説明

無機組み合わせライブラリーのためのプリント溶液配列

本発明は、溶液のマスター配列から複製配列を調製する方法および装置を提供する。溶液の複製配列は、最適なプロセスおよび所望の特性を備えた生成品の分析および選定のために、反応させて生成物の固体無機物質配列を形成させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年9月19日出願のイー ドン(Yi Dong)らによる先の米国特許出願第11/231,309号、「無機組み合わせライブラリーのためのプリント溶液配列」への優先権と利益を主張する。先の出願の全ての開示内容はここに参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、溶液の複製組み合わせライブラリーの調製の方法および装置の分野に属する。溶液のマスター配列は基材上に複製することができる。溶液の配列は、例えば化学反応および/または物理的条件によって、反応させることができ、固体の生成物である無機組成物を与えることができる。得られた生成組成物の組み合わせ配列は、電気的、誘電性の、磁気的、機械的、化学的、光学的特性、リン光、結晶核生成、超電導などの、所望の特性を分析することができる。
【背景技術】
【0003】
物質の組み合わせ配列は、例えば、独特のまたは改善された特性について組成物を選別するのに有用である。生物科学において、組み合わせ配列は、望ましい結合活性や触媒活性を備えた分子の発見に有用である可能性がある。物質科学においては、組み合わせ配列は、有用な物理的、触媒の、化学的、機械的または光学的特性を備えた物質を発見するのに構築されてきた。組み合わせ技術は、医薬、電子工学、光学、包装、機械およびそれ以外で、有用な物質を作り出し、また選別する効果的な方法を提供することができる。
【0004】
配列は、例えば、印刷、数学、ビデオディスプレー、芸術、生命科学、電子工学などの、多くの分野で見出すことができる。これらの配列は通常は、配列の均質な区域に分類され、興味深い、または有用な形態(例えば、印象、質感、または環境)を形成する共通の特性を備えた多くの要素を包含している。組み合わせ配列は、通常は異なる位置に結合された、ランダムにまたは体系的に異なる構成要素を備えた基材を含んでいる。大規模な組み合わせライブラリーは、異なる位置に、多様な有用な特性を含む選別可能な集団を提供する異なる物質の組み合わせの広範囲な配列を含むことができる。
【0005】
化学における組み合わせ配列は、独特の特性を備えた化学物質の発見に、または既に知られている分子の改良型を見出すのに有用であることが見出されてきた。アグラフィオティス(Agrafiotis)らに与えられた米国特許第5,463,564号、「所望の特性を備えた化合物を自動生成する装置および方法」(System and Method of Automatically Generating Chemical Compounds with Desired Properties)の明細書では、コンピュータを基にした反復の方法で、定められた化学的特性を備えた化学物質を生成している。この方法のそれぞれの反復の間に、方向づけられた多様化化学物質ライブラリーが、ロボットによる合成命令に従ってロボット制御で生成され、方向づけられた多様化化学物質ライブラリーの化合物は所望の特性を備えた化合物と同一であるか識別するために分析され、構造−特性データは次の反復において合成される化合物を選択するのに用いられ、そして新たなロボットによる合成命令が、次の反復のための方向づけられた多様化化学物質ライブラリーの合成を制御するのに、自動的に発生される。アグラフィオティス(Agrafiotis)らの組み合わせ有機化学反応が、例えばビーズ基質(bead substrates)を異なる有機試薬に混合し、また分割する組み合わせロボットによって、または試薬を順次的に固相担体配列位置に移すロボットによって行われる。
【0006】
生物学における組み合わせ配列は、固相担体上のビーズまたは格子など、基材上の、生体分子のランダムな、もしくは系統的な配列を含むことができる。フォドア(Fodor)らに与えられた米国特許第5,424,186号、「非常に大規模な固定化したポリマーの合成」の明細書では、例えば、ヌクレオチドの順次的な組み合わせが、基材上に成長するオリゴヌクレオチドとして延長されている。異なった順番を有するオリゴヌクレオチドの配列が、基材位置のマスクを通じた照射によって指示された反応を伴う光活性化化学のシステムを用いることによって調製される。アグラフィオティスの技術によるのと同様に、配列の再生産は、完全な合成の順番を繰り返すことによる、全く無の状態からの複製を要求する。
【0007】
無機物質科学においては、配列は、基材上への反応への、異なる無機物質の連続したまたは個別の適用を用いることによって調製されてきた。例えば、シュルツ(Shults)らに与えられた米国特許第5,985,356号、「新規物質の組み合わせ合成」(Combinatorial Synthesis of Novel Materials)では、無機物質の組み合わせ配列を形成する混合物の反応の前に、多数の異なる無機物質が、配列の多くの領域に適用される。シュルツらは、基材上の組み合わせに異なる物質を個別に適用するのにロボット工学を用いること、基材の特定の領域への物質の直接的適用にマスクを用いること、基材への物質の適用に比率を変えた勾配を用いること、そして交差汚染を低減するのに配列の配置に間隔を開けること、を議論している。それでも、基材上に同じ比率の、同じ組み合わせを有する、よく定められた、均質な、そして繰り返し可能な配列を提供するには問題が残っている。やはり、シュワルツらの特許の中の配列の複製は、複製する配列の全くの無からの完全な複製を要求する。この発明は、無機物質の組み合わせ配列の合成のための溶液プロセスに適用することができる。しかしながら、液体組み合わせライブラリーは調製するのが難しいことがある。本分野において知られている液体組み合わせライブラリーの調製の一般的な方法は、安定性、均質性および均一性に、特に、配列の一部が溶媒和金属イオンを含む場合は、問題を有している。通常、高原子価を有するイオン(例えば、Ti4+、Ta5+およびNb5+などの希土類金属イオン)を溶媒和することだけが可能である。特定の有機溶媒がこの点ではしばしばうまくゆく可能性があるが、大抵はイオンが沈殿して不均質な溶液を形成するか、またはさもなければ不安定な溶液を形成する。もしも高原子価の希土類金属イオンを含めたこれらの金属イオンを含む溶液を生成することができたとしても、もしも新しく溶媒や試薬が添加されたら、または異なるライブラリーからの溶媒が組み合わされたり、もしくは混合されたら、イオン種の沈殿や溶液の不安定さが、なお潜在的にある。このことは水溶液では特に当てはまる。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5463564号明細書
【特許文献2】米国特許第5424186号明細書
【特許文献3】米国特許第5985356号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本分野において必要なことは、高原子価のイオンの溶液を含めた、物質の液体配列を、配列を更なる処理のために貯蔵することができるといったように、安定させる方法である。このような中間の配列はそのような安定化された状態で商品化され、他の研究者や営利団体がそれらの独自の興味に従って、配列を更に処理することができるように意図されている。
【0010】
本発明の発明者らは、金属イオンの溶液中の分子レベルでの安定な分布を制御し、また維持し、従って均質な混合物を確実にする装置および方法を開発した、そしてこれらの技術は、液体マスター配列を基材にまたは中間の液体配列へと処理もしくは移動する時に特に有用である。これらの方法によれば、金属前駆体と可溶性ポリマーは反応して溶液を形成し、それはゲル化や沈殿の従来の問題に患わされない。このポリマーは金属イオンと活発に結合し、そして金属を密封するように働き、混合物の成分イオン間の化学反応を妨げ、そしてイオンを溶液中で均一な分布状態に維持する。言い換えれば、このポリマーは、溶液中での均質な金属イオン分布を確実にするように機能し、そしてイオンを相互に分離して、金属イオン成分間の望まれない反応を妨げる。この段階の安定化された配列は、マスター配列または複製配列であることができ、生成物配列を作り出す最終的な基材上への堆積の前に存在する配列を含むことができる。このような安定化された溶液(配列の個別の一員として存在する)は、本実施態様によれば、一度に数ヶ月間安定であることができる。
【0011】
上記のことを考慮すると、溶液を通した、無機物質の組み合わせ配列を、確実に再生可能な方法で調製する装置および方法への必要性が存在している。実用的な基材上への均質な、よく混合された、そして安定な溶液の複製配列を容易に調製する装置を有することが望まれている。本発明は、これらの特徴および以下の記載の精査により明らかとなる他の特徴を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、無機物質の組み合わせの複製組み合わせライブラリーを調製する方法および装置を提供する。このような組み合わせは、反応して有用な分析可能な特性を備えた生成物を形成することができる。
【0013】
無機物質組み合わせの配列を調製する方法は、例えば、最終の無機物質の組み合わせ用に設計された組成をもつ、よく混合され、また均質な、溶液のマスター配列を調製すること、およびマスター配列の複製配列を基材上に移動し、溶液の組み合わせ配列の複製配列を提供することを含んでいる。マスター配列は、次の時に全く同じ第二、第三または第四の複製配列を調製するのに用いるために貯蔵することができる。複製配列は、例えば、特定の物理条件下で特定の化学的反応プロセスに暴露して、最終の単一相の、または多相の物質の配列を形成するように、処理をすることができる。反応の生成組成物は、有用な処理条件を定めるため、および/または望ましい特性を備えた組成物を識別するために分析することができる。本発明の方法の利点は、異なる化学的または物理的条件下での個別の試験のために、同じ種類の基材上に、種々の組成の物質の同じ配列の一組を、容易に、また正確に生成することができることである。
【0014】
