説明

無煙タバコ物品

多孔性マトリックス(110、410)中に配置されたタバコを有するタバコ物品(100、400)。当該タバコ物品は、成人消費者にタバコの満足感を与えるように、当該消費者に対して、粒子、液体、または蒸気の形態においてタバコを提供し得る。当該タバコは、当該タバコの少なくとも一部が当該マトリックスの細孔中に配置されるように、プラスチック材料と一体的に成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年12月31日にAtchleyらによって出願された、「Smokeless Tobacco Articles」と題された米国仮出願第61/141,968号の優先権を主張するものであり、なお、当該仮出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本明細書は、タバコ製品、および無煙タバコ製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
無煙タバコ製品は、燃焼に供されることなく消費される。そのような製品は、噛みタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、および湿性嗅ぎタバコなどの様々な形態において製造される。これらのタイプの製品は、通常、以下の工程:タバコを特定のサイズに切断または研削する工程、タバコをケーシング溶液に浸漬する工程またはケーシング溶液を噴霧する工程、タバコを部分的に乾燥させる工程、一定の期間においてタバコを容器内に貯蔵する工程、およびタバコを包装する工程、の1つ以上を用いて製造される。
【0004】
無煙タバコ製品を使用することを選択する成人消費者は、その人の個々の好み、例えば、風味、タバコの切り方、形状、使いやすさ、包装など、により製品を選択する。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書は、タバコ(例えば、タバコの粉末またはフレーク)をプラスチック粒子と組み合わせ、次いで加熱することにより(例えば、焼結プロセスにおいて)、中にタバコが分散されたプラスチック製品を作り出すことができるという発見に基づいている。消費者(例えば、成人消費者)が当該製品を口にしたときに、タバコ、タバコの風味、または他の成分が放出されるように、当該製品は透過性であり得る。本明細書において提供される当該タバコ製品は、従来の無煙タバコポーチ製品より安価に製造することが可能であり、より長い保存寿命を有し得る。さらに、加熱する前にタバコをプラスチック粒子と組み合わせることにより、加熱において高められた特性(例えば、「焙煎された」または「焙焼された」風味)を有するタバコ物品を提供することができる。
【0006】
一局面において、本明細書は、マトリックス中に細孔の網目構造が配置されている多孔性マトリックスと、流体が当該多孔性マトリックス中を通過する際に少なくとも1種の燃焼されていないタバコまたは燃焼されていないタバコ成分が当該流体中に導入されるように、当該多孔性マトリックスの細孔中に配置されたタバコと、を含むタバコ物品であって、当該タバコが当該多孔性マトリックスと一体的に成形されるタバコ物品を特徴とする。当該タバコは、プラスチック焼結プロセスの際に、多孔性マトリックスと一体的に成形することができる。当該多孔性マトリックスは、熱可塑性ポリマー(例えば、超高分子量ポリエチレン)の粒子を含み得る。当該熱可塑性ポリマー粒子は、約10ミクロン〜約100ミクロンの間、または約10ミクロン〜約20ミクロンの間の平均直径を有し得る。当該タバコ物品は、30:70〜50:50のタバコとポリマーの重量比を有し得る。当該タバコは、刻みタバコ、カットタバコ、粒状タバコ、または粉末タバコのうちの少なくとも1種を含み得る。当該タバコは、約20ミクロン〜約100ミクロンの間、または約40ミクロン〜約60ミクロンの間の平均直径を有する粒状タバコ粒子または粉末タバコ粒子を含み得る。当該タバコ物品は、さらに、1種以上の風味成分を含み得る。当該タバコ物品は、成人消費者によって完全に受け入れられるように適合させることができる。当該タバコ物品は、少なくとも30週間の保存寿命を有し得る。いくつかの態様において、当該タバコ物品は、第一平均孔径を有する中心部分と、第二平均孔径を有する周辺部分とを有し、第一平均孔径は、第二平均孔径よりも大きい。
【0007】
別の局面において、本明細書は、熱可塑性ポリマー粒子をタバコ粒子と組み合わせる工程と、当該熱可塑性ポリマーが、マトリックス中に配置された細孔の網目構造を有する多孔性マトリックスを、当該多孔性マトリックスの該細孔中にタバコ粒子が配置された状態において形成するように、該組み合わせを熱によって処理する工程とを含む、タバコ物品を製造する方法を特徴とする。当該処理工程は、焼結工程を含み得る。当該熱可塑性ポリマーは、超高分子量ポリエチレンであり得る。当該熱可塑性ポリマー粒子は、約10ミクロン〜約100ミクロンの間、または約10ミクロン〜約20ミクロンの間の平均直径を有し得る。当該タバコ物品は、30:70〜50:50のタバコ粒子と熱可塑性ポリマー粒子の重量比を有し得る。当該タバコ粒子は、刻みタバコ、カットタバコ、粒状タバコ、または粉末タバコのうちの少なくとも1種を含み得る。当該粒状タバコまたは粉末タバコは、約20ミクロン〜約100ミクロンの間、または約40ミクロン〜約60ミクロンの間の平均直径を有し得る。当該方法は、さらに、1種以上の風味成分をタバコ物品に添加する工程を含み得る。当該1種以上の風味成分は、熱によって処理した後に、上記タバコ物品に添加することができる。当該タバコ物品は、成人消費者によって完全に受け入れられるように適合させることができる。当該タバコ物品は、少なくとも30週間の保存寿命を有し得る。
【0008】
そうでないことが定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているのと同様または同等な方法および材料を使用することによって、本明細書において開示された1つ以上の態様を達成することができるが、以下に好適な方法および材料を記載する。なお、本明細書において言及されたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。それらが本明細書と相容れない場合には、定義を含めて本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0009】
本発明の一つ以上の態様の詳細については、添付の図面および以下の説明において詳細に説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】いくつかの態様によるタバコ物品の上部断面図。
【図2】図1に表されたタバコ物品の端面図。
【図3】図1に表されたタバコ物品の側面図。
【図4】図1に表されたタバコ物品を軸「a」に沿って切断したときの側面図。
【図5】図1に表されたタバコ物品を軸「a」に沿って切断したときの上面図。
【図6】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図7】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図8】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図9】いくつかの態様による物品を製造するためのプロセスの断面図。
