第6,032,722号、同第5,983,981号、同第5,924,476号、同第5,871,039号、同第5,816,311号、同第5,810,070号、同第5,720,335号、同第5,477,911号、同第5,049,204号(これらすべては本明細書中で参照により詳細が援用される)において既知である。
【0028】
図1は、一般的なツインロールストリップ鋳造方法の概略的な図を示す。鋼溶融体が、溶融プール30を形成し、これは、2つの鋳造用反転ロール20(またはベルトまたはドラム)を用いて急速に凝固され、薄板鋳造ストリップ10が形成される。一般的に、鋳造用ロール20は、内部冷却されている。
【0029】
本発明の方法の実施においては、合金化添加元素であるケイ素、クロム、マンガン、アルミニウムおよびリンを含有する鋼溶融体が用いられる。これらの添加元素の主な目的は、等式Iで示される体積抵抗率を増加させ、それにより、AC磁化の際に誘導される渦電流によって引き起こされる鉄損を低下させることである:
【0030】
(I) ρ=13+6.25(%Mn)+10.52(%Si)+11.82(%Al)+6.5(%Cr)+14(%P)
式中、ρは、鋼の体積抵抗率(μΩ−cm)であり、%Mn、%Si、%Al、%Crおよび%Pは、それぞれ、マンガン、ケイ素、アルミニウム、クロムおよびリンの鋼中の重量百分率である。
【0031】
得られた薄板鋳造ストリップは、熱間圧延(この場合、完成品鋼は、従来法で製造されるCRMLグレートの無方向性電磁鋼に典型的な磁気特性を有することになる)、または冷間圧延または任意選択で熱間圧延および冷間圧延(この場合、完成品鋼は、従来法で製造されるCRMLグレートまたはCRNOグレートの無方向性電磁鋼に匹敵する磁気特性を有することになる)により最終厚さに加工する。
【0032】
本発明の電磁鋼の製造を始めるために、鋼溶融体を、一般的に確立された鋼の融解、精錬および合金化法を用いて製造してもよい。溶融体組成物は、一般的に、約6.5%までのケイ素、約3%までのアルミニウム、約5%までのクロム、約3%までのマンガン、約0.01%までの窒素および約0.05%までの炭素を含有し、残部は本質的に鉄および製鋼法に付随する残余元素である。好ましい組成物は、約1%〜約3.5%のケイ素、約0.5%までのアルミニウム、約0.1%〜約3%のクロム、約0.1%〜約1%のマンガン、約0.01%までの硫黄および/またはセレン、約0.005%までの窒素ならびに約0.01%までの炭素を含有する。また、好ましい鋼は、チタン、ニオブおよび/またはバナジウムなどの残留量の元素を、約0.005%を超えない量で有し得る。より好ましい鋼は、約1.5%〜約3%のケイ素、約0.05%までのアルミニウム、約0.15%〜約2%のクロム、約0.005%までの炭素、約0.008%までの硫黄またはセレン、約0.002%までの窒素、約0.1%〜約0.35%のマンガン、ならびに残部の鉄を、通常存在する残余元素とともに含有する。
【0033】
また、鋼は、アンチモン、ヒ素、ビスマス、リンおよび/またはスズなどの他の元素を約0.15%までの量で含んでいてもよい。鋼はまた、銅、モリブデンおよび/またはニッケルを約1%までの量で個々に、または組み合わせて含んでいてもよい。他の元素が、意図的な添加元素として存在していてもよく、または鋼融解プロセスによる残余元素、すなわち不純物として存在することもある。鋼溶融体を調製するための例示的な方法としては、酸素、アーク電流炉(EAF)または真空誘導溶解(VIM)が挙げられる。さらに合金添加元素を鋼溶融体に精錬および/または製造するための例示的な方法には、取鍋冶金用炉(ladle metallurgy furnace)(LMF)、真空酸素脱炭(VOD)容器および/またはアルゴン酸素脱炭(AOD)反応器が含まれ得る。
【0034】
ケイ素は、本発明の鋼中に、約0.5%〜約6.5%、好ましくは約1%〜約3.5%、より好ましくは約1.5%〜約3%の量で存在する。ケイ素添加元素は、体積抵抗率を増加させ、フェライト相を安定化し、硬度を増加して完成品ストリップの打ち抜き特性を改善する機能を果たすが、2.5%より多いレベルでは、ケイ素は、鋼をより脆性にすることが知られている。
【0035】
クロムは、本発明の鋼中に、約5%まで、好ましくは約0.1%〜約3%、より好ましくは約0.15%〜約2%の量で存在する。クロム添加元素は、体積抵抗率を増加させる機能を果たすが、所望の相バランスおよび微細組織特性を維持ためにその影響を検討しなければならない。
【0036】
マンガンは、本発明の鋼中に、約3%まで、好ましくは約0.1%〜約1%、より好ましくは約0.1%〜約0.35%の量で存在する。マンガン添加元素は、体積抵抗率を増加させる機能を果たすが、所望の相バランスおよび微細組織特性を維持ためにその影響を検討しなければならない。
【0037】
アルミニウムは、本発明の鋼中に、約3%まで、好ましくは約0.5%まで、より好ましくは約0.05%までの量で存在する。アルミニウム添加元素は、ケイ素添加元素は、体積抵抗率を増加させ、フェライト相を安定化し、硬度を増加して完成品ストリップの打ち抜き特性を改善する機能を果たすが、アルミニウムは、凝固後の冷却の際に、他の元素と結合して析出物を形成することがあり、これは、加工の際の粒成長を妨げ得る。
【0038】
硫黄およびセレンは、これらの元素が他の元素と結合して加工の際の粒成長を妨げ得る析出物を形成することがあるという点で、本発明の鋼には望ましくない元素である。硫黄は、鋼溶融において一般的な残余元素である。硫黄および/またはセレンが本発明の鋼中に存在する場合には、約0.01%までの量であるのがよい。好ましくは、硫黄は約0.005%までの量で存在し得、セレンは約0.007%までの量で存在するのがよい。
【0039】
窒素は他の元素と結合して、加工の際の粒成長を妨げ得る析出物を形成することがあるという点で、窒素は本発明の鋼には望ましくない元素である。窒素は、鋼融解において一般的な残余元素であり、本発明の鋼中に存在する場合には、約0.01%まで、好ましくは約0.005%まで、より好ましくは約0.002%までの量であるのがよい。
【0040】
炭素は本発明の鋼には望ましくない元素である。炭素は、オーステナイトの形成を助長し、存在する場合には約0.003%より多い量であるが、炭化物析出により引き起こされる完成品焼なまし鋼の「磁気老化」を抑制するため、炭素レベルを充分低下させるために、鋼には脱炭焼なまし処理が施されなければならない。炭素は、鋼溶融における一般的な残余元素であり、本発明の鋼中に存在する場合には、約0.05%まで、好ましくは約0.01%まで、より好ましくは約0.005%までの量であるのがよい。溶融体の炭素レベルが約0.003%より多い場合、完成品焼なましストリップが磁気的に老化しないようにするため、無方向性電磁鋼に脱炭焼なましを施し、炭素を約0.003%未満、好ましくは約0.0025%未満にしなければならない。
【0041】
本発明の無方向性電磁鋼によるストリップ製造品は、製造の際に、ストリップが厚さの減少を受ける熱間圧延および/または冷間圧延などの圧延処理に供したものである。
【0042】
鋳造圧延ストリップに、さらに仕上げ焼きなましを施し、この間に、所望の磁気特性が発現させ、必要であれば、磁気的老化を抑制するのに充分炭素含量を低下させる。仕上げ焼きなましは、典型的には、焼きなましの間、制御された雰囲気、例えば水素と窒素の混合ガス中で行なう。バッチ型または箱焼きなまし、連続ストリップ焼きなまし、および誘導焼きなまし(induction annealing)などのいくつかの方法が当該技術分野で既知である。バッチ焼きなましを使用する場合は、典型的には、ASTM規格726−00、A683−98aおよびA683−99に記載のように、約1450°F(約790℃)以上約1550°F(約843℃)未満の焼きなまし温度がもたらされるようにし、およそ1時間の時間で行なう。連続ストリップ焼きなましを使用する場合は、典型的には、約1450°F(約790℃)以上約1950°F(約1065℃)未満の焼きなまし温度で、10分未満の時間で行なう。誘導焼きなましを使用する場合は、典型的には、約1500°F(約815℃)より高い焼きなまし温度がもたらされるようにし、およそ5分未満の時間で行なう。
