説明

無機材料成形体の製造方法、並びに無機材料焼結体の製造方法

【課題】良好な成形性と保形性を確保できることに加え、成形性確保のために添加された有機物質を、加熱による脱脂によらず除去でき、有機バインダー含有量の少ない成形体を焼成に供する無機材料成形体の製造方法、並びに無機材料焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】骨材粒子となる無機材料粒子と、有機原子団からなる架橋原子団と、有機原子団から成る可塑剤を構成要素として備え、無機材料粒子の各々が、架橋原子団によって相互に結合された構造を有する無機材料成形体の製造方法。架橋原子団は、グアジニン構造、イソウレア構造、カルバモイルアミド構造、フェニルヒドラゾ基、アミド結合、イミド結合とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機材料成形体の製造方法、並びに無機材料焼結体の製造方法に関するものである。具体的には、加熱による有機物質の燃焼・分解を経ることなく、良好な成形性の発現に必要な有機物質を所定量以下まで除去することにより得られる無機材料成形体の製造方法、並びに無機材料焼結体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックスなどの無機材料は、金属やプラスティック等と比較して機械・熱・電磁気特性に優れることから、構造材料や電気・電子材料等、様々な用途で用いられている。その製造プロセスは、原料粒子を望みの形に成形し、この成形体を加熱して緻密化(焼結)するのが一般的である。
【0003】
このような成形体の製造方法としては、例えば、骨材粒子(セラミックス粉末等)、分散媒(水等)、有機バインダー等を混合・混練して坏土を得、その坏土を押出成形等の方法により成形体を得て、これを乾燥、焼成することによりセラミックス焼結体を得る製造方法が開示されている(押出成形法: 例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、骨材粒子(セラミックス粉末等)、分散媒(水等)、有機バインダー等を混合してスラリーを得、そのスラリーを多孔体からなる吸水性の成形型に注型し、スラリーを乾燥させた後、焼成することによりセラミックス焼結体を得る製造方法が開示されている(鋳込み成形法:例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
更には、骨材粒子(セラミックス粉末等)、分散媒(水等)、ゲル化剤(モノマーやプレポリマー等)等を混合してスラリーを得、そのスラリーを成形型に注型し、加熱や重合開始剤の添加等によりゲル化剤をゲル化させてスラリーを固化させた後、脱脂することにより無機材料成形体を得る製造方法が開示されている(ゲルキャスト法:例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3227039号公報
【特許文献2】特開2002−179468号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】社団法人日本セラミックス協会編、セラミックス工学ハンドブック、第2版、技報堂出版、2002年、p.176〜178
【0008】
押出成形法は、棒状、中空状、薄板、ハニカム状の成形体を連続的に製造できるという利点がある。しかしながら、良好な成形性と成形後の保形性を確保するために、骨材粒子100質量部に対して10〜20質量部といった多量の有機バインダーを添加する必要がある。この多量の有機バインダーに起因して、焼成時において、i)有機バインダーの燃焼によって二酸化炭素や有害ガスが発生するため、地球温暖化や大気汚染の原因となる、ii)有機バインダーが燃焼する際に熱応力が作用し、焼結体にクラック(欠陥)が発生し、歩留まりが低下する、iii)有機バインダーが燃焼する分、焼成時間が延びる、といった様々な課題が残されており、未だ十分に満足できるものではなかった。
【0009】
鋳込み成形法やゲルキャスト法についても、良好な成形性と成形後の保形性を確保するためには、骨材粒子100質量部に対して3〜17質量部といった多量の有機バインダーないしはゲル化剤を添加する必要があった。即ち、これらの方法も、成形体中の有機物の燃焼によって二酸化炭素や有害ガスが発生するため、地球温暖化や大気汚染の原因となる、といった課題が残されており、未だ十分に満足できるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、本発明の無機材料成形体の製造方法を開発するに際し、従来の方法において、有機物を多量に添加しなければ、良好な成形性と成形後の保形性の両方を確保することができない原因について検討した。
【0011】
その結果、成形性は無機材料粒子間の流動性に、保形性は無機材料粒子間の結合によるものであり、成形性をもたらす可塑剤と保形性をもたらす有機バインダーはそれぞれ別の物質であるため、有機物を多量に添加しなければ、良好な成形性と成形後の保形性の両方を確保できないことが判明した。
【0012】
