説明

無粉塵性銅ピリチオン分散系

【課題】本発明は、無粉塵性銅ピリチオン分散系に関するものである。
【解決手段】約20〜約99重量%の銅ピリチオン;界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、およびこれらの組合せからなる群から選択された、約0.05〜約30重量%の粉塵抑制剤;と約0.05重量%〜約80重量%の分散媒(全重量%は分散系の総重量に基づく)との混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にいって銅ピリチオン組成物に関するものであり、より詳しくは、水または有機分散媒中に分散した固体銅ピリチオン粒子による無粉塵性銅ピリチオン分散系に関するものである。この分散系は、界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤およびそれらの組合せからなる群から選択された粉塵抑制剤をさらに含む。
【背景技術】
【0002】
ピリチオン塩は、殺菌剤などの生物殺傷物質を含む広範な用途に有用な、よく知られた化合物である。亜鉛、錫、カドミウムおよびジルコニウムを含むピリチオンの重金属塩、並びにマグネシウムおよびアルミニウム塩は、シャンプー用に適した扁平な小板の形態で、米国特許第4,345,080号および第4,323,683号に開示されている。例えば、ピリチオン塩(例えば、亜鉛ピリチオンまたはナトリウムピリチオン)+銅塩(例えば、酸化銅(I)またはチオシアン酸銅(I))を含む塗料は、例えば米国特許第5,057,153号に開示されるように、業界で知られている。
【0003】
米国特許第5,185,033号は、銅ピリチオンまたはピリチオンジスルフィド+酸化銅(I)を含む塗料または塗料ベースの製造方法、およびこの塗料が貯蔵時のゲル化に対して安定性であることを述べている。
【0004】
米国特許第5,246,489号は、塗料または塗料ベース中で、インシチューで銅ピリチオンを生成させる方法、およびこの方法が、塗料作成中または後に、ピリチオンの金属塩、酸化銅(I)と制御された量の水を塗料に混合することを含むことを開示している。
【0005】
銅ピリチオンは、多くの用途で、亜鉛ピリチオンなどの、他の形態のピリチオンを凌駕する幾つかの利点をもっている。例えば、銅ピリチオンは、塗料製品に添加された時、亜鉛ピリチオンに比べてより安定であり、貯蔵中にゲル化を起しにくい。
【0006】
市販の銅ピリチオンは、通常は乾燥粉末として販売されており、これは粉塵を容易に発生する。銅ピリチオン粉末は、ラットの急性吸入毒性試験で、亜鉛ピリチオン粉末に比べてより毒性を示した。この銅ピリチオン粉塵は、換気不足な場所で粉末を取り扱う時に吸入害を引起す可能性がある。この粉末製品より優る無粉塵性銅ピリチオン製品の長所は、この粉塵に比較した時、無粉塵性製品を扱う顧客および/または労働者に対する吸入害を著しく減少することである。
【0007】
若干の銅ピリチオンの無粉塵性形態が、以前にも開示されている。より明確には、PCT公報WO00/54589は、グリセロール、フタル酸ジアルキル、潤滑油、アクリル樹脂、ロジン、脂肪酸アミド、ジアルキルポリスルフィド、ポリブテン、パラフィンおよびワセリンから選択された被膜を有する被覆された銅ピリチオン粒子を開示している。残念ながら、これらの被覆粒子の製造方法は、WO00/54589公報で実施例のすぐ前の頁に記載されているように、減圧下で混合/練合または溶媒の蒸発という厄介な工程を通常では必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、現在必要とされるものは、無粉塵性銅ピリチオンを提供するためのより簡単な方法論である。本発明の液体/固体分散系が、このニーズに対する1つの回答を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(本発明の概要)
1つの観点では、本発明は、固体銅ピリチオンが液体分散媒に分散した無粉塵性銅ピリチオン分散系に関する。より明確には、この分散系は、(b)水、有機溶媒およびそれらの組合せからなる群から選択された約0.05重量%〜約80重量%の液体分散媒中に分散された、(a)約20重量%〜約99重量%(好ましくは、約20重量%〜約70重量%)の固体銅ピリチオン粒子を含む。この分散系は、(c)界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、およびこれらの組合せからなる群から選択された、約0.05%〜約30重量%の粉塵抑制剤をさらに含む。これらの重量%の全ては、分散系の総重量に基づいている。
【0010】
もう1つの観点では、本発明は、粉塵抑制添加剤(c)と成分(b)を組合せ、その前に、同時に、またはその後のいずれかに、成分(a)を成分(b)に分散させて、(a)+(b)+(c)を含む所望の分散系を調整することによる、無粉塵性銅ピリチオン分散系の製造方法に関する。
【0011】
液体分散媒に固体無粉塵性銅ピリチオン粒子が分散した分散系では、この銅ピリチオン粒子は、ビニルトルエンとα―メチルスチレンモノマーの共重合から得られる炭化水素樹脂、ロジン、ポリスチレン、セルロース、シエラック、アクリルポリマー、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−D,L−乳酸−コ−グリコール酸、ゼイン、ジカルボン酸のポリマーエステル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、キトサン、グアーガム、多糖類およびそれらの組合せからなる群から選択された被膜化合物で被覆される。
【0012】
本発明のこれらの、およびその他の観点は、以下の本発明の詳細な説明を読むことにより明白になるであろう。
