説明

無端ベルト

【課題】従来に比べ、ベルト厚み方向に沿って電荷を移動させやすい無端ベルトを提供する。
【解決手段】無端ベルト1は、筒状に形成され、電子導電性を有する基層2と、基層2の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層3とからなる。基層2の表面抵抗率ρsは1×10〜1×1013Ω/□の範囲内とされる。さらに、基層2の体積抵抗率ρv>基層2の表面抵抗率ρs≧ゴム弾性層3の表面抵抗率ρs>ゴム弾性層3の体積抵抗率ρvの関係を満たしている。基層2は、カーボンナノチューブ等の繊維状の電子導電剤を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトに関する。
【0002】
従来、様々な分野において、無端ベルトが使用されている。無端ベルトとしては、合成樹脂からなる筒状体が公知である。この筒状の無端ベルトは、一般に、所定距離だけ離間させて配置した複数のローラ間に張架されて使用される。例えば、電子写真方式を採用するプリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置の分野では、電子導電剤を配合した樹脂製の基層単体からなる無端ベルトが広く使用されている。
【0003】
最近では、例えば、特許文献1に示すように、電子導電剤を配合した樹脂製の基層の表面に、イオン導電剤を配合した架橋ゴム製のゴム弾性層を設けた二層構造の無端ベルトが提案されている。
【0004】
さらには、特許文献2に示すように、電子導電剤を配合した樹脂製の基層の表面に、イオン導電剤を配合したエラストマー製の中間層を設け、さらにこの中間層の表面に、樹脂製の表層を設けた無端ベルトも提案されている。同文献では、基層の体積抵抗率を10〜1011Ω・cmに調整するとともに、中間層の体積抵抗率を10〜1014Ω・cmに調整する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−156760号公報
【特許文献2】特許第3734739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来知られる二層構造の無端ベルトは、以下の点で改善の余地がある。
すなわち、この種の無端ベルトを、電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルト等に適用する場合、図6に模式的に示すように、無端ベルト9のベルト裏面9bから電圧を印加すると、ベルト裏面9bである基層2の内側面に電荷4が発生する。ベルト裏面9bに生じた電荷4は、基層2の内部、ゴム弾性層3の内部を順に通って、最終的にはベルト表面9aであるゴム弾性層3の外側面に到達する。
【0007】
この際、従来の無端ベルト9において、ベルト裏面9bに生じた電荷4は、ベルト厚み方向Tに沿って移動せず、ベルト面方向Sに位置ずれを起こした状態でベルト表面9aに現れやすい。つまり、ベルト裏面9bの電荷位置とベルト厚み方向Tに対向するベルト表面9aの狙い位置に電荷4を付与することは難しい。ベルト表面9aの狙った位置から散った状態で電荷4が存在すると、その散った状態に合わせてトナー像が一次転写されてしまうという転写チリが発生しやすくなる。そのため、従来の無端ベルト9は、画像のドット再現性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、従来に比べ、ベルト厚み方向に沿って電荷を移動させやすい無端ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、筒状に形成され、電子導電性を有する基層と、
該基層の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層とからなり、
上記基層の表面抵抗率ρsが1×10〜1×1013Ω/□の範囲内にあり、
上記基層の体積抵抗率ρv>上記基層の表面抵抗率ρs≧上記ゴム弾性層の表面抵抗率ρs>上記ゴム弾性層の体積抵抗率ρvの関係を満たすことを特徴とする無端ベルトにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
従来の二層構造の無端ベルトは、電子導電性を有する基層とイオン導電性を有するゴム弾性層とにおける電気抵抗率の関係について十分な検討がなされていなかった。これに対し、上記無端ベルトは、基層の表面抵抗率ρsが1×10〜1×1013Ω/□の範囲内にあり、基層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]>基層の表面抵抗率ρs[Ω/□]≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs[Ω/□]>ゴム弾性層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]の関係を満たしている。
【0011】
