説明

無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルム

無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルム100は複数の有機材料の層104と交互に配置された複数の無機材料の層102を有する。そのようなバリアフィルムは、ゾル−ゲル化学に基づいたナノ複合体の自己集合技術を用いて製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバリアフィルムに関し、より詳細には多層バリアコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に対して感受性の高い多くの製品は、水、酸素及びその他の気体に対して大いに不透過性である一方で軽量かつ耐久性を維持するバリアが必要とされる。例えば、光電子デバイスはその有用な動作寿命を延ばすために透明なバリア材料を必要とする。現在のところ、ガラスが透明なバリア材料として使用されている。残念なことに、ガラスは多くの場合望ましくない。それは、壊れやすいか、重いか、又はその両方の理由による。プラスチックはより軽量であり、かつ壊れ難い材料である。残念なことに、市販のプラスチックは多くの光電子の用途に対して環境的に耐え得るのに所望であるレベルに欠ける。
【0003】
例えば、耐久性を備えたデバイスを構築するために、ポリマーベースのLEDの活性要素は、10−5cc/m/日のような低いレベルの酸素透過性と、10−6g/m/日まで低いレベルの水蒸気透過性とを備えたバリア層を組み込む必要がある。ポリエチレンテレフタレート(PET)の0.178mm(7ミル)の厚みのコーティングは8.7cc/m/日の酸素透過速度と、10g/m/日の水蒸気透過性と、を有する。Alcarのような最先端のプラスチックは7cc/m/日及び0.016g/m/日の酸素及び水蒸気の透過性レベルをそれぞれ備えることにより構成部品を保護する。
【0004】
Al、SiO、Al及びSiのような無機材料の薄膜の単一バリアコーティングがバリア不透過性を改善するためにポリマー基質上に真空堆積され得る。そのような単一層コーティングは酸素及び水蒸気の透過性を、それぞれ約10−3cc/m/日及び10−3g/m/日のレベルまで低下させる。
【0005】
多層バリアコーティングは、凝集バリア特性を更に改善するために二つのポリマー層の間に無機層が配置された「サンドイッチ」法を用いて開発されてきた。シーツ(Sheats)及びその共同研究者は無機層として35nmの厚みの窒化ケイ素を、ポリマー材料として1ミクロンの厚みのアクリル酸塩の層を使用して、1.8×10−7g/m/日の水蒸気透過速度を備えたバリアを達成し、それは大部分の光電子デバイスに対する要求より約40倍も優れている(米国特許第6146225号明細書)。しかしながら、この材料は、光学的には透明ではなく、ある種の用途のみの使用に制限される。
【0006】
より最近では、グラフ(Graff)及びその共同研究者は、各スタックがスパッタ蒸着された40nmの金属酸化物、金属窒化物又は金属炭化物のバリア層と、それに続く、フラッシュ蒸発法による1ミクロンのアクリル酸塩ポリマー、又はフラッシュ蒸発法によるプラスチックから構成された多層薄膜を含むマルチスタックのアプローチを用いてバリア材料を開発した(米国特許第6413645号明細書、米国特許第6573652号明細書、米国特許第6623861号明細書)。これらのマルチスタックバリアフィルムは既存の多くの開発された材料と比較して有用な耐環境性を備えてはいるものの、真空ベースによる製造は、特にマルチスタックコーティングに対しては時間がかかり、かつ比較的費用を要する。更に、真空ベースの蒸着法は、コーティングが配置される領域(該領域は蒸着チャンバより小さくする必要がある)が制限され、そのことによりより広い領域を備えたデバイスに対するそれらの使用が制限される。加えて、フラッシュ蒸発法及びスパッタ蒸着法は広い表面積、特に生来的に湾曲部を備えた平坦ではない基質(或いは平坦な三次元のバリア保護ターゲット)に均一なコンフォーマルコーティングを提供することができない傾向にある。環境の範囲において効果的な耐環境性を備えた広い面積に、均一で、安価なコンフォーマルコーティングを提供する多層の透明かつ耐久性を備えたフィルムを有することは望ましいであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当該技術分野において上述の欠点を克服したバリアフィルム及び該フィルムを形成する対応する方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルム並びに該フィルムを形成する方法及び該フィルムからなる製品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の示唆は添付された図面とともに以下に記載された詳細な説明を考慮することにより容易に理解されるであろう。
