説明

無機フィラー及び有機フィラー含有硬化性樹脂組成物、並びにレジスト膜被覆プリント配線板及びその製造方法

【課題】無機フィラーを硬化性樹脂組成物に高配合した場合でも硬化膜は耐クラック性に優れており、それ故、より多くの機能性無機フィラーを配合することができ、その結果、より大きな機能特性を硬化膜に付与することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(I)硬化性樹脂100重量部に対し、(II)無機フィラー10〜1200重量部と、(III)弾性率(MPa)1〜2000且つ平均粒径0.01〜10μmの有機フィラー1〜100重量部とを、成分(II)と(III)との含有重量比1〜40にて含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プリント配線板(特に、白色プリント配線板や発熱部品搭載用プリント配線板等)のレジストインキ等として有用な硬化性樹脂組成物、並びにそのレジスト膜被覆プリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の機能性無機フィラーを配合(充填)した硬化性樹脂組成物が知られている。例えば、プリント配線基板用白色積層板の可視短波長領域での反射率を高めるべく、反射性無機フィラーとして着色剤(酸化チタン)と蛍光剤を配合した熱硬化性樹脂が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、パワートランジスタやハイブリッドICのように発熱量の大きい部品を高密度実装する金属基板の被覆絶縁層に高い放熱性を持たせるべく、放熱性無機フィラーとして高熱伝導性物質(アルミナ等)を配合した熱硬化性樹脂ワニスが知られている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、上記何れの場合も、無機フィラーを硬化性樹脂組成物に高配合した場合、得られる硬化膜の耐クラック性が十分でない、といった問題があった。そのため、機能性無機フィラーの充填量に自ずと限界があり、それ故、十分に大きな機能特性(光の反射率、放熱性等)を硬化膜に付与することができなかった。
【特許文献1】特開2003−152295号公報。
【特許文献2】特開平8−83963号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑み、本願発明は、無機フィラーを硬化性樹脂組成物に高配合した場合でも硬化膜は耐クラック性に優れており、それ故、より多くの機能性無機フィラーを配合することができ、その結果、より大きな機能特性を硬化膜に付与することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
特に、本願発明は、光の反射率、耐クラック性、及び耐黄変性等に優れたレジスト膜を与える、白色プリント配線板等のレジストインキに適した硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本願発明は、放熱性、耐クラック性、及び耐変色性等に優れたレジスト膜を与える、発熱部品搭載プリント配線板等のレジストインキに適した硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明者が鋭意、検討した結果、以下の本発明を成すに到った。
即ち、本願第1発明は、(I)硬化性樹脂100重量部に対し、(II)無機フィラー10〜1200重量部と、(III)弾性率(MPa)1〜2000且つ平均粒径0.01〜10μmの有機フィラー1〜100重量部とを、成分(II)と(III)との含有重量比1〜41にて含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
【0008】
本願第2発明は、成分(II)が、白顔料及び/又は熱伝導率(W/m・K)1.0〜500の物質であることを特徴とする本願第1発明の硬化性樹脂組成物を提供する。
本願第3発明は、成分(III)が、ゴム粒子であることを特徴とする本願第1又は2発明の硬化性樹脂組成物を提供する。
【0009】
本願第4発明は、硬化性樹脂組成物が、(A):下記樹脂(I−1)及び(I−2)、並びに成分(II)〜(VI)を含有する光・熱硬化性樹脂組成物、(B):下記樹脂(I−2)、成分(II)、(III)、及び(VI)を含有する熱硬化性樹脂組物、又は(C):下記樹脂(I−1)、及び成分(II)〜(V)を含有する光硬化性樹脂組成物、であることを特徴とする本願第1〜3発明の何れかの硬化性樹脂組成物を提供する。
【0010】
(I−1)光硬化性樹脂
(I−2)熱硬化性樹脂
(II) 無機フィラー
(III)有機フィラー
(IV) 光反応性モノマー
(V) 光硬化剤
(VI) 熱硬化剤
【0011】
本願第5発明は、樹脂(I−1)が、エチレン性不飽和酸を必須モノマーとして重合して得られる酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物との反応物であって、分子中に芳香環を有しないもの、及び/又は脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物を必須モノマーとして重合して得られる脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有樹脂と酸基含有不飽和化合物との反応物であって、分子中に芳香環を有しないもの、であることを特徴とする本願第4発明の硬化性樹脂組成物を提供する。
【0012】
本願第6発明は、本願第1〜5発明の何れかの硬化性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成することを特徴とするレジスト膜被覆プリント配線板の製造方法を提供する。
本願第7発明は、本願第6発明の製造方法にて製造されたことを特徴とするレジスト膜被覆プリント配線板を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明により、無機フィラーを硬化性樹脂組成物に高配合した場合でも硬化膜は耐クラック性に優れており、それ故、より多くの機能性無機フィラーを配合することができ、その結果、より大きな機能特性を硬化膜に付与することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本願発明を、最良の実施形態に基づき詳述する。
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、(I)硬化性樹脂が含有される。成分(I)としては、(I−1)光硬化性樹脂が挙げられる。樹脂(I−1)としては、1分子中にカルボキシル基と少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を持つ光硬化性(特に紫外線硬化性)プレポリマー(特にオリゴマー又はポリマー)が好ましい。また、樹脂(I−1)は、平均分子量1000〜100000(特に3000〜70000)、及び酸価(mgKOH/g)300以下[特に30〜160(就中40〜130)]が好ましい。酸価が小さ過ぎるとアルカリ現像性が十分でなくなり、逆に大き過ぎるとレジスト被膜特性(耐薬品性、基板に対する密着性、電気絶縁性、硬度等)が低下することがある。
【0015】
そのような樹脂(I−1)としては、具体的には、(I−1−i)エチレン性不飽和酸を必須モノマーとして重合して得られる酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基及び/又はオキセタン基含有不飽和化合物(「脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物」とも言う。)との反応物、が挙げられる。