マスター配列は、手動でまたは自動化された技術によって調製することができる。無機物質溶液の原液は通常は手動で、無機物質が知られた濃度(モル濃度)を有するように調製される。安定化ポリマーが含まれていてもよく、例えば、物質を化学的に安定化するか、または物質の溶液中の均質な分布を維持することを助ける。2つまたはそれ以上の無機物質の組み合わせを、例えば、マスター配列中の各位置で2つまたはそれ以上の原液を混合することによって、調製できる。マスター配列は、例えば2つまたはそれ以上の位置、8またはそれ以上の位置、32またはそれ以上の位置、96またはそれ以上の位置、384の位置、またはそれ以上を有することができる。それぞれのマスター配列の位置は、マスター配列上の他の位置の組み合わせとは著しく異なる(例えば、物質として、および/または物質の比率において)無機物質の組み合わせを与える物質を受け入れることができる。通常のマスター配列は、2つまたはそれ以上の穴(well)中に無機物質の異なる組み合わせが入っている、1つまたはそれ以上の多穴の皿(multi-well dishes)を含むことができる。
【0015】
無機物質は、例えば、炭素−水素結合を含まないいかなる物質であってもよい。無機物質は、水溶液中で、および/または有機溶媒溶液中で金属化合物から生成することができる。多くの場合において、無機物質は、溶液中で安定化ポリマーと結びつけられた金属化合物であることができる。通常の無機物質は、金属、金属イオン、金属塩および/または金属酸化物である。これらの物質は、例えば、アルミニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタニウム、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジウム、ニッケル、ニオブ、パラジウム、白金、ポロニウム、プラセオジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、ケイ素、銀、ストロンチウム、タンタル、テルル、テルビウム、タリウム、ツリウム、錫、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、それらの酸化型、および/またはそれらのイオン化された型、などの化合物であることができる。
【0016】
基材は、複製配列への利用に適切で、また生成組成物を生成する反応に適合するいずれの基材でもよい。基材は通常、反応条件に適合し、また組み合わせの移動と組成物の分析を受け入れるのに適当な表面を有している物質から作られる。通常の基材は、例えば、セラミックス、ガラス、グラファイト、ケイ素、アルミナ、ポリマー、炭素複合材、金属などから作られる。基材は、例えば、平らな円盤、分離された表面、またはビーズの集団など、適切な形態をとることができる。
【0017】
マスター配列から複製配列への組み合わせの移動は、順次的であってもよく、または配列要素は、並行して移動されてもよい。複製配列はマスター配列の正確な複製として地形的に配置してもよく、または配置の中にマスター配列の組み合わせ要素とは異なる選ばれた組み合わせ要素を含むこともできる。1つの実施態様においては、移動は、マスター配列液体無機物質組み合わせの、基材への、順次的なロボットによる移動を含んでいる。他の実施態様においては、移動は、液体無機物質組み合わせの、基材上への並行した、例えば移動ブロックを用いた同時の移動を含んでいる。
【0018】
液体配列の乾燥された複製配列を反応させて生成物の固体無機物質配列を形成することは、その組み合わせを、所望の反応を促進する化学的および/または物理的条件に暴露することにより達成される。反応は、物質組み合わせを、特定の時間、ある温度、pH、光周波数、金属蒸気(例えば、エピタキシャル成長を促進するために)、圧力、溶媒、気体などに暴露することによって促進することができる。温度は多くの実施態様において重要な反応パラメータである。例えば、反応は、基材上の組み合わせを、450℃もしくはそれ以上の温度に暴露することで生成組成物が形成されることによるものであることができる。反応は、反応環境の圧力を、例えば強度の真空から高圧まで、約10トールから約5,000psiまで、約100トールから約2,000psiまで、約500トールから約1,000psiまで、または約760トールから約100psiまで調整することを含むことができる。
【0019】
有用なプロセスパラメータおよび組成は、生成組成物の分析によって特定することができる。分析は、基材上の1つまたはそれ以上の生成組成物から放射される信号を検知することによるものであることができる。組成物の分析は、必要に応じて、分光法、電流の検知、電圧の検知、顕微鏡法、蛍光透視法、磁気的検出などを基にしたものであることができる。
【0020】
反応プロセスパラメータを比較する1つの実施態様においては、同じ複製配列がマスター配列から2つの基材へと移動され、1つ目の複製配列は第一のプロセス条件に暴露され、また2つ目の複製配列は第二のプロセス条件に暴露される。1つ目および2つ目の配列の同じ位置からの信号が検知される。1つ目および2つ目の配列上の対応する配列位置から検知された信号が、第一および第二のプロセス条件の無機物質組み合わせへの影響における差異を究明するために比較される。より望ましい生成物をもたらすプロセス条件を、生成物の大規模な生産のために選択することが可能であり、またはプロセスパラメータの選別の更なる繰り返しのための比較の基準を与えることができる。
【0021】
本発明では、無機物質組み合わせの複製配列の調整、および反応、および生成組成物の選別の装置が意図されている。例えば、装置は溶液のマスター配列、溶液の複製配列を受容する表面を備えた基材、および溶液をマスター配列から基材表面上へと移動する装置、を含むことができる。
【0022】
複製配列を調製する方法のための無機物質溶液は、基本的に上記のものであることができる。溶液は、無機溶液またはポリマー安定化溶液を含むことができる。ポリマーは、例えば、ポリアニオンポリマー、ポリカチオンポリマー、混合イオン性ポリマー、ペプチド、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘパリン、カルボキシル化されたポリエチレンイミン(PEIC)、ポリエチレンオキサイド、高分子電解質、ポリアクリレート、パーフルオロスルホナート、パーフルオロカルボキシレート、アクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリカーボネート、ジエチルアミノエチル−デキストラン、硫酸デキストラン、ポリグルタミン酸、ポリホスファート、ポリボレート、ニトリロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)類、ポリヒスチジン、DMPS、DMSA、DMSO、ビピリジル、エチレングリコールビス2−アミノエチル四酢酸(EGTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルでんぷん(HES)、デキストラン、デキストリン、イヌリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレンなどであることができる。
【0023】
移動装置は、例えばマルチピペッター、ロボットによる移動装置、直接印刷もしくは間接印刷技術、ポンプ駆動の導管、順次移動装置、並行移動装置等などのいずれかの適当な装置であることができる。1つの実施態様では、移動装置は、マスター配列の位置に見合った間隔を開けた移動プローブの配列を有する移動ブロックである。このプローブは、例えばピンまたは毛細管でよい。
【0024】
装置は、例えば物質の組み合わせを乾燥し、組み合わせからポリマーを気化させ、および/または好ましい反応温度を与える加熱装置を含むことができる。この加熱装置は、例えば熱板、乾燥機、オーブン、炉、加熱灯、レーザー、抵抗加熱器、その他であることができ、所望の熱を基材や配列の位置に与える。多くの実施態様において、加熱装置はオーブンであり、物質の組み合わせを生成組成物へと転換する反応温度および/または圧を与える。
【0025】
本発明の装置は、基材表面からの信号を検知するのに、1つまたはそれ以上の検知器を含むことができる。検知器は、例えば抵抗計、蛍光光度計、電圧計、電流計、光度計、電荷結合素子、磁気計、酵素、顕微鏡などであることができる。検知器は、有用な特性のための生成組成物の組み合わせ配列を分析する、または選別するのに用いることができる。
【0026】
本発明の実施態様は、溶液の複製配列を調製する方法に向けられており、それは溶液のマスター配列の調製を含んでおり、それぞれの溶液はマスター配列中で独自のアドレスを有しており、そしてマスター配列の複製配列を1つ目の基材上へと移動する。移動は、連続的に(配列のそれぞれの要素が順次移動することを意味している)、または並行して(それぞれの要素が同時に移動する)のいずれで行われてもよい。並行した移動の場合には、マスター配列は移動ブロックと接触されてよく、そして次いで移動ブロックは基材に接触する。
【0027】
これにより溶液の第一の複製配列が生成される。この溶液の複製配列は次いで固体無機物質の生成物配列中へと転換することができる。転換は乾燥、化学反応、または約20℃よりも高い温度への基材の加熱のいずれかによって起こる可能性がある。生成物配列中の固体無機物質は、酸化型またはイオン型のいずれかであることができる。
【0028】
本発明の実施態様によれば、マスター配列の溶液は、マスター配列のそれぞれのアドレスにおいて、少なくとも2つの金属元素、金属化合物、金属含有化合物、または無機化合物、およびそれらの種々の組み合わせ、を組み合わせる。マスター配列は、配列中に少なくとも8つの溶液を有しており、そして従って8つのアドレスを有している。本発明の1つの実施態様では、マスター配列のそれぞれの溶液は多穴の皿(multiwell dishes)の1つの穴の中に収容されている。
【0029】
本発明の実施態様によれば、複製配列がその上にプリントされる基材は、種々の物質を含んでいてもよく、それらの物質としてはセラミック、ガラス、ケイ素、石英、グラファイト、ポリマー、プラスチック、複合材、金属、および金属化合物が挙げられる。更に、溶液のマスター配列は、配列中に少なくとも1つの溶液を安定化された形態で有していることができる。実施態様によっては、安定化された溶液は、ポリマーで安定化されていてよいが、しかしながら他の溶液の安定化方法も意図されている。ポリマーが溶液を安定化するのに用いられる場合は、溶液の少なくとも1つの成分がポリマーに結合してもよい。