【図10】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図11】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図12】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図13】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【図14】いくつかの態様によるタバコ物品の断面図。
【0011】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本明細書は、無煙タバコ物品を製造するための材料および方法を提供し、この場合、当該方法において、製品を形成するために、タバコ粒子とプラスチックポリマー粒子との組み合わせが、混合され、(例えば、焼結工程などのプロセスにおいて)加熱される。そのような物品を製造するための方法も提供される。タバコ粒子とポリマー粒子とを組み合わせる工程、および、次いで(例えば、焼結によって)それらを加熱する工程は、タバコ物品に対して好ましい風味を付与し得る。そのような物品は、従来のポーチタバコ製品よりも安価に製造することも可能であり、ならびに、それらは、濡れたタバコ物品または湿ったタバコ物品よりも実質的に乾燥しているので、より長い保存寿命を有し得る。例えば、本明細書において提供されるようなタバコ物品は、他の無煙タバコ製品と比較して、より長い保存寿命(例えば、30週間以上)を有し得る。
【0013】
本明細書において提供されるタバコ物品は、プラスチックポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)の粒子から形成された多孔性マトリックスと、当該多孔性マトリックスの細孔内に配置されたタバコとを含み得る。当該タバコ物品は、ポリマーとタバコとの間に、空隙も含み得る。通常、当該物品全体が多孔性であるため、タバコが当該多孔性マトリックス内に含有されてはいるものの、外面すべてが、当該物品の内部において細孔で流体連結されている細孔を有する。しかしながら、いくつかの態様では、当該物品の外面の一部のみが多孔性である。当該多孔性マトリックスは、平均孔径、細孔容積、またはその両方を制御する方式において形成することができる。例えば、多孔性マトリックスは、プラスチックの焼結プロセスを用いて形成することができ、当該プロセスにおいて、ポリマー材料の顆粒は、以下においてさらに説明されるように、決められた期間、温度、およびサイクル数に対して制御された加熱プロセスに供される。ポリマー粒子のサイズは、結果として焼結プロセスから形成される細孔のサイズに影響を及ぼし得、そのため、より大きな粒子は、通常、より大きな細孔を生じ、より小さな粒子はより小さな細孔を生じる。より大きな細孔では、結果として、タバコおよびタバコ成分が物品からより迅速に脱離し得、その一方で、より小さな細孔では、結果として、より遅く脱離し得る。したがって、タバコの脱離の速度は、細孔サイズに基づいて調整することができる。様々なサイズのポリマー粒子を使用することができる。例えば、本明細書において提供されるタバコ物品は、約10ミクロン〜ら約100ミクロン(例えば、約10ミクロン、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約60ミクロン、約70ミクロン、約80ミクロン、約90ミクロン、また約100ミクロン)、あるいは、これらに限定されるわけではないが、約10ミクロン〜約20ミクロン、約15ミクロン〜約25ミクロン、約20ミクロン〜約30ミクロン、約30ミクロン〜約40ミクロン、約40ミクロン〜ら約50ミクロン、約50ミクロン〜約60ミクロン、約60ミクロン〜約80ミクロン、または約80ミクロン〜約100ミクロンの間における任意の範囲の平均直径を有するポリマー粒子から製造することができる。結果として得られる焼結された物品は、約1〜約50ミクロン、あるいは、これらに限定されるわけではないが、約1ミクロン〜約5ミクロン、約3ミクロン〜約15ミクロン、約10ミクロン〜約20ミクロン、約20ミクロン〜約30ミクロン、約30ミクロン〜約40ミクロン、または約40ミクロン〜約50ミクロンの間などにおける任意の範囲の平均空隙直径を有し得る。結果として得られる物品は、異なる平均孔径を有する異なる領域も有し得る。例えば、結果として得られる物品は、より小さい平均孔径を有する表面からより大きい平均孔径を有する中心部分への平均孔径の勾配を有し得る。平均孔径は、物品の断面を採取し、顕微鏡によって、焼結されたポリマー粒子間におけるそれぞれの観察可能な細孔の最も大きい寸法を測定し、観測された当該最も大きい寸法を平均することによって測定することができる。結果として得られる空隙容積も、焼結されるポリマー粒子の寸法に依存し得る。いくつかの態様において、結果として得られる物品は、異なる空隙容積を有する異なる領域も有し得る。例えば、結果として得られる物品は、より小さい空隙容積を有する表面からより大きい空隙容積を有する中心部分への空隙容積の勾配を有し得る。
【0014】
当該ポリマー粒子は、規則的または不規則的なサイズおよび形状の粒子を含み得る。いくつかの態様において、当該ポリマー粒子は、実質的に球状(例えば、丸いビーズ)であり得る。他の態様において、様々なサイズの不規則な形状のポリマー顆粒が使用され得る。さらに他の態様において、当該ポリマー粒子は、フレーク、円筒形ビーズ、異なる長さに切断された薄膜、ポリマーの切削物、および様々な長さに切断されたポリマー繊維を含み得る。ポリマー粒子の形状は、平均孔径、孔径分布、および空隙容積に影響を及ぼし得る。
【0015】
多くの材料が、本明細書において説明されるようなタバコ物品の多孔性マトリックスに対して好適である。例えば、多孔性マトリックスは、多孔性の、焼結可能で、不溶性の熱可塑性プラスチック、例えば、ポリエチレンなど、を含み得る。例えば、超高分子量ポリエチレンビーズは特定のサイズに容易に制御することができることなどから、超高分子量ポリエチレンは特に有用であり得る。さらに、超高分子量ポリエチレンを使用することにより、結果として、消費者の口内で可鍛性が感じられるような、特に滑らかな製品を得ることができる。
【0016】