本発明は、上述のような背景技術の問題点を解決するためになされたものであり、良好な成形性と保形性を確保できることに加え、成形性確保のために添加された有機物質を、加熱による脱脂によらず除去でき、有機バインダー含有量の少ない成形体を焼成に供する無機材料成形体の製造方法、並びに無機材料焼結体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、鋭意検討の結果、骨材粒子となる無機材料粒子同士を、有機原子団を含む架橋原子団を介して共有結合によって相互に結合させるという技術によって保形性を確保した上で、良好な成形性の確保に必要な可塑剤を成形後に溶媒中で溶出させることにより、成形体の形状を維持したまま、可塑剤を加熱分解を経ることなく除去できることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明は、以下の無機材料成形体の製造方法、並びに無機材料焼結体の製造方法を提供するものである。
【0014】
[1] 無機材料粒子と、有機原子団からなる架橋原子団と、有機原子団からなる可塑剤を構成要素として備え、前記無機材料粒子の各々が前記架橋原子団によって相互に結合された構造を有する無機材料成形体の製造方法であって、
第1工程:前記無機材料粒子に、結合性官能基を有する有機原子団が表面に化学修飾された無機材料粒子を用い、架橋剤に、外部刺激に応答して前記無機材料粒子表面の結合性官能基との結合反応が惹起される官能基( 刺激応答性官能基)を2以上有する刺激応答性架橋剤を用い、前記無機材料粒子と前記刺激応答性架橋剤を含む混合物を、可塑剤を利用して所望の形状に成形して成形体前駆体を得、
第2工程:前記成形体前駆体に対して前記外部刺激を与え、前記官能基と前記刺激応答性架橋剤との間の結合反応を利用して、前記無機材料粒子間を相互に結合する前記架橋原子団を形成させることによって、無機材料成形体を得、
第3工程:前記無機材料成形体を溶媒に浸漬・保持することで、成形体の形状は保持しつつ可塑剤のみを溶出除去し、成形体中に含まれる有機物質を減少させる、
工程からなることを特徴とする無機材料成形体の製造方法。
【0015】
[2] 前記無機材料粒子の他、刺激応答性官能基を含む有機原子団が表面に化学修飾された無機材料粒子を用い、前記刺激応答性架橋剤の他、結合性官能基を2以上有する多官能性有機化合物を用い、
前記刺激応答性官能基と前記結合性官能基との間の結合反応を利用して前記無機材料粒子間を相互に結合する前記架橋原子団を形成させる、前記[1]に記載の製造方法。
【0016】
[3] 前記無機材料粒子の他、前記刺激応答性官能基を有する有機原子団と結合性官能基を有する有機原子団の双方が表面に化学修飾された無機材料粒子を用い、
架橋剤を用いることなく、前記修飾原子団同士を結合させ、前記無機材料粒子間を相互に結合する前記架橋原子団を形成させる、前記[1]に記載の製造方法。
【0017】
[4] 光照射によって、前記刺激応答性官能基としてのフェニルアジド基(−C−N)と前記結合性官能基としてのアミノ基(−NH)との間の結合反応を進行させ、フェニルヒドラゾ基(−C−NHNH−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0018】
[5] マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのアミノ基(−NH)と同じく前記刺激応答性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を進行させ、イミド結合(−N(CO−))を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0019】
[6] マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのアミノ基(−NH)との間の結合反応を進行させ、グアニジン構造((−NH)C=NH−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0020】
[7] マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を進行させ、カルバモイルアミド構造(−NHC(O−C(=O)−)=N−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0021】
[8] マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としての水酸基(−OH)との間の結合反応を進行させ、イソウレア構造(−NHC(O−)=N−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0022】
[9] 300℃以下の加熱によって、前記刺激応答性官能基としてのアミノ基(−NH)と同じく前記刺激応答性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を利用してアミド結合(−NHCO−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0023】
