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無溶剤型透明硬化性含フッ素樹脂組成物
説明

無溶剤型透明硬化性含フッ素樹脂組成物

【課題】加熱時に黄変などが生じない無溶剤型の透明硬化性含フッ素樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エーテル型側鎖を有する水酸基含有構造単位(1)を含む水酸基含有含フッ素重合体と、(b)不飽和カルボン酸またはその酸ハライドとをエステル化反応に供して得られる不飽和基含有含フッ素重合体(I)が、アクリル系単量体(II)に溶解している耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱時に黄変などが生じない無溶剤型の透明硬化性含フッ素樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含フッ素ポリマーを用いた硬化性樹脂組成物としては、エチレン性炭素−炭素二重結合を含む含フッ素アクリロイル基を側鎖に有するエステル結合で重合体主鎖に結合した硬化性含フッ素重合体を用い、これを有機溶剤に溶解した溶剤型組成物が反射防止膜材料として有用であることが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2では、水酸基含有含フッ素共重合体と非フッ素系のα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをエステル化反応させて得られる不飽和基含有含フッ素重合体を用いているが、最終的には有機溶媒中でアクリル系単量体とグラフト重合させている。
【0004】
この溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物に対して、溶剤を使用しない無溶剤型の硬化性含フッ素樹脂組成物も提案されている(特許文献3、4、5および6)。
【0005】
特許文献3、4および5に記載されている無溶剤型の硬化性含フッ素樹脂組成物に用いる硬化性の含フッ素重合体は、(A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物であり、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する側鎖が重合体主鎖とウレタン結合で結合されているものである。
【0006】
特許文献6には、水酸基含有含フッ素共重合体と非フッ素系のα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とを反応させて得られる不飽和基含有含フッ素重合体をアクリル系単量体などの反応性希釈剤で希釈してなる活性エネルギー線硬化性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第02/18457号パンフレット
【特許文献2】特公昭59−46964号公報
【特許文献3】特開昭62−25104号公報
【特許文献4】国際公開第2008/093776号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/099782号パンフレット
【特許文献6】特開昭64−51418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3、4および5に記載されている硬化性の含フッ素重合体は、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する側鎖が重合体主鎖とウレタン結合で結合されているので、耐熱性(黄変など)の点での改善が求められる。
【0009】
特許文献6に記載の活性エネルギー線硬化性組成物において使用されている水酸基含有含フッ素共重合体は、含フッ素構造単位としてテトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン単位であり、含フッ素構造単位中には水酸基を有していない。水酸基は、かかるフルオロオレフィン単位と共重合可能な炭化水素系のモノマー単位に入っている。そのため、水酸基を多くしようとした場合、必然的にフッ素含有率が低下してしまい、フッ素樹脂本来のもつ特徴が損なわれるといった課題があった。また、少量の水酸基の場合では、本来の目的である、架橋構造中の架橋点自体が減少し、物性を損なっていた。さらに、含フッ素構造単位としてのテトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン単位は、アクリルとの相溶性が非常に悪く透明性を損ないやすいなどの点で更なる改善が望まれる。
【0010】
本発明は、加熱時に黄変などが生じない無溶剤型の透明硬化性含フッ素樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(a)式(1):
【化1】

(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X3は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;X4およびX5は同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは1〜3の整数;R1は水酸基を少なくとも1個含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合および/またはエステル結合を含んでいてもよい)で表される水酸基含有構造単位(1)を含む水酸基含有含フッ素重合体と、
(b)不飽和カルボン酸またはその酸ハライドと
をエステル化反応に供して得られる不飽和基含有含フッ素重合体(I)が、アクリル系単量体(II)に溶解している耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物に関する。
【0012】
水酸基含有含フッ素重合体(a)としては、式(1a):
【化2】

(式中、Zは1価の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭化水素基、Yは2価の有機基または単結合;mは0〜5の整数)で表わされる含フッ素アリルエーテル構造単位を含むことが好ましい。
【0013】
また不飽和カルボン酸(b)としては、式(4):
CX1112=CX13−(R3c−COM
(式中、X11およびX12は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X13は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;Mは−OHまたはハロゲン原子;R3は2価の有機基;cは0または1)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0014】
本発明はまた、前記式(1)、さらには式(1a)で表される水酸基含有構造単位(1)を含む含フッ素重合体(a)と、不飽和カルボン酸またはその酸ハライド(b)、さらには式(4)で示される不飽和カルボン酸またはその酸ハライドとをエステル化反応させた後、精製によって不純物を除去し、60℃以下の条件で乾燥して得られた不飽和基含有含フッ素重合体(I)を、アクリル系単量体(II)に溶解させることを特徴とする本発明の耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物の製造方法にも関する。
【0015】
また、本発明は、本発明の硬化性含フッ素樹脂組成物を硬化して得られる硬化物にも関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加熱時に黄変などが生じない無溶剤型の透明硬化性含フッ素樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】参考例1において測定したポリマーへの温度の影響を示すグラフである。
【図2】実施例12において高温保持試験に供した硬化フィルムの光透過率のグラフである。
【図3】実施例12における高温保持試験前後の硬化フィルムの写真である。
【図4】比較例3において高温保持試験に供した硬化フィルムの光透過率のグラフである。
【図5】比較例3における高温保持試験前後の硬化フィルムの写真である。
【図6】実施例13において高温長期間保持試験に供した硬化フィルムの光透過率のグラフである。
【図7】比較例4において高温長期間保持試験に供した硬化フィルムの光透過率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物は、
前記式(1)で表される水酸基含有構造単位(1)を含む水酸基含有含フッ素重合体と、
(b)不飽和カルボン酸またはその酸ハライドと
をエステル化反応に供して得られる不飽和基含有含フッ素重合体(I)が、アクリル系単量体(II)に溶解している。
【0019】
以下、各成分について説明する。
【0020】
(I)不飽和基含有含フッ素重合体
不飽和基含有含フッ素重合体(I)は、前記式(1)で表わされる水酸基含有含フッ素重合体(a)と不飽和カルボン酸またはその酸ハライド(b)とをエステル化反応に供して得られる。
【0021】
(a)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体(a)は、式(1):
【化3】

