説明

無機含有複合材料

【目的】 金属ドメインの化学組成、大きさ、間隔及び位置を制御する。
【構成】 本発明の無機含有複合材料の製造方法は、(a)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して1以上の金属配合ポリマーを形成する、1以上の金属配合ポリマーを形成する工程;
(b)担体を1以上の金属配合ポリマーのそれぞれと接触させる工程;
(c)1以上のポリマーを除去して複合材料を形成する工程;を含む。

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、無機物含有複合材料に関する。特に、本発明は、基体上に立体的に配置された所定量の1以上の無機化合物を有する無機物含有複合材料に関する。
【0002】本明細書で使用する”無機化合物”とは、金属、合金、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物、金属珪化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、及びそれらの混合物を意味する。
【0003】本明細書で使用する”ドメイン”とは、1以上の無機化合物を含む、担体上に存在する2次元又は3次元の領域であって、該領域中の元素組成が担体の元素組成と異なっているものを意味する。
【0004】金属、特に貴金属が使用される多くの用途においては、金属を有効に使用することができることが望ましい。従って、最終生成物の製造に必要とされる金属の量を制御し、また、金属の有用な部位を占める程度を制御することが望ましい。触媒の製造においては、例えば、触媒の表面上の1以上の金属の比を制御すること、特に、触媒の表面のドメイン中において1以上の金属の比を制御することが望ましい。不均質触媒においてはまた、ドメインの大きさ、ドメインの位置、ドメイン間の間隔、及びドメインの安定性を制御することが望ましい。金属/担体の相互作用は触媒の性能に影響を及ぼすので、ドメインの大きさ、間隔及び位置を制御できないことは、高性能触媒の製造における長年の問題であった。
【0005】1以上の無機化合物、例えば金属又は金属酸化物を含む不均質触媒を製造する従来の一つの方法は、触媒担体を含浸することによるものである。触媒担体を含浸する一つの公知の方法は、初期湿潤(incipient wetness)によるものである。触媒担体に金属又は金属酸化物を含浸させて触媒を形成する際の効率は、触媒担体と金属又は金属酸化物との相互作用の関数である。この方法は、ドメインの大きさ、配置及び組成が制御されないという欠点を有する。また、含浸法により形成されるドメインは、一般に、熱安定性に劣り、高温暴露により焼結する。
【0006】また、多くの触媒は、特定化学量論比の2以上の金属又は金属酸化物を必要とする。表面上の2以上の金属又は金属酸化物の化学量論比を制御するため、スパッタリング技術やゾルゲル法など、多くの試みがなされている。スパッタリングは、複雑な技術であり、高価な装置を使用する必要があり、操作法も難しい。また、スパッタリングは、基体表面上に被膜の形成をもたらすのみである。また、スパッタリングは、多くの用途で要求される不連続のドメインを表面上に生成することができない。ゾルゲル法は、種々の金属塩及び金属アルコキシドの相対溶解度のため制限を受ける。また、ゾルゲル法を用いた2以上の金属又は金属酸化物の化学量論比の制御は、先駆体により加水分解又は沈殿の速度が異なるため困難である。
【0007】ある用途、例えば、構造用セラミック及び耐蝕性合金では、2以上の金属又は金属酸化物を含む特定の大きさのドメインが効果的である。金属又は金属酸化物のドメインの大きさを制御(又は調整)する従来の試みでは、ドメインを直径約100ナノメータ未満にすることに成功していない。例えば、表面に付着させてドメインを形成することができる金属又は混合された金属の粉末は、一般に、粒子径が100ナノメータより大きく、通常、1,000ナノメータより大きい。2以上の金属又は金属酸化物を含むドメインを形成するための公知の方法は、ドメインの化学量論組成、及びドメイン中の金属又は金属酸化物の立体的な分布を制御することができないという欠点を有する。
【0008】他の用途、例えば、触媒、焼結助剤、粒子成長防止剤(grain growth inhibitors)などでは、基体上のドメインの特定の位置又は間隔が効果的である。例えば、スパッタリングのような多くの技術は基体の表面上にドメインを生成するためには適当であるが、基体のポア構造中などの他の位置においてドメインを生成するためには有効ではなく、従って、また、ポア中のドメインの間隔を制御することにとっても有効ではない。さらに、これらの技術の多くは、特に高温下でドメインの安定性に欠けるという欠点がある。
【0009】米国特許5,086,026号及び5,081,092号は、改良された触媒の製造方法を開示している。該方法では、アミン及びエポキシ樹脂からアミノポリマーを製造することが必要である。アミノポリマーを適当な溶媒中で溶解し、基体を触媒金属で被覆する前か後に、該溶液を使用して基体を被覆する。この方法は、複雑で、多くの工程を必要とし、また、基体上のドメインの化学量論又は配置を制御することの問題まで検討してはいない。
【0010】本発明は、金属ドメインの化学組成、大きさ、間隔及び位置を制御する公知の方法が有する問題を克服するためになされたものである。
【0011】本発明の第1の態様では、(a)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して1以上の金属配合ポリマーを形成する、1以上の金属配合ポリマーを形成する工程;
(b)担体を1以上の金属含有ポリマーのそれぞれと接触させる工程;
(c)1以上のポリマーを除去して複合材料を形成する工程;を含む複合材料の製造方法を提供する。
【0012】本発明の第2の態様では、(a)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して第1の1以上の金属配合ポリマーを形成する、第1の1以上のポリマーを形成する工程;
(b)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して第2の1以上の金属配合ポリマーを形成する、第2の1以上の金属配合ポリマーを形成する工程;
(c)担体を第1の1以上の金属配合ポリマーと接触させる工程;
(d)ポリマーを除去して複合材料を形成する工程;
(e)第2の1以上の金属配合ポリマーを上記(d)の複合材料と接触させる工程;
(f)ポリマーを除去して複合材料を形成する工程;を含む複合材料の製造方法を提供する。
【0013】本発明の第3の態様では、(a)ドメインを支持することのできる1以上の表面を有する担体;及び(b)該担体の1以上の表面上の複数のドメインであって、1以上の無機化合物を含み、直径0.4〜100ナノメータであるドメイン:を含む金属含有複合材料を提供する。
【0014】本発明の第4の態様では、(a)ドメインを支持することのできる1以上の表面を有する担体;及び(b)該担体の1以上の表面上の複数のドメインであって、2以上の無機化合物を含み、直径0.4〜1,000ナノメータであるドメイン:を含む複合材料を提供する。
【0015】本発明で有用なポリマーは、粒子径10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲であり、好ましくは30〜12,000ナノメータ、最も好ましくは50〜10,000ナノメータのポリマーである。ポリマーが小さすぎる場合は、それらが凝集しやすいため、効果を奏することが困難となる。ポリマーが大きすぎる場合は、基体に対して安定的に結合しなくなる傾向がある。
