説明

無機ナノ粒子、その調製および使用

本願は、健康領域において使用することができる新規な励起可能な粒子に関する。より詳細には、本願は、X-線、γ-線、放射性同位元素および/または電子線のような電離放射線によって励起した場合に電子および/または高エネルギー光子を発生することができる粒子、および健康、特にヒトの健康におけるその使用に関する。本発明の粒子は酸素、特に酸化物を含む無機材料でできており、標的の細胞、組織または器官を妨害する、変化させるまたは破壊するために、制御可能な外部励起によってイン・ビトロ(in vitro)、エクス・ビボ(ex vivo)またはイン・ビボ(in vivo)で活性化することができる。本発明は、該粒子を製造する方法、およびそれを含む医薬または医療機器組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、健康領域において使用することができる新規な励起可能な粒子に関する。より詳細には、本願は、X-線、ガンマ-線(γ-線)、放射性同位元素および/または電子線のような電離放射線によって励起した場合に電子および/または高エネルギー光子を発生することができる粒子、および健康、特にヒトの健康におけるその使用に関する。本発明の粒子は酸素、特に酸化物を含む無機材料でできており、標的の細胞、組織または器官を妨害する、変化させるまたは破壊するために、制御可能な外部励起によってイン・ビトロ(in vitro)、エクス・ビボ(ex vivo)またはイン・ビボ(in vivo)で活性化することができる。本発明は、該粒子を製造する方法、およびそれを含む医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
X-線、ガンマ-線、UV-光、レーザー光、マイクロ波、電子線、ならびに例えば中性子および光子の粒子線のような種々の形態の放射線を用いて、ガン関連の問題が処理されている。該放射線の幾つかは、放射線感受性の分子と組み合わせてかかる適用に使用されている。電磁放射線および電離放射線は、実際に細胞のDNA分子を破壊することができ、それによって該細胞が増殖および分裂することを妨げる。この効果は主としてイオン化後に発せられる電子および/または高エネルギー光子(2KeVよりも高いエネルギー)によって作り出される損傷に起因する。
【0003】
「電離放射線」なる語は、原子または分子から少なくとも1の電子を引き離す(イオン化する)ことができる高エネルギー性の粒子または電波をいう。イオン化能は、個々の粒子または電波のエネルギーに依存し、それらの数には依存しない。大部分の通常の状況では、個々の粒子または電波が十分に活性でなければ、大量に粒子または電波を注いでもイオン化を引き起こさない。電離放射線の例は、エネルギー性のベータ粒子、光子、中性子、電子およびアルファ粒子である。原子または分子をイオン化する光波(光子)の能力は、電磁波スペクトルにわたって変化する。X-線およびガンマ-線はほぼいずれの分子または原子もイオン化し;遠紫外線は多くの原子および分子をイオン化し;近紫外線および可視光線はほとんどの分子をイオン化せず;マイクロ波およびラジオ波は非イオン化放射線である。
【0004】
WO 2005/120590は、(i)X-線を吸収し、UV-可視エネルギーを放射する第1の無機化合物、および(ii)UV-可視エネルギーを吸収し、水または酸素と接触してフリーラジカルを生成する第2の無機または有機化合物を含む粒子を記載している。活性化された粒子は、細胞に不可逆的な損傷を生成する非常に反応性の高い種であるフリーラジカルに周囲の酸素を変換する。
【0005】
米国特許公開2007/0274909は、高エネルギー放射線を吸収し、VUVまたはUV-C放射線を放射するVUVまたはUV-C放射材料を含む、生物材料の造影または放射線治療に使用するためのナノ粒子に関する。この明細書に記載されているVUVまたはUV-C放射材料は作為的か無作為的かは不明であるが、目的が記載したVUVまたはUV-C線放射を許容することである活性剤で規則正しくドープされている。しかしながら、ドープ剤は、粒子中のその存在位置または分散媒体中のその溶解性に依存して高い毒性と関連する場合がある。
【0006】
米国特許第6,955,639号は、金属、詳細には金のナノ粒子を用いるX-線放射効果を高める方法を記載している。
【0007】
ここに本発明者らは、先行技術に記載されているものよりも調製するのが容易かつ安価であるが、本明細書に示すように、より重要かつ驚くべきことに電離放射線と組み合わせて標的細胞の非常に有効な変化または破壊を行い得る新規かつ強力なナノ粒子を提供する。本明細書に記載するナノ粒子によって示されるもう1の特徴は、完全な放射線治療の関連において、数日間腫瘍の内側にとどまりナノ粒子および/またはナノ粒子集合体注射の回数を最小限まで減少することができるその能力である。
【発明の概要】
【0008】
今回、本発明者らは、酸素、特に酸化物を含む無機材料でできた(換言すれば、単一の無機材料を用いて調製した)、少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3の密度を超える、特に酸化物でできたナノ粒子については7g/cm3を超えて15g/cm3未満の密度を有するナノ粒子を用いて、おそらくは身体の深部に位置する、標的の細胞、組織または器官、特に異常な細胞または組織、本明細書に定義する良性の細胞または組織、または前−悪性の細胞もしくは悪性の細胞(ガンにかかった細胞)または組織(腫瘍)のような罹患した細胞または組織を有効に妨害し、変化させまたは破壊することが可能であることを見出した。
【0009】
かかるナノ粒子は、望ましい治療効果を生成するさらなる別の化合物または材料が存在することを要求しない。詳細には、本明細書に記載するナノ粒子は、入ってくる放射線をつづく治療効果に寄与する電子および/または高エネルギー光子の有効な放射に直接的に変換することができる。
【0010】
WO 2005/120590および米国特許公開2007/0274909に記載されているナノ粒子とは反対に、本発明のナノ粒子は、2の異なる化合物(そのうちの1はX-線をUV-可視光エネルギーに変換するのに必要である)が存在することを要求しない。詳細には、本発明のナノ粒子は、第1の化合物として、X-線を吸収し、それを第2の化合物によって吸収されるUV-可視光エネルギーに変換し、ついで、それが細胞における不可逆的な損傷に寄与することを目的とする無機化合物を含まない。これらのナノ粒子は、UV領域で光を特異的に放射するようにドープまたは設計されてもいない。
【0011】
金属ナノ粒子と比較して、本発明のナノ粒子は、広い範囲のpHにおいて、いずれの極性環境との親和性にも寄与する表面上のヒドロキシル(OH)基を示す利点を提供する。金属ナノ粒子と比較して、本発明のナノ粒子、特に酸化物でできているナノ粒子は、調製するのが簡便であるという利点をさらに提供する。高濃度のナノ粒子またはナノ粒子集合体を含む生物学的適合性の懸濁液は、本明細書に記載する方法を用いて得ることができる。合成法は、調製した粒子の有害な凝集を防ぐための還元剤および/または金属封鎖剤(sequestering agent)(錯体形成剤(complexing agent))の使用を必要としない。本明細書に記載する方法においては、前記した懸濁液に対する金属封鎖(錯体形成)剤の添加は任意にすぎない。したがって、合成法には、一般的に、(同時または順次に)極性媒体中の化学成分の沈殿、該化学成分(酸素が無機材料構造の一部分である)の結晶化および(必要ならば)生理学的媒体中の安定化が含まれる。
【0012】
さらに、本発明のナノ粒子は、標的細胞または組織に標的化分子が濃縮されることを必要としない。高められた浸透および保留(「EPR」)効果は、ナノ粒子の静脈内経路(投与の1の可能な経路)による注射一定時間後に、腫瘍の塊への受動的な蓄積に実際に寄与する。腫瘍の血管は正常な脈管とは極めて異なること、および、腫瘍の血管の「漏れやすさ」が、正常な組織では通常ないナノ粒子の選択的な滲出を助長することが実際に観察されている。有効な腫瘍のリンパを通じた排水の欠如は、浸透剤ナノ粒子の消失を妨げ、その蓄積を促進する。したがって、本発明のナノ粒子は、原発性ならびに静脈内投与後の転移腫瘍を首尾よく標的化することができる。本発明のナノ粒子は、実験区画で示すように、腫瘍内経路を通して有利に投与することもできる。
【0013】
しかしながら、本発明のナノ粒子またはナノ粒子集合体は生物学的適合性のコーティングで有利にカバーされており、さらに後記するように生理学的流体中、pH6.5ないし7.5においてナノ粒子またはナノ粒子集合体を安定させる。
【0014】
したがって、それ自体は有害でないが、適当な条件において安全に利用することができて、標的細胞、特にガン性の細胞を機能的に妨害し、変化させまたは破壊することができるナノ粒子を提供することが本発明のさらなる利点である。ナノ粒子の望ましい治療効果は、その励起から実際に厳密に依存し、該励起は質および量によってそれ自体を有利に制御する電離放射線源をイオン化することによって発生し、当業者によって標的化した、すなわち局在化した方法で使用した。
【0015】
したがって、本発明は、適当な場合にはいずれかの動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて標的化様式で使用することができる、新規なクラスの粒子を記載する。本発明の粒子は、表面または深部の組織または器官のいずれの型においても使用することができる。詳細には、本発明は、細胞を詳細にはX-線、ガンマ-線、放射性同位元素、イオンビームおよび/または電子線のような電離放射線に曝した場合に、イン・ビトロ(in vitro)、エクス・ビボ(ex vivo)またはイン・ビボ(in vivo)で細胞の変化または破壊を誘導することができる活性化可能な粒子を記載する。
【0016】
適用するストラテジーは、入ってくる電離放射線を主に治療効果に寄与する電子および/または高エネルギー光子の有効な放射に変換することからなる。かかる結果は、酸素を含み、その密度が少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超える無機材料でできた本発明のナノ粒子、特に7g/cm3を超え15g/cm3未満の酸化物でできたナノ粒子を用いることによって得られる。
【0017】
本発明のナノ粒子は、電離放射線からのエネルギーを吸収することによって励起または活性化される。かかる吸収は、標的細胞の変化または死滅につながるその後の現象のカスケードにつながる。これらの現象の中で、電子および/または高エネルギー光子の放射は本発明の関連において支配的かつ極めて重要である。
【0018】
本明細書において、本発明者らは、悪性の細胞または組織のような標的細胞、組織または器官の変化または破壊よりなる望ましい治療効果を得ることにおける、その密度が少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超える、酸素を含む無機材料の有効性、特に7g/cm3を超えて15g/cm3未満の酸化物でできたナノ粒子の有効性を示す。
【0019】
本発明は、密度が少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超える、酸素を含む無機材料でできた、本明細書においてナノ粒子またはナノ粒子集合体という生成物または化合物に関し、特に、7g/cm3を超えて15g/cm3未満の酸化物でできたナノ粒子に関する。かかる化合物を調製する方法を本明細書に開示する。
【0020】
本発明の目的は、標的細胞、組織または器官を変化させ、破壊し、または除去するために、本発明に係るナノ粒子またはナノ粒子集合体を用いることである。
【0021】
本明細書に開示する特定の形態は、動物中の標的細胞を本明細書に定義する電離放射線に曝した場合に、該細胞を変化させ、破壊しまたは除去することが意図された医薬組成物を調製するためのナノ粒子またはナノ粒子集合体の使用ならびに治療の対応する方法に関し、ここに該ナノ粒子は酸素を含む無機材料でできており、該無機材料の密度は少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超え、特に酸化物でできたナノ粒子については7g/cm3を超えて15g/cm3未満である。
【0022】
特に、ガンの治療に使用するための本発明に係る生成物、詳細にはナノ粒子またはナノ粒子集合体を本明細書に開示する。
【0023】
もう1の形態は、本明細書中で前記に定義したようなまたは前記した方法によって得ることができる生成物を含む、療法または診断に使用するための組成物、特に医薬組成物に基づく。かかる組成物は、好ましくは、注射可能な処方の形態で存在する。
【0024】
