説明

無瞬断切替装置

【課題】無瞬断の切り替えを要求するコネクションと無瞬断の切り替えを要求しないコネクションとが混在する伝送路が接続されている場合でも、コネクションごとに無瞬断の切り替えが可能な無瞬断切替装置を提供する。
【解決手段】無瞬断切替装置としてのノード装置が備える送信部34は、複数の位相調整選択部42,43と、振分部41とを備える。位相調整選択部42,43の各々は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションのパスに障害が発生した場合、選択するデータを無瞬断で切り換えることができる。振分部41は、取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを各データに含まれる内容に基づいて判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断した場合に、コネクションごとに異なる位相調整選択部42,43へ当該データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無瞬断切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置間で連続的に又は間欠的にデータを送受信するデータ通信において、通信回線やノード装置に障害が発生した場合であってもデータ通信を継続できるようにするために、異なる2つのパスを介して装置間のデータ通信を行う方式がある。
【0003】
例えば、1:1切替(プロテクション)方式では、送信側の装置が通常は現用系のパスのみを介してデータを送信し、障害が発生した場合にはデータを送信するパスを予備系パスへ切り替える。この方式では、現用系のパスに障害が発生した場合、受信側の装置は、障害が発生してから送信側の装置がその障害を検出してパスを切り替えるまでに送信されたデータを受信することができない。そのため、受信側の装置が、送信側の装置から送信されたデータの一部を受信することができなくなること(瞬断)が生じる。
【0004】
これに対して、1+1切替(プロテクション)方式では、送信側の装置が常時、現用系のパスと予備系のパスとに同じ本体部を含むデータを送信する。受信側の装置は通常は、現用系のパスと予備系のパスとを介して送信された本体部が同じデータを受信する。受信側の装置は、本体部が同じデータを重ねて受信した場合、現用系のパスを介して受信したデータを選択し、予備系のパスを介して受信したデータを廃棄する。現用系のパスに障害が発生した場合、受信側の装置は、選択するデータを受信したパスを現用系のパスから予備系のパスへ切り替える。この方式によれば、現用系のパスに障害が発生した場合であっても、受信側の装置は、送信側の装置から送信されたデータを予備系のパスを介して欠落なく受信することができる。
【0005】
例えば特許文献1には、2系統のパスを経由してデータ通信を行う無瞬断SDH伝送システムが開示されている。この無瞬断SDH伝送システムに備えられる受信側の無瞬断SDH伝送装置は、各フレームのパスにより発生する伝送遅延差および、障害検出時間を反映した位相調整を行う位相調整部と、位相調整部からの出力の一方をフレーム単位に選択し送信するセレクタとを備える。これによって、障害が発生した時に、選択するデータを受信したパスを切り換えてもデータの連続性を損なわず、無瞬断の切り替えができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−135923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に1つの通信回線により提供される伝送路に複数のコネクションのパスが混在することがある。特許文献1に記載された無瞬断SDH伝送装置は伝送路ごとに位相を合わせる。そのため、無瞬断の切り替えを要求するコネクションと無瞬断の切り替えを要求しないコネクションとが無瞬断SDH伝送装置に接続される伝送路に混在する場合に、各コネクションごとの無瞬断の切り替えに対応することができない。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、無瞬断の切り替えを要求するコネクションと無瞬断の切り替えを要求しないコネクションとが混在する伝送路が接続されている場合であっても、無瞬断の切り替えを要求するコネクションについて無瞬断の切り替えが可能な無瞬断切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る無瞬断切替装置は、
接続される複数の伝送路のそれぞれを介してデータを受信する複数の受信手段と、
接続される伝送路を介してデータを送信する送信手段と、
前記各受信手段によって受信されたデータを取得し、当該取得した各データが示すパスに応じた前記送信手段へ当該各データを出力するスイッチ手段とを備え、
前記送信手段は、
前記複数の受信手段のいずれかによって受信されたデータを取得した場合に、当該取得したデータの位相を調整するとともに、前記複数の受信手段のうち異なる受信手段によって受信された同じデータがあるか否かを判断し、同じデータがあると判断したときには、当該同じデータのうち予め定められた前記受信手段によって受信されたデータを選択し、同じデータがないと判断したときには、当該取得したデータを選択する複数の位相調整選択手段と、
前記スイッチ手段から出力された各データを取得し、当該取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを当該各データに含まれる内容に基づいて判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断した場合に、当該コネクションごとに異なる前記位相調整選択手段へ当該データを出力する振分手段と、
前記位相調整選択手段によって選択されたデータを多重して前記送信手段に接続された送信路へ出力する多重手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無瞬断切替装置は振分手段と複数の位相調整選択手段とを備える。振分手段は、データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断した場合に、コネクションごとに異なる位相調整選択手段へデータを出力する。したがって、無瞬断の切り替えを要求するコネクションと無瞬断の切り替えを要求しないコネクションとが混在する伝送路が接続されている場合であっても、無瞬断の切り替えを要求するコネクションについて無瞬断の切り替えが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係るネットワークの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るノード装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る送信部の構成を示すブロック図である。
