無機ＥＬ表示装置
【課題】周期的に極性反転する電圧を無機ＥＬ発光層に印加するために、正極性と負極性の駆動波形を供給する簡単な駆動回路を設ける。
【解決手段】互いに交差する複数本の走査電極５及びデータ電極６と、走査電極とデータ電極の間に配置された無機ＥＬ発光層４と、各走査電極に走査電圧を順次供給する走査側駆動回路２と、各データ電極に表示信号データに応じたデータ電圧を供給するデータ側駆動回路３とを備え、走査電極とデータ電極の各交差部に位置する無機ＥＬ発光層からなる画素が２次元配列される。走査側駆動回路は、所定周波数の交流電圧を発生する走査側共振回路７を有し、その出力電圧を走査電圧として走査電極に供給し、データ側駆動回路は、走査側共振回路が発生する交流電圧と同一周波数で逆相の交流電圧を発生するデータ側共振回路１０を有し、その出力交流電圧を表示信号データに基づき変調したデータ電圧をデータ電極に供給する。
【解決手段】互いに交差する複数本の走査電極５及びデータ電極６と、走査電極とデータ電極の間に配置された無機ＥＬ発光層４と、各走査電極に走査電圧を順次供給する走査側駆動回路２と、各データ電極に表示信号データに応じたデータ電圧を供給するデータ側駆動回路３とを備え、走査電極とデータ電極の各交差部に位置する無機ＥＬ発光層からなる画素が２次元配列される。走査側駆動回路は、所定周波数の交流電圧を発生する走査側共振回路７を有し、その出力電圧を走査電圧として走査電極に供給し、データ側駆動回路は、走査側共振回路が発生する交流電圧と同一周波数で逆相の交流電圧を発生するデータ側共振回路１０を有し、その出力交流電圧を表示信号データに基づき変調したデータ電圧をデータ電極に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、無機ＥＬ（エレクトロルミネッセンス）素子を発光素子とする画素をマトリクス状に配列して表示パネルを構成し、各画素を選択駆動して画像の表示を行う無機ＥＬ表示装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
無機ＥＬ素子は、蛍光体層及び誘電体層を含む発光層を一対の電極間に挟んだ構造を有し、一対の電極間に電圧パルスを印加することにより発光する。無機ＥＬ表示装置の表示パネルは、このような無機ＥＬ素子をマトリクス状に配列して構成される。すなわち、ガラス等の基板上に、複数本のストライプ状電極を互いに平行に例えば列方向に配列してデータ電極とし、データ電極に直交する行方向に複数本のストライプ状電極を互いに平行に配列して走査電極とする。データ電極と走査電極の間に発光層を介在させ、両電極の交差部において、発光層をデータ電極と両電極で挟んだ構造により無機ＥＬ素子を形成することにより、多数の表示画素が２次元配列されたパッシブマトリクス型の表示パネルが構成される。
【０００３】
ところで無機ＥＬ素子は、容量性の素子であるため、発光層に駆動電圧を印加すると、発光に寄与する電流は、電圧の立ち上がり直後に急峻なピークをもって立ち上がり、コンデンサへの充電電流と同様の挙動を示す。電流が流れる時間は数μ秒という短い時間であり、電流が流れた後に印加される電圧は発光には寄与しない。すなわち、駆動電圧として直流電圧を印加したのでは、連続した発光を得ることができない。
【０００４】
従って、無機ＥＬ表示装置においては、いわゆるフレーム（またはフィールド。以下単にフレームという。）反転駆動により、フレーム毎に発光層に印加する電圧の極性を反転させる駆動方法を用いる（例えば特許文献１を参照）。そのために例えば、走査電極を駆動する走査側駆動回路は、データ電極に対して負極性の電圧を印加する出力素子と正極性の電圧を印加する出力素子とを有し、一方、データ電極を駆動するデータ側駆動回路は、発光層に変調電圧を印加する出力素子を有する構成が用いられる。それにより、発光層に対して対称性の良い交流パルスがフレーム周期で印加され、信頼性の高い表示が得られる。
【特許文献１】特開２００１−３１２２４５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上述のような従来の無機ＥＬ表示装置を構成する駆動回路においては、発光層に対して周期的に極性が反転する電圧を印加するために、正極性の電源と負極性の電源を備えて、正極性と負極性の駆動波形を作成している。
【０００６】
ところで、無機ＥＬ素子は、発光させるための閾値電圧が２００Ｖ程度であり、比較的高い駆動電圧を供給する必要がある。従って、正極性と負極性の電源をそれぞれ備えることは、装置を複雑にし、コスト低減の障害となる。
【０００７】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、無機ＥＬ発光層に対して周期的に極性が反転する電圧を印加するために、正極性と負極性の駆動波形を簡単な構成で供給することが可能な駆動回路を備えた無機ＥＬ表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の無機ＥＬ表示装置は、複数本の走査電極と、前記走査電極に交差する複数本のデータ電極と、誘電体層及び蛍光体層を含み前記走査電極と前記データ電極の間に配置された無機ＥＬ発光層と、各々の前記走査電極に走査電圧を順次供給する走査側駆動回路と、各々の前記データ電極に表示信号データに応じて変調されたデータ電圧をそれぞれ供給するデータ側駆動回路とを備え、前記走査電極と前記データ電極の各交差部に位置する前記無機ＥＬ発光層により形成された複数個の画素がマトリクス配列される。前記走査側駆動回路は、１ラインの表示期間の繰り返し周波数よりも高い周波数を有する交流電圧を発生する走査側共振回路を有し、前記走査側共振回路の出力電圧を前記走査電圧として前記走査電極に供給し、前記データ側駆動回路は、前記走査側共振回路が発生する交流電圧と同一周波数で逆相の交流電圧を発生するデータ側共振回路を有し、前記データ側共振回路が発生する交流電圧を前記表示信号データに基づき変調したデータ電圧を前記データ電極に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