(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X3は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;X4およびX5は同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは1〜3の整数;R1は水酸基を少なくとも1個含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合および/またはエステル結合を含んでいてもよい)で表される水酸基含有構造単位(1)を含む水酸基含有含フッ素重合体(a)が、アクリル系単量体(II)との相溶性が高い点、フッ素含有率が高くなる点から用いられる。
【0022】
また、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X5およびR1のいずれかに含む水酸基含有含フッ素構造単位であることが、エステル化反応性が高い点で好ましく、さらにX1とX2が水素原子でX3がフッ素原子であり、a=1であってX4とX5がフッ素原子であることが、単量体の観点からは単独重合性がある点、重合体骨格の観点からはアクリル系単量体(II)との相溶性が高い点およびフッ素含有率が高くなる点で好ましい。
【0023】
次にR1に含まれている水酸基に関して説明する。水酸基が直接結合している炭素原子は一般に、水酸基が結合している炭素に結合している炭素の個数によって、1級炭素、2級炭素そして3級炭素の3種類に分類できる。
【0024】
具体的に1級炭素の水酸基含有有機基としては、
【化4】

などがあげられる。
【0025】
具体的に2級炭素の水酸基含有有機基としては、
【化5】

などがあげられる。
【0026】
具体的に3級炭素の水酸基含有有機基としては、
【化6】

などがあげられる。
【0027】
これらの中で、立体障害の観点から1級および2級炭素に結合している水酸基が、反応性の観点より好ましくは1級炭素に結合した水酸基が好ましい。
【0028】
次に上記で示したような1級〜3級の炭素に結合した水酸基を有する炭素数1から10の1価の水酸基含有有機基をY1とし、R1の具体的構造をYを用いて説明する。以下の構造式においてYはY1または単に水酸基を表す。
【0029】
【化7】

(式中、l、mおよびnは整数であって、l:1〜10、m:1〜10、n:1〜5である)
【0030】
【化8】

(式中、X6、X9はFまたはCF3、X7、X8はHまたはFであり、o+p+qは1〜10;rは0または1;s、tは0または1である)
などがあげられる。
【0031】
水酸基含有構造単位(1)の具体例として、つぎのものがあげられる。なお、Y1は1級〜3級の炭素に結合した水酸基を有する炭素数1〜10の1価の水酸基含有有機基、YはY1または単に水酸基を表す。
【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

(nは0〜5の整数)
【0034】
さらに具体的には、
【化11】

【化12】

(nは0〜5の整数)などがあげられる。
【0035】
これらの中でも、不飽和カルボン酸(b)との反応性に富み、また、アクリル系単量体(II)に対する溶解性が良好な点から、
【化13】

(nは0〜5の整数)が特に好ましい。
【0036】
水酸基含有含フッ素重合体(a)はさらに水酸基を含有していない単量体単位を、アクリル系単量体(II)に対する溶解性を損なわない範囲で構造単位に含んでもよい。そのような単量体単位の具体例は国際公開第02/18457号パンフレット記載の構造単位AやMの中で水酸基をもたないものをすべて採用できる。
【0037】
その中でもアクリル系単量体(II)に対する溶解性が良好な点から特に、
−CH2−CF2−、
−CH2−CF(CF3)−、
【化14】