医薬組成物、詳細には全記載から明らかなように、哺乳動物中の標的細胞を電離放射線に曝した場合に該細胞を変化させまたは破壊することが意図された医薬組成物を本明細書に開示し、該医薬組成物はナノ粒子またはナノ粒子集合体および医薬上許容し得る担体または賦形剤を含み、ここに該ナノ粒子は酸素を含む無機材料でできており、該無機材料の密度は少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超え、特に、酸化物でできたナノ粒子については7g/cm3を超えて15g/cm3未満であり、該ナノ粒子またはナノ粒子集合体は好ましくは生物学的適合性のコーティングでカバーされている。
【0025】
もう1の形態は、本発明に係るナノ粒子またはナノ粒子集合体を放射線、詳細には本明細書中で定義する電離放射線に曝した場合に、動物におけるガンを予防または治療するための、または、ガンの症状を緩和するための該ナノ粒子またはナノ粒子集合体の使用に関する。
【0026】
詳細には、本明細書の開示は、本発明に係るナノ粒子またはナノ粒子集合体、またはかかるナノ粒子またはナノ粒子集合体を含む組成物を対象に投与し、ついで、該対象を放射線、詳細には電離放射線に曝すことによって、対象におけるガンを予防または治療するまたはガンの症状を緩和するための方法を包含し、該対象は動物、詳細には哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【0027】
もう1の態様において、本明細書の開示は、本明細書中に記載する生成物、すなわち、ナノ粒子、ナノ粒子集合体および組成物のうちのいずれか1またはそれを超えるものを、生成物(または複数の生成物)を用いる指示を提供する貼付情報とともに含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】HCT116腫瘍を負っているSwissヌードマウスに腫瘍内注射した後のHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液の経時的な分布および分散を示す。注射後2および15日の腫瘍に対してミクロ断層撮影を行った。
【図2】ナノ粒子形状の質的特徴を与えるHfO2ナノ粒子およびナノ粒子集合体の透過型電子顕微鏡(TEM)像である(スケールバー=200nm)。JOEL 100CXを分析に用いている。図2Aはナノ粒子およびナノ粒子で形成された集合体も示しており、両方とも実質的に球形である。図2Bは異なる方法で調製したナノ粒子および該ナノ粒子で形成された集合体を示し、両方とも実質的に縦長の形である。
【図3】細胞中に内在化したナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。HCT116培養物をHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の5および100μMの生物学的適合性の懸濁液で処理しない(対照)または24時間処理した。ナノ粒子はエンドソームを通して取り込まれた。TEM実験は、濃度依存的な様式でナノ粒子がエンドソームを通って細胞に入ることを明らかにした。ナノ粒子は、そのデザインおよび/または濃度に依存して、集合体または個別の様式で細胞に入りまたは浸透し得る。
【図4】強調した電離放射線を用いた電磁スペクトル。
【図5】濃度の関数としてのHfO2ナノ粒子およびナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液のグレイレベルまたはコントラスト値を示す:>7の密度を有するHfO2:○<7の密度を有するHfO2:×。 分析は50kVの電源電圧で操作するX-線ミクロ断層撮影(Skyscan 1076)を用いて行った。図5Bに示すように、所与の濃度に関して、(その吸収速度または能力に直接的に関係した)ナノ粒子またはナノ粒子集合体のグレイレベルが高ければ高いほど、放射線誘導された細胞死を高めるナノ粒子またはナノ粒子集合体の能力は高い。 図5Bは、対照と比較した、400μMで2の異なるヒト大腸癌セルラインとインキュベートした生物学的適合性のHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体を用いたクローン原性生存アッセイを示す。SFx(Xグレー下の生存因子)は、200KeV X-線放射線源(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)を用いた、放射線感受性セルラインHCT116における2Gyの放射線量後および放射線耐性HT29セルラインにおける4Gyの放射線量後に測定した。2の異なる実験から平均値を求めた。
【図6】HfO2ナノ粒子および/またはナノ粒子集合体を含む生物学的適合性の懸濁液を、HCT116腫瘍を負っているSwissヌードマウスに腫瘍内注射した(腫瘍体積の20%ないし50%の注射体積)。さらに、該マウスの腫瘍を、外的方法で用いた放射線源[近距離照射療法デバイス イリジウム-192線源]に結合したアプリケーターを用いて局所的に放射した(4Gyの2の断片としても本明細書中で定義する2のセッション;○)。同じ生物学的適合性の懸濁液をマウスの対照群に投与した(注射用量は腫瘍体積の20%ないし50%)。該対照群は照射しなかった(×)。前記した群のマウスを、放射線療法に付した(▲)または付していない(◆)ビヒクル処理マウスと比較した。照射後25日間、一週間に2回各群において腫瘍体積をモニターした。
【図7】照射後21日のHCT116腫瘍細胞を負っているマウスの写真である。図7Aはビヒクル(粒子を含まない)を腫瘍内注射した後に放射処理したマウスであり、図7Bはナノ粒子の腫瘍内注射後に照射で処理したマウスである。
【図8】400μMのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の不存在下(陰性対照)または存在下で200KeV X-線発生器(Tube Comet MXR-225/22-200 kV/15mA/0.2mm Cu)を用いて照射したHCT116(放射線感受性モデル)およびHT29(放射線耐性モデル)を用いたクローン原性生存アッセイを示す。照射線量は0ないし4Gyで変化させた。 HCT116を用いた陰性対照:× HCT116を用いたナノ粒子:□ HT29を用いた陰性対照:◆ HT29を用いたナノ粒子:○
【図9】HfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液を腫瘍内注射し、つづいて近距離照射療法デバイス イリジウム-192源を用いて外部照射に結合したアプリケーターを用いて腫瘍を2×4Gyまたは1×8Gy照射した後のHCT116腫瘍体積の発展を示す。8のSwissヌードマウスから平均値を計算した。注射したビヒクル(放射なし、ナノ粒子なし)を有する対照群:◆注射したナノ粒子を有する群(放射なし):×ビヒクルを注射し、1×8Gyの照射(ナノ粒子なし)に付した群:■ビヒクルを注射し、2×4Gyの照射(ナノ粒子なし)に付した群:▲ナノ粒子を注射し、1×8Gyの照射(ナノ粒子なし)に付した群:○ナノ粒子を注射し、2×4Gyの照射に付した群:●
【図10】HfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(濃度800μM)を用いたまたは用いていない24時間処理後に測定した細胞生存性を示す。照射線量は0ないし6Gyで変化させた。WST-1キットを用いて生存性を読んだ。各ドットは3回実験の平均値である。 ナノ粒子および照射を用いた:▲ ナノ粒子を用いず、照射を用いた:■
【図11】(A)400μMのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の不存在下(陰性対照)または存在下で、200KeVのX-線発生器(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)を用いて照射したHT1080(線維肉腫放射線耐性モデル)ガン細胞を用いたクローン原性生存アッセイを示す。照射量は0ないし4Gyで変化させた。HT1080を用いた陰性対照:×HT1080を用いたナノ粒子:■ (B)400μMのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の不存在下(陰性対照)または存在下で、コバルト60線源を用いて照射したHT1080(線維肉腫放射線耐性モデル)ガン細胞を用いたクローン原性アッセイを示す。照射量は0ないし4Gyで変化させた。HT1080を用いた陰性対照:×HT1080を用いたナノ粒子:■ 同様のクローン原性アッセイを、ナノ粒子を用いて対照としての「ヒト繊維芽細胞」(非ガン細胞)に対して行い、全く効果を示さなかったかまたは非常に適度の効果を示した。照射下のガンおよび正常な細胞の各々の反応を比較すると、得られた結果は危険比を超える高い利点(benefice)が明らかとなった。
【図12−1】(A)7.4g/cm3の密度を有するHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10a)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(HfO2-L d=7.4)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(HfO2-L d=7.4)を用い、照射あり:○ (B)6.8g/cm3の密度を有するHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10a)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(HfO2-E d=6.8)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(HfO2-E d=6.8)を用い、照射あり:○ (C)6.7g/cm3の密度を有するHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10a)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(HfO2-V d=6.7)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(HfO2-V d=6.7)を用い、照射あり:○
【図12−2】(D)7.1g/cm3の密度を有するCeO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10b)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(CeO2-W d=7.1)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(CeO2-W d=7.1)を用い、照射あり:○ (E)6.5g/cm3の密度を有するCeO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10b)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(CeO2-S d=6.5)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(CeO3-S d=6.5)を用い、照射あり:○
【図12−3】(F)3.9g/cm3の密度を有するTiO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10d)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(TiO2-5nm d=3.9)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(TiO3-5nm d=3.9)を用い、照射あり:○ (G)7.9g/cm3の密度を有するPdOナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10e)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(PdO-A d=7.9)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(PdO-A d=7.9)を用い、照射あり:○ (H)3.8g/cm3の密度を有するTiO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10e)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(TiO2-P25 d=3.8)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(TiO2-P25 d=3.8)を用い、照射あり:○
