説明

無機又は無機/有機ハイブリッドバリアフィルムの製造方法

基材上に無機又はハイブリッド有機/無機バリア層を形成するための方法。この方法は、蒸発させた金属アルコキシドを基材上に凝縮させて基材の上に層を形成する工程と、この凝縮した金属アルコキシド層を水と接触させてこの層を硬化させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い、無機又はハイブリッド無機/有機バリアフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的、包装、及び装飾用途で、薄いフィルムに無機又はハイブリッド無機/有機層が用いられてきた。これらの層は、機械的強度、耐熱性、耐化学性、耐摩耗性、水分バリア、及び酸素バリアなどの所望の性質を提供することができる。
【0003】
無機又はハイブリッドフィルムは、広範な製造方法によって製造されることができる。こうした方法として、溶液コーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングといった液体コーティング法、並びに化学気相成長法(CVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、スパッタリング及び固体材料の熱蒸発のための真空法といったドライコーティング法が挙げられる。これらの方法にはいずれも制約がある。
【0004】
化学気相成長法(CVD及びPECVD)では、基材上に吸着されると反応して無機コーティングを形成させる蒸発金属アルコキシド前駆体が形成される。これらの方法は成膜速度が低く制限されており(したがって線速度も低い)、アルコキシド前駆物質の利用効率が低い(アルコキシド蒸気の多くがコーティングに取り込まれない)。CVD法は、300〜500℃の範囲の、ポリマー基材には適当ではない場合のある高い基材温度を更に必要とすることが多い。
【0005】
金属酸化物の層を形成させる目的でも、スパッタリングが用いられてきた。この方法は成膜速度が遅いという特徴があり、ウェブ速度はわずか毎分数フィートである。スパッタリング法の別の特徴は、固体のスパッタリングターゲット材料の大半がコーティングに取り込まれず、材料の利用率が極めて低いことである。遅い成膜速度は、装置の高いコスト、材料の低い利用率及び極めて高いエネルギー消費量と相まって、スパッタリングによるフィルム製造を高価なものにしてしまう。
【0006】
固体材料の熱蒸発(例えば、抵抗加熱又は電子線(eビーム)加熱)などの真空法によっても金属酸化物の成膜速度は低くなる。熱蒸発は、均一性の高いコーティング(例えば、光学コーティング)を必要とするロール幅のウェブ用途用に規模を拡大するのが困難であり、高品質のコーティングを得るうえで基材の加熱を必要とする。更に蒸発/昇華法では、一般に小さい面積に限定されるイオン支援を、コーティングの品質を向上させるうえで必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ポリマー基材上に無機又はハイブリッド無機/有機バリアフィルムを調製する、速やかかつ低コストで行うことが可能な方法がいまだに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1つの態様において、基材上に無機又はハイブリッド有機/無機バリア層を形成するための方法を提供し、この方法は、基材の上に第一金属アルコキシド層を形成する工程と、この第一金属アルコキシド層を水と接触させてこの層を硬化させる工程と、を含み、ここにおいて無機又はハイブリッド有機/無機バリア層は減圧下で形成される。
【0009】
本発明は、第二の態様において、基材上に無機又はハイブリッド有機/無機バリア層を形成するための方法を提供し、この方法は、蒸発させた金属アルコキシドを凝縮させて基材上に層を形成する工程と、この凝縮した金属アルコキシド層を水と接触させてこの層を硬化させる工程と、を含む。
【0010】
本発明は、第三の態様において、基材上にハイブリッド有機/無機層を含むバリアフィルムを形成するための方法を提供し、この方法は、金属アルコキシド及び有機化合物を含む層を形成して基材上に第一のハイブリッド層を形成する工程と、このハイブリッド層を硬化させる工程と、を含み、ここでハイブリッド層は減圧下で形成される。
【0011】
本発明は、第四の態様において、基材上にハイブリッド有機/無機層を形成するための方法を提供し、この方法は、蒸発させた金属アルコキシド及び蒸発させた有機化合物を凝縮させて基材の上に層を形成する工程と、この凝縮した金属アルコキシド層を水と接触させてこの層を硬化させる工程と、を含む。
【0012】
本発明は、第五の態様において、基材上に無機又はハイブリッド有機/無機層を形成するための方法を提供し、この方法は、金属アルコキシド、又は金属アルコキシド及び有機化合物を蒸発させる工程と、この蒸発した蒸気をグロー放電電極の近くに通してプラズマを形成する工程と、このプラズマから材料を凝縮させて基材上に層を形成する工程と、を含む。プラズマは水を含有してよく、又は凝縮層は水と接触して層を硬化させることができる。
【0013】
別の態様において、本発明は、基材上にハイブリッド有機/無機層を形成する方法を提供し、ここで金属アルコキシド又は金属アルコキシドプレポリマー(部分的に加水分解している)は、液状を保ちながら基材上に層を形成する。この層は、水若しくは放射線との接触、加熱又はその他の化学的方法、又はこれらの手段の組み合わせによって硬化される。
【0014】
別の態様において、本発明は、無機又はハイブリッド無機/有機バリアフィルムをポリマー基材上に調製するための方法を提供し、これは光学的機能を呈し得る。
【0015】
本発明のこれらの及び他の態様は、添付図面及びこの明細書から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合においても、上述された概要は特許請求される発明の主題に対する限定としてみなされるべきではなく、発明の主題は、手続きにおいて補正される可能性のある付属の特許請求の範囲によってのみ定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】開示される方法を実施するのに好適なロールツーロール装置の概略図。
【図2】開示される方法における使用に好適な、静的、ステップアンドリピート、インライン、又はコンベアコーターを示す概略図。
【図3】実施例1で調製された試料の反射率スペクトル。
【図4】実施例12で調製された試料の反射率スペクトル。
【図5】実施例18〜20で調製された試料の反射率スペクトル。
【図6】実施例41〜44で調製された試料の反射率スペクトル。
【図7】実施例45で調製された試料の反射率スペクトル。
【図8】実施例46〜52で調製された試料の反射率スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0017】
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と互換的に用いられ、1つ以上の記載された要素を意味する。開示されるコーティングされた物品における異なる要素の位置について「〜の上に」、「〜上の」、「〜を覆った」、「最も上の〜」、「〜の下の」といった、向きを表す単語を使用することによって、水平で上向きに置かれた基材に対する所定の要素の相対的な位置を示す。これは、基材又は物品が製造時又は製造後において何らかの空間的な向きを有さなければならないということを意味するものではない。
【0018】
用語「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマーを含み、並びに、例えば、共押出によって又は例えばエステル交換をなどの反応によって、相溶性混合物中で形成され得るホモポリマー又はコポリマーを含む。「コポリマー」という用語は、ランダム及びブロックコポリマーの両方を含む。
【0019】
用語「バリアフィルム」又は「バリア層」は、そのフィルム又は層を通過する蒸気、気体又は香気の移行又は移動を低減又は制限するように設計されたフィルム又は層を指す。移動が低減され得る代表的な気体及び蒸気としては、酸素又は水蒸気が挙げられる。
【0020】
用語「架橋」ポリマーは、通常、架橋性分子又は架橋性基を介して、ポリマー鎖が共有化学結合で互いに結合され、網状重合体を形成するポリマーを指す。架橋ポリマーは、一般的に不溶性によって特徴付けられるが、適切な溶媒の存在下で膨潤性であってもよい。
【0021】
用語「水」は、水蒸気、液体水(例えば霧)、基材又は層に吸着又は吸収されている水を指す。水は任意の好適な発生源から提供される可能性があり、これには例えば加湿器、水蒸気を含むプラズマ、触媒燃焼バーナーなどがある。
【0022】
用語「減圧下」は、基材を取り囲む空気(気体)圧が大気圧より低くなるよう低減された状態を指す。好ましくは、減圧下は1333.3Pa(10Torr)未満の圧力を指し、より好ましくは133.3Pa(1Torr)未満の圧力を指す。
【0023】
用語「硬化」は、例えば水の摂取により反応してフィルム層が固化する又は粘度が増大するといった、化学変化をもたらすプロセスを指す。
【0024】
用語「金属」は、純金属又は合金を含む。
【0025】
用語「光学的機能性」又は「光学的に機能する」又は「光学的機能」は、開示されるハイブリッド有機/無機層を伴う基材において、望ましい光学的特性を提供すること、又は望ましくない光学的特性を低減若しくは除去することを指す。
【0026】
用語「光学的に透明」は、約1メートル、好ましくは約0.5メートルの距離から裸眼によって視認される、歪み、曇り又は欠陥を有さない物品を指す。
【0027】
用語「光学厚さ」は、層に関して用いられる場合、その層の物理的な厚さにその面内屈折率を乗じたものをいう。特定の光学設計においては、好適な光学厚さは透過光又は反射光に対する所望の波長帯の中心波長の約1/4である。
【0028】
様々な基材を使用することができる。一実施形態では、基材は光透過性であり、550nmにおける可視光透過率が少なくとも約50%である。代表的な基材としては、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)又はポリ(エチレンナフタレート))、ポリアクリレート(例えば、ポリ(メチルメタクリレート))、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度又は低密度ポリエチレン、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(塩化ビニル)、フルオロポリマー(例えば、ポリ(二フッ化ビニリデン)及びポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(エチレンスルフィド)などの熱可塑性樹脂、並びにエポキシ、セルロース誘導体、ポリイミド、ポリ(イミドベンゾキサゾール)及びポリベンゾキサゾールなどの熱硬化性材料といった、剛性又は可撓性プラスチック材料がある。基材は、米国特許出願公開第2004/0032658 A1号に記載されるような多層光学フィルム(「MOF」)であってもよい。
【0029】
一実施形態では、開示されるフィルムはPETを含む基材上に調製されることができる。基材は、例えば約0.01〜約1mmなど、様々な厚さを有し得る。しかし、例えば自己支持型物品が所望される場合などでは、基材は、これよりかなり厚くてもよい。こうした物品はまた、可撓性の基材を使用して作製された開示されるフィルムを、より厚い不撓性又は可撓性のより小さい補助的支持部材に積層又は(積層でなければ)接合することによっても便宜よく製造することができる。
【0030】
開示される方法は、基材表面の一方又は両方の上にバリアフィルムを形成することを可能にし、2つ以上のコーティングされた基材は、既知の方法(例えば感圧接着剤)を使用して張り合わせることができる。更に、この接着剤はバリア特性を有し得る。
【0031】
