説明

無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法

【課題】ユーザに対しその周辺エリアの通信品質情報を通知し、所望の品質が得られるエリアへの移動を誘導する無線アクセスシステムを提供する。
【解決手段】無線基地局2はセル内に在圏する各ユーザ端末UE1〜UE3から定期的に該セルを任意に細分化した各小エリアの品質情報と当該ユーザ端末の位置情報とを受信して、該当の小エリアに関する品質情報として一旦保存し、特定時間間隔経過の都度その間に保存された品質情報を集計し、各小エリアの最新の通信品質情報として各小エリアのエリア情報が記録された小エリア管理テーブル4に更新登録する。無線基地局2はユーザ端末から接続確立要求があると、小エリア管理テーブル4を参照し、当該ユーザ端末が存在する小エリアを特定し、かつ、当該小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する小エリアそれぞれに関するエリア情報と通信品質情報とを、接続確立要求の応答として、要求元のユーザ端末に返送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法に関し、特に、要求品質を満たす場所へユーザを誘導することが可能な無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムにおいては、当該移動体通信システムの用いる無線電波の品質が、基地局からの距離、大気の状態、地形、無線電波の障害物の存在の有無等によって大きく変動する。このため、特許文献1の特表2002−530956号公報「通信システムにおける無線状態の測定および予測を行う方法および装置」にも記載されているように、従来の移動体通信システムにおいては、図7に示すように、セル間に跨る場合について、各セルのトラヒック量に応じたセルリセクション(セル再選択)の閾値設定等のトラヒック分散技術等、セル間の移動による品質を確保する技術があった。図7は、従来の移動体通信システムにおける無線基地局のセル間移動時の品質確保方法を説明するための模式図であり、複数のセルが近傍に存在する際にユーザ端末UEがセル間を移動する様子を示している。
【0003】
つまり、図7に示す模式図においては、ユーザ端末UEの付近には、複数のセルとして、現在のスループットが1Mbpsの第1セルCell#1、2Mbpsの第2セルCell#2、5Mbpsの第3セルCell#3、2Mbpsの第4セルCell#4、1Mbpsの第5セルCell#5、2Mbpsの第6セルCell#6、および、1Mbpsの第7セルCell#7まで配置されている状況にある例を示しており、現在、ユーザ端末UEは、スループットが1Mbpsと低い第1セルCell#1に存在している例を示している。したがって、ユーザ端末UEは、所望の通信品質を確保するために、第1セルCell#1〜第7セルCell#7までのセル単位の品質測定結果を利用して、現時点でスループットが最も高く最も高品質なセル(ホットスポット)となっている第3セルCell#3に移動しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−530956号公報(第21−24頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図7に示したようなセル間での移動については、最も高品質なセルである第3セルCell#3に移動できたとしても、セルのカバーエリア内に各種の障害物が存在している場合のように、当該第3セルCell#3内で無線特性品質が不均一になっている場合には、ユーザ自身が、体感で通信状態が悪いことを認識し、試行錯誤しながら、受信場所をさらに移動するなどを行うことによって、通信状態の品質確保を行うことが必要になっていた。かくのごときセル内における受信場所の移動等の試行錯誤は、計画性がなく、セル内のユーザトラヒックの偏りに繋がるという課題があった。
【0006】
また、試行錯誤の結果、なかなか品質確保ができない場合には、ユーザは移動体通信サービスの享受を諦めるという行動が取られてしまう結果を招き、サービス性の低下につながっていた。