【0043】
本発明の方法の実施においては、鋳造用ロール表面から排出される無方向性電磁鋼の温度は、一般的に、約2500°F(約1370℃)より高い。無方向性電磁鋼は、鋳造ストリップに、約2500°F(約1370℃)の温度から約1700°F(約925℃)の温度まで、1秒あたり約20°F(1秒あたり約10℃)より速い速度での二次冷却が施されるように加工してもよい。無方向性電磁鋼を冷却してもよく、この冷却凝固鋳造ストリップを、約1475°F(約800℃)未満の温度でコイル状にしてもよい。冷却プロセスは、任意選択で、鋼ストリップの表面の酸化を低減または抑制するため、非酸化性の保護雰囲気中で行なってもよい。
【0044】
また、本発明は、原材料用ストリップに鋳造する鋼溶融体を提供し、ここで、鋳造ストリップは、鋳放しフェライト微細組織を維持するために急速冷却に供する。
【0045】
本発明の好ましい方法では、さらに鋳造ストリップに、約2280°F(約1250℃)より高い温度から約1650°F(約900℃)未満の温度まで、1秒あたり約45°F(1秒あたり約25℃)より速い速度での急速二次冷却を施す。この急速二次冷却プロセスは、典型的には、水噴射または空気/水ミスト冷却を用いて行なわれる。本発明の急速二次冷却のより好ましい速度は、1秒あたり約90°F(1秒あたり約50℃)より速く、最も好ましい速度は、1秒あたり約120°F(1秒あたり約65℃)より速い。鋼ストリップの冷却条件は、噴霧ノズルのデザイン、噴霧角度、流速、水噴射密度、冷却ゾーンの長さおよび/または噴霧ノズルの数で構成される噴霧器制御系を用いて制御し得る。ストリップ上の水膜厚のばらつきのため、噴霧冷却中にストリップ温度をモニターすることは困難であることから、典型的には水噴射密度測定値が使用される。一般的には1mあたり1分間に約125リットル〜1mあたり1分間に約450リットルの噴射密度が所望の冷却速度をもたらす。冷却凝固鋳造ストリップを、約1475°F(約800℃)未満、より好ましくは約1250°F(約680℃)未満の温度でコイル状にしてもよい。
【0046】
本発明は、商業的用途に適した磁気特性を有する無方向性電磁鋼を提供し、ここでは、鋼溶融体を原材料用ストリップに鋳造し、次いで、これを仕上げ焼きなましの前に熱間圧延、冷間圧延または両方により加工して所望の磁気特性を発現させる。
【0047】
本発明の方法の実施においては、無方向性電磁鋼ストリップを、熱間圧延、冷間圧延またはその組み合わせを用いて加工し得る。熱間圧延を使用する場合、ストリップは、約1300°F(約700℃)から約2000°F(約1100℃)の温度で圧延され得る。特に溶融体組成物が充分なフェライト微細組織をもたらさない場合、より具体的には、加工条件が冷間圧延および/または仕上げ焼きなまし前に微細組織の実質的な再結晶化をもたらさないものである場合、圧延ストリップに、鋼の所望の結晶組織および微細組織をもたらすための焼きなまし工程をさらに施すのがよい。しかしながら、これらの加工方法の使用は、鋼表面上に酸化物スケールの成長を引き起こすことがある。当該技術分野で一般に知られた適当な加工方法の使用により、制限内で、質および量に関してこの酸化物形成に適度に影響を及ぼすことが可能である。
【0048】
ケイ素およびクロムを有する本発明の一実施形態の無方向性電磁鋼は、優れた靭性および加工の際のストリップ破断に対する抵抗性がより大きくなるという改善された機械的性質が得られるため、有利である。
【0049】
一実施形態において、本発明は、1.5Tおよび60Hzで測定したとき、約4W/#(約8.8W/kg)の最大鉄損および約1500G/Oeの最小透磁率を具備する磁気特性を有する無方向性電磁鋼を製造するための方法を提供する。
【0050】
別の実施形態において、本発明は、1.5Tおよび60Hzで測定したとき、約2W/#(約4.4W/kg)の最大鉄損および約2000G/Oeの最小透磁率を具備する磁気特性を有する無方向性電磁鋼を製造するための方法を提供する。
【0051】
本発明の無方向性電磁鋼の一実施形態では、完全なフェライトでない組成を有する鋼を用いてもよく、この場合、オーステナイト相の形成を抑制するため、ストリップ鋳造時の急速冷却および/または鋳造ストリップの急速二次冷却、熱間圧延および焼きなまし条件などの適切な後続加工が用いられる。
【0052】
本発明の任意選択の実施において、冷却凝固鋳造ストリップに、冷間圧延および/または仕上げ焼きなましの前に熱延加工および/または焼きなまし工程を施してもよい。最初にフェライトとオーステナイトの混合相からなる微細組織を有するストリップを加工するのは、粒径および結晶方位の制御がかなり困難であり得ること、特に、再結晶により、好ましい<100>および<110>配列よりも劣った磁気特性を有する<111>配列の生成がもたらされ得ることは、当業者に既知のことである。
【0053】
本発明の方法の実施において、オーステナイト相の形成は、完全なフェライト微細組織をもたらすような溶融体組成を用いて、あるいはまた、冷却凝固鋳造ストリップの加工条件を制御することにより(この場合の溶融体組成は、完全なフェライト微細組織をもたらさない)防ぐことができる。等式IIは、オーステナイト相の形成に対する組成の効果を示す。等式IIに示す元素の百分率は、すべて重量%であり、T20wt%γ(表ではT20で示す)は、平衡条件下において鋼の20重量%がオーステナイト相の形態となり得る温度である。
(II) T20wt%γ,℃=787.8−4407(%C)−151.6(%Mn)+564.7(%P)+155.9(%Si)+439.8(%Al)−50.7(%Cr)−68.8(%N)−53.2(%Cu)−139(%Ni)+88.3(%Mo)
【0054】
本発明の方法の実施において、等式IIを用いてストリップの熱間圧延(もし使用する場合)および/または焼きなまし(もし使用する場合)の制限温度を決定することができる。
【0055】
凝固させた鋳造ストリップの熱間圧延は、いくつかの理由により好ましい場合がある。第1に、鋳造ストリップは、しばしば収縮多孔性を有し、これは、所望のストリップ機械特性および磁気特性を得るためになくされなければならない。第2に、ストリップの直接鋳造には一般に表面加工(textured)鋳造ロールが用いられる。実際において、鋳造用ロールの表面粗さが鋳放しストリップの表面粗さに反映され、鋳造ストリップの表面を、ラミネーション鋼を密な積層体として製造されなければならない磁気コアにおける使用に望ましくないものとする。当該技術分野では、炭素鋼およびステンレス鋼の両方について、薄板鋳造ストリップを熱間圧延すると、所望の表面特性を得ることができることが確立されている。本出願人らは、熱間圧延を適用すると、仕上げ焼きなまし無方向性電磁鋼の磁気特性がかなり損われることを確認した。しかしながら、本出願人らは、熱間圧延を使用できる本発明の方法を見出し、この方法では、鋳造ストリップを熱間圧延し、焼きなましを施し、任意選択で冷間圧延し、仕上げ焼きなましを施すと、優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼を得ることができる。さらに、本出願人らは、本発明の一実施形態において、鋳造ストリップを熱間圧延し、冷間圧延および仕上げ焼きなましを施すと、熱間圧延後に焼きなまし工程を必要とせずに、優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼が提供されることができることを確認した。
