説明

無水小便器

【課題】脱臭性能に優れた無水小便器を提供する。
【解決手段】無水小便器Tは、鉢面12を有する便器本体10と、鉢面12に向けて、尿臭の原因菌に対する除菌機能を有するイオン風Wを噴出する除菌装置30とを備えている。鉢面12は、概ね鉛直方向に沿った立ち面13を備えて構成されており、除菌装置30は、イオン風Wを、便器本体10の上端部から立ち面13に向かって斜め下向きに噴出させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無水小便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オゾンを利用して脱臭を行う小便器が開示されている。これは、オゾン風を便鉢の内部で下降させ、尿から発生して便鉢内に漂う臭気とオゾンを反応させることにより、尿からの臭気を消すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−158299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の小便器は、尿から既に発生してまった臭気を、オゾンと反応させて消臭するだけであり、尿における臭気の発生を抑えることはできない。そのため、オゾンによって消すことのできなかった尿臭が、小便器の周囲に漂って使用者に不快感を与える虞があり、上記の小便器は脱臭性能の点で問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、脱臭性能に優れた無水小便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、鉢面を有する便器本体と、前記鉢面に向けて、尿臭の原因菌に対する除菌機能を有するイオン風を噴出する除菌装置とを備えているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記鉢面が、概ね鉛直方向に沿った立ち面を備えており、前記除菌装置は、前記イオン風を、前記便器本体の上端部から前記立ち面に向かって斜め下向きに噴出させる形態とされているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記除菌装置には、前記イオン風の噴出方向を変更可能なルーバーが設けられているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記除菌装置は、前記便器本体と使用者との間の距離に基づいて、前記イオン風の噴出方向と風量のうち少なくとも一方を制御可能であるところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記除菌装置は、使用者の身長に基づいて、前記イオン風の噴出方向と風量のうち少なくとも一方を制御可能であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
除菌装置から噴出して鉢面に当たったイオン風は、鉢面上で拡散し、鉢面の広い範囲に亘って尿に付着している尿臭の原因菌を除菌する。本発明によれば、尿臭の発生そのものを確実に抑えることができるので、脱臭性能に優れている。
【0011】
<請求項2の発明>
イオン風が真下に噴出する場合には、便器本体に近づいて立っている使用者の身体にイオン風が直接当たり、使用者が不快感を覚えることが懸念される。その点、本発明は、イオン風を斜め下向き、つまり使用者の立ち位置から遠ざかる向きに噴出するので、使用者の身体にイオン風が直接当たる虞がなく、使用者に不快感を与えることを防止できる。
【0012】
<請求項3の発明>
便鉢における尿の付着領域は、使用者の立ち位置や身長等によって異なるのであるが、本発明によれば、ルーバーによってイオン風の噴出方向を変えることにより、尿の付着領域を狙ってイオン風を噴出することができるので、脱臭効率が高い。
【0013】
<請求項4の発明>
使用者の立ち位置が便器本体に近い場合には、鉢面における尿の付着領域は高い位置から低い位置まで広範囲に亘るのに対し、立ち位置が便器本体から遠い場合には尿の付着領域が比較的下方に集中するので、尿の付着領域に応じてイオン風の噴出方向や風量を制御すれば、効果的な脱臭を行うことができる。
【0014】
<請求項5の発明>
使用者の身長が高い場合には、鉢面における尿の付着領域は高い位置から低い位置まで広範囲に亘るのに対し、身長が低い場合には尿の付着領域が比較的下方に集中するので、尿の付着領域に応じてイオン風の噴出方向や風量を制御すれば、効果的な脱臭を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1において大人が便器本体に近い位置に立って使用している状態をあらわす断面図