【0013】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、銅ピリチオンの乾燥粉末に通常関連する粉塵問題に対して改良された解決法を提供する。本発明は、溶媒中で銅ピリチオンと1種またはそれ以上の粉塵抑制剤を組合せて実質的に無粉塵性または無塵の銅ピリチオンを提供することによりこの問題を解決した。本発明の無粉塵性または無塵の銅ピリチオン組成物は、固体/液体分散系の形態をとっている。この固体/液体分散系は、取り扱い容易であり、固体取り扱いの問題を最小にし、かつ空中浮遊レベルの銅ピリチオン吸入被ばくの危険を減少または消滅させる。さらに、本発明の分散系に粉塵抑制成分を混入させることが、分散系からの粉塵生成を抑制すること、およびゲルまたは濃厚なチキソトロピック性沈殿物の生成を抑制することに貢献し、その結果これらの分散系の高められた貯蔵寿命に寄与する。
【0014】
本明細書では、用語「分散系」は、低粘度の固体/液体混合物とペーストなどの高粘度の固体/液体組成物を包含するものである。一般的に、分散系の粘度は、室温で約1,000cps〜約100,000cpsの範囲であり、好ましくは室温で約5,000cps〜約70,000cpsの範囲である(cpsはセンチポアズを表す)。
【0015】
本明細書では、用語「無粉塵性」および「無塵」は、空中浮遊の銅ピリチオン粒子が実質的に無い、便宜的には1重量%以内である組成物を表す。用語「粉塵抑制剤」は、これらの化合物を含有しない組成物に比較して、粉塵の生成を防止または抑制する化合物を表す。「空中浮遊粒子」は、American Conference of Governmental Industrial Hygienistsが出版する「許容濃度と生物学的被爆指数1999」に見られる「空中浮遊粒子状物質のための資料採取基準」に詳細に説明されている。より明確には、この出版物は、固体粒子の懸濁物または液滴として吸入空気中に存在する化学物質にとって、空中浮遊粒子に関連する潜在的有害性が粒子径と質量濃度に依存していることを語っている。
【0016】
上に示したように、本発明は、銅ピリチオン、分散媒、および界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、とそれらの組合せからなる群から選択された粉塵抑制化合物を含む無粉塵性銅ピリチオン分散系である。これらの成分のそれぞれは、以下により詳細に述べる。
【0017】
銅ピリチオンは、乾燥粉末の形態で市販されている(アーチケミカル社、ノルウオーク市、コネチカット州から)。この形態の銅ピリチオンは、本発明の分散系に直接用いることができ、あるいは銅ピリチオンは、米国特許第5,650,095号、第5,540,860号、第5,238,490号で開示されているような、業界に知られた従来法によって製造できる。簡潔に述べれば、銅ピリチオンは、水性または有機キャリヤー媒体中で銅塩および/または酸化銅とピリチオン塩とを反応させることにより製造できる。適切なピリチオン塩は、ピリチオンおよびピリチオン酸のナトリウム、カルシウム、カリウムおよびマグネシウム塩、またはピリチオンのエタノールアミン塩、キトサン塩およびジスルフィド塩などの非金属塩(「OMADINE MDS」としてアーチケミカル社から市販されている)などの有機または水性キャリヤーに可溶性の塩である。このピリチオン塩は、所望の銅ピリチオンを調整するためには、反応混合物の総重量に基づいて、好ましくは約1〜約40重量%、より好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは約15〜25重量%の量で用いられる。
【0018】
銅塩は、反応に用いるキャリヤーに可溶性の、任意の銅含有塩が適切である。例えば、水がキャリヤーである場合に、有用な銅塩は、塩化銅二水和物、硫酸銅、炭酸銅、硝酸銅、酢酸銅およびそれらの組合せを含む。上記銅塩は、単独にまたは組み合わせて、または酸化銅と組み合わせて用いることができる。
【0019】
銅ピリチオンを調整するために用いられる銅塩、または銅塩/酸化銅の組合せは、反応混合物の総重量に基づいて、好ましくは約1〜約50重量%、より好ましくは5〜30重量%、最も好ましくは約15〜20重量%の量で用いられる。
【0020】
銅ピリチオンを調整するため反応混合物に用いられるキャリヤーは、水、有機溶媒およびそれらの組合せを含む。有用な有機溶媒は、メタノールおよびエタノールなどのアルコール、ジエタノールアミンなどのアミン、エーテル、エステルなどを含む。
【0021】
無粉塵性銅ピリチオン組成物は、上記のように調整した銅ピリチオンを水または有機溶媒に分散させ、かつ分散工程を完了する前、完了と同時、または後に粉塵抑制剤を混合することにより製造される。具体的な有機分散媒は、キシレン、メタノール、エタノールなどのアルコール、エーテル、エステルおよびそれらの組合せを含む。本発明で用いられる分散媒の量は、その他の成分と比べた時にその残部であり、通常は、分散系の総重量に基づいて、約1〜約80重量%、好ましくは10重量%〜80重量%を表す。
【0022】
銅ピリチオンは、分散系において、好ましくは約20〜99重量%、より好ましくは約30〜70重量%、さらにより好ましくは約30〜50重量%、最も好ましくは約40〜約55重量%の量で用いられる。特に有用な銅ピリチオン量は、約45重量%である。
【0023】