【0007】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが移動体通信サービスを享受しようとする際に、当該ユーザに対して現在所在する場所のスループット情報(通信品質情報)以外にもその周辺エリアのスループット情報(通信品質情報)も含めて通知し、該スループット情報に基づくユーザ自身の判断によって場所の移動等を行ってもらうことにより、顧客満足度の向上が可能な無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)本発明による無線アクセスシステムは、移動体通信システムを構築する無線アクセスシステムにおいて、無線基地局が収容する無線アクセスエリアを任意の個数および任意のサイズに1ないし複数に細分化した小エリアに関して、前記無線基地局は、1ないし複数の前記小エリアのいずれかに存在するユーザ端末から、あらかじめ定めた周期ごとに定期的に、当該ユーザ端末が存在する前記小エリアの無線特性品質情報と当該ユーザ端末の位置情報とを含む測定報告メッセージを受信して、前記小エリアに関する無線特性品質情報として一旦保存し、あらかじめ定めた特定時間間隔が経過する都度、当該特定時間間隔の間に保存されている各前記小エリアごとの無線特性品質情報を集計して、各前記小エリアにおける最新の通信品質情報として、各前記小エリアが位置する場所およびエリアサイズを示すエリア情報とともに、当該無線基地局が接続されたデータベースサーバの小エリア管理テーブルに更新登録しておき、移動体通信サービスを享受しようとする或るユーザ端末から前記無線基地局に対して当該ユーザ端末の位置情報を含む新規の無線ベアラ接続確立要求があった際に、前記無線基地局は、前記データベースサーバの前記小エリア管理テーブルを参照して、当該ユーザ端末が存在している前記小エリアを特定するとともに、当該小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアそれぞれに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答として、前記無線ベアラ接続確立要求の要求元の前記ユーザ端末に返送することを特徴とする。
【0010】
(2)本発明による無線アクセス方法は、移動体通信システムを構築する無線アクセスシステムにおける無線アクセス方法であって、無線基地局が収容する無線アクセスエリアを任意の個数および任意のサイズに1ないし複数に細分化した小エリアに関して、前記無線基地局は、1ないし複数の前記小エリアのいずれかに存在するユーザ端末から、あらかじめ定めた周期ごとに定期的に、当該ユーザ端末が存在する前記小エリアの無線特性品質情報と当該ユーザ端末の位置情報とを含む測定報告メッセージを受信して、前記小エリアに関する無線特性品質情報として一旦保存し、あらかじめ定めた特定時間間隔が経過する都度、当該特定時間間隔の間に保存されている各前記小エリアごとの無線特性品質情報を集計して、各前記小エリアにおける最新の通信品質情報として、各前記小エリアが位置する場所およびエリアサイズを示すエリア情報とともに、当該無線基地局が接続されたデータベースサーバの小エリア管理テーブルに更新登録しておき、移動体通信サービスを享受しようとする或るユーザ端末から前記無線基地局に対して当該ユーザ端末の位置情報を含む新規の無線ベアラ接続確立要求があった際に、前記無線基地局は、前記データベースサーバの前記小エリア管理テーブルを参照して、当該ユーザ端末が存在している前記小エリアを特定するとともに、当該小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアそれぞれに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答として、前記無線ベアラ接続確立要求の要求元の前記ユーザ端末に返送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0012】
第1に、無線基地局が収容する無線アクセスエリアすなわちセル内で無線特性品質が不均一な場合、従来技術においては、ユーザ自身が、体感で通信状態が悪いことを認識し、試行錯誤しながら受信場所を移動するなどして、通信状態の品質確保を行うことが必要であったが、本発明においては、移動体通信サービスを享受しようとするユーザは、当該ユーザのユーザ端末が存在している無線アクセスエリアすなわちセルを収容する無線基地局から、当該無線アクセスエリア内を1ないし複数に細分化した小エリアのうち、当該ユーザのユーザ端末が存在している小エリアおよび該小エリア周辺の小エリアごとの品質情報を受け取ることによって、当該ユーザ端末のユーザは所望の品質を確保することができる小エリアを判別して、判別した小エリアへの移動を誘導することが可能になり、所望の品質による移動体通信サービスを享受することができる。
【0013】
第2に、所望の品質を確保することができる小エリアへの移動を誘導することによって、統計効果により、セル内のユーザトラヒックを均一にすることができ、不特定多数のユーザに対して均一のサービス品質の移動体通信サービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による無線アクセスシステムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1の無線基地局が収容する無線アクセスエリアである第1セルを例えば7つの小エリアに細分化した様子を示す模式図である。
