説明

無機ナノ粒子を含有する導電性ポリマーの水性分散体

本発明は、導電性ポリマー組成物、および電子デバイス中におけるそれらの使用に関する。本発明の組成物は、少なくとも1種類の高フッ素化酸ポリマーでドープした少なくとも1種類の導電性ポリマーの水性分散体と無機ナノ粒子とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無機ナノ粒子を含有する導電性ポリマー組成物、および電子デバイス中でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、活性層を含む製品の分類の1つである。有機電子デバイスは少なくとも1つの有機活性層を有する。このようなデバイスは、発光ダイオードなどのように電気エネルギーを放射線に変換したり、電子的過程を介して信号を検出したり、光起電力セルなどのように放射線を電気エネルギーに変換したり、1つ以上の有機半導体層を含んだりする。
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)は、エレクトロルミネッセンスが可能な有機層を含む有機電子デバイスである。導電性ポリマーを含有するOLEDは、以下の構成を有することができ:
アノード/緩衝層/EL材料/カソード
電極の間に追加の層を有する。通常、アノードは、たとえば、インジウム/スズ酸化物(ITO)などの、EL材料中に正孔を注入する能力を有するあらゆる材料である。場合により、アノードは、ガラスまたはプラスチックの基体上に支持されている。EL材料としては、蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。通常、カソードは、EL材料中に電子を注入する能力を有するあらゆる材料(たとえばCaまたはBaなど)である。
【0004】
ITOなどの導電性無機酸化物アノードと直接接触する緩衝層としては、10-3〜10-7S/cmの範囲内の低伝導率を有する導電性ポリマーが一般に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改善された緩衝層材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1種類の高フッ素化酸ポリマーでドープした少なくとも1種類の導電性ポリマーの水性分散体を含み、その中に分散された無機ナノ粒子を有する組成物を提供する。
【0007】
別の一実施形態においては、上記組成物から形成されたフィルムを提供する。
【0008】
別の一実施形態においては、上記フィルムを含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスを提供する。
【0009】
本発明を、添付の図面において例として説明するが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】有機電子デバイスの概略図である。
【0011】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多数の態様および実施形態が本明細書で説明されるが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0013】
いずれか1つまたは複数の本発明の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明は、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、導電性ポリマー、高フッ素化酸ポリマー、無機ナノ粒子、ドープした導電性ポリマー組成物の調製、緩衝層、電子デバイス、および最後に実施例を扱う。
【0014】
1.明細書および特許請求の範囲の中で使用される用語の定義および説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0015】
用語「導体」およびその変形は、電位が実質的に降下することなく層材料、部材、または構造に電流が流れるような電気的性質を有する層材料、部材、または構造を意味することを意図している。この用語は、半導体を含むことを意図している。ある実施形態においては、導体は、少なくとも10-7S/cmの導電率を有する層を形成する。
【0016】
材料に言及する場合の用語「導電性」は、カーボンブラックまたは導電性金属粒子を加えなくても、本来または本質的に導電性となることができる材料を意味することを意図している。
【0017】
用語「ポリマー」は、少なくとも1つの繰り返しモノマー単位を有する材料を意味することを意図している。この用語は、1つのみの種類または化学種のモノマー単位を有するホモポリマー、および、異なる化学種のモノマー単位から形成されるコポリマーなどの2つ以上の異なるモノマー単位を有するコポリマーを含んでいる。
【0018】
用語「酸ポリマー」は、酸性基を有するポリマーを意味する。
【0019】
用語「酸性基」は、イオン化することによって水素イオンをブレンステッド塩基に供与することができる基を意味する。
【0020】
用語「高フッ素化」は、炭素に結合した利用可能な水素の少なくとも90%がフッ素で置き換えられている化合物を意味する。
【0021】
用語「完全フッ素化」および「過フッ素化」は、交換可能に使用され、炭素に結合した利用可能なすべての水素がフッ素で置き換えられている化合物を意味する。
【0022】
本発明の組成物は、1種類以上の異なる導電性ポリマーと1種類以上の異なる高フッ素化酸ポリマーとを含むことができる。
【0023】
導電性ポリマーに言及する場合の用語「ドープした」は、導電性ポリマーが、その導電性ポリマー上の電荷のバランスをとるためのポリマー対イオンを有することを意味することを意図している。
【0024】
用語「ドープした導電性ポリマー」は、導電性ポリマーとそれに会合したポリマー対イオンとを意味することを意図している。
【0025】
用語「層」は、用語「フィルム」と交換可能に使用され、希望する領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよいし、実際の視覚的表示などの特殊な機能の領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層およびフィルムは、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続な技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。
【0026】
用語「ナノ粒子」は、100nm未満の粒度を有する材料を意味する。ある実施形態においては、粒度は10nm未満である。ある実施形態においては、粒度は5nm未満である。
【0027】
用語「水性」は、かなりの部分が水である液体を意味し、一実施形態においては少なくとも約40重量%が水であり;ある実施形態においては、少なくとも約60重量%が水である。
【0028】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、用語「正孔輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過する正電荷の移動を促進することを意味することを意図している。
【0029】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、用語「電子輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、そのような層、材料、部材、または構造から別の層、材料、部材、または構造への負電荷の移動を助長または促進することを意味する。
【0030】
用語「有機電子デバイス」は、1つ以上の半導体層または半導体材料を含むデバイスを意味することを意図している。有機電子デバイスとしては:(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器 光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、赤外(「IR」)検出器、またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的な「または」を意味するのであって、排他的な「または」を意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0032】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0033】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版(2000−2001)に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0034】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。式中、文字Q、R、T、W、X、Y、およびZは、それらに定義されている原子または基を表すために使用されている。他のすべての文字は、従来の原子記号を表すために使用されている。元素周期表中の縦列に対応する族の番号には、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版(2000)中に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0035】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光源、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0036】
2.導電性ポリマー
あらゆる導電性ポリマーを本発明の新規組成物中に使用することができる。ある実施形態においては、導電性ポリマーは、10-7S/cmを超える伝導率を有するフィルムを形成する。
【0037】
本発明の新規組成物に適した導電性ポリマーは、単独で重合させた場合に導電性ホモポリマーを形成する少なくとも1種類のモノマーから製造される。このようなモノマーを本明細書では「導電性前駆体モノマー」と呼ぶ。単独で重合させた場合に導電性ではないホモポリマーを形成するモノマーは、「非導電性前駆体モノマー」と呼ぶ。導電性ポリマーはホモポリマーまたはコポリマーであってよい。本発明の新規組成物に適した導電性コポリマーは、2種類以上の導電性前駆体モノマーから、または1種類以上の導電性前駆体モノマーと1種類以上の非導電性前駆体モノマーとの組み合わせから製造することができる。
【0038】
ある実施形態においては、導電性ポリマーは、チオフェン、ピロール、アニリン、および多環式芳香族から選択される少なくとも1つの導電性前駆体モノマーから製造される。用語「多環式芳香族」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの環は、1つ以上の結合によって連結している場合もあるし、互いに縮合している場合もある。用語「芳香環」は、複素環式芳香環を含むことを意図している。「多環式複素環式芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素環式芳香環を有する。
【0039】
ある実施形態においては、導電性ポリマーは、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピロール、アニリン、および多環式芳香族から選択される少なくとも1つの前駆体モノマーから製造される。これらのモノマーから製造されたポリマーは、本明細書において、それぞれ、ポリチオフェン、ポリ(セレノフェン)、ポリ(テルロフェン)、ポリピロール、ポリアニリン、および多環式芳香族ポリマーと呼ぶ。用語「多環式芳香族」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの環は、1つまたは複数の結合によって連結している場合もあるし、互いに縮合している場合もある。用語「芳香環」は、複素環式芳香環を含むことを意図している。「多環式複素環式芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素環式芳香環を有する。ある実施形態においては、多環式芳香族ポリマーはポリ(チエノチオフェン)である。
【0040】
ある実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるモノマーは、以下の式Iを含み:
【0041】
【化1】

