説明

無機添加剤を含む水膨潤性ハイブリッド材料及びその製造方法

【課題】植物が必要とするミネラル分や栄養分を供給することができ、粉砕した鉱物を含む架橋ポリマーマトリックスの形態を取り、ハイブリッド材料の保水性及び/又は膨潤性が損なわれない水膨潤性ハイブリッド材料を提供する。
【解決手段】本質的に架橋されたポリマーマトリックスと、これに結合した無機固体粒子とを含み、1時間以内に、ハイブリッド材料の自重の少なくとも7.5倍に相当する水を吸収する、時間依存性の膨潤挙動を示す新規な水膨潤性ハイブリッド材料による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に架橋されたポリマーマトリックスと、これに結合した無機固体粒子とを含み、1時間以内に、ハイブリッド材料の自重の少なくとも7.5倍に相当する水を吸収する、時間依存性の膨潤挙動を示す新規な水膨潤性ハイブリッド材料、及びその応用に関する。本発明はまた、少なくとも1種類の重合可能な成分と、少なくとも1種類の適当な溶媒とを含み、反応混合物のpHが7よりも小さい反応混合物を準備する工程と、無機固体粒子及び少なくとも1種類の架橋剤を反応混合物に混合する工程と、本質的に架橋されたポリマーマトリックスと、これに結合した無機固体粒子とを含む、スポンジ状の水膨潤性ハイブリッド材料が、反応混合物の体積に関連する体積の増大を伴って得られるように、重合反応を開始及び制御する工程とを含む、水膨潤性ハイブリッド材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸(コ)ポリマーが、水又は水性の液体を吸収してハイドロゲルを形成することは、既に報告されている。これらのポリマーは、米国特許第4,286,082号明細書、独国特許第27 06 135号明細書、米国特許第4,340,706号明細書、及び独国特許第28 40 010号明細書に記載のように、通常、逆相懸濁重合又は乳化重合によって調製されている。このようにして得られるポリマー製品は、超吸収材としても知られており、通常、個人用衛生用品の分野で用いられている。しかし、例えば、独国特許出願第101 14 169号明細書、又は国際公開第03/000621号パンフレットに記載されているように、個人用衛生用品分野のために製造されたハイドロゲルを形成するポリマー製品を、植物分野において保水手段として用いることが提案されている。
【0003】
国際公開第03/000621号パンフレットに記載されている材料等の場合において、火山性の物質を含む超吸収材は、多価金属イオンを含んでおり、金属イオンがキレート化剤として作用するおそれがあるため、その製造及び使用において独自の法則に従うことが見出された。具体的には、製造工程と同様に、用いられる粉末状の鉱物が、この国際特許出願に記載の製品の吸水挙動に大きな影響を与えることが見出された。例えば、これらの通常の材料が塩基性の重合混合物から製造される場合に、完全に膨潤するのに比較的長期間、場合によっては24時間以上を要する粒子が得られることが見出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、したがって、このような長い膨潤時間を必要としない製品を提供することである。
【0005】
さらに、本発明の目的は、植物が必要とするミネラル分や栄養分を供給することができ、粉砕した鉱物を含む架橋ポリマーマトリックスの形態を取り、ハイブリッド材料の保水性及び/又は膨潤性が損なわれない水膨潤性ハイブリッド材料を提供することである。
【0006】
さらに、他の目的は、ミネラル及び無機固体を含み、種々の用途のためのものであり、モノマーが殆ど残留していないハイブリッド材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題に対する解決手段は、製品、方法、及び使用に関する独立請求項の主題によって提供される。有利な実施態様は、それぞれの従属請求項によって提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1時間以内に、乾燥したハイブリッド材料の自重の少なくとも7.5倍、好ましくは少なくとも10倍、特に好ましくは少なくとも12.5倍、最も好ましくは少なくとも15倍に相当する水を吸収する、時間依存性の膨潤挙動を示すハイブリッド材料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上述の目的及び他の目的を達成するために、本発明は、本質的に架橋されたポリマーマトリックスと、これに結合した無機固体粒子とを含み、特に膨潤挙動に関して特異な性質を有する、新規な水膨潤性ハイブリッド材料を提供する。特定の理論によって制限されることなく、ハイブリッド材料の新規な性質は、その製造方法に起因すると仮定される。
【0010】
本発明の実施態様の一例によると、結合した無機固体粒子を含む本質的に架橋されたポリマーマトリックスを含んでいるため、水等の水性液体と接触すると、その過程で水を吸収してハイブリッド材料が速やかに膨潤し、可能な限り速やかに最大吸水量に達する水膨潤性ハイブリッド材料及びその製造方法が提供される。
【0011】
この場合において、「水膨潤性」という語句は、塩水、体液等の水又は水性液体又は他のプロトン性の極性液体と接触させると、これらの液体を吸収する等して元の体積よりも大きくなるが、好ましくはその化学構造が変化しない物質を意味する。本明細書で用いる場合、「本質的に架橋されたポリマーマトリックス」という語句は、三次元的に架橋され、開孔及び/又は閉鎖孔構造を有し、好ましくは、例えば、化学的に結合し、かつ/又は多孔構造中に閉じ込められた結合状態にある無機固体粒子ホモポリマー又はコポリマーを意味する。本質的に架橋されたポリマーマトリックス及び/又はハイブリッド材料が、水で飽和した状態にある場合でも、その構造をほぼ保持していることが好ましい。本質的に架橋されたポリマーマトリックス及び/又はハイブリッド材料は、好ましくは、ハイドロゲルを形成することなく、つまり、ポリマーマトリックス及び/又はハイブリッド材料は、通常の超吸収材のように、水を取り込むことによりハイドロゲルを形成せずに、飽和限界まで水を吸収することができる。特に明示しない限り、重量%単位で示された量は、例えば、水分含量が0.1重量%未満で、かつ/又は材料を、好ましくは約40℃で、好ましくは強制空気循環炉中で12時間乾燥後のハイブリッド材料の総重量に対する値である。特に明示しない限り、全ての数値及び範囲、並びに物性データ及びパラメータは、任意の形態で組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。
【0012】
ハイブリッド材料の膨潤挙動は、例えば、ハイブリッド材料を適当な量の脱イオン水と、例えば、20〜23℃、好ましくは20℃の室温で接触させ、余分な水分を滴下させた材料の重量を所定の時間間隔で測定することにより決定することができる。
【0013】
本発明の実施態様の一例によると、ハイブリッド材料は、1時間以内に、乾燥したハイブリッド材料の自重の少なくとも7.5倍、好ましくは少なくとも10倍、特に好ましくは少なくとも12.5倍、最も好ましくは少なくとも15倍に相当する水を吸収する、時間依存性の膨潤挙動を示す。2時間後、ハイブリッド材料による水の吸収量は、乾燥したハイブリッド材料の自重の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも12.5倍、特に好ましくは少なくとも約15倍、最も好ましくは少なくとも17.5倍に達することができる。3時間後、ハイブリッド材料による水の吸収量は、乾燥したハイブリッド材料の自重の少なくとも12.5倍、好ましくは少なくとも15倍、特に好ましくは少なくとも約17.5倍、最も好ましくは少なくとも20倍に達することができる。ハイブリッド材料による24時間後の水の吸収量は、乾燥したハイブリッド材料の自重の少なくとも15倍、好ましくは少なくとも20倍、特に好ましくは少なくとも約25倍、最も好ましくは少なくとも30倍に達することができ、さらに、通常の超吸収材のようにハイドロゲルを形成せずに、乾燥したハイブリッド材料の自重の50倍以上に達することができる。
【0014】