【図4】位相調整選択部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る転送処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】多重送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】選択処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係るノード装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る転送処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3に係るノード装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る転送処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。また、同一の要素に関して重複する説明は省略する。
【0013】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る無瞬断切替装置としてのノード装置1〜7は、図1に示すようにネットワーク11に設けられたデータを転送する装置である。
【0014】
データは、例えばパケットであってもよい。データは、また例えば、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)又はOTN(Optical Transport Network)などのTDM(Time Division Multiplexing)データであってもよい。
【0015】
SDH又はOTNにおけるデータであれば、ノード装置1〜7は、例えばSDHクロスコネクト装置、ODU(Opticalchannel Data Unit)クロスコネクト装置などである。
【0016】
ネットワーク11において、ノード装置1は伝送路13〜15に接続されている。ノード装置2は伝送路14,16〜18に接続されている。ノード装置3は伝送路17,19に接続されている。ノード装置4は伝送路19,22,24に接続されている。ノード装置5は伝送路15,20に接続されている。ノード装置6は伝送路18,20,21に接続されている。ノード装置7は伝送路21〜23に接続されている。なお、伝送路13〜24は、データが流通する経路であって、有線又は無線の通信回線によって提供される。
【0017】
伝送路13には、コネクションP,Q及びRが収容されており、伝送路16にはコネクションSが収容されている。伝送路24には、コネクションP,Q及びSが収容されており、伝送路23にはコネクションRが収容されている。
【0018】
ここで、コネクションとは、装置間で確立される接続関係である。コネクションには、その接続関係において要求される内容に応じて、異なる種別のものがある。コネクションP及びSの各々は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションである。コネクションQは、瞬断を許容する切り替えを要求するコネクションである。コネクションRは、切り替えを要求しないコネクションである。
【0019】
無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sおよび瞬断を許容する切り替えを要求するコネクションQでは、現用系のパスと予備系のパスとを介して送信側の装置と受信側の装置との間の接続が確立される。コネクションP、Qでは、現用系のパスに伝送路14,17,19が使用され、予備系のパスに伝送路15,20,21,22が使用され、コネクションSでは、現用系のパスに伝送路17,19が使用され、予備系のパスに伝送路18,21,22が使用される。
【0020】
ネットワーク11ではノード装置1は例えば、無瞬断の切り替えを要求するコネクションPにおけるデータを受信したとき、その受信したデータを複製し、複製したデータのヘッダ部に予備系のパスを介するデータであることを付してデータを生成する。ノード装置1は例えば、複製元のデータを現用系のパスへ、生成したデータを予備系のパスへ送信する。これによって、現用系のパスと予備系のパスとのそれぞれには同じデータが送信される。
【0021】
ネットワーク11ではノード装置4は例えば、現用系及び予備系のパスが収容された伝送路19及び22を介してコネクションP又はSにおける同じデータを受信する。そして、ノード装置4は、同じデータのうち、現用系のパスを介して受信したデータを選択して伝送路24へ送信する。
【0022】
ノード装置4は、現用系のパスを形成する伝送路14,17,19及びノード装置2,3のいずれかで障害が発生した場合、現用系のパスから予備系のパスへ、選択するデータを切り換える。
【0023】
このように、ノード装置4では、現用系のパスと予備系のパスとを介して同じデータを受信するので、詳細後述するように、ノード装置1から送信されたデータを欠落なく受信して切り換えること(無瞬断の切り替え)ができる。
【0024】
瞬断を許容する切り替えを要求するコネクションQでは、通常は現用系のパスを介して接続が確立され、現用系のパスで障害が発生したときは予備系のパスを介して接続が確立される。コネクションQでは、現用系のパスに伝送路14,17,19が使用され、予備系のパスに伝送路15,20,21,22が使用される。
【0025】
コネクションQでは送信側の装置は通常、コネクションP,Sと異なり、現用系のパスのみを介してデータを送信する。送信側の装置(例えば、ノード装置1)は、障害が発生した場合にはそれを検知し、その後にデータを送信するためのパスを予備系のパスへ切り換えて送信する。したがって、受信側の装置(例えば、ノード装置4)は、現用系のパスに障害が発生してからそれが検知されてパスが切り換えられる前に送信側の装置が送信したデータを受信できないことになる。
【0026】
切り替えを要求しないコネクションRでは、1つのパスを介して接続が確立される。コネクションRのパスでは、伝送路15,20,21が使用される。したがって、そのパスに障害が発生した場合には、その障害が復旧するまで送信側の装置と受信側の装置との間の通信は断たれることになる。
【0027】
ノード装置1〜7の各々は、接続された伝送路13〜24を介してデータを受信し、受信したデータを解析することによってそのデータのパスを判断し、判断したパスに応じた伝送路13〜24へデータを送信する。
【0028】
本実施の形態では、伝送路13〜24において図1の矢印方向にデータが流れる場合を例に説明する。すなわち、例えばノード装置4はコネクションP,Q及びSのそれぞれについて、伝送路19又は22を介してデータを受信し、伝送路24を介してデータを送信する。
【0029】
ノード装置4が備える構成について図2を参照して説明する。なお、ノード装置1〜3,5〜7の構成も、ノード装置4の構成と同様であってよい。
【0030】
ノード装置4は、同図に示すように、2つの受信部31,32とスイッチ部33と2つの送信部34,35とを備える。受信部31,32及び送信部34の各々は、伝送路19,22又は24が接続される通信インタフェースである。
【0031】