【0042】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され;
1は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR1基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、セレン原子、テルル原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐、および環状の基を含んでいる。用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルキル基を意味することを意図している。用語「アルキレン」は、2つの結合点を有するアルキル基を意味する。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐、および環状の基を含んでいる。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルケニル基を意味することを意図している。用語「アルケニレン」は、2つの結合点を有するアルケニル基を意味する。
【0045】
本明細書において使用される場合、置換基に関する以下の用語は、以下に示す式を意味する:
「アルコール」 −R3−OH
「アミド」 −R3−C(O)N(R6)R6
「アミドスルホネート」 −R3−C(O)N(R6)R4−SO3
「ベンジル」 −CH2−C65
「カルボキシレート」 −R3−C(O)O−Zまたは−R3−O−C(O)−Z
「エーテル」 −R3−(O−R5p−O−R5
「エーテルカルボキシレート」 −R3−O−R4−C(O)O−Zまたは−R3−O−R4−O−C(O)−Z
「エーテルスルホネート」 −R3−O−R4−SO3
「エステルスルホネート」 −R3−O−C(O)−R4−SO3
「スルホンイミド」 −R3−SO2−NH−SO2−R5
「ウレタン」 −R3−O−C(O)−N(R62
式中、すべての「R」基はそれぞれ同じかまたは異なるものであり:
3は単結合またはアルキレン基であり:
4はアルキレン基であり
5はアルキル基であり
6は水素またはアルキル基であり
pは0または1〜20の整数であり
Zは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、N(R54、またはR5である。
上記基はいずれも、さらに非置換の場合も置換されている場合もあり、いずれの基も、過フッ素化基などのように、1つまたは複数の水素がFで置換されていてもよい。ある実施形態においては、上記アルキル基およびアルキレン基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0046】
ある実施形態においては、上記モノマー中、両方のR1を合わせたものが−W−(CY12m−W−を形成し、式中、mは2または3であり、Wは、O、S、Se、PO、NR6であり、Y1は、出現するごとに同種または異種であり、水素またはフッ素であり、Y2は、出現するごとに同種または異種であり、水素、ハロゲン、アルキル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、Y基は、部分フッ素化または完全フッ素化されていてよい。ある実施形態においては、すべてのYが水素である。ある実施形態においては、上記ポリマーはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。ある実施形態においては、少なくとも1つのY基が水素ではない。ある実施形態においては、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素を置換したFを有する置換基である。ある実施形態においては、少なくとも1つのY基が過フッ素化されている。
【0047】
ある実施形態においては、上記モノマーは式I(a)を含む。
【0048】
【化2】

【0049】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され;
7は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、但し、少なくとも1つのR7が水素ではなく、
mは2または3である。
【0050】
式I(a)のある実施形態においては、mが2であり、1つのR7が、5個を超える炭素原子のアルキル基であり、他のすべてのR7が水素である。
【0051】
式I(a)のある実施形態においては、少なくとも1つのR7基がフッ素化されている。ある実施形態においては、少なくとも1つのR7基が、少なくとも1つのフッ素置換基を有する。ある実施形態においては、そのR7基が完全フッ素化されている。
【0052】
式I(a)のある実施形態においては、モノマー上の縮合脂環式環上のR7置換基によって、モノマーの水に対する溶解性が改善され、フッ素化酸ポリマーの存在下での重合が促進される。
【0053】
式I(a)のある実施形態においては、mが2であり、1つのR7が、スルホン酸−プロピレン−エーテル−メチレンであり、他のすべてのR7が水素である。ある実施形態においては、mが2であり、1つのR7が、プロピル−エーテル−エチレンであり、他のすべてのR7が水素である。ある実施形態においては、mが2であり、1つのR7がメトキシであり、他のすべてのR7が水素である。ある実施形態においては、1つのR7が、スルホン酸ジフルオロメチレンエステルメチレン(−CH2−O−C(O)−CF2−SO3H)であり、他のすべてのR7が水素である。
【0054】
ある実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるピロールモノマーは以下の式IIを含む。
【0055】
【化3】