上記構成の無機ＥＬ表示装置によれば、正極性のみの片電源により、ＥＬ画素を駆動するのに必要な正極性と負極性の電圧波形を作成し、走査電圧及びデータ電圧として供給することができる。従って、駆動回路を安価に製造可能であり、また、消費電力の低減にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明の無機ＥＬ表示装置において、前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路は、水平同期信号に同期したパルスに基づいて発振の開始と停止を制御する構成とすることができる。
【００１１】
また、前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、各データ電極に対して同時に前記データ電圧を印加する構成とすることができる。
【００１２】
また、１個の前記走査側共振回路が、複数の前記各走査電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧が印加される構成とすることができる。
【００１３】
また、前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、１本の前記走査電極に前記走査電圧が印加されている期間内に、各データ電極に対して順次前記データ電圧を印加する構成とすることができる。この構成において、１個の前記データ側共振回路が、複数の前記各データ電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各データ電極に対して順次前記データ電圧が印加される構成とすることができる。
【００１４】
また、上記構成において、前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続された第１コイルと、前記第１コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された第１キャパシタと、前記第１キャパシタと並列に接続された第２コイルと第２キャパシタの直列回路とを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される構成とすることができる。
【００１５】
あるいは、前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続されたコイルと、前記コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続されたキャパシタとを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される構成とすることができる。
【００１６】
以下、本発明の実施の形態における無機ＥＬ表示装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【００１７】
（実施の形態１）
図１は、本発明の実施の形態１における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示す。この無機ＥＬ表示装置は、表示領域を形成する無機ＥＬパネル１と、無機ＥＬパネル１を駆動するための、走査側駆動回路２及びデータ側駆動回路３を有する。
【００１８】
無機ＥＬパネル１は、絶縁性基板（図示せず）上に無機ＥＬ発光層４を挟んで形成された、線状の複数本の走査電極５と、走査電極５に交差する複数本のデータ電極６を有する。無機ＥＬ発光層４は周知の構造を有し、図示しないが例えば、蛍光体層と、その少なくとも一方の面に形成された誘電体膜とから形成される。各走査電極５とデータ電極６の交差部が各画素を構成し、複数の画素が２次元配列されたパッシブマトリクス型の表示パネルである。
【００１９】
走査側駆動回路２は、走査電極５に接続されて、走査電圧を順次供給する。走査側駆動回路２は、走査電圧を発生する走査側共振回路７と、各走査電極５に対して走査側共振回路７を選択的に接続するためのスイッチ回路８を有する。スイッチ回路８は、走査制御回路９により切り替えが制御されて順次オンとなり、それにより走査側共振回路７から各走査電極５に対して順次、走査電圧が供給される。走査側共振回路７が発生する走査電圧は、後述するように所定周波数に設定された交流電圧である。
【００２０】
データ側駆動回路３は、各データ電極６に接続されたデータ側共振回路１０を有する。データ側共振回路１０は、走査側共振回路７と同一周波数であって、位相が反転した交流電圧を発生するように設定される。各データ側共振回路１０には、データ制御回路１１から、各画素の表示信号データＤに応じた信号がそれぞれ供給される。表示信号データＤは、例えば８階調の階調度を有し、各データ側共振回路１０が発生する交流電圧は、表示信号データＤに応じて変調され、交流データ電圧として各データ電極６に供給される。
【００２１】
走査制御回路９及びデータ制御回路１１は、制御回路１２から供給を受ける信号により動作する。制御回路１２には、外部から垂直同期信号Ｖｓ、水平同期信号Ｈｓ、データ転送クロック信号ＣＬＫ、表示信号データＤ等が入力され、それぞれ必要な信号を生成して、走査制御回路９及びデータ制御回路１１に供給される。走査制御回路９、データ制御回路１１、及び制御回路１２は、周知の回路と同様に構成することができるので、具体的な説明は省略する。
【００２２】
この無機ＥＬ表示装置では、データ側駆動回路３には、複数のデータ電極６に各々対応する複数のデータ側共振回路１０が設けられて、各データ電極６にはデータ電圧が同時に印加される。従って、走査側駆動回路２から走査電圧が各走査電極５に順次印加されるのに伴い、各走査電極５と交差するデータ電極６下の画素が同時に発光し、線順次に表示が行われる。
【００２３】
走査側共振回路７およびデータ側共振回路１０には、例えば図２に示すような共振回路の構成を用いることができる。この共振回路は、電源１３と接地電位間に直列に接続された、第１コイル１４とスイッチング素子１５を含む。第１コイル１４とスイッチング素子１５の接続点に、第１キャパシタ１６の一方の端子が接続されている。第１キャパシタ１６の他方の端子は接地されている。第２コイル１７と第２キャパシタ１８が直列に接続されて、第１キャパシタ１６に並列に接続されている。スイッチング素子１５には水平同期信号Ｈｓに基づいて作成された水平走査ライン同期信号Ｈｄが入力される。第１キャパシタ１６と第２コイル１７により発生する共振で得られる交流電圧が、第１キャパシタ１６と第２コイル１７の接続点からスイッチ回路８に供給される。
