説明

無灰TBN源としてのモルホリン誘導体及びこれを含む潤滑油組成物

【課題】潤滑油組成物のための無灰TBN源として有益なモルホリンから誘導された化合物、及びこれを含む、硫酸塩灰分(SASH)の減少されたレベルを有する潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】フルオロエラストマーのエンジンシール材料と適合性である潤滑油組成物のための無灰TBN源として有益な、下記式で表されるモルホリン誘導体、及びこのような化合物を含む潤滑油組成物であり、SASH含量を同時に増大しないで、潤滑油組成物のTBNを増大することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモルホリンから誘導された化合物(これらの化合物は潤滑油組成物のための無灰TBN (全アルカリ価)ブースターとして有益である)の新規クラス、及びこれを含む、硫酸塩灰分(SASH)の減少されたレベルを有する潤滑油組成物、特にクランクケース潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境上の関心が圧縮点火(ディーゼル燃料)及び火花点火(ガソリン燃料)ライトデューティ内燃エンジンのCO、炭化水素及び窒素酸化物(NOx) 放出を減少しようとする絶え間ない努力をもたらしてきた。更に、圧縮点火内燃エンジンの粒状物放出を減少しようとする絶え間ない努力があった。ヘビーデューティディーゼル車両についてのきたるべき放出規格を満足するために、相手先商標製造会社(OEM)は追加の排出ガス後処理装置の使用に頼るであろう。このような排出ガス後処理装置は触媒コンバータ(これらは一種以上の酸化触媒、NOx 貯蔵触媒、及び/又はNH3 還元触媒を含み得る);及び/又は粒状物トラップを含んでもよい。
酸化触媒はエンジン排出ガス中に存在する或る種の元素/化合物への暴露、特にリン含有潤滑油添加剤の分解により排出ガスに導入されるリン及びリン化合物への暴露により被毒され、無効にされるようになることがある。還元触媒は潤滑剤をブレンドするのに使用されるベースオイルと、硫黄含有潤滑油添加剤の両方の分解により導入されるエンジン排出ガス中の硫黄及び硫黄化合物に影響されやすい。粒状物トラップは金属灰(これは分解された金属含有潤滑油添加剤の生成物である)により詰まらされるようになることがある。
長い使用寿命を保証するために、このような後処理装置に最小の負の影響を与える潤滑油添加剤が同定される必要があり、“新しいサービスフィル(service fill)”及び“ファーストフィル(first fill)”ヘビーデューティディーゼル(HDD) 潤滑剤についてのOEM 仕様は0.4質量%の最大硫黄レベル;0.12質量%の最大リンレベル、及び1.1質量%未満の硫酸塩灰分含量を必要とし、これらの潤滑剤が“mid-SAPS”潤滑剤(ここで、“SAPS”は“硫酸塩灰分、リン、硫黄”の頭字語である)と称される。将来、OEM はこれらのレベル最大レベルを0.08質量%のリン、0.2質量%の硫黄及び0.8質量%の硫酸塩灰分に更に制限するかもしれず、このような潤滑剤が“低SAPS”潤滑油組成物と称される。
リン、硫黄及び灰分を含む潤滑剤添加剤の量が排出ガス後処理装置と適合し得るmid-SAPS潤滑剤及び低SAPS潤滑剤を提供するために減少されつつあるので、潤滑油組成物はヘビーデューティディーゼル潤滑剤についてのOEM の“新しいサービス”仕様、及び“ファーストフィル”仕様、例えば、ACEA E6 及びMB p228.51 (ヨーロッパ) 並びにAPI CI-4+ 及びAPI CJ-4 (米国) により指示される、適切な洗浄力を含む、高レベルの潤滑剤性能を与え続ける必要がある。先にリストされた工業規格を満足する潤滑油組成物と分類されるための基準は当業者に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃焼の中和された酸性副生物(これは排出ガス循環(EGR) システム、特に排出ガスが循環の前に冷却される凝縮EGR システムを備えたエンジン中で増大する)についての潤滑剤の能力が、組成物の全アルカリ価(TBN) を増大することにより改良でき、潤滑剤の排出間隔が延長し得る。歴史的には、TBN は硫酸塩灰分を組成物に導入する過塩基化(overbased)清浄剤により得られていた。硫酸塩灰分に寄与しないTBN 増大成分を使用して高レベルのTBN を有する潤滑油組成物を提供することは有利であろう。高度に塩基性の成分は腐食を誘発し、或る場合にはエンジン中に使用される潤滑油組成物とフルオロ弾性シール材料との適合性を低下することが知られているので、腐食を誘発せず、好ましくはシール適合性に悪影響しないこのような成分を提供することが好ましいであろう。改良された燃料経済性の要求のために、それ程粘稠ではない潤滑剤、例えば、0W及び5W20及び30グレードの潤滑剤が一層流行するようになった。このような潤滑剤の一層容易な配合を可能にするために、添加剤により導入されるポリマーの量が最小にされることが好ましい。それ故、非ポリマー無灰TBN 源を提供することが更に好ましいであろう。
米国特許第5,525,247号、同第5,672,570号及び同第6,569,818号は硫酸塩灰分含量が過塩基化清浄剤を中性清浄剤で置換することにより減少される“低灰分”潤滑油組成物に関する。これらの特許はこのような潤滑剤を充分な洗浄力を与えると記載しているが、このような潤滑剤が、例えば、HDD エンジン中の使用に充分なTBN を与えることを主張していない。米国特許出願2007/0203031 号は無灰TBN 源としての高TBN 窒素含有分散剤の使用を記載している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の局面によれば、硫酸塩灰分を導入しないで潤滑油組成物のTBN を増大するのに有益な添加剤としての新規モルホリン誘導体が提供される。
本発明の第二の局面によれば、第一の局面の新規化合物を含むモルホリン誘導体を含む、潤滑油組成物、好ましくはヘビーデューティディーゼル(HDD) エンジンのためのクランクケース潤滑油組成物が提供される。
本発明の第三の局面によれば、約6〜約15のTBN 及び1.1質量%未満、好ましくは0.8質量%未満の硫酸塩灰分(SASH)含量を有する、第二の局面の、潤滑油組成物が提供される。
本発明の第四の局面によれば、ヘビーデューティエンジン潤滑剤についてのACEA E6仕様、MB p228.51 仕様、API CI-4+仕様及びAPI CJ-4 仕様の一つ以上の性能基準を満足する、第二の局面及び第三の局面の、潤滑油組成物が提供される。
本発明の第五の局面によれば、排出ガス循環(EGR) システム、好ましくは凝縮EGR システム及び粒状物トラップを備えたヘビーデューティディーゼルエンジン(そのエンジンのクランクケースが第二、第三又は第四の局面の潤滑油組成物で潤滑される)が提供される。
本発明の第六の局面によれば、潤滑油組成物にモルホリン誘導体、好ましくは第一の局面の一種以上の化合物を混入することを特徴とする低減されたSASH含量を有する高TBN 潤滑剤の生成方法が提供される。
本発明の第七の局面によれば、無灰潤滑油組成物TBN 源としての、モルホリン誘導体、好ましくは第一の局面の一種以上の化合物の使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
潤滑油組成物のための無灰TBN 源として有益な本発明の化合物は式(I)により特定される。
【0006】
【化1】

