説明

無端ベルト及び画像形成装置

【課題】高品質の画像を形成することに貢献する無端ベルト及び高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】電圧を印加して10秒後に測定された表面抵抗率(ρs10)の常用対数値(logρs10)と、電圧を印加して30秒後に測定された表面抵抗率(ρs30)の常用対数値(logρs30)との差(logρs10−logρs30)が絶対値で0.20以下である無端ベルト1、及び、無端ベルト1を備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルト及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、例えば、電子写真方式の画像形成装置等に使用することができ、高品質の画像を形成することに貢献する無端ベルト及び高品質の画像を形成することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンター及びビデオプリンター等のプリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等には、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は、無端ベルトの機能等に応じて、例えば、像担持体に現像された現像剤像を記録体に直接転写する直接転写方式と、現像剤像を一旦無端ベルトに転写し、無端ベルトから記録体に転写する中間転写方式とがある。
【0003】
直接転写方式は、例えば、感光ドラム等の像担持体に形成された静電潜像を現像手段に装備された現像剤担持体から供給される現像剤で現像し、転写手段に電圧を印加することにより、現像された現像剤像を、無端ベルト(転写搬送ベルトともいう。)に静電的に吸着されて像担持体と転写手段との間に搬送される記録体に転写し、現像剤像が転写された記録体を加圧ローラ及び定着ローラによって圧着又は加熱圧着し、転写された現像剤像を記録体上に画像や文字として完全に定着する方式である。中間転写方式は、例えば、像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像し、現像された現像剤像を像担持体に当接又は圧接する無端ベルト(中間転写ベルトともいう。)に転写(一次転写)し、無端ベルトに転写された現像剤像を記録体に転写(二次転写)して、現像剤像が転写された記録体を加圧ローラ及び定着ローラによって圧着又は加熱圧着し、転写された現像剤像を記録体上に画像や文字として完全に定着する方式である。
【0004】
このような無端ベルトは、通常、所定の張力がかけられた状態で複数のローラ及び駆動ローラ等に張架され、駆動ローラ等により高速で無限軌道上を走行すると共に、電圧が印加された転写手段等を介して電圧が印加される。そのため、無端ベルトは、引張り強度、ヤング率、可撓性、耐折強さ、導電特性等に加え、現像剤像転写時に、転写手段等からの印加電圧を受けて常に所定の電位を保つことのできる導電特性が重要である。
【0005】
例えば、直接転写方式においては、導電特性が均一で、電圧印加時に所定の電位を保つことができなければ、無端ベルトの静電吸着力が不均一となって、記録体の搬送性低下による画像濃度むら及び画像ずれ等が起こり、また、現像剤像の転写時に剥離放電等が局所的に発生し、画像の品質が低下することがある。同様に、中間転写方式においては、一次転写時に転写手段等からの印加電圧が像担持体に影響を与え、次サイクルにおける二次転写時に、像担持体の帯電不足等による画像濃度むら及び斑点状の欠陥等が発生し、画像の品質が低下することがある。特に、高速印刷を可能とする近年の画像形成装置においては、像担持体の帯電不足が顕著になることがある。
【0006】
そこで、無端ベルトは、その材料及び導電特性等につき各種の検討がなされている。例えば、特許文献1には、「ポリイミド系樹脂にカーボンブラックを含有してなる半導電性ベルトにおいて、前記カーボンブラックは、BET比表面積100m/gあたりの揮発分が4wt%/(100m/g)以上で、かつASTM D1512に準拠したpH値が3.5以上であることを特徴とする半導電性ベルト」が記載され(特許文献1の請求項1参照。)、この半導電性ベルトにおける表面抵抗率(印加電圧500V、10秒)は「1010〜1014Ω/□」とされている(特許文献1の請求項3及び段落番号0044欄参照。)。また、特許文献2には、「30℃85%RHと10℃15%RHとにおける表面抵抗率の常用対数値の差が、1.0桁(logΩ/□)以下であることを特徴とする・・・導電性ベルト」が記載され(特許文献2の請求項3参照。)、また、表面抵抗率の電界依存性(特許文献2の段落番号0021欄及び0022欄等参照。)及び300000(300k)cycle走行テスト後の体積抵抗率の低下量(特許文献2の段落番号0072欄参照。)が記載されている。
【0007】
従来の無端ベルトにおける導電特性は、通常、特許文献1にも記載されているように、無端ベルトに電圧を印加してから所定時間経過後、例えば、10秒後に測定された表面抵抗率で評価されていた。しかし、電圧印加10秒後に測定された表面抵抗率と、画像形成装置に装着された無端ベルトが電圧印加後に安定して発揮する導電特性との相関関係は必ずしも明らかではなく、また、無端ベルトの表面抵抗率は環境及び経時等により変化することもある。その結果、無端ベルトは、電圧印加10秒後に測定された表面抵抗率を所定の範囲に調整しても、画像形成装置に装着されたときに、所望の導電特性を発揮せず、高品質の画像を形成することに十分に貢献することができないこともあった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−132061号公報
【特許文献2】特開2002−91184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、高品質の画像を形成することに貢献する無端ベルト及び高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、電圧を印加して10秒後に測定された表面抵抗率(ρs10)の常用対数値(logρs10)と、電圧を印加して30秒後に測定された表面抵抗率(ρs30)の常用対数値(logρs30)との差(logρs10−logρs30)が、絶対値で0.20以下である無端ベルトであり、
請求項2は、ヤング率が、2000MPa以上である請求項1に記載の無端ベルトであり、
請求項3は、ポリアミドイミド樹脂と導電性付与剤とを含有する樹脂組成物を硬化して成る請求項1又は2に記載の無端ベルトであり、
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルトを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る無端ベルトは、電圧印加10秒後に測定された表面抵抗率の常用対数値(logρs10)と、電圧印加30秒後に測定された表面抵抗率の常用対数値(logρs30)との差が絶対値で0.20以下であるから、画像形成装置に装着されたときに、所望の導電特性を発揮し、高品質の画像を形成することに貢献することができる。したがって、この発明によれば、高品質の画像を形成することに貢献する無端ベルトを提供することができる。
【0012】
