説明

無水結晶形態のN−[1−(2−エトキシエチル)−5−(N−エチル−N−メチルアミノ)−7−(4−メチルピリジン−2−イル−アミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−カルボニル]メタンスルホンアミド

【課題】医薬として有用な無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの提供。
【解決手段】(1)無水結晶形態の上記化合物、(2)少なくとも1つの該形態を含有する医薬組成物、(3)少なくとも1つの該形態を使用するホスホジエステラーゼ-5-が仲介する症状の治療方法、及び(4)該形態の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月12日に出願された米国仮出願番号60/680,445及び2005年5月17日に出願された米国仮出願番号60/681,711の優先権を主張し、これらの開示の各々は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的に結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドに関する。より詳細には、本発明は(1)無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド、(2)該形態の少なくとも1つを含有する医薬組成物、(3)該形態の少なくとも1つを使用するホスホジエステラーゼ-5-が仲介する症状の治療方法、及び(4)該形態の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化合物N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドは、以下の構造(1):
【化1】



を有する。
【0004】
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの合成は、PCT出願公開WO 2005/049616(「化合物出願」)の実施例115に記載される。該化合物出願は更に、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドが高血圧のようなPDE-5-が仲介する症状を治療するために使用することができるホスホジエステラーゼ-5(「PDE-5」)阻害剤であることを開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なる固体形態の医薬化合物は、実質的に異なる物理的特性を有し得る。このような物理的特性の違いは、例えば医薬化合物の製造方法、処理方法、処方方法又は投与方法への影響を有し得る。従って、化合物の製造、処理、処方又は投与において、他の固体形態に比較して利点を与える新規固体形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの同定が望まれる。以下に記載するように、N-[1-(2-エトキシ
エチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの3種の新規無水結晶形態が同定された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様において、本発明は、無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドに関する。
【0007】
別の実施態様において、本発明は、A型無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド(「A型」)に関する。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、B型無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド(「B型」)に関する。
【0009】
別の実施態様において、本発明は、C型無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド(「C型」)に関する。
【0010】
別の実施態様において、本発明は、A型、B型及びC型から成る群より選択される少なくとも2形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含有する組成物に関する。
【0011】
別の実施態様において、本発明は、A型、B型及びC型から成る群より選択される少なくとも1形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド及び医薬として許容し得る担体を含有する医薬組成物に関する。
【0012】
別の実施態様において、本発明はA型、B型及びC型から成る群より選択される少なくとも1形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの治療有効量を対象に投与することを含む、PDE-5-介在性状態の治療方法に関する。
【0013】
別の実施態様において、本発明はA型、B型及びC型の製造方法に関する。
【0014】
本発明の別の実施態様は、本明細書の記載を通じて開示される。
図1はA型のX線粉末回折像の実例を示す。
図2はA型の予測されたX線粉末回折像を示す。
図3はB型のX線粉末回折像の実例を示す。
図4はC型のX線粉末回折像の実例を示す。
図5はA型のDSC示差熱分析曲線の実例を示す。
図6はB型のDSC示差熱分析曲線の実例を示す。
図7はC型のDSC示差熱分析曲線の実例を示す。
図8はA型のFT-IRスペクトルの実例を示す。
図9はB型のFT-IRスペクトルの実例を示す。
図10はC型のFT-IRスペクトルの実例を示す。
図11はA型のラマンスペクトルの実例を示す。
図12はB型のラマンスペクトルの実例を示す。
図13はC型のラマンスペクトルの実例を示す。
図14は実施例1で製造された物質のX線粉末回折像を示す。
図15はN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの製造を説明する別の合成スキームを示す。
【0015】
好ましい実施態様の詳細な説明
固体形態の化合物は、(1)モル体積、密度及び吸湿性のような包装特性、(2)融解温度、蒸気圧及び溶解性のような熱力学的特性、(3)動態学的特性、例えば溶解速度及び安定性(例えば、特に湿度に対して及び保存条件下での周囲条件における安定性)、(4)表面特性、例えば表面積、湿潤性、界面張力及び形状、(5)機械的特性、例えば硬度、引っ張り強さ、成形性、取り扱い、流動性(flow)及び混合性(blend);又は(6)濾過特性を包含する化合物の物理的特性に実質的に影響を与え得る。固体形態の選択及び制御は特に薬物となる化合物にとって重要である。固体形態の慎重な選択及び制御は、化合物に関する合成、処理、処方又は投与の問題を減らすことができる。
【0016】
化合物N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの3種の新規無水結晶形態(A型、B型及びC型)が同定された。以下でより詳細に説明されるように、A型、B型及びC型はそれぞれ互いに別個の物理的特性を有する。
【0017】
本願明細書で使用される場合、化学名「N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド」(及び対応する「構造1」)は、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの全ての互変異性体を包含することを意図する。例えば、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの2種の互変異性体を、互変異性体(1)及び互変異性体(2)(以下の共鳴構造により例示される)として以下に示す:
【化2】



【0018】
特定の理論に固執するわけではないが、A型は上記互変異性体(1)として結晶化し、そしてB型及びC型はそれぞれ上記互変異性体(2)として結晶化するものと仮定される。
【0019】
A. 略語及び定義
1H NMRに関連して使用される場合、記号「δ」は1H NMR化学シフトを指す。
1H NMRに関連して使用される場合、略語「br」はブロードの1H NMRシグナルを指す。
1H NMRに関連して使用される場合、略語「d」は二重線の1H
NMRピークを指す。
略語「m/z」は質量スペクトルピークを指す。
1H NMRに関連して使用される場合、略語「m」は多重線の1H
NMRピークを指す。
1H NMRに関連して使用される場合、略語「q」は四重線の1H
NMRピークを指す。
1H NMRに関連して使用される場合、略語「s」は一重線の1H
NMRピークを指す。
1H NMRに関連して使用される場合、略語「t」は三重線の1H
NMRピークを指す。
用語「DSC」は示差走査熱量測定を指す。
用語「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指す。
用語「PXRD」はX線粉末回折を指す。
【0020】
用語「PDE-5-が仲介する症状」及び「ホスホジエステラーゼ-5-が仲介する症状」は、PDE-5によって直接的に調節されるか又はシグナリング経路の構成要素としてのPDE-5によって間接的に調節されるかにかかわらず、PDE-5が介在するいずれかの状態を指す。
用語「組成物」は、1より多くの要素又は成分を混合するか又は組み合わせることにより生じる製品を指す。
【0021】
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドに適用される用語「結晶形態」は、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド分子が(i)識別可能な単位格子を含み、そして(ii)X線放射に付した場合に回折ピークを与える、識別可能な結晶格子を形成するように配置されている固体形態を指す。
【0022】
本明細書を通じて使用される用語「結晶化」は、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの出発物質の製造に関して適用可能な環境に応じて、結晶化及び/又は再結晶化を指す。
【0023】
用語「純度」は、慣用のHPLCアッセイによるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの化学純度を指す。
【0024】
用語「相純度」は、本明細書で記載される分析方法によって決定されるようなN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの特定の固体形態に関するN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの固体純度を指す。
【0025】
用語「医薬として許容し得る担体」は、組成物の他の成分と共存でき、そして対象に有害ではない担体を指す。このような担体は、化学薬品の運搬又は輸送に関与する医薬として許容し得る物質、組成物又はビヒクル、例えば液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤又はカプセル化材であってよい。好ましい組成物は、投与方法に応じて決まる。
【0026】
用語「予防する」、「予防」又は「予防的」は、対象におけるプレ臨床的に明白な状態全体の発現を予防するか、又はプレ臨床的に明白な状態の過程の発現を予防することを指す。予防とは状態を患うリスクがある対象の予防的治療を包含するが、これに限定されない。
【0027】
用語「相対強度」は、同じ回折像において最も強い回折ピークの強度に対する個々の回折ピーク(又は場合によってスペクトル線)の強度の比率を指す。言い換えれば、最も強いピークの強度は100に設定され、そして他の全ての強度はそれに応じて測定される。
【0028】
用語「治療有効量」は、研究者又は医師により求められる組織、系又は動物の生物学的又は医学的応答を引き出す薬剤又は医薬の量を指す。
【0029】
用語「治療」(及び対応する用語「治療する」及び「治療の」)は、対象の待期的、回復的及び予防的治療を指す。用語「待期的療法」は、対象の状態の治癒は伴わず、該状態の影響又は強度を軽減するか又は緩和する治療を指す。用語「予防的治療」(及び対応する用語「予防療法」)は、対象の状態の発生を予防する治療を指す。用語「回復的治療」は対象の状態の進行を止めるか、病態の発現を低減するか又は完全に取り除く治療を指す。
【0030】
B. 結晶形態の特性
化合物の結晶状態は、幾つかの結晶学的パラメータ、例えば単結晶構造、X線粉末回折像、融解温度、赤外吸収分光パターン及びラマン分光パターンによって記載することができる。
【0031】
1. 単結晶X線分析
A型の結晶構造は、単結晶X線回折分析によって決定された。分析で使用される単結晶X線回折データは、Bruker SMART APEX Single Crystal X線回折計及びMo
Kα放射を使用して室温で集めた。強度は、数連続の暴露から統合し(integrated)(SMART
v5.622(コントロール)及びSAINT v6.02(統合)ソフトウェア、Bruker AXS Inc., Madison, WI 1994)、ここで各暴露は30秒の暴露時間で0.3°(ω)に及び、そして全データ・セットは半球の立体角(hemisphere)よりも大きかった。データは、マルチスキャン方法(SADABS, 面積検出器データのスケーリング及び補正のためのプログラム(Program for scaling and correction of area detector data), G. M.
Sheldrick, University of Goettingen, 1997(R. H. Blessing, Acta Cryst. 1995,
A51, 33-38の方法に基づく))を使用して吸収について集めた。次いで、結晶構造は、空間群P2 1/cにおいてSHELXS-97(結晶構造純化のためのプログラム(Program for crystal structure refinement). G. M. Sheldrick, University of Gottingen, Germany, 1997, release 97-2)を使用する直接的方法によって解明され、そしてSHELXL-97を使用する最小自乗法によって純化された。選択された結晶構造データを表1Aにまとめる。
【0032】
C型の結晶構造もまた、A型について上述したものと同様の方法で単結晶X線回折分析により決定したが、ただし暴露時間は120秒であった。結晶構造は、空間群P-1においてSHELXS-97を使用する直接的方法によって解明され、そしてSHELXL-97を使用する最小自乗法によって純化された。C型について選択された結晶構造データを表1Bにまとめる。
【0033】
【表1】



