説明

無煙タバコに香味を付けるための方法およびデバイス

無煙タバコおよび関連製品で使用するためのカプセル化された香味物質または人工甘味料を提供する。カプセル化された香味物質または人工甘味料は、タバコと接触した場合に安定性をもたらし、さらに製品が用いられる際に徐々に香味を放出する、脂質を基剤とするコーティング剤でカプセル化したコアを含む。コアは、香味物質でコーティングまたは負荷された、シリカ、タバコ、ビート繊維、柑橘類繊維または人工甘味料などの担体を含む。香味負荷は、重量でおよそ10%から60%の範囲であってもよい。香味物質は、限定されないが、サリチル酸メチル(ウィンターグリーンオイル)、シナモン(例えばシナモンオイル)、ペパーミント(例えばペパーミントオイル)、およびスペアミント(スペアミントオイル)を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、Frank S. Atchleyにより2009年5月11日に出願された米国特許仮出願第61/177,238号、Frank S. Atchleyにより2009年5月26日に出願された米国特許仮出願第61/181,266号、および2010年5月11日に出願された米国特許出願第12/777,838号の恩典および優先権を主張し、優先権についてそれらの出願日が認められる権利を有する。米国特許仮出願第61/177,238号、第61/181,266号、および第12/777,838号の明細書、図面および開示全体は、全ての目的について具体的な参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、タバコ製品に香味を付けるための方法およびデバイスに関する。より具体的には、本発明は、カプセル化技術を用いる、無煙タバコ製品における香味の持続放出のための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
無煙タバコ製品は、製品を燃焼に供することなく経口で摂取される。これらの製品は、噛みタバコ、乾燥嗅ぎタバコおよび湿性嗅ぎタバコを含む様々な形態で製造される。一般的に、これらの種類の製品は、順不同で以下の工程のように製造される:タバコを適当な大きさに切断または粉砕する工程;タバコをケーシング溶液で浸漬するまたはタバコにケーシング溶液を噴霧する工程;ケーシングした(cased)タバコを部分的に乾燥させる工程;タバコを一定期間容器中に保持する工程;およびタバコを包装する工程。例えば、その明細書、図面および開示全体が、全ての目的について具体的な参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,528,993号(特許文献1)、第4,660,577号(特許文献2)、および第4,987,907号(特許文献3)を参照されたい。
【0004】
多くの経口的に送達される形式の無煙タバコが存在し、限定されないが、湿性無煙タバコ、噛みタバコ、固形の噛みタバコ、嗅ぎタバコ、スヌース(snus)、フィルム、カプセル、および錠剤を含む。湿性無煙タバコ(「MST」)は、刻まれたおよび/または細断されたタバコを含む無煙タバコ製品である。MSTは、成人の消費者により口の中に含まれ、典型的には、含んだ後のある時点で口から取り除かれる。いくつかの無煙タバコ製品は、一部の消費者の好みに合わない感覚刺激性の性質を有している可能性がある。異なる嗜好特性を有する種々の製品を提供するために、噛みタバコおよび嗅ぎタバコは多くの場合、種々の香味物質(flavorant)および他の香味強調物質で処理される。いくつかの場合、無煙タバコ製品は、液体香味物質、例えば、ペパーミント、スペアミント、シナモン、アップル、ピーチ、ウイスキーまたはウィンターグリーンの香味で香味付けされて提供される。
【0005】
無煙タバコ製品への香味物質の適用により生じる一般的な問題は、水分、酸化、塩基性pHおよび蒸発などへの曝露による経時的な香味の消失である。被包シェルコーティング剤は、成人消費者が所望の終点まで製品を消費できるよりも前に、時間と共に比較的急速に分解して香味を放出するため、多くの市販のカプセル化コーティング剤は、湿性無煙タバコ製品中で十分に安定ではない。次いで香味は、酸化分解や化学分解を受け、その結果、持続可能な香味の放出の最小化および/または有効期間の低減をもたらす。
【0006】