化合物(I−1−i)の調製原料である酸基含有アクリル系樹脂は、エチレン性不飽和酸を必須モノマーとして重合することにより得られる。具体的には、エチレン性不飽和酸の単独重合体、及びエチレン性不飽和酸と「他のモノマー」との共重合体等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0016】
エチレン性不飽和酸としては、具体的には(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、ソルビン酸等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0017】
「他のモノマー」としては、具体的にはC1〜C8アルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等]、2−ヒドロキシC1〜C18アルキル(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、エチレングリコールモノメチルアクリレート、エチレングリコールモノメチルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルアクリレート、エチレングリコールモノエチルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロ
【0018】
ールメタクリレート、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
【0019】
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、アクリル酸カルビトール、メタクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性テトラフルフリルアクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールエトキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等、ビニ
【0020】
ル芳香族化合物[例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン等]、アミド系不飽和化合物[例えば(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等]、ポリオレフィン系化合物[例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等]及びその他[例えば(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート等]等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0021】
化合物(I−1−i)の他方の調製原料である脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物としては、分子中にラジカル重合性の不飽和基と脂環式エポキシ基(オキセタン基)とを有する化合物が挙げられる。そのような脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物としては、次式にて表されるものが挙げられる。
【0022】
【化1】

【0023】
式中、Rは、H又は置換基を有してよいCHを表す。
式中、Rは、置換基を有してよい2価の炭化水素基を表す。具体的には、Rとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ポリメチレン、フェニレン、シクロヘキシレン、キシリレン等の各基が挙げられる。
【0024】
式中、nは、0又は1を表す。
式中、Rは、縮環してもよいエポキシ基及び/又はオキセタン基(「エポキシ基(オキセタン基)」とも言う。)を有する1価基を示す。具体的には、Rとしては、グリシジル基、オキセタン基、及び次式にて表されるものが挙げられる。
【0025】
【化2】

【0026】
具体的には、脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、C1〜C6アルキル−2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレート[2−メチル−2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチル−2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレート等]、脂環式エポキシ基を有する化合物[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアミノアクリレート等]、及び次式にて表されるもの等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0027】
【化3】

【0028】
化合物(I−1−i)の調製は、例えば酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物とを約20〜120℃、約1〜5時間の反応条件で反応させることにより行うことができる。
化合物(I−1−i)は、平均分子量1000当り不飽和基数0.2〜4.0(特に0.7〜3.5)個が好ましい。不飽和基数が少な過ぎると、被膜の硬化性が不充分となって、被塗物に対する密着性、耐水性等が劣ることがある。逆に、不飽和基数が多過ぎると、酸基含有アクリル系樹脂との付加反応中に増粘、ゲル化する恐れがある。
【0029】
また、化合物(I−1−i)は、平均分子量1000〜100000(特に3000〜70000)が好ましい。分子量が小さ過ぎると、被膜の耐水性が劣ることがある。逆に、分子量が大き過ぎると、高粘度となり取り扱いが不便となり、また増膜性も悪くなり耐水性被塗物に対する密着性が劣る被膜となることがある。
更に、化合物(I−1−i)は、酸価は300以下が好ましい。酸価が大き過ぎると、被膜の耐水性が劣ることがある。
【0030】
化合物(I−1−i)としては、(メタ)アクリル酸とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを部分的に反応させたものが好ましい。
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−ii)脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物を必須モノマーとして重合して得られる脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有樹脂と酸基含有不飽和化合物との反応物、が挙げられる。
【0031】
化合物(I−1−ii)の調製原料である脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有樹脂は、脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物を必須モノマーとして重合することにより得られる。具体的には、脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物の単独重合体、及び脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物と「他のモノマー」との共重合体等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0032】
脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物及び「他のモノマー」としては、それぞれ化合物(I−1−i)の説明において例示したものが挙げられる。
