説明

無機微粒子分散ペースト組成物

【課題】粘度が高く、スクリーン印刷性、又はディスペンス印刷性に優れ、かつ、低温で焼成することができる無機微粒子分散ペースト組成物を提供する。
【解決手段】架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子、無機微粒子、及び、有機溶剤を含有する無機微粒子分散ペースト組成物であって、前記架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子は、前記有機溶剤で膨潤しており、かつ、粒子径が10μm以下であり、前記架橋(メタ)アクリル樹脂は、単官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントと多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントとを有する共重合体である無機微粒子分散ペースト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度が高く、スクリーン印刷性、又はディスペンス印刷性に優れ、かつ、低温で焼成することができる無機微粒子分散ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性粉末、導電粉末、セラミック粉末等の無機微粒子を樹脂バインダーに分散させたペースト組成物は、様々な形状の焼結体を得るために用いられている。
例えば、バインダー樹脂に導電粉末を分散させた導電ペーストは、回路形成やコンデンサーの製造等に用いられている。また、バインダー樹脂にセラミック粉末やガラス粉末を分散させたセラミックペーストやガラスペーストは、プラズマディスプレイパネル(PDP)の誘電体層や積層セラミックコンデンサの製造、蛍光表示管等に用いられている。更に、バインダー樹脂に酸化スズにインジウムをドープしたITOを分散させたペースト組成物は、PDP、液晶ディスプレイパネル(LCD)、太陽電池パネル駆動部の回路形成等を製造するための透明電極材料などに用いられている。加えて、バインダー樹脂に蛍光体を分散させたペースト組成物は、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、PDP、バインダー樹脂に銀を分散させたペースト組成物は、太陽電池、LED等に用いられている。これらの無機微粒子分散ペースト組成物は、近年需要が急速に高まりつつある。
【0003】
このような無機微粒子分散ペースト組成物は、例えば、スクリーン印刷、ダイコート印刷、ドクターブレード印刷、ロールコート印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンス印刷等を用いた塗布法、シート状に加工するためのキャスティング法等により所定の形状に加工した後、焼成することで必要な形状の焼結体とすることができる。なかでも、スクリーン印刷法は、特に大量生産に適した方法である。また、ディスペンス印刷法は、特に精密な印刷に適した方法であり、電子部品のパターン形成等に用いられている。
【0004】
スクリーン印刷やディスペンス印刷を良好に行うためには、塗工の際に粘度が充分に低く塗工が容易であり、一方、塗工後に静置して乾燥させる際には粘度が充分に高く自重により流延しないという性質が求められるため、ペースト組成物は、いわゆるチキソトロピー性(以下、「チキソ性」ともいう)を有することが好ましい。なお、チキソ性とは、例えば、回転粘度計で粘度を評価した場合、回転数が高い場合(歪速度が高い変位)では粘度が低く、回転数が低い場合(歪速度が低い変位)では粘度が高い性質である。
【0005】
一般的に、スクリーン印刷やディスペンス印刷に用いられるペースト組成物に含有されるバインダー樹脂には、エチルセルロースを高沸点有機溶剤に溶解させたものが用いられている。エチルセルロースは、エトキシ化率が高くなるほど高粘度になって有機溶剤に溶解し難くなるが、完全に溶解させずに数ミクロンの未溶解物を残すことでペースト組成物にチキソ性を持たせることができる。すなわち、ペースト組成物中に未溶解状態で残ったエチルセルロース粒子が擬似架橋点的な働きをすることで、ペースト組成物に剪断歪みがかかった際に歪み速度に応じて応力が変化する。剪断速度が大きな場合は擬似架橋点が破壊されてペースト組成物の粘度が低くなり、一方、剪断速度が小さな場合はペースト組成物の擬似架橋点の破壊と回復とが同時に起こることでペースト組成物は高粘度を示す。そのため、エチルセルロースの配合量が少なくても、得られるペースト組成物は粘度が高く、糸曳きをほとんど生じないものとなる。
【0006】
スクリーン印刷やディスペンス印刷を用いたペースト組成物の塗工方法では、例えば、無機微粒子をエチルセルロース等のバインダー樹脂に分散させたペースト組成物を基板上にスクリーン印刷やディスペンス印刷で塗工し、その後、焼結することで無機微粒子からなる層を形成する。しかし、バインダー樹脂として一般的に用いられているエチルセルロースは500℃以上の高温で加熱しなければ完全に分解せず、焼結時の高温での加熱により金属微粒子が劣化したり、エチルセルロースの分解が不充分であった場合、焼結後の残留炭素により金属微粒子の特性を低下したりする等の問題を抱えていた。また、エチルセルロースは、天然物由来の不純物イオンが多数含有されており、ペースト組成物の用途が半導体関連等であると、この不純物イオンが問題となることがあった。
【0007】
これに対して、特許文献1には、熱分解性の良好な(メタ)アクリル樹脂を用いたペースト組成物が開示されている。しかし、(メタ)アクリル樹脂は粘着性が強いため、スクリーン印刷装置を用いてペースト組成物を印刷する場合、転写されたペースト組成物が糸曳きし、スクリーン印刷板の裏面に戻ってパターンの印刷不良が発生する問題があった。また、ディスペンス印刷装置を用いてペースト組成物を印刷する場合では、ペースト組成物を充填するセル以外のセルがペースト組成物の糸曳きによって汚染されるという問題があった。
更に、(メタ)アクリル樹脂は比較的に増粘性が低いため、印刷に適する程度までペースト組成物の粘度を高くするために(メタ)アクリル樹脂の配合量を増やすと焼結時の未分解残渣が多くなり、また、少量の(メタ)アクリル樹脂でペースト組成物の粘度を高くするために(メタ)アクリル樹脂の分子量を高くすると、糸曳きが発生しやすくなってスクリーン印刷やディスペンス印刷に用いることが困難であった。
【0008】
特許文献2には、架橋アクリル樹脂からなる微粒子をペースト組成物に配合する方法が開示されている。特許文献2では、ペースト組成物に糸曳きが生じた場合でも、架橋アクリル樹脂からなる微粒子が糸切れの起点となるとしている。しかしながら、該架橋アクリル樹脂からなる微粒子は増粘効果が低いため、ペースト組成物の粘度を高くするために多量の樹脂が必要となり、焼結時の未分解残渣が多くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−104053号公報
【特許文献2】特開平10−083760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、粘度が高く、スクリーン印刷性、又はディスペンス印刷性に優れ、かつ、低温で焼成することができる無機微粒子分散ペースト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子、無機微粒子、及び、有機溶剤を含有する無機微粒子分散ペースト組成物であって、上記架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子は、上記有機溶剤で膨潤しており、かつ、粒子径が10μm以下であり、上記架橋(メタ)アクリル樹脂は、単官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントと多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントとを有する共重合体である無機微粒子分散ペースト組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明者らは、バインダー樹脂として(メタ)アクリル樹脂を用いる場合において、ペースト組成物中に未溶解状態の架橋(メタ)アクリル樹脂を含む膨潤ゲルを含有させることにより、該膨潤ゲルが擬似架橋点的な働きをすることで、ペースト組成物の粘度を高くし、かつ、チキソ性を向上させることができることを見出した。