【0056】
出願人らが行なった調査研究では、熱間圧延条件が、冷間圧延および/または仕上げ焼きなまし前の鋳放し微細組織の再結晶を抑制し、それにより鋳放しストリップに特徴的な<100>配列が保持されるものである場合、最も良好な磁気特性を得ることができる。本発明の方法の一実施形態において、熱間圧延により与えられるひずみエネルギーが鋳造ストリップのさらなる再結晶を許容するには不十分である熱変形の必要条件を決定するため、熱間圧延の変形条件をモデル化した。等式III〜IXに概要を述べたこのモデルは、本発明の方法のさらなる実施形態を表すものであり、当業者には容易に理解されるはずである。
【0057】
圧延により与えられるひずみエネルギーは、
【0058】
【数1】

【0059】
で計算することができる。
【0060】
式中、Wは、圧延において消費された仕事であり、θは、鋼の拘束(constrained)降伏強さであり、Rは、圧延においてなされた減少量(小数)、すなわち鋳造ストリップの初期厚さ(t、単位:mm)を熱間圧延鋳造ストリップの最終厚さ(t、単位:mm)で割ったものである。さらに、熱間圧延における真ひずみを、
(IV) ε=K
で計算することができる。
【0061】
式中、εは、真ひずみであり、Kは定数である。等式IIIを等式IVに代入すると、真ひずみは、
【0062】
【数2】

【0063】
で計算することができる。
【0064】
拘束降伏強さθは、熱間圧延時の鋳鋼ストリップの降伏強さと関連する。熱間圧延では、動的に回復が起こるので、本発明の方法では熱間圧延中のひずみ硬化は起こらないとみなす。しかしながら、降伏強さは、温度およびひずみ速度に著しく依存するため、本出願人らは、以下のように、降伏強さが変形温度および変形率(ひずみ速度ともいう)に基づいて算出されるゼナー−ホロモン関係に基づく解を組み込んだ。
【0065】
【数3】

【0066】
式中、θは、圧延中の鋼の降伏強さにより補正される(compensate)温度およびひずみ速度であり、εは、圧延のひずみ速度であり、Tは、圧延時の鋼の温度(単位:°K)である。本発明の目的のために等式Vのθをθに置き換えて、
【0067】
【数4】

【0068】
を得る。式中、Kは定数である。
【0069】
熱間圧延における平均ひずみ速度εを算出する簡単な方法を等式VIIIに示す。
【0070】
【数5】

【0071】
式中、Dは、ワークロールの直径(単位:mm)であり、nはロール回転速度(単位:回転数/秒)であり、Kは定数である。上記式は、等式VIIのεを等式VIIIのεに置き換え、定数K、KおよびKに1を代入することにより変形(rearrange)および単純化することができ、このとき、公称熱間圧延ひずみεnominalは、等式IX:
【0072】
【数6】

【0073】
に示すようにして計算することができる。
【0074】
本発明の方法の好ましい実施において、熱間圧延に使用される条件は、ストリップにおいて所望の磁気特性を達成するのに重要であることがわかった。
【0075】
本発明の方法の実施においては、無方向性電磁鋼を製造するために薄板ストリップ鋳造を使用することに起因する、その状態が一般的に存在することが既知の実用上の問題点がある。薄板鋳鋼ストリップは、該ストリップの中心線に沿った凝固収縮に起因するかなりの量の中心線多孔率(center porosity)を有することがあり、これは、ある程度の量の熱間圧延または冷間圧延を用いてなくさなければならない。本発明の好ましい実施形態では、鋳造ストリップを熱間圧延または冷間圧延し、充分厚さを減少させ、多孔率を完全になくさなければならない。第2に、ツインロール型ストリップ鋳造機には、一般に、加工された圧延表面デサインを有する鋳造ドラムまたはロールが使用される。典型的には、凝固の際の熱伝達を制御するためにロール表面を粗くし、それにより鋳造後に亀裂のないストリップが製造される。本発明の方法の実施において、鋳造ストリップは、ストリップの表面を平滑にするため、および実用上許容される無方向性電磁鋼ストリップを提供するために、鋳造ストリップを熱間圧延または冷間圧延して充分な厚さを減少させなければならない。さらにまた、本発明のより好ましい実施形態では、熱間圧延工程(もし使用する場合)は、オーステナイト相の形成、または熱間圧延により与えられる過度の量のひずみを防止する条件下で行なわなければならない。図7は、本発明の無方向性鋼における再結晶粒径に対する熱間圧延ひずみの影響を示す。本発明のより好ましい実施形態では、仕上げ焼きなまし後に大きな再結晶粒径を有する無方向性電磁鋼ストリップを製造することができる。図8は、広範囲のT20wt%γを有する本発明の方法による鋼に対して、どれだけの減少量および圧延温度が使用できるのかを示す。さらに図8は、冷間圧延および仕上げ焼きなましの前に熱間圧延ストリップの焼きなましを施さなくても無方向性鋼が製造され得るか否かは、熱間圧延ひずみの量によって決定されること、および/または上記仕上げ焼きなまし工程では、長時間および/または高温焼きなまし温度が用いられることを示す。
【0076】
鋳造ストリップを1回以上の熱間圧延工程に供する任意選択の方法では、厚さの減少は、少なくとも約10%より多く約75%未満であり、好ましくは約20%より多く約70%未満であり、より好ましくは約30%より多く約65%未満である。本発明の好ましい方法によれば、鋳造の急速冷却および二次冷却で確立されたフェライト相からオーステナイト相への変態が生じるのを回避するため、薄板鋳造ストリップを等式IIのT20wt%γ以下の温度で熱間圧延する。具体的な変形温度、具体的な減少および具体的な減少速度を含む、熱間圧延工程の条件は、ストリップの冷間圧延または仕上げ焼きなまし前のストリップの再結晶量を最小減に抑えるためにさらに特定される。本発明の方法では、無方向性電磁鋼は、ストリップ厚さの約25%未満がこのように再結晶することが望ましい。本発明の方法の好ましい実施においては、ストリップ厚さの約15%未満がこのように再結晶することが望ましい。本発明の方法のより好ましい実施においては、ストリップ厚さの約10%未満がこのように再結晶することが望ましい。本発明の方法の最も好ましい実施においては、ストリップは実質的に再結晶しないことが望ましい。
【0077】
本発明の実施においては、熱間圧延鋳造ストリップの焼きなましは、熱間圧延ストリップが、それ自体の内部に保持された熱によって焼きなましが施される自己焼きなましにより行なわれてもよい。自己焼きなましは、約1300°F(約705℃)より高い温度の熱間圧延ストリップをコイル状にすることにより行なわれ得る。また、熱間圧延鋳造ストリップの焼きなましは、当該技術分野で既知のバッチ型コイル焼きなまし(coil anneal)または連続式ストリップ焼きなまし法のいずれかを用いて行なってもよい。バッチ型コイル焼きなましを用いる場合、熱間圧延ストリップは、典型的には約1300°F(約705℃)を超える高温まで約10分より長い時間、好ましくは約1400°F(約760℃)を超えるまで加熱する。連続式ストリップ焼きなましを用いる場合、熱間圧延ストリップは、典型的には約1450°F(約790℃)を超える温度まで約10分未満の時間で加熱する。
【0078】
本発明の鋳造ストリップ、熱間圧延鋳造ストリップまたは熱間圧延およびホットバンド焼きなまし鋳造ストリップは、冷間圧延または仕上げ焼きなまし前の無方向性電磁鋼ストリップ上に形成された酸化物層またはスケール層をすべて除去するために、任意選択でデスケール処理に供してもよい。「酸洗」は、最も一般的なデスケール法であり、これは、ストリップを、1種類以上の無機酸の水溶液を用いて金属表面の化学的洗浄に供するものである。苛性洗浄、電気化学的洗浄および機械的洗浄などの他の方法も、鋼表面の確立された洗浄法である。