詳細には、受信部31にはコネクションP,Q,Sの現用系のパスが収容される伝送路19が接続されており、受信部31は伝送路19を介してデータを受信する。受信部32にはコネクションP,Q,Sの予備系のパスが収容される伝送路22が接続されており、受信部32は伝送路22を介してデータを受信する。
【0032】
送信部34にはコネクションP,Q,Sが収容される伝送路24が接続されており、送信部34は伝送路24を介してデータを送信する。送信部34は詳細後述するように、必要に応じて、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP又はSにおけるデータについて無瞬断の切り替えを行う。なお、ノード装置4の送信部35には伝送路が接続されていない。
【0033】
スイッチ部33は、受信部31,32の各々によって受信されたデータを取得し、取得した各データの転送先に応じた送信部34又は35へ各データを出力する回路である。出力先は例えば、スイッチ部33がデータのヘッダ部を解析し、そのヘッダ部に含まれるパスが収容された伝送路24が接続された送信部34に決定されるとよい。
【0034】
なお、ノード装置4の場合、送信部34に伝送路24が接続され、送信部35に伝送路が接続されていないため、スイッチ部33は送信部34へ常に出力することになる。
【0035】
これに対して、例えばノード装置2の場合、その送信部34,35のそれぞれに伝送路17,18が接続されている。そのため、スイッチ部33は、コネクションP又はQにおけるデータであれば伝送路17が接続された送信部34へ、コネクションSにおけるデータであれば伝送路18が接続された送信部35へ出力する。
【0036】
送信部34の詳細な構成について図3を参照して説明する。なお、送信部35の構成は、送信部34と同様であってよい。
【0037】
送信部34は、同図に示すように、振分部41と、複数の位相調整選択部42,43と、多重部44とを備える。振分部41と位相調整選択部42,43の各々とは、現用系パス用の配線45a,46aと予備系パス用の配線45b,46bとを含む無瞬断コネクション用の配線45,46により接続される。振分部41と多重部44とは、瞬断許容コネクション用の配線47で接続される。
【0038】
振分部41は、スイッチ部33から出力された各データを取得する。振分部41は、取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるものであるか否かを各データに含まれるヘッダ部に基づいて判断する。
【0039】
無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるデータであると判断した場合、振分部41は、コネクションP,Sごとに異なる位相調整選択部42,43へ無瞬断コネクション用の配線45,46を介してデータを出力する。
【0040】
振分部41がコネクションごとに位相調整選択部42,43のいずれへ出力するかは、予め設定されるとよい。ノード装置4では、位相調整選択部42にはコネクションPが割り当てられており、位相調整選択部43にはコネクションSが割り当てられているとする。
【0041】
この場合、コネクションPの現用系のパスを介して受信されたデータは、現用系パス用の配線45aを介して位相調整選択部42へ出力される。コネクションPの予備系のパスを介して受信されたデータは、予備系パス用の配線45bを介して位相調整選択部42へ出力される。
【0042】
コネクションSの現用系のパスを介して受信されたデータは、現用系データの配線46aを介して位相調整選択部43へ出力される。コネクションSの予備系のパスを介して受信されたデータは、予備系パス用の配線46bを介して位相調整選択部43へ出力される。
【0043】
振分部41は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータではないと判断した場合、瞬断許容コネクション用の配線47を介して多重部44へデータを出力する。
【0044】
位相調整選択部42,43の各々は、データを振分部41から取得した場合に、必要に応じて選択するデータを無瞬断で切り換える。位相調整選択部42の詳細な構成を図4に示す。なお、位相調整選択部43の詳細な構成も、位相調整選択部42と同様であってよい。
【0045】
位相調整選択部42は、同図に示すように、現用系バッファ51と、予備系バッファ52と、バッファ制御部53と、選択部54とを備える。
【0046】
現用系バッファ51と予備系バッファ52とは一時的にデータを保持するバッファである。現用系バッファ51は、現用系パス用の配線45aを介して振分部41から出力されたデータを保持する。予備系バッファ52は、予備系パス用の配線45bを介して振分部41から出力されたデータを保持する。
【0047】
バッファ制御部53は、現用系バッファ51と予備系バッファ52とのそれぞれに保持されるデータを振分部41から取得し、現用系バッファ51と予備系バッファ52とのそれぞれから位相を合わせてデータを読み出すための制御を行う回路である。
【0048】
同じデータであっても一般に、現用系のパスと予備系のパスとの物理的な距離の違いなどによって、現用系バッファ51と予備系バッファ52とへ出力される時間には違いが生じる。バッファ制御部53は、振分部41が現用系バッファ51と予備系バッファ52とのそれぞれへ出力するデータを、その出力と同時に振分部41から取得する。そのため、例えば同じデータが現用系バッファ51と予備系バッファ52とへ格納される時期を監視することによって伝送遅延時間を算出することができる。
【0049】
バッファ制御部53は、例えば算出した伝送遅延時間などに応じて現用系バッファ51と予備系バッファ52から読み出す時期を制御する。これによって、現用系バッファ51と予備系バッファ52とのそれぞれから位相を合わせてデータを読み出すように制御することができる。
【0050】
なお、同じデータであるか否かは、本体部の内容を直接比較することによって判断されてもよく、本体部の内容を特定できるヘッダ部の内容を比較することによって判断されてもよい。
【0051】
選択部54は、バッファ制御部53による制御の下、現用系バッファ51と予備系バッファ52とのそれぞれから位相を合わせてデータを読み出し、読み出したデータを適宜選択する回路である。
【0052】
現用系バッファ51と予備系バッファ52との両者から、又は現用系バッファ51のみから、データが読み出された場合には、選択部54は、現用系バッファ51から読み出したデータを選択する。
【0053】
予備系バッファ52のみからデータが読み出された場合には、選択部54は、選択するデータを予備系バッファ52から読み出したデータへ切り換える。
【0054】
選択部54は、現用系バッファ51又は予備系バッファ52から読み出して選択したデータを多重部44へ出力する。
【0055】
このように、バッファ制御部53の制御の下で選択部54は、現用系バッファ51と予備系バッファ52とのそれぞれから位相を合わせてデータを読み出す。予備系バッファ52のみからデータが読み出された場合は、現用系のパスに障害が発生しており、現用系のパスを介してデータが受信されていない。この場合であっても、データは予備系のパスを介して受信されているため、上述のように選択部54がデータを切り換えて選択することによって、無瞬断の切り替えが可能になる。