【0016】10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲の粒子径を有するポリマーを調製する適当な方法には、例えば、乳化重合法によるものがある。乳化重合法により調製されたポリマーを、以下において及び特許請求の範囲において”エマルションポリマー”と呼ぶ。乳化重合法は、当業者によく知られている。例えば、本明細書の一部として参照される文献であるChongの米国特許4,359,537号(以下”Chong”)は、本発明に有用なエマルションポリマーを製造する乳化重合法を開示している。Chongによって開示されたエマルションポリマーは、乳化重合法により調製される官能化ポリマーであり、本発明にとって有用な大きさの範囲の粒子径を有する。
【0017】50ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲の粒子径を有するポリマーを調製する他の適当の方法としては、例えば、懸濁重合法によって調製されたイオン交換樹脂を粉砕又は微粉砕すること、あるいは塊重合によって調製されたポリマーを粉砕又は微粉砕することが挙げられる。懸濁重合法によって調製されたポリマーを、以下において及び特許請求の範囲において”サスペンションポリマー”と呼ぶ。懸濁重合法は当業者によく知られており、例えば、本明細書の一部として参照されるMeitzner等の米国特許4,382,124号、4,486,313号、4,501,826号及び4,224,415号において開示されているものなどのようなゲル型樹脂や巨大網目樹脂(macroreticular resins)を製造する方法が挙げられる。
【0018】本発明で有用なポリマーはいかなる形態であってもよい。例えば、該ポリマーは、球状、異形、棒状、中空体、コア/シェル、偏球状又はマルチローバル(multi-lobal)であることができる。該ポリマーは実質的に球状であることが好ましい。また、該ポリマーは、エマルション、サスペンション、又は粉末の状態で使用することができる。
【0019】本発明で有用なポリマーは、好ましくは、1以上の可溶性金属化合物と錯体を形成することができる官能基を含むものである。含む場合、本発明で有用なポリマーの1以上の官能基は、例えば、官能性モノマーの使用により、後に保護が解かれる保護された(潜在性の)官能基を含むモノマーの使用により、重合後にポリマーの非官能性成分を官能化することにより、又はそれらの組み合わせにより得られる。適当な官能基としては、例えば、弱酸性、強酸性、弱塩基性、強塩基性、還元又は配位官能基が挙げられる。すなわち、ポリマーは、イオン交換樹脂又は高分子吸着剤として調製することができる。また、ポリマーは、加水分解、スルホン化、若しくは同様の反応などによって直接的に官能化することができ、あるいは、クロロメチル化などの反応を行ってからアミノ化などの官能化反応を行うことにより間接的に官能化することもできる。
【0020】一般に、エマルションコポリマーイオン交換樹脂を官能化するために使用される反応は、公知の懸濁重合されたコポリマーからイオン交換樹脂を製造するために使用される方法と同様である。官能化度の高いことは単位重量樹脂当たり、多数の官能性イオン交換部位を生成するため望ましく、本発明で有用なポリマーはモノマー単位当たり0.1〜2.0の官能基を有するように官能化させることが好ましい。より好ましい範囲は、モノマー単位当たり0.3〜1.2の官能基数である。本明細書で使用される用語”モノマー単位当たりの官能基数”とは、モノマー単位の総数、すなわちモノエチレン性不飽和モノマーの骨格部、多エチレン性不飽和モノマーの架橋部との合計のモノマー単位に対する官能基の数を意味する。例えば、芳香族主鎖モノマーと芳香族架橋モノマーを使用してコポリマーを調製する場合、この用語はポリマー中の芳香環1個当たりの官能基の数を意味する。同様に、官能化されたアクリル主鎖と官能化されてない芳香族架橋剤とのコポリマーの場合、官能化度は、アクリル及び芳香族の両方のモノマー単位の総数に対する官能性イオン交換基の数で示される。官能化度は、ポリマーを構成する全てのモノマーのモル当たりの官能基の数として考えられる。ポリマーを官能化するいくつかの典型的な方法は、以下のパラグラフ(a)〜(d)で示される。
【0021】(a) 強酸性ポリマーは、例えば、スチレン含有又は置換スチレン含有ポリマーを濃硫酸とともに加熱し、スルホン酸官能化ポリマーを生成することによって調製することができる。
【0022】(b) 弱酸性ポリマーは、例えば、架橋されたアクリルエステルエマルションコポリマーをアルカリ金属水酸化物溶液で加水分解し、カルボン酸官能化ポリマーを形成することによって調製することができる。この方法によって製造されるカルボン酸官能化ポリマーは、アルカリ金属形で存在し、水素形の公知の強酸性カチオンポリマーと接触させることによって遊離酸(水素)形に変換することができる。同様に、アクリルエステルポリマーは強酸で加水分解して、水素形のカルボン酸官能化ポリマーを生成することができる。
【0023】(c) 強塩基性ポリマーは、例えば、スチレン含有エマルションポリマーを、塩化アルミニウムなどのルイス酸の存在下でクロロメチルメチルエーテルでクロロメチル化し、得られた中間体ポリマーをトリメチルアミンなどの第3アミンで処理し、第4アミンクロライド基を形成することによって調製することができる。また、強塩基性第4アミンポリマーは、架橋されたアクリルエステルポリマーを、第3アミン基と第1又は第2アミン基の両方を含むジアミン、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン又はジ(3−ジメチルアミノプロピル)アミンで処理し、得られた弱塩基性ポリマーを塩化メチルなどのアルキルハロゲン化物で4級化することによって調製することができる。
【0024】(d) 弱塩基性ポリマーは、スチレンポリマーについては第3アミンの代わりに第1又は第2アミンを使用し、アクリルエステルポリマーについては該ポリマーをアルキルハロゲン化物で4級化しなかったことを除いて、強塩基性樹脂に関して説明した方法と同じ方法で調製することができる。
【0025】本発明で適当な可溶性金属化合物としては、ポリマーマトリックス、又は水性ポリマーエマルション若しくは分散液に、少なくとも一部が可溶する金属、金属イオン、金属錯体、及び有機金属化合物が挙げられる。1以上の可溶性金属化合物は、水性ポリマーエマルション又は分散液中に、完全に可溶するものが好ましい。適当な金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、メイングループ及びランタニドの金属が挙げられる。金属、金属イオン、金属錯体、及び有機金属化合物の選択は、最終生成物のドメイン中に望まれる金属又は金属酸化物に依存する。例えば、所望の最終生成物が触媒の場合、好ましい金属、金属イオン、金属錯体、及び有機金属化合物は、触媒活性を有する金属又は金属酸化物である。好ましい触媒活性を有する金属又は金属酸化物としては、白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、セリウム、ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステン、ランタン、アルミニウム、イットリウム、ニッケル、錫、ビスマス、銅、コバルト、鉄、銀、金、それらの塩、酸化物及び混合物が挙げられる。適当な可溶性金属イオンの例としては、Ce3+、Ni2+、Zr4+、La3+、Al3+、及びY3+が挙げられる。適当な可溶性金属錯体の例としては、RuCl3、RhCl3、[PtCl6]2-、[Pt(NH34]2+、[PdCl4]2-、Fe(CO)4-、[Ru(NH36]3+、[MoO4]2-、及び[Mo619]2-が挙げられる。適当な可溶性有機金属化合物の例としては、フェロセン、Pt(PPh34、[Pt(NH32(C24)]2+が挙げられる。