本発明の、固体を含む水膨潤性ハイブリッド材料は、従来の材料と、その製造方法及び組成において異なっている。それは、特に、残留した水分を含む未乾燥の状態において、例えば腐食土に匹敵する高い膨潤性を有する。水性液体中での膨潤過程において、空孔の体積の増大による吸引効果が起こりうるため、おそらく、その結果、ポリマーマトリックスの吸収量を上回る液体の吸収が起こる。
【0015】
本発明の実施態様の一例において、ハイブリッド材料は、アルカリケイ酸塩を殆ど含んでおらず、かつ/又は残留モノマーを殆ど含んでいない。本発明によると、「残留モノマーを殆ど含んでいない」という語句は、1000ppm未満、好ましくは500ppm、特に好ましくは300ppm未満、場合によっては100ppm未満、又は50ppmの残留モノマーを含む材料を意味すると理解される。
【0016】
ある実施態様の一例において、ポリマーマトリックスは、少なくとも1種類のエチレン性不飽和成分、具体的にはアクリル酸又はアクリル酸誘導体のホモポリマー及び/又はコポリマーを含んでいる。ポリマーマトリックスは、少なくとも1種類の、酸官能基を含む水溶性のエチレン性不飽和モノマー、場合によってはさらに、少なくとも1種類の、共重合可能な水溶性のエチレン性不飽和コモノマー、少なくとも1種類の架橋剤の重合により形成することができ、好ましくは0.01〜5重量%、通常0.1〜2重量%の他の水溶性ポリマーを、場合によっては追加することができる。用いることができる架橋剤の例としては、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、又は少なくとも1つのエチレン性不飽和基と少なくとも1つの、酸官能基に対して反応性の他の官能基とを有する物質が挙げられる。適当なモノマー、コモノマー、水溶性ポリマー、架橋剤、及び他のポリマー成分については、製造方法と関連づけて、以下詳細に議論する。
【0017】
ある実施態様において、モノマー及び/又はコモノマーは、水酸化ナトリウム、アンモニア溶液、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、グアニジン、炭酸グアニジウム等の塩基性物質により、又は無機固体粒子としてのアルカリ性の粉砕された岩石/鉱物を用いることにより、場合によっては一部中和されていてよい。
【0018】
本発明の実施態様の一例において、ポリマーマトリックスの無機粒子固体に対する重量比は、99:1〜1:99、好ましくは約90:10〜10:90、又は場合によっては約70:30〜約30:70であってよい。好ましい実施態様の一例において、無機固体の量は、少なくとも約50重量%、好ましくは約60重量%、特に好ましくは約70重量%又は約80重量%である。ポリマーの含有量は、少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%又は少なくとも約20重量%であってよい。
【0019】
無機粒子固体としては、例えば、粉砕した鉱物、スラグ、又は石英砂、粘土、頁岩、堆積岩、隕石、溶岩粉末等の火成岩、硬砂岩、片麻岩、トラス、玄武岩、輝緑岩、ドロマイト、マグネサイト、ベントナイト、焼成シリカ、及び長石からなる群より選択される少なくとも1種類を含む粉砕した岩石が挙げられる。ハイブリッド材料の本質的に架橋されたポリマーマトリックスに結合したこれらの固体粒子は、農業及び/又は園芸用途等において、土壌構造、及び土壌環境を大幅に改善することができ、従来のK、N、P肥料群に含まれる肥料、及び/又は鉄、亜鉛等の微量元素を添加することにより、植物の成長に必要な条件を満たしている、植物に対する理想的な栄養源を構成することができる。本発明のハイブリッド材料の有する多孔質のスポンジ状構造により、土壌の毛細管効果が増大するが、微細に粉砕された鉱物、特に微細な砂の存在により、同時に土壌の性質に好ましい影響を及ぼす。さらに、ハイブリッド材料に含まれる鉱物により製品の重量が増大するため、例えば、土壌の水分含量が高い場合に、製品が浮き上がるのが防止される。
【0020】
本発明のハイブリッド材料の無機成分は、特に微量元素に関連して、かつ/又は粒子サイズに関連して、重合工程、したがってハイブリッド材料のスポンジ状構造に影響を及ぼすことができるため、本発明のある実施態様の一例において、適当な粒子サイズの無機固体粒子を選択すると有益であることが証明されている。同時に、この粉砕された岩石鉱物は、植物のミネラル栄養源を構成するため、無機固体粒子の粒子サイズが200μm未満、好ましくは100μm未満となるように、とう精度(製粉の度合い)を選択することができる。
【0021】
本発明のある実施態様において、ハイブリッド材料は、ベントナイト、モンモリロナイト、フィロケイ酸塩、ゼオライト等の粘土物質を含んでいてよい。これらの粘土物質は、例えば、少量の液体を吸収する能力、及びカチオンを結合する能力を有していてよい。したがって、これらは、ハイブリッド材料の強度及び膨潤挙動に関与することができる。これらの粒子サイズは、特に好ましくは0.1mm〜8mm、好ましくは0.3mm〜5mmであってよい。ハイブリッド材料の実施態様の一例における量の比は、乾燥状態のハイブリッド材料の全重量に対して、約5重量%〜60重量%であってよい。
【0022】
本発明のハイブリッド材料に好ましく加えることができる他の無機固体は、製品の重量を増大させ、重要な機能を満たす効果を主に有していてもよい。本発明のハイブリッド材料は、場合によっては細かく粉砕され、より少量の他の有機又は無機添加剤をさらに含んでいてよい。
【0023】
さらに、ハイブリッド材料は、アルカリケイ酸塩、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、アルカリ水酸化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、シリカ、リン酸アルカリ金属塩、硝酸アルカリ金属塩、リン酸水素アルカリ土類金属塩、リン酸、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、鉄塩、特に鉄(II)塩、及び/又はホウ酸より選択される少なくとも1種類の添加剤からなる水に可溶で、かつ/又は水に溶解した無機添加剤を場合によっては含んでいてよい。
【0024】
例えば、重合の間にCOの発生源及び/又は窒素肥料源として、例えば、肥料としての尿素、尿酸等、例えば、目的とする用途に応じて物理的性質を変化させるための、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、多糖、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、木材、わら、泥炭、回収紙、クロムを含まない皮革、及び回収木材又は回収プラスチック粒子又はプラスチック粒子、繊維又は不織布等の、場合によっては細かく粉砕され、又は水に溶解した水溶性又は水不溶性の有機添加剤又は固体をさらに含んでいると、本発明のハイブリッド材料の性質を、さらに変化させ、かつ/又は改善することができる。
【0025】
ある実施態様において、本発明のハイブリッド材料は、例えば栄養源として、藻類、細菌類、酵母、真菌類、真菌胞子等の微生物を含んでいてよい。必要ならば、知覚特性を改善するために着色料及び/又は香料を添加してもよい。必要ならば、場合によって貯蔵作用及び/又は徐放性を有し、場合によっては放出制御を行う、植物の根の近傍に有効成分を添加するための、環境に優しく、エアロゾルを用いない手段を達成するために、坑真菌剤、殺虫剤、除草剤等を加えてもよい。
【0026】
水性溶媒中で調製した後、ハイブリッド材料は、20℃で、残留水分を含む材料の全重量の少なくとも約0.1重量%、好ましくは約60重量%以下、特に好ましくは約20重量%〜40重量%、特に約35重量%の残留水分を含んでいてよい。部分的に乾燥することにより、要求に適合するように残留水分量を調節することができる。
【0027】
製造方法に起因するスポンジ状構造により、ある実施態様の例による本発明のハイブリッド材料は、種々の用途において有利な機械的強度を有している。ある実施態様の一例において、ハイブリッド材料は、40℃で約1時間風乾後に、少なくとも25、好ましくは30〜50のショアA硬度(DIN53505準拠)を有している。湿式製造条件において、製造直後の、水分含量約30重量%〜40重量%の状態において、ハイブリッド材料は、それに加えて、又はそれに代わり、少なくとも約15、好ましくは約20〜30のショアA硬度(DIN53505)を有している。さらに、材料を24時間脱イオン水中で保存して飽和させた後に、ハイブリッド材料は、それに加えて、又はそれに代わり、少なくとも約1、好ましくは約2〜10のショアA硬度(DIN53505)を有している。