そのため、上記無端ベルトの裏面から電圧を印加し、ベルト裏面に発生した電荷は、ベルト厚み方向に沿って真っ直ぐに移動しやすくなる。それ故、ベルト裏面の電荷は、ベルト面方向に位置ずれを起こすことなくベルト表面に現れやすい。つまり、上記無端ベルトは、ベルト裏面の電荷位置とベルト厚み方向に対向するベルト表面の狙い位置に電荷を付与しやすい。
【0012】
したがって、上記無端ベルトを、電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルト等として用いた場合には、転写チリを抑制して狙い通りにトナー像を一次転写しやすくなり、ドット再現性の良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】基層の体積抵抗率ρv>基層の表面抵抗率ρs≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs>ゴム弾性層の体積抵抗率ρvの関係を満たす無端ベルトにおける電荷移動を模式的に説明するためのベルト軸方向の断面図である。
【図2】実施例の無端ベルトを模式的に示した説明図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】ドット再現性に優れる場合のベルト表面を模式的に示した図である。
【図5】ベルト表面にドットパターン以外のトナーの飛び散りがある場合のベルト表面を模式的に示した図である。
【図6】従来構成の無端ベルトにおける電荷移動を模式的に説明するためのベルト軸方向の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記無端ベルト(シームレスベルト)は、筒状に形成された基層と、基層の外周面に沿って形成されたゴム弾性層との二層構造からなる。上記無端ベルトは、例えば、潜像担持体に担持されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、このトナー像を中間転写ベルトから用紙等の転写材へ二次転写する画像形成装置における上記中間転写ベルトとして用いることができる。基層の筒径、厚み、ゴム弾性層の厚みは、用途(例えば、画像形成装置の機種、大きさ等)に応じて適宜決定することができる。基層の筒径は、120mm〜1000mm程度とすることができる。基層の厚みは、30μm〜200μm程度とすることができる。ゴム弾性層の厚みは、10μm〜500μm程度とすることができる。
【0015】
基層は、電子導電性を有している。基層の電子導電性は、例えば、層中に電子導電剤を含有させることにより付与することができる。基層は、具体的には、例えば、電子導電剤を含有する樹脂などから構成することができる。基層を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
【0016】
電子導電剤としては、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素系導電材料、アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末材料、導電性酸化亜鉛(c−ZnO)、導電性酸化チタン(c−TiO)、導電性酸化鉄(c−Fe)、導電性酸化錫(c−SnO)等の導電性金属酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。基層は、電子導電剤以外にも、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レべリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。
【0017】
なお、難燃剤は、有機系難燃剤、無機系難燃剤のいずれであってもよい。有機系難燃剤としては、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A及びその誘導体、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン等の多ベンゼン環化合物、臭素化ポリスチレン及びポリ臭素化スチレン等の臭素系難燃剤や、芳香族リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、含ハロゲンリン酸エステル類、含ハロゲン縮合リン酸エステル類、フォスファゼン誘導体等のリン系難燃剤などを例示することができる。一方、無機系難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモンや五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤や、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物系難燃剤などを例示することができる。
【0018】
ゴム弾性層は、イオン導電性を有している。ゴム弾性層のイオン導電性は、例えば、層中にイオン導電剤を含有させることにより付与することができる。ゴム弾性層は、具体的には、例えば、イオン導電剤を含有するゴム(エラストマー含む)などから構成することができる。ゴム弾性層を構成するゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