【図2】大人が便器本体から離れた位置に立って使用している状態をあらわす断面図
【図3】子供が使用している状態をあらわす断面図
【図4】距離検出手段と身長判別手段の構成をあらわすブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1〜図4を参照して説明する。本実施形態の無水小便器Tは、便器本体10と、尿臭の発生を抑えるための脱臭用の除菌装置30とを備えて構成されている。
【0017】
便器本体10は、全体として上下方向に長く、前方に開放された便鉢11を有する。便鉢11の下端部には、尿よりも比重の小さいシール液を用いたカートリッジタイプの排水トラップ20が設けられている。図1に示すように、排水トラップ20は、上面が流入口22として開口された貯留空間23を有するケーシング21と、貯留空間23内の尿をケーシング21外の排出路18へ排出させるための排出孔24と、下端のディップを貯留空間23の底部に連通させるとともに上端のウェアを排出口に連通させた形態の封水部25とを備えて構成されており、流入口22が後述する受け面15上で開口するように着脱可能に配置されている。
【0018】
便鉢11の鉢面12は、上下方向に長くほぼ鉛直方向に沿った立ち面13と、上下方向に長くて立ち面13の左右両側縁に滑らかに連なる側面14と、立ち面13の下端部及び左右両側面14の下端部に滑らかに連なる上向きの受け面15とを備えて構成されている。便鉢11は、立ち面13の上端とほぼ同じ高さに位置する略水平な上壁部16を有しており、この上壁部16には、後述する除菌装置30の噴出口34と対応する通気口17が、上下方向に貫通した形態で形成されている。通気口17は、前後方向(立ち面13と直角な水平方向)において立ち面13よりも前方に位置している。
【0019】
除菌装置30は、ハウジング31と、ファン32と、ダクト33と、ルーバー35と、イオン発生ユニット36と、第1センサ37と、第2センサ41とを備えて構成されている。ハウジング31は、下面が開放された形態であり、上壁部16に対して上から被せるとともに、下面の開口部を通気口17と対応させるようにして組み付けられている。ファン32は、ハウジング31内に収容されており、送出する風量を増減できるようになっている。ファン32の吹き出し口には、ダクト33の上流端が接続されている。ダクト33の下流端は、下向きに開口して上面壁の通気口17と対応するように配置された噴出口34となっている。噴出口34は、前後方向(立ち面13と直角な水平方向)において立ち面13よりも前方に位置している。
【0020】
噴出口34内には、前後方向(立ち面13に対して接近・離間する方向)に間隔を空けて並ぶ複数のルーバー35が設けられている。ルーバー35は、その上端縁部を始点として前後方向へ揺動し得るようになっている。ルーバー35の角度を変更することにより、噴出口34からの空気(イオン風W)の噴出方向を制御することができるようになっている。
【0021】
イオン発生ユニット36は、ダクト33に取り付けられており、ファン32から送り出されてダクト33内を通過する空気中に、イオンを放出するようになっている。ダクト33内を通過する間にイオンを含んだ空気は、噴出口34からルーバー35で定められた方向へイオン風Wとして便鉢11内へ噴出するようになっている。このイオン風Wは、尿臭の原因菌を除菌する機能を有している。尚、本実施形態では、イオン発生ユニット36として、プラズマクラスター(登録商標)と称される技術を利用しているが、イオン発生ユニット36としては、プラズマクラスター以外の除菌用イオン発生装置を用いることもできる。
【0022】
ハウジング31の前面壁には、第1センサ37が取り付けられている。第1センサ37は、前方へ光を投射し、その投射光が戻ってくる時間に基づいて距離を検出する。図4に示すように、第1センサ37の検出信号は制御装置38に入力され、第1センサ37と制御装置38は、使用者A,Cと便器本体10との間の水平距離を検出する距離検出手段39を構成する。第1センサ37の床面からの設置高さは、本実施形態では120cm程度(小学一年生の平均身長と概ね同じ高さ)とされているが、これよりも高い位置や低い位置に配置してもよい。
【0023】