【0056】
式IIにおいて:
1は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR1基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよく;
2は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。
【0057】
ある実施形態においては、R1は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、ウレタン、エポキシ、シラン、シロキサン、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから独立して選択される。
【0058】
ある実施形態においては、R2は、水素、アルキル、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから選択される。
【0059】
一実施形態においては、上記ピロールモノマーは置換されておらず、R1およびR2の両方が水素である。
【0060】
ある実施形態においては、両方のR1が一緒になって、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。これらの基は、モノマーおよび結果として得られるポリマーの溶解性を改善することができる。ある実施形態においては、両方のR1が一緒になって、アルキル基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。ある実施形態においては、両方のR1が一緒になって、少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。
【0061】
ある実施形態においては、両方のR1が一緒になって−O−(CHY)m−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、アミドスルホネート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。ある実施形態においては、少なくとも1つのY基が水素ではない。ある実施形態においては、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。ある実施形態においては、少なくとも1つのY基が過フッ素化されている。
【0062】
ある実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるアニリンモノマーは以下の式IIIを含む。
【0063】
【化4】

【0064】
式中:
aは0または1〜4の整数であり;
bは1〜5の整数であり、但しa+b=5であり;
1は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR1基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0065】
重合すると、このアニリンモノマー単位は、以下に示す式IV(a)または式IV(b)、あるいは両方の式の組み合わせを有することができる。
【0066】
【化5】

【0067】
(上式中、a、b、およびR1は前出の定義の通りである)
【0068】
ある実施形態においては、アニリンモノマーは非置換であり、a=0である。
【0069】
ある実施形態においては、aは0ではなく、少なくとも1つのR1がフッ素化されている。ある実施形態においては、少なくとも1つのR1が過フッ素化されている。
【0070】
ある実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮される縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、2つ以上の縮合芳香環を有し、その環の少なくとも1つが複素環式芳香族である。ある実施形態においては、この縮合多環式複素環式芳香族モノマーは式Vを有し:
【0071】
【化6】

【0072】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNR6であり;
6は、水素またはアルキルであり;
8、R9、R10、およびR11は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;
8とR9、R9とR10、およびR10とR11、のうち少なくとも1つがアルケニレン鎖を形成して5または6員の芳香環を完成させ、その環は、場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含むことができる。
【0073】
ある実施形態においては、縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、式V(a)、V(b)、V(c)、V(d)、V(e)、V(f)、V(g)、V(h)、V(i)、V(j)、およびV(k):
【0074】
【化7】

【0075】
【化8】

【0076】
からなる群から選択される式を有する。
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNHであり;
Tは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、S、NR6、O、SiR62、Se、Te、およびPR6から選択され;
YはNであり;
6は、水素またはアルキルである。
【0077】
上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換されていてもよい。ある実施形態においては、これらの置換基がフッ素化されている。ある実施形態においては、これらの置換基が完全フッ素化されている。
【0078】
ある実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーはチエノ(チオフェン)である。このような化合物は、たとえば、Macromolecules,34,5746−5747(2001);およびMacromolecules,35,7281−7284(2002)において議論されている。ある実施形態においては、このチエノ(チオフェン)は、チエノ(2,3−b)チオフェン、チエノ(3,2−b)チオフェン、およびチエノ(3,4−b)チオフェンから選択される。ある実施形態においては、チエノ(チオフェン)モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される少なくとも1つの基でさらに置換されている。ある実施形態においては、これらの置換基がフッ素化されている。ある実施形態においては、これらの置換基が完全フッ素化されている。
【0079】
ある実施形態においては、新規組成物中のポリマーを形成するために使用が考慮される多環式複素環式芳香族モノマーは式VIを含み:
【0080】
【化9】

【0081】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNR6であり;
Tは、S、NR6、O、SiR62、Se、Te、およびPR6から選択され;
Eは、アルケニレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択され;
R6は、水素またはアルキルであり;
12は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR12基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0082】
ある実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、前駆体モノマーと少なくとも1つの第2のモノマーとのコポリマーである。コポリマーに望まれる性質に悪影響を及ぼさないのであれば、あらゆる種類の第2のモノマーを使用することができる。ある実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にしてポリマーの50%以下を構成する。ある実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして30%以下を構成する。ある実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして10%以下を構成する。
【0083】
第2のモノマーの代表的な種類としては、アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。第2のモノマーの例としては、限定するものではないが、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン、およびトリアジンが挙げられ、これらすべてがさらに置換されていてもよい。
【0084】
ある実施形態においては、本発明のコポリマーは、最初に構造A−B−Cを有する中間前駆体モノマーを形成することによって製造され、式中、AおよびCは、同じかまたは異なっていてもよい前駆体モノマーを表し、Bは第2のモノマーを表す。このA−B−C中間前駆体モノマーは、ヤマモト(Yamamoto)、スティル(Stille)、グリニャール(Grignard)メタセシス、スズキ(Suzuki)、およびネギシ(Negishi)カップリングなどの標準的な合成有機技術を使用して調製することができる。次に、この中間前駆体モノマー単独で酸化重合させる、または1つまたは複数の別の前駆体モノマーとともに酸化重合させることによって、本発明のコポリマーが形成される。
【0085】
ある実施形態においては、導電性ポリマーは、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリマー縮合多環式複素環式芳香族、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0086】
ある実施形態においては、導電性ポリマーは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、非置換ポリピロール、ポリ(チエノ(2,3−b)チオフェン)、ポリ(チエノ(3,2−b)チオフェン)、およびポリ(チエノ(3,4−b)チオフェン)からなる群から選択される。
【0087】
3.高フッ素化酸ポリマー
高フッ素化酸ポリマー(「HFAP」)は、高フッ素化されており、酸性プロトンを有する酸性基を有するあらゆるポリマーであってよい。酸性基は、イオン化可能なプロトンを提供する。ある実施形態においては、酸性プロトンは3未満のpKaを有する。ある実施形態においては、酸性プロトンは0未満のpKaを有する。ある実施形態においては、酸性プロトンは−5未満のpKaを有する。酸性基は、ポリマー主鎖に直接結合していてもよいし、ポリマー主鎖上の側鎖に結合していてもよい。酸性基の例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。酸性基はすべてが同じものである場合もあるし、ポリマーが2種類以上の酸性基を有することもできる。ある実施形態においては、酸性基は、スルホン酸基、スルホンアミド基、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
ある実施形態においては、HFAPは少なくとも95%がフッ素化されており;ある実施形態においては、完全フッ素化されている。
【0089】
ある実施形態においては、HFAPは水溶性である。ある実施形態においては、HFAPは水に対して分散性である。ある実施形態においては、HFAPは有機溶媒に対してぬれ性である。用語「有機溶媒に対してぬれ性」は、フィルムに成形した場合に、有機溶媒と60℃以下の接触角を有する材料を意味する。ある実施形態においては、ぬれ性材料は、55°以下の接触角でフェニルヘキサンによってぬれ性となるフィルムを形成する。接触角の測定方法は周知である。ある実施形態においては、ぬれ性材料は、それ自体は非ぬれ性であるポリマー酸から製造することができ、選択的添加剤を使用することでぬれ性にすることができる。
【0090】
好適なポリマー主鎖の例としては、限定するものではないが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびそれらのコポリマーが挙げられ、これらのすべてが高フッ素化されており;ある実施形態においては、完全フッ素化されている。
【0091】
一実施形態においては、酸性基は、スルホン酸基またはスルホンイミド基である。スルホンイミド基は次式を有し:
−SO2−NH−SO2−R
式中、Rはアルキル基である。
【0092】
一実施形態においては、酸性基はフッ素化側鎖上にある。一実施形態においては、フッ素化側鎖は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせから選択され、それらすべては完全フッ素化される。
【0093】
一実施形態においては、HFAPは、高フッ素化オレフィン主鎖を有し、高フッ素化アルキルスルホネート基、高フッ素化エーテルスルホネート基、高フッ素化エステルスルホネート基、または高フッ素化エーテルスルホンイミド基のペンダント基を有する。一実施形態においては、HFAPは、パーフルオロ−エーテル−スルホン酸側鎖を有するパーフルオロオレフィンである。一実施形態においては、このポリマーは、1,1−ジフルオロエチレンと2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。一実施形態においては、このポリマーは、エチレンと、2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。これらのコポリマーは、対応するフッ化スルホニルポリマーとして製造することができ、後にスルホン酸形態に変換することができる。
【0094】
一実施形態においては、本発明のHFAPは、フッ素化および部分フッ素化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)のホモポリマーまたはコポリマーである。このコポリマーはブロックコポリマーであってよい。
【0095】
一実施形態においては、本発明のHFAPは、式IXを有するスルホンイミドポリマーであり:
【0096】
【化10】