【0019】
イオン導電剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート、イオン液体などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。ゴム弾性層は、イオン導電剤以外にも、上述した難燃剤、架橋剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レべリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。
【0020】
ここで、上記無端ベルトは、基層の表面抵抗率ρsが1×10〜1×1013Ω/□の範囲内にある。基層の表面抵抗率ρsが上記範囲外になると、電圧を印加した時に、ベルト裏面である基層の内側面における電荷発生量が減少し、導電性を有する無端ベルトとして機能し難くなる。例えば、上記無端ベルトを、電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルトとして用いる場合、基層の表面抵抗率ρsが上記範囲外になると以下のような不都合が生じる。すなわち、基層の表面抵抗率ρsが1×10Ω/□を下回ると、潜像担持体上の潜像がトナーにより現像されて形成されたトナー像の一次転写を行う際における電圧印加時に、ベルト張架用ローラへの漏れ電流が多くなり、基層の内側面における電荷発生量が減少する。そのため、トナー転写量が乏しくなり、画像濃度を確保することが困難になる。一方、基層の表面抵抗率ρsが1×1013Ω/□を上回ると、上記一次転写を行う際における電圧印加時に、厚み方向に電流が流れ難くなり、ベルト裏面(基層の内側面)からベルト表面(ゴム弾性層の外側面)へ移動する電荷量が減少する。そのため、やはり、トナー転写量が乏しくなり、画像濃度を確保することが困難になる。
【0021】
基層の表面抵抗率ρsの下限値は、ベルト上での電荷保持性などの観点から、好ましくは、1×10Ω/□、より好ましくは、3×10Ω/□であるとよい。基層の表面抵抗率ρsの上限値は、印加電圧の大きさなどの観点から、好ましくは、1×1012Ω/□、より好ましくは、1×1011Ω/□であるとよい。
【0022】
また、上記無端ベルトは、基層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]>基層の表面抵抗率ρs[Ω/□]≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs[Ω/□]>ゴム弾性層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]の関係を満たしている。各電気抵抗率をこのような関係にする技術的意義は、以下の通りである。なお、以下の技術的意義の説明では、図1、図6を参照することができる。図1は、上記関係を満たす無端ベルトにおける電荷移動を模式的に示したベルト軸方向の断面図であり、図6は、上記関係を満たさない従来構成の無端ベルトにおける電荷移動を模式的に示したベルト軸方向の断面図である。これら図中における符号は、1が上記関係を満たす無端ベルト(1aがベルト表面、1bがベルト裏面)、9が従来構成の無端ベルト(9aがベルト表面、9bがベルト裏面)、2が基層、3がゴム弾性層、4が電荷、Tがベルト厚み方向、Sがベルト面方向である。
【0023】
上記無端ベルトにおいて、各電気抵抗率を上記関係にする技術的意義は次の通りである。
すなわち、上記無端ベルトの裏面から電圧を印加すると、ベルト裏面である基層の内側面に電荷が発生する。ベルト裏面に生じた電荷は、基本的に、基層の内部、ゴム弾性層の内部を順に通って、最終的にはベルト表面であるゴム弾性層の外側面に到達する。このように、ベルト裏面からベルト表面に向かう大まかな電荷の流れを形成するためには、ゴム弾性層の電気抵抗率は、基層の電気抵抗率と同じかそれより小さい方がよい。そのため、上記無端ベルトでは、基層の体積抵抗率ρv、基層の表面抵抗率ρs≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs、ゴム弾性層の体積抵抗率ρvの関係とされる。
【0024】
次に、各層における体積抵抗率、表面抵抗率の関係について検討する。上述のように基層は、電子導電性を有しているため、基層内の電荷の移動経路にはバラツキがある。そのため、基層の内側面に生じた電荷は、基層内部に存在する電荷の移動経路のうち、より電気抵抗の小さい経路を通過しようとする。つまり、電荷は、基層内を厚み方向に沿って真っ直ぐに移動するとは限らず、より電気抵抗の小さな経路を選択しながらあらゆる方向に進もうとする。そのため、ベルト厚み方向に沿って電荷を移動させようとして、基層の表面抵抗率ρsを大きくし、ベルト面方向(以下、横方向という。)の電荷の移動を規制しようとしてもほとんど効果がない。それよりも基層の表面抵抗率ρsより基層の体積抵抗率ρvを大きくし、基層内において全体的に電荷を流れ難くする。これにより、電荷は、基層の内側面と基層の外側面との最短距離である厚み方向に移動しやすくなる。