【0026】上記したように、1以上の可溶性金属化合物をポリマー中に配合し、金属配合ポリマー(metal-loaded polymer)を形成する。ポリマーと1以上の可溶性金属化合物とを”配合(loading)”するとは、ポリマーの官能基が1以上の可溶性金属化合物と錯体を形成するように、又はポリマーマトリックスが1以上の可溶性金属化合物を可溶化するように、又はそれらの両方を行うように、ポリマーと1以上の可溶性金属化合物とを組み合わせることを意味する。ポリマー及び1以上の可溶性金属化合物との間の錯体の形成は、例えば、イオン交換、キレート化、酸化的付加(oxidative addition)、π−結合、水素結合、配位結合などの手段によって生じさせることができる。適当な金属化合物は、ポリマー中、ポリマー上、又はポリマー全体に、ポリマーのイオン交換特性を利用して導入されることが好ましい。金属塩を使用し、ポリマー中、ポリマー上、又はポリマー全体で該金属塩のイオン交換を行う場合、必須ではないが、任意の適当な還元剤を用いて金属塩を還元することが可能である。1以上の可溶性金属化合物の分布は、使用されるポリマーの構造による。例えば、コア/シェル形態を有するポリマーを使用する場合、例えばコアとシェルでは官能価の型や度合が異なるため、コア中の可溶性金属化合物の濃度は、シェル中の可溶性化合物の濃度と異なる。可溶性金属化合物は、ポリマーマトリックス全体に均一に分配されていることが好ましい。可溶性金属化合物は、ポリマーのコロイド分散液又はエマルションと可溶性金属化合物とを単に混合することによって、ポリマー中、ポリマー上、又はポリマー全体に好ましく導入される。当業者には明らかなように、ポリマー分散液又はエマルションは、可溶性金属化合物がポリマーと錯体を形成するのに適当な形態として存在すべきである。例えば、カルボン酸含有ポリマーを使用する場合、該ポリマー(又はポリマーエマルション若しくはポリマー分散液)のpHは8より大きくし、カルボン酸基を脱プロトン化し、ポリマーが可溶性カチオン金属又は金属錯体と錯体を形成できるようにすることが好ましい。1以上の可溶性金属化合物は、0.1〜70重量%のポリマー及び1以上の可溶性金属化合物の水性混合物を形成することによってポリマー中に配合することが好ましく、該ポリマーと1以上の可溶性金属化合物は1:0.001〜1:3の範囲の重量比で存在することが好ましい。1以上の可溶性金属化合物は、1〜40重量%のポリマー及び1以上の可溶性金属化合物の水性混合物を形成することによってポリマー中に配合することがより好ましく、該ポリマーと1以上の可溶性金属化合物は1:0.01〜1:1の範囲の重量比で存在することがより好ましい。
【0027】1以上の可溶性金属化合物をポリマー中に配合した後、金属配合ポリマー中で、それらを還元するか沈殿させることが望ましい。また、金属配合ポリマーは、更なる可溶性金属化合物と配合させることもできる。金、銅、銀、及び白金族の金属の金属イオン及び金属錯体の場合、該金属イオン及び金属錯体をそれらの対応する金属に還元することができる。これは、例えば、水素、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、一酸化炭素、蟻酸、及び当業者に公知の他の還元剤など、いずれかの適当な還元剤によって行うことができる。また、ポリマーは可溶性金属化合物を金属に還元することができる官能基を含むことができる。例えば、本明細書の一部として参照されるManziekの米国特許4,355,140号に開示されているポリマーは、所定の可溶性金属化合物を対応する金属に還元することができる。
【0028】金属配合ポリマーは、水性懸濁液、エマルション又は分散液の形態で使用されることが好ましい。所望の場合、金属配合ポリマーを担体と接触させる前に、該金属配合ポリマーを単離することができる。金属配合ポリマーを単離する適当な方法としては、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発処理、ろ過、凝集処理、沈殿処理、遠心処理、及び透析処理が挙げられる。
【0029】本発明の方法では、金属配合ポリマーは、ドメインを支持することができる表面を1以上有する担体と接触させられる。担体、あるいは基体は、金属含有ポリマーのポリマーを除去した条件下で安定しているか、又は安定になる。適当な担体としては、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物、金属珪化物、炭素質材料、熱安定性ポリマー及びそれらの複合材料が挙げられる。適当な担体の具体的な例としては、鉄、白金、チタン、珪素、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化珪素、コージーライト、ゼオライト、ムライト、ガラス、グラファイト、非晶質炭素、窒化珪素、炭化珪素、炭化タングステン、硼化ニッケル、並びに、ポリカーボネート、ポリペルフルオロエチレン、ポリスルホン及びポリイミドなどの熱安定性プラスチックが挙げられる。好ましい担体としては、例えば、コージーライト、鉄、アルミナ及び非晶質炭素が挙げられる。該担体は、表面積1,500m2/g以下であることが好ましく、1〜800m2/gであることがより好ましい。該担体が粉状、粒状又は球状の固形物である場合、担体の平均粒子径は10nm〜1mmが好ましく、100nm〜100ミクロンがより好ましい。また、担体は、シート、モノリス(monolith)、繊維、メッシュ、織物(weave)又は他の定形若しくは不定形の状態で存在することができる。本発明の一態様では、1以上の金属配合ポリマー及び1以上の金属非配合ポリマーを担体と接触させる。
【0030】金属配合ポリマーを担体と接触させる適当な方法としては、例えば、担体の存在下で金属配合ポリマーを混合する方法、担体上に金属配合ポリマーを噴霧する方法、金属配合ポリマーをスラリー又はサスペンジョンにされた粉末担体とともに噴霧乾燥する方法、吸着担体上に金属配合ポリマーを吸着させる方法、吸収担体上に金属配合ポリマーを吸収させる方法、金属配合ポリマーを適当に帯電されサイジングされた担体と凝集させる方法、導電性担体上に金属配合ポリマーを電着する方法、金属配合ポリマーの溶液又は懸濁液中に担体を浸漬する方法、担体上に金属配合ポリマーを塗布する方法、印刷又は他の公知のコーティング手段を用いて、担体上に金属配合ポリマーを被覆する方法が挙げられる。金属配合ポリマーを担体と接触させる好ましい方法は、一つには、使用されるべき担体により左右される。担体が導電性である場合、例えば、金属プレート、金属ワイヤ、炭素繊維などの場合は、好ましい接触法として、電着、浸漬、塗布、印刷が挙げられる。担体が、例えば、ポリマー、金属又はセラミック構造体である場合は、好ましい接触方法として、吸着、吸収、浸漬、塗布及び凝集が挙げられる。担体が、例えば、炭素、ポリマー、金属、金属酸化物などの粉末や他のセラミック粉末である場合は、好ましい接触方法として、コーティング、浸漬、凝集、吸着、吸収、及び、スラリー又はサスペンジョンにされた粉末を金属配合ポリマーとともに噴霧乾燥する方法が挙げられる。
【0031】上記した方法は金属配合ポリマーを担体と接触させるために適当である。所望の場合は、金属配合ポリマーの担体との接触の程度を、接触法を繰り返したり、種々の組み合わせの接触法を用いたりして制御することができる。例えば、金属配合ポリマーの均一な被膜を形成するために数回の接触工程を行うことができる。同様に、所望の厚みのコーティングを形成するために数回の接触工程を行うことができる。
【0032】本発明の一態様において、1以上の可溶性金属化合物を有する1種のポリマーが基体と接触される。本発明の他の態様においては、それぞれが1以上の可溶性金属化合物を含む2種以上のポリマーが使用される。2種以上のポリマーを使用する場合は、ポリマーを連続的に接触することができ、また、混合物としての基体と接触させることもでき、さらには、ポリマーを凝結又は凝集させた後、凝集又は凝結ポリマーを基体に接触させることもできる。金属配合ポリマーを担体と接触させた後、金属配合ポリマーを確実に担体に付着させることが望ましい。金属配合ポリマーを担体に確実に付着させる適当な方法としては、例えば、金属配合ポリマー同士を架橋させる方法、金属配合ポリマーを他のポリマーに架橋させる方法、金属配合ポリマーを担体に架橋させる方法、金属配合ポリマー上に被膜を形成する方法、金属配合ポリマー上又は間にコーティングを形成する方法、及びそれらの組み合わせ方法が挙げられる。