【0056】
ここで、現用系のパスの障害とは例えば、現用系のパスを構成するノード装置2,3及び伝送路14,17,19のいずれかに発生し、現用系のパスを介して正常にデータを送受信できなくなることをいう。
【0057】
図3に戻り、多重部44は、振分部41又は位相調整選択部42,43から出力されたデータを取得し、取得したデータを多重するマルチプレクサなどの回路である。多重部44は、接続されている伝送路24へ多重したデータを出力する。
【0058】
これまで、本発明の実施の形態1に係る無瞬断切替装置としてのノード装置1〜7の構成について説明した。ここから、ノード装置1〜7の各々がデータを転送するために実行する転送処理の流れについて説明する。
【0059】
ノード装置1〜7の各々が実行する転送処理の流れは同じであってよく、ノード装置4が実行する場合を例に図5を参照して説明する。
【0060】
受信部31又は32はそれぞれ、伝送路19又は22を介してデータを受信する(ステップS101)。受信部31,32は、データを受信すると、そのデータをスイッチ部33へ出力する。
【0061】
スイッチ部33は受信部31,32から出力されたデータを取得する(ステップS102)。
【0062】
スイッチ部33は、例えば取得したデータのヘッダ部を解析することによってそのデータのパスを特定する。そして、スイッチ部33は、特定したパスが収容された伝送路24が接続された送信部34を特定する(ステップS103)。
【0063】
スイッチ部33は、特定した送信部34へ、取得したデータを出力する(ステップS104)。
【0064】
送信部34は、スイッチ部33からデータを取得すると、取得したデータを適宜選択し多重して伝送路24へ送信し(ステップS105)、転送処理を終了する。
【0065】
送信部34が実行する多重送信処理(ステップS105)の詳細な流れについて図6を参照して説明する。
【0066】
振分部41は、スイッチ部33からデータを取得する(ステップS111)。
【0067】
振分部41は、取得したデータが出力されたコネクションの種別を例えばそのデータのヘッダ部を解析することによって判断する(ステップS112)。
【0068】
データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるものであると判断した場合(ステップS112;無瞬断切替)、振分部41は、さらにコネクションP,Sを特定する。そして、振分部41は、コネクションPと特定した場合には位相調整選択部42へ、コネクションSと特定した場合には位相調整選択部43へデータを出力する(ステップS113)。
【0069】
位相調整選択部42,43の各々は、振分部41からデータを取得すると、取得したデータのうち1つを選択し、その選択したデータを多重部44へ出力する(ステップS114)。
【0070】
選択処理(ステップS114)における詳細な処理の流れについて、図7を参照して説明する。
【0071】
同図に示すように、位相調整選択部42,43の各々は、受信部31又は32によって受信されたデータをスイッチ部33及び振分部41を介して取得する(ステップS131)。
【0072】
具体的には、コネクションPの現用系のパスが収容された伝送路19が接続された受信部31によって取得されたデータは、振分部41によって現用系パス用の配線45aを介して位相調整選択部42の現用系バッファ51に格納される。これによって、位相調整選択部42は、コネクションPの現用系のパスを介して受信されたデータを取得する。
【0073】
また、コネクションPの予備系のパスが収容された伝送路22が接続された受信部32によって取得されたデータは、振分部41によって予備系パス用の配線45bを介して位相調整選択部42の予備系バッファ52に格納される。これによって、位相調整選択部42は、コネクションPの予備系のパスを介して受信されたデータを取得する。
【0074】
選択部54は、バッファ制御部53による制御の下で位相を調整して、例えば位相を合わせて現用系バッファ51及び予備系バッファ52からデータを読み出す(ステップS132)。
【0075】
選択部54は、現用系バッファ51から読み出したデータがあるか否かを判断する(ステップS133)。
【0076】
現用系バッファ51から読み出したデータがあると判断した場合(ステップS133;Yes)、選択部54は、現用系バッファ51から読み出したデータを選択する(ステップS134)。
【0077】
現用系バッファ51から読み出したデータがないと判断した場合(ステップS133;No)、選択部54は、選択するデータを現用系バッファ51から予備系バッファ52へ切り替える。これにより、選択部54は、予備系バッファ52から読み出したデータを選択する(ステップS135)。
【0078】
選択部54は、現用系データ選択処理(ステップS134)又は予備系データ選択処理(ステップS135)において選択したデータを多重部へ出力し(ステップS136)、選択処理(ステップS114)を終了する。
【0079】
図6に戻る。
データが瞬断を許容する切り替えを要求するコネクションQにおけるものであると判断した場合(ステップS112;瞬断許容切替)、振分部41は、瞬断許容コネクション用の配線47を介してそのデータを多重部44へ出力する(ステップS115)。
【0080】
データが切り替えを要求しないコネクションRにおけるものであると判断した場合(ステップS112;切替不要)、振分部41は、瞬断許容コネクション用の配線47を介してそのデータを多重部44へ出力する(ステップS116)。
【0081】
多重部44は、位相調整選択部42,43から出力されたデータと振分部41から出力されたデータとの少なくともいずれかを取得した場合に、取得したデータを多重する(ステップS117)。
【0082】
多重部44は、多重したデータを伝送路24を介して送信し(ステップS118)、多重送信処理(ステップS103)を終了する。
【0083】
以上、本発明の実施の形態1について説明した。
【0084】
本実施の形態によれば、ノード装置4が2つの送信部34,35を備え、各送信部34,35が振分部41と2つの位相調整選択部42,43とを備える。振分部41は、取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるものであるか否かを判断する。無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるデータであると判断した場合、振分部41は、コネクションP,Sごとに異なる位相調整選択部42,43へデータを出力する。各位相調整選択部42,43は、現用系のパスに障害が発生した場合、選択するデータを無瞬断で切り換えることができる。したがって、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sと無瞬断の切り替えを要求しないコネクションQとが混在する伝送路19,22を介してデータを受信した場合であっても、ノード装置4は無瞬断の切り替えを要求する各コネクションP,Sについて無瞬断の切り替えが可能になる。