【0025】
また、基層の外側面(ゴム弾性層の内側面)に達した電荷は、基層に接するゴム弾性層がイオン導電性であるため、ゴム弾性層の外側面にトナー等が接触した際に、ゴム弾性層の内部を抜けてゴム弾性層の外側面に流れる。
【0026】
この際、ゴム弾性層は、電子導電性である基層と異なりイオン導電性であるため、表面抵抗率も体積抵抗率も比較的均一であり、電荷の移動経路はゴム弾性層内に均一に存在していると考えることができる。それ故、ゴム弾性層内において、ベルト面方向への電荷の移動はほとんど考慮する必要がない。ゴム弾性層の厚み方向に沿って電荷を早く移動させるためには、ゴム弾性層の体積抵抗率ρvを小さくした方が有利であり、これによって電荷応答性も高められる。そのため、ゴム弾性層の体積抵抗率ρvをゴム弾性層の表面抵抗率ρsよりも小さくする。
【0027】
以上のメカニズムから、基層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]>基層の表面抵抗率ρs[Ω/□]≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs[Ω/□]>ゴム弾性層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]の関係を満たすようにする。なお、上記における電気抵抗率の関係は、断面積や長さといった寸法によらない指数を比較しているので、単位が異なっていても技術的な問題はない(表面抵抗率ρsは電荷のベルト面方向の移動度合を、体積抵抗率ρvは電荷のベルト厚み方向の移動度合を表しているといえる)。これにより、ベルト裏面(基層の内側面)からベルト表面(ゴム弾性層の外側面)に向かって、ベルト厚み方向に沿って電荷が移動しやすくなる(電荷のベルト面方向への位置ずれが生じ難くなる)と考えられる。
【0028】
そのため、電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルト等として上記無端ベルトを適用した場合には、得られる画像のドット再現性を向上させることができる。さらに、ゴム弾性層の体積抵抗率ρvが低いため、ベルト厚み方向の電荷応答性が早くなり、電荷が抜けやすくなる。それ故、トナーを掻き取りやすくなり、クリーニング性の向上にも寄与することができる。また、柔軟なゴム弾性層をベルト表面に有するため、凹凸を有する用紙に対するトナーの二次転写性も確保しやすくなる。
【0029】
上記無端ベルトにおいて、基層は、繊維状の電子導電剤を含有することができる(請求項2)。
【0030】
この場合には、電子導電性を発現させる繊維状の電子導電剤により、基層の体積抵抗率ρv>基層の表面抵抗率ρsの関係を得やすくなる。これは、基層中において、繊維状の電子導電剤同士が繋がりやすいこと、繊維状の電子導電剤がベルト面方向に配向しやすいことなどにより、電荷の移動経路がベルト面方向に形成されやすいためであると考えられる。
【0031】
繊維状の電子導電剤の平均繊維径は、好ましくは、0.1〜500nm、より好ましくは、2〜150nmの範囲内にあるとよい。また、繊維状の電子導電剤の平均繊維長は、好ましくは、0.1〜100μm、より好ましくは、1〜50μmの範囲内にあるとよい。これらの場合には、分散性向上などの利点がある。なお、上記平均繊維径、平均繊維長は、SEMおよびSTEM(日立ハイテク社製「S−4800」)による繊維状の電子導電剤の観察写真から、10点の繊維径、10点の繊維長をそれぞれ測定し、測定された10点の繊維径の平均値、10点の繊維長の平均値をいう。
【0032】
繊維状の電子導電剤の含有量は、樹脂成分への分散性などの観点から、好ましくは、基層に含まれうる樹脂成分100質量部に対し、0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部、さらに好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲内とすることができる。
【0033】
この際、上記繊維状の電子導電剤としては、カーボンナノチューブを好適に用いることができる(請求項3)。この場合には、比較的低い添加量で導電性を発現しやすいなどの利点がある。
【0034】
上記無端ベルトにおいて、基層は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂から構成されているとよい(請求項4)。この場合には、基層の剛性が高くなるため、無端ベルトの耐久性を向上させることができる。
【0035】
上記無端ベルトにおいて、ゴム弾性層の外側面は、ゴム弾性層の内部よりもタック性が低くされているとよい(請求項4)。
【0036】
この場合には、ゴム弾性層の外側面にトナーが固着し難くなる。そのため、ゴム弾性層の体積抵抗率ρvを低くしたことに起因してクリーニング性が向上する効果と相まって、より一層クリーニング性を高めることができる。なお、上記タック性の高低は、表面摩擦係数やタックテスタ等により判断することができる。