【図3】図1のデータベースサーバ内の小エリア管理テーブルのテーブル構成例を示すテーブルである。
【図4】図1の無線アクセスシステムの動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【図5】図1の無線基地局が収容する無線アクセスエリアである第1セルを垂直的に例えば3つの小エリアに細分化した様子を示す模式図である。
【図6】隣接する複数の無線基地局それぞれが収容する複数の無線アクセスエリアであるセルに跨ってそれぞれの小エリアに細分化する場合のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図7】従来の移動体通信システムにおける無線基地局のセル間移動時の品質確保方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による無線アクセスシステムおよび無線アクセス方法について説明するが、かかる無線アクセス方法をコンピュータにより実行可能な無線アクセス制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、無線アクセス制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0016】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、移動体通信システムを構築する無線アクセスシステムにおいて、1つのマクロセルで構成されている無線アクセスエリアを複数の小エリアに細分化した場合、様々な無線電波環境が影響し、各小エリアごとの通信品質が異なっていることに着目した発明であり、無線アクセスエリアを細分化した複数の各小エリアにおける無線電波環境状態を過去に測定したユーザ端末からの測定結果を基にして、無線基地局において各小エリアの通信品質を統計的に算出し、算出した各小エリアの通信品質を、移動体通信を行おうとするユーザに対して提供することによって、ユーザが所望する通信品質を確保することが可能な小エリアに、ユーザを誘導することを特徴としている。
【0017】
つまり、特定の無線アクセスエリアを収容する無線基地局は、当該無線アクセスエリアを任意に定めたエリアサイズおよび個数からなる複数の小エリアに分割し、ユーザ端末から過去に定期的に報告されてきた品質情報と位置情報とを基にして、複数の各小エリアごとの無線特性品質を、統計値として常時集計している。当該無線アクセスエリアに存在するユーザ端末が、当該無線アクセスエリアを収容する無線基地局に対して新規に無線ベアラの接続確立の要求(コールコネクションセットアップ要求)をする際に、当該接続確立の要求とともに当該ユーザ端末の位置情報を当該無線基地局に対して提供する。当該接続確立の要求を受けた当該無線基地局は、当該接続確立の要求に対する応答として、過去に集計していた複数の各小エリアごとの無線特性品質の中から、当該ユーザ端末が存在する小エリアの品質情報のみならず当該小エリアの周辺に位置する各小エリアの品質情報を、当該ユーザ端末に対して通知する。而して、ユーザは、通知されてきた各小エリアの品質情報を判断し、所望の品質を獲得することが可能な小エリアへ移動することができる。
【0018】
(実施形態の構成例)
次に、本発明による無線アクセスシステムのシステム構成について、その一例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明による無線アクセスシステムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態における無線アクセスシステムは、ユーザ端末として第1ユーザ端末UE1 1−1、第2ユーザ端末UE2 1−2、第3ユーザ端末UE3 1−3の3台の他、無線基地局2およびデータベースサーバ3を少なくとも含んで構成されている。ここで、第1ユーザ端末UE1 1−1、第2ユーザ端末UE2 1−2、第3ユーザ端末UE3 1−3の3台は、いずれも、無線基地局2が収容する無線アクセスエリアつまりセル(例えば第1セルCell#1)に在圏しているものとする。
【0020】