【図12−4】(I)6.6g/cm3の密度を有するCeO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10e)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(CeO2-D d=6.6)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(CeO2-D d=6.6)を用い、照射あり:○ (J)5.4g/cm3の密度を有するNd2O3ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10e)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(Nd2O3-Z d=5.4)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(Nd2O3-Z d=5.4)を用い、照射あり:○ (K)5.6g/cm3の密度を有するEu2O3ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10e)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(Eu2O3-B d=5.6)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(Eu2O3-B d=5.6)を用い、照射あり:○
【図12−5】(L)7.2g/cm3の密度を有するWO3ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)(実施例10e)を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。 ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射なし:■ ナノ粒子(HfO2-Ref./実施例3/d=8.3)を用い、照射した:◇ ナノ粒子(WO3-C d=7.2)を用い、照射なし:▲ ナノ粒子(WO3-C d=7.2)を用い、照射あり:○
【図13】%として表す相対的有効性(細胞死を誘導する能力)を示す。該相対適有効性は、放射線療法治療単独(ナノ粒子を使用しない)と比較した場合の800μMの生物学的適合性のHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(実施例3ご参照)の細胞生存性(対照の%)に比例する、放射線療法治療単独(ナノ粒子を使用しない)と比較した場合の800μMで試験した粒子の2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を反映する。 有効性で顕著な差異を有するナノ粒子の2の群を区別する: −密度<7g/cm3:試験したナノ粒子の相対的有効性は約55%未満である −密度>7g/cm3:試験したナノ粒子の相対的有効性は約80%を超える
【図14】異なる条件(試料をpH3またはpH7の水または5%グルコース溶液中で2時間インキュベートした)における、HMP生物学的適合性のコーティングを含むかまたは含まない約5g/Lの濃度のナノ粒子(実施例10eのCeO2-Dご参照)、実施例10d)のTiO2-5mmおよび実施例3)のHfO2の安定性または安定性の欠如を表す。
【図15】0.22μm濾過試験の結果(実施例11ご参照)を示し:異なる試料は(pH7の水中または5%グルコース溶液中でインキュベートした)HMP生物学的適合性のコーティングを含むかまたは含まない(実施例10e)のCeO2-D、実施例10d)のTiO2-5nmおよび実施例3)のHfO2試料はpH7の水または5%グルコース溶液中で2時間インキュベートした)HMP生物学的適合性のコーティングを含むかまたは含まない。濃度はg/Lで、濾過収率は%で表す。
【0029】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、酸素を含む材料、好ましくは酸素を含む結晶化無機材料、なおより好ましくは酸化物でできているナノ粒子が、動物における異常な細胞、組織または器官を妨害し、変化させまたは破壊することを意図した局所照射の治療効果を高め得ることが本発明者らによって見出され、ここに、該無機材料の密度は少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超え、特に酸化物でできているナノ粒子については7g/cm3を超えて15g/cm3未満である。
【0030】
イン・ビトロ(in vitro)における放射線療法の効力の強力な向上は、本発明に係るナノ粒子を用いて最初に観察し得る(例えば、図5B、8、10、11Aおよび11Bご参照)。
【0031】
ここに本発明者らは、本明細書に記載するナノ粒子を活性化し得る低線量の照射に動物を局所的に曝した場合、該ナノ粒子の注射後に動物の腫瘍の大きさが減少し、最終的に消失する(完全な軽減)という証拠を提供する(実験部分および図6、7および9ご参照)。
【0032】
発明の意図において、「ナノ粒子」または「ナノ粒子集合体」とは、小さな大きさの合成生成物をいう。その形状は例えば丸まった形状、平らな形状、縦長、球形または楕円形などとし得る。形状は製造方法によって決定または制御することができ、目的の適用に従って当業者によって適用し得る。
【0033】
粒子の形状はその特性に対して大きな影響を有していない。しかしながら、形状は粒子の「生物学的適合性」に影響し得る。したがって、薬理力学的な理由により、実質的に縦長、球形または丸まった形状のナノ粒子またはナノ粒子集合体が好ましい。球形または丸まった形状は特に好ましい。また、極めて均一な形状を有する粒子またはナノ粒子集合体は好ましい。
【0034】
好ましい様式において、本発明に係る粒子またはナノ粒子集合体の大きさは、典型的には3nmないし400nm付近、好ましくは5、10、15または20nmないし200nm付近、なおより好ましくは20ないし100nm付近または40ないし100nm付近からなる。
【0035】
実際には、対象物の大きさは、理想的には、実質的にマクロファージによって捕捉(ファゴサイトーシス)されず、重大な障害を引き起こすことなく体内(組織、細胞、血管ほか)で拡散し得る十分に小さいものでなければならない。有利には、かかる効果は100nm未満の平均粒径を有する粒子でヒトにおいて得ることができる。集合体は、集合体構造内での個々のナノ粒子の融着につながり得る。
【0036】
周囲の環境との相互作用を制限するためには、小さい比表面積を有するナノ粒子が好ましい。本発明の目的のため、ナノ粒子の比表面積は、例えば、約10m2/gないし80m2/gからなる。比表面積は好ましくは20ないし60m2/gからなる。
【0037】
本発明に係るナノ粒子の驚くべき有効性は、主に、酸素を含む無機材料、好ましくは結晶化材料である構成材料の性質に起因し、その密度は少なくとも7/cm3、好ましくは7g/cm3を超える、特に酸化物でできたナノ粒子については、7g/cm3を超えて15g/cm3未満、特に8ないし14g/cm3または8ないし12g/cm3である。実際に、かかるナノ粒子は、電離放射線を吸収することができ、特に低い電離放射線を用いる場合には、標的の細胞、組織または器官の変化または破壊に直接的に寄与するべきそれに対して、十分な量の電子および/または高エネルギー光子を放射することができる。本発明は、高い電離放射線下でも有利に使用し得ることは特記しておく(図11Bご参照)。
【0038】
電離放射線の線量は、イン・ビトロ(in vitro)で行う適用については、好ましくは0.05グレイないし6グレイ付近からなる線量が好ましい。線量は、行う適用について、特に局所、エクス・ビボ(ex vivo)またはイン・ビボ(in vivo)で行う場合は、0.05を超えて16または30グレイ未満からなる。総電離放射線は、現在の実施に係るヒトにおいては1.5グレイないし85グレイ付近の範囲である。
【0039】
送達される放射線の総線量は、一回線量、分割線量、多分割線量ほかのような以下の異なるスケジュールで与えることができる。本明細書に記載する照射したナノ粒子は、実験区画で証明するように、標準的な放射線療法と比較した場合に、明らかな治療効果の改善を提供する。
【0040】
前記した無機材料は、好ましくは無機材料である。本発明の好ましい形態において、無機材料は酸化物である。
【0041】
酸化物とは少なくとも1の酸素原子と少なくとも1の第2の異なる化学元素を含む化学的な化合物である。該異なる化学元素は、ナノ粒子またはナノ粒子集合体を調製するための本明細書に記載する方法における前駆体として用いることができる。本発明の関連において、好ましい酸化物は金属酸化物(MxOy)(“Metal Oxide Chemistry and Synthesis-from solution to solid state”,Jean-Pierre Jolivet,Savoirs Actuels InterEditions/CNRS,Editions 1994)およびタングステート(Mx(WO4)y)である。
【0042】
本発明の関連において使用できる金属酸化物は、元素の周期分類(メンデレーエフの表)の化学(金属)元素からのランタニド元素と酸化物からの酸化物、特に周期分類の第5および6周期の金属元素からの酸化物よりなる群から選択し得る。
【0043】
本発明の関連において、使用し得る元素の例を以下に示す:
−例えば、CeO2、Nd2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3およびそれらの混合物よりなる群から選択し得るランタニド元素からの適当な酸化物;
−例えば、HfO2、TaO2、Ta2O5、WO2、WO3、ReO2、OsO2、IrO2、PtO、PtO2、HgO、Hg2O、Tl2O3、PbO、Pb2O3、Pb3O4、PbO2、PoO2、Bi2O3およびそれらの混合物よりなる群から選択し得る元素の周期分類の第6周期の金属元素からの適当な酸化物;
−例えば、NbO、RuO2、Rh2O3、RhO2、PdO、Ag2O、AgO、CdO、In2O3およびそれらの混合物よりなる群から選択し得る元素の周期分類の第5周期の金属元素からの適当な酸化物。
【0044】
本発明の関連において、酸素を含む無機材料として、タングステート(Mx(WO4)y)をさらに使用し得る。
【0045】
好ましいタングステートは、例えば、FeWO4、CuWO4、MnWO4、PbWO4およびそれらの混合物よりなる群から選択し得る。
特定のナノ粒子中の(単数または複数の)酸化物および(単数または複数の)タングステートの混合物も可能である。
【0046】
以前に示したように、本発明に係るナノ粒子は酸素を含む無機材料からできたものでなければならず、該無機材料の密度は少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超え、特に酸化物でできているナノ粒子については、7g/cm3を超えて15g/cm3未満、特に8ないし14g/cm3または8ないし12g/cm3である。
【0047】
密度は単位体積V当たりの重さmである。本発明の関連において、高密度を有するナノ粒子を用いて改善された治療効力が得られる。かかる改善された治療効力を得るために必要な密度閾値は本明細書中において本発明者らによって7g/cm3と同定された。最大の密度が好ましいことは理解される。特に好ましい密度は、少なくとも7.5g/cm3、好ましくは少なくとも8g/cm3、なおより好ましくは少なくとも8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5または14g/cm3である。
【0048】
ナノ粒子またはナノ粒子集合体の密度は、Accupyc 1340ピクノメーター装置を用いてほぼ1gの乾燥粉末から測定する。
【0049】
本明細書に記載するナノ粒子は、好ましくは少なくも50、好ましくは少なくとも60または61、より好ましくは少なくとも65、66、67または68さえもの実効原子番号(Zeff)を有する無機材料でできている。
【0050】
実効原子番号とは、原子番号と同様の用語だが、原子についてよりも異なる材料の化合物(例えば、水)および混合物(組織および骨のような)について用いられる。実効原子番号は、材料の化合物または混合物についての平均原子番号を計算する。それはZeffと略される。
【0051】
実効原子番号は化合物中の各原子の分割比率をとり、それに原子の原子番号を乗じることによって計算する。実効原子番号、Zeffの式は以下のとおりである:
【0052】
【数1】

