説明

無機ナノ粒子の安定な分散液

本発明は、無機ナノ粒子が分散剤中に含有されている、無機ナノ粒子の安定な分散液に関し、その際、該分散液に、次のグループ(i)変性、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性されたポリウレタン、及び(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンから選択される少なくとも1つの安定剤ならびにそれらの混合物及び/又は組合せを添加することを特徴する。更に本発明は、前記分散液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機ナノ粒子の分散液の分野に関する。
【0002】
特に、本発明は無機ナノ粒子の安定な分散液ならびにその使用及び製造、更にこの分散液を有する系に関する。更に本発明は、無機ナノ粒子の分散液を安定化させる方法に関する。
【0003】
被覆系及び分散液系(例えば、ラッカー、染料、例えば、印刷用インク、塗料など)ならびにプラスチックの機械的特性を改善するために、特にそれらの耐摩耗性、例えば、引掻耐性又は同様のものを増大させるために、添加剤及び充填剤を挿入することは原則的に当業者に公知である。無機ナノ粒子の分散液が次第に使用されている。このナノ粒子(例えば、TiO2及び/又はZnO)の幾つかは、紫外線抵抗性を改善するためにも使用されている。
【0004】
無機ナノ粒子の慣習的な分散液と頻繁に関わる問題は、不十分な貯蔵安定性であり、特に沈殿する傾向があることである。この現象は最終的に長い貯蔵期間の後に、沈殿したナノ粒子が凝集又は互いに付着してしまい、もはや撹拌及び/又は溶かすことができない硬い残留物を形成し、最終的にはこの分散液は殆ど使用不可能になる。沈殿の傾向は高密度の無機ナノ粒子により促進される。5g/cm3〜6g/cm3の範囲内、又はそれ以上の特に高い密度を有する無機ナノ粒子、例えば、酸化亜鉛、酸化−アンチモン/スズ(ATO)、酸化−インジウム/スズ(ITO)又は同様のものをベースとする無機ナノ粒子は、沈殿物を形成する傾向が特に著しく際立っている。
【0005】
従って、従来技術ではこのような無機ナノ粒子の分散液が特定の添加剤、特に安定剤の添加により、貯蔵安定性もしくは沈殿安定性にする試みが成されてきた。しかし、従来技術で使用されている添加剤もしくは安定剤の決定的な欠点は、それらを加える際に、分散液の流動特性もしくはレオロジー特性を妨げる欠点を伴うことである。すなわち、このように安定化された分散液の不所望な凝固が頻繁に生じる。しかし時折、不所望な相分離に伴い沈殿の結果、栓状沈殿も観察される。従って、このような系は前記の用途には適切ではない。
【0006】
従って、特に前記の系で使用するために適切であり、かつ予め記載した従来技術の欠点が回避されているか又は少なくとも軽減された前記の種類の分散系、特に無機ナノ粒子の分散液を提供することに本発明は課題を成す。
【0007】
特に、本発明の課題は、長期間にわたり貯蔵安定性であるか又は沈殿安定性である前記の種類の、特に無機ナノ粒子の分散液の安定なもしくは安定化された分散系を提供することにあるが、その際に得られる安定化された分散液の流動特性もしくはレオロジー特性は、依然として簡単に前記の利用目的に使用できるようにすべきである(例えば、ラッカー、染料、塗料、プラスチックなど)。
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明(本発明の第一の態様による)は、請求項1に記載の無機ナノ粒子の安定な分散液を提案する。更に、これらの発明の態様の有利な様式は、関連する従属請求項の対象である。
【0009】
本発明の更なる対象(本発明の第二の態様による)は、請求項37に記載の本発明による分散液の使用である。これらの発明の態様の有利な様式は、関連する従属請求項の対象である。
【0010】
更に、本発明の対象(本発明の第三の態様による)は、本発明による分散液を含有している請求項40に記載の本発明の被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物である。これらの発明の態様の有利な様式は、関連する従属請求項の対象である。
【0011】
最終的に、本発明のもう1つの対象(本発明の第四の態様による)は、請求項42に記載の無機ナノ粒子の分散液を安定化させる方法である。
【0012】
本発明の個々の態様だけを成す以下の実施態様及び記述においても、同様に本発明の他の態様が当てはまることは自明であるが、これを明確に言及する必要はない。
【0013】
以下に挙げる全ての相対的もしくはパーセンテージの質量に関する量のデータは、これが本発明の分散液の範囲内では、特に以後に定義されるように全部の成分(付加的な、更なる構成要素もしくは添加剤、分散剤など)を含めた合計が常に100質量%まで補充されるように当業者に選択されることに留意すべきである。この事は当業者には明らかに理解される。
【0014】
その他の点では、当業者は利用に関して又は個々のケースに条件付けられて以下に挙げる量のデータから逸れることも有り得るが、本発明の範囲内から外れることはない。
【0015】
更に、以下に挙げる全てのデータは、平均モル質量もしくは平均分子量に関して、いわゆる重量平均モル質量もしくは重量平均分子量を意味する。
【0016】
意外にも、発明者は予め記載した問題が、当該の無機ナノ粒子の分散液に変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性ポリウレタンをベースとする少なくとも1つの安定剤、又は変性ウレア、特にウレアウレタンをベースとする少なくとも1つの安定剤、又はこれらの混合物及び/又は組合せを添加することにより解決されることを見出した。
【0017】
本発明の対象(本発明の第一の態様による)は、無機ナノ粒子が分散剤中に含有されている無機ナノ粒子の安定な分散液であり、その際、該分散液に、次のグループ
(i)変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性ポリウレタン、及び
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタン
から選択される少なくとも1つの安定剤ならびにそれらの混合物が添加される。
【0018】
従って、本発明の特徴は、変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性されたポリウレタン及び/又は変性ウレア、特にウレアウレタンをベースとする少なくとも1つの安定剤を目的を定めて添加することにより安定化され、それにより貯蔵安定性である本発明による無機ナノ粒子の分散液が提供されることにある。これに関連して、発明者は、このような安定剤の添加により、並はずれた貯蔵安定性の無機ナノ粒子の分散液を用意できることを完全に意外な方法で見出した。前記分散液は、以降の実施例で更に詳述するように、早期のナノ粒子の沈殿を全く生じる傾向が無いか、又は重要ではない程度でしか生じないので、長い貯蔵期間の後でも容易に使用可能である。
【0019】
従って、本発明による分散液は、使用される安定剤が本発明の分散液の粘度、レオロジー特性又は流動性、その使用性にマイナスに影響を与えないことに特徴付けられる。これに関連して、本発明による組成物は、その傑出した貯蔵安定性もしくは沈殿安定性の他に、その良好なレオロジー特性に基づき傑出した使用特性を有するので、これらは以下に記載する系、例えば、ラッカー、染料又はこのようなもの、プラスチック、化粧品又はこのようなものに容易に組込むことができる。その際、更に本発明による分散液は、これで調製すべき組成物中で一様な混入が保証される。このように、本発明による分散液で調製された組成物もしくは系は、改善された機械特性、例えば、引掻耐性又は同様のもの、及び/又は改善された耐性、特に紫外線抵抗が付与される。
【0020】
本発明により使用される安定剤は、それ自体として市販されている製品(例えば、BYK-Chemie、ドイツ)であり、更にその製造は当業者には自体公知である。
【0021】
変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性ポリウレタン、もしくは変性ウレア、特にウレアウレタンをベースとする特定の安定剤を目的を定めて使用することにより、その沈殿挙動に関して極めて問題となる特に高密度を有するナノ粒子、例えば、酸化亜鉛又は同様のものを効率的かつ長期安定に分散させることができるので、このような当該ナノ粒子を貯蔵安定的に分散する系を提供することができる。
【0022】
本発明により使用される変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性ポリウレタン及び/又は変性ウレア、特にウレアウレタンをベースとする安定剤の作用メカニズムは、前記安定剤が本発明による分散液中に、或る程度マトリックスもしくはネットワークを形成し、この中にナノ粒子が或る程度まで蓄積される結果、ナノ粒子は早期に沈殿されないものと解釈されるが、この理論に制限されることない。この場合に、安定剤によって予め記載したマトリックスもしくはネットワークのような構造が形成されるにもかかわらず、予め記載した系におけるその使用もしくは加工性に関して本発明による分散液のレオロジー特性もしくは流動特性が阻害されないことを発明者は意外にも見出した。
【0023】
本発明による分散液の範囲内で本発明により使用される安定剤は、本発明による分散液中に分散された無機ナノ粒子の卓越した沈殿回避特性を生じると同時に、本発明による分散液の規定通りの使用に関して、それ自体よりも低いもしくは最適な本発明の分散液の粘度を生じる。従って、本発明により使用される安定剤は、本発明による分散液の粘度と沈殿挙動の著しい改善を生じ、ひいてはそれらの液滴の一貫性を決定的に高める。この場合に、本発明により使用される安定剤は特に液体の形で存在し、従って扱いやすい。更に、安定剤は実質的に揮発性有機化合物(いわゆるVOCもしくはVolatile Organic Compound(s))不含であるである。その上、使用される安定剤は、その不十分な環境の相容性により実質的に問題となるアルキルフェノールエトキシレート(APEO)不含である。
同様に、本発明により使用される安定剤は少なくとも実質的にpH値に依存しない有効性により傑出している。従って、該安定剤はpH値のコントロールが不必要である。更に、本発明による安定剤に関連して温度のコントロールが不必要である。本発明により使用される安定剤は、分散液の沈殿安定化に関して、本発明による分散液を製造する際に、もしくは本発明による分散液に加える際に迅速な効果を誘発することに傑出している。その結果、いわゆる"熟成時間"が不必要である。本発明により使用される安定剤の強力な有効性に基づき、本発明による分散液に関しては一般に僅かな投与量だけしか必要としない。本発明による分散液を規定通りに使用する際に、本発明の範囲内で使用される安定剤は、天然又は合成シリケート、アクリレートコンセントレート、熱分解法ケイ酸などの従来技術の他の安定剤と比べて、例えば、ラッカーのような本発明による分散液が加えられている予め記載した組成物もしくは系の耐水性を阻害しない。更に、本発明により使用される安定剤は、例えば、ラッカーのような本発明による分散液が加えられている予め記載した組成物もしくは系の光沢に影響を与えない。
【0024】
結局のところ本発明による分散液は、一方では本発明による分散液中に分散したナノ粒子の改善された沈殿挙動により著しい安定性のプラスの特性が、その挿入もしくは添加の際に予め記載した組成物もしくは系の機械的特性もしくは耐性の著しい改善と合わさり、他方ではその際に耐摩耗性、特に引掻耐性の他に、得られた製品の紫外線耐性も同時に良好な光沢を伴って改善される。
【0025】
本発明による分散液に関して、本発明の範囲内では、分散液に対して、(i)変性ポリウレタンを0.002〜5質量%、特に0.005〜2質量%、有利には0.01〜1質量%、特に有利には0.05〜0.75質量%、とりわけ有利には0.1〜0.5質量%の量で添加する場合に、特に有利なものとして明らかになった。予め記載したように、個々の場合に条件付けて又は用途に合わせて、本発明の範囲から離れずに前記の量から逸れてもよい。
【0026】
本発明による分散液中に含有される(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの量に関して、これを更なる範囲内で変化させることができる。一般に、(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンは、分散液に対して0.001〜2質量%、特に0.002〜1.5質量%、有利には0.01〜1質量%、特に0.05〜0.3質量%の量で添加するのがよい。
【0027】
本発明による特に有利な実施態様によれば、本発明による分散液は、安定剤として
(i)変性ポリウレタンと、(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの組合せを有する。従って、これに関連して、一方では(i)変性ポリウレタン、及び他方では(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの両方を目的を定めて添加することにより、本発明による分散液中に分散した無機ナノ粒子の安定化に関して良好な効果が生じ、かつそれにより本発明による分散液それ自体として特に良好な安定性が生じることを発明者は見出した。これに関連して、本発明による分散液中で、一方では(i)変性ポリウレタン、特にウレアウレタン、他方では(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの質量に関する量比は、その安定化に関して重量な役割を果たす。従って、(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンを、(i):(ii)の質量に関する量比を≧1:1、特に≧2:1、有利には≧3:1の組合せで添加する場合、また特に(i):(ii)を10:1〜1:1、特に7:1〜1.5:1の範囲内、有利には6:1〜2:1の範囲内の質量に関する量比で組み合わせる場合に、本発明による分散液の安定化に関して特に良好な結果が得られることを示すことができる。本発明による特に有利な実施態様によれば、(i)と(ii)の組合せは、(i):(ii)が約4:1の質量に関する量比で添加される。
【0028】
この理論に限定されることなく、予め記載した安定剤(i)と(ii)の特定の2つの組合せは、安定化に関して分散液中で更に最適化されたネットワークもしくはマトリックス構造の形成を生じる。これは、(i)と(ii)の質量に関する量比を目的を定めて選択することにより、更に最適化させることができ、その結果これにより更に改善された本発明による分散液の貯蔵安定性が可能になる。このことは、安定剤(i)と(ii)の両方の共同の相互作用による。
【0029】
本発明による分散液中の、(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの組合せの全体量に関して、該分散液は、(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの組合せを、分散液に対して、0.003〜7質量%、特に0.005〜5質量%、有利には0.01〜3質量%、特に有利には0.1〜2質量%の全体量で含有できる。
【0030】
本発明による有利な実施態様によれば、(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンは、互いに種々の平均分子量を有する。これに関連して、(i)変性ポリウレタン:(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの平均分子量の比が、少なくとも5、特に少なくとも7.5、有利には少なくとも10である場合に特に有利であり、特に(i)変性ポリウレタン:(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの平均分子量の比が、2〜50の範囲内、特に5〜40、有利には7.5〜30の範囲内である場合に特に有利であることが分かった。これにより、本発明による分散液の沈殿特性もしくは貯蔵安定性を更に改善することができる。
【0031】
(i)変性ポリウレタンは、有利には5000〜25000Daの範囲内、特に7000〜20000Daの範囲内、有利には9000〜18000Daの範囲内、更に有利には10000〜16000Daの範囲内、とりわけ有利には12000〜15000Daの範囲内の平均分子量を有する。
【0032】
意外にも発明者は、本発明による分散液中で(i)の変性ポリウレタンに関して、一般式(I’)
【化1】