また、データベースサーバ3の内部には、少なくとも小エリア管理テーブル4を格納しており、無線基地局2が収容する無線アクセスエリアつまりセル(例えば第1セルCell#1)をさらに複数に細分化した小エリアを管理するようにしている。例えば、無線基地局2は、図2の模式図に示すように、収容する無線アクセスエリア例えば第1セルCell#1を小さい円形状の小エリアにさらに平面的に分割して、例えば7つの小エリアに細分化して、細分化した7つの小エリアを構成する第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7それぞれのエリア情報(エリアの位置情報やエリアサイズ等)や無線品質情報を、データベースサーバ3が管理する小エリア管理テーブル4に登録し、無線基地局2からの要求に応じて、データベースサーバ3が該小エリア管理テーブル4を更新・参照することによって管理する。
【0021】
図2は、図1の無線基地局2が収容する無線アクセスエリアである第1セルCell#1を例えば7つの小エリアに細分化した様子を示す模式図である。つまり、図2に示す模式図の場合、無線基地局2が収容する第1セルCell#1を、さらに細分化された7つの小エリアとして、現時点のスループットが5Mbpsの第1エリアArea#1−1、2Mbpsの第2エリアArea#1−2、2Mbpsの第3エリアArea#1−3、現時点のスループットの測定が不可能な第4エリアArea#1−4、1Mbpsの第5エリアArea#1−5、2Mbpsの第6エリアArea#1−6、および、1Mbpsの第7エリアArea#1−7に細分化されている例を示している。なお、無線アクセスエリアすなわちセルを細分化する小エリアの個数や場所や各小エリアのサイズ(エリア半径)は、当該無線アクセスエリアを収容する無線基地局2において任意に適宜設定登録することができる。
【0022】
データベースサーバ3内の小エリア管理テーブル4のテーブル構成例を、図3に示している。図3は、図1のデータベースサーバ3内の小エリア管理テーブル4のテーブル構成例を示すテーブルであり、エリア番号41、エリア中心位置情報42、エリア半径43、品質情報(スループット)44、更新時刻45を少なくとも含んで構成されている。
【0023】
エリア番号41は、無線アクセスエリア例えば第1セルCell#1を細分化した第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7の識別用の番号が格納され、エリア中心位置情報42は、細分化した第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7それぞれの中心位置の緯度と経度とを示す情報が格納され、エリア半径43は、細分化した第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7それぞれの中心位置からの距離を示す半径が格納される。また、品質情報44は、細分化した第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7それぞれの現時点のスループットが格納され、更新時刻45は、細分化した第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7それぞれの登録情報を更新した時刻が格納される。
【0024】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示す無線アクセスシステムの動作について、図4のシーケンスチャートを用いて、その一例を詳細に説明する。図4は、図1の無線アクセスシステムの動作の一例を説明するためのシーケンスチャートであり、図1に示したユーザ端末のうち、移動体通信サービスを要求しようとしている第1ユーザ端末UE1 1−1と無線基地局2とデータベースサーバ3との間の制御信号のやり取りの様子を示している。
【0025】
なお、第1ユーザ端末UE1 1−1は、無線基地局2が収容する無線アクセスエリア(第1セルCell#1)に在圏しているものとする。また、無線基地局2が収容する無線アクセスエリア(第1セルCell#1)には、図1に示したように、第1ユーザ端末UE1 1−1のみならず、第2ユーザ端末UE2 1−2、第3ユーザ端末UE3 1−3も在圏していて、第1ユーザ端末UE1 1−1、第2ユーザ端末UE2 1−2、第3ユーザ端末UE3 1−3それぞれは、あらかじめ定めた周期で、無線基地局2に対して、通信品質(スループット)の測定結果を示す無線特性品質情報を含む測定報告メッセージを定期的に送信している。なお、当該測定報告メッセージには、無線特性品質情報のみならず、送信元のユーザ端末UEが存在している位置情報(緯度、経度情報)も含まれている。
【0026】
無線基地局2が収容する無線アクセスエリア(第1セルCell#1)に在圏している各ユーザ端末UEから定期的に送信されてくる測定報告メッセージを受信した無線基地局2は、データベースサーバ3と連携して、当該測定報告メッセージに含まれている位置情報に基づいて、図2に示した第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7の7つの小エリアのうち、当該測定報告メッセージの送信元のユーザ端末UEがどの小エリア内に位置しているのかを確認する。