【0097】
式中:
fは、高フッ素化アルキレン、高フッ素化ヘテロアルキレン、高フッ素化アリーレン、および高フッ素化ヘテロアリーレンから選択され、1つ以上のエーテル酸素で置換されていてもよく;
nは少なくとも4である。
【0098】
式IXの一実施形態においては、Rfはパーフルオロアルキル基である。一実施形態においては、Rfはパーフルオロブチル基である。一実施形態においては、Rfはエーテル酸素を含有する。一実施形態においては、nは10を超える。
【0099】
一実施形態においては、本発明のHFAPは、高フッ素化ポリマー主鎖および式Xを有する側鎖を含み:
【0100】
【化11】

【0101】
式中:
15は、高フッ素化アルキレン基または高フッ素化ヘテロアルキレン基であり;
16は、高フッ素化アルキル基または高フッ素化アリール基であり;
aは0または1〜4の整数である。
【0102】
一実施形態においては、本発明のHFAPは式XIを有し:
【0103】
【化12】

【0104】
式中:
16は、高フッ素化アルキル基または高フッ素化アリール基であり;
cは独立して0または1〜3の整数であり;
nは少なくとも4である。
【0105】
HFAPの合成は、たとえば、Feiringら,J.Fluorine Chemistry 2000,105,129−135;Feiringら,Macromolecules 2000,33,9262−9271;Desmarteau),J.Fluorine Chem.1995,72,203−208;Applebyら,J.Electrochem.Soc.1993,140(1),109−111;およびDesmarteauの米国特許第5,463,005号明細書に記載されている。
【0106】
一実施形態においては、HFAPは、少なくとも1種類の高フッ素化エチレン系不飽和化合物から誘導される繰り返し単位も含む。パーフルオロオレフィンは2〜20個の炭素原子を含む。代表的なパーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、CF2=CFO(CF2tCF=CF2(式中、tは1または2である)、およびRf’’OCF=CF2(式中Rf’’は1〜約10個の炭素原子の飽和パーフルオロアルキル基である)が挙げられが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、コモノマーはテトラフルオロエチレンである。
【0107】
一実施形態においては、本発明のHFAPはコロイド形成性ポリマー酸である。本明細書において使用される場合、用語「コロイド形成性」は、水に対して不溶性であり、水性媒体中に分散させた場合にコロイドを形成する材料を意味する。コロイド形成性ポリマー酸は、通常、約10,000〜約4,000,000の範囲内の分子量を有する。一実施形態においては、このポリマー酸は約100,000〜約2,000,000の分子量を有する。コロイドの粒度は、通常2ナノメートル(nm)〜約140nmの範囲内である。一実施形態においては、このコロイドは2nm〜約30nmの粒度を有する。酸性プロトンを有するあらゆる高フッ素化コロイド形成性ポリマー材料を使用することができる。
【0108】
本明細書において前述したポリマーの一部は、非酸形態、たとえば、塩、エステル、またはフッ化スルホニルとして形成することができる。後述するように、これらは、導電性組成物を調製するために酸形態に変換される。
【0109】
ある実施形態においては、HFAPは高フッ素化炭素主鎖と、式
−(O−CF2CFRf3a−O−CF2CFRf4SO35
(上式中、Rf3およびRf4は独立に、F、Cl、または1〜10個の炭素原子を有する高フッ素化アルキル基から選択され、a=0、1または2であり、E5
によって表される側鎖とを含む。場合により、E5はLi、Na、またはKなどの陽イオンであってよく、酸の形態に変換することができる。
【0110】
ある実施形態においては、HFAPは、米国特許第3,282,875号明細書、ならびに米国特許第4,358,545号明細書および第4,940,525号明細書に開示されるポリマーであってよい。ある実施形態においては、HFAPは、パーフルオロカーボン主鎖と、式
−O−CF2CF(CF3)−O−CF2CF2SO35
(式中、E5は前出の定義の通りである)
によって表される側鎖とを含む。この種類のHFAPは、米国特許第3,282,875号明細書に開示されており、テトラフルオロエチレン(TFE)と、過フッ素化ビニルエーテルのCF2=CF−O−CF2CF(CF3)−O−CF2CF2SO2F(パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド)(PDMOF))との共重合の後、スルホニルフルオリド基の加水分解によってスルホネート基に変換し、必要に応じてイオン交換することによってそれらを所望のイオン形態に変換することによって製造することができる。米国特許第4,358,545号明細書および米国特許第4,940,525号明細書に開示されている種類のポリマーの一例は、側鎖−O−CF2CF2SO35を有し、式中のE5は前出の定義の通りである。このポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)と、過フッ素化ビニルエーテルのCF2=CF−O−CF2CF2SO2F(パーフルオロ(3−オキサ−4−ペンテンスルホニルフルオリド)(POPF))との共重合の後、加水分解し、さらに必要に応じてイオン交換することによって製造することができる。
【0111】
HFAPの種類の1つは、本件特許出願人(Wilmington,DE)より水性Nafion(登録商標)分散体として使用されている。
【0112】
4.無機ナノ粒子
本発明の無機ナノ粒子は、絶縁体または半導体であってよい。
【0113】
ある実施形態においては、無機ナノ粒子は金属硫化物または金属酸化物である。半導体金属酸化物の例としては、亜アンチモン酸亜鉛などの混合原子価金属酸化物、および酸素欠損型三酸化モリブデン、五酸化バナジウムなどの非化学量論金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。絶縁性金属酸化物の例としては、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、三酸化モリブデン、酸化バナジウム、および酸化アルミニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
ある実施形態においては、ナノ粒子は、水性導電性ポリマーと適合性であるカップリング剤で表面処理される。表面改質剤の種類としては、シラン、チタネート、ジルコネート、アルミネート、およびポリマー分散剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。表面改質剤は化学官能性を有し、その例としては、ニトリル、アミノ、シアノ、アルキルアミノ、アルキル、アリール、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、スルホン酸、アクリル酸、リン酸、および上記酸のアルカリ塩、アクリレート、スルホネート、アミドスルホネート、エーテル、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、アルキルチオ、およびアリールチオが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、この化学官能性は、ナノ複合材料中の導電性ポリマーまたは次の上の層上の正孔輸送材料と反応するエクスポキシ(expoxy)、アルキルビニル基、およびアリールビニル基などの架橋剤であってもよい。一実施形態においては、表面改質剤は、テトラフルオロ−エチルトリフルオロ−ビニル−エーテルトリエトキシシラン、パーフルオロブタン−トリエトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、ビス(トリフルオロプロピル)−テトラメチルジシラザン、およびビス(3−トリエトキシシリル)プロピルテトラスルフィドなどのようにフッ素化または過フッ素化されている。
【0115】
5.ドープした導電性ポリマー組成物の調製
以下の説明において、導電性ポリマー、HFAP、および無機ナノ粒子は単数形で言及される。しかし、これらのいずれかまたはすべては2種類以上で使用できることを理解されたい。
【0116】
本発明の新規導電性ポリマー組成物は、最初にドープした導電性ポリマーを形成し、次に無機ナノ粒子を加えることによって調製される。
【0117】