[式(I’)中、
基Xは、3〜6個のヒドロキシル基を有する脂肪族又は脂環式基であり、かつ
基Y1、Y2、Y3、Y4、Y5及びY6は、それぞれ互いに独立に、以下の一般式
【化2】

(ここで、前記式中、Y7は互いに独立に、水素又はメチルであり、かつY8は、(C2〜C22)−アルキル基であり、かつu=1〜100である)
の基である]を使用する場合に、特に良好な結果が得られることを見出した。
【0033】
7が水素である場合には、前記式中、特にエチレンオキシド(EO)単位が数uに存在する。Y7がメチルである場合には、前記式中、特にプロピレンオキシド(PO)単位が数uに存在する。前記式の範囲内で、種々の残基もしくは基の組合せが存在し、特にEO−単位とPO−単位は一定の比、特にモル比で存在する。
【0034】
式(I’)による基Xは、例えば、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリトリトール(Penta)、ジペンタエリトリトール(Dipenta)及びソルビトールのグループから選択することができるが、これに限定されるわけではない。本発明による分散液中、前記式(I’)による種々の化合物の混合物及び/又は組合せを使用することができる。式(I’)に関して、変数uに関しては、特定の数値範囲からの整数が使用される。一般式(I’)の化合物の製造は、当業者に自体公知の方法で、特に基Xのアルコキシル化に引き続き、基Y8のモノイソシアネートとの反応により行われる。
【0035】
更に発明者は、本発明による分散液中、(i)の変性ポリウレタンに関して以下の一般式(I)
【化3】

[ここで式(I)中、
基R1、R2、R3及びR4は、それぞれ互いに独立に、以下の一般式
【化4】

(式中、x=4、y=1であり、かつz=5〜25である)
の基である]の化合物を使用する場合に、特に良好な結果が得られることを見出した。本発明による分散液中では、前記式(I)による種々の化合物の混合物及び/又は組合せ、また一般式(I’)による化合物の混合物及び/又は組合せの形を使用することができる。式(I)に関して、従って変数x、y及びzに関しては、有利には特定の値の範囲からの整数が使用される。
【0036】
本発明により使用される(i)変性ポリウレタンならびにそれらの製造の更なる実施例に関しては、US4079028Aを参照されたい。その際、この文献の開示内容全体を本明細書に関連づけて取り入れることとする。変性ポリウレタン、特に前記一般式(I’)と式(I)は、例えば、相応の実施例、特にUS4079028Aの実施例103により製造することができる。
【0037】
本発明による分散液の範囲内で安定剤として使用可能な(ii)変性ウレアの平均分子量は、本発明による分散液の目的を定めた貯蔵安定性の増大もしくは沈殿特性の改善に重要な役割を果たす。従って、本発明の範囲内では、(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンが、500〜3000Daの範囲内、特に750〜2500Daの範囲内、有利には1000〜2000Daの範囲内、有利には1250〜1750Daの範囲内、とりわけ有利には1500〜1600Daの範囲内の平均分子量を有する場合に特に有利であることが判明した。
【0038】
本発明による分散液の貯蔵特性に関して、特に良好な結果は、(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンが以下の一般式(II)
【化5】

[式(II)中、
R’は以下の基を意味する:
【化6】

5とR6は、それぞれ互いに独立に、以下の基を意味する:
4〜22個の炭素原子を有するn−アルキル基又はイソ−アルキル基;
3〜18個の炭素原子を有するアルケニル基;
シクロアルキル基;
アラルキル基;
式Cm2m+1(O−Cn2nx−の基[m=1〜22、n=2〜4、かつx=1〜15である];
式Cm2m+1(OOC−Cv2vx−の基[m=1〜22、n=2〜4、x=1〜15、かつv=4又は5である];
式Z−C64(O−Cn2nx−の基[n=2〜4、x=1〜15、かつZ=1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である]に相応する場合に達成できる。
【0039】
特に有利な実施態様によれば、本発明による分散液は、(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンが一般式(II’)
【化7】