また、この発明によれば、この発明に係る無端ベルトを備えているから、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の一実施例である無端ベルトを図面に基づいて説明する。図1に示されるように、無端ベルト1は、後述する樹脂組成物によって、環状に形成されて成る。無端ベルト1は、図1に示されるように、単層構造とされているが、二以上の層を積層した多層構造とされてもよい。無端ベルト1の厚さは、特に限定されないが、通常、例えば、0.03〜1mmであるのが好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましく、0.07〜0.14mm程度であるのが特に好ましい。無端ベルト1の厚さが0.03mm未満であると、無端ベルト1の機械的強度が低下することがあり、一方、1mmを超えると、無端ベルト1の可撓性が低下し、耐久性に劣ることがある。無端ベルト1の厚さは、接触式膜厚計又は非接触式膜厚計等により測定することができ、例えば、過電流式膜厚計(商品名「CTR−1500E」、サンコー電子株式会社製)を使用することができる。無端ベルト1の幅及び内周径は、無端ベルト1の用途等、すなわち、画像形成装置に配設される位置(構成部分)、張架される複数のローラ間隔等に応じて、所望の幅及び内周径となるように、任意に設定される。その一例を挙げると、例えば、無端ベルト1の幅は200〜350mmであり、内周径は200〜2,500mmである。
【0014】
この無端ベルト1は、電圧を比較的短時間印加したときの表面抵抗率と、電圧を比較的長時間印加したときの表面抵抗率との比が最適化されたことにより、画像形成装置に張架された環境及び経時等に影響を受けても、その表面抵抗値のばらつきを小さく抑えることができ、優れた導電特性を発揮する。すなわち、無端ベルト1は、後述する表面抵抗率(ρs)の測定方法において無端ベルト1又は無端ベルト1に相当する試験片に電圧を印加してから10秒後に測定された表面抵抗率(ρs10)の常用対数値(logρs10)と、同測定方法において無端ベルト1又は無端ベルト1に相当する試験片に電圧を印加してから30秒後に測定された表面抵抗率(ρs30)の常用対数値(logρs30)との差(logρs10−logρs30、以下、表面抵抗率における常用対数値の差と称することがある。)が絶対値で0.20以下である。表面抵抗率における常用対数値の差(絶対値)が前記範囲内にある場合には、たとえ、電圧印加後に測定された表面抵抗率と、画像形成装置に装着された無端ベルト1が電圧印加後に安定して発揮する導電特性との相関関係が明らかではなく、また、無端ベルト1の導電特性が環境及び経時等により変化することがあっても、無端ベルト1における表面抵抗率のばらつきが小さく、均一な導電特性を有すると共に、転写手段等からの印加電圧を受けても所定の電位を保つことができ、優れた導電特性を有する。したがって、この無端ベルト1は直接転写方式の画像形成装置に装着されると所望の導電特性を発揮し、無端ベルト1の静電吸着力が均一となって記録体を所望のように搬送して画像濃度むら及び画像ずれ等を効果的に防止することができ、また、現像剤像の転写時に局所的な剥離放電等を防止することができるから、高品質の画像を形成することができる。また、無端ベルト1は中間転写方式の画像形成装置及び高速印刷を可能とする中間転写方式の画像形成装置に装着される場合にも、所望の導電特性を発揮し、一次転写時に、像担持体に所望の帯電量を確保することができ、画像濃度むら及び斑点状の欠陥等の発生を防止することができるから、高品質の画像を形成することができる。より一層高品質の画像を形成することができる点で、表面抵抗率における常用対数値の差は、絶対値で、0.15以下であるのが好ましく、0.10以下であるのが特に好ましい。表面抵抗率における常用対数値の差は、小さければよいが、この発明の目的、表面抵抗率における常用対数値の調整容易性及び測定誤差等を考慮すると、絶対値で、0.03以上であるのが好ましく、0.05以上であるのが特に好ましい。
【0015】
無端ベルト1は、無端ベルト1又は無端ベルト1に相当する試験片に電圧を印加してから10秒後に測定された表面抵抗率(ρs10)が前記関係を満足すれば、高品質の画像を形成することに貢献することができるが、この効果に加えて、無端ベルト1から記録体が剥離する際に生じる剥離放電の発生を防止することができると共に、現像剤の吸着脱離が速やかに行え、また、静電吸着力が強く、記録体の搬送性が向上する点で、その表面抵抗率(ρs10)は、例えば、1×10〜1×1015Ω/□であるのが好ましく、1×10〜1×1014Ω/□であるのがより好ましく、1×10〜1×1013Ω/□であるのが特に好ましい。例えば、無端ベルト1を転写搬送ベルトとして使用した場合には、表面抵抗率(ρs10)が前記範囲内にあると、無端ベルト1から記録体が剥離する際に生じる剥離放電の発生を防止して、この剥離放電による放電エネルギーによって記録体上の現像剤像が飛散することを防止すると共に、無端ベルト1と記録体との間の電位差を確保して、記録体に現像剤を所望のように転写させることができる。その結果、より一層高品質の画像を形成することができる。
【0016】
無端ベルト1は、無端ベルト1又は無端ベルト1に相当する試験片に電圧を印加してから30秒後に測定された表面抵抗率(ρs30)が前記関係を満足すれば、高品質の画像を形成することに貢献することができるが、現像剤等の搬送及び/又は転写という重要かつ基本的な性能を満たすことができ、画質の品質をより一層向上させることができる点で、その表面抵抗率(ρs30)は、1×10〜1×1015Ω/□であるのが好ましく、1×10〜1×1014Ω/□であるのがより好ましく、1×10〜1×1014Ω/□であるのが特に好ましい。例えば、無端ベルト1を転写搬送ベルトとして使用した場合には、表面抵抗率(ρs30)が前記範囲にあると、静電吸着力が強く、現像剤及び/又は記録体等を所望のように搬送及び/又は転写することができると共に、無端ベルト1から記録体等が剥離する際にも剥離放電が発生しにくく、剥離放電による画像の白抜けを防止することができ、その結果、より一層高品質の画像を形成することができる。
【0017】
表面抵抗率(ρs)は、無端ベルト1、又は、無端ベルト1から切り出した試験片若しくは無端ベルト1と同様にして作製した試験片等の無端ベルト1に相当する試験片を準備し、抵抗率計(例えば、商品名「ハイレスターUP(型式「MCP−HT450」)」、株式会社ダイアインスツルメンツ製)及びプローブ(例えば、商品名「UR−100(型式「MCP−HTP16」)」、株式会社ダイアインスツルメンツ製)を用いて、JIS K6911に規定された方法に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の環境下、無端ベルト1又は無端ベルト1に相当する試験片の複数箇所に500Vの電圧を印加してから所定時間経過後(この発明においては、10秒後及び30秒後)に測定したときの値を、算術平均して求めることができる。
【0018】
無端ベルト1の表面抵抗率(ρs)は、例えば、無端ベルト1を形成する樹脂組成物に含まれる導電性付与剤の種類、含有量及び/又は成形条件等により、調整することができ、表面抵抗率における常用対数値の差は、これらの他に、無端ベルト基体の二次溶媒除去工程条件、無端ベルト1の溶媒残留量等により、調整することができる。
【0019】