化合物(I−1−ii)の他方の調製原料である酸基含有不飽和化合物としては、分子中に不飽和基と酸基とを有する化合物が挙げられる。そのような酸基含有不飽和化合物としては、具体的には(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、(無水)マレイン酸等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0033】
化合物(I−1−ii)の調製は、例えば脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有樹脂と酸基含有不飽和化合物とを約20〜150℃、約1〜7時間の反応条件で反応させることにより行うことができる。
化合物(I−1−ii)は、平均分子量1000当り不飽和基数0.2〜4.0(特に0.7〜3.5)個、及び平均分子量1000〜100000(特に3000〜70000)が好ましい。
【0034】
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−iii)分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基をエステル化反応させ、生成した水酸基にさらに飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させたもの、が挙げられる。
【0035】
上記多官能エポキシ化合物としては、具体的にはノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール、クレゾール、アルキルフェノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック類に、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるもの)等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。好ましくは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である。
【0036】
上記不飽和モノカルボン酸としては、化合物(I−1−i)においてエチレン性不飽和酸として例示したものが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
上記エステル化反応は、全エステル化又は部分エステル化でもよく、好ましくは全エステル化である。
【0037】
上記多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸及びヘキサヒドロフタル酸である。
【0038】
上記多塩基酸無水物との反応は、生成した水酸基1個当り、0.15モル以上の多塩基酸無水物を使用するのが好ましい。
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−iV)アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートからなる共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させたもの、が挙げられる。
【0039】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、化合物(I−1−i)において「他のモノマー」として例示したものが挙げられる。
上記共重合体の調製において、アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートの配合割合は、モル比で40:60〜80:20が好ましい。
【0040】
上記共重合体は、平均分子量5000〜70000(特に10000〜50000)が好ましい。
上記多塩基酸無水物としては、化合物(I−1−iii)の説明において例示したものが挙げられる。
【0041】
化合物(I−1−iV)の調製は、化合物(I−1−iii)と同様にして行うことができる。
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−V)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させたもの、が挙げられる。
【0042】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにおいて、ヒドロキシアルキル基は一級水酸基を有するC1〜6の脂肪族炭化水素基が好ましい。具体的には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、化合物(I−1−i)の説明において「他のモノマー」として例示したものが挙げられる。
【0043】
上記共重合体の調製において、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートの配合割合は、モル比で10〜50:10〜70:20〜60(特に15〜30:30〜50:30〜50)が好ましい。
上記共重合体は、平均分子量10000〜70000(特に20000〜60000)が好ましい。
【0044】
上記多塩基酸無水物としては、化合物(I−1−iii)の説明において例示したものが挙げられる。
化合物(I−1−iV)の調製は、化合物(I−1−iii)と同様にして行うことができる。
【0045】
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−Vi)分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸と、分子中に少なくとも2個の水酸基及び1個の他の反応性基を有する化合物(以下「水酸基・反応性基含有化合物」とも言う。)との反応物に、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させたもの、が挙げられる。
【0046】
上記多官能エポキシ化合物としては、化合物(I−1−iii)の説明において例示したものが挙げられる。
上記不飽和モノカルボン酸としては、化合物(I−1−i)においてエチレン性不飽和酸として例示したものが挙げられる。
上記水酸基・反応性基含有化合物において、反応性基はエポキシ基と反応する基であって、水酸基以外のものである。具体的には、上記水酸基・反応性基含有化合物としては、ジメチロールプロピオン酸等のポリヒドロキシ含有モノカルボン酸等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
【0047】
上記反応物の調製においては、添加剤として後述の成分(IV)光反応性モノマーを加えてもよい。
上記反応物の調製において、多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸と水酸基・反応性基含有化合物とを、多官能エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、不飽和モノカルボン酸と水酸基・反応性基含有化合物との総量が約0.8〜1.3(特に約0.9〜1.1)モルとなる比率で反応させるのが好ましい。更に、不飽和モノカルボン酸と水酸基・反応性基含有化合物との総量1モルに対して、水酸基・反応性基含有化合物0.05〜0.5(特に約0.1〜0.3)モルが好ましい。
【0048】
上記反応物の調製において、反応条件としては反応温度60〜150℃、反応時間5〜60時間であってよい。
上記多塩基酸無水物としては、化合物(I−1−iii)の説明において例示したものが挙げられる。
上記多塩基酸無水物との反応は、上記で調製した反応物中の水酸基1当量当り、多塩基酸無水物0.1〜0.9当量の反応比にて、60〜150℃、1〜10時間、行うのが好ましい。
【0049】