【0079】
仕上げ焼きなまし後、さらに本発明の鋼に、ASTM規格A677およびA976−97の無方向性電磁鋼における使用に指定されたものなどの適用絶縁被覆を施してもよい。
【実施例】
【0080】
[本発明の実施例]
【0081】
【表1】

【0082】
〔実施例1〕
表Iに示す組成を有するヒート(Heat)AおよびBを融解し、約0.10インチ(約2.5mm)の厚さを有するストリップに鋳造し、図2に例示したようにして加工した。溶融体Aから製造した約0.10インチ(約2.5mm)の厚さを有する鋳造ストリップ、ならびにヒートBから製造した約0.10インチ(約2.5mm)、約0.060インチ(約1.5mm)および約0.045インチ(約1.15mm)の厚さを有する鋳造ストリップに、約30%〜約65%の熱延加工を施して厚さを0.040インチ(約1mm)未満にした。熱延加工は、直径約9.5インチ(約24mm)のワークロールを約32RPMの回転速度で用い、等式IIで規定されるT20未満の温度でロール間に1回通して行なった。熱間圧延鋳造ストリップをデスケールし、剪断して試験用サンプルにし、バッチ型焼きなましにて、約1550°F(約843℃)で、約60分間の均熱時間(soak time)、約75°F(約25℃)の露点の80%窒素/20%水素の雰囲気中で仕上げ焼きなましを施すか、あるいはまた、熱間圧延鋳造ストリップをデスケールし、1回冷間圧延ロールに通して約7%〜約23%の冷延加工を施し、剪断して試験用サンプルにし、バッチ型焼きなましにて、約1550°F(約843℃)で、約60分間の均熱時間、約75°F(約25℃)の露点の80%窒素/20%水素の雰囲気中で仕上げ焼きなましを施した。仕上げ焼きなまし後、表IIに示すように、磁気特性を、ストリップの圧延方向と平行な方向および直交する方向の両方で測定した。
【0083】
【表2】

【0084】
表IIに示されるように、本発明の実施により、一般的に認められた製造方法で(特に、CRMLの製造のために使用される従来の製造方法で一般に使用される焼戻しでも典型的な少量の冷延加工を用いたときに)製造されるCRMLグレードに匹敵する磁気特性を有する無方向性電磁鋼が得られた。
【0085】
〔実施例2〕
実施例1の溶融体AおよびBを、鋳造ストリップを図3に例示したようにして加工する本発明の方法の別の実施形態で加工した。表Iに示すように、溶融体AおよびBの組成は、等式Iから算出されるが、当該技術水準の中間無方向性ケイ素電磁鋼の代表的な体積抵抗率(ρ)をもたらすものである。本発明の好ましい方法にしたがって、凝固鋳造ストリップを約1000°F(約540℃)未満の温度までの急速二次冷却に供した。冷却した凝固鋳造ストリップを冷間圧延し、厚さを約0.018インチ(約0.45mm)とした。冷間圧延後、バッチ型焼きなましにて、約1550°F(約843℃)の温度で、約60分間の均熱時間、約75°F(約25℃)の露点の80%窒素/20%水素の雰囲気中で、ストリップに仕上げ焼きなましを施すか、または、約1450°F(約790℃)もしくは約1850°F(約1010℃)のいずれかの温度で、約60秒未満の均熱時間、約95°F(約35℃)の露点の75%窒素/25%水素の雰囲気中で、連続ストリップ焼きなましとして仕上げ焼きなましを施し、剪断して試験用サンプルにし、続いて約1550°F(約843℃)でバッチ型焼きなましを施した。バッチ型焼きなまし後、磁気特性を、ストリップの圧延方向と平行な方向および直交する方向の両方で測定した。
【0086】
【表3】

【0087】
表IIIに示すように、本発明により製造された溶融体Aから製造した無方向性電磁鋼の磁気特性は、許容範囲であったが、この磁気特性は、一般的に認められた製造方法を用いて得られるCRNOに典型的なものよりは劣る。本発明の好ましい組成および加工に相当する溶融体Bでは、一般的に認められた製造方法を用いて得られる品質に匹敵する磁気特性が得られた。
【0088】
〔実施例3〕
表Iに溶融体Cを、約0.8インチ(約2.0mm)または約0.10インチ(約2.5mm)のいずれかの厚さを有する薄板ストリップに鋳造し、図4に例示したようにして加工した。表Iに示すように、溶融体Cの組成は、約37μΩ−cmの体積抵抗率をもたらし、溶融体Cの鋼を、当該技術水準の中間無方向性ケイ素電磁鋼の代表的なものとした。さらに、溶融体Cによる凝固鋳造ストリップを、本発明の好ましい方法にしたがって約1000°F(約540℃)未満のストリップ温度までの急速二次冷却に供した。冷却した凝固鋳造ストリップを、非酸化性雰囲気中で約1750°F(約950℃)または約2100°F(約1150℃)の温度まで再加熱した後、この鋳造ストリップを熱間圧延した。熱間圧延は、直径9.5インチ(約24mm)のワークロールを約32RPMの回転速度で用い、等式IIで規定されるT20wt%γ未満の温度でロール間に1回通して行なった。等式IXを用いて計算した具体的な温度、圧延加工および圧延ひずみ計算値を表IVにまとめる。熱間圧延ストリップを酸洗し、その後、冷間圧延して厚さを約0.018インチ(約0.45mm)とするか、空気中で約1分未満の時間約1900°F(約1035℃)で焼きなましを施し、酸洗した後、冷間圧延した。冷間圧延後、約1450°F(約790℃)のいずれかの温度で、約60秒未満の均熱時間、約95°F(約35℃)の露点の75%窒素/25%水素の雰囲気中で、連続ストリップ焼きなましにてストリップに焼きなましを施し、剪断して試験用サンプルにし、約1550°F(約843℃)でバッチ型焼きなましを施し、表IVに示す磁気特性を、ストリップの圧延方向と平行な方向および直交する方向の両方で測定した。
【0089】
【表4】

【0090】
表IVに示すように、本発明により製造された溶融体Cから製造した無方向性電磁鋼の磁気特性は、一般的に認められた製造方法に匹敵するものであった(冷間圧延圧延前に熱間圧延ストリップの焼きなまし工程を伴う場合と伴わない場合の両方)。図5および図6は、これらのデータを示すものであり、1.5Tおよび60Hzで測定したときの透磁率および鉄損に対する熱間圧延ひずみのレベルの影響を示す。表IVおよび図に明白に示されるように、等式IXの公式を用いたとき300未満である小さい熱間圧延によるひずみを適用すると、ホットバンド焼きなましを施さずに非常に高い透磁率および低い鉄損を有する中間無方向性ケイ素電磁鋼を、薄板鋳造ストリップから製造することができる。
【0091】
冷間圧延および/または仕上げ焼きなまし前にストリップの焼きなましを施さずに高品質のCRMLまたはCRNOを製造することは本発明の好ましい実施であるが、鋳造ストリップを非常に高い圧延ひずみ(すなわち、等式IXを用いたとき300より大きい)に供する場合、当該技術分野で既知の装置および手順を用い、実質的にT20wt%γ未満の焼きなまし温度である低温コイル型焼きなましを熱間圧延ストリップに施すのがよい。
【0092】
〔実施例4〕
表Iの溶融体Dを融解し、鋳造ストリップを、図3に例示するように加工して実施例2の手順にしたがって加工した。表Iに示すように、溶融体Dの組成は、当該技術水準の無方向性高ケイ素電磁鋼に代表的な体積抵抗率(ρ)をもたらすものである。
【0093】
【表5】

【0094】
表Vに示すように、溶融体Dから本発明にしたがって製造した無方向性電磁鋼の磁気特性は、許容範囲のものであるが、この磁気特性は、一般に認められた製造方法に典型的なものより劣る。
【0095】
〔実施例5〕