【0027】
当該測定報告メッセージの送信元のユーザ端末UEが存在する小エリアのエリア番号を確認すると、無線基地局2は、次に、当該測定報告メッセージに含まれている無線特性品質情報に基づいて、ユーザ端末UEが存在する小エリアにおいて現時点で供給することが可能なスループットを推定する。
【0028】
なお、当該測定報告メッセージに含まれている無線特性品質情報としては、例えば、無線特性の受信品質の程度を示す指標として3GPP(The Third Generation Partnership Project)等で規定されている無線特性品質指標CQI(Channel Quality Indicator)を用いることができる。ここで、無線特性品質指標CQIが例えば5段階(1〜5)であり、スループットに比例するように定義した場合には、当該測定報告メッセージが送信されてきた時点における無線基地局2が供給可能なスループット能力の上限値を最大スループット(T_max)と表現すると、当該測定報告メッセージの送信元のユーザ端末UEが存在している小エリアにおいては、当該測定報告メッセージの無線特性品質情報が示す無線特性品質指標CQIによって最大スループット(T_max)を除した値、すなわち、
(T_max/CQI)値
を現時点で供給することが可能なスループットとして推定し、推定した結果を現在時刻情報とともに一旦保存する。
【0029】
なお、第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7の7つの小エリアは、前述したように、無線基地局2が収容する無線アクセスエリアである第1セルCell#1を、小さな円形状のエリアに平面的に細分化したものであり、それぞれの小エリアのカバー範囲は、図3の小エリア管理テーブル4に示したように、それぞれの小エリアの中心位置情報(緯度、経度情報)42と、エリア半径43とによって管理されている。また、図3の小エリア管理テーブル4の品質情報44には、あらかじめ定めた特定時間間隔の間に、それぞれの小エリアにおいて過去に供給可能として推定されていた各スループットの推定値の平均が、現時点において供給可能なスループットとして格納され、更新時刻45には、過去において最新に測定された時点の時刻情報が格納される。
【0030】
したがって、現時点において供給可能なスループットを算出した無線基地局2は、小エリア管理テーブル4の更新時間間隔としてあらかじめ設定していた特定時間例えば30分が経過したか否かをチェックする。あらかじめ設定していた該特定時間例えば30分が経過した場合、該特定時間が経過した現時点から該特定時間例えば30分まで過去に遡って、第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7の7つの小エリアそれぞれにおいて該特定時間に到達するまでの過去において保存されていた(つまり、小エリア管理テーブル4の更新時間間隔として定めた特定時間間隔の間に第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7の7つの小エリアそれぞれについて保存されていた)1ないし複数のスループットの推定値の平均値を求め、求めた平均値を、データベースサーバ3の小エリア管理テーブル4に登録すべきスループットとして決定する。
【0031】
小エリア管理テーブル4に登録すべきスループットが決定すると、無線基地局2は、データベースサーバ3にアクセスして、それぞれのエリア番号に該当する小エリア管理テーブル4内のエリア番号41の小エリアに関して、決定したスループットを、品質情報44に更新登録するとともに、更新時刻45を更新する。図3に示す小エリア管理テーブル4の更新時刻45には、過去において保存されていた1ないし複数のスループットの推定値のうち、最新のスループットの推定値の算出に用いた無線特性品質情報が含まれていた測定報告メッセージをユーザ端末UEから受け取った時刻を、小エリア管理テーブル4への更新登録を実施した現在時刻から過去に遡った時間に換算した表現にして示している。
【0032】
なお、あらかじめ定めた特定時間例えば30分が経過するまでの間に、ユーザ端末UEからの測定報告メッセージの送信が全くなかった小エリアが存在していた場合には、無線基地局2は、当該小エリアに該当する小エリア管理テーブル4内のエリア番号41の小エリアに関して、品質情報44には無効情報を設定するとともに、更新時刻45欄には、前記特定時間が経過するまでの間のスループットについては推定が行われなかった旨を示す'時間超過'を示すコードを設定する。