ドープした導電性ポリマーは、HFAPの存在下、水性媒体中で前駆体モノマーを酸化重合することによって形成される。この重合は、米国特許出願公開第2004/0102577号明細書、同第2004/0127637号明細書、および同第2005/205860号明細書に記載されている。
【0118】
無機ナノ粒子は、ドープした導電性ポリマー分散体に固体として直接加えることができる。ある実施形態においては、無機ナノ粒子を水溶液中に分散させ、この分散体をドープした導電性ポリマー分散体と混合する。ナノ粒子対導電性ポリマーの重量比は0.1〜10.0の範囲内である。
【0119】
ある実施形態においては、無機粒子を加える前または後のいずれかでpHを増加させる。ドープした導電性ポリマーと無機ナノ粒子との分散体は、形成されたときの約2のpHから中性pHまで安定である。ナノ粒子を加える前に陽イオン交換樹脂で処理することによってpHを調整することができる。ある実施形態においては、pHは塩基水溶液を加えることによって調整される。この塩基の陽イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびアルキルアンモニウムであってよいが、これらに限定されるものではない。ある実施形態においては、アルカリ土類金属陽イオンよりもアルカリ金属の方が好ましい。
【0120】
本明細書に記載の新規導電性組成物から作製されるフィルムを、本明細書では以降「本明細書に記載の新規フィルム」と呼ぶ。これらのフィルムは、連続技術および不連続技術などのあらゆる液相堆積技術を使用して作製することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
こうして形成されたフィルムは、平滑で、比較的透明であり、1.4を超える屈折率(460nmの波長において)を有し、10-7〜10-3S/cmの範囲内の伝導率を有することができる。
【0122】
6.緩衝層
本発明の別の一実施形態においては、本発明の新規導電性ポリマー組成物を含む水性分散体から堆積される緩衝層を提供する。用語「緩衝層」または「緩衝材料」は、電気伝導性材料または半導体材料を意味することを意図しており、限定するものではないが、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を促進または改善する他の特徴などの、1つまたは複数の機能を有機電子デバイス中で有することができる。用語「層」は、用語「フィルム」と交換可能に使用され、希望する領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよいし、実際の視覚的表示などの特殊な機能の領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層およびフィルムは、気相堆積、液相堆積(連続技術および不連続技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
本発明の新規導電性ポリマー組成物の乾燥フィルムは、一般に水中に再分散しない。したがって、緩衝層を複数の薄層として適用することができる。さらに、緩衝層には、損傷を引き起こすことなく異なる水溶性または水分散性の材料の層を上塗りすることができる。驚くべきことに、本発明の新規導電性ポリマー組成物を含む緩衝層は、改善されたぬれ性を有することが分かった。
【0124】
別の一実施形態においては、別の水溶性または水分散性の材料とブレンドされた本発明の新規導電性ポリマー組成物を含む水性分散体から堆積された緩衝層を提供する。加えることができる材料の種類の例としては、ポリマー、染料、コーティング助剤、有機および無機の導電性インクおよびペースト、電荷輸送材料、架橋剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの別の水溶性または水分散性の材料は、単純な分子またはポリマーであってもよい。好適なポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(チエノチオフェン)、およびそれらの組み合わせなどの導電性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
7.電子デバイス
本発明の別の一実施形態においては、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの電気活性層を含み、本発明の新規緩衝層をさらに含む電子デバイスを提供する。用語層または材料に言及する場合の「電気活性」は、電子的または電気放射的(electro−radiative)性質を示す層または材料を意味することを意図している。電気活性層材料は、放射線を発する場合もあるし、放射線を受けた場合に電子−正孔対の濃度変化を示す場合もある。
【0126】
図1に示されるように、典型的なデバイス100は、アノード層110、緩衝層120、電気活性層130、およびカソード層150を有する。カソード層150と隣接して、場合により電子注入/輸送層140が存在する。
【0127】
このデバイスは、アノード層110またはカソード層150に隣接することができる支持体または基体(図示せず)を含むことができる。ほとんどの場合、支持体はアノード層110に隣接している。支持体は、可撓性の場合も剛性の場合もあるし、有機の場合も無機の場合もある。支持体材料の例としては、ガラス、セラミック、金属、およびプラスチックフィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
アノード層110は、カソード層150よりも正孔の注入が効率的な電極である。アノードは、金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合酸化物を含有する材料を含むことができる。好適な材料としては、2族元素(すなわち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)の混合酸化物、11族元素、4族、5族、および6族の元素、ならびに8〜10族の遷移元素が挙げられる。アノード層110を光透過性にするためには、インジウム・スズ酸化物などの12族、13族、および14族の元素の混合酸化物を使用することができる。本明細書において使用される場合、語句「混合酸化物」は、2族元素、あるいは12族、13族、または14族の元素から選択される2種類以上の異なる陽イオンを有する酸化物を意味する。アノード層110の材料の一部の非限定的な具体例としては、インジウム・スズ酸化物(「ITO」)、インジウム・亜鉛酸化物、アルミニウム・スズ酸化物、金、銀、銅、およびニッケルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アノードは、有機材料、特に、ポリアニリンなどの導電性ポリマー、たとえば、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」,Nature vol.357,pp 477 479(11 June 1992)に記載される代表的な材料も含むことができる。発生した光を観察できるように、アノードおよびカソードの少なくとも1つは、少なくとも部分的に透明となるべきである。
【0129】
アノード層110は、化学蒸着法または物理蒸着法、あるいはスピンキャスト法によって形成することができる。化学蒸着は、プラズマ化学蒸着(「PECVD」)または金属有機化学蒸着(「MOCVD」)として行うことができる。物理蒸着としては、イオンビームスパッタリングなどのスパッタリング、ならびにeビーム蒸発、および抵抗蒸発のあらゆる形態を挙げることができる。物理蒸着の具体的な形態としては、高周波マグネトロンスパッタリング、および誘導結合プラズマ物理蒸着(「IMP−PVD」)が挙げられる。これらの堆積技術は、半導体製造分野においては周知である。
【0130】
一実施形態においては、アノード層110は、リソグラフィ作業中にパターン化される。このパターンは、希望に応じて変更することができる。これらの層は、第1の電気接触層材料を適用する前に、第1の可撓性複合バリア構造上にパターン化されたマスクまたはレジストを配置することなどによってパターンを形成することができる。あるいは、これらの層は、全体の層として適用することができ(ブランケット堆積とも呼ばれる)、続いて、たとえば、パターン化されたレジスト層と湿式化学エッチングまたはドライエッチング技術とを使用してパターン化することができる。当技術分野において周知の他のパターニング方法を使用することもできる。
【0131】