表Iの溶融体Eを融解し、鋳造ストリップを、図4に例示するようにして実施例3の手順にしたがって加工した。表Iに示すように、本発明の好ましい方法と具現した溶融体Eの組成は、当該技術水準の無方向性高ケイ素電磁鋼に代表的な体積抵抗率(ρ)をもたらすものである。
【0096】
表VIに示すように、溶融体Eから本発明にしたがって製造した無方向性電磁鋼の磁気特性は、冷間圧延前に熱間圧延ストリップの焼きなまし工程を行なっても行なわなくても、一般に認められた製造方法を用いて得られるものに典型的であった。図7は、熱間圧延の際に、低レベル、中間レベルおよび高レベルのひずみを用いて加工した本発明の方法による無方向性鋼の、熱間圧延後、および冷間圧延および1450°F(790℃)でのバッチ型焼きなまし後の代表的な微細組織を示す。これらの図は、冷延加工前の過度の変形がどれだけ冷間圧延および仕上げ焼きなまし後に、より小さくて、あまり望ましくない粒径をもたらし、それにより劣った磁気特性がもたらされるのかを示す。
【0097】
【表6】

【0098】
表VIおよび図の結果は、等式IXの方程式を用いた熱間圧延に起因する低レベルのひずみが300未満である場合、およびホットバンド焼きなましを伴う場合は1000未満である場合、非常に高い透磁率および低い鉄損を有する無方向性高ケイ素電磁鋼が、ホットバンド焼きなましを施さずに薄板鋳造ストリップから製造できることを明確にする。さらに、熱間圧延ひずみが1000未満であれば、ホットバンド焼きなましを用いて同様の特性を得ることができる。
【0099】
図8は、特定レベルの熱間圧延ひずみをもたらすため、(広範囲にわたるT20wt%γの鋼に対して)どれだけの減少%および圧延温度を使用できるかを示す。熱間圧延ストリップの焼きなましを施さずに製造品が製造され得るか否か、または長時間の高温仕上げ焼きなましを用いて製造品が製造され得るか否かは、圧延ひずみの量により決定される。
【0100】
[他の実施形態]
本発明を、その詳細な説明とともに説明したが、前述の説明および実施例は、例示することを意図とするものであって、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を限定することを意図とするものではない。他の態様、利点および変形例は、添付の特許請求の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】一般的なストリップ鋳造方法の概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態の方法に関するフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態の方法に関するフローチャートである。
【図4】本発明の第3実施形態の方法に関するフローチャートである。
【図5】約37μΩ−cmの体積抵抗率を有する本発明の好ましい方法による無方向性電磁鋼において測定された1.5Tおよび60Hzでの透磁率に対する熱間圧延ひずみの影響を示すグラフである。
【図6】約37μΩ−cmの体積抵抗率を有する本発明の好ましい方法による無方向性電磁鋼において測定された1.5Tおよび60Hzでの鉄損に対する熱間圧延ひずみの影響を示すグラフである。
【図7】熱間圧延後、さらに冷間圧延して約0.018インチ(約0.45mm)にし、約1450°F(約790℃)の温度で仕上げ焼きなましを施した後の、約50μΩ−cmの体積抵抗率を有する本発明の好ましい方法による無方向性電磁鋼の倍率50倍で撮影した典型的な微細組織を示す。
【図8】特定レベルの熱間圧延ひずみをもたらすための、T20wt%γで示される組成、熱間圧延温度および熱間圧延における減少率の影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
残部の本質的に鉄および残余元素
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップをストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、ならびに
c)前記ストリップを圧延する工程であって、前記鋳造ストリップ厚さを減少させ、かつ鋳放し粒組織の再結晶を最小限に抑える前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項2】
前記圧延が少なくとも1回の熱間圧延であり、熱間圧延の際に前記ストリップ厚さが約5%より多く、約90%未満減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧延が少なくとも1回の熱間圧延であり、熱間圧延の際に前記ストリップ厚さが約10%より多く、約60%未満減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧延が少なくとも1回の冷間圧延であり、冷間圧延の際に前記ストリップ厚さが約5%より多く、約90%未満減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記圧延が少なくとも1回の熱間圧延および少なくとも1回の冷間圧延である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記鋼が約10mm未満の厚さを有するストリップに鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記鋼が約4mm未満の厚さを有するストリップに鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ストリップは、前記ストリップ厚さの約25%未満が再結晶される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ストリップは、前記ストリップ厚さの約15%未満が再結晶される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、
約1%〜約3.5%のケイ素、
約0.1%〜約3%のクロム、
約0.01%までの炭素、
約0.5%までのアルミニウム、
約0.1%〜約1%のマンガン、
約0.01%までの硫黄、セレンおよびこれらの混合物からなる群より選択される金属、
約0.005%までの窒素、ならびに
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、
約1.5%〜約3%のケイ素、
約0.15%〜約2%のクロム、
約0.005%までの炭素、
約0.05%までのアルミニウム、
約0.1%〜約0.35%マンガン、
約0.002%までの窒素、および
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、約1%までのアンチモン、ヒ素、ビスマス、銅、モリブデン、ニッケル、ニオブ、セレン、硫黄、スズ、チタン、バナジウムおよびこれらの混合物からなる群より選択される他の元素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、
約0.005%までの硫黄、
約0.007%までのセレン、
約0.15%までのスズ、
約0.005%までのチタン、
約0.005%までのニオブ、
約0.005%までのバナジウム、
およびこれらの混合物
からなる群より選択される1種以上の元素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ストリップが、近接した間隔で水平に配置され、反対方向に回転する2つのロール間で鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
残部の実質的に鉄および残余元素