【0028】
ハイブリッド材料の比重は、用いられる固体粒子及び/又はポリマー成分に応じて、少なくとも約1g/cm、好ましくは約1.1〜5g/cm、好ましくは約1.2〜2.5g/cmである。
【0029】
製造工程国際公開第03/000621号パンフレットに記載の従来の製造方法により、出発物質は、炭酸アルカリ塩及び/又は二酸化炭素を含む中性又はアルカリ性pHの水性スラリーの状態の鉱物であり、次いで、架橋剤を含む、酸官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを加えると、二酸化炭素が放出され発泡する。重合は、発泡が終わった後に行われる。これに代わる方法として、中性又はアルカリ性pHで、最初のスラリーを、出発物質として、モノマーの酸官能基を部分的に中和するためのアルカリ物質と共に用いることができる。
【0030】
このようにして、通常、安定なスポンジ状構造を有し、中性pH状態で大量の水を吸収する、超吸収材に非常に似通った中性又は弱アルカリ性の生成物が得られる。通常の方法のどちらを用いても、鉱物は常に出発物質として用いられ、モノマーはその後にしか加えられない。
【0031】
今回、驚くべきことに、反応物質を添加する順番を替え、場合によっては反応混合物において適切なpH範囲を選択することにより、重合反応が適切に制御され、ハイブリッド材料の性質、特に膨潤挙動を大幅に改善することが可能である。重合条件を適切に制御することにより、発泡してハイブリッド材料のスポンジ状を形成するための、炭酸塩及びガスを放出する同様な化合物の添加量を大幅に削減することが可能であることも見出された。
【0032】
酸官能基を含むモノマーを出発物質とし、次いで鉱物をこの順番で添加することが、得られる材料においてほぼ均一なスポンジ状構造を形成する上で特に有利であることが見出された。従来法を用いた場合よりも重合がより均一に進行し、初期の膨潤が明らかに改善された製品が得られる。つまり、この方法により製造されたハイブリッド材料は、水を加えると非常に速やかに膨潤し、早い時点で最大吸収量に到達する。
【0033】
通常、酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応は、発熱反応であり、そのため、従来の超吸収材の製造方法において可能な最低温度(通常0℃付近)においても反応が開始され、反応熱が連続的に除去され、温度が可能な限り低く保たれる。
【0034】
本発明の実施態様の一例において、重合反応を適切に制御することにより、溶媒を一部蒸発させることができ、それにより、反応混合物の体積に関連する体積の増大を伴って、結合した無機固体粒子を有する本質的に架橋されたポリマーマトリックスを含むスポンジ状の水で膨潤したハイブリッド材料が得られる。具体的には、ハイブリッド材料は優れた膨潤挙動を有しており、特に、はるかに速い水の吸収を示し、飽和状態で優れた機械的安定性を有している。
【0035】
さらに、pHが7未満の酸性のモノマーを出発物質とし、次いで無機固体粒子を添加することにより、膨潤性能に悪影響を与えることなく、スポンジ状のポリマーマトリックスにおける鉱物の結合の改善も達成されることが見出された。火成岩等の無機固体粒子の微量元素又は電解質の含有量が高く、従来法では、通常、重合が遅くなり、初期の膨潤挙動が遅い異なる材料が得られる場合にも、このことは可能である。
【0036】
本発明の実施態様の一例において、結合した無機固体粒子を有する、本質的に架橋されたポリマーマトリックスを含む水膨潤性ハイブリッド材料は、下記の工程を含む方法によって得られる。
a)少なくとも1種類の重合可能な成分と、少なくとも1種類の適当な溶媒を含み、pHが7未満の反応混合物を準備する工程、
b)次いで、無機固体粒子を反応混合物中に混合する工程、
c)少なくとも1種類の架橋剤を添加する工程
d)重合反応を開始させる工程、及び
e)反応混合物の体積に関連する体積の増大を伴って、結合した無機固体粒子を有する本質的に架橋されたポリマーマトリックスを含むスポンジ状の水膨潤性ハイブリッド材料が得られるように重合反応を制御する工程。
【0037】
上述のように、ポリマーマトリックスは、ポリアクリル酸等の、酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマーに基づく架橋されたホモポリマー及び/又はコポリマーよりなる。本発明の好ましい実施態様の一例において、本質的に架橋されたポリマーマトリックスと、これに結合した無機固体粒子とを含む水膨潤性ハイブリッド材料の製造方法は、下記の工程を含む方法によって得られる。
a)少なくとも1種類の酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1種類の適当な溶媒を含み、pHが7未満の反応混合物を準備する工程、
b)次いで、無機固体粒子を反応混合物中に混合する工程、
c)少なくとも1種類の架橋剤を添加する工程、
d)重合反応を開始させる工程、及び
e)反応混合物の体積に関連する体積の増大を伴って、結合した無機固体粒子を有する本質的に架橋されたポリマーマトリックスを含むスポンジ状の水膨潤性ハイブリッド材料が得られるように重合反応を制御する工程。
【0038】
少なくとも1種類の水溶性成分は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ソルビン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルアミノ−アルキルスルホン酸、ビニルリン酸、又はビニルベンゼンリン酸からなる群のうち少なくとも1種類を含む、酸官能基を有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーより選択することができる。
【0039】
反応混合物中のコモノマーの量は、モノマー反応混合物中の重合可能な成分に対して0〜50重量%であってよい。水溶性のエチレン性不飽和コモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−ジアルキルアミノアクリルアミド、N−ジアルキルアミノメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−メチルアセトアミド、N−ビニル−n−ホルムアミド、ビニルピロリドン等の不飽和アミン、アクリル酸ヒドロキシエチレン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルからなるものより選択される少なくとも1種類であってよい。好ましくはコモノマーを添加しないアクリル酸が、モノマーとして特に好ましい。
【0040】
反応混合物中の重合可能な成分の全重量に対して30重量%以下の水溶性ポリマーを、モノマー反応混合物中に添加してもよい。用いることができる可溶性ポリマーの例としては、上述のモノマー又はコモノマーのホモポリマー又はコポリマー、部分的にケン化されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、デンプンのグラフト重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース及びセルロース誘導体、及びガラクトマンノース及びそのアルコキシル化された誘導体、さらにこれらの混合物が挙げられる。これらの水溶性ポリマーは、本質的に物理的に結合している。
【0041】
モノマー及び/又はコモノマーは、少なくとも1種類の溶媒中で出発物質として用いることができる。本発明の実施態様の一例において、少なくとも1種類の溶媒は、水、水溶液、メタノール、エタノール等のアルコール、アルキルアミン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びこれの任意の混合物等のプロトン性の極性溶媒を含んでいてよいが、特に好ましくは水である。さらに、これらのプロトン性の極性溶媒は、場合によっては非プロトン性及び/又は非極性溶媒との混合物として用いてもよく、できるだけ均一な反応混合物を得るために、界面活性剤、乳化剤又は他の両親媒性物質を場合によっては添加してもよい。