【0030】
本実施態様の利点は、2つの複製配列、または2つの生成物配列を調製すること、そして、2つの配列の処理におけるほんのわずかな変化を伴う2つの間の差異を比較することにある。それぞれの配列は非常に多くの数のアドレスを含むことができるので、非常に多くの数の実験が並行して実施されることを可能にする。例えば、本実施態様は、それぞれの溶液がマスター配列中で独自のアドレスを有している溶液のマスター配列を最初に調製する;マスター配列からそれぞれの溶液の少なくとも一部を第一の基材へ移し、溶液の第一の複製配列を形成する;マスター配列からそれぞれの溶液の少なくとも一部を第二の基材へと移し、溶液の第二の複製配列を形成する;溶液の第一の複製配列を第一の固体無機物質の生成物配列中へと転換する第一のプロセスを用いる;溶液の第二の複製配列を第二の固体無機物質の生成物配列中へと転換する第二のプロセスを用いる;そして次いで第一の生成物配列の少なくとも1つのアドレスからの信号を検出し、そしてその信号を、第二の生成物配列の対応するアドレスから検出される信号と比較する、ことによる溶液の複製配列を調製する方法を含んでいる。第一のおよび第二のプロセスパラメータは、温度、圧力、時間、放射線暴露、化学反応、溶剤暴露、または気体暴露であることができる。
【0031】
本発明の実施態様は、溶液の複製配列を調製する装置を含んでいる。その装置は、それぞれの溶液がマスター配列中で独自のアドレスを有する溶液のマスター配列、溶液のマスター配列から複製配列を受容する表面を有する基材、そしてマスター配列の少なくとも1つの溶液を基材の表面へ移して複製配列を調製するための移動装置、を含むことができる。移動装置は、マスター配列の溶液アドレスに見合った間隔を開けた移動プローブの配列を有する移動ブロックを含むことができる。このプローブは、例えばピンまたは毛細管を含んでいてよい。
【0032】
定義
ここで、または明細書の残りの以下の部分で別のように定義されていない限り、ここで用いられる全ての技術的、また化学的用語は、本発明が属する技術分野において当業者によって一般に理解される意味を有している。
【0033】
本発明を詳細に記載する前に、本発明は特定の装置または生物学的装置に限定されず、もちろんのこと、様々であり得ることが理解されなければならない。ここで用いられる専門用語は、特定の実施態様を記載する目的でのみ用いられ、そして限定することを意図したものでないこともまた理解されなければならない。本明細書および特許請求の範囲において用いられている単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に別のように指図していない限り、複数の対象も含んでいる。従って、例えば、「物質」("a material")は2つもしくはそれ以上の物質の組み合わせを含むことができ、「成分」("constituents")は1つまたはそれ以上の成分を含むことができる、などである。
【0034】
本発明の実施においては、ここに記載されたものと同様の、修正されたまたは等価な、多くの方法および物質を、必要以上の実験なしに用いることが可能であるが、好ましい物質および方法はここに記載されている。本発明を記載し、また特許請求するに際して、以下に提示した定義に従って、以下の専門用語が用いられる。
【0035】
ここで用いられる用語「組み合わせ配列」は、基材上の異なる位置の2つまたはそれ以上の異なる生成組成物の集合を指しており、ここで生成組成物は2つまたはそれ以上の異なる物質の組み合わせから生成される。
【0036】
ここで用いられる用語「生成組成物」は、2つまたはそれ以上の異なる無機物質の反応生成物を指している。異なる生成組成物は、異なる無機物質の組み合わせの反応生成物であることもできるし、または異なる比率で組み合わされた同じ無機物質の反応生成物であることもできる。
【0037】
ここで用いられる用語「反応」は、2つまたはそれ以上の異なる物質の組み合わせを生成組成物へと転換する化学または物理反応を指す。物理反応は、例えば、共結晶、融合、合金、アマルガムにすること(amalgamation)、同時融解(melting together)、焼結などを含むことができる。化学反応は、例えば2つまたはそれ以上の元素および/または分子間の分子結合の形成などの、当技術分野で知られている化学反応を含むことができる。
【0038】
ここで用いられる「基材」は、剛体の、または半剛体の表面を有する物質を指し、その上に無機物質の溶液または懸濁液を適用することができる。
【0039】
ここで用いる用語「無機物質」は、炭化水素(C−H)結合を含まない元素または分子を指す。通常、無機物質は、鉱物性の物質または金属を指す。「無機物質の組み合わせ」は、2つまたはそれ以上の異なる無機物質の混合物または固溶体を指す。
【0040】
ここで一般的に用いられる「金属」は、金属塩、金属酸化物、金属イオン、分子の成分である金属、結晶または合金、または元素形態の金属を指す。
【0041】
「マスター配列」は、2つまたはそれ以上の異なる溶液の配列を指し、それから1つまたはそれ以上の複製配列を移動することができる。
【0042】
「複製配列」は、マスター配列から基材上へと移動された溶液のマスター配列の複製である。複製配列は、マスター配列と同じ空間の秩序で、または例えば「鏡像」配置、または更に高密度のマイクロアレイなどの、異なる空間の秩序で、配置された溶液を有することができる。
【0043】
ここで用いられる用語「気化する」は、特定の成分の蒸気または気体の状態での除去を指す。
【0044】
ここで用いられる用語「融合する」は、加熱の結果もたらされる2つまたはそれ以上の異なる物質の組み合わせを指す。例えば、金属を融解することによる、合金の形成、または加熱および冷却して2つまたはそれ以上の無機物質の結晶の形成。
【0045】
ここで用いられる「焼結」は、温度を少なくとも1つの物質の融点よりも低い温度まで加熱することによる、2つまたはそれ以上の異なる物質の混合物の固体塊への転換を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明は、溶液の複製配列および無機物質生成物配列の組み合わせ配列を調製する方法および装置に関する。溶液のマスター配列は、例えば、多穴のプレート(multi-well plate)中に調製することができる。マスター配列は、順次的に、および/または並行して基材の表面へと移動することができ、マスター配列の複製配列を調製することができる。物質の組み合わせは反応して、組み合わせの生成組成物を形成することができる。この組成物は分析して、その特性を明らかにすることができる。
【0047】
複製溶液組み合わせ配列の調製方法
無機物質生成組成物の配列の調製方法は、通常は溶液のマスター配列を調製する、基材上の位置にマスター配列の組み合わせのサンプルを移動して物質の組み合わせの複製配列を与える、および組み合わせを反応させて、生成物の無機組成物の組み合わせ配列を形成する、工程を含んでいる。反応は、組み合わせ中の物質間の化学的および/または物理的反応を含むことができる。配列の位置で、物質または生成物から放出される信号を分析のために検知することができる。
【0048】
基材上への溶液配列の複製
無機物質の溶液またはポリマー安定化無機物質は、いくつもの適当な技術を使って、マスター配列から複製配列へと移動することができる。マスター配列の複製配列への移動は、順次的、および/または並行で、直接または間接的、手動、または自動的であることができる。
【0049】
例えば、混合した金属酸化物(無機物質の組み合わせ)溶液の組み合わせ配列は、異なる金属塩の手動での組み合わせによって、液体マスター配列の96穴(well)のプレートの穴へ形成することができる。溶液の配列は、例えば、ロボットによるアームの先端にあるピン先端(濡らすことのできるプローブ)移動装置を用いて、基材上の位置に順次的に移動して、物質の組み合わせの複製配列を調製することができる。任意に、ロボットアームは、例えば、マルチピペット先端を含むことができ、物質の1つ以上の組み合わせを一度に基材上に移動する。熱を基材に加えることができ、複製配列の位置において溶液を乾燥および焼結(sinter)して生成無機組成物の組み合わせ配列を形成する。
【0050】
代わりに、複製配列は並行移動技術を用いて調製することもできる。例えば、無機物質溶液の原液は、ロボットにより384穴のプレート中に組み合せて、マスター配列を与えることができる。平らな支持表面から、384穴のプレートの中の穴の間隔に見合ったパターンで突き出たプローブを有する移動ブロックが提供される。移動ブロックは、プローブを穴に合わせて、1つの方向に配置され、それによりプローブを一度に浸漬させて、多穴(multiple wells)中の溶液に接触させることができる。プローブは接触により溶液で濡らされる。移動ブロックは基材表面の上部に再配置され、それにより濡らされたプローブが表面に並行して接触し、また溶液を移動して、基材上に溶液の複製配列を生成する。上記のように、基材は加熱することができ、分析のための生成無機組成物の配列を形成する。
【0051】
他の実施態様では、マスター配列の溶液は基材表面へ直接に移動することができる。例えば、基材表面は多穴のプレート中の物質の組み合わせのマスター配列のすぐ上の位置に持ってくることができる。基材は、例えばプレートと基材をいっしょに反転させる前に、プレートの表面に押圧されて密封するように接触することができる。マスター配列からの液体物質の組み合わせは、その位置で基材表面と接触し、また濡らして、基材上にマスター配列の鏡像複製を与える。プレート/基材の組み合わせは上下を正しい向きに戻され、そして基材は反応と分析のために移動される。このプロセスは新しい基材で繰り返すことができ、多数の複製を調製できる。任意に、オフセット印刷と同様の技術で、鏡像配列を移動表面へと移動することができ、それを基材と接触させることができ、マスター配列と配列要素が同じ順番を有する複製配列を与えることができる(すなわち、鏡像配列ではなく)。
【0052】