多孔性マトリックスは、さらに、あるいは代わりに、以下のポリマー材料:アセタール、アクリル樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレートおよびポリアクリロニトリルなど、アルキド、ポリマー合金、アリル、例えば、ジアリルフタレートおよびジアリルイソフタレートなど、アミン、例えば、尿素、ホルムアルデヒド、およびメラミンホルムアルデヒドなど、セルロース類、例えば、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース、セロハン、およびレーヨンなど、塩素化ポリエーテル、クマロン−インデン、エポキシ、フルオロカーボン、例えば、PTFE、FEP、PFA、PCTFE、ECTFE、ETFE、PVDF、およびPVFなど、フラン、炭化水素樹脂、ニトリル樹脂、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルホン、フェノール−アラルキル、フェノール樹脂、ポリアミド(ナイロン)、ポリ(アミド−イミド)、ポリアリールエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、例えば、芳香族ポリエステル、熱可塑性ポリエステル、PBT、PTMT、PET、および不飽和ポリエステル、例えば、SMCおよびBMCなど、ポリイミド、例えば、熱可塑性ポリイミドおよび熱硬化性ポリイミドなど、ポリメチルペンテン、ポリオレフィン、例えば、LDPE、LLDPE、HOPE、およびUHMWPEなど、ポリプロピレン、アイオノマー、例えば、PDおよびポリアロマーなど、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリp−キシリレン、シリコーン、例えば、シリコーン流体、およびエラストマーなど、硬質シリコーン、スチレン、例えば、PS、ADS、SAN、スチレンブタジエン格子、およびスチレンベースのポリマーなど、スルホン、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリフェニルスルホンなど、熱可塑性エラストマー、ならびにビニル、例えば、PVC、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチレート、ポリビニルホルマール、プロピレン−塩化ビニルコポリマー、エチル酢酸ビニル、およびポリビニルカルバゾールなど、の1種以上を含み得る。さらに、多孔性マトリックスを製造するためのポリマーは、着色することも可能であり、その結果として、着色された無煙タバコ製品が得られる。
【0017】
本明細書において提供される物品中に含有されるタバコは、粒状化、粉末化、フレーク化、刻み、カット(例えば、ロングカットタバコ)、硬化、熟成、発酵、加熱処理、殺菌、カプセル化することができ、あるいは別の方法において処理することができる。粉末タバコ、粒状タバコ、またはフレーク状タバコは、特に有用であり得る。例えば、タバコは、粒状形態または粉末形態であり得、そのため、多孔性マトリックスの細孔内に適合するようなサイズである。いくつかの態様において、タバコ物品中の一部またはすべてのタバコは、再構成されたタバコを加工して製造され得る。他の態様において、タバコは、約0.25インチ〜1インチの長さおよび0.005インチ〜0.05インチの間の幅を有するロングカットタバコであり得る。例えば、タバコは、1インチあたり35カットを含み得る。いくつかの態様において、ロングカットタバコは、物品の中心部分に保持され得、当該物品の周辺部分には、ロングカットタバコが実質的に含まれ得ない。いくつかの態様において、当該物品は、任意により物品の異なる部分において、異なる形状のタバコの異なる組み合わせを含み得る。例えば、ロングカットタバコを含む中心部分を有する物品は、当該物品の他の部分、例えば、当該物品の中心部分よりも小さい平均孔径を有する当該物品の周辺部分にも粉末状タバコを含み得る。当該物品が、より小さい平均孔径を有する外側部分を有することにより、当該物品の中心部分にある大きいタバコ片の移行が使用者の口へ移行することを防ぎ得る。
【0018】
タバコ粒子は、例えばメッシュスクリーニングなどの当技術分野において公知の方法を用いて、様々なサイズ範囲に分離することができる。さらに、様々なサイズのタバコ粒子が、本明細書において提供される物品において使用され得る。例えば、タバコ物品は、約20ミクロン〜約100ミクロン(例えば、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約60ミクロン、約70ミクロン、約80ミクロン、約90ミクロン、または約100ミクロン)、または任意の範囲内(例えば、約20ミクロン〜約40ミクロン、約40ミクロン〜約60ミクロン、または約60ミクロン〜約100ミクロン)の平均タバコ粒子直径または幅を有するタバコの顆粒、粉末、またはフレークを含み得る。約40ミクロン〜約60ミクロンの平均直径または幅を有するタバコ粒子は、容易に得ることができ、結果として滑らかでザラザラ感の無い質感を有するタバコ製品が得られるため、そのような粒子は、特に有用であり得る。よりザラザラした質感が所望される場合には、約60ミクロン〜約100ミクロンの平均直径を有する粒子を使用することができる。タバコ粒子のサイズは、粉砕処理(例えば、ハンマーミリング)に基づいて変更することができる。
【0019】
タバコは、Nicotiana属のメンバに由来する一部(例えば、葉、花、および/または茎)を含む。例示的な種としては、N. rustica、N. sylvestris、N. tomentosiformis、およびN. tabacum(例えば、LA B21、LN KY171、TI 1406、Basma、Galpao、Perique、Beinhart 1000−1、およびPeticoとして指定された変種および/または栽培品種)が挙げられる。他の種としては、N. acaulis、N. acuminata、N. acuminata var. multiflora、N. africana、N. alata、N. amplexicaulis、N. arentsii、N. attenuata、N. benavidesii、N. benthamiana、N. bigelovii、N. bonariensis、N. cavicola、N. clevelandii、N. cordifolia、N. corymbosa、N. debneyi、N. excelsior、N. forgetiana、N. fragrans、N. glauca、N. glutinosa、N. goodspeedii、N. gossei、N. hybrid、N. ingulba、N. kawakamii、N. knightiana、N. langsdorffii、N. linearis、N. longiflora、N. maritima、N. megalosiphon、N. miersii、N. noctiflora、N. nudicaulis、N. obtusifolia、N. occidentalis、N. occidentalissubsp. hesperis、N. otophora、N. paniculata、N. pauciflora、N. petunioides、N. plumbaginifolia、N. quadrivalvis、N. raimondii、N. repanda、N. rosulata、N. rosulata subsp. ingulba、N. rotundifolia、N. setchellii、N. simulans、N. solanifolia、N. spegazzinii、N. stocktonii、N. suaveolens、N. thyrsiflora、N. tomentosa、N. trigonophylla、N. umbratica、N. undulata、N. velutina、N. wigandioides、およびN. xsanderaeが挙げられる。
【0020】