ハウジング31には、その上面の後端縁から立ち上がる支持壁40が形成され、支持壁40には第2センサ41が設けられている。第2センサ41は、前方へ光を投射し、その投射光が戻ってくる時間に基づいて距離を検出する。図4に示すように、第2センサ41の検出信号は制御装置38に入力され、第1センサ37と第2センサ41と制御装置38は、使用者A,Cの身長を判別する身長判別手段42を構成する。第2センサ41の床面からの設置高さは、本実施形態では150cm程度(第1センサ37よりも高い位置)とされているが、これよりも高い位置や低い位置に配置してもよい。
【0024】
距離検出手段39においては、第1センサ37で検出された距離の値が予め設定されたしきい値(例えば、50cm)よりも短い場合に、便器本体10の前方に使用者A,Cが立っていると判断し、第1センサ37による検出距離がしきい値よりも長い場合には、便器本体10の前方に使用者A,Cはいないと判断する。
【0025】
また、身長判別手段42においては、第2センサ41で検出された距離の値が予め設定されたしきい値(例えば、80cm)よりも短い場合に、便器本体10の前方に比較的身長の高い使用者A(大人)が立っていると判断する。また、第2センサ41による検出距離がしきい値よりも長い場合には、便器本体10の前方に使用者A,Cがいないか、若しくは、便器本体10の前方に比較的身長の低い使用者C(子供)が立っているかのいずれかであると判断する。
【0026】
そして、制御装置38においては、第1センサ37による検出距離、第1センサ37としきい値との比較結果、及び第2センサ41による検出距離としきい値との比較結果に基づいて、ファン32の送風動作と送風量、及びルーバー35の傾き角度を制御するための制御信号を角度調節装置43に出力するようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。第1センサ37の検出距離がしきい値よりも長く、且つ第2センサ41の検出距離もしきい値より長い場合には、距離検出手段39において便器本体10の前方に使用者A,Cは立っていないと判断される。この場合、制御装置38は、ファン32に対し送風を停止する信号を出力するので、イオン風Wは噴出しない。
【0028】
また、第1センサ37の検出距離がしきい値よりも短く、且つ第2センサ41の検出距離もしきい値より短い場合には、距離検出手段39において便器本体10の前方に使用者Aが立ったと判断されると同時に、身長判別手段42において使用者Aは身長の高い大人であると判断される。この場合、制御装置38は、ファン32に対して送風を行わせるとともに送風量を制御する信号を出力するので、イオン風Wが噴出口34から鉢面12に向かって斜め下向きに噴出する。これと同時に、制御装置38は、ルーバー35の角度調節装置43に対し、第1センサ37の検出距離に基づいてルーバー35の傾き角度を調節するための信号を出力する。
【0029】
例えば、図1に示すように、使用者Aの立ち位置が便器本体10に比較的近い場合には、放尿軌跡Uが立ち面13の比較的高い位置に到達するので、鉢面12における尿の付着領域は立ち面13の高い位置から低い位置(受け面15)まで広範囲に亘る。したがって、イオン風Wが、立ち面13における比較的高い位置(即ち、尿が付着すると想定される高さよりも少し高い位置)に向かって噴出するように、ルーバー35の水平方向に対する傾き角度は、例えば55°程度とされる。また、後述のように鉢面12における尿の付着領域が広いので、イオン風Wの風量が多くなるように、ファン32の送風力も制御される。
【0030】
また、図2に示すように、使用者Aの立ち位置が便器本体10から比較的遠い場合には、立ち面13における放尿軌跡Uの到達高さは、立ち位置が便器本体10に近い図1の場合に比べて低い位置となるので、鉢面12における尿の付着領域は立ち面13の低い位置と受け面15に限定される。したがって、イオン風Wが、立ち面13におけるほぼ中央高さ(即ち、尿が付着すると想定される高さよりも少し高い位置)に向かって噴出するように、ルーバー35の水平方向に対する傾き角度は、例えば70°程度とされる。また、図1の立ち位置に比べると、鉢面12における尿の付着領域が狭いので、イオン風Wの風量が少なくなるように、ファン32の送風力が制御される。
【0031】