開示される方法は、弾性及び柔軟性などの優れた機械的特性を呈し、しかも酸素又は水蒸気の透過率が低い、バリアフィルムの形成を可能にする。このフィルムは、少なくとも1つの無機若しくはハイブリッド有機/無機層を有するか、又は追加の無機若しくはハイブリッド有機/無機層を有し得る。一実施形態では、開示されるフィルムは、例えばポリマー層などの有機化合物と交互に重なった無機又はハイブリッド層を有し得る。別の実施形態では、このフィルムは、無機又はハイブリッド材料及び有機化合物を含むフィルムを有し得る。更に別の実施形態では、開示されるフィルムは、ハイブリッド有機/無機層と交互に重なった無機層を有し得る。本開示の方法を使用して形成されたバリアフィルムを有する基材は、周囲気圧での酸素透過率(OTR)が、1日あたり約1cc/m未満、約0.5cc/m未満、又は約0.1cc/m未満であり得る。本開示の方法を使用して形成されたバリアフィルムを有する基材は、周囲気圧での水蒸気透過率(WVTR)が、1日あたり約10g/m未満、約5g/m未満、又は約1g/m未満であり得る。
【0032】
基材上に層を形成するための好適な金属アルコキシドは、揮発させ基材上に凝縮させることができ、揮発させてプラズマを形成し基材上に凝縮させることができ、又は液体の状態で基材上にコーティングすることができる化合物である。凝縮又はコーティングの後、アルコキシドは水との反応により硬化させて、バリアフィルムを形成することができる。代表的な金属アルコキシド化合物としては、一般式RM−(ORy−xを有することができ、式中、Rは独立してC〜C20アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)複素環、(C〜C)複素環(C〜C)アルキレン−、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール−(C〜C)アルキレン−、(C〜C)ヘテロアリール、又は(C〜C)ヘテロアリール(C〜C)アルキレン−であり、各Rは独立して、所望によりヒドロキシル基若しくはオキソ基で置換された(C〜C)アルキル、又は(C〜C)アルケニルであり、あるいは2つのOR基がこれらが結合した原子と共に環を形成してもよい。
【0033】
基は、所望により1つ以上の置換基で置換されてよく、その場合、各置換基は独立して(C〜C)アルキル、オキソ、ハロ、−OR、−SR、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)複素環、又は(C〜C)複素環(C〜C)アルキレン−、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキレン−、(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)ヘテロアリール(C〜C)アルキレン−、−CO、RC(=O)O−、RC(=O)−、−OCO、RNC(=O)O−、ROC(=O)N(R)−、RN−、RNC(=O)−、RC(=O)N(R)−、RNC(=O)N(R)−、RNC(=S)N(R)−、−OPO、ROC(=S)−、RC(=S)−、−SSR,RS(=O)−、−NNR、−OPO、あるいは2つのR基がこれら結合した原子と共に環を形成してもよい。各R、R及びRは独立して、水素、(C〜C)アルキル、又は置換された(C〜C)アルキルであり、ここで置換基は、1、2、又は3(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキルチオ、アミノ、アリール、若しくはアリール(C〜C)アルキレンを含むか、あるいはR及びRがこれら自体に結合した窒素原子と共に環を形成してもよい。代表的な環には、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、又はチオモルホリノが挙げられる。代表的なハロ基には、フルオロ、クロロ、又はブロモが挙げられる。R及びRアルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよい。Mは金属を表し、y−x≧1として(少なくとも1つのアルコキシ基が金属原子に結合している)、xは0、1、2、3、4又は5であり、yは金属の価数である(例えばyはアルミニウムでは3であり、チタン及びジルコニウムでは4であり、金属の酸化状態によって異なり得る)。
【0034】
代表的な金属としては、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、セリウム、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、リン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウム、又はこれらの混合物が挙げられる。例えば、有機チタン酸塩及びジルコン酸塩などのいくつかの金属アルコキシドがDuPont Co.からTyzor(商標)の商標で入手可能である。
【0035】
具体的な金属アルコキシドの非限定的な例としては、テトラ(メトキシ)チタネート、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、テトラ(ブトキシ)チタネート、2−エチルヘキシルオキシチタネート、オクチレングリコールチタネート、ポリ(n−ブトキシ)チタネート、トリエタノールアミンチタネート、n−ブチルジルコネート、n−プロピルジルコネート、チタニウムアセチルアセトネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアロイルチタネート、乳酸チタン、乳酸ジルコニウム、グリコール酸ジルコニウム、メチルトリアセトキシシラン、フッ素化シラン(例えば、米国特許第6,991,826号に開示されるフッ素化ポリエーテルシランなど)、テトラ(n−プロポキシ)ジルコネート、及びこれらの混合物が挙げられる。更なる例としては、二量体、三量体、並びにポリジメトキシシロキサン及びポリブチルチタネートなどのより長いオリゴマーのような上記の金属アルコキシドの蒸発性の予備重合化された形態が含まれる。更なる金属アルコキシドとしては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、ブトキシ、アセトキシ及びイソプロポキシにて官能化された金属原子、並びに例えばポリ(n−ブトキシチタネート)などの、これらの金属アルコキシドの予備重合化された形態が含まれる。重合化可能な他の金属アルコキシドには、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、メチルトリアセトキシシラン、フッ素化シラン、ポリジメトキシシラン、及びテトラ(n−プロポキシ)ジルコネートが含まれる。
【0036】
予備重合化された金属アルコキシドコーティング材料は、Tyzor材料に関するDuPont文書「DuPont(商標)Tyzor Organic Titanates General Brochure」、ウェブサイトhttp://www.dupont.com/tyzor、D.C.Bradley,et.al、「The Hydrolysis of Titanium Tetraethoxide」、J.Chem.Soc.(1955)721〜726、D.C.Bradley,et.al、「Structural Aspects of the Hydrolysis of Titanium Tetraethoxide」、J.Chem.Soc.(1955)3977〜3982、及びB.Karmakar and D.Banguli,「Alkoxide Hydrolylsis and Preparation of TiO2 Powders」、Trans.Indian Ceramic Soc.,44,(1985)10〜14に記述されているように、当該技術分野において既知の技法を用いて調製することができる。金属アルコキシドは溶媒として、そのアルコールと混合される。水を注意深く加えることにより(典型的には希釈アルコール性溶液中で)、重合化プロセスを制御することができる。水のモル数/金属アルコキシドのモル数の比を制御し、一般には約1未満の値に維持することが重要である。
【0037】
予備重合化された金属アルコキシドコーティング材料(オリゴマー)はまた、様々な有機分子との反応により調製することもできる。チタンテトラアルコキシドは、「DuPont(商標)Tyzor Organic Titanates General Brochure」、ウェブサイトhttp://www.dupont.com/tyzor、及び米国特許第2,621,193号に記載されているように、カルボン酸と反応させ、加熱させて、アルコキシポリチタニルアクリレートを形成することができる。
【0038】
予備重合化された前駆体(オリゴマー)の分子量が増加すると、粘度の増大につながり、重合化されていない金属アルコキシドに対する蒸気圧の低下がもたらされ得る。予備重合化された前駆体においては、制御された溶媒量を保持することにより、コーティング目的のために望ましい粘度にこの溶液を維持することができる。コーティングのための蒸気流を形成するために霧化及びフラッシュ蒸発を使用した場合、5〜70%の溶媒が存在すると、予備重合化された金属アルコキシドの霧化及び蒸発を促進することができる。
【0039】
金属アルコキシドは、当該技術分野において知られる様々な方法を使用して蒸発させることができる。こうした方法の例としては、米国特許第4,954,371号、同第6,045,864号、同第6,224,948号、及び同第6,627,267号に開示されるような方法を使用するフラッシュ蒸発などの蒸発法、昇華法などがある。キャリアガス流(任意選択的に加熱される)を蒸発器に加えて、金属アルコキシド蒸気の分圧を下げるか、又は蒸発速度を増大させることができる。アルコキシドは、蒸気流の凝縮点よりも低い温度で基材上に凝縮させることができる。
【0040】
金属アルコキシドは、当該技術分野において既知の様々なコーティング方法を使用して適用することもできる。代表的な方法には、例えばスプレーコーティング、化学気相成長法(DVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、及び米国特許第5,260,095号、同第5,395,644号及び同第5,547,508号に開示されている技法、並びに同等の技法などのコーティング技法が挙げられる。所望により、金属アルコキシドは、液体コーティング技法による成膜前に、追加の材料と混合することができる。これらの追加の材料は、真空中で液体のコーティング性を高める機能をする。これらの追加の材料は、溶液の粘度、密度、又は表面張力を改変することができる。これらの追加の材料は、硬化反応の速度、又は硬化したコーティングの最終的厚さを改変することができる。場合によっては、これらの追加の材料は低蒸気圧溶媒のような作用をし、液体コーティング技法による液体金属アルコキシドの成膜を助け、硬化プロセス中にコーティングから蒸発する。これらの追加の材料の例には、低蒸気圧アルカン及びアルコールが挙げられ、これにはドデカンからオクタデカンまでの一連のもの、及びドデカノールからオクタデカノールまでの対応する一連のアルコールが挙げられる。
【0041】
凝縮したアルコキシド層は、その層を水と接触させることによって硬化される。例えば、この層は、水蒸気、液体水、基材層に吸着又は吸収された水、又は水蒸気を含むプラズマと、接触することができる。硬化は熱によって促進されることができる。熱は、例えば赤外線ヒーター又は触媒燃焼バーナーなどの任意の好適な熱源を使用することによって提供されることができる。触媒燃焼バーナーは水蒸気を提供することもできる。追加のエネルギーは、硬化プロセス中に、プラズマ又は凝縮アルコキシド層への紫外線(UV)又は真空UV入力によって供給されることができる。
【0042】
硬化反応は蒸発性触媒によって加速させることができる。代表的な触媒としては、酢酸及びメタンスルホン酸などの有機酸、トリフェニルスルホニウム及びジフェニルヨードニウム化合物などの光酸発生剤、又はアンモニア及び光塩基発生剤などの塩基性物質が挙げられる。光活性触媒は、紫外線に曝すことによって活性化されることができる。触媒は、コーティング層に凝縮するか、又は表面に吸着されて硬化反応を促進する。
【0043】
別の実施形態では、金属アルコキシド及び有機化合物を蒸発させ、基材上に凝縮させ、硬化させることができる。一実施形態では、硬化は層を水と接触させることを含むことができる。有機化合物の重合と共に、硬化は、アルコキシドを水と反応させてフィルム層を固化させることを伴って、又はその粘度を増大させて、混合フィルム層を形成することができる。硬化反応は、連続した工程で行うことも可能である。層の成分はあらかじめ反応させて、液体コーティング可能なプレポリマー又は揮発性のオリゴマーを、付着前に形成することができる。硬化はまた、水の存在下又は非存在下で層の成分(アルコキシド及び有機化合物)を反応させて有機金属コポリマーを形成させることができる。有機金属コポリマーを有するよう調製されたフィルムは、2つの成分を別個に成膜及び硬化することによって調製されたフィルムでは得られないような、バリア特性を呈するよう設計することができる。