[10] 300℃以下の加熱によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのアミノ基(−NH)との間の結合反応を進行させ、グアニジン構造((−NH)C=NH−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0024】
[11] 300℃以下の加熱によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を進行させ、カルバモイルアミド構造(−NHC(O−C(=O)−)=N−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0025】
[12] 前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としての水酸基(−OH)との間の結合反応を進行させ、イソウレア構造(−NHC(O−)=N−)を形成させる、前記[1]、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0026】
[13] 前記[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法により無機材料成形体を得、溶媒に溶出させた可塑剤を、再び新たな成形体の製造に利用する無機材料成形体の製造方法。
【0027】
[14] 前記[1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法により無機材料成形体を得、前記無機材料成形体を焼成して無機材料焼結体を得る、無機材料焼結体の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る無機材料成形体の製造方法は、良好な成形性と成形後の保形性を確保できることに加え、成形性確保のために添加された有機物質を、加熱による脱脂によらず除去でき、有機バインダー含有量の少ない成形体を焼成に供することができるという、従来の製造方法と比較して有利な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】シリカ成形体前駆体1、シリカ成形体前駆体2、及びシリカ成形体を赤外分光により分析した結果を示すIRチャートである。
【図2】シリカ成形体前駆体1、及びシリカ成形体を熱分析した結果を示す熱分析チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の無機材料成形体の製造方法を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、骨材粒子となる無機材料粒子の各々を有機原子団を含む架橋原子団によって相互に結合した上で、可塑剤を溶媒へ溶出除去させるという思想に基づく無機材料成形体の製造方法を広く包含するものであり、以下に説明する実施形態に限定して解釈されるべきではない。
【0031】
本発明の無機材料成形体の製造方法は、骨材粒子となる無機材料粒子と、有機原子団を含む架橋原子団と、有機原子団から成る可塑剤を構成要素として備え、無機材料粒子の各々が架橋原子団によって相互に結合された構造内に可塑剤が含まれる無機材料成形体を得て、溶媒への溶出により可塑剤を除去するための方法である。
【0032】
[1]第1工程
本発明の製造方法の第1工程は、外部刺激に応答して結合反応が惹起される刺激応答性官能基と結合性官能基をそれぞれ有する無機材料粒子と架橋剤を含む混合物を、可塑剤を利用して所望の形状に成形して成形体前駆体を得る、成形体前駆体製造工程である。
【0033】
骨材粒子は、成形体の主たる構成成分となる粒子であり、無機材料成形体を製造する場合には、無機材料からなる無機材料粒子が用いられる。そして本発明の製造方法においては、有機原子団を含み、刺激応答性官能基ないしは結合性官能基を有する修飾原子団、が表面に化学修飾された無機材料粒子、を用いる必要がある。「有機原子団」とは、炭素原子を構成原子として含む原子団を意味し、他の構造については特に限定はない。
【0034】
「刺激応答性官能基」とは、外部刺激に応答して他の結合性官能基との結合反応が惹起される官能基を意味する。この刺激応答性官能基と他の結合性官能基との間の結合反応を利用することにより、無機材料粒子の各々を相互に結合する架橋原子団を形成させることが可能となる。
【0035】
「外部刺激」とは、外部環境から供給される物理的ないし化学的刺激等を意味し、例えば、熱刺激(加熱)、光刺激(光照射)、電気刺激(電圧印加)、磁気刺激等の物理的刺激や、pH変化(酸・アルカリの添加)や水分の変化等の化学的刺激が挙げられる。本発明の製造方法は、高温での焼成の前段階で温和な条件下で成形体を得ることを念頭にしているため、そのような条件に合致する外部刺激により他の官能基との結合反応が惹起されることが望ましい。そのような外部刺激としては、例えば、光照射、マイクロ波照射、超音波照射、低温での加熱、常温プラズマ等が挙げられる。
【0036】