【0042】
本発明の好ましい実施態様の一例において、無機固体粒子を添加する前の反応混合物のpHは、好ましくは7未満である。pHは、好ましくは6.8未満、好ましくは6.5未満、特に6未満又は5未満、例えばpH0〜pH6、又はpH1〜pH5である。
【0043】
少なくとも1種類の架橋剤を、溶媒と少なくとも1種類の重合可能な成分との反応混合物に添加することができる。好ましくは、少なくとも1種類の架橋剤は、重合可能な成分の全重量に対して0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%添加される。少なくとも2つのエチレン性不飽和官能基、又は少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基と、酸官能基に対する反応性を有する少なくとも1つの他の官能基を含む全ての物質を、架橋剤として用いることができる。ここで触れることができる具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、アクリル酸のモノ、ジ、及びポリエステル、メタクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸の、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、及びポリグリセロール、並びにアルコキシル化ホモローグ(同族体)等の多価アルコールとから得られる、例えば、ジアクリル酸ブタンジオール等のポリエステル、及びこれらの酸とアリルアルコール及びアルコキシル化ホモローグとのエステルが挙げられる。他の例としては、N−ジアリルアクリルアミド、フタル酸ジアリル、クエン酸トリアリル、トリモノアリルエチレングリコールエーテルクエン酸エステル、アリルアクリルアミド、クエン酸トリアリル、トリモノアリル、クエン酸ポリエチレングリコールエーテル及びジオール及びポリオールのアリルエーテル、及びグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びこれらのエトキシレート及びテトラアリルオキシエタン、及びエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセロールグリシジルエーテル等の、ポリグリシジルアリルエーテルのポリアリルエーテル等の、最後に触れたこれらの種のエトキシル化誘導体が挙げられる。他の適当な例としては、ジアミン類、トリアリルアミン、塩化テトラアリルアンモニウム等の、少なくとも2つのエチレン性不飽和置換基を有するジアミン及びその塩が挙げられる。本発明の実施態様の一例において、少なくとも2種類の、好ましくは加水分解安定性が場合によっては異なっている架橋剤、又は少なくとも3種類の架橋剤を用いることができる。少なくとも2種類の架橋剤を用いる場合、好ましい架橋剤は、ジアクリル酸ブタンジオールエステル及びメチレンビスアクリルアミドが挙げられる。
【0044】
無機固体粒子は、少なくとも1種類の架橋剤の前、後、又は同時に添加することができる。無機固体粒子は、好ましくは、少なくとも1種類の重合可能な成分を既に含んでいる反応混合物に添加される。重合可能な成分、特に、酸官能基を含む、特に酸性pHでエチレン性不飽和モノマーを出発物質とし、次いで無機粒子固体を添加することにより、特に初期の膨潤挙動が改善された、すなわち、例えば、水と接触した直後に速やかに膨潤するハイブリッド材料を得ることができる。無機粒子固体としては、例えば、粉砕した鉱物、スラグ、又は石英砂、粘土、頁岩、堆積岩、隕石、溶岩粉末等の火成岩、硬砂岩、片麻岩、トラス、玄武岩、輝緑岩、ドロマイト、マグネサイト、ベントナイト、焼成シリカ、及び長石からなる群より選択される少なくとも1種類を含む粉砕した岩石が挙げられる。これらの固体粒子は、従来のK、N、P肥料からなる群より選択されてもよく、場合によっては上述の鉱物と共に、反応混合物に添加される。
【0045】
無機固体粒子の量は、所望の用途に応じて選択及び調節することができるが、通常の量及び量比については上述のとおりである。固体含量の高いハイブリッド材料が好ましく、好ましくは、ハイブリッド材料の乾燥重量に対して60重量%以上の固体含量を有するハイブリッド材料である。溶岩等の火成岩含量は、ハイブリッド材料の乾燥重量に対して35重量%未満、特に30重量%未満、特に好ましくは25重量%未満である。特に好ましくは、無機固体粒子は、酸の存在下で二酸化炭素を放出する鉱物を含んでいない。
【0046】
適当な量の塩基性固体粒子を用いることにより、少なくとも1種類の重合可能な成分を少なくとも部分的に加水分解することができ、重合の過程、及び最終的には生成物の構造を適当に変化させることができる。好ましくは、モノマーの酸官能基中の最大約80モル%、例えば、約60モル%〜80モル%が中和され、実施態様の一例において、モノマーの酸官能基中の最大40モル%が中和されている。塩基性固体粒子を添加する代わりに、又はそれに加えて、例えば、水酸化アルカリ土類、及び/又は水酸化アルカリ、石灰、アルキルアミン類、アンモニア水等、及び上述の化合物等の少なくとも1種類の塩基性物質を場合によっては添加することにより、部分的な中和又はpHの調節を行うことができる。
【0047】
撹拌等の適当な均一化手段により、好ましくは重合中にも撹拌を続けることにより、固体粒子をほぼ均一に反応混合物中に分布させることができる。
【0048】
フリーラジカル重合を開始するために、ペルオキソ硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化tert−ブチル、2,2’−アゾビス(2−メチレンプロピオンアミジン)二塩酸塩、又は過酸化水素等の過酸化物又はアゾ化合物等の従来の酸化還元系を、場合によっては亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、硫酸ホルムアミジンカリウム、及びアスコルビン酸等の還元剤と共に用いることができる。酸化剤は、好ましくは出発物質中に存在している。特に好ましいこの重合方法の実施態様の例において、重合は、適当な増感剤を用いた光重合によっても開始することができる。
【0049】
本発明の実施態様の一例において、ハイブリッド材料の多孔質のスポンジ状構造の形成を促進するために、反応混合物の体積に関連する体積の増大を伴うように、重合反応を制御してもよい。特に好ましくは、適当な手段によって反応熱が制御される。
【0050】
本発明の実施態様の例において、少なくとも1種類の溶媒のうち約0.3重量%〜30重量%、好ましくは約2重量%〜15重量%が蒸発するように、発熱反応である重合反応の反応熱が制御される。蒸発する溶媒は、発泡ガスとして作用し、ハイブリッド材料を発泡させ、体積を増大させ、特に、あるモノマーは、重合中に、二酸化炭素等の揮発性のガスを場合によっては発生することができるため、通常、ガスを発生する物質等の発泡剤を添加する必要はない。しかし、必要な場合には、体積の増大を少なくとも部分的に誘導又は補助するために、炭酸塩及び/又は尿素等のガス発泡剤を添加してもよい。特に好ましい本発明の実施態様の例において、酸の存在下で二酸化炭素を放出する、炭酸塩及び/又は鉱物及び/又はあらゆる物質、特に無機物が、反応混合物及び/又はハイブリッド材料に添加されない。水蒸気の発生に加えて、ハイブリッド材料のスポンジ状構造の形成を補助するために二酸化炭素を放出させる必要がある場合には、好ましくは、二酸化炭素の放出に加えて、有利な窒素源としても作用する尿素等の有機化合物が、このような目的に用いられる。
【0051】
本発明の実施態様の他の例において、上記に代わり、又は上記に加えて、反応熱は、少なくとも1種類の重合可能な成分の、少なくとも1種類の適当な溶媒に対する量比、及び/又は溶媒の体積によっても制御することができる。少なくとも1種類の重合可能な成分の少なくとも1種類の適当な溶媒に対する量比は、好ましくは約1:1〜1:5である。上記に代わり、又は上記に加えて、反応熱は、反応混合物を冷却することによっても制御される。
【0052】