無煙タバコに香味を付けるのにカプセル化技術を用いることの課題は、2つある:香味の安定性および香味の放出である。噴霧乾燥し、圧縮した、マルトデキストリンに基づく典型的なカプセル化された香味は、香味付けされた製品が通常5%から7%の水分含量を有する乾燥した環境で機能する。それらは安定的だが、口内で急速に香味を放出してしまう。一方で、無煙タバコ製品は典型的には、30%またはそれより多い水分含量を有する。即時の香味放出は全ての製品において重要である。乾燥した製品は通常、「最初の段階での(front end)」放出を必要としないが、およそ5から10分の範囲で放出する必要がある。湿性製品は、即時の「最初の段階での」放出を必要とし、さらに使用中ずっと徐々に放出する必要もある。保存の間の香味安定性と成人消費者による使用の間の適当な香味放出とのバランスを取ることは、やりがいのある課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,528,993号
【特許文献2】米国特許第4,660,577号
【特許文献3】米国特許第4,987,907号
【発明の概要】
【0008】
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の例示的態様によるカプセル化された香味物質の断面図を示す。
【図2】フロースルー溶出から収集された水性人工唾液画分から測定された試料中の桂皮アルデヒドの平均相対的推定累積濃度を示す。
【図3】桂皮アルデヒドの累積放出プロファイルに適用された最良適合指数関数的傾向線に基づく推定放出率を示す。
【図4】フロースルー溶出から収集された水性人工唾液画分から測定された試料中のサリチル酸メチルの平均相対的推定累積濃度を示す。
【図5】フロースルー溶出からの水性人工唾液画分で測定された試料中のサッカリンの相対的累積濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的態様の詳細な説明
1つの例示的態様において、デバイスは、無煙タバコおよび高い水分含量(例えば、30%またはそれより多い)を有する他の製品と共に使用するためのカプセル化された香味物質を含む。
【0011】
カプセル化された香味物質は、コーティング剤8でカプセル化されたコア2を含む。コア2は、香味物質でコーティングまたは負荷された担体を含む。香味物質は、限定されないが、サリチル酸メチル(ウィンターグリーンオイル)、シナモン(例えばシナモンオイル)、ペパーミント(例えばペパーミントオイル)、およびスペアミント(スペアミントオイル)を含む。香味物質は、単一の香味物質、または香味物質の組み合わせを含んでもよい。香味物質はまた、限定されないが、サッカリンまたはアスパルテームなどの人工甘味料を含む、1つまたは複数の甘味料を含んでもよい。
【0012】
担体は、任意の適当な大きさまたは形状のものであってもよく、任意の適当な材料から形成されてもよい。1つの例示的な態様において、担体は、カプセル化された香味物質が混合または混和されているタバコ製品の刻みに対応する大きさおよび形状のものである。大きさおよび形状は、タバコ製品の大きさに依存し、分離を防止する。1つの特定の態様において、担体は、シリカから形成され、125から1000 μmの粒径を有するおおむね球状の形をしている。他の態様において、担体は、ビート繊維、柑橘類繊維、コーヒー豆、シリカ、人工甘味料(限定されないが、サッカリンまたはアスパルテームを含む)、粉末シナモン、他のスパイスもしくはタバコ、またはそれらのいくつかの組み合わせから形成される。
【0013】
担体は、香味物質が負荷され、香味物質は、担体の上にプレーティングされているか、担体と共に凝集されているか、または担体の中に吸収されている。香味負荷の量(すなわち、担体と香味物質の合計重量と比べた香味の量)は、さまざまである。1つの例示的な態様において、担体上に負荷される香味は、重量でおよそ10%からおよそ60%の範囲である。別の態様において、香味負荷は、重量でおよそ20%からおよそ30%である。
【0014】
コーティング剤8は、無煙タバコまたは水分含量を伴う他の製品との接触において比較的安定である、任意の適当なコーティング剤であってもよい。1つの例示的な態様において、コーティング剤は、コア2を連続的にコーティングする脂質である。脂質コーティング剤は、モノグリセリドもしくはトリグリセリド、またはそれらのいくつかの組み合わせであってもよい。1つの例示的な態様において、コーティング剤は硬化大豆油である。コーティング剤は、カプセル化した香味物質の色が、混合されるタバコ製品と調和または混和するように、着色剤をさらに含んでもよい。他の態様において、コーティング剤は、ゼラチンまたは炭水化物に基づくコーティング剤を含んでもよい。
【0015】
カプセル化工程は、噴霧冷却、噴霧乾燥、回転盤、コアセルベーション、または流動層法のいくつかの形態を含む、当技術分野において公知の任意のカプセル化工程であってもよい。カプセル化工程の例は、米国特許第3,913,847号、第6,153,236号、第6,251,478号、第6,312,741号、第6,616,954号、第6,673,383号、第6,797,291号および第6,835,397号に記載され、それらの明細書、図面および開示全体は、全ての目的について具体的な参照によって本明細書に組み込まれる。