【0033】金属配合ポリマーを担体と接触させた後、ポリマーを除去して複合材料を形成する。適当なポリマー除去方法としては、例えば、熱分解、溶解、化学崩壊、放射線照射及び超音波処理が挙げられる。好ましい方法は、ポリマーを熱分解によって除去することである。熱分解を酸化雰囲気中、例えば空気又は窒素酸化物中で行うと、ポリマーが完全に除去されるため好ましい。熱分解を不活性雰囲気中、例えば窒素又はアルゴン中で行うと、ポリマーは無機化合物を含む炭素質材料に変換されるが、この無機化合物を含む炭素質材料は担体と接触したままであり、その結果、複合材料が形成される。熱分解を還元雰囲気中、例えば、シラン(SiH4)、ジボラン(B26)又はアンモニア中で行うと、ポリマーが無機化合物を含む炭素質材料に変換され、無機化合物を金属又は対応する金属/ヘテロ原子化合物に変換することができる。担体がポリマーであり、熱分解が不活性雰囲気中で行われると、複合材料の全てが炭素質ベースの複合材料となる。熱分解は、酸化雰囲気中、温度250℃〜1,000℃で、1分〜24時間行うことが好ましい。本発明の他の態様においては、1以上の金属配合ポリマーを、担体上に金属配合ポリマーのパターンを形成することができるフォトイメージ作成可能な1以上のポリマーの存在下で担体と接触させる。ポリマーを除去すると、ドメインは金属配合ポリマーのパターンを示す。この方法は、センサー、電極、エネルギー蓄積デバイスの製造に有用である。
【0034】ポリマーの除去に加えて、熱分解は、金属配合ポリマー由来の可溶性金属化合物を互いに焼結し、ドメインを形成させることができる。所望の場合、複合材料をより高い温度に暴露し又はより長時間高温で維持し、ドメインを形成させることができる。ドメインは単一の無機化合物の微結晶であってもよいし、また、金属含有ポリマー中に1種より多い型の可溶性金属化合物が使用される場合は、ドメインは2以上の無機化合物を非晶質構造、結晶構造、それらの組み合わせを含む幾つかの相の形態で含むことができる。
【0035】ポリマーを除去した後、上記方法のいずれかにより、複合材料を1以上の金属配合ポリマーと接触させることが望ましい。複合材料に1以上の金属配合ポリマーとさらに接触させる工程を施すことは、複合材料上のドメインの化学量論量を制御又は微調整するための手段の一つとなる。また、更なる接触工程は、複合材料の表面上に3次元無機化合物を形成するための手段となる。
【0036】無機化合物のドメインは、分離させることもできるし、連結させることもできる。ドメインが連結される程度により、それらはダンベル、ネッキングされた領域を有する鎖、又は結合した実質的に円形の領域の絡み合った塊として現れる。一般に、各ドメインは、直径0.4ナノメータ〜1,000ナノメータ、好ましくは、0.8ナノメータ〜700ナノメータである。ドメインの大きさは、熱分解条件、ポリマーの大きさ及び組成、金属配合ポリマー中に存在する可溶性金属化合物の量、及び基体の1以上の表面における金属配合ポリマーの充填密度などの要因によって左右される。ドメインの大きさは、熱分解の条件によって影響を受け、例えば、温度が上昇すればドメインの大きさは増大し、あるいは、酸化条件での熱分解は、一般にドメインの大きさを増大させる。また、ドメインの大きさは、ポリマーの組成によっても影響され、例えば、スルホン酸などのある種の官能基は熱分解中のドメインの焼結を促進させることができる。基体上の金属配合ポリマーの充填密度を高くするほど、又は金属配合ポリマー中の金属の量を大きくするほど、一般には、より大きなドメインが生じる。
【0037】ドメインは2種以上の無機化合物を含むことができ、また、一般に、金属配合ポリマー中に存在する可溶性金属化合物又はポリマーの化学量論量を反映する。例えば、金属配合ポリマーが、モル比1:2:3のイットリウム、バリウム及び銅で調製されて担体と接触される場合は、ポリマーを除去した結果として形成されるドメインもまた、イットリウム、バリウム及び銅のモル比は1:2:3となる。
【0038】また、本発明は、2種以上の無機化合物の合金又は固溶体を含むドメインを形成することができる。例えば、金及び白金は、同じか又は異なる金属配合ポリマー中に存在することができ、基体上に付着され熱分解されたときに、基体表面に合金を生じさせることができる。合金の形成も、熱分解条件によって一部制御することができる。
【0039】本発明によって形成されるドメインは、結晶質又は非晶質であることができる。結晶質相は、他の方法によって形成される結晶質相とは異なっている。これは、異なる中間体から形成されることによるか、又は、ポリマーの存在により得られる結晶質相が影響されるからである。また、本発明によって形成される結晶質相は、熱力学的に安定であることもできるし、不安定であることもできる。例えば、アルミナ基体上に付着され熱分解されたジルコニウム配合ポリマーは、正方晶相又は立方晶相を生じた。一方、沈殿した水酸化ジルコニウムから調製されたジルコニアは、単斜晶相を生じた。また、結晶相は高温にドメインを暴露することによって変更することができるということに留意すべきである。本発明を用いて、例えば、正方晶、立方晶及びそれらの組み合わせから選択される結晶相の酸化ジルコニウムのドメインを調製することができる。この酸化ジルコニウムは3重量%未満の相安定剤を含み、好ましくは、相安定剤を実質的に含まない。
【0040】本発明によって形成されるドメインは、高温暴露後、有意な粒子成長が起きないことからわかるように、焼結に対する熱安定性を有している。基体表面上のドメインの安定性は、例えば、表面に沿ったドメインの分離、基体表面によるドメインの安定化、又は意図的に添加した若しくは偶然的に存在する粒子成長抑制剤の存在の関数である。粒子成長抑制剤を意図的に存在させる場合、それらを例えば金属配合ポリマーの構成成分として添加することができる。
【0041】本発明によって形成されるドメインは担体の1以上の表面上のクラスターとすることができる。”クラスター”とは、ドメインが比較的集中している領域を意味する。クラスターは分離していてもよいし、結合していてもよい。クラスターの大きさは、一般に金属配合ポリマーの直径とほぼ同じである。クラスターは、例えば、3個か4個ぐらいの少ないドメインを含む場合もあるし、また、数百個程度のドメインを含むこともできる。基体を金属配合ポリマーと接触させ金属配合ポリマーのコーティングが形成されている場合、又は、本発明によって調製される複合材料が、本発明に従って金属配合ポリマーと接触されている場合、各クラスターが無機化合物のドメイン又はそれらの結合体を含む3次元構造のクラスターを調製することができる。
【0042】ドメインの大きさ、間隔及び化学量論量を制御できることは、例えば、自動車エンジン、ディーゼルエンジン及び定量エンジンなどのような燃焼源からの排気ガスのコンバーション用触媒など、触媒製造において有用である。例えば、多くの自動車用排気触媒は、触媒担体としてのハニカム状のモノリス上に触媒金属のドメインを付着させることによって製造される。また、ドメインの大きさ、間隔及び化学量論量を制御できることは、燃料電池、化学反応用触媒、相間移動触媒、電極及びセンサーの製造において有用である。
【0043】また、本発明は、例えば、輻射コーティング(emissivity coatings)を調製するために有用である。ある無機化合物は、マイクロ波及び高周波を反射又は吸収するということが知られている。本発明は、かかる特性が望まれる表面上の無機化合物のドメインを形成するために使用することができる。例えば、マイクロ波オーブン及び電気装置の内面は、本発明の方法を用いてコーティングし、マイクロ波又は高周波が通過できないような表面にすることができる。本発明によって調製することができる他のコーティングとしては、エネルギー吸収コーティング、エネルギー反射コーティング、耐磨耗コーティング、エレクトロルミネセンス用材料(りん光物質)のコーティングが挙げられる。