【0034】
上述のとおり、A型は互変異性体(1)として結晶化し、そしてC型は互変異性体(2)として結晶化するものと仮定される。単結晶X線分析はこの仮定を支持する。
【0035】
2. X線粉末回折
A型、B型及びC型の結晶構造は、X線粉末回折(「PXRD」)を使用して分析した。X線回折データは、自動サンプルチェンジャー、θ-θ角度計、自動ビーム発散スリット、第二の単色光分光器及びシンチレーションカウンターを取り付けたBruker AXS D4 粉末X線回折計(Cu Kα放射)を使用して室温で集めた。サンプルは、シリコンウェファー試料マウントに分けておいた直径12mm、深さ0.25mmのキャビティー中に粉末をパッキングすることによって分析用に調製した。40kV/40mAで作動させたX線管を用いて銅のK-α1X線(波長
= 1.5406Å)を照射する間、サンプルを回転させた。2θ範囲2°〜55°にわたり0.02°毎に5秒カウントに設定された連続モードで作動する角度計を用いて分析を行った。A型について得られたピークを、単結晶構造から計算されたパターンから得られたものに対してアラインした。B型及びC型については、得られたピークをシリコン標準に対してアラインした。
【0036】
A型について、2θ角、d間隔及び相対強度を、Accelrys Materials StudioTM [バージョン2.2]の「Reflex Powder Diffraction」モジュールを用いて単結晶構造から計算した。適切なシミュレーションパラメータは、各場合において:波長 = 1.540562Å(Cu K-α1)、偏りの因子 = 0.5;及びPseudo-Voigtプロフィール(U = 0.01、V = -0.001、W = 0.002)であった。
【0037】
熟練した結晶学技術者には明らかなように、以下の表及び図において報告される様々なピークの相対強度は、多くの因子、例えばX線ビームにおける結晶の配向効果又は分析される物質の純度又はサンプルの結晶化度の程度によって変動し得る。ピーク位置はまた、サンプル高さにおける変動についてシフトし得るが、該ピーク位置は実質的にそれぞれA型、B型及びC型についての表2A、2C及び2Dにおいて定められる位置のままである。また熟練した結晶学技術者には明らかなように、異なる波長を使用して測定するとBragg 式- nλ = 2d sin θに従って異なるシフトが得られる。このような別の波長の使用により得られる別のPXRDパターンは、本発明の結晶物質のPXRDパターンの代替的表示であるとみなされ、そしてそれ自体本発明の範囲に含まれる。
【0038】
A型、B型及びC型のPXRDパターンの具体例を図1、3及び4にそれぞれ示す。表2A、2C及び2Dはそれぞれ、A型、B型及びC型の2θ値及び強度に関して対応する主な回折ピークを記載している。表2Aは25%より大きい相対強度を有するA型ピークを記載している。表2Cは2%より大きい相対強度を有するB型ピークを記載している。表2Dは10%より大きい相対強度を有するC型ピークを記載している。
【0039】
更に、A型の計算されたPXRDパターンを図2に示す。表2BはA型の2θ値及び強度に関して対応する計算された主な回折ピークを記載している。表2Bは10%より大きい相対強度を有する計算されたA型ピークを記載している。
【表2】



【0040】
【表3】



【0041】
A型PXRD
A型は、8.5±0.1;9.0±0.1;16.9±0.1;20.0±0.1;及び22.5±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含み、そして更に9.0±0.1;16.9±0.1;20.0±0.1;及び22.5±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;16.9±0.1;20.0±0.1;及び22.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。上記の実施態様において、8.5±0.1;9.0±0.1;16.9±0.1;20.0±0.1;及び22.5±0.1度2θで同定される回折ピークは、典型的には少なくとも約10%の相対強度を有する。
【0042】
別の実施態様において、A型は(a)8.5±0.1;9.0±0.1;16.9±0.1;20.0±0.1;及び22.5±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含み、そして(b)3.6±0.1及び7.2±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含まないPXRDパターンを有する。
【0043】
B型PXRD
B型は3.6±0.1;7.2±0.1,
10.1±0.1, 14.4±0.1;及び23.8±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含み、そして更に7.2±0.1,
10.1±0.1, 14.4±0.1及び23.8±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1及び7.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1;7.2±0.1;及び23.8±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1;7.2±0.1;10.1±0.1;14.4±0.1;及び23.8±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。上記の実施態様において、3.6±0.1及び7.2±0.1度2θで同定される回折ピークは、典型的には少なくとも約10%の相対強度を有する。
【0044】
別の実施態様において、B型は(a)3.6±0.1;7.2±0.1, 10.1±0.1, 14.4±0.1;及び23.8±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含み、そして(b)8.5±0.1;6.7±0.1;及び22.5±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含まないPXRDパターンを有する。
【0045】
C型PXRD
C型は6.7±01, 10.6±0.1;14.0±0.1;17.7±0.1;及び20.2±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、C型は10.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、C型は14.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、C型は17.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。1つの実施態様において、C型は20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含み、そして更に10.6±0.1;14.0±0.1;17.7±0.1;及び20.21±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1;17.7±0.1;及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1;17.7±0.1;10.6±0.1;及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1;10.6±0.1;14.0±0.1;17.7±0.1;及び20.2±01度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有する。上記の実施態様において、6.7±0.1;10.6±0.1;14.0±0.1;17.7±0.1;及び20.2±0.1度2θで同定された回折ピークは、好ましくは少なくとも約10%の相対強度を有する。
【0046】
別の実施態様において、C型は(a)6.7±0.1;10.6±0.1;14.0±0.1;17.7±0.1;及び20.2±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含み、そして(b)3.6±0.1及び9.0±0.1度2θから成る群より選択される少なくとも1つの回折ピークを含まないPXRDパターンを有する。
【0047】
3. 示差走査熱量測定
A型、B型及びC型は、それぞれ示差走査熱量測定(DSC)を用いて分析した。TA Instru
ments Q1000示差走査熱量計を使用して、各分析を行った。各サンプルを窒素パージガスを用いて、蓋を上に置いてアルミニウム・パン中で1分間につき20℃ずつ25℃から300℃に加熱した。融解吸熱ピークの温度を融点として報告した。DSC分析のデータは幾つかの因子、例えば加熱速度、サンプルの純度、結晶サイズ及びサンプルサイズに依存する。従って、以下の融点は以下で製造されるサンプルの代表値である。
【0048】
A型DSC
A型のサンプル3.171mgを上述のようにDSCにより分析した。A型のサンプルについて得られたDSC示差熱分析曲線を、図5に示す。A型は174℃±3℃で第一の吸熱ピークを示し、次いで179℃±3℃で発熱再結晶事象を示し、そして219℃±3℃で第二の吸熱ピークを示す。174℃±3℃におけるピークは、A型の融解に対応する。179℃±3℃における発熱再結晶事象は、融解化合物のB型としての再結晶に対応する。219℃±3℃におけるピークは、B型の融解に対応する。
【0049】
B型DSC
B型のサンプル1.603mgを上述のようにDSCにより分析した。B型のサンプルについて得られたDSC示差熱分析曲線を、図6に示す。B型は218℃±3℃でB型の融解に対応する吸熱ピークを示す。
【0050】
C型DSC
C型のサンプル4.405mgを上述のようにDSCにより分析した。C型のサンプルについて得られたDSC示差熱分析曲線を、図7に示す。C型は188℃±3℃で第一の吸熱ピークを示し、次いで199℃±3℃で発熱再結晶事象を示し、そして219℃±3℃で第二の吸熱ピークを示す。188℃±3℃におけるピークは、C型の融解に対応する。199℃±3℃における発熱再結晶事象は、融解化合物のB型としての再結晶に対応する。219℃±3℃におけるピークは、B型の融解に対応する。
【0051】
4. フーリエ変換赤外スペクトロスコピー
A型、B型及びC型の結晶構造は、フーリエ変換赤外(「FT-IR」)スペクトロスコピーを用いて分析した。A型、B型及びC型のサンプルについてのFT-IRスペクトルは、Smart Golden Gate単反射ATRアクセサリ(ダイアモンド・トッププレート及び亜鉛-セレナイドレンズ)を有するThermoNicolet
Avatar 360スペクトロメータを用いて得られた。2cm-1分解能、128スキャン及びHapp Genzelアポディゼーションを用いて測定を行った。単反射ATRを用いてFT-IRスペクトルを記録したため、サンプル調製は必要なかった。しかしながら、ATR FT-IRの使用は、赤外線バンドの相対強度がKBrディスクFT-IRスペクトルにおいて典型的に見られるものとは異なる原因になる。ATR FT-IRの性質によって、バンド強度は一般的に、高い派数領域から低い派数領域に進むときに増加する。特に明記しない限り、実験誤差は±2cm-1であった。
【0052】
A型、B型及びC型のFT-IRスペクトルの具体例をそれぞれ図8、9及び10に示す。表4A、4B及び4Cはそれぞれ、A型、B型及びC型の対応するユニークな割り当て可能な吸収バンドを記載している。
【0053】
【表4】



【0054】
【表5】



【0055】
A型FT-IR
A型は、696±2;1085±2;1188±2;1540±2;及び3247±3cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。1つの実施態様において、A型は3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は3247±3cm-1における吸収バンドを含み、そして更に696±2;1085±2;1188±2;及び1540±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は3247±3及び696±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は696±2;1188±2;及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は696±2;1188±2;1540±2;及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は696±2;1085±2;1188±2;1540±2;及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。
【0056】
別の実施態様において、A型は(a)696±2;1085±2;1188±2;1540±2;及び3247±3cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含み、そして(b)1645±2cm-1において吸収バンドを含まないFT-IRスペクトルを有する。
【0057】
B型FT-IR
B型は722±2;920±2;1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は1452±2cm-1における吸収バンドを含み、そして更に722±2;920±2;1211±2;及び1395±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は1452±2及び1395±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むIRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は722±2;1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むIRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は722±2;920±2;1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むIRスペクトルを有する。
【0058】
別の実施態様において、B型は(a)722±2;920±2;1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含み、そして(b)962±2cm-1において吸収バンドを含まないFT-IRスペクトルを有する。
【0059】
C型FT-IR
C型は661±2;703±2;797±2;881±2;909±2;及び1269±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は881±2cm-1における吸収バンドを含み、そして更に661±2;703±2;797±2;909±2;及び1269±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は881±2及び661±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は661±2;797±2;及び881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は661±2;703±2;797±2;及び881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は661±2;703±2;797±2;881±2;及び909±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は661±2;703±2;797±2;881±2;909±2;及び1269±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。
【0060】
別の実施態様において、C型は(a)661±2;703±2;881±2;909±2;及び1269±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含み、そして(b)688±2cm-1において吸収バンドを含まないFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は(a)661±2;703±2;797±2;881±2;909±2;及び1269±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含み、そして(b)696±2cm-1において吸収バンドを含まないFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は(a)661±2;703±2;797±2;881±2;909±2;及び1269±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含み、そして(b)688±2及び696±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの吸収バンドを含まないFT-IRスペクトルを有する。
【0061】
上述のとおり、A型は互変異性体(1)として結晶化し、そしてB型及びC型はそれぞれ互変異性体(2)として結晶化するものと仮定される。FT-IR分析はこの仮定を支持する。特に、C型FT-IRスペクトルは1644±2cm-1において中程度〜強い吸収バンドを示し、そしてB型FT-IRスペクトルは1646±2cm-1において強い吸収バンドを示す。これらのバンドは非環式C=N伸縮振動数に対応すると考えられ、即ち互変異性体(2)と一致する。それとは反対に、A型FT-IRスペクトルはこの対応振動数において吸収バンドを示さない。A型は互変異性体(1)として結晶化するため、非環式C=N伸縮振動数を有しないと考えられる。
【0062】
5. フーリエ変換ラマンスペクトロスコピー
A型、B型及びC型はそれぞれ、フーリエ変換ラマン(「ラマン」)スペクトロスコピーを用いて分析した。A型、B型及びC型のラマンスペクトルは、ThermoNicolet
960 ラマンスペクトロメータを用いて得られた。各サンプル(約5mg)をガラスバイアル中に入れ、そして励起のために1064.5 nm Nd-YAGレーザー出力光に暴露した。データを2cm-1分解能で集め、ラマン・シフトの関数としてのラマン強度として測定した。データをHapp-Genzelアポディゼーションを使用してフーリエ変換として処理した。特に明記しない限り、実験誤差は±2cm-1であった。
【0063】
A型(測定状態:2000スキャン、レーザー出力光:750mW、サンプルのレーザー出力光:400mW)、B型(測定状態:4000スキャン、レーザー出力光:600mW、サンプルのレーザー出力光:340mW)及びC型(測定状態:960スキャン、レーザー出力光:600mW、サンプルのレーザー出力光:340mW)のラマンスペクトルの具体例をそれぞれ図11、12及び13に示す。X-軸はラマンシフト(cm-1)であり、そしてY-軸は強度である。強度はスペクトル中の主な吸収バンドに相対的に割り当てられた強度であって、基準線から測定された絶対値に基づくものではない。表5A、5B及び5Cはそれぞれ、A型、B型及びC型の対応する特徴的ラマン・バンドを記載している。
【0064】
【表6】