【0044】
有機化合物は、金属アルコキシドを蒸発させるための上記に述べたような任意の方法を使用して蒸発させてもよい。アルコキシド及び有機化合物は一緒に蒸発させて混合蒸気を形成させてもよく、あるいはこれらを別々に蒸発させて気相中で混合してもよい。アルコキシド及び有機化合物(又は別の金属アルコキシド)が不混和性である用途では、これらの物質を別々に蒸発させた後、気相中で混合することが望ましい場合がある。同様に、プラズマは、金属アルコキシド及び有機材料の混合蒸気から、1つの材料の蒸気及び第二の材料が追加されたプラズマから、又は金属アルコキシド及びモノマー材料が追加された気体(キャリア)から、形成することができる。アルコキシド及び有機化合物は、蒸気流の凝縮点よりも低い温度で基材上に凝縮させることができる。同様に、有機化合物は、液体コーティング技法を用いて、コーティング前に金属アルコキシドと混合させることができる。
【0045】
代表的な有機化合物としては、エステル、ビニル化合物、アルコール、カルボン酸、酸無水物、アシルハライド、チオール、アミン及びこれらの混合物が挙げられる。エステルの非限定的な例としては(メタ)アクリレートが挙げられ、単独で又は他の多官能性又は一官能性の(メタ)アクリレートと組み合わせて使用することができる。
【0046】
用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれか又は両方を含み、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートのいずれか又は両方を含む。
【0047】
代表的なアクリレートとしては、ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シアノエチル(モノ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジニトリルアクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ニトロフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロメチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ナフチルオキシエチルアクリレート、Ebecryl(商標)130環状ジアクリレート(CYTEC INDUSTRIES,INC.、米国ニュージャージー州)、エポキシアクリレートCN120E50(Sartomer Company、米国ペンシルベニア州エクストン)、上記のアクリレートの対応するメタクリレート及びこれらの混合物が挙げられる。代表的なビニル化合物としては、ビニルエーテル、スチレン、ビニルナフチレン及びアクリロニトリルが挙げられる。代表的なアルコールとしては、ヘキサンジオール、ナフタレンジオール、2−ヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、及びヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。代表的なビニル化合物としては、ビニルエーテル、スチレン、ビニルナフチレン及びアクリロニトリルが挙げられる。代表的なカルボン酸としては、フタル酸及びテレフタル酸、(メタ)アクリル酸が挙げられる。代表的な酸無水物としては、無水フタル酸及び無水グルタル酸が挙げられる。代表的なアシルハライドとしては、ヘキサンジオイルジクロリド及びスクシニルジクロリドが挙げられる。代表的なチオールとしては、エチレングリコール−ビスチオグリコレート及びフェニルチオエチルアクリレートが挙げられる。代表的なアミンとしては、エチレンジアミン及びヘキサン1,6−ジアミンが挙げられる。
【0048】
金属層は、様々な材料から形成されることができる。代表的な金属としては、元素としての銀、金、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム、白金、パラジウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、ケイ素、ゲルマニウム、ストロンチウム、タンタル、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、又はこれらの合金が挙げられる。一実施形態では、硬化したアルコキシド層に銀をコーティングすることができる。2層以上の金属層が使用される場合、各金属層は他の層と同じであっても異なっていてもよく、同じ厚さを有する必要はない。一実施形態では、金属層(1層又は複数)は、連続的であるように充分な厚さを有し、金属層及びこうした層を用いた物品が所望の可視光透過率を確実に有するように充分に薄いものである。例えば、可視光透過性金属層(1層又は複数)の物理的厚さ(光学厚さとは異なる)は、約5〜約20nm、約7〜約15nm、又は約10nm〜約12nmであってよい。厚さの範囲はまた、選択される金属に依存する。金属層は、スパッタリング(例えば、回転又は平面マグネトロンスパッタリング)、蒸発(例えば、抵抗又は電子線蒸発)、化学気相成長(CVD)、有機金属化学気相成長(MOCVD)、プラズマ促進、プラズマ支援、プラズマ活性化化学気相成長(PECVD)、イオンスパッタリング、プレーティング、などの金属被覆の分野で用いられる方法を使用して、上記に述べた基材又は無機若しくはハイブリッド層上に成膜することによって形成されることができる。
【0049】
ポリマー層は、様々な有機材料から形成されることができる。ポリマー層は、適用後にその場で架橋させてもよい。一実施形態では、ポリマー層は、例えば熱、プラズマ、紫外線照射又は電子線を使用した、フラッシュ蒸発、蒸着、及びモノマーの重合によって形成されることができる。こうした方法で使用される代表的なモノマーとしては、揮発性の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。ある特定の実施形態では、揮発性のアクリレートモノマーを用いる。好適な(メタ)アクリレートは、フラッシュ蒸発が行える程度に充分に低い分子量を有し、かつ基材上に凝縮されるように充分に高い分子量を有する。必要に応じて、プラズマ蒸着、溶液コーティング、押出しコーティング、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スピンコーティング、若しくはスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)などの従来の方法を使用し、又は必要であれば上記に述べたように架橋若しくは重合を行って、更なるポリマー層を適用することもできる。更なる層の望ましい化学組成及び厚さは、基材の性質及びバリアフィルムの所望の用途に一部依存する。コーティング効率は、基材を冷却することによって向上させることができる。
【0050】
本開示の方法を用いて調製されたバリアフィルムは、光学的機能性コーティングの製造を含む様々な用途を有する。本開示の方法によれば、1.45未満の屈折率から2.0を超える屈折率まで、幅広い範囲を有する層の調製が可能である。これらの層は、光学装置(例えば、ディスプレイ、窓、機器のパネル及び眼鏡のレンズ)、ビームスプリッター、エッジフィルター、差分フィルター、帯域フィルター、ファブリ・ペロー共振器、光抽出フィルム、リフレクター及び他の光学コーティング設計の反射防止コーティングの製造などの、光学的機能を提供するために、干渉コーティング構造で製造することができる。
【0051】
薄い金属層、染色された若しくは吸着性の層、又はその他の追加の層を、基材又はハイブリッド有機/無機層(複数可)に適用することによって、バリアコーティング(複数可)に光学的機能の特性をもたらすことが可能である。例えばフッ素化ポリエーテルコーティング(例えばフッ素化トリアルコキシシラン、及びトリメトキシシランで官能化されたフッ素子ポリエーテルオリゴマーなど)などの追加の層は、本発明の方法を使用して調製されるバリアフィルムに低表面エネルギーをもたらすために使用することができる。加えて、フッ素化ポリエーテルコーティングなどのフッ素化層は、典型的に非常に低い屈折率(例えば1.4以下)を有しており、光起電装置(太陽電池)、ディスプレイ装置、窓、及び眼科用レンズなどの用途向けのバリアコーティングに対し。反射防止特性などの光学的機能をもたらすことができる。本開示の方法を使用して調製されるフィルムを用いて、電気装置及び電子装置に誘電性を提供することができる。
【0052】
カラーシフト特性を備えた、本開示の方法を用いて調製されたバリアフィルムは、有価ドキュメント(例えば貨幣、クレジットカード、株券など、運転免許証、公文書、パスポート、IDバッジ、入場券、又はアフィニティーカード)における不正使用防止画像といった広範な用途、認証又は信頼性のための製品識別フォーマット及び販売促進(例えばCD、DVD、Blu−rayディスク(BD)、カセットテープ、トランプ、又は飲料容器など)、浮かび上がるか沈み込んだ又は浮かび上がりかつ沈み込んだブランドの画像を提供することができるブランド強調画像、グラフィック用途における情報提示画像(例えば売店、夜間点灯サイン及び自動車のダッシュボードディスプレイなど)、並びに製品(名刺、品質表示タグ、美術品、靴及び瓶詰め製品など)における合成画像の使用による新規性強調のために、セキュリティー装置で使用することができる。
【0053】
本開示のフィルムの平滑性及び連続性、並びにそのコーティングされた基材にその後で適用される層の接着性は、無機又はハイブリッド層を形成する前に、その基材を適切に前処理するか又はプライミング若しくはシード層を適用することによって、向上させることができる。水酸基又はアミン官能基を生成するために表面を改質することが特に望ましい。表面の改質方法は、当該技術分野では既知である。一実施形態では、前処理工程において、反応性若しくは非反応性雰囲気の存在下で放電による基材の前処理(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電、若しくは大気圧放電)、化学前処理、又は火炎前処理を行う。これらの前処理は、後で設けられる層(複数可)を基材の表面が確実に受容できるようにするのを助けることができる。一実施形態では、この方法は、プラズマ前処理を含むことができる。有機表面の場合、プラズマ前処理は、窒素又は水蒸気を含むことができる。別の前処理工程では、基材を無機又は有機ベースコート層でコーティングした後、任意選択的にプラズマ又は上記に述べた他の前処理のいずれかを使用した更なる前処理を伴う。別の実施形態では、有機ベースコート層、特に架橋アクリレートポリマーに基づいたベースコート層を用いる。ベースコート層は、放射線により架橋可能なモノマー(例えばアクリレートモノマー)のフラッシュ蒸発及び蒸着の後、(例えば電子線装置、紫外線光源、放電装置又はその他の好適な装置を用いて)その場で架橋させることによって形成することができ、これらは米国特許番号第4,696,719号、同第4,722,515号、同第4,842,893号、同第4,954,371号、同第5,018,048号、同第5,032,461号、同第5,097,800号、同第5,125,138号、同第5,440,446号、同第5,547,908号、同第6,045,864号、同第6,231,939号、及び同第6,214,422号、PCT国際特許出願公開第WO 00/26973号、D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「A New Vapor Deposition Process for Coating Paper and Polymer Webs」、6th International Vacuum Coating Conference(1992)、D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「A New High Speed Process for Vapor Depositing Acrylate Thin Films:An Update」、Society of Vacuum Coaters 36th Annual Technical Conference Proceedings(1993)、D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「Use of Vapor Deposited Acrylate Coatings to Improve the Barrier Properties of Metallized Film」、Society of Vacuum Coaters 37th Annual Technical Conference Proceedings(1994)、D.G.Shaw、M.Roehrig、M.G.Langlois及びC.Sheehan、「Use of Evaporated Acrylate Coatings to Smooth the Surface of Polyester and Polypropylene Film Substrates」、RadTech(1996)、J.Affinito、P.Martin、M.Gross、C.Coronado及びE.Greenwell、「Vacuum deposited polymer/metal multilayer films for optical application」、Thin Solid Films 270、43〜48(1995)、並びにJ.D.Affinito、M.E.Gross、C.A.Coronado、G.L.Graff、E.N.Greenwel及びP.M.Martin、「Polymer−Oxide Transparent Barrier Layers」、Society of Vacuum Coaters 39th Annual Technical Conference Proceedings(1996)に記載されている。