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−Vii)不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、例えば不飽和多塩基酸無水物(無水マレイン酸等)とビニル基含有芳香族炭化水素(スチレン等)との共重合体にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させたもの、が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、化合物(I−1−V)の説明において例示したものが挙げられる。
【0050】
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−Viii)不飽和基含有ポリカルボン酸ウレタン樹脂、例えば前記(I−1−Vi)において述べた反応物と、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物と、不飽和基含有モノイソシアネートとの反応物、が挙げられる。
上記多塩基酸無水物としては、化合物(I−1−iii)の説明において例示したものが挙げられる。
上記不飽和基含有モノイソシアネートとしては、具体的にはメタクリロイルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は有機ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]とを約等モル比で反応させることにより得られる反応物等が挙げられる。
【0051】
化合物(I−1−Viii)の調製は、先ず、前記(I−1−Vi)において述べた反応物と多塩基酸無水物とを、前記(I−1−Vi)において述べたと同様にして反応させる。次いで、このようにして得られた樹脂中の水酸基1当量につき、不飽和基含有モノイソシアネートを0.05〜0.5当量の反応比で、60〜100℃、5〜15時間、反応させることにより、化合物(I−1−Viii)が調製される。
樹脂(I−1)としては、更に、(I−1−iX)エポキシ樹脂の不飽和脂肪酸部分付加物が挙げられる。
【0052】
そのような化合物(I−1−iX)としては、例えば特開2003−105061号公報に記載の光・熱硬化性樹脂組成物における「エポキシ樹脂の不飽和脂肪酸部分付加物」(好ましくは、原料エポキシ樹脂中の全エポキシ基数の20〜80%、特に40〜60%に不飽和脂肪酸が付加したもの)が挙げられる。
具体的には、化合物(I−1−iX)としては、ノボラック型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加物[フェノールノボラック型エポキシ樹脂の20〜80%アクリル酸付加物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の40〜60%アクリル酸付加物等]、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂の40〜60%アクリル酸付加物、ビスフェノールAの簿ラック型エポキシ樹脂の20〜80%メタクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂の20〜80%メタクリル酸付加物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の40〜60%クロトン酸付加物等が挙げられる。
【0053】
樹脂(I−1)としては、化合物(I−1−i),(I−1−iV),及び(I−1−V)が好ましい。
また、樹脂(I−1)としては、耐黄変性等の観点から、分子中に芳香環を有しないものが好ましい。そのような樹脂(I−1)は、例えば調製原料として芳香環を有しないものを使用することにより、得られる。また、調製原料として芳香環を有するものを使用した場合は、樹脂(I−1)の調製工程の何れかの段階において、例えば調製工程の初期、中途又は最終段階において、適宜、芳香環を水添することによって、得られる。
【0054】
成分(I)としては、更に、(I−2)熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂(I−2)としては、熱硬化特性や硬化皮膜の特性等の点から、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましい。また、平均分子量300〜30000(特に350〜20000)が好ましい。
そのような樹脂(I−2)としては、具体的には、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、(水添)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0055】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、(II)無機フィラーが含有される。成分(II)は、無機(酸化アルミニウム、シリカ、酸化ジルコニウム等)表面処理及び/又は有機(長鎖アルキルカルボン酸、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等)表面処理を行ったものが好ましい。表面処理することにより、濡れ性、分散性、表面光沢等を改善することができる。
【0056】
成分(II)としては、着色剤、特に白顔料が挙げられる。白顔料の平均粒径としては、例えば、0.01〜2.0(特に0.1〜1.0)μmが好ましい。平均粒径が小さ過ぎると隠蔽性が低下して反射率が低下することがあり、逆に大き過ぎると表面の凹凸が多くなり、塗膜物性が低下することがある。
具体的には、白顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性炭酸塩、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。着色力と無毒性という点から酸化チタン(ルチル型及び/又はアナターゼ型)が好ましい。尚、酸化チタン等は、非表面処理の場合、光活性が強く、耐熱、耐候性が低下することがあるので、上記無機金属酸化物による表面処理したものが好ましい。
【0057】
成分(II)としては、更に、熱伝導性物質が挙げられる。熱伝導性物質としては、熱伝導率(W/m・K)1.0以上(特に1.0〜500)のものが好ましい。熱伝導率が小さ過ぎると、レジスト膜の放熱性が十分に得られないことがある。また、熱伝導性物質は粒状若しくは粉状形態が好ましい。平均粒径としては、例えば0.1〜10(特に0.5〜5)μmが好ましい。平均粒径が小さ過ぎると流動性が低下し高充填化が難しくなることがあり、逆に大き過ぎると表面の凹凸が多くなり、塗膜物性が低下することがある。
具体的には、熱伝導性物質としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の酸化物の粉末、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、銅、銀、半田等の金属、ダイヤモンド等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0058】
成分(II)としては、更に、上記以外のもの、具体的にはタルク、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、クレー、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、水酸化亜鉛、マイカ、雲母粉、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、中空ビーズ、ガラス繊維等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0059】