が好ましい。
【0038】
これらの中でも、不飽和カルボン酸(b)との反応性に富み、また、アクリル系単量体(II)に対する溶解性が良好な点から、
【化15】

【化16】

(式中、nは0〜5の整数;pとqの比はモル比で20/80〜99/1である)
などがあげられる。
【0039】
水酸基含有含フッ素重合体(a)は、それぞれ構成単位に相当する単量体を公知の方法で(共)重合することで得られる。重合方法はラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法などが利用できる。なかでも本発明の水酸基含有重合体を得るために例示した各単量体はラジカル重合性が良好で、さらに組成や分子量などの品質のコントロールがしやすい点、工業化しやすい点でラジカル重合法が好ましく用いられる。
【0040】
ラジカル重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、たとえば有機または無機ラジカル重合開始剤、熱、光、あるいは電離放射線などによって開始される。重合の形態も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。また、分子量は重合に用いる単量体の濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度などによって制御される。共重合体組成は仕込み単量体の組成により制御可能である。
【0041】
水酸基含有含フッ素重合体(a)の数平均分子量は、約2000〜2000000であり、約5000〜500000が好ましい。
【0042】
(b)不飽和カルボン酸
不飽和カルボン酸またはその酸ハライドは、水酸基含有含フッ素重合体(a)の水酸基とエステル化反応して、含フッ素重合体に不飽和カルボン酸由来の炭素−炭素二重結合(不飽和基)を導入し、不飽和基含有含フッ素重合体(I)を与える。
【0043】
不飽和カルボン酸(b)としては、式(4):
CX1112=CX13−(R3c−COM
(式中、X11およびX12は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X13は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;Mは−OHまたはハロゲン原子;R3は2価の有機基;cは0または1)で表わされる化合物であることが、エステル化反応性が良好な点で好ましい。
【0044】
Mがハロゲン原子の場合(酸ハライドの場合)のハロゲン原子としては、塩素原子またはフッ素原子が好ましい。
【0045】
3は、鎖中にエーテル結合および/またはエステル結合を含んでいてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、さらには炭素数1〜10、特に炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
【0046】
式(4)で示される不飽和カルボン酸の好ましい具体例としては、CH2=CHCOOH、CH2=C(CH3)COOH、CH2=CHCOCl、CH2=C(CH3)COCl、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルなどの炭化水素系不飽和カルボン酸またはその酸ハライド;CH2=C(Cl)COOH、CH2=CFCOCl、CH2=C(Cl)COCl、CH2=CFCOOH、CH2=CFCOFなどのハロゲン含有不飽和カルボン酸またはその酸ハライドなどがあげられる。
【0047】
なかでも、アクリル系単量体(II)への溶解性が良好な点、エステル化反応性が良好な点から、CH2=CHCOOH、CH2=C(CH3)COOH、CH2=CHCOCl、CH2=C(CH3)COCl、CH2=CFCOOH、CH2=C(Cl)COOH、CH2=CFCOCl、CH2=C(Cl)COCl、CH2=CFCOFが好ましい。
【0048】
水酸基含有含フッ素重合体(a)に不飽和カルボン酸またはその酸ハライドをエステル化反応させる手法や条件は特に限定されるものではなく、従来公知のエステル化反応の手法や条件が採用できる。
【0049】
たとえば、遊離の不飽和カルボン酸を使用する場合は、適切な脱水化剤とともに70℃〜110℃程度の温度で撹拌混合し、エステル化反応させればよい。
【0050】
また、不飽和カルボン酸ハライドを使用する場合は、不飽和カルボン酸ハライドを水酸基含有含フッ素重合体(a)と−20℃〜40℃程度の温度で撹拌混合し、エステル化反応させることができる。
【0051】
酸ハライドを使用する場合、反応によってHClやHFが副生するがこれらを捕捉する目的で適当な塩基を加えることが望ましい。塩基としては、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、テトラメチル尿素、トリエチルアミンなどの3級アミン、金属マグネシウムなどがあげられる。また、反応の際に原料のα,β−不飽和カルボン酸や得られた硬化性含フッ素ポリマー中の炭素−炭素二重結合が重合反応を起こすことを禁止するための禁止剤を共存させてもよい。禁止剤としては、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどがあげられる。
【0052】
不飽和カルボン酸(b)は、水酸基含有含フッ素重合体(a)の水酸基に対して0.1〜5当量、さらには0.2〜2当量用いることが好ましい。
【0053】
かくして得られる不飽和基含有含フッ素重合体(I)は、不飽和カルボン酸由来のエチレン性炭素−炭素二重結合を側鎖に含み、その側鎖と重合体主鎖とがエステル結合で結合されているものである。
【0054】
本発明の耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物は、不飽和基含有含フッ素重合体(I)がアクリル系単量体(II)に溶解している組成物である。
【0055】
本発明で用いるアクリル系単量体(II)としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フッ素化アクリロイル基、2−塩素化アクリロイル基などのラジカル重合性不飽和基を1個または2個以上有する単量体があげられる。
【0056】
アクリル系単量体(II)におけるラジカル重合性不飽和基は、不飽和基含有含フッ素重合体(I)の溶解能が高く、粘性が低いという点からは1個が好ましく、また、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度が良好であるという点からは2個以上が好ましく、さらに、硬化性組成物の硬化速度が良好であるという点からは3個以上が好ましい。
【0057】
アクリル系単量体(II)としては、メタクリル酸やメタクリル酸エステルなどのメタクリル酸系単量体;アクリル酸やアクリル酸エステルなどのアクリル酸系単量体;これらのフッ素化物である含フッ素(メタ)アクリル酸系単量体;2−フルオロアクリル酸や2−フルオロアクリル酸エステルなどの2−フルオロアクリル酸系単量体;これらのフッ素化物である含フッ素2−フルオロアクリル酸系単量体などがあげられる。
【0058】
メタクリル酸系単量体としては、具体的には、メチルメタクリレート(MMA)、メタクリル酸(MA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)、イソブチルメタクリレート(iBMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MSPM)、2−(フェニルホスホリル)エチルメタクリレート(phenyl−PM)、2−ヒドロキシ−3−(β−ナフトキシ)プロピルメタクリレート(HNPM)、N−フェニル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリシン(NPG−GMAなどの不飽和基を1個有するメタクリル酸エステル(通常、単官能メタクリレートと呼ばれている);エチレングリコールジメタクリレート(EDMAまたは1GMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DiEDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−BuDMA)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート(1,3−BuDMA)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(16HXMA)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−MPEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPMA)、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(PETMA)、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート(DPEHMA)などの不飽和基を2個以上有するメタクリル酸エステル(通常、多官能メタクリレートと呼ばれている)があげられる。
【0059】
アクリル酸系単量体としては、上記のメタクリル酸系単量体に対応するアクリル酸エステル、またはアクリル酸のα位が塩素原子で置換されている単量体などがあげられる。
【0060】
含フッ素アクリル系単量体としては、上記のメタクリル酸系単量体およびアクリル酸系単量体のエステル部分が含フッ素基である単量体、アクリル酸のα位がフッ素原子またはトリフルオロメチル基で置換されたα−フッ素化メタクリル酸エステルまたはα−フッ素化アクリル酸エステルなどを例示することができる。
【0061】
メタクリル酸系単量体およびアクリル酸系単量体のエステル部分が含フッ素基である単量体の例としては
