説明

無機繊維用接着剤

【課題】接着部分の耐熱性の高い接着剤を提供する。
【解決手段】図1に示す、SiO−Al−CaOの状態図において、以下の点A、点8、点18、点19、点20で囲まれる範囲Iを除いた範囲内のSiO、CaO、Alを含み、ただしゼオライトを含まない無機繊維用接着剤。点A:SiO(0%)Al(100%)CaO(0%):点8:SiO(20.8%)Al(79.2%)CaO(0%):点18:SiO(46.3%)Al(35.8%)CaO(17.9%):点19:SiO(31.5%)Al(53.6%)CaO(14.9%):点20:SiO(25.2%)Al(57.5%)CaO(17.3%)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な無機繊維用接着剤、特に生体溶解性無機繊維からなる成形体を接着するのに適した接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
無機繊維は、軽量で扱いやすく、且つ耐熱性に優れるため、例えば、耐熱性のシール材として使用されている。一方、近年、無機繊維が人体に吸入されて肺に侵入することによる問題が指摘されている。そこで、人体に吸入されても問題を起こさない又は起こしにくい生体溶解性無機繊維が開発されている。
これらの生体溶解性無機繊維は、例えばマット、ブロック等の成形体に加工し、接着剤により互いに接着させてから、また接着しながら炉壁等に施工する。生体溶解性無機繊維の成形体は、1100℃以上で使用されるため、接着剤にも同様の耐熱性が求められる。
従来、様々な無機質用接着剤が提案されているが(例えば特許文献1〜5)、生体溶解性無機繊維の成形体用の接着剤は少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−166158号公報
【特許文献2】特開昭59−10345号公報
【特許文献3】特開平10−273625号公報
【特許文献4】特開平7−138081号公報
【特許文献5】特開昭53−99239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の3頁右上欄16行に記載のFF接着剤を、特定組成の生体溶解性無機繊維の成形体に用いたとき、1100℃以上に加熱した場合、接着部分の繊維が溶融し、分離する場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、接着部分の耐熱性の高い接着剤を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究の結果、接着剤に含まれる無機化合物と生体溶解性無機繊維が反応し、その結果無機繊維が溶融し接着部分が剥離しやすくなることを見出した。特に、接着剤に含まれる無機化合物の組成が溶融反応に影響していることを突き止めることで本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の接着剤等が提供される。
1.図1に示す、SiO−Al−CaOの状態図において、
以下の点A、点8、点18、点19、点20で囲まれる範囲Iを除いた範囲内のSiO、CaO、Alを含み、ただしゼオライトを含まない無機繊維用接着剤。
点A :SiO(0%) Al(100%) CaO(0%)
点8 :SiO(20.8%) Al(79.2%) CaO(0%)
点18:SiO(46.3%) Al(35.8%) CaO(17.9%)
点19:SiO(31.5%) Al(53.6%) CaO(14.9%)
点20:SiO(25.2%) Al(57.5%) CaO(17.3%)
2.図1に示す、SiO−Al−CaOの状態図において、
以下の点1、点7、点28、点17、点14、点13で囲まれる範囲II内のSiO、CaO、Alを含む1記載の無機繊維用接着剤。
点1 :SiO(100%) Al(0%) CaO(0%)
点7 :SiO(30.7%) Al(69.3%) CaO(0%)
点28:SiO(51.7%) Al(40.8%) CaO(7.5%)
点17:SiO(64.2%) Al(21.5%) CaO(14.3%)
点14:SiO(64.2%) Al(17.9%) CaO(17.9%)
点13:SiO(58.3%) Al(0%) CaO(41.7%)
3.有機バインダーが、接着剤中に0.5〜10重量%含有される1又は2記載の無機繊維用接着剤。
4.コロイダルシリカが、接着剤中に0〜98重量%含有される1〜3のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
5.前記接着剤が溶媒を含み、
下記式で表わされる、接着剤中に含有される固形分比率が、5〜85重量%である1〜4のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
固形分比率=溶媒を除去した接着剤重量(乾燥後重量)×100/接着剤重量(乾燥前重量)