(I)
【0007】
式中、Rは少なくとも90%の脂肪族炭素原子及び/又はオレフィン炭素原子を含む炭化水素基又は置換炭化水素基であり、n当り約100から約800までの数平均分子量 (Mn) (100n 〜800nのMn) を有し、かつ少なくとも8n個の脂肪族炭素原子又は脂環式炭素原子を含み;R’はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり;Xは-O- 、-NR”-、又はN-C(O)R(式中、R”はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基である)であり;かつnは1〜25である。
Rは少なくとも95%の脂肪族炭素原子及び/又はオレフィン炭素原子を含む炭化水素基又は置換炭化水素基であることが好ましい。Rは少なくとも12n個の脂肪族炭素原子又は脂環式炭素原子を含むことが好ましい。Rは700n以下、更に好ましくは500n以下、最も好ましくは300n以下の数平均分子量(Mn) を有することが好ましい。Rは芳香族部分又はカルボニル部分を含まず、かつ約150nから約400nまでの数平均分子量(Mn) を有することが好ましい。式(I) の化合物は4000以下の数平均分子量(Mn)を有することが好ましい。R’ は好ましくはH、CH3 又はCH3CH2 、更に好ましくはHである。nについての値は好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10、最も好ましくは、nは少なくとも2、例えば、2〜10、更に好ましくは2〜8である。Xは-O-であることが好ましい。
【0008】
好ましい実施態様において、Rは少なくとも約12n個の脂肪族炭素原子又は脂環式炭素原子を有する炭化水素基であり、nは少なくとも2であり、かつR’はHである。
更に好ましい実施態様において、Xは-O-であり、Rは少なくとも約15n個の脂肪族又は脂環式炭素原子を有する炭化水素基であり、nは少なくとも2であり、かつR’はHである。
本発明の化合物は少なくとも約50、好ましくは少なくとも約60、更に好ましくは少なくとも約80、例えば、少なくとも約100のTBN (ASTM D-4739に従って測定される) (単位: mg KOH/g)を有することが好ましい。本発明の化合物は約50以下のヨウ素価(ASTM D-4607-94 (2006) に従って測定される)を有することが好ましい。本発明の化合物は8 mg/g KOH以下の残留TAN(ASTM D-644に従って測定される)を有することが好ましい。
式Iの化合物はモル当量の酸化合物及び下記の式 (I’)の化合物(式中、R’はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基である)を反応させることにより生成し得る。
【0009】
【化2】

(I’)
【0010】
式I’のR’はH、CH3 又はCH3CH2であることが好ましく、R’はHであることが更に好ましい(その化合物は4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン (HEM)である)。酸性化合物は有機酸、及び好ましくは二量体酸又は三量体酸であることが好ましい。
好ましい実施態様において、酸性化合物が三量体であり、かつR’がHである。
本発明の潤滑油組成物は過半量の潤滑粘度の油及び少量の式Iの化合物を含む。
本発明の状況に有益な潤滑粘度の油は天然潤滑油、合成潤滑油及びこれらの混合物から選ばれてもよい。潤滑油は軽質蒸留鉱油から重質潤滑油まで、例えば、ガソリンエンジンオイル、潤滑鉱油及びヘビーデューティディーゼルオイルの粘度の範囲であってもよい。一般に、油の粘度は100℃で測定して約2センチストークから約40センチストークまで、特に約4センチストークから約20センチストークまでの範囲である。
天然油として、動物油及び植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)、液体石油並びにパラフィン型、ナフテン型及び混合パラフィン-ナフテン型の水素化精製され、溶剤処理され、又は酸処理された鉱油が挙げられる。石炭又はシェールに由来する潤滑粘度の油がまた有益なベースオイルとして利用できる。
【0011】
合成潤滑油として、炭化水素油及びハロ置換炭化水素油、例えば、重合オレフィン及び共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);並びにアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド及びこれらの誘導体、類似体及び同族体が挙げられる。またフィッシャー-トロプッシュ合成炭化水素からの合成軽油(gas to liquid) 方法から誘導された合成油(これらは合成軽油、又は“GTL”ベースオイルと普通称される)が有益である。
アルキレンオキサイドポリマー及び共重合体並びにこれらの誘導体(この場合、末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化等により変性されていた)が既知の合成潤滑油の別のクラスを構成する。これらはエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの重合により調製されたポリオキシアルキレンポリマー、並びにポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテル及びアリールエーテル(例えば、1000の分子量を有するメチル-ポリイソ-プロピレングリコールエーテル又は1000〜1500の分子量を有するポリ-エチレングリコールのジフェニルエーテル)、並びにこれらのモノ-及びポリカルボン酸エステル、例えば、テトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3-C8脂肪酸エステル及びC13オキソ酸ジエステルにより例示される。
【0012】
合成潤滑油の別の好適なクラスはジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)のエステルを含む。これらのエステルの特別な例として、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル)、フマル酸ジ-n-ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステル、並びに1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルヘキサン酸と反応させることにより生成された複雑なエステルが挙げられる。
合成油として有益なエステルとして、C5-C12モノカルボン酸及びポリオール、並びにポリオールエステル、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールからつくられたものがまた挙げられる。
シリコンをベースとするオイル、例えば、ポリアルキル-、ポリアリール-、ポリアルコキシ-又はポリアリールオキシシリコーンオイル及びシリケートオイルが合成潤滑剤の別の有益なクラスを構成する。このようなオイルとして、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ-(2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(p-tert-ブチル-フェニル)シリケート、ヘキサ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンが挙げられる。その他の合成潤滑油として、リン含有酸の液体エステル(例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デシルホスホン酸のジエチルエステル)及びポリマーのテトラヒドロフランが挙げられる。
潤滑粘度の油はグループI、グループII又はグループIIIの原料油又は上記原料油のベースオイルブレンドを含んでもよい。潤滑粘度の油はグループIIもしくはグループIIIの原料油、又はこれらの混合物、或いはグループI原料油と一種以上のグループII及びグループIIIの混合物であることが好ましい。過半量の潤滑粘度の油がグループII、グループIII、グループIVもしくはグループVの原料油、又はこれらの混合物であることが好ましい。原料油、又は原料油ブレンドが少なくとも65%、更に好ましくは少なくとも75%、例えば、少なくとも85%の飽和物含量を有することが好ましい。原料油、又は原料油ブレンドが、90%より大きい飽和物含量を有することが最も好ましい。油又は油ブレンドが1質量%未満、好ましくは0.6%質量未満、最も好ましくは0.4質量%未満の硫黄含量を有することが好ましいであろう。
【0013】
油又は油ブレンドの揮発度は、ノアク揮発度試験 (ASTM D5880)により測定して、30%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下、最も好ましくは16%以下であることが好ましい。油又は油ブレンドの粘度指数(VI)は少なくとも85、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは約105から140までであることが好ましい。
本発明における原料油及びベースオイルに関する定義は米国石油協会(API)刊行物“エンジンオイルライセンシング及び認可システム”、工業サービス部門、第14編、1996年12月、補遺1、1998年12月に見られるものと同じである。前記刊行物は原料油を以下のとおりにカテゴリー化する。
a)グループI原料油は90%未満の飽和物及び/又は0.03%より多い硫黄を含み、表1に明記された試験方法を使用して80以上かつ120未満の粘度指数を有する。
b)グループII原料油は90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含み、表1に明記された試験方法を使用して80以上かつ120未満の粘度指数を有する。
c)グループIII原料油は90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含み、表1に明記された試験方法を使用して120以上の粘度指数を有する。
d)グループIV原料油はポリアルファオレフィン(PAO)である。
e)グループV原料油はグループI、II、III、又はIVに含まれない全てのその他の原料油を含む。
【0014】
【表1】