CH2=C(CH3)COOCH2CF3(3FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF2H(4FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF3(5FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF2CFHCF3(6FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2(CF23CF2H(8FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF23CF3(9FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2(CF25CF2H(12FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF25CF3(13FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF27CF3(17FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH(CF32(HFIP−MA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CCH3(CF32(6FNP−MA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF2CF3(6FOn1−MA)、
CH2=CHCOOCH2CF3(3FA)、
CH2=CHCOOCH2CF2CF2H(4FA)、
CH2=CHCOOCH2CF2CF3(5FA)、
CH2=CHCOOCH2CF2CFHCF3(6FA)、
CH2=CHCOOCH2(CF23CF2H(8FA)、
CH2=CHCOOCH2CH2(CF23CF3(9FA)、
CH2=CHCOOCH2(CF25CF2H(12FA)、
CH2=CHCOOCH2CH2(CF25CF3(13FA)、
CH2=CHCOOCH2CH2(CF27CF3(17FA)、
CH2=CHCOOCH(CF32(HFIP−A)、
CH2=CHCOOCH2CCH3(CF32(6FNP−A)、
CH2=CHCOOCH2CF(CF3)OCF2CF2CF3(6FOn1−A)
などを例示することができる。
【0062】
上記のα−フッ素化メタクリル酸エステルおよびα−フッ素化アクリル酸エステルとしてはたとえば、
CH2=CFCOOCH2CF2CF2H(4FFA)、
CH2=CFCOOCH2CF2CF3(5FFA)、
CH2=CFCOOCH2(CF23CF2H(8FFA)、
CH2=CFCOOCH2(CF25CF2H(12FFA)、
CH2=CFCOOCH(CF32(HFIP−FA)
などを例示することができる。
【0063】
以上のようなアクリル系単量体があげられるが、不飽和基含有含フッ素重合体(I)の溶解能に優れている点からは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、3FMA、4FMA、5FMA、8FMA、3FA、4FA、5FA、8FAが好ましい。また、硬化物の強度、反応速度の向上の観点からは、16HXMA、TMPMA、EDMA、TriEDMA、DPEHMA、PETMAなどのメタクリル酸エステル、またはこれらのメタクリル酸エステルに対応するアクリル酸エステルがあげられる。
【0064】
不飽和基含有含フッ素重合体(I)とアクリル系単量体(II)の質量比は、95:5〜5:95が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、70:30〜30:70がさらに好ましい。不飽和基含有含フッ素重合体(I)とアクリル系単量体(II)の質量比が95:5から外れて不飽和基含有含フッ素重合体(I)の量が多くなると粘性が高くなり、取り扱いづらくなる傾向がある。また、不飽和基含有含フッ素重合体(I)の量が少なくなるとフッ素含有率が低下してくるため、硬化性組成物を硬化させた硬化物の耐候性、撥水撥油性、防汚性が低下する傾向がある。
【0065】
硬化性樹脂組成物の30℃における粘度は、粘性が低すぎると液だれが多く、かえって取り扱い性が低下するため、5mPa・s以上が好ましく、薄膜形成性が良好であるという観点から、10mPa・s以上がより好ましく、硬化の際の硬化収縮が小さいという観点から、50mPa・s以上がさらに好ましい。また、硬化性樹脂組成物の30℃における粘度は、取り扱い性が良好であるという観点から、100000mPa・s以下が好ましく、成型加工の際に細部にわたって硬化性組成物がいきわたるという観点から、50000mPa・s以下がより好ましく、薄膜を形成した際にレベリング(表面平滑)性が良好であるという観点から、20000mPa・s以下がさらに好ましい。
【0066】
本発明の組成物は、前記水酸基含有含フッ素重合体(a)と前記不飽和カルボン酸またはその酸ハライド(b)とをエステル化反応させた後、精製によって不純物を除去し、乾燥して得られた不飽和基含有含フッ素重合体(I)を、アクリル系単量体(II)に溶解させることにより製造できる。
【0067】
ところで、通常、エステル化反応においては脱離基などが発生するため、不飽和基含有含フッ素重合体(I)を再沈や水洗などにより精製した後乾燥する。この乾燥工程において乾燥温度を上げると、不飽和基含有含フッ素重合体(I)中に不飽和基が存在するため、付加重合反応が進行し、その結果、溶媒に不溶のゲル化物になることがある。ゲル化を避けるためには、通常はヒドロキノンなどの重合禁止剤を適量添加するが、ゲル化は抑制できても重合禁止剤が不飽和基含有含フッ素重合体(I)中に残留してしまい、最終的な組成物の硬化速度が極端に遅くなる、あるいは硬化しないという問題がある。
【0068】
そこで、本発明者らは重合禁止剤を加えなくてもゲル化を起こさない条件を鋭意検討した結果、精製後の乾燥時の温度を60℃以下に保つことによりゲル化が起こらず、得られた不飽和基含有含フッ素重合体(I)をアクリル系単量体(II)に溶解させることにより無溶媒で均一な硬化性組成物を得ることができることを見出した。
【0069】
すなわち、本発明は、前記水酸基含有含フッ素重合体(a)と前記不飽和カルボン酸またはその酸ハライド(b)とをエステル化反応させた後、精製によって不純物を除去し、60℃以下、好ましくは40℃以下の温度で乾燥して得られた不飽和基含有含フッ素重合体(I)を、アクリル系単量体(II)に溶解させることを特徴とする本発明の組成物の製造方法にも関する。
【0070】
本発明の硬化性樹脂組成物は活性エネルギー線の照射により架橋させることができる。
【0071】
活性エネルギー線硬化開始剤は、たとえば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外光線、電子線、X線、γ線などが照射されることによって初めてラジカルやカチオンなどを発生し、硬化性含フッ素ポリマーの炭素−炭素二重結合を硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外光線でラジカルやカチオンを発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物によると、前記活性エネルギー線により容易に硬化反応が開始でき、高温での加熱の必要がなく、比較的低温で硬化反応が可能であるので、耐熱性が低く、熱で変形や分解、着色が起こりやすい基材、たとえば透明樹脂基材などにも適応できる点で好ましい。
【0073】
本発明の組成物における活性エネルギー線硬化開始剤は、不飽和基含有含フッ素重合体(I)中の側鎖の炭素−炭素二重結合の種類(ラジカル反応性か、カチオン反応性か)、使用する活性エネルギー線の種類(波長域など)と照射強度などによって適宜選択されるが、一般に紫外線領域の活性エネルギー線を用いてラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を有する不飽和基含有含フッ素重合体(I)を硬化させる開始剤としては、たとえばつぎのものが例示できる。
【0074】
(アセトフェノン系)
アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、ヒドロキシプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンプロパンー1−オンなど
【0075】
(ベンゾイン系)
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど
【0076】
(ベンゾフェノン系)
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンなど
【0077】
(チオキサンソン類)
チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなど
【0078】
(その他)
ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなど
【0079】
また、活性エネルギー線開始剤自体にフッ素原子、含フッ素有機基を導入することで含フッ素ポリマーとの相溶性が改善できる。
【0080】
具体的には、含フッ素アルキル基、含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基を開始剤中に含むものが好ましく、たとえば水酸基を有する開始剤に上記含フッ素有機基を有する含フッ素カルボン酸(多価カルボン酸)などをエステル結合で導入した構造のもの、アミノ基を有する開始剤に含フッ素カルボン酸(多価カルボン酸)をアミド結合で導入した構造のものなどがあげられる。
【0081】
開始剤に含フッ素有機基を導入することによって、高フッ素化率の含フッ素ポリマーにおいても、相溶性が良好で、硬化反応性や被膜の透明性を改善できる点で好ましい。
【0082】
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの光開始助剤を添加してもよい。
【0083】
また、カチオン反応性の炭素−炭素二重結合を有する不飽和基含有含フッ素重合体(I)を硬化させる開始剤としては、つぎのものが例示できる。
【0084】
(オニウム塩)
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩など
【0085】
(スルホン化合物)
β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物など
【0086】
(スルホン酸エステル類)
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなど
【0087】
(その他)
スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類など