必要に応じて、ベースコートは、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)又はスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)などの従来のコーティング法を使用し、次いで例えば熱、紫外線照射又は電子線を使用して架橋することによって適用されることもできる。ベースコート層の望ましい化学組成及び厚さは、基材の性質に一部依存する。例えばPET基材の場合、ベースコート層はアクリレートモノマーから形成させることが可能であり、わずか数nm〜約20マイクロメートルまでの厚さを有し得る。
【0054】
フィルムには熱処理、紫外線若しくは真空紫外線(VUV)処理、又はプラズマ処理などの後処理を行うことができる。熱処理は、フィルムをオーブンに通過させるか、又は例えば赤外線ヒーターを使用したり、ドラム上で直接加熱するなどしてコーティング装置内でフィルムを直接加熱することによって行うことができる。熱処理は例えば約30℃〜約200℃、約35℃〜約150℃、又は約40℃〜約70℃の温度で行うことができる。
【0055】
開示される方法を実施するために便宜よく使用することが可能な装置100の例を図1に示す。動力を備えたリール102a及び102bが、装置100を介して基材104を前後に動かす。温度制御された回転ドラム106並びにアイドラー108a及び108bが基材104を運んで、プラズマ源110、金属スパッタリングアプリケーター112、モノマー又は液体金属アルコキシド蒸発器114、及び紫外線ランプ116を通過させる。液体アルコキシド118がリザーバ120から蒸発器114に供給される。所望により、液体118は噴霧器(図示せず)を介して蒸発器に放出してもよい。所望により、ガス流(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)を噴霧器又は蒸発器(図1には示さず)に導入することができる。所望により、金属アルコキシド蒸気のプラズマが蒸発器114内で形成され得る(図1には示さず)。蒸発器114からの蒸気はノズル又はディフューザー(図1には示さず)を通過し、基材104上に凝縮する。金属アルコキシド層が凝縮する前又は凝縮した後に、ガスマニフォルド(図1には示さず)を通して水をプラズマ源110に供給することができる。液体コーティング技法を用い、別のアプリケーター(図示せず)を使用して、所望により、液体金属アルコキシド118を基材104に適用することができる。液体金属アルコキシドアプリケーターは、リザーバ120又は別のリザーバ(図示せず)から供給することができる。赤外線ランプ124を使用して、1つ以上の層を形成させる前又は後に基材を加熱することができる。装置100に(両方向に)何度も通過させることによって、後続の層を基材104に適用させることができる。必要に応じて使用される液体モノマーを、蒸発器114、又はリザーバ120から供給される別の蒸発器(図示せず)、又は別のリザーバ(図示せず)から適用することができる。紫外線ランプ116を使用してモノマーから架橋ポリマー層を生成することができる。装置100を適当なチャンバ(図1には示さず)内に封入して真空下に維持するか、又は好適な不活性雰囲気を供給することによって、酸素、埃及び他の大気中の混入物質が、様々な前処理、アルコキシドコーティング、架橋及びスパッタリング工程を妨げないようにすることができる。
【0056】
開示される方法を実施するために便宜よく使用することができる装置200の別の例を図2に示す。シリンジポンプ201内の液体金属アルコキシドを噴霧器203内でヒーター202からの窒素と混合して金属アルコキシドを霧化する。生じた液滴は蒸発器204に供給し、そこで液滴を蒸発させることができる。蒸気は、ディフューザー205を通過し基材206上に凝縮する。金属アルコキシドが凝縮した基材206は、その場で、又は取り出してから、水で処理することによって、後の工程でアルコキシドを硬化させる。所望により、金属アルコキシド蒸気のプラズマを蒸発器204内で形成させてから(図2に図示せず)、この蒸気がディフューザー205を通り、基材206上に凝縮するようにできる。触媒バーナー(図示せず)を使用して熱及び水蒸気を供給することができる。装置200を使用して、必要に応じて使用される液体モノマーをシリンジポンプ201又は別のシリンジポンプ(図示せず)を通して適用することができる。基材206上に凝縮したモノマーは後の工程で架橋される。
【0057】
無機又はハイブリッドフィルムに加えることが可能な他の機能性層又はコーティングとしては、必要に応じて設けられる、フィルムコーティングされた基材の剛性を高める層(単数又は複数)が挙げられる。物品の最上層は、任意選択的に好適な保護層である。必要に応じて、保護層は、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スピンコーティング、又はスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)などの従来の液体コーティング法を使用して適用された後、例えば紫外線照射を使用することによって架橋されることができる。保護層は上記に述べたように、フラッシュ蒸発、蒸着、及びモノマーの架橋によって形成させることもできる。揮発性の(メタ)アクリレートモノマーは、このような保護層内にて用いるのに好適である。ある特定の実施形態では、揮発性のアクリレートモノマーを用いる。
【0058】
特定の用途では、例えば染料を含有した層を無機若しくはハイブリッドフィルムに積層すること、顔料添加したコーティングを無機若しくはハイブリッドフィルムに適用すること、又は無機若しくはハイブリッドフィルムを形成させるために用いられる1つ以上の材料に染料若しくは顔料を含有させることなどによって、フィルムの外観又は性能を改変することが望ましい場合がある。染料又は色素は、赤外線、紫外線、又は可視スペクトルの一部を含む、1つ以上のスペクトルの選択された領域を吸収することができる。染料又は顔料を使用することによって、無機又はハイブリッドフィルムの性質を補うことができる。こうしたフィルムで使用できる特に有用な顔料添加層が、国際出願PCT第2001/58989号に記載されている。こうした層を、開示されるフィルムに表面層として、積層、押出しコーティング、又は共押出しすることができる。所望により可視光透過率を変えるために、色素充填量は、例えば、約0.01重量%〜約2重量%にて変えることができる。紫外線照射に曝されると不安定となり得る物品の内側層を保護する目的で、紫外線吸収性の被覆層を加えることが望ましい場合もある。無機又はハイブリッドフィルムに加えることができる他の機能性層又はコーティングとしては、必要に応じて設けられる、物品の剛性を高める層(単数又は複数)が挙げられる。
【0059】
物品の最上層は、任意選択的に好適な保護層である。必要に応じて、保護層は、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スピンコーティング、又はスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)などの従来のコーティング法を使用することによって適用された後、例えば紫外線照射を使用することによって架橋されることができる。保護層は上記に述べたように、フラッシュ蒸発、蒸着、及びモノマーの架橋によって形成させることもできる。揮発性の(メタ)アクリレートモノマーは、このような保護層内にて用いるのに好適である。ある特定の実施形態では、揮発性のアクリレートモノマーを用いる。
【0060】
別の実施形態では、本発明によって製造された複数のフィルムを接合させて、積層構造を形成することができる。積層構造は、本発明の単独のフィルムに比べ、改善されたバリア性能を有し得る。積層プロセスは、熱又は圧力を用いて実施できる。所望により、接着剤を使用して、本発明の複数のフィルムを接合することができる。接着剤は、積層構造の接合する材料及び望ましい最終特性に適した、当該技術分野において既知の任意のものであってよく、例えば感圧性接着剤、反応性接着剤、ホットメルト接着剤、及び熱密封材などであってよい。特に有用なのは、例えば3Mから販売されている光学的に透明な積層接着剤の8100シリーズ、及び3M No.9483の光学的に透明な積層接着剤などの、光学的に透明な接着剤である。
【0061】
本発明は、以下の実施例において更に例示されるが、その中での全ての部、百分率及び比は、特に指示がない限り重量基準である。他に記載のない限り、溶媒及び試薬はすべて、E.I.du Pont de Nemours Company又はAldrich Chemical Companyなどの市販サプライヤーから入手される。
【実施例】
【0062】
実施例1.テトラ(エトキシ)チタネート
図1に概略的に示したコーターと同様の蒸気コーターを使用して、テトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)から薄いフィルムを形成した。基材は、厚さ101.6マイクロメートル(4ミル)、幅45.7cm(18インチ)のポリエステル(DuPont 454)であった。コーターの1回目の通過で、基材を400kHz、正味出力400W、線速度12.2m/分(40fpm)にて40.0Pa(0.3Torr)で水蒸気プラズマによってプラズマ処理した。
【0063】
テトラ(エトキシ)チタネートをガラス製ジャーに分注し、真空ベルジャーに入れて脱気した。ベルジャーを20分間、1.6Pa(0.012Torr)まで脱気した。脱気後、ベルジャーを大気に通気させ、液体をシリンジに装填した。シリンジをシリンジポンプに装着し、「METHOD FOR ATOMIZING MATERIAL FOR COATING PROCESSES」(国際出願PCT/US2006/049432号、2006年12月28日出願)に記載されるように噴霧器/蒸発器システムに接続した。コーターを2度目に通過させた際に、テトラ(エトキシ)チタネートを流速1.0mL/分で噴霧器に圧送した。窒素ガスの噴霧器への流速は15sccmとした。テトラ(エトキシ)チタネートを微細な液滴に霧化し、液滴が高温の蒸発器の壁面(150℃)と接触した際にフラッシュ蒸発した。蒸気流は、幅40.1cm(16インチ)のコーティングダイから流出し、線速度4.9m/分(16fpm)で移動する基材上に凝縮した。プロセスドラムの温度は70℃(158°F)であった。テトラ(エトキシ)チタネートの凝縮層を真空チャンバ内で直ちに水蒸気に曝してコーティングを硬化させた。蒸留水の水蒸気の連続した流れを、26.7℃(80°F)に保たれた液体水が入った温度制御されたフラスコから、チャンバ内に導入した。チャンバのスロットル弁によってチャンバ圧(大部分が水蒸気)を126.7Pa(0.95Torr)に保った。
【0064】