【0015】
金属含有清浄剤又は灰形成清浄剤はデポジットを減少又は除去するための清浄剤として、また酸中和剤又は錆抑制剤として両方で機能し、それにより磨耗及び腐食を減少し、かつエンジン寿命を延長する。清浄剤は一般に長い疎水性尾部を有する極性頭部を含み、その極性頭部は酸性有機化合物の金属塩を含む。塩は実質的に化学量論量の金属を含んでもよく、その場合にはそれらは通常又は中性の塩として通常記載され、典型的には0から80までの全アルカリ価即ちTBN(ASTM D2896により測定し得る)を有するであろう。多量の金属塩基が過剰の金属化合物(例えば、酸化物又は水酸化物)を酸性ガス(例えば、二酸化炭素)と反応させることにより混入し得る。得られる過塩基化清浄剤は金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外層として中和された清浄剤を含む。このような過塩基化清浄剤は150以上のTBNを有し、典型的には250から450以上までのTBNを有するであろう。式Iの化合物の存在下で、過塩基化清浄剤の量が減少でき、又は過塩基化の減少されたレベルを有する清浄剤(例えば、100〜200のTBNを有する清浄剤)、もしくは中性清浄剤が使用でき、潤滑油組成物の性能を低下しないでそのSASH含量の相当する減少をもたらし得る。
使用し得る清浄剤として、金属、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、及びマグネシウムの油溶性の中性また過塩基化されたスルホン酸塩、フェネート、硫化フェネート、チオホスホン酸塩、サリチル酸塩、及びナフテン酸塩並びにその他の油溶性カルボン酸塩が挙げられる。最も普通に使用される金属はカルシウム及びマグネシウムであり、これらは両方とも潤滑剤中に使用される清浄剤中に、またカルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムの混合物中に存在してもよい。特に都合の良い清浄剤は20から450 TBNまでのTBN を有する中性及び過塩基化スルホン酸カルシウム、並びに50から450までのTBN を有する中性及び過塩基化カルシウムフェネート及び硫化フェネートである。清浄剤(過塩基化もしくは中性又はその両方)の組み合わせが使用されてもよい。
【0016】
スルホン酸塩はスルホン酸(これらは典型的にはアルキル置換芳香族炭化水素、例えば、石油の分別から、又は芳香族炭化水素のアルキル化により得られたもののスルホン化により得られる)から調製されてもよい。例として、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又はそれらのハロゲン誘導体、例えば、クロロベンゼン、クロロトルエン及びクロロナフタレンをアルキル化することにより得られたものが挙げられる。アルキル化は触媒の存在下で約3個から70個以上までの炭素原子を有するアルキル化剤を用いて行なわれてもよい。アルカリールスルホン酸塩は通常アルキル置換芳香族部分当り約9個から約80個以上までの炭素原子、好ましくは約16個から約60個までの炭素原子を含む。
油溶性スルホン酸塩又はアルカリールスルホン酸は金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、カルボン酸塩、硫化物、水硫化物、硝酸塩、ホウ酸塩及びエーテルで中和されてもよい。金属化合物の量は最終生成物の所望のTBNに関して選ばれるが、典型的には化学量論上必要とされる量の約100質量%から220質量%まで(好ましくは少なくとも125質量%)の範囲である。
フェノール及び硫化フェノールの金属塩は適当な金属化合物、例えば、酸化物又は水酸化物との反応により調製され、中性生成物又は過塩基化生成物は当業界で公知の方法により得られてもよい。硫化フェノールはフェノールを硫黄又は硫黄含有化合物、例えば、硫化水素、モノハロゲン化硫黄もしくはジハロゲン化硫黄と反応させて、一般に2以上のフェノールが硫黄含有ブリッジによりブリッジされている化合物の混合物である生成物を生成することにより調製されてもよい。
【0017】
本発明の潤滑油組成物は更に一種以上の無灰分散剤(これらは潤滑油に添加された場合に、ガソリンエンジン及びディーゼルエンジン中の使用後のデポジットの形成を有効に減少する)を含んでもよい。本発明の組成物に有益な無灰分散剤は分散すべき粒子と会合し得る官能基を有する油溶性ポリマーの長い主鎖を含む。典型的には、このような分散剤は、しばしばブリッジ基を介して、ポリマー主鎖に結合されたアミン、アルコール、アミド又はエステル極性部分を含む。無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノカルボン酸及びポリカルボン酸又はこれらの酸無水物の油溶性塩、エステル、アミノ-エステル、アミド、イミド及びオキサゾリン;長鎖炭化水素のチオカルボン酸塩誘導体;それに直接結合されたポリアミン部分を有する長鎖脂肪族炭化水素;並びに長鎖置換フェノールをホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンと縮合することにより生成されたマンニッヒ縮合生成物から選ばれてもよい。最も普通に使用される分散剤は公知のスクシンイミド分散剤であり、これはヒドロカルビル置換無水コハク酸とポリ(アルキレンアミン)の縮合生成物である。モノ-スクシンイミド分散剤及びビス-スクシンイミド分散剤の両方(並びにこれらの混合物)が公知である。
無灰分散剤は4,000以上、例えば、4,000〜20,000の数平均分子量(Mn)を有する“高分子量”分散剤であることが好ましい。正確な分子量範囲は分散剤を生成するのに使用されるポリマーの型、存在する官能基の数、及び使用される極性官能基の型に依存するであろう。例えば、ポリイソブチレン誘導体化分散剤について、高分子量分散剤は約1680から約5600までの数平均分子量を有するポリマー主鎖で生成されたものである。典型的な市販のポリイソブチレンをベースとする分散剤は無水マレイン酸 (MW = 98)で官能化され、かつ約100から約350までの分子量を有するポリアミンで誘導体化された、約900から約2300までの範囲の数平均分子量を有するポリイソブチレンポリマーを含む。低分子量のポリマーがまた多くのポリマー鎖を分散剤にとり込むことにより高分子量分散剤を生成するのに使用されてもよく、これは当業界で知られている方法を使用して達成し得る。
【0018】
分散剤の好ましいグループとして、ポリアミン誘導体化ポリα-オレフィン分散剤、特にエチレン/ブテンアルファ-オレフィン及びポリイソブチレンをベースとする分散剤が挙げられる。無水コハク酸基で置換されたポリイソブチレンから誘導され、ポリエチレンアミン、例えば、ポリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン;又はポリオキシアルキレンポリアミン、例えば、ポリオキシプロピレンジアミン、トリメチロールアミノメタン;ヒドロキシ化合物、例えば、ペンタエリスリトール;及びこれらの組み合わせと反応させられた無灰分散剤が特に好ましい。一つの特に好ましい分散剤組み合わせは無水コハク酸基で置換され、(B) ヒドロキシ化合物、例えば、ペンタエリスリトール;(C) ポリオキシアルキレンポリアミン、例えば、ポリオキシプロピレンジアミン、又は(D) ポリアルキレンジアミン、例えば、ポリエチレンジアミン及びテトラエチレンペンタミンと反応させられた(A)ポリイソブチレンの組み合わせである(1モルの(A)当り約0.3モル〜約2モルの(B)、(C)及び/又は(D)を使用して)。別の好ましい分散剤組み合わせは米国特許第3,632,511号に記載されたような(A)ポリイソブテニル無水コハク酸と(B)ポリアルキレンポリアミン、例えば、テトラエチレンペンタミン、及び(C)多価アルコール又はポリヒドロキシ置換脂肪族一級アミン、例えば、ペンタエリスリトール又はトリスメチロールアミノメタンの組み合わせを含む。
