説明

無端ベルト、無端ベルトの製造方法、無端ベルト駆動装置及び画像形成装置

【課題】 無端ベルトを複数のローラーに張架させて回転移動させるにあたり、無端ベルトの周縁部における段差部が無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材に当たって、無端ベルトに割れが生じるのを防止する。
【解決手段】 周縁部に幅方向の段差部201aが形成された無端ベルト本体201の周縁部に沿って補強部材202が貼付された無端ベルトからなる中間転写ベルト20において、無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と異なるようにして、補強部材に幅方向の段差部202aを形成し、この中間転写ベルトの周縁部を従動ローラー22における蛇行規制部材23に接触させるようにして、駆動ローラー21と従動ローラー22との間で回転移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,ファクシミリ,プリンター及びこれらの複合機などの画像形成装置における中間転写ベルト等に使用される無端ベルト、このような無端ベルトの製造方法、この無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置及びこの無端ベルト駆動装置を用いた前記の画像形成装置に関するものである。特に、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させるようにすると共に、少なくとも1つのローラーの軸方向端部に蛇行規制部材を設け、この蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて無端ベルトが蛇行するのを規制するにあたり、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトであっても、この段差部が前記の蛇行規制部材に当たって、無端ベルトに割れが生じたりするのを防止する点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な分野において、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させるようにした無端ベルト駆動装置が使用されている。例えば、複写機,ファクシミリ,プリンター及びこれらの複合機などの画像形成装置、特に、複数の像担持体に異なった色彩のトナー像を形成してフルカラーの画像形成を行う画像形成装置においては、無端ベルト状の中間転写ベルトを複数のローラーに張架させ、この中間転写ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させて、各像担持体に形成されたトナー像を前記の中間転写ベルトに転写させることが行われている。
【0003】
ここで、前記のように複数のローラーに張架させた無端ベルトをローラーの回転により回転移動させる場合、無端ベルトが回転移動方向と交差する方向にずれて蛇行するおそれがあった。
【0004】
このため、従来から、無端ベルトを張架させた少なくとも1つのローラーの軸方向端部に蛇行規制部材を設け、この蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて無端ベルトが蛇行するのを規制することが行われている。
【0005】
ここで、所定幅になった無端ベルトを製造する場合、一般に図1に示すように、無端ベルト1よりも幅広になった無端ベルト基材1aを支持ローラー2に張架させて回転移動させながら、刃物3aを無端ベルト1の幅にセットした切断装置3により無端ベルト基材1aを切断させて、無端ベルト1を製造するようにしている。
【0006】
このようにして無端ベルト1を製造した場合、回転移動時における無端ベルト基材31の僅かなずれによって、無端ベルト基材1aの切断開始点と切断終了点とにずれが生じ、図2に示すように、無端ベルト1の周縁部に幅方向の段差部1dが形成されるようになる。
【0007】
そして、このように周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを、前記のように複数のローラーに張架させてローラーの回転により回転移動させると共に、ローラーの軸方向端部に設けられた蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて、無端ベルトが蛇行するのを規制するようにした場合、この無端ベルトにおける段差部が前記の蛇行規制部材にあたり、この段差部に負荷が加わって無端ベルトに割れが生じたりするという問題があった。
【0008】
また、従来においては、前記のような無端ベルトの周縁部を補強するため、無端ベルトの周縁部に沿って補強部材を貼付させることが行われている。
【0009】
ここで、このように無端ベルトの周縁部に補強部材を貼付させるにあたり、従来においては、前記の無端ベルト基材に対して補強部材を貼付し、この補強部材を無端ベルト基材と一緒に前記の切断装置によって切断させるようにしていた。
【0010】
しかし、このように補強部材を無端ベルト基材と一緒に切断させた場合、無端ベルトと同じ位置において補強部材に段差部が形成されるようになり、前記のように蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて、ローラーの回転により無端ベルトを回転移動させると、無端ベルトにおける段差部と一緒に補強部材の段差部が前記の蛇行規制部材にあたり、これらの段差部に負荷が加わり、依然として、無端ベルトに割れが生じるという問題があった。
【0011】