更に他の実施態様では、例えば、必ずしもマスター配列の配置を複製配列の配置に繰り返す、または反映させずに、溶液の配列の一部分をマスター配列から基材上の複製配列へと移動することができる。例えば、マスター配列の組み合わせのデータベースを備えたコンピュータがロボットによる移動装置に特に興味のある組み合わせを、例えば、マスター配列の原型の順序によって決められるのではない順序で、基材に移動するように命令することができる。コンピュータはどのマスター配列の組み合わせがそれぞれの複製配列の位置に移動されたかの記録を保有することができる。結果としてもたらされる複製配列は、反応させ、また分析させることができる。興味深い生成物の組成および対応するマスター配列の位置を、プロセスのコンピュータの記録に基づいて、当該技術分野で評価されているように、確実に究明することができる。
【0053】
無機物質溶液
本発明の配列への利用に興味のある無機物質は、例えば、炭素−水素結合のない、元素、イオン、または分子であることができる。基材への適用のために、無機物質は液体形態の溶液を形成する。液体は、例えば水性、極性溶媒、有機溶媒、および/または疎水性の液体であることができる。これらの物質は、1つまたはそれ以上のポリマーと結びついていてよく、ポリマーは物質の溶液を安定化する。
【0054】
本発明で興味深い多くの有用な無機物質は元素形態または金属化合物の形態の金属を含んでいる。例えば、無機物質は、元素形態の、イオン形態の、および/または化合物の、アルミニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタニウム、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジウム、ニッケル、ニオブ、パラジウム、白金、ポロニウム、プラセオジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、ケイ素、銀、ストロンチウム、タンタル、テルル、テルビウム、タリウム、ツリウム、錫、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、それらの酸化型、それらのイオン化された型などを含むことができる。イオン化された型は、金属塩、例えば、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、酢酸塩、キレート型などを含むことができる。
【0055】
本発明で有用なポリマーは、溶液中で無機物質を安定化することができる。ここでポリマーについて用いられる安定化は、興味のある無機物質との相互作用を指し、それによって本発明の方法を用いて無機物質を一貫して適用することができる。一般に、本組み合わせ配列の処理の少なくとも1つの段階において、ポリマー溶液が金属イオン溶液に混合され、安定化された配列をもたらす。ポリマー溶液は、ポリエチレンイミン(CN)nなどを水中に溶解することによって調製することができる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA、C1016)などの他の化合物をこの溶液に添加してもよい。次いで、組み合わせライブラリー中で検討中の金属イオンの対応する塩が、塩を水中に溶解することによって調製される。本発明の1つの実施態様では、硝酸塩を用いることもできる。金属イオン溶液は次いでポリマー溶液と、ポリマー/EDTAが金属イオンを封入する(encapsulates)ように、混合される。場合によっては、この封入を助けるために酸または塩基のいずれかをポリマー/EDTA金属塩溶液に添加することが必要である場合がある。
【0056】
EDTAとともに用いられて金属イオンを封入し、また液体配列を安定化させることのできる他のポリマーとしては、ポリアニオンポリマー、ポリカチオンポリマー、混合イオン性ポリマー、ペプチド、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘパリン、カルボキシル化されたポリエチレンイミン(PEIC)、ポリエチレンオキサイド、高分子電解質、ポリアクリレート、パーフルオロスルホナート、パーフルオロカルボキシレート、アクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリカーボネート、ジエチルアミノエチル−デキストラン、硫酸デキストラン、ポリグルタミン酸、ポリホスファート、ポリボレート、ニトリロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)類、ポリヒスチジン、DMPS、DMSA、DMSO、ビピリジル、エチレングリコールビス2−アミノエチル四酢酸(EGTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルでんぷん(HES)、デキストラン、デキストリン、イヌリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0057】
実質的に、周期律表中のいずれの金属も本実施態様で用いることができる。例えば、金属は、Li、Na、K、RbまたはCsなどのIA族元素を含むことができる。これらのイオンは一価である。更に、金属は、Ca、Sr、Ba、MgなどのIIA族アルカリ土類金属列の二価イオン、またはCo、Mn、Zn、およびPbなどの他の二価金属イオンを含むことができる。三価の金属イオンは、Al、Ga、La、Ce、Pr、Nd、Po、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Bi、およびCrを含む。四価を有する金属イオンおよび/または半導体元素は、Ge、Zr、Hf、およびSnを含む。本発明の実施態様によって安定化することのできるV価を有する金属イオンおよび無機の非金属元素は、VおよびPを含み、VI価の金属はMoおよびWである。
【0058】
例えば、安定化ポリマーは選択された適用液体に可溶であり、そしてイオン特性、キレート特性、および/または粘度増強特性を有することができ、それが無機物質と相互作用して液体中での均一な分布を促進する。安定化ポリマーは、適用プロセスの間に液体が取り扱われるときに、および/または液体がプロセスとプロセスの間に貯蔵されるときに、物質の均一な分布を保つように助けることができる。安定化ポリマーによっては、無機物質の酸化および/または沈殿を低減する有用な特性を有することができる。
【0059】
無機物質が溶液中でイオンとして存在する実施態様では、安定化ポリマーは反対の電荷のイオン基を有することができ、それによって物質はポリマーとイオン会合を形成する。ポリマーの溶解性、懸濁、および/または構造的マトリックス(例えば、相互に結び付けられた(interwined)または架橋されたゲルマトリックス)が、イオン性物質が適用液体中で均一な分布を維持することを助けることもできる。イオン性ポリマーは、イオン性物質の対イオンとやりとりすることができ、対イオンをもつイオンの溶解度制限を回避する。無機物質イオンがポリマーと会合(例えば、イオン結合で)することで、望ましくない対イオンおよびその他の不純物を適用液体から、例えば、限外ろ過または透析法によって、除去することができる。イオン性安定化ポリマーとしては、例えば、ポリアニオン、ポリカチオン、混合イオン性ポリマー、ペプチド、ヌクレオチド、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘパリン、カルボキシル化されたポリエチレンイミン(PEIC)、ポリエチレンオキサイド、高分子電解質、ポリアクリレート、パーフルオロスルホナート、パーフルオロカルボキシレート、アクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリカーボネート、ジエチルアミノエチル−デキストラン、硫酸デキストラン、ポリグルタミン酸、ポリホスファート、ポリボレートなどを挙げることができる。
【0060】
無機物質がイオン性物質である場合には、安定化ポリマーは有利にはキレート特性を含むことができる。アルカリ土類金属および多くの遷移金属などの金属イオンは、利用できるキレート基を有するポリマーとの会合によって物質の組み合わせ溶液中で安定化することができる。例えば、安定化ポリマーは、ニトロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)類、ポリヒスチジン、DMPS、DMSA、DMSO、ビピリジル、エチレングリコールビス2−アミノエチル四酢酸(EGTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)などのようなキレート基を有することができる。
【0061】
無機物質が、適用液体中で非均質な分布を形成する傾向にある場合には(例えば、物質が粒子であり、沈殿し、表面に吸着し、または懸濁液から出てくる場合)、粘性のあるポリマーまたは支えとなるポリマーマトリックスが、基材への均一な、一貫したまたは繰り返し可能な移動および適用を与えるのに十分な間、物質の液体中での均一な分布を維持するのを助ける。適用溶液の粘度を増大する安定化ポリマーは、本発明の方法および装置で用いられる場合に利益を与えることができる。適用溶液中での粘性のあるポリマーの存在は、液体中の物質の均質性を保つことを助けることができる。懸濁した、しかしながら不溶解性の無機物質の沈下は、粘性のあるポリマーの存在の元で、減らすことができる。粘性のあるポリマーは、液体中の対流を低減し、例えばその結果、液体の貯蔵の間の、物質の望ましくない酸素または水などの反応物への暴露を低減する。望ましい粘度増大安定化ポリマーは、液体の粘度を少なくとも50%だけ増加させ、または液体の粘度を少なくとも10センチポイズ(cP)だけ増加する。粘度を増大させる好ましい安定化ポリマーは、液体中に粘度を約100cPだけ、約1000cPだけ、約10cP、約10cP、約10cP、約10cPまたはそれ以上、増大するに十分な量が存在する。上記の安定化ポリマーは有利な粘度上昇を与えることができる。他の有用な粘度増大安定化ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルでんぷん(HES)、デキストラン、デキストリン、イヌリン、またはポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0062】
多くの粘度を増大する安定化ポリマーから由来する他の利点は、組み合わせ溶液と基材間の改善された相互作用である。ポリマーは基材に対する液体の親和性を増大することができ(例えば、液体をより粘着性にする)、それで液体が基材に適用された後に基材との接触を保持する。より粘性な液体が、より緩やかに流れ、そのため処理工程の間に配列の位置から過剰に移動することがない。