本発明の組成物の粉塵抑制成分は、好ましくは1種またはそれ以上の界面活性剤、1種またはそれ以上のポリマー樹脂、1種またはそれ以上の結合剤またはそれらの組合せである。通常は、この成分は、約0.05〜約30重量%の本発明の組成物を含む。この分散系に混入して有効である特に有用な粉塵抑制添加剤は、ビニルトルエンとα−メチルスチレンのコポリマー、ロジン、ポリスチレン、セルロース、シエラック、アクリルポリマー、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−D,L−乳酸−コ−グリコール酸、ゼイン、ジカルボン酸のポリマーエステル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、エチレングリコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、キトサン、グアーガム、多糖類およびそれらの組合せである。
【0024】
本発明の組成物に用いられる適切な界面活性剤は、ノニオン、アニオン、カチオンおよび両性イオン界面活性剤(後者は通常「ジッターイオン界面活性剤」とも呼ばれる)として知られる界面活性剤の分類から選択することができる。この界面活性剤は、単独で、または上記4分類の界面活性剤から選択された2種、3種または4種の界面活性剤を組み合わせて適宜に使用される。単独で用いる時には、ノニオン系が好ましいが、アニオン界面活性剤も良好な結果を与えることが見出された。カチオンと両性イオン界面活性剤は、単独の界面活性剤として用いた時には好ましくないが、界面活性剤を何も用いずに調整した銅ピリチオン分散系の製造時に、ゲル化問題の大きさを減少させる点で改良をもたらした。
【0025】
有用なノニオン界面活性剤は、リニアアルコールエトキシレート、エトキシル化/プロポキシル化ブロックコポリマー、エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコールおよびポリオキシエチレンセチルエーテルなどのリニアアルコールアルコキシレートを含む。有用なリニアアルコールアルコキシレートは、例えば登録商標POLY−TERGENT SL−42、アーチケミカル社製品として市場から入手できる。所望により、このアルコールアルコキシレートは、低級アルキル基で末端封鎖されていることが好ましく、かつこのような製品は、POLY−TERGENT SLF−18、アーチケミカル社製品であるプロピレンオキシド−封鎖されたリニアアルコールアルコキシレートとして市場から入手でき、かつこれらの末端封鎖されたリニアアルコールアルコキシレートは、使用時にきわめて低発泡性である。POLY−TERGENT SLF−18B系界面活性剤として市場から入手できる群の界面活性剤は、本発明に関連して用いても好都合であり、これらの界面活性剤は、高められた生分解性で特徴付けられた界面活性剤(アーチケミカル社製品)であり、例えば、米国特許第4,925,587号および第4,898,621号に開示されるように、アルケンオキシド−封鎖したリニアアルコールアルコキシレートであり、その主鎖にエチレンオキシド成分を含有し、かつ主鎖に少なくとも1個のプロピレンオキシド成分を含むものが適切である。
【0026】
その他の有用なノニオン界面活性剤は、NEODOL91−6、シエルケミカル社の商標の界面活性剤製品として市場から入手できるものを含む。この界面活性剤は、アルコール1分子当り平均6モルのエチレンオキシドを有するC9〜C11リニア第1級アルコールエトキシレートの洗剤範囲の混合物である。その他の有用なノニオン界面活性剤は、リニアC9〜C11炭素鎖および1分子当り5または6個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド基を含む界面活性剤である。
【0027】
有用なアニオン界面活性剤は、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、アルキルフェニルエトキシル化リン酸エステル、カルボキシル化リニアアルコールアルコキシレート、リニアアルキルベンゼンスルホン酸、スルホコハク酸ジイソブチル、アビエチン酸およびアルキルスルホン酸塩を含む。
【0028】
その他の有用なアニオン界面活性剤は、ポリカルボキシル化アルコールアルコキシレート、好ましくは酸、またはポリカルボキシル化リニアアルコールアルコキシレート、ポリカルボキシル化枝分れアルコールアルコキシレート、ポリカルボキシル化環式アルコールアルコキシレートの有機または無機塩およびそれらの組合せからなる群から選択された界面活性剤である。これらのポリカルボキシル化アルコールアルコキシレートは、通常、1分子当り少なくとも2個のコハク酸基を含有する。好ましいポリカルボキシル化アルコールアルコキシレートは、ポリ(プロピレンオキシド)とポリ(エチレンオキシド)ブロックを共に含有する主鎖を有するものであり、このような好ましいポリカルボキシル化アルコールアルコキシレートは、例えば、POLY−TERGENT CS−1、アーチケミカル社の商標の界面活性剤として市場で容易に入手できる。また、ポリカルボキシル化アルコールは、ポリカルボン酸、例えばポリアクリル酸を、出発のアルコールアルコキシレートおよびポリカルボン酸のアルコキシレートのエステルと共に含有してもよい。
【0029】
カチオンおよび両性イオン界面活性剤は、本発明の方法で個別に使用が受け入れられるが、これらの界面活性剤はその他の分類から選択された少なくとも1種と組み合わせて用いることが好ましい。具体的なカチオン界面活性剤は、アルキルトリアンモニウムハライド、非リニアアルキルジメチルハライドおよびアルキルジメチルベンジルアンモニウムハライドを含有する界面活性剤を含む。具体的な両性イオン界面活性剤は、ポリグリコールエーテル誘導体、エトキシレートオキサゾリン誘導体、ラウリルアミドプロピルベタインおよびレシチンを含む。
【0030】