刺激応答性官能基としては、光照射によってアミノ基(−NH)との間の結合反応が惹起され、ヒドラゾ結合(−NHNH−)を形成するフェニルアジド基(−C−N)等が挙げられる。また、刺激応答性官能基には、フェニルアジド基のように一つの官能基の作用によって結合反応が惹起されるものの他、二つの官能基の相互作用によって、結合反応が惹起されるものも含まれる。例えば、刺激応答性官能基として、アミノ基(−NH)とカルボキシル基(−COOH)の組み合わせを用いると、マイクロ波照射によって両官能基の間で結合反応が惹起され、イミド結合(−N(CO−))を形成させることができ、300℃以下の加熱によって、アミド結合(−NHCO−)を形成させることもできる。また、刺激応答性官能基には、マイクロ波照射あるいは300℃以下の加熱によってアミノ基(−NH)、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)との間の結合反応が惹起され、グアニジン構造((−NH)C=NH−)、カルバモイルアミド構造(−NHC(O−C(=O)−)=N−)、イソウレア構造(−NHC(O−)=N−)を形成するカルボジイミド基(−N=C=N−)等が挙げられる。
【0037】
「無機材料粒子」は、修飾原子団と共有結合を形成することが可能な結合サイト(水酸基等)を有する無機材料からなるものを用いることが好ましく、例えば、表面水酸基を有する酸化物セラミックスからなる粒子を好適に用いることができる。また、非酸化物系セラミックスや金属からなる粒子も、空気酸化によってその表面に不可避的に酸化物セラミックスが形成されるため(表面酸化膜)、「無機材料粒子」として用いることができる。即ち、本発明の製造方法においては、酸化物系セラミックス、非酸化物系セラミックス、及び金属の群から選択される少なくとも一種の無機材料からなる無機材料粒子を用いることが好ましい。
【0038】
酸化物セラミックスとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の汎用セラミックスの他、バリア、セリア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン等の金属酸化物等が挙げられる。これらの酸化物セラミックスは結合サイトとなる表面水酸基を有しており、修飾原子団の化学修飾が容易である点において好ましい。また、非酸化物セラミックスとしては、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が、金属としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、バリウム、セリウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン等が挙げられる。
【0039】
「無機材料粒子」の平均粒子径としては、1nm〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜500nmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲未満であると無機材料粒子の比表面積が過剰となり、無機材料粒子の単位質量当たりに占める修飾原子団の割合が大きくなり過ぎるおそれがある。このような場合、本発明が目的とする有機物含有量が少ない無機材料成形体を得られなくなるおそれがあり好ましくない。一方、上記範囲を超えると、無機材料粒子表面の活性が低下して修飾原子団との結合を形成し難くなる場合があり、また、スラリーとした際に無機材料粒子が沈降し易くなり、その取り扱いが困難となる場合がある。なお、本明細書において「平均粒子径」というときは、ストークスの液相沈降法を測定原理とし、X線透過法により検出を行う、X線透過式粒度分布測定装置(例えば、商品名:セディグラフ5000−02型、島津製作所製等)により測定した50%粒子径の値を意味するものとする。
【0040】
修飾原子団を化学修飾する方法は特に限定されず、従来公知の化学修飾法を利用することができる。例えば、カップリング剤により有機分子を固定する方法、オートクレーブ法により有機分子を固定する方法、コロナ放電による表面改質を利用する方法、オゾンによる表面改質を利用する方法等が挙げられる。中でも、簡便に強固な結合を形成することが可能であるという理由から、カップリング剤により有機分子を固定する方法を用いることが好ましい。
【0041】
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤等を用いることができる。
【0042】
シラン系カップリング剤を利用した化学修飾の方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0043】
まず、無機材料粒子に対して、シラン系カップリング剤を作用させ、無機材料粒子とシラン系カップリング剤との間で縮合反応を起こさせることによって、シラノール残基が前記無機材料粒子に対して共有結合によって結合された構造を有するシラノール結合無機材料粒子を得る。
【0044】
例えば、下記一般式(1)に示すように、無機材料粒子(I)に対して、シラン系カップリング剤(II)を作用させ、無機材料粒子(I)の表面水酸基(OH)とシラン系カップリング剤(II)の加水分解性官能基(Hy,Hy,Hy)との間で縮合反応を起こさせることによって、シラノール残基が前記無機材料粒子に対して共有結合によって結合された構造を有するシラノール結合無機材料粒子(III)を得る。