【0085】
振分部41は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータではないと判断した場合、瞬断許容コネクション用の配線47を介して多重部44へそのデータを出力する。
【0086】
この点について、送信部34が、コネクションP,Sが割り当てられた位相調整選択部42,43に加えて別の位相調整選択部を備え、瞬断を許容するコネクションQにおけるデータは、別の位相調整選択部へ出力されてもよい。この場合、コネクションQでは通常は現用系のパスのみを介してデータが受信されるため、選択部54は現用系バッファ51を介してデータを取得し多重部44へ出力することになる。また、コネクションQでは現用系のパスに障害が発生した場合、予備系のパスを介してデータが受信されるため、選択部54は予備系バッファ52を介してデータを取得し多重部44へ出力することになる。
【0087】
本実施の形態によれば、瞬断を許容するコネクションQのために別の位相調整選択部を備える必要がない。本実施の形態では、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sの数と等しい数の位相調整選択部42,43を備えるだけで、接続された伝送路19,22に収容されたコネクションP,Q,Sの要求に応じることができる。したがって、各送信部34,35、ひいては各ノード装置1〜7のコンパクト化、低コスト化が可能になる。
【0088】
本実施の形態では、各位相調整選択部42,43が現用系バッファ51と予備系バッファ52とを備え、選択部54がバッファ制御部53の制御の下、位相を合わせて現用系のパスのデータと予備系のパスのデータとを読み出して選択する。これにより、現用系のパスに障害が発生した場合、選択部54は、選択するデータのパスを現用系のパスから予備系のパスへ、データを欠落させることなく切り換えること、すなわち、無瞬断の切り替えが可能になる。
【0089】
なお、本発明の実施の形態1は、これまで説明した形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形を含んでよい。
【0090】
例えば本実施の形態ではノード装置1〜7の各々が、2つの受信部31,32と2つの送信部34,35とを備える例により説明した。しかし、ノード装置1〜7の各々は2つ以上の任意の数の受信部31,32を備えてもよく、任意の数の送信部34,35を備えてよい。
【0091】
ノード装置1〜7の各々が備える受信部31,32の数を増やすことによって、ノード装置1〜7の各々は、より多くの伝送路を介してデータを受信して転送することが可能になる。また、ノード装置1〜7の各々が備える送信部34,35の数を増やすことによって、ノード装置1〜7の各々は、受信したデータをより多くの伝送路へ送信することが可能になる。
【0092】
本実施の形態では各ノード装置1〜7の送信部34,35の各々が2つの位相調整選択部42,43を備える例によって説明した。しかし、送信部34,35の各々は、2つ以上の任意の数の位相調整選択部42,43を備えてよい。
【0093】
各ノード装置1〜7が対応可能な無瞬断の切り替えを要求するコネクションの数は、位相調整選択部42,43の数と同じになる。そのため、各送信部34,35が備える位相調整選択部42,43の数を増やすことによって、無瞬断の切り替えを要求するより多くのコネクションに対応することが可能になる。
【0094】
本実施の形態では選択部54が、通常は現用系のパスを介して受信されたデータを選択し、現用系のパスに障害が発生した時に予備系のバスを介して受信されたデータを選択する例により説明した。
【0095】
しかし、選択部54が、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP又はSの異なるパスを介して受信された同じデータについて、いずれのパスを介して受信されたものを選択するかは、適宜定められてよい。その選択方法は任意であってよいが、例えば同じデータのうち、先に受信されたデータを選択する方法であってもよい。このような変形によっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0096】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る無瞬断切替装置としてのノード装置は、実施の形態1と同様のネットワーク11を構成するノード装置1〜7の各々に代えて備えられる。
【0097】
本実施の形態に係るノード装置204の構成を図8に示す。同図に示すように、ノード装置204は、実施の形態1に係るスイッチ部33に代えてスイッチ部233を備える。また、ノード装置204が備える送信部234,235は、実施の形態1に係る送信部34,35の各々が備える振分部41と多重部44とに代えて、振分部241と多重部244とを備える。スイッチ部233と多重部244とは、瞬断許容コネクション用の配線261により接続されている。
【0098】
スイッチ部233は、受信部31又は32からデータを取得すると、実施の形態1に係るスイッチ部33と同様に、データの転送先に応じた送信部234又は235へデータを出力する。これに加えて、スイッチ部233は、データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるものであるか否かを判断する。
【0099】
無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるデータであると判断した場合、実施の形態1に係るスイッチ部33と同様に、スイッチ部233はそのデータを転送先に応じた送信部234又は235の振分部241へ出力する。無瞬断の切り替えを要求しないコネクションQ,Rにおけるデータであると判断した場合、スイッチ部233はそのデータを転送先に応じた送信部234又は235の多重部244へ瞬断許容コネクション用の配線261を介して直接出力する。
【0100】
振分部241は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるデータをスイッチ部233から取得する。振分部241は、実施の形態1に係る振分部41と同様に、コネクションP,Sごとに異なる位相調整選択部42,43へ無瞬断コネクション用の配線45,46を介してデータを出力する。
【0101】
多重部244は、スイッチ部233又は位相調整選択部42,43から出力されたデータを取得し、取得したデータを多重するマルチプレクサなどの回路である。多重部244は、実施の形態1に係る多重部44と同様に、接続されている伝送路24へ多重したデータを出力する。
【0102】
これまで、本実施の形態に係るノード装置204の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係るノード装置204が実行する転送処理の流れについて図9を参照して説明する。
【0103】
同図に示すように、ノード装置204は、実施の形態1と同様に、受信部31又は32による受信処理(ステップS101)と、スイッチ部233によるデータ取得処理(ステップS102)及び送信部特定処理(ステップS103)とを実行する。