本発明の方法では、前記界面活性剤の種々の組合せを基にして、適切な混合物を用いることができる。このような混合物は、前記界面活性剤の4種の広範な分類の間または中で、2種またはそれ以上の界面活性剤の、任意の組合せになってもよい。これらの組合せは、アニオンとアニオン、アニオンとノニオン、アニオンとカチオン、アニオンと両性イオン、カチオンとカチオン、カチオンと両性イオン、ノニオンとノニオン、ノニオンと両性イオン、および両性イオンと両性イオンの混合物を含むことができる。同様に、前記分類の間または中から、それぞれ3または4種の活性剤を選択することにより、3成分または4成分の界面活性剤の混合物を含むことができる。
【0031】
適切には、下記の具体的なリスト(a)〜(d)から、任意に単独または2、3または4種の界面活性剤の組合せが用いられる:
【0032】
(a)ノニオン界面活性剤;アルコキシル化リニアアルコール(POLY−TERGENT SLF−18界面活性剤、アーチケミカル社の製品など)、リニアアルコールエトキシレート(NEODOL91−8界面活性剤、シエル社の製品など)、エトキシル化リニアアルキルベンゼン(TRITON X−100界面活性剤、ユニオンカーバイド社の製品など)、およびEO/POブロックコポリマー(POLY−TERGENT E−17A界面活性剤、アーチケミカル社の製品など)を含む界面活性剤、
【0033】
(b)アニオン界面活性剤;アルキルジフェニルエーテルジスルホネート(POLY−TERGENT 2A1界面活性剤、アーチケミカル社の製品など)、アルキルフェニルエトキシル化リン酸エステル(Wayfos M−60界面活性剤、アーチケミカル社の製品など)、カルボキシル化リニアアルコールアルコキシレート(POLY−TERGENT CS−1界面活性剤、アーチケミカル社の製品など)、リニアアルキルベンゼンスルホン酸(BIOSOFT S−130界面活性剤、ステパン社の製品など)、α−オレフィンスルホネート(BIO TERG AS−40界面活性剤、ステパン社の製品など)、スルホコハク酸ジアルキル(AROWET SC−75界面活性剤、アロールケミカル社の製品など)、および硫酸アルキル(STEPANOL SLS界面活性剤、ステパン社の製品など)を含む界面活性剤、
【0034】
(c)カチオン界面活性剤;アルキルトリアンモニウムハライド(CTAB界面活性剤、VWRサイエンテイフィック社の製品など)、ポリオキシエチレンココアミン(MAZERN界面活性剤、PPG社の製品など)、第1級アルキルアミン(ARMEEN界面活性剤、アクゾケミカル社の製品など)、ジココジメチルアンモニウムハライド(JET QUAT界面活性剤、Jetcoケミカル社の製品など)、ジイソデシルジメチルアンモニウムハライド(AMMONYX K9界面活性剤、ステパン社の製品など)、およびステアリン酸ジエチルアミノエチル(CERASYNT 303界面活性剤、ISP Van Dyke社の製品など)を含む界面活性剤、
【0035】
(d)両性界面活性剤;ポリグリコールエーテル誘導体(ALBEGAL A界面活性剤、チバ−ガイギー社の製品など)、エトキシル化オキサゾリン誘導体(ALKATERG T−IV界面活性剤、アンガスケミカル社の製品など)、ラウラミドプロピルベタイン(LEXAINE C界面活性剤、イノレックスケミカル社の製品など)、レシチン(CANAPERSE界面活性剤、キャンアモーラル社の製品など)、ココアンホ二酢酸二ナトリウム塩(MONATERICS界面活性剤、モナ社の製品など)、複合脂肪族アミン塩(MAFO 13界面活性剤、PPG社の製品など)、およびココアミンオキシド(MACKAMINE CO界面活性剤、マックインタイアグループ社の製品など)を含む界面活性剤。
【0036】
単独または組み合わされた界面活性剤は、分散系の総重量を基にして、好ましくは約0.05〜約10重量%、より好ましくは0.1〜約5重量%、最も好ましくは約0.5〜約2重量%の総量で用いられる。
【0037】
本発明の組成物の中で粉塵抑制成分として用いられる適切な樹脂は、アクリル樹脂、ビニル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、天然樹脂、ロジン、ポリエステル樹脂、プラスチゾル、およびそれらの組合せを含む。ビニル樹脂が、本発明の組成物の中で特に有用である。
【0038】
本発明の分散系に有用なプラスチゾルは、樹脂+可塑剤などのキャリヤーを含み、米国特許第5,319,000号に記載されているように、可塑剤および樹脂相溶性添加剤を含有する市販のプラスチゾルを含む。
【0039】
キャリヤーを用いた有用なプラスチゾルは、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ヘプチルノニル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシルおよびアジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)などのアジピン酸誘導体、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)などのアゼライン酸誘導体、二安息香酸ジエチレングリコール、二安息香酸ジプロピレングリコールおよびイソ酪酸安息香酸2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどの安息香酸誘導体、クエン酸トリ−n−ブチルおよびアセチルクエン酸トリ−n−ブチルなどのクエン酸誘導体、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、2−エチルヘキシルエポキシタレートおよびビスフェノールAグリシジルエーテルなどのエポキシ誘導体、二ペラルゴン酸ジエチレングリコール、二−2−エチル酪酸トリエチレングリコール、二−2−エチルヘキサン酸ポリ(エチレングリコール)(200)などのグリコール誘導体、エチルグリコール酸メチルフタリルおよびエチルグリコール酸ブチルフタリルなどのグリコール酸エステルを含む。