6.生体溶解性無機繊維を含む成形体を接着するための1〜5のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
7.以下の組成の無機繊維を含む成形体を接着するための1〜5のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
SiOとAlとZrOとTiOとの合計 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 18〜50重量%
8.以下の組成の無機繊維を含む成形体を接着するための1〜5のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
SiO 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 10〜43重量%
9.無機繊維を含む成形体と、1〜8のいずれか記載の無機繊維用接着剤の組み合わせ。
10.1〜8のいずれか記載の無機繊維用接着剤が乾燥又は加熱されて硬化した硬化接着剤。
11.無機繊維を含む成形体が、1〜8のいずれか記載の無機繊維用接着剤又は10記載の硬化接着剤で接着された接着成形体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着部分の耐熱性の高い接着剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の接着剤を示すSiO−Al−CaO状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の接着剤は、図1に示すSiO−Al−CaOの状態図において、点A、点8、点18、点19、点20で囲まれる範囲Iを除いた範囲内の組成(重量%)で、SiO、CaO、Alを含む。尚、この状態図は、SiO、CaO、Alの合計を100%としている。
この組成にある接着剤は、高温において無機繊維と相互作用して溶解し難い。これは、接着剤中に含有される無機成分が繊維と溶解反応しないためと考えられる。
【0010】
図1において、好ましいSiO、CaO、Alの範囲を以下に例示する。
[範囲II]
点1、点7、点28、点17、点14、点13で囲まれる範囲
[範囲III]
点1、点13、点54、点58、点21、点28、点7で囲まれる範囲
[範囲IV]
点1、点22、点23、点27、点61、点26、点60、点57、点21、点28、点7で囲まれる範囲
【0011】
上記の範囲であって、好ましくはSiOを10%以上、より好ましくは20%以上、さら好ましくは30%以上、特に好ましくは50%以上含む。また100%以下、98%以下又は95%以下としてよい。尚、特記しない限り、本明細書では含有量を示す%は重量%を意味する。
CaOは、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、さら好ましくは40%以下含む。また0%以上、3%以上又は5%以上としてよい。
Alは、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、さら好ましくは40%以下含む。また0%以上、3%以上又は5%以上としてよい。
【0012】
本発明の接着剤は、無機成分はSiO、CaO、Alのみから構成されていてもよいし、SiO、CaO、Alの他、NaO,S,Cl等を微量(例えばSiO、CaO、Al総量に対し3%又は2%以下)含むことができる。例えばNaOを0.5〜2.0%、他を0.1〜1.0%含む。NaOは、コロイダルシリカ、無機化合物、有機バインダー由来で含まれる。
本発明の接着剤は、MgO、無機質マイクロバルーン、ゼオライトを含む必要はない。
【0013】
本発明の接着剤は、好ましくは無機バインダーを含む。無機バインダーとして、粘土鉱物、コロイダルシリカ等が挙げられる。1種又は2種以上用いることができる。接着剤の強度が高まるためコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカの好適な含有量は、接着剤100重量%中、0〜98重量%、より好ましくは0〜65重量%である。
【0014】
本発明の接着剤は、さらに、必要に応じ、無機成分の他、有機バインダーや溶媒を含む。有機バインダーは、例えば、セルロース系(カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC))、アルブミン、カゼイン、アルギン酸、寒天、澱粉、多糖類、ビニル系、ビニリデン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリグリコール系、ポリビニルアルコール系、ポリアルキレンオキサイド系、ポリアクリル酸系の各化合物等が挙げられる。好ましくはセルロース系である。1種又は2種以上用いることができる。有機バインダーの量は、好ましくは、接着剤100重量%中で、0〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0015】
