説明

無機質系発泡体を基材とする建材などの構造材

【課題】無機質系充填材を主材とする発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆屠を形成することにより、非燃性、軽量、非吸水性(独立気泡)、断熱性、耐久度にすぐれ、金属性の美麗な外観と強度を有する建材などの構造材を提供する。
【解決手段】無機質系充填材を主材とした発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆層を形成したことを特徴とする建材などの構造材として、非燃性、軽量、非吸水性(独立気泡)、断熱性、耐久度にすぐれ、金属性の美麗な外観と、強度を有する建材などの構造材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、すぐれた外見を持つ美観、耐久性、非燃性の無機質系発泡体を基材とする建材などの構造材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
独立気泡を持った発泡体は軽量で断熱性があるので、建物や各種機械、電気的設備・装置などの断熱材などとして用いられる。しかしその表面は粗雑であって仕上げ面ではなく、それは専ら外観上、見えない箇所、隠れた箇所に用いられており、建築物の外側などに施すには適していない。また強度の上からは構造材として充分な材料ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、無機質系充填材を主材とする発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆層を形成することにより、非燃性、軽量、非吸水性(独立気泡)、断熱性、耐久度にすぐれ、金属性の美麗な外観と強度を有する建材などの構造材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
無機質系充填材を主材とした発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆層を形成したことを特徴とする建材などの構造材、ニトリルブタジエンゴムなどのエラストマー樹脂、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機質充填材に、イソシアネートを混合して得た混合物を、混練し、加圧、加熱して得られるコンパウンドに、水を浸透させるることにより、成分中のイソシアネートが加水分解し、炭酸ガス、窒素からなるガス体が発生して発泡現象が生じて前記コンパウンドが膨張し、成形された不燃性・難燃性を有する独立気泡の発泡体の基材に、金属溶射によって該基材面に緻密な金属被膜を形成したことを特徴とする建材などの構造材、無機質系充填材を主材とし、塩化ビニール樹脂、適宜の添加剤を加えて混練してコンパウンドを作成し、金型内において加熱発泡させて形成する発泡体の基材に、金属溶射によって基材面に緻密な金属被膜を形成したことを特徴とする建材などの構造材、発泡体の基材にカーボンなどをを加えたことを特徴とする前記記載の建材などの構造材、最上面にセラミック塗装などの塗膜層を形成したことを特徴とする前記記載の建材などの構造材の構成とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明は、無機質系充填材を主材とした発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆層を形成したことを特徴とする建材などの構造材として、たとえば建材として表面の金属層による美観、耐久性、強度、不燃、難燃性を兼備した建材となる、すなわちこの発明の発泡体の基材は、不燃性または難燃性であり、軽量で吸水性がなく、それは建築物に用いても、火災時に燃える恐れがなく、後述の実施例1においてはとくに有害なガスの発生の恐れもない。したがって閉鎖性の場所で、火災時の燃焼による有害ガスの発生が危惧される箇所の建築物などの建材としてとくに有効である。またこの発明による発泡体の基材は電波シールド性能を有しているが、その上に重ねて施すセラミックなどの塗膜層によって電波シールド性能を増し、またコンパウンド中にカーボンなどの導電体を加え、金属被膜と相挨ってすぐれた電波吸収性能を有することとなる。これらは火災時に燃える恐れがなく、有害ガスの発生の恐れもないので、閉鎖性の強い場所で、火災時の燃焼による有害ガスの発生を恐れる建築物に用いることによって有用であり、また道路などの側壁建造物の電波吸収材、電波シールド材として有用である。例示すれば各病院、各研究所などの各種建築物のコンピュータルームの周辺部に用いたり、地下駐車場、トンネル内などで、自動車用電波情報交換エリヤの不要電波吸収材または電波シールド材として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ニトリルブタジエンゴム、水酸化マグネシウム、イソシアネートを混合し、必要に応じてカーボンを加える。一例としてニトリルブタジエンゴム、水酸化マグネシウム、イソシアネートを1:2.5:3.3の割合(重量部)、カーボンを加える場合は1:2.5:3.3:0.7の割合(重量部)とする。これらを混合した後、加圧、加熱して得られたコンパウンドに、水を浸透させることにより、成分中のイソシアネートが分解し、炭酸ガスと窒素からなるガス体が発生し、発泡現象が起きてコンパウンドが膨張し、成形された発泡体の基材を得る。その後、常温による養生と加熱後処理を行い、所定の寸法の基材とする。つぎにこの基材にアーク溶射、すなわち二本の金属ワイヤーを電極としてアーク放電させ、溶融した霧状の微粒子金属を、高速エアーで前記基材に吹き付けて、基材面に緻密な金属被膜を形成させて非粗面化処理を行い、仕上げ面を形成し、建材などの構造材とする。
【実施例1】
【0007】