【0040】
他のキャリヤーを用いた有用なプラスチゾルは、例えば、水素化テルフェニルHB−40、ポリ(アルキルナフタレン)、PANAFLEX、脂肪族芳香族化合物(「LEROMOLL」)および塩素化パラフィン(52重量%Cl)(「CERECLOR S−52」)などの炭化水素、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのイソフタル酸誘導体、オレイン酸ブチルなどのオレイン酸誘導体、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリブトキシエチル、塩素化二リン酸エステル(「PHOSGARD 2XC−20」)、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸イソプロピルフェニルジフェニル(「KROTINEX 100」)、リン酸t−ブチルフェニルジフェニル(「SANTICIZER 154」)、リン酸2−エチルヘキシルジフェニルおよびリン酸イソデシルなどのリン酸誘導体、塩素化ポリリン酸エステル(「PHOSGARD C−22−R」)などのリン酸誘導体を含む。
【0041】
さらに、他のキャリヤーを用いた有用なプラスチゾルは、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ヘプチルノニル、フタル酸ヘプチルノニルウンデシル、フタル酸ジイソオクチル、ジアルキル(C7−C11)、(C6−C10)と(C8−C10)混合リニアフタル酸エステル(「SANTICIZER 711」または「PLATINOL 711P」)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸7−(2,6,6,8−テトラメチル−4−オキサ−3−オクソ−ノニル)ベンジル、フタル酸ビス(2−ブトキシエチル)、フタル酸ジ(n−オクチル)およびフタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸誘導体、アジピン酸ポリエステル(分子量6000)(「PARAPLEX G−40」)、アジピン酸ポリエステル(分子量2000)(「SANTICIZER 334F」)、アゼライン酸ポリエステル(分子量850)(「PLASTOLEIN 9720」)、アゼライン酸ポリエステル(分子量2200)(「PLASTOLEIN 9750」)およびセバシン酸ポリエステルなどのポリエステルを含む。
【0042】
さらに、他のキャリヤーを用いた有用なプラスチゾルは、例えば、リシノレイン酸メチル、アセチルリシノレイン酸n−ブチル、およびひまし油(90重量%リシノレイン酸グリセリル)などのリシノレイン酸誘導体、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)などのセバシン酸誘導体、アセトキシステアリン酸ブチルなどのステアリン酸誘導体、酢酸イソ酪酸スクロースなどのスクロース誘導体、N−メチル−(o,p)−トルエンスルホンアミドおよびフェノールとクレゾールのアルキルスルホン酸エステル(「MESAMOLL」)などのスルホン酸誘導体、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)などのテレフタル酸誘導体、トリメリト酸トリス(2−エチルヘキシル)、トリメリト酸ヘプチルノニル、トリメリト酸ヘプチルノニルウンデシルおよびトリメリト酸トリイソデシルなどのトリメリト酸誘導体を含む。
【0043】
プラスチゾル用のその他の有用なキャリヤーは、ポリオールなどの可塑剤として通常分類されない添加剤を含む。本発明の範囲では、キャリヤーとして有用な添加剤に対する重要な基準は、添加剤が加熱時に選択された膨潤性ポリマー樹脂と相互作用してポリマー粒子の膨潤を引起すことである。キャリヤーが特定の用途に有用であるためには、ポリマー粒子の膨潤がポリマーおよびキャリヤーの分解温度以下の適度に高められた温度で起きなければならない。適度に高められた分解温度を提供するために、熱安定剤が任意選択的に用いられる。
【0044】
プラスチゾルに用いられるキャリヤーの量は、分散系の総重量に基づき重量%で、適切には約20〜約95、好ましくは約50〜約85の範囲である。
【0045】
本発明に有用なプラスチゾルに適する樹脂は、例えば、下記の樹脂またはそれらの組合せ、即ち、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース類、ポリ(メチルメタクリレート)およびアクリルコポリマーなどのポリアクリレート類、ポリスチレン類、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリカーボネート類、ゴムおよび合成エラストマー類、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(ビニルクロライド)などのビニルポリマー類、ポリアクリロニトリルおよびこれらの変性コポリマー、およびそれらの組合せを含む。好ましい樹脂は、典型的には乳化重合で製造され、かつ例えば、「GEON 125A」、BF Goodrich社の製品として市販されているプラスチゾル級のポリ(ビニルクロライド)(「PVC」)である。
【0046】
プラスチゾルの樹脂成分の好ましい量は、通常は、プラスチゾルの総重量に基づき重量%で、約0.2重量%〜30重量%の範囲である。
【0047】