場合によって、タバコは、緑葉組織1cm2あたり20マイクログラム未満の4,8,13−ズバトリエン−1,3−ジオール(DVT;4,8,13−センブラトリエン−1,3−ジオールとも呼ばれる)を有する植物から調製され得る。例えば、タバコ粒子は、米国特許公報第2008/0209586号に記載されている低DVTタバコから調製することができ、なお、当該特許公報は、参照により本明細書に組み入れられる。そのような低DVT変種に由来するタバコは、DVTのレベルを減じていないタバコと比較した場合、(例えば、官能パネル評価において)風味特性の向上を示し得る。
【0021】
いくつかの態様において、タバコは、1種以上の成分、例えば、風味抽出物、風味マスキング剤、苦味レセプター部位阻害物質、レセプター部位増感物質、甘味料、ならびに葉緑素、ミネラル、植物成分、または口臭消臭剤などの添加剤を含み得る。これらの成分のいくつかは、例えば、米国特許出願第10/982,248号および同第10/979,266号に記載されており、なお、当該両特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。そのような成分は、粉末、油、微粒子形態の粉末、またはカプセル形態としてタバコの中に存在し得る。
【0022】
いくつかの態様において、タバコは、成形品を構成する前に、風味成分を含むように処理することができる。そのような「一次」風味成分は、例えば、タバコを熱可塑性ポリマーと組み合わせてタバコ物品を形成する前に、風味抽出物をタバコに噴霧することによって添加することができる。別の例において例えば、前述において組み入れられた米国特許出願第10/982,248号に記載されているように、風味は、固体または液体の風味剤をタバコ材料と組み合わせて好適な条件下でインキュベートすることにより、タバコに付与することができる。あるいは、またはさらに、タバコ物品は、1種以上の「二次」風味成分を添加するために、毛管作用、注入、または他の導入手段によってさらに処理してもよく、それにより、当該物品の形成後に当該風味成分が添加される。そのような態様において、タバコ物品は、顧客の注文に従って風味を付与することができ、結果として、例えば、棚卸資産の管理が向上する。他の態様では、当該物品を減圧下に置き、それ続いて風味を当該減圧室に導入することによって、当該物品が形成された後に風味を添加することができる。
【0023】
風味は、合成風味、風味抽出物、植物、またはそれらの組み合わせにより、提供され得る。好適な風味および風味抽出物としては、これらに限定されるわけではないが、メントール、シナモン、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、スペアミント、ペパーミント、ベルガモット、バニラ、コーヒー、Mentha属の種に由来するハッカ油、または他の所望の風味が挙げられる。風味は、植物、例えば、ハッカの葉など、によって提供することも可能であり、ハッカの葉は、通常、10%が風味油であり、90%が不溶性の繊維である。好適な植物は、クローブ、シナモン、ハーブ、チェリー、モモ、リンゴ、ラベンダー、バラ、バニラ、レモン、オレンジ、コーヒー、またはMentha属の種などの植物から得ることができる。さらに本明細書において提供される場合、風味は、模造物、合成物、人工風味成分、およびそのような成分を含有する混合物によって提供することができる。適当な甘味料としては、例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム(Ace−K)、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、およびマンニトールが挙げられる。さらなる風味を提供するために、燻煙液または他の熱活性化風味付与剤を添加することもできる。
【0024】
タバコ(例えば、粒状、粉末状、フレーク状のタバコ粒子、またはロングカットタバコ)は、選択された比率においてポリマー材料と組み合わせられ、次いで(例えば、図9Aおよび9Bと関連して説明されたように)当該混合物は、一体的成形プロセスにおいて用いられ得る。通常、本明細書において提供される製品は、タバコ:ポリマーの比率が、約30:70〜約60:40(例えば、約40:60、約45:55、または約50:50)の範囲となるように、約30重量%〜約60重量%のタバコを含有する。あるいは、本明細書において提供されるタバコ製品は、タバコ:ポリマーの比率が、約20:80〜約70:30(例えば、約20:80、約45:55、約50:50、約60:40、または約70:30)の範囲となるように、約20重量%〜約80重量%のタバコを含有し得る。タバコ:ポリマーの比率が比較的低い場合、結果として、硬いと知覚される製品を得ることができるが、その一方で、比率が比較的高い場合には、結果的に構造保全性が失われる場合があるが、結果として、柔らかいと知覚される製品を得ることができる。
【0025】
タバコ粒子とポリマー粒子のサイズのお互いに対する比率は変えることができる。しかしながら、通常、比較的大きなタバコ粒子(例えば、直径が平均で60ミクロン〜100ミクロン)が使用される場合には、結果として得られる製品が十分な構造保全性を有するように、より大きなポリマー粒子も使用しなければならない。比較的小さいタバコ粒子(例えば、直径が平均で40ミクロン〜60ミクロン)が使用される場合、より小さいポリマー粒子(例えば、直径が平均で10ミクロン〜20ミクロン)を使用することも可能である。タバコ粒子およびポリマー粒子のサイズは、結果として得られるタバコ物品の質感に影響を及ぼし得る。例えば、より小さい粒子は、結果として、より滑らかな製品を得ることができるが、その一方で、より大きな粒子では、より荒くザラザラした質感の製品が得られ得る。したがって、本明細書において提供されるタバコ物品は、様々な質感プロファイルに製造することができる。
【0026】
本明細書において提供されるタバコ物品は、様々な形状(例えば、長方形、正方形、球形、円筒形、口に咥えた時に快適なロッド状成形品、またはシート状)を有し得る。いくつかの態様において、タバコ物品は、成人消費者によって完全に受け入れられるように適合させることができる。そのようなタバコ物品は、ほとんど無制限な形状に構成することができる。例えば、タバコ物品は、タバコポーチに類似するように構成することができ、ならびに、概して楕円形状を有し得るが、他の態様は、枕形、ボート形、円形、平坦な長方形などを有し得る。さらに、本明細書において説明されるタバコ物品は、非崩壊性の基材上に形成または成形することができる。
【0027】
当該物品は、タバコ粉末、糖類、デンプン、および/または風味の顆粒の集合も含み得る。顆粒の集合を含有するタバコは、タバコとしてまたは他のタバコと一緒に、物品中に含まれ得る。例えば、2009年12月18日に出願された、「Tobacco Granules and Method of Producing Tobacco Granules」と題された米国特許出願第12/641,915号に、タバコ粒子を含む顆粒の集合が記載されており、なお、当該出願は参照により本明細書に組み入れられる。当該顆粒は、コアと、タバコ粒子およびバインダーを含む当該コアを囲む1層以上の層とを含み得る。いくつかの態様において、当該顆粒の集合は、ポリマーによってコーティングされ、さらなる固体ポリマー粒子を用いずに、またはポリマーマトリックスを形成するさらなる固体ポリマー粒子と共に、焼結プロセスにおいてポリマー粒子として当該物品中において使用することができる。いくつかの態様において、当該顆粒の集合は、ポリマーによって完全にカプセル化することができる。他の態様において、当該顆粒の集合は、タバコ、風味、および/または他の成分が当該物品中の細孔の網目構造を通って移行することを可能にするような、不完全なコーティングを含み得る。使用の際、当該顆粒の集合の風味および/またはタバコ成分は、物品の多孔性網目構造を通って溶出し、使用者の口の中に放出され得る。いくつかの態様において、当該物品が租借されることにより、結果として、焼結された物品内のカプセル化された顆粒の集合から風味付与剤が放出され得る。米国特許出願第12/641,915号に記載されているタバコ粒子などの顆粒の集合は、塗装、スパッタリング、またはドラムコーティングプロセスを含む当技術分野において公知の技術により、ポリマーでコーティングすることができる。