しかしながら、通常、ゲルは系の端から端まで橋掛けされた状態にあり、固体状であるため、ペースト用途に用いることが難しいという問題があった。
そこで本発明者らは、粒子径を10μm以下とした架橋(メタ)アクリル樹脂の膨潤ゲル状粒子をバインダー樹脂として用いることにより、粘度が高く、糸曳きを抑制することができる無機微粒子分散ペースト組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子(以下、単にゲル状粒子ともいう)を含有する。上記ゲル状粒子が架橋(メタ)アクリル樹脂を含むことにより、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、無機微粒子の焼結体をより低い焼成エネルギーで作製することができる。
【0014】
上記架橋(メタ)アクリル樹脂は、単官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントと多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントとを有する共重合体である。
【0015】
上記単官能(メタ)アクリルモノマーは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記単官能(メタ)アクリルモノマーには、ポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリルモノマーを用いてもよい。上記ポリオキシアルキレン構造は特に限定されず、例えば、ポリオキシプロピレン構造、ポリオキシメチルエチレン構造、ポリオキシエチルエチレン構造、ポリオキシトリメチレン構造、ポリオキシテトラメチレン構造等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリルモノマーのなかでも、より低温で分解することができることから、メチルメタクリレートが好適である。
なお、本明細書中において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0016】
上記多官能(メタ)アクリルモノマーは特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記多官能(メタ)アクリレートは、エチレンオキサイド変性していてもよい。
【0017】
上記架橋(メタ)アクリル樹脂における上記多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有割合の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は50重量%である。上記多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有割合が0.5重量%未満であると、ゲル状粒子によってチキソ性を向上させる効果がほとんど発揮されず、得られる無機微粒子分散ペースト組成物が糸曳きの発生しやすいものとなることがある。上記多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有割合が50重量%を超えると、架橋度が高くなりすぎることで有機溶剤に不溶となり、印刷に必要な粘度が得られないことがある。上記多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有割合のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は40重量%である。
【0018】
上記ゲル状粒子は、有機溶剤で膨潤しており、かつ、粒子径が10μm以下である。上記ゲル状粒子の粒子径が10μm以下であることにより、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、粘度が高く、糸曳きを低減することができ、スクリーン印刷やディスペンス印刷に好適に用いることができる。一方、得られる無機微粒子分散ペースト組成物が10μmを超えるゲル状粒子を含有する場合、焼結体のボイドや印刷時の目詰まり等の原因となる。上記ゲル状粒子は、粒子径の上限が5μmであることが好ましい。
また、上記ゲル状粒子の粒子径の下限は10nmである。上記粒子径が10nm未満であると、有機溶剤に溶解しやすくなり、チキソ性を向上させる効果がほとんど発揮されず、10μmを超えると、焼結体のボイドや印刷時の目詰まり等の原因となる。
上記ゲル状粒子の粒子径のより好ましい上限は5μm、より好ましい下限は50nmである。
なお、本明細書において「ゲル状粒子の粒子径が10μm以下である」とは、ゲル状粒子の95重量%以上が孔径10μmのフィルターを通過することを表す。
【0019】
無機微粒子分散ペースト中の上記ゲル状粒子の含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は15重量%である。上記ゲル状粒子の含有量が5重量%未満であると、得られる無機微粒子分散ペースト組成物が成形性に劣るものとなることがある。上記ゲル状粒子の含有量が15重量%を超えると、得られる無機微粒子分散ペースト組成物が糸曳きの発生しやすいものとなることがある。上記ゲル状粒子の含有量のより好ましい下限は7重量%、より好ましい上限は13重量%である。
【0020】
上記ゲル状粒子は増粘性に優れているため、他のバインダー樹脂を併用しなくても、得られる無機微粒子分散ペースト組成物に充分な粘度を確保することができる。ただし、上記ゲル状粒子のみではチキソ性が高すぎ、印刷時に流動しすぎる場合等には、本発明の目的を阻害しない範囲で上記ゲル状粒子以外に鎖状ポリマー等のその他のバインダー樹脂を添加してもよい。
【0021】
上記ゲル状粒子を製造する方法は特に限定されないが、架橋(メタ)アクリル樹脂を含む膨潤ゲルを、有機溶剤を膨潤させたまま細分化した後、得られたゲル状粒子を分級する方法を用いることが好ましい。また、架橋(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂微粒子を作製した後、有機溶剤に膨潤させる方法によりゲル状粒子を製造してもよい。
【0022】
上記架橋(メタ)アクリル樹脂を含む膨潤ゲルを製造する方法は特に限定されず、例えば、有機溶剤中において、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等により架橋反応を行う方法が挙げられる。有機溶剤中で架橋反応を行うことによって、膨潤状態で架橋転換距離が非常に長いゲルが得られる。
【0023】
上記架橋(メタ)アクリル樹脂を含む膨潤ゲルを、有機溶剤を膨潤させたまま細分化する方法は特に限定されないが、例えば、3本ロールミル、ミキサー、ディスパー、押し出し機等を用いて、有機溶剤を含んだ架橋(メタ)アクリル樹脂を強いせん断力で解砕することにより、分子鎖の絡み合いを解きほぐしたり、分子鎖の一部を切断したりすることができる。
【0024】
上記ゲル状粒子を分級する方法は特に限定されず、例えば、フィルターを用いたろ過や遠心分離等によって、10μmを超える粒子径を有するゲル状粒子を取り除く方法が挙げられる。上記10μmを超えるゲル状粒子が残留した場合、焼結体のボイドや印刷時の目詰まり等の原因となるため、上記ゲル状粒子の分級は、複数回行うことが好ましい。
【0025】
上記ゲル状粒子を上述した方法で製造することにより、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物に含まれる不純物イオンの濃度を極めて低くすることができる。これは、上述した方法で製造した上記ゲル状粒子は、懸濁重合法や乳化重合法等により製造された市販の架橋(メタ)アクリル微粒子のように、製造過程でイオン系界面活性剤やイオン成分を含む重合触媒を用いる必要がないためである。