本発明の組成物に使用できる有用な結合剤は、任意の低温溶融ポリマーまたは結合剤業界で知られたワックスである。代表的な結合剤は、商標名「TACOLYN」または「PICCOTEX」(ビニルトルエンとメチルスチレンモノマーの共重合により製造された炭化水素樹脂)で販売されているロジンなどのロジン類、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリレート類のポリマー、およびキサンテートまたはグアーガム、ポリビニルアルコール、エチルアセテート、およびそれらの混合物を含む。結合剤成分の有用な量は、組成物の総重量に基づき重量%で、好ましくは約0.1〜約20重量%、より好ましくは約0.5〜約10重量%、最も好ましくは約0.5〜約5重量%の範囲である。
【0048】
上に示したように、本発明の組成物の粉塵抑制剤成分は、独立して使用可能である(例えば、界面活性剤単独、または粉塵抑制成分としてポリマー樹脂単独)。それに代わって、前記粉塵抑制剤の1種またはそれ以上の組合せが、粉塵抑制成分として使用できる。さらに、1種またはそれ以上の前記粉塵抑制剤(例えば、界面活性剤)と1種またはそれ以上の他の粉塵抑制剤(例えば、ポリマー樹脂)とを組み合わせて使用して、本発明の粉塵抑制成分を製造できる。
【0049】
上に示したように、本発明の分散系の銅ピリチオンは、微細な無粉塵性粉末(例えば、分散体)、またはそれに代わり、大きい非吸入性粒子(例えば、約4ミクロンより大きい)の形態をとることが可能である。一般的に、この分散系の銅ピリチオンの粒子径範囲は、約0.01ミクロン〜約1,000ミクロン、好ましくは約0.01ミクロン〜約50ミクロンである。有利には、分散系中の少なくとも約90%の粒子が、50ミクロン未満の粒子径を有する。
【0050】
本発明の特に有利な分散系では、粉塵抑制剤は、好ましくは1種またはそれ以上の界面活性剤および/または1種またはそれ以上のポリマー樹脂および/または1種またはそれ以上の結合剤であり、かつ無粉塵性銅ピリチオン分散系は通常は以下のように調整される。
【0051】
先ず、選択されたポリマー樹脂および/または界面活性剤をミキシング容器に加え、かつ選択された溶媒に、高速分散機またはその他の型式のミキサーまたは塗料およびコーテイング業界で知られたミルを用いて、低速ミキシング(一般的に、約500〜800rpm)で溶解させる。次に、銅ピリチオンを加え、かつミキシング速度を5,000〜10,000rpmに高める。均一な分散系またはペーストが形成されるまで、通常は約1分〜約4時間、より好ましくは約5分〜約90分間、最も好ましくは約5分〜約45分間ミキシングを継続する。水性分散系のpHは、一般的にpH5〜9の範囲で維持される。
【0052】
銅ピリチオン湿式フィルターケーキを用いて有機溶媒系の分散系を作成する時には、最終組成物から残留水分を除かなければならない。一実施形態では、前記のミキシング工程は、デイーンスタークトラップ接続部または有機溶媒から水を除くために使用されるその他の装置が付いた密閉フラスコまたは反応器中で行なわれる。この混合物を、もはや水分が分散系から除去されなくなる迄、約95℃〜105℃またはそれ以上の温度に加熱することができる。それに代わり、ミキシングを、より低加熱温度(または加熱する必要がない)の真空下で行なうことができる。
【0053】
本発明の無粉塵性銅ピリチオン組成物が、濃厚なペーストの形態をとる分散系として作成されてもよい。分散媒として水を用いて作成する時、本発明の組成物は、一般的に室温で約1,000センチポアズ(cps)〜約7,500cpsの範囲の粘度をもつ。有機溶媒を用いて作成された本発明の無粉塵性銅ピリチオン組成物は、一般的に室温で約5,000cps〜約100,000cps(好ましくは5,000〜約70,000cps)の範囲の粘度をもつ。
【0054】
本発明の無粉塵性銅ピリチオン組成物は、銅ピリチオン組成物の従来技術より優る重要な利点を提供する。本発明の無粉塵性銅ピリチオン分散系は、容易な処理と塗料、コーテイングとの容易なミキシング、または石鹸、シャンプーなどのパーソナルケアー組成物、医薬品などを提供する。本発明の粉塵抑制特性は、局部的環境で空中浮遊銅ピリチオン粉塵の存在を著しく低減する。その結果として、本発明の無粉塵性銅ピリチオン分散系は、有毒な空中浮遊銅ピリチオン粉末の吸入の恐れがなく、低減されたリスクで容易に取り扱い可能である。加えて、銅ピリチオン分散系が撒き散らかされ、かつ溶媒が蒸発する時、分散系の粉塵抑制成分は、銅ピリチオン上に粉塵発生を最小にするフィルムを形成することが判明している。さらに、粉塵抑制成分は、ゲルまたは濃厚なチクソトロピー性沈殿物の生成を抑制し、かつそれ故に、本発明の組成物の保存寿命を高める。
【0055】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例により限定されることを意図しない。全ての部およびパーセントは重量に基づくものであり、全ての温度は、特に断らない限り摂氏の度で表す。全ての重量%は、特に断らない限り、各組成物の総重量に基づいている。
【実施例1】
【0056】
有機溶媒中での銅ピリチオン(CuPT)分散系の調整
13gの「LAROFLEX MP25」ポリマー樹脂(ビニルクロライド−イソブチルビニルエーテルのコポリマー、BASF社、シャルロット市、ノースカロライナ州)を832gのキシレンに溶解した。ポリマーの溶解後、862gの銅ピリチオン(アーチケミカル社、ACBVスオード、アイルランド)(49重量%)を徐々に添加し、かつ高速分散機を用いて1,000〜3,500rpmの速度で一定にミキシングした。混合物を低速度(1,000rpm)かつ低せん断力で攪拌し、均質な混合物が得られるまで適切なミキシングを実施した。高速分散機に代えて、ロ−ター/スターター型分散機(例えば、シルバーソン型)または粉砕ミル(例えば、ビードまたはサンドミル)を使用して同様な結果を得ることができる。
【0057】