【0033】
かくのごとき小エリアごとの無線特性品質情報すなわちスループットに関する小エリア管理テーブル4の更新動作は、あらかじめ設定した特定時間例えば30分が経過する都度、定期的に実施されている。
【0034】
以上のようなデータベースサーバ3の小エリア管理テーブル4の定期的な更新動作が実施されている環境下において、次に、図4のシーケンスチャートを用いて、第1ユーザ端末UE1 1−1が、移動体通信サービスを享受するために、無線基地局2に対して、新規無線ベアラを確立する際の動作シーケンスについて説明する。
【0035】
図4のシーケンスチャートにおいて、移動体通信サービスを享受しようとする第1ユーザ端末UE1 1−1は、まず、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している位置情報を含むコネクションセットアップ要求を、無線基地局2に対して送信する(シーケンスSeq1)。第1ユーザ端末UE1 1−1からのコネクションセットアップ要求を受け取った無線基地局2は、該コネクションセットアップ要求に含まれている位置情報を取り出して、無線アクセスエリアの第1セルCell#1内に7つの小エリアに細分化されている第1エリアArea#1−1〜第7エリアArea#1−7のうち、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している小エリアにおける品質情報すなわちスループット情報を調べるために、取り出した位置情報を含むスループット情報問合せをデータベースサーバ3に対して送信する(シーケンスSeq2)。
【0036】
無線基地局2からの該スループット情報問合せを受け取ったデータベースサーバ3は、該スループット情報問合せに含まれている第1ユーザ端末UE1 1−1の位置情報と、小エリア管理テーブル4に登録されている各小エリアごとのエリア中心位置情報42、エリア半径43との比較照合動作を行うことによって、第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している小エリアを判別する。図2に示す模式図の例においては、第1ユーザ端末UE1 1−1は第3エリアArea#1−3内に存在しているものと判別する。
【0037】
第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している小エリアを判別すると、データベースサーバ3は、当該小エリアのみならず、当該小エリアの周辺に位置している小エリアも含め、各小エリアそれぞれの中心位置情報、エリア半径、現時点のスループットを、小エリア管理テーブル4のエリア中心位置情報42、エリア半径43、品質情報44から取り出して、スループット情報応答として、問合せ元の無線基地局2に対して返送する(シーケンスSeq3)。
【0038】
ここで、図2に示す模式図および図3の小エリア管理テーブル4の登録例においては、データベースサーバ3から無線基地局2に対して返送するスループット情報応答には、第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している第3エリアArea#1−3、および、該第3エリアArea#1−3の周辺に位置している第1エリアArea#1−1、第2エリアArea#1−2、第4エリアArea#1−4に関する情報が含まれることになる。
【0039】
つまり、無線基地局2に対して返送するスループット情報応答には、第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している第3エリアArea#1−3の中心位置の緯度が35.689601度、経度が139.691779度であり、エリア半径が20mであり、現時点のスループットは2Mbpsである旨のみならず、周辺に位置する第1エリアArea#1−1、第2エリアArea#1−2、第4エリアArea#1−4それぞれの中心位置の緯度が、35.689506度、35.689561度、35.689579度であり、それぞれの中心位置の経度が、139.691701度、139.691602度、139.691333度であり、それぞれのエリア半径が、10m、10m、30mであり、それぞれの現時点のスループットが、5Mbps、2Mbps、測定不能(すなわち'時間超過')である旨も合わせて含まれている。
【0040】