【0088】
これらのカチオン反応性の活性エネルギー線開始剤においても、フッ素原子や含フッ素有機基を導入することで上記と同様に含フッ素ポリマーとの相溶性が改善できる。
【0089】
本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化剤を必要に応じて添加してもよい。硬化剤としては、たとえば前述の多官能のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルなどがあげられる。
【0090】
本発明の組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤の添加量は、不飽和基含有含フッ素重合体(I)およびアクリル系単量体(II)中の炭素−炭素二重結合の含有量、他の硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、不飽和基含有含フッ素重合体(I)およびアクリル系単量体(II)の合計100質量部に対して0.01〜30質量部、さらには0.05〜20質量部、最も好ましくは、0.1〜10質量部である。
【0091】
詳しくは、不飽和基含有含フッ素重合体(I)およびアクリル系単量体(II)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
【0092】
硬化剤を使用する場合は、不飽和基含有含フッ素重合体(I)およびアクリル系単量体(II)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)と硬化剤の炭素−炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは0.5〜10モル%である。
【0093】
硬化剤を使用する場合、硬化剤の使用量は目的とする硬度や屈折率、硬化剤の種類、使用する硬化性含フッ素ポリマーの硬化性基の含有量などによって適宜選択され、望ましくは硬化性含フッ素ポリマーに対して、1〜80質量%、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。硬化剤の添加量が多すぎると屈折率が高くなる傾向にあり、好ましくない。
【0094】
本発明の組成物は、前述の化合物のほかに、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。
【0095】
そうした添加剤としては、たとえばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
【0096】
また、本発明の組成物は、硬化物の硬度を高める目的で無機化合物の微粒子を配合することもできる。
【0097】
無機化合物微粒子としては特に限定されないが、屈折率が1.5以下の化合物が好ましい。具体的にはフッ化マグネシウム(屈折率1.38)、酸化珪素(屈折率1.46)、フッ化アルミニウム(屈折率1.33〜1.39)、フッ化カルシウム(屈折率1.44)、フッ化リチウム(屈折率1.36〜1.37)、フッ化ナトリウム(屈折率1.32〜1.34)、フッ化トリウム(屈折率1.45〜1.50)などの微粒子が望ましい。微粒子の粒径については、低屈折率材料の透明性を確保するために可視光の波長に比べて充分に小さいことが望ましい。具体的には100nm以下、特に50nm以下が好ましい。
【0098】
無機化合物微粒子を使用する際は、組成物中での分散安定性、低屈折率材料中での密着性などを低下させないために、予め有機分散媒中に分散した有機ゾルの形態で使用するのが望ましい。さらに、組成物中において、無機化合物微粒子の分散安定性、低屈折率材料中での密着性などを向上させるために、予め無機微粒子化合物の表面を各種カップリング剤などを用いて修飾することができる。各種カップリング剤としては、たとえば有機置換された珪素化合物;アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモンまたはこれらの混合物などの金属アルコキシド;有機酸の塩;配位性化合物と結合した配位化合物などがあげられる。
【0099】
本発明の硬化性樹脂組成物は、種々の形態で各種の用途に利用できる。
【0100】
例えば硬化膜を形成して各種用途に利用できる。膜を形成する方法としては用途に応じた適切な公知の方法を採用することができる。例えば膜厚をコントロールする必要がある場合は、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などが採用できる。
【0101】
本発明の硬化性樹脂組成物を基材に塗布したのち乾燥により得られる被膜は、紫外線、電子線または放射線などの活性エネルギー線を照射することによって光硬化させることができる。
【0102】
硬化すると不飽和基含有含フッ素重合体(I)中の炭素-炭素二重結合が分子間で、またはアクリル系単量体(II)と重合し、または、アクリル系単量体(II)同士が重合し、得られる架橋重合体中の炭素−炭素二重結合が減少または消失する。その結果、樹脂硬度が高くなり、機械的強度が向上したり、耐摩耗性、耐擦傷性が向上したり、さらには硬化前には溶解していた溶剤に対して不溶となるだけでなく、他の数多くの種類の溶剤に対して不溶となる。
【0103】
硬化して得られる硬化物は透明性に優れ、たとえば波長400〜800nmの光の透過率80%以上、さらには90%以上になる。
【0104】
本発明の硬化性樹脂組成物は、膜形成してもよいが、各種成形品の成形材料として特に有用である。成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成型、トランスファー成形、光造形、ナノインプリント、真空成型などが採用できる。
【0105】
本発明の硬化性樹脂組成物の用途としては、例えば、封止部材、光学材料、光電子撮像管、各種センサー、反射防止材などがあげられる。
【0106】
封止部材の使用形態としては、例えば発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子などの発光素子やCCDやCMOS、PDのような受光素子などの光機能素子のパッケージ(封入)、実装などが例示できる。また、深紫外線顕微鏡のレンズなどの光学部材用封止材(または充填材)などもあげられる。封止された光素子は種々の場所に使用されるが、非限定的な例示としては、ハイマウントストップランプやメーターパネル、携帯電話のバックライト、各種電気製品のリモートコントロール装置の光源などの発光素子;カメラのオートフォーカス、CD/DVD用光ピックアップ用受光素子などがあげられる。
【0107】
光学材料としては特にフッ素を含有しているため、低屈折率の光学材料になる。例えば光伝送用媒体として有用である。特にコア材が石英、もしくは光学ガラスであるプラスチッククラッド光学ファイバーのクラッド材料、コア材がプラスチックである全プラスチック光学ファイバーのクラッド材料、反射防止コーテイング材料、レンズ材料、光導波路材料、プリズム材料、光学窓材料、光記憶ディスク材料、非線形型光素子、ホログラム材料、フォトリソグラティブ材料、発光素子の封止材料などといった光学材料に使用可能である。また、光デバイス用の材料としても使用できる。光デバイスとしては、光導波路、OADM、光スイッチ、光フィルター、光コネクター、合分波器などの機能素子および光配線などの光実装が知られており、これらのデバイスを形成するのに有用な材料である。さらに種々の機能性化合物(非線形光学材料、蛍光発光性の機能性色素、フォトリフラクティブ材料など)を含有させて、モジュレータ、波長変換素子、光増幅器などの光デバイス用の機能素子として用いるのにも適している。
【0108】
センサー用途としては、特に光学センサーや圧力センサーなどの感度向上や撥水撥油特性によるセンサーの保護などの効果があり有用である。
【0109】
そのほか、電子半導体用の封止部材用材料、耐水耐湿性接着剤、光学部品や素子用の接着剤としても使用できる。
【0110】
用途として前記のような例示ができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0111】
本明細書で採用している測定法について、以下にまとめた。
【0112】
(1)NMR分析
装置:BRUKER社製
1H−NMR測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
【0113】
(2)IR分析
装置:PERKIN ELMER社製フーリエ変換赤外分光光度計1760X
条件:室温にて測定する。
【0114】
(3)数平均分子量および重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、数平均分子量および重量平均分子量を算出する。
【0115】
(4)フッ素含有量(質量%)
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求める。
【0116】
(5)粘度(mPa・s)
東海八神(株)製のコーンプレート型粘度計CV−1Eを用いて25℃における粘度をCP−100コーンを使用し、100rpmの条件で測定し、60秒間で安定した値を採用する。
【0117】
(6)屈折率(nD
ナトリウムD線(589nm)を光源として25℃において(株)アタゴ光学機器製作所製のアッベ屈折率計を用いて測定する。
【0118】
(7)熱分解温度(℃)
熱重量計((株)島津製作所のTGA−50)を用い、窒素雰囲気の条件で昇温速度10℃/minの条件で測定し、1%質量減の温度で評価する。
【0119】
(8)光透過率(%)
自記分光光度計((株)日立製作所製のU−3310(商品名))を用いて波長300〜800nmにおける約100μm厚のサンプル(硬化フィルム)の分光透過率曲線を測定する。代表値として視感度の高い550nmでの透過率の値を採用する。また、耐熱性の試験結果においては、その分光スペクトルを示す。
【0120】
(9)耐溶剤性
10mm×10mm×0.1mmのサンプルを20mLの酢酸ブチルに浸漬して、室温8時間経過後の様子を目視で観察する。
【0121】
(10)耐熱性
温度180℃において各サンプルを1時間保持し、外観の変化を目視で観察する。
【0122】
合成例1(水酸基を有する含フッ素アリルエーテルの高分子量の単独重合体の合成)
撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)(AEH1):
【化17】