【0026】
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、無機微粒子を含有する。
上記無機微粒子は特に限定されないが、金属、ガラス、珪素化合物、カーボンブラック、錫を含有する合金及び、金属錯体からなる群より選択される少なくとも1種を原料とするものが好適に用いられる。
具体的には例えば、銅、銀、ニッケル、パラジウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化マグネシウム、ITO、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、CaO・Al・SiO系無機ガラス、MgO・Al・SiO系無機ガラス、LiO・Al・SiO系無機ガラス等の低融点ガラス、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラス、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Eu等の無機蛍光体、珪素化合物、種々のカーボンブラック、はんだ粉、金属錯体等が挙げられる。
【0027】
上記無機微粒子の含有量は特に限定されないが、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物のうち、上記ゲル状粒子や後述する有機溶剤等の無機微粒子以外の成分からなるバインダー樹脂組成物100重量部に対して好ましい下限が10重量部、好ましい上限が300重量部である。上記無機微粒子の含有量が10重量部未満であると、無機微粒子分散ペースト組成物に充分なチキソ性が得られないことがある。上記無機微粒子の含有量が300重量部を超えると、上記無機微粒子を分散させることが困難となることがある。
【0028】
また、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、上記無機微粒子の分散状態を適度に安定化させるために、HLB値が10以上のノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。ここで、HLB値とは界面活性剤の親水性、親油性を表す指標として用いられるものであって、計算方法がいくつか提案されており、例えば、ノニオン系界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとしたとき、HLB値を20(1−S/A)で定義する。
上記HLB値が10以上のノニオン系界面活性剤は特に限定されないが、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたものが好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適である。なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加すると無機微粒子分散ペースト組成物の熱分解性が低下することがあるため、含有量の好ましい上限は5重量%である。
【0029】
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、有機溶剤を含有する。上記有機溶剤は特に限定されないが、沸点が160℃以上、290℃未満の有機溶剤が好適である。上記有機溶剤の沸点が160℃未満であると、印刷中にペーストが乾く恐れがある。上記有機溶剤の沸点が290℃以上であると、乾燥させるために膨大なエネルギーを必要とする。
沸点が160℃以上、290℃未満の上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、ターピネオール、テキサノール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、ベンジルアルコール等が好適に用いられる。これらの有機溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、不純物イオンの含有量ができるだけ少ないことが好ましく、不純物イオンの濃度の好ましい上限は0.5ppmである。上記不純物イオンの濃度が0.5ppmを超えると、得られる無機微粒子分散ペースト組成物を半導体関連用途に用いることが困難となる。上記不純物イオンの濃度は、上記ゲル状粒子を上述した方法で製造することで0.5ppm以下とすることができる。
【0031】
上記不純物イオンとしては、具体的にはアルカリ金属イオンが挙げられ、より具体的には、ナトリウムイオンが挙げられる。
上記不純物イオンの濃度の測定方法としては、例えば、電位差分析法等の電位差と電解電流との関係から評価する方法や、発光分光法や高周波誘導結合プラズマ(ICP発光分析法)等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の無機微粒子分散ペースト組成物は、23℃においてB型粘度計を用いプローブ回転数を10rpmに設定して測定した時の粘度が10Pa・s以上、100Pa・s未満であることが好ましい。上記粘度が10Pa・s未満であると、スクリーン印刷等により印刷した後に静置して乾燥させる際に自然流延してしまうことがある。上記粘度が100Pa・s以上であると、得られる無機微粒子分散ペースト組成物が印刷性におとるものとなることがある。
【0033】
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物を製造する方法は特に限定されず、上記ゲル状粒子、上記無機微粒子、及び、上記有機溶剤等を、3本ロール等を用いた従来公知の攪拌方法で攪拌する方法が挙げられる。
【0034】
本発明の無機微粒子分散ペースト組成物の用途は特に限定されないが、LEDバックライト、プラズマディスプレイパネル、VDFパネル等に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、粘度が高く、スクリーン印刷性、又はディスペンス印刷性に優れ、かつ、低温で焼成することができる無機微粒子分散ペースト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0037】
(実施例1)
(架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子の製造)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、単官能(メタ)アクリルモノマーとしてメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、「MMA」)95重量部、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてポリテトラメチレングリコールジメタクリレート(日油社製、「PDT650」)5重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸1.8重量部、及び、有機溶剤として酢酸エチル100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(日油社製、「パーヘキサH」)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中、重合開始剤を含有する酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却することにより重合を終了させ、架橋(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を得た。
次いで、得られた架橋(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に樹脂固形分が50重量%となるようベンジルアルコールを添加し、真空脱溶剤処理にて酢酸エチルを除去して架橋膨潤ゲル組成物を得た。次いで、得られた架橋膨潤ゲル組成物を3本ロールミルにて解砕処理を行った。