【００２４】
図２の共振回路の動作は、図３に示すとおりである。図３（ａ）は、スイッチング素子１５に入力される水平走査ライン同期信号Ｈｄを示す。水平走査ライン同期信号Ｈｄは、外部から供給される水平同期信号Ｈｓに基づいて作成され、表示走査の１水平ラインに対応する同期信号である。図３（ｂ）は、出力される交流電圧波形を示す。信号Ｈｄがローレベルの期間はスイッチング素子１５がオフとなり、第１キャパシタ１６と第２コイル１７からなる共振部に電力が供給され、交流電圧が出力される。信号Ｈｄがハイレベルの期間はスイッチング素子１５がオンとなり、共振部に電力が供給されないため、交流電圧の出力が停止する。
【００２５】
図示されるように、この共振回路が出力する電圧波形の周波数は、水平走査ライン同期信号Ｈｄの周波数、すなわち１ラインの表示期間の繰り返し周波数よりも高い。従って、水平走査期間内に複数個の交流波形が含まれる。実用的には、１ｋＨｚ〜１００ｋＨｚの範囲の周波数に設定すればよい。また、走査側共振回路７が発生する走査電圧波形は、図３（ｂ）に示すように一定であるが、データ側共振回路１０が発生するデータ電圧波形は、図３（ｃ）に示すように、表示信号データに応じた変調が施される。データ電圧の変調は、図１に示すデータ制御回路１１により、制御回路１２から供給される表示信号データに応じて、データ側共振回路１０を制御することにより行われる。図３（ｃ）に示すデータ電圧の波形は、振幅変調された場合を示す。また、図３（ｃ）に示すデータ電圧波形は、図３（ｂ）に示す走査電圧波形に対して逆相になっている。
【００２６】
上述のとおり、走査電極５に供給される交流走査電圧とデータ電極６に供給される交流データ電圧は逆相であるため、走査電極５とデータ電極６の間の電位差により無機ＥＬ発光層４に印加される電圧は、交流電圧の周波数に従って極性が反転する。また、各データ側共振回路１０が供給する交流データ電圧により、各画素の無機ＥＬ発光層４には、表示信号データに応じた電圧が印加され、無機ＥＬパネル１の発光に階調が与えられる。各データ側共振回路１０が発生する交流データ電圧の変調は、周波数、電圧、ＦＲＣ等の変調形態を適宜用いることができる。
【００２７】
例えば、図２の共振回路において、電源１３の電圧をスイッチング素子等で変調すれば、電源変調を行うことができ、それにより各画素の無機ＥＬ発光層４の発光光量を変化させることができる。また、図２の共振回路において、例えば第２キャパシタ１８の容量値を可変とすれば、出力される交流電圧を容量値に応じて周波数変調することができる。データ側共振回路８を周波数変調可能に構成することにより、各画素の無機ＥＬ発光層４の発光光量を変化させることができる。ただし、周波数変調を行う場合は、走査側共振回路７が発生する走査電圧についても同時に、周波数を対応させて変化させる必要がある。
【００２８】
以上のように、図２の共振回路を用いることにより、正極性電源だけで正と負の両極性の駆動電圧を生成できるので、回路の構成が簡素になり、装置の小型化、低コスト化に有利である。また、走査側共振回路７およびデータ側共振回路１０に同一構成の回路を用いれば、生成される交流電圧のＤＣ成分の非対象性を相殺し、無機ＥＬ発光層４に印加されるＤＣ電圧を低減することができる。従って、無機ＥＬ発光層を寿命を長く維持するために有利である。
【００２９】
図２の共振回路において、例えば、電源電圧を３５Ｖとし、信号Ｈｄが３０μｓで、９０ｋＨｚ、３００Ｖｐ−０の交流電圧波形を生成する場合は、第１コイル１４のインダクタンス値は６ｍＨ、第２コイル１７のインダクタンス値は０．５ｍＨ、第１キャパシタ１６の容量値は６６００ｐＦ、第２キャパシタ１８の容量値は２２０ｎＦとすればよい。また、信号Ｈｄが１０ｍｓで、１ｋＨｚ、３００Ｖｐ−０の交流電圧波形を生成する場合は、第１コイル１４のインダクタンス値は３０ｍＨ、第２コイル１７のインダクタンス値は３ｍＨ、第１キャパシタ１６の容量値は８．５μＦ、第２キャパシタ１８の容量値は２２０μＦとすればよい。
【００３０】
図４は、走査側共振回路７およびデータ側共振回路１０の他の構成例を示す。図２に示した共振回路が２つのコイルを用いた構成であるのに対して、この共振回路は１つのコイル１９を用いた構成である。電源１３と接地電位間に、コイル１９と、ＦＥＴからなるスイッチング素子２０が直列に接続される。スイッチング素子２０に並列にキャパシタ２１が接続される。コイル１９とキャパシタ２１により発生する共振で得られる交流電圧が、キャパシタ２１とコイル１９の接続点からスイッチ回路８に供給される。
【００３１】
この共振回路の動作は、基本的に図３に示されたものと同様である。すなわち、スイッチング素子２０に、図３（ａ）に示すような信号Ｈｄが入力される。信号Ｈｄがローレベルの期間はスイッチング素子２０がオフとなり、キャパシタ２１に電力が供給され、交流電圧が出力される。信号Ｈｄがハイレベルの期間はスイッチング素子２０がオンとなり、キャパシタ２１に電力が供給されないため、交流電圧の出力が停止する。
【００３２】
図４の共振回路は、部品点数が少ない簡素な構成となるのに対して、図２の２つのコイルを用いた共振回路は、電源に接続される第１コイル１４のインダクタンス値を大きくできるので、スイッチング素子１５に流れ込むＤＣ電流を抑え、消費電力を小さくできる利点がある。
【００３３】
図５に、図１におけるスイッチ回路８の構成の例を示す。このスイッチ回路は、２つのダイオード２２、２３と、２つのＦＥＴ２４、２５、およびパルストランス２６により構成される。ダイオード２２、２３は互いに逆極性となるように直列に接続され、ＦＥＴ２４、２５がそれぞれダイオード２２、２３と並列に接続されている。ダイオード２２、２３の直列回路の両端がこのスイッチ回路の入力端２７、出力端２８となっている。入力端２７には共振回路７の出力が供給され、出力端２８が走査電極５に接続されている。パルストランス２６の一次側入力端２９には、走査制御回路９から、線順次走査に対応したスイッチ制御パルスが供給される。パルストランス２６の二次側は、一端がＦＥＴ２４、２５のゲートに接続され、他端がダイオード２２、２３の接続点、およびＦＥＴ２４、２４の接続点に接続されている。パルストランス２６に代えて、フォトカプラを使用して構成することもできる。
【００３４】
（実施の形態２）