【0037】
上記無端ベルトにおいて、ゴム弾性層の外側面にF原子および/またはCl原子が存在している、あるいは、ゴム弾性層の外側面が光照射処理によりゴム弾性層の内部よりも硬度が高くされているとよい(請求項5)。
【0038】
この場合には、ゴム弾性層の内部よりもタック性が低くなり、ゴム弾性層の外側面にトナーが固着し難くなる。そのため、ゴム弾性層の体積抵抗率ρvを低くしたことに起因してクリーニング性が向上する効果と相まって、より一層クリーニング性を高めることができる。
【0039】
ゴム弾性層の外側面にF原子および/またはCl原子を存在させるためには、例えば、一般式:X(OCl)n[但し、Xは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子またはアルキル基を表し、nは正の整数]で表される塩素化合物および分子内に−CONCl−構造を有する塩素化合物から選択される1種または2種以上を含有する表面処理液、この表面処理液にさらにBFを含有させた表面処理液などにより、ゴム弾性層の外側面を表面改質する方法などを例示することができる。
【0040】
アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを、アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウムやカルシウムなどを、アルキル基としてはメチル基、エチル基、第三級ブチル基、トリフルオロメチル基などを例示することができる。
【0041】
上記一般式で表される化合物としては、具体的には、例えば、メチルハイポクロライド、エチルハイポクロライド、第三級ブチルハイポクロライド、トリフルオロメチルハイポクロライド等のアルキルハイポクロライド、次亜塩素酸、さらに次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸塩などを例示することができる。また、上記分子内に−CONCl−構造を有する塩素化合物としては、具体的には、例えば、N−クロロスクシンイミドやN−クロロフタルイミド等の酸イミドハロゲン化合物、トリクロロイソシアヌル酸やジクロロイソシアヌル酸等のイソシアヌル酸ハライド、ジクロロジメチルヒダントイン等のハロゲン化ヒダントインなどを例示することができる。なお、表面処理液は、水やトルエン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、第三級ブタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等の適用な溶媒に上記化合物を溶解もしくは分散することにより液状に調製することができる。
【0042】
一方、ゴム弾性層の外側面に施す光照射処理としては、例えば、紫外線照射処理を好適なものとして例示することができる。
【実施例】
【0043】
実施例に係る無端ベルトについて、図面を用いて具体的に説明する。
実施例に係る無端ベルトの概略構成を図2、図3を用いて説明する。図2、図3に示すように、無端ベルト1は、筒状に形成され、電子導電性を有する基層2と、基層2の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層3との二層構造からなる。本例では、基層2は、繊維状の電子導電剤を含有する合成樹脂材料から形成されている。具体的には、繊維状の電子導電剤としてのカーボンナノチューブを含有するポリアミドイミドから形成されている。なお、基層2の厚みは80μmである。一方、ゴム弾性層3は、イオン導電剤を含有し、C=C二重結合を有するゴム材料から形成されている。具体的には、イオン導電剤としての第四級アンモニウム塩、難燃剤、架橋剤等を含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)から形成されている。なお、ゴム弾性層3の厚みは200μmである。また、ベルト表面1aであるゴム弾性層3の外側面は、紫外線照射が施されることにより表面改質されており、ゴム弾性層3の内部よりも硬度が高くされている。他にも、ゴム弾性層3の外側面は、フッ素原子または塩素原子が導入されることにより表面改質されていてもよい。ゴム弾性層3の外側面は、上記表面改質によってゴム弾性層3の内部よりもタック性が低くなっている。
【0044】
無端ベルト1は、電子写真方式を採用するプリンター、複写機、複合機、POD(Print On Demand)装置等に組み込んで用いられる。無端ベルト1は、具体的には、潜像担持体に担持されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、このトナー像を中間転写ベルトから紙へ二次転写する画像形成装置における上記中間転写ベルトとして用いられる。
【0045】