滑らかになった架橋膨潤ゲル組成物を孔径10μmのカートリッジフィルター(日本フィルター社製、PMC−100)を用いてろ過を行い、粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(A)を得た。
【0038】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコール49.5重量部、ノニオン系界面活性剤としてBL25(日光ケミカルズ社製)0.5重量部、ハンダ粉末粒子(日本ハンダ社製、「VO」、平均粒子径2μm)40重量部を添加し、ビーズミル(アイメックス社製、「RMB−08」)及びメディアとして粒子径1mmのジルコニア粒子を用いてビーズミル処理を1時間行い、スラリーを得た。
次いで、得られたスラリーにゲル状粒子(A)を表1記載の配合になるように添加し、3本ロールミルを用いて均一に混合し、無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0039】
(実施例2)
(架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子の製造)
メチルメタクリレートの配合量を92.5重量部、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートの配合量を7.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(B)を得た。
【0040】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
溶媒としてベンジルアルコール49.5重量部の代わりにテキサノール60.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに銀微粒子(メタロー社製、平均粒子径1μ)30重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりにゲル状粒子(B)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0041】
(実施例3)
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
溶媒としてベンジルアルコール49.5重量部の代わりにテルピネオール50.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりに実施例2と同様にして得られたゲル状粒子(B)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0042】
(実施例4)
(架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子の製造)
メチルメタクリレートの配合量を90重量部、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートの配合量を10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(C)を得た。
【0043】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコールの配合量を59.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに平均粒子径2.0μmのガラス微粒子(SiOを32.5%、Bを20.5%、ZnOを18%、Alを10%、BaOを3.5%、LiOを9%、NaOを6%、SnOを0.5%含有)30重量部を配合し、ビーズミル処理時間を6時間に変更し、ゲル状粒子(A)の代わりにゲル状粒子(C)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0044】
(実施例5)
(架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子の製造)
メチルメタクリレートの配合量を40重量部とし、単官能(メタ)アクリルモノマーとして更にブチルメタクリレート(日本触媒社製、「BMA」)30重量部を配合し、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてポリテトラメチレングリコールジメタクリレート5重量部の代わりにポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA1000」)30重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(D)を得た。
【0045】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコールの配合量を50.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、ZnSiO:Mn)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりにゲル状粒子(D)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0046】
(実施例6)
(架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子の製造)
メチルメタクリレートの配合量を20重量部とし、単官能(メタ)アクリルモノマーとして更にイソブチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、「IBMA」)40重量部を配合し、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてポリテトラメチレングリコールジメタクリレート5重量部の代わりにポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA1000」)40重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(E)を得た。
【0047】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコールの配合量を50.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、BaMgAl1017:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりにゲル状粒子(E)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0048】
(実施例7)
(架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子の製造)
メチルメタクリレートの配合量を92.5重量部とし、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてポリテトラメチレングリコールジメタクリレート5重量部の代わりにポリエチレングリコールジメタクリレート(日油社製、「PDE400」)7.5重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(F)を得た。
【0049】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりにゲル状粒子(F)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0050】
(実施例8)
(架橋(メタ)アクリル樹脂のゲル状粒子の製造)