本発明の実施態様の例において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に少なくとも50%、及び特に好ましくは少なくとも100%の、重合開始前の反応混合物の体積に関する体積の増大は、重合反応を制御することにより誘導することができる。
【0053】
重合反応の平均重合温度は、好ましくは約50℃〜130℃、好ましくは約60℃〜110℃、特に約70℃〜100℃に保たれる。反応混合物の開始温度は、約4℃〜約40℃、好ましくは約15℃〜約30℃、例えば、室温付近、すなわち約20℃〜22℃であってよい。
【0054】
本発明の実施態様のある例において、ここで列挙する有機固体粒子を、ポリマーマトリックス中に含まれるように、例えば、工程b)において、場合によっては導入してもよい。好ましい例としては、微生物、細菌、真菌、藻類、酵母、抗真菌剤、殺虫剤、除草剤、セルロース、デンプン、デンプン誘導体、プラスチック又は多糖、木材、わら、泥炭、回収紙、クロムを含まない皮革、及び回収粒子又はプラスチック粒子、繊維又は不織布等からなる群より選択される少なくとも1種類の有機物質が挙げられる。
【0055】
さらに、少なくとも1種類の水溶性又は水膨潤性添加剤及び/又は水に溶解した上述の添加剤を、反応混合物に添加することもできる。好ましい例としては、ケイ酸アルカリ金属塩、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は尿素が挙げられる。
【0056】
従来法とは対照的に、本明細書に記載の方法を用いると、常にではないが、通常、後架橋、中和等の後処理を行う必要がなく、本明細書に記載の方法により、ハイブリッド材料を、そのままで目的とする用途に適した形態で得られる。
【0057】
本発明のハイブリッド材料は、適当な成分の選択及び/又は適当な工程制御により、常にそうである必要はないが、殆ど残留モノマーを含まない状態で得ることができる。特に、農業分野における応用のために、場合によっては重合後の製品に残留する残留モノマーの含有量が低いことは、生命体に対するあらゆるリスクを排除する上で有利である。超吸収材の分野における従来法によると、残留モノマーを除去するために、製造後のポリマー製品は、厳しい乾燥条件にさらされる場合がある。乾燥温度は、通常、アクリル酸の沸点(bp.142℃)よりもはるかに高く、通常170℃を上回る。これらの条件は、製品の初期分解のリスクも伴う。
【0058】
そのため、本発明のある実施態様の例において、ハイブリッド材料の残留モノマー量を減少及び/又は除去するために、除去方法が用いられる。この方法によると、ハイブリッド材料は、例えば、循環オーブン中で又は特に好ましくは約100℃〜約150℃の過熱蒸気で、場合によっては加圧下でハイブリッド材料を加熱することにより、熱的又は化学的に後処理される。これは、例えば、残留アクリル酸モノマー又は他の不純物を含む製品を、下側の蒸気供給配管及び上側の過剰圧力弁を有する断熱された加圧ポットに加えて蒸気処理することにより行われる。蒸気の温度は、100℃〜150℃、特に100℃〜120℃、又は加圧下で行う場合にはそれに応じてより低い温度に調節するのが有利である。
【0059】
驚くべきことに、このような蒸気処理により、わずか短時間経過後のアクリル酸含量が、既に明らかに低下していることが見出された。ポリカルボン酸アンモニウムも、分解のリスクを伴うことなく蒸気処理できることは、特に有利であるとみなすことができる。処理がさらに加圧下で行われる場合、ハイブリッド材料中の水分含量を同時に低下させることができ、このため、少なくとも部分的な乾燥も行うことができる。さらに、蒸気処理の前、実施中、又は最後に、残留する最低量のアクリル酸又は他のモノマー又はコモノマーを全て除去する可能性がもたらされ、かつ/又は、例えば、二酸化硫黄ガス、又はアンモニア蒸気に加え、又は別個に加えることにより、除去を促進することができる。
【0060】
この後処理法及び/又はこの除去方法により、ポリカルボン酸及びアクリル酸を含む全ての製品、すなわち、全てのタイプの超吸収材、また具体的には本発明に記載のもの等のハイブリッド材料の残留モノマー含量を、このようにして、生命体に対するリスクを除去するか、少なくとも極小化するレベルまで有利に低減させることができ、好ましくは完全に乾燥させずにそのようにすることができる。
【0061】
ここで述べた後処理工程は、後架橋、部分加水分解に加え又はそれに代わり、かつ/又は単に乾燥のため、かつ/又はハイブリッド材料の確定した残留水分量を調節するために行うことができる。適当な残留水分含量は上で定義したとおりである。好ましくは、ハイブリッド材料は、製造後には完全に乾燥されない。
【0062】
したがって、本発明の任意の目的は、約100℃〜160℃の蒸気で、場合によっては加圧下で処理することにより、ポリカルボン酸とこれらのポリマー製品を含む混合物とを含む粒子状のポリマー製品から残留アクリル酸を除去する方法である。処理は、好ましくは約100℃〜150℃、特に約20℃〜140℃、加圧下で行う場合にはそれに応じてより低い温度の蒸気で行われる。場合によっては、アンモニア又は二酸化硫黄を、好ましくは、例えば、蒸気の体積に対し、約0.1〜約10体積%、例えば、0.1〜5体積%の少量、蒸気と混合してもよい。
【0063】
驚くべきことに、スチームを用いることにより、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸を含む製品からアクリル酸等の残留モノマーを取り除くことができるだけでなく、特にエステルのような分子鎖の結合の場合、水分吸収容量がこの場合にも増大することが見出された。特定の理論と結びつけるわけではないが、数本の分子鎖の架橋が場合によっては切断され、この効果は、2つの架橋点の間で鎖長が延長することによって生じるという結論が得られる。したがって、水分吸収容量は、例えば、加水分解に対する安定性の異なる少なくとも2種類の架橋剤を用いることにより、又は少なくとも2種類以上の架橋剤を水蒸気処理又は水分を含む製品を加熱することにより、場合によっては、再び引き続いて増大させることができる。
【0064】
したがって、本発明の他の任意の目的は、湿った状態で重合を行った後、上述の水蒸気処理、又は短時間(約10秒〜1時間)高温(140℃以上、好ましくは150℃以上)で加熱するによりポリカルボン酸とこれらの混合物とを含むポリマー製品の水分吸収容量を増大させる方法である。
【0065】
これらのアンモニウム塩等のポリカルボン酸を含む粒子状の製品、つまり超吸収材、及び残留アクリル酸を含むハイブリッド材料を、この方法により処理し、残留モノマー含量を、リスクや悪臭の苦痛がなくなるレベルまで低減させ、激しく乾燥することなく、そのようにすることができる。また、ポリマーの水分吸収容量をさらに増大させることができる。完全に乾燥したカルボン酸を含む製品が工程において望まれる場合は、温和で、排出物を含まない開放乾燥を、その後場合によっては行うことができる。
【0066】
通常、製品の製造後には、ブロック又は大きな細片状で得られるため、使用の前に、場合によっては弾性を有するスポンジ状のハイブリッド材料に適した通常の細断又は粉砕方法を用いた粉砕工程を有している。通常、最初の工程は切断であり、円板状、マット状、又は小片状になる。マット状の構造が維持されている場合には、さらに切断又はプレスを行い、様々な形状のものを得ることができる。例えば、栄養の領域に適用された場合に、植物の根にミネラル分及び成長に必要な栄養分を供給する四角形の棒状物を得ることができる。しかし、切断機を用いてもよく、この場合には、任意の調節可能な粒子サイズを有する土壌の様な細片を直接製造することができる。これらは、外観及び性質の両方の点で腐食土に特によく適合させることができる。製造直後の条件下において、材料はまだ粘着性を有していてよく、他の固体を添加して、単に細片を含ませることにより、様々な形状及び構造を作り出すことができる。
【0067】
例えば、1本又は複数本のシャフトを有する設計の低速回転切断/細断装置(細断機)等の、エネルギー投入量ができる限り低い粉砕方法が好ましい。粉砕又は細断におけるエネルギー投入量は、適当な方法により、好ましくは合計が100W/kg以下であるように、好ましくは30W/kg以下であるように選択される。
【0068】