【0019】
無灰分散剤の別のクラスはマンニッヒ塩基縮合生成物を含む。一般に、これらの生成物は、例えば、米国特許第3,442,808号に開示されたように、約1モルのアルキル置換モノ又はポリヒドロキシベンゼンを約1〜2.5モルの一種以上のカルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)及び約0.5〜2モルのポリアルキレンポリアミンと縮合することにより調製される。このようなマンニッヒ塩基縮合生成物はベンゼン基の置換基としてメタロセン触媒重合のポリマー生成物を含んでもよく、又は米国特許第3,442,808号に記載された様式と同様の様式で無水コハク酸で置換されたこのようなポリマーを含む化合物と反応させられてもよい。メタロセン触媒系を使用して合成された官能化され、かつ/又は誘導体化されたオレフィンポリマーの例が上記の同定された刊行物に記載されている。
分散剤は、一般に米国特許第3,087,936号及び同第3,254,025号に教示されたような、ホウ化の如き種々の通常の後処理により更に後処理し得る。分散剤のホウ化はアシル窒素含有分散剤をアシル化窒素組成物各1モルについて約0.1〜約20原子比のホウ素を与えるのに充分な量の、ホウ素化合物、例えば、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ素酸、及びホウ素酸のエステルで処理することにより容易に達成される。有益な分散剤は約0.05質量%から約2.0質量%まで、例えば、約0.05質量%から約0.7質量%までのホウ素を含む。ホウ素(これは脱水されたホウ酸ポリマー(主として (HBO2)3)として生成物中に現れる)は、アミン塩、例えば、ジイミドのメタホウ酸塩として分散剤イミド及びジイミドに結合すると考えられる。ホウ化は約0.5質量%から4質量%まで、例えば、約1質量%から約3質量%まで(アシル窒素化合物の質量を基準として)のホウ素化合物、好ましくはホウ酸を、通常スラリーとして、アシル窒素化合物に添加し、約135℃から約190℃まで、例えば、140℃〜170℃で約1時間から約5時間までにわたって撹拌しながら加熱し、続いて窒素ストリッピングすることにより行ない得る。また、ホウ素処理は水を除去しながら、ホウ酸をジカルボン酸物質とアミンの熱反応混合物に添加することにより行ない得る。当業界で普通に知られているその他の後反応方法がまた適用し得る。
【0020】
分散剤はまた更に所謂“キャッピング剤”との反応により後処理されてもよい。通常、窒素含有分散剤はこのような分散剤がフルオロエラストマーエンジンシールに対して有する不利な作用を軽減するために“キャッピングされていた”。多くのキャッピング剤及び方法が知られている。既知の“キャッピング剤”のうち、塩基性分散剤アミノ基を非塩基性部分(例えば、アミド基又はイミド基)に変換するものが最適である。窒素含有分散剤とアルキルアセトアセテート(例えば、エチルアセトアセテート(EAA))の反応が、例えば、米国特許第4,839,071号、同第4,839,072号及び同第4,579,675号に記載されている。窒素含有分散剤とギ酸の反応が、例えば、米国特許第3,185,704号に記載されている。窒素含有分散剤とその他の好適なキャッピング剤の反応生成物が米国特許第4,663,064 号(グリコール酸);同第4,612,132号、同第5,334,321号、同第5,356,552号、同第5,716,912号、同第5,849,676号、同第5,861,363号(アルキルカーボネート及びアルキレンカーボネート、例えば、エチレンカーボネート);同第5,328,622号(モノ-エポキシド);同第5,026,495号、同第5,085,788号、同第5,259,906号、同第5,407,591号(ポリ(例えば、ビス)-エポキシド)及び同第4,686,054号(無水マレイン酸又は無水コハク酸)に記載されている。上記リストは排他的ではなく、窒素含有分散剤のその他のキャッピング方法が当業者に知られている。
適切なピストンデポジットコントロールのために、窒素含有分散剤は潤滑油組成物に約0.03質量%から約0.15質量%まで、好ましくは約0.07質量%から約0.12質量%までの窒素を与える量で添加し得る。
無灰分散剤はその性質が塩基性であり、それ故、極性基の性質そして分散剤がホウ化されたか否か又はキャッピング剤で処理されたか否かに応じて、約5〜約200 mg KOH/gであってもよいTBN を有する。しかしながら、高レベルの塩基性分散剤窒素はエンジンシールを形成するのに通常使用されるフルオロ弾性材料に有害な作用を有すると知られており、それ故、ピストンデポジットコントロールを与えるのに必要な最小量の分散剤を使用し、5より大きいTBN を有する分散剤を実質的に使用せず、又は好ましくはその分散剤を全く使用しないことが好ましい。使用される分散剤の量が潤滑油組成物に4以下、好ましくは3mg KOH/g 以下のTBN に寄与することが好ましいであろう。分散剤が潤滑油組成物のTBN の30%以下、好ましくは25%以下を与えることが更に好ましい。
【0021】
付加的な添加剤が本発明の組成物を特別な要件に満足させるためにそれらに混入されてもよい。潤滑油組成物中に含まれてもよい添加剤の例は金属錆抑制剤、粘度指数改良剤、腐食抑制剤、酸化抑制剤、摩擦改質剤、その他の分散剤、消泡剤、耐磨耗剤及び流動点降下剤である。幾つかが以下に更に詳しく説明される。
ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩が耐磨耗剤及び酸化防止剤として頻繁に使用される。金属はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルもしくは銅であってもよい。亜鉛塩が潤滑油組成物の合計重量を基準として、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%の量で潤滑油中に最も普通に使用される。それらは既知の技術に従って最初に通常一種以上のアルコール又はフェノールとP2S5との反応により、ジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を生成し、次いで生成されたDDPAを亜鉛化合物で中和することにより調製されてもよい。例えば、ジチオリン酸は一級アルコールと二級アルコールの混合物を反応させることによりつくられてもよい。また、一方のヒドロカルビル基が特性上完全に二級であり、かつ他方のヒドロカルビル基が特性上完全に一級である場合、多種のジチオリン酸が調製し得る。亜鉛塩をつくるために、あらゆる塩基性又は中性亜鉛化合物が使用し得るが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩が殆ど一般に使用される。市販の添加剤は中和反応中の過剰の塩基性亜鉛化合物の使用のために過剰の亜鉛を頻繁に含む。
好ましい亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートはジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、下記の式により表し得る。
【0022】
【化3】