【0053】
式中、fnは各元素と関連する電子の合計数の分数であり、Znは各元素の原子番号である。原子番号(陽子数としても知られている)は、原子の核に見出される陽子の数である。それは伝統的に記号Zによって表される。原子番号は、化学元素を唯一同定する。中性電荷の原子においては、原子番号は電子の数と等しい。
【0054】
その例は、2の水素原子(Z=1)と1の酸素原子(Z=8)から構成されている水(H2O)のものである。電子の合計数は1+1+8=10である。2の水素に対応する電子の分数は2/10であり、ユニークな酸素に対応する電子の分数は(8/10)である。したがって、水のZeffは:
【0055】
【数2】

【0056】
であり、Zeffはナノ粒子の入ってくる放射線を吸収する能力に関与する。
【0057】
以下の表1は、本発明の関連において利用し得る化合物の例を提供し、それらのめいめいの密度およびZeffを同定している。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
ナノ粒子またはナノ粒子集合体の密度およびZeffが高ければ高いほど、電離放射線の吸収の効率は高くなる。その場合、放射の後に電子および/または高エネルギー光子放射が増幅され、それによって治療効力を高める。
【0061】
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書において光子および電子放射増幅に対する密度パラメータの基本的および直接的な役割を浮かび上がらせ、該増幅は、密度が7g/cm3の閾値に達する、および好ましくは超える場合に、本明細書で説明するように哺乳動物における治療適用を許容する(実験部分を参照されたい)。HfO3およびCeO2ナノ粒子に関する実施例4、10a)および10b)では、さらに、定数Zeffに対する密度の驚くべき影響を浮かび上がらせる結果を提供する。
【0062】
本発明に係るナノ粒子または集合体は、有利には生物学的に適合性であり、すなわち、それは動物、典型的には哺乳動物、特にヒトに安全に投与してその治療効果を与えることができる。該生物学的適合性は、例えば、粒子を構成する(単数または複数の)化合物または(単数または複数の)材料の性質によって、および/または、任意のコーティングによって確保し得る。
【0063】
本発明に係る好ましいナノ粒子または集合体は、生物学的に適合性のコーティングで被覆されている。本発明のナノ粒子および/または集合体を静脈内(IV)経路を介して対象に投与すると、かかる生物学的適合性のコーティングは前記したEPR効果の関連においてナノ粒子および集合体の体内分布を最適化するのに特に有利である。いずれかの認識要素(マクロファージ、オプソニンほか)を有する粒子表面の相互作用を回避するために、特にIVの関連においてはナノ粒子または集合体の完全な生物学的適合性のコーティングが必要である。「完全なコーティング」とは、粒子の表面に少なくとも完全な単層を作り出すことができる非常に高い密度の生物学的適合性の分子の存在を意味する。該コーティングは、ナノ粒子または集合体のいわゆる「ステルス効果」に寄与する。
【0064】
生物学的適合性のコーティングは、特に生理学的流体(血液、血漿、血清ほか)、いずれかの等張媒体または生理学的媒体、例えば、医薬投与に必要であるグルコース(5%)および/またはNaCl(0.9%)を含む媒体(実施例11および図14ご参照)のような生物学的適合性の懸濁液におけるpH6.5ないし7.5におけるナノ粒子の安定性を許容する。
【0065】
かかる生物学的適合性のコーティングは、ナノ粒子を表面処理剤で処理することによって得る。
【0066】
安定性は、0.22μmフィルター上の濾過の前後にナノ粒子懸濁液に対して測定した乾燥抽出物定量によって確認し得る(実施例11および図15を参照されたい)。有利には、該コーティングはイン・ビボ(in vivo)での粒子の一体性を保持し、その生物学的適合性を確保または改善し、かつ、(例えば、スペーサー分子、生物学的適合性のポリマー、標的化剤、タンパク質ほかを用いて)その任意の官能化を容易にする。本発明に係る特定のナノ粒子は、実際には、さらに標的化剤を含んで標的細胞上に存在する認識要素とのその相互作用を許容する。かかる標的化剤は、一旦ナノ粒子または集合体が腫瘍に蓄積したら作用する。標的化剤のコンフォメーションは標的とのその相互作用に寄与するため、該標的化剤の密度は注意深く制御するべきである。その大きな密度は実際に標的化剤コンフォメーションを乱し、その結果、標的によるその認識を乱す(“Folate-targeted,cationic liposome-mediated gene transfer into disseminated peritoneal tumors.”;J A Reddy,C Abburi,H Hofland,S J Howard,I Vlahov,P WilsおよびC P Leamon;Gene therapy(2002) 9 p1542-1550/“Folate targeting of drug carriers:A mathematical model.”;Ketan B.Ghaghadaa,b,Justin Sauld,e,ayaganesh V.Natarajanb,c,Ravi V.Bellamkondad,e,Ananth V.Annapragadaa,b,T.:Journal of Controlled Release 104 (2005) 113-128)。また、高い標的剤の密度は、脈管系における循環の間に細網内皮系(RES)によるナノ粒子のクリアランスを支持し得る。
【0067】
生物学的適合性のコーティングは、いずれの非晶性または結晶性の構造からもなり得る。コーティングは小さい分子およびフリーラジカルの拡散を許容することが好ましい。特に、コーティングが水(またはO2)の通路および好ましくはそのラジカル形の経路を許容することは重要である(生物学的適合性のコーティングはpH6.5ないし7.5で溶解しない)。このことは、多孔性である材料を用いることによって、および/または、小さい厚みを有し、多孔性であるコーティング層を加えることによって行い得る。したがって、コーティングの典型的な孔径は0.05ないし10nm付近、好ましくは0.1、または0.2ないし5nmからなる。典型的なコーティングの厚さは、一般的に0.2ないし50nm付近、例えば、0.5ないし5nm付近または10ないし40nm付近からなる。
【0068】
一般的に、コーティングは非−生物分解性または生物分解性とし得る。本発明の目的のために、両方の選択を使用し得る。
【0069】
非−生物分解性コーティングの例は、シリカ、アルミナ、糖質(例えば、アガロース)、リン酸、シラン、両性イオン性化合物、脂質、飽和炭素ポリマー(例えば、ポリエチレンオキサイド)および無機ポリマー、網状化または非-網状化の、修飾または非-修飾の(例えば、ポリメタクリレートまたはポリスチレン)、ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される1またはそれを超える材料または表面処理剤である。
【0070】
生物分解性コーティングの例は、例えば、修飾または非-修飾の、天然または非-天然のおよび生物分子ポリマー;修飾または非-修飾の、天然形状または非-天然形状の生物分子よりなる群から選択される1またはそれを超える材料または表面処理剤である。生物ポリマーは、ポリ硫酸化または非-ポリ硫酸化のリン脂質、糖、オリゴ糖または多糖、例えばデキストランとし得る。
【0071】
前記した材料、化合物または表面処理剤は、所望により他の化合物と組み合わせてもよく、単独または組み合わせて、混合物または集合物、複合物または非-複合物、共有または非-共有で使用し得る。また、前記した材料のいずれか1を使用することも可能であり、該材料は天然の水溶性または脂溶性であり、または人工的に修飾して水溶性または脂溶性としたものである。
【0072】
生物学的適合性のコーティングは、好ましくは、無機剤、金属剤、有機剤およびそれらの混合物または組合せよりなる群から選択される化合物を含むかまたはそれでできている。
【0073】
適当な無機剤は、酸化物、水酸化物およびオキシ水酸化物よりなる群から選択し得る。無機剤は、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはスズを含み得る。
【0074】
該ナノ粒子と生物媒体との相互作用を調整するために、かかる剤を用いてナノ粒子をプラスまたはマイナスのいずれかに荷電させ得る。
【0075】
例えば、マグネシウムおよびカルシウムよりなる群から選択される無機剤は、7のpHでナノ粒子の表面をプラスに電荷にする。
【0076】
例えば、ケイ素を用いて、7のpHでナノ粒子の表面をマイナス電荷にし得る。
【0077】
適当な金属剤は、金、銀および白金よりなる群から選択し得る。
【0078】
適当な有機剤は、本発明に係るナノ粒子と相互作用することができる官能基および該ナノ粒子に生物学的適合性を付与する官能基を含むいずれかの剤とし得る。
【0079】
ナノ粒子と相互作用できる官能基を含む剤は、例えば、カルボキシレート(R-COO-)、サルフェート(R-SO42-)、アルコール(R-OH)、シラン(R-Si(OR)3)、アミン(R-NH2)、第四級アンモニウム(R-NH4+)、ホスホン酸官能基(R-PO(OH)2)またはリン酸官能基(R-O-PO(OH)2)とし得る。
【0080】
本発明に係るナノ粒子に生物学的適合性を付与することができる官能基を含む剤は、立体構造官能基および/または静電気官能基を有し得る。立体構造官能基を有するかかる剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド(ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド))、ポリカルバミド、デキストラン、キシラン、セルロース、コラーゲンのような生物ポリマーまたは多糖、ならびにポリスルホベタインのような両性イオン性化合物ほかよりなる群から選択し得る。
【0081】
プラスの静電気官能基を有する剤は、アミノプロピルトリエトキシシランまたはポリリシンのようなアミンとし得る。
【0082】
マイナスの静電気官能基を有する剤は、リン酸(例えば、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸ほか)、カルボン酸(例えば、クエン酸またはジカルボン酸、特にコハク酸)および硫酸よりなる群から選択し得る。
【0083】
コーティングは、関心のあるいずれかの分子が粒子の表面に結合することを許容する異なる官能基(またはリンカー・セグメント)も含み得る。
【0084】
本発明に係るナノ粒子の典型的な例は、生物学的適合性のコーティングとしてのトリメタリン酸ナトリウム(STMP)またはヘキサメタリン酸ナトリウム(HMP)のようなリン酸化合物を含むHfO2でできたナノ粒子である。
【0085】
本発明に係るナノ粒子のほかの例は、生物学的適合性のコーティングとして、金属剤、ポリエチレン、酸化物、アミン、無水物、リン酸およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される少なくとも1の官能基を負っているシランを含むHfO2でできたナノ粒子である。
【0086】
本発明のもう1の目的は、
−酸素を含む無機材料の調製を許容する化学元素を提供し、ここに該材料の密度は少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超えるものであり、特に酸化物でできたナノ粒子については7g/cm3を超えて15g/cm3未満であり、
-(水溶液、アルコール溶液ほかのような)極性媒体中の該化学元素の沈殿および結晶化によって該化学元素からナノ粒子またはナノ粒子集合体を調製し、ついで、所望により、
-先に記載した表面処理剤を用いてナノ粒子または集合体をコーティングする
ことを含む、前記に定義したようなナノ粒子またはナノ粒子集合体またはそれらの混合物を製造する方法に関する。
【0087】
沈殿工程の間においては:
-pHは好ましくは7ないし14付近に有利に調節し;
-前駆体(化学元素)濃度は、好ましくは10-3ないし3モル/l付近に有利に調節し;
-イオン強度は、好ましくは10-3モル/lないし5モル/l付近;好ましくは10-3モル/lないし3モル/l付近に有利に調節し;
-温度は、好ましくは20℃ないし350℃付近に有利に調節する。
【0088】
所望によりコーティングする前に、無機材料は好ましくは例えば熱処理(かかる処理につづいて湿式または乾燥粉末化工程)を介して結晶化する。沈殿および結晶化工程は、同時または順次に行い得る。
【0089】
さらに、金属封鎖(錯体形成)剤を極性媒体に加えて、目的の結晶化相、結晶化度、粒子形、粒子の大きさおよび/または密度に達するのを助けることができる。
【0090】
結晶化材料は、洗浄(いずれの不純物も除去するため)および/または解膠化(所定のpHで該ナノ粒子に安定性を付与するために無機粒子の表面を荷電するため)し得る。
【0091】
コーティング工程は、有利には、先に定義した表面処理剤と接触させてナノ粒子またはナノ粒子集合体を置く(本明細書においては「コーティング」ともいう)ことからなる。
【0092】
特定の形態において、生物学的適合性のナノ粒子、ナノ粒子集合体またはそれらの混合物の懸濁液を製造する方法は、好ましくはその順序で、以下の工程を含む:
a)前駆体として、ランタニド系列元素のまたは周期分類の第5または6周期の群からの化学元素を提供し、ここにその化学元素は酸素を含む無機材料、特に酸化物またはタングステート、好ましくは酸化物を形成することができ、該材料の密度は少なくとも7g/cm3、好ましくは7g/cm3を超える、特に酸化物でできたナノ粒子については、7g/cm3を超えて15g/cm3未満、特に8ないし14g/cm3または8ないし12g/cm3であり、
b)好ましくはpH、温度、媒体のイオン強度および/または前駆体濃度を調節することによって工程a)の前駆体を極性媒体中に沈殿させ、所望により錯体形成剤を加え、
c)所望により、熱処理を介して沈澱物を結晶化させ、
d)所望により、工程b)またはc)の終了時に得られた懸濁液を洗浄して、その中に存在するいずれの不純物、塩および/または錯体形成剤も除去し、
e)所望により、懸濁液中に存在するナノ粒子または集合体の表面を荷電するために解膠工程を行い、ついで、所望により
f)ナノ粒子または集合体をコーティングする。
【0093】
前記した方法を用いて得られたナノ粒子またはナノ粒子集合体の懸濁液のpHは、生理学的媒体(pH6.5ないしpH7.5)を用いて調節し得る。
【0094】
前記した懸濁液は、対象に投与する前に、さらに処方化工程に付し得る。
【0095】
特定の例において、ナノ粒子またはナノ粒子集合体を製造する方法は、好ましくは以下の工程をその順序で含み、該ナノ粒子はHfO2でできているか、またはそれでできたコアを含む:
-特に水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)のような塩基を用いて(特にHfCl4またはHfOCl2溶液のような)ハフニウム前駆体の溶液を沈殿させ、
-所望により懸濁液を攪拌しながら、例えば、50℃を超える、好ましくは少なくとも100℃の熱処理を介して、かく得た非晶質無機懸濁液を結晶化させ、
-所望により、かく得た結晶化材料を洗浄および/または解膠し、
-所望により、前記に定義した表面処理剤と接触させて該材料を置くことによって該結晶化材料をコーティングする。