【0063】
他の実施態様では、無機物質は、物質の沈殿を回避するのを助ける溶媒および/または対イオンの選択によって均質な溶液に保たれる。例えば、多くの金属は、硝酸塩として溶液中の溶解度を増大させられる。所望により、特定の非水性溶媒(例えば、有機またはシリコーン溶媒)がいくつかの物質を溶液中に保持するのに用いることができる。
【0064】
マスター配列
マスター配列は、2つまたはそれ以上の位置に溶液として保持された無機物質の組み合わせを含む。配列要素は液体の形態であるのでマスター配列の位置は通常は、例えば、穴(wells)、容器、反発する表面、濡らす表面、および/または液体の移動の境界などの、ある封じ込めの形態を求められる。物質の組み合わせはマスター配列から離れた位置に調製することができる、しかしながらその組み合わせは通常はその配列の位置に、その場に調製される。
【0065】
マスター配列の調製は通常は無機物質原液の配合から始まる。無機物質の高濃度の形態(例えば、高級の純粋な溶液または物質の塩)が溶媒に溶解されるか、または混合され、モル濃度のわかった原液溶液または懸濁液が提供される。物質に応じて、原液の調製は、均質な原液を与えるのに、pHの調製、加熱、可溶化対イオンの添加、界面活性剤の添加、安定化ポリマーの添加、撹拌、などを要する可能性がある。
【0066】
無機物質の原液は、異なるマスター配列の位置で、異なる組み合わせおよび/または比率で組み合わされて、マスター配列を与えることができる。配列は、しばしば、行および列に配置された行列様式の配列である。例えば、配列のそれぞれの行およびそれぞれの列は、異なる無機物質を含むことができる。特定の行の中のそれぞれの位置の第一の物質を、それぞれの列の中の異なる物質と混合することができる。第二の物質もまた、他の行のそれぞれの位置で、それぞれの列の中の異なる物質と混合することができる。それぞれの行および列の中に異なる物質を有して、それぞれの位置に物質の異なる組み合わせを備えたマスター配列を与えることができる。所望により、組み合わせの化学量論を考慮することができ、例えば異なる位置、行、および/または列に物質の異なる量を含むことによって、その結果、異なる位置に同じ物質の異なる比率の組み合わせを与える。所望により、マスター配列は、例えば、1つまたはそれ以上の位置で重複した組み合わせで、空の位置で、行または列になっていない配列で、ランダムな組み合わせで、ランダムな比率でなど、より組織化されていてもよい。
【0067】
マスター配列の位置における組み合わせは手動で調製することができる。技術者は、原液の定められた量をマスター配列の位置に、ピペッター、マルチピペッター、繰り返し(repeat)ピペッター、プログラム可能なピペッターなどを用いて移動することができる。例えば、技術者は、96穴のプレートの1行の全てに、物質の第一の原液を一度に移動するのに、12先端のマルチピペッターを用いることができる。異なる原液を、96穴のプレートの残りの7行に、12先端のピペッターを用いて移動することができる。ピペッターの8つの先端を用いて、技術者は異なる原液を一度に1列で、プレートの12の列に移動することができる。結果は、プレート中の物質の96の異なる組み合わせの配列であることができる。所望により、2つ以上の異なる物質を、マスター配列のいずれの特定の位置にでも組み合わせることができる。所望により、いずれかのもしくは全ての行または列は特定の物質の異なる量を有することができ、例えば、異なる位置に、同じ物質の組み合わせで、異なる反応化学量論の配列を与える。単一の多穴のプレート、またはプレートの一部をマスター配列と考えることができる。2つまたはそれ以上のプレート、またはプレートの一部をマスター配列と考えることができる。
【0068】
マスター配列の母体(mother)のプレートは、それぞれの位置に組み合わせ物質が比較的に大容量であるように調製することができる。例えば、母体のプレートが後の使用のために貯蔵されてしまった場合(例えば、冷凍または冷蔵される)に、マスター配列として当面用いるために、母体のプレートの一定分量を1つまたはそれ以上の娘(daughter)のプレートに移動することができる。
【0069】
マスター配列は自動のまたは半自動の技術で調製することができる。特に、非常に大きな配列では、物質の自動の組み合わせがマスター配列調製の経費、速度および信頼性において利益を与えることができる。通常は、自動化された配列調製(例えば、ロボットによる調製)は、上記のような手動の技術と同様のやり方で進行する。ロボットは原液を、例えば繰り返される浸漬および移動の工程により、または異なる原液の分離された流れを包含する導管からの移動によって、順次的に供給することができる。
【0070】
マスター配列は、配列の位置の数および配置について広範囲に変化することができる。手動で調製されたマスター配列は、例えば、異なる物質の組み合わせを、2つの位置に、約8個の位置に、約96個の位置に、約384個の位置に、またはそれ以上に、無理なく含むことができる。ロボットによる液体取扱い装置は、例えば、約24個未満の位置、約96個までの位置、約384個までの位置、約1536個までの位置、またはそれ以上の数の範囲の、独自の組み合わせ、および/または物質の比率を備えた組み合わされた無機物質のマスター配列を容易に調製することができる。多重のマスター配列プレートを用いることにより、および/またはマイクロ配列形式を用いることにより、マスター配列は、例えば約100個の組み合わせから、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、またはそれ以上の、著しく異なる組み合わせおよび/または物質の比率を有する、大規模な数の独自の配列の組み合わせを含むことができる。特定の実施態様では、マスター配列は、例えばミリメータ当たりに、約0.01から10、またはそれ以上の配列の組み合わせを、またはmm当たりに、約0.1から100またはそれ以上の配列の組み合わせを有することができる。
【0071】
基材
基材は通常は、表面上に液体を含む無機物質を適用することができる表面を有する剛体のまたは半剛体の物質である。基材は、例えば特定の配列複製プロセス、および成分の反応および分析技術に適合する形状を有することができる。基材は、高温および液体への暴露などの取扱いおよびプロセス条件に耐える物質から作ることができる。
【0072】
基材は通常は、平らな物質適用表面を有する耐熱性の固体である。例えば、基材は、約450℃から2000℃の範囲の温度で、空気の存在下で実質的に劣化しない、平らなセラミックの円盤であることができる。他の実施態様では、基材は、例えばガラス、金属、グラファイト、ケイ素、アルミナ、炭素複合材、セラミックス、ポリマーなどから作ることができる。基材は、円盤、カード、円筒、球体、立方体、などのような形状であることができる。幾つかの実施態様では、基材は2つまたはそれ以上のビーズであることができる。
【0073】
基材の表面は、無機組成物の組み合わせ配列を処理し、保持し、および与えるのに適切な位置を有することができる。表面は平滑でまた均一であることができ、例えば特定の複製プロセスにおいて用いられる装置と容易で精確な接触を与える。適用された材料を吸収および/または保持するために、基材の表面は、粗く、または多孔質であることができる。基材表面は、流路、突起部、疎水性領域、親水性領域などのような、境界で定められた位置を有することができ、移動された物質を複製配列の特定の位置に保持する。
【0074】
表面は、例えば、適用装置の位置確認に有用な指示標識(reference marker)を含むことができる。例えば、表面の縁は、孔、溝、またはピンなどの物理的な指示(reference)を含むことができ、それは適用装置の枠と相互作用して、物質が表面に適用されるときに、基材を装置に関して所定の位置に保持する。指示標識は、例えば、適用装置の試料台上の特定の点との位置合わせのために、適用装置中への基材の手動での正確な配置のために、または適用装置中での基材の適切な位置合わせの確認のための画像システムによる検知のために、表面上にプリントされた2つまたはそれ以上の点、または他の印であることができる。
【0075】
複製配列
複製配列は、マスター配列から基材へ移動された溶液の配列である。複製配列は、マスター配列要素の全てまたは一部を含むことができる。複製配列はマスター配列と同様に配置されていてもよく、または異なる配置に位置した配列要素(特定の配列位置からの組み合わせ)を有していてもよい。マスター配列から複製配列への組み合わせの移動は、上記のように、直接または間接的、順次的または同時であることができる。複製配列は、組み合わされた物質が反応して、基材上の種々の位置に、異なる生成組成物を形成するように処理することができる。
【0076】
マスター配列からの物質の組み合わせの移動の技術に応じて、複製配列はマスター配列の組み合わせの配置と実質的に同じ組み合わせの配置であることもでき、または複製配列は異なる配置を有することもできる。例えば、マスター配列の全ての要素を同時に基材へ移動するのに移動ブロックが用いられる場合には、結果は通常、マスター配列と実質的に同じ地形学的な順序と位置の間隔を備えた複製配列である。マスター配列と複製配列の間での直接的な移動の場合には(例えば、上記のように密封した接触および反転)、鏡像複製は、マスター配列と実質的に同じ間隔を保ちながら、配列要素が反転した順序を有することができる。実施態様によっては、例えば特定の順次的な移動技術では、複製配列の要素は、マスター配列中よりも互いにより近い位置、および/または異なる順序で移動させることもできる。
【0077】
本発明の1つの態様では、2つまたはそれ以上の多穴のプレートを含んでもよい大きなマスター配列を、比較的に小さな単一の基材上に複製することができる。例えば、ロボットがマスター配列上で1cm離れた間隔の組み合わせを、複製配列基材上の1mmまたはそれ以下離れた位置に、順次的に移動することができる。所望により、1つまたはそれ以上のマスター配列プレート上のマスター配列要素の全てまたは一部を、マスター配列中の材質の同じ組み合わせによって占められている面積よりも、約2倍、10倍、100倍、または1000倍少ない面積を有する、複製配列の基材位置に移すことができる。複製配列上の位置は、cm当たり1位置、cm当たり4位置、cm当たり16位置、cm当たり100位置、cm当たり10,000位置、またはそれ以上の密度を有することができる。