無端ベルト1は、無端ベルト1又は無端ベルト1に相当する試験片に電圧を印加してから10秒後に測定された体積抵抗率(ρv10)が、1×10〜1×1013Ω・cmであるのが好ましく、1×10〜1×1013Ω・cmであるのがより好ましく、1×1010〜1×1012Ω・cmであるのが特に好ましい。体積抵抗率(ρv10)が前記範囲内にあると、像担持体から中間転写体(例えば、中間転写ベルト)に転写された未定着の現像剤像の電荷を保持する静電的な力が働きやすく、現像剤同士の静電的反発力及び画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像周囲における現像剤が飛散すること、及び、一次転写等の転写電界により生じる中間体表面が帯電することを、防止することができる。
【0020】
体積抵抗率(ρv)は、印加電圧を250Vに設定する以外は、表面抵抗率(ρs)と同様にして、測定することができる。
【0021】
無端ベルト1の体積抵抗率(ρv)は、例えば、無端ベルト1を形成する樹脂組成物に含まれる導電性付与剤の種類、含有量及び/又は成形条件等により、調整することができる。
【0022】
無端ベルト1は、ヤング率が、2000MPa以上であるのが好ましく、2200MPa以上であるのがより好ましく、2500MPa以上であるのがさらに好ましく、3000MPa以上であるのが特に好ましい。ヤング率の下限が前記範囲であると、無端ベルト1が可撓性に富み、所定の張力がかけられた状態で複数のローラ及び駆動ローラ等に張架されても破損又は損傷しにくく、また、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質を安定して得ることができる。一方、ヤング率の上限は、特に制限されないが、6000MPaであるのが好ましく、5000MPaであるのがより好ましく、4500MPaであるのがさらに好ましく、4000MPaであるのが特に好ましい。ヤング率の上限が前記範囲を超えると、無端ベルト1が脆くなり、ひび割れ等が発生する場合がある。
【0023】
無端ベルト1のヤング率は、単位断面積にかかる力ΔSと単位長さでの伸びΔaを測定し、式E=ΔS/Δa により求めることができる。ここで、前記式中、ΔSは、負荷F、無端ベルト1の厚さt及び幅wより、式ΔS=F/(w×t)で表され、Δaは、無端ベルト1の基準長さL、負荷をかけたときの無端ベルト1の伸びΔLより、Δa=ΔL/Lで表される。無端ベルト1のヤング率は、引張り試験機、例えば、商品名「MODEL−1605N」(アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて、測定することもできる。
【0024】
無端ベルト1のヤング率は、樹脂組成物に含まれる樹脂の種類、含有量及び/又は溶媒残留量等により、調整することができる。
【0025】
無端ベルト1は、表面微小硬度が、15〜30であるのが好ましく、20〜30であるのが特に好ましい。無端ベルト1の表面微小硬度が前記範囲内にあると、可撓性と剛性とのバランスがよく優れた機械特性を活かしつつ、耐折強さ及び引裂き強度が大きくなる。具体的には、無端ベルト1が前記範囲の表面微小硬度を有する場合には、現像剤像の変形及び転写むら等がなく、良好な画像を記録体に転写でき、かつ、搬送される記録体を所望のように搬送することができる性能を長期にわたって持続することができるという効果を達成することができる。
【0026】
無端ベルト1の表面微小硬度は、下記試験片において、以下の方法によって測定された表面微小硬度の算術平均値とする。すなわち、無端ベルト1から、10mm×10mmの大きさを有する試験片を複数枚切り出し、各試験片の表面微小硬度を、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下で、表面微小硬度計(商品名「ダイナミック超微小硬度計(型式「DUH−W201S」)」、株式会社島津製作所製)を用いて、以下の測定条件で測定する。各試験片から測定された表面微小硬度の算術平均値を求めて、無端ベルト1の表面微小硬度とする。
<測定条件>
試験モード:負荷−除荷試験
負荷速度:0.473988mN/sec
圧子の種類:三角すい圧子115°
試験力:9.8mN
保持時間:5sec
【0027】
無端ベルト1の表面微小硬度は、樹脂組成物に含有される成分の種類、含有量及び/又は成形条件等により、調整することができる。
【0028】
無端ベルト1は、樹脂組成物を成形して成る。樹脂組成物は、ある程度の強度を有し、繰返し変形に耐える可撓性に富む樹脂単体又は複数種類の樹脂を含有してなる樹脂組成物であるのがよく、このような樹脂組成物に含有される樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル・スチレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、アセチルセルロース、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド樹脂(PA)、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、架橋型ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂(PESF)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、四フッ化樹脂(PTFE)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリアリレート(PAR)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、ポリアミドイミド樹脂がより好ましく、特に、芳香族ポリアミドイミド樹脂が、強度、可撓性、寸法安定性及び耐熱性等の機械的特性がバランスよく優れている点で、好ましい。
【0029】
前記芳香族ポリアミドイミド樹脂は、トリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とを反応させるジイソシアネート法により製造することができ、ジイソシアネート法は原料の入手、反応性及び副生成物が少ない等の点で優れている。ジイソシアネート法で製造される芳香族ポリアミドイミド樹脂の他にも、重縮合反応を好適に進めることができるのであれば、ジイソシアネート化合物に代えてジアミン化合物を用いて製造される芳香族ポリアミドイミド樹脂も、好ましい。ジアミン化合物を用いて得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂は、ヤング率が高く、無端ベルト1を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂として好適である。また、トリカルボン酸無水物の一部をテトラカルボン酸二無水物に代えてイミド結合を増加させた芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐湿性に優れている。芳香族ポリアミドイミド樹脂は、適宜の溶媒中で、常圧下、及び、常温下又は加熱下で反応させることにより、容易に合成することができる。
【0030】
前記トリカルボン酸無水物としては、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましく、例えば、トリメリット酸無水物、3,4,4’−ジフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、2,3,5−ピリジントリカルボン酸無水物、ナフタレントリカルボン酸無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの酸無水物は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