【0044】また、本発明は、例えば、トナー粒子の調製に有用である。高分子トナー樹脂上に付着されたドメインは、ドナー樹脂を着色又は彩色させることができる。また、ある種の無機化合物は磁気を帯びている。高分子トナー樹脂が磁気ドメインを含む場合、電磁工程を介してトナーを動かすことによって像を転写することができる。彩色された又は着色された樹脂を利用する他の用途としては、例えば、装飾用配合物、ペイント、ラッカー、染料及び他の着色コーティング剤が挙げられる。
【0045】また、本発明は、電子及び光電子セラミック材料を含むセラミック材料の調製においても有用である。本発明により、制御された化学量論量と大きさを有する無機化合物のドメインを形成することがせきる。ある種の混合された金属酸化物、例えば、YBa2Cu3(7-x)は、公知の高温超伝導体組成物である。また、本発明を使用して、圧電性物質、強誘電体、非線形光学材料など、他の電子用途材料を調製することができる。これらのセラミックスの幾つかの例としては、BaTiO3、PZLT(ランタンでドープされた鉛ジルコニウムチタネート)、及びLiNbO3が挙げられる。
【0046】また、本発明は基体としての粉末金属上に無機化合物のドメインを形成させることができるため、粉末冶金用途においても有用である。金属粉末上に無機化合物のドメインが存在するため、例えば、焼結助剤、粒子成長抑制材又は相安定化剤として有用である。
【0047】また、本発明は基体としてのセラミック粉末及びガラス上に、無機化合物のドメインを形成させることができるため、セラミック粉末及びガラス用途においても有用である。セラミック粉末上に無機化合物のドメインが存在するため、例えば、焼結助剤、粒子成長抑制材、相安定化剤、又は他のドーパント(dopant)として有用である。
【0048】また、本発明は、粒子中又は粒子上に、磁化又は磁化可能なドメインを有していることが望ましい用途においても有用である。例えば、磁化又は磁化可能なドメインは、粒子が、混合物の成分に触媒作用を及ぼすか、分離するか、精製するか又は濃縮するために使用されている混合物から、粒子を単離するため若しくは混合物中に粒子を固定させるために有用である。触媒、分離、精製及び濃縮手段としては、例えば、限外ろ過、クラマトグラフィー、イオン交換分離及びアフィニティー分離(affinity separations)が挙げられる。
【0049】また、本発明は、表面に導電路を生じさせるフォトリソグラフィーの方法を提供する。例えば、表面の所定の連続部分に沿って金属配合ポリマーを付着させ、ポリマーを除去し、表面上に無機化合物のドメインの導電路を形成することができる。
【0050】実施例以下、10〜15,000ナノメータの範囲の粒子径を有するスチレンジビニルベンゼンエマルションポリマーを調製するのに適当な一般的な手段を示す。窒素雰囲気下、脱酸素水370g、28%の固形分を含むアルキルアリールポリエーテルスルホネート表面活性剤のナトリウム塩48.2g、スチレン348.8g、市販グレードのジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン54.7%、残りは本質的にエチルビニルベンゼン)51.2gを激しく攪拌することによって、モノマーエマルションを調製する。脱酸素水100g中に、過硫酸カリウム2.0gを溶解することによって開始剤水溶液を調製し、該開始剤溶液にモノマー溶液50gを添加する。混合物を攪拌して1インチの渦を発生させ、窒素雰囲気下70℃に加熱する。不透明度の急減によって明らかになる重合開始の後、残余のモノマーエマルションを1.5時間にわたって添加する。温度は、添加が完了した後1時間、70℃で維持する。ポリマーエマルションを室温まで冷却して、チーズクロスでろ過する。所望の場合、上記の調製されたエマルションポリマーを、例えば、スルホン化して強酸性樹脂を生成することができ、又は、例えば、塩化メチルやヨウ化メチルでクロロメチル化又は4級化して、強塩基性エマルションポリマーを生成することができる。
【0051】実施例1γ−アルミナ上にセリウム酸化物のドメインを形成するための、弱酸性エマルションポリマー中への単一金属イオンの配合中和ポリマーエマルションを、(a)35重量%のメタクリル酸、60重量%のエチルアクリレート及び5重量%のアリルメタクリレートのモノマー組成を有する限外ろ過されたエマルションポリマー(平均粒子径103nm)の16.19重量%の水性エマルション30.88g、及び(b)エマルションのpHを8.2に調整する0.92MのNH4OH水溶液 13.59mlをフラスコに添加することによって形成した。中和ポリマーエマルションに、酢酸セリウム水溶液として、セリウム530mgをピペットで添加し、セリウム配合ポリマーエマルションを形成した。フラスコを振盪機の上に置いて30分間内容物を混合した。
【0052】マグネチック攪拌棒が装着された4リットルのビーカーに、γ−アルミナ5.89g及び超純水800mlを添加した。セリウム配合ポリマーエマルションを、攪拌した水/γ−アルミナ混合物に滴下して添加した。セリウム配合ポリマーエマルションの添加を完了すると、全ての混合物がフロックを形成した。該フロックをろ過によって集め、オーブン中、110℃で一晩乾燥した。900mlのろ液を集め、誘導結合プラズマ分光分析法(inductively coupled plasma spectroscopy)(”ICP”)によって分析し、0.11ppmのセリウムイオンを含有することを見いだした。
【0053】粉末を、空気中、温度250℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度350℃で1時間加熱した。粉末を所定量に分け、以下の表1に示される温度で4時間加熱した。
【0054】実施例2γ−アルミナ上に白金/セリアのドメインを形成するための、単一の強酸性エマルションポリマー中への金属イオン及び金属錯体の配合1重量%の水性ポリマーエマルションを、(a)87重量%のスチレン及び13重量%のジビニルベンゼンのモノマー組成を有する限界ろ過されたスルホン化エマルションポリマー(平均粒子径230nm)の9.27重量%の水性エマルション53.94g、及び(b)超純水446mlをフラスコに添加することによって形成した。1重量%の水性ポリマーエマルションに、テトラアミン白金(Pt(NH342+)水溶液として白金14mg、及び硝酸セリウム水溶液としてセリウム887mgをピペットで添加し、金属配合ポリマーエマルションを形成した。フラスコを振盪機の上に置いて30分間内容物を混合した。
【0055】マグネチック攪拌棒が装着された4リットルのビーカーに、γ−アルミナ5.89g及び超純水800mlを添加した。金属配合ポリマーエマルションを、攪拌した水/γ−アルミナ混合物に滴下して添加した。セリウム配合ポリマーエマルションの添加を完了すると、全ての混合物がフロックを形成した。該フロックをろ過によって集め、オーブン中、110℃で一晩乾燥した。3.25リットルの乾燥されたろ液粉末を集め、ICPによって分析し、0.17ppmの白金イオン及び0.17ppmのセリウムイオンを含有することを見いだした。
【0056】粉末を、空気中、温度250℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度350℃で1時間加熱した。粉末を所定量に分け、以下の表1に示される温度で4時間加熱した。
【0057】報告された微結晶の大きさは、以下の表の全てにおいて、CuKa1X線(波長=1.5405オングストローム)を用い、シェラーの式によるXRDによって決定した。
【0058】表1セリア微結晶の大きさ(nm)
温度 実施例1 実施例2500 5.3 測定せず600 6.5 測定せず700 9.0 31.4800 16.9 40.4900 22.3 34.01000 26.3 47.91100 47.5 測定せず
【0059】実施例1及び2は、単一種類の金属と配合されたポリマーからか、又は2種以上の金属と配合されたポリマーから、ドメインが基体上に形成されることができることを示す。上記の表1に示されたデータは、本発明によって形成されたドメインは高温に暴露されたときでも、ドメインとして残っていることを示す。上記表1に示されたデータは、X線回折分析によって導き出した。