例えば、粒子状又は細片状のハイブリッド材料は、種々の用途において、土壌添加物として特に好適である。土壌添加剤として、適当な量で土壌、砂、腐食土、泥炭等の中に含ませた場合、これらは、水分吸収及び保水容量を有しているため、植物の発芽、成長、及び栽培を促進し、栄養分の乏しい土壌に、悪い気候条件下で添加した場合であっても、良好な栽培結果を得ることができる。また、これらは給水間隔を制限することができるため、降水量の少ない栽培地において特に有益である。本発明の製品の特に好ましい用途は、乾燥地帯において、保水のために土壌に混合することである。
【0069】
本発明のハイブリッド材料を、単独で植物の栽培のために用いることも可能である。この用途の特別な実施態様は、例えば、スポンジ状の製品が、植物の根に吸収される水を吸収する毛管状のロッドにより水の容器に接続された植物用容器へのこれらの製品の使用である。
【0070】
孔及びポケットを有する本発明の製品の細片は、様々な固体の担体として特に好適である。種々の可能な組み合わせのうち、トウゴマの実の粉砕物との混合について、ここで言及する。トウゴマの実の粉砕物は、ヒマシ油の製造において得られ、固体肥料であると考えられている。他の実施態様において、トウゴマの実の粉砕物の代わりに、キャノーラ油製造時の廃棄物である菜種の粉砕物を用いることもできる。これらの及び他の油脂製造時の粉砕残渣を勿論用いることができる。
【0071】
ハイブリッド材料の、肥料吸収剤、及び/又は畜産における床材としての使用も望ましい。肥料を含まない製品と鋸屑又は鉋屑との組み合わせも可能であり、これはその後乾燥され、畜産における、特にウシのための「動物用床材」として用いることができる。多くの場合粉塵を生じ、純粋な形態で用いることは、通常問題となる、非常に微細に粉砕した合成ポリマー粒子で細片を処理することも興味深い。製造直後の本発明の製品の細片が粘着効果を有するため、流通性を有するように布状又は不織布状の繊維を処理し、結合又は密着した状態の水吸収性の製品が望ましい任意の場所において用いることができる。これらとしては、つり庭、製品輸送時の充填材及び棺(棺桶)が挙げられる。
【0072】
細片を含むこれらの布状又は不織布状の繊維を、浮揚性の天然物質及び合成プラスチックで処理する場合、これらは、植物の栽培、米の栽培等の湿潤な場所でも用いることができ、又は適当な処理を施して、昆虫防除のために用いることができる。
【0073】
ハイブリッド材料の好ましい用途としては、衛生用品分野、美容健康分野も挙げられ、ハイブリッド材料は、泥(海藻泥)パック、泥浴、又はミネラル美顔マスク又はボディーマスク等のミネラルパックの成分として用いることができる。
【0074】
高い比重及び水の吸収及び保水容量を有するため、ハイブリッド材料は、石油採掘等における試錘孔の封止のための系の添加剤として、堤防の修復又は上昇のための砂嚢の成分として、海水の浸透によるケーブルの破損を防止するためのケーブル保護材として、又は弾性チューブの充填剤成分として、パイプライン及びケーブル絶縁材に必要とされる壁における水路において、地下水及び雨水に対する有効な封止を達成するために、封止用途にも用いることができる。
【0075】
このことから、本発明の製品は、これらの優れた性質及びポケット構造により、同時に、様々な固体及び液体製品に対する相乗的な担体物質である。したがって、これらは、保水用途及び栄養源としてのみならず、坑真菌剤、除草剤、殺虫剤等の、環境に優しい導入手段のための貯蔵用材料としても用いることができる。
【0076】
本発明の範囲をいかなる意味においても制限するものではない下記の実施例により、以下、本発明を説明する。
【0077】
実施例1
ガラスビーカーに、まず、180gの脱イオン水を加え、150gのアクリル酸と室温で混合した。次いで、撹拌しながら7gの尿素を加え、溶解した。pHは約1.6であった。次に、0.02gのワコー(Wako)V50、及び架橋剤として0.4gのブタンジオールジアクリル酸エステルを加えた。次いで、撹拌しながら460gの無機固体(200gの溶岩粉末(ドイツのLavaunion社製のEifelgold、平均粒径<0.2mm)、60gのベントナイト(S&BMinerals社製のAgromont CA、平均粒径<0.065mm)及び200gの砂(Quarzwerke Baums社製、L60、平均粒径0.2mm))を加え、スラリーをホモジナイズした。75gのKOHを加えて、アクリル酸を一部中和した。次いで、0.15gのメタ重亜硫酸カリウム、0.9gのペルオキソ硫酸ナトリウム、及び0.45gのアスコルビン酸(水溶液)を加えて、重合反応を開始させた。発熱反応である重合反応の間に、水蒸気及び二酸化炭素ガスが放出された。閉鎖孔を有し、弾性を有するスポンジ状の生成物が、平均反応温度105℃で、反応混合物の最初の体積の2倍の体積の増大を伴って形成された。用いた水の約4%が蒸発した。次いで、低回転切断機を用いて、生成物を粉砕した。得られたハイブリッド材料は、自重の約30倍の最大膨潤能(脱イオン水中24時間)、及び湿式製造条件下(水分含量約35%)において、約15のショア硬度を有していた。図1Aは、サイズの比較のためにマチ針を用いて、得られた乾燥材料のスポンジ状構造を示す。図1Bは、水飽和膨潤状態にある同一材料を示す。
【0078】
実施例2
260gの脱イオン水を用いた以外は実施例1に記載したものと同一の材料を用いて、他の重合バッチを調製した。pHは約1.6であった。発熱反応である重合反応の間に、平均反応温度80℃で、水蒸気(約2%の水が蒸発した)及び二酸化炭素ガスが放出されたため、バッチの体積が約50%増大した。この様にして得られる、閉鎖孔を有し、弾性を有するスポンジ状の生成物を、低速回転切断機を用いて穏やかに粉砕した。得られたハイブリッド材料は、自重の約30倍の最大膨潤能(脱イオン水中24時間)、及び製造時からの水を含む(水分含量約35%)において、約20のショア硬度を有していた。
【0079】
実施例3
実施例1に記載の重合バッチを、実施例1に記載された量の同一の原料を用いて調製した。発熱反応である重合反応の間、平均反応温度が約65℃に保たれるように、反応容器を水浴中で冷却した。体積の増大は、約15%に達した。生成物と、実施例1と同様に粉砕した。得られたハイブリッド材料は、自重の約25倍の最大膨潤能(脱イオン水中24時間)、及び製造時からの水を含む(水分含量約35%)において、約28のショア硬度を有していた。
【0080】
実施例4(比較例)
100.0gの水、560gの水酸化カリウム溶液(50%)を、100.0gのアクリル酸及び40.0gのジアクリル酸ブタンジオールエステル水溶液(0.8重量%)、40.0gのベントナイト、及び140.0gの石英砂、さらに120gの塩基性pHで細かく溶岩粉末粉末(Eifel Lava)と混合し、よく撹拌して、20.0mLの1.0重量%ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液、10mLの0.2重量%アスコルビン酸溶液及び10mLの1.25重量%メタ重亜硫酸カリウム溶液を加えて重合反応を開始させた。約1分後、反応混合物をさらによく撹拌している間に、熱の放出及び表面での微細な気泡の発生により、重合の開始が確認できた。約3分後、混合物は非常に粘稠になるため、固体の沈降が起こらなくなり、撹拌を停止した。二酸化炭素の発泡により、ポリマー生成物の体積が、その後数分間で増大した。ポリマー生成物は、容易に容器から取り出すことができ、カッターミルで粉砕後、循環空気乾燥により乾燥した。図2に、脱イオン水に接触させた結果として生じる、実施例4で調製した材料(下側の曲線)の膨潤挙動と、実施例1で調製した材料(上側の曲線)との比較を示す。用いた試料を水から取り出し、所定の時間経過後、余分な水を滴下させるためにスクリーン上に置き、その後秤量した。実施例1で調製した材料は、最初に、はるかに速く水を吸収し、約2時間後に、自重の20倍以上の水を吸収することが明らかである。
【0081】
実施例5
本実施例は、基材としての純粋な砂の中に1重量%の実施例1で調製した材料を含む培養土において、芝を用いたバイオマスの成長の比較を示す。Haver&Boecker社製の商品番号L60の細砂、又は1重量%の実施例1で調製した材料と混合した細砂を含む直径8cmの植物用容器に、芝生の種の混合物RSM3.1(50%のホソムギ、50%のナガハグサ)を播種した。再現性を確認するために、個々の試験を4回繰り返した。条件:25℃の一定温度、10kLuxで12時間照射
【0082】
給水:3mm/日 3日おきに57mLに対応する3日周期
1.5mm/日 6日おきに57mLに対応する6日周期
変形例:変形例0−3/57I−IV=純粋な砂を使用、57mLの水を3日おきに給水
変形例1−3/57I−IV=1%の実施例1で調製した材料を使用、57mLの水を3日おきに給水
変形例0−6/57I−IV=純粋な砂を使用、57mLの水を6日おきに給水
変形例1−6/57I−IV=1%の実施例1で調製した材料を使用、57mLの水を6日おきに給水
【0083】
すぐに芝の発芽が観測され、膨潤性ハイブリッド材料が添加された芝生の方が、添加されていない芝生よりも明らかに大きく成長することが見出された。図3は、3日毎に57mLの水を給水した、ハイブリッド材料を含まない変形例0−3(左側の4つの鉢)とハイブリッド材料を含む変形例1−3(右側の4つの鉢)の成長高さの違いの比較を示し、図3Bは、図3Aの写真の詳細の拡大を示す。図4は、6日毎に57mLの水を給水した、ハイブリッド材料を含まない変形例0−6(左側の4つの鉢)とハイブリッド材料を含む変形例1−6(右側の4つの鉢)の成長高さの違いの比較を示し、図4Bは、図4Aの写真の詳細の拡大を示す。
【0084】
3つの時点で、芝の成長高さを測定した。全ての時点において、1%の実施例で調製した水膨潤性ハイブリッド材料を用いて得られた芝生の高さは、処理を行わなかった変形例よりも明らかに、すなわち、個々の場合において約18〜27%高かった。給水スケジュール1.5mm/日及び3mm/日のいずれの場合も、違いは明らかであった。この結果は、給水量を減少させ、実施例1で調製した新規な水膨潤性ハイブリッド材料を添加することにより、芝の乾燥固形分収量を増大させ、水の利用効率を大幅に増大させつつ、植物の成長を20%以上増大させることができることを示している。
【0085】
実施例6
実施例4で調製した粒子を、0.1重量%の坑真菌剤Parmetol(登録商標)DF12と均一に混合し、次いで最大量の水を吸収させた。水分を含んだ粒子を、室温で空気に接触させた状態で12ヶ月保存したが、水分を含んだままであった。微生物による着色は観測されなかった。
【0086】
本発明は、特許請求の範囲に基づいて詳細に定義されるが、基本的に、その記載は限定解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の請求項1による典型的なハイブリッド材料のスポンジ構造を示し、図1Aは大きさを比較用のマチ針と共に乾燥状態の材料を示し、図1Bは同じ材料の水飽和膨潤状態を示す。
【図2】実施例1(上側の曲線、四角形で示す)によるハイブリッド素材と比較した、実施例4(下側の曲線、三角形で示す)による材料の膨潤挙動を示す。
【図3】3日おきに57mLずつ給水した場合の、本発明のハイブリッド材料を添加しない植物用基材(左側の鉢)と比較した、上記ハイブリッド材料を含む植物基材(右側の鉢)の芝の成長による背丈の相違を示し、図3Bは図3Aの写真を拡大したものである。
【図4】6日おきに57mLずつ給水した場合の、本発明のハイブリッド材料を添加しない植物用基材(左側の鉢)と比較した、上記ハイブリッド材料を含む植物基材(右側の鉢)の芝の成長による背丈の相違を示し、図4Bは図4Aの写真を拡大したものである。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に架橋されたポリマーマトリックスと、これに結合した無機固体粒子とを含む水膨潤性ハイブリッド材料であって、前記水膨潤性ハイブリッド材料が1時間以内に、前記ハイブリッド材料の自重の少なくとも7.5倍に相当する水を吸収する時間依存性の膨潤挙動を示す、前記水膨潤性ハイブリッド材料。
【請求項2】
1時間以内に、ハイブリッド材料の固有の重量の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも12.5倍、最も好ましくは少なくとも15倍に相当する水を吸収することを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド材料。
【請求項3】
前記無機固体粒子が、石英砂、粘土、頁岩、堆積岩、隕石、火成岩、硬砂岩、片麻岩、トラス、玄武岩、ドロマイト、マグネサイト、ベントナイト、焼成シリカ、及び長石からなる群より選択される少なくとも1種類を含む粉砕した鉱物からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイブリッド材料。
【請求項4】
前記ポリマーマトリックスが、アクリル酸又はアクリル酸誘導体であるエチレン性不飽和成分のホモポリマー及び/又はコポリマーの1種を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項5】
アルカリケイ酸塩、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、シリカ、リン酸アルカリ金属塩、硝酸アルカリ金属塩、リン酸水素アルカリ土類金属塩、リン酸、ホウ酸、着色料、香料、肥料、尿素、尿酸、グアニジン、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びデンプンから少なくとも1種選ばれる水溶性添加剤、水膨潤性添加剤及び/又は水に溶解した添加剤の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項6】
微生物、細菌類、真菌類、酵母、坑真菌剤、殺虫剤、除草剤、セルロース、デンプン誘導体、プラスチック又は多糖、木材、わら、泥炭、回収紙、クロムを含まない皮革、及び回収粒子、プラスチック粒子、繊維又は不織布からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項7】
以下の工程からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の水膨潤性ハイブリッド材料の製造方法であって、当該工程が、a)少なくとも1種類の重合可能な成分と、少なくとも1種類の適当な溶媒を含み、pHが7未満の反応混合物を準備する工程と、b)次いで、無機固体粒子を反応混合物中に混合する工程と、c)少なくとも1種類の架橋剤を添加する工程と、d)重合反応を開始させる工程と、e)反応混合物の体積に関連する体積の増大を伴って、結合した無機固体粒子を有する本質的に架橋されたポリマーマトリックスを含むスポンジ状の水膨潤性ハイブリッド材料が得られるように重合反応を制御する工程と、からなる、前記水膨潤性ハイブリッド材料の製造方法
【請求項8】
前記b)の工程において有機固体粒子が更に混合される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
重合反応の制御が反応熱の制御からなることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種類の溶媒、好ましくは水のうち約0.1重量%〜30重量%、好ましくは約2重量%〜15重量%が蒸発するように、発熱反応である重合反応の反応熱が制御されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種類の重合可能な成分の、少なくとも1種類の適当な溶媒、好ましくは水、に対する量比又は溶媒の体積によって反応熱が制御されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種類の重合可能な成分の少なくとも1種類の適当な溶媒、好ましくは水、に対する量比は、約1:1〜1:5であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応熱が反応混合物を冷却することによって制御されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