また、特許文献1に示されるものにおいては、前記のように無端ベルト基材を切断装置によって所定幅に切断して無端ベルトを製造するにあたり、前記の段差部の向きが所定方向になるように切断すると共に、このようにして製造した無端ベルトを複数のローラーに張架させるにあたり、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向かうようにしてローラーに張架させるようにし、或いは、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向いている側における無端ベルトの周縁部を蛇行規制部材に接触させるようしてローラーに張架させることが提案されている。
【0012】
しかし、前記のように段差部の向きが所定方向になるように切断したり、このようにして製造した無端ベルトを複数のローラーに張架させるにあたり、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向かうようにしてローラーに張架させたり、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向いている側における無端ベルトの周縁部を蛇行規制部材に接触させるようしてローラーに張架させたりする作業は面倒であり、さらに回転移動される無端ベルトがずれた場合には、依然として、無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材にあたり、この段差部に負荷が加わって無端ベルトに割れが生じたりするという問題があった。
【0013】
さらに、特許文献2に示されるものにおいては、無端ベルトよりも幅広になった無端ベルト基材を所定幅に切断させて無端ベルトを製造するにあたり、切断させる部分を他の部分よりも拡開させた状態で、この無端ベルト基材を切断装置により切断させて、無端ベルトの周縁部に形成される段差部を小さくすることが提案されている。
【0014】
しかし、前記のようにして無端ベルト基材を切断させる作業は面倒であり、また段差部が小さいとしても、依然として、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材にあたり、無端ベルトに割れが生じたりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−309925号公報
【特許文献2】特開2008−36725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させるようにすると共に、少なくとも1つのローラーの軸方向端部に蛇行規制部材を設け、この蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて無端ベルトが蛇行するのを規制するにあたり、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトであっても、この段差部が前記の蛇行規制部材に当たって、無端ベルトに割れが生じたりするのを適切に防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る無端ベルトにおいては、前記の課題を解決するため、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルト本体の周縁部に沿って補強部材が貼付されてなる無端ベルトにおいて、前記の無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と異なるようにして、前記の補強部材に幅方向の段差部が形成されるようにした。
【0018】
ここで、前記の無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置に使用する場合、無端ベルト本体の周縁部における段差部が蛇行規制部材と直接接触するのを防止するため、前記の補強部材を無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出させるようにして、無端ベルト本体の周縁部に沿って貼付させることが好ましい。
【0019】
そして、前記のような無端ベルトを製造するにあたり、本発明における第1の無端ベルトの製造方法においては、無端ベルト本体よりも幅広の無端ベルト基体を回転移動させながら、この無端ベルト基体を無端ベルト本体の幅に対応した位置に刃物をセットした切断装置によって切断させると共に、補強部材を無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出するようにして貼付させ、前記の無端ベルト基体が一周切断された後、前記の切断装置における刃物の位置を幅方向外方に移動させて、この切断装置により前記の補強部材を切断させ、無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と補強部材における幅方向の段差部の位置が異なる無端ベルトを製造するようにしている。
【0020】
また、本発明における第2の無端ベルトの製造方法においては、無端ベルト本体よりも幅広の無端ベルト基体を回転移動させながら、この無端ベルト基体を無端ベルト本体の幅に対応した位置に刃物をセットした切断装置によって切断させると共に、補強部材を無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出するようにして貼付させ、このように貼付された補強部材を、前記の切断装置における刃物の位置よりも刃物の位置が幅方向外方に設けられた第2の切断装置によって切断させ、無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と補強部材における幅方向の段差部の位置が異なる無端ベルトを製造するようにしている。