図６は、本発明の実施の形態２における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示す。図１に示した実施の形態１における装置が線順次走査により表示が行われるのに対して、本実施の形態の無機ＥＬ表示装置は、点順次走査により表示が行われる。従って、図６に示すように、データ側駆動回路３０の構成が、実施の形態１の場合と相違する。他の要素の構成は、図１の場合と同様であり、同一の要素には同一の参照符号を付して説明の繰り返しを省略する。
【００３５】
データ側駆動回路３０は、各データ電極６に対応させてデータ側共振回路１０を有するのではなく、データ側共振回路１０を１つだけ備える。データ側共振回路１０の出力は、各データ電極６に対応させて設けられたスイッチ回路３１を介して、各データ電極６に選択的に供給される。
【００３６】
従って、各走査電極５に走査電圧が順次印加されるのに伴い、各走査電極５と交差するデータ電極６下の無機ＥＬ発光層４に対して順次データ電圧が印加され、各走査電極５に対応する画素の無機ＥＬ発光層４が順次発光する。すなわち、表示装置全体としては点順次に表示が行われる。
【産業上の利用可能性】
【００３７】
本発明の無機ＥＬ表示装置は、簡単な駆動回路により、ＥＬ画素を駆動するのに必要な正極性と負極性の電圧波形を供給することができ、安価で消費電力の低い表示装置を構成するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明の実施の形態１における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示すブロック図
【図２】図１の無機ＥＬ表示装置に用いられる共振回路の例を示す回路図
【図３】図２の共振回路の動作を示す波形図
【図４】図１の無機ＥＬ表示装置に用いられる共振回路の他の例を示す回路図
【図５】図１の無機ＥＬ表示装置に用いられるスイッチ回路の例を示す回路図
【図６】本発明の実施の形態２における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【００３９】
１ 無機ＥＬパネル
２ 走査側駆動回路
３ データ側駆動回路
４ 無機ＥＬ発光層
５ 走査電極
６ データ電極
７ 走査側共振回路
８ スイッチ回路
９ 走査制御回路
１０ データ側共振回路
１１ データ制御回路
１２ 制御回路
１３ 電源
１４ 第１コイル
１５ スイッチング素子
１６ 第１キャパシタ
１７ 第２コイル
１８ 第２キャパシタ
１９ コイル
２０ スイッチング素子
２１ キャパシタ
２２、２３ ダイオード
２４、２５ ＦＥＴ
２６ パルストランス
２７ 入力端
２８ 出力端
２９ 一次側入力端
【技術分野】
【０００１】
本発明は、無機ＥＬ（エレクトロルミネッセンス）素子を発光素子とする画素をマトリクス状に配列して表示パネルを構成し、各画素を選択駆動して画像の表示を行う無機ＥＬ表示装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
無機ＥＬ素子は、蛍光体層及び誘電体層を含む発光層を一対の電極間に挟んだ構造を有し、一対の電極間に電圧パルスを印加することにより発光する。無機ＥＬ表示装置の表示パネルは、このような無機ＥＬ素子をマトリクス状に配列して構成される。すなわち、ガラス等の基板上に、複数本のストライプ状電極を互いに平行に例えば列方向に配列してデータ電極とし、データ電極に直交する行方向に複数本のストライプ状電極を互いに平行に配列して走査電極とする。データ電極と走査電極の間に発光層を介在させ、両電極の交差部において、発光層をデータ電極と両電極で挟んだ構造により無機ＥＬ素子を形成することにより、多数の表示画素が２次元配列されたパッシブマトリクス型の表示パネルが構成される。
【０００３】
ところで無機ＥＬ素子は、容量性の素子であるため、発光層に駆動電圧を印加すると、発光に寄与する電流は、電圧の立ち上がり直後に急峻なピークをもって立ち上がり、コンデンサへの充電電流と同様の挙動を示す。電流が流れる時間は数μ秒という短い時間であり、電流が流れた後に印加される電圧は発光には寄与しない。すなわち、駆動電圧として直流電圧を印加したのでは、連続した発光を得ることができない。
【０００４】
従って、無機ＥＬ表示装置においては、いわゆるフレーム（またはフィールド。以下単にフレームという。）反転駆動により、フレーム毎に発光層に印加する電圧の極性を反転させる駆動方法を用いる（例えば特許文献１を参照）。そのために例えば、走査電極を駆動する走査側駆動回路は、データ電極に対して負極性の電圧を印加する出力素子と正極性の電圧を印加する出力素子とを有し、一方、データ電極を駆動するデータ側駆動回路は、発光層に変調電圧を印加する出力素子を有する構成が用いられる。それにより、発光層に対して対称性の良い交流パルスがフレーム周期で印加され、信頼性の高い表示が得られる。
【特許文献１】特開２００１−３１２２４５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上述のような従来の無機ＥＬ表示装置を構成する駆動回路においては、発光層に対して周期的に極性が反転する電圧を印加するために、正極性の電源と負極性の電源を備えて、正極性と負極性の駆動波形を作成している。
【０００６】
ところで、無機ＥＬ素子は、発光させるための閾値電圧が２００Ｖ程度であり、比較的高い駆動電圧を供給する必要がある。従って、正極性と負極性の電源をそれぞれ備えることは、装置を複雑にし、コスト低減の障害となる。
【０００７】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、無機ＥＬ発光層に対して周期的に極性が反転する電圧を印加するために、正極性と負極性の駆動波形を簡単な構成で供給することが可能な駆動回路を備えた無機ＥＬ表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の無機ＥＬ表示装置は、複数本の走査電極と、前記走査電極に交差する複数本のデータ電極と、誘電体層及び蛍光体層を含み前記走査電極と前記データ電極の間に配置された無機ＥＬ発光層と、各々の前記走査電極に走査電圧を順次供給する走査側駆動回路と、各々の前記データ電極に表示信号データに応じて変調されたデータ電圧をそれぞれ供給するデータ側駆動回路とを備え、前記走査電極と前記データ電極の各交差部に位置する前記無機ＥＬ発光層により形成された複数個の画素がマトリクス配列される。前記走査側駆動回路は、１ラインの表示期間の繰り返し周波数よりも高い周波数を有する交流電圧を発生する走査側共振回路を有し、前記走査側共振回路の出力電圧を前記走査電圧として前記走査電極に供給し、前記データ側駆動回路は、前記走査側共振回路が発生する交流電圧と同一周波数で逆相の交流電圧を発生するデータ側共振回路を有し、前記データ側共振回路が発生する交流電圧を前記表示信号データに基づき変調したデータ電圧を前記データ電極に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