【0104】
スイッチ部233は、取得したデータのコネクションの種別を判断する(ステップS201)。この判断の方法は、実施の形態1に係るコネクション種別判断処理(ステップS112)と同様であってよい。
【0105】
データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるものであると判断した場合(ステップS201;無瞬断切替)、スイッチ部233は、特定した送信部234,235の振分部241へデータを出力する(ステップS202)。
【0106】
振分部241は、スイッチ部233からデータを取得すると、そのデータのコネクションP又はSを特定する。振分部241は、例えば実施の形態1に係る振分部41と同様に、コネクションに対応付けて予め定められた位相調整選択部42,43へデータを出力する(ステップS203)。
【0107】
位相調整選択部42,43の各々は、実施の形態1と同様の選択処理(ステップS114)を実行する。
【0108】
データが瞬断を許容する切り替えを要求するコネクションQにおけるものであると判断した場合(ステップS201;瞬断許容切替)、スイッチ部233は、瞬断許容コネクション用の配線261を介してそのデータを多重部244へ出力する(ステップS205)。
【0109】
データが切り替えを要求しないコネクションRにおけるものであると判断した場合(ステップS201;切替不要)、スイッチ部233は、瞬断許容コネクション用の配線261を介してそのデータを多重部244へ出力する(ステップS206)。
【0110】
多重部244は、実施の形態1と同様に多重処理(ステップS117)と送信処理(ステップS118)を実行し、送信処理を終了する。
【0111】
以上、本発明の実施の形態2について説明した。
【0112】
本実施の形態によれば、スイッチ部233は、データが無瞬断の切り替えを要求しないコネクションQ,Rにおけるものであると判断した場合に、そのデータを転送先に応じた送信部234又は235の多重部244へ瞬断許容コネクション用の配線261を介して直接出力する。
【0113】
そのため、振分部241は、データを取得した場合に実施の形態1とは異なり、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるデータであるか否かを判断する必要がない。したがって、振分部241が実行する処理を軽減することができ、各送信部34,35、ひいては各ノード装置1〜7のコンパクト化、低コスト化が可能になる。
【0114】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る無瞬断切替装置としてのノード装置は、実施の形態1と同様のネットワーク11に備えられる。
【0115】
本実施の形態に係るノード装置304は、図10に示すように、実施の形態1に係るスイッチ部33と送信部34,35に代えて、スイッチ部333と送信部334,335とを備える。ノード装置304は、さらに、無瞬断処理部371を備える。
【0116】
無瞬断処理部371は、実施の形態2に係る送信部234と同様の振分部241と位相調整選択部42,43とを備える。また、無瞬断処理部371は、実施の形態2に係る送信部234が備える振分部241と多重部244のそれぞれに代えて、振分部341と多重部344とを備える。
【0117】
振分部341は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるデータをスイッチ部333から取得すると、コネクションP,Sごとに異なる位相調整選択部42,43へ無瞬断コネクション用の配線45,46を介してデータを出力する。
多重部344は、位相調整選択部42又は43から出力されたデータを取得し、取得したデータを多重するマルチプレクサなどの回路である。多重部344は、多重したデータをスイッチ部333へ出力する。
【0118】
スイッチ部333は、受信部31又は32からデータを取得すると、例えば取得したデータのヘッダ部を解析することによってそのデータが無瞬断の切り換えを要求するコネクションP,Sにおけるものであるか否かを判断する。
【0119】
無瞬断の切り換えを要求するコネクションP,Sにおけるデータであると判断した場合、スイッチ部333は、そのデータを無瞬断処理部371へ出力する。
【0120】
無瞬断の切り換えを要求しないコネクションQ,Rにおけるデータであると判断した場合、又は、無瞬断処理部371からデータを取得した場合、スイッチ部333は、そのデータを送信部334又は335へ出力する。
【0121】
ここで、無瞬断処理部371から取得したデータであるか否かは、データのヘッダ部を解析することによって判断されるとよい。そのために、無瞬断処理部371の多重部344は例えば、無瞬断の切り換えを要求しないコネクションにおけるデータであることを示すデータをヘッダに付すとよい。
【0122】
なお、無瞬断処理部371の多重部344は、例えば無瞬断処理部371が出力するデータであることを示す予め定められたデータをヘッダに付してもよい。この場合、スイッチ部333は例えば、そのデータを切替不要のコネクションにおけるデータとして取り扱うとよい。なお、無瞬断処理部371の多重部344は、スイッチ部333が送信部334又は335へ出力すべきことを示す予め定められたデータをヘッダに付してもよい。
【0123】
送信部334,335の各々は、スイッチ部333から出力されたデータを取得し、取得したデータを多重するマルチプレクサなどの回路である。送信部334,335の各々は、接続されている伝送路24へ多重したデータを出力する。
【0124】
これまで、本発明の実施の形態3のノード装置304の構成について説明した。ここから、ノード装置304が実行する転送処理の流れについて図11を参照して説明する。
【0125】
同図に示すように、ノード装置304は、受信部31又は32による受信処理(ステップS101)と、スイッチ部333によるデータ取得処理(ステップS102)及びコネクション種別判断処理(ステップS201)とを実行する。
【0126】
データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションP,Sにおけるものであると判断した場合(ステップS201;無瞬断切替)、スイッチ部333は、無瞬断処理部371の振分部341へデータを出力する(ステップS301)。
【0127】
振分部341は、スイッチ部333からデータを取得すると、そのデータのコネクションP又はSを特定する。振分部341は、実施の形態1に係る振分部41と同様に、コネクションに対応付けて予め定められた位相調整選択部42,43へデータを出力する(ステップS302)。
【0128】
位相調整選択部42,43の各々は、実施の形態1と同様の選択処理(ステップS114)を実行する。
【0129】
多重部344は、位相調整選択部42又は43から出力されたデータを取得した場合に、取得したデータを多重し、多重したデータをスイッチ部333へ出力する(ステップS303)。
【0130】