試料1の反射率スペクトルを図3に示す。硬化後の有機チタネートフィルムは、コーティングされていないPET基材よりも高い反射率を有しており、PET(n=1.65)よりも高い屈折率であることを示している。反射率データから、フィルムの厚さ及び屈折率は、波長600nmにおいてそれぞれ約82nm及び1.82と計算された。
【0065】
実施例2.テトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、コーティング材料であるテトラ(エトキシ)チタネートを、窒素でパージした、液体を脱気可能な真空度のグローブボックス内で操作し、脱気及びシリンジへの装填プロセス時に空気中の水分に曝さないようにした。水蒸気は、マスフローコントローラー(MKS VODM)を介して流速1000sccmでコーターチャンバ内に連続的に流入させた。プロセスドラムの温度は15.6℃(60°F)であった。蒸発器の温度は200℃であった。窒素ガスをキャリアガスとして蒸発器内に流速67sccmで導入した。基材速度は5.7m/分(18.7fpm)であった。スロットル弁によってチャンバ圧を266.6Pa(2.0Torr)に保った。反射率データから、フィルムの厚さ及び屈折率は、波長570nmでそれぞれ約79nm及び1.80と計算された。
【0066】
実施例3.テトラ(イソプロポキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、コーティング材料としてテトラ(イソプロポキシ)チタネート(DuPont Tyzor TPT)を使用した。プロセスドラムの温度は17.2℃(63°F)であった。蒸発器の温度は100℃であった。基材速度は4.6m/分(15fpm)であった。スロットル弁によって、チャンバ圧を133.3Pa(1.0Torr)に保った。1回目の通過によるプラズマ前処理は窒素で行った。反射率データから、フィルムの厚さ及び屈折率は、それぞれ約59nm及び1.89と計算された。
【0067】
実施例4〜6.テトラ(n−プロポキシ)チタネート及びテトラ(n−ブトキシ)ジルコネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 453、50.8マイクロメートル(2ミル))をコーティングした。すなわち、一方にテトラ(n−プロポキシ)チタネート(DuPont Tyzor NPT)が入れられ、他方にテトラ(n−ブトキシ)ジルコネート(DuPont Tyzor NBZ)が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。アルコキシドが入れられたシリンジは、各シリンジが別々に、又は両方が同時に(液体として混合して)材料を噴霧器に圧送できるように並列に接続した。蒸発器の温度は275℃であった。実施例4〜6の残りのプロセス条件、コーティングの厚さ及び屈折率を下記表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例7.テトラ(n−プロポキシ)ジルコネート
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、コーティング材料としてテトラ(n−プロポキシ)ジルコネート(Tyzor NPZ)を使用した。蒸発器の温度は275℃であった。基材の線速度は2.9m/分(9.5fpm)であった。液体のTyzor NPZの流速は1.05mL/分であった。スロットル弁によって、チャンバ圧を400.0Pa(3Torr)に保った。噴霧器への窒素流は10sccmとした。反射率データから、フィルムの厚さ及び屈折率は、波長565nmでそれぞれ約82nm及び1.72と計算された。
【0070】
実施例8〜10.テトラ(n−プロポキシ)ジルコネート及びテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、一方にテトラ(n−プロポキシ)ジルコネート(DuPont Tyzor NPZ)が入れられ、他方にテトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。アルコキシドが入れられたシリンジは、各シリンジが別々に、又は両方が同時に材料を噴霧器に圧送できるように並列に接続した。蒸発器の温度は275℃であった。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。基材の線速度は3.7m/分(12fpm)であった。噴霧器への窒素流は10sccmとした。実施例8〜10の残りのプロセス条件、コーティングの厚さ及び屈折率を下記表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
実施例11.ポリジメトキシシロキサン及びテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、一方にポリジメトキシシロキサン(Gelest PS−012)が入れられ、他方にテトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。ポリジメトキシシロキサンのシリンジは毛細管を介して噴霧器に接続された。テトラ(エトキシ)チタネートは毛細管を介して高温の蒸発器の内壁にシリンジから直接供給した。これにより、2つの反応液は蒸発器に別々に供給され、蒸発され、低圧蒸気として混合された後、コーティングダイから出て、基材上に共凝縮し硬化する。蒸発器の温度は275℃であった。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。液体のポリジメトキシシロキサンの噴霧器への流速は0.938mL/分であり、テトラ(エトキシ)チタネートの蒸発器壁への流速は0.1mL/分であった。基材の線速度は3.7m/分(12fpm)であった。噴霧器への窒素流は10sccmとした。反射率データから、フィルムの厚さ及び屈折率は、波長1050nmでそれぞれ約175nm及び1.50と計算された。
【0073】
実施例12.メチルトリアセトキシシラン
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、コーティング材料はメチルトリアセトキシシラン(室温で固体)であった。材料は50℃で溶解し、脱気後に加熱したシリンジ(50℃)に装填した。チャンバ内の水蒸気圧は400.0Pa(3.0Torr)であった。水蒸気の流速は2000sccmであった。窒素キャリアガスの蒸発器への流速は200sccmであった。基材速度は3.3m/分(10.9fpm)であった。
【0074】
PET及び実施例12で形成されたフィルムの反射率スペクトルを図4に示す。硬化後のメチルトリアセトキシシランフィルムはコーティングされていないPET基材よりも低い反射率を有しており、PET(n=1.65)よりも低い屈折率であることを示している。反射率データから計算したコーティングの厚さ及び屈折率は、波長760nmでそれぞれ約131nm及び1.45であった。
【0075】
実施例13.テトラ(エトキシ)チタネート及びエチレングリコール−ビスチオグリコレート
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 453、101.6マイクロメートル)をコーティングした。すなわち、一方にテトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)が入れられ、他方にエチレングリコール−ビスチオグリコレート(Sigma−Aldrich)が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。アルコキシドが入れられたシリンジは、各シリンジが別々に、又は両方が同時に材料を噴霧器に圧送できるように並列に接続した。蒸発器の温度は275℃であった。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。液体のテトラ(エトキシ)チタネートの流速は0.9mL/分であり、液体のエチレングリコール−ビスチオグリコレートの流速は0.1mL/分であった。基材の線速度は4.9m/分(16fpm)であった。チャンバへの水蒸気の流速は2000sccmであった。噴霧器への窒素流は10sccmとした。蒸発器への窒素キャリアガスの流速は200sccmであった。反射率データから計算したコーティングの厚さ及び屈折率は、波長635nmでそれぞれ約87nm及び1.82であった。
【0076】
実施例14及び15.テトラ(エトキシ)チタネート及びトリプロピレングリコールジアクリレート
以下の変更を行い、実施例2と同様にポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、一方にテトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)が入れられ、他方に97%のトリプロピレングリコールジアクリレート(Sartomer SR−306)と3%の光開始剤Darocur(商標)1173(Ciba)との混合物が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。実施例14では、両方のシリンジからの液流を噴霧器に流入する直前に合わせることで、金属アルコキシド及びアクリレート材料を霧化及び蒸発に先立って液体としてインラインで混合することが可能である。実施例15では、2つのシリンジからの液流を別々に保持した。各液流を別々の蒸発器に装着された別々の噴霧器に方向づけた。蒸発させた金属アルコキシド及びアクリレート材料は蒸気として混合され、基材上への凝縮前に1つのコーティングダイから出た。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。各噴霧器への窒素流は10sccmとした。
【0077】
実施例14及び15の残りのプロセス条件、コーティングの厚さ及び屈折率を表3に示す。試料14のコーティングは350〜1250nmのスペクトル範囲において2つの最大反射率を有するような充分な厚さを有するものであった点に注意されたい。したがって、屈折率及び厚さを推定するためにこれらのデータで2通りの計算が別々に行われ、両方の計算結果を表3に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
実施例16.テトラ(エトキシ)チタネート及びフェニルチオエチルアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレート
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、一方にテトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)が入れられ、他方に82.5%のフェニルチオエチルアクリレート(Bimax PTEA)、14.5%のペンタエリスリトールトリアクリレート(San Ester Viscoat 300PETA)及び3%の光開始剤Darocur 1173(Ciba)の混合物が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。シリンジは、各シリンジが別々に、又は両方が同時に材料を噴霧器に圧送できるように並列に接続した。蒸発器の温度は275℃であった。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。液体のTyzor ETの流速は0.675mL/分であり、液体のアクリレート混合物の流速は0.075mL/分であった。基材の線速度は2.4m/分(8fpm)であった。噴霧器への窒素流は10sccmとした。反射率データから計算したコーティングの厚さ及び屈折率は、波長420nmでそれぞれ約161nm及び1.96であった。
【0080】
実施例17.テトラ(エトキシ)チタネート及びDarocur 1173