上記構成の無機ＥＬ表示装置によれば、正極性のみの片電源により、ＥＬ画素を駆動するのに必要な正極性と負極性の電圧波形を作成し、走査電圧及びデータ電圧として供給することができる。従って、駆動回路を安価に製造可能であり、また、消費電力の低減にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明の無機ＥＬ表示装置において、前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路は、水平同期信号に同期したパルスに基づいて発振の開始と停止を制御する構成とすることができる。
【００１１】
また、前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、各データ電極に対して同時に前記データ電圧を印加する構成とすることができる。
【００１２】
また、１個の前記走査側共振回路が、複数の前記各走査電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧が印加される構成とすることができる。
【００１３】
また、前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、１本の前記走査電極に前記走査電圧が印加されている期間内に、各データ電極に対して順次前記データ電圧を印加する構成とすることができる。この構成において、１個の前記データ側共振回路が、複数の前記各データ電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各データ電極に対して順次前記データ電圧が印加される構成とすることができる。
【００１４】
また、上記構成において、前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続された第１コイルと、前記第１コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された第１キャパシタと、前記第１キャパシタと並列に接続された第２コイルと第２キャパシタの直列回路とを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される構成とすることができる。
【００１５】
あるいは、前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続されたコイルと、前記コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続されたキャパシタとを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される構成とすることができる。
【００１６】
以下、本発明の実施の形態における無機ＥＬ表示装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【００１７】
（実施の形態１）
図１は、本発明の実施の形態１における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示す。この無機ＥＬ表示装置は、表示領域を形成する無機ＥＬパネル１と、無機ＥＬパネル１を駆動するための、走査側駆動回路２及びデータ側駆動回路３を有する。
【００１８】
無機ＥＬパネル１は、絶縁性基板（図示せず）上に無機ＥＬ発光層４を挟んで形成された、線状の複数本の走査電極５と、走査電極５に交差する複数本のデータ電極６を有する。無機ＥＬ発光層４は周知の構造を有し、図示しないが例えば、蛍光体層と、その少なくとも一方の面に形成された誘電体膜とから形成される。各走査電極５とデータ電極６の交差部が各画素を構成し、複数の画素が２次元配列されたパッシブマトリクス型の表示パネルである。
【００１９】
走査側駆動回路２は、走査電極５に接続されて、走査電圧を順次供給する。走査側駆動回路２は、走査電圧を発生する走査側共振回路７と、各走査電極５に対して走査側共振回路７を選択的に接続するためのスイッチ回路８を有する。スイッチ回路８は、走査制御回路９により切り替えが制御されて順次オンとなり、それにより走査側共振回路７から各走査電極５に対して順次、走査電圧が供給される。走査側共振回路７が発生する走査電圧は、後述するように所定周波数に設定された交流電圧である。
【００２０】
データ側駆動回路３は、各データ電極６に接続されたデータ側共振回路１０を有する。データ側共振回路１０は、走査側共振回路７と同一周波数であって、位相が反転した交流電圧を発生するように設定される。各データ側共振回路１０には、データ制御回路１１から、各画素の表示信号データＤに応じた信号がそれぞれ供給される。表示信号データＤは、例えば８階調の階調度を有し、各データ側共振回路１０が発生する交流電圧は、表示信号データＤに応じて変調され、交流データ電圧として各データ電極６に供給される。
【００２１】
走査制御回路９及びデータ制御回路１１は、制御回路１２から供給を受ける信号により動作する。制御回路１２には、外部から垂直同期信号Ｖｓ、水平同期信号Ｈｓ、データ転送クロック信号ＣＬＫ、表示信号データＤ等が入力され、それぞれ必要な信号を生成して、走査制御回路９及びデータ制御回路１１に供給される。走査制御回路９、データ制御回路１１、及び制御回路１２は、周知の回路と同様に構成することができるので、具体的な説明は省略する。
【００２２】
この無機ＥＬ表示装置では、データ側駆動回路３には、複数のデータ電極６に各々対応する複数のデータ側共振回路１０が設けられて、各データ電極６にはデータ電圧が同時に印加される。従って、走査側駆動回路２から走査電圧が各走査電極５に順次印加されるのに伴い、各走査電極５と交差するデータ電極６下の画素が同時に発光し、線順次に表示が行われる。