【0060】実施例3〜6強塩基性ポリマー中への1つの金属の配合、基体上への電気永動法による付着、及び基体上での金属ドメインの形成金属配合エマルションポリマー及び電着助剤からなる電着可能なポリマーエマルションを、(a)金属が配合された、60重量%のジメチルアミノエチルメタクリレート、35重量%のスチレン及び5重量%のジビニルベンゼンのモノマー組成を有するメチルクロライド4級化エマルションポリマー(平均粒子径120nm)の7.5重量%の水性エマルション10.0g、及び(b1)8重量%ジメチルアミノエチルメタクリレート、17重量%のエチルアクリレート、75重量%のメチルメタクリレートのモノマー組成を有する溶液ポリマーの10重量%の水性エマルション(平均粒子径100nm)90.0g、(b2)ペンタアクリロキシペンタエリトリトール22.92g及び2−エチルヘキサノール27.5gを混合することによって調製した。
【0061】基体を、電着可能なポリマーエマルションで予め湿潤させ、電源の陽極端子に接続し、電源の陰極端子に接続されているステンレス鋼製プローブから約1cm離してビーカーにクランプした。電着可能なポリマーエマルションをビーカーに添加し、基体及びプローブの75%を電着可能なポリマーエマルション中に浸漬させた。次に、ビーカーを38℃で維持されている一定温度の水浴中に浸漬した。18〜100ボルトの電位を、1秒〜30秒間、250ミリアンペア以下で印加した。電圧を印加した後、電着されたポリマーを含む基体を脱イオン水ですすぎ、圧縮空気で乾燥し、次に、オーブン中、温度110℃で2分間乾燥した。電着されたポリマーを含む基体を、空気中、温度250℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度350℃で1時間加熱した。
【0062】以下の表2に示されるデータは、上記手段によって使用された金属及び基体を示す。
【0063】表2実施例 金属 量1 基体3 Pt 0.15 ステンレス鋼片4 Pt 0.15 ステンレス鋼メッシュ5 Pt 0.15 炭素繊維織物6* Ru 0.05 チタン箔
【0064】1.報告された量は、エマルションポリマー1グラム当たりの配合された金属のグラム数である。
*.実施例1で説明した弱酸性エマルションポリマーを用いて調製した。電着助剤(b1)は、モノマー組成として50重量%のアクリル酸コポリマー(メタクリル酸10重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート8.7重量%、メチルメタクリレート43.9重量%及びブチルアクリレート37.4重量%)を有する乳化された溶液ポリマーであった。
【0065】実施例3〜6のそれぞれにおいて、熱分解後の基体上の金属の存在はXRFによって確認した。上記表中の実施例は、電着助剤とともに金属配合ポリマーが、導電性を有する種々の基体上に、電気永動によって付着することができることを示す。
【0066】実施例7基体上に2種金属合金のドメインを形成するための、強塩基性エマルションポリマーと2つの金属錯体との配合強塩基性ポリマーを用いたγ−アルミナ上での重量比1:9のAu/Pt合金の調製ヘキサクロロ白金酸水溶液として白金918mg、テトラクロロ金酸水溶液102mgを、60重量%のジメチルアミノエチルメタクリレート、35重量%のスチレン及び5重量%のジビニルベンゼンのモノマー組成を有するエマルションポリマー(平均粒子径120nm)の5.0重量%の水性エマルションの試料170.0gに滴下して添加し、金属配合ポリマーエマルションを形成した。金属配合ポリマーエマルションを一晩攪拌し、γ−アルミナ酸化物粉末3.00gを添加し、フロックを形成した。フロックをろ過によって集め、オーブン中、110℃で一晩乾燥し、空気中、温度350℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度500℃で1時間加熱した。
【0067】最終的な粉末生成物のX線回折は、金の回折ピーク37゜と白金の回折ピーク39.7゜の間である39.4゜を中心とする単一のピークを示した。該回折ピークは、白金の回折ピークから金の回折ピークの方へ僅かにシフトしており、Au/Pt合金の存在を示した。さらに空気中で600℃に加熱した試料のX線回折が、白金及び金の2つの異なった相をそれぞれ示す39.6゜と38.5゜の2つの分かれたラインを示したため、この合金は、準安定性であることが明らかになった。
【0068】白金と金の相図は、金及び白金の固溶体が白金15〜100重量%の間では安定ではないということを示していることから、これらの結果は非常に驚きものである。
【0069】実施例8一つが単一の金属錯体と配合され、他が2つの金属イオンと配合された2つのポリマーPt/強塩基性ポリマーヘキサクロロ白金酸水溶液として白金0.50gを含むフラスコに、攪拌下、60重量%のジメチルアミノエチルメタクリレート、35重量%のスチレン及び5重量%のジビニルベンゼンのモノマー組成を有するメチルクロライド4級化エマルションポリマー(平均粒子径150nm)の9.57重量%の水性エマルション261.23gを添加し、第1の金属配合ポリマーを形成した。
【0070】Ce/Al/弱酸性ポリマー中和ポリマーエマルションを、(a)40重量部のメタクリル酸、60重量部のエチルアクリレート及び5重量部のアリルメタクリレートのモノマー組成を有するエマルションポリマー(平均粒子径103nm)の16.45重量%の水性エマルション303.83g、及び(b)1.0MのNH4OH水溶液 150mlをフラスコに添加することによって形成した。中和ポリマーエマルションに、硝酸セリウム水溶液としてセリウム5.0g及び硝酸アルミニウム水溶液としてアルミニウム0.045gをピペットで添加し、2つの金属を含む第2の金属配合ポリマーエマルションを形成した。フラスコを振盪機の上に置いて30分間内容物を混合した。
【0071】第2の金属配合ポリマーエマルション122.11gを含むビーカーに、第1の金属配合ポリマーエマルション30gを滴下して添加した。また、混合物の過剰な増粘を避けるため水を添加し、エマルションのpHを水酸化アンモニウムの添加によってpH8.0に維持した。フロックが形成され、ろ過により集められた。
【0072】マグネチック攪拌棒が装着されたビーカーに、γ−アルミナ127.9g及び脱イオン水800mlを添加した。フロックを上記したように集め、強塩基性エマルションポリマー(未配合)1.2gを、攪拌下、アルミナ懸濁液に添加した。フロック及び強塩基性エマルションポリマーの添加を完了すると、全ての混合物は均一なフロックを形成した。該フロックをろ過によって集め、オーブン中、110℃で一晩乾燥した。1.53リットルのろ液を集め、ICPによって分析して、2.28ppmのプラチナ及び0.02ppmのセリウムを含むことを見いだし、金属錯体及び金属イオンが依然としてポリマーと錯体を形成しているということがわかった。
【0073】粉末を、空気中、温度250℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度350℃で1時間加熱し、さらに、空気中、温度500℃で4時間加熱した。試料を小分けし、さらに、空気中で以下の表3に示される温度に加熱した。
【0074】以下の表3に報告されたデータは、実施例8の手段に従って調製され、空気中で示された温度及び時間で加熱された試料を、XRD粉末パターンによって測定した微結晶の大きさである。
【0075】
表3温度 時間 セリア 白金 2Θ=28.4゜ 2Θ=32.8゜ 2Θ=39.7゜500℃ 4時間 4.4 4.3 9.3800℃ 1時間 11 10 231000℃ 1時間 46 44 67
【0076】表3のデータは、異なる種類の金属を含む金属配合ポリマーを用いることによって、基体上に2以上の金属のドメインを生じさせるために本発明を使用することができるということを示している。