[式(II’)中、
7とR8は、それぞれ互いに独立に、以下の基を意味する:
【化8】

]に相応するように選択される。
【0040】
本発明により使用される変性ウレアもしくはウレアウレタン(ii)に対する更なる実施態様、特に本発明により有利に使用される変性ウレア、特に前記の一般式(II)もしくは(II’)のウレアウレタン、ならびにそれらの製法に対する更なる実施態様に関しては、発明者自身が由来するドイツ国特許DE10039837C2ならびに平行する米国文献US6617468B2とUS2002/115882A1を参照されたい。ここで、前記の出版物の開示内容全体を本明細書に関連づけて取り入れることとする。
【0041】
前記の式(II)と(II’)に関連して、そこで挙げられている変数p、q、r、m、n、v、x及びn’には、有利には予め示した数字の範囲からの整数が使用される。
【0042】
先に記載したように、本発明による分散液の粘度は、一方では貯蔵安定性の増大に関して、他方ではこれで調製すべき組成物もしくは系、例えば、ラッカー又は同様のものにおける良好な加工性もしくは挿入に関して決定的に重要な役割をする。これに関連して、該分散液は、5rpm及び23℃で、最大で25000mPa・s、特に最大で20000mPa・sのASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有するのがよい。これはいわゆる低い剪断範囲とも称される。その際、予め挙げた粘度の値の検出はスピンドル4を用いて行われる。これは以降の全ての粘度データにも当てはまる。
【0043】
特に、本発明による分散液は、50rpm及び23℃で、1000〜25000mPa・sの範囲内、特に1250〜20000mPa・sの範囲内、有利には1500〜15000mPa・sの範囲内、有利には2000〜10000mPa・sの範囲内のASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有する。
【0044】
予め示した粘度の値の他に、いわゆる低い剪断範囲の範囲内で、粘度の値は比較的に高い又は高い剪断範囲内でも決定的に重要な役割をする。従って、該分散液は50rpm及び23℃で、最大で7000mPa・s、特に最大で5000mPa・sのASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有するのがよい。これに関連して、本発明による分散液は、50rpm及び23℃で、500〜7000mPa・sの範囲内、特に750〜6000mPa・sの範囲内、有利には900〜5000mPa・sの範囲内、有利には1000〜4000mPa・sの範囲内のASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有するのがよい。
【0045】
予め記載したように、本発明による分散液は無機ナノ粒子を含有している。本発明による分散液中に含有されている無機ナノ粒子に関しては、それらの粒子サイズは広範囲に変化することができる。一般に、無機ナノ粒子は0.5〜2000nm、特に1〜1000nmの範囲内、有利には2〜750nmの範囲内、有利には2〜500nmの範囲内、特に有利には5〜300nmの範囲内、とりわけ有利には5〜100nmの範囲内の粒子サイズを有する。粒子サイズの決定は、例えば、透過電子顕微鏡、光回折法又は同様のものを用いて行うことができる。
【0046】
本発明による概念に基づき、予め記載した種類の特定の安定剤の使用下に、本発明による安定な分散液を提供することができ、これは比較的に高い密度を有する無機ナノ粒子を挿入する際にも貯蔵安定性である。これに関連し、無機ナノ粒子の密度は、少なくとも2g/cm3、特に少なくとも3g/cm3、有利には少なくとも4g/cm3、特に有利には少なくとも5g/cm3、とりわけ有利には少なくとも6g/cm3である。
【0047】
特に、無機ナノ粒子は、場合によりドープされた少なくとも1つの金属又は半金属の酸化物、水酸化物、酸化水酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、窒化物、ケイ酸塩、炭化物、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩及び/又はハロゲン化物、特にフッ化物、又は金属/元素から、又はこのような化合物の混合物又は組合せから、有利には少なくとも1つの無機酸化物、水酸化物又は酸化水酸化物、特に有利には無機酸化物から形成されるか、又はこれらの化合物を含有することができる。
【0048】
無機ナノ粒子は、場合によりドープされた少なくとも1つのアルミニウムの、ケイ素の、亜鉛の、チタンの、セリウムの、インジウムの、アンチモンの、スズの及び/又は鉄の酸化物、水酸化物及び/又は酸化水酸化物、有利には酸化物から、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、又はランタンリン酸塩、硫化カドミウム又は硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素、アルカリ土類金属ケイ酸塩、炭化ケイ素又は銀から、又はこのような化合物の混合物又は組合せから形成されるか、又はこれらの化合物を含有することができる。
【0049】
本発明による分散液に関して、無機ナノ粒子が場合によりドープされた少なくとも1つのアルミニウムの、ケイ素の、亜鉛の、チタンの、セリウムの、インジウムの、アンチモンの、スズの及び/又は鉄の酸化物、水酸化物及び/又は酸化水酸化物、有利には酸化物から形成されるか、又はこれらの化合物を含有する場合に特に有利である。
特に本発明の範囲内では、無機ナノ粒子は、酸化ジルコニウム、酸化−インジウム/スズ(ITO)又は酸化−アンチモン/スズ(ATO)をベースとして形成されるか、又は無機ナノ粒子は、酸化亜鉛粒子、酸化−インジウム/スズ粒子(ITO−粒子)又は酸化−アンチモン/スズ粒子であることを予定する。
【0050】
特に有利な実施態様によれば、無機ナノ粒子を表面変性して、特にポリシロキサン基により表面変性して形成することが予定される。このような表面変性は、例えば、ポリシロキサン基により行われる。すなわち、この実施態様の場合は、ナノ粒子の表面に又は表面上に有利には物理的及び/又は化学的に、特に化学的な共有結合によりポリシロキサン基が設置される。
【0051】
ポリシロキサン基による相応の表面変性は、特にこれらが被覆剤及び被覆系に加えられる場合には、本発明による分散液の利用特性の大幅な増大もしくは改善を生じる。特に、ポリシロキサン基での表面変性は、本発明による分散液の僅かな沈殿傾向とゲル形成の傾向につながる。乾燥もしくは硬化した被覆系の脆化にも効果的に抵抗してはたらく。更に、被覆系に加える際に結合剤との相互作用に有利に影響し、このように表面変性されていない粒子と比べて透明性や屈折率が更に改善され、僅かな屈折率の違いにより著しく僅かな光散乱を生じるという利点を表面変性は有する。
【0052】
表面変性、特にポリシロキサン基による表面変性は、従来技術から当業者には原則として公知である。これに関して、発明者自身が由来するDE102005006870A1もしくはEP1690902A2及びDE102007030285A1もしくはPCT/EP2007/006273を参照されたい。それらの開示内容全体を本明細書に関連づけて取り入れることとする。前記の文献は、全てポリシロキサンによる有利には化学結合、特に共有結合の形成による金属又は半金属酸化物又は水酸化物による表面変性に関する。
【0053】
原則的に、本発明による分散液は水性をベースとして形成されるか、もしくは分散剤として水を含有する。
【0054】
そのうえ、原則的に本発明による分散液は有機物をベースとして形成されるか、又は分散剤として少なくとも1つの有機溶剤を含有していてもよい。
【0055】
これに関連して、本発明による分散液中の分散剤の量は広範囲に変化できる。しかし、本発明による分散液は、分散剤、特に水を分散剤に対して、2〜90質量%、特に5〜80質量%、有利には10〜70質量%、特に20〜60質量%の量で含有する場合に特に有利である。
【0056】
更に、本発明による分散液は、少なくとも1つの更なる成分及び/又は少なくても1つの添加剤を含有することができる、これらは特に、保存剤、乳化剤、消泡剤、架橋剤、分散剤、抗酸化剤、安定剤、中和剤、レオロジー調整剤、有機溶剤、可溶化剤及び殺虫剤ならびにそれらの混合物のグループから選択される。前記の成分もしくは添加剤は当業者に周知のものである。
【0057】
保存剤に関しては、本発明の範囲内では本発明による分散液が保存剤、特に殺虫剤、有利には殺微生物剤、有利には少なくとも1つのイソチアゾールをベースとするものを含有することを予定し、その際、分散液は前記保存剤を分散液に対して、特に0.001〜3質量%、特に0.01〜1質量%、有利には0.1〜0.6質量%の量で含有することができる。これにより、効果的な方法で、長期の貯蔵期間の場合でも本発明による分散液が例えば細菌の影響又は菌類の被害により使用できない状況を回避できる。