【0065】
【表7】



【0066】
【表8】



【0067】
A型のラマン
A型は993±2;1383±2;1473±2;1569±2;及び3255±3cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は3255±3cm-1におけるバンドを含み、そして更に993±2;1383±2;1473±2;及び1569±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は1473±2;1569±2;及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は1383±2;1473±2;1569±2;及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は993±2;1383±2;1473±2;1569±2;及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0068】
別の実施態様において、A型は(a)993±2;1383±2;1473±2;1569±2;及び3255±3cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含み、そして(b)1652±2cm-1においてバンドを含まないラマンスペクトルを有する。
【0069】
B型のラマン
B型は689±2;1299±2;1456±2;及び1535±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は1299±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は1299±2cm-1におけるバンドを含み、そして更に689±2;1456±2;及び1535±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの更なるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は689±2及び1299±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は689±2;1299±2;及び1535±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は689±2;1299±2;1456±2;及び1535±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0070】
別の実施態様において、B型は(a)689±2;1299±2;1456±2;及び1535±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含み、そして(b)1316±2cm-1においてバンドを含まないラマンスペクトルを有する。
【0071】
C型のラマン
C型は707±2;1447±2;及び2988±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は2988±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は2988±2cm-1に有意なバンドを有し、そして更に707±2及び1447±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つの更なるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は707±2及び2988±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は707±2;1447±2;及び2988±2cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0072】
別の実施態様において、C型は(a)707±2;1447±2;及び2988±2cm-1から成る群より選択される少なくとも1つのバンドを含み、そして(b)1417±2cm-1においてバンドを含まないラマンスペクトルを有する。
【0073】
上述のとおり、A型は互変異性体(1)として結晶化し、そしてB型及びC型はそれぞれ互変異性体(2)として結晶化するものと仮定される。FT-ラマン分析はこの仮定を支持する。特に、C型FT-ラマンスペクトルは1651±2cm-1において弱いラマンバンドを示し、そしてB型FT-ラマンスペクトルは1652±2cm-1において中程度のラマンバンドを示す。これらのバンドは非環式C=N伸縮振動数に対応すると考えられ、即ち互変異性体(2)と一致する。それとは反対に、A型FT-ラマンスペクトルはこの対応振動数においてラマンバンドを示さない。A型は互変異性体(1)として結晶化するため、非環式C=N伸縮振動数を有しないと考えられる。
【0074】
C. A型、B型及びC型の性質
1. 熱力学的安定性
A型、B型及びC型は、異なる熱力学的安定性を有する。B型は周囲温度及び高温で、A型よりも熱力学的に安定である(以下の実施例13を参照されたい)。しかしながら、B型及びC型は互変的に関連がある。B型及びC型の熱力学的安定性におけるクロスオーバーは、約40℃〜約60℃の温度で生じる(以下の実施例14を参照されたい)。別の実施態様において、B型及びC型の熱力学的安定性におけるクロスオーバーは、約40℃〜約50℃の温度で生じる。このクロスオーバー点より上の温度で、B型はC型よりも熱力学的に安定である。このクロスオーバー点より下の温度(周囲温度を含む)で、C型はB型よりも熱力学的に安定である。
【0075】
これらの熱力学的安定性の差は実用上で重要である。結晶形態の熱力学的安定性は、その結晶形態を含む処方された医薬品の潜在的貯蔵寿命に影響を与える。一般に、処方された医薬品についてのより大きな熱力学的安定性はより長い貯蔵寿命と相関する。加えて、処理が高温を生じるか(例えば化合物のミリングにより)又は処理が温度範囲にわたって行われる場合、熱力学的安定性の差は問題を生む。このような処理中の温度変化は潜在的に1つの結晶形態を別の結晶形態に変化させ得る。生じた結晶形態が所望の形態ではない場合、処理温度をより慎重に制御する必要があり得る。
【0076】
2. モルホロジー
A型及びB型はまた、異なる結晶モルホロジーを有する。温度、溶媒、純度及び流体力学(雰囲気)のような因子は結晶モルホロジーに影響を与え得るが、A型及びB型は明確に異なる結晶モルホロジーを有する。A型は典型的に板様モルホロジーを示す。B型は典型的に針様モルホロジーを示す。C型は約5ミクロン〜約350ミクロン;典型的には50〜60ミクロンのサイズ(最大寸法)範囲の薄板様のフラグメントの混合物を含む。
【0077】
これらのモルホロジーの差は、処方された医薬品を製造するための化合物の処理の容易さに潜在的に影響を与え得る。例えば、針様モルホロジーは濾過及び処理をより困難なものにし得る。一方、平板様モルホロジーはしばしば針様モルホロジーと比べて等寸法(equi-dimensional)であり、これは化合物の流れ(flow)及び取り扱いを改善し、それにより濾過工程、処理工程及び錠剤化工程の容易性を改善する。
【0078】
3.
A型、B型及びC型はまた異なる外観を有する。A型は典型的には僅かに黄色味がかった色からアイボリーの色合いを有する。B型は典型的には黄色である。C型は典型的には淡黄色である。処方された医薬品の製品仕様書はしばしば活性成分の化学純度だけでなく、活性成分の相純度についても明記する。活性成分の結晶形態におけるバッチ間変動は一般的に好ましくない。N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの場合、品質管理のためにバッチの色を用いて、バッチの相純度が好ましい相純度基準を満たしているかどうかを評価する品質的手段を提供することができる。加えて製品の美観は重要であり、そして最終医薬製品の外観の色が均一であることが好ましい。結晶形態の色の特性が処方された製品の外観に影響を与える場合、製品中に存在する結晶形態を適切に制御することが、製品の色の一致を保つための操作に必要となる。
【0079】
D. 追加の実施態様
A型、B型及びC型の追加の実施態様を以下に示す:
【0080】
A型の追加の実施態様
1つの実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして3247±3及び696±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして696±2cm-1及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして696±2;1188±2;及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。
【0081】
別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1473±2;1569±2;3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0082】
別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。
【0083】
別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、3247±3及び696±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;9.0±0.1;及び16.9±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、696±2;1188±2;及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。
【0084】
別の実施態様において、A型は8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、696±2及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;16.9±0.1;及び22.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、696±2;1188±2及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0085】
別の実施態様において、A型は8.5±0.1及び9.0±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、696±2及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、A型は8.5±0.1;16.9±0.1;及び22.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、696±2;1188±2;及び3247±3cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、1569±2及び3255±3cm-1におけるバンドを含むラマンスペクトルを有し、そして174℃±3℃の融点を有する。
【0086】
B型の追加の実施態様
1つの実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1395±2及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1211±2;1395±2及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして722±2;920±2;1211±2;1395±2及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1及び7.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。
【0087】
1つの実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1及び7.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1;7.2±0.1;及び23.8±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1;7.2±0.1;10.1±0.1;14.4±0.1;及び23.8±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。
【0088】
別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1395±2cm-1及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1;7.2±0.1;10.1±0.1;14.4±0.1;及び23.8±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、722±2;920±2;1211±2;1395±2;及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。
【0089】
別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして1299±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして689±2及び1299±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして689±2;1299±2;及び1535±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして689±2;1299±2;1456±2;及び1535±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0090】
別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして1299±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1395±2cm-1及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして1299±2及び689±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1395±2cm-1;1452±2;及び1535±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして1299±2及び689±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0091】
別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1395±2cm-1及び1452±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、1299±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、B型は3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、1395±2cm-1;1452±2;及び1535±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、1299±2及び689±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有し、そして218℃±3℃の融点を有する。
【0092】
C型の追加の実施態様
別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして881±2cm-1及び661±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。
別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして881±2;797±2;703±2;及び661±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び26.1±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして881±2cm-1及び661±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有する。
【0093】
別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び26.1±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1;20.2±0.1;及び17.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1;10.6±0.1;14.0±0.1;17.7±0.1;及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。
【0094】
別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして707±2及び2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして707±2;1447±2;及び2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び26.1±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、そして707±2;1447±2;及び2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有する。
【0095】
別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、661±2cm-1及び881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、661±2、881±2及び797±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。
【0096】
別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、661±2cm-1及び881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、661±2cm-1及び881±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、707±2及び2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。別の実施態様において、C型は6.7±0.1及び20.2±0.1度2θにおける回折ピークを含むPXRDパターンを有し、881±2;797±1;703±2;及び661±2cm-1における吸収バンドを含むFT-IRスペクトルを有し、707±2;1447±2及び2988±2cm-1における吸収バンドを含むラマンスペクトルを有し、そして188℃±3℃の融点を有する。