【００２３】
走査側共振回路７およびデータ側共振回路１０には、例えば図２に示すような共振回路の構成を用いることができる。この共振回路は、電源１３と接地電位間に直列に接続された、第１コイル１４とスイッチング素子１５を含む。第１コイル１４とスイッチング素子１５の接続点に、第１キャパシタ１６の一方の端子が接続されている。第１キャパシタ１６の他方の端子は接地されている。第２コイル１７と第２キャパシタ１８が直列に接続されて、第１キャパシタ１６に並列に接続されている。スイッチング素子１５には水平同期信号Ｈｓに基づいて作成された水平走査ライン同期信号Ｈｄが入力される。第１キャパシタ１６と第２コイル１７により発生する共振で得られる交流電圧が、第１キャパシタ１６と第２コイル１７の接続点からスイッチ回路８に供給される。
【００２４】
図２の共振回路の動作は、図３に示すとおりである。図３（ａ）は、スイッチング素子１５に入力される水平走査ライン同期信号Ｈｄを示す。水平走査ライン同期信号Ｈｄは、外部から供給される水平同期信号Ｈｓに基づいて作成され、表示走査の１水平ラインに対応する同期信号である。図３（ｂ）は、出力される交流電圧波形を示す。信号Ｈｄがローレベルの期間はスイッチング素子１５がオフとなり、第１キャパシタ１６と第２コイル１７からなる共振部に電力が供給され、交流電圧が出力される。信号Ｈｄがハイレベルの期間はスイッチング素子１５がオンとなり、共振部に電力が供給されないため、交流電圧の出力が停止する。
【００２５】
図示されるように、この共振回路が出力する電圧波形の周波数は、水平走査ライン同期信号Ｈｄの周波数、すなわち１ラインの表示期間の繰り返し周波数よりも高い。従って、水平走査期間内に複数個の交流波形が含まれる。実用的には、１ｋＨｚ〜１００ｋＨｚの範囲の周波数に設定すればよい。また、走査側共振回路７が発生する走査電圧波形は、図３（ｂ）に示すように一定であるが、データ側共振回路１０が発生するデータ電圧波形は、図３（ｃ）に示すように、表示信号データに応じた変調が施される。データ電圧の変調は、図１に示すデータ制御回路１１により、制御回路１２から供給される表示信号データに応じて、データ側共振回路１０を制御することにより行われる。図３（ｃ）に示すデータ電圧の波形は、振幅変調された場合を示す。また、図３（ｃ）に示すデータ電圧波形は、図３（ｂ）に示す走査電圧波形に対して逆相になっている。
【００２６】
上述のとおり、走査電極５に供給される交流走査電圧とデータ電極６に供給される交流データ電圧は逆相であるため、走査電極５とデータ電極６の間の電位差により無機ＥＬ発光層４に印加される電圧は、交流電圧の周波数に従って極性が反転する。また、各データ側共振回路１０が供給する交流データ電圧により、各画素の無機ＥＬ発光層４には、表示信号データに応じた電圧が印加され、無機ＥＬパネル１の発光に階調が与えられる。各データ側共振回路１０が発生する交流データ電圧の変調は、周波数、電圧、ＦＲＣ等の変調形態を適宜用いることができる。
【００２７】
例えば、図２の共振回路において、電源１３の電圧をスイッチング素子等で変調すれば、電源変調を行うことができ、それにより各画素の無機ＥＬ発光層４の発光光量を変化させることができる。また、図２の共振回路において、例えば第２キャパシタ１８の容量値を可変とすれば、出力される交流電圧を容量値に応じて周波数変調することができる。データ側共振回路８を周波数変調可能に構成することにより、各画素の無機ＥＬ発光層４の発光光量を変化させることができる。ただし、周波数変調を行う場合は、走査側共振回路７が発生する走査電圧についても同時に、周波数を対応させて変化させる必要がある。
【００２８】
以上のように、図２の共振回路を用いることにより、正極性電源だけで正と負の両極性の駆動電圧を生成できるので、回路の構成が簡素になり、装置の小型化、低コスト化に有利である。また、走査側共振回路７およびデータ側共振回路１０に同一構成の回路を用いれば、生成される交流電圧のＤＣ成分の非対象性を相殺し、無機ＥＬ発光層４に印加されるＤＣ電圧を低減することができる。従って、無機ＥＬ発光層を寿命を長く維持するために有利である。
【００２９】
図２の共振回路において、例えば、電源電圧を３５Ｖとし、信号Ｈｄが３０μｓで、９０ｋＨｚ、３００Ｖｐ−０の交流電圧波形を生成する場合は、第１コイル１４のインダクタンス値は６ｍＨ、第２コイル１７のインダクタンス値は０．５ｍＨ、第１キャパシタ１６の容量値は６６００ｐＦ、第２キャパシタ１８の容量値は２２０ｎＦとすればよい。また、信号Ｈｄが１０ｍｓで、１ｋＨｚ、３００Ｖｐ−０の交流電圧波形を生成する場合は、第１コイル１４のインダクタンス値は３０ｍＨ、第２コイル１７のインダクタンス値は３ｍＨ、第１キャパシタ１６の容量値は８．５μＦ、第２キャパシタ１８の容量値は２２０μＦとすればよい。
【００３０】
図４は、走査側共振回路７およびデータ側共振回路１０の他の構成例を示す。図２に示した共振回路が２つのコイルを用いた構成であるのに対して、この共振回路は１つのコイル１９を用いた構成である。電源１３と接地電位間に、コイル１９と、ＦＥＴからなるスイッチング素子２０が直列に接続される。スイッチング素子２０に並列にキャパシタ２１が接続される。コイル１９とキャパシタ２１により発生する共振で得られる交流電圧が、キャパシタ２１とコイル１９の接続点からスイッチ回路８に供給される。
【００３１】
この共振回路の動作は、基本的に図３に示されたものと同様である。すなわち、スイッチング素子２０に、図３（ａ）に示すような信号Ｈｄが入力される。信号Ｈｄがローレベルの期間はスイッチング素子２０がオフとなり、キャパシタ２１に電力が供給され、交流電圧が出力される。信号Ｈｄがハイレベルの期間はスイッチング素子２０がオンとなり、キャパシタ２１に電力が供給されないため、交流電圧の出力が停止する。
【００３２】
図４の共振回路は、部品点数が少ない簡素な構成となるのに対して、図２の２つのコイルを用いた共振回路は、電源に接続される第１コイル１４のインダクタンス値を大きくできるので、スイッチング素子１５に流れ込むＤＣ電流を抑え、消費電力を小さくできる利点がある。
【００３３】