分散系(全体で1,707g)は、下記の組成であった。

【実施例2】
【0058】
比較例
ポリマー樹脂を用いずに、実施例1と同様な方法で行なった。すなわち、832gのキシレンをビーカーに加え、かつ銅ピリチオン粉末(862g)を、高速分散機を用いて1,000〜3,500rpmの速度で連続的にミキシングして徐々に加えた。ペースト状混合物が濃厚化し始めたので、全ての銅ピリチオンをビーカーに仕込むことができなかった(CuPTの総重量に基づいて、約25%を加えることができただけである)。追加的に攪拌しても適正なミキシングが得られず、均質な混合物が得られなかった。得られた材料は、きわめて濃厚で、銅ピリチオンの非流動性ペーストであった。
【実施例3】
【0059】
水中で銅ピリチオン(CuPT)分散系の調整
3gの「DARVAN」分散剤(R.T.バンダービルト社のコーポリ(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド)のナトリウム塩)を75gの水に分散した。DARVANの溶解後、77gの銅ピリチオン粉末を高速分散機(1,000〜3,500rpm)を用いて連続的にミキシングして徐々に加えた。低速度(1,000rpm)かつ低せん断力で攪拌を継続し、均質な混合物が得られるまで適切なミキシングを実施した。高速分散機に代えて、ロ−ター/スターター型分散機(例えば、シルバーソン型)または粉砕ミル(例えば、ビードまたはサンドミル)を使用して同様な結果を得ることができる。
【0060】
分散系(全体で155g)は下記の組成であった。

【実施例4】
【0061】
湿式銅ピリチオンフィルターケーキから有機溶媒中で銅ピリチオン(CuPT)分散系の調整
頚の1つにデイーン・スタークトラップを接続した3リットルの3頚フラスコを用い、13gの「LAROFLEX MP25」ポリマー樹脂(ビニルクロライド−イソブチルビニルエーテルコポリマー、BASF社、シャルロット市、ノースカロライナ州)を、832gのキシレンに溶解した。ポリマーを溶解後、30%までの水を含有する1188.6gの銅ピリチオン湿式フィルターケーキ(アーチケミカルACBVスオード、アイルランド)を3頚フラスコに加えた。1,000〜3,500rpmの速度でのミキシングとフラスコ下に置いた加熱マントルによる加熱を開始した。低速度(1,000rpm)かつ低せん断で混合物を攪拌して、均質な混合物が得られるまで、適正なミキシングを行なった。次に、ミキシング速度を2,500rpmまで高めた。3頚フラスコ装備の代わりに、分散ブレード付きのロスプラネタリーミキサーを用いて同様な結果を得ることができる。デイーン・スタークトラップが水分を除去しなくなる迄、この混合物を95℃〜約105℃に加熱した。これに約3時間かけて完了した。
【0062】
得られた分散媒(全体で1707gまで)は以下の組成であった。

【0063】
吸入害としての銅ピリチオン分散系の評価
約40%の銅ピリチオンと約60%のキシレンを用いて上記のように、銅ピリチオン(CuPT)分散系を作成した。対照材料として酸化銅(I)とタルクを用いて粉塵を発生させるように設計されたテストシステムで銅ピリチオン分散系を評価した。対照材料のそれぞれは、異なる密度と空気力学的直径をもつ粉塵を容易に形成するものとして知られている。テスト方法は以下の通りであった。
【0064】
それぞれ1ポンド(453g)の材料を秤量し、これを8.5×12×2インチ(21.59×30.48×5.08cm)の開放ガラス容器に投入した。次に、テスト材料が入ったガラス容器を実験室のフード下でシェーカー台の上に載せた。空気1.0リットル/分の校正流速で作動する大容量空気サンプリングポンプに接続した、2片の37mm非結着ガラス繊維フィルターカセットからなる空気サンプリングトレインを用いて、各テストサンプルの粉塵をモニター監視した。これらの空気サンプリングトレインを、各ガラス容器表面上の6および12インチ(15.24および30.48cm)の空中浮遊物捕獲点に配置した。
【0065】
ガラス容器を固定した後、シエーカー台を100rpmで揺さぶり、かつ同時に空気サンプリングトレインのスイッチを入れた。各テスト材料を240〜250分間シエーカーにかけた。240〜250分後に、シエーカー台と空気サンプリングトレインのスイッチを切った。次に、空気サンプリングトレインを後補正し、空気サンプリングフィルターを分析した。銅ピリチオン分散系から採取した空気サンプルを、アーチケミカル社の分析部門で認定済みの高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)法を用いて、空中浮遊銅ピリチオンの分析を行なった。タルクおよび酸化銅(I)容器から採取したサンプルは、AIHA認定施設、CIGNA環境保健研究所に分析を委託した。
【0066】
上記のテスト手続は、酸化銅(I)対照の空中浮遊粒子密度が、材料の表面から6インチ(15.24cm)のところで0.1mg/m3であり、材料の表面から12インチ(30.48cm)のところでは0.042mg/m3(検出限界)より小さいことを示した。同様に、タルク対照の空中浮遊粒子密度が、材料の表面から6インチ(15.24cm)のところで0.005mg/m3であり、材料の表面から12インチ(30.48cm)のところでは0.004mg/m3(検出限界)より小さかった。目立って対照的に、上記の銅ピリチオン分散系を100rpmで240〜250分間揺さぶった結果として測定された空中浮遊粒子密度は、6インチ(15.24cm)および12インチ(30.48cm)のところで、0.012mg/m3(検出限界)より小さかった。
【0067】
その結果を以下の表に掲載する。

【0068】