トリカルボン酸無水物の一部に代えて用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
前記ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物を好ましく挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物として、芳香族ジイソシアネート化合物と共に、又は芳香族ジイソシアネート化合物に代えて、脂肪族ジイソシアネート化合物及び/又は脂環式ジイソシアネート化合物を、又はこれらの誘導体であるアミン類を使用することもできる。
【0033】
芳香族ジイソシアネート化合物として、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアネートジフェニルスルホン、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、2,4−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの芳香族ジイソシアネート化合物の誘導体であるジアミン類も原料として利用できる。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、無端ベルト1の耐熱性、機械的特性及び溶解性等を考慮すると、使用する全ジイソシアネート化合物中の60質量%以上、好ましくは70質量%以上を、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、イソホロンジイソシアネート又はこれらの誘導体であるジアミン類とすることが好ましい。さらに、無端ベルト1の寸法安定性を考慮すると、使用する全ジイソシアネート化合物中の70質量%以上をジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はこの誘導体である4,4’−ジアミノジフェニルメタンとすることがより好ましい。
【0034】
芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する重縮合反応に使用される溶媒としては、溶解性の点で極性溶媒が好ましく、反応性を考慮すると非プロトン性極性溶媒が特に好ましい。非プロトン性極性溶媒として、例えば、N,N−ジアルキルアミド類が挙げられ、N,N−ジアルキルアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、及び、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等が挙げられる。また、極性溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等も好ましい。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
樹脂組成物は、導電性付与剤を含有する。導電性付与剤として、例えば、導電性粉末及びイオン導電性物質等を挙げることができる。導電性粉末としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、ナノ粒子等を挙げることができる。イオン導電性物質としては、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等を挙げることができる。導電性付与剤は、前記各種物質をその一種を単独で使用することができ、また二種以上を併用することもできる。
【0036】
前記各種の導電性付与剤の中でも、導電性カーボン及びゴム用カーボン類等が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等の市販の各種カーボンブラック等を挙げることができる。カーボンブラックは、前記した中でも、前記樹脂との親和性が高く、樹脂組成物又は無端ベルト1の表面にブリードアウトすることがない点で、pH6以下、特にpH5以下のカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックのpH値は、ASTM D1512に準拠して、測定することができる。
【0037】
pH6以下、特にpH5以下のカーボンブラックとしては、例えば、前記pHを有するカーボンブラック、硫酸基及び/又は硝酸基等が結合した酸性カーボンブラック、並びに、酸化処理により、カルボキシ基及び/又はヒドロキシ基等が付加されたカーボンブラック等の酸化処理カーボンブラック等が挙げられる。
【0038】
このようなカーボンブラックとして、例えば、商品名「プリンテックス150T」(pH4.0、揮発分10.0%)、商品名「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、商品名「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、商品名「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、商品名「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、商品名「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、商品名「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、商品名「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、商品名「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、商品名「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、商品名「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、商品名「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)(以上、いずれもDegussa社製)、また、商品名「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、商品名「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、商品名「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、商品名「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、商品名「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)(以上、いずれもキャボット社製)、さらには、商品名「MA100」(pH3.5、揮発分1.5%)、商品名「MA100R」(pH3.5、揮発分1.5%)、商品名「MA100S」(pH3.5、揮発分1.5%)、商品名「#970(pH3.5、揮発分3.0%)、商品名「MA11(pH3.5、揮発分2.0%)、商品名「#1000(pH3.5、揮発分3.0%)、商品名「#2200」(pH3.5,揮発分3.5%)、商品名「MA230」(pH3.0、揮発分1.5%)、商品名「MA220」(pH3.0、揮発分1.0%)、商品名「#2650」(pH3.0、揮発分8.0%)、商品名「MA7」(pH3.0、揮発分3.0%)、商品名「MA8」(pH3.0、揮発分3.0%)、商品名「OIL7B」(pH3.0、揮発分6.0%)、商品名「MA77」(pH2.5、揮発分3.0%)、商品名「#2350」(pH2.5、揮発分7.5%)、商品名「#2700」(pH2.5、揮発分10.0%)、商品名「#2400」(pH2.5、揮発分9.0%)(以上、いずれも三菱化学株式会社製)等が挙げられる。