図５に、図１におけるスイッチ回路８の構成の例を示す。このスイッチ回路は、２つのダイオード２２、２３と、２つのＦＥＴ２４、２５、およびパルストランス２６により構成される。ダイオード２２、２３は互いに逆極性となるように直列に接続され、ＦＥＴ２４、２５がそれぞれダイオード２２、２３と並列に接続されている。ダイオード２２、２３の直列回路の両端がこのスイッチ回路の入力端２７、出力端２８となっている。入力端２７には共振回路７の出力が供給され、出力端２８が走査電極５に接続されている。パルストランス２６の一次側入力端２９には、走査制御回路９から、線順次走査に対応したスイッチ制御パルスが供給される。パルストランス２６の二次側は、一端がＦＥＴ２４、２５のゲートに接続され、他端がダイオード２２、２３の接続点、およびＦＥＴ２４、２４の接続点に接続されている。パルストランス２６に代えて、フォトカプラを使用して構成することもできる。
【００３４】
（実施の形態２）
図６は、本発明の実施の形態２における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示す。図１に示した実施の形態１における装置が線順次走査により表示が行われるのに対して、本実施の形態の無機ＥＬ表示装置は、点順次走査により表示が行われる。従って、図６に示すように、データ側駆動回路３０の構成が、実施の形態１の場合と相違する。他の要素の構成は、図１の場合と同様であり、同一の要素には同一の参照符号を付して説明の繰り返しを省略する。
【００３５】
データ側駆動回路３０は、各データ電極６に対応させてデータ側共振回路１０を有するのではなく、データ側共振回路１０を１つだけ備える。データ側共振回路１０の出力は、各データ電極６に対応させて設けられたスイッチ回路３１を介して、各データ電極６に選択的に供給される。
【００３６】
従って、各走査電極５に走査電圧が順次印加されるのに伴い、各走査電極５と交差するデータ電極６下の無機ＥＬ発光層４に対して順次データ電圧が印加され、各走査電極５に対応する画素の無機ＥＬ発光層４が順次発光する。すなわち、表示装置全体としては点順次に表示が行われる。
【産業上の利用可能性】
【００３７】
本発明の無機ＥＬ表示装置は、簡単な駆動回路により、ＥＬ画素を駆動するのに必要な正極性と負極性の電圧波形を供給することができ、安価で消費電力の低い表示装置を構成するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明の実施の形態１における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示すブロック図
【図２】図１の無機ＥＬ表示装置に用いられる共振回路の例を示す回路図
【図３】図２の共振回路の動作を示す波形図
【図４】図１の無機ＥＬ表示装置に用いられる共振回路の他の例を示す回路図
【図５】図１の無機ＥＬ表示装置に用いられるスイッチ回路の例を示す回路図
【図６】本発明の実施の形態２における無機ＥＬ表示装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【００３９】
１ 無機ＥＬパネル
２ 走査側駆動回路
３ データ側駆動回路
４ 無機ＥＬ発光層
５ 走査電極
６ データ電極
７ 走査側共振回路
８ スイッチ回路
９ 走査制御回路
１０ データ側共振回路
１１ データ制御回路
１２ 制御回路
１３ 電源
１４ 第１コイル
１５ スイッチング素子
１６ 第１キャパシタ
１７ 第２コイル
１８ 第２キャパシタ
１９ コイル
２０ スイッチング素子
２１ キャパシタ
２２、２３ ダイオード
２４、２５ ＦＥＴ
２６ パルストランス
２７ 入力端
２８ 出力端
２９ 一次側入力端
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数本の走査電極と、
前記走査電極に交差する複数本のデータ電極と、
誘電体層及び蛍光体層を含み前記走査電極と前記データ電極の間に配置された無機ＥＬ発光層と、
各々の前記走査電極に走査電圧を順次供給する走査側駆動回路と、
各々の前記データ電極に表示信号データに応じて変調されたデータ電圧をそれぞれ供給するデータ側駆動回路とを備え、
前記走査電極と前記データ電極の各交差部に位置する前記無機ＥＬ発光層により形成された複数個の画素がマトリクス配列された無機ＥＬ表示装置において、
前記走査側駆動回路は、１ラインの表示期間の繰り返し周波数よりも高い周波数を有する交流電圧を発生する走査側共振回路を有し、前記走査側共振回路の出力電圧を前記走査電圧として前記走査電極に供給し、
前記データ側駆動回路は、前記走査側共振回路が発生する交流電圧と同一周波数で逆相の交流電圧を発生するデータ側共振回路を有し、前記データ側共振回路が発生する交流電圧を前記表示信号データに基づき変調したデータ電圧を前記データ電極に供給することを特徴とする無機ＥＬ表示装置。
【請求項２】
前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路は、水平同期信号に同期したパルスに基づいて発振の開始と停止を制御する請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項３】
前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、各データ電極に対して同時に前記データ電圧を印加する請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項４】
１個の前記走査側共振回路が、複数の前記各走査電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧が印加される請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項５】
前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、１本の前記走査電極に前記走査電圧が印加されている期間内に、各データ電極に対して順次前記データ電圧を印加する請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項６】