上の比較から得た結果は、本発明の銅ピリチオン分散系が、通常の条件(例えば、輸送、取り扱いなど)下で重大な銅ピリチオンの空中浮遊濃度を発生する怖れが殆どないことを証明している。未処理銅ピリチオン粉末の粉塵を通常発生するであろう条件下で、本発明の組成物の成分である銅ピリチオンは、通常の輸送、取り扱い条件下で吸入害をもたらすとは考えられない。
【0069】
本発明を実施形態と組み合わせて説明したが、多くの代替、改質および変更が前記説明に照らせば当業者には明白になるであろうことは明らかである。したがって、添付した特許請求の範囲の精神と広い範囲内にあるこのような代替、改質および変更の包含を意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無粉塵性銅ピリチオン分散系であって、(a)約20重量%〜約99重量%(好ましくは、約20重量%〜約70重量%)の固体銅ピリチオン粒子が、(b)水、有機溶媒、およびそれらの組合せからなる群から選択された、約0.05重量%〜約80重量%の液体分散媒に分散され、前記分散系が(c)界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された、約0.05重量%〜約30重量%の粉塵抑制剤をさらに含む(全ての重量%は、前記組成物の総重量に基づく)ことを特徴とする分散系。
【請求項2】
前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された、請求項1に記載の無粉塵性銅ピリチオン分散系。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂が、アクリル樹脂、ビニル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、天然樹脂、ポリエステル樹脂、プラスチゾル、およびそれらの組合せからなる群から選択された、請求項1に記載の無粉塵性銅ピリチオン分散系。
【請求項4】
前記結合剤が、ロジン、アクリレート、キサンテートまたはグアーガム、ポリビニルアルコール、エチルアセテート、およびそれらの組合せからなる群から選択された、請求項1に記載の無粉塵性銅ピリチオン分散系。
【請求項5】
前記分散媒が水を含み、かつ前記分散系が室温で約1,000cps〜約7,500cpsの範囲の粘度をもつ、請求項1に記載の無粉塵性銅ピリチオン分散系。
【請求項6】
無粉塵性銅ピリチオン分散系であって、
約20〜約70重量%の固体銅ピリチオン粒子;
界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された約0.05〜約30重量%の粉塵抑制剤;と
分散媒としての水を含み;
前記分散系が、室温で約1,000cps〜約7,500cpsの範囲の粘度をもつ(全ての重量%が前記分散系の総重量に基づく)ことを特徴とする分散系。
【請求項7】
無粉塵性銅ピリチオン分散系であって、
約20〜約70重量%の銅ピリチオン;
界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された約0.05〜約30重量%の粉塵抑制剤;と
キシレン、アルコール、エーテル、エステル、およびそれらの組合せからなる群から選択された有機分散媒を含み;
前記分散系が、室温で約5,000cps〜約70,000cpsの範囲の粘度をもつ(全ての重量%が前記分散系の総重量に基づく)ことを特徴とする分散系。
【請求項8】
液体分散媒中の固体無粉塵性銅ピリチオン粒子の分散系であって、前記銅ピリチオン粒子が、ビニルトルエンとα―メチルスチレンモノマーの共重合から得られる炭化水素樹脂、ロジン、ポリスチレン、セルロース、シエラック、アクリルポリマー、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−D,L−乳酸−コ−グリコール酸、ゼイン、ジカルボン酸のポリマーエステル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、キトサン、グアーガム、多糖類およびそれらの組合せからなる群から選択された被膜化合物で被覆され、約90%より多い前記粒子が約20ミクロンより大きいサイズをもち、かつ10%より少ない前記粒子が4ミクロン以下のサイズをもつことを特徴とする前記分散系。
【請求項9】
無粉塵性銅ピリチオン分散系の製造方法であって、液体分散媒中に固体銅ピリチオン粒子を分散させるステップを含み:
(1)約20〜約99重量%の銅ピリチオン;
(2)界面活性剤、ポリマー樹脂、結合剤、およびそれらの組合せからなる群から選択された約0.05〜約30重量%の粉塵抑制剤;と
(3)約0.05重量%〜約80重量%の分散媒を組み合わせて、前記無粉塵性銅ピリチオン分散系を作成する(全ての重量%が前記分散系の総重量に基づく)ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1の無粉塵性銅ピリチオン分散系の製造方法であって、粉塵抑制剤(c)と成分(b)を組合せ、その前に、同時に、またはその後のいずれかに、成分(a)を成分(b)中に分散させて、(a)+(b)+(c)を含む所望の分散系を調整することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2011−105753(P2011−105753A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−16394(P2011−16394)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願2003−531805(P2003−531805)の分割
【原出願日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】