【0045】
【化1】

【0046】
但し、Hy,Hy,Hy: 加水分解性官能基、A:有機原子団、Re:反応性官能基、Pi:無機材料粒子
【0047】
加水分解性官能基(Hy,Hy,Hy)としては、例えば、アルコキシ基(RO−:Rはアルキル基) 等が挙げられる。各々の官能基は同じ官能基であってもよいし、異なる官能基であってもよい。アルコキシ基の場合、水の存在により加水分解されてシラノール基(−SiO−)を生成し、そのシラノール基が水素結合によって無機材料粒子の表面水酸基に吸着される。このものを高温で加熱することにより、シラノール基と表面水酸基とが脱水縮合し、シラノール残基が無機材料粒子に対して共有結合によって結合される。
【0048】
次いで、シラノール結合無機材料粒子に対して、刺激応答性感応基を有する有機化合物を作用させ、シラノール結合無機材料粒子とその有機化合物との間で結合形成反応を起こさせることによって、修飾原子団を形成し、刺激応答性無機材料粒子を得る。あるいは、反応性官能基Reを、架橋原子団の刺激応答性官能基と結合する結合性官能基として利用してもよい。
【0049】
上記の方法の他、無機材料粒子に対して、刺激応答性感応基を有するシラン系カップリング剤を作用させ、無機材料粒子の表面水酸基とシラン系カップリング剤の加水分解性官能基との間で縮合反応を起こさせることによって、修飾原子団を形成し、刺激応答性無機材料粒子を得る方法を採ってもよい。
【0050】
本発明の製造方法では、無機材料粒子、架橋原子団、可塑剤を含む混合物を所望形状に成形して成形体前駆体を得る。骨材粒子となる無機材料粒子には刺激応答性官能基あるいは結合性官能基を含む修飾原子団で表面修飾した無機材料粒子を含むことが必要であるが、必ずしも無機材料粒子の全てが表面修飾無機材料粒子である必要はない。また、混合物の形態は乾燥した粉末状であってもよいし、分散媒を加えた坏土やスラリーであってもよい。分散媒としては、水、或いは水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒等が挙げられ、特に、水が好適に用いられる。
【0051】
本発明の製造方法においては、成形時の成形性(可塑性)向上を狙って、無機材料粒子、架橋原子団以外に可塑剤となる物質を混合せしめる。この際の可塑剤の添加量は特に制限はないが、骨材粒子100質量部に対して、40質量部以下の範囲内で添加することができる。上記範囲を超えると、スラリーとした際に粘性が過剰となり、その取り扱いが困難となる他、多量の有機物質に起因する不具合を生ずる場合がある。また、可塑剤の混合量が少なすぎると、可塑性向上の効果が小さく、成形性向上の効果が十分に得られないことがある。このようなことを考慮すると、可塑剤の添加量は、1〜 20質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0052】
可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、グリセロール、グリセリン、フタル酸エステル、サクローズアセテートイソブチレート、ジブチルフタレート、又はジイソデシルフタレート等を好適に用いることができる。
【0053】
成形の方法について特に制限はなく、混合物の形態に合わせて従来公知の成形法の中から適宜選択すればよい。例えば、一軸プレス、等方プレス、鋳込み成形、遠心成形、押出成形、電気泳動法、濾過法、磁場プレス、シート成形、テープ成形等、骨材粒子が密な状態で充填される方法を好適に用いることができる。このようにして無機材料粒子を含む混合物の成形体が得られるが、本明細書においてはこの成形体を「成形体前駆体1」と称することにする。上記の成形体は未だ架橋原子団が形成されておらず、また溶出による可塑剤の除去が完了しておらず、本発明の無機材料成形体の前駆体とみなすことができることによる。
【0054】
[2]第2工程
本発明の製造方法の第2工程は、成形体前駆体1に対して外部刺激を与え、刺激応答性官能基と結合性官能基との間の結合反応を利用して、無機材料粒子間を相互に結合する架橋原子団を形成させる工程である。
【0055】
具体的には、上記のように製造された成形体前駆体1に対して、刺激応答性官能基の種類に適合する外部刺激を与える。例えば、刺激応答性官能基がカルボジイミド基であり、アミノ基との間で結合反応を進行させる場合には、周波数2450MHzのマイクロ波を1秒〜60分間照射する。これにより、両官能基の間で結合反応が進行し、グアニジン構造が形成される。即ち、無機材料粒子の各々が、グアニジン構造を含む架橋原子団によって相互に結合された構造が得られる。なお、マイクロ波について、各国政府が産業上使用可能な周波数を定めている場合には、これに従って使用する周波数を選択する必要がある。現在、我が国では、433.92MHz、2450MHz、5800MHz、24.125GHzの周波数を使用可能であり、これらの中から適当な周波数を適宜選択すればよい。諸外国では、これらの周波数以外の周波数(例えば、915MHz(米国)、896MHz(英国)、2375MHz(東欧・ロシア)等)を使用することができる場合もある。
【0056】