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを約10mm未満の厚さを有する薄板ストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、
c)前記薄板ストリップを、約2500°F(約1370℃)の温度から約1700°F(約925℃)未満まで、約20°F/秒(約10℃/秒)より速い速度で急速冷却する工程、ならびに
d)前記薄板ストリップを圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、かつ再結晶が最小限に抑えられた鋳放し粒組織をもたらす前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項16】
前記薄板ストリップの急速冷却が、約2280°F(1250℃)から約1650°F(約900℃)まで、約45°F/秒(約25℃/秒)より速い速度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薄板ストリップの急速冷却速度が、約90°F/秒(約50℃/秒)より速い速度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記薄板ストリップの急速冷却速度が、約120°F/秒(約65℃/秒)より速い速度である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記薄板ストリップを約1475°F(約800℃)未満の温度でコイル状にするさらなる工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを約10mm未満の厚さを有するストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、
c)前記薄板ストリップを急速冷却する工程であって、約125〜約450リットル/分/mの水噴射密度を用いて前記鋳放し粒組織を保持する前記工程、ならびに
d)前記ストリップを圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、かつ鋳放し粒組織の再結晶を最小限に抑える前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項21】
前記急速冷却ストリップが約1250°F(約680℃)未満の温度でコイル状にされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記鋳鋼ストリップの厚さが約4mm未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記鋳鋼ストリップの厚さが約0.7mm〜約2mmである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記薄板ストリップを約1475°F(約800℃)未満の温度でコイル状にするさらなる工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
等式:
20wt%γ,℃=787.8−(4407)%C−(151.6)%Mn+(564.7)%P+(155.9)%Si+(439.8)%Al−(50.7)%Cr−(68.8)%N−(53.2)%Cu−(139)%Ni+(88.3)%Mo
を用いて熱間圧延温度を制限することによりオーステナイトを制御する、ストリップ鋳造無方向性電磁鋼ストリップを熱間圧延する方法。
【請求項26】
等式:
20wt%γ,℃=787.8−(4407)%C−(151.6)%Mn+(564.7)%P+(155.9)%Si+(439.8)%Al−(50.7)%Cr−(68.8)%N−(53.2)%Cu−(139)%Ni+(88.3)%Mo
を用いて焼きなまし温度を制限することによりオーステナイトを制御する、ストリップ鋳造無方向性電磁鋼ストリップを熱間圧延する方法。
【請求項27】
式:
【数1】

を用いて熱間圧延ひずみを調節する、ストリップ鋳造無方向性電磁鋼ストリップを熱間圧延する方法。
【請求項28】
前記鋳鋼ストリップに断熱被覆を施す工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記鋳鋼ストリップをデスケールする工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記鋳鋼ストリップを酸洗する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記鋳鋼ストリップを、約1300°Fより高く約1475°F未満(約705℃より高く約800℃未満)の範囲の温度で鋳造した後、コイル状にする、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
残部の実質的に鉄および残余元素
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)約10mm未満の厚さを有するストリップ中に約20%未満のレベルにオーステナイトを制御する前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、ならびに
c)前記ストリップを圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、かつ鋳放し粒組織を最小限に抑える前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項33】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを約10mm未満の厚さを有するストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、ならびに
c)前記ストリップを熱間圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、鋳放し粒組織を最小限に抑え、かつ等式:
20wt%γ,℃=787.8−(4407)%C−(151.6)%Mn+(564.7)%P+(155.9)%Si+(439.8)%Al−(50.7)%Cr−(68.8)%N−(53.2)%Cu−(139)%Ni+(88.3)%Mo
を用いて熱間圧延中に温度を制限することによりオーステナイトの量を制御する前記工程
を含む、無方向性電磁鋼ストリップの製造方法。
【請求項34】
前記鋼が、約25%未満の再結晶を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記連続鋳造無方向性電磁鋼ストリップの再結晶が、
a)急速二次冷却を施し、前記組成が完全なフェライトでない相への変化を抑制すること、
b)熱間圧延を、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、および
c)前記鋳造ストリップを熱間圧延工程に供する際、前記熱間圧延を、等式IXを用いて約1000未満のひずみに制限すること、
からなる群より選択される1つ以上の方法を用いて制御する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(d)前記ストリップに仕上げ焼きなましを施す工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記連続鋳造無方向性電磁鋼ストリップの再結晶が、
a)急速二次冷却を施し、前記組成が完全なフェライトでない相への変化を抑制すること、
b)熱間圧延を、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、