【0023】
式中、R及びR’は1個から18個まで、好ましくは2〜12個の炭素原子を含み、かつアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリール基及び脂環式基の如き基を含む同じ又は異なるヒドロカルビル基であってもよい。2〜8個の炭素原子のアルキル基がR基及びR’基として特に好ましい。こうして、これらの基は、例えば、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってもよい。油溶性を得るために、ジチオリン酸中の炭素原子の合計数(即ち、R及びR’)は一般に約5個以上であろう。それ故、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートは亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含み得る。本発明は組成物の合計質量を基準として、約0.02質量%から約0.12質量%まで、例えば、約0.03質量%から約0.10質量%まで、又は約0.05質量%から約0.08質量%までのリンレベルを含む潤滑剤組成物とともに使用される場合に特に有益であるかもしれない。一つの好ましい実施態様において、本発明の潤滑油組成物は二級アルコールから主として(例えば、50モル%以上、例えば、60モル%以上)誘導された亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含む。
酸化抑制剤又は酸化防止剤は鉱油が使用中に劣化する傾向を減少する。酸化劣化は潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニスのような付着物、及び増粘により証明し得る。このような酸化抑制剤として、ヒンダードフェノール、好ましくはC5-C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、油溶性フェネート及び硫化フェネート、リン硫化又は硫化炭化水素、リンエステル、金属チオカルバメート、米国特許第4,867,890号に記載されたような油溶性銅化合物、及びモリブデン含有化合物が挙げられる。
【0024】
一つのアミン窒素に直接結合された少なくとも二つの芳香族基を有する典型的な油溶性芳香族アミンは6個から16個までの炭素原子を含む。アミンは二つより多い芳香族基を含んでもよい。合計少なくとも三つの芳香族基を有する化合物(二つの芳香族基が共有結合又は原子もしくは基(例えば、酸素原子もしくは硫黄原子、又は-CO-基、-SO2-基もしくはアルキレン基)により結合されており、二つが一つのアミン窒素に直接結合されている)がまた窒素に直接結合された少なくとも二つの芳香族基を有する芳香族アミンと考えられる。芳香族環は典型的にはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基、及びニトロ基から選ばれた1個以上の置換基により置換されている。
多重酸化防止剤は普通組み合わせて使用される。一つの好ましい実施態様において、本発明の潤滑油組成物は約0.1質量%から約1.2質量%までのアミン系酸化防止剤及び約0.1質量%から約3質量%までのフェノール系酸化防止剤を含む。別の好ましい実施態様において、本発明の潤滑油組成物は約0.1質量%から約1.2質量%までのアミン系酸化防止剤、約0.1質量%から約3質量%までのフェノール系酸化防止剤及び潤滑油組成物に約10ppmから約1000ppmまでのモリブデンを与える量のモリブデン化合物を含む。
好適な粘度改質剤の代表例はポリイソブチレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、ポリメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物のコポリマー、スチレンとアクリルエステルの共重合体、並びにスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、及びイソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマーだけでなく、ブタジエン及びイソプレンの部分水素化ホモポリマーである。
【0025】
最終油のその他の成分と相溶性である摩擦改質剤及び燃料経済剤がまた含まれてもよい。このような物質の例として、高級脂肪酸のグリセリルモノエステル、例えば、グリセリルモノ-オレエート;長鎖ポリカルボン酸とジオールのエステル、例えば、2量体化された不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オキサゾリン化合物;並びにアルコキシル化アルキル置換モノ-アミン、ジアミン及びアルキルエーテルアミン、例えば、エトキシル化牛脂アミン及びエトキシル化牛脂エーテルアミンが挙げられる。
その他の既知の摩擦改質剤は油溶性有機モリブデン化合物を含む。このような有機モリブデン摩擦改質剤はまた潤滑油組成物に酸化防止信用及び耐磨耗信用を与える。このような油溶性有機モリブデン化合物の例として、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィド等、及びこれらの混合物が挙げられる。モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート及びアルキルチオキサンテートが特に好ましい。
更に、モリブデン化合物は酸性モリブデン化合物であってもよい。これらの化合物はASTM試験D-664又はD-2896滴定操作により測定して塩基性窒素化合物と反応し、典型的には6価である。モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、並びにその他のアルカリ性金属モリブデン酸塩及びその他のモリブデン塩、例えば、モリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl4、MoO2Br2、Mo2O3Cl6、三酸化モリブデン又は同様の酸性モリブデン化合物が含まれる。
【0026】
本発明の組成物中の有益なモリブデン化合物の中に、式
Mo(ROCS2)4及び
Mo(RSCS2)4
(式中、Rは一般に1個から30個までの炭素原子、好ましくは2-12個の炭素原子の、アルキル、アリール、アラルキル及びアルコキシアルキルからなる群から選ばれた有機基、最も好ましくは2〜12個の炭素原子のアルキルである)
の有機モリブデン化合物がある。モリブデンのジアルキルジチオカルバメートが特に好ましい。
本発明の潤滑組成物中の有益な有機モリブデン化合物の別のグループは3核モリブデン化合物、特に式Mo3SkLnQzのもの及びこれらの混合物であり、式中、Lはその化合物を油に可溶性又は分散性にするのに充分な数の炭素原子を有する有機基を有する独立に選ばれたリガンドであり、nは1から4までであり、kは4から7まで変化し、Qは中性電子供与性化合物、例えば、水、アミン、アルコール、ホスフィン、及びエーテルのグループから選ばれ、かつzは0から5までの範囲であり、非化学量論値を含む。少なくとも21個の合計炭素原子、例えば、少なくとも25個、少なくとも30個、又は少なくとも35個の炭素原子が全てのリガンド有機基中に存在すべきである。
分散剤−粘度指数改良剤は粘度指数改良剤及び分散剤の両方として機能する。分散剤−粘度指数改良剤の例として、アミン、例えば、ポリアミンと、ヒドロカルビル置換モノ-又はジ-カルボン酸(そのヒドロカルビル置換基は化合物に粘度指数改良特性を付与するのに充分な長さの鎖を含む)との反応生成物が挙げられる。一般に、粘度指数改良剤分散剤は、例えば、ビニルアルコールのC4 -C24 不飽和エステルもしくはC3 -C10 不飽和モノ-カルボン酸又はC4 -C10 ジ-カルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する不飽和窒素含有モノマーのポリマー;アミン、ヒドロキシルアミン又はアルコールで中和されたC2 -C20 オレフィンと不飽和C3 -C10 モノ-又はジ-カルボン酸のポリマー;又はC4 -C20 不飽和窒素含有モノマーをそれにグラフトすることにより、もしくは不飽和酸をポリマー主鎖にグラフトし、次いでグラフトされた酸のカルボン酸基をアミン、ヒドロキシアミンもしくはアルコールと反応させることにより更に反応させられたエチレンとC3 - C20 オレフィンのポリマーであってもよい。
【0027】
流動点降下剤(それ以外に、潤滑油流動改良剤(LOFI)として知られている)は液体が流れ、又は注入し得る最低温度を低下する。このような添加剤は公知である。液体の低温流動性を改良するこれらの添加剤の代表はC8 -C18 ジアルキルフマレート/酢酸ビニルコポリマー、及びポリメタクリレートである。発泡コントロールはポリシロキサン型の消泡剤、例えば、シリコーンオイル又はポリジメチルシロキサンにより与えられる。
上記添加剤の幾つかは多くの効果を与えることができ、こうして、例えば、単一添加剤が分散剤−酸化抑制剤として作用し得る。このアプローチは公知であり、本明細書で更に説明される必要はない。
本発明において、ブレンドの粘度の安定性を維持する添加剤を含むことがまた好ましいかもしれない。こうして、極性基を含む添加剤が予備ブレンド段階で好適な低粘度を達成するが、或る種の組成物が延長された期間にわたって貯蔵された場合に増粘することが観察されていた。この増粘をコントロールするのに有効である添加剤は本明細書に開示された無灰分散剤の調製に使用されるモノ-又はジカルボン酸又は酸無水物との反応により官能化された長鎖炭化水素を含む。
潤滑組成物が上記添加剤の一種以上を含む場合、夫々の添加剤は典型的には添加剤がその所望の機能を与えることを可能にする量でベースオイルにブレンドされる。
潤滑組成物が上記添加剤の一種以上を含む場合、夫々の添加剤は典型的には添加剤がその所望の機能を与えることを可能にする量でベースオイルにブレンドされる。クランクケース潤滑剤中に使用される場合、このような添加剤の代表的な有効量が、以下にリストされる。リストされた全ての値は質量%活性成分として記述される。
表II
【0028】
【表2】