また、例えば、刺激応答性官能基がカルボジイミド基であり、アミノ基との間で結合反応を進行させる場合には、300℃以下の比較的低温で1分〜30日間加熱してもよい。これにより、両官能基の間で結合反応が進行し、グアニジン構造が形成される。即ち、無機材料粒子の各々が、グアニジン構造を含む架橋原子団によって相互に結合された構造が得られる。
【0057】
結合形成の様式として、例えば、原料として、骨材粒子の少なくとも一部に、上記の刺激応答性官能基を含む修飾原子団、が化学修飾された無機材料粒子と、刺激応答性官能基との間で結合を形成し得る結合性官能基を有する修飾原子団、が化学修飾された結合性無機材料粒子、という二種の修飾無機材料粒子を用い、刺激応答性官能基と結合性官能基との間の結合反応を利用して無機材料粒子の修飾原子団同士を結合させ、無機材料粒子間を相互に結合する架橋原子団を形成させる、というものを用いてもよい。
【0058】
このようにして、無機材料粒子の各々が架橋原子団によって相互に結合された構造を有する、無機材料粒子を含む混合物の成形体が得られるが、本明細書においてはこの成形体を「成形体前駆体2」と称することにする。上記の成形体は未だ溶出による可塑剤の除去が完了しておらず、本発明の無機材料成形体の前駆体とみなすことができることによる。
【0059】
[3]第3工程
本発明の製造方法の第3工程は、成形体前駆体2を溶媒に浸漬・保持することで、成形体前駆体2の形状は保持しつつ可塑剤のみを溶出除去し、内部に含まれる有機物質を減少させる工程である。
【0060】
可塑剤溶出のための溶媒としては、水、アルコール等の有機溶媒、或いは水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。溶媒の選定には、可塑剤が溶媒に溶解すること、及び無機材料粒子間を結合させている架橋原子団が溶媒中で安定であること、を考慮して適合したものを用いる。
【0061】
溶媒への浸漬・保持時間は特に限定されないが、通常は、10分〜30日間の範囲で、十分に可塑剤が溶出する時間を選べばよい。溶媒への浸漬・保持中の温度は、1℃〜300℃の範囲から選べば良く、特に常温〜50℃の範囲が好適に用いられる。
【0062】
上記のようにして得られた無機材料成形体はそのまま用いてもよいし、適当な条件で乾燥した後に用いてもよい。乾燥の方法は特に限定されるものではなく、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥法等を用いることができる。
【0063】
なお、本発明の無機材料成形体の製造方法により無機材料成形体を得、溶媒に溶出させた可塑剤を、再び新たな無機材料成形体の製法に利用することも、本発明の好ましい形態の一つである。可塑剤の量を節約できるのみならず、環境中に放出される可塑剤の量を減らすことができ、環境汚染の原因となることもない、という利点もある。
【0064】
なお、本発明の無機材料成形体の製造方法により無機材料成形体を得、その無機材料成形体を焼成して無機材料焼結体を得ることも、本発明の好ましい形態の一つである。上記のようにして得られた無機材料成形体は、無機材料からなる骨材粒子同士を、有機原子団を含む架橋原子団を介して共有結合によって相互に結合させたものであり、成形後の保形性が高いことに加えて、可塑剤が溶出除去されているため、有機物の含有量が非常に少ない。従って、この無機材料成形体を焼成すると、機械的強度が高く、有機物に起因する欠陥(ボイドやクラック)が少ない高品質の無機材料焼結体を得られる。また、焼成時間を短縮することができ、二酸化炭素や有害ガスの発生が少なく、地球温暖化や大気汚染の原因となることもない、という利点もある。
【0065】
この場合、焼成の前、或いは焼成の昇温過程において、無機材料成形体中の有機物を燃焼させて除去する操作(脱脂・仮焼)を行うと、有機物の除去をより促進させることができる点において好ましい。有機物の燃焼温度は200〜300℃程度なので、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間は特に限定されないが、通常は、10〜100時間程度である。
【実施例】
【0066】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、以下の実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎないため、本発明をこれらの実施例に限定して解釈するべきではない。
【0067】
(実施例1)
無機材料粒子としてシリカ粒子を用い、そのシリカ粒子に対して、結合性官能基としてアミノ基(−NH)を有する修飾原子団を化学修飾することによって、その修飾原子団がシリカ粒子に対して共有結合によって結合された構造を有する結合性シリカ粒子を得た。
【0068】
まず、下記式(2)に示すように、シリカ粒子(I−a)に対して、シラン系カップリング剤である3−アミノプロピルトリエトキシシラン(II−a:NHSi(OC)を作用させ、シラノール結合シリカ粒子(III−a)を得た。
【化2】

【0069】