を20.4gと
【化18】

の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を10.5g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で24時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
【0123】
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体13.2gを得た。
【0124】
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端に水酸基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は86000、重量平均分子量は108000であった。このポリマーをポリマー(a)と称する。
【0125】
合成例2(水酸基を有する含フッ素アリルエーテルの低分子量の単独重合体の合成)
撹拌装置、温度計を備えた300mlのガラス製四ツ口フラスコに、AEH1を100.2gと、HCFC−225(CF3CF2CHCl/CClF2CF2CHClの混合物)を42.5g、重合開始剤としてパーブチルPV(日本油脂(株)製のパーオキサイド系重合開始剤)を3.36g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下65℃で12時間撹拌を行なったところ、高粘度の溶液となった。
【0126】
得られた高分子溶液をパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体61.8gを得た。
【0127】
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端に水酸基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は11000、重量平均分子量は15700であった。このポリマーをポリマー(b)と称する。
【0128】
合成例3(水酸基を有する含フッ素アリルエーテルの低分子量の共重合体の合成)
撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、AEH1を9.6gと9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸メチル(AEE1):
【化19】

を9.6g入れ、よく撹拌し、
【化20】

の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を2.0g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で20時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
【0129】
得られた固体をアセトンに溶解させたものをHCFC225/n−ヘキサン=1/1溶液に注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体15.5gを得た。
【0130】
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記の水酸基含有含フッ素アリルエーテルと、メチルエステル構造を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる含フッ素共重合体であった。その組成比はNMRより、42:58(モル比)と求められた。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は7200、重量平均分子量は11000であった。このポリマーをポリマー(c)と称する。
【0131】
合成例4(水酸基を有する含フッ素アリルエーテルとフッ化ビニリデンの共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた300ml容のステンレススチール製オートクレーブに、AEH1を34.2gとCH3CCl2F(HCFC−141b)を200g、ジノルマルプロピルパーオキシカーボネート(NPP)の50質量%メタノール溶液を0.16g入れ、ドライアイス/メタノール溶液で冷却しながら系内をチッ素ガスで充分置換した。ついでバルブからフッ化ビニリデン(VdF)を5.8g仕込み、40℃にて振とうさせながら反応を行なった。反応の進行とともに、系内のゲージ圧が反応前の4.4MPaGから12時間後に0.98MPaGまで低下した。
【0132】
この時点で未反応単量体を放出し、析出した固形物を取り出し、アセトンに溶解させ、ついでヘキサンとトルエンの混合溶剤(50/50)で再沈殿させることにより共重合体を分離した。この共重合体を恒量になるまで真空乾燥し、共重合体31.2gを得た。
【0133】
この共重合体の組成比は、1H−MNR分析および19F−NMR分析により分析したところ、水酸基含有含フッ素アリルエーテル/VdFが55/45(モル%)であった。また、THFを溶媒として用いるGPC分析により測定した数平均分子量は12000、重量平均分子量は18000であった。このポリマーをポリマー(d)と称する。
【0134】
合成例5
ポリマー(a)を4.1g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、ピリジンを1.05g加えた後、滴下ロートより、2−フルオロアクリル酸フロライド(CH2=CFCOF)を0.99g、氷浴下で滴下し、十分に撹拌して均一化させた。2時間撹拌後、室温にもどした。さらに4時間撹拌を継続した。
【0135】
反応後のMIBK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを3.4g得た。
【0136】
これらの後処理操作をすべて60℃を超えないようにして行った。以降の合成例に関してもすべて同様である。
【0137】
このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により調べたところ、式(a−F):
【化21】