【0010】
以下に示す詳細な説明は例示の目的に対して多くの特殊な説明を含んでいるが、当業者は以下の詳細な説明に対する多くの変更例及び代替例が本発明の請求の範囲内にあることは理解するであろう。従って、以下に記載された本発明の例示的な実施形態は、クレームされた発明に対していかなる一般性を失うことなく、かつ該発明に制限を加えることなく記載されている。
【0011】
本発明の実施形態は、無機/有機ハイブリッドバリアナノラミネートフィルムと該フィルムを形成する方法に関する。図1に概略的に示されるフィルム100は一般的には、有機材料102と無機材料104の層が交互に積層された複数の層を含む。無機層102及び有機層104の厚みは、約0.1nm乃至約1nm、約1nm乃至約10nm又は約1nm乃至約100nmである。無機層102はケイ酸塩であり得るが、その他の無機材料は以下に記載されるような適切なアルコキシドから形成され得る。バリアフィルム100は無機層102と有機層104の数、厚み及び組成を適切に選択することによりほぼ透明に形成され得る。明瞭にするために図1においては比較的少数の層からなるものが示されているが、典型的なデバイスのためのバリアフィルムは、例えば数千のような更に多数の層を有する。
【0012】
有機層104は、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルスルホン(PES)のようなポリマーである。加えて、スチレンポリマー前駆体、メチルスチレンポリマー前駆体、(メタ)アクリレートポリマー前駆体、これら前駆体のフッ素化及び非フッ素化形の両方及びこれらの前駆体の二つ以上の組み合わせから創製されるポリマーは有機層104として使用され得る。これらの有機材料はそれらの優れた熱的特性及び優れたガスバリア特性から望ましい。更に、例えば、最上層110のような一つ以上の有機層104は選択的にフルオロアルキルシランのような超撥水層であり得る。フルオロアルキルシランの薄膜は、例えば、アキラナカジマ(Akira Nakajima)らによる「自己洗浄特性を備えた透明な超撥水薄膜(Transparent Superhydrophobic Thin Films with Self−Cleaning Properties」、ラングミュア(Langmuir)2000、第16巻、7044−7047頁、に記載されており、当該刊行物は本明細書において参照により援用される。
【0013】
バリアフィルム100の層構造は、経路108により示されるような層の界面にて、水又は酸素が、例えばピンホール及び/又は間隙を介して該バリアフィルムを貫通してその下層側にある基質106まで到達するための長い経路を提供する。ナノラミネートバリアフィルム100の酸素及び水蒸気に対する透過性は層の数を変更することにより調整され得る。バリアフィルム100内において数百乃至数千の無機層102及び有機層104が互いにかみ合ったものを用いることにより、ナノラミネート内にランダムに配置されたピンホールと組み合わせられた多数の層は、水蒸気及び酸素のような分子がバリアフィルム100の外側にある環境から進入するための曲がりくねった経路を形成する。層が多くなれば多くなるほど、分子を透過させるための経路がより曲がりくねったものになる。従って、層が多くなれば多くなるほど、水蒸気及び酸素に対するバリアフィルム100の透過性は小さくなる。本発明の実施形態において、複合バリアフィルム100には、100以上、1000以上、10000以上、100000以上又はそれ以上の個々の層が存在している。
【0014】
更に、得られた有機層104の疎水性を調整(増大及び/又は低減)して、該バリアフィルム100の透過性を調整するために、有機層104を形成するために使用されるポリマー前駆体には疎水基が組み込まれるか、或いは該疎水基が取り除かれる。例えば、それらに限定されるものではないがメチル基及びベンジル(芳香族)基のような非極性の疎水基がポリマー前駆体に結合される。一般的に、イオン強度が増大すると、疎水的な相互作用は増大する。例えば、以下に記載されるアニオン及びカチオンは、非常に好ましい疎水性相互作用を示すものから疎水性相互作用を低減させるものという順序にて列挙されている。
【0015】
アニオン:PO3−、SO2−、CHCOO、Cl、Br、NO、ClO、I、SCn