【0021】
また、本発明における無端ベルト駆動装置においては、前記のような無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させるようにしている。
【0022】
そして、本発明に係る画像形成装置においては、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させるにあたり、前記のような無端ベルト駆動装置を用いるようにした。
【0023】
ここで、前記の画像形成装置において、前記の無端ベルト駆動装置を用いて無端ベルトを回転移動させるにあたっては、例えば、像担持体に形成されたトナー像が転写される無端ベルト状の中間転写ベルトを、前記の無端ベルト駆動装置によって回転移動させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、無端ベルト本体の周縁部に沿って補強部材を貼付させるにあたり、無端ベルト本体の周縁部における段差部と補強部材における幅方向の段差部との位置が異なるようにしたため、このような無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトの周縁部を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設けられた蛇行規制部材に接触させて、ローラーの回転により無端ベルトを回転移動させる場合に、無端ベルトにおける段差部と補強部材の段差部とが一緒に前記の蛇行規制部材にあたるということがなく、無端ベルトの段差部に加わる負荷が軽減されるようになる。特に、この補強部材を無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出させるようにして、無端ベルト本体の周縁部に沿って貼付させると、無端ベルト本体の周縁部における段差部が蛇行規制部材と直接接触するのが防止され、無端ベルト本体の段差部に大きな負荷が加わって、無端ベルトに割れが生じたりするのが適切に防止されるようになる。
【0025】
また、本発明に係る画像形成装置においては、無端ベルト状の中間転写ベルト等の無端ベルトを複数のローラーに張架させ、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させるにあたり、前記のような無端ベルトを用いたため、中間転写ベルト等の無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材にあたって負荷が加わるのが防止され、中間転写ベルト等の無端ベルトに割れが生じたりするのが簡単かつ確実に防止され、長期にわたって安定した画像形成が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来例において、無端ベルトよりも幅広になった無端ベルト基材を回転移動させながら、切断装置により無端ベルト基材を所要幅に切断させて、無端ベルトを製造する状態を示した概略平面図である。
【図2】周縁部に幅方向の段差部が形成された従来の無端ベルトを示した概略斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無端ベルトを中間転写ベルトに使用した画像形成装置の概略説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無端ベルトからなる中間転写ベルトを示した概略平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無端ベルトからなる中間転写ベルトを駆動ローラーと従動ローラーとに張架させ、この中間転写ベルトの周縁部を従動ローラーに設けられた蛇行規制部材に接触させて蛇行を規制しながら回転移動させる状態を示した概略平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る無端ベルトからなる中間転写ベルトを第1の製造方法によって製造する工程を示した概略平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る無端ベルトからなる中間転写ベルトを第2の製造方法によって製造するにあたり、2つの切断装置を使用する状態を示した概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態に係る無端ベルト、このような無端ベルトの製造方法、この無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置及びこの無端ベルト駆動装置を用いた画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る無端ベルト、無端ベルトの製造方法、無端ベルト駆動装置及び画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0028】
ここで、本発明の実施形態に係る無端ベルト20を使用した画像形成装置10においては、図3に示すように、4つのドラム状になった像担持体11に対応させて、現像剤中におけるトナーに、黒色,黄色,マゼンダ色,シアン色の色彩の異なるトナーを用いた4つの現像装置14を設けている。
【0029】
そして、前記の各像担持体11を回転させて、各像担持体11の表面をそれぞれ帯電装置12によって帯電させ、このように帯電された各像担持体11に対して、それぞれ潜像形成装置13により画像形成情報に従った露光を行い、各像担持体11の表面にそれぞれ静電潜像を形成するようにしている。
【0030】