硬化膜に高い光反射性を付与したい場合、成分(II)としては白顔料を含有するのが好ましい。特に、硬化性樹脂組成物が白色プリント配線板用レジストインキである場合、白顔料の含有量は、硬化性樹脂組成物全体につき、5〜80(特に10〜70)重量%が好ましい。この結果、得られる硬化膜は、一般に、硬化膜の膜厚40μmにおける分光反射率を60%以上とすることができる。
【0060】
また、硬化膜に高い放熱性を付与した場合、成分(II)としては熱伝導性物質を含有するのが好ましい。特に、硬化性樹脂組成物が発熱部品搭載用プリント配線板用レジストインキである場合、熱伝導性物質の含有量は、硬化性樹脂組成物全体につき、5〜80(特に10〜70)重量%が好ましい。この結果、得られる硬化膜は、一般に熱伝導率(W/m・K)1.0以上とすることができる。
【0061】
また、硬化膜に高い光反射性及び放熱性を共に付与した場合、成分(II)としては白顔料及び熱伝導性物質を共に含有するのが好ましい。白顔料及び熱伝導性物質の合量は、硬化性樹脂組成物全体につき、5〜80(特に10〜70)重量%が好ましい。
【0062】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、(III)有機フィラーが含有される。成分(III)を配合することにより、硬化膜の耐クラック性を向上することができる。そのような成分(III)としては、弾性率(MPa)1〜2000[好ましくは1〜500(より好ましくは5〜100)]、且つ平均粒径0.01〜10(好ましくは0.1〜5)μmのものである。弾性率が小さ過ぎると半田耐熱性が低下し物性低下となることがあり、逆に大き過ぎると耐クラック性の効果が低下することがある。平均粒径が小さ過ぎると、成分(I)への分散性が悪くなる傾向があり、逆に大き過ぎると、硬化膜の耐クラック性、電気絶縁性、半田耐熱性が低下する傾向がある。
【0063】
そのような成分(III)としては、ゴム粒子が挙げられる。具体的には、ゴム粒子としては、硬化膜の耐クラック性、半田耐熱性、電気絶縁性等の観点から、シリコーン系重合体(特にシリコーンゴム)粒子及びアクリル系重合体(特にアクリルゴム)粒子が好ましく、特にこれらのコアシェル型のものが最も好ましい。コアシェル型ゴム粒子としては、ゴム状ポリマーからなるコア部と、このゴム状ポリマーより高いガラス転移温度(Tg)を有するガラス状ポリマーからなるシェル部とを備えたものが、接着力向上および低応力効果の観点から好ましい。尚、シェル部を形成するポリマーに一部、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等の官能基が含まれると、樹脂(特にエポキシ樹脂)組成物との相溶性・分散性が一層、向上するため、より好ましい。
【0064】
成分(III)としては、更に、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル等の樹脂粒子が挙げられる。架橋ポリメタクリル酸メチルは、例えば、メタクリル酸メチル単量体を、必要に応じ架橋性単量体の存在下、乳化重合や懸濁重合することにより得られる。架橋させることによって、熱可塑性のような急激な弾性率変化がなく、耐熱性も高く、熱特性が向上する。
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、更に、成分(II)及び(III)以外の充填剤、例えば消泡剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、安定剤、カップリング剤、酸化防止剤等を添加することができる。
【0065】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、更に、希釈剤を添加することができる。希釈剤としては、有機溶剤、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セ
【0066】
ロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0067】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、更に、チオール系誘導体を添加することができる。チオール系誘導体を添加することにより、硬化反応を促進させることができ、塗膜密着性を向上させることもできる。更に、チオール系誘導体は、硬化樹脂の弾性率を低下させる機能を有し、それ故、硬化膜の耐クラック性向上のための補助材料として有効である。そのようなチオール系誘導体としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0068】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物には、更に、低弾性硬化性樹脂を添加することができる。低弾性硬化性樹脂を添加することにより、硬化樹脂のTgを低下させることができ、その結果、硬化膜の耐クラック性をより一層、向上させることができる。低弾性硬化性樹脂において、弾性率(MPa)としては例えば1〜2000(特に4〜1000)が好ましい。そのような低弾性硬化性樹脂としては、ポリマーに一部、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アクリル基、アルコキシル基等の官能基が含まれるものが挙げられる。具体的には、アクリル系共重合体の不飽和基含有モノマーの一部に官能基を付与したアクリル系樹脂やシリコーン系樹脂、ブタジエン等のゴム系樹脂等が挙げられる。
【0069】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物の配合組成において、成分(I)100重量部に対し、成分(II)は10〜1200(好ましくは40〜1000)重量部、及び成分(III)は1〜100(好ましくは5〜80)重量部である。成分(II)が少な過ぎると、十分に大きな機能特性(光の反射率、放熱性等)を硬化膜に付与することができないことがあり、逆に多過ぎると流動性が悪く塗布性が低下したり、絶縁性が低下することがある。成分(III)が少な過ぎると、十分に大きな耐クラック性を硬化膜に付与することができないことがあり、逆に多過ぎると流動性が悪くなり塗布性も低下することがある。
【0070】
また、成分(II)と(III)の含有重量比[成分(II)/成分(III)]は、1〜41(好ましくは5〜25)である。含有重量比が小さ過ぎると、十分に大きな機能特性(光の反射率、放熱性等)を硬化膜に付与することができないことがあり、逆に大き過ぎると十分に大きな耐クラック性を硬化膜に付与することができないことがある。
【0071】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物としては、光・熱硬化性樹脂組成物[即ち、光(特に紫外線)硬化と熱硬化の少なくとも二段階硬化が可能な樹脂組成物]が挙げられる。そのような光・熱硬化性樹脂組成物としては、(A):前記樹脂(I−1)、(I−2)、成分(II)、及び(III)、並びに成分(IV)光反応性モノマー、(V)光硬化剤、及び(VI)熱硬化剤を含有するものが挙げられる。
【0072】
成分(IV)としては、反応性希釈剤、具体的には2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレグリコールジアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、メラミンアクリレート、ジエチレングリコールジア
【0073】
クリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、グリセリンジグリシジルエーテルジアクリレート、グリセリントリグリシジルエーテルトリアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロペンタジエンモノ−あるいはジ−アクリレート、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
【0074】
ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の多価アクリレート類、及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類、多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステル等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0075】
成分(V)としては、具体的にはアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル
【0076】
−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラ
【0077】
キノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、リボフラビンテトラブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0078】
尚、成分(V)は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤の一種以上と組み合わせて用いることができる。
【0079】
成分(VI)としては、具体的にはイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メ
【0080】
トキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン、メラミン等のアミン化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
【0081】
本願発明に係る樹脂組成物(A)の配合組成において、樹脂(I−1)と(I−2)との合量100重量部に対し、成分(II)は10〜1200(特に40〜1000)重量部、成分(III)は1〜100(特に5〜80)重量部、成分(IV)は1〜50(特に5〜40)重量部、成分(V)は1〜40(特に3〜30)重量部、及び成分(VI)は0.5〜30(特に2〜20)重量部、がそれぞれ好ましい。また、成分(II)と(III)の含有重量比は、1〜30(特に5〜25)が好ましい。
【0082】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物としては、更に、熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。熱硬化性樹脂組物としては、(B):前記樹脂(I−2)、成分(II)、(III)、及び(VI)を含有するものが挙げられる。
本願発明に係る樹脂組成物(B)の配合組成において、樹脂(I−2)100重量部に対し、成分(II)は10〜1200(特に40〜1000)重量部、成分(III)は1〜100(特に5〜80)重量部、及び成分(VI)は0.5〜80(特に2〜60)重量部、がそれぞれ好ましい。また、成分(II)と(III)の含有重量比は、1〜30(特に5〜25)が好ましい。
【0083】
本願発明に係る硬化性樹脂組成物としては、更に、光硬化性樹脂組成物が挙げられる。光硬化性樹脂組成物としては、(C):前記樹脂(I−1)、及び成分(II)〜(V)を含有するものが挙げられる。尚、樹脂組成物(C)においては、更に前記成分(VI)を含有してもよい。
本願発明に係る樹脂組成物(C)の配合組成において、樹脂(I−1)100重量部に対し、成分(II)は10〜1200(特に40〜1000)重量部、成分(III)は1〜100(特に5〜80)重量部、成分(IV)は1〜50(特に5〜40)重量部、及び成分(V)は1〜40(特に3〜30)、がそれぞれ好ましい。また、成分(II)と(III)の含有重量比は、1〜30(特に5〜25)が好ましい。
【0084】
本願発明に係る樹脂組成物(A)の硬化は、例えば、先ず光照射(波長300〜450nm、露光量200〜1000mj/cm)により1次硬化をし、次いで加熱(100〜170℃、20〜120分間)により2次硬化をして、行うことができる。
本願発明に係る樹脂組成物(B)の硬化は、例えば加熱(100〜170℃、20〜120分間)により、行うことができる。
本願発明に係る樹脂組成物(C)の硬化は、例えば光照射(波長300〜450nm、露光量200〜1000mj/cm)により、行うことができる。
【0085】
尚、硬化は、反応開始条件(波長、温度等)の異なる2種以上の硬化剤を使用することにより、多段階にて行うことができることは言うまでもない。例えば、熱硬化を、1次硬化(100〜120℃、10〜60分間)、及び2次硬化(130〜170℃、20〜120分間)の二段階にて行うことができる。
本願発明に係る硬化性樹脂組成物は、従来の如何なる、プリント配線板のレジスト膜被覆形成方法にも適用することができる。特に、プリント配線板として平滑化プリント配線板を用いることにより、回路の被覆性が良くなり、更なる信頼性向上、隠蔽性(銅回路隠蔽性)に有効である。
【実施例】
【0086】
<光硬化性樹脂の調製>
・調製例1
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロート及び窒素導入管を取り付けたセパラブルフラスコにジプロピレングリコールモノメチルエーテル250重量部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部を仕込み、95℃に昇温した後、メタクリル酸170重量部、メタクリル酸メチル130重量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル250重量部、及びアゾビスジメチルバレロニトリル10重量部の混合物を4時間かけて滴下した。更に、5時間熟成させることにより、カルボキシル基を有するメタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体溶液を得た。次に、酸素7%−窒素93%の混合ガスを通しながら、この樹脂溶液に(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート200重量部、トリフェニルホスフィン2重量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル1重量部を添加して、100℃で19時間付加反応させることにより不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液を得た。この不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の樹脂物性を測定したところ、固形分51%、酸価:105mgKOH/g、二重結合当量:490g/mol、重量平均分子量Mw(ポリスチレン換算):13000であった。
【0087】
・調製例2
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、グリシジルメタクリレート140重量部、メチルメタクリレート60重量部、カルビトールアセテート200重量部、ラウリルメルカプタン0.4重量部、アゾビスイソブチロニトリル6重量部を加え、窒素気流下に加熱し、75℃において5時間重合を行い、50%共重合体溶液を得た。上記50%共重合体溶液に、ハイドロキノン0.1重量部、アクリル酸74重量部、ジメチルベンジルアミン0.4重量部を加え、100℃で24時間付加反応を行い、続いてテトラヒドロ無水フタル酸90重量部及びカルビトールアセテート158重量部を加えて100℃で3時間反応させ、固形分50%、二重結合当量:350g/mol、酸価:91mgKOH/g、重量平均分子量Mw(ポリスチレン換算):26000の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液を得た。