データベースサーバ3からの前述のようなスループット情報応答を受け取った無線基地局2は、第1ユーザ端末UE1 1−1からのコネクションセットアップ要求に対する応答として、データベースサーバ3からのスループット情報応答に含まれている当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している小エリアおよび周辺に位置する各小エリアに関するエリア情報とスループット情報とを、コネクションセットアップ応答として、要求元の第1ユーザ端末UE1 1−1に対して送信する(シーケンスSeq4)。
【0041】
該コネクションセットアップ応答に含まれる各小エリアに関するエリア情報およびスループット情報としては、スループット情報応答に含まれている情報と同一の情報であり、前述の図2および図3の登録例の場合には、前述のように、第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している第3エリアArea#1−3の中心位置の緯度が35.689601度、経度が139.691779度であり、エリア半径が20mであり、現時点のスループットは2Mbpsであり、かつ、周辺に位置する第1エリアArea#1−1、第2エリアArea#1−2、第4エリアArea#1−4それぞれの中心位置の緯度が、35.689506度、35.689561度、35.689579度であり、それぞれの中心位置の経度が、139.691701度、139.691602度、139.691333度であり、それぞれのエリア半径が、10m、10m、30mであり、それぞれの現時点のスループットが、5Mbps、2Mbps、測定不能である旨の情報が含まれていることになる。
【0042】
無線基地局2からかくのごときコネクションセットアップ応答を受け取った第1ユーザ端末UE1 1−1は、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している小エリアが例えば第3エリアArea#1−3であることを確定し(シーケンスSeq5)、当該小エリア例えば第3エリアArea#1−3のエリア情報、スループット情報、および、周辺の各小エリア例えば第1エリアArea#1−1、第2エリアArea#1−2、第4エリアArea#1−4それぞれのエリア情報、スループット情報を、当該第1ユーザ端末UE1 1−1の表示部に画面表示する。
【0043】
前述の図2および図3の登録例の場合には、前述のように、当該第1ユーザ端末UE1 1−1の表示部に画面表示されたスループット情報としては、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在する第3エリアArea#1−3は現時点では2Mbpsであり、周辺に位置する第1エリアArea#1−1、第2エリアArea#1−2、第4エリアArea#1−4それぞれは、5Mbps、2Mbps、測定不能である旨が表示されて、当該第1ユーザ端末UE1 1−1のユーザに通知される。
【0044】
当該第1ユーザ端末UE1 1−1の表示部に画面表示されたスループット情報を視認したユーザは、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在する第3エリアArea#1−3におけるスループット2Mbpsよりも大きいスループット能力の5Mbpsを有し、所望の通信品質が得られる最も高品質の第1エリアArea#1−1が周辺に存在していることを認識して、当該第1エリアArea#1−1に場所を移動することができる(シーケンスSeq6)。このとき、第3エリアArea#1−3から移動先の第1エリアArea#1−1へ移動するための移動案内情報として、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在する位置情報(緯度、経度情報)と第1エリアArea#1−1のエリア情報(緯度、経度情報、エリア半径)とが利用される。
【0045】
なお、無線基地局2からコネクションセットアップ応答を第1ユーザ端末UE1 1−1に対して返送する際に、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在する位置から、第3エリアArea#1−3の周辺に位置する各小エリアそれぞれの中心位置までの移動に関する移動案内情報も合わせて含むようにしても良い。すなわち、第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している第3エリアArea#1−3から所望の通信品質が得られる移動先の第1エリアArea#1−1へ移動するための移動案内情報として、当該第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している位置から該第1エリアArea#1−1の中心位置に到達するまでの移動情報として、例えば、どの方角に対してどの程度の距離を移動すれば良いのかという情報を合わせて通知するようにしても良い。
【0046】