【0016】
結果として得られるカプセル化された香味物質は、タバコ製品の種々のブレンドと混合される。液体の香味物質または甘味料もまた、ブレンド中に用いられてもよい。カプセル化された香味物質は、保存中にタバコ製品(または水分含量を有する他の製品)と接触する間に生じるpH、高水分、および高塩環境中で高い安定性を有し、さらに製品が用いられる際に時間とともに香味を放出する。1つの例示的な態様において、カプセル化された香味物質の融点は、135°Fまたはそれより高い。
【0017】
別の例示的な態様において、上記のようなコーティング剤は、全体的にまたは部分的に人工甘味料を含むコアと一緒に用いられてもよい。人工甘味料は、1種類の人工甘味料または2種類もしくはそれより多い人工甘味料の組み合わせを含んでもよい。人工甘味料はまた、上記のように、香味物質と同じ方法でコアに適用されてもよい。コーティング剤に対する甘味料の重量比は、重量でおよそ10%からおよそ90%まで含む甘味料に伴って、変化してもよい。1つの態様において、比は、およそ甘味料50%、コーティング剤50%であってもよい。別の態様において、比は、およそ甘味料70%、コーティング剤30%であってもよい。香味物質は、用いても用いなくてもよい。液体の香味物質または甘味料は、タバコ製品の種々のブレンドにおいてカプセル化された甘味料と混合されてもよい。
【0018】
本明細書において用いられる「タバコ」は、バーレー種、ダーク・エアー・キュアード(dark air-cured)、ダーク・ファイヤード(dark-fired)、フルー・キュアード(flue cured)、オリエンタル種、葉巻の充填葉または巻き葉、ならびに希少なおよび/または特別なタバコの任意の部分、例えば葉または葉身および茎を指す。本発明の使用に適したタバコは、葉または茎の全体であってよく、またはタバコは、細断されるか、切断されるか、または他の方法で加工処理されてもよい。タバコのカットもまた様々であってもよく;1つの態様において、ロングカットタバコが用いられる。ロングカットタバコは典型的には、およそ5/16インチの平均長を有する。より短い長さのカットは、嗅ぎタバコ製品を作るために用いられ、より長い長さのカットは、特別に長いカットの製品を作るために用いられる。タバコは、限定されないが、湿性嗅ぎタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、または噛みタバコを含む、完成した無煙タバコ製品の形態でもよい。例えば、タバコは、発酵したまたは発酵していないタバコ、キュアード(cured)(例えばエアー・キュアード)、バーレー種、ダーク(dark)、ダーク・ファイヤード、フルー・キュアード、オリエンタル種、および葉巻の充填葉または巻き葉であることができる。タバコは、無煙タバコの技術分野において公知の他の添加剤または香味と混合されうる。従って、タバコに関して本明細書において用いられるパーセンテージは、タバコ単独に対するものであってもよく、または種々の公知の添加剤と組み合わせたタバコに対するものであってもよい。
【0019】
噛みタバコおよび嗅ぎタバコは多くの場合、任意のいくつかの香味で処理され、往々にしてタバコに付随する望ましくない嗜好特性のいくつかを減少させる。香味の添加は、噴霧用の溶媒システムを必要とし、一般にタバコ製品の調製工程の間に添加される。噴霧法は費用がかかり、かつ香味は往々にして、製品調製および保存の間に損なわれうる。
【0020】
適切なタバコの種類を選んだ後に、タバコは、製造される無煙タバコ製品の種類に応じて適切な大きさに切断または粉砕されうる。材料は、大きさに基づく選別用のふるいにカットタバコを通過させる工程により、大きさに基づいてさらに選別されうる。タバコの切断または粉砕の方法は、当技術分野において公知の方法を用いて、その目的で成し遂げられうる。
【0021】
本明細書において記載の通り、タバコの水分含量、pHおよび塩濃度は、好ましく香味付けされた無煙タバコの調製において重要である。タバコの水分含量、pHおよび塩濃度は、当業者に公知の方法を用いて測定されうる。本発明の使用に適したタバコは典型的には、25%と60%の間、例えば少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%の水分含量;7.0と8.5の間、例えば少なくとも7または8のpH;および1%と10%の間、例えば少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%の塩濃度を有する。