【0088】
・調製例3
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、N−680、エポキシ当量=215)215重量部を撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート196重量部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.46重量部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.38重量部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72重量部(1当量)を徐々に滴下し、約32時間反応させ、酸価が0.9mgKOH/gの反応生成物を得た。この反応生成物(水酸基:1当量)を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物76重量部(0.5当量)を加え、約8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、不揮発分65%、固形物の酸価77mgKOH/gのカルボキシル基含有樹脂溶液を得た。
【0089】
<硬化性樹脂組成物の調製>
・実施例1〜11及び比較例1〜9
表1及び表3に示す配合組成に従って、各配合成分を3本ロールミルで均一に混練して、光・熱硬化性樹脂組成物(実施例1〜3,5,7〜11、並びに比較例1〜9)、熱硬化性樹脂組物(実施例6)、並びに光硬化性樹脂組成物(実施例4)を調製した。
尚、有機フィラーの弾性率は、150〜200℃、10分真空加圧プレス機で成型し、サンプルを作成後、引張試験機で測定した値を示す。
また、無機フィラー及び有機フィラーの平均粒径は、以下のようにして測定した。即ち、「堀場製作所 LA−910」を用い、フィラーと分散媒をサンプル管に入れ、超音波浴中で10分間分散処理を行い、平均粒径を測定した。無機フィラーは、IPA(イソプロピルアルコール)を分散媒として用いた。また、有機フィラーは、有機フィラー、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び湿潤剤を混合比1/5/100にてロール分散を行った後、トルエンを分散媒として用いた。
【0090】
<ソルダーレジスト膜被覆プリント配線板の製造>
・製造実施例1〜5及び7〜11,並びに製造比較例1〜9
硬化性樹脂組成物(実施例1〜5及び7〜11,並びに比較例1〜9)を、プリント配線基板(厚み1mm、銅回路厚60μ、L/S=100μm/100μm)表面上にスクリーン印刷(100メッシュポリエステル)により全面塗布した。そして、熱風循環式乾燥炉に入れ、予備乾燥(80℃、20分)を行い、乾燥塗膜(膜厚20μm)を得た。
次いで、紫外線露光装置(オーク製作所、型式HMW−680C)を用い、ソルダーレジスト用ネガフィルムを介して紫外線を上記塗膜に照射(500mj/cm)して、一次光硬化を行なった。そして、1wt%炭酸ナトリウム水溶液にて現像して、基板上に露光硬化(一次光硬化)されたレジスト塗膜のパターンを形成させた。
その後、基板を予備熱硬化(100℃、30分)後、完全硬化(150℃、60)した。こうして、ソルダーレジスト膜被覆プリント配線板(各製造実施例1〜5及び7〜11,並びに製造比較例1〜9)を製造した。
【0091】
・製造実施例6
硬化性樹脂組成物(実施例6)を、上記と同じプリント配線基板表面上にスクリーン印刷(120メッシュポリエステル)により全面塗布した。そして、予備乾燥(80℃、20分)を行い、乾燥塗膜(膜厚20μm)を得た後、完全硬化(150℃、60)して、ソルダーレジスト膜被覆プリント配線板(製造実施例6)を製造した。
【0092】
<硬化性樹脂組成物の評価試験>
硬化性樹脂組成物(各実施例1〜11及び比較例1〜9)について、下記に示す方法にて、各種評価試験を行った。評価試験結果を表2及び表4に示す。
【0093】
(指触乾燥性)
硬化性樹脂組成物をプリント配線基板表面上に塗布後、熱風循環式乾燥炉に入れて乾燥(80℃、20分)後、指で塗布面を強く押し、張り付性を調査し、塗膜の状態を判定した。
○:全くベタツキや指紋跡が認められないもの。
△:表面が僅かにベタツキと指紋跡がみられるもの。
×:表面が顕著にベタツキと指紋跡がみられるもの。
【0094】
(現像性)
上記ソルダーレジスト膜被覆プリント配線板の製造における現像工程を、1wt%炭酸ナトリウム水溶液の現像液で2.0×10Paのスプレー圧で60秒間、吹き付けることにより行った後、未露光部の除去された状態を目視判定した。
○:現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
×:現像時、現像されない部分がある。
【0095】
(光感度)
乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(ストファー社製)を密着させ、積算光量500mJ/cmの紫外線を照射露光した。次に、1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0×10Paのスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認した。
【0096】
<ソルダーレジスト膜(硬化膜)の評価試験>
プリント配線板(各製造実施例1〜11及び製造比較例1〜9)のソルダーレジスト膜について、下記に示す方法にて、各種評価試験を行った。評価試験結果を表2及び表4に示す。
(鉛筆硬度)
JIS K5600に準じて評価を行った。
【0097】
(密着性)
JIS K5600に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作り、セロテープによりピーリング試験を行った。碁盤目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○:クロスカット部分の剥離を生じなかった。
△:テープ剥離時にクロスカット部分に僅かに剥離が生じた。
×:テープ剥離時にクロスカット部分に40%以上剥離が生じた
【0098】
(耐溶剤性)
試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬し、外観に異常がないか確認した後、セロテープ(R)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○:塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離のあるもの。
【0099】
(耐酸性)
試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬し、外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○:塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離があるもの。
【0100】
(半田耐熱性)
試験片にレベラー用フラックスW−2704[(株)メック製]を塗布、し288℃の半田槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープ(R)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○:塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離のあるもの。
また、半田耐熱性試験後のクラックの評価方法は次の通り行った。
○:クラックは認められなかった。
△:クラックが僅かに認められた。
×:著しくクラックが発生した。
【0101】
また、半田耐熱性試験後の密着性の評価方法は次の通り行った。