ここで、無端ベルト1は、基層2およびゴム弾性層3の電気抵抗率が所定の関係にされている。つまり、無端ベルト1は、基層2の表面抵抗率ρsが1×10〜1×1013Ω/□の範囲内とされている。また、基層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]>基層の表面抵抗率ρs[Ω/□]≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs[Ω/□]>ゴム弾性層の体積抵抗率ρv[Ω・cm]の関係を満たしている。
【0046】
これにより、無端ベルトの裏面から電圧を印加し、ベルト裏面に発生した電荷は、厚み方向に沿って真っ直ぐに移動し、ベルト面方向に位置ずれを起こすことなくベルト表面に現れやすくなる。つまり、ベルト裏面の電荷位置とベルト厚み方向に対向するベルト表面の狙い位置に電荷を供給しやすくなる。それ故、転写チリを抑制して狙い通りにトナーを一次転写しやすくなり、ドット再現性の良好な画像を得ることができる。
【0047】
以下、実験例について説明する。本実験では、各種条件の異なる無端ベルトの試料を作製し、評価を行った。なお、作製した試料の無端ベルトは、電子写真方式を採用する複合機に組み込まれる中間転写ベルトである。
【0048】
(実験例)
<PAI系基層形成材料の調製>
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)[日本ポリウレタン工業(株)製、「ミリオネートMT」]22質量部と、トリジンジイソシアネート(TODI)[日本曹達(株)製、「TODI/R203」]29質量部と、無水トリメリット酸[三菱ガス化学(株)製、「TMA」]36質量部と、α、ω−ポリブタジエンジカルボン酸[日本曹達(株)製、「C−1000」]20質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)250質量部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後に反応を停止し、ポリアミドイミド溶液(固形分濃度:26質量%)を調製した。
次いで、このポリアミドイミド溶液に、表1に示されるように、ポリアミドイミド100質量部に対し、電子導電剤(繊維状の電子導電剤であるカーボンナノチューブ<1>、カーボンナノチューブ<2>、粒子状の電子導電剤であるカーボンブラック<1>、カーボンブラック<2>のいずれか)を所定量配合し、撹拌羽根にて混合した後、ボールミルを用いて分散させた。
・カーボンナノチューブ<1>[宇部興産(株)製、「AMC」]
・カーボンナノチューブ<2>[昭和電工(株)製、「VGCF−H」]
・カーボンブラック<1>[キャボットジャパン(株)製、「BLACKPEARLS2000」]
・カーボンブラック<2>[デグザ社製、「SpecialBlack6」]
これにより、試料1〜4、7〜11の作製に用いるための液状の各PAI系基層形成材料を調製した。各PAI系基層形成材料の粘度は、10,000mPa・s(25℃、B型粘度計の測定値)に調整した。
【0049】
<PI系基層形成材料の調製>
表1に示されるように、ポリイミド(PI)[新日本理化(株)製、「リカコート EN−20」]100質量部と、カーボンナノチューブ<1>[宇部興産(株)製、「AMC」]3質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)800質量部とを混合、分散した。これにより、試料5、6の作製に用いるための液状の基層形成材料Bを調製した。なお、PI系基層形成材料の粘度は、10,000mPa・s(25℃、B型粘度計の測定値)に調整した。
【0050】
<ゴム弾性層形成材料の調製>
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)[日本ゼオン(株)製、「ニポールDN101」]と、架橋剤(フェノール樹脂系)[住友ベークライト(株)製、「スミライトレジンPR−50087」]と、イオン導電剤(TBAHS)[和光純薬工業(株)製]と、有機系難燃剤(フォスファゼン誘導体)[(株)伏見製薬所、「ラビトルFP−110」]と、無機系難燃剤(水酸化アルミニウム)[ナバルテック社製、「APYRAL60D」]とを、表1に示す割合にて配合し、混合することにより、各ゴム弾性層形成材料を調製した。なお、各ゴム弾性層形成材料の調製に際しては、溶媒としてシクロヘキサノンを用い、各ゴム弾性層形成材料に含まれるシクロヘキサノンの質量割合(溶媒比率)は、75%とした。
【0051】
<表面処理液の調製>
次亜塩素酸tert−ブチル:2質量部と、酢酸エチル:9.8質量部と、ターシャリーブチルアルコール(TBA):88.2質量部とを混合し、表面処理液A(固形分:2%)を調製した。また、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体:2質量部と、酢酸エチル:9.8質量部と、ターシャリーブチルアルコール(TBA):88.2質量部とを混合し、表面処理液B(固形分:2%)を調製した。
次いで、調製した表面処理液Aと表面処理液Bとを1:1の割合で混合することにより、ゴム弾性層表面をフッ素・塩素処理(F・Cl処理)するための表面処理液を調製した。
【0052】
<無端ベルトの作製>