【0077】実施例9粉砕されたイオン交換ポリマーと強酸性エマルションポリマーとの2つのポリマー中への2以上の金属の配合Rh/粉砕された還元ポリマーアミンボラン官能化スチレン/ジビニルベンゼンサスペンションポリマーを、Manzeiekの米国特許4,355,140号で説明されている方法に従って調製した。該ポリマーの試料を微粉砕し、次に、カラムで限外ろ過し、分子量500,000未満のものを取り除いた。マグネチックスターラーが装着されたフラスコに、粉砕され限外ろ過されたポリマー(平均粒子径300nm)244.14g、及びトリ塩化ロジウム水溶液としてロジウム0.125gを添加した。フラスコの内容物を攪拌し、第1の金属配合ポリマー混合物を形成した。
【0078】Zr及びY/強酸性ポリマー87重量%のスチレン及び13重量%のジビニルベンゼンのモノマー組成を有するスルホン化されたエマルションポリマー(平均粒子径230nm)の10.8重量%の水性エマルション500gを攪拌し、2つの金属イオン溶液:硫酸ジルコニウム水溶液としてジルコニウム4.425g及び硝酸イットリウム溶液としてイットリウム0.150gを滴下して添加することによって、第2の金属配合ポリマーエマルションを形成した。金属イオン溶液の添加後、水酸化アンモニウムを添加して、pHを3〜4の範囲に調整した。
【0079】第2の金属配合ポリマーエマルション62.74gを含む第1のビーカーに、第1の金属配合ポリマー混合物60gを滴下して添加した。また、混合物の過剰な増粘を避けるため水を添加した。
【0080】マグネチック攪拌棒が装着された第2のビーカーに、γ−アルミナ2.22g及び脱イオン水800mlを添加した。第1のビーカーの内容物を第2のビーカーの内容物に、攪拌下、滴下して添加した。第1のビーカーの内容物の添加を完了すると、全ての混合物はフロックを形成した。該フロックをろ過によって集め、オーブン中、110℃で一晩乾燥した。1.50リットルのろ液を集め、ICPによって分析して、0.1ppm未満のロジウム及び0.1ppm未満のジルコニウムを含むことを見いだし、金属錯体及び金属イオンが依然としてポリマーと錯体を形成しているということがわかった。
【0081】粉末を、空気中、温度250℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度350℃で1時間加熱し、さらに、空気中、温度500℃で4時間加熱した。試料を小分けし、さらに、空気中で以下の表4に示される温度に加熱した。
【0082】以下の表4に報告されたデータは、実施例9の手段に従って調製され、空気中、示された温度及び時間で加熱された試料を、XRD粉末パターンによって測定した微結晶の大きさである。
【0083】


【0084】XRDの分析から、この方法によって形成されたジルコニアが、主として正方晶相、立方晶相、又はそれらの組み合わせであることがわかった。これらの形態は、イットリアなどの相安定剤の非存在下では、室温では熱力学的に不安定と考えられる。従って、このデータは、ジルコニアドメインは、ジルコニアドメイン中の相安定化成分により相安定化されていることを示している。
【0085】実施例10触媒活性圧力計と振盪機が装着された厚肉の500mlのParrフラスコに、実施例2で調製した生成物(γ−アルミナ上の白金/セリウム酸化物ドメイン)0.501g、メシチルオキシド3.16ml及び脱イオン水46.8gを添加した。フラスコを密封し、ヘッドスペースを排気し、水素をフラスコに充填し、フラスコを連続的に振盪させた。反応を、圧力計により水素の消費を測定することによってモニターした。60分以上経った後、ガスクロマトグラフィーによって測定すると、メシチルオキシドの90%はメチルイソブチルケトンに転化されていた。
【0086】実施例11金属配合ポリマーの多重コーティング一般的方法:幾つかのハニカム状のコージーライト基体(気泡密度300気泡/平方インチを有するもの5個、及び気泡密度400気泡/平方インチを有するもの5個)を、2分間、金属配合ポリマーの溶液又はエマルション中に浸漬することによって浸漬コーティングした。過剰の溶液を排液し、流路を5〜20psigの圧力でエアガンにより清浄にした。コージーライト基体を、オーブン中、110℃で2時間乾燥し、次に、空気中、250℃で10分間、350℃で10分間加熱した。
【0087】この一般的方法を、以下の金属配合ポリマー溶液及びエマルションを以下の順で用いて、合計6回行った。ランタン及びアルミニウムが配合されている実施例8の第2の金属配合ポリマー。パラジウムが配合されている実施例8の第1の金属配合ポリマー。実施例8の第2の金属配合ポリマー。実施例8の第1の金属配合ポリマー。実施例9の第2の金属配合ポリマー。実施例9の第1の金属配合ポリマー。
【0088】最終的なコージーライト基体のXRFによる元素分析では、金属配合ポリマー中に存在する金属イオンが全て存在することを示した。以下の表5に示される”強度”データは、XRFによって測定された1秒当たりのカウント数である。
【0089】表5元素 強度(カウント数/秒)
Al* 2595.6Y 17.8Zr 586.8Rh 5.6Pd 14.9La 30.6Ce 84.3Pt 12.9*コージーライト基体はアルミニウムを含む。
【0090】表5のデータは、コージーライト基体と接触した各金属配合ポリマーからの金属ドメインが基体上に付着したことを示す。
【0091】実施例12実施例11で調製された300気泡/平方インチの金属含有コージーライト基体の触媒活性を、次の組成:酸化窒素500ppm、プロピレン1200ppm、水素1700ppm、酸素1.56%、一酸化炭素1.88%、二酸化炭素10%、水10%、及び窒素76.3%を有する合成した自動車排気ガスを用いて評価した。CO:O2の比を、2:1〜1:3の間で、0.5Hz周期で変化させ、最近生産の自動車におけるフィードバック制御系をシミュレーションした。上記したCO及びO2のパーセンテージは時間重量平均(time weighted averages)である。金属含有コージーライト基体を、内径0.435インチのステンレス鋼製反応シリンダー中に入れた。合成自動車排気ガスを、流速0.5〜1リットル/分(空間速度5,000〜7,000/時間に相当)で該反応シリンダーを通過させた。
【0092】以下の表6で示されるガスは、FT−IR分光分析法によって直接分析した。反応ガスの25、50及び90%が転化される温度を以下の表6において、それぞれT25、T50及びT90として報告する。50%のガスが消費される温度であるT50は、しばしば、そのガスのライトオフ(light-off)温度として説明される。
【0093】表6ガスの種類 T255090一酸化炭素 224℃ 240℃ 271℃プロピレン 226℃ 243℃ 275℃酸化窒素 232℃
【0094】実施例13金属配合ポリマーとコージーライト先駆体配合物の共押出金属配合ポリマーエマルションを、35重量%のメタクリル酸、60重量%のエチルアクリレート及び5重量%のアリルメタクリレートのモノマー組成を有するエマルションポリマー(平均粒子径87nm)の27.4重量%の水性エマルション46.72g、並びに酢酸セリウム水溶液としてセリウム956.5mg及びテトラアミン白金水溶液として白金499.5mgをピペットでフラスコに添加し、金属配合ポリマーエマルションを形成した。金属配合ポリマーエマルションに、エマルションのpHを8.2に調整する14.8MのNH4OH水溶液1.79ml、分子量1,000のポリ(アクリル酸)のアンモニウム塩0.5g、及び十分な量の水を添加し、固形分31重量%のエマルションを形成した。フラスコを振盪機の上に置き、30分間内容物を混合した。
【0095】Gardnerの米国特許4,551,295号で説明されているようにして、コージーライト先駆体配合物を次の成分(重量部):タルク: 40.21アルミナ: 13.47ヒドロキシプロピルセルロース: 3.0ステアリン酸ジグリコール: 1.0カオリン: 46.32から調製した。