以下の変更を行い、実施例2の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、基材をプロセスドラムに取り付けた。窒素でパージしたグローブボックス内でTyzor ET(8.5g)を1.5gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(Darocur 1173(Ciba))と混合した後、真空下で脱気して、シリンジに装填した。40.0Pa(300mtorr)の圧力、500sccmの水蒸気流速、周波数400kHzにおける正味プラズマ出力600Wで、試料がプラズマ源を12.2m/分(40fpm)で通過するようにプロセスドラムを1ドラム回転させることにより基材(PET)を水蒸気プラズマでプラズマ処理した。プラズマ処理の後、蒸発器を200℃に加熱し、プロセスドラムの温度を16℃(61°F)に設定した。チャンバを(噴霧器及び蒸発器への)1000scmの水蒸気流及び77sccmの窒素流で、水蒸気及び窒素により266.6Pa(2.0Torr)の圧力まで充填した。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。液体(Tyzor ET及びDarocur 1173)の流速は1.0mL/分であった。試料を4.6m/分(15fpm)の速度で蒸気コーティングダイを通過して1回転、回転させて、Tyzor ET及びDarocur 1173の液層を凝縮させた。次いでプロセスドラムを66℃(150°F)に加熱し、チャンバ圧を1066.6Pa(8Torr)まで上昇させた(水蒸気の流量3000sccm及び窒素210sccm)。試料をこの水蒸気の連続した流れに30分間曝した。反射率データから計算したコーティングの厚さ及び屈折率は、波長600nmでそれぞれ約79nm及び1.90であった。
【0081】
実施例18.金属化PET上のテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、テトラ(エトキシ)チタネートの塗布に先立って(前のコーター通過時に)基材表面にクロムの薄層(約5nm)をスパッタリングでコーティングした。チタネートコーティングの前に表面のプラズマ処理は適用されなかった。プロセスドラムの温度は−3.9℃(25°F)であった。チャンバ内の水蒸気圧は、スロットル弁によって200.0Pa(1.5Torr)に制御した。基材の線速度は3.9〜9.1m/分(13〜30fpm)の間で変化した。
【0082】
実施例19〜21.コーティングされたPET上のテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例2で述べたようにして、ポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、基材は、表面コーティング(アクリレート材料及びSiO粒子を含有するハードコート剤)を施した厚さ127マイクロメートル(5ミル)の透明なPET基材であった。1回目の通過によるプラズマ前処理において、様々なガス/蒸気を使用した。実施例19ではガスは窒素であり、実施例20ではガスは酸素であり、実施例21ではガスは水蒸気であった。テトラ(エトキシ)チタネートの成膜における基材速度は4.3m/分(14fpm)であった。液体のTyzor ETの流速は0.75mL/分であった。噴霧器への窒素流は7.5sccmとした。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。実施例19〜21の試料及びPET支持体の反射率スペクトルを図5に示す。
【0083】
実施例22.UV前処理を行ったテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 453、50.8マイクロメートル(2ミル))をコーティングした。すなわち、1回目の通過によるプラズマ前処理のガスは窒素であった。2回目の通過では、スロットル弁によってチャンバ圧(HO蒸気)を40.0Pa(0.3Torr)に維持した。コーターへの2回目の通過時に、テトラ(エトキシ)チタネートを成膜する直前に、プラズマ処理した基材を紫外線に約4秒間曝した(40.0Pa(0.3Torr)の水蒸気の存在下で)。185nm及び254nmの波長に主輝線を有する紫外線を生成する2つの低圧水銀アーク灯を使用した。2回目の通過時では更に、コーティングした基材をチタネートの成膜直後に40.0Pa(0.3Torr)の水蒸気プラズマ(650W、400kHz)に約12秒間曝した。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約85nm及び1.78であった。
【0084】
実施例23〜26.CrOコーティングされたPET上のテトラ(エトキシ)チタネート
以下のようにポリエステル基材(DuPont 453、50.8マイクロメートル(2ミル))をコーティングした。
【0085】
1回目のコーター通過では、以下の手順、並びに成膜/硬化装置及びパラメータを使用して、アクリレート層を成膜した。
【0086】
アクリレート材料は、Ebecryl 130(Cytec 73.5%)及びラウリルアクリレート(Sartomer Chemicals24.5%)と光開始剤(Darocur 1173(Ciba Specialty Chemicals)2%)との混合物であった。
【0087】
アクリレート混合物の流れは1.0mL/分であった。
【0088】
蒸発器の温度は275℃であった。
【0089】
ドラムの温度は−3.9℃(25°F)であった。
【0090】
基材速度は10.4m/分(34fpm)であった。
【0091】
アクリレート層を紫外線ランプ(実施例22で述べたような185nm及び254nmの波長を放射する2つの低圧水銀アーク灯、及び254nmの波長のみを放射する3つの低圧水銀アーク灯)に曝すことにより硬化させた。
【0092】
同じ通過時の表面のプラズマ前処理は、出力を340W、400kHzに設定し、40.0Pa(0.3Torr)にてNのプラズマで行った。
【0093】
2回目のコーター通過では、選択された基材の領域に紫外線ランプにより3.0m/分(10fpm)で後硬化処理を行った。
【0094】
3回目のコーター通過では、酸化雰囲気中でクロムのスパッタ蒸着により、選択された基材領域にCrO(約1〜2nm)層を提供した(下記表4参照)。
【0095】
4回目のコーター通過では、基材を巻き戻した。
【0096】
5回目のコーター通過では、40.0Pa(0.3Torr)、12.2m/分(40fpm)、及び400kHzで400Wにて、選択された基材の領域をH2Oでプラズマ処理した(下記表4参照)。
【0097】
6回目のコーター通過では、2.7m/分(9fpm)で行い成膜領域の直後に表面を赤外線ランプで後加熱したこと以外は実施例1の手順を使用して、テトラ(エトキシ)チタネートを成膜した。
【0098】
表4に実施例23〜26のプロセス条件をまとめた。
【0099】
【表4】

【0100】
実施例27.酢酸/水硬化を行ったテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、それぞれにテトラ(エトキシ)チタネート(DuPont Tyzor ET)が入れられた、2つのモノマーシリンジ及びシリンジポンプを使用した。アルコキシドが入れられたシリンジを並列させ、それぞれ0.5mL/分で動作させて噴霧器への全液体流速を1.0mL/分とした。温度制御されたフラスコに3%酢酸水溶液を入れた。チャンバ内の水蒸気及び酢酸蒸気圧は、スロットル弁によって266.6Pa(2Torr)に制御した。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約49nm及び1.92であった。
【0101】
実施例28.テトラ(エトキシ)チタネート26.7Pa(0.2Torr)水
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、チャンバ内の水蒸気圧を、スロットル弁により26.7Pa(0.2Torr)に制御した。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約87nm及び1.79であった。
【0102】
実施例29〜32.水圧を変化させた場合のテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例2と同様にポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングした。すなわち、蒸発器の温度を150℃とした。コーティングダイは幅30.5cm(12インチ)であった。水蒸気の流速は3000sccmであった。蒸発器に流入する窒素キャリアガスの流速は200sccmであった。線速度は6.4m/分(21fpm)であった。チャンバ内の水蒸気圧を下記表5に記録したように変化させた。
【0103】
【表5】

【0104】
実施例33.テトラ(イソプロポキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例3の手順を使用して、ポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、2回目の通過時(テトラ(イソプロポキシ)チタネートの成膜)に、コーティングされた基材を、133.3Pa(1.0Torr)のHO蒸気の存在下で、基材を巻き取る直前に2つの赤外線ランプに5秒間曝すことによって、約60℃(約140°F)に加熱した。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約67nm及び1.85であった。
【0105】
実施例34.HOプラズマを用いたテトラ(イソプロポキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例3と同様にポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、コーティングされた基材を、チタネートの成膜直後に133.3Pa(1.0Torr)の水蒸気プラズマ(500W、400kHz)に約12秒間曝した。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約69nm及び1.78であった。
【0106】
実施例35.熱処理を行ったテトラ(イソプロポキシ)チタネート
実施例33の手順を使用して調製したコーティングされた基材を70℃のオーブンに60分間入れた。加熱後、光反射率のスペクトルを得た。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約61nm及び1.95であった。
【0107】
実施例36及び37.熱処理を行ったテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、プロセスドラムの温度を約−1.1℃(30°F)とした。コーティングの後、基材を反応チャンバ内で40.0Pa(0.3Torr)の窒素環境中、3.0m/分(10fpm)の基材速度で後処理した。この後処理は、70℃(158°F)でプロセスドラム上のフィルムコーティングされた基材を加熱することを伴った。第2の試料(実施例37)を、実施例23〜26に記述されている紫外線ランプに18秒間曝した。実施例36〜37の後プロセス条件、コーティングの厚さ及び屈折率を下記表6に示す。
【0108】
【表6】

【0109】
実施例38.IR熱処理を行ったテトラ(イソプロポキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例33の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、2回目の通過時(チタネート層の成膜)のウェブ速度を4.6m/分(15fpm)とした。3回目のチャンバ通過において、チタネートコーティングを、40.0Pa(0.3Torr)の水蒸気の存在下で2つの赤外線ランプに12秒間曝すことによって65.6℃(150°F)よりも高い温度に加熱した。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約71nm及び1.86であった。
【0110】
実施例39.HOプラズマ処理を行ったテトラ(イソプロポキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例3の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、3回目のコーターへの通過時に、テトラ(イソプロポキシ)チタネートコーティングを40.0Pa(0.3Torr)の水蒸気プラズマによる後処理(500W、400kHz)に12秒間(15fpm)曝し、プラズマ後処理の間のドラム温度を17.2℃(63°F)に制御した。3回目の通過時には、赤外線ランプによる加熱は行わなかった。反射率データから計算されたコーティングの厚さ及び屈折率は、それぞれ約70nm及び1.85であった。
【0111】
実施例40及び41.プラズマ処理を行ったテトラ(エトキシ)チタネート