【0029】
本発明の完全配合潤滑油組成物は少なくとも6、例えば、約6〜約18 mg KOH/g (ASTM D2896) のTBN を有することが好ましい。本発明の組成物は少なくとも8.5、例えば、約8.5又は9〜約18 mg KOH/gのTBNを有することが更に好ましい。
本発明の完全配合潤滑油組成物は約1.1質量%以下、好ましくは約1.0質量%以下、更に好ましくは約0.8質量%以下、例えば、0.5質量%以下の硫酸塩灰分 (SASH) 含量 (ASTM D-874) を有することが好ましい。
本発明の完全配合潤滑油組成物は少なくとも一種の式Iの化合物を含む無灰TBN 源からの組成物のTBN (ASTM D4739に従って測定される) の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも20%を誘導することが好ましい。本発明の完全配合潤滑油組成物は式Iの少なくとも一種の化合物からの組成物のTBN の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも20%を誘導することが更に好ましい。本発明の完全配合潤滑油組成物は組成物について約0.5〜約4mg KOH/g、好ましくは約1〜約3mg KOH/g のTBN (ASTM D4739に従って測定される) に寄与する量の式Iの化合物を含むことが好ましい。
【0030】
本発明の完全配合潤滑油組成物は約0.4質量%未満、更に約0.35質量%未満、更に好ましくは約0.03質量%未満、例えば、約0.20質量%未満の硫黄含量を有することが更に好ましい。完全配合潤滑油組成物(潤滑粘度の油+全ての添加剤及び添加剤希釈剤)のノアク揮発度(ASTM D5880) は13以下、例えば、12以下、好ましくは10以下であることが好ましいであろう。本発明の完全配合潤滑油組成物は1200ppm以下のリン、例えば、1000ppm以下のリン、又は800ppm以下のリン、例えば、600ppm以下のリン、或いは500もしくは400ppm以下のリンを有することが好ましい。
添加剤を含む一種以上の添加剤濃縮物(濃縮物は時折添加剤パッケージと称される)を調製することは必須ではないが、望ましいかもしれず、それにより数種の添加剤が油に同時に添加されて潤滑油組成物を生成し得る。本発明の潤滑油組成物の調製のための濃縮物は、例えば、約5質量%から約30質量%までの一種以上の式(I)の化合物;約10質量%から約40質量%までの窒素含有分散剤;約2質量%から約20質量%までのアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン化合物、又はこれらの混合物;約5質量%から40質量%までの清浄剤;及び約2質量%から約20質量%までの金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートを含んでもよい。
最終組成物は5質量%から25質量%まで、好ましくは5〜18質量%、典型的には10〜15質量%の濃縮物を使用してもよく、残部が潤滑粘度の油及び粘度改質剤である。
本明細書に表される全ての重量(及び質量)%は、特に示されない限り、添加剤、及び/又は添加剤パッケージ(関連希釈剤を除く)の活性成分(A.I.)含量を基準とする。しかしながら、清浄剤は通常希釈剤オイル(これは生成物から除去されない)中で生成され、清浄剤のTBN が関連希釈剤オイル中の活性清浄剤に通常与えられる。それ故、重量(及び質量)%は、清浄剤について言及する場合には、特に示されない限り、活性成分及び関連希釈剤オイルの合計重量(及び質量)%である。
本発明が下記の実施例を参照して更に理解され、全ての部数は、特にことわらない限り、重量部(又は質量部)である。
【実施例】
【0031】
合成実施例1.1
イソ-ステアリン酸44.2モル及び1.25当量の4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン即ちHEM を機械撹拌機、冷却器/ディーン-スタークトラップ、及び窒素のための入口を備えた30Lの4口ガラス反応器に仕込んだ。その反応混合物を190℃に加熱し、10〜15時間にわたってその温度に維持した。その反応の完結後に、ロータリーエバポレーターを使用して過剰の4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンを完全真空で160℃で蒸留して除いた。最終生成物をNMR 、全酸価滴定(ASTM D-664) 、全アルカリ価滴定 (ASTM D-4739 及びD-2896) 及びGC分析により特性決定した。
合成実施例1.2
フロラダイムTM 1500 (Florachem Corp.から入手し得る有機二量体酸) 0.58モル及び2.5当量の4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン即ちHEM を機械撹拌機、冷却器/ディーン-スタークトラップ、及び窒素のための入口を備えた30Lの4口ガラス反応器に仕込んだ。その反応混合物を190℃に加熱し、10〜15時間にわたってその温度に維持した。その反応の完結後に、ロータリーエバポレーターを使用して過剰の4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンを完全真空で160℃で蒸留して除いた。最終生成物をNMR 、全酸価滴定(ASTM D-664) 、全アルカリ価滴定 (ASTM D-4739 及びD-2896) 及びGC分析により特性決定した。
【0032】
合成実施例1.3
フロラダイムTM 6500 (Florachem Corp.から入手し得る有機三量体酸) 44.2モル及び4当量の4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン即ちHEM を機械撹拌機、冷却器/ディーン-スタークトラップ、及び窒素のための入口を備えた30Lの4口ガラス反応器に仕込んだ。その反応混合物を190℃に加熱し、10〜15時間にわたってその温度に維持した。その反応の完結後に、ロータリーエバポレーターを使用して過剰の4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンを完全真空で160℃で蒸留して除いた。最終生成物をNMR 、全酸価滴定(ASTM D-664) 、全アルカリ価滴定 (ASTM D-4739 及びD-2896) 及びGC分析により特性決定した。
上記合成についての一般反応スキームを以下に示す。
【0033】
【化4】