緩衝層120は、本明細書に記載の新規導電性組成物を含む。HFAPをドープした導電性ポリマーから作製された緩衝層は、一般に有機溶媒に対して非ぬれ性であり、1.4未満の屈折率(460nmの波長において)を有する。本明細書に記載の緩衝層は、より高いぬれ性になることができ、そのため非極性有機溶媒から次の層がより容易にコーティングされる。本明細書に記載の緩衝層は、1.4を超える屈折率(460nmにおいて)を有することもできる。通常、緩衝層は、当業者に周知の種々の技術を使用して基体上に堆積される。典型的な堆積技術としては、前述したように、気相堆積、液相堆積(連続技術および不連続技術)、および熱転写が挙げられる。
【0132】
図示されていないが、緩衝層120と電気活性層130との間に、場合により層が存在することができる。この層は正孔輸送材料を含むことができる。正孔輸送材料の例は、たとえば、Y.WangによりKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860,1996にまとめられている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子としては:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一般に使用される正孔輸送ポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリスチレンやポリカーボネートなどのポリマー中に、上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることもできる。
【0133】
デバイスの用途に依存するが、電気活性層130は、印加電圧によって活性化される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セル中など)、放射エネルギーに応答し、バイアス電圧の印加を伴ってまたは伴わずに信号を発生する材料の層(光検出器中など)であってよい。一実施形態においては、電気活性材料は、有機エレクトロルミネッセンス(「EL」)材料である、限定するものではないが、小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物などのあらゆるEL材料をデバイス中に使用することができる。蛍光化合物の例としては、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ペトロフ(Petrov)らの米国特許第6,670,645号明細書、ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されるような、フェニルピリジン配位子、フェニルキノリン配位子、またはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウムの錯体などのシクロメタレート化イリジウムおよび白金エレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載されるような有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。電荷輸送ホスト材料と金属錯体とを含むエレクトロルミネッセンス発光層が、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書、ならびにBurrowsおよびThompsonの国際公開第00/70655号パンフレット、および国際公開第01/41512号パンフレットに記載されている。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
場合により使用される層140は、電子の注入/輸送の両方を促進する機能を果たす場合もあるし、層界面における消光反応を防止する閉じ込め層として機能する場合もある。より具体的には、層140は、電子の移動を促進し、この層がなければ層130および150が直接接触する場合の消光反応の可能性を減少させることができる。場合により使用される層140の材料の例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ)およびトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;テトラキス(8−ヒドロキシキノリナト)ジルコニウム;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン誘導体;ならびにそれらの1つまたは複数のあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。場合により使用される層140は無機であってもよく、BaO、LiF、Li2Oなどを含むことができる。
【0135】
カソード層150は、電子または負電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。カソード層150は、第1の電気接触層(この場合はアノード層110)よりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であってよい。本明細書において使用される場合、用語「低い仕事関数」は、約4.4eV以下の仕事関数を有する材料を意味することを意図している。本明細書において使用される場合、「高い仕事関数」は、少なくとも約4.4eVの仕事関数を有する材料を意味することを意図している。
【0136】
カソード層の材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Rb、Cs,)、2族金属(たとえば、Mg、Ca、Baなど)、12族金属、ランタニド(たとえば、Ce、Sm、Euなど)、およびアクチニド(たとえば、Th、Uなど)から選択することができる。アルミニウム、インジウム、イットリウム、およびそれらの組み合わせなどの材料を使用することもできる。カソード層150の材料の非限定的な具体例としては、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユウロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、サマリウム、ならびにそれらの合金および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
通常、カソード層150は、化学蒸着法または物理蒸着法によって形成される。ある実施形態においては、カソード層は、アノード層110に関して前述したように、パターン化することができる。
【0138】
デバイス中の他の層は、そのような層が果たすべき機能を考慮することによってそのような層に有用であることが知られているあらゆる材料でできていてよい。
【0139】
ある実施形態においては、水および酸素などの望ましくない成分がデバイス100内に入るのを防止するために、接触層150の上に封入層(図示せず)が堆積される。このような成分は、有機層130に対して悪影響を及ぼす場合がある。一実施形態においては、封入層は障壁層またはフィルムである。一実施形態においては、封入層はガラス蓋である。
【0140】
図示していないが、デバイス100が追加の層を含むことができることは理解できよう。当技術分野において周知である別の層、またはその他の別の層を使用することができる。さらに、前述のいずれかの層は、2つ以上の副層を含む場合があるし、層状構造を形成している場合もある。あるいは、アノード層110 正孔輸送層120、電子輸送層140、カソード層150、および別の層の一部またはすべては、電荷担体輸送効率またはデバイスの他の物理的性質を向上させるために、処理、特に表面処理を行うことができる。各構成層の材料の選択は、デバイスの稼働寿命を考慮して高いデバイス効率を有するデバイスを得ること、製造時間、および複雑な要因、ならびに当業者に認識されている他の問題点の目標の釣り合いを取ることによって、好ましくは決定される。最適な構成要素、構成要素の構成、および組成の決定は、当業者の日常的な作業であることは理解できるであろう。
【0141】