【0039】
導電性付与剤の好ましい形状は、球状又は不定形である。球状又は不定形をなす導電性付与剤の粒子のサイズは、一次粒子径として0.01〜10μm程度が好ましい。導電性付与剤がカーボンブラックの場合、そのBET比表面積は、一次粒子径との相関性が強く、50〜300m/gであることが好ましく、100〜200m/gがより好ましい。
【0040】
樹脂組成物における導電性付与剤の含有量は、導電性付与剤の導電性及び粒径、並びに、無端ベルト1に要求される導電特性等により、適宜調整すればよいが、通常、樹脂と導電性付与剤との全質量100%に対して、1〜25質量%であるのが好ましく、5〜20質量%であるのがより好ましく、10〜20質量%であるのが特に好ましい。導電性付与剤の添加量が1質量%より少ないと、導電性物質同士の距離が離れすぎて無端ベルト1における導電性の発現が悪くなることがあり、一方、導電性付与剤の添加量が25質量%を超えると、無端ベルト1の機械的強度が低下することがある。導電性付与剤を樹脂に分散させるには、公知の方法を適宜選択することができ、公知の方法として、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機、三本ロール、ホモジナイザー、ボールミル、ポットミル及びビーズミル等を用いた混合方法が挙げられる。
【0041】
樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、前記樹脂及び前記導電性付与剤に加えて、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系有機化合物、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、補強性充填材、反応助剤、反応抑制剤等の各種添加剤等が挙げられる。また、この樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、他の樹脂又は溶媒が含有されていてもよい。前記溶媒としては、例えば、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する重縮合反応に使用される溶媒等が挙げられる。これら他の成分の前記樹脂組成物における含有量は、これら他の成分の添加により前記樹脂組成物に発現させる特性に応じて適宜に決定されることが、できる。
【0042】
次に、本発明に係る無端ベルト1の製造方法を説明する。無端ベルト1を製造するには、まず、前記樹脂組成物を、公知の成形方法によって、環状に成形する。例えば、無端ベルト1を形成する樹脂組成物に含有される樹脂として熱可塑性樹脂を選択した場合には、遠心成形、押出成形、射出成形等により、一方、樹脂として熱硬化性樹脂を選択した場合には、遠心成形、RIM成形等により、無端ベルト1を成形することができる。これらの成形方法の中でも、材料を問わずに適用可能であり、かつ厚さ精度に優れる等の点で、遠心成形が好ましい。
【0043】
無端ベルト1を遠心成形によって成形する場合には、無端ベルト1を形成する樹脂組成物は、その成形時の粘度を50,000mPa・s以下に調整するのが好ましい。粘度が50,000mPa・sを超えると、厚さの均一な無端ベルト1を製造するのが困難になることがある。樹脂組成物の粘度の下限については、特に限定されるものではないが、10mPa・s以上であるのが好ましい。樹脂組成物の粘度が上記範囲を外れる場合は、前記溶媒の添加量等を調節することにより、樹脂組成物の粘度を前記範囲内に調整することができる。溶媒としては、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する重縮合反応に使用される溶媒が挙げられる。
【0044】
遠心成形によると、溶媒を含有することにより流動性を発現した樹脂組成物を円筒形の金型に注入し、金型を回転させて遠心力で金型内周面に樹脂組成物の層を均一に展開し、樹脂組成物の層から溶媒を乾燥除去して、無端ベルト基体が製造される。金型は各種金属管を用いることができる。好適な金型としては、金型の内周面は鏡面研磨されており、鏡面となった内周面はフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型剤により離型処理され、形成した無端ベルト基体が内周面から容易に脱型できるようにされた金属管を挙げることができる。
【0045】
なお、樹脂組成物に含まれる樹脂としてポリアミドイミド樹脂を選択する場合には、上述した遠心成形による他に、ポリアミドイミド樹脂の原料であるトリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とが一部重合したポリアミド酸の溶液を、金型の内周面や外周面に浸漬方式、遠心方式、塗布方式等によってコートし、又は前記ポリアミド酸の溶液を注形型に充填する等の適宜な方式で筒状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベルト形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する公知の方法(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)等により、無端ベルト1を製造することもできる。
【0046】
金型内周面に展開された樹脂組成物の層から溶媒を除去して、無端ベルト基体が製造される。ここで、除去される溶媒は、金型内周面に展開された樹脂組成物の層に含有された溶媒であり、例えば、樹脂組成物の粘度を調整する際に使用される溶媒の他に、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する際に使用される溶媒等が挙げられる。金型内周面に展開された樹脂組成物の層から溶媒を除去する処理として、加熱処理を挙げることができるが、溶媒を除去するには、以下の一次溶媒除去工程及び二次溶媒除去工程からなる溶媒除去処理を行うのが好ましい。
【0047】
前記一次溶媒除去工程は、金型を回転して金型内周面に展開された樹脂組成物の層から溶媒を除去しつつ成形し、樹脂組成物の層をフィルム状成形体とする。一次溶媒除去工程は、金型を回転したまま5〜60分間、40〜150℃の熱風を金型内に通過させることにより、溶媒が除去される。熱風温度が150℃を超えると、及び/又は、加熱時間が60分を超えると、成形されるフィルム状成形体が酸化されることがある。
【0048】
二次溶媒除去工程は、一次溶媒除去工程で成形されたフィルム状成形体を金型ごと遠心成形機から取り出し、金型ごと加熱して、フィルム状成形体から溶媒を除去し、無端ベルト基体とする。例えば、熱風乾燥器、オーブン等の加熱器を用いる場合には、フィルム状成形体を金型ごと、200〜300℃で1〜3時間加熱すればよく、また、過熱水蒸気炉を用いる場合には、フィルム状成形体を金型ごと、200〜260℃の過熱水蒸気で、0.5〜3時間加熱すればよい。なお、フィルム成形体の変形等を防止することができれば、金型からフィルム成形体を脱型し、フィルム成形体を前記条件で加熱することもできる。