溶媒として、極性有機溶媒及び水が挙げられ、例えば、極性有機溶媒としては、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール類やエチレングリコール等の2価のアルコール類、水としては蒸留水、精製水、イオン交換水、工業用水、水道水、地下水等が挙げられる。1種又は2種以上用いることができる。これら溶媒は特に制限されるわけではないが、作業環境、環境負荷の面から水が好ましい。
【0016】
溶媒の量は、好ましくは、接着剤100重量%中で15〜95重量%、より好ましくは18〜92重量%である。
【0017】
本発明の接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、上記の成分の他、水ガラス、鉄粉、SUS粉、パルプ、防腐剤等を含むことができる。
【0018】
下記式で示される接着剤中に含有される固形分比率は、通常5〜85重量%、好ましくは8〜71重量%である。
固形分比率=溶媒を除去した接着剤重量(乾燥後重量)×100/接着剤重量(乾燥前重量)
【0019】
本発明の接着剤は、SiO、CaO、Alが上記の組成となるように、原料の量を調整し、混合して製造できる。
接着剤の製造方法は、室温下で各材料を混合してもよいし、加熱しながら混合してもよいし、予め加熱した材料等を投入し混合してもよい。攪拌機を複数用いることもできる。
【0020】
無機化合物(鉱物等)やバインダー等の原料に含まれるSiO、CaO、Alを合わせて上記の組成となればよい。
SiOの原料として、シリカ、コロイダルシリカ、ワラストナイト(CaSiO)、ムライト(3Al・2SiO)、カオリナイト、マイカ、タルク、ベントナイト、クレー等を用いることができる。
CaOの原料として、上記の他、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナセメントを用いることができる。
Alの原料として、上記の他、アルミナ、アルミナゾル、カオリナイト、タルク、マイカ、アルミナセメントを用いることができる。
好ましくはシリカ、コロイダルシリカ、ワラストナイト、ムライト、アルミナ、カオリナイト、ベントナイトを組み合わせて製造する。
【0021】
本発明の接着剤に含まれる成分の平均粒径は、原料に由来する。例えば、溶融シリカ、アルミナ、ムライト、炭酸カルシウム等は、10μm未満(例えば0.1〜8μm)であり、ワラストナイト等は、30μm超(例えば33〜58μm)である。
【0022】
接着剤の粘度は、固形分濃度、粒径、有機バインダーの量等により影響を受けるが、通常1,000〜50,000cPである。
【0023】
上記の接着剤を用いて、無機繊維からなる2以上の成形体を接着させることができる。成形体はペーパー、ブロック、ボード、マット、フェルト等どのような形状でもよい。接着後、接着剤を乾燥させることにより接着を強固にできる。このようにして接着した成形体は、高温で使用しても、接着が保持される。
【0024】
本発明の接着剤は、無機繊維、特に生体溶解性無機繊維を含む成形体を接着するのに適している。具体的には、以下の組成の無機繊維を含む成形体を接着するのに適している。
SiOとAlとZrOとTiOとの合計 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 18〜50重量%
【0025】
また、以下の組成の無機繊維を含む成形体を接着するのに適している。
SiO 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 10〜43重量%
【0026】
生体溶解性繊維は、MgOを多く含むMgシリケート繊維と、CaOを多く含むCaシリケート繊維に大別できる。Mgシリケート繊維として以下の組成を例示できる。
SiO 66〜82重量%
CaO 1〜9重量%
MgO 10〜30重量%
Al 3重量%以下
他の酸化物 2重量%未満
【0027】
Caシリケート繊維として以下の組成を例示できる。以下の組成の繊維は加熱後の生体溶解性、耐火性に優れる。このような繊維は従来の接着剤では溶解して接着が剥がれてしまうが、本発明の接着剤では剥がれない。即ち、本発明の接着剤は、このような繊維に特に効果的である。
SiO 66〜82重量%(例えば、68〜80重量%、70〜80重量%、71〜80重量%又は71〜76重量%とできる)
CaO 10〜34重量%(例えば、20〜30重量%又は21〜26重量%とできる)
MgO 3重量%以下(例えば、1重量%以下とできる)
Al 5重量%以下(例えば3.5重量%以下又は3重量%以下とできる。また、1重量%以上又は2重量%以上とできる)
他の酸化物 2重量%未満
【0028】
上記の無機繊維は、他の酸化物として、アルカリ金属酸化物(KO、NaO等)、Fe、ZrO、TiO、P、B、R(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)等を1以上含んでもよく、含まなくてもよい。他の酸化物は、それぞれ、0.2重量%以下又は0.1重量%以下としてよい。