メチルメタクリレートの配合量を80重量部とし、多官能(メタ)アクリルモノマーとしてポリテトラメチレングリコールジメタクリレート5重量部の代わりにポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステル23G」)20重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして粒子径が10μm以下となるように調整したゲル状粒子(G)を得た。
【0051】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコールの配合量を50.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、ZnSiO:Mn)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりにゲル状粒子(G)を表1記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0052】
(実施例9)
((メタ)アクリル樹脂の製造)
メチルメタクリレート100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸1.2重量部、及び、有機溶剤として酢酸エチル100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(日油社製、「パーヘキサH」)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中、重合開始剤を含有する酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却することにより重合を終了させ、ポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を得た。得られたポリメチルメタクリレートについて、カラムとしてLF−804「昭和電工社製」を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は28000であった。
【0053】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、BaMgAl1017:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりに実施例2と同様にして得られたゲル状粒子(B)を表1記載の配合になるように配合し、更に、得られた重量平均分子量が28000のポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を樹脂固形分が2重量%となるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0054】
(比較例1)
((メタ)アクリル樹脂の製造)
メチルメタクリレート100重量部、連鎖移動剤としてドデカンチオール0.1重量部、及び、有機溶剤として酢酸エチル50重量部を混合し、モノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(日油社製、「パーヘキサH」)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中、重合開始剤を含有する酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却することにより重合を終了させ、ポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を得た。得られたポリメチルメタクリレートについて、カラムとして昭和電工社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は20万であった。
【0055】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコールの配合量を50.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子を配合せず、得られた重量平均分子量が20万のポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を樹脂固形分が9重量%となるように配合し、真空脱溶剤処理にて酢酸エチルを除去したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0056】
(比較例2)
((メタ)アクリル樹脂の製造)
メチルメタクリレート100重量部、連鎖移動剤としてドデカンチオール3重量部、及び、有機溶剤として酢酸エチル100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(日油社製、「パーヘキサH」)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中、重合開始剤を含有する酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却することにより重合を終了させ、ポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を得た。得られたポリメチルメタクリレートについて、カラムとして昭和電工社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は1.1万であった。
【0057】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ベンジルアルコールの配合量を44.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子を配合せず、得られた重量平均分子量が1.1万のポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を樹脂固形分が15重量%となるように配合し、真空脱溶剤処理にて酢酸エチルを除去したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0058】
(比較例3)
(乳化重合による架橋(メタ)アクリル微粒子の製造)
酢酸エチルの代わりに水とドデシルスルホン酸ナトリウムの混合液100重量部を配合したこと以外は実施例1と同様にしてモノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら還流に達するまでに昇温した。還流後、アゾ系重合開始剤である2,2−アゾビスイソブチロニトリル(大塚化学社製)を加えた。重合開始から6時間後、冷却し重合を終了させた。
次いで、得られた架橋(メタ)アクリル微粒子を含む水溶液に樹脂固形分が50重量%となるようにベンジルアルコールを添加し、エバポレーターにて水を蒸発して微粒子分散した架橋(メタ)アクリル微粒子のベンジルアルコール溶液を得た。
得られた架橋(メタ)アクリル微粒子の粒子径を、粒度分布計を用いて測定したところ平均粒子径は5μmであった。
【0059】
(無機微粒子分散ペースト組成物の製造)
ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(A)の代わりに上記の架橋アクリル微粒子(平均粒子径5μm)を配合したこと以外は、実施例1と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。得られた無機微粒子分散ペースト組成物は、架橋(メタ)アクリル微粒子の架橋度が高すぎるため有機溶剤で膨潤しておらず、粘度が低かった。
【0060】
<評価>
実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
【0061】
(1)ろ過
実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物100gを孔径10μmのカートリッジフィルター(日本フィルター社製、PMC−100)を用いてろ過した。粒子成分が完全にフィルターを通過した場合を「○」、フィルターを通過できない粒子成分が存在した場合を「×」として評価した。
【0062】