具体的には、3−アミノプロピルトリエトキシシラン1.0gを純水100mlに溶解させてシラン系カップリング剤の水溶液を調製し、その水溶液中に、ゾルゲル法によって得られた、平均粒径270nmのシリカ粒子5.0gを分散させ1時間撹拌することにより、シリカ粒子の表面に3−アミノプロピルトリエトキシシランを吸着させ、遠心洗浄により遊離の3−アミノプロピルトリエトキシシランを除去した後、105℃で加熱乾燥し、シリカ粒子と3−アミノプロピルトリエトキシシランとの間で縮合反応を起こさせることによって、シラノール残基がシリカ粒子に対して共有結合によって結合された構造を有するシラノール結合シリカ粒子を得た。
【0070】
次いで、オキシエチレン構造とカルボジイミド基が、10:1の比で連なった構造を有する分子量約2000の有機化合物(水溶性カルボジイミド)と、前記シラノール結合シリカ粒子と、ポリビニルアルコールよりなる成形体前駆体1を得た。
【0071】
具体的には、水15mlに、11質量%のポリビニルアルコール水溶液5g、前記シラノール結合シリカ粒子(ここでは結合性シリカ粒子として用いる)2.5gを加え、撹拌し、これに11質量%の水溶性カルボジイミド水溶液5mlを溶解させてスラリーとし、このスラリーを鋳込み成形により、外径20.0mmφ、厚さ3.0mmの円柱状に成形して成形体前駆体1とした。
【0072】
次いで、下記式(3)に示すように、シラノール結合無機材料粒子(III−a)に対して、刺激応答性感応基として水溶性カルボジイミド中のカルボジイミド基を作用させ、成形体前駆体2を得た。
【化3】

【0073】
具体的には、成形体前駆体1を、大気下で105℃まで加熱し、24時間保持した後、常温まで冷却して成形体前駆体2を得た。成形体前駆体1と成形体前駆体2のそれぞれについて、赤外分光により分析したところ、図1のIRチャートに示すように、成形体前駆体1ではカルボジイミド構造による吸収ピーク(2120/cm−1)が観測されたが、成形体前駆体2ではその吸収ピークの強度が小さくなり、反応によりカルボジイミド構造がグアニジン構造に転化したことが示された。また、成形体前駆体1、成形体前駆体2のいずれにも、ポリビニルアルコールによる吸収ピーク(1750/cm−1)が観測された。
【0074】
前記成形体前駆体2を、常温で水に浸漬し、7日間保持することで、ポリビニルアルコールを溶出させ、無機材料成形体を得た。前記無機材料成形体を乾燥後、赤外分光により分析したところ、図1のIRチャートに示すように、ポリビニルアルコールによる吸収ピーク(1750/cm−1)が消失していた。即ち、この無機材料成形体は、シリカからなる無機材料粒子と、グアニジン構造を有する架橋原子団と、を構成要素として備え、その架橋原子団が、シリカ粒子を相互に結合させた構造を有し、かつ成形時に存在したポリビニルアルコールが溶出除去されたものであった。
【0075】
(比較例1)
刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基を含む、水溶性カルボジイミドを用いずに、同量のポリビニルアルコールを添加したことを除いては、実施例1と同様にしてシリカ成形体前駆体2を得た。
【0076】
(評価)
実施例1のシリカ成形体前駆体2と比較例1のシリカ成形体前駆体2を水中に浸漬した。その結果、比較例1のシリカ成形体前駆体2は、水中でその構造が容易に崩壊し、水が白濁した。このため、成形体の形状を維持したまま有機物質を溶出除去させることは不可能であった。
【0077】
更に、実施例1で作製した成形体前駆体1と無機材料成形体とを熱分析し、有機物の量を測定した。図2の熱分析チャートに示すように、約200℃までの温度で吸着水の脱離が生じ、200℃〜800℃の温度範囲で、有機物の分解・脱離が生じたものと認められた。この分析結果から算出した成形体前駆体1の有機物の含有量は約4.5質量%であり、無機材料成形体の有機物の含有量は2.5質量%であり、ポリビニルアルコールの溶出による有機物の減量が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の無機材料成形体の製造方法は、構造材料や電気・電子材料等、様々な用途で用いられている、セラミックスや金属の各種成形体の製造に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機材料粒子と、有機原子団からなる架橋原子団と、有機原子団からなる可塑剤を構成要素として備え、前記無機材料粒子の各々が前記架橋原子団によって相互に結合された構造を有する無機材料成形体の製造方法であって、
第1工程:前記無機材料粒子に、結合性官能基を有する有機原子団が表面に化学修飾された無機材料粒子を用い、架橋剤に、外部刺激に応答して前記無機材料粒子表面の結合性官能基との結合反応が惹起される官能基(刺激応答性官能基)を2以上有する刺激応答性架橋剤を用い、前記無機材料粒子と前記刺激応答性架橋剤を含む混合物を、可塑剤を利用して所望の形状に成形して成形体前駆体を得、
第2工程:前記成形体前駆体に対して前記外部刺激を与え、前記官能基と前記刺激応答性架橋剤との間の結合反応を利用して、前記無機材料粒子間を相互に結合する前記架橋原子団を形成させることによって、無機材料成形体を得、
第3工程:前記無機材料成形体を溶媒に浸漬・保持することで、成形体の形状は保持しつつ可塑剤のみを溶出除去し、成形体中に含まれる有機物質を減少させる、