また、SiO、CaO、MgO、Alの合計を98wt%超又は99wt%超としてよい。
【0029】
なお、生体溶解性繊維は、SiOと、アルカリ土類金属酸化物(例えば、MgO及びCaOの少なくとも一方)と、に加えて、さらに他の成分を含有してもよい。例えば、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)、酸化カリウム(KO)からなる群より選択される1種又は2種以上をさらに含有してもよい。
【0030】
生体溶解性無機繊維は、例えば、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維である。
生理食塩水溶解率は、例えば、次のようにして測定される。すなわち、先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ(容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転の水平振動を50時間継続して加える。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素の濃度(mg/L)をICP発光分析装置により測定する。そして、測定された各元素の濃度と、溶解前の無機繊維における各元素の含有量(質量%)と、に基づいて、生理食塩水溶解率(%)を算出する。すなわち、例えば、測定元素が、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)である場合には、次の式により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する;C(%)=[ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100]/[溶解前の無機繊維の質量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100]。この式において、a1、a2、a3及びa4は、それぞれ測定されたケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの濃度(mg/L)であり、b1、b2、b3及びb4は、それぞれ溶解前の無機繊維におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの含有量(質量%)である。
【0031】
成形体は、無機繊維の他、有機バインダー、無機バインダー、無機化合物等を含むことができる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、通常使用されているものを使用できるが、有機バインダーとして、澱粉、アクリルエマルジョン、パルプ、紙力増強剤、有機繊維、凝集剤等が、無機バインダーとして、コロイダルシリカ、アルミナゾル、粘土鉱物、アルミニウム塩、等が例示できる。
【0032】
本発明の接着剤は、塗布した成形体同士を接着することである程度の接着性を発現することができるが、乾燥又は焼成することで接着剤が硬化して、より強固な接着ができる。
本発明の接着剤は、成形体と組み合わせて(キットとして)提供できる。
【実施例】
【0033】
実施例1
[接着剤の製造]
溶融シリカ24重量%、コロイダルシリカ(無機バインダー)21重量%、CMC(有機バインダー)(サンローズ、日本製紙ケミカル社製)1.7重量%、水(溶媒)53重量%、防腐剤(デルトップ、日本エンバイロケミカルズ社製)0.3重量%(配合1)を混合して、接着剤を製造した。
得られた接着剤に含有される無機成分の組成は、SiO98重量%、Na1.1重量%、その他0.9重量%であった。接着剤に含有される無機成分は、接着剤を乾燥、焼成し、溶媒及び有機バインダーを除去した成分である。得られた無機成分は、蛍光X線分析により測定して組成を求めた。粘度をB型粘度計で測定したところ約30〜40Pa・Sであった。
【0034】
[接着部の評価]
生体溶解性繊維(SiO含有量が74質量%、CaO含有量が25質量%、MgO含有量が0.3質量%、Al含有量が2質量%)からなる縦7200mm、横600mm、厚み25mmのブランケットを製造した。
このブランケットから長さ150mm×横50mm×厚さ25mmに切り出し、接着試験用サンプルを2つ用意した。2つのサンプルのそれぞれ横50mm×厚さ25mmの面に接着剤を満遍なく塗布し、塗布した2つの面を接着した。その後、105℃で8時間乾燥した後、1200℃で24時間加熱して接着部を目視で観察した。接着部の破壊試験としては、引張試験又は3点曲げ試験を実施した。
【0035】
接着剤が塗布できないサンプルは塗り性を×、滑らかに塗布できるサンプルは◎とした。
乾燥後(加熱前)にすでに接着していないサンプルは×、乾燥後の破壊試験においてサンプルが破壊せずに接着剤の界面で剥離するサンプルは○、乾燥後の破壊試験においてサンプルが破壊するサンプルは◎とした。