【0096】
本発明のもう1の目的は、本明細書において前記に定義したようなおよび/または本明細書に記載する方法によって得ることができる、ナノ粒子または集合体を含むいずれかの組成物に基づく。必須ではないが、本発明の組成物中の粒子は、有利には極めて均一な大きさおよび形状を有する。
【0097】
本発明の特別な目的は、本明細書において前記に定義した粒子またはナノ粒子集合体、および所望により医薬上許容し得る賦形剤またはビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0098】
本発明のもう1の特別な目的は、本明細書において前記に定義したような粒子またはナノ粒子集合体、および所望により生理学的に許容し得る賦形剤またはビヒクルを含む診断または造影組成物に関する。
【0099】
組成物は、固体、液体(懸濁液中の粒子)、エアゾール、ゲル、ペーストなどの形態で存在し得る。好ましい組成物は液体形態で存在する。
【0100】
用いる賦形剤またはビヒクルは、例えば、塩類溶液、等張の、無菌の、緩衝化された溶液などのようなこのタイプの適用のためのいずれかの古典的な支持体とし得る。それは、安定化剤、甘味剤、界面活性剤なども含み得る。それは、医薬処方の公知の技術を用いることによって、例えば、アンプル剤、エアゾール剤、ボトル、錠剤、カプセル剤として処方化し得る。
【0101】
本明細書に記載する組成物においては、ナノ粒子の適当または望ましい濃度は、ナノ粒子10-3mg/g腫瘍付近ないしナノ粒子100mg/g腫瘍付近、特にナノ粒子5ないし50mg/g腫瘍付近からなる。これには、異なる投与経路が含まれる。
【0102】
一般的に、液体形態の組成物は、0.05g/Lないし300g/Lのナノ粒子、0.05g/Lないし150g/L、好ましくは少なくとも10g/L、20g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、80g/L、100g/L、150g/L、200g/Lまたは250g/Lのナノ粒子を含む。
【0103】
乾燥抽出物は、理想的には、ナノ粒子を含む懸濁液の乾燥工程の後に測定する。
【0104】
本発明の組成物、粒子および集合体は多くの分野、特にヒトまたは獣医学の医学において使用し得る。
【0105】
本発明の目的は、標的の細胞、組織または器官を変化させ、破壊しまたは排除するために、本明細書に記載するナノ粒子またはナノ粒子集合体を使用することである。
【0106】
特に電離放射線、X-線、ガンマ線、放射性同位元素および電子線の効果の下において、ナノ粒子は励起され、電子および/または高エネルギー光子を生成する。
【0107】
該電子および/または高エネルギー光子は、周囲の媒体、特に水またはO2と接触するとフリーラジカルおよび/または新たなイオン化を生成し得る。
【0108】
電離放射線のエネルギーに依存して、粒子は組織の破壊および/または、単純に造影および/または診断目的の視覚化を可能とし得る。
【0109】
したがって、本発明の特別な目的は、動物中の標的細胞を放射線、特に電離放射線に曝した場合に該細胞を変化させ、破壊しまたは排除することが意図された医薬組成物を調製するための本発明に係るナノ粒子またはナノ粒子集合体の使用および対応する方法に基づく。
【0110】
さらに、医薬は、ガンを治療することも意図された、ナノ粒子またはナノ粒子集合体とは異なるさらなる治療化合物を含み得る。
【0111】
本発明のもう1の特別な目的は、細胞、特に標的細胞と、本明細書にて前記に定義したような1またはそれを超えるナノ粒子またはナノ粒子集合体とを粒子または集合体が標的細胞の内側に浸透しまたは該細胞と相互作用することを許容する十分な時間接触させ、ついで、細胞を放射線に曝すことを含み、適当な放射線が特に電離放射線、好ましくはX-線、γ-線、放射性同位元素、および/または電子線であり、曝すことが該標的細胞の溶解、アポトーシスまたは破壊を誘導または引き起こす、イン・ビトロ(in vitro)、エクス・ビボ(ex vivo)またはイン・ビボ(in vivo)で標的細胞の溶解、アポトーシスまたは破壊を誘導または引き起こす方法に基づく。
【0112】
標的細胞は、いずれの病理学的細胞、すなわち病理学的機構に関与する細胞、例えば腫瘍細胞のような増殖性の細胞、狭窄性細胞(線維芽細胞/平滑筋細胞)または免疫系細胞(病理学的な細胞クローン)とし得る。好ましい適用は、悪性の細胞または組織の治療(例えば、破壊または官能基変化)に基づく。
【0113】
これに関して、本発明の特別の目的は、ガンの治療が意図された医薬組成物を製造するための、(本明細書において先に定義した電離放射線と組み合わせた)本明細書において前記に定義したような組成物、粒子またはナノ粒子集合体の使用に基づく。
【0114】
さらに、本発明の開示は、細胞を放射線、特に先に定義した電離放射線に曝した場合に、動物においてガンを予防または治療する、またはガンの症状を緩和するための、本明細書において前記に定義したような組成物、粒子またはナノ粒子集合体の使用を包含する。
【0115】
本発明のもう1の特別の目的は、ガン細胞と、本明細書にて前記に定義したような1またはそれを超える粒子またはナノ粒子集合体とを、粒子または集合体がガン細胞の内側に浸透しまたは該細胞と相互作用することを許容する十分な時間接触させ、ついで、細胞を放射線、特に先に定義した電離放射線に曝すことを含み、曝すことが該細胞の溶解または破壊を引き起こす、イン・ビトロ(in vitro)、エクス・ビボ(ex vivo)またはイン・ビボ(in vivo)でガン細胞の溶解または破壊を誘導または引き起こす方法に基づく。
【0116】
本発明のもう1の目的は、対象または患者におけるガンを予防または治療し、またはガンの症状を緩和するための方法に関し、該方法は、ナノ粒子またはナノ粒子集合体が異常な細胞の内側に浸透しまたは該細胞、特にガン細胞と相互作用することを許容する条件下で、ガンに罹った患者に本明細書において前記に定義したような組成物、ナノ粒子またはナノ粒子集合体を投与することを含み、その後に励起源、特に電離放射線源の存在下で対象を処理し、患者の異常な細胞の変化、妨害または機能的破壊につながり、それによってガンを予防または治療する。
【0117】
古典的なガン管理は、多様式治療(例えば、放射線療法および化学療法の組合せ)の同時実施を全体的に意味する。
【0118】
放射線療法の関連において、電離放射線に付した本明細書に記載したナノ粒子は、異なるガン療法プロトコールと結合して使用し得る。かかるプロトコールは、外科的手術、放射線外科、化学療法、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、標的化療法、ワクチン、放射性核種、特に免疫放射性核種、およびガン治療が意図されたいずれか他の生物学的または無機の生成物よりなる群から選択し得る。
【0119】
驚くべきことに、本明細書に記載するナノ粒子は、高い観察された効力で放射線療法単独の関連においてさらに使用し得る。
【0120】
本発明を用いて、血液学的な腫瘍または悪性腫瘍のようないずれかの型の悪性腫瘍および充実性腫瘍、特に上皮、神経外胚葉または間充織起源のものを治療することができる。また、ナノ粒子を用いて、放射線療法が古典的に使用されおよび/または示される前ガン性の病変または特定の良性疾患を治療することができる。
【0121】
本発明は、療法の関連においては、原発性腫瘍または二次的浸潤、局所領域的または遠隔の転移に、ならびに予防の関連においては、メラノーマ、肺ガン、腎臓ガン、乳ガンほかからの観察される侵襲(転移)のような二次的な悪性中枢神経系の巻き込みを回避するために適用可能である。
【0122】
ナノ粒子は、抗ガン治療期間全体のいずれの時点においても使用することができる。それは、例えば、ネオアジュバント(ガン捻除の外科的処置の前)またはアジュバント(外科手術後)として投与し得る。
【0123】
外科的に除去し得ない進行した腫瘍にも使用することができる。
【0124】
本明細書中で説明するように、放射線療法またはX線撮影のいずれかの現在利用し得るシステムを用いることによって1またはそれを超える場合に対して粒子を投与した後いずれかの時点において照射を適用することができる。
【0125】
本明細書に記載するナノ粒子は、特に、放射線療法が古典的な治療であるガンを治療するために用いることが意図されている。かかるガンは、特に、AIDSと関連する悪性新生物、メラノーマを含む皮膚癌;脳、脳幹(stem brain)、小脳、下垂体、脊髄、眼および眼窩を含む中枢神経系の腫瘍;頭部または首部の腫瘍;肺ガン;乳ガン;肝臓および肝胆嚢のガン、大腸、直腸および肛門のガン、胃、膵臓、食道のガンのような胃腸の腫瘍;前立腺、精巣、陰茎および尿道ガンのような弾性の尿生殖器の腫瘍;子宮頚部、子宮内膜、卵巣、卵管、膣および外陰部のガンのような婦人科学的な腫瘍;位置に関係なく骨および軟組織の肉腫;リンパ腫;ミエローマ;白血病;およびウィルム腫瘍、神経芽腫、中枢神経腫瘍、ユーイング肉腫ほかのような小児科の腫瘍よりなる群から選択し得る。
【0126】
粒子は広い範囲の合計照射線量で励起し得る。量およびスケジュール(一回線量での、または分割または多分割プロトコールほかの関連での計画およびデリバリー)は、いずれかの疾患/解剖部位/疾患ステージの患者の背景/患者の年齢(小児、成人、年配の患者)について決まり、いずれか特定の状況についてのケアの標準を構成する。
【0127】
照射は、放射線療法またはX線撮影のいずれかの現在利用し得るシステムを用いることによって、1またはそれを超える場合に対して、粒子の投与後いずれの時点においても適用することができる。粒子は、局所(特に腫瘍内(IT))、皮下、静脈内(IV)、皮内、動脈内、気道(吸入)、腹膜内、筋肉内および経口経路(per os)のような異なる経路によって投与することができる。粒子は、さらに、腫瘍摘出後の腫瘍床の実際の孔のような孔内で投与することができる。
【0128】
適当な場合には、繰り返しの注射または投与を行うことができる。
【0129】
「治療または処置」なる語は、異常な機能を修正するため、疾患を防ぐため、特に、異常な組織、特に腫瘍組織の大きさまたは増殖における減少、大きさまたは増殖の制御、異常な細胞または組織の抑制または破壊、疾患進行の鈍化、ガン進展の遅延を伴う疾患の安定化、転移の形成の減少、疾患の後退または完全な後退(例えば、ガンの関連において)ほかのような病理学的な兆候を改善するために行ういずれの行為をも示す。
【0130】
先に示したように、適当な放射または励起源は好ましくは電離放射線であり、有利には、X-線、ガンマ-線、電子線、イオンビームおよび放射性同位元素または放射線同位元素放射よりなる群から選択することができる。X-線は励起の特に好ましい線源である。
【0131】
電離放射線は、典型的には約2KeVないし約25000KeV、特に約2KeVないし約6000KeV(LINAC線源)、あるいは、約2KeVないし約1500KeV(コバルト60線源のような)のものである。
【0132】
一般的かつ非限定的な様式において、以下のX-線を異なる場合に適用して粒子を励起することができる:
-2ないし50KeVの表面X-線(数ミリメートルの浸透);
-50ないし150KeVのX-線:診断のみならず療法においても;
-6cmの組織厚みに浸透する200ないし500KeVのX-線(オルト電圧);
-1000KeVないし25,000KeVのX-線(メガ電圧)。例えば、前立腺ガンの治療用のナノ粒子の励起は、15,000KeVのエネルギーの5焦点(five focused)X-線を介して行うことができる。
【0133】
別報として、放射性同位元素は、電離放射線源として使用することもできる(クリエセラピー(crietherapy)または密封小線源治療)。特にヨウ素I125(t1/2=60.1日)、パラジウムPd103(t1/2=17日)、セシウムCs137およびイリジウムIr192を有利に使用することができる。
【0134】
陽子線のような荷電粒子、炭素のようなイオンビーム、特に高エネルギーイオンビームも、電離放射線源および/または中性子線として使用することができる。
【0135】
電子線も4MeVないし25MeVからなるエネルギーを有する電離放射線として使用することができる。
【0136】
酸化物ナノ粒子またはナノ粒子集合体の原子の望ましいX-線吸収端に近いまたはそれに対応するエネルギーのX-線放射を選択的に生成するために、特定の単一波長の照射を使用することができる。
【0137】
電離放射線の優先的な線源は、線形加速器(LINAC)、コバルト60および密封小線源治療線源から選択することができる。
【0138】
診断の分野においては、本発明のナノ粒子は、いずれかの型の組織を検出および/または視覚化するための造影剤として使用することができる。したがって、本発明の目的は、細胞、組織または器官の検出または視覚化を意図する組成物を製造するための、特にX線撮影装置を用いる、放射と組み合わせた本明細書において前記に定義したような組成物、粒子またはナノ粒子集合体の使用である。
【0139】
「組み合わせて」なる用語は、本発明のナノ粒子を部分的に取り込んだ関心のある細胞、組織または器官を定義した線源によって励起した場合に、求めた後作用が得られることを示す。しかしながら、粒子および線を同時に投与することも、同一のプロトコールに従って投与することも必要でない。
【0140】
本明細書の開示は、さらに、いずれか1またはそれを超える本明細書に記載したナノ粒子または組成物を含むキットを提供する。典型的に、キットには、本発明に係る少なくとも1のナノ粒子またはナノ粒子集合体が含まれる。一般的に、キットには、本発明の医薬組成物の1またはそれを超える成分を満たした1またはそれを超える容器も含まれる。かかる1または複数の容器と関連して、本発明の方法に係るナノ粒子、ナノ粒子集合体または組成物を使用するために、製品を使用する指示を与えるラベルの注意書きを提供することができる。
【0141】
本発明の他の態様および利点は、説明目的で提供し、断じて限定するものではない以下の実施例で明らかになるであろう。
【0142】
実験セクション
実施例1:コーティング剤としてトリメタリン酸ナトリウムを用いる、7g/cm3を超える密度を有する酸化ハフニウム(HfO3)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド(TMAOH)溶液を40gのHfCl4溶液に添加する。最終的な懸濁液が7ないし13よりなるpHに達するまで、TMAOH溶液の添加を行う。白色沈澱物を得る。沈澱物をさらにオートクレーブに移し、120℃ないし300℃よりなる温度で加熱して結晶化を行う。冷却した後、懸濁液を脱イオン水で洗浄する。
ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために、解膠化工程を行う。ついで、トリメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化溶液に加え(加えたトリメタリン酸ナトリウムの量は、致死量(LD)50/5未満である)、懸濁液のpHを6.5ないし7.5よりなるpHに調節する。イン・ビトロ(in vitro)実験については、このステージで0.22μmフィルターを用いて滅菌工程を行う。イン・ビボ(in vivo)実験については、滅菌工程の前後にグルコース5%を用いた処方化工程を行うことができる。以下の表は、かく得た生物学的適合性のナノ粒子またはナノ粒子集合体の懸濁液の主な特徴を示す。
【0143】
【表3】