【0058】
同様に、本発明によれば、該分散液が消泡剤、特にシリコーン消泡剤を有することを予定する。これは、例えば、少なくとも1つのポリシロキサンもしくは少なくとも1つのシロキシル化されたポリエーテルをベースとして形成できる。これに関する消泡剤の量は分散液中で広範囲に変化できる。これに関して、該分散液は消泡剤を、分散液に対して0.001〜2質量%、特に0.01〜0.8質量%、有利には0.05〜0.4質量%の量で含有することができる。消泡剤の添加は、本発明による分散液の製造に関して利点を生じ、特に分散液を製造する際に、特に無機ナノ粒子を分散させる際に、場合により生じる泡の形成を更に減少もしくは阻止できる。
【0059】
同様に本発明による分散液は、架橋剤及び/又は分散剤を含有できる。この場合に、これは特に第四級アンモニウム化合物、有利には酸基により官能化されたポリマーのアルキロールアンモニウム塩をベースとする架橋剤及び/又は分散剤であることができる。同様に、二者択一的に顔料親和性基を有する高分子ブロックコポリマーをベースとする架橋剤及び/又は分散剤を使用できる。本発明による分散液は、分散液に対して、架橋剤及び/又は分散剤を0.1〜25質量%、特に1〜20質量%、有利には5〜15質量%の量で含有することができる。同様に、前記架橋剤及び/又は分散剤の混合物を使用することもでき、その際、これに関する全体量は予め挙げた量の記述に相応するのがよい。
【0060】
全体として本発明の範囲内では、貯蔵安定性、特に沈殿安定性である分散液を作り出すことに成功した。ここで、特に分散液中に存在する無機ナノ粒子は、長期間にわたり全く又は少なくとも実質的に沈殿もしくは凝集しないか、又は析出しない。さもなければ、該分散液は、例えばラッカー又は同様のものにおいて規定通りに使用した場合に役に立たなくなる。
【0061】
本発明による概念に基づき、無機ナノ粒子は長期間にわたり分散液中に残ったままであるように効果的な方法で保証される。その結果、本発明による安定な分散液の長期使用性が一定に保証される。
【0062】
これに関連して、本発明による分散液は20℃の温度で、大気圧(1013mPa)下に、少なくとも3カ月、特に少なくとも6カ月、有利には少なくとも9カ月、有利には少なくとも12カ月の長期間にわたり貯蔵安定性が形成される。
【0063】
更に、20℃の温度で、大気圧(1013mPa)下に6カ月の貯蔵期間後に、無機ナノ粒子に対して、無機ナノ粒子の10質量%未満、特に5質量%未満、有利には3質量%未満が沈殿するのがよい。
【0064】
本発明による分散液は、例えば、被覆剤又は被覆系として、特に、ラッカー、染料又はこのようなものとして、化粧品、特にマニキュア用エナメルとして、接着剤として、及び充填物として形成されるか又は存在することができる。
【0065】
同様に、本発明による分散液を被覆剤及び被覆系に、特にラッカー、染料又はこのようなものに、化粧品、特にマニキュア用エナメルに、接着剤に及び充填物に混和するために考案もしくは規定するか又はこのために使用することができる。このために、通常本発明による分散液は、結果として生じる全体の系に対して0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、有利には1〜10質量%の量で使用される。
【0066】
同様に、本発明は本発明による安定化した分散液の製法に関する。本発明による安定化した分散液の製法に関しては、通常は少なくとも当業者に自体公知の方法で、当該の無機ナノ粒子の安定化されていない分散液に、場合により予め挙げた添加剤もしくは成分を加えながら製造するように行われる。それに続いて、剪断力を加えながら(例えば、撹拌機、混合機、ディソルバーなどの使用下に)、本発明により提供される安定剤の均一な添加を本発明により明記した量で行う。このような方法は、長く貯蔵し過ぎて完全に使用不可能になっていない場合(例えば、個々の微粒子が完全に凝集して存在せず、まだ再分散が可能である場合)には、従来のもしくは商慣習の無機ナノ粒子の分散液を後から変性できるという利点を有する。本発明による安定化した分散液の製造に対する詳細に関しては、不要な繰り返しを避けるために、製法に関して該当する本発明による安定化した分散液に対する前記の実施を参照されたい。更に、補足として以後の実施例も参照されたい。
【0067】
本発明の更なる対象(本発明の第二の態様による)は、本発明による分散液の、被覆剤及び被覆系における、特にラッカー、染料及び同様のもの、全ての種類の分散液、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物における使用である。
【0068】
特に、本発明による安定化した分散液は、機械的特性を改善するために、特にそれらの耐摩耗性、有利には引掻耐性及び/又は摩擦抵抗を増大させるために、前記系で使用できる。本発明による分散液は、本発明による分散液で用意した系の紫外線抵抗性を改善するため又は風解特性を改善するため及び/又は例えば屈折率のような光学特性を改善するため、及び/又は特に発光物質による光学的特徴を改善するために、例えば安全標識の領域で使用される。
【0069】
通常は、本発明のこの態様によれば、本発明による分散液は、結果として生じる全体の系に対して、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、有利には1〜10質量% の量で使用される。
【0070】
本発明の更なる対象(本発明の第三の態様による)は、予め定義もしくは記載した本発明による分散液を含有している被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物である。
【0071】
一般的に、本発明のこの態様によれば、本発明による分散液は、結果として生じる全体の系に対して、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、有利には1〜10質量% の量で使用される。
【0072】
最終的に、本発明の更なる対象(本発明の第四の態様による)は、無機ナノ粒子の分散液を安定化させる方法であり、その際、該分散液は無機ナノ粒子を分散剤中に含有している。前記の本発明による方法は、該分散液に、次のグループ
(i)変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性されたポリウレタン、及び
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタン
から選択される少なくとも1つの安定剤ならびにそれらの混合物が添加されることを特徴とする。
【0073】
これに関連して、本発明による方法の範囲内では、不安定なもしくは安定化されていない無機ナノ粒子の分散液を、予め挙げたウレア変性されたポリウレタン及び/又は変性ウレア、特にウレアウレタンをベースとする安定剤を、当業者に自体公知の方法で製造された安定化されていない分散液に添加することにより後から安定化させることを予定する。これは、例えば剪断力の使用下に、例えば撹拌により、自体公知の装置、例えば撹拌機、ディソルバーなどにおいて実施できる。
【0074】
全体として本発明の範囲内では、少なくとも1つの特定の安定剤を目的を定めて添加することにより著しい貯蔵安定性を提供し、その結果早期に沈殿する傾向がない安定化した無機ナノ粒子の分散液を提供することに成功した。更に、本発明による分散液は、卓越した方法で、その規定通りの使用の範囲内で、例えば、被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤ならびに化粧品に添加もしくは挿入することができ、このことは一様に、例えば引掻耐性のような機械特性、及び紫外線抵抗のような耐性に関して製品特性の著しい改善につながる。この場合に、本発明の範囲内では、本発明による分散液で用意もしくは予定される系に要求されるその他の使用特性にマイナスに影響しないことが保証される(例えば、光沢挙動、表面光沢、粘着力など)。
【0075】
本発明の更なる実施態様、変更及びバリエションは、当業者にとって説明を読む際に容易に認識でき、かつ実施可能である。但し、この場合に本発明の範囲を外れることはない。
【0076】
以下の実施例を用いて本発明を具体的に示すことにするが、本発明は決してこれに制限されることはない。
【0077】
実施例:
実施例I
一般式(I’)の生成物の製造は、US4079028Aの実施例103に記載されている方法で行った。
【0078】
表1:一般式(I’)の生成物
例 X EO/PO(Y7=H/CH3) Y7
A TMP 223/45 C18
B ペンタエリトリトール 265/66 C18
C ジペンタエリトリトール 300/75 C18
D ソルビトール 155/0 C18
E ペンタエリトリトール 177/44 C18