上記のように立ち面13に向かって斜め下向きに噴出したイオン風Wは、立ち面13に当たった後、立ち面13上で下方へ拡散する。つまり、イオン風Wは、立ち面13に沿って下方へ流れて受け面15に達する。また、イオン風Wは、立ち面13上において左右方向へも拡散するので、左右両側面14に沿って下方へ流れて受け面15に達する。このようにイオン風Wは、鉢面12における広い範囲に亘って流れ、この間に、鉢面12に付着している尿の全体に亘ってイオン風Wが接触する。すると、イオン風Wのイオンが、尿に付着している尿臭の原因菌(細菌)に付着してOHラジカルに変化し、原因菌のタンパク質から水素原子を奪ってその原因菌を不活性化・分解する。このイオンによる原因菌の不活性化・分解作用により、尿臭の発生が抑えられる。そして、使用者Aが便器本体10から離れると、イオン風Wの噴出が停止する。
【0032】
また、図3に示すように、第2センサ41の設置位置よりも身長の低い使用者C(子供)が便器本体10の前に立った場合には、第1センサ37の検出距離がしきい値よりも短く、第2センサ41の検出距離がしきい値より長くなる。したがって、距離検出手段39において便器本体10の前方に使用者Cが立ったと判断されると同時に、身長判別手段42において使用者Cは身長の低い子供であると判断される。この場合も、制御装置38は、ファン32に対して送風を行わせるとともに送風量を制御する信号と、角度調節装置に対し、第1センサ37の検出距離に基づいてルーバー35の傾き角度を調節するための信号を出力する。
【0033】
図3に示すように使用者Cが子供である(使用者Cの身長が比較的低い)場合、図1及び図2に示すように使用者Aが大人である場合に比べると、鉢面12における放尿軌跡Uの到達位置が低い位置(立ち面13の下端部又は受け面15)となるので、鉢面12における尿の付着領域は、図2に比べて更に狭い範囲に限定される。したがって、イオン風Wが、立ち面13の下端部(即ち、尿が付着すると想定される高さよりも少し高い位置)に向かって噴出するように、ルーバー35の水平方向に対する傾き角度は、例えば90°よりも少し小さい角度(鉛直方向近い角度)とされる。また、図2の立ち位置に比べると、鉢面12における尿の付着領域が狭いので、イオン風Wの風量が更に少なくなるように、ファン32の送風力が制御される。
【0034】
図3に示すように、立ち面13の下端部に向かって斜め下向きに噴出したイオン風Wは、立ち面13に当たった後、立ち面13上で受け面15側へ拡散し、鉢面12に付着している尿の全体に亘ってイオン風Wが接触する。この場合も、イオン風Wのイオンが、尿に付着している尿臭の原因菌(細菌)に付着してOHラジカルに変化し、原因菌のタンパク質から水素原子を奪ってその原因菌を不活性化・分解するので、尿臭の発生が抑えられる。そして、使用者Cが便器本体10から離れると、イオン風Wの噴出が停止する。
【0035】
尚、上記以外のイオン風Wの噴出形態としては、使用者A,Cが便器本体10の前に立っている間は、少ない風量でイオン風Wが噴出し、用を足した使用者A,Cが便器本体10から離れた後はイオン風Wの噴出風量を増大させるようにしてもよい。このようにすれば、イオン風Wが使用者A,Cに直接当たることに起因する使用者A,Cの不快感を軽減することができる。また、別の噴出形態としては、使用者A,Cが便器本体10の前に立っている間はイオン風Wを噴出せず、用を足した使用者A,Cが便器本体10から離れた後にイオン風Wを噴出するようにしてもよい。このようにすれば、イオン風Wが使用者A,Cに直接当たるのを確実に回避することができる。
【0036】
また、便器本体10が使用されない状態やイオン風Wが噴出しない状態が所定時間続いた場合に、その所定時間の経過後に、イオン風Wを所定時間の間だけ又は所定間隔で間欠的に噴出させてもよい。また、イオン風Wは、所定時間に亘って連続的に噴出するようにしてもよく、所定時間の間に間欠的に噴出するようにしてもよい。
【0037】
上述のように本実施形態の無水小便器Tは、鉢面12を有する便器本体10と、鉢面12に向けて、尿臭の原因菌に対する除菌機能を有するイオン風Wを噴出する除菌装置30とを備えている。この構成によれば、除菌装置30から噴出して鉢面12に当たったイオン風Wが、鉢面12上で拡散し、鉢面12の広い範囲に亘って尿に付着している尿臭の原因菌を除菌するので、尿臭の発生そのものを確実に抑えることができる。したがって、既に発生している臭気を消す場合に比べると脱臭性能に優れている。
【0038】
また、イオン風Wの噴出位置は、立ち面13よりも前方の位置(即ち、水平方向において立ち面13よりも使用者A,Cに近い位置)となっているので、イオン風Wが真下に噴出する場合には、便器本体10に近づいて立っている使用者A,Cの身体にイオン風Wが直接当たり、使用者A,Cが不快感を覚えることが懸念される。そこで、本実施形態では、イオン風Wが、便器本体10の上端部から立ち面13に向かって斜め下向きに噴出するようにした。この構成によれば、イオン風Wが、使用者A,Cの立ち位置から遠ざかる向きに噴出するので、使用者A,Cの身体にイオン風Wが直接当たる虞がなく、使用者A,Cに不快感を与えることを防止できる。