【0097】
E. 純粋な形態の相並びにA型、B型及びC型の組み合わせ
A型、B型及びC型はそれぞれ実質的に純粋な形態の相として得ることができる。または、A型、B型及びC型は、それぞれ1又はそれ以上の他形態と一緒に存在してもよい。
【0098】
1つの実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約50質量%がA型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。更なる実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約20質量%、少なくとも約30質量%又は少なくとも約40質量%がA型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。更なる実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約60質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%、少なくとも約85質量%、少なくとも約90質量%、少なくとも約95質量%、少なくとも約96質量%、少なくとも約97質量%、少なくとも約98質量%、又は少なくとも約99質量%がA型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。別の実施態様において、本発明は、実質的に純粋なA型の相であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。
【0099】
1つの実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約50質量%がB型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。更なる実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約20質量%、少なくとも約30質量%、又は少なくとも約40質量%がB型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。更なる実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約60質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%、少なくとも約85質量%、少なくとも約90質量%、少なくとも約95質量%、少なくとも約96質量%、少なくとも約97質量%、少なくとも約98質量%、又は少なくとも約99質量%がB型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。別の実施態様において、本発明は、実質的に純粋なB型の相であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。
【0100】
1つの実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約50質量%がC型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。更なる実施態様において、本発明は、化合物の少なくとも約20質量%、少なくとも約30質量%、又は少なくとも約40質量%がC型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。更なる実施態様において、本発明は化合物の少なくとも約60質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%、少なくとも約85質量%、少なくとも約90質量%、少なくとも約95質量%、少なくとも約96質量%、少なくとも約97質量%、少なくとも約98質量%、又は少なくとも約99質量%がC型であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。別の実施態様において、本発明は、実質的に純粋なC型の相であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含む。
【0101】
F. A型、B型及びC型の製造方法
本発明はまた、A型、B型及びC型の製造方法を含む。代表的方法は、本出願に含まれる実施例において開示される。
本発明は更に、本出願において開示される方法に従って製造されたA型、B型及びC型のそれぞれを含む。1つの実施態様において、本発明は、該方法に従って製造されたA型を含む。別の実施態様において、本発明は、該方法に従って製造されたB型を含む。別の実施態様において、本発明は、該方法に従って製造されたC型を含む。
【0102】
G. 医薬組成物
A型、B型及びC型並びに該形態の組み合わせを、適当な経路のいずれかで、好ましくはその経路に適した医薬組成物の形態で、そして意図する治療に有効な用量で投与することができる。従って、本発明は特に、1又はそれ以上の医薬として許容し得る担体と共に少なくとも1つの無水結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを含有する医薬組成物を含む。A型、B型及び/又はC型を用いて状態又は障害を治療するために投与されるA型、B型及び/又はC型の量及び処方計画は、種々の因子、例えば対象の年齢、体重、性別及び病状、疾患の重篤度、投与経路及び投与頻度、並びに使用する特定の化合物に応じて決まり、即ち広く変動し得る。医薬組成物は、約0.1〜2000mgの範囲、好ましくは約0.5〜500mgの範囲、そしてより好ましくは約1〜200mgのA型、B型及び/又はC型を含有する。約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは約0.5〜約20mg/kg体重、そしてより好ましくは約0.1〜10mg/kg体重の日用量が適切である。日用量は、1日あたり1〜4分量で投与することができる。
【0103】
1つの実施態様において、医薬組成物は、A型と医薬として許容し得る担体とを含有する。別の実施態様において、医薬組成物は、実質的に純粋なA型の相であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドと医薬として許容し得る担体とを含有する。別の実施態様において、医薬組成物は、B型と医薬として許容し得る担体とを含有する。別の実施態様において、医薬組成物は、実質的に純粋なB型の相であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドと医薬として許容し得る担体とを含有する。別の実施態様において、医薬組成物は、C型と医薬として許容し得る担体とを含有する。別の実施態様において、医薬組成物は、実質的に純粋なC型の相であるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドと医薬として許容し得る担体とを含有する。
【0104】
更に別の実施態様において、医薬組成物は、A型、B型及びC型から成る群より選択される少なくとも2形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの組み合わせと、医薬として許容し得る担体とを含有する。1つの実施態様において、第二の形態に対する第一の形態の量の質量比は、少なくとも約1:1である。別の実施態様において、この比は、少なくとも約3:2;少なくとも約7:3;少なくとも約4:1;少なくとも約9:1;少なくとも約95:5;少なくとも約96:4;少なくとも約97:3;少なくとも約98:2;又は少なくとも約99:1である。別の実施態様において、医薬組成物は、A型、B型及びC型から成る群より選択される3形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドと、医薬として許容し得る担体とを含有する。
【0105】
H. 治療方法
本発明は更に、上述のようなA型、B型、C型の1又はそれ以上の化合物又はこれらの形態の組み合わせの治療有効量を、或る身体状態を有するか又は身体状態を生じやすい治療対象に投与することによる、治療対象におけるこのような状態の治療方法を包含する。1つの実施態様において、治療は予防的治療である。別の実施態様において、治療は待期的療法である。別の実施態様において、治療は回復的治療である。
【0106】
本発明に従って治療され得る身体状態はPDE-5-が仲介する症状である。このような身体状態としては、心血管疾患、代謝疾患、中枢神経系疾患、肺疾患、性的機能不全及び腎機能障害が挙げられる。
【0107】
1つの実施態様において、身体状態は心血管疾患、特に高血圧(例えば本態性高血圧、肺高血圧、二次性高血圧、単一性(isolated)収縮期高血圧、糖尿病に関係がある高血圧、アテローム性動脈硬化に関係がある高血圧及び腎血管性高血圧);高血圧に関係がある合併症 (例えば血管器官損傷、鬱血性心不全、狭心症、発作(stroke)、緑内障及び腎機能低下);心弁不全;安定、不安定 及び異型 (Prinzmetal)狭心症;末梢血管疾患;心筋梗塞;発作;血栓塞栓性疾患;再狭窄;動脈硬化;アテローム性動脈硬化;肺動脈高血圧;バイパス形成術後の血管狭窄;血管形成(例えば経皮経管的血管形成、又は経皮経管冠動脈形成);高脂血症;低酸素性血管収縮;血管炎、例えばカワサキ症候群;心不全(例えば鬱血性、非代償性、収縮期性、拡張期性及び左心室心不全;右心室心不全;及び左心室肥大);レイノー病;子癇前症;妊娠誘発性高血圧;心筋症;及び動脈閉塞性疾患から成る群より選択される心血管疾患である。
【0108】
別の実施態様において、身体状態は高血圧である。別の実施態様において、身体状態は肺動脈高血圧である。別の実施態様において、身体状態は心不全である。別の実施態様において、身体状態は拡張期心不全である。別の実施態様において、身体状態は収縮期心不全である。別の実施態様において、身体状態は狭心症である。別の実施態様において、身体状態は血栓症である。別の実施態様において、身体状態は発作である。
【0109】
別の実施態様において、身体状態は代謝病であり、特にシンドロームX;インスリン抵抗性又は耐糖能異常;糖尿病(例えばI型及びII型糖尿病);インスリン抵抗性症候群(例えばインスリン受容体障害、Rabson-Mendenhall症候群、レプレコーニズム、Kobberling-Dunnigan症候群、Seip症候群、Lawrence症候群、Cushing症候群、アクロメガリー、クロム親和性細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、原発性アルドステロン症、ソマトスタチノーマ、Lipoatrophic糖尿病、β-細胞毒誘導性糖尿病、グレーブス病、ハシモト甲状腺炎及び特発性アジソン病);糖尿病性合併症(例えば糖尿病性壊疽、糖尿病性関節症、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性皮膚障害(diabetic deramatopathy)、糖尿病性神経障害、末梢性糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障及び糖尿病性網膜症);高血糖症;及び肥満症から成る群より選択される代謝病である。
【0110】
別の実施態様において、身体状態はインスリン抵抗性である。別の実施態様において、身体状態はネフロパシーである。
【0111】
別の実施態様において、身体状態は中枢神経系の疾患であり、特に血管性痴呆;頭蓋大脳外傷;脳梗塞;痴呆;集中障害(concentration disorder);アルツハイマー病;パーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;多発性硬化症;クロイツフェルト-ヤコブ病;不安症;鬱病;睡眠障害;及び偏頭痛から成る群より選択される中枢神経系の疾患である。1つの実施態様において、身体状態はアルツハイマー病である。別の実施態様において、身体状態はパーキンソン病である。1つの実施態様において、身体状態はALSである。別の実施態様において、身体状態は集中障害である。
【0112】
1つの実施態様において、身体状態は肺疾患であり、特に喘息;急性呼吸窮迫;嚢胞性線維症;慢性閉塞性肺疾患(COPD);気管支炎;及び慢性可逆性肺障害(chronic reversible
pulmonary obstruction)から成る群より選択される肺疾患である。
【0113】
1つの実施態様において、身体状態は性的機能不全であり、特にインポテンス(器質的又は心理的);男性の勃起不全;陰核機能不全;脊髄損傷後の性的機能不全;女性の性的覚醒機能不全;女性の性的オルガスム機能不全;女性の性的疼痛障害;及び女性の機能低下性性的欲求障害から成る群より選択される性的機能不全である。別の実施態様において、身体状態は勃起不全である。
【0114】
別の実施態様において、身体状態は腎機能障害であり、特に急性又は慢性腎不全;ネフロパシー(例えば糖尿病性ネフロパシー);糸球体腎炎;及び腎炎から成る群より選択される腎機能障害である。
【0115】
別の実施態様において、身体状態は疼痛である。別の実施態様において、身体状態は急性疼痛である。急性疼痛の例としては、損傷又は外科手術と関係がある疼痛が挙げられる。別の実施態様において、身体状態は慢性疼痛である。慢性疼痛の例としては、神経障害性疼痛(例えばヘルペス後神経痛及び末梢性神経障害、癌又は糖尿病性神経障害と関係がある疼痛)、手根管症候群、背部痛(例えば椎間板ヘルニア若しくは椎間板破裂、又は腰椎面関節(lumber facet
joint)、仙腸関節、傍脊椎筋若しくは後縦靱帯の異常と関係がある疼痛)、頭痛、癌疼痛(例えば腫瘍関連疼痛、例えば骨痛、頭痛、顔面痛又は内臓痛)、又は癌治療と関係がある疼痛(例えば化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、放射線後症候群、免疫療法と関係がある疼痛、又はホルモン療法と関係がある疼痛)、関節痛(例えば変形性関節症及びリウマチ様関節炎疼痛)、慢性術後疼痛、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、HIV神経障害、幻肢痛、中枢性発作後疼痛、並びに慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、癲癇及びビタミン欠乏と関係がある疼痛が挙げられる。別の実施態様において、身体状態は侵害受容性疼痛(例えば中枢神経系損傷、筋違い/捻挫、火傷、心筋梗塞及び急性膵炎による疼痛、術後疼痛(いずれかのタイプの外科的処置の後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌疼痛及び背部痛)である。別の実施態様において、身体状態は、炎症と関係がある疼痛(例えば関節痛(例えば変形性関節症及びリウマチ様疾患疼痛)、強直性脊椎炎、内臓痛(例えば炎症性腸疾患、機能性腸障害、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群、機能性腹痛症候群、クローン病、回腸炎、潰瘍性大腸炎、月経困難症、膀胱炎、膵炎及び骨盤疼痛)である。別の実施態様において、身体状態は、筋骨格障害(例えば筋肉痛、線維筋肉痛、脊椎炎、血清反応陰性の(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィン異常症(dystrophinopathy)、グリコゲノリシス、多発性筋炎及び化膿性筋炎(pyomyositis))に起因する疼痛である。別の実施態様において、身体状態は、心臓及び血管疼痛(例えば狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、強皮症(scleredoma)及び骨格筋虚血により引き起こされる疼痛)から成る群より選択される。別の実施態様において、身体状態は、頭部疼痛(例えば偏頭痛、例えばアウラを有する偏頭痛及びアウラを有しない偏頭痛)、群発性頭痛、緊張型頭痛混合型頭痛、及び血管障害と関係がある頭痛;口腔顔面疼痛、例えば歯痛、耳痛、口腔灼熱症候群(burning mouth syndrome)及び顎関節筋筋膜疼痛)から成る群より選択される。
【0116】
別の実施態様において、身体状態は、膀胱出口部閉塞;失禁及び良性前立腺過形成から成る群より選択される泌尿器科の状態である。
【0117】
別の実施態様において、身体状態は、網膜疾患;黄斑変性症及び緑内障から選択される眼の状態である。
【0118】
別の実施態様において、身体状態は、尿細管間質障害;裂肛;禿頭症;癌性悪液質;脳溢血;消化管運動性の障害;腸運動性の障害;月経困難症(原発性及び続発性);緑内障;黄斑変性症;抗血小板(antiplatelet);痔;失禁;過敏性腸症候群(IBS);腫瘍転移;多発性硬化症;腫瘍形成;硝酸不耐(nitrate intolerance);ナッツクラッカー食道(nutcracker
oesophagus);骨粗鬆症;不妊症;早産;乾癬;網膜疾患;皮膚壊死;及び蕁麻疹から成る群より選択される。別の実施態様において、身体状態は骨粗鬆症である。
【0119】
別の実施態様において、身体状態は内皮機能障害と関係があり、特にアテローム性動脈硬化病変、心筋虚血、末梢性虚血、心弁不全、肺動脈高血圧、狭心症、血管バイパス形成術後、血管拡張後、血管リパーミアビリゼーション(vascular repermeabilisation)後及び心臓移植後の血管の合併症から成る群より選択される身体状態と関係がある。
【0120】
本発明の方法及び組成物は、例えばヒト、その他の霊長類(例えばサル、チンパンジー)、伴侶動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ)、家畜(例えばヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ)、実験動物(例えばマウス、ラット)、並びに野生動物及び動物園の動物(例えばオオカミ、クマ、シカ)のような哺乳動物の対象に使用するのに適している。別の実施態様において、対象はヒトである。
【0121】
I. 医薬の製造における使用
本発明は更に、A型、B型、C型又はこれらの形態の組み合わせを1又はそれ以上の医薬として許容し得る担体及び/又は上述の身体状態の治療に使用される他の活性成分と組み合わせて含有する医薬組成物(又は「医薬」)の製造方法を包含する。
【実施例】
【0122】
J. 実施例
実施例1: N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの製造
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
工程1
ジメチル 1-(2-エトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボキシレート
【化3】