【0144】
実施例2:コーティング剤としてトリメタリン酸ナトリウムを用いる、7g/cm3未満の密度を有する酸化ハフニウム(HfO3)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド(TMAOH)溶液を40gのHfCl4溶液に添加する。最終的な懸濁液が1ないし5よりなるpHに達するまで、TMAOH溶液の添加を行う。白色沈澱物を得る。沈澱物をさらにオートクレーブに移し、120℃ないし300℃よりなる温度で加熱して結晶化を行う。冷却した後、懸濁液を脱イオン水で洗浄する。ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために、解膠化工程を行う。ついで、トリメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化溶液に加え(加えたトリメタリン酸ナトリウムの量は、LD50/5未満である)、懸濁液のpHを6.5ないし7.5よりなるpHに調節する。イン・ビトロ(in vitro)実験については、このステージで0.22μmフィルターを用いて滅菌工程を行う。イン・ビボ(in vivo)実験については、滅菌工程の前後にグルコース5%を用いた処方化工程を行うことができる。以下の表は、かく得た生物学的適合性のナノ粒子またはナノ粒子集合体の懸濁液の主な特徴を示す。
【0145】
【表4】

【0146】
実施例3:コーティング剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用いる、7g/cm3を超える密度を有する酸化ハフニウム(HfO2)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド(TMAOH)溶液を40gのHfCl4溶液に加える。最終的な懸濁液が7ないし13よりなるpHに達するまで、TMAOH溶液の添加を行う。白色沈澱物を得る。沈澱物をさらにオートクレーブに移し、120℃ないし300℃よりなる温度で加熱して結晶化を行う。冷却した後、懸濁液を脱イオン水で洗浄する。ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために、解膠化工程を行う。ついで、ヘキサメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化溶液に加え(加えたヘキサメタリン酸ナトリウムの量は、LD50/5未満である)、懸濁液のpHを6.5ないし7.5よりなるpHに調節する。イン・ビトロ(in vitro)実験については、このステージで0.22μmフィルターを用いて滅菌工程を行う。イン・ビボ(in vivo)実験については、滅菌工程の前後にグルコース5%を用いた処方化工程を行うことができる。以下の表は、かく得た生物学的適合性のナノ粒子またはナノ粒子集合体の懸濁液の主な特徴を示す。
【0147】
【表5】

【0148】
実施例4:実施例1および2において調製したHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液を用いる×グレイ(SFx)分析の細胞生存分析または生存割合(図5B)
【0149】
材料および方法
各大腸ガンセルライン(放射線感受性HCT116および放射線耐性HT29ガン細胞)についての平板効率をSFx測定の前に測定した。プレート当たり50ないし200のコロニーが形成されるように細胞を平板し、37℃にて3時間ないし一晩インキュベートして接着させた。ついで、実施例1(8.5に等しい密度を有する)および実施例2(6.5に等しい密度を有する)の両方からの400μMのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体で24時間の最大インキュベーション時間、細胞を処理した。
【0150】
200KeV照射器(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)を用いて、HT29ガン細胞については4Gyの照射およびHCT116ガン細胞については2Gyの照射を用いて照射を行った。照射後、無水メタノール中の0.5%クリスタルバイオレットで染色する前に、細胞を37℃にて8日を超えてインキュベートした。少なくとも50細胞のコロニーのみカウントした。SFxは以下の式によって決定した:
【0151】
【数3】