【0034】
TBN 性能
潤滑油組成物の塩基性度を酸滴定により測定し得る。得られる中和価を全アルカリ価、即ちTBN として表し、種々の方法を使用して測定し得る。無灰塩基源を評価するのに通常選ばれる二つの方法はASTM D4739 (塩酸電位滴定) 及びASTM D2896 (過塩酸電位滴定) である。ASTM D2896 はASTM D4739 よりも強い酸及び一層極性の溶媒系を使用する。一層強い酸と一層極性の溶媒の組み合わせが強塩基及び弱塩基の両方の存在を測定する一層反復可能な方法をもたらす。ASTM D2896 により測定されたTBN 値は新しい油仕様にしばしば使用される。ASTM D4739 方法はエンジン試験に有利とされ、使用される油とともにTBN 減少/保持を測定する。一般に、ASTM D4739 方法は一層低いTBN 測定値をもたらす。何とならば、一層強い塩基種のみが滴定されるからである。
実施例2
【0035】
ベースオイル中に、分散剤、清浄剤混合物、酸化防止剤、ZDDP耐磨耗剤、流動点降下剤及び粘度改質剤を含む完全配合潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物(これは市販のクランクケース潤滑剤の代表である)を、基準潤滑剤として使用した。合成実施例1.1、1.2及び1.3のモルホリン誘導体(以下、夫々、本発明の化合物1、2及び3、即ち、夫々、“IC-1”、“IC-2”及び“IC-3”)2.00質量%を基準潤滑剤に添加した。追加の量のベースオイルをサンプルの夫々に添加して匹敵する全質量を得た。得られるサンプルの夫々のTBN をASTM D4739 及びASTM D2896 の夫々に従って測定した(mg KOH/gの単位で) 。結果を表IIIに示す。
表III:
【0036】
【表3】