(m:n=50.2:49.8)のポリマーであった。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(a−F50)と称する。
【0138】
合成例6
合成例5において、ピリジンの量を0.82g、2−フルオロアクリル酸フロライドの量を0.84gとした以外は同様にして反応を行い、式(a−F)においてm:n=85:15の不飽和基含有ポリマーを3.2g得た。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(a−F85)と称する。
【0139】
合成例7
合成例5において、ポリマー(a)に代えてポリマー(b)を用いた以外は同様にして反応を行い、式(a−F)においてm:n=50:50の不飽和基含有ポリマーを2.3g得た。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(b−F50)と称する。
【0140】
合成例8
合成例5において、ポリマー(a)に代えてポリマー(b)を用い、ピリジンの量を0.82g、2−フルオロアクリル酸フロライドの量を0.84gとした以外は同様にして反応を行い、式(a−F)においてm:n=85:15のポリマーを2.8g得た。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(b−F85)と称する。
【0141】
合成例9
合成例2で合成したポリマー(b)を4g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた200mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、トリエチルアミンを0.6g加えた後、滴下ロートより、メタリル酸クロライド(CH2=C(CH3)COCl)を0.57g、氷浴下で滴下し、十分に撹拌して均一化させた。2時間撹拌後、室温にもどした。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4時間撹拌を継続した。
【0142】
反応後のMIBK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0143】
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを3.1g得た。このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により調べたところ、
【化22】

(m:n=48:52)のポリマーであった。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(b−M48)と称する。
【0144】
合成例10
合成例9において、メタリル酸クロライドに代えてアクリル酸クロライドを0.48g用いた以外は同様にして反応を行い、つぎの式に示す不飽和基含有ポリマー(m:n=51:49)を3.2g得た。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(b−A51)と称する。
【0145】
【化23】

【0146】
合成例11
合成例3で得られたポリマー(c)を4g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、ピリジンを0.24g加えた後、滴下ロートより、2−フルオロアクリル酸フロライド(CH2=CFCOF)を0.25g、氷浴下で滴下し、十分に撹拌して均一化させた。2時間撹拌後、室温にもどした。さらに4時間撹拌を継続した。
【0147】
反応後のMIBK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを2.2g得た。このポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により調べたところ、
【化24】

(m:n:o=21:21:58)のポリマーであった。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(c−F21)と称する。
【0148】
合成例12
合成例11において、ポリマー(c)に代えてポリマー(d)を用い、ピリジンを0.32g、2−フルオロアクリル酸フロライドの量を0.31gとした以外は同様にして反応を行い、つぎの式に示す不飽和基含有ポリマー(m:n:o=22:23:55)を1.8g得た。この不飽和基含有ポリマーをポリマー(d−F22)と称する。
【0149】
【化25】

【0150】
比較合成例1
合成例1で合成したポリマー(a)を4g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、ジブチルスズジラウリレートを0.004g加えた後、滴下ロートより、昭和電工(株)製のカレンズAOI(CH2=CHCOOCH2CH2NCO)(以下、AOIともいう)を1.51g、室温で滴下し、十分に撹拌して均一化させた。その後、45℃まで昇温し、6時間撹拌後、室温にもどした。IR測定により、AOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された。
【0151】
反応後のMIBK溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを4.2g得た。
【0152】
これらの後処理操作をすべて60℃を超えないようにして行った。以降の合成例に関してもすべて同様である。
【0153】
得られたポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により調べたところ、
【化26】

(m:n=50:50)のウレタン結合と不飽和基を含有するポリマーであった。このポリマーをポリマー(U−a−AOI50)と称する。
【0154】
比較合成例2
合成例4で得られたポリマー(d)を5.1g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、ジブチルスズジラウレートを0.005g加えた後、滴下ロートより、昭和電工(株)製のカレンズMOI(CH2=C(CH3)COOCH2CH2NCO)を0.75g、室温で滴下し、十分に撹拌して均一化させた。その後、45℃まで昇温し、6時間撹拌後、室温にもどした。IR測定により、MOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された。
【0155】
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、得られたポリマーの19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、
【化27】

(m:n:o=22:23:55)のウレタン結合と不飽和基を含有するポリマーであった。このポリマーをポリマー(U−d−MOI22)と称する。
【0156】
参考例1(ポリマーへの温度の影響)
合成例7で得られたポリマー(b−F50)を23℃、60℃および100℃の条件で保存して、一定時間ごとにIRで炭素−炭素二重結合の量を測定し、反応率を下式にて計算した。
【0157】
【数1】

【0158】
結果を図1にグラフとして示す。
【0159】
図1のグラフにおいて、23℃および60℃の保存条件においては反応率が抑えられ、100℃で保存したポリマーの反応率が大きく上昇しているのが分かる。反応率が上がることは、熱によって二重結合が反応し、ゲル化することを示している。ゲル化したポリマーは溶媒不溶となり、無溶剤硬化樹脂として組成物を調製することが困難となる。実際に100℃で72時間保持したポリマー(b−F50)はゲル化し、組成物を作製することができなかった。
【0160】
参考例2(ポリマーのみの耐熱性評価)
エステル結合を介して不飽和基を有する本発明で用いるポリマー(a−F50)とウレタン結合を介して不飽和基を有する比較用のポリマー(U−a−AOI50)の耐熱性を熱重量計にて比較した。
【0161】
265℃の雰囲気に各サンプルを保持し、その30分後の質量減少量を測定し比較したところ、ポリマー(a−F50)は0.9質量%の減少であったのに対し、比較用のポリマー(U−a−AOI50)は4.3質量%の減少を示した。このことから、エステル結合を介して不飽和基を有する本発明で用いるポリマーが、耐熱性に優れていることが明確になった。
【0162】
実施例1
以下の配合に従って硬化性組成物を調製した。表1に各組成の配合量を示す。
ポリマー(a−F50) 50質量部
4FA(CH2=CHCOOCH224H) 30質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPA) 20質量部
ダロキュアMBF(チバスペシャリティケミカルズ社製) 4質量部
【0163】
ついで、調製した硬化前の組成物の25℃における液状組成物の外観(目視)および粘度を調べた。外観の評価基準を以下に示す。また、結果を表2に示す。
【0164】
(外観)
○:透明でかつ均一であり、550nmの光の透過率が80%以上である。
△:一部に白濁(ゲル状物)が認められる。
×:不透明、白濁。
【0165】
ついで、つぎの要領で硬化させて作製した硬化フィルムの外観、フッ素含有量、屈折率(n)、熱分解温度(Td)、光透過率可視(550nm)(T)、耐溶剤性(酢酸ブチル)および耐熱性(180℃)を調べた。結果を表2に示す。
【0166】
(硬化フィルムの作製)
ガラス板上に離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚さ100μm)を敷き、アプリケーターを用いて膜厚が約100μmとなるように塗布し、さらに、離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚さ100μm)を上部より重ねて、さらに厚さ1mmのスライドガラスを載せた後に、高圧水銀灯を用い、上部より、1500mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射して硬化させた。その後、離型用のフッ素樹脂フィルムを剥がして、硬化フィルムを作製した。
【0167】
外観、耐溶剤性および耐熱性の評価基準を以下に示す。
【0168】
(外観)
○:透明でかつ均一である。
△:一部に白濁(にごり)が認められる。
×:不透明、白濁。
【0169】
(耐溶剤性)
○:目視で膨潤が見られない。
△:目視で膨潤が見られる。
×:溶解する。
【0170】
(耐熱性)
○:目視で変化が見られない。
△:目視でわずかな変色、濁りがみられる。
×:目視で明らかな変色、白濁、変形等が見られる。
【0171】
実施例2〜10
表1に示す配合に従って硬化性組成物を調製し、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0172】
比較例1〜2
表1に示す配合に従って硬化性組成物を調製し、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0173】
表1における略号は、以下の化合物である。
【0174】
不飽和基含有ポリマー
a−F50:合成例5で合成したポリマー
a−F85:合成例6で合成したポリマー
b−F50:合成例7で合成したポリマー
b−F85:合成例8で合成したポリマー
b−M48:合成例9で合成したポリマー
b−A51:合成例10で合成したポリマー
c−F21:合成例11で合成したポリマー
d−F22:合成例12で合成したポリマー
U−a−AOI50:比較合成例1で合成したポリマー
U−d−MOI22:比較合成例2で合成したポリマー
【0175】
アクリル系単量体
4FA:CH2=CHCOOCH224
8FMA:CH2=CCH3COOCH248
HFIP−F:CH2=CFCOOC(CH32
MMA:メチルメタクリレート
TMPA:トリメチロールプロパントリアクリレート
16HX−A:1,6−ヘキサメチレンジアクリレート
PETA:ペンタエスリトールテトラアクリレート
【0176】
UV重合開始剤
ダロキュア:ダロキュアMBF(チバスペシャリティケミカルズ社製)
【0177】
【表1】