F TMP 245/50 C18
一般式(II’)の生成物の製造は、DE10039837C2に記載されているように行った。
【0079】
表2:一般式(II’)の生成物
例 R78 モル比
G ブチルトリグリコール i−トリデシル 1:1
H ブチルトリグリコール MPEG 500 1:1.75
I ブチルトリグリコール MPEG 350 1:1.5
J ブチルトリグリコール MPEG350/MPEG500 1:1
(1:1)
K MPEG 350 MPEG 500 1:2
【0080】
製造例
例1:安定化されていない無機ナノ粒子の分散液の製造(比較)
酸化亜鉛ナノ粒子(平均粒径D50:約60nm)の水性ベースの分散液を製造した。このために、水37.87g、消泡剤0.1g、保存剤0.3g及び架橋剤及び/又は分散剤11.22gから成る水性ベースの分散液に、ZnO−ナノ粒子50.5gを当業者に自体公知の方法で分散させた。その結果、本発明によらない、50.5質量%濃度の安定化されていないZnO−ナノ粒子の水性ベースの分散液が得られた。貯蔵安定性又は沈殿特性は以下に挙げてある。
【0081】
例2:疎水性変性されたポリウレタンを安定剤として有する無機ナノ粒子の安定化した分散液の製造(本発明による)
実施例1による分散液から出発して、本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液を様々な量の安定剤を用いて製造した。このために、例1からの分散液に様々な量の上記式(I’)の疎水性変性されたポリウレタン(i)("安定剤I")を添加し、かつこの中に剪断力を加えながら均一に加えた。このように、疎水性変性されたポリウレタンを安定剤として有する本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液が生じた。得られた本発明による分散液の関連する貯蔵安定性又は沈殿特性は、以下に挙げてある。
【0082】
例3:変性ウレアを安定剤として有する無機ナノ粒子の安定化した分散液の製造(本発明による)
実施例1による分散液から出発して、本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液を様々な量の安定剤を用いて製造した。このために、例1からの分散液に様々な量の上記式(II’)の変性ウレア(ii)("安定剤II")を添加し、かつこの中に剪断力を加えながら均一に加えた。このように、変性ウレアを安定剤として有する本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液が生じた。得られた本発明による分散液の関連する貯蔵安定性又は沈殿特性は、以下に挙げてある。
【0083】
例4:疎水性変性されたポリウレタンと変性ウレアの組合せを全体の安定剤として有する無機ナノ粒子の安定化した分散液の製造(本発明による)
実施例1による分散液から出発して、本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液を様々な量の安定剤を用いて製造した。このために、例1からの分散液に様々な量の上記式(I’)の疎水性変性されたポリウレタン(i)と上記式(II’)の変性ウレア(ii)の組合せ(安定剤I/安定剤IIのモル重量比>5)を全体の安定剤(共安定剤)として、安定剤I/安定剤IIもしくは安定剤(i)/安定剤(ii)の様々な量比で添加し、かつこの中に剪断力を加えながら均一に加えた。このように、疎水性変性されたポリウレタンと変性ウレアの組合せを全体の安定剤として有する本発明による無機ナノ粒子の安定化した分散液が得られた。得られた本発明による分散液の関連する貯蔵安定性又は沈殿特性は、以下に挙げてある。
【0084】
使用例
先に製造した分散液を、貯蔵安定性又は沈殿傾向ならびにレオロジー特性を評価する目的で、以下の促進老化試験で試験した。以下の表に結果が再現されているが、その際に、1〜5の評点を用いて点数系が使用されている。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
前記の表3〜5には、本発明により使用される安定剤IとIIを用いる場合に、貯蔵安定性の著しい改善もしくは前記分散液の沈殿傾向の著しい減少を達成できることが示されている。それぞれの安定剤の個々の作用を越え、共同作用として評価できる特に良好な効果は、2つの安定剤を一緒に使用することにより達成できた。その際に、関連する量比を目的を定めて選択することにより、作用の最適化を達成することができる。
【0089】
その他の点については、本発明により使用される安定剤が、レオロジー特性もしくは流動特性を基本的に少なくとも変化させないか、又は規定通りの使用が可能な程度にしか変化させないという結果が示されている。
【0090】
その他の点について、種々の貯蔵期間後に選択された分散液の粘度挙動を追跡した。結果は表6に再現されていて、かつ本発明による安定剤の使用下に、安定化した分散液の粘度特性が実質的に変化しないままであることを示している。
【0091】
表6:
例4 ブルックフィールド粘度(23℃)
スピンドル4(ASTM D2196)
0.5質量% 安定剤B+J合計
(安定剤B/安定剤J 約4:1) 5rpm 50rpm
50℃で貯蔵24時間後 2090 mPas 1001 mPas
50℃で貯蔵7日後 2120 mPas 1016 mPas
50℃で貯蔵14日後 2150 mPas 1046 mPas
【0092】
実施例II
製造例
例1’:安定化していない無機ナノ粒子の分散液の製造(比較)
酸化亜鉛ナノ粒子(平均粒径D50:約60nm)の水性ベースの分散液を製造した。このために、水37.87g、消泡剤0.1g、保存剤0.3g及び架橋剤及び/又は分散剤11.22gから成る水性ベースの分散液に、ZnO−ナノ粒子50.5gを当業者に自体公知の方法で分散させた。その結果、本発明によらない50.5質量%濃度の安定化されていないZnO−ナノ粒子の水性ベースの分散液が得られた。貯蔵安定性又は沈殿特性は以下に挙げてある。
【0093】
例2’:ウレア変性したポリウレタンを安定剤として有する無機ナノ粒子の安定化した分散液の製造(本発明による)
実施例1’による分散液から出発して、本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液を様々な量の安定剤を用いて製造した。このために、例1’からの分散液に様々な量の上記式(I)のウレア変性ポリウレタン(i)("安定剤I")を添加し、かつこの中に剪断力を加えながら均一に加えた。このように、ウレア変性ポリウレタンを安定剤として有する本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液が生じた。得られた本発明による分散液の関連する貯蔵安定性又は沈殿特性は、以下に挙げてある。
【0094】
例3’:変性ウレア(ウレアウレタン)を安定剤として有する無機ナノ粒子の安定化した分散液の製造(本発明による)
実施例1’による分散液から出発して、本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液を様々な量の安定剤を用いて製造した。このために、例1’からの分散液に様々な量の上記式(II’)のウレアウレタンをベースする変性ウレア(ii)("安定剤II")を添加し、かつこの中に剪断力を加えながら均一に加えた。このように、変性ウレア(ウレアウレタン)を安定剤として有する本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液が生じた。得られた本発明による分散液の関連する貯蔵安定性又は沈殿特性は、以下に挙げてある。
【0095】
例4’:ウレア変性ポリウレタンと変性ウレア(ウレアウレタン)の組合せを安定剤として有する無機ナノ粒子の安定化した分散液の製造(本発明による)
実施例1’による分散液から出発して、本発明による安定化した無機ナノ粒子の分散液を様々な量の安定剤を用いて製造した。このために、例1’からの分散液に様々な量の上記式(I)のウレア変性ポリウレタン(i)と、上記式(II’)のウレアウレタンをベースとする変性ウレア(ii)の組合せ(安定剤I/安定剤IIのモル重量比>5)を全体の安定剤(共安定剤)として、安定剤I/安定剤IIもしくは安定剤(i)/安定剤(ii)の様々な量比で添加し、かつこの中に剪断力を加えながら均一に加えた。このように、ウレア変性ポリウレタンと変性ウレアを全体の安定剤として有する本発明による無機ナノ粒子の安定化した分散液が得られた。得られた本発明による分散液の関連する貯蔵安定性又は沈殿特性は、以下に挙げてある。
【0096】
使用例
先に製造した分散液を、貯蔵安定性又は沈殿傾向ならびにレオロジー特性を評価する目的で、以下の促進老化試験で試験した。以下の表1’に結果が再現されているが、その際に、1〜5の評点を用いて点数系が使用されている。
【0097】
【表4】