さらには、地図情報と連携して、該移動案内情報に、第1ユーザ端末UE1 1−1が存在している第3エリアArea#1−3から移動先の最も高品質の第1エリアArea#1−1の中心位置まで移動するための経路情報であるナビゲーション情報を含めて通知するようにしても良い。
【0047】
(その他の実施形態)
前述の図2に示す模式図においては、1つの無線基地局2が収容する無線アクセスエリアすなわち第1セルCell#1−1内を平面的に小エリアに分割を行った場合について示したが、本発明はかかる場合のみに限るものではなく、例えば、図5の模式図に示すように、高層ビルの各階を小エリアとするような、垂直的な小エリア分割とするようにしても良い。図5は、図1の無線基地局2が収容する無線アクセスエリアである第1セルCell#1−1を垂直的に例えば3つの小エリアに細分化した様子を示す模式図である。
【0048】
図5の模式図に示すような垂直方向に小エリアに細分化する場合、図3に示す小エリア管理テーブル4のエリアを定義するフィールドとして、垂直方向を示すパラメータ情報をさらに追加して、図5のような場合には、該垂直方向のパラメータ情報に、第1エリアArea#1−1、第2エリアArea#1−2、第3エリアArea#1−3のそれぞれの中心位置における垂直方向の高さを設定登録すれば良い。
【0049】
なお、高層ビルの場合には、見通しが良い高層階では、様々な妨害波を受信してしまい、干渉が発生し、無線特性品質が悪いという傾向がある。そのため、垂直方向のパラメータ情報を取り入れた小エリアの細分化も有効である。
【0050】
図5に示す模式図においては、高層ビルの1階に相当する第1エリアArea#1−1のスループットは2Mbpsであり、2階に相当する第2エリアArea#1−2のスループットは最も高品質の5Mbpsであり、3階に相当する第3エリアArea#1−3のスループットは、最も低品質の1Mbpsであり、移動体通信サービスを享受しようとするユーザ端末UEは、最も低品質の第3エリアArea#1−3に存在していた場合を示している。
【0051】
図5のような最も低品質の3階の第3エリアArea#1−3に存在していたユーザ端末UEが、図4のシーケンスSeq1に説明したようなコネクションセットアップ要求を無線基地局2に送信した場合、図4のシーケンスSeq4にて説明したように、当該ユーザ端末UEが存在している3階の第3エリアArea#1−3に関するエリア情報およびスループット情報のみならず、周辺に位置している2階の第2エリアArea#1−2、1階の第1エリアArea#1−1に関するエリア情報およびスループット情報も合わせて、コネクションセットアップ応答として、要求元のユーザ端末UEに返送されてくる。
【0052】
したがって、当該コネクションセットアップ応答に含まれている、3階の第3エリアArea#1−3のみならず、2階の第2エリアArea#1−2、1階の第1エリアArea#1−1それぞれに関するエリア情報(中心位置、エリアサイズ、各階を示す垂直方向の位置情報)およびスループット情報がユーザ端末UEの表示部に画面表示されるので、当該ユーザ端末UEのユーザは、現在存在している3階の第3エリアArea#1−3から、移動体通信サービスとして所望する品質が確保することができる高品質の2階の第2エリアArea#1−2への移動を行う契機が得られることになる。
【0053】
また、以上の説明においては、1つの無線基地局2に収容した単一の無線アクセスエリアすなわちセル例えば第1セルCell#1−1についてのみ小エリアに細分化する例つまり1つのセル内に閉じた小エリアの分割例について説明したが、本発明は、かかる場合に限るものではなく、例えば、図6のシステム構成図に示すように、隣接する複数の無線基地局に跨って小エリアを細分化するようにしても良い。図6は、隣接する複数の無線基地局それぞれが収容する複数の無線アクセスエリアであるセルに跨ってそれぞれの小エリアに細分化する場合のシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、隣接して近傍に配置されている無線基地局2および無線基地局2′それぞれが収容する無線アクセスエリア(セル)を細分化した情報を、互いの無線アクセスエリア(セル)間を跨って移動することを許容するような形式にして、データベースサーバ3の小エリア管理テーブル4に登録することを可能とする場合の構成例を示している。
【0054】
なお、図6のシステム構成図においては、無線基地局2の無線アクセスエリアすなわちセル内には、図1の場合と同様、第1ユーザ端末UE1 1−1、第2ユーザ端末UE1 1−2、第3ユーザ端末UE1 1−3が存在しており、無線基地局2′の無線アクセスエリアすなわちセル内には、第1′ユーザ端末UE1′ 1