データが瞬断を許容する切り替えを要求するコネクションQにおけるものであると判断した場合(ステップS201;瞬断許容切替)、又は、データが切り替えを要求しないコネクションRにおけるものであると判断した場合(ステップS201;切替不要)、スイッチ部333は、実施の形態1に係るスイッチ部33と同様にそのデータに応じた送信部334又は335を特定する(ステップS103)。スイッチ部333は、特定した送信部334へデータを出力する(ステップS104)。
【0131】
なお、スイッチ部333は、無瞬断処理部371から出力されたデータを取得した場合も、無瞬断を要求するコネクションにおけるものではない、すなわち例えば、データが切り替えを要求しないコネクションRにおけるものと同様の判断をする。
【0132】
送信部334は、スイッチ部333から出力されたデータを取得し、取得したデータを多重し(ステップS304)、多重したデータを伝送路24を介して送信し(ステップS305)、転送処理を終了する。
【0133】
以上、本発明の実施の形態3について説明した。
【0134】
本実施の形態によれば、送信部334,335のそれぞれが、コネクションP,Sにおけるデータを共通の無瞬断処理部371を介して取得する。そのため、無瞬断の切り替えのために、送信部334,335のそれぞれが振分部341と位相調整選択部42,43と多重部344とを備える必要がない。したがって、本実施の形態によれば、一般的な通信インタフェースを送信部334,335に適用することが可能になる。
【0135】
本実施の形態によれば、位相調整選択部42,43の数が、送信部334及び335に接続された伝送路24に収容される無瞬断の切り替えが必要なコネクションP,Sの総数以上であれば、無瞬断の切り替えが必要なコネクションが送信部334及び335に接続された伝送路のそれぞれに幾つ収容されているかに関わらず、それらのコネクションのすべてについて無瞬断の切り替えを実現することができる。
【0136】
したがって、接続される伝送路ごとに無瞬断の切り替えが必要なコネクションの数が異なるような場合であっても、位相調整選択部42,43の無駄を生じさせることなく、柔軟に対応することが可能になる。
【0137】
この効果について具体的に、無瞬断の切り替えが必要なコネクションが3つ収容された伝送路Aと無瞬断の切り替えが必要なコネクションが1つ収容された伝送路Bを送信部334と送信部335とのいずれかに接続する場合を例に説明する。
【0138】
実施の形態1に係るノード装置4において、送信部34が3つの位相調整選択部を備え、送信部35が1つの位相調整選択部を備える場合、伝送路AとBのすべてのコネクションについて無瞬断の切り替えを実現するには、伝送路Aを送信部34に接続し、伝送路Bを送信部35に接続する必要がある。
【0139】
本実施の形態に係るノード装置304であれば、無瞬断処理部371が4つ以上の位相調整選択部を備えていれば、送信部34,35のいずれに伝送路A,Bを接続しても、伝送路AとBのすべてのコネクションについて無瞬断の切り替えを実現することができる。したがって、本実施の形態に係るノード装置304によって、接続される伝送路ごとに無瞬断の切り替えが必要なコネクションの数が異なるような場合であっても、柔軟に対応することが可能になる。
【0140】
送信部34,35のいずれに伝送路A,Bを接続してもよいように仮に実施の形態1に係るノード装置4において実現するには、送信部34と送信部35のいずれもが3つの位相調整選択部を備える必要がある。この場合、伝送路Bが接続される送信部34又は35が備える位相調整選択部のうち2つは使用されないことになり無駄が生じてしまう。しかし、本実施の形態に係るノード装置304であれば、位相調整選択部の無駄を生じることもない。
【0141】
したがって上述のように、本実施の形態によれば、位相調整選択部42,43の無駄を生じさせることなく、柔軟に対応することが可能になる。
【0142】
本実施の形態によれば、無瞬断処理部371はスイッチ部333から出力されるデータを取得し、スイッチ部333へデータを出力する。これを実現するためには、スイッチ部333が送信部334,335のために備える出力インタフェースに無瞬断処理部371の入力インタフェースを接続するとよい。また、スイッチ部333が受信部31,32のために備える入力インタフェースに無瞬断処理部371の出力インタフェースを接続するとよい。
【0143】
したがって、受信部31,32とスイッチ部333と送信部334,335とを備える一般的なノード装置に無瞬断処理部371を上述のように接続するだけで、ノード装置304を容易に実現することができる。例えば無瞬断処理部371を1つの回路基板又は装置として構成すれば、ノード装置304をより容易に実現することが可能になる。
【0144】
さらに例えば、ノード装置304の運用において、無瞬断の切り替えを要求するコネクションを最初はサポートしていなかったが、途中からそのサポートを開始するようになった場合やそのようなコネクションの数が増えた場合には、無瞬断処理部371を新たに取り付けるか又は増設することで対応できる。したがって、本実施の形態によれば無瞬断の切り替えを要求するコネクションのサポートを途中から開始する場合やそのようなコネクションの数が増加した場合に、容易に対応することができ、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0145】
さらに、無瞬断処理部371を新たに取り付ける際や増設する際に、ノード装置304が稼働中であるとしても、その動作に影響を与えることなく取り付け、又は増設ができる。したがって、ネットワークを中断させることなく、無瞬断の切り替えを要求するコネクションの発生やその数が増加に対応することができ、ユーザにとってきわめて利便性のよいノード装置304を提供することが可能になる。
【0146】
以上、本発明の実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば各実施の形態及び各変形例を適宜組み合わせた態様、またそれらと均等な技術的範囲をも含む。
【符号の説明】
【0147】
1,2,3,4,5,6,7,204,304 ノード装置
11 ネットワーク
13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24 伝送路
31,32 受信部
33,233,333 スイッチ部
34,35,234,235,334,335 送信部
41,241,341 振分部
42,43 位相調整選択部
44,244,344 多重部
51 現用系バッファ
52 予備系バッファ
53 バッファ制御部
54 選択部
371 無瞬断処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される複数の伝送路のそれぞれを介してデータを受信する複数の受信手段と、
接続される伝送路を介してデータを送信する送信手段と、
前記各受信手段によって受信されたデータを取得し、当該取得した各データが示すパスに応じた前記送信手段へ当該各データを出力するスイッチ手段とを備え、
前記送信手段は、