【0028】
ここで、再び図を参照すると、図1に表されているようなタバコ物品100は、タバコ物品100が、例えば、タバコを粒子、液体、または蒸気の形態において成人消費者の口に提供し得るように、多孔性マトリックス110の細孔112中にタバコ120が配置された多孔性マトリックス110を含み得る。本明細書において説明されるように、タバコの提供は、消費者にタバコの満足感を提供し得る。
【0029】
使用の際にタバコ物品100が着火を必要としない限り、タバコ物品100は不燃性製品であり得る。タバコ物品100は、タバコ物品100の任意の一部を燃焼することなく、ならびに物品100内のタバコ120に着火することなく、タバコを消費者に提供し得る。むしろ、不燃性タバコは、タバコ成分、感覚刺激性成分、および使用の際に放出される添加された風味成分に関連付けられる体験という形態においてタバコの満足感を提供するために、消費者に対して提供され得る。そのような感覚刺激性成分は、例えば、アロマ、芳香、風味、味、匂い、口感などの任意の組み合わせを含む、消費者による統合された感覚認知に関連し得るか、または貢献し得る。
【0030】
タバコ物品100は、所望の形状への成形を許容する成形可能なポリマーを含み得る。タバコ120および多孔性マトリックス110は、多孔性マトリックス110が形成されるときにタバコ120が細孔112中に配置されるように、一体的に成形することができる。例えば、ポリマー粒子は、タバコ粒子と組み合わせられ得、ならびに当該混合物は、タバコ物品100を生じるために、焼結工程などのプロセスに供され得る。
【0031】
多孔性マトリックス110は、空気および/または液体(例えば、水または唾液)が第一部分114から第二部分116へと通過することを許容する多数の細孔112を含み得る。いくつかの態様において、細孔112は、空気または液体がそこを通って多孔性マトリックス110中に配置されたタバコ120を通過することができるような微細な経路の網目構造を形成するように、ランダムに配向され得る。他の態様において、細孔112は、概して所定の細孔配向性、例えば、多孔性マトリックス110内を概して軸方向に延びる多数の細孔など、を有するように製造することができる。
【0032】
図1〜3に見られるように、タバコ物品100は、本質的に、滑らかな外側表面を提供し得るような丸い角および端部の枕形の長方形であり得る。タバコ物品の厚さは、一定であり得るか、または変わり得る。例えば、図2および3は、それぞれ、タバコ物品100の端面図および側面図を表しており、これらの有する厚さは、物品の周辺部分よりも中心部分において増加し得る。いくつかの態様において、タバコ物品は、本明細書において説明されるように、成形(例えば、焼結)され得、次いで、さらに、最終製品における所望の形状へと加工され得る。例えば、図1〜3に表されたタバコ物品は、線「a」に沿って切断することにより、図4および5に表されているような、実質的に「ボート形」のタバコ物品100aおよび100bが得ることができる。物品100を形成するポリマー粒子のサイズに応じて、物品100の異なる領域は、異なる間隙率を有し得る。例えば、物品100の中心領域におけるポリマー粒子が、物品100の周辺付近の粒子よりも大きい平均直径を有する場合、物品100aおよび100bの切断面140における細孔は、物品100aおよび100bの他の表面における細孔よりも大きくあり得る。
【0033】
図6は、消費者によって完全に受け入れられるように適合されたタバコ物品の別の態様を表している。タバコ物品200は、第一多孔性マトリックス210、タバコ粒子220、および、場合によって唾液リザーバーとして機能し得る第二多孔性マトリックス250を有し得る。唾液リザーバー250は、タバコ220を含有する第一多孔性マトリックス210と一体的に形成された多孔性マトリックスであり得る。唾液リザーバー250は、第一多孔性マトリックス210よりも実質的により大きな孔径および細孔容積を有する細孔252を含み得る。例えば、唾液リザーバー250は、第一多孔性マトリックス210を形成するために使用されるポリマー顆粒よりもはるかに大きいサイズを有するポリマー顆粒から形成され得る。したがって、プラスチックの焼結プロセスの際に、唾液リザーバー250は、第一多孔性マトリックス210の細孔212よりもサイズの大きな細孔252を有する多孔性マトリックスとなり得る。
【0034】
タバコ物品100および200は、消費者の歯茎と唇との間に位置され得、ならびに消費者の唾液に晒され得る。図7を参照すると、例えば、第一多孔性マトリックス210が消費者の唾液240に晒される場合、唾液の一部が強制的に細孔212内に送り込まれるであろう。唾液240は、細孔212の網目構造を通過し得、それによって、タバコ成分232(および、場合によって、微細タバコ粒子)が、消費者の唾液中に導入される。したがって、タバコ成分232は、唾液240と混合され得る。タバコが消費者に提供される一方で、唾液リザーバー250は、消費者の唾液の一部を吸収し得、これは、噛みタバコまたは嗅ぎタバコなどの無煙タバコ製品の使用に関連して多くの場合に吐き出される唾液の量を減少させ得る。したがって、タバコ物品200は、タバコ物品200またはその中に配置されたタバコ220を燃焼させることなく、タバコの満足感を消費者に提供することができる。任意により、タバコ220は、1種以上の風味剤または(前述において説明したような)他の成分を含み得るか、あるいは風味剤粒子が多孔性マトリックス210の細孔212中に配置され得る。そのような状況において、風味剤が液体唾液中に導入され得、それによって風味剤とタバコ成分232との組み合わせが消費者に提供される。
【0035】
多孔性マトリックス210中のタバコ220が消耗されるか、または消費者がタバコ物品200を排除することを決めた場合、当該タバコ物品は破棄することができる。したがって、タバコ物品200は、消費者の唾液の一部が唾液リザーバー250に保持された状態で、個別に破棄され得る。
【0036】