カチオン:NH、Rb、K、Na、Cs、Li、Mg2+、Ca2+、Ba2+
【0016】
これらのアニオン及び/又はカチオン及び/又は類似の化合物の任意のものがポリマー前駆体に組み込まれ、疎水性の調整されたポリマーが得られる。
加えて、トリプトファン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、バリン、メチオニン、及びアラニンのような疎水性アミノ酸がポリマー前駆体の側鎖として使用され得る。
【0017】
更に、ジェミニ型界面活性剤(又は、二本鎖型界面活性剤と称される)は非常に反応性に富み、構造指向剤として使用される。ジェミニ型界面活性剤は、分子中に二つの親水性の頭部基と二つの疎水基とを有し、単一の親水基と単一の疎水基とのみを有する従来の界面活性剤とは相異なる。
【0018】
層の数及び組成を適切に選択することにより、バリアフィルム100の酸素透過性は、約1cc/m/日、0.1cc/m/日、0.01cc/m/日、10−3cc/m/日、10−4cc/m/日、10−5cc/m/日、10−6cc/m/日、又は10−7cc/m/日未満に形成され得る。同様に、バリアフィルム100の水蒸気透過性は、約1g/m/日、0.1g/m/日、0.01g/m/日、10−3g/m/日、10−4g/m/日、10−5g/m/日、10−6g/m/日、又は10−7g/m/日未満に形成され得る。
【0019】
ナノラミネートバリアフィルム100は、ゾル−ゲル法を用いた自己集合による単一の工程(又は、少数の連続工程)からなる方法により形成される。ゾル−ゲル法を用いたナノ複合材料の自己集合は、例えばブリンカ(Brinker)らによる米国特許第6264741号明細書に記載されており、当該特許の全体が参照により援用される。概して、ゾルは、一つ以上のアルコキシド、アルコール、水及び希塩酸(HCl)を混合し、得られた混合物を加熱することにより調製される。次に、カップリング剤が該混合物に加えられ、次に界面活性剤(又はジェミニ型界面活性剤)が加えられるが、当該界面活性剤の初期濃度が臨界ミセル濃度未満となるのに十分な量にて加えられる。次に、例えばPEN、PEEK、又はPESの形成に適したモノマーのような一つ以上のポリマー前駆体が加えられ、次に架橋剤及び反応開始剤が加えられる。代替的に、ポリマー前駆体は、スチレンポリマー前駆体、メチルスチレンポリマー前駆体、(メタ)アクリレートポリマー前駆体、これら前駆体のフッ素化及び非フッ素化形のいずれか及びこれらの前駆体の二つ以上の組み合わせを含む。基質はゾルでコーティングされ、アルコールが蒸発される。アルコールの蒸発により自己集合反応を引き起こし、図1に関して記載された多層バリア構造を形成する。
【0020】
適切なアルコキシドは、中心元素Xの周囲に構造化される。適切な中心元素Xは、Al、B、Ba、Pb、Se、Si及びSnを含む。その他の適切な中心元素Xは、例えば、Ag、Au、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ir、Mn、Mo、Nb、Ni、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、Zr等のような遷移元素を含む。例えば、シリコン(Si)ベースの無機層102に対して、適切なアルコキシドの例としては、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)のようなポリシロキサンを含む。例えば、チタニウム(Ti)ベースの無機層102に対して、適切なアルコキシドの例としては、チタニウムエトキシド又はチタニウムイソプロポキシドを含む。
【0021】
ゾルの調製及び調整
一般性を失うことのない一例として、ゾルは、例えば、テトラエチルオルトシリケート(Si(OCHCH、又はTEOSとして知られている)、エタノール、水及び希塩酸(シロキサンの凝縮速度を最小限とするために希釈される)とをそれぞれ1:3.8:1:5×10−5のモル比にて混合し、約60℃にて約90分間加熱することにより調製される。次にゾルは1:2の比率にてエタノールを用いて希釈され、次に水及び希塩酸が加えられる。7−オクテニルトリメトキシシラン(OTS)、又はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)のようなカップリング剤が混合物に加えられ、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)のような界面活性剤が加えられる。その際、界面活性剤の初期濃度は臨界ミセル濃度未満である。約一時間撹拌した後に、モノマー(例えば、2,6−ジメチルナフタレン(DMN:ポリエチレンナフタレート(PEN)を生成するために)、又はビフェノールA及びジ−パラ−フルオロフェニルスルホン(B/FS、ポリエーテルスルホン(PES)を形成するために)のような一組のモノマーが次に加えられ、架橋剤(ヘキサンジオールジメタクリレート(HDM)のような)及び反応開始剤が加えられる。紫外線開始剤であるベンゾインジメチルエーテル(BME)が加えられ得る。熱的開始剤として、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)が使用され得る。