【実施例】
【0022】
実施例1
カプセル化された香味物質を、二酸化ケイ素担体上にシナモン香味物質をプレーティングする工程および流動層法を用いてカプセル化する工程により形成した。3種類のカプセル化コーティング剤を用いた:100%モノグリセリド;50%モノグリセリド:50%トリグリセリド;および100%トリグリセリド。3種類の融点は全て、135°Fであった。
【0023】
実施例2
カプセル化された香味物質を、二酸化ケイ素担体上にシナモン香味物質をプレーティングする工程および流動層法を用いてカプセル化する工程により形成した。コーティング剤は、135°Fの融点を有する100%トリグリセリドであった。赤色および茶色の2種類の着色剤を加えた。
【0024】
実施例3
カプセル化された香味物質を、二酸化ケイ素担体上にシナモン香味物質をプレーティングする工程および流動層法を用いてカプセル化する工程により形成した。コーティング剤は、160°Fの融点を有する100%トリグリセリドであった。赤色および茶色の2種類の着色剤を加えた。
【0025】
実施例4
カプセル化された香味物質を、二酸化ケイ素担体上にウィンターグリーン香味物質をプレーティングする工程および流動層法を用いてカプセル化する工程により形成した。コーティング剤は、160°Fの融点を有する100%トリグリセリドであった。様々な茶色の着色剤を加えた。限定されないが、スクラロース、サッカリン、アスパルテームおよびAce Kなどの甘味料も加えた。
【0026】
実施例5
カプセル化された香味物質を、シナモン香味物質をタバコ粒子担体と凝集させる工程および流動層法を用いてカプセル化する工程により形成した。3種類のカプセル化コーティング剤を用いた:100%モノグリセリド;50%モノグリセリド:50%トリグリセリド;および100%トリグリセリド。3種類の融点は全て、135°Fであった。
【0027】
実施例6
カプセル化された香味物質を、シナモン香味物質をタバコ粒子担体と凝集させる工程および流動層法を用いてカプセル化する工程により形成した。コーティング剤は、135°Fの融点を有する100%モノグリセリドであった。限定されないがスクラロースを含む、様々な人工甘味料が加えられた。
【0028】
実施例7
カプセル化された香味物質を、ウィンターグリーン香味物質をタバコ粒子担体および人工甘味料と凝集させておよそ1 mmから3 mmの粒径を形成する工程、および流動層法を用いて粒子をカプセル化する工程により、形成した。コーティング剤は、135°Fの融点を有する50%モノグリセリド:50%トリグリセリドであった。最終製品は、(重量で)35%のタバコ粒子担体(15 μmから30 μmの大きさ)、10%のウィンターグリーン香味物質、4.8%の二酸化ケイ素(凝集工程において核として用いられる)、0.2%の甘味料、および50%のコーティング剤を含む。
【0029】
実施例8
カプセル化された香味物質を、ウィンターグリーン香味物質をタバコ粒子担体および人工甘味料と凝集させておよそ1 mmから3 mmの粒径を形成する工程、および流動層法を用いて粒子をカプセル化する工程により、形成した。コーティング剤は、135°Fの融点を有する50%モノグリセリド:50%トリグリセリドであった。最終製品は、(重量で)35%のタバコ粒子担体(およそ200 μmの大きさ)、10%のウィンターグリーン香味物質、4.8%の二酸化ケイ素(凝集工程において核として用いられる)、0.2%の甘味料、および50%のコーティング剤を含む。
【0030】
実施例9
カプセル化された香味物質を、ウィンターグリーン香味物質をタバコ粒子担体および人工甘味料と凝集させておよそ1 mmから3 mmの粒径を形成する工程、および流動層法を用いて粒子をカプセル化する工程により、形成した。コーティング剤は、135°Fの融点を有する50%モノグリセリド:50%トリグリセリドであった。最終製品は、(重量で)45%のタバコ粒子担体(およそ200 μmの大きさ)、10%のウィンターグリーン香味物質、4.8%の二酸化ケイ素(凝集工程において核として用いられる)、0.2%の甘味料、および40%のコーティング剤を含む。
【0031】
実施例10
カプセル化された香味物質を、ウィンターグリーン香味物質をタバコ粒子担体および人工甘味料と凝集させておよそ1 mmから3 mmの粒径を形成する工程、および流動層法を用いて粒子をカプセル化する工程により、形成した。コーティング剤は、135°Fの融点を有する50%モノグリセリド:50%トリグリセリドであった。最終製品は、(重量で)55%のタバコ粒子担体(およそ200 μmの大きさ)、10%のウィンターグリーン香味物質、4.8%の二酸化ケイ素(凝集工程において核として用いられる)、0.2%の甘味料、および30%のコーティング剤を含む。タバコまたは担体として用いられる任意の他の基質は、使用のために大きさが調整されうる。「ロングカット」として250 μmが用いられてもよい。他のメッシュサイズは、分離を防ぐためにタバコ粒径に調和させるか、またはタバコ粒径とほぼ等しくするべきである。