【0098】
前記の表1’には、本発明により使用される安定剤IとIIを用いる場合に、貯蔵安定性の著しい改善もしくは前記分散液の沈殿傾向の著しい減少を達成できるという結果が示されている。それぞれの安定剤の個々の作用を越え、共同作用として評価できる特に良好な効果は、2つの安定剤を一緒に使用することにより達成できた。その際に、関連する量比を目的を定めて選択することにより、作用の最適化を達成することができる。
【0099】
その他の点については、本発明により使用される安定剤が、レオロジー特性もしくは流動特性を基本的に少なくとも変化させないか、又は規定通りの使用が可能な程度にしか変化させないことを結果は示している。
【0100】
その他について、種々の貯蔵期間後に選択された分散液の粘度挙動を追跡した。結果は表2’に再現されていて、かつ本発明による安定剤の使用下に、安定化した分散液の粘度特性が実質的に変化しないままであることを示している。
【0101】
表2’
例4’ ブルックフィールド粘度(23℃)
スピンドル4(ASTM D2196)
0.5質量% 安定剤I+II合計
(安定剤I/安定剤II 約4:1) 5rpm 50rpm
50℃で貯蔵24時間後 2090 mPas 1001 mPas
50℃で貯蔵7日後 2120 mPas 1016 mPas
50℃で貯蔵14日後 2150 mPas 1046 mPas