次いで、このように静電潜像が形成された各像担持体11に対して、それぞれ対応する現像装置14により、所定の色彩のトナーを各像担持体11の静電潜像に供給して現像を行い、各像担持体11の表面にそれぞれの色彩のトナー像を形成するようにしている。
【0031】
そして、この実施形態においては、前記の無端ベルト20として、中間転写ベルト20を用い、この中間転写ベルト20を駆動ローラー21と従動ローラー22とに張架させ、前記の駆動ローラー21を回転させて、中間転写ベルト20を駆動ローラー21と従動ローラー22との間で回転移動させるようにしている。
【0032】
そして、このように回転移動される中間転写ベルト20に対して、前記の各像担持体11に形成された各色彩のトナー像をそれぞれ一次転写ローラー15により順々に一次転写させて、この中間転写ベルト20の上にフルカラーのトナー像を形成するようにしている。
【0033】
また、このようにトナー像が転写された各像担持体11をそれぞれ第1クリーニング装置16に導き、各像担持体11の表面に残留しているトナー等の残留物を、各第1クリーニング装置16により各像担持体11の表面から除去して回収させるようにしている。
【0034】
一方、前記のようにフルカラーのトナー像が形成された中間転写ベルト20を回転移動させて、フルカラーのトナー像を中間転写ベルト20により二次転写ローラー17と対向する位置に導くと共に、この画像形成装置10の下部に収容された記録シートSを中間転写ベルト20と二次転写ローラー17との間に導き、前記の二次転写ローラー17により中間転写ベルト20の上に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シートSに転写させるようにしている。
【0035】
そして、このようにフルカラーのトナー像が転写された記録シートSを定着装置18に導いて、転写されたフルカラーのトナー像を記録シートSに定着させた後、フルカラーのトナー像が定着された記録シートSを排紙させるようにしている。一方、記録シートSに転写されずに前記の中間転写ベルト20に残ったトナー等の残留物を、第2クリーニング装置19によって中間転写ベルト20から除去させて回収するようにしている。
【0036】
ここで、前記の中間転写ベルト20においては、図4に示すように、無端ベルト本体201の幅方向両側の周縁部に沿ってそれぞれ所要幅の補強部材202を、無端ベルト本体201の周縁部よりもそれぞれ幅方向外方に突出するようにして貼付させるにあたり、無端ベルト本体201の周縁部に形成された幅方向の段差部201aの位置と、前記の補強部材202における幅方向の段差部202aの位置とが異なるようにした。
【0037】
そして、このように構成された中間転写ベルト20を、図5に示すように、駆動ローラー21と従動ローラー22との間に張架させ、前記の駆動ローラー21の回転によりこの中間転写ベルト20を駆動ローラー21と従動ローラー22との間で回転移動させるにあたっては、中間転写ベルト20が蛇行してその位置がずれたりするのを防止するため、一般に、従動ローラー22の軸方向端部に蛇行規制部材23を設け、この蛇行規制部材23に中間転写ベルト20の周縁部を接触させて、中間転写ベルト20が蛇行するのを規制するようにしている。
【0038】
ここで、このように中間転写ベルト20の周縁部を蛇行規制部材23に接触させて、中間転写ベルト20が蛇行するのを規制するにあたり、前記のように無端ベルト本体201の幅方向両側の周縁部に沿ってそれぞれ所要幅の補強部材202が無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に突出するように貼付されると共に、無端ベルト本体201の周縁部に形成された段差部201aと補強部材202における段差部202aの位置が異なる中間転写ベルト20を用いると、前記の無端ベルト本体201における段差部201aが蛇行規制部材23に直接あたるということがなく、中間転写ベルト20が割れたりするのが防止される。また、前記の補強部材202における段差部202aが蛇行規制部材23にあたっても、無端ベルト本体201における段差部201aと補強部材202における段差部202aとの位置が異なるため、無端ベルト本体201の段差部201aに加わる負荷が軽減され、中間転写ベルト20が割れたりするのが防止される。
【0039】
この結果、この中間転写ベルト20の周縁部を蛇行規制部材23に接触させて、中間転写ベルト20が蛇行するのを規制する場合において、無端ベルト本体201の周縁部に段差部201aがあったとしても、蛇行規制部材23との衝突によって中間転写ベルト20に割れが生じるのが防止され、長期にわたって安定した画像形成が行えるようになる。
【0040】
ここで、前記のように無端ベルト本体201の幅方向両側の周縁部に沿ってそれぞれ所要幅の補強部材202が無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に突出するように貼付されると共に、無端ベルト本体201の周縁部に形成された段差部201aと補強部材202における段差部202aの位置が異なる中間転写ベルト20を製造するにあたり、第1の製造方法においては、図6(A)に示すように、前記の無端ベルト本体201よりも幅広になった無端ベルト基材203を支持ローラー33に張架させて回転移動させながら、刃物31を無端ベルト本体201の幅にセットした切断装置30により、前記の無端ベルト基材203を無端ベルト本体201の幅に切断させる。
【0041】