【0078】
複製配列は、配列位置の数および配置について広く変化することができる。1つまたはそれ以上の基材上の複製配列は、1つまたはそれ以上のマスター配列の全てまたは一部の要素を含むことができる。例えば、1つまたはそれ以上のマスター配列からの組み合わされた無機物質の複製配列は、例えば、約8個未満の位置から、約24個の位置まで、約96個の位置まで、約384個の位置まで、約1536個の位置まで、またはそれ以上の位置に、独自の組み合わせおよび/または物質の比率を有することができる。多重複製配列基材を用いることにより、またはマイクロ配列形式を用いることによって、複製配列は、複製配列ライブラリーの中に著しく異なる組み合わせを有する、多数の独自の配列組み合わせを異なる位置に含むことができ、例えば約100個の組み合わせから、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、約10個の組み合わせまで、またはそれ以上を有することができる。
【0079】
移動工程は、物質の組み合わせの実質的に同じ集団を有する1つ以上の複製プレートを調製するのに繰り返すことができる。例えば、順次的な移動操作が繰り替えされて、同じマスターから追加の複製配列を与えることができる。他の実施態様では、移動ブロックでの移動、接触および反転移動、またはオフセット印刷移動などの、並行移動を、例えば、物質の組み合わせの同じ集団を備えた、2つまたはそれ以上の複製プレートを与えるために繰り返すことができる。
【0080】
組み合わされた物質の反応
複製配列の位置における、溶液形態の2つまたはそれ以上の異なる無機物質の混合物(例えば、無機物質の組み合わせの液体の配列)は、反応させることができて、反応生成組成物の組み合わせ配列を形成させることができる。場合によっては、異なる物質は、例えばマスター配列の穴の中で、他の物質との接触で自然発生的に反応するであろう。多くの場合においては、物質の組み合わせの反応は複製配列を特定の物理的または化学的条件に暴露することによって開始される。ここで用いられる用語「反応」は、例えば、反応生成組成物の分子、結晶、アマルガム、焼結生成品、または物質の合金を形成する、配列位置における無機物質の化学的および/または物理的組み合わせを指す。基材上の配列位置での反応は、例えば、反応の性質および反応に必要な条件に応じて、同時にまたは順次的に起こることができる。
【0081】
反応は、少なくとも一部では、無機物質混合物の相互のおよび/または他のプロセス構成成分との化学反応を含むことができる。例えば、ある配列位置での2つの元素金属の反応は環境に存在する大気中の酸素による、または物質の組み合わされた溶液もしくは懸濁液中に存在する化学酸化剤による金属の酸化を含むことができる。
【0082】
実施態様によっては、反応は物質の組み合わせの中の液体が蒸発して、配列の位置に無機物質を一緒に高濃度に残したときに起こる。例えば、水和水の損失が物質のある混合物が相互に反応することを引き起こす。他の場合では、適用液体溶媒の損失が、物質を外部の反応物に暴露し、物質を、例えば大気からの水または酸素と共反応させる。
【0083】
1つまたはそれ以上の無機物質が安定化ポリマーと結びついている実施態様では、反応は、例えば、気化などによってポリマーが取り除かれたときに起こることができる。例えば、無機物質がイオン性の相互作用によって荷電したポリマーと結びついている場合には、ポリマーが熱によって取り除かれるまでは、物質は他の物質とその位置で反応することができない可能性がある。ポリマー除去のプロセスは、環境中の酸素の存在によって加速することができる(すなわち、ポリマーが「燃え」尽きる)。
【0084】
更なる実施態様では、反応は組み合わされた無機物質の、複製配列基材上への同時の焼結を含むことができる。焼結では、乾燥された溶液を、それらの融点よりも低い温度で、しかしながら所望の無機物質の固体相を形成する相互作用に十分なほどの温度にする。結果は、例えば、顕微鏡的に多孔質の不均質なまたは均質な結晶構造であることができる。酸素の存在で、焼結プロセスはまた、1つまたはそれ以上の無機物質の酸化をもたらすことができる。
【0085】
更なる実施態様では、反応は組み合わされた無機物質の同時の溶融を含むことができる。溶融の反応生成物は、例えば、アマルガム、結晶または合金であることができる。場合によっては、特定の無機物質が、追加の加熱なしに同時に溶融する。多くの場合では、追加の加熱が混合された無機物質を同時に溶融するのに要求される。それぞれが純粋な元素金属である物質の組み合わせの場合では、混合された組成物は、束一性の溶融温度への影響のために、純粋な金属のどちらか一方の溶融温度よりも低い温度で溶融することができる。純粋な金属が同時に溶融することは、特に局所的な環境が酸化剤を含んでいない場合に、アマルガムまたは合金反応生成物をもたらすことができる。酸化剤の存在下では(大気中の酸素など)、溶融した金属は酸化物になることができ、例えば金属酸化物結晶反応生成組成物をもたらす。
【0086】
本発明の多くの実施態様では、組み合わされた物質の反応は、基材を周囲条件より高い温度に上げることによる。例えば、反応は基材を、約300℃を超える、約450℃を超える、約500℃を超える、約750℃を超える、約1000℃を超える、約1200℃を超える、約1500℃を超える、約1750℃を超える、または約2000℃を超える温度に加熱することによって開始することができる。このことは、例えばオーブン中で、抵抗加熱または高温気体を基材と接触して、マイクロ波放射、放射加熱によって、などで基材を加熱することによって達成することができる。実施態様によっては、組み合わされた物質は、基材の実質的な加熱なしで、物質を加熱することにより反応させることができる。例えば、ある配列の位置の物質の組み合わせは、赤外放射、加熱された流体、またはレーザー光への暴露によって反応温度にまで速やかに加熱することができる。
【0087】
実施態様によっては、反応および処理は、更に配列上の位置からの物質のエピタキシャル成長を含むことができる。基材上の組み合わせ配列は、例えば物理的気相堆積(PVD)、分子線エピタキシー(MBE)、化学気相堆積(CVD)技術などによる結晶の成長のためのチャンバーに取り付けることができる。
【0088】
組み合わせ配列または生成組成物の分析
無機物質組成物の組み合わせ配列は、所望の特性を備えた生成組成物を有する配列位置を検知するために分析することができる。検知の方法はしばしば興味のある特性によって決まる。例えば、配列位置の組成物は、光学的特性、リン光、結晶核生成、超伝導、および/または半導体特性を有することができる。配列位置の組み合わせ組成物は、例えば、分光法によって、電磁気センサーで、顕微鏡法によって、電圧を検知することによって、圧力に応えた電圧を検知することによって、光への暴露に応えた電圧を検知することによって、温度に応えた電圧を検知することによって、電気抵抗を検知することによって、蛍光透視法などによって、分析することができる。
【0089】
配列位置の無機組成物の分析は、順次的であることもでき、または並行して実行してもよい。組成物はロボットによって、電流への抵抗などの特性を検査することができ、基材を接地することによって、そして手動でまたはロボットにより、組成物に接触して、それぞれの位置で抵抗試験を行うことができる。特定の光学的特性を、画像処理装置を用いて並行して検査することができる。例えば、リン光を、組み合わせ配列を励起波長で照射し、次いでCCDを基にしたカメラとビデオモニターを用いて、配列の位置を、所望の波長の放射について観測することによって検知することができる。
【0090】
特定の実施態様では、2つまたはそれ以上の複製配列が調製され、またそれぞれが異なる反応条件の下に処理される。反応生成組成物の分析は、特定の用途に好ましい組成物を与える混合物の組み合わせおよび処理条件を特定するのを助けることができる。例えば、1つの複製配列は、複製配列の他の複製の処理とは異なる、温度、時間、pH、圧力、光波長への暴露、金属蒸気への暴露、溶媒への暴露、または気体への暴露で処理することができる。異なって処理された組み合わせ配列の分析は、配列中の組み合わせ物質の製造プロセスを設計し、または最適化するのに有用なデータを与えることができる。異なって処理された配列の分析は、選択された波長での励起に応えた特定の波長の最も強いリン光を有する組成物など、特定の用途に最も適合した組成物を特定することができる。
【0091】
組み合わせ配列の調製のための装置
無機物質の組み合わせの複製配列を調製する装置は、マスター配列、基材およびマスター配列を基材表面上に複製するための移動装置を含むことができる。この装置は、生成組成物を生成し、また分析するために反応器および検知器を含むことができる。
【0092】
1つの実施態様では、図1に示したように、本発明の装置10は、マスター配列液体物質組み合わせ12をマスター配列13から基材14上の位置へと移動するための移動装置11を含むことができ、それによって複製配列15を与える。例えば、複製配列を調製するための装置は、マスター配列中の位置からマスター配列物質の組み合わせの一定分量を順次的にサンプリングし、そしてそれを基材の表面上の複製配列位置に移動するロボットを含むことができる。ロボットはマスター配列の物理的な配置を基材上へ正確に複製することができる。所望により、ロボットは組み合わせた物質の一定分量を、マスター配列の配置とは異なる空間的な配置に移動することができる。
【0093】
装置は、加熱器および/またはオーブンを含むことができ、例えば、配列の位置で物質の組み合わせを処理し、乾燥し、または反応させることができる。例えば、複製配列は乾燥機16中で乾燥し、次いで基材を反応させるためにオーブン17へと移動し、例えば、高温で物質を同時に焼結して生成組成物の組み合わせ配列にすることができる。物質および所望の生成組成物に応じて、種々の加熱器を、ある配列位置にある2つまたはそれ以上の物質を、乾燥し、化学的に反応し、溶融し、融合し、結晶化し、または焼結するのに用いることができる。
【0094】