c)焼きなましを、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、および
d)前記鋳造ストリップを熱間圧延工程に供する際、前記熱間圧延を、等式IXを用いて約1000未満のひずみに制限すること、
からなる群より選択される1つ以上の方法を用いて制御される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
a)等式Iの完全なフェライト鋼の化学的性質を用いること、
b)急速二次冷却を施し、組成が完全なフェライトでない相への変化を抑制すること、
c)熱間圧延を、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、
d)ホットバンド焼きなましを、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、
e)前記鋳造ストリップを熱間圧延工程に供する際、前記熱間圧延を、等式IXを用いる約1000未満のひずみに制限すること、および
f)前記ストリップを、前記ストリップ厚さの約15%未満が再結晶するように制限すること
から本質的になる群より選択される1つ以上の方法を用いてオーステナイトの量を制限する、請求項20に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
残部の本質的に鉄および残余元素
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップをストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、ならびに
c)前記ストリップを圧延する工程であって、前記鋳造ストリップ厚さを減少させ、かつ鋳放し粒組織の再結晶を最小限に抑える前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項2】
前記圧延が少なくとも1回の熱間圧延であり、熱間圧延の際に前記ストリップ厚さが約5%より多く、約90%未満減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧延が少なくとも1回の熱間圧延であり、熱間圧延の際に前記ストリップ厚さが約10%より多く、約60%未満減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧延が少なくとも1回の冷間圧延であり、冷間圧延の際に前記ストリップ厚さが約5%より多く、約90%未満減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記圧延が少なくとも1回の熱間圧延および少なくとも1回の冷間圧延である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記鋼が約10mm未満の厚さを有するストリップに鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記鋼が約4mm未満の厚さを有するストリップに鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ストリップは、前記ストリップ厚さの約25%未満が再結晶される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ストリップは、前記ストリップ厚さの約15%未満が再結晶される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、
約1%〜約3.5%のケイ素、
約0.1%〜約3%のクロム、
約0.01%までの炭素、
約0.5%までのアルミニウム、
約0.1%〜約1%のマンガン、
約0.01%までの硫黄、セレンおよびこれらの混合物からなる群より選択される金属、
約0.005%までの窒素、ならびに
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、
約1.5%〜約3%のケイ素、
約0.15%〜約2%のクロム、
約0.005%までの炭素、
約0.05%までのアルミニウム、
約0.1%〜約0.35%マンガン、
約0.002%までの窒素、および
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、約1%までのアンチモン、ヒ素、ビスマス、銅、モリブデン、ニッケル、ニオブ、セレン、硫黄、スズ、チタン、バナジウムおよびこれらの混合物からなる群より選択される他の元素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記無方向性電磁鋼溶融体が、重量%で、
約0.005%までの硫黄、
約0.007%までのセレン、
約0.15%までのスズ、
約0.005%までのチタン、
約0.005%までのニオブ、
約0.005%までのバナジウム、
およびこれらの混合物
からなる群より選択される1種以上の元素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ストリップが、近接した間隔で水平に配置され、反対方向に回転する2つのロール間で鋳造される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
残部の実質的に鉄および残余元素
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを約10mm未満の厚さを有する薄板ストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、
c)前記薄板ストリップを、約2500°F(約1370℃)の温度から約1700°F(約925℃)未満まで、約20°F/秒(約10℃/秒)より速い速度で急速冷却する工程、ならびに
d)前記薄板ストリップを圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、かつ再結晶が最小限に抑えられた鋳放し粒組織をもたらす前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項16】
前記薄板ストリップの急速冷却が、約2280°F(1250℃)から約1650°F(約900℃)まで、約45°F/秒(約25℃/秒)より速い速度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薄板ストリップの急速冷却速度が、約90°F/秒(約50℃/秒)より速い速度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記薄板ストリップの急速冷却速度が、約120°F/秒(約65℃/秒)より速い速度である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記薄板ストリップを約1475°F(約800℃)未満の温度でコイル状にするさらなる工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを約10mm未満の厚さを有するストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、
c)前記薄板ストリップを急速冷却する工程であって、約125〜約450リットル/分/mの水噴射密度を用いて前記鋳放し粒組織を保持する前記工程、ならびに
d)前記ストリップを圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、かつ鋳放し粒組織の再結晶を最小限に抑える前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項21】