そして、補強部材202を前記の無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に突出するように貼付させ、図6(B)に示すように、前記の無端ベルト基体203を一周切断させた後、前記の切断装置30における刃物31の位置を幅方向外方に移動させて、この切断装置30により、前記の補強部材202が無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に適当な幅だけ突出するように切断させると共に、無端ベルト本体201の周縁部における段差部201aの位置と補強部材202における段差部202aの位置とが異なるようにして、中間転写ベルト20を製造するようにしている。
【0042】
なお、前記の第1の製造方法においては、前記の切断装置30における刃物31の位置を幅方向外方に移動させて、この切断装置30により、前記の補強部材202が無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に適当な幅だけ突出するように切断させるようにしたが、図7に示すように、刃物31を無端ベルト本体201の幅にセットした切断装置30の他に、刃物41を補強部材202が無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に適当な幅だけ突出するように切断させる位置にセットした第2の切断装置40を用い、前記の切断装置30によって前記の無端ベルト基体203を所要幅の無端ベルト本体201に切断させると共に、無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に突出するように貼付された補強部材202を第2の切断装置40によって無端ベルト本体201の周縁部よりも幅方向外方に適当な幅だけ突出するように補強部材202を切断させ、無端ベルト本体201の周縁部における段差部201aの位置と補強部材202における段差部202aの位置とが異なるようにして、中間転写ベルト20を製造することもできる。
【0043】
また、前記の実施形態においては、無端ベルト20を画像形成装置10における中間転写ベルト20に用いる場合を示したが、無端ベルト20を使用する場所等は、特にこのようなものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
10 画像形成装置
11 像担持体
20 中間転写ベルト
201 無端ベルト本体、201a 段差部
202 補強部材、202a 段差部
203 無端ベルト基材
21 駆動ローラー
22 従動ローラー
23 蛇行規制部材
30 切断装置
31 刃物
33 支持ローラー
40 第2の切断装置
41 刃物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルト本体の周縁部に沿って補強部材が貼付されてなる無端ベルトにおいて、前記の無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と異なるようにして、前記の補強部材に幅方向の段差部が形成されていることを特徴とする無端ベルト。
【請求項2】
請求項1に記載の無端ベルトにおいて、前記の補強部材が、前記の無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出するようにして、無端ベルト本体の周縁部に沿って貼付されていることを特徴とする無端ベルト。
【請求項3】
無端ベルト本体よりも幅広の無端ベルト基体を回転移動させながら、この無端ベルト基体を、無端ベルト本体の幅に対応した位置に刃物をセットした切断装置によって切断させると共に、補強部材を無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出するように貼付させ、上記の無端ベルト基体が一周切断された後、前記の切断装置における刃物の位置を幅方向外方に移動させて、この切断装置により前記の補強部材を切断させ、無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と補強部材における幅方向の段差部の位置が異なる無端ベルトを製造することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項4】
無端ベルト本体よりも幅広の無端ベルト基体を回転移動させながら、この無端ベルト基体を、無端ベルト本体の幅に対応した位置に刃物をセットした切断装置によって切断させると共に、補強部材を無端ベルト本体の周縁部よりも幅方向外方に突出するように貼付させ、このように貼付された補強部材を、上記の切断装置における刃物の位置よりも刃物の位置が幅方向外方に設けられた第2の切断装置によって切断させ、無端ベルト本体の周縁部における段差部の位置と補強部材における幅方向の段差部の位置が異なる無端ベルトを製造することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させることを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の無端ベルト駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、前記の無端ベルト駆動装置によって回転移動させる無端ベルトが、像担持体に形成されたトナー像が転写される無端ベルト状の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−41106(P2013−41106A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177795(P2011−177795)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】