【0049】
このようにして溶媒が除去された無端ベルト基体を作製した後、無端ベルト基体を金型から取り出し、放冷する。なお、金型ごと無端ベルト基体を放冷すると、金型と無端ベルト基体との熱膨張率の差により、無端ベルト基体を脱型することができる。この無端ベルト基体は、溶媒残留量が0.05〜0.30質量%であるのが好ましい。無端ベルト基体が0.05〜0.30質量%の溶媒残留量を有していると、無端ベルト1としたときに、均一な導電特性を発揮すると共に、転写手段等からの印加電圧を受けても所定の電位を保つことができる。より一層均一な導電特性を発揮すると共に、転写手段等からの印加電圧を受けても所定の電位をより一層安定して保つことができる点で、無端ベルト基体の溶媒残留量は、0.05〜0.25質量%であるのがより好ましく、0.10〜0.20質量%であるのが特に好ましい。無端ベルト基体の溶媒残留量は、無端ベルト基体から切り出した試料を、エタノール等に所定時間浸漬して、無端ベルト基体内の残留溶媒を抽出し、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)により測定することができる。
【0050】
このようにして所望の溶媒残留量を有する無端ベルト基体を脱型して、円筒状の無端ベルト基体における両側端部を除去し、所定幅に裁断して、無端ベルト1が製造される。無端ベルト基体を切断する切断機は、無端ベルト基体の切断開始点と切断終了点とが略一致するように、切断することができる装置であればよい。
【0051】
このようにして製造される無端ベルト1は、表面抵抗率における常用対数値の差が絶対値で0.20以下であるから、前記したように、画像形成装置に装着されたときに、所望の導電特性を発揮することができる。また、この無端ベルト1は、前記無端ベルト基体1と同様の溶媒残留量を有する。したがって、この無端ベルト1は、高品質の画像を形成することに十分貢献することができる。
【0052】
この発明は、前記表面抵抗率における常用対数値の差の絶対値により、無端ベルトを評価することができる。すなわち、この発明に係る評価方法は、前記表面抵抗率(ρs)の測定方法に基づいて、評価対象である無端ベルト又はこの無端ベルトに相当する試験片に500Vの電圧を印加してから10秒後及び30秒後に測定した表面抵抗率(ρs10及びρs30)の常用対数値の差(logρs10−logρs30)が絶対値で0.20以下であるか否かにより、行われる。評価対象である無端ベルトが0.20以下の前記表面抵抗率における常用対数値の差を有していれば、電圧印加後に測定された表面抵抗率と、画像形成装置に装着された無端ベルト1が電圧印加後に安定して発揮する導電特性との相関関係が明らかではなく、また、無端ベルトの導電特性が環境及び経時等により変化することがあっても、優れた導電特性を有し、高品質の画像を形成することのできる無端ベルトであるか否かを評価することができる。
【0053】
次に、この発明に係る無端ベルト1を備えた画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図2を参照して、説明する。なお、図2に示される画像形成装置は、像担持体に現像された現像剤像を記録体に直接転写する直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置であり、図2に示されるように、無端ベルト1は、転写搬送ベルトとして二本の支持ローラ42に張架されている。
【0054】
図2に示されるように、画像形成装置10は、四種の現像ユニットに装備された像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト1上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト1上に直列に配置されている。
【0055】
図2に示されるように、現像ユニットBは、静電潜像が形成される回転可能な像担持体11Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bを帯電させる帯電手段12Bと、像担持体11Bの上方に設けられ、像担持体11Bに静電潜像を形成する露光手段13Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに一定の層厚で現像剤22Bを供給し、静電潜像を現像する現像手段20Bと、像担持体11Bの下方に転写搬送ベルト1を介して当接又は圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体11Bから転写搬送ベルト1で搬送される記録体16上に転写する転写手段14Bと、記録体16に転写されず像担持体11Bに残留した現像剤22B等を除去するクリーニング手段15Bとを備えている。図2に示されるように、現像ユニットBにおける像担持体11Bと転写手段14Bとは、二本の支持ローラ5に張架された転写搬送ベルト1を介して当接又は圧接している。そして、記録体16は、転写搬送ベルト1により、像担持体11Bと転写手段14Bとの当接部を通過するように、搬送される。この転写搬送ベルト1は記録体16を搬送すると共に、転写手段14Bと協働して像担持体11Bに現像された静電潜像を転写する。像担持体11B、帯電手段12B、露光手段13B、転写手段14B及びクリーニング手段15Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
【0056】
図2に示されるように、前記現像手段20Bは、像担持体11Bに対向する位置に開口部を有し、現像剤22Bを収納する筐体21Bと、筐体21Bの開口部に、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに現像剤22Bを一定の層厚で供給する回転可能な現像剤担持体23Bと、現像剤担持体23Bの上方に設けられ、現像剤担持体23Bに当接又は圧接して現像剤22Bの層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤22Bを帯電させる現像剤規制部材24Bとを備えている。現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。前記現像剤22Bは、摩擦により帯電可能で、記録体16に定着可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。現像ユニットBは、筐体21B内に黒色現像剤を収納している。
【0057】
図2に示されるように、現像ユニットC、M及びYは、現像ユニットBと同様に構成されている。現像ユニットC、M及びYはそれぞれ、筐体21C、21M及び21Y内に、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yを収納している。
【0058】
図2に示されるように、画像形成装置10の底部には、記録体16として複数枚の記録体を積層収容するカセット41が設置され、カセット41内の記録体は給紙ローラ等によって1枚ずつ送り出されて、転写搬送ベルト1上に搬送される。
【0059】