【0039】
また、便鉢11における尿の付着領域は、使用者A,Cの立ち位置や身長等によって異なるのであるが、本実施形態によれば、ルーバー35によってイオン風Wの噴出方向を変えることにより、尿の付着領域を狙ってイオン風Wを噴出することができるので、脱臭効率が高い。
【0040】
また、使用者A,Cの立ち位置が便器本体10に近い場合には、鉢面12における尿の付着領域が高い位置から低い位置まで広範囲に亘るのに対し、立ち位置が便器本体10から遠い場合には尿の付着領域が比較的下方に集中する。この点に着目し、本実施形態では、除菌装置30が、便器本体10と使用者A,Cとの距離に基づいて、イオン風Wの噴出方向と風量のうち少なくとも一方を制御し得るようになっている。この構成によれば、尿の付着領域に応じてイオン風Wの噴出方向や風量を制御できるので、効果的な脱臭を行うことができる。
【0041】
また、使用者A,Cの身長が高い場合には、鉢面12における尿の付着領域が高い位置から低い位置まで広範囲に亘るのに対し、身長が低い場合には尿の付着領域が比較的下方に集中する。この点に着目し、本実施形態では、除菌装置30が、使用者A,Cの身長に基づいて、イオン風Wの噴出方向と風量のうち少なくとも一方を制御し得るようになっている。この構成によれば、尿の付着領域に応じてイオン風Wの噴出方向や風量を制御できるので、効果的な脱臭を行うことができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、イオン風の噴出口を便器本体の上端部に配置したが、噴出口は、便器本体の上端よりも低い位置(例えば、便器本体の左右両側縁部)に配置してもよい。
(2)上記実施形態では、イオン風を斜め下向きに噴出させたが、イオン風は、斜め上向きに噴出させてもよく、立ち面とほぼ平行な鉛直下向きに噴出させてもよく、ほぼ水平に噴出させてもよい。
(3)上記実施形態では、イオン風を一箇所のみから噴出させるようにしたが、イオン風は、複数箇所から噴出させてもよい。
(4)上記実施形態では、イオン風を立ち面のみに向かって噴出させたが、イオン風は、立ち面だけに限らず、立ち面と受け面の両方に向かって噴出させてもよい。
(5)上記実施形態では、除菌装置にルーバーを設けることによって、イオン風の噴出方向を制御するようにしたが、ルーバーを設けず、イオン風の噴出方向を固定してもよい。
(6)上記実施形態では、使用者の立ち位置や使用者の身長に応じて、除菌装置がイオン風の噴出方向と風量を制御するようにしたが、制御対象は、イオン風の噴出方向だけでもよく、イオン風の風量だけでもよい。
【符号の説明】
【0043】
A…使用者
C…使用者
T…無水小便器
W…イオン風
10…便器本体
12…鉢面
13…立ち面
30…除菌装置
35…ルーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢面を有する便器本体と、
前記鉢面に向けて、尿臭の原因菌に対する除菌機能を有するイオン風を噴出する除菌装置とを備えていることを特徴とする無水小便器。
【請求項2】
前記鉢面が、概ね鉛直方向に沿った立ち面を備えており、
前記除菌装置は、前記イオン風を、前記便器本体の上端部から前記立ち面に向かって斜め下向きに噴出させる形態とされていることを特徴とする請求項1記載の無水小便器。
【請求項3】
前記除菌装置には、前記イオン風の噴出方向を変更可能なルーバーが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無水小便器。
【請求項4】
前記除菌装置は、前記便器本体と使用者との距離に基づいて、前記イオン風の噴出方向と風量のうち少なくとも一方を制御可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の無水小便器。
【請求項5】
前記除菌装置は、使用者の身長に基づいて、前記イオン風の噴出方向と風量のうち少なくとも一方を制御可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無水小便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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