工程からなることを特徴とする無機材料成形体の製造方法。
【請求項2】
前記無機材料粒子の他、刺激応答性官能基を含む有機原子団が表面に化学修飾された無機材料粒子を用い、前記刺激応答性架橋剤の他、結合性官能基を2以上有する多官能性有機化合物を用い、
前記刺激応答性官能基と前記結合性官能基との間の結合反応を利用して前記無機材料粒子間を相互に結合する前記架橋原子団を形成させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記無機材料粒子の他、前記刺激応答性官能基を有する有機原子団と結合性官能基を有する有機原子団の双方が表面に化学修飾された無機材料粒子を用い、
架橋剤を用いることなく、前記修飾原子団同士を結合させ、前記無機材料粒子間を相互に結合する前記架橋原子団を形成させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
光照射によって、前記刺激応答性官能基としてのフェニルアジド基(−C−N)と前記結合性官能基としてのアミノ基(−NH)との間の結合反応を進行させ、フェニルヒドラゾ基(−C−NHNH−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのアミノ基(−NH)と同じく前記刺激応答性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を進行させ、イミド結合(−N(CO−))を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項6】
マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのアミノ基(−NH)との間の結合反応を進行させ、グアニジン構造((−NH)C=NH−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項7】
マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を進行させ、カルバモイルアミド構造(−NHC(O−C(=O)−)=N−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項8】
マイクロ波照射によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としての水酸基(−OH)との間の結合反応を進行させ、イソウレア構造(−NHC(O−)=N−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項9】
300℃以下の加熱によって、前記刺激応答性官能基としてのアミノ基(−NH)と同じく前記刺激応答性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を利用してアミド結合(−NHCO−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項10】
300℃以下の加熱によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのアミノ基(−NH)との間の結合反応を進行させ、グアニジン構造((−NH)C=NH−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項11】
300℃以下の加熱によって、前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としてのカルボキシル基(−COOH)との間の結合反応を進行させ、カルバモイルアミド構造(−NHC(O−C(=O)−)=N−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項12】
前記刺激応答性官能基としてのカルボジイミド基(−N=C=N−)と同じく前記結合性官能基としての水酸基(−OH)との間の結合反応を進行させ、イソウレア構造(−NHC(O−)=N−)を形成させる、請求項1、2又は3に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法により無機材料成形体を得、
溶媒に溶出させた可塑剤を、再び新たな成形体の製造に利用する無機材料成形体の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法により無機材料成形体を得、
前記無機材料成形体を焼成して無機材料焼結体を得る、無機材料焼結体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−37711(P2011−37711A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241807(P2010−241807)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【分割の表示】特願2006−51560(P2006−51560)の分割
【原出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】