ジメチル 4-ニトロ-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボキシレート(2.0g, 8.83mmol, WO00/24745,48頁, 製造例2)を、N,N-ジメチルホルムアミド(35mL)中の2-エトキシエチルブロミド(1.18mL, 10.45mmol)及び炭酸カリウム(1.32g, 9.56mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(200mL)と水(100mL)との間に分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。粗製生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、ペンタン:酢酸エチル100:0〜70:30で溶離させて精製し、表題生成物1.63gを得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz)δ:1.07(s, 3H),
3.41(q, 2H), 3.73(t, 2H), 3.89(s, 3H), 3.94(s, 3H), 4.76(t, 2H). MS APCI+ m/z
302, [MH]+.
【0123】
工程2
4-ニトロ-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボン酸酸 3-メチル エステル
【化4】



工程1のエステル(1.63g,
5.4mmol)をメタノール(20mL)中の水酸化カリウム(330mg,
5.9mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして粗製生成物を水中に溶解し、そしてエーテルで洗浄した。水性相を2M 塩酸で酸性化し、そしてジクロロメタン(3x100mL)中に抽出した。有機相を合一し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮して表題生成物を得た。
1H NMR(CD3OD, 400MHz)δ:1.07(s, 3H),
3.47(q, 2H), 3.80(t, 2H), 3.88(s, 3H), 4.77(t, 2H). MS APCI+ m/z 288 [MH]+.
【0124】
工程3
メチル 5-カルバモイル-1-(2-エトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
【化5】



塩化オキサリル(1.2mL, 13.76mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(39μL)を、ジクロロメタン(20mL)中の工程2 のカルボン酸(1.33g,
4.63mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そしてジクロロメタン(3x50mL)から共沸した。生成物をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、氷浴中で冷却し、0.88アンモニア溶液(10mL)で処理し、そして室温で18時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、そして残留物をジクロロメタン(200mL)と水(50mL)との間に分配した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して表題生成物を得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.06(t, 3H), 3.40(m,
2H), 3.77(m, 2H), 3.84(s, 3H), 4.38(m, 2H), 8.35(m, 1H), 8.46(m, 1H). MS APCI+
m/z 287 [MH]+.
【0125】
工程4
メチル 4-アミノ-5-カルバモイル-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
【化6】



水酸化パラジウム(II)(100mg)をメタノール(20mL)中の工程3のニトロ化合物(970mg,
3.39mmol)の溶液に加え、そして混合物を還流温度まで温めた。ギ酸アンモニウム(1.07g,
16.97mmol)を加え、そして反応混合物を還流温度で2時間撹拌した。触媒をArbocel(R)に通して濾過により除去し、反応混合物を真空下で濃縮して表題生成物を得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.02(t, 3H), 3.33(m,
2H), 3.66(m, 2H), 3.80(s, 3H), 4.57(m, 2H), 5.11(m, 2H), 7.49(m, 2H), MS APCI+
m/z 257 [MH]+.
【0126】
工程5
メチル 1-(2-エトキシエチル)-5,7-ジオキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化7】



N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中の工程4のアミド(570mg, 3.38mmol)の溶液をN,N'-カルボニルジイミダゾール(658mg, 4.06mmol)で処理し、そして反応混合物を室温で1時間撹拌し、そして次いで90℃で18時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして粗製生成物をアセトン中に懸濁し、そして30分間音波処理した。固形生成物を濾別し、そして真空下で乾燥して表題生成物を得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.02(t, 3H), 3.37(m,
2H), 3.77(m, 2H), 3.83(s, 3H), 4.63(m, 2H), 10.75(s, 1H), 11.40(s, 1H). MS ES-
m/z 281 [M-H]-.
【0127】
工程6
メチル 5,7-ジクロロ-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化8】



オキシ塩化リン(934μL, 10.0mmol)及びテトラエチルアンモニウムクロリド(195mg, 1.50mmol)をプロピオニトリル(5mL)中の工程5のジオン(140mg, 0.50mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を18時間還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、そして粗製生成物を酢酸エチル(50mL)と水(50mL)との間に分配した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりペンタン:酢酸エチル100:0〜75:25で溶離させて精製し、表題生成物を得た。
1H
NMR(CDCl3, 400MHz)δ:1.05(t, 3H), 3.41(m,
2H), 3.84(m, 2H), 4.06(s, 3H), 5.00(m, 2H). MS APCI+ m/z 319 [MH]+.
【0128】
工程7
メチル 5-クロロ-1-(2-エトキシエチル)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化9】



工程6のジクロロ化合物(1.98g,
6.20mmol)をジメチルスルホキシド(10mL)中に溶解し、そして溶液を2-アミノ-4-メチルピリジン(1.34g,
12.4mmol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(300mL)と水(500mL)との間に分配し、そしてジクロロメタン層を分離した。有機相を水(3x100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜98:2で溶離させて精製した。粗製生成物をエーテル(50mL)で摩砕し、濾過し、真空下で濃縮して表題生成物1.2gを得た。
1H-NMR(CDCl3,
400MHz)δ:1.06(t, 3H), 2.49(s, 3H), 3.62(m, 2H), 4.00(t,
2H), 4.06(s, 3H), 5.05(m, 2H), 6.98(m, 1H), 8.16(m, 1H), 8.50(m, 1H). MS APCI+
m/z 391 [MH]+.
【0129】
工程8
5-クロロ-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボン酸
【化10】



工程7のエステル (4.3g,
11mmol)をジオキサン(50mL)中に溶解し、そして溶液を1M水酸化ナトリウム水溶液(22.0mL, 22.0mmol)で処理した。次いで、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、残留物を水(100mL)中に溶解し、そしてジクロロメタン(50mL)で洗浄した。次いで、水性相を1Mクエン酸溶液でpH 4〜5に酸性化し、そして黄色沈殿が形成された。混合物を15分間撹拌し、濾過し、固形生成物を五酸化リン上で真空下で乾燥し、表題生成物3.75gを得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.00(t, 3H), 2.34(s,
3H), 3.45(m, 2H), 3.81(m, 2H), 4.84(m, 2H), 6.93(m, 1H), 7.89(m, 1H), 8.16(m,
1H).
【0130】
工程9
N-[5-クロロ-1-(2-エトキシエチル)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド
【化11】



工程8のカルボン酸 (1.0g,
2.70mmol)、メタンスルホンアミド(330mg, 3.5mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(660mg, 3.5mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(390mg, 3.5mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中に溶解し、反応混合物を室温で60時間撹拌した。追加のメタンスルホンアミド(165mg, 1.7mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(330mg, 1.7mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(195mg, 1.7mmol)を加え、そして反応混合物を更に20時間撹拌した。更にメタンスルホンアミド(165 1.7mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(330mg, 1.7mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(195mg 1.7mmol)を加え、そして反応混合物を最後に18時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして残留物をジクロロメタン(25mL)と水(25mL)との間に分配した。有機相を分離し、水(2x25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン:メタノール:酢酸100:0:0〜96:3.5:0.5で溶離させて精製した。粗製生成物を温酢酸エチル(10mL)中で摩砕して表題生成物290mgを得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:0.95(t, 3H), 2.40(s,
3H), 3.40(s, 3H), 3.45(d, 2H), 3.85(m, 2H), 4.95(m, 2H), 7.15(d, 1H), 7.85(s,
1H), 8.25(d, 1H). MS ES- m/z 452[M-H]-.
【0131】
工程10
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド
【化12】



工程9のクロロ化合物 (110mg,
0.24mmol)、N-メチル-エチルアミン(79mg, 1.2mmol)、N-エチルジイソプロピルアミン(210μL, 1.20mmol)及びフッ化セシウム(37mg, 0.24mmol)をジメチルスルホキシド(1mL)中に溶解し、そして反応混合物をReactiVialTM中で5時間、110℃に加熱した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)と水(10mL)との間に分配し、そして有機相を分離し、そして水(2x10mL)で洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン:メタノール 99:1〜97:3で溶離させて精製した。精製した物質を蒸発させ、そして乾燥させて淡黄色固体(66mg)を得た。該固体についてのPXRDパターンを図14に示す。
1H
NMR(DMSO-D6 + CF3CO2D, 400MHz)δ:0.99(t, 3H), 1.17(t, 3H), 2.44(s, 3H), 3.18(s, 3H), 3.41(s, 3H),
3.44(d, 2H), 3.66(d, 2H), 3.88(t, 2H), 4.93(t, 2H), 7.16(d, 1H), 8.09(s, 1H),
8.26(d, 1H). MS ES- m/z 475 [M-H]-.
【0132】
実施例2: N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの製造
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの製造についての別の合成スキームを、図15に示される合成スキームにおいて記載する。
【0133】
実施例3: A型の製造(酢酸エチルからの再結晶)
A型結晶性N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
工程1
ジメチル 1-(2-エトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボキシレート
【化13】



ジメチル 4-ニトロ-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボキシレート(WO00/24745, 48頁, 製造2)(2.0g, 8.83mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(35mL)中の2-エトキシエチルブロミド(1.18mL, 10.45mmol)及び炭酸カリウム(1.32g, 9.56mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして残留物を酢酸エチル(200mL)と水(100mL)との間に分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりペンタン:酢酸エチル100:0〜70:30で溶離させて精製し、エステル生成物1.63gを得た。
1H
NMR(CDCl3, 400MHz)δ:1.07(s, 3H), 3.41(q,
2H), 3.73(t, 2H), 3.89(s, 3H), 3.94(s, 3H), 4.76(t, 2H). MS APCI+ m/z 302, [MH]+.
【0134】
工程2
4-ニトロ-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボン酸酸 3-メチル エステル
【化14】



工程1のエステル (1.63g,
5.4mmol)をメタノール(20mL)中の水酸化カリウム(330mg,
5.9mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして粗製生成物を水中に溶解し、そしてエーテルで洗浄した。水性相を2M 塩酸で酸性化し、そしてジクロロメタン(3x100mL)中に抽出した。有機相を合一し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮してニトロ生成物を得た。
1H
NMR(CD3OD, 400MHz)δ:1.07(s, 3H), 3.47(q,
2H), 3.80(t, 2H), 3.88(s, 3H), 4.77(t, 2H). MS APCI+ m/z 288 [MH]+.
【0135】
工程3
メチル 5-カルバモイル-1-(2-エトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
【化15】



塩化オキサリル(1.2mL, 13.76mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(39μL)をジクロロメタン(20mL)中の工程2のカルボン酸(1.33g,
4.63mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そしてジクロロメタン(3x50mL)から共沸した。生成物をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、氷浴中で冷却し、0.88 アンモニア溶液(10mL)で処理し、そして室温で18時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、そして残留物をジクロロメタン(200mL)と水(50mL)との間に分配した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮してニトロ生成物を得た。1H NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.06(t, 3H), 3.40(m, 2H), 3.77(m, 2H), 3.84(s, 3H), 4.38(m, 2H),
8.35(m, 1H), 8.46(m, 1H). MS APCI+ m/z 287 [MH]+.
【0136】
工程4
メチル 4-アミノ-5-カルバモイル-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
【化16】