図2に示されるように、画像形成装置10における記録体16の搬送方向下流には、記録体16に転写された各種現像剤(静電潜像)を定着させる定着手段30が配置されている。定着手段30は、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。図2に示されるように、画像形成装置10は、無端ベルト1を備えた定着装置30が配置されている。定着装置30は、図2にその断面が示されるように、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト1と、定着ローラ31に対して対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト1を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ33は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。定着ローラ31、無端ベルト支持ローラ33及び加圧ローラ32はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ32はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、無端ベルト1を介して定着ローラ31に圧接している。無端ベルト1と加圧ローラ32との圧接された間を記録体16が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体16に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0060】
画像形成装置10は、次にように作用する。まず、現像ユニットBの像担持体11Bが、帯電手段12Bにより一様に帯電され、露光手段13Bにより画像が露光されて、像担持体11Bの表面に静電潜像が形成される。一方、現像手段20Bにおいて、現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bにより、黒色現像剤22Bが所望の層厚に規制され、所望のように帯電される。そして、この黒色現像剤22Bが現像剤担持体23Bから像担持体11Bに供給され、像担持体11Bに形成された静電潜像が現像されて、現像剤像として可視化される。次いで、この現像剤像が、像担持体11Bと転写手段14Bとの間に転写搬送ベルト1により搬送される記録体16上に、転写される。このようにして、現像剤像が記録体16上に黒像に顕像化される。
【0061】
次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、現像剤像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。
【0062】
次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、搬送手段により定着手段30に搬送され、定着ローラ31と加圧ローラ32との無端ベルト1を介した当接部又は圧接部を通過するときに加熱及び/又は加圧されて、転写されたカラー像が永久画像として定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0063】
画像形成装置10によれば、転写搬送ベルトとして無端ベルト1を使用しているから、転写搬送ベルト1が所望の導電特性を発揮し、転写搬送ベルト1の静電吸着力が均一となって記録体16を所望のように搬送することができ、また、現像剤像の転写時に局所的な剥離放電等を防止することができる。その結果、記録体16上に顕像化された黒像に、シアン像、マゼンタ像及び黄色像を正確な位置に重畳して画像ずれ等及び画像濃度むら等を効果的に防止することができる。したがって、画像形成装置10によれば、高品質の画像を形成することができる。
【0064】
なお、この発明に係る無端ベルト1を、前記像担持体11と同様の役割を担う転写ベルト(感光ベルトとも称することがある。)、前記中間転写方式における一次転写体として使用される中間転写ベルト、及び、前記現像剤担持体と同様の役割を担う現像ベルトとして、画像形成装置10に組み込んでも、無端ベルト1は、所望の導電特性を発揮し、静電吸着力が均一となり、また、現像剤像の転写時に局所的な剥離放電等を防止することができるから、画像形成装置10は高品質の画像を形成することができる。
【0065】
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置10は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置10は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置とされているが、画像形成装置は、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置であっても、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す四サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。画像形成装置10は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
反応容器中に、N−メチル−2−ピロリドンと、トリメリット酸無水物と、これと当量のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートと、反応原料(トリメリット酸無水及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)の合計モル数に対して2mol%のフッ化カリウム(触媒)とを加え、撹拌しながら30分間かけて室温から150℃に昇温後、同温度を5時間保持して、反応物濃度(実質的全閉環のポリアミドイミド樹脂)20質量%の芳香族ポリアミドイミド溶液を得た。この溶液に、N−メチル−2−ピロリドンをさらに加え、反応物濃度15質量%のポリアミドイミド溶液を調製した。得られたポリアミドイミド溶液に、酸化処理カーボンブラック(商品名「プリンテックス150T」、Degussa社製、pH4.0、揮発分10.0%)をポリアミドイミド樹脂と酸化処理カーボンブラックとの合計100質量%に対して18質量%の割合で加え、ポットミルで24時間混合分散して、樹脂組成物を調製した。成形に使用する金型は、内径226mm、外径246mm、長さ400mmの大きさを有し、金型内面はポリッシングにより鏡面研磨されている。次いで、金型両端の開口部に、リング状の蓋(内径170mm、外径250mm)をそれぞれ嵌合して、金型を閉塞し、樹脂組成物を1,000rpmの速度で回転する金型内周に190g注入した。次いで、金型を同速度で30分間回転させて金型内周面に樹脂組成物の層を均一に展開した。次いで、金型を同速度で回転させつつ、熱風乾燥機により金型周囲の温度を80℃に保ち、この状態を30分間保持し、フィルム状成形体を成形した。その後、金型の回転を停止し、フィルム状成形体を金型ごと遠心成形機から取り出し、250℃に調節された過熱水蒸気炉で2時間過熱水蒸気処理した後、室温で放冷して、無端ベルト基体とした。金型ごと無端ベルト基体を冷却して、金型と無端ベルト基体との熱膨張率の差により無端ベルト基体を剥離して、無端ベルト基体を金型から脱型した。脱型した無端ベルト基体から1片が50mgの試験片を3験体切り出し、これらの試験片をそれぞれ、エタノール20mL中に60℃24時間浸漬させた。エタノール溶液中のN−メチル−2−ピロリドン残留量をガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)により測定した。測定に際しては、事前にエタノール中にN−メチル−2−ピロリドン100ppm及び1000ppmを含有させた標準液中のN−メチル−2−ピロリドン量をあらかじめ測定し検量線を作製しておいた。測定された残留量の算術平均値を無端ベルト基体の溶媒残留量とした。その結果、無端ベルト基体の溶媒残留量は0.17質量%であった。