(2)粘度
実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物をB型粘度計(BROOK FILED社製、「DVII+Pro」)を利用して、23℃において、プローブ回転数10rpmにて粘度を評価した。粘度が10Pa・s以上であった場合、増粘能力が高いと判断した。
【0063】
(3)含有イオン分析
実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物を、ICP発光分析装置(セイコー社製、「SPS5000」)を用いて、高周波出力1.2kW、プラズマガス流量15L/min、キャリアガス流量0.75L/minの条件でNaイオン量を測定した。
【0064】
(4)糸曳き
先端が鋭利な直径2.6mmのステンレス製ピックを実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物へ10mmの深さに刺し500mm/minの一定速度で垂直に引き上げた。ステンレス製ピックに付着した無機微粒子分散ペースト組成物が延伸され、延糸が切れた後、ピックの上昇を止め、ペースト組成物の伸び(糸曳き)の長さを安定させた。ステンレスピックを90度寝かせ、ステンレス製ピックの先端からの糸曳きの長さを評価した。糸曳きの長さが10mm以下の場合、印刷性に優れるものといえる。
【0065】
(5)スクリーン印刷性
1cm×2cmの長方形のパターンを有する200メッシュのスクリーン版を用いて、実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物をガラス板上にスクリーン印刷し、版上の目詰まり状態を評価した。目詰まりを起こさず、長方形の印刷が可能であった場合を「○」、印刷像が薄かったり、目詰まり等で長方形の像が出なかったりした場合を「×」として評価した。
【0066】
(6)ディスペンス印刷性
ディスペンス印刷機(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)、ディスペンスノズル(武蔵エンジニアリング社製、「NH−01N」)、吐出圧0.25MPaの吐出圧でガラス板上に実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペースト組成物をディスペンス印刷する操作を10回行い、ノズルの目詰まり状態を評価した。詰まりを起こさなかった場合を「○」、詰まりが起きた場合を「×」として評価した。
【0067】
(7)貯蔵安定性
実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペーストを23℃の恒温室に2週間静置した後、ペーストの状態を目視により確認し、層分離も無機微粒子の沈降も見られなかった場合を「○」、二層に分離し、無機微粒子が沈降していた場合を「×」として評価した。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
(実施例10)
(ゲル状粒子含有スラリーの調製)
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンジメタクリレート5重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約4;日油社製、ブレンマーPDP−250)、メタクリル酸イソブチル95重量部を混合したモノマー100重量部全量を、ノニオン系界面活性剤NL−250(第一工業製薬社製)0.5重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、水200重量部を投入し、重合器を70℃まで昇温したのち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部と上記乳化懸濁液のうち0.5重量部をシードモノマーとして添加し重合を開始した。30分熟成させた後に残りの乳化懸濁液を2時間かけて滴下した。さらに2時間熟成させた後、重合器を室温まで冷却して樹脂微粒子(A)のスラリーを得た。得られた樹脂微粒子(A)の粒子径を測定したところ580nmであった。なお、樹脂微粒子(A)の粒子径(体積平均粒子径)は、動的光散乱式粒度分布計(Particle Sizing Systems社製、「NICOMP model 380 ZLS−S」)を用いることにより測定した。
得られた樹脂微粒子(A)スラリーの溶媒を、遠心分離機を用いてベンジルアルコールに置換することで、ゲル状粒子(H)のベンジルアルコール分散液を得た。
【0071】
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコール49.5重量部、ノニオン系界面活性剤としてBL25(日光ケミカルズ社製)0.5重量部、ハンダ粉末粒子(日本ハンダ社製、「VO」、平均粒子径2μm)40重量部を添加し、ビーズミル(アイメックス社製、「RMB−08」)及びメディアとして粒子径1mmのジルコニア粒子を用いてビーズミル処理を1時間行い、スラリーを得た。
次いで、得られたスラリーにゲル状粒子(H)を表4記載の配合になるように添加し、3本ロールミルを用いて均一に混合し、無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0072】
(実施例11)
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコール60.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに銀微粒子(メタロー社製、平均粒子径1μm)30重量部を配合し、ゲル状粒子(H)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0073】
(実施例12)
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコール49.0重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(H)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0074】
(実施例13)
(ゲル状粒子含有スラリーの調製)
モノマー成分として、ポリオキシプロピレンジメタクリレート10重量部(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日油社製、ブレンマーPDP−400)、メタクリル酸メチル90重量部を混合したモノマー100重量部全量を、アニオン系界面活性剤ハイテノールLA−12(第一工業製薬社製)0.5重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、水200重量部を投入し、重合器を70℃まで昇温したのち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部と上記乳化懸濁液のうち5重量部をシードモノマーとして添加し重合を開始した。30分熟成させた後に残りの乳化懸濁液を2時間かけて滴下した。さらに2時間熟成させた後、重合器を室温まで冷却して樹脂微粒子(B)のスラリーを得た。得られた樹脂微粒子(B)の粒子径を測定したところ320nmであった。
得られた分散液の溶媒を、遠心分離機を用いてエタノールに置換し、ゲル状粒子(I)のエタノール分散液を得た。
【0075】
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコールの配合量を59.5重量部とし、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに平均粒子径2.0μmのガラス微粒子(SiOを32.5%、Bを20.5%、ZnOを18%、Alを10%、BaOを3.5%、LiOを9%、NaOを6%、SnOを0.5%含有)30重量部を配合し、ビーズミル処理時間を6時間に変更し、ゲル状粒子(H)の代わりにゲル状粒子(I)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0076】