JIS K5600に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作り、セロテープによりピーリング試験を行った。碁盤目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○:クロスカット部分の剥離を生じなかった。
△:テープ剥離時にクロスカット部分に僅かに剥離が生じた。
×:テープ剥離時にクロスカット部分に40%以上剥離が生じた
【0102】
(耐金メッキ性)
試験基板を、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、MetexL−5Bの20vol%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗した。次いで、14.4wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後、水洗した。
【0103】
次に、この基板を30℃の触媒液(メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に2分間浸漬し、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、メルプレートNi−865Mの20vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬し、ニッケルメッキを行った後、10vol%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗した。
【0104】
次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、オウロレクトロレスUP15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗し、更に60℃の温水で3分間浸漬し、水洗し、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板にセロハン粘着テープを付着し、剥離したときの状態を観察した。
○:全く異常が無いもの。
△:若干剥がれがみられたもの。
×:大きく剥離したもの。
【0105】
(HAST耐性)
試験基板を130℃、85%の不飽和加圧容器の中で、夫々のソルダーレジストが施されたライン/スペース=100μm/100μmの櫛型電極間にDC5Vの印加電圧を加え168時間放置後、外観に異常がないか確認するとともに、試験前後で絶縁抵抗を測定した。
【0106】
尚、絶縁抵抗は、「R8340A」(アドバンテスト製、デジタル超高抵抗/微少電流計)を使用し、JPCA−HD01の絶縁抵抗試験規格に準じて、10Vの直流電圧を1分間印加した後、その印加状態で絶縁抵抗を測定した。
○:塗膜外観に異常がないもの。
△:電極に変色が見られるが、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離があるもの。
【0107】
(色差変化)
分光測色計CM−2600d[コニカミノルタセンシング(株)製]を用いて、L*a*b*測色により硬化後のL*a*b*測色とリフロー(ピーク温度260℃、5

【0108】
(分光反射率)
分光測色計CM−2600dを用いて、硬化後のL*a*b*測色により450、550、600nmの反射率を計測した。
【0109】
(熱伝導率λ)
JIS R1611の規格に準じ、レーザフラッシュ法で熱拡散率(α)を求め、比熱(Cp)、密度(ρ)より、算出した。λ=α×Cp×ρ
【0110】
(耐熱衝撃性)
試験片を、−40℃/30分、125℃/30分を1サイクルとして熱履歴を加え、100サイクル経過後、試験片を顕微鏡観察し、次の基準で評価した。
○:塗膜にクラックの発生のないもの。
△:塗膜に僅かにクラックの発生したもの。
×:塗膜にクラックが発生したもの。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
表1及び3中、1)〜3)は以下を表す。
1):エポキシ当量:173g/eq。
2):エポキシ当量:188g/eq。
3):エポキシ当量:178g/eq。
【0116】
表1及び2から明らかなとおり、本願に係るアルカリ現像型ソルダーレジストインキ(例えば、エポキシ樹脂と不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を用いたもの)は、鉛フリー半田耐熱性(剥れ防止、変色防止)等に優れ、更には高温放置による耐変色性、耐熱衝撃が良好である。更には、機能性無機フィラーの高充填が可能となり、その結果、高反射率、高熱伝導性を達成することができる。それ故、本願インキは、電子機器の高機能化に対応可能な硬化性樹脂組成物である。
特に、半田耐熱性でレジストの変色が少なく、長期高温耐変色性、白色度、反射率が高くなると考えられ、LED基板用白色ソルダーレジスト等として非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)硬化性樹脂100重量部に対し、(II)無機フィラー10〜1200重量部と、(III)弾性率(MPa)1〜2000且つ平均粒径0.01〜10μmの有機フィラー1〜100重量部とを、成分(II)と(III)との含有重量比1〜41にて含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
成分(11)が、白顔料及び/又は熱伝導率(W/m・K)1.0〜500の物質であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
成分(III)が、ゴム粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
硬化性樹脂組成物が、
(A):下記樹脂(I−1)及び(I−2)、並びに成分(II)〜(VI)を含有する光・熱硬化性樹脂組成物、
(B):下記樹脂(I−2)、成分(II)、(III)、及び(VI)を含有する熱硬化性樹脂組物、又は
(C):下記樹脂(I−1)、及び成分(II)〜(V)を含有する光硬化性樹脂組成物、
であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(I−1)光硬化性樹脂
(I−2)熱硬化性樹脂
(II) 無機フィラー
(III)有機フィラー
(IV) 光反応性モノマー
(V) 光硬化剤
(VI) 熱硬化剤
【請求項5】
樹脂(I−1)が、エチレン性不飽和酸を必須モノマーとして重合して得られる酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物との反応物であって、分子中に芳香環を有しないもの、及び/又は脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有不飽和化合物を必須モノマーとして重合して得られる脂環式エポキシ基(オキセタン基)含有樹脂と酸基含有不飽和化合物との反応物であって、分子中に芳香環を有しないもの、であることを特徴とする請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成することを特徴とするレジスト膜被覆プリント配線板の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法にて製造されたことを特徴とするレジスト膜被覆プリント配線板。

【公開番号】特開2009−102623(P2009−102623A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244913(P2008−244913)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セロテープ
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】