ニトリルブタジエンゴム、水酸化マグネシウム、イソシアネートを混合し、必要に応じてカーボンを加える。一例としてニトリルブタジエンゴム、水酸化マグネシウム、イソシアネートを1:2.5:3.3の割合(重量部)、カーボンを加える場合は1:2.5:3.3:0.7の割合(重量部)とする。これらを混合した後、ニーダーによって混練し、その後、加圧、加熱して得られたコンパウンドを、金型(適宜、小孔が設けてある)に充填し、それを用意した水槽内に投じる。水槽内では、漸次、前記のコンパウンドに水が浸透することにより、成分中のイソシアネートが分解し、ガス(主として炭酸ガスと窒素からなるガス体)が発生し、発泡現象が起きる。この際の気泡は独立気泡である。これによりコンパウンドが膨張し、成形された発泡体を得る。その後、常温による養生と加熱後処理を行う。なお、上記において、水酸化マグネシウムに代えて、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムそれぞれを、または双方を用いることもできる。その場合、一例として、ニトリルブタジエンゴム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、イソシアネートを、1:1:3.7:1.8の割合(重量部)とする。
【0008】
この発泡体は容易にスライスすることができ、適宜の寸法の裁断片を得ることが容易であり、これによって図1に示すように所定の寸法の基材(A)とする。なおエラストマー樹脂と無機質系充填材の比率を適宜変えることにより、不燃性または難燃性となる。つぎに図2に示すように基材(A)に電気を用いたアーク溶射、すなわち二本の金属ワイヤー(アルミニウム、亜鉛材などからなる)を電極としてアーク放電させ、溶融した霧状の微粒子金属を、高速エアーで基材(A)に吹き付けて、基材面に緻密な金属被膜(a)[厚さ40〜150ミクロン程度]を形成させ、非粗面化処理を行い建材などの構造材とする。ここで基材(A)と金属被膜(a)とは強固に固定されることとなる。同様にガスを用いたフレーム溶射(ガス燃焼によって金属を溶融させ、それを溶射する手法)を用いることもできる。基材(A)は高温に耐えることができるので、それら金属溶射の手法を幅広く利用することができる。
【0009】
図3はさらに最上層にセラミックなどの塗装を行い塗膜層(b)を形成したものである。その際、前記金属被膜(a)は該塗膜層(b)をやはり強く固定することができる。この塗装処理としては光触媒剤を用いてもよい。これらの金属溶射、セラミック塗装などの工程を加えることにより、不燃、強度、電気的性能の度合を逐次、高めることができるわけである。前述の金属溶射による金属被膜(a)によって、この構造材は電導体を形成し、電波シールド材、静電気防止材としても利用可能である。
【実施例2】
【0010】
無機質系充填材を主材とし、塩化ビニール樹脂、適宜の添加剤を加えて混練してコンパウンドを作成し、金型内において加熱発泡させて形成する発泡体の基材に、同じくアーク溶射によって基材面に緻密な金属被膜を形成して建材などの構造材とする。
【産業上の利用可能性】
【0011】
この発明は、無機質系充填材を主材とする発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆層を形成したことを特徴とするところの、軽量で、表面の金属層による美観、耐久性を有し、不燃、難燃性の建材などの構造材を提供する。建材製品としては不燃要求個所に用いる外断熱外装材、外断熱下地材、タイル仕様での内外装材、屋上断熱材、床下断熱材、地下街などに用いる断熱材などに適し、その他、車両構成材、ケース、遊具、救命具、太陽光などの遮光材・反射材などに用いられる。
【0012】
またアルミセラミックなどの金属塗装による表面仕上げを施したものは、外断熱外装材としてすぐれた材質となる。
【0013】
さらにまた電波障害対策として、この発明の構造材は表面に金属被膜を基材に一体化した、断熱を兼備した構造材とすることができる。
【0014】
この発明の構造材は、板状に限らず、円形、角形の柱状でもよく、また適宜の形状に構成することもできるので、その各特性を生かして、仮設住宅などのパネル材、各種の置物、装飾品、海岸に設ける救命用柵、海浜に備える救命具を兼ねた椅子など多用途、多方面に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の構造材を構成する基材の斜視図。
【図2】図1の基材に溶射による金属被膜を施したこの発明の構造材の斜視図。
【図3】この発明の構造材に塗装を施した例の構造材の斜視図。
【符号の説明】
【0016】
(A)基材
(a)金属被膜
(b)塗膜層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機質系充填材を主材とした発泡体を基材とし、その表面に金属溶射による金属被覆層を形成したことを特徴とする建材などの構造材。
【請求項2】
ニトリルブタジエンゴムなどのエラストマー樹脂、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機質充填材に、イソシアネートを混合して得た混合物を、混練し、加圧、加熱して得られるコンパウンドに、水を浸透させるることにより、成分中のイソシアネートが加水分解し、炭酸ガス、窒素からなるガス体が発生して発泡現象が生じて前記コンパウンドが膨張し、成形された不燃性・難燃性を有する独立気泡の発泡体の基材に、金属溶射によって該基材面に緻密な金属被膜を形成したことを特徴とする建材などの構造材。
【請求項3】
無機質系充填材を主材とし、塩化ビニール樹脂、適宜の添加剤を加えて混練してコンパウンドを作成し、金型内において加熱発泡させて形成する発泡体の基材に、金属溶射によって基材面に緻密な金属被膜を形成したことを特徴とする建材などの構造材。
【請求項4】
発泡体の基材にカーボンなどを加えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の建材などの構造材。
【請求項5】
最上面にセラミック塗装などの塗膜層を形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の建材などの構造材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−240971(P2006−240971A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92722(P2005−92722)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(394015383)東洋オートメーション株式会社 (7)
【出願人】(305012197)
【出願人】(305012201)日本環境テクノロジー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】