移動装置は、当技術分野で知られている、マスター配列要素を基材上の位置に移動するいずれの方法であってもよい。移動装置は、上記の「複製無機組み合わせ配列の調製方法」の項で記載した装置を含んでいてもよい。移動装置は、ピン先端または毛細管などの移動装置と接触して濡らし、続いてその装置を基材に接触させることによるものでよい。装置の移動手段は、基材表面のマスター配列要素との直接の接触によるものでよい。移動手段は、移動表面のマスター配列要素との接触、続いて移動表面の基材との接触によるものでよい(オフセット印刷)。移動装置はマスター配列の一定分量を、導管を通してマスター配列の位置から基材上の複製配列の位置にポンプ駆動することを含んでもよい。例えば、シッパーチューブ(sipper tube)をロボットによってマスター配列の上部に配置して、マスター配列から一定分量を吸引することができる。一定分量はロボットアームの先端の毛細管、またはX−Yプロッターから出て行くように導管内にポンプ駆動され、複製配列の位置の基材表面上へ放出される。任意の移動手段は、実施態様によっては、手で操作されるピペッターを用いた、技術者によるマスター配列の一定分量の順次的な移動を含む。
【0095】
本発明の装置は、組み合わせの配列の生成組成物の特性を分析するのに、分析装置(検知装置)18を含むことができる。通常興味のある特性は、例えば、光励起および/または組成物吸収と結び付けられた放射プロフィール、蛍光発光、リン光、発光(luminescence)など、電気的応答、例えば電流への抵抗、圧電性の効果、整流作用、誘電特性、光電効果、接合効果、温度での超伝導など、化学的および生物学的触媒活性、結晶核挙動などを含んでいる。分析装置は、例えば抵抗計、蛍光光度計、電圧計、電流計、光度計、電荷結合素子、磁気計、酵素、顕微鏡などを含むことができる。
【実施例】
【0096】
以下の例は説明のために提供されるが、しかしながら特許請求の範囲に記載した本発明を限定するものではない。
実施例1
液体無機物質溶液の配列のプリント
【0097】
無機リン光体の組み合わせ配列を調製し、種々の放射線源による励起後のフォトルミネッセンス特性を分析した。
【0098】
多穴(multi-well)形式での6種の無機物質と他の6種の無機物質との組み合わせを評価するために、無機物質組み合わせの実験を計画した。A群の無機物質を選択し、Sr、Gd、Y、Pb、BiおよびBaとした。B群の無機物質を選択し、B、Ga、Si、Al、MoおよびPとした。安定した硝酸溶液をSr、Ga、およびAlに用いた。ポリマーで安定化した硝酸溶液をGd、Y、Pb、Bi、BaおよびMoに用いた。(NHSiF溶液、(NHPO、およびHBO溶液をSi、P、およびBに、それぞれ用いた。
【0099】
A群の2つの物質の、B群の2つの物質の組み合わせとの種々の組み合わせを、0.05当量のユウロピウム(Eu)とともに多穴の皿(multiwell dishes)中に、多穴プレートにおける手動でのピペット技術によって調製した。結果として得た無機物質の組み合わせのマスター配列を軌道振動(orbital shaking)によって混合した。
【0100】
図2中に示されるように、多穴プレートの液体配列の複製転写を384個の配列位置を有する基材上に並行してプリントした。このことは、96穴プレート中の穴の間隔に見合うように、支持プレート上に取り付けられた96ピン先端21の配列を有する移動ブロック20を用いて達成した。ピンの先端を、全てを同時に組み合わされた無機物質の96個の穴の中へと浸漬し、そして次いでそれらを基材22の表面と接触させ、液体物質の試料をそれぞれの穴から基材へと移動した。更に3回の96穴のプレートからの液体物質の移動を行い、基材の384個の配列位置の集団を完成させた。並行移動プロセスを、基材上に更なる複製配列を調製するために繰り返した。
【0101】
2つの複製基材配列上の液体物質を200℃で、熱板23上で乾燥し、次いで1200℃で、炉(オーブン)24中で加熱して反応(焼結)させ、配列位置で、混合した無機物質を焼結させた。
【0102】
生成組成物のリン光特性を、基材を照射し、そしてそれを光学フィルターを通して観察することによって分析した。配列は、LEDからの光(460nm)、紫外線光、およびX線に応えたリン光の能力で選別した。図3中に示したように、それぞれの配列位置でのリン光のデジタル画像30を採取した。波長の範囲にわたった、リン光強度の分光学的走査31を、それぞれの蛍光体の配列位置について、またそれぞれの励起光源についてプロットした。
【0103】
この実験から取得されたデータのライブラリーは特定の利用に対して期待のもてる蛍光体を選択するために見直すことができる。例えば、無機物質の好ましい組み合わせおよび比率は、UV光での励起に応えたリン光の500nmのピーク強度で識別することができた。無機物質の特定の比率の異なる組み合わせ、例えば、青色LEDでの励起に応えて650nmにリン光のピーク強度を有する組み合わせを見出すことができる。
【0104】
実施例2
複製配列の試験によるプロセスの最適化
溶液の複製配列を、マスター配列から基材へとプリントし、そして複製配列の分析から、好ましい処理条件と蛍光体配合を識別した。
【0105】
物質の組み合わせのマスター配列を、式(A1−X−Y)Zおよび(C1−X−Y)Zを基に、手動で調製し、多穴プレート中に調製した。ここで、A、B、CおよびDは2+価金属イオンであり、そしてZはケイ素またはアルミニウムである。溶液の一定分量の配列をマスター配列から、移動ブロックを用いて、基材上へと並行に移動し、16行掛ける16列の物質の組み合わせの複製配列を用意した。マスター配列の第二の複製配列を第二の基材へと移動した。第一の複製配列を1100℃で焼結し、配列位置において混合した無機物質を反応させ、そして第二の複製配列を1200℃で焼結した。
【0106】
それぞれの基材上の生成組成物の組み合わせ配列を356nmで照射し、そしてデジタルカメラに撮影した。物質の幾つかの混合物は、1100℃では効果的に反応せず、試験した励起および照射波長では有意なリン光を与えなかった(図4の配列40を参照)。しかしながら、無機物質の組み合わせの更なるいくつかの配合は、1200℃で反応させた場合に、引用した条件下で効果的にリン光を発する組成物を生成した(配列41を参照)。いくつかの配合は、1100℃で焼結したときにより高い強度を有しており、また他は1200℃で焼結したときにより高い強度を有した。多くの生成組成物は、反応温度に応じて、異なる照射波長を示した(すなわち、目視検査での明らかな色)。
【0107】
複製配列の複製は、プロセスを改善し、または所望の結果をもたらす物質/条件の組み合わせを選別に用いることができる。複製配列は、例えば、反応温度、反応時間、特定の気体の存在下、もしくは不存在下、など、種々の異なる条件下で処理することができる。結果として得られた生成組成物の配列は、選択された励起波長に応えた特定の波長の照射強度を含めた所望の特性について分析することができる。
【0108】
実施例3
シンチレータライブラリーの調製および分析
組み合わされた無機塩と安定化ポリマーの溶液を、多穴のプレートのマスター配列中に調製し、そして基材へと移動した。組み合わせ物質を焼き(baked)、生成物の蛍光体物質を形成させた。組成物のリン光特性を分析した。
【0109】
安定化溶液を、脱イオン化した50mlの水に溶解した3.5gの安定化ポリマー(PENE)および1.7gのEDTAから調製した。金属塩溶液を安定化溶液と混合して、金属の原液を調製した。原液を、HNOまたはNHOHを用いたpHの適切な調製によって更に安定化させた。金属の原液を、以下の表1中に示した所望の式を与える比率で手動で混合し、組み合わせ物質のマスター配列を、96穴のプレート中に調製した。溶液の同じマスター配列を他の96穴プレート中に調製したが、但し、Ceを3質量%添加した。
【0110】
【表1】

【0111】
96穴のプレート中の溶液を、移動ブロックのピン先端で、並行して移動した。基材を、炉中で約1200℃で6時間焼き(baked)、生成組成物を形成させた。
【0112】
このようにして得たシンチレータ生成組成物の配列を、紫外線光の照射の基に観察した。特定の目的に望ましい強度および色を備えた生成組成物を選択することが可能となる。最適な配合のための更なる選別は、選定した式の、例えば、化合物の比率を軽微に調整した同様の式との比較を含むことができる。選択した式は、実用的な試験および利用のためにスケールアップすることができる。
【0113】
前述の発明は、明瞭とする、また理解することの目的で詳細に記載したが、当業者には、ここでの開示を読むことにより、本発明の真の範囲から離れることなく、形式および詳細における様々な変更をなし得ることが明らかであろう。例えば、上記の多くの組成物、技術および装置は種々の組み合わせで用いることができる。
【0114】
本出願において引用した全ての出版物、特許、特許出願、および/または他の文書は、それぞれの個別の出版物、特許、特許出願、および/または他の文書が、全ての目的において個別に参照により含めると表示されるのと同様に、その全てが全ての目的において参照によって組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、溶液の複製配列を調製するための、また反応および関連する無機生成組成物組み合わせ配列の分析のための例示的なロボット装置の概略図を示している。
【図2】図2は、マスター配列から基材上の複製配列への溶液の並行移動によって複製配列を調製するプロセス工程を示す概略図および画像を示している。
【図3】図3は、蛍光体生成組成物の照射された配列の画像および検知技術の概略図を示している。
【図4】図4は、異なる特性を有する生成組成物の組み合わせ配列を与える異なる条件下で処理された複製配列の画像を示している。
【図5】図5は、複製配列から調製された生成組成物の配列を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液の複製配列を調製する方法であって、
それぞれの溶液がマスター配列中で独自のアドレスを有している、溶液のマスター配列を調製すること、および
マスター配列の複製配列を第一の基材上に移動し、それによって溶液の第一の複製配列を生成すること、を含む方法。
【請求項2】
溶液の複製配列を、固体無機物質の生成物配列へと転換することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
マスター配列の調製が、マスター配列のそれぞれのアドレスにおいて、少なくとも2つの異なる金属化合物を組み合わせることを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