基体として、アルミニウム製の円筒状金型を準備した。また、2つのノズルを有するディスペンサ(液体定量吐出装置)を準備した。このディスペンサのノズルは、内径φ=1mmのニードルノズルである。次いで、上記調製した液状のPAI系基層形成材料またはPI系基層形成材料と液状のゴム弾性層形成材料をそれぞれ別のエアー加圧タンクに収容し、金型の外周面とノズルとのクリアランスを1mmとして、金型およびノズルをセットした。次いで、金型を垂直にした状態で、回転数60rpmで軸中心に回転させながら、基層形成材料を吐出するノズルを1mm/secの移動速度で軸方向下方に移動させるとともに、エアー加圧タンクに1.5MPaの圧力をかけて基層形成材料をノズルに圧送し、ノズルから基層形成材料を吐出させ、金型の外周面上にらせん状に塗工し、らせん状塗膜の連続体からなる全体塗膜を形成した。なお、形成された全体塗膜の厚さは80μmであった。次いで、形成された全体塗膜に対して、2時間で250℃まで昇温し、250℃で1時間保持するという条件にて加熱処理を施した。これにより、金型の外周面上に、電子導電性を有するポリアミドイミド製または電子導電性を有するポリイミド製の筒状の各基層を形成した。
【0053】
次に、上記基層が形成された金型を、回転数60rpmで軸中心に回転させながら、ゴム弾性層形成材料を吐出するノズルを1mm/secの移動速度で軸方向下方に移動させるとともに、エアー加圧タンクに1.5MPaの圧力をかけて弾性層形成材料をノズルに圧送し、ノズルからゴム弾性層形成材料を吐出させ、金型の外周面上にある基層表面にらせん状に塗工し、らせん状塗膜の連続体からなる全体塗膜を形成した。なお、形成された全体塗膜の厚さは200μmであった。次いで、形成された全体塗膜に対して、2時間で170℃まで昇温し、170℃で0.5時間保持するという条件にて架橋処理を施した。これにより、筒状の基層の外周面に沿って、イオン導電性を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム製のゴム弾性層を積層した。
【0054】
次に、試料6の無端ベルトの作製においては、大気雰囲気中、室温下にて、反応時間30秒となるように上記表面処理液をゴム弾性層の表面にローラー塗工した後、水で洗浄し、エアブローにより水滴を除去した。このようにしてゴム弾性層の外側面を表面改質した。一方、試料1〜5、試料7〜10の無端ベルトの作製においては、紫外線照射機[アイグラフィックス(株)製、「UB031−2A/BM」(水銀ランプ形式)]を用いて、ゴム弾性層の外側面に対して、周速570〜590mm/secでベルトを回転させながら、照射強度120mW/cm、照射時間30秒、光源とゴム弾性層の外側面との距離40mmという条件にて紫外線を照射した。このようにしてゴム弾性層の外側面を表面改質した。なお、試料11の無端ベルトについては、ゴム弾性層の外側面に表面処理を施していない。次いで、基層の一端縁と金型の外周面との間に高圧エアーを吹き込むことにより、無端ベルトと金型とを分離した。
【0055】
以上のようにして、試料1〜試料11の無端ベルトを作製した。
【0056】
<体積抵抗率(体積電気抵抗率)、表面抵抗率(表面電気抵抗率)の測定>
JIS K6911に準拠する抵抗率計[(株)三菱化学アナリテック製、「ハイレスタUP MCP−HT450型」(二重リングプローブ法、リングプローブ:URS使用)]を用い、基層、ゴム弾性層の軸方向中央部、両端部につき、それぞれ周方向に等間隔で4箇所の測定位置(合計12箇所)における体積抵抗率(Ω・cm)、表面抵抗率(Ω/□)を測定し、それぞれの平均値を基層の体積抵抗率ρv(Ω・cm)、ゴム弾性層の体積抵抗率ρv(Ω・cm)、基層の表面抵抗率ρs、ゴム弾性層の表面抵抗率ρs(Ω/□)として求めた。
なお、測定環境は、23℃×53%RHの環境下とし、測定サンプルには、上記ベルト作製時に同条件にて作製した各層の単層サンプルを用いた。また、体積抵抗率は、印加電圧100V、印加時間10秒の条件にて、基層、ゴム弾性層に抵抗率計のプローブをそれぞれ当接させることにより測定した。一方、表面抵抗率は、印加電圧500V、印加時間10秒の条件にて、基層、ゴム弾性層に抵抗率計のプローブをそれぞれ当接させることにより測定した。
【0057】
<ドット再現性>
各無端ベルトを、電子写真方式の複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、15℃×10%RHの環境下にて、ドットパターンを出力したときのベルト表面をマイクロスコープにて観察し、一次転写されたトナー像の飛び散り具合を評価した。図4に模式的に示すように、ベルト表面1aにドットパターンP以外のトナーtの飛び散りがほとんど見られなかった場合をドット再現性に優れるとして「◎」と評価した。ベルト表面1aにトナーtの飛び散りが僅かに見られたが、許容範囲であった場合をドット再現性が良好であるとして「○」と評価した。図5に模式的に示すように、ベルト表面1aにドットパターンP以外のトナーtの飛び散りが随所に見られ、ドットパターンPが乱れた(ベルト表面に一次転写されたドット型のトナー像が乱れた)場合を「×」と評価した。