【0032】
特定の香料または人工甘味料をカプセル化する組成(おおよその重量パーセント)の例は以下を含む:
1. 34.5% 脂質コーティング剤(35:65 トリグリセリド:モノグリセリド)
32% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
32% シリカ(担体)
0.5% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
1.0% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
2. 48.5% 脂質コーティング剤(50:50 トリグリセリド:モノグリセリド)
25% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
24.5% シリカ(担体)
1.5% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
0.5% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
3. 48.5% 脂質コーティング剤(50:50 トリグリセリド:モノグリセリド)
25% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
24.5% シリカ(担体)
0.5% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
1.5% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
4. 34% 脂質コーティング剤(75:25 トリグリセリド:モノグリセリド)
32% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
32% シリカ(担体)
1.0% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
1.0% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
5. 48.5% 脂質コーティング剤(75:25 トリグリセリド:モノグリセリド)
25% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
24.5% シリカ(担体)
1.0% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
1.0% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
6. 34.5% 脂質コーティング剤
25% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
28.5% ビート繊維(担体)
11% シリカ(担体)
0.5% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
0.5% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
7. 34% 脂質コーティング剤
25% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
23.5% 柑橘類繊維(担体)
16% シリカ(担体)
0.5% Black Lake Suspension OB #58027(着色剤)
1.0% Brown Lake Suspension #56119(着色剤)
8. 35% 脂質コーティング剤
14% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
50% タバコ(担体)
1% シリカ(担体)
9. 35%脂質コーティング剤
14% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
50% タバコ(担体)
1% シリカ(担体)
10. 47% 脂質コーティング剤
26% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
25% シリカ(担体)
2% 着色剤
11. 30% 脂質コーティング剤
34% サリチル酸メチル(ウィンターグリーン香味物質)
34% シリカ(担体)
2% 着色剤
12. 50% 脂質コーティング剤