【0096】コージーライト先駆体配合物50g及び金属配合ポリマーエマルション15.5gを、シグマブレードが装着されたHaake Rheocord中で、15分間混合した。得られたペーストを、開口約1mmの多孔ダイと定剪断速度を用いたGottfertキャピラリーレオメーターを使用して押し出した。生成物を空気乾燥して、空気中、温度250℃で1時間加熱し、次に、空気中、温度350℃で1時間加熱し、さらに、空気中、1000℃で2時間加熱して、最終的な金属含有コージーライトを形成した。
【0097】最終の金属含有コージーライトの水素の化学吸着により、押出物中に存在する2.1%の白金が暴露されたことがわかった。
【0098】実施例14最終の金属含有コージーライトの触媒活性を実施例12で説明したものと同様の手段を用いて評価した。
【0099】以下の表7で示されるガスは、FT−IR分光分析法によって直接分析した。反応ガスの25及び50%が転化される温度を以下の表7において、それぞれT25及びT50として報告する。
【0100】表7ガスの種類 T2550一酸化炭素 449℃ 486℃プロピレン 426℃ 459℃酸化窒素 378℃ 474℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して1以上の金属配合ポリマーを形成する、1以上の金属配合ポリマーを形成する工程;
(b)担体を1以上の金属配合ポリマーのそれぞれと接触させる工程;
(c)1以上のポリマーを除去して複合材料を形成する工程;を含む複合材料の製造方法。
【請求項2】(a)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して第1の1以上の金属配合ポリマーを形成する、第1の1以上のポリマーを形成する工程;
(b)1以上の可溶性金属化合物を、それぞれの粒子径が10ナノメータ〜15,000ナノメータの範囲である1以上のポリマーのそれぞれに添加して第2の1以上の金属配合ポリマーを形成する、第2の1以上の金属配合ポリマーを形成する工程;
(c)担体を第1の1以上の金属配合ポリマーと接触させる工程;
(d)ポリマーを除去して複合材料を形成する工程;
(e)第2の1以上の金属配合ポリマーを上記(d)の複合材料と接触させる工程;
(f)ポリマーを除去して複合材料を形成する工程;を含む複合材料の製造方法。
【請求項3】 前記ポリマーが、エマルションポリマー及び粉砕されたサスペンションポリマーからなる群から選ばれる請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】 前記1以上の可溶性金属化合物が、金属、金属イオン、金属錯体及びそれらの混合物からなる群から選ばれるものである請求項1又は2記載の方法であって:(a)金属は、白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、セリウム、ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステン、ランタン、アルミニウム、イットリウム、ニッケル、錫、ビスマス、銅、コバルト、鉄、銀、金及びそれらの混合物からなる群から選ばれるものであり;及び、(b)金属イオンは、Ce3+、Ni2+、Zr4+、La3+、Al3+、Y3+及びそれらの混合物からなる群から選ばれるものであり;及び金属錯体は、RuCl3、RhCl3、[PtCl6]2-、[Pt(NH34]2+、[PdCl4]2-、Fe(CO)4-、[Ru(NH36]3+、[MoO4]2-、[Mo619]2-及びそれらの混合物からなる群から選ばれるものである、前記方法。
【請求項5】 前記担体が、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物、金属珪化物、炭素質材料、熱安定性ポリマー及びそれらの複合材料から選ばれるものである請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】 前記担体が、鉄、白金、チタン、珪素、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化珪素、コージーライト、ゼオライト、ムライト、ガラス、グラファイト、非晶質炭素、窒化珪素、炭化珪素、炭化タングステン、硼化ニッケル及び熱安定性プラスチックから選ばれるものである請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】 前記ポリマーが、熱分解、溶解、化学崩壊、放射線照射及び超音波処理から選ばれる方法によって除去される請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】 前記ポリマーが熱分解によって除去される請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】 請求項1又は2記載の方法によって調製される複合材料。
【請求項10】(a)ドメインを支持することのできる1以上の表面を有する担体;及び(b)該担体の1以上の表面上の複数のドメインであって、1以上の無機化合物を含み、直径0.4〜100ナノメータであるドメイン:を含む複合材料。
【請求項11】(a)ドメインを支持することのできる1以上の表面を有する担体;及び(b)該担体の1以上の表面上の複数のドメインであって、2以上の無機化合物を含み、直径0.4〜1,000ナノメータであるドメイン:を含む複合材料。
【請求項12】 前記無機化合物が、非晶質構造、結晶質構造、合金及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる構造を有する請求項10又は11記載の複合材料。
【請求項13】 前記ドメインが直径0.8〜700ナノメータである請求項11記載の複合材料。
【請求項14】 前記ドメインが、正方晶、立方晶及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる結晶相中に酸化ジルコニウムを含み、該酸化ジルコニウムが、相安定剤を3重量%未満含む請求項10又は11記載の複合材料。
【請求項15】 前記無機化合物が、白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、セリウム、ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステン、ランタン、アルミニウム、イットリウム、ニッケル、錫、ビスマス、銅、コバルト、鉄、銀、金、それらの酸化物及びそれらの混合物からなる群から選ばれるものである請求項10又は11記載の複合材料。
【請求項16】 前記担体が、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物、金属珪化物、炭素質材料、熱安定性ポリマー及びそれらの複合材料から選ばれるものである請求項10又は11記載の複合材料。
【請求項17】 前記担体が、鉄、白金、チタン、珪素、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化珪素、コージーライト、ゼオライト、ムライト、ガラス、グラファイト、非晶質炭素、窒化珪素、炭化珪素、炭化タングステン、硼化ニッケル及び熱安定性プラスチックから選ばれるものである請求項10又は11記載の複合材料。
【請求項18】 請求項10又は11記載の複合材料を含む触媒。
【請求項19】 担体がハニカム状のモノリスである請求項18記載の触媒。
【請求項20】 請求項10又は11記載の複合材料を含む燃料電池。
【請求項21】 請求項10又は11記載の複合材料を含む輻射コーティング。
【請求項22】 請求項10又は11記載の複合材料を含む光電子工学デバイス。
【請求項23】 請求項10又は11記載の複合材料を含む超伝導体。
【請求項24】 請求項10又は11記載の複合材料を含むセラミック材料。

【公開番号】特開平8−2928
【公開日】平成8年(1996)1月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−155567
【出願日】平成7年(1995)5月31日
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY