説明

無機粒子の有機分散液及びそれを含有する塗料組成物

本発明は、無機粒子のオルガノゾルの製造方法であって、無機粒子の水性分散液又はゾルを、有機液体と、前記無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー又はオリゴマーと混合すること、及び前記混合液を水層と前記無機粒子を含む有機層とに分離させることを含む方法を提供する。本発明はまた、本方法によって製造されたポリマー組成物又は塗料組成物を提供する。塗料組成物が支持体に塗布されて硬化すると前記支持体上にコーティング層を提供する。前記無機粒子を含有するポリマー組成物は物品に成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は無機粒子のオルガノゾルの製造方法及びそれより製造された組成物に関する。本発明は更に工業用及び自動車用の塗料組成物、特にトップコート及びクリアコートの塗料及び組成物に関する。
【0002】
発明の背景
クリアコートベースコート複合塗料はコーティング業界において広く使用されており、望ましい光沢、色の深み、像の識別性及び/又は特殊なメタリック効果があるため注目されている。複合系は、有利な視覚効果、特に高い透明度を達成するので特に自動車産業において利用されている。しかしながら、クリアコートにおける高い透明度は欠陥を見つけることを容易にする。
【0003】
粘土及びシリカは、レオロジー制御剤として作用するため塗料組成物に含まれてきた。この能力ゆえに、粘土及びシリカは吹き付け塗布された後に凝集してアグリゲートを形成又は再形成し、それが塗布された塗膜を厚くしてタレを防ぐ。
【0004】
水性シリカゾルは有機ゾルに変換されてきた。この変換方法により満足のいかない塗料用のオルガノゾルが得られてきた。しかしながら、該ゾルは有機溶媒が比較的高いので、一般に特定の塗料用に選ばれなかった溶媒を含む。そして多量に使用する場合、現時点の有機シリカゾルは有機塗料中で凝集しやすく、無光沢の塗料又は光沢の低下した塗料が得られる。Campbellらは米国特許第5,853,809号明細書において、有機ゾルの無機粒子に、塗料組成物の塗膜形成剤と反応する基を付加することを記載している。この場合、無機ゾル粒子は凝集することなく高水準で含まれ得るが、変性段階に追加のコストがかかる問題に加えて、水性ゾルから有機ゾルへの粒子の輸送にコストがかかる問題も残っている。
【0005】
従って、特に有機媒体において大部分のクリアコート塗料組成物は有機溶媒組成物であるため、現在入手可能なシリカオルガノゾル関連のコストを高くせずに、引掻きと表面損傷に対するクリアコートコーティング層の耐性を改良することが望ましい。
【0006】
発明の要約
本発明は、無機粒子のオルガノゾルの製造方法であって、無機粒子と水の混合液、例えば無機粒子の水性分散液又はゾルを、有機溶媒と、該無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー又はオリゴマーと混合すること、及び該混合液を水層と該無機粒子のオルガノゾルである有機層とに分離させることを含む方法を提供する。ある実施態様において、無機粒子に吸着するポリマーの官能基は第4級アンモニウム基を含む。係る実施態様において、無機粒子は第4級アンモニウム基のカウンターアニオンと水溶性塩を形成するカチオンを有し得る。この場合、感水性の塩のないオルガノゾルが形成され得るが、この塩は分離した水層にある。
【0007】
本発明はまた、無機粒子をポリマー組成物に組み込む方法であって、無機粒子の水性分散液又はゾルを、有機溶媒と、該無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー又はオリゴマーと混合すること、該混合液を水層と有機層とに分離させること、及び該有機層を該無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー以外の少なくとも1種のポリマーを含む組成物に組み込むことを含む方法を提供する。本方法は、成形可能なポリマー材料に強化材として働く無機粒子を組み込むために用いられ、場合により(熱硬化性組成物の場合)該成形可能なポリマー組成物を硬化することに加えて、該ポリマー材料を物品に成形する更なる工程を含み得る。
【0008】
本発明は、塗料組成物の製造方法であって、無機粒子の水性分散液又はゾルを、有機溶媒と、該無機粒子に吸着する官能基を有するポリマーと混合すること、該混合液を水層と有機層とに分離させること、及び該有機層を塗料組成物に組み込むことを含む方法を更に提供する。ある実施態様において、該塗料組成物は、トップコート又はクリアコート塗料組成物である。いくつかの実施態様において、有機層を塗料組成物に組み込む前に残留水を除去するために該有機層を処理してもよい。
【0009】
ある実施態様において、本発明は塗料組成物の製造方法であって、無機粒子の水性ゾルを、有機溶媒と、第4級アンモニウム基を含有するポリマーと混合すること、該混合液を水層と有機層とに分離させること、及び該有機層を塗料組成物、例えばトップコート又はクリアコート塗料組成物に組み込むことを含む方法を提供する。
【0010】
これらの実施態様において、本発明はクリアコート塗料組成物及び支持体上のクリアコート層の製造方法を提供する。該クリアコート塗料組成物は、シリカ粒子の水性ゾルを、有機溶媒と、第4級アンモニウム官能基を有するポリマーと混合すること、該混合液を水層と有機層とに分離させること、及び該有機層をクリアコート塗料組成物に組み込むことを含む方法によって製造される。支持体上のクリアコート層は、該クリアコート塗料組成物を支持体に塗布することを含む方法によって提供される。これはベースコート塗料組成物の層を既に有し得る。
【0011】
記載されている「ポリマー」という用語は、本発明において使用される場合に、ポリマーのみならずオリゴマーも含む。従って、オリゴマーがいくつかの箇所で明白に述べられているが、「ポリマー」はオリゴマーも同様に含むと解釈するべきである。無機粒子に吸着する官能基を有するポリマーは、多量で、例えば約2質量%より多い量で無機粒子と共に塗料組成物に添加される場合、無機粒子の不要な凝集を防ぐ。
【0012】
本発明のクリアコート及びトップコート組成物は、特別な調製物又はプライマー層を使用せずに、高い焼き付け補修コーティング層への粘着性のみならず優れた耐引掻性及び表面摩耗抵抗を有する。更に本発明は、かつては水性シリカ分散液又は他の無機粒子の水性ゾルからオルガノゾルを形成するために用いられていた面倒且つ費用のかかる手順を省く。
【0013】
単数形は、本明細書において使用される場合に「少なくとも1つ」の項目が存在することを示唆する;可能な時は複数の係る項目が存在してもよい。詳細な説明の最後に設けられた実施例以外に、添付の特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメーターの全ての数値(例えば、量又は条件の数値)は、「約」という用語により全ての例において改変されていると解釈するべきである。「約」は、数値に適用される場合には、計算又は測定がこの数値中のわずかな不正確性(この数値中の正確性に対する幾つかのアプローチを用いて;概算で又はかなりこの値に近い;ほぼ)を認めることを示唆する。幾つかの理由から、「約」によりもたらされる不正確さが、この通常の意味合いを有するものとして当技術分野で理解されない限りは、本明細書で使用される「約」は少なくとも偏差を示唆し、これは係るパラメーターの通常の測定方法により生じ得る。
【0014】
有利な実施態様の詳細な説明
有利な実施態様の以下の説明は、本来は単なる例示であって、本発明、その適用、又は使用を限定することを意図するものではない。
【0015】
無機粒子のオルガノゾルの製造方法は、無機粒子の水性混合液を、有機溶媒と、該無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー(又はオリゴマー)と混合すること、及び該混合液を水層と有機層とに分離させることを含む。場合により、該有機層を更なる組成物、例えば塗料組成物又は成形可能なプラスチック組成物に組み込む前に、残留水を除去するために該有機層を処理してもよい。
【0016】
無機粒子がクリアコート塗料組成物に組み込まれる本発明の実施態様において、色又は光沢に関してクリアコートの外観にほとんど影響を与えないように該粒子はほぼ無色又は透明であってもよい。
【0017】
特定の実施態様における無機粒子の最適粒径は、組成物の種類、例えば無機粒子が組み込まれる塗料組成物、無機粒子の形状及び屈折率、並びに用いられた無機粒子の粒径分布に依存し得る。本発明において記載され使用される「粒径」は最も小さい寸法を指す。例えば、一般的な球状粒子については粒子を完全に囲んだ最も直径の小さい球体の直径を指し、あるいはフレーク型粒子については平均厚さを指す。ある実施態様において、無機粒子は塗料組成物に組み込む前に50ミクロン未満の平均粒径を有する。無機粒子は塗料組成物に組み込む前に、ある実施態様において150nm未満、ある実施態様において100nm未満、さらにある実施態様において50nm未満の平均粒径を有する。いくつかの実施態様において、該粒子は塗料組成物に組み込む前に、1〜1000ナノメートルの範囲の平均粒径を有する。またいくつかの実施態様において、該粒子は塗料組成物に組み込む前に、1〜100ナノメートルの範囲の平均粒径を有する。さらに別の実施態様において、該粒子は塗料組成物に組み込む前に1〜50ナノメートルの範囲の平均粒径を有する。無機粒子は塗料組成物に組み込む前に、ある実施態様において少なくとも約1nm、ある実施態様において少なくとも約2nm、いくつかの実施態様において少なくとも約4ナノメートルの平均粒径、そしていくつかの実施態様において少なくとも約10nmの平均粒径を有する。
【0018】
当技術分野において許容されている粒径の測定方法は、透過型電子顕微鏡像の電子顕微鏡写真を目視試験すること、像の粒径を測定すること、及び像の倍率に基づいて平均粒径を算出することを含む。
【0019】
好適な無機粒子は、限定することなしに、固体ビーズ、ミクロビーズ、中空球などの一般に球状の粒子、及び立方体の、板状の、細長い粒子、例えばウィスカ又はミクロ繊維である。さらに、該粒子は中空の、多孔性の、又は実質的に空隙のない内部構造を有し得る。該粒子は、無機物質又は2種以上の異なる物質の組合せを含み得る。例えば、粒子は、第1の物質を1種以上の第2の物質でコーティング、クラッド、又は封入することにより形成されて複合粒子を形成することができる。該無機粒子は、離散しているか又はアグリゲートに凝集し得る。
【0020】
無機粒子を形成するために使用できる好適な無機物質は、限定することなしに、金属酸化物(例えば、シリカ及び酸化亜鉛)、金属炭化物(例えば、炭化ケイ素)、金属窒化物(例えば、窒化ケイ素及び窒化ほう素)、金属硫化物(例えば、二硫化モリブデン)、金属ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及び混合金属ケイ酸塩)、金属ホウ化物、金属炭酸塩(例えば、炭酸マンガン)、及びそれらの組合せを含む。該粒子は、例えば、コロイド状、ヒュームドの、又は無定形の形態のシリカなどの単一の無機酸化物、アルミナ又はコロイド状アルミナ、コロイド状又は無定形の形態のジルコニア、及びそれら組合せを含んでもよく、あるいはコア物質としてこれらのいずれかを組合せてもよく、別の種類の無機物質が該コアに堆積する。
【0021】
特定の実施態様において、無機粒子はシリカ、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア、粘土、タルク、及びこれらの組合せから選択される。
【0022】
水と無機粒子の混合液、例えば水性分散液あるいはシリカ又は粘土粒子の水性ゾルなどの無機粒子のゾルを、有機溶媒と、無機粒子に吸着する官能基を含有するポリマーと混合する。有機溶媒は、混合の周囲条件下で液体である有機化合物又は有機化合物の組合せである。有機溶媒は、混合条件下で、少なくともポリマーのシータ溶媒でなければならない。有機溶媒を単独で水と混合した時に、有機溶媒及び水は、混合を止めた後にはっきりした層又は相に分離可能でなければならない。従って、有機溶媒は実質的に水に不混和性でなければならない。水溶性の有機化合物は、有機溶媒を形成している有機化合物の混合液が、概して混合後に水から分離する限りは、一般に少量有機溶媒に含まれ得る。例えば、エタノールは有機溶媒の成分となり得るが、水性物質と有機性物質を混合後に静置状態で速やかに分離させることが必要な場合に、正に少量含まれるべきである。
【0023】
好適な溶媒の特定の例は、限定することなしに、ケトン、エステル、アルコール(特に、4個以上の炭素原子を有するもの)、芳香族炭化水素、エーテル、エーテルアルコール、エーテルエステル、アミン、脂肪族炭化水素、及びそれらの混合物を含み、係る特定の溶媒の化合物は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、トルエン、キシレン、Aromatic100のような芳香族炭化水素のブレンド、及びブチルアセテートを含む。オルガノゾルが成形可能なポリマー組成物に含まれる場合、有機溶媒は、ポリマー組成物を成形又はさらに加工する前に除去される溶媒であるか又はそれを含んでもよく及び/又は混合の周囲条件(水は液体の水でなければならない)下で液状の可塑剤、例えばフタル酸ジブチルもしくはフタル酸ジオクチルであるか又はそれらを含んでもよい。
【0024】
無機粒子に吸着する官能基を含有するポリマーは、選択された有機溶媒又は液体に可溶性の任意のポリマーであってもよい。好適なポリマーは、限定することなしに、α、β不飽和のポリマー、ビニルポリマー、アクリルポリマー、シリコーン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカルボネート、ポリアミド、ポリウレタン、及び互いに又は他のポリマーとのこれらのグラフトコポリマーを含む。
【0025】
無機粒子に吸着する官能基は、無機粒子の基に対するイオン引力、水素結合相互作用を有し、あるいはポリマーが十分な程度まで表面上に吸着されるようにする他の親和性を有し、無機粒子を有機溶媒の媒体中に引き込む。無機粒子に吸着する官能基は、限定することなしに、第4級アンモニウム塩などの塩の基、水素結合基、及び係る基の組合せを含む。最適な相互作用基は、特定の無機粒子に依存する。ある実施態様において、無機粒子はポリマーの第4級アンモニウム基により置換され得るカチオンを含有し、無機粒子へのポリマーの吸着に影響を及ぼす。第4級アンモニウム塩のカウンターイオンが置換されたカチオンと水溶性塩を形成する場合、水溶性塩は相の分離後に水相に取り残され得るが、ポリマーが吸着された無機粒子は有機層に移行する。無機粒子の有機分散液を塗料に注ぎ込む時に、この作用は有益である。そうでなければ、水溶性塩の存在は塗料に感水性をもたらしたであろう。
【0026】
無機粒子に吸着する官能基は、重合中に1種又は複数種のモノマー上に存在する官能基であってもよく、あるいはポリマーは重合後さらに反応して、無機粒子と相互作用する所望の官能基をその上に形成し得る。ある実施態様を例にとると、第4級アンモニウム基を有するアクリルポリマーの例では、該ポリマーは第4級アンモニウム基を有するモノマーの共重合により形成され得る。あるいは第3級アミンなどの官能基を有するアクリルポリマーは、例えば該アミン基を4級化することによりさらに反応して第4級アンモニウム基を提供することができる。別の例として、重合可能な無水物、例えば無水マレイン酸を用いて製造されたアクリルポリマーは、アルコール基及び第3級アミン基を有する化合物と反応し得る。該第3級アミン基は、その後4級化されて所望の第4級アンモニウム基を提供する。第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーの例は、限定することなしに、トリメチルアンモニウムメチルメタクリレートクロリド、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含む。ポリエステル及びポリウレタンの合成に好適な第4級アンモニウムモノマーは、例えばアミノアルコール(ジメチルエタノールアミンなど)の4級化により作ることができ、エポキシド化合物(グリシジルネオデカンなど)を用いて第4級アンモニウム官能性ジオールモノマーを形成する。次いで、該ジオールモノマーを、場合により更なるジオールモノマーを用いて、一般に重合させ、ジカルボン酸を用いてポリエステルを形成するか又はジイソシアネートを用いてポリウレタンを形成する。
【0027】
無機粒子に吸着する官能基のポリマー含量は変わり得る。一般に、少なくとも1〜80モル%のモノマー単位のポリマーは、無機粒子に吸着する官能基を含み得る。
【0028】
ある実施態様において、無機粒子に吸着する官能基を有するオリゴマーが、無機粒子のオルガノゾル又は有機溶媒分散液を形成するために使用されているが、該オリゴマーは重合可能な官能基を更に含み得る。該重合可能な官能基は、オルガノゾル形成後の更なる付加重合又は縮合重合において使用できる任意の好適な官能基であってもよい。限定しない例示的な一実施態様において、無機粒子に吸着する官能基を有するオリゴマーは、更に不飽和エチレンを有し、好ましくは一つのエチレン性不飽和基を有する。該オリゴマーはオルガノゾルが形成された後に適した条件下で開始剤(例えば、過酸化物又は光開始剤)が存在する状態で重合し、場合により他の重合可能な物質の導入によって重合する。説明したとおり、無機粒子に吸着する官能基を有するオリゴマーは、縮合基又は段階的に重合可能な基を更に含む。コモノマーは、オリゴマーと一緒に導入してもよく、又はオルガノゾルの形成後に導入してもよい。重合は、適した条件下(例えば加熱及び/又は触媒の導入を用いる)でオルガノゾルの形成後に行ってもよい。
【0029】
本発明はまた、無機粒子に吸着する官能基を有するポリマーが、該ポリマーが配合されている熱硬化性塗料組成物のビヒクルと反応性のある基を有するという実施態様を提供する。「ビヒクル」は、塗料組成物における塗膜形成物質を意味し、一般に互いに反応して塗布された塗料組成物を硬化する1種又は複数種の熱硬化性物質を意味する。多くの係る硬化可能なビヒクルは、被覆分野、特に工業塗装及び自動車塗装において公知である。更に現時点において化学物質の中で更に商業的に重要なものは、アミノプラスト樹脂で架橋されたヒドロキシル及び/又はカルバメート官能性物質;ポリイソシアネート(一液型塗料のためブロック化されている)で架橋されたヒドロキシル及び/又は第1級又は第2級アミン官能性物質;ポリカルボン酸で架橋されたエポキシド官能性物質及びポリエポキシドで架橋された酸官能性物質;水で硬化するシラン官能性樹脂、並びに硬化化学物質の組合せである。同様に、無機粒子に吸着する官能基を有するポリマーは、それが組み込まれる熱硬化性の成形可能なポリマー組成物の一種又は複数種の成分と反応性のある基を有し得る。
【0030】
無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー(又はオリゴマー)は、無機粒子の安定なオルガノゾルの形成に適した分子量を有する。一般に、ポリマー(又はオリゴマー)は、少なくとも700の質量平均分子量を有し得る。他の実施態様において、ポリマーは少なくとも1000の質量平均分子量を有し得、さらに別の実施態様において少なくとも約2000、更に別の実施態様において少なくとも約4000の質量平均分子量を有し得る。ポリマーの種類(即ち、付加ポリマー又は縮合ポリマー)に応じて、ポリマー質量平均分子量は100,000までであってもよい。ある熱硬化性塗料組成物の実施態様において、ポリマー質量平均分子量は20,000までであってもよく、他の実施態様において、ポリマー質量平均分子量は10,000までであってもよい。理論に縛られるわけではないが、いくつかの塗料組成物の実施態様において、高ポリマー分子量は塗布された塗料における高光沢をもたらし得ると考えられている。従って、処理された無機粒子が多量に塗料組成物に含まれる場合でも(例えば、1:1の質量の固体塗膜形成樹脂)、非常に低い分子量のオリゴマーは低光沢の塗料を生成し得るが、高分子量のオリゴマーは高光沢の塗料を提供する。しかしながら、開示された塗料組成物は一般に、同じ質量%の無機粒子を含有する従来から公知の塗料と比較して高光沢を提供する。さらに理論に縛られるわけではないが、これは高分子処理された無機粒子と塗料組成物のビヒクル(樹脂成分)との相容性が改善されたことに起因すると考えられている。従って、塗料のビヒクルとの相容性が改善されたポリマーを選択することにより光沢が増加され得る。
【0031】
無機粒子に吸着する官能基を有するポリマーは、塗料組成物のビヒクル又はオルガノゾルが組み込まれている成形可能なポリマー組成物との相容性があるため選択されている。ガラス転移温度などのポリマーの他の特性は、無機粒子の有機分散液が配合されている塗料又はプラスチック物質の所望の特性を含む、多くの要因に応じて変わり得る。
【0032】
水と無機粒子の混合液は、有機溶媒又は有機液体と、無機粒子に吸着する官能基を有するポリマーと混合される。十分な量の有機溶媒又は有機液体と、該ポリマーは、無機粒子を有機溶媒に移動させるために使用される。ポリマーと無機粒子とのイオン相互作用の場合、各々の置換される無機粒子のカチオンの当量に対するイオン相互作用する官能基(例えば、第4級アンモニウム基)の当量比が1以上であれば、混合後に更に容易な相分離をもたらすことが見出される。また、同じかそれを上回る当量の相互作用する官能基は、無機粒子から感水性カチオンを除去することに役立つ。シリカなどのアニオン性粒子は、第4級アンモニウム官能性樹脂などのカチオン性ポリマーで最も良好に改質されるが、アルミナなどのカチオン性粒子は、カルボキシレート官能性樹脂などのアニオン性ポリマーで最も良好に改質される。従って、無機粒子に吸着する官能基は、無機粒子の種類によって異なり得る。
【0033】
混合は、ポリマー及び塗料組成物の製造によく使われる装置を使用して行うことができるので、高剪断混合は一般に必要ではない。しかしながら、粒子が凝塊形成した状態で存在する場合、高剪断混合又は音波破砕により剪断力を加えて解凝集させることができる。混合液は固体物質を60質量%まで含んでもよく、無機粒子を50質量%まで、そしてポリマーを20質量%まで含んでもよい。
【0034】
残留水は、例えば減圧蒸留、膜透過、又は乾燥剤によって除去することができる。あるいは、少量の水はオルガノゾルにおいて許容され得るが、該ゾルが用いられる特定の塗料組成物次第である。
【0035】
無機粒子の有機溶媒分散液は、更なる組成物、例えば無機粒子が特性上有利な効果をもたらすものに組み込んでもよい。非限定の例において、無機粒子の有機溶媒分散液は、成形物品用の熱可塑性組成物、熱硬化性組成物又はゴム配合組成物、並びに塗膜に組み込まれてもよく、また塗料組成物に組み込まれてもよい。いくつかの実施態様において、無機粒子は66質量%までの組成の固体物質であってもよい。特に塗料組成物の場合、無機粒子は、該組成物がもはや所望の外観の凝集性の塗膜を形成できない時点の量まで含まれ得る。いくつかの実施態様において、塗料組成物は、不揮発分の全質量を基準として50質量%までの無機粒子を含んでもよい。
【0036】
ある実施態様において、無機粒子の有機溶媒分散液は、トップコート又はクリアコート組成物に組み込まれ、最上層のコーティングとして支持体上に形成される。無機粒子は最上のコーティング層の耐引掻性及び表面摩耗抵抗を増大させ得る。いくつかの実施態様において、無機粒子は、クリアコート組成物ではない塗料組成物、例えば着色されたトップコート(例えば、ワンコートエナメルトップコート)に組み込まれ、あるいは別の塗料組成物、特にコーティングされた支持体上に最も外側の層を形成することを意図した組成物に組み込まれる。マルチパッケージ塗料組成物、例えば、別個の硬化剤パッケージを有する塗料又は塗布直前に組み合わされる複数の別個の成分を有する再仕上げ塗料の場合、粒子は少なくとも1種の別個のパッケージ又は成分に組み込まれ、また塗料組成物が塗布直前に混合されるため複数の別個のパッケージ又は成分に組み込まれ得る。他の実施態様において、無機粒子分散液は、他の種類の塗料組成物、例えばプライマー、付着促進剤、ベースコート塗料組成物等に組み込まれ得る。
【0037】
塗料組成物は、熱可塑性又は硬化可能な塗料組成物であってもよい。硬化可能な塗料組成物は公知であり、一般に、熱により、化学線の適用により又はこれらの組合せにより、室温で硬化する塗膜形成物質を使用する。該塗膜形成物質は、ポリマー、オリゴマー、又はモノマーであってもよい。該塗膜形成物質は自己架橋する物質であってもよく、あるいは架橋可能な物質及び架橋剤又は架橋可能な物質と反応性のある硬化剤及びそれらの組合せを含み得る。塗膜形成物質の非限定の例は、アクリルポリマー、改質アクリルポリマー(例えば、ポリエステル又はポリウレタン部分で改質されたもの)、ポリエステル、ポリエポキシド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、及びポリシロキサンを含み、それらの全てが当技術分野において公知である。化学線により硬化される塗料において、塗膜形成物質は、不飽和の重合可能な物質、例えば化学線に曝される時に付加重合を受ける不飽和エチレンを有する物質を含む。
【0038】
本発明のある好適な実施態様において、ポリマーはアクリルポリマーである。該アクリルポリマーは、有利には500〜1,000,000の分子量を有し、更に有利には1500〜50,000の分子量を有する。本明細書で使用される「分子量」は、数平均分子量を指し、これはポリスチレン標準を使用するGPC法により測定することができる。アクリルポリマーは当技術分野において公知であり、アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のモノマーから製造することができる。アクリルポリマーは架橋可能な官能基、例えば活性水素含有官能基を含有し、これは例えば塗料組成物の硬化剤と反応性がある。架橋可能な官能基は、好適なエチレン性不飽和官能性モノマーの選択によってアクリルポリマーに組み込むことができる。例えば、係るポリマーを形成するために使用できるヒドロキシ官能性アクリルモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等を含む。使用可能なアミノ官能性アクリルモノマーは、t−ブチルアミノエチルメタクリレート及びt−ブチルアミノーエチルアクリレートを含む。カルバメート官能性アクリルポリマーは、本明細書において結合剤(A)としての使用に特に有利である。係るポリマーの製造方法の一つは、モノマーのエステル部分においてカルバメート官能基を有するアクリルモノマーを製造することである。係るモノマーは当技術分野において公知であり、例えば米国特許第3,479,328号、3,674,838号、4,126,747号、4,279,833号明細書及び4,340,497号、5,356,669号明細書、並びに国際公開第94/10211号パンフレットに記載されている。これらの開示は参照により本明細書に援用されている。合成方法の一つは、カルバミルオキシカルボキシレート(即ち、カルバメート改質アクリル)を形成するためのヒドロキシエステルと尿素との反応を含む。
【0039】
別の合成方法は、α、β−不飽和酸エステルをヒドロキシカルバメートエステルと反応させてカルバミルオキシカルボキシレートを形成する。更に別の技術は、第1級又は第2級アミン又はジアミンを、エチレンカルボネートなどの環式カルボネートと反応させることによるヒドロキシアルキルカルバメートの形成を含む。従って、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基は、アクリル酸又はメタクリル酸と反応させてモノマーを形成することによりエステル化される。カルバメート改質アクリルモノマーの他の製造方法は当技術分野に記載されており、利用することもできる。従ってアクリルモノマーは、所望であれば、当技術分野において公知の技術により他のエチレン性不飽和モノマーと一緒に重合できる。別の合成方法は、α、β−不飽和酸エステルをヒドロキシカルバメートエステルと反応させてカルバミルオキシカルボキシレートを形成する。更に別の技術は、第1級又は第2級アミン又はジアミンを、エチレンカルボネートなどの環式カルボネートと反応させることによるヒドロキシアルキルカルバメートの形成を含む。従って、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基は、アクリル酸又はメタクリル酸と反応させてモノマーを形成することによりエステル化される。カルバメート改質アクリルモノマーの他の製造方法は当技術分野に記載されており、利用することもできる。従ってアクリルモノマーは、所望であれば、当技術分野において公知の技術により他のエチレン性不飽和モノマーと一緒に重合できる。
【0040】
本発明の硬化可能な塗料組成物において使用されるポリマー(A)を製造する別のルートは、米国特許第4,758,632号明細書に記載され、その開示は参照により本明細書に援用されているように、アクリルポリマーなどの既に形成されたポリマーを他の成分と反応させて、ポリマー主鎖に結合されたカルバメート官能基を形成させることである。成分(A)として有用なポリマーの異なる製造技術は、ヒドロキシ官能性アクリルポリマーの存在下で尿素を熱分解して(アンモニア及びHNCOを放出させるため)カルバメート官能性アクリルポリマーを形成することを含む。別の方法は、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基をイソシアネート官能性アクリルのイソシアネート基又はビニルモノマーと反応させてカルバメート官能性アクリルポリマーを形成することを含む。イソシアネート官能性アクリルポリマーは当技術分野において公知であり、例えば米国特許第4,301,257号明細書に記載され、その開示は参照により本明細書に援用されている。イソシアネートビニルモノマーは当技術分野において公知であり、不飽和m−テトラメチルキシレンイソシアネート(TMI(登録商標)としてAmerican Cyanamid社より販売されている)を含む。更に別の技術は、カルバメート官能性アクリルポリマーを形成するために環式カルボネート官能性アクリルポリマーの環式カルボネート基をアンモニアと反応させることである。環式カルボネート官能性アクリルポリマーは当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第2,979,514号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用されている。別の技術は、ヒドロキシ官能性アクリルポリマーをアルキルカルバメートとトランスカルバミル化することである。更に難しいが、実行可能なポリマーの製造方法は、アクリレートポリマーをヒドロキシアルキルカルバメートとトランスエステル化することである。
【0041】
改質されたアクリルポリマーも、本発明の硬化可能な塗料組成物においてポリマー又は結合剤(A)として使用することができる。係るアクリルポリマーは、当技術分野において公知のように、ポリエステル改質アクリルポリマー又はポリウレタン改質アクリルポリマーであってもよい。イプシロンカプロラクトンで改質されたポリエステル改質アクリルポリマーは、Etzellらの米国特許第4,546,046号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用されている。ポリウレタン改質アクリルポリマーもまた当技術分野において公知である。これらは例えば米国特許第4,584,354号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用されている。
【0042】
ヒドロキシル基などの活性水素基を有するポリエステルも、本発明による硬化可能な塗料組成物において結合剤(A)として使用することができる。係るポリエステルは当技術分野において公知であり、有機ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、マレイン酸)又は酸無水物と、第1級又は第2級ヒドロキシル基(例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール)を含有する有機ポリオールとのポリエステル化により製造することができる。
【0043】
活性水素官能性基を有するポリウレタンも当技術分野において公知である。それらは、ポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、MDI等)とポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン)との連鎖延長反応により製造される。それらは、過剰のジオール、ポリアミン、アミノアルコール等を用いてポリウレタン鎖をキャップすることにより活性水素官能性基を提供することができる。
【0044】
塗料組成物は、1種又は複数種の硬化剤を更に含んでもよい。有用な硬化剤は、限定することなしに、塗料中の硬化可能な物質の官能基と反応性のある基を複数有する物質を含む。硬化可能な塗料物質に特有の官能基と反応性のある基の非限定の例は、アミノプラスト架橋剤の活性メチロール基又はメチルアルコキシ基、又は他の化合物、例えばフェノール/ホルムアルデヒドアダクツ、イソシアネート基、シロキサン基、環式カルボネート基、及び無水物基の活性メチロール基又はメチルアルコキシ基を含む。アミノプラスト硬化剤化合物の特定の例はメラミンホルムアルデヒド架橋剤を含み、それはモノマー又はポリマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂、及び部分的に又は完全にアルキル化されたメラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、及び尿素ホルムアルデヒド樹脂などのメチロール尿素、ブチル尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルコキシ尿素を含む。他の硬化剤の特定の例は、限定することなしに、ブロック化又は非ブロック化ポリイソシアネート(例えば、アルコール又はオキシム等でブロック化され得る、TDI、MDI、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びこれらのイソシアヌレートトリマー)、尿素樹脂(例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのメチロール尿素、ブチル尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルコキシ尿素)、ポリ酸無水物(例えば、ポリコハク酸無水物)、及びポリシロキサン(例えば、トリメトキシシロキサン)を含む。
【0045】
ある実施態様において、硬化剤又は架橋剤は、少なくとも約5質量%の不揮発性ビヒクル、又は少なくとも10質量%の不揮発性ビヒクルであってもよい。「不揮発性ビヒクル」とは塗膜形成成分を指す。ある実施態様において、硬化剤又は架橋剤は、約40質量%までの不揮発性ビヒクル、又は約30質量%までの不揮発性ビヒクルであってもよい。
【0046】
クリアコート塗料組成物は、硬化反応を促進する触媒を含み得る。例えば、特にメラミンモノマーを硬化剤として使用する場合、硬化反応を促進させるために強酸触媒が利用され得る。係る触媒は当技術分野において公知であり、限定することなしに、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニルリン酸、モノブチルマレイン酸、ブチルリン酸、及びヒドロキシリン酸エステルを含む。強酸触媒は、例えばアミンによってブロック化されることが多い。
【0047】
化学線により硬化可能な塗膜形成物質の場合、好適な非限定の例は、1種又は複数種の(メタ)アクリレート基、エタクリレート基、クロトネート基、シンナマート基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、エテニルアリーレン基、ジシクロペンタジエニル基、ノルボルネニル基、イソプレニル基、イソプロペニル基、アリル基、ブテニル基、エテニルアリーレンエーテル基、ジシクロペンタジエニルエーテル基、ノルボルネニルエーテル基、イソプレニルエーテル基、イソプロペニルエーテル基、アリルエーテル基、ブテニルエーテル基、エテニルアリーレンエステル基、ジシクロペンタジエニルエステル基、ノルボルネニルエステル基、イソプレニルエステル基、イソプロペニルエステル基、アリルエステル基、及びブテニルエステル基を含有するモノマー及びオリゴマーを含む。
【0048】
1種又は複数種の溶媒を塗料組成物において使用してもよい。一般に、該溶媒は任意の有機溶媒であってもよい。好適な一実施態様において、該溶媒は極性有機溶媒を含む。有用な溶媒の例は、限定することなしに、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素のブレンド、及びこれらの混合物を含む。
【0049】
本発明のある実施態様において、本発明による塗料組成物は、自動車の複合カラープラスクリアーコーティングのクリアコートとして有用である。付加的な剤は、例えば、界面活性剤、安定剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、付着促進剤、紫外光吸収剤、立体障害アミン光安定剤等が、塗料組成物に組み込まれ得る。
【0050】
塗料組成物は当技術分野において公知の任意の種々の技術により支持体又は物品上に被覆することができる。これらは例えば、吹付けコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、フローコーティング等を含む。自動車のボディパネル用として、一般に吹付けコーティングが使用される。
【0051】
本発明によるクリアコート塗料組成物は、複合カラープラスクリアーコーティングのクリアコートとして使用してもよい。該組成物が塗布される着色ベースコート組成物は、当技術分野において公知の任意の多くの種類であってもよく、かつ本明細書においては詳細な説明を必要としない。ベースコート組成物として有用であることが当技術分野において公知のポリマーは、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリカルボネートポリマー、ポリエステルポリマー、アルキドポリマー、及びポリシロキサンポリマーを含む。有利なポリマーは、アクリルポリマー及びポリウレタンポリマーを含む。本発明の有利な一実施態様において、該ベースコート組成物はまた、カルバメート官能性アクリルポリマーも利用する。ベースコートポリマーは、熱可塑性であってもよいが、有利には、架橋可能であり、かつ1種又は複数種の架橋可能な官能基を含む。係る基は、例えばヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、及びアセトアセテート基を含む。これらの基は、架橋反応のための所望の硬化条件下、一般的には高温下ではブロック化されず且つ使用可能であるように、マスク又はブロック化できる。有用な架橋可能な官能基は、ヒドロキシ、エポキシ、酸、無水物、シラン、及びアセトアセテート基を含む。有利な架橋可能な官能基は、ヒドロキシ官能基及びアミノ官能基を含む。
【0052】
ベースコートポリマーは、自体で架橋可能であってもよく、あるいは該ポリマーの官能基に反応性のある別個の架橋剤を必要としてもよい。該ポリマーが、ヒドロキシ官能基を含む場合には、例えば該架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアネート及びブロックトイソシアネート(イソシアヌレートを含む)、及び酸又は無水官能性架橋剤であってもよい。
【0053】
該クリアコート塗料組成物は、一般的にベースコート塗料組成物上にウェット−オン−ウェット式に塗布されており、これはこの産業において幅広くなされている。本明細書に記載された塗料組成物は、有利には、コーティング層を硬化させるための条件に共される。種々の硬化方法が使用されてもよいが、熱硬化が有利である。一般的に熱硬化は、このコーティングされた物品を、主として放射熱源により供給される高温、一般的には90℃〜180℃の温度に曝すことで引き起こされる。ある実施態様において、硬化温度は115℃〜150℃であり、典型的には115℃〜140℃の温度が、ブロック化された酸により触媒される系(blocked acid-catalyzed system)において用いられる。非ブロック化酸により触媒される系において、硬化温度は典型的には80〜100℃である。硬化時間は、使用される特定の成分、及び層の厚さなどの物理的パラメーターに依存して変動する;しかしながら、典型的な硬化時間は、ブロック化された酸により触媒される系にとっては15〜60分間、更に一般的には15〜25分間、そして非ブロック化酸により触媒される系にとっては10〜20分間の範囲にある。硬化時間はまた、金属温度が焼き付け温度に達した後の時間として表してもよい(「金属温度」)。例えば、硬化時間は、金属温度で5分間〜30分間、有利には10〜20分間であってもよい。
【0054】
自動車塗膜のクリアコート層の補修方法において、欠損をなくすために、必要であれば、クリアコート層をサンダー仕上げし、次いで本発明のクリアコート塗料組成物を該クリアコート層の少なくとも一部に塗布して第2のクリアコート層を形成し、そしてこれが硬化する。第2のクリアコート層は、既に述べたが、15分265゜F〜30分300゜Fで硬化され得る。本発明のクリアコート組成物は、硬化した第1のクリアコート層上に塗布した時の接着性が顕著に改良されている。
【0055】
本発明は以下の実施例によって説明される。実施例は単に例証するものであって、記載し請求した本発明の範囲を限定するものではない。全ての部は特に記載がない限りは質量部である。
【0056】
実施例
実施例1:第4級アンモニウム官能基を有するアクリルポリマー
240グラムのn−ブタノールを、ステンレススチールスターラー、凝縮器、マントルヒーター、熱電対、並びにモノマー及び開始剤添加ポンプを備えた3リットルのガラス反応器中へ装填した。n−ブタノールは、わずかな流量の窒素保護下で105℃に加熱された。
【0057】
個別の容器において、330グラムのメタクリル酸ヒドロキシエチル、85.2グラムのエチルヘキシルアクリレート、406.8グラムのエチルヘキシルメタクリレート、118.6グラムのVAZO(登録商標)67、492グラムのn−ブタノール、及び232.5グラムの第4級ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド(80%活性)を混合した。
【0058】
105℃に維持した反応器の温度において、モノマーと開始剤の混合物を3時間超に渡って反応器に添加した。添加の完了後に、付加系統を48グラムのn−ブタノールでフラッシングした。反応混合物は、さらに1時間105℃に維持した。
【0059】
反応混合物を、次いで減圧蒸留にかけて、約300グラムのn−ブタノールを除去した。得られたアクリル酸溶液の生成物を冷却し、注ぎ出した。該アクリル酸溶液は約65質量パーセントの不揮発分であり、不揮発分中OH当量397、そして不揮発分中第4級アミン当量1125であった。
【0060】
実施例2:ヒドロキシル官能性アクリルポリマー
310グラムの第1級アミルアセテートを、ステンレススチールスターラー、凝縮器、マントルヒーター、熱電対、並びにモノマー及び開始剤添加ポンプを備えた3リットルのガラス反応器中へ装填した。該アミルアセテートはわずかな流量の窒素保護下で105℃に加熱された。
【0061】
個別の容器において、458グラムのメタクリル酸ヒドロキシエチル、119グラムのエチルヘキシルアクリレート、565グラムのエチルヘキシルメタクリレート、136グラムのVAZO(登録商標)67、及び235グラムの第1級アミルアセテートを混合した。
【0062】
105℃に維持した反応器の温度において、モノマーと開始剤の混合物を3時間超に渡って反応器に添加した。添加の完了後に、付加系統を35グラムの第1級アミルアセテートでフラッシングした。反応混合物は、さらに1時間105℃に維持した。
【0063】
アクリル酸溶液の生成物は約65質量パーセントの不揮発分であり、算出されたヒドロキシル当量は不揮発分中OH当量324であった。
【0064】
実施例3:シリカの非水性分散液
145.7グラムの実施例1のアクリルポリマーを、ステンレススチールスターラーを備えたステンレススチール混合容器に装入した。次いで、125グラムのメチルイソアミルケトンと175グラムのaromatic100を混合しながら添加した。約15分間の混合後に、100グラムの脱イオン水を添加した。混合液が均一になるまで混合を続けた。次いで、500グラムのNalco1050(50%活性コロイド状シリカ分散液)を適度なアジテーションを用いて添加した。混合容器の内容物を、約15分に渡り1リットルの分液漏斗に注いだ。混合液の相は、数分以内にはっきりした2層に分かれた。上層は、大部分の水と少量の溶媒、樹脂、及びシリカの水性混合液であった。下層はアクリル−シリカ塩、溶媒、及び少量の水を含有した。該下層を分液漏斗から回収し、ステンレススチールスターラー、凝縮器、ディーンスタークトラップ、及び熱電対を備えた1リットルのフラスコ中へと移した。フラスコの内容物を、約110℃に加熱し、溶媒層の残留量の水を減圧蒸留で除去した。全ての残留水を減圧蒸留で除去した時、シリカのオルガノゾル生成物を約50℃に冷却し、次いで1リットルのプラスチック容器に注ぎ入れた。
【0065】
オルガノゾル生成物の不揮発分の質量%は、約50質量%であった。算出された第4級アクリルポリマーのシリカに対する当量比は1.30:1であった。
【0066】
実施例4:シリカの非水性分散液
115グラムの実施例1のアクリル樹脂を、ステンレススチールスターラーを備えたステンレススチール混合容器に装入する。125グラムのメチルイソアミルケトンと175グラムのaromatic100を混合しながら添加する。バッチを約15分間混合し、次いで100グラムの脱イオン水を添加する。バッチが均一になるまで混合を続ける。500グラムのNalco1050(50%活性コロイド状シリカ分散液)を適度なアジテーションを用いて徐々に添加する。バッチを約15分間混合する。バッチを1リットルの分液漏斗に注ぎ入れる。バッチの相は、数分以内にはっきりした2層に分かれる。上層は、大部分の水と少量の溶媒、樹脂、及びシリカの水性混合液である。下層はアクリル−シリカ塩、溶媒、及び少量の水を含有する。該下層を回収し、ステンレススチールスターラー、凝縮器、ディーンスタークトラップ、及び熱電対を備えた1リットルのフラスコ中へと移す。バッチを約110℃に加熱し、バッチ中の残留量の水を減圧蒸留で除去する。全ての残留水をバッチから減圧蒸留で除去し、該バッチを約50℃に冷却し、次いで1リットルのプラスチック容器に注ぎ入れる。
【0067】
最終的なバッチの不揮発分の質量%は、約50質量%である。算出された第4級アクリルのシリカに対する当量比は1.03/1である。
【0068】
実施例5:第4級アンモニウム官能性アクリルポリマーを有するシリカの非水性分散液
105グラムの実施例1のアクリル樹脂を、ステンレススチールスターラーを備えたステンレススチール混合容器に装入する。125グラムのメチルイソアミルケトンと175グラムのaromatic100を混合しながら添加する。約15分間混合し、次いで100グラムの脱イオン水を添加する。バッチが均一になるまで混合を続ける。500グラムのNalco1050(50%活性コロイド状シリカ分散液)を適度なアジテーションを用いて徐々に添加する。バッチを約15分間混合する。バッチを1リットルの分液漏斗に注ぎ入れる。バッチの相は、数分以内にはっきりした2層に分かれる。上層は、大部分の水と少量の溶媒、樹脂、及びシリカの水性混合液である。下層はアクリル−シリカ塩、溶媒、及び少量の水を含有する。該下層を回収し、ステンレススチールスターラー、凝縮器、ディーンスタークトラップ、及び熱電対を備えた1リットルのフラスコ中へと移す。バッチを約110℃に加熱し、バッチ中の残留量の水を減圧蒸留で除去する。全ての残留水をバッチから減圧蒸留で除去し、該バッチを約50℃に冷却し、次いで1リットルのプラスチック容器に注ぎ入れる。
【0069】
最終的なバッチ中の不揮発分の質量%は、約50質量%である。算出された第4級アクリルのシリカに対する当量比は0.94/1である。
【0070】
実施例6:無機粒子を用いない比較例
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 283.0g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 27.0
Tinuvin 384 14.8
Tinuvin 292 4.7
ブチルグリコレート 12.1
BYK 310 2.0
エトキシプロピルアセテート 27.6
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 31.0
デスモジュール N3300 126.6
デスモジュール Z4370 45.6g
【0071】
実施例7:ビヒクル中に29質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 174.9g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 16.7
Tinuvin 384 9.2
Tinuvin 292 2.9
ブチルグリコレート 7.5
BYK 310 1.3
エトキシプロピルアセテート 17.1
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 19.6
実施例3からの樹脂 187.3
デスモジュール N3300 92.1
デスモジュール Z4370 32.8g
【0072】
実施例8:ビヒクル中に89質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 66.0g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 17.6
Tinuvin 384 8.8
Tinuvin 292 2.2
BYK 310 1.3
実施例3からの樹脂 373.7
デスモジュール N3300 57.3
デスモジュール Z4370 20.5g
【0073】
コーティングされた支持体の製造及び試験
商業的に入手可能な水性ベースコート(BASF社からのE178KW405バッチ番号0101302494)を、4インチ×12インチのプライマーコーティング及び電気コーティングされたスチールパネルに吹き付けた。該パネルを60℃で10分間に渡りフラッシュめっきした。実施例6−8の各クリアコートをこれらのベースコートコーティングされたパネルに吹き付け、140℃で25分間焼き付けた。
【0074】
次いでこれらのパネルの耐引掻性を、摩擦試験機(Atlas Instruments)法を用いて9ミクロンの研摩紙(3M社からの281Q wetodry)により試験した。10回のダブル摩擦後、以下の20°の光沢保持率が得られた。
クリアコート 初期光沢 最終光沢 パーセント保持率
実施例6(比較) 84 47 56
実施例7 84 52 62
実施例8 65 65 100
【0075】
実施例9(比較)