【0067】
この無端ベルト基体の両端部をそれぞれ切断し、周長約226mm、幅240mm、厚さ100μmの大きさに切り出し、無端ベルト1Aを作製した。
【0068】
(実施例2)
酸化処理カーボンブラックとして、商品名「プリンテックス150T」に代えて、商品名「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%、Degussa社製)を、前記ポリアミドイミド樹脂と酸化処理カーボンブラックとの合計100質量%に対して13.5質量%の割合で加えた以外は、実施例1と同様にして、無端ベルト基体及び無端ベルト1Bを作製した。この無端ベルト基体における溶媒残留量は0.18質量%であった。
【0069】
(比較例1)
前記酸化処理カーボンブラック(商品名「プリンテックス150T」)に代えて、塩基性カーボンブラック(商品名「デンカブラック」(pH10、揮発分0.2%、電気化学工業株式会社製))を、前記ポリアミドイミド樹脂と塩基性カーボンブラックとの合計100質量%に対して25.0質量%の割合で加えて、実施例1と同様にして、フィルム状成形体を成形した。その後、金型の回転を停止し、フィルム状成形体を金型ごと遠心成形機から取り出し、180℃のオーブンに2時間投入した後、実施例1と同様に無端ベルト基体を金型から剥離して、無端ベルト基体を作製した。この無端ベルト基体における溶媒残留量は0.35質量%であった。この無端ベルト基体から実施例1と同様にして無端ベルト1Cを作製した。
(比較例2)
前記酸化処理カーボンブラック(商品名「プリンテックス150T」)に代えて、塩基性カーボンブラック(商品名「トーカブラック#7550F」(pH7.5、揮発分1.5%、東海カーボン株式会社製))を、前記ポリアミドイミド樹脂と塩基性カーボンブラックとの合計100質量%に対して12.0質量%の割合で加えた以外は、比較例1と同様にして、無端ベルト基体及び無端ベルト1Dを作製した。この無端ベルト基体における溶媒残留量は0.33質量%であった。
【0070】
このようにして製造した無端ベルト1A〜1Dの表面抵抗率(ρs)及び体積抵抗率(ρv)を測定した。まず、各無端ベルトから120mm×120mmの大きさを有する試験片5検体を切り出し、抵抗率計(商品名「ハイレスターUP(型式「MCP−HT450」)」、株式会社ダイアインスツルメンツ製)及びプローブ(商品名「UR−100(型式「MCP−HTP16」)」、株式会社ダイアインスツルメンツ製)を用いて、JIS K6911に規定された方法に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の環境下、各試験片に500Vの電圧を印加してから10秒後及び30秒後における表面抵抗率を測定し、測定された表面抵抗率を算術平均して、表面抵抗率ρs10(Ω/□)及びρs30(Ω/□)を算出した。また、同様にして、各試験片に250Vの電圧を印加してから10秒後における体積抵抗率を測定し、測定された体積抵抗率を算術平均して、体積抵抗率ρv10(Ω・cm)を算出した。その結果を表1に示す。さらに、算出された各表面抵抗率ρs10とρs30とから、表面抵抗率ρs10の常用対数値(logρs10)と、表面抵抗率ρs30の常用対数値(logρs30)との差(logρs10−logρs30)の絶対値を求め、その絶対値を表1に示す。
【0071】
また、無端ベルト1A〜1Dのヤング率及び表面微小硬度を前記方法により測定し、その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
次いで、製造した無端ベルト1A〜1Dを、それぞれ図2に示されるタンデム型カラープリンター(株式会社沖データ製、商品名「MicroLine 9055c」)における転写搬送ベルト1として装着した(張力100〜3,000gf)。温度22℃、相対湿度60%の環境下、このプリンターを、A4用紙を横21枚/分印刷する速度で、1万枚印刷した後、1000枚毎にA4用紙を取り出し、印刷された画像の品質を確認した。その結果、無端ベルト1A及び1Bは、いずれのA4用紙にも画像濃度むら及び画像ずれ等を確認することができず、高品質の画像が形成されていたのに対して、無端ベルト1C及び1Dは、一部のA4用紙に画像濃度むら又は画像ずれ等が生じ、特に、印刷枚数が増えるにつれて、画像濃度むら又は画像ずれ等が顕著に生じた。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、この発明の一実施例である無端ベルトを示す概略斜視図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例であるタンデム型カラー画像形成装置の概略図である。
【符号の説明】
【0075】
1 無端ベルト
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 像担持体
12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y クリーニング手段
16 記録体
20 現像手段
21B、21C、21M、21Y、34 筐体
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体
24B、24C、24M、24Y 現像剤規制部材
30 定着装置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 無端ベルト支持ローラ
35 開口部
41 カセット
42 支持ローラ
B、C、M、Y 現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を印加して10秒後に測定された表面抵抗率(ρs10)の常用対数値(logρs10)と、電圧を印加して30秒後に測定された表面抵抗率(ρs30)の常用対数値(logρs30)との差(logρs10−logρs30)が、絶対値で0.20以下である無端ベルト。
【請求項2】
ヤング率が、2000MPa以上である請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項3】
ポリアミドイミド樹脂と導電性付与剤とを含有する樹脂組成物を硬化して成る請求項1又は2に記載の無端ベルト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルトを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−151873(P2008−151873A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337440(P2006−337440)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【復代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
【Fターム(参考)】