【0152】
結果:放射線感受性または放射線耐性細胞に対する密度の効果
図5Bに示すように、照射は、非処理対照細胞と比較して、実施例2からのHFO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(6.5に等しい密度)を取り込んだまたはそれと接触した放射線感受性(HCT116)および放射線耐性(HT29)ガン細胞の両方に対してほとんど重大な効果を有していなかった。しかしながら、実施例1からのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(8.5に等しい密度)を用いたガン細胞の処理は、放射線感受性(HCT116)および放射線耐性(HT29)ガン細胞の両方における放射線誘導細胞死のレベルの顕著な増大を生じた。
【0153】
実施例5:
実施例3からのHfOナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液を用いたクローン原性アッセイ(図8):
細胞生存性は標準化したコロニー形成アッセイによって定量化した。ガラス培養皿を、細胞をHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)と最大24時間インキュベートした直後に線形加速器に移した。細胞は異なる線量の照射で照射した(線量割合:室温における1Gy/分、200KeV:Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)。放射線感受性および放射線耐性の両方のガン細胞に対する結果(図8)は、ナノ粒子についての放射線増感比(radiation enhancement ratio(ER))を示す。HT29細胞は4Gy線量単独について1.60のERを示し、一方でHCT116細胞は等しい線量について1.33のERを示した。これらのデータは、放射と組み合わせたナノ粒子が放射線感受性および放射線耐性のセルラインの両方における細胞生存性の低下と相関するクローン原性阻害に寄与することを示している。
【0154】
実施例6:
実施例3からのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液を用いた細胞生存性アッセイ(図10):
細胞生存性は、200KeV X-線放射(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)を用いて、放射線量を変化させながら(6Gyまで)ナノ粒子(800μM)を用いるかまたは用いないで24時間処理した後にWST-1キットを用いて測定した。ナノ粒子の効果を図10に示す。
【0155】
800μMのナノ粒子が存在すると、いずれのナノ粒子も取り除いた対照と比較した場合に細胞生存性の低下につながる。1GyのX-線放射に付したナノ粒子は、3GyのX-線放射(放射線療法単独)に付した対照と比較した場合と同様な効力につながる。
ナノ粒子単独を用いると毒性の兆候は全く観察されなかった。
10の異なる濃度で行った実験では、一致した結果が示された。
【0156】
このことは、ナノ粒子の線量向上効果を明らかに示している。
驚くべきことに、低線量の放射線療法で有効な特性が観察される:このことは、規則的な放射線療法プロトコールを用いるナノ粒子の可能な使用を示すが、通常の処理よりと同様またはそれよりも良好な効力についての通常の放射線療法線量の潜在的な減少の保証も提供している。
【0157】
実施例7:
実施例3からのナノ粒子生物学的適合性の懸濁液を用いた腫瘍内注射後のナノ粒子分散(図1):
ナノ粒子懸濁液を、HCT116腫瘍を負っているSwissヌードマウスに腫瘍内注射した。腫瘍におけるナノ粒子の時間滞留は少なくとも15日であり、倫理的な理由によりマウスを殺す必要があったためもはや実験は不可能になった。また、ナノ粒子は高いコントラストレベルを示し、X-線ミクロ断層写真術によって簡単に検出可能である。したがって、腫瘍からの生成物の潜在的な漏れを評価するために、ナノ粒子注射2および15日後にミクロ断層写真術を行った。腫瘍中の分布は2ないし15日で同等のままのようであり、ナノ粒子は腫瘍中に留まっているようである(15日を超えて)。
【0158】
実施例8:
実施例3からのナノ粒子を用いたHCT116腫瘍モデル中のナノ粒子の性能実験(図6、7および9):
ナノ粒子懸濁液を、わき腹に移植したHCT116腫瘍を負っているSwissヌードマウスに腫瘍内注射した。クリエセラピー装置イリジウム-192線源を用いた外部照射に結合したアプリケーターを用いて、腫瘍の局所照射を行った。分割当たり4または8グレイの照射線量を腫瘍に送達するために、腫瘍に近いイリジウム-192線源の位置および滞留時間を最適化する。一群のマウスにナノ粒子を腫瘍内注射し(注射した体積は腫瘍体積の20%ないし50%)、2分割の4グレイ照射に付すかまたは付さなかった(注射後24および48時間)。
【0159】
第2の群にナノ粒子を腫瘍内注射し(注射した体積は腫瘍体積の20%ないし50%)、単分割の8グレイ照射に付すかまたは付さなかった(注射後24時間)。4群のマウスを、放射線療法に付したかまたは付していないビヒクル処理動物と比較する。一週間に2回、各群において腫瘍体積をモニターする。放射線療法単独に付した対照マウスと比較した場合、ナノ粒子は腫瘍の全体後退につながる。照射後20日目における評価は、同一のスケジュールで放射線療法単独に付した対照と比較した場合、2×4グレイまたは1×8グレイの照射後のナノ粒子処理マウスにおける100%に等しい腫瘍増殖の阻害を示した。
【0160】
分割した照射の利用は、照射した参照群と比較した場合のリスク比を超えるより良好な利益を証明した。この関連において、低線量の放射線療法を用いる分割プロトコールが可能である。かかるプロトコールは、規則的な放射線療法プロトコールと比較した場合に危険比を超えるより良好な利益を許容する。実際、かかる分割プロトコールは健全組織に対して従来のプロトコールで観察し得た有害な副作用を減少し、等しいまたはより良好な治療効力さえに寄与する。
【0161】
実施例9:
200KeV X-線源(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)またはコバルト60線源のいずれかを用いた、実施例3からのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液を用いるクローン原性アッセイ(図11Aおよび11B)
【0162】
材料および方法
HT1080ガンセルライン(放射線耐性ガン細胞)に対する平板効率を、細胞生存分析またはxグレイにおける生存割合(SFx)の前に測定した。処理に従って50ないし200コロニーを形成する密度で細胞を平板した。細胞が接着したら、実施例3からの400μMのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(8.3g/cm3に等しい密度を有する)を24時間の最大インキュベーション時間で加えた。200KeV照射器(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)(図11A)およびコバルト60線源(図11B)を用いて、細胞照射を行った。照射後、固定およびクリスタルバイオレット溶液で染色する前に細胞を37℃にて約8日間インキュベートした。少なくとも50の細胞を含むコロニーのみをカウントした。SFxは以下の式を用いて決定した:
【0163】
【数4】

【0164】
結果:放射線耐性細胞に対する照射の効果
図11Aおよび11Bに示すように、実施例3からのHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(8.3に等しい密度)を用いたガン細胞の処理は、200KeV照射器(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mm Cu)またはコバルト60線源を用いて照射した放射線耐性(HT1080)ガン細胞における放射線誘導細胞死のレベルの顕著な増加を生じた。
【0165】
結果は、ナノ粒子の放射線増感比(ER)を示している。HT1080細胞は200KeV線源(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mmCu)を用いた4-Gy線量単独については1.38のERを示し、コバルト60線源を用いた場合には等しい線量に対して1のERを示した。これらのデータは、低い電離放射線エネルギー源または高い電離放射線エネルギー源のいずれかを用いた照射した放射線耐性HT1080セルラインの有利なクローン原性阻害にナノ粒子が寄与していることを示している。
【0166】
上記の結果は、エネルギー放射線源、特に高いエネルギー放射線源で照射した細胞(放射線耐性の細胞でさえ)の死を誘導する7g/cm3を超える密度を有する生物学的適合性の酸化ナノ粒子またはナノ粒子集合体の効力を示している。
【0167】
実施例10:細胞生存性に対する生物学的適合性の酸化物ナノ粒子またはナノ粒子集合体の密度の効果
WST-1アッセイは、細胞生存性に基づく効力のナノ粒子またはナノ粒子集合体スクリーニングを許容する。異なる密度の生物学的適合性の無機ナノ粒子またはナノ粒子集合体をここで試験する。
【0168】
細胞生存性は、200KeVの線源(Tube Comet MXR-225/22-200kV/15mA/0.2mmCu)を用いる固定した照射線量(2Gy)につづく96時間の後インキュベーション時間下、ナノ粒子を用いるかまたは用いないで、24時間の処理時間後に測定する。
【0169】
生物学的適合性の酸化物ナノ粒子またはナノ粒子集合体の細胞生存性は、該ナノ粒子またはナノ粒子集合体(400μM)および適合曲線(図12AないしLご参照)を用いる2Gy照射後に測定する。
【0170】
放射線療法処理単独(ナノ粒子を用いない)と比較した場合の400μMにおける20%を超える(>20%)細胞生存性の低下は妥当と考える。実際、該生物学的適合性のナノ粒子またはナノ粒子集合体をクローン原性アッセイに引き込んだ場合、それは、HCT116セルラインに対して1.33の、およびHT29セルラインに対しては1.60の放射線増感比(ER)を許容する。放射線療法処理単独(ナノ粒子を用いない)と比較した場合の400μMでの20%以下(<20%)の細胞生存性の低下は妥当であると考えない。実際、該生物学的適合性のナノ粒子またはナノ粒子集合体をクローン原性アッセイに引き込んだ場合、照射は放射線感受性(HT116)および放射線耐性(HT29)ガン細胞の両方に対してほぼ全く顕著な効果を有していなかった(実施例4参照)。
【0171】
異なる試験した酸化物を調製する方法の記載をポイントa)ないしd)で報告する。市販のナノ粒子はポイントe)で記載する。密度値、400μMにおける細胞生存性(放射線療法処理単独と比較した場合)および800μMの相対効力は、以下の表(ポイントa)ないしe)参照)で報告する。
【0172】
図12はナノ粒子またはナノ粒子集合体を用いた2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を示す。先に説明したように、図13はパーセンテージとして表す、相対効力(細胞死を誘導する能力)を示す。該相対効力は、放射線療法処理単独(ナノ粒子を用いない)と比較した場合の、800μMにおける、生物学的適合性のHfO2ナノ粒子またはナノ粒子集合体(実施例3参照)の細胞生存性(対照の%)に対する、放射線療法処理単独(ナノ粒子を用いない)と比較した場合の、800μMにおける、実施例10で試験した粒子の2Gy照射後の細胞生存性(対照の%)を反映している。
【0173】
この実験で行ったイン・ビトロ(in vitro)効力アッセイは、d>7g/cm3の閾値効果を有する酸化物の密度の重要性を強調している(図13参照)。効力から顕著な相異を有する2群のナノ粒子を区別する:
-密度<7g/cm3:試験したナノ粒子の相対効力は約55%未満
-密度>7g/cm3:試験したナノ粒子の相対効力は約80%を超える
【0174】
a)コーティング剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた、6.7ないし8.3g/cm3の範囲の密度を有する酸化ハフニウム(HfO2)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド(TMAOH)溶液を40gのHfCl4溶液に加える。TMAOH溶液の添加は、最終懸濁液のpHが表2に報告した望ましいpH値に達するまで行う。白色沈澱物をえる。
【0175】
沈澱物をさらにオートクレーブに移し、120℃ないし300℃よりなる温度で加熱して結晶化を行う。冷却した後、懸濁液を脱イオン水で洗浄する。ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために、解膠化工程を行う。ついで、ヘキサメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化溶液に加え(加えたヘキサメタリン酸ナトリウムの量は、LD50/5未満である)、懸濁液のpHを約6.5ないし7.5よりなるように調節する。以下の表2から明らかなように、HfO2ナノ粒子の密度は初期懸濁液のpHの注意深い調節で調節し得る。表2の各酸化物に曝した照射細胞の生存性に関するデータを、各々、図12A、12Bおよび12Cに示す。
【0176】
【表6】