いくつかの態様において、タバコ物品は、実質的に円筒形またはロッド形を有し得、ならびに消費者の指の間に一時置きされるように構成することができる。例えば、図8に表されているタバコ物品300は、細長い円筒形を有し得る。タバコ物品300などの物品は、液体、蒸気、または特定の状況においては、蒸気と微粒子との組み合わせ若しくは蒸気と微粒子との組み合わせの形態において、タバコまたはタバコ成分を消費者に提供するように適合され得る。この態様において、多孔性マトリックス310の第一部分314および第二部分316は、大気に晒され得、ならびに消費者は、強制的に空気を、第一部分314から細孔312の網目構造を通して、細孔中に配置されているタバコ320を通過させて、第二部分316から排出することができる。例えば、消費者は、第二部分316の近位のタバコ物品300において減圧を作り出すことによって、空気を、多孔性マトリックス310を通って消費者へと引き込むことができる。空気が多孔性マトリックス310を通る際に、タバコ成分が当該空気中に導入され、消費者へと提供され得る。タバコ成分(例えば、風味、アロマなど)は、タバコ320から、多孔性マトリックス310を通過する空気へと移行する蒸気の形態であり得る。したがって、タバコ物品300は、タバコ感覚刺激性成分および放出される添加された風味成分に関連付けられた体験という形態において、タバコの満足感を提供することができる。そのような感覚刺激性成分は、例えば、アロマ、芳香、風味、味、匂い、口感などの任意の組み合わせを含めた、消費者による統合された感覚認知に関連し得るか、または貢献し得る。さらに、上記において説明したように、タバコ320は、1種以上の風味剤を含み得るか、あるいは風味剤粒子が多孔性マトリックス310の細孔312中に配置され得る。このような状況において、風味剤が空気中へ導入され得、それによって風味剤とタバコとの組み合わせが消費者へ提供される。
【0037】
いくつかの態様において、タバコ320は、タバコ物品300が蒸気および微粒子の形態においてタバコを消費者に提供することができるような方式において配置され得る。例えば、多孔性マトリックス310中のタバコ320は、微細なタバコ粒子が多孔性マトリックス310の細孔312による網目構造を通過できるように、微細に粒状化され得る。そのような場合、消費者は、空気が消費者によって多孔性マトリックス310を通って引き込まれるように、第二部分316の近位のタバコ物品300に減圧を適用することができる。空気が多孔性マトリックス310を通過する際に、微細なタバコ粒子およびタバコ風味が、蒸気と微粒子との組み合わせとして消費者に提供され得る。やはり、タバコ物品300は、タバコ物品300またはその中に配置されたタバコ320を燃焼させることなく、タバコの満足感を消費者に提供し得る。
【0038】
図9Aおよび9Bは、本明細書において提供されるようなタバコ物品を形成するために用いることができる例示的プラスチック焼結プロセスを表している。そのようなプラスチック焼結プロセスは、様々な加熱技術の1つを用いた、制御された熱の適用を含み得、それらの技術のいくつかは、例えば、米国特許第4,375,441号に記載されており、なお、当該特許は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。プラスチック焼結工程は、本明細書において説明されたタバコ物品の多孔性マトリックスを形成するために用いることができるいくつかの可能なプロセスのうちの一プロセスに過ぎないことは理解されるべきである。
【0039】
ここで、図9Aおよび9Bを参照すると、タバコ物品のいくつかの態様は、成形プロセスにおいて一体的に成形することができる。タバコ120は、多孔性マトリックス110と一体的に成形されるように、成形プロセスの際にポリマー粒子118と組み合わせられ得る。図9Aに示されているように、形成プロセスでは、組み合わさって内部空洞175を形成し得る第一金型部品170および第二金型部品180を用いることができる。内部空洞175は、タバコ物品の所望の外形を少なくとも部分的に形成する機械加工された表面を備え得る。タバコ120およびポリマー粒子118は、内部空洞175内に位置され得る。いくつかの態様において、異なるサイズのポリマー粒子118を内部空洞175内に位置することにより、異なるサイズの細孔を有するタバコ物品を得ることができる。例えば、空洞175の外側部分に沿った粒子が、空洞175の中心部分内のポリマー粒子より小さい平均直径を有するように、当該ポリマー粒子を配置することができる。焼結プロセスの後、結果として得られるタバコ物品は、周辺部分より中心部分内の方が、より大きい細孔の網目構造を有し得る。いくつかの態様において、例えば、空洞175の外側部分に沿った粒子が空洞175の中心部分内の粒子とは異なるタイプの材料となるように、異なるタイプのポリマー粒子を空洞175内に位置することができる。例えば、中心顆粒は、プラスチックポリマー材料、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど、を含み得る。さらに、多孔性マトリックス110は、概して、水溶性または水不溶性のポリマー材料を含み得る。有利な特性を有する多孔性マトリックス110(図9B)を得るために、様々な材料仕様(例えば、顆粒のサイズおよび分子量、顆粒サイズ分布、材料タイプ、タバコ粒子サイズ、タバコ粒子分布、ならびにポリマー顆粒のタバコ粒子に対する比率)、ならびに様々なプロセスパラメータ(例えば、温度、熱暴露時間、および圧力)を使用することができることは理解されるべきである。中心顆粒の一部は、溶融して、外側顆粒付近の移行ゾーンに沿った外側顆粒と同化し得ることは理解されるべきである。
【0040】
プラスチック焼結プロセス中にタバコ120を粒子118と混合することにより、粒子118が多孔性マトリックス110を形成した後に、タバコ120の少なくとも一部が細孔112中に配置され得る。粒子118およびタバコ120は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、本明細書において提示された任意の図におけるポリマー粒子およびタバコ粒子のサイズは、例示目的のために誇張され得ることは、理解されるべきである。
【0041】
図9Bを参照すると、粒子118およびタバコ120が金型空洞175内に配置される場合、制御された期間において粒子118が加熱される際に、金型部分170および180は圧力を加えることができる。そのような圧力および熱により、タバコ物品はその所望の形状に形成され得るが、その一方で、中心顆粒は、限定された期間において制御可能に溶融される。有利な結果を達成するために任意の理論によってこの態様が制限されることを意図するわけではないが、このプラスチック焼結プロセスの際に、外側の顆粒は、急速に溶融して、タバコ物品の外側表面に沿って実質的に連続する層を形成し得るが、その一方で、中心顆粒は、より遅い速度で溶融する(例えば、顆粒の一部は完全には溶融しないが、顆粒表面は部分的に加熱されて隣接する顆粒と結合し得る)。プラスチック焼結プロセスのサイクル数、サイクル時間、および温度は、所望により、特定の風味特性(例えば、焙煎および/または焙焼されたタバコ風味)をタバコ物品へ付与するように変更することができる。
【0042】