50% 人工甘味料(サッカリン)
13. 30% 脂質コーティング剤
70% 人工甘味料(サッカリン)
【0033】
これらの例示的試料における脂質コーティング剤中のトリグリセリドとモノグリセリドの比は、100%トリグリセリドから100%モノグリセリドまでさまざまである。可能な比率は、限定されないが、100:0、90:10、80:20、75:25、50:50および0:100のトリグリセリド:モノグリセリドを含む。
【0034】
脂質を基剤とするコーティング剤は、無煙タバコなどの湿性製品に最も適している。これらは、香味を吸収させたシリカまたは他の担体の周りのコーティングシェルの組み合わせを含む。コーティングの厚さは、さらなる安定性をもたらす。1つの態様において、システムは、複数のカプセル化された徐放性香味物質と組み合わせて液体香料を用いてもよい。液体香料は、即時の香味放出をもたらし、カプセル化された香味物質は、噛んでいる間、長時間持続する香味の放出をもたらす。
【0035】
試験により、カプセル化された香味物質または人工甘味料の有用性を示す。香味抽出試験は、下記に記載しかつ図2、3、4および5に図示されているような種々の香味物質に対して行われた。
【0036】
一組の試験において、フロースルー溶出試験によるシナモン香味の抽出が、同じ香味の負荷を有する3つの試料に対して行われた:

【0037】
各試料の2 グラム分を、Erweka USP-4溶出装置を用いて二重に分析した。時間画分を収集するのに用いた溶出パラメータは以下の通りである:

【0038】
溶出は1時間にわたって行われ、設定した時間の水性の画分を収集し、各画分のアリコートを、キノリン(40.2 μg/ml)内部標準を含むヘキサンで逆抽出した。この有機抽出物の一部を、桂皮アルデヒドの検出用に改変したGCMSプロファイリング法により分析した。各時点で2連の実験のそれぞれの推定濃度を平均化し、各試料中の桂皮アルデヒドの相対濃度として値を報告した。
【0039】
収集した各画分において測定された相対的平均累積桂皮アルデヒド濃度(n=2)を下記の表に示す。結果として生じる、試料からの桂皮アルデヒドの放出プロファイルは、時間に対する相対的平均濃度としてプロットされ、図2および3に示される。放出率および放出された桂皮アルデヒドの総量は、試料9Bおよび9Cと比べて試料9Aでは高いことが見いだされた。

【0040】
別の一組の試験において、フロースルー溶出試験によるウィンターグリーン香味の抽出が、9つの試料に対して行われた:

【0041】
試料10Gは、製品に加えられた液体香料(3%)を含み、対照として用いられる。試料10A、10Bおよび10Cは、製品に加えられた液体香料(2.6%)を含む。試料10Dは、カプセル化された香味のトリグリセリド:モノグリセリド混合物(0.4%相当の香味)と共に製品に添加された液体香料(2.6%)を含む。試料10Eは、カプセル化された香味の異なるトリグリセリド:モノグリセリド混合物(0.4%相当の香味)と共に製品に添加された液体香料(2.6%)を含む。試料10Fは、カプセル化された香味の90:10トリグリセリド:モノグリセリド混合物(0.4%相当の香味)と共に製品に添加された液体香料(2.6%)を含む。
【0042】
各試料の2 グラム分を、Erweka USP-4溶出装置を用いて二重に分析した。溶出は1時間にわたって行われ、設定した時間の水性の画分を収集し、各画分のアリコートをサリチル酸メチルの決定のためにHPLC分析にかけた。溶出方法のパラメータは、上記と同様である。
【0043】
収集後、各画分の一部をオートサンプラーバイアルに移し、UV検出によるHPLC分析に供した。試料を、さらなる試料の調製なしにHPLCに直接注入した。各時点について二重の値を平均化し、各試料中のサリチル酸メチルの相対的濃度として値を報告した。HPLC法の分析条件は以下の通りである:

【0044】
結果は、図4に図示され、カプセル化された香味物質の改良された香味の放出を示す。
【0045】
別の一連の試験において、フロースルー溶出試験によるサッカリン抽出が、7つの試料に対して行われた:

【0046】
試料11Gは、製品に加えられた液体香料(2.6%)を含み、対照として用いられる。試料11A、11Bおよび11Cは、総サッカリンの50%がカプセル化されている、製品に加えられたカプセル化されたサッカリンを含む。試料11Aおよび11B中のカプセル化されたサッカリンコーティング剤は、トリグリセリド:モノグリセリド混合物を含むが、試料11C中のコーティング剤は90:10のトリグリセリド:モノグリセリド混合物を含む。試料11A、11Bおよび11Cのカプセルにおけるサッカリンのパーセンテージはそれぞれ、55.5%、68.0%、および76.1%である。試料11Dは、カプセル化された香味のトリグリセリド:モノグリセリド混合物(1.56%相当の香味)と共に、製品に加えられた液体香料(2.6%)を含む。試料11Eは、カプセル化された香味(1.17%相当の香味)の異なるトリグリセリド:モノグリセリド混合物と共に、製品に加えられた液体香料(2.6%)を含む。試料11Fは、カプセル化された香味の90:10トリグリセリド:モノグリセリド混合物(1.17%相当の香味)と共に製品に加えられた液体香料(2.6%)を含む。