【0177】
b)コーティング剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用いる、6.5ないし7.1の範囲の密度を有する酸化セシウム(CeO2)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
CeO2合成は、Zhouおよび&Al.,Chem Mater,2003,15,378-382から適合した。Ce(SO42・4H2Oを脱イオン水に溶解して0.4M溶液を得る。ついで、連続して攪拌しながら、室温にてアンモニア溶液を滴下する。アンモニア溶液を加えて、1:5の硫酸セシウム溶液を超えるアンモニア溶液の最終体積比に達する。ついで、得られた懸濁液を脱イオン水を用いる4回の遠心によって洗浄する。
【0178】
最終ペレットを脱イオン水に懸濁して、両方ともpH4の0.05M(CeO2-1)または0.2M(CeO2-2)の酸化セシウム前駆体の溶液を得る。溶液CeO2-1およびCeO2-2を180℃の熱水処理に24時間付す。ついで、試料を脱イオン水を用いる4回の遠心によって洗浄する。各試料を105℃で最終的に乾燥し、熱処理に付する。試料CeO2-1は700℃にて1時間か焼し、CeO2-2は900℃にて1時間か焼して各々試料CeO2-SおよびCeO2-Wを得る。
【0179】
ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために解膠化工程を行う。ついで、ヘキサメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化溶液に加え(加えたヘキサメタリン酸ナトリウムの量はLD50/5未満)、懸濁液のpHを6.5ないし7.5にするために調節する。
【0180】
以下の表3から明らかなように、CeO2ナノ粒子の密度は、温度および熱処理の時間の両方を注意深く調節して調整し得る。表3の各々の酸化物に曝した照射した細胞の生存性に関するデータを、各々図12Dおよび12Eに示す。
【0181】
【表7】

【0182】
c)2.7ないし8.3g/cm3の範囲の密度を有する酸化ツリウム(Tm2O3)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
【0183】
5gのTmCl3をHCl 2Mに溶解する。ついで、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド(TMAOH)溶液をpHが7(Tm2O3-0)または8(Tm2O3-1)になるまでTmCl3溶液に加えた。白色沈澱物を得る。沈澱物をオートクレーブ中で熱水処理に付し、すなわち120℃ないし300℃の温度まで加熱する。ついで、得られた懸濁液を脱イオン水を用いる遠心によって洗浄し、105℃にて一晩乾燥する。粉体をか焼に付する:
・Tm2O3:400℃、1時間
・Tm2O3:600℃、1時間
・Tm2O3:800℃、5mn
・Tm2O3:800℃、2時間
【0184】
以下の表4から明らかなように、Tm2O3ナノ粒子の密度は、温度および熱処理の時間の両方を注意深く調節すれば調整し得る。
【0185】
【表8】


d)コーティング剤としてヘキサメチルリン酸ナトリウムを用いる、7g/cm3未満の密度を有する酸化チタン(TiO2)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
ゆっくりと攪拌しながら、15mLのTiCl4を180mLの3M HCl溶液に滴下する。さらに120mLの脱イオン水を加えて、215mLの最終体積を得る。溶液のpHをNaOH 3M溶液を用いて2に漸次調整する。溶液が白色沈殿に変わり、それを60℃にて24時間加熱する。ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために、解膠化工程を行う。
【0186】
ついで、ヘキサメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化溶液に加え(加えたヘキサメタリン酸ナトリウムの量はLD50/5未満)、懸濁液のpHを6.5ないし7.5を構成するように調節する。表5のTiO2酸化物に曝した照射した細胞の生存性に関するデータを図12Fに示す。
【0187】
【表9】

【0188】
e)コーティング剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた3.8ないし7.9の範囲の密度を有する市販の酸化物ナノ粒子またはナノ粒子集合体の生物学的適合性の懸濁液
ナノ粒子集合体のすべての酸化物ナノ粒子は市販の粉体(最高純度グレード)として得る。
粉体を水溶液に分散し、溶液中に効果的に分散させるために超音波処理に付する。
ナノ粒子またはナノ粒子集合体の安定な懸濁液を得るために、解膠化工程を行う。
【0189】
ついで、ヘキサメタリン酸ナトリウムの懸濁液を解膠化した溶液に加え(加えたヘキサメタリン酸ナトリウムの量はLD50/5)、懸濁液のpHを6.5ないし7.5を構成するように調節する。表6の各酸化物に曝した照射した細胞の生存性に関するデータを図12G、12H、12I、12J、12Kおよび12Lに示す。
【0190】
【表10】

【0191】
実施例11:
コーティング剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)および酸化ハフニウム(HfO2)ナノ粒子またはナノ粒子集合体の効果的な安定性のための生物学的適合性の表面コーティングの重要性
イン・ビボ(in vivo)で使用するためには、活性化可能なナノ粒子またはナノ粒子集合体を生物学的適合性にしなければならない。血液循環における凝集を避け、効果的な生物分配性(biodistribution)(EPR効果)を許容するために、生物学的適合性には生理学的媒体中での高い安定性が必要である。したがって、注射前に予め必須のことは、生理学的条件におけるナノ粒子またはナノ粒子集合体懸濁液の安定性をチェックすることである。
【0192】
したがって、本発明者らは、水およびグルコース(5%)中のHMPコーティングを有するかまたは有しない粒子の安定性を評価した。安定性は異なる媒体でおよび0.22μmフィルターを用いた濾過収率によって視覚的に確認した。
【0193】
結果:安定性
ナノ粒子懸濁液(実施例10dからのTiO2-5nm)、実施例10e)からの市販のCeO2-Dおよび実施例3)からのHfO3-Ref)-pH3の解膠化懸濁液またはpH7の懸濁液-生物学的適合性の表面コーティング剤としてのHMPを含まない)をグルコース溶液(5%)に処方化する。HMPコーティングを有するpH7のナノ粒子懸濁液も、グルコース溶液(5%)に処方化する。各懸濁液についてのナノ粒子の濃度は約5g/Lである。各試料を2時間放置し、懸濁液中のナノ粒子安定性の第1の識別分析を視覚的に行う(図14)。
【0194】
この最初の評価は、すべての粒子がpH6-7に近い等電点(IEP)を有するため粒子表面にプラスの電荷が存在することに起因して水およびグルコース溶液(5%)中、pH3において安定のままであることを示している。懸濁液(水またはグルコース)のpHを7まで増加することによってナノ粒子の沈殿が観察され、pHはIEPに近い。HMPを用いた粒子コーティングは、水およびグルコース溶液(5%)中のpH7の安定性を劇的に増大する。
【0195】
結果:濾過の収率
0.22μmカットオフ・フィルターは、よく解離したナノ粒子またはナノ粒子集合体のみの通過を許可する。非常に少ない凝集が起こっている場合でも、粒子はフィルター上に蓄積し、フィルターを直ちに遮断する。粒子濃度は、濾過前後のバランスシートを介して推定した。図15に示すデータは、ナノ粒子表面特性を改善し、生理学的条件下における粒子安定性を改善するのに絶対的に必要である生物学的適合性のo-ティングの役割を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を電離放射線に曝した場合に動物における標的細胞を変化または破壊することが意図された医薬組成物を調製するためのナノ粒子またはナノ粒子集合体の使用であって、ここに該ナノ粒子が酸化物(MxOy)からなり、該酸化物の密度が少なくとも7g/cm3であり、該ナノ粒子またはナノ粒子集合体が生理学的流体中のpH6.5ないし7.5でのナノ粒子安定性を許容する生物学的適合性のコーティングで被覆されていることを特徴とする該使用。
【請求項2】
酸化物が、CeO2、Nd2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、HfO2、TaO2、Ta2O5、WO2、WO3、ReO2、OsO2、IrO2、PtO、PtO2、HgO、Hg2O、Tl2O3、PbO、Pb2O3、Pb3O4、PbO2、PoO2、Bi2O3、NbO、RuO2、Rh2O3、RhO2、PdO、Ag2O、AgO、CdOおよびIn2O3よりなる群から選択される請求項1記載の使用。
【請求項3】
酸化物がHfO2である請求項2記載の使用。
【請求項4】
ナノ粒子またはナノ粒子集合体の大きさが10ないし200nm付近である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
該電離放射線がX-線、γ-線、電子線および放射性同位元素放射(radioisotope emission)よりなる群から選択される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
電離放射線が約2KeVないし約25000KeVのものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
電離放射線が約2KeVないし約6000KeVのものである請求項6記載の使用。
【請求項8】
電離放射線が約2KeVないし約1500KeVのものである請求項6記載の使用。
【請求項9】
ナノ粒子が少なくとも50の実効原子番号(Eeff)を有する無機材料でできている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
ナノ粒子が実質的に球形の形状である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
標的細胞が良性細胞、前悪性細胞および悪性細胞よりなる群から選択される請求項1ないし10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
該悪性細胞が、血液学的な腫瘍および充実性腫瘍よりなる群から選択される腫瘍からの細胞である請求項11記載の使用。
【請求項13】
医薬組成物が、ガンを治療することを意図する、ナノ粒子またはナノ粒子集合体とは異なる、さらなる治療化合物をさらに含む請求項1ないし12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
該動物がヒトである請求項1ないし13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
標的細胞を電離放射線に曝した場合に動物における該細胞を変化または破壊することが意図された医薬組成物であって、ここに該医薬組成物がナノ粒子またはナノ粒子集合体および医薬上許容される賦形剤を含み、ナノ粒子が酸化物(MxOy)でできており、該酸化物の密度が少なくとも7g/cm3であり、ナノ粒子またはナノ粒子集合体が生理学的流体中のpH6.5ないし7.5でのナノ粒子安定性を許容する生物学的適合性のコーティングで被覆されていることを特徴とする該医薬組成物。

【図1】
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【図2A)】
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【図2B)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図12−5】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−524866(P2011−524866A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512129(P2011−512129)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056880
【国際公開番号】WO2009/147214
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(506377178)
【氏名又は名称原語表記】NANOBIOTIX
【Fターム(参考)】