焼結後、タバコ物品は、さらに、例えば、1種以上の風味付与剤または着色剤を添加する工程によって処理することができる。そのような剤は、多くの方法(例えば、毛管作用、注入、噴霧、または減圧など)を用いて添加することができる。物品の外側表面は、結果として「ゲルカプセル」錠剤上のコーティングと同様の外側コーティングを得ることができる「ハイコーター」技術により、着色剤および/または風味付与剤でコーティングすることもできる。そのようなコーティングは、消費者の口に入れられたときに溶解し得、その後、タバコが消費者に提供され得る。いくつかの態様において、タバコ物品は、中心ポリマー顆粒および外側ポリマー顆粒から製造され得、この場合、中心ポリマー顆粒は、外側顆粒と異なるポリマー材料を含み得るか、外側顆粒と比べてより大きな平均サイズを有し得るか、またはその両方であり得る。これにより、タバコ物品の内部の顆粒は、よりゆっくりとした溶融速度で溶融し得る。タバコが中心顆粒と混合されているので、タバコの少なくとも一部は、当該顆粒が多孔性マトリックスを形成した後に、細孔内に配置され得る。細孔のいくつかの特性(例えば、平均孔径、平均細孔容積など)は、例えば、多孔性マトリックスを形成するために使用される顆粒材料のサイズ、顆粒が加熱される温度、顆粒の加熱時間、および成形プロセスにおいて使用される圧力を変えることによって選択することができるということは理解されるべきである。
【0043】
いくつかの態様において、中心顆粒は、外側顆粒と同じコポリマー材料(例えば、Chicago、ILのInnovene LLCからのBAREX(商標))を含み得、ならびに当該中心顆粒は、当該外側顆粒より大きい平均サイズを有し得る。状況によって、当該中心顆粒と外側顆粒とが、同じ平均サイズを有し得ることは理解されるべきである。
【0044】
いくつかの態様において、タバコ物品は、それらが形成された後で、紙または再構成されたタバコシートで包装され得る。場合によって、タバコ物品は、プラスチックポリマーの外層を有し得る。図10に表されているように、例えば、タバコ物品400は、多孔性マトリックス410、タバコ420、および外層430を有し得る。外層430および多孔性マトリックス410は、同じかまたは異なる成形可能なプラスチック材料を含み得る。外層430は、多孔性マトリックス410とその中に配置されたタバコ420とを完全にまたは部分的に囲み得る。場合によって、外層430は、物品400の内部のタバコ成分の移行に対して不浸透性の材料による概して連続する層を含み得る。いくつかの態様において、外層430は、実質的に連続する層を提供するように形成することができるポリマー材料を含み得る。
【0045】
多くの材料が、外層430に好適である。例えば、外層430は、揮発性タバコ成分などのタバコ成分の移行を阻止する遮蔽特性を提供することが知られているアクリロニトリルおよびメチルアクリレートのコポリマー(または、同等の樹脂)を含み得る。そのようなアクリロニトリルおよびメチルアクリレートのコポリマーは、BAREX(商標)の商品名において入手可能である。あるいは、他のポリマー材料、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンナフタレート(PTN)、またはポリエステルベースの液晶ポリマー(LCP)など、を採用することによっても、タバコ成分の移行を阻止する遮蔽特性が得られる。
【0046】
いくつかの態様において、外層430は、長手方向に広がる表面432ならびに第一キャップ表面434および第二キャップ表面436の内側の多孔性マトリックス410を完全に囲むように形成することができる。あるいは、物品400は、形成の際に第一キャップ表面434および第二キャップ表面436が作り出されないような方式において構成することができる。どちらの立体配置も、物品400の通常の使用が始まる前に、タバコ420またはタバコ成分(例えば、風味、アロマ、アルカロイドなど)が多孔性マトリックス410から移行するのを阻止し得る。タバコ物品400は、上記において説明された焼結プロセスなどのプロセスを用いて製造することができる。そのようなプロセスは、外層430によって少なくとも部分的に囲まれる多孔性マトリックス410を形成し得る。
【0047】
ここで、図11を参照すると、タバコ物品400のいくつかの態様は、多孔性マトリックス410の第一部分414および第二部分416を露出するように構成され得る。例えば、外層430が第一キャップ表面434および第二キャップ表面436を含む態様において、各キャップ表面434および436の少なくとも一部は、多孔性マトリックス410の第一部分414および第二部分416を露出するように切断または穿刺され得、あるいはそれ以外の方法で除去され得る。この除去プロセスは、タバコ物品400を製造または包装する際に実施することができ(例えば、物品を均一な長さにするためにキャップ表面434および436を切断し、次いで、1つ以上の物品400を不透過性のパッケージで包装するなど)、または、消費者が、タバコ物品400を使用する直前に実施することもできる。いくつかの態様において、タバコ物品400は、タバコ物品の使用を容易にするためのカッター機構または穿刺機構を備えたパッケージにおいて消費者に供給され得る。キャップ表面434および436が除去される場合、外層430の長手方向に広がる表面432は、多孔性マトリックス410の外側の半径方向のエリアを実質的に囲んでいるために、無傷のままであり得る。空気が、細孔412の網目構造に配置されたタバコ420を通過して当該網目構造を通り得るように、多孔性マトリックス410の第一部分414および第二部分416は大気に晒され得る。さらに本明細書において提供されるように、タバコ物品400のいくつかの態様は、製造の際に、多孔性マトリックス410の第一部分414および第二部分416が晒されるように構成することができ、したがって、キャップ表面434および436を切断する必要が無い。
【0048】
いくつかの態様において、タバコ物品は、外殻とは別個に形成される多孔性マトリックスを有し得る。図12を参照すると、例えば、タバコ物品500は、外殻530とは別個に形成される多孔性マトリックス510を含み得る。多孔性マトリックス510は、(例えば、図9Aおよび9Bと関連して説明されるような)プラスチック焼結プロセスを用いて形成することができる。あるいは、多孔性マトリックス510は、多孔性マトリックス510が、細孔512内に配置されたタバコ520を有する多孔性ガラスまたはセラミック材料を含むような異なるプロセスを用いて形成することができる。多孔性マトリックス510の形成プロセスに応じて、タバコ520が細孔512中に配置されるように、タバコ520を多孔性マトリックス510と一体的に形成することができる。多孔性マトリックス510は、別個の殻530に適合するように、形成されるかまたは別の方法で構成することができる。そのような態様において、別個の殻530は、多孔性マトリックス510を受け入れるための開口端部536を有する管状構成を有し得る。それによって、多孔性マトリックス510は、別個の殻530内へと摺動され係合され得る。
【0049】
上記において説明したように、外殻530は、タバコおよびタバコ成分の移行に対して不透過性の材料、例えば、BAREX(商標)など、による連続する層を有し得る。消費者によって使用されるまで多孔性マトリックス510が封止されるべきであるような態様において、別個の殻530は、BAREX(商標)の管を含み得、当該管は、多孔性マトリックス510が殻530内に挿入された後に開口端部が封止される。例えば、管状殻530の開口端部は、BAREX(商標)キャップ壁を用いて加熱封止することができる。別の例では、管状殻530の開口端部は、熱ピンチングプロセスを用いて加熱封止することができる。
【0050】