以下の変更を行い、実施例1の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、3回目のチャンバ通過時に、テトラ(エトキシ)チタネートコーティングをプラズマ後処理(500W、400kHz、40.0Pa(0.3Torr))に4分間曝し(基材を停止させた)、プラズマ後処理の間のドラム温度を15.6℃(60°F)に制御した。プラズマガスは、下記表7の実施例40及び41に示されるように、酸素又はアルゴンのいずれかであった。
【0112】
【表7】

【0113】
実施例42〜45.テトラ(エトキシ)チタネート及びアクリレートによる2層反射防止物品の構造
以下の順序でポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングして反射防止物品2層構造を形成した。
【0114】
1回目のコーター通過では、40.0Pa(0.3Torr)のチャンバ圧、400ワットの正味出力、400kHz、及び12.2m/分(40fpm)でHOプラズマ処理を行った。
【0115】
2回目のコーター通過では、基材の速度を離散間隔でコーターへの通過過程全体を通じて変化させた以外は実施例1の手順を使用してテトラ(エトキシ)チタネートを成膜した(下記表8参照)。
【0116】
3回目のコーター通過では、以下の手順、並びに成膜/硬化装置及びパラメータを使用してアクリレート層を成膜した。
【0117】
アクリレート材料は、Ebecryl 130(Cytec−73.5%)及びラウリルアクリレート(Sartomer Chemicals−24.5%)と光開始剤(Darocur 1173(Ciba Specialty Chemicals)2%)との混合物であった。
【0118】
液体のアクリレート剤の流速は1.0mL/分であった。
【0119】
蒸発器の温度は275℃であった。
【0120】
ドラムの温度は−3.9℃(25°F)であった。
【0121】
基材の速度は離散間隔でコーターへの通過過程全体を通じて変化させた(下記表8参照)。
【0122】
アクリレート層は実施例23〜26に述べたような紫外線ランプに曝すことによって硬化させた。
【0123】
同じ通過時の表面のプラズマ前処理は、40.0Pa(0.3Torr)、400kHzで、出力(W)を基材速度(m/m(fpm))の10倍変化させてNプラズマで行った。
【0124】
【表8】

【0125】
実施例42〜45で調製したフィルムのコーティングされた部分の反射率スペクトルを図6に示す。ポリエステル基材からの背面反射の除去は、背面を軽く研磨して黒いテープ(Yamato Co.、日本)を貼ることによって達成した。
【0126】
実施例46.テトラ(エトキシ)チタネート及びメチルトリアセトキシシランによる反射防止物品2層構造
以下の順序でポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングして反射防止物品2層構造を形成させた。
【0127】
1回目のコーター通過では、40.0Pa(0.3Torr)のチャンバ圧、400ワットの正味出力、400kHz、及び12.2m/分(40fpm)でHOプラズマ処理を行った。
【0128】
2回目のコーター通過では、基材速度を4.9m/分(16fpm)にした以外は実施例2の手順を用いて、テトラ(エトキシ)チタネートを成膜した。
【0129】
メチルトリアセトキシシランの第2のコーティング層をチタネート層上に後から成膜した。メチルトリアセトキシシラン層は、以下の点以外は実施例12の手順を使用して成膜した。
【0130】
基材速度は6.9m/分(22.7fpm)であった。
【0131】
2層構造の成膜後、コーティングされた基材を70℃のオーブンで24時間処理した。
【0132】
コーティングされた基材の反射率スペクトルを図7に示す。ポリエステル基材からの背面反射の除去は、背面を軽く研磨して黒いテープ(Yamato Co.、日本)を貼ることによって達成した。
【0133】
実施例47〜53.カラーシフト物品の形成
以下の変更を行い、実施例18の手順を使用してポリエステル基材(DuPont 454)をコーティングした。すなわち、3回目のコーターへの通過時に、チタネート層の上に銀の層(約40nm)をスパッタリングによりコーティングし、クロム/チタネート/銀の3層からなる光学積層体を完成した。積層体は、ポリエステル基材のコーティングされていない側から見ると、反射された色を呈する。表9に実施例47〜53のチタネート成膜時の通過時に用いた線速度をまとめる。
【0134】
【表9】

【0135】
実施例47〜53の反射率スペクトルを図8に示す。各部分のスペクトルの見え方(色)は主としてチタネート層の変化する厚さ(チタネート成膜時の基材速度の変化によって制御される)によって決まる。
【0136】
実施例54.フッ素化ポリエーテルコーティング
トリメトキシシラン官能基によって両端が官能化され、一般式:
X−CFO(CFO)(CO)CF−X
(式中、X=CONHCHCHCHSi(OCHであり、mは約10であり、nは約10であり、約2000の平均分子量を有する)で示される、フッ素化ポリエーテルオリゴマーを使用してガラスプレートをコーティングした。
【0137】
このフッ素化トリアルコキシシランポリエーテルオリゴマーを、図2に概略的に示したシステムにおいて、Viraconより販売される反射防止コーティング(AR)されたガラス(TDAR)上にコーティングした。米国特許第6,045,864号に記載されるような方法によってオリゴマーを霧化し蒸発させた。噴霧器への液体の流速は0.075mL/分であった。噴霧器への高温の窒素流は186℃で44Lpmであった。蒸発器領域の温度は162℃であった。基材をディフューザーから流出する蒸気流に5秒間曝すことによって、極めて薄い凝縮液体コーティングをARガラス上に形成した。この液体フィルムを、110℃のオーブン中で5分間、大気中の水蒸気に曝すことによって硬化させた。
【0138】
硬化後、コーティングは撥インク性を示し(Sharpie(登録商標)ペンのインクが玉状になった)、乾燥した布でインクを容易に拭き取ることができた。コーティングの耐久性を、1kgの荷重下で2500回の摩擦サイクルにわたって24層のチーズクロス(グレード90)でコーティングを機械的に摩擦することによって試験した。チーズクロスによる摩擦後にもコーティングは撥インク性を維持し(Sharpie(登録商標)ペンのインクが玉状になった)、インクをチーズクロスで容易に拭き取ることができた。
【0139】
実施例55.フッ素化ポリエーテルコーティング
実施例54の手順を用いて、30.5cm×22.9cm(12インチ×9インチ)のポリカーボネートプレートにフッ素化トリアルコキシシランポリエーテルオリゴマーをコーティングした。ただし以下の変更を行った。すなわち、ディフューザーを幅25.4cm(10インチ)のスロットコーティングダイに置き換え、液体モノマーの流速を0.10mL/分とし、噴霧器への窒素流を300℃で50Lpmとし、蒸発領域の温度を300℃とし、基材は2.5cm/秒(1インチ/秒)でコーティングダイスロットを通過させた。液体コーティングは触媒燃焼源からの高温の水蒸気流に曝すことによって硬化させた。30.5cm×10.2cm(12×4インチ)の触媒バーナー(Flynn Burner Corp.)は、10.90kL/時(385ft/時)の乾燥した、埃を濾過した空気、及び1.13kL/時(40ft/時)の天然ガスからなる可燃性混合物によって支持され、286.5W−cm(40,000Btu/時−インチ)の火力を得た。火炎当量比は1.00であった。触媒バーナーとコーティングされた基材との間の間隙は約5.1cm(2インチ)であった。曝した時間は2秒未満であった。硬化後、コーティングは溶媒ベースのインクをはじいた。
【0140】
実施例56.テトライソプロピルチタネートの予備重合化
DuPontの「Versatile TYZOR Organic Titanates」、p19、E−38961に記載されている手順に従って、テトライソプロピルチタネート(Tyzor TPT、DuPont)を予備重合化することにより、オリゴマーコーティング材料を調製する。Tyzor TPTオリゴマー水溶液は、次のように調製することができる。
【0141】
20重量部の氷酢酸に10重量部のTyzor TPTを攪拌しながら加え(ある程度の熱が放出される)、更に攪拌しながら70重量部の水を加える。ゼラチン状の粒塊が形成される場合があるが、静かに攪拌を続けることで溶解して、低粘度のオリゴマー材料が得られる。このオリゴマー溶液は室温で数日間安定である。後の水性希釈は容易に行われる。過剰の濁りが生じた場合は、そのオリゴマー溶液は廃棄すべきである。オリゴマー溶液(オリゴマー混合物A)には、予備重合化されたチタネート、重合化されていないテトライソプロピルチタネート、イソプロピルアルコール、水及び酸が含まれる。
【0142】
実施例57.予備重合化されたテトライソプロピルチタネートでのコーティング
押出しスロットダイアプリケーター(図1に図示されず)を有する、図1の概略図に示されたものに類似のコーター(100)を使用して、実施例55で調製されたオリゴマー混合物Aの薄いフィルムが形成される。試料のフィルム基材が、温度制御されたプロセスドラムに貼り付けられる。基材は、厚さ101.6マイクロメートル(4ミル)、幅45.7cm(18インチ)のポリエステル(DuPont 454)である。1回目の通過(ドラム回転)において、基材は、40.0Pa(0.3Torr)、400kHz、及び正味出力400ワット(ドラム1回転)に設定して、水蒸気プラズマで、プラズマ処理される。オリゴマー材料は脱気される。脱気後、オリゴマー材料を圧力シリンダーに装填する。装填された圧力シリンダーを、押出しコーターに接続する。オリゴマー材料をスロットダイアプリケーターを通して圧送し、これにより基材表面上にオリゴマー材料のフィルムが成膜される。試料を、押出しコーティングダイを通過して1回転させる。次に、チャンバ圧を1066.6Pa(8Torr)まで上げる(水蒸気の設定流量3000sccm及び窒素210sccm)。試料をこの水蒸気の連続した流れに30分間曝す。
【0143】
実施例58.
ポリエステル基材(DuPont 454)を、実施例56に記述された手順を用いてコーティングするが、次の変更を行う。すなわち、プロセスドラム温度は70℃(158°F)に設定する。チャンバ圧力は133.3Pa(1.0Torr)に維持する。1回目の通過によるプラズマ前処理は窒素で行う。
【0144】
実施例59.
ポリエステル基材(DuPont 454)を、実施例55に記述された手順を用いてコーティングするが、次の変更を行う。すなわち、コーティング材料は、テトラ(イソプロピル)チタネート(DuPont Tyzor TPT)及びテトラデカンの脱気した混合物である。プロセスドラム温度は17℃(63°F)に設定する。コーターはロールツーロールモードで操作する。1回目の通過によるプラズマ前処理は窒素で行う。コーティング後、テトラ(イソプロピル)チタネート及びテトラデカンのフィルムをすぐに真空チャンバ内で水蒸気に曝して、テトラデカンをゆっくり蒸発させながらコーティングを硬化させる。蒸留水蒸気の連続的な流れを、水蒸気マスフローメーターからチャンバ内に導入する。
【0145】
実施例60.
ポリエステル基材(DuPont 454)を、図1の概略図で示されているコーターに類似の蒸気コーターを用いてコーティングする。有機金属蒸気(テトラ(イソプロピル)チタネート)を含有するプラズマ(例えば図1には示されていないが、グロー放電)が生成され、これが蒸発器から出て、基材上に凝縮する。プロセスドラム温度は17℃(63°F)に設定する。蒸発器温度は100℃に設定する。凝縮したフィルムは上述のように硬化させる。
【0146】
実施例61.
ポリエステル基材(DuPont 454)を、実施例60に記述された手順を用いてコーティングするが、次の変更を行う。すなわち、テトラ(イソプロピル)チタネート(有機金属)蒸気及び脱ガスしたテトラエチレングリコールジアクリレート蒸気の両方を含有するプラズマが、蒸発器から出て、基材上に凝縮する。凝縮したフィルムは上述のように硬化させる。
【0147】
実施例62.
ポリエステル基材(DuPont 454)を、実施例60に記述された手順を用いてコーティングするが、次の変更を行う。すなわち、テトラ(イソプロピル)チタネート(有機金属)蒸気及び脱ガスしたテトラエチレングリコールジアクリレート蒸気の両方を含有するプラズマが、蒸発器から出て、基材上に凝縮し、前述のように硬化する。
【0148】
実施例63.