【0037】
示されたように、本発明の化合物はSASH含量に寄与しないで、ASTM D2896 及びASTM 4739により測定された潤滑油組成物のTBN を有効に増大した。
実施例3
【0038】
IC-1、IC-2及びIC-3を含む完全配合潤滑剤を更に試験してシール適合性についてのモルホリン誘導体の効果を測定した。工業規格MB-AK6 試験(これはMB p228.51 潤滑剤として適するために合格される必要がある)を使用してシール適合性を評価した。シール適合性を基準油のTBNに対しTBNの3単位を与える量のIC-1、IC-2及びIC-3の存在下で試験し、その間に依然としてシール適合性試験に合格した (2.12 質量%) 。更なる比較のために、基準油のTBNに対しTBNの1単位のみを与える量(4質量%)の高分子量、窒素含有分散剤で基準油をトップ処理することにより生成された比較材料を評価した。結果を表IVに示す。
表IV
【0039】
【表4】

【0040】
示されたように、IC-1、IC-2及びIC-3の添加は3 mg KOH/gのTBN ブーストを与える量で基準油に添加された場合にシール適合性試験の不合格を生じなかったが、一方、TBN をほんの1 mg KOH/g だけ増大するのに充分な量の窒素含有分散剤によるトップ処理は潤滑剤をシール適合性試験に不合格にさせた。
本明細書に記載された全ての特許、文献及びその他の材料の開示が参考としてこの明細書にそのまま含まれる。本明細書及び特許請求の範囲に提示された、多くの特定成分を含み、これらからなり、又は実質的にこれらからなる組成物の記載は前記の多くの特定成分によりつくられた組成物をまた含むと見なされるべきである。本発明の原理、好ましい実施態様及び操作の様式が以上の明細書に記載された。本件出願人が提出するものは彼らの発明であるが、開示された特別な実施態様に限定されると見なされるべきではない。何とならば、開示された実施態様は限定ではなく例示と見なされるからである。変化が本発明の精神から逸脱しないで当業者によりなされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過半量の潤滑粘度の油及び少量の式 (I):
【化1】

(I)
[式中、Rは少なくとも90%の脂肪族炭素原子及び/又はオレフィン炭素原子を含む炭化水素基又は置換炭化水素基であり、n当り約100から約800までの数平均分子量 (Mn) (100n 〜800nのMn) を有し、かつ少なくとも8n個の脂肪族炭素原子又は脂環式炭素原子を含み;R’はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり;Xは-O- 、-NR”-、又はN-C(O)R(式中、R”はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基である)であり;かつnは1〜25である]
の一種以上の化合物を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
【請求項2】
ASTM D-2896 に従って測定して、少なくとも約6 mg KOH/gのTBN を有する、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
1.1質量%以下のSASH含量を有する、請求項1又は2記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
式(I)の化合物(式中、Rが少なくとも約12n個の脂肪族又は脂環式炭素原子を有する炭化水素基であり、nが少なくとも2であり、かつR’がHである)を含む、請求項1から3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
式(I)の化合物(式中、Xが-O- である)を含む、請求項1から4のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の潤滑油組成物の調製のための濃縮物であって、前記濃縮物が約2.5質量%から約30質量%までの式(I)の一種以上の化合物;約10質量%から約40質量%までの窒素含有分散剤;約2質量%から約20質量%までのアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン化合物、又はこれらの混合物;約5質量%から40質量%までの清浄剤;及び約2質量%から約20質量%までの金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートを含むことを特徴とする前記濃縮物。
【請求項7】
式(I):
【化2】

(I)
[式中、Rは少なくとも90%の脂肪族炭素原子及び/又はオレフィン炭素原子を含む炭化水素基又は置換炭化水素基であり、n当り約100から約800までの数平均分子量 (Mn) (100n 〜800nのMn) を有し、かつ少なくとも8n個の脂肪族炭素原子又は脂環式炭素原子を含み;R’はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり;Xは-O- 、-NR”-、又はN-C(O)R(式中、R”はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基である)であり;かつnは1〜25である]
の化合物。
【請求項8】
Rが少なくとも約12n個の脂肪族又は脂環式炭素原子を有する炭化水素基であり、nが少なくとも2であり、かつR’がHである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Xが-O- である、請求項7又は8記載の化合物。
【請求項10】
酸性化合物と式(I'):
【化3】

(I')
の化合物の縮合により調製された、請求項7から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
前記酸性化合物が三量体酸であり、かつR’がHである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
SASH含量を同時に増大しないで潤滑油組成物のTBN を増大する方法であって、その方法が前記潤滑油組成物に式(I):
【化4】

(I)
[式中、Rは少なくとも90%の脂肪族炭素原子及び/又はオレフィン炭素原子を含む炭化水素基又は置換炭化水素基であり、n当り約100から約800までの数平均分子量 (Mn) (100n 〜800nのMn) を有し、かつ少なくとも8n個の脂肪族炭素原子又は脂環式炭素原子を含み;R’はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり;Xは-O- 、-NR”-、又はN-C(O)R(式中、R”はH又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基である)であり;かつnは1〜25である]
の一種以上の化合物を添加することを特徴とする前記方法。
【請求項13】
無灰潤滑油組成物TBN 源としてのモルホリン誘導体の使用。
【請求項14】
モルホリン誘導体が請求項7から11のいずれかに記載の化合物を含む、請求項13記載の使用。

【公開番号】特開2011−184691(P2011−184691A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−71032(P2011−71032)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】