一実施形態においては、種々の層は以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;緩衝層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層130、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;場合による電子輸送層140、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード150、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合領域の位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。たとえば、電子−正孔再結合領域が発光層中に存在するように、電子輸送層の厚さを選択すべきである。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0142】
動作中、適切な電源(図示せず)からの電圧がデバイス100に印加される。したがって、デバイス100の層全体に電流が流れる。電子が有機ポリマー層に入り、フォトンを放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる一部のOLEDでは、光活性有機フィルムの個別の堆積物を、電流の流れによって独立に励起させることができ、それによって個別のピクセルを発光させることができる。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる一部のOLEDでは、光活性有機フィルムの堆積物は、電気接触層の横列および縦列によって励起させることができる。
【0143】
本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特に明記しない限り、それらの記載内容全体が参照により援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0144】
明確にするため、別々の実施態様の状況で、前述または後述される本発明の特定の特徴は、1つの実施態様において組み合わせて提供することもできることを理解されたい。逆に、簡潔にするため、1つの実施態様の状況で説明される本発明の種々の特徴を、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることもできる。さらに、複数の値が複数の範囲内にあると言及されている場合、そのそれぞれの値がそれらの範囲内に含まれる。
【実施例】
【0145】
比較例A
この比較例では、無機ナノ粒子を加えていないPAni/Nafion(登録商標)である、ポリ(テトラフルオロエチレン)/パーフルオロエーテルスルホン酸のフィルムの低導電率および非ぬれ性を示す。
【0146】
この実施例で使用したPAni/Nafion(登録商標)分散体は、EW(酸当量)が1000である水性Nafion(登録商標)コロイド分散体を使用して調製した。温度が約270℃であることを除けば、米国特許第6,150,426号明細書、実施例1、パート2の手順と類似の手順を使用して、25%(w/w)のNafion(登録商標)分散体を作製、次に水で希釈して、重合用の12.0%(w/w)分散体を形成した。
【0147】
500mLの反応釜に、96.4gの固形分12%水性Nafion(登録商標)分散体(11.57mmolのSO3H基)、103gの水とを投入した。希釈したNafion(登録商標)を、二段プロペラブレードを取り付けたオーバーヘッドスターラーを使用して300RPMで撹拌した。この希釈したNafion(登録商標)分散体に、15mLの水中に溶解させた1.21g(5.09mmol)の過硫酸ナトリウム(Na228)と、266μL(9.28mmol)のHClおよび20mL水中に溶解させた422μL(4.63mmol)のアニリンとを迅速に加えた。得られた重合液体は不透明になり、非常に粘稠になったが、5分以内に色の変化は見られなかった。約20mgの硫酸第二鉄を加えたが、色の変化は見られなかった。しかし、30分後に重合液体は青くなり始め、その後緑色に変化した。約8時間後、それぞれ25gのDowex M31およびDowex M43のイオン交換樹脂、ならびに100gの脱イオン水を重合混合物に加えた。混合物を終夜撹拌した後、濾紙で濾過した。濾液に100gの脱イオン水を加えて粘度を低下させた。これを5つの部分に分割した。
【0148】
第1の部分は、塩基を加えずにそのまま維持した。この部分を測定すると、pH2を有し、2.88%(w/w)のPAni/Nafion(登録商標)を含有することが分かった。このPAni/Nafion(登録商標)から薄膜を作製し、続いて空気中130℃で焼き付けを行った。この薄膜の室温の導電率を測定すると1.2×10-8S/cmとなり、これは表1にも示されている。薄膜にトルエンの小さな液滴1つを載せると、薄膜からトルエンがすぐに転げ落ち、このことはこの薄膜表面が非極性有機溶媒に対してぬれ性でないことを示している。非極性溶媒は、発光ポリマーおよび発光小分子に対して一般に使用されている。
【0149】
pH2のPAni/Nafion(登録商標)の第2の部分に0.1MのNaOH水溶液を加えてpH5.0にした。この部分のNa+含有分散体を測定すると、2.89%(w/w)PAni/Nafion(登録商標)を含有することが分かった。このpH5.0のPAni/Nafion(登録商標)から作製した薄膜の導電率を測定すると3.8×10-8S/cmとなり、これは表1にも示されている。このPAni/Nafion(登録商標)薄膜について試験すると、トルエンに対して非ぬれ性であった。
【0150】
実施例1
この実施例では、PAni/Nafion(登録商標)である、ポリ(テトラフルオロエチレン)/パーフルオロエーテルスルホン酸のフィルムの伝導率およびぬれ性の向上に対する半導体ナノ粒子の影響を示す。
【0151】
本開示の実施形態を説明するために、比較例1で調製したpH2およびpH5.0のPAni/Nafion(登録商標)分散体を使用した。5.0166gのpH2のPAni/Nafion(登録商標)分散体に1.1313gのCelnax CX−Z300H−F2(登録商標)(Nissan Chemical Industries、Ltd.(Houston,Texas,USA)の水性亜アンチモン酸亜鉛分散体)を加えた。CX−Z300H−F2はpHが約7であり、20nm未満の大きさの26.47%(w/w)亜アンチモン酸亜鉛粒子を含有する、配合物中のPAni/Nafion(登録商標)ポリマー対亜アンチモン酸亜鉛の重量比は約0.47である。この混合物は、少なくとも5か月の期間にわたって粒子の沈降の徴候がない安定な分散体を形成する。また、この混合物は、水を乾燥させると平滑で透明なフィルムを形成する。これらのデータは、特にCelnax CX−Z300H−F2(登録商標)からの亜アンチモン酸スズがPAni/Nafion(登録商標)と適合性であることを明確に示している。しかし、このプロセスは、少なくとも5nm未満の厚さを有する表面平滑性を改善するためには、2つの成分を互いに単純に加えるのではなく、よりエネルギー強度の高いプロセスによって改善される。PAni/Nafion(登録商標)および亜アンチモン酸亜鉛を含有する分散体の薄膜伝導率を室温で測定すると6.6×10-4S/cm(2つのフィルム試料の平均)となり、これは表1にも示されている。伝導率は、4桁を超える大きさで向上した。薄膜に1滴のトルエンを接触させた。トルエンは薄膜表面に容易に広がり、この薄膜が一般的な非極性有機溶媒に対してぬれ性となることを示している。
【0152】
pH5.0のPAni/Nafion(登録商標)にもCX−Z300H−F2を加えて、導電性およびぬれ性に対するその影響を調べた。5.0666gのpH5.0のPAni/Nafion(登録商標)分散体に1.1450gのCelnax CX−Z300H−F2(登録商標)を加えた。配合物中のPAni/Nafion(登録商標)ポリマー対亜アンチモン酸亜鉛の重量比は約0.47である。この混合物は、粒子の沈降の徴候がない安定な分散体を形成する。また、この混合物は、水を乾燥させると平滑で透明なフィルムを形成する。これらのデータは、特にCelnax CX−Z300H−F2(登録商標)からの亜アンチモン酸スズがPAni/Nafion(登録商標)と適合性であることを明確に示している。しかし、このプロセスは、少なくとも5nm未満の厚さを有する表面平滑性を改善するためには、2つの成分を互いに単純に加えるのではなく、よりエネルギー強度の高いプロセスによって改善される。PAni/Nafion(登録商標)および亜アンチモン酸亜鉛を含有する分散体の薄膜伝導率を室温で測定すると9.3×10-4S/cm(2つのフィルム試料の平均)となり、これは表1にも示されている。伝導率は、4桁を超える大きさで向上した。薄膜に1滴のトルエンを接触させた。トルエンは薄膜表面に容易に広がり、この薄膜が一般的な非極性有機溶媒に対してぬれ性となることを示している。
【0153】
【表1】