重合反応を制御することにより、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に少なくとも50%、及び特に好ましくは少なくとも100%の、重合開始前の反応混合物の体積に関する体積の増大が達成されることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記体積の増大が少なくとも部分的に前記反応混合物中の少なくとも1種のガスを発生する物質、好ましくは尿素の適当量により達成されることを特徴とする、請求項7〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
重合反応の平均重合温度は、約50℃〜130℃、好ましくは約60℃〜110℃、特に約70℃〜100℃に保たれ、反応混合物の開始温度は、約4℃〜約40℃、好ましくは室温付近であることを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1種類の溶媒がプロトン性の極性溶媒、特に水からなることを特徴とする、請求項7〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記無機固体粒子を添加する前の前記反応混合物のpHが6.5未満、好ましくはpH1〜pH6であることを特徴とする、請求項7〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種類の重合性成分がアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ソルビン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルアミノ−アルキルスルホン酸、ビニルリン酸、又はビニルベンゼンリン酸からなる群のうち少なくとも1種類を含む、酸官能基を有する水溶性のエチレン性不飽和モノマーから選ばれることを特徴とする、請求項7〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記反応混合物が、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−ジアルキルアミノアクリルアミド、N−ジアルキルアミノメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−メチルアセトアミド、N−ビニル−n−ホルムアミド、ビニルピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチレン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルからなるものより選択される少なくとも1種類の水溶性のエチレン性不飽和コモノマーからなることを特徴とする、請求項7〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の架橋剤が、少なくとも2つのエチレン性不飽和官能基、又は少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基と、酸官能基に対する反応性を有する少なくとも1つの他の官能基を含む物質から選ばれることを特徴とする、請求項7〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種の架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド、アクリル酸のモノ、ジ、及びポリエステル、メタクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸の、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、及びポリグリセロール、並びにアルコキシル化ホモローグ(同族体)等の多価アルコールとから得られる、例えば、ジアクリル酸ブタンジオール等のポリエステル、及びこれらの酸とアリルアルコール及びアルコキシル化ホモローグとのエステル、ジヒドリキシアルキルモノエステル、ブタンジオールジアクリレート、アリルアクリルアミド、クエン酸トリアリル、トリモノアリル、クエン酸ポリエチレングリコールエーテル、N−ジアリルアクリルアミド、フタル酸ジアリル、クエン酸トリアリル、トリモノアリルエチレングリコールエーテルクエン酸エステル、クエン酸ポリエチレングリコールエーテル及びジオール及びポリオールのアリルエーテル、及びグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びこれらのエトキシレート及びテトラアリルオキシエタン、及びポリグリシジルアリルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールグリシジルエーテル、ジアミン類、トリアリルアミン、塩化テトラアリルアンモニウム等の、少なくとも2つのエチレン性不飽和置換基を有するジアミン及びその塩から選ばれることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
重合反応が少なくとも1種の適当な酸化還元系又は適当な増感剤の存在下又はこれらの組み合わせの存在下で開始することを特徴とする、請求項7〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
例えば、任意に加圧下のもと、循環オーブン中で約100℃〜約150℃の過熱蒸気で又は二酸化硫黄ガス又はアンモニア蒸気を注入して過熱することにより、前記ハイブリッド材料が熱的又は化学的に後処理され残留モノマーを除去し、後架橋し、部分加水分解及び/又は乾燥することを特徴とする、請求項7〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項7〜24のいずれか1項に記載の方法により得られる請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項26】
残留した水分が、残留水分を含む材料の全重量の少なくとも約0.1重量%、好ましくは約60重量%以下、特に好ましくは約35重量%であることを特徴とする、請求項1〜6又は25のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項27】
約40℃で12時間風乾後に、少なくとも約25、好ましくは約30〜50のショアA硬度(DIN53505準拠)を有していることを特徴とする、請求項1〜6、25又は26のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項28】
材料を24時間脱イオン水中で保存して飽和させた後に、少なくとも約1、好ましくは約2〜10のショアA硬度(DIN53505)を有していることを特徴とする、請求項1〜6、25〜27のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
【請求項29】
農業、ブドウ栽培、園芸及び造園の分野における、運動場、ゴルフコース、庭園、屋根又は墓地の耕作用、ソリティア・プラント(樹木)の安定用、斜面又は砂丘の耕作用、土壌改良用、保水又は有効成分の保存用、動物舎の床材用、乾燥地域の砂漠化防止用、特に小屋で飼育する動物の臭気吸着用、発芽促進剤として種子及び/又は肥料、殺虫剤、抗真菌剤、微生物の吸着及び脱着用の、請求項1〜6、25〜28のいずれか1項に記載のハイブリッド材料の使用。
【請求項30】
請求項1〜6、25〜29のいずれか1項に記載のハイブリッド材料及び土壌、腐葉土、砂、泥炭等の少なくとも1種類からなる土壌添加剤。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−540704(P2008−540704A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509315(P2008−509315)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003053
【国際公開番号】WO2006/119828
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507367356)ゲオフムス インターナショナル リサーチ ウント ディベロップメント ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (1)
【Fターム(参考)】