凝縮したフィルムが限定的に硬化され、ここにおいて有機金属コーティング材料は充分に反応していない。使用中、バリアフィルムは大気中の水分に曝され、これがコーティング全体にゆっくり拡散し、未反応の部位に化学的に結合して、水の外方拡散を低減させる。したがって、コーティングは、このゲッタリング機構により、改善された水蒸気バリア特性を有することになる。
【0149】
実施例64.テトラエトキシチタネートの予備重合化
オリゴマーコーティング材料は、蒸発及びコーティングの前に、Tyzor ET(DuPont)を予備重合化することによって調製することができる。D.C.Bradleyらの「The Hydrolysis of Titanium Tetraethoxide」、J.Chem.Soc.(1955)721〜726に記述されているように、エタノール及びすべてのガラス器具を清浄にして残留水を除去する。窒素でパージしたグローブボックス内で、水(1.0g)のエタノール(30g)溶液を、室温で、Tyzor ET(30.0g)のエタノール(125g)溶液に、磁気攪拌しながら滴下で加える。残りの溶液が37gとなるまで、溶媒(エタノール)を蒸発させる。この溶液(オリゴマー混合物B)は、予備重合化したTyzor ET及び重合化していないTyzor ET、並びに約30重量%の溶媒(エタノール)からなる。
【0150】
実施例65.テトラ(n−プロポキシ)ジルコネートの予備重合化
実施例64の手順を用いるが、溶媒としてn−プロパノールを使用し、金属アルコキシドとしてTyzor NPZ(DuPont)を使用して、Tyzor NPZを予備重合化することにより、オリゴマーコーティング材料が調製される。水溶液は、水0.5g及びn−プロパノール30gで作製される。ジルコネート溶液はTyzor NPZ35g(28重量%のプロパノールを含有する)及びn−プロパノール180gで作製される。室温での反応後、残りの溶液が45gとなるまで溶媒(n−プロパノール)を蒸発させる。この溶液(オリゴマー混合物C)は、予備重合化したテトラ(n−プロポキシ)チタネート及び重合化していないテトラ(n−プロポキシ)チタネート、並びに約50重量%の溶媒(n−プロパノール)からなる。
【0151】
実施例66.予備重合化されたテトラエトキシチタネートのコーティング
図1の概略図に示されているコーターに類似の蒸気コーターを使用して、オリゴマー混合物B(実施例64)から薄いフィルムが形成される。基材は、厚さ101.6マイクロメートル(4ミル)、幅45.7cm(18インチ)のポリエステル(DuPont 454)である。しかしながら、試料のフィルムはロールツーロールモードで動作するのではなく、温度制御されたプロセスドラムに貼り付けられる。1回目の通過(ドラム回転)において、試料がプラズマ源を12.2m/分(40fpm)で通過するようにプロセスドラムを1ドラム回転させて、基材を400kHz、正味出力400Wにて40.0Pa(0.3Torr)で水蒸気プラズマによってプラズマ処理する。
【0152】
オリゴマー混合物Bは、真空ベルジャーを取り付けた、窒素でパージされたグローブボックス内で取り扱われる。オリゴマー混合物Bは、ガラス製ジャーの中に分注され、真空ベルジャー内に入れて脱気を行う。ベルジャーを脱気する。脱気後、ベルジャーを窒素に通気させ、大気中の水分に曝すことなく、液体をシリンジに装填する。シリンジをシリンジポンプに装着し、「METHOD FOR ATOMIZING MATERIAL FOR COATING PROCESSES」(国際出願PCT/US2006/049432号、2006年12月28日出願)に記載されるように噴霧器/蒸発器システムに接続する。2回目のドラム回転で、オリゴマー混合物が1.0mL/分の流速で噴霧器にポンプで送り込まれる。噴霧器への窒素ガスの流速は15sccmである。オリゴマー混合物Bは微細な液滴に霧化され、液滴が高温の蒸発器の壁面(340℃)に接触するとフラッシュ蒸発する。蒸気流は幅40.1cm(16インチ)のコーティングダイから出て、オリゴマー材料が基材上に凝縮する。霧化及び蒸発プロセスの安定化の後、試料を1回転回して、線速度4.6m/分(15fpm)で蒸気コーティングダイを通過させて、オリゴマー混合物Bの液層を凝縮させる。次に、チャンバ圧力を1066.6Pa(8Torr)まで上げる(水蒸気の流量3000sccm及び窒素210sccm)。試料をこの水蒸気の連続した流れに30分間曝す。
【0153】
実施例67.予備重合化されたテトラエトキシチタネート及びDarocur 1173のコーティング
実施例66に記述された手順を用いてポリエステル基材(DuPont 454、101.6マイクロメートル(4ミル))をコーティングするが、次の変更を行う。すなわち、2つのシリンジ及びシリンジポンプを使用し、この一方にはオリゴマー混合物B(実施例64)、もう一方にはDarocur 1173(Ciba)が入れられている。2つのシリンジからの液流は、別々の状態を維持する。各液流を別々の蒸発器に装着された別々の噴霧器に方向づける。オリゴマー混合物B材料の流れは0.85mL/分であり、Darocur 1173の流れは0.15mL/分である。蒸発したオリゴマー混合物B金属アルコキシド及びDarocur 1173は、蒸気として混合され、基材上に凝縮する前に、1つのコーティングダイから出る。成膜中のドラム温度は15℃である。各噴霧器への窒素流は10sccmとする。成膜後、ドラムを70℃に加熱してから、チャンバ圧力を166.6Pa(8Torr)まで上げる。
【0154】
実施例68.予備重合化されたテトラ(n−プロポキシ)チタネートのコーティング
ポリエステル基材(DuPont 454)を、実施例66に記述された手順を用いてコーティングするが、オリゴマー混合物C(実施例65)をコーティング材料として使用する。
【0155】
硬化層を有し、実施例57〜63及び66〜68で調製される、コーティングされたPET基材は、コーティングされていないPET基材のものよりも低い水蒸気透過率及び酸素透過率を有する。
【0156】
本願明細書に記載の参考文献は、その全文を参照することにより明確に本明細書に組み込まれる。本開示の例示的実施形態を検討すると共に本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示の範囲から逸脱することのない、本開示のこれらの及び他の変形及び修正が当業者には明らかであり、本開示及び以下に示す請求の範囲は本明細書に記載した例示的実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に無機又はハイブリッド有機/無機層を含むバリアフィルムを形成する方法であって、
前記基材上に第一金属アルコキシド層を形成する工程と、
前記第一金属アルコキシド層を水と接触させて前記層を硬化させる工程と、
を含み、ここで前記無機又はハイブリッド有機/無機層が減圧下で形成される、方法。
【請求項2】
前記金属アルコキシド層を液体の水と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属アルコキシド層を水蒸気と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属アルコキシド層と、水蒸気を含むプラズマとを接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属アルコキシド層が、蒸発させた金属アルコキシドを前記基材上に凝縮させることによって形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属アルコキシド層が、液体金属アルコキシドを前記基材上に適用することによって形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アルコキシドを含むプラズマを形成することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
触媒を含むことを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記無機又はハイブリッド有機/無機層を熱処理に曝すことを更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理が、約30℃〜約200℃の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱処理が、約35℃〜約150℃の温度で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱処理が、約40℃〜約70℃の温度で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属アルコキシドが、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、セリウム、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、リン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム又はこれらの混合物のアルコキシドを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記金属アルコキシドが、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、タンタル、バリウム、スズ、インジウム、亜鉛、ガリウム、ビスマス、マグネシウム、ストロンチウム、ホウ素、セリウム、ハフニウム、ネオジム、ランタン、タングステン又はこれらの混合物のアルコキシドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属アルコキシドが、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、ポリジメトキシシロキサン、メチルトリアセトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)ジルコネート、テトラ(n−ブトキシ)ジルコネート、又はこれらの混合物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記金属アルコキシドが、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、又はこれらの混合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属アルコキシドがオリゴマーを含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記無機又はハイブリッド層の上にポリマー層を形成することを更に含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記無機又はハイブリッド層の上に、追加でポリマーと無機又はハイブリッド層とを交互に形成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基材の一方又は両方の表面を、第二の無機又はハイブリッド無機/有機層でコーティングして、光学的機能を提供することを更に含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第二の無機又はハイブリッド無機/有機層が、前記無機又はハイブリッド層の上に適用されて、光学的機能を提供する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光学的機能が、干渉効果を形成することを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記層が、約1.45〜約2.0の屈折率を有する、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記光学的機能が、反射防止層を形成することを含む、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのハイブリッド無機/有機層が、バリア特性と光学的機能との両方を含む、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルムの上に保護ポリマー層を形成することを更に含む、請求項18〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記保護ポリマーがポリアクリレートを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基材上にハイブリッド有機/無機層を含むバリアフィルムを形成する方法であって、
金属アルコキシド及び有機化合物を含む層を形成して、前記基材上に第一ハイブリッド層を形成する工程と、
前記ハイブリッド層を硬化させる工程と、
を含み、ここで前記ハイブリッド層は減圧下で形成される、方法。
【請求項29】
前記ハイブリッド層を硬化させることが、前記金属アルコキシドと水とを接触させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
層の形成が、蒸発させた金属アルコキシド及び蒸発させた有機化合物を前記基材上に凝縮させることを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記金属アルコキシドと前記有機化合物とを別々に蒸発させ、気相で混合してから前記基材上に凝縮させる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アルコキシドと前記有機化合物とを一緒に蒸発させる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記アルコキシドと前記有機化合物とを、フラッシュ蒸発を使用して蒸発させる、請求項30〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
層の形成が、前記アルコキシドと前記有機化合物とを含む液体を前記基材上に適用することを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項35】
前記蒸発させた金属アルコキシド又は蒸発させた有機化合物のうち少なくとも一方を含むプラズマを形成することを更に含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項36】
前記金属アルコキシドが、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、セリウム、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ネオジム、リン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム又はこれらの混合物のアルコキシドを含む、請求項28〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記金属アルコキシドが、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、タンタル、バリウム、スズ、インジウム、亜鉛、ガリウム、ビスマス、マグネシウム、ストロンチウム、ホウ素、セリウム、ハフニウム、ネオジム、ランタン、タングステン又はこれらの混合物のアルコキシドを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記金属アルコキシドが、テトラ(エトキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、ポリジメトキシシロキサン、メチルトリアセトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)ジルコネート、テトラ(n−ブトキシ)ジルコネート、又はこれらの混合物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記金属アルコキシドがオリゴマーを含む、請求項28〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記有機化合物が、アルコール、カルボン酸、エステル、酸無水物、アセチルハロゲン、チオール、又はアミンを含む、請求項28〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記有機化合物がアクリレートを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ハイブリッド層の上にポリマー層を形成することを更に含む、請求項28〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ハイブリッド層の上に、追加でポリマーとハイブリッド層とを交互に形成することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記基材の一方又は両方の表面を、第二の無機又はハイブリッド無機/有機層でコーティングして、光学的機能を提供することを更に含む、請求項28〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第二の無機又はハイブリッド無機/有機層が、前記ハイブリッド層の上に適用されて、光学的機能を提供する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記光学的機能が、干渉効果を形成することを含む、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記層が、約1.45〜約2.0の屈折率を有する、請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記光学的機能が、反射防止層を形成することを含む、請求項44〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つのハイブリッド無機/有機層が、バリア特性と光学的機能との両方を含む、請求項44〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記フィルムの上に保護ポリマー層を形成することを更に含む、請求項42〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記保護ポリマーがポリアクリレートを含む、請求項50に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−526833(P2011−526833A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516750(P2011−516750)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/048996
【国際公開番号】WO2010/002755
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】