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機ナノ粒子を分散剤中に含有している無機ナノ粒子の安定な分散液において、
前記分散液に、次のグループ
(i)変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性ポリウレタン、及び
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタン
から選択される少なくとも1つの安定剤ならびにそれらの混合物及び/又は組合せが添加されていることを特徴とする、無機ナノ粒子を分散剤中に含有している無機ナノ粒子の安定な分散液。
【請求項2】
分散液に対して、(i)変性ポリウレタンが0.002〜5質量%、特に0.005〜2質量%、有利には0.01〜1質量%、特に有利には0.05〜0.75質量%、とりわけ有利には0.1〜0.5質量%の量で添加されていることを特徴とする、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
分散液に対して、(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンが0.001〜2質量%、特に0.002〜1.5質量%、有利には0.01〜1質量%、特に有利には0.05〜0.3質量%の量で添加されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分散液。
【請求項4】
安定剤として、(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの組合せが添加されており、その際に特に前記組合せは、(i):(ii)の質量に関する量比が≧1:1、特に≧2:1、有利には≧3:1で添加され、及び/又は特に前記組合せは、(i):(ii)の質量に関する量比が10:1〜1:1の範囲内、特に7:1〜1.5:1の範囲内、有利には6:1〜2:1の範囲内、特に有利には5:1〜3:1の範囲内で添加されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項5】
(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの組合せを、分散液に対して0.003〜7質量%、特に0.005〜5質量%、有利には0.01〜3質量%、特に有利には0.1〜2質量%の全体量で含有していることを特徴とする、請求項4に記載の分散液。
【請求項6】
(i)変性ポリウレタンと(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンは、互いに種々の平均分子量を有し、特にその際に(i)変性ポリウレタンの平均分子量:(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの平均分子量の比は、少なくとも5、特に少なくとも7.5、有利には少なくとも10であり、及び/又は特にその際に(i)変性ポリウレタンの平均分子量:(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンの平均分子量の比は、2〜50の範囲内、特に5〜40の範囲内、有利には7.5〜30の範囲内であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の分散液。
【請求項7】
(i)変性ポリウレタンは、5000〜25000Daの範囲内、特に7000〜20000Daの範囲内、有利には9000〜18000Daの範囲内、有利には10000〜16000Daの範囲内、とりわけ有利には12000〜15000Daの範囲内の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項8】
(i)変性ポリウレタンが、一般式(I’)
【化1】

[式(I’)中、
基Xは、3〜6個のヒドロキシル基を有する脂肪族又は脂環式基であり、かつ
基Y1、Y2、Y3、Y4、Y5及びY6は、それぞれ互いに独立に、以下の一般式
【化2】

(前記式中、Y7は互いに独立に、水素又はメチルであり、かつY8は、(C2〜C22)−アルキル基であり、かつu=1〜100である)
の基である]に相応することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項9】
(i)ウレア変性ポリウレタンは、一般式(I)
【化3】

[式(I)中、
基R1、R2、R3及びR4は、それぞれ互いに独立に、以下の一般式
【化4】

(前記式中、x=4、y=1であり、かつz=5〜25である)
の基である]に相応することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項10】
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンが、500〜3000Daの範囲内、特に750〜2500Daの範囲内、有利には1000〜2000Daの範囲内、有利には1250〜1750Daの範囲内、とりわけ有利には1500〜1600Daの範囲内の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項11】
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンが一般式(II)
【化5】

[式(II)中、
R’は以下の基を意味する:
【化6】

5とR6は、それぞれ互いに独立に、以下の基を意味する:
4〜22個の炭素原子を有するn−アルキル基又はイソ−アルキル基;
3〜18個の炭素原子を有するアルケニル基;
シクロアルキル基;
アラルキル基;
式Cm2m+1(O−Cn2nx−の基[m=1〜22、n=2〜4、かつx=1〜15である];
式Cm2m+1(OOC−Cv2vx−の基[m=1〜22、n=2〜4、x=1〜15、かつv=4又は5である];
式Z−C64(O−Cn2nx−の基[n=2〜4、x=1〜15、かつZ=1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である]に相応することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項12】
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタンは、一般式(II’)
【化7】