マスター配列が少なくとも8つのアドレスを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
マスター配列のそれぞれの溶液が多穴の皿(multiwell dish)の1つの穴の中に収容されている請求項1記載の方法。
【請求項6】
固体無機物質が、アルミニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタニウム、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジウム、ニッケル、ニオブ、パラジウム、白金、ポロニウム、プラセオジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、ケイ素、銀、ストロンチウム、タンタル、テルル、テルビウム、タリウム、ツリウム、錫、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、およびジルコニウムからなる群から選ばれた1つまたはそれ以上の金属を含む請求項2記載の方法。
【請求項7】
無機物質が酸化型である請求項6記載の方法。
【請求項8】
無機物質がイオン型である請求項6記載の方法。
【請求項9】
基材が、セラミック、ガラス、ケイ素、石英、グラファイト、炭素複合材、ポリマー、プラスチック、複合材、化合物半導体、金属、および金属化合物からなる群から選ばれる請求項1記載の方法。
【請求項10】
溶液のマスター配列の調製が、少なくとも1つの溶液の安定化を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの溶液がポリマーで安定化される請求項10記載の方法。
【請求項12】
溶液の少なくとも1つの成分が安定化ポリマーと結合する請求項11記載の方法。
【請求項13】
ポリマーが、ポリアニオンポリマー、ポリカチオンポリマー、混合イオン性ポリマー、ペプチド、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘパリン、カルボキシル化されたポリエチレンイミン(PEIC)、ポリエチレンオキサイド、高分子電解質、ポリアクリレート、パーフルオロスルホナート、パーフルオロカルボキシレート、アクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリカーボネート、ジエチルアミノエチル−デキストラン、硫酸デキストラン、ポリグルタミン酸、ポリホスファート、ポリボレート、ニトリロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)類、ポリヒスチジン、DMPS、DMSA、DMSO、ビピリジル、エチレングリコールビス2−アミノエチル四酢酸(EGTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルでんぷん(HES)、デキストラン、デキストリン、イヌリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリスチレンからなる群から選ばれる請求項11記載の装置。
【請求項14】
マスター配列の溶液が複製配列へと順次に移動される請求項1記載の方法。
【請求項15】
マスター配列の溶液が複製配列へと並列して移動される請求項1記載の方法。
【請求項16】
並行した移動が、マスター配列を移動ブロックと接触させること、そして次いで基材を移動ブロックと接触させることを含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
基材を約20℃を超える温度にまで加熱することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項18】
溶液の複製配列が、乾燥することによって固体無機物質の生成物配列へと転換される請求項2記載の方法。
【請求項19】
溶液の複製配列が、化学反応によって固体無機物質の生成物配列へと転換される請求項2記載の方法。
【請求項20】
生成物配列中の少なくとも1つの固体無機物質からの信号を検知することを更に含む請求項2記載の方法。
【請求項21】
信号が、電圧の測定、電流の測定、磁気特性の測定、分光法、顕微鏡法、および蛍光透視法からなる群から選ばれた技術を用いて検知される請求項20記載の方法。
【請求項22】
溶液の複製配列を調製する方法であって、
それぞれの溶液が、マスター配列中で独自のアドレスを有する、溶液のマスター配列を調整すること、
それぞれの溶液の少なくとも1部を、マスター配列から第一の基材へと移動して、溶液の第一の複製配列を形成すること、
それぞれの溶液の少なくとも1部を、マスター配列から第二の基材へと移動して、溶液の第二の複製配列を形成すること、
溶液の第一の複製配列を固体無機物質の第一の生成物配列へと転換する第一のプロセスを用いること、
溶液の第二の複製配列を固体無機物質の第二の生成物配列へと転換する第二のプロセスを用いること、および、
第一の生成物配列の少なくとも1つのアドレスからの信号を検知すること、そしてその信号を、第二の生成物配列の対応するアドレスから検知された信号と比較すること、を含む方法。
【請求項23】
第一および第二のプロセスパラメータが、温度、圧力、時間、放射線暴露、化学反応、溶剤暴露、および気体暴露からなる群から選ばれる請求項22記載の方法。
【請求項24】
第一の生成物配列の少なくとも1つのアドレスから検出される信号、および第二の生成物配列の対応するアドレスから検知される信号が、電圧の測定、電流の測定、磁気特性の測定、分光法、顕微鏡法、および蛍光透視法からなる群から選ばれた技術を用いて実施される請求項23記載の方法。
【請求項25】
溶液の複製配列を調製するための装置であって、
それぞれの溶液が、マスター配列中で独自のアドレスを有する、溶液のマスター配列、
溶液のマスター配列からの複製配列を受容する表面を有する基材、
マスター配列の溶液の少なくとも1つを基材の表面へ移動して、複製配列を調製する移動装置、を含む装置。
【請求項26】
溶液の複製配列を固体無機物質の生成物配列へと転換する処理装置を更に含む請求項25記載の装置。
【請求項27】
マスター配列が少なくとも8つのアドレスを含む請求項25記載の装置。
【請求項28】
マスター配列のそれぞれの溶液が多穴の皿の1つの穴の中に収容されている請求項25記載の装置。
【請求項29】
固体無機物質が、アルミニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタニウム、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジウム、ニッケル、ニオブ、パラジウム、白金、ポロニウム、プラセオジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、ケイ素、銀、ストロンチウム、タンタル、テルル、テルビウム、タリウム、ツリウム、錫、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、およびジルコニウムからなる群から選ばれた1つまたはそれ以上の金属を含む請求項26記載の装置。
【請求項30】
無機物質が酸化型である請求項29記載の装置。
【請求項31】
無機物質がイオン型である請求項29記載の装置。
【請求項32】
複製配列の少なくとも1つの溶液が安定化された溶液である請求項25記載の装置。
【請求項33】
安定化された溶液の少なくとも1つが、ポリマーで安定化されている請求項32記載の装置。
【請求項34】
ポリマーが、ポリアニオンポリマー、ポリカチオンポリマー、混合イオン性ポリマー、ペプチド、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘパリン、カルボキシル化されたポリエチレンイミン(PEIC)、ポリエチレンオキサイド、高分子電解質、ポリアクリレート、パーフルオロスルホナート、パーフルオロカルボキシレート、アクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリカーボネート、ジエチルアミノエチル−デキストラン、硫酸デキストラン、ポリグルタミン酸、ポリホスファート、ポリボレート、ニトリロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)類、ポリヒスチジン、DMPS、DMSA、DMSO、ビピリジル、エチレングリコールビス2−アミノエチル四酢酸(EGTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルでんぷん(HES)、デキストラン、デキストリン、イヌリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリスチレンからなる群から選ばれる請求項33記載の装置。
【請求項35】
基材が、セラミック、ガラス、ケイ素、グラファイト、ポリマー、炭素複合材、化合物半導体、金属、および金属含有化合物からなる群から選ばれる請求項25記載の装置。
【請求項36】
移動装置が、マスター配列の溶液アドレスと見合うように間隔を開けた移動プローブの配列を有する移動ブロックを含む請求項25記載の装置。
【請求項37】
移動プローブがピンまたは毛細管を含む請求項36記載の装置。
【請求項38】
溶液の複製配列を固体無機物質の生成物配列へと転換するための処理装置が加熱装置である請求項26記載の装置。
【請求項39】
固体無機物質の生成物配列の少なくとも1つのアドレスからの信号を検出するための検出器を更に含む請求項25記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−508800(P2009−508800A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531410(P2008−531410)
【出願日】平成18年9月18日(2006.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/036285
【国際公開番号】WO2007/035636
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508084191)インテマティックス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】