(実施例14)
(ゲル状粒子含有スラリーの調製)
モノマー成分として、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート5重量部(ポリテトラメチレングリコールユニット数=約1;日立化成社製、FA−124M)、メタクリル酸イソブチル45重量部、メタクリル酸メチル50重量部を混合したモノマー100重量部全量と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1重量部とを混合、撹拌した混合溶液の全量を、水溶性乳化剤としてNL−250(第一工業製薬社製)1重量%と0.02重量%ハイドロキノンを含有するイオン交換水400重量部に添加し、ホモジナイザーにて乳化して、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して樹脂微粒子(C)のスラリーを得た。得られた樹脂微粒子(C)の粒子径を測定したところ3.9μmであった。
得られた分散液の溶媒を、遠心分離機を用いてエタノールに置換し、ゲル状粒子(J)のエタノール分散液を得た。
【0077】
(無機微粒子分散ペーストの調整)
溶媒としてベンジルアルコール49.5重量部の代わりにテキサノール49.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、ZnSiO:Mn)40重量部を配合し、ゲル状粒子(H)の代わりにゲル状粒子(J)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0078】
(実施例15)
(無機微粒子分散ペーストの調製)
溶媒としてベンジルアルコール49.5重量部の代わりにテルピネオール49.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、BaMgAl1017:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(H)の代わりにゲル状粒子(J)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0079】
(実施例16)
(ゲル状粒子含有スラリーの調製)
モノマー成分として、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート35重量部(ポリテトラメチレングリコールユニット数=約8;日油社製、ブレンマーPDT−650)、メタクリル酸メチル65重量部を混合したモノマー100重量部全量を、アニオン系界面活性剤ネオゲンS−20F(第一工業製薬社製)1重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、水200重量部を投入し、重合器を70℃まで昇温したのち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部と上記乳化懸濁液のうち5重量部をシードモノマーとして添加し重合を開始した。30分熟成させた後に残りの乳化懸濁液を2時間かけて滴下した。さらに2時間熟成させた後、重合器を室温まで冷却して樹脂微粒子(D)のスラリーを得た。得られた樹脂微粒子(D)の粒子径を測定したところ125nmであった。
得られた分散液を遠心分離にて水で5回洗浄し、分散剤中のナトリウムイオンを十分に除去した後、遠心分離機を用いてエタノールに置換し、ゲル状粒子(K)のエタノール分散液を得た。
【0080】
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコール48.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(H)の代わりにゲル状粒子(K)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0081】
(実施例17)
(ゲル状粒子含有スラリーの調製)
モノマー成分として、ポリオキシエチレンジメタクリレート2重量部(ポリオキシエチレンユニット数=約9;日油社製、ブレンマーPDE−400)、メタクリル酸イソブチル98重量部を混合したモノマー100重量部全量を、アニオン系界面活性剤ハイテノールLA−16(第一工業製薬社製)0.5重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、水200重量部を投入し、重合器を70℃まで昇温したのち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部と上記乳化懸濁液のうち10重量部をシードモノマーとして添加し重合を開始した。30分熟成させた後に残りの乳化懸濁液を2時間かけて滴下した。さらに2時間熟成させた後、重合器を室温まで冷却して樹脂微粒子(E)のスラリーを得た。得られた樹脂微粒子(E)の粒子径を測定したところ152nmであった
得られた分散液の溶媒を、遠心分離機を用いてエタノールに置換し、ゲル状粒子(L)のエタノール分散液を得た。
【0082】
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコール49.0重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(H)の代わりにゲル状粒子(L)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0083】
(実施例18)
ベンジルアルコール49.5重量部、蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、得られたスラリーにゲル状粒子(H)を表4記載の配合になるように添加し、3本ロールミルを用いて均一に混合し、無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0084】
(実施例19)
ベンジルアルコール47.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤としてBL25(日光ケミカルズ社製)2.0重量部を配合したこと以外は、実施例18と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0085】
(実施例20)
ベンジルアルコール47.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤2.0重量部の代わりにロジン樹脂としてパインクリスタル(荒川化学工業社製)2.0重量部を配合したこと以外は、実施例19と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0086】
(実施例21)
ベンジルアルコール47.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤2.0重量部の代わりにネオペンチルグリコール(東京化成工業社製)2.0重量部を配合したこと以外は、実施例19と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0087】
(実施例22)
ベンジルアルコール47.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤2.0重量部の代わりにポリビニルアセタールBL−10(積水化学工業社製)2.0重量部を配合したこと以外は、実施例19と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0088】
(実施例23)
ベンジルアルコール47.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤2.0重量部の代わりにエチルセルロースSTD10(WAKOケミカル社製)2.0重量部を配合したこと以外は、実施例19と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0089】