前記複数の受信手段のいずれかによって受信されたデータを取得した場合に、当該取得したデータの位相を調整するとともに、前記複数の受信手段のうち異なる受信手段によって受信された同じデータがあるか否かを判断し、同じデータがあると判断したときには、当該同じデータのうち予め定められた前記受信手段によって受信されたデータを選択し、同じデータがないと判断したときには、当該取得したデータを選択する複数の位相調整選択手段と、
前記スイッチ手段から出力された各データを取得し、当該取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを当該各データに含まれる内容に基づいて判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断した場合に、当該コネクションごとに異なる前記位相調整選択手段へ当該データを出力する振分手段と、
前記位相調整選択手段によって選択されたデータを多重して前記送信手段に接続された送信路へ出力する多重手段とを備える
ことを特徴とする無瞬断切替装置。
【請求項2】
前記振分手段は、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータでないと判断した場合に、前記多重手段へ当該データを出力し、
前記多重手段は、前記位相調整選択手段から出力されたデータと前記振分手段から出力されたデータとを多重して前記送信路へ出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の無瞬断切替装置。
【請求項3】
接続される複数の伝送路のそれぞれを介してデータを受信する複数の受信手段と、
前記複数の受信手段のいずれかによって受信されたデータを取得した場合に、当該取得したデータの位相を調整するとともに、前記複数の受信手段のうち異なる受信手段によって受信された同じデータがあるか否かを判断し、同じデータがあると判断したときには、当該同じデータのうち予め定められた前記受信手段によって受信されたデータを選択し、同じデータがないと判断したときには、当該取得したデータを選択する複数の位相調整選択手段と、
前記複数の受信手段のいずれかによって受信されたデータを取得した場合に、当該取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを当該各データに含まれる内容に基づいて判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断したときには、当該コネクションごとに異なる前記位相調整選択手段へ当該データを出力する振分手段と、
前記位相調整選択手段の各々によって選択されたデータを多重して、接続される伝送路を介してデータを送信する多重手段と、
前記各受信手段によって受信されたデータを取得し、当該取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを当該各データに含まれる内容に基づいて判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断した場合には、当該データが示すパスに応じた前記振分手段へ当該データを出力し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータでないと判断した場合には、当該データが示すパスに応じた前記多重手段へ当該データを出力するスイッチ手段とを備える
ことを特徴とする無瞬断切替装置。
【請求項4】
前記位相調整選択手段の各々は、
無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおいて優先的に選択されるデータのパスとして予め定められた現用系のパスを収容する前記伝送路が接続される前記受信手段により受信されたデータを保持する現用系バッファと、
前記無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおいて前記現用系のパスと同じデータが流通し、前記現用系のパスに障害が発生した場合に選択されるデータのパスとして予め定められた予備系のパスを収容する前記伝送路が接続される前記受信手段により受信されたデータを保持する予備系バッファと、
前記現用系のバッファに保持されたデータと前記予備系のバッファに保持されたデータとを位相を合わせて読み出すように制御するバッファ制御手段と、
前記バッファ制御手段による制御に従うことによって前記現用系バッファ及び前記予備系のバッファから位相を合わせてデータを読み出し、前記現用系バッファと前記予備系のバッファとの両バッファからデータを読み出すことができたか否かを判断し、両バッファから読み出すことができたと判断したときには、当該読み出したデータのうち前記現用系バッファから読み出したデータを選択し、両バッファから読み出すことができなかったと判断したときには、当該読み出したデータを選択する選択手段とを備え、
前記振分手段は、さらに、当該取得した各データが前記現用系のパスにおけるものであるか前記予備系のパスにおけるものであるかを判断し、前記現用系のパスにおけるデータであると判断したときには、当該データを前記現用系のバッファへ出力し、前記予備系のパスにおけるデータであると判断したときには、当該データを前記予備系のバッファへ出力する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無瞬断切替装置。
【請求項5】
接続される複数の伝送路のそれぞれを介してデータを受信する複数の受信手段と、
接続される伝送路を介してデータを送信する送信手段と、
前記複数の受信手段のいずれかによって受信されたデータを取得した場合に、当該取得したデータの位相を調整するとともに、前記複数の受信手段のうち異なる受信手段によって受信された同じデータがあるか否かを判断し、同じデータがあると判断したときには、当該同じデータのうち予め定められた前記受信手段によって受信されたデータを選択し、同じデータがないと判断したときには、当該取得したデータを選択する複数の位相調整選択手段と、
前記受信手段によって受信されたデータを取得した場合に、当該取得したデータをコネクションごとに異なる前記位相調整選択手段へ出力する振分手段と、
前記各受信手段に受信されたデータを取得し、当該取得した各データが無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるものであるか否かを当該各データに含まれる内容に基づいて判断し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータであると判断した場合には、当該データを前記振分手段へ出力し、無瞬断の切り替えを要求するコネクションにおけるデータでないと判断した場合には、当該データを前記送信手段へ出力するスイッチ手段と、
前記各位相調整選択手段によって選択されたデータを多重し、当該多重したデータを、無瞬断を要求するコネクションにおけるデータではないものとして前記スイッチ手段へ出力する多重手段とを備える
ことを特徴とする無瞬断切替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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