【0022】
ゾルの化学的性質を調整するために、界面活性剤、水、エタノール、TEOS、及び有機モノマーの濃度が変更され得る。フィルムを約125℃−150℃又はそれ以上(及び/又は有機材料の分解温度未満)にてアニーリングすることにより更に、シロキサン材料が緻密化され、不透過性が改善される。
【0023】
コーティング及びナノラミネートの自己集合
基質106は、例えばディップコーティング、スピンコーティング、噴霧コーティング、ウェブコーティング又はマイクログラビアウェブコーティングのような任意の適切な技術によりゾル混合物を用いてコーティングされる。適切なコーティング機は、例えば、ファウステル(Faustel)社(ウィスコンシン州、ジャーマンタウンに所在)から市販されている。特に、ベルナーマチス社(Werner Mathis AG)(スイス国、チューリッヒ所在)から得られる連続コータ・タイプBAがゾル混合物を基質にコーティングするために使用され得る。約1ミクロンから10ミクロンまで、100ミクロンまでの湿式層にてゾルが基質にコーティングされることが好ましい。例えば、約100ミクロンから約1ミリメートルの厚みのようなより厚い湿式層もまた使用され得る。バリアフィルム100は真空装置を使用することなく製造され得るので、当該工程は非常に簡単であり、比較的低コストである。
【0024】
一例として、基質は、例えば、ディップコーティング(例えば、広い面積の基質に対して25cm/分の浸漬及び引き上げ速度)又はスピンコーティング(例えば、小さい面積の基質に対して約1500rpmにて約1分間)によりゾルを用いて迅速にコーティングされ得る。コーティング後、ゾルのエタノール成分は蒸発し始め、水及び界面活性剤の濃度の増大により該界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度を超え、ミセルの形成と、アルコール可溶性有機モノマーのミセル内部への取り込みを生ずる。このTEOS及びCTABをベースとしたゾルゲル化学がナノ構造体の自己集合を提供し、その化学的骨格は緻密かつ安定な材料に凝縮する。
【0025】
蒸発により誘導される分配は、発生し、かつ出現したゾルゲルのシロキサン骨格構造にわたり有機成分及び無機成分の両方の共分散を促進するための手段を提供する。エタノールが蒸発し続けられると、シリカ−界面活性剤−モノマーのミセルは、約10秒という時間尺度にて界面が有機化されたリオトロピック液晶中間層に自己集合する。交互に存在する界面層の有機材料のポリマー化は紫外線又は熱のいずれかにより誘導され、ポリマー化された無機シロキサンの骨格構造を安定化する。多数フィルムにおける得られたナノ複合構造は、(a)有機ポリマー化、(b)無機ポリマー化、及び(c)有機界面の共有結合により安定化される。単一のコーティング工程は、各々が約1nmの厚みである個々の層からなる少なくとも1000nmの厚みのフィルムを生成する。材料の自己集合の性質を巧みに利用することにより、各組が1000の層からなるものがわずか数秒で形成される。得られるバリアフィルムにおけるより多くの数の層は、コーティングと蒸発の連続を複数回繰り返すことにより、及び/又はより厚いコーティングを堆積させることにより得られる。
【0026】
オプション及び代替的な実施形態
上述のタイプのコンフォーマルな又は非コンフォーマルなナノラミネートバリアコーティングは、種々の平坦な、及び平坦でない表面に、二次元及び三次元にて塗布される。より詳細には、このナノラミネートのアプローチは、光電子デバイス(例えば、LED、太陽電池、FET、レーザ)、製薬製品(パッケージ内の錠剤等)、医療用装置、食品(包装された食品、飲料、キャンディ)、ディスプレイスクリーン(タッチパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ)、エレクトロルミネッセントなウィンドウ及びその他のウェインドウ及び透明なフィルム及びコーティング、電子部品並びに厳しい環境にて使用される電化製品のシャーシを封入及び/又は保護するために使用され得る。