【0154】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0155】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0156】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0157】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。
【0158】
本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の高フッ素化酸ポリマーでドープした少なくとも1種類の導電性ポリマーの水性分散体と、
無機ナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子が半導体または絶縁性のいずれかである、組成物。
【請求項2】
前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン、ポリ(セレノフェン)、ポリ(テルロフェン)、ポリピロール、ポリアニリン、多環式芳香族ポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記導電性ポリマーが、非置換ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、非置換ポリピロール、ポリ(チエノ(2,3−b)チオフェン)、ポリ(チエノ(3,2−b)チオフェン)、およびポリ(チエノ(3,4−b)チオフェン)からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記高フッ素化酸ポリマーが少なくとも95%フッ素化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記高フッ素化酸ポリマーがスルホン酸およびスルホンイミドから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記高フッ素化酸ポリマーが、パーフルオロ−エーテル−スルホン酸側鎖を有するパーフルオロオレフィンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記高フッ素化酸ポリマーが、1,1−ジフルオロエチレンと2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマー、およびエチレンと2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマー、からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記高フッ素化酸ポリマーが、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸)とのコポリマー、およびテトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(3−オキサ−4−ペンテンスルホン酸)とのコポリマーから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ナノ粒子が、金属硫化物、金属酸化物、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物が、亜アンチモン酸亜鉛、酸素欠損型三酸化モリブデン、五酸化バナジウム、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、三酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ナノ粒子対導電性ポリマーの重量比が0.1〜10.0の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物から作製されたフィルム。
【請求項14】
460nmにおいて1.4を超える屈折率を有する、請求項13に記載のフィルム。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物から作製された少なくとも1つの層を含む電子デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2010−534739(P2010−534739A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518326(P2010−518326)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/070718
【国際公開番号】WO2009/018009
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】