[式(II’)中、
7とR8は、それぞれ互いに独立に、以下の基を意味する:
【化8】

]に相応することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項13】
5rpm及び23℃で、最大で25000mPa・s、特に最大で20000mPa・sのASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項14】
5rpm及び23℃で、1000〜25000mPa・sの範囲内、特に1250〜20000mPa・sの範囲内、有利には1500〜15000mPa・sの範囲内、有利には2000〜10000mPa・sの範囲内のASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項15】
50rpm及び23℃で、最大で7000mPa・s、特に最大で5000mPa・sのASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項16】
50rpm及び23℃で、500〜7000mPa・sの範囲内、特に750〜6000mPa・sの範囲内、有利には900〜5000mPa・sの範囲内、有利には1000〜4000mPa・sの範囲内のASTMD2196による動的ブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項17】
無機ナノ粒子を、分散液に対して1〜95質量%、特に5〜90質量%、有利には10〜80質量%、特に有利には20〜70質量%、とりわけ有利には30〜60質量%の量で含有していることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項18】
無機ナノ粒子は、0.5〜2000nmの範囲内、特に1〜1000nmの範囲内、有利には2〜750nmの範囲内、有利には2〜500nmの範囲内、特に有利には5〜300nmの範囲内、とりわけ有利には5〜100nmの範囲内の粒子サイズを有することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項19】
無機ナノ粒子の密度は、少なくとも2g/cm3、特に少なくとも3g/cm3、有利には少なくとも4g/cm3、特に有利には少なくとも5g/cm3、とりわけ有利には少なくとも6g/cm3であることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項20】
無機ナノ粒子は、場合によりドープされた少なくとも1つの金属又は半金属の酸化物、水酸化物、酸化水酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、窒化物、ケイ酸塩、炭化物、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩及び/又はハロゲン化物、特にフッ化物から、又は金属/元素から、又はこのような化合物の混合物又は組合せから、有利には少なくとも1つの無機酸化物、水酸化物又は酸化水酸化物、特に有利には無機酸化物から形成されるか、又はこれらの化合物を含有していることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項21】
無機ナノ粒子は、場合によりドープされた少なくとも1つのアルミニウムの、ケイ素の、亜鉛の、チタンの、セリウムの、インジウムの、アンチモンの、スズの及び/又は鉄の酸化物、水酸化物及び/又は酸化水酸化物、有利には酸化物から、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、又はランタンリン酸塩、硫化カドミウム又は硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素、アルカリ土類金属ケイ酸塩、炭化ケイ素又は銀から、又はこのような化合物の混合物又は組合せから形成されるか、又はこれらの化合物を含有していることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項22】
無機ナノ粒子は、場合によりドープされた少なくとも1つのアルミニウムの、ケイ素の、亜鉛の、チタンの、セリウムの、インジウムの、アンチモンの、スズの及び/又は鉄の酸化物、水酸化物及び/又は酸化水酸化物、有利には酸化物から形成されるか、又はこれらの化合物を含有していることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項23】
無機ナノ粒子は、酸化亜鉛、酸化−インジウム/スズ(ITO)又は酸化−アンチモン/スズ(ATO)をベースとして形成される、及び/又は前記無機ナノ粒子は、酸化亜鉛粒子、酸化−インジウム/スズ粒子(ITO−粒子)又は酸化−アンチモン/スズ粒子であることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項24】
無機ナノ粒子は表面変性されて形成されている、特にポリシロキサン基により表面変性されて形成されていることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項25】
水性をベースに形成されている及び/又は分散液は分散剤として水を含有していることを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項26】
有機物をベースに形成されている、及び/又は分散剤として少なくとも1つの有機溶剤を含有していることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項27】
分散剤、特に水を分散剤に対して2〜90質量%、特に5〜80質量%、有利には10〜70質量%、有利には20〜60質量%の量で含有していることを特徴とする、請求項25又は26に記載の分散液。
【請求項28】
更に少なくとも1つの更なる成分及び/又は少なくとも1つの添加剤、特に保存剤、乳化剤、消泡剤、架橋剤、分散剤、抗酸化剤、安定剤、中和剤、レオロジー調整剤、有機溶剤、可溶化剤及び殺虫剤ならびにそれらの混合物のグループから選択されるものを含有していることを特徴とする、請求項1から27までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項29】
保存剤、特に殺虫剤、有利には少なくとも1つのイソチアゾールをベースとする殺微生物剤を含有し、その際、特に該分散液は保存剤を分散液に対して0.001〜3質量%、特に0.01〜1質量%、有利には0.1〜0.6質量%の量で含有していることを特徴とする、請求項1から28までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項30】
消泡剤、特に少なくとも1つのポリシロキサン及び/又は少なくとも1つのシロキシル化されたポリエーテルをベースとするシリコーン消泡剤を含有し、その際、特に該分散液は、消泡剤を分散液に対して0.001〜2質量%、特に0.01〜0.8質量%、有利には0.05〜0.4質量%の量で含有していることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項31】
架橋剤及び/又は分散剤、特に第四級アンモニウム化合物をベースとする、有利には酸基により官能化されたポリマーのアルキロールアンモニウム塩をベースとする、及び/又は特に顔料親和性基を有する高分子ブロックコポリマーをベースとするものを含有し、及び/又は該分散液は前記架橋剤及び/又は分散剤を分散液に対して、0.1〜25質量%、特に1〜20質量%、有利には5〜15質量%の量で含有していることを特徴とする、請求項1から30までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項32】
貯蔵安定性、特に沈殿安定性を形成することを特徴とする、請求項1から31までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項33】
20℃の温度かつ大気圧(1013mPa)下に、少なくとも3カ月、特に少なくとも6カ月、有利には少なくとも9カ月、有利には少なくとも12カ月の長期間にわたり貯蔵安定性が形成されることを特徴とする、請求項32に記載の分散液。
【請求項34】
20℃の温度かつ大気圧(1013mPa)下に、6カ月の貯蔵期間後に、無機ナノ粒子に対して、無機ナノ粒子の10質量%未満、特に5質量%未満、有利には3質量%未満が沈殿することを特徴とする、請求項32又は33に記載の分散液。
【請求項35】
被覆剤又は被覆系、特にラッカー、染料及び同様のものとして、化粧品、特にマニキュア用エナメルとして、接着剤として及び充填物として形成されることを特徴とする、請求項1から34までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項36】
被覆剤又は被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物中に挿入するための分散液が対象となることを特徴とする、請求項1から35までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項37】
被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、あらゆる種類の分散液、化粧品、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物における、請求項1から36までのいずれか1項に記載の分散液の使用。
【請求項38】
機械的特性を改善するための、特に耐摩耗性、有利には引掻耐性及び/又は耐摩擦性を増大させるための、及び/又は紫外線抵抗性を改善するための、及び/又は風解特性を改善するため及び/又は屈折率のような光学特性を改善するため、及び/又は特に発光物質による光学的特徴を改善するための、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
結果として生じる全体の系に対して0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、有利には1〜10質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項37又は38に記載の使用。
【請求項40】
請求項1から36までのいずれか1項に記載の分散液を含有している被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物。
【請求項41】
請求項40に記載の被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物において、分散液、特に請求項1から36までのいずれか1項に記載の分散液は、結果として生じる全体の系に対して0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、有利には1〜10質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項40に記載の被覆剤及び被覆系、特にラッカー、染料及び同様のもの、プラスチック、発泡剤、化粧品、特にマニキュア用エナメル、接着剤及び充填物。
【請求項42】
無機ナノ粒子の分散液を安定化させる方法であって、その際、該分散液は無機ナノ粒子を分散剤中に含有していて、該分散液に、次のグループ
(i)変性された、特に疎水性変性された、有利にはウレア変性ポリウレタン、及び
(ii)変性ウレア、特にウレアウレタン
から選択される少なくとも1つの安定剤ならびにそれらの混合物が添加されることを特徴とする、無機ナノ粒子の分散液を安定化させる方法。

【公表番号】特表2011−516644(P2011−516644A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502301(P2011−502301)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002527
【国際公開番号】WO2009/129929
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510259817)ビイク−ヒエミー ゲゼルシャフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】BYK−Chemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Abelstrasse 45, D−46438 Wesel, Germany
【Fターム(参考)】