１個の前記データ側共振回路が、複数の前記各データ電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各データ電極に対して順次前記データ電圧が印加される請求項５に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項７】
前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続された第１コイルと、前記第１コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された第１キャパシタと、前記第１キャパシタと並列に接続された第２コイルと第２キャパシタの直列回路とを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される請求項２に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項８】
前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続されたコイルと、前記コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続されたキャパシタとを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される請求項２に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項１】
複数本の走査電極と、
前記走査電極に交差する複数本のデータ電極と、
誘電体層及び蛍光体層を含み前記走査電極と前記データ電極の間に配置された無機ＥＬ発光層と、
各々の前記走査電極に走査電圧を順次供給する走査側駆動回路と、
各々の前記データ電極に表示信号データに応じて変調されたデータ電圧をそれぞれ供給するデータ側駆動回路とを備え、
前記走査電極と前記データ電極の各交差部に位置する前記無機ＥＬ発光層により形成された複数個の画素がマトリクス配列された無機ＥＬ表示装置において、
前記走査側駆動回路は、１ラインの表示期間の繰り返し周波数よりも高い周波数を有する交流電圧を発生する走査側共振回路を有し、前記走査側共振回路の出力電圧を前記走査電圧として前記走査電極に供給し、
前記データ側駆動回路は、前記走査側共振回路が発生する交流電圧と同一周波数で逆相の交流電圧を発生するデータ側共振回路を有し、前記データ側共振回路が発生する交流電圧を前記表示信号データに基づき変調したデータ電圧を前記データ電極に供給することを特徴とする無機ＥＬ表示装置。
【請求項２】
前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路は、水平同期信号に同期したパルスに基づいて発振の開始と停止を制御する請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項３】
前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、各データ電極に対して同時に前記データ電圧を印加する請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項４】
１個の前記走査側共振回路が、複数の前記各走査電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧が印加される請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項５】
前記走査側駆動回路は、前記各走査電極に対して順次前記走査電圧を印加し、前記データ側駆動回路は、１本の前記走査電極に前記走査電圧が印加されている期間内に、各データ電極に対して順次前記データ電圧を印加する請求項１に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項６】
１個の前記データ側共振回路が、複数の前記各データ電極に対してスイッチ回路を介して接続され、前記スイッチ回路を切り換えることにより、前記各データ電極に対して順次前記データ電圧が印加される請求項５に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項７】
前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続された第１コイルと、前記第１コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された第１キャパシタと、前記第１キャパシタと並列に接続された第２コイルと第２キャパシタの直列回路とを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される請求項２に記載の無機ＥＬ表示装置。
【請求項８】
前記走査側共振回路及び前記データ側共振回路の少なくとも一方は、一端が電源に接続されたコイルと、前記コイルの他端に一端が接続され他端が接地電位に接続されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続されたキャパシタとを備え、前記スイッチング素子の制御端子に前記水平同期信号に同期したパルスが印加される請求項２に記載の無機ＥＬ表示装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−４７６７９（Ｐ２００６−４７６７９Ａ）
【公開日】平成１８年２月１６日（２００６．２．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２２８３９９（Ｐ２００４−２２８３９９）
【出願日】平成１６年８月４日（２００４．８．４）
【出願人】（５０３２１７７８３）松下東芝映像ディスプレイ株式会社 (176)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月１６日（２００６．２．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年８月４日（２００４．８．４）
【出願人】（５０３２１７７８３）松下東芝映像ディスプレイ株式会社 (176)
【Ｆターム（参考）】
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