【0047】
フロースルー溶出試験を上記の通りに行った。結果は、図5に図示され、カプセル化された人工甘味料の放出の改善を示す。
【0048】
よって、本発明の原理およびその実用的応用を最適に例示し、それにより当業者が企図する特定の使用に適するように種々の態様でおよび種々の変更を加えて本発明を最適に利用できるようにするために、本態様および実施例が選択されかつ記載されていることが理解されるべきである。本発明の特定の態様が記載されてはいるが、それらは網羅的なものとして見なされるべきではない。当業者にとって明らかである複数の変形型が存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体および香味成分を含むコアと該コアを連続的にコーティングしている脂質コーティング剤とを含み、タバコ製品と混合されている、カプセル化された香味複合物。
【請求項2】
前記コーティング剤が、モノグリセリド、トリグリセリド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の香味複合物。
【請求項3】
前記香味成分がサリチル酸メチルを含む、請求項1記載の香味複合物。
【請求項4】
前記香味成分がシナモンを含む、請求項1記載の香味複合物。
【請求項5】
前記香味成分が人工甘味料を含む、請求項1記載の香味複合物。
【請求項6】
前記担体が、シリカ、タバコ、柑橘類繊維、ビート繊維、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の香味複合物。
【請求項7】
コーティング剤が、流動層法を用いてコアに適用される、請求項1記載の香味複合物。
【請求項8】
コーティング剤が、高水分環境で安定である、請求項1記載の香味複合物。
【請求項9】
香味成分が、重量でコアのおよそ20%から50%を構成する、請求項1記載の香味複合物。
【請求項10】
香味成分が液体ではない、請求項1記載の香味複合物。
【請求項11】
コーティング剤が厚い、請求項1記載の香味複合物。
【請求項12】
香味物質が徐放される、請求項1記載の香味複合物。
【請求項13】
異なる徐放期間を有する複数の香味複合物が、同じタバコ製品に用いられる、請求項1記載の香味複合物。
【請求項14】
複数の香味複合物およびタバコ製品と混合された液体香味物質をさらに含む、請求項13記載の香味複合物。
【請求項15】
香味複合物およびタバコ製品と混合された液体香味物質をさらに含む、請求項1記載の香味複合物。
【請求項16】
人工甘味料を含むコアと該コアを連続的にコーティングしている脂質コーティング剤とを含み、タバコ製品と混合されている、カプセル化された人工甘味料複合物。
【請求項17】
前記コーティング剤が、モノグリセリド、トリグリセリド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項16記載の複合物。
【請求項18】
前記人工甘味料がサッカリンを含む、請求項16記載の複合物。
【請求項19】
タバコおよび該タバコと混合されたカプセル化された香味複合物を含む製品であって、
該カプセル化された香味複合物が、コアと該コアを連続的にコーティングしている脂質コーティング剤とを含み、該コアが、担体と香味成分とを含む、製品。
【請求項20】
前記コーティング剤が、モノグリセリド、トリグリセリド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−526553(P2012−526553A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510934(P2012−510934)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034381
【国際公開番号】WO2010/132444
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(398069229)ユーエス スモークレス タバコ カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (20)
【Fターム(参考)】