(実施例24)
((メタ)アクリル樹脂の製造)
メチルメタクリレート100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸1.3重量部、及び、有機溶剤として酢酸エチル100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(日油社製、「パーヘキサH」)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中、重合開始剤を含有する酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却することにより重合を終了させ、ポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を得た。得られたポリメチルメタクリレートについて、カラムとしてLF−804「昭和電工社製」を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は22000であった。
【0090】
(無機微粒子分散ペーストの調製)
ベンジルアルコール47.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤2.0重量部の代わりに得られた重量平均分子量が22000のポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を樹脂固形分が2重量%となるように配合したこと以外は、実施例19と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0091】
(実施例25)
((メタ)アクリル樹脂の製造)
メチルメタクリレート100重量部、連鎖移動剤としてドデカンチオール5重量部、及び、有機溶剤として酢酸エチル100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤(日油社製、「パーヘキサH」)を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また、重合中、重合開始剤を含有する酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却することにより重合を終了させ、ポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を得た。得られたポリメチルメタクリレートについて、カラムとして昭和電工社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は2000であった。
【0092】
(無機微粒子分散ペーストの調製)
ベンジルアルコール45.5重量部、ゲル状粒子(H)9.5重量部を配合し、ノニオン系界面活性剤2.0重量部の代わりに得られた重量平均分子量が2000のポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液を樹脂固形分が5重量%となるように配合したこと以外は、実施例19と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0093】
(比較例4)
モノマー成分として、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート10重量部(ポリテトラメチレングリコールユニット数=約8;日油社製、ブレンマーPDT−650)、メタクリル酸イソブチル90重量部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)と0.02重量%亜硝酸ナトリウムとの水溶液300重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して樹脂微粒子(F)のスラリーを得た。得られた樹脂微粒子(F)の粒子径を測定したところ63μmであった
得られた分散液の溶媒を、遠心分離機を用いてエタノールに置換し、ゲル状粒子(M)のエタノール分散液を得た。
【0094】
(無機微粒子分散ペーストの調整)
ベンジルアルコール49.5重量部を配合し、ハンダ粉末粒子40重量部の代わりに蛍光体粉(日亜化学社製、(Y,Gd)BO:Eu)40重量部を配合し、ゲル状粒子(H)の代わりにゲル状粒子(M)を表4記載の配合になるように配合したこと以外は、実施例10と同様にして無機微粒子分散ペースト組成物を得た。
【0095】
<評価>
実施例10〜25及び比較例4で得られた無機微粒子分散ペースト組成物について、上述した(1)〜(7)の評価を行った。結果を表4に示した。
また、樹脂微粒子(A)〜(F)の組成及び粒子径(体積平均粒子径)を表3に示した。
なお、粒子径は、動的光散乱式粒度分布計(Particle Sizing Systems社製、「NICOMP model 380 ZLS−S」)を用いることにより、体積平均粒子径を測定した。
【0096】
【表3】

【0097】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、粘度が高く、スクリーン印刷性、又はディスペンス印刷性に優れ、かつ、低温で焼成することができる無機微粒子分散ペースト組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子、無機微粒子、及び、有機溶剤を含有する無機微粒子分散ペースト組成物であって、
前記架橋(メタ)アクリル樹脂を含むゲル状粒子は、前記有機溶剤で膨潤しており、かつ、粒子径が10μm以下であり、
前記架橋(メタ)アクリル樹脂は、単官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントと多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントとを有する共重合体である
ことを特徴とする無機微粒子分散ペースト組成物。
【請求項2】
前記架橋(メタ)アクリル樹脂は、多官能(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有割合が0.5〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載の無機微粒子分散ペースト組成物。
【請求項3】
有機溶剤は、沸点が160℃以上、290℃未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の無機微粒子分散ペースト組成物。
【請求項4】
B型粘度計を用い、23℃においてプローブ回転数を10rpmに設定して測定したときの粘度が10Pa・s以上、100Pa・s未満であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の無機微粒子分散ペースト組成物。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることを特徴とするLEDバックライト。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
請求項1、2、3又は4記載の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることを特徴とするVDFパネル。
【請求項8】
請求項1、2、3又は4記載の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることを特徴とする無機EL。
【請求項9】
請求項1、2、3又は4記載の無機微粒子分散ペースト組成物を用いることを特徴とする太陽電池パネル。

【公開番号】特開2011−122129(P2011−122129A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70149(P2010−70149)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】