【0027】
更に、染料又は顔料をフィルムに組み込むことにより、ナノラミネートは着色され、種々の光電子デバイスにおける光学フィルタとしての使用に提供される。
上述の記載は、本発明のより好ましい実施形態の完全な記載であるが、種々の代替物、変更物及び等価物を使用することも可能である。従って、本発明の範囲は上述の詳細な記載を参照することにより決定されるべきではなく、代わりに、添付された特許請求の範囲を、その等価物の完全な範囲とともに参照して決定されるべきである。添付された請求の範囲は、ミーンズプラスファンクションの限定が、「を意味する」なる記載を用いた所定の請求項に明瞭に引用されていない限り、該限定を含むものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に従う無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルムの概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルムを形成するための方法において、
アルコキシドと、アルコールと、水と、希塩酸とを混合して、得られた混合物を加熱する工程と、
前記混合物にカップリング剤を加える工程と、
前記混合物に、その初期濃度を臨界ミセル濃度未満とするのに十分な量である界面活性剤を加える工程と、
前記混合物に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、フッ素化又は非フッ素化スチレンポリマー前駆体、フッ素化又は非フッ素化メチルスチレンポリマー前駆体、フッ素化又は非フッ素化(メタ)アクリレートポリマー前駆体、及びこれらの前駆体の二つ以上の組み合わせ及び誘導体の少なくとも一方、からなる群より選択されたポリマーを形成するのに適した一つ以上のポリマー前駆体を加える工程と、
架橋剤及び反応開始剤を前記混合物に加える工程と、
前記混合物で基質をコーティングする工程と、
ゾルが有機層と無機層とが交互に積層されたフィルムを形成するべく前記アルコールを蒸発させる工程と、
からなる方法。
【請求項2】
前記有機層の疎水性を増大すること及び低減することの少なくとも一方を実施するために前記ポリマー前駆体に一つ以上の疎水基を導入するか、或いは前記ポリマー前駆体から一つ以上の疎水基を取り除くかのいずれかの工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一つ以上の疎水基は、非極性疎水基、メチル基、ベンジル(芳香)基、PO3−、SO2−、CHCOO、Cl、Br、NO、ClO、I、及びSCnであるアニオン、NH、Rb、K、Na、Cs、Li、Mg2+、Ca2+、及びBa2+であるカチオン、トリプトファン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、バリン、メチオニン及びアラニンからなる群より選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記界面活性剤は一つ以上のジェミニ型界面活性剤を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコキシドはテトラエチルオルトシリケート(Si(OCHCHを含み、かつ前記アルコールはエタノールである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記テトラエチルオルトシリケート、エタノール、水及び希塩酸は、それぞれ1:3.8:1:5×10−5のモル比にて混合物中に存在する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング剤は、7−オクテニルトリメトキシシラン又はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記一つ以上のポリマー前駆体は、2,6−ジメチルナフタレンか、又はビフェノールA及びジ−パラ−フルオロフェニルスルホンのような一組のモノマーか、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
約125℃乃至150℃又はそれ以上の温度と、前記フィルムの有機材料の幾らかの最も低い分解温度未満である温度と、の少なくとも一方の温度にて該フィルムをアニーリングする工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基質を前記混合物でコーティングする工程は、ディップコーティング、スピンコーティング、噴霧コーティング、ウェブコーティング又はマイクログラビアウェブコーティングにより前記混合物が該基質に堆積される工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルムにおいて、前記フィルムは、