加熱後にすでに接着していないサンプルは×、加熱後の破壊試験においてサンプルが破壊せずに接着剤の界面で剥離するサンプルは○、加熱後の破壊試験においてサンプルが破壊するサンプルは◎とした。
破壊試験において、◎のサンプルは、サンプルが破壊することから、○のサンプルよりも接着強度が優れているといえる。ただし、○のサンプルが実用上に使用できないことではない。
評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例2〜45、比較例1〜5
[接着剤の製造と評価]
実施例1と同様にして、表1〜5に示す配合で接着剤を製造し、評価した。評価結果を表1〜5に示す。
【0037】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の接着剤は、無機繊維からなる成形体を接着するのに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1に示す、SiO−Al−CaOの状態図において、
以下の点A、点8、点18、点19、点20で囲まれる範囲Iを除いた範囲内のSiO、CaO、Alを含み、ただしゼオライトを含まない無機繊維用接着剤。
点A :SiO(0%) Al(100%) CaO(0%)
点8 :SiO(20.8%) Al(79.2%) CaO(0%)
点18:SiO(46.3%) Al(35.8%) CaO(17.9%)
点19:SiO(31.5%) Al(53.6%) CaO(14.9%)
点20:SiO(25.2%) Al(57.5%) CaO(17.3%)
【請求項2】
図1に示す、SiO−Al−CaOの状態図において、
以下の点1、点7、点28、点17、点14、点13で囲まれる範囲II内のSiO、CaO、Alを含む請求項1記載の無機繊維用接着剤。
点1 :SiO(100%) Al(0%) CaO(0%)
点7 :SiO(30.7%) Al(69.3%) CaO(0%)
点28:SiO(51.7%) Al(40.8%) CaO(7.5%)
点17:SiO(64.2%) Al(21.5%) CaO(14.3%)
点14:SiO(64.2%) Al(17.9%) CaO(17.9%)
点13:SiO(58.3%) Al(0%) CaO(41.7%)
【請求項3】
有機バインダーが、接着剤中に0.5〜10重量%含有される請求項1又は2記載の無機繊維用接着剤。
【請求項4】
コロイダルシリカが、接着剤中に0〜98重量%含有される請求項1〜3のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
【請求項5】
前記接着剤が溶媒を含み、
下記式で表わされる、接着剤中に含有される固形分比率が、5〜85重量%である請求項1〜4のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
固形分比率=溶媒を除去した接着剤重量(乾燥後重量)×100/接着剤重量(乾燥前重量)
【請求項6】
生体溶解性無機繊維を含む成形体を接着するための請求項1〜5のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
【請求項7】
以下の組成の無機繊維を含む成形体を接着するための請求項1〜5のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
SiOとAlとZrOとTiOとの合計 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 18〜50重量%
【請求項8】
以下の組成の無機繊維を含む成形体を接着するための請求項1〜5のいずれか記載の無機繊維用接着剤。
SiO 50〜82重量%
CaOとMgOとの合計 10〜43重量%
【請求項9】
無機繊維を含む成形体と、請求項1〜8のいずれか記載の無機繊維用接着剤の組み合わせ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか記載の無機繊維用接着剤が乾燥又は加熱されて硬化した硬化接着剤。
【請求項11】
無機繊維を含む成形体が、請求項1〜8のいずれか記載の無機繊維用接着剤又は請求項10記載の硬化接着剤で接着された接着成形体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−211209(P2012−211209A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67079(P2011−67079)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【特許番号】特許第4814402号(P4814402)
【特許公報発行日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】