【0058】
<クリーニング性>
白色光度計(有限会社東京電色製、「TC−6D S/A」)を用い、各無端ベルトのベルト表面の初期白色度を測定した。次いで、各無端ベルトを、電子写真方式の複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、32℃×85%RHの環境下にて、画像出力(テストパターン印刷)をA4紙で2万枚行った。その後、各無端ベルトを複合機から取り外し、再度、ベルト表面の耐久後白色度を測定した。そして、耐久後白色度と初期白色度との差を算出し、この差が0〜0.3以下であった場合をクリーニング性に優れるとして「◎」、上記差が0.3超〜0.6以下の範囲内であった場合をクリーニング性が良好であるとして「○」、上記差が0.6超であった場合をクリーニング性に劣るとして「×」と評価した。なお、本評価は、参考として行ったものである。
【0059】
<二次転写性>
各無端ベルトを、電子写真方式の複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、15℃×10%RHの環境下にて、黒ベタパターンにて両面画像出力(テストパターン印刷、A4紙)を行った。得られた裏面側の画像にて白点抜けの異常が見られなかった場合を二次転写性が良好であるとして「◎」、白点抜けの異常が僅かに見られたが、許容範囲内であった場合を二次転写性が良好であるとして「○」、白点抜けの異常が見られた場合を二次転写性に劣るとして「×」と評価した。なお、本評価は、参考として行ったものである。
【0060】
表1に、作製した無端ベルトの詳細な配合、表面処理の種類、体積抵抗率、表面抵抗率、評価結果等をまとめて示す。
【0061】
【表1】

【0062】
上記結果から以下のことがわかる。すなわち、試料7〜試料11は、いずれも、基層の体積抵抗率ρv>基層の表面抵抗率ρs≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs>ゴム弾性層の体積抵抗率ρvの関係を満たしていない。そのため、トナーの飛び散りが見られ、良好なドット再現性を得ることができなかった。
【0063】
これらに対し、試料1〜試料6は、いずれも、基層の体積抵抗率ρv>基層の表面抵抗率ρs≧ゴム弾性層の表面抵抗率ρs>ゴム弾性層の体積抵抗率ρvの関係を満たしている。そのため、トナーの飛び散りがなく、ドット再現性に優れていることが確認できた。また、試料1〜試料6は、いずれも、クリーニング性、二次転写性にも優れることが確認できた。
【0064】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 無端ベルト
1a ベルト表面
1b ベルト裏面
2 基層
3 ゴム弾性層
4 電荷
T ベルト厚み方向
S ベルト面方向
P ドットパターン
t トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、電子導電性を有する基層と、
該基層の外周面に沿って形成され、イオン導電性を有するゴム弾性層とからなり、
上記基層の表面抵抗率ρsが1×10〜1×1013Ω/□の範囲内にあり、
上記基層の体積抵抗率ρv>上記基層の表面抵抗率ρs≧上記ゴム弾性層の表面抵抗率ρs>上記ゴム弾性層の体積抵抗率ρvの関係を満たすことを特徴とする無端ベルト。
【請求項2】
請求項1に記載の無端ベルトにおいて、
上記基層は、繊維状の電子導電剤を含有することを特徴とする無端ベルト。
【請求項3】
請求項2に記載の無端ベルトにおいて、
上記繊維状の電子導電剤は、カーボンナノチューブであることを特徴とする無端ベルト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルトにおいて、
上記基層は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂から構成されていることを特徴とする無端ベルト。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の無端ベルトにおいて、
上記ゴム弾性層の外側面は、上記ゴム弾性層の内部よりもタック性が低くされていることを特徴とする無端ベルト。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の無端ベルトにおいて、
上記ゴム弾性層の外側面にF原子および/またはCl原子が存在している、あるいは、上記ゴム弾性層の外側面が光照射処理により上記ゴム弾性層の内部よりも硬度が高くされていることを特徴とする無端ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88599(P2013−88599A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228615(P2011−228615)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】