複数の無機材料の層と、
ポリエチレンナフタレートと、ポリエーテルエーテルケトンと、ポリエーテルスルホンと、フッ素化又は非フッ素化スチレンポリマー前駆体、フッ素化又は非フッ素化メチルスチレンポリマー前駆体、フッ素化又は非フッ素化(メタ)アクリレートポリマー前駆体、及びこれらの前駆体の二つ以上の組み合わせ及び誘導体の少なくとも一方から形成されるポリマーと、から選択された複数の有機材料の層と、からなり、
前記有機材料の層は前記無機材料の層とは交互に積層されている無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルム。
【請求項13】
前記フィルムの有機層及び無機層の総数は、約100乃至約1000の層、約1000乃至約10000の層又は約10000乃至約100000の層である請求項12に記載のバリアフィルム。
【請求項14】
前記無機材料の層の各々は、約0.1nm乃至約1nm、約1nm乃至約10nm又は約1nm乃至約100nmの厚みを有する請求項12に記載のバリアフィルム。
【請求項15】
前記バリアフィルムはほぼ透明である請求項14に記載のバリアフィルム。
【請求項16】
前記バリアフィルムは、約1cc/m/日、0.1cc/m/日、0.01cc/m/日、10−3cc/m/日、10−4cc/m/日、10−5cc/m/日又は10−6cc/m/日未満の酸素に対する透過性を有する請求項12に記載のバリアフィルム。
【請求項17】
前記バリアフィルムは、約1g/m/日、0.1g/m/日、0.01g/m/日、10−3g/m/日、10−4g/m/日、10−5g/m/日又は10−6g/m/日未満の水蒸気に対する透過性を有する請求項16に記載のバリアフィルム。
【請求項18】
前記一つ以上の有機層は超撥水層である請求項12に記載のバリアフィルム。
【請求項19】
前記超撥水層はフルオロアルキルシランを含む請求項18に記載のバリアフィルム。
【請求項20】
前記有機層は、一つ以上の疎水基が加えられたポリマー前駆体から形成される請求項12に記載のバリアフィルム。
【請求項21】
前記一つ以上の疎水基は、非極性疎水基、メチル基、ベンジル(芳香)基、PO3−、SO2−、CHCOO、Cl、Br、NO、ClO、I、及びSCnであるアニオン、NH、Rb、K、Na、Cs、Li、Mg2+、Ca2+、及びBa2+であるカチオン、トリプトファン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、バリン、メチオニン及びアラニンからなる群より選択される請求項20に記載のバリアフィルム。
【請求項22】
前記バリアフィルムは一つ以上のジェミニ型界面活性剤を含むゾルから形成される請求項12に記載のバリアフィルム。
【請求項23】
表面を有する物体と、
前記表面に堆積された請求項12に記載されたタイプの無機/有機ハイブリッドナノラミネートバリアフィルムと、
からなる製品。
【請求項24】
前記物体は、光電子デバイス、LED、太陽電池、FET、レーザ、製薬製品、パッケージ内の錠剤、医療用装置、食品、包装された食品、飲料、キャンディ、ディスプレイスクリーン、タッチパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、エレクトロルミネッセントウィンドウ、ウィンドウ、透明フィルム及びコーティング、電子部品、並びに厳しい環境にて使用される電化製品のシャーシからなる群より選択される請求項23に記載の製品。

【図1】
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【公表番号】特表2007−533430(P2007−533430A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538120(P2006−538120)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034993
【国際公開番号】WO2005/044551
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506150021)ナノソーラー インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】NANOSOLAR,INC.
【Fターム(参考)】