水酸化パラジウム(II)(100mg)をメタノール(20mL)中の工程3のニトロ化合物(970mg,
3.39mmol)の溶液に加え、そして混合物を還流温度に温めた。ギ酸アンモニウム(1.07g,
16.97mmol)を加え、そして反応混合物を還流温度で2時間撹拌した。触媒をArbocel(R)に通して濾過により除去し、そして反応混合物を真空下で濃縮してアミド生成物を得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.02(t, 3H), 3.33(m,
2H), 3.66(m, 2H), 3.80(s, 3H), 4.57(m, 2H), 5.11(m, 2H), 7.49(m, 2H). MS APCI+
m/z 257 [MH]+.
【0137】
工程5
メチル 1-(2-エトキシエチル)-5,7-ジオキソ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化17】



N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中の工程4のアミド(570mg, 3.38mmol)の溶液をN,N'-カルボニルジイミダゾール(658mg, 4.06mmol)で処理し、そして反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで90℃で18時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして粗製生成物をアセトン中に懸濁し、そして30分間音波処理した。固形生成物を濾別し、そして真空下で乾燥してジオン生成物を得た。
1H
NMR(DMSO-D6, 400MHz)δ:1.02(t, 3H), 3.37(m,
2H), 3.77(m, 2H), 3.83(s, 3H), 4.63(m, 2H), 10.75(s, 1H), 11.40(s, 1H). MS ES-
m/z 281 [M-H]-.
【0138】
工程6
メチル 5,7-ジクロロ-1-(2-エトキシエチル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化18】



オキシ塩化リン(934μL, 10.0mmol)及びテトラエチルアンモニウムクロリド(195mg, 1.50mmol)をプロピオニトリル(5mL)中の工程5のジオン(140mg, 0.50mmol)の溶液に加え、そして反応混合物を18時間還流させた。反応混合物を真空下で濃縮し、そして粗製生成物を酢酸エチル(50mL)と水(50mL)との間に分配した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりペンタン:酢酸エチル100:0〜75:25で溶離させて精製し、ジクロロ生成物を得た。
1H
NMR(CDCl3, 400MHz)δ:1.05(t, 3H), 3.41(m,
2H), 3.84(m, 2H), 4.06(s, 3H), 5.00(m, 2H). MS APCI+ m/z 319 [MH]+.
【0139】
工程7
メチル 5-クロロ-1-(2-エトキシエチル)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化19】



工程6のジクロロ化合物(1.98g,
6.20mmol)をジメチルスルホキシド(10mL)中に溶解し、そして溶液を2-アミノ-4-メチルピリジン(1.34g,
12.4mmol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(300mL)と水(500mL)との間に分配し、そしてジクロロメタン層を分離した。有機相を水(3x100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜98:2で溶離させて精製した。粗製生成物をエーテル(50mL)で摩砕し、濾過し、真空下で濃縮してモノクロロ生成物1.2gを得た。1H-NMR(CDCl3,
400MHz)δ:1.06(t, 3H), 2.49(s, 3H), 3.62(m, 2H), 4.00(t,
2H), 4.06(s, 3H), 5.05(m, 2H), 6.98(m, 1H), 8.16(m, 1H), 8.50(m, 1H). MS APCI+ m/z
391 [MH]+.
【0140】
工程8
メチル 1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(6-エチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボキシレート
【化20】



N-メチルピロリジン-2-オン(7mL)中のN-エチルメチルアミン(4.6mL,
53.8mmol)の溶液を、N-メチルピロリジン-2-オン(28mL)中の工程7のモノクロロ化合物(7.0g,
17.93mmol)の溶液に110℃で加えた。反応混合物を一晩加熱し、そして加熱終了後に溶液を室温に冷却し、そして水(25mL)を加えた。室温で2時間撹拌後、スラリーを濾過し、水15mLx2で洗浄した。固体を真空下で55℃で一晩乾燥させて、橙色固体(5.988g, 15.0mmol, 84%)を得た。
1H
NMR(CD3OD, 400MHz)δ:1.12(m, 3H), 1.25(m,
3H), 2.40(s, 3H), 3.21(m, 2H), 3.23(s, 3H), 3.60(m, 2H), 3.75(m, 2H), 3.96(s,
3H), 4.80(m, 2H), 6.94(m, 1H), 8.16(m, 1H), 8.34(m, 1H). MS APCI- m/z 412 [M-H]-.
【0141】
工程9
1-(2-エトキシエチル)-
5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(6-エチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボン酸
【化21】



工程8のエステル(13.57g,
32.83mmol)及び1M水酸化ナトリウム水溶液
(90mL)をメタノール(10mL)中に溶解し、そして反応混合物を85℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、そして10%クエン酸水溶液(90mL)で酸性化した。水性層をジクロロメタン(36mL及び24mL)で2回抽出した。水性層を更に10%クエン酸水溶液(20mL)で酸性化し、そしてジクロロメタン(24mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を合一し、そしてエタノール(13mL)を加えた。溶液を周囲圧力下で蒸留し、そして蒸留したジクロロメタンの代わりにエタノール(52mL)を加えた。水(12mL)を加え、そして混合物を5℃に冷却し、そして1時間撹拌した。スラリーを濾過し、水(24mL)で洗浄し、55℃で真空下で乾燥して黄色固体(8.858g, 22.2mmol, 68%)を得た。
1H
NMR(CD3OD, 400MHz)δ:1.10 (t, 3H), 1.30(t , 3
H), 2.43(s, 3H), 3.24 (s, 3H),
3.57(m, 2H), 3.70(m, 2H), 3.93 (t, 2H),
4.84(m, 2H), 7.02(m, 1H), 8.13(m, 1H),
8.16(m, 1H). MS APCI+ m/z 400 [M-H]+.
【0142】
工程10
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド
【化22】



工程9のカルボン酸 (29.0g,
72.6mmol)、メタンスルホンアミド(8.28g, 87mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(18.0g, 94mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(10.59g, 94mmol)をジクロロメタン(385mL)中に溶解し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し(合計1500mLとした)、そしてクエン酸水溶液(200mL中50g)で2回洗浄し、次いでクエン酸と水酸化ナトリウムとの混合物の酸性溶液で1回洗浄した。ジクロロメタン相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。固形残留物をイソプロパノール(1L)中で20分間還流させ、冷まし、そして得られた固体を濾別した。次いで、単離された黄色固体を酢酸エチル(2000mL)中で溶液になるまで還流させ、この際に酢酸エチルの体積を1000mLまで減少させた。得られた溶液を濾過し、一晩室温に冷まし、そして次いで氷浴中に置き、そして1.5時間撹拌した。得られた固体を濾別し、そしてエーテル(2x50ml)で洗浄し、フィルター・パッド上で3時間乾燥させ、次いで真空下で五酸化リン上で乾燥させて白色粉末(16.7g)を得た。該粉末のPXRD分析により、これがA型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであることが示された。
1H
NMR(CDCl3, 400MHz)δ:1.20(t, 3H), 1.29(t,
3H), 2.41(s, 3H), 3.24(s, 3H), 3.45(s, 3H), 3.64(q, 2H), 3.75(m, 2H), 3.99(t,
2H), 4.82(m, 2H), 6.87(d, 1H), 8.20(d, 1H), 8.29(s, 1H), 9.87(br, 1H). MS ES+
m/z 477 [MH]+. 検出値 C, 50.25:H, 5.90:N, 23.41: C20H28N8O4Sについての計算値;C, 50.41:H, 5.92:N,
23.51.
【0143】
実施例4: A型の製造(イソプロピルアルコールからの再結晶)
A型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド
【化23】