前記急速冷却ストリップが約1250°F(約680℃)未満の温度でコイル状にされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記鋳鋼ストリップの厚さが約4mm未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記鋳鋼ストリップの厚さが約0.7mm〜約2mmである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記薄板ストリップを約1475°F(約800℃)未満の温度でコイル状にするさらなる工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
等式:
20wt%γ,℃=787.8−(4407)%C−(151.6)%Mn+(564.7)%P+(155.9)%Si+(439.8)%Al−(50.7)%Cr−(68.8)%N−(53.2)%Cu−(139)%Ni+(88.3)%Mo
を用いて熱間圧延温度を制限することによりオーステナイトを制御する、ストリップ鋳造無方向性電磁鋼ストリップを熱間圧延する方法。
【請求項26】
等式:
20wt%γ,℃=787.8−(4407)%C−(151.6)%Mn+(564.7)%P+(155.9)%Si+(439.8)%Al−(50.7)%Cr−(68.8)%N−(53.2)%Cu−(139)%Ni+(88.3)%Mo
を用いて焼きなまし温度を制限することによりオーステナイトを制御する、ストリップ鋳造無方向性電磁鋼ストリップを熱間圧延する方法。
【請求項27】
式:
【数1】

を用いて熱間圧延ひずみを調節する、ストリップ鋳造無方向性電磁鋼ストリップを熱間圧延する方法。
【請求項28】
前記鋳鋼ストリップに断熱被覆を施す工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記鋳鋼ストリップをデスケールする工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記鋳鋼ストリップを酸洗する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記鋳鋼ストリップを、約1300°Fより高く約1475°F未満(約705℃より高く約800℃未満)の範囲の温度で鋳造した後、コイル状にする、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
残部の実質的に鉄および残余元素
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)約10mm未満の厚さを有するストリップ中に約20%未満のレベルにオーステナイトを制御する前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、ならびに
c)前記ストリップを圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、かつ鋳放し粒組織を最小限に抑える前記工程
を含む、無方向性電磁鋼の製造方法。
【請求項33】
a)重量%で、
約6.5%までのケイ素、
約5%までのクロム、
約0.05%までの炭素、
約3%までのアルミニウム、
約3%までのマンガン、および
実質的に鉄および残余元素である残部
を含有する組成を有する無方向性電磁鋼溶融体を調製する工程、
b)前記鋼溶融体の急速凝固により、鋼ストリップを約10mm未満の厚さを有するストリップに鋳造し、かつ鋳放し粒組織を発達させる工程、ならびに
c)前記ストリップを熱間圧延する工程であって、前記ストリップ厚さを減少させ、鋳放し粒組織を最小限に抑え、かつ等式:
20wt%γ,℃=787.8−(4407)%C−(151.6)%Mn+(564.7)%P+(155.9)%Si+(439.8)%Al−(50.7)%Cr−(68.8)%N−(53.2)%Cu−(139)%Ni+(88.3)%Mo
を用いて熱間圧延中に温度を制限することによりオーステナイトの量を制御する前記工程
を含む、無方向性電磁鋼ストリップの製造方法。
【請求項34】
前記鋼が、約25%未満の再結晶を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記連続鋳造無方向性電磁鋼ストリップの再結晶が、
a)急速二次冷却を施し、前記組成が完全なフェライトでない相への変化を抑制すること、
b)熱間圧延を、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、および
c)前記鋳造ストリップを熱間圧延工程に供する際、前記熱間圧延を、等式IXを用いて約1000未満のひずみに制限すること、
からなる群より選択される1つ以上の方法を用いて制御される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(d)前記ストリップに仕上げ焼きなましを施す工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記連続鋳造無方向性電磁鋼ストリップの再結晶が、
a)急速二次冷却を施し、前記組成が完全なフェライトでない相への変化を抑制すること、
b)熱間圧延を、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、
c)焼きなましを、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、および
d)前記鋳造ストリップを熱間圧延工程に供する際、前記熱間圧延を、等式IXを用いて約1000未満のひずみに制限すること、
からなる群より選択される1つ以上の方法を用いて制御される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
a)等式Iの完全なフェライト鋼の化学的性質を用いること、
b)急速二次冷却を施し、組成が完全なフェライトでない相への変化を抑制すること、
c)熱間圧延を、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、
d)ホットバンド焼きなましを、等式IIで得られる温度未満の温度に制限すること、
e)前記鋳造ストリップを熱間圧延工程に供する際、前記熱間圧延を、等式IXを用いる約1000未満のひずみに制限すること、および
f)前記ストリップを、前記ストリップ厚さの約15%未満が再結晶するように制限すること
から本質的になる群より選択される1つ以上の方法を用いてオーステナイトの量を制限する、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−501361(P2006−501361A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−503674(P2004−503674)
【出願日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/005765
【国際公開番号】WO2003/095684
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(503371616)エイケイ・プロパティーズ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】AK PROPERTIES, INC.
【住所又は居所原語表記】705 Curtis Street, Middletown, OH 45043, U.S.A.
【Fターム(参考)】