【0178】
【表2】

【0179】
実施例11
実施例2で調製した硬化性組成物を硬化させて得られた硬化フィルムについて、高温保持試験(260℃、5分間保持)前後の光透過率を測定した。結果を図2に示す。実線が試験前、破線が試験後のデータである。また、高温保持試験前後のフィルムの写真を図3に示す。
【0180】
図2および3から、本発明の組成物を硬化させて得られるフィルムは、非常に高い温度においても透明性を維持していることが分かる。
【0181】
比較例3
比較例1で調製した硬化性組成物を硬化させて得られた硬化フィルムについて、高温保持試験(260℃、5分間保持)前後の光透過率を測定した。結果を図4に示す。実線が試験前、破線が試験後のデータである。また、高温保持試験前後のフィルムの写真を図5に示す。なお、図5では試験後のフィルムが黒くなっているが、実際は茶色に黄変していた。
【0182】
図4および5から、ウレタン結合を含むポリマーを用いた組成物を硬化させて得られるフィルムは、激しく黄変し、透過光強度も大きく減少していることが分かる。
【0183】
実施例12
実施例2で調製した硬化性組成物を硬化させて得られた硬化フィルムについて、高温長期間保持試験(160℃、7日間保持)前後の光透過率を測定した。結果を図6に示す。実線が試験前、破線が試験後のデータである。
【0184】
図6から、本発明の組成物を硬化させて得られるフィルムは、高い温度で長期間保持後においても高い透明性を維持していることが分かる。
【0185】
比較例4
比較例1で調製した硬化性組成物を硬化させて得られた硬化フィルムについて、高温長期間保持試験(160℃、7日間保持)前後の光透過率を測定した。結果を図7に示す。実線が試験前、破線が試験後のデータである。
【0186】
図7から、ウレタン結合を含むポリマーを用いた組成物を硬化させて得られるフィルムは、高い温度で長期間保持すると、透明性が低下することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(1):
【化1】

(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X3は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;X4およびX5は同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは1〜3の整数;R1は水酸基を少なくとも1個含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合および/またはエステル結合を含んでいてもよい)で表される水酸基含有構造単位(1)を含む水酸基含有含フッ素重合体と、
(b)不飽和カルボン酸またはその酸ハライドと
をエステル化反応に供して得られる不飽和基含有含フッ素重合体(I)が、アクリル系単量体(II)に溶解している耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物。
【請求項2】
水酸基含有含フッ素重合体(a)が、式(1a):
【化2】

(式中、Zは1価の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭化水素基、Yは2価の有機基または単結合;mは0〜5の整数)で表わされる含フッ素アリルエーテル構造単位を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
不飽和カルボン酸(b)が、式(4):
CX1112=CX13−(R3c−COM
(式中、X11およびX12は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X13は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;Mは−OHまたはハロゲン原子;R3は2価の有機基;cは0または1)で表わされる化合物である請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(a)式(1):
【化3】

(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X3は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;X4およびX5は同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは1〜3の整数;R1は水酸基を少なくとも1個含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合および/またはエステル結合を含んでいてもよい)で表される水酸基含有構造単位(1)を含む水酸基含有含フッ素重合体と、(b)不飽和カルボン酸またはその酸ハライドとをエステル化反応させた後、精製によって不純物を除去し、60℃以下の条件で乾燥して得られた不飽和基含有含フッ素重合体(I)を、アクリル系単量体(II)に溶解させることを特徴とする耐熱性透明無溶剤型硬化性含フッ素樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
水酸基含有含フッ素重合体(a)が、式(1a):
【化4】

(式中、Zは1価の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭化水素基、Yは2価の有機基または単結合;mは0〜5の整数)で表わされる含フッ素アリルエーテル構造単位を含む請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
不飽和カルボン酸(b)が、式(4):
CX1112=CX13−(R3c−COM
(式中、X11およびX12は同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X13は水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;Mは−OHまたはハロゲン原子;R3は2価の有機基;cは0または1)で表わされる化合物である請求項4または5記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
【請求項8】
波長400〜800nmの領域の光線透過率が80%以上である請求項7記載の硬化物。
【請求項9】
光学素子用の封止部材である請求項7または8記載の硬化物。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−195626(P2011−195626A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61109(P2010−61109)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】