粗製N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド(16.7g)(実施例1参照)を、ジクロロメタン(20mL)及びイソプロピルアルコール(70mL)中にスラリー化した。スラリーを還流温度(約60℃)に加熱し、実質的には固形物質が溶解しないまま残ったようであった。更なる量のジクロロメタン(40mL)を5mLの増分においてスラリーに加えた。得られた溶液を約1分間還流させ、そして加熱を止めた。加熱終了後、固体は溶解したようであった。これによって黄色溶液を得た。次いで、溶液を35℃に冷却したが、結晶化の兆しは見られなかった。溶液に少量(約0.5g未満)の粗製N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの種晶を加えたが、結晶化の兆しは見られなかった。溶液を更に室温に冷却したが、結晶化の兆しは見られなかった。5℃まで冷却したときに溶液がスラリー化した。このスラリーを同じ温度で撹拌し、次いで濾過し、フィルター上で回収した物質を50℃で乾燥させて固体(7.7g)を得た。該固体のPXRD分析により、これがA型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであることが示された。
【0144】
実施例5: B型の製造(メタノール還流)
B型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
A型結晶形態(実施例3参照)を含むN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド(13.9g)を、還流させたジクロロメタン(160mL)及びメタノール(200mL)中に溶解した。ジクロロメタンを留去した(約110mLの蒸留液を回収した)。混合物を室温に30分間冷却して粒状にし、そして濾過した。固体をメタノール(30mL)で洗浄し、そして真空下で乾燥して鮮黄色固体(10.8g)を得た。該固体のPXRD分析により、これがB型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであることが示された。
【0145】
実施例6: B型の製造(メタノール還流)
B型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボン酸(1.19kg, 2.98 mol)(実施例3, 工程9参照)、メタンスルホンアミド(344g, 3.6 mol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(810.0g, 4.21 mol)及び4-ジメチルアミノピリジン(488.8g, 4.01 mol)を窒素雰囲気下でジクロロメタン(12L)中に溶解し、そして反応混合物を室温で撹拌した。3時間後、該溶液に更に4ジメチルアミノピリジン(62.0g, 合計551.7g, 4.52mol)を加え、そして反応混合物を室温で更に20時間撹拌した。反応混合物を10%クエン酸水溶液(12L)で希釈し、そして有機相を分離し、10%クエン酸水溶液(12L)で洗浄し、次いで水で洗浄した。
【0146】
得られた溶液(10L)を濾過し、大気圧下で最初の体積の約半分まで蒸留し、そして高温の溶液にメタノール(合計14L)を数回に分けて加えて希釈し、一方ジクロロメタンを蒸留により数回に分けて除去した(蒸留液の画分は合計で11Lであり、これにより最終体積は13Lとなり、これを55℃で還流させた)。黄色スラリーを室温に冷却し、一晩撹拌し、次いで5℃に冷却した。次いで、スラリーを濾過し、冷メタノール(合計5.8L)で数回洗浄した。濾過により回収した物質を55℃で3日間、真空下で乾燥させて、生成物(1.038kg, 収率73%)を鮮黄色固体として得、これはB型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであった。
【0147】
実施例7: B型の製造(脱酸素及びメタノール還流)
B型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
容器のヘッドスペースに窒素を通しながらジクロロメタン(260mL)を還流させ、体積を240mLに減らし、次いで窒素雰囲気下で室温に冷却した。1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(6-エチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボン酸(24g, 60 mmol)(実施例3、工程9参照)、メタンスルホンアミド(6.88g,
72 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(10.98g,
90 mmol)を窒素雰囲気下でジクロロメタン(240mL)中に溶解した。溶液を30分間撹拌し、次いで1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(16.13g, 84 mmol)を加え、そして反応混合物を窒素雰囲気下で室温で一晩撹拌した。反応混合物を10%クエン酸水溶液(240mL)で希釈し、そして有機相を分離し、10%クエン酸水溶液(240mL)で洗浄し、次いで水(240mL)で洗浄した。
【0148】
得られた溶液を、大気圧下で最初の体積の約半分(約120mL)まで蒸留した。高温の溶液をメタノール(240mL)でゆっくりと希釈し、次いで混合物を大気圧下で約240mLまで蒸留した。高温の混合物を再びメタノール(120mL)で希釈し、そして再び大気圧下で約240mLまで蒸留した。高温の混合物を更にメタノール(120mL)で希釈し、そして再び大気圧下で約240mLまで蒸留した。混合物を1時間かけて撹拌しながら室温に冷まし、次いで冷却し、そして0〜5℃で1時間撹拌した。次いで、得られた黄色スラリーを濾過し、固体を冷メタノール(96mL)で洗浄した。固体を真空下、55℃で一晩乾燥させて鮮黄色固体(25.78g, 収率90%)を得、これはB型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであった。
【0149】
実施例8: B型の製造(イオン交換樹脂及びメタノール還流)
B型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(6-エチルピリジン-2-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボン酸(24g, 60.1 mmol)(実施例3, 工程9参照)、メタンスルホンアミド(6.88g, 72.4 mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(10.98g, 90 mmol)を窒素雰囲気下でジクロロメタン(240mL)中に溶解した。溶液を30分間撹拌し、次いで1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(16.14g, 84.1 mmol)を加え、そして反応混合物を室温で撹拌し、5時間後、反応が本質的に完了したと判断した。反応混合物を10%クエン酸水溶液(240mL)で希釈し、そして有機相を分離し、10%クエン酸水溶液(240mL)で洗浄し、次いで水(240mL)で洗浄した。
【0150】
分離した有機相を撹拌しながら、これにAmberlite IRN-78(24g)(塩基性イオン交換樹脂)を加え、そして混合物を3時間撹拌した。樹脂ビーズを濾別し、濾過ケーキをジクロロメタン(48mL)で洗浄し、そして合一した濾液を10%クエン酸水溶液(120mL)で洗浄し、次いで水(240mL)で2回洗浄した。
【0151】
得られた溶液を、大気圧下で最初の体積の約半分(約120mL)まで蒸留した。高温の溶液をメタノール(240mL)でゆっくりと希釈し、黄色固体が沈殿し、次いで混合物を大気圧下で約240mLまで蒸留した。高温の混合物を再びメタノール(240mL)で希釈し、そして再び大気圧下で約240mLまで蒸留した。黄色スラリーを、一晩撹拌しながら室温に冷まし、次いで氷浴中で(約0〜5℃に)1時間冷却した。次いで、得られたスラリーを濾過し、固体をメタノール(96mL)で洗浄した。固体を真空下、50℃で一晩乾燥させて鮮黄色固体(21.51g, 収率75.1%)を得、これはB型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであった。
【0152】
実施例9: B型の製造(スラリーを変化させる)
A型(実施例3参照)約25mgを、メタノール1mlを用いて室温でスラリー化した。10分以内にスラリーの黄色が急速に強まった。少量のサンプルをスラリーから採取した。このサンプルのPXRD分析により、これはB型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドであることが示された。
【0153】
実施例10: B型の製造(温度を変化させる)
A型のサンプル(実施例3参照)をDSCを用いて180℃に加熱した。サンプルは融解し、そしてB型として再結晶化した。サンプルを室温に冷ました。A型が残っていないこと、及びB型への変換が完了したことを確認するために、サンプルを再びDSCにおいて175℃に加熱した。有意な熱事象は検出されなかった。サンプルを室温に冷ました。サンプルを再び250℃に加熱した。220℃でB型の融解が観察された。
【0154】
実施例11: C型の製造(スラリーを変化させる)
C型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
B型のサンプル (実施例5〜9参照)を4℃のTHF/H2O(50:50 体積/体積)中にスラリー化した。16日後に少量のサンプルを濾過し、室温で乾燥させ、淡黄色固体を得た。サンプルのDSC分析はC型と一致した。新たに少量のサンプルをスラリーから湿った状態で採取した。サンプルのPXRD分析はC型と一致した。スラリー化の31日後、新たに少量のサンプルをスラリーから湿った状態で採取した。サンプルのPXRD分析はC型と一致した。
【0155】
実施例12: C型の製造(シード添加)
C型結晶形態のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドを以下のように製造した:
B型のサンプル (実施例5〜9参照)(129.6g)をアセトン(1300ml)中、23℃で、窒素雰囲気下で撹拌した。C型のシード(20mg)を加え、そして撹拌を周囲温度で13日間続けた。固体を濾過により回収し、そして真空下、20℃以上の周囲温度で乾燥させてC型の生成物 (119.8g)を収率92.4%で得た。このX線粉末回折像を図4に示す。
【0156】
実施例13: A型及びB型の安定性
A型及びB型の熱力学的安定性を、以下に記載するようにして比較した。最初に、A型約25mgをメタノール約1ml中にスラリー化した。スラリーの黄色が急速に強まった。少量のサンプルをスラリーから採取した。PXRD分析により、サンプルはB型であることが確認された。次に、A型及びB型をDSCにより分析した。A型及びB型のサンプルについての具体的なデータをそれぞれ図5及び6に示す。DSCデータから、B型の融点はA型の融点よりも高いことが示された。従って、スラリーを変化させた分析及びDSC分析の両方の結果から、B型はA型よりも熱力学的に安定であることが確認された。
【0157】
実施例14: B型及びC型の安定性
以下の溶媒系においてつなぎ試験を行い、B型及びC型の相対的な熱力学的安定性を決定した:(1)THF/H2O(50:50 体積/体積)、(2)メチルエチルケトン(「MEK」)、(3)メタノール、及び(4)メタノール/ジクロロメタン(DCM)(50:50 体積/体積)。MEK試験は室温で行い、一方他の3つの溶媒系による試験は40℃及び60℃の両方で行った。各試験において、適切な溶媒系中のB型の懸濁液を調製した。次いで、C型約10mgを各懸濁液に加えた。次いで、懸濁液を、適切な温度で、特定の時間をかけてスラリー化させた。溶媒系、溶媒系の温度、及び懸濁液をスラリー化させるのにかけた時間を各試験について以下に記載する:
(1)試験A:MEK中、室温で3日間かけてスラリー化させた;
(2)試験B:THF/H2O(50:50)中、40℃で3日間かけてスラリー化させた;
(3)試験C:THF/H2O(50:50)中、60℃で3日間かけてスラリー化させた;
(4)試験D:メタノール中、40℃で21日間かけてスラリー化させた;
(5)試験E:メタノール中、60℃で21日間かけてスラリー化させた;
(6)試験F:メタノール/DCM中、40℃で5日間かけてスラリー化させた;及び
(7)試験G:メタノール/DCM中、60℃で21日間かけてスラリー化させた。
【0158】
特定の時間の経過後、サンプルを各スラリーから採取し、そしてPXRDにより分析した。PXRD分析から、室温及び40℃で得られたサンプルの全てはC型であり、そして60℃で得られたサンプルの全てはB型であったことが分かった。上記で論じたように、B型及びC型の熱力学的安定性におけるクロスオーバーは、40と60℃の間に存在する(即ち、これらの2形態は互変体(enantiotrope)である)。このクロスオーバー点より下の温度で、C型は最も熱力学的に安定である。このクロスオーバー点より上の温度で、B型は最も熱力学的に安定である。
【0159】
実施例15:生体外アッセイ
方法A:大動脈環アッセイ
このプロトコルは、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドに暴露されたラットの大動脈環の直接的な弛緩を測定するための手順を説明する。このアッセイにおいて、PDE5阻害化合物は、安定な外生的NO-ドナーであるジエチルトリアミン NONOate(ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオールエート)(「DETA-NO」)により誘発されるcGMPシグナルを増強することによって、大動脈環の弛緩を導く。化合物により誘発される弛緩についてのEC50(信頼区間95%)は、効力の指標として計算した。EC50は、PDE5阻害化合物に対する発生可能な有効応答の最大値の50%を生じるPDE5阻害化合物濃度である。
【0160】
オスのSprague-Dawleyラット(250〜350g)をCO2ガスで窒息させ、そしてその胸大動脈を慎重に摘出し、Krebsバッファー中に入れた。次いで、大動脈を慎重に結合組織から切り離し、それぞれ長さ3〜4mmの8個の切片に分割した。
【0161】
大動脈環を、1グラムの静止張力下で、ウォータージャケット(37℃)付きの組織浴15 mL中で平行ステンレス鋼ワイヤ間につるした。張力を等尺性張力変換器を用いて測定し、Ponemah組織プラットフォームシステムを用いて記録した。各調製物を、薬剤試験の前に少なくとも60分間平衡化させた。この間に、組織もまた200μM NG-モノメチル L-アルギニン(「L-NMMA」)でインキュベートし、インキュベーション媒体を15〜20分毎に変えた(各洗浄後にL-NMMAを加え、各組織浴中の終濃度を200μMに維持した)。
【0162】
平衡化期間後に、基準となる張力を各組織について記録した。フェニルフリン(phenylepherine)(1μM)に対して血管を収縮させる応答を評価し、フェニルフリンに対する応答が最大に達したとき、次いで血管反応性をアセチルコリン(1μM)の惹起により評価した。別のウォッシュアウト期間後に、第二の基準となる値を記録し、血管を収縮させるノルアドレナリン(25 nM)を各浴に加え、そして組織が安定な状態に到達するのに十分な期間(約15分)、組織をインキュベートした。安定なNO-ドナーであるDETA-NOを用いて、外生的NOドライブを供給した。DETA-NOの濃度を滴定して (半対数増分において累積的に)、ノルアドレナリンにより誘発される前収縮の約5〜15%弛緩を達成した。累積的濃度応答曲線は、単一の環で、典型的には5用量/環を用いて、そして各添加の間に15分置いて構築した。
【0163】
方法B:大動脈環アッセイ
方法Aのプロトコルを改変することによって、PDE5阻害化合物に暴露されたラットの大動脈環の弛緩を測定する別のプロトコルが提供され得る。この別法は、以下のように方法Aと異なる:
別法において、環(露出した環)を調製する前に、指の間で血管のルーメンを一緒に丁寧に擦り合わせることによって、最初に内皮を除去した。静止張力を2グラムに設定し、そしてフェニルフリンの最高濃度(1μM)に対して血管を収縮させる応答を評価し、次いで (ウォッシュアウト期間後)300 nMのフェニルフリンに更に2回暴露した。ノルアドレナリンに対する濃度-応答の関係を、0.1〜300nMの濃度範囲にわたって各組織において構築した。別のウォッシュアウト期間後、化合物を試験するために、組織をEC90濃度のノルアドレナリンで収縮させた。
【0164】
実施例16:生体内アッセイ
方法A:CulexTMアッセイ
意識のある予めカニューレ挿入した自然発生高血圧ラット(SHR)モデルを使用して、全身動脈圧の低下におけるN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの有効性を評価した。このアッセイは、自動血液サンプリング器(「ABS」)システムを用いて実施した。CulexTM ABSシステム(Bioanalytical
System, Inc., West Lafayette, IN)は、ラップトップコンピュータ、4個の制御ユニット及び代謝ケージを含む。このABSシステムにより、動物に過度のストレスを与えることなく、単一のラットから複数の血液サンプルを回収することができる。加えて、ABSシステムにより、バイオマーカー同定のために潜在的に使用可能である尿サンプルを回収することができる。この手法を用いて、有効性試験及び標準的な薬物動態学的試験を意識のある制御されないSHRラットにおいて同時に実施し、血漿中の遊離薬剤濃度又は潜在的バイオマーカーと薬理学的効果(平均動脈圧の低下)との関係を明確にした。
【0165】
12〜16週齢のSHRラット(体重約300g)の頸静脈の両方及び右頸動脈に、外科的にカニューレを挿入した。外科的回復後、動物をCulexTMケージ内に入れ、そして動物が動いた場合にケージの移動を制御してカテーテルがねじれることを防ぐためのセンサーを有する移動反応アームにつないだ。血液サンプリングのための右頸静脈カテーテル及びCulexTM滅菌チュービングセット、並びに化合物投与のための左頸静脈カテーテルを接続し、そして右頸動脈中のカテーテルを血圧のモニタリングのために圧力変換器に接続した。カテーテルの開存性を維持するために、右頚静脈のカニューレを、ヘパリン生理食塩水20μL (10ユニット/mL)でカテーテルを12分毎又はサンプリング中にフラッシュするCulexTMの「tend」機能により維持し、そして左頚静脈のカニューレをヘパリン生理食塩水(20ユニット/mL)で満たした。右頚動脈のカニューレの開存性は、血圧を記録しない場合は延長したチュービング中に直接的に、又は血圧をモニタリングする間は圧力変換器に通して、ヘパリン生理食塩水をゆっくりと注入することによって維持した。化合物を評価する前に、動物を少なくとも2時間馴化させた。PDE5阻害化合物は、心室内に又は経口強制飼養により投与した。血液サンプリングプロトコル(サンプリング時間及び体積)は、CulexTMソフトウェアを用いてプログラムした。各動物から採取する血液の総量は750μL/24時間を越えず、そして2週間以内で10mL/kg以下である。心拍数、血圧及び薬剤濃度をモニタリングした。全身動脈圧及び心拍数を、実験プロトコルに基づき、血圧及び心拍数を記録するためのデータ収集システムを介する圧力変換器であるPONEMAH(Gould Instrument System, Valley View, OH)により6〜24時間記録した。化合物の有効性を評価するために、平均動脈圧(一次終点)を分析した。
【0166】
以下に記載するLC/MS/MS方法を使用して血漿薬剤濃度を測定するために、及び潜在的バイオマーカーを評価するために血液サンプルを分析した。
【0167】
LC/MS/MS方法
サンプル調製:血漿サンプル(50μL 未知物質、コントロール又はブランク)を10μLのアセトニトリル:水又はPDE-5阻害化合物の標準溶液及び150μLの内部標準溶液(アセトニトリル中100ng/mL PDE-5阻害化合物)と混合した。混合物を3000rpmで5分間遠心分離し、そして上清125μLを96ウェルプレートに移した。溶媒を窒素流下で蒸発させ、そして残留物をアセトニトリル/0.1%ギ酸水溶液(20:80
v/v)80μLで割った。
【0168】
調製した各サンプル20μLをPhenomenex
Synergi 4μm MAX-RP 2.0 x 75 mmカラム中に注入し、0.1%ギ酸水溶液(移動相A)からアセトニトリル(移動相B)へのグラジエント溶離により0.4 mL/分で溶離させた。グラジエントプログラムは、移動相A 90%で開始し、次いで注入後0.2分〜1.15分で直線グラジエントにより移動相Bが75%になり、そして2.0分まで移動相B
75%を維持する。移動相は2.00〜2.10分で直線的に変化して移動相A 90%に戻り、そして3.00分で次の注入を行う。検出は陽イオンエレクトロスプレー(ESI)を用いる質量分析により行い、遷移の多重反応モニタリングを行った。m/z
454.00(MH+ PDE-5阻害化合物)→ m/z 408.00、m/z 466.24(MH+ PDE-5阻害化合物)→ 409.33。イオンスプレー電圧は5000に設定した。内部標準に対する検体のピーク面積比を用いて校正曲線を作成した。対象濃度を、校正曲線に対するそのピーク面積比から逆に予測することによって決定した。
【0169】
方法B:無線送信機の移植、及びその後の自然発生高血圧ラットにおける遠隔計測による血圧スクリーニング
自然発生高血圧ラット(SHR)を、酸素が麻酔器の内部チャンバを通過するときに様々なパーセンテージでイソフルレンを送達するように目盛りを付けたイソフルレン麻酔器によりイソフルレンガスで麻酔した。動物を誘導チャンバ内に入れ、4〜5%でイソフルレンを投与することにより麻酔の外科的水準に達した。次いで、これらの動物をノーズコーンを介する外科的処置中、1〜2%で維持し、手術台上で小さなイソフルレン麻酔デバイスによりイソフルレンを送達した。
【0170】
麻酔投与後、ラットに、市販の滅菌無線遠隔計測ユニット(Data Sciences,
International, Roseville, MN 55113-1136)を用いて無菌処理により送信機を移植した。手術前に手術部位を剃り、DialTMブランド抗菌溶液(4%グルコン酸クロルヘキシジン及び4% イソプロピルアルコールを含有)でよく洗浄し、次いでヨウ素(10%)溶液を噴霧した。2.5〜3.0cm開腹し、そして無線遠隔計測ユニットを腹部に移植し、カテーテルチップを腹大動脈中に挿入した。Baby Weitlanerレトラクタを用いて軟組織を保持した。腹大動脈を1cm、部分的に切開し、ここを簡単にクロス固定し、21ゲージ針で穴あけし、送信機カテーテルチップを血管内に導入し、シングル4.0絹縫合で隣接する腰筋に固定した。次いで、送信機体を腹腔内に挿入し、そして同時にランニング4.0絹縫合で閉じながら腹筋壁に固定した。皮膚層を皮下連続4.0 吸収性縫合糸で閉じた。閉じる際に、マーカインの皮下(s.c.)投与、次いでヨウ素の局所適用をそれぞれ縫合糸線中及びその周辺に行った。全ラットに、意識を取り戻す前にブプレノルフィンを0.05mg/kg、s.c.で術後注入した。0.300kgのラットに対する典型的な用量体積は、0.050mlである。ラットは、ブプレノルフィンの投与前に手術麻酔から完全に回復しなければならない。次いで、動物が術後疼痛の発生を示さない場合は、2連続日にわたって等量を1日1回投与した。
【0171】
手術後、ラットをケージに戻し、紙の床敷きを敷いた硬床ケージング上で個々に収容した。実験処理を行う前に、回復のために少なくとも7日間おいた。ラットは典型的には術後数日間は高血圧であり、そして術後だいたい7日目までに「正常血圧」に戻ることが観察された。ラットには、実験スケジュールを通して標準ラット食餌及び水を自由に与えた。
【0172】
化合物を、ステンレス鋼、2スインチ、18ゲージの端を丸めた強制飼養針を用いて、強制飼養により胃内(i.g.)に投与した。1日1回の投薬のためには、目標体積は3.33 ml/kg、i.gである。投与する化合物を含ませるビヒクルは化合物の溶解性に応じて変化するが、水中メチルセルロース(0.5%)が主に選択される。
【0173】
血圧データは、Data Sciences Internationalのデータ収集プログラムを用いて得られる。血圧サンプルは、全試験の間、1日あたり24時間にわたり5秒間を1.5〜3分間隔で記録した。このデータをData
Scienceのデータ分析ソフトウェアにより処理し、所望の時間間隔の平均を得た。他の全データをMicrosoft
ExcelTM表計算ソフトにより還元した。
【0174】
方法C:SHRラット
この実験プロトコルは、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドによる血圧低下をスクリーニングするために設計された。自然発生高血圧ラット(SHR)の頸静脈及び頚動脈にカニューレを挿入し;一方を化合物投与のために使用し、そしてもう一方を血圧を直接測定するために使用した。動物は術後、完全に意識のある状態であり、全実験は1作業日内に行われた。血圧低下は、評価されるべき第一のパラメータである。しかしながら、収縮期血圧及び拡張期血圧、並びに心拍数データも同様に回収した。ラットに、処方計画後に応答が見られるような段階的方法又は累積的方法で投与を行った。この特定の方法によって、同じ動物を用いて1日のうちに複数回の投与を行うスクリーニングが可能になる。
【0175】
方法:
麻酔:ラットは、5% イソフルレンで麻酔することにより有効であった。切開部位は毛を剃り、そして無菌的に手術に備えた。次いで、ラットを加熱パッドを有する手術領域に移し、イソフルレンを追加し、外科的処置の間中、37℃に維持し、そしてイソフルレンが有効であるように維持した。
【0176】
外科処置:動脈及び静脈カニューレをそれぞれ頸静脈及び頚動脈に差し込んだ。カニューレを皮内に通してトンネルをつくり、首の後ろで皮膚の外に出した。ステンレス鋼ステープルを用いて、各切開部位を閉じた。次いで、カニューレをスプリング・テザーに通して回転装置まで到達させ、これにより動物が実験中にカニューレを噛むことを防いだ。
【0177】
回復:ラットを、テザー及び回転装置の重さを支えるカウンタバランスアームを供えた不透明なポリカーボネートケージ中に入れた。紙の床敷き材料で、ケージの床を覆った。この時点で、ラットを手術から回復させ、そして2mL体積をその回復期初期に投与した。動物に餌を与えなかった。
【0178】
本発明又はその典型的な実施態様の構成要素を説明する場合に、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「この(the)」及び「前記(said)」は1又はそれ以上の構成要素が存在することを意味する。用語「含む(comprising)」、「包含する(including)」及び「有する(having)」は包括的であることを意味し、そして挙げられた構成要素以外の別の構成要素が存在し得ることを意味する。本発明は特定の実施態様に関して記載されてはいるが、これらの実施態様の詳細は限定的に解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】A型のX線粉末回折像の実例を示す。
【図2】A型の予測されたX線粉末回折像を示す。
【図3】B型のX線粉末回折像の実例を示す。
【図4】C型のX線粉末回折像の実例を示す。
【図5】A型のDSC示差熱分析曲線の実例を示す。
【図6】B型のDSC示差熱分析曲線の実例を示す。
【図7】C型のDSC示差熱分析曲線の実例を示す。
【図8】A型のFT-IRスペクトルの実例を示す。
【図9】B型のFT-IRスペクトルの実例を示す。
【図10】C型のFT-IRスペクトルの実例を示す。
【図11】A型のラマンスペクトルの実例を示す。
【図12】B型のラマンスペクトルの実例を示す。
【図13】C型のラマンスペクトルの実例を示す。
【図14】実施例1で製造された物質のX線粉末回折像を示す。
【図15】N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドの製造を説明する別の合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶及び医薬として許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項2】
治療有効量のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド及び医薬として許容し得る担体を含有し、ここで少なくとも約50質量パーセントのN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドが8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶として存在する医薬組成物。
【請求項3】
治療有効量の3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶及び医薬として許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項4】
治療有効量のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド及び医薬として許容し得る担体を含有し、ここで少なくとも約50質量パーセントのN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドが3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶として存在する医薬組成物。
【請求項5】
治療有効量の6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶及び医薬として許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【請求項6】
治療有効量のN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド及び医薬として許容し得る担体を含有し、ここで少なくとも約50質量パーセントのN-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミドが6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶として存在する医薬組成物。
【請求項7】
8.5±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶を含む、PDE-5が仲介する症状の治療用医薬組成物。
【請求項8】
3.6±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶を含む、PDE-5が仲介する症状の治療用医薬組成物。
【請求項9】
6.7±0.1度2θにおける回折ピークを含むX線粉末回折パターンを有する、N-[1-(2-エトキシエチル)-5-(N-エチル-N-メチルアミノ)-7-(4-メチルピリジン-2-イル-アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-カルボニル]メタンスルホンアミド結晶を含む、PDE-5が仲介する症状の治療用医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−137987(P2009−137987A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1627(P2009−1627)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【分割の表示】特願2006−132110(P2006−132110)の分割
【原出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】