図13に示されているように、多孔性マトリックス510の少なくとも一部が、液体540に一時的に晒され得、それにより液体540が細孔512中に導入される。例えば、液体540は、毛管作用によって多孔性マトリックス510の細孔512内に入り込み得、それによって、タバコ物品500が液体容器542から取り出された後でも、液体の一部が多孔性マトリックス510内に残留する。いくつかの態様において、液体540は水を含み得る。
【0051】
図14に示されているように、多孔性マトリックス510の第一部分514および第二部分516が大気に晒され得るので、消費者は、第一部分514から細孔512の網目構造中に強制的に空気を送り込むことができる。消費者の吸引行動により、以前に多孔性マトリックス510の第一部分514に導入された液体540が、細孔に配置されたタバコ520を通過し得る。それによって、液体540が、多孔性マトリックス510を通って消費者へと吸入され得る。液体540が多孔性マトリックス510を通過する際に、タバコ520が液体540中に導入され得、それによって消費者はタバコの満足感を体験する。タバコ520は、液体540と混合され得る。したがって、タバコ物品500は、タバコ物品500またはその中に配置されたタバコ520を燃焼させることなく、タバコの満足感を消費者に提供することができる。任意により、タバコ520は、1種以上の風味剤または(本明細書において説明されたような)他の成分を含み得るか、または風味剤粒子が多孔性マトリックス510の細孔512中に配置され得る。そのような状況において、風味剤が液体540中に導入され得、それにより、消費者は、風味剤とタバコ520との組み合わせを体験する。
【0052】
他の態様
本発明の詳細な説明を用いて本発明について記述してきたが、前述の説明は、例示のためのものであり、添付のクレームの範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。他の局面、利点、および変更は、以下のクレームの範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス中に配置された細孔の網目構造を有する多孔性マトリックスと、
流体が該多孔性マトリックスを通過する場合に少なくとも1種の非燃焼タバコまたは非燃焼タバコ成分が該流体中に導入されるように、該多孔性マトリックスの該細孔中に配置されたタバコと
を含むタバコ物品であって、
該タバコが該多孔性マトリックスと一体的に成形される、前記タバコ物品。
【請求項2】
第一平均孔径を有する中心部分と第二平均孔径を有する周辺部分とを有し、該第一平均孔径が、該第二平均孔径よりも大きい、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項3】
プラスチック焼結プロセスの際に、タバコが、多孔性マトリックスと一体的に成形される、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項4】
多孔性マトリックスが、熱可塑性ポリマーの粒子を含む、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項5】
熱可塑性ポリマーが、超高分子量ポリエチレンである、請求項3記載のタバコ物品。
【請求項6】
熱可塑性ポリマー粒子が、約10ミクロン〜約100ミクロンの間の平均直径を有する、請求項3記載のタバコ物品。
【請求項7】
熱可塑性ポリマー粒子が、約10ミクロン〜約20ミクロンの間の平均直径を有する、請求項3記載のタバコ物品。
【請求項8】
タバコとポリマーの重量比が30:70〜50:50である、請求項3記載のタバコ物品。
【請求項9】
タバコが、刻みタバコ、カットタバコ、粒状タバコ、または粉末タバコのうちの少なくとも1種を含む、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項10】
タバコが、約20ミクロン〜約100ミクロンの間の平均直径を有する粒状または粉末タバコ粒子を含む、請求項8記載のタバコ物品。
【請求項11】
タバコが、約40ミクロン〜約60ミクロンの間の平均直径を有する粒状または粉末タバコ粒子を含む、請求項8記載のタバコ物品。
【請求項12】
さらに、1種以上の風味成分を含む、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項13】
成人消費者によって完全に受け入れられるように適合された、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項14】
少なくとも30週間の保存寿命を有する、請求項1記載のタバコ物品。
【請求項15】
熱可塑性ポリマー粒子をタバコ粒子と組み合わせる工程と、該熱可塑性ポリマーが、マトリックス中に配置された細孔の網目構造を有する多孔性マトリックスを、該多孔性マトリックスの該細孔中にタバコ粒子が配置された状態において形成するように、該組み合わせを熱によって処理する工程とを含む、タバコ物品を製造する方法。
【請求項16】
処理工程が焼結工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性ポリマーが、超高分子量ポリエチレンである、請求項14記載の方法。
【請求項18】
熱可塑性ポリマー粒子が、約10ミクロン〜約100ミクロンの間の平均直径を有する、請求項14記載の方法。
【請求項19】
熱可塑性ポリマー粒子が、約10ミクロン〜約20ミクロンの間の平均直径を有する、請求項14記載の方法。
【請求項20】
タバコ物品が、30:70〜50:50のタバコ粒子と熱可塑性ポリマー粒子の重量比を有する、請求項14記載の方法。
【請求項21】
タバコ粒子が、刻みタバコ、カットタバコ、粒状タバコ、または粉末タバコのうちの少なくとも1種を含む、請求項14記載の方法。
【請求項22】
タバコ粒子が、約20ミクロン〜約100ミクロンの間の平均直径を有する粒状または粉末タバコを含む、請求項14記載の方法。
【請求項23】
タバコ粒子が、約40ミクロン〜約60ミクロンの間の平均直径を有する粒状または粉末タバコを含む、請求項14記載の方法。
【請求項24】
さらに、タバコ物品に1種以上の風味成分を添加する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項25】
前記1種以上の風味成分が、熱によって処理した後に上記タバコ物品に添加される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
成人消費者によって完全に受け入れられるように適合された、請求項14記載の方法。
【請求項27】
少なくとも30週間の保存寿命を有する、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−513769(P2012−513769A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544606(P2011−544606)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069834
【国際公開番号】WO2010/078437
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(398069229)ユーエス スモークレス タバコ カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (20)
【Fターム(参考)】