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 106.0g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 4.8
Tinuvin 384 7.4
Tinuvin 292 1.9
BYK 310 0.7
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 11.0
実施例3からの樹脂 373.7
デスモジュール N3300 35.4
デスモジュール Z4370 12.6g
【0076】
実施例10:ビヒクル中に100質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 14.2g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 2.0
Tinuvin 384 3.1
Tinuvin 292 0.8
BYK 310 0.3
実施例3からの樹脂 139.8
デスモジュール N3300 14.6
デスモジュール Z4370 5.2g
【0077】
実施例11:ビヒクル中に100質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 20.5g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 2.0
Tinuvin 384 3.1
Tinuvin 292 0.8
BYK 310 0.3
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 2.4
実施例4からの樹脂 131.2
デスモジュール N3300 14.6
デスモジュール Z4370 5.2g
【0078】
実施例12:ビヒクル中に100質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 22.2g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 2.0
Tinuvin 384 3.1
Tinuvin 292 0.8
BYK 310 0.3
エチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 4.5
実施例5からの樹脂 127.5
デスモジュール N3300 14.6
デスモジュール Z4370 5.2g
【0079】
コーティングされた支持体の製造及び試験
商業的に入手可能な水性ベースコート(BASF社からのE178KW405バッチ番号0101302494)を4インチ×12インチのプライマーコーティング及び電気コーティングされたスチールパネルに吹き付けた。該パネルを60℃で10分間に渡りフラッシュめっきした。実施例9−12の各クリアコートをこれらのベースコートコーティングされたパネルに吹き付け塗布し、140℃で25分間焼き付けた。
【0080】
これらのパネルの耐引掻性を、摩擦試験機(Atlas Instruments)法を用いて9ミクロンの研摩紙(3M社からの281Q wetodry)により試験した。10回のダブル摩擦後、以下の20°の光沢保持率が得られた。
クリアコート 初期光沢 最終光沢 パーセント保持率
実施例9(比較) 84 27 37
実施例10 44 56 127
実施例11 66 67 102
実施例12 56 54 94
【0081】
実施例13:ビヒクル中に100質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 56.0g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 4.0
Tinuvin 384 6.0
Tinuvin 292 1.5
BYK 310 0.6
エチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 4.8
実施例4からの樹脂 260.2
デスモジュール N3300 19.2
デスモジュール Z4370 6.9g
【0082】
実施例14:ビヒクル中に80質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 64.2g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 4.0
Tinuvin 384 6.0
Tinuvin 292 1.5
BYK 310 0.6
エチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 12.0
実施例4からの樹脂 208.2
デスモジュール N3300 21.2
デスモジュール Z4370 7.6g
【0083】
実施例15:ビヒクル中に60質量%の無機粒子を有する塗料組成物
以下の成分を攪拌しながらブレンドした:
実施例2からの樹脂 70.4g
ジエチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 4.0
Tinuvin 384 6.0
Tinuvin 292 1.5
BYK 310 0.6
エチレングリコールモノブチルエ−テルアセテート 19.0
実施例4からの樹脂 156.1
デスモジュール N3300 23.3
デスモジュール Z4370 8.3g
【0084】
コーティングされた支持体の製造及び試験
商業的に入手可能な水性ベースコート(BASF社からのE178KW405バッチ番号0101302494)を4インチ×12インチのプライマーコーティング及び電気コーティングされたスチールパネルに吹き付けた。該パネルを60℃で10分間に渡りフラッシュめっきした。実施例13−15の各クリアコートをこれらのベースコートコーティングされたパネルに吹き付け塗布し、140℃で25分間焼き付けた。
【0085】
これらのパネルの耐引掻性を、摩擦試験機(Atlas Instruments)法を用いて9ミクロンの研摩紙(3M社からの281Q wetodry)により試験した。10回のダブル摩擦後、以下の20°の光沢保持率が得られた。
クリアコート 初期光沢 最終光沢 パーセント保持率
実施例9(比較) 84 27 37
実施例13 74 73 99
実施例14 76 68 91
実施例15 79 67 85
【0086】
実施例16:粘土の有機分散液
50gのベントライト(Bentolite)L(Southern Clay Products社)を、コールズ(Cowles)ブレード高速攪拌機を使用して450gのR.O.水に分散させた。100gの実施例2の樹脂、125gのメチルアミルケトン、75gのVM&Pナフタ、及び100gのブタノールを低速攪拌機で添加し、その後アクアソニック(Aquasonic)モデル50T超音波浴において20分間の音波破砕を行った。一夜放置した後、この物質は2層に分かれた。水層をデカントし、有機溶媒の粘土分散液が得られた。
【0087】
本発明の説明は、本来は単なる例示であって、従って本発明の趣旨から逸脱しない変形は、本発明の範囲内であることを意図するものである。係る変形は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものと見なされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料組成物の製造方法において、
無機粒子と水を含む組合せを、有機溶媒と、第4級アンモニウム基を含有するポリマー又はオリゴマーと混合して混合液を形成させ;
前記混合液を水層と有機層とに分離し;且つ
前記有機層をクリアコート塗料組成物に組み込むことを特徴とする、塗料組成物の製造方法。
【請求項2】
前記有機層を前記クリアコート塗料組成物に組み込む前に前記有機層から残留水を除去することを更に含む、請求項1記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法により製造される、クリアコート塗料組成物。
【請求項4】
支持体のコーティング方法において、請求項3記載の塗料組成物を支持体に塗布し、且つ前記塗布された塗料組成物を硬化して前記支持体上にコーティング層を得ることを特徴とする、支持体のコーティング方法。
【請求項5】
無機粒子のオルガノゾルの製造方法において、
水と無機粒子を含む水性混合液を、有機溶媒と、無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー又はオリゴマーと混合し、且つ
前記混合液を水層と前記無機粒子を含む有機層とに分離させることを特徴とする、無機粒子のオルガノゾルの製造方法。
【請求項6】
前記有機層が前記水層から分離される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記無機粒子に吸着する前記官能基が第4級アンモニウム基を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記無機粒子が前記第4級アンモニウム基のカウンターアニオンと水溶性塩を形成するカチオンを有する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
塗料組成物の製造方法において、無機粒子を含む水性組成物を、有機溶媒と、前記無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー又はオリゴマーと混合して混合液を形成させ、前記混合液を水層と有機層とに分離し、且つ前記有機層を塗料組成物に組み込むことを特徴とする、塗料組成物の製造方法。
【請求項10】
前記塗料組成物がトップコート又はクリアコート塗料組成物である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記有機層が前記塗料組成物に組み込まれる前に残留水を除去するために処理される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記無機粒子に吸着する前記官能基が第4級アンモニウム基を含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記塗料組成物が支持体上に塗布される、請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記無機粒子が実質的に無色である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記無機粒子が50ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記無機粒子が一般的に球状である、請求項9記載の方法。
【請求項17】
前記無機粒子が板状の、延伸された、ウィスカ、又はミクロ繊維である、請求項9記載の方法。
【請求項18】
前記無機粒子が複合粒子である、請求項9記載の方法。
【請求項19】
前記無機粒子が金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物、金属ケイ酸塩、金属ホウ化物、金属炭酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される要素を含む、請求項9記載の方法。
【請求項20】
前記無機粒子がシリカ、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア、粘土、タルク、及びそれらの組合せからなる群から選択される要素を含む、請求項9記載の方法。
【請求項21】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記ポリマーがビニルポリマー、アクリルポリマー、シリコーン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカルボネート、ポリアミド、ポリウレタン、それらのグラフトコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される要素を含む、請求項9記載の方法。
【請求項22】
前記無機粒子に吸着する前記官能基が第4級アンモニウム塩、カルボン酸基、及び水素結合基からなる群から選択される要素を含む、請求項9記載の方法。
【請求項23】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記ポリマーが前記塗料組成物のビヒクルと反応性のある官能基を含む、請求項9記載の方法。
【請求項24】
無機粒子をポリマー組成物に組み込む方法において、
無機粒子の水性分散液を、有機液体と、前記無機粒子に吸着する官能基を有するポリマー又はオリゴマーと混合して混合液を形成させ、
前記混合液を水層と有機層とに分離し、
前記有機層を前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記ポリマー以外の少なくとも1種のポリマーを含む組成物に組み込むことを特徴とする、無機粒子をポリマー組成物に組み込む方法。
【請求項25】
前記有機液体が有機溶媒を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記有機液体が液状の可塑剤を含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
プラスチック組成物を物品に形成する工程を更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記プラスチック組成物が前記物品の形成中に硬化される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記無機粒子が50ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記無機粒子が一般的に球状である、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記無機粒子が板状の、延伸された、ウィスカ、又はミクロ繊維である、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記無機粒子が金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物、金属ケイ酸塩、金属ホウ化物、金属炭酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される要素を含む、請求項24記載の方法。
【請求項33】
前記無機粒子がシリカ、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア、粘土、タルク、及びそれらの組合せからなる群から選択される要素を含む、請求項24記載の方法。
【請求項34】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記ポリマーがビニルポリマー、アクリルポリマー、シリコーン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカルボネート、ポリアミド、ポリウレタン、それらのグラフトコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される要素を含む、請求項24記載の方法。
【請求項35】
前記無機粒子に吸着する前記官能基が第4級アンモニウム塩、カルボン酸基、及び水素結合基からなる群から選択される要素を含む、請求項24記載の方法。
【請求項36】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記ポリマーがポリマー組成物の成分と反応性のある官能基を含む、請求項24記載の方法。
【請求項37】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記オリゴマーが重合可能な官能基を更に含み、更に前記オリゴマーは前記クリアコート塗料組成物に組み込まれる前に重合される、請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記オリゴマーが重合可能な官能基を更に含み、更に前記オリゴマーは前記有機層が前記水層から分離された後に重合される、請求項6記載の方法。
【請求項39】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記オリゴマーが重合可能な官能基を更に含み、更に前記オリゴマーは前記有機層が前記塗料組成物に組み込まれる前に重合される、請求項9記載の方法。
【請求項40】
前記無機粒子に吸着する官能基を有する前記オリゴマーが重合可能な官能基を更に含み、更に前記オリゴマーは前記混合液が水層と有機層とに分離された後に重合される、請求項24記載の方法。

【公表番号】特表2009−503237(P2009−503237A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525101(P2008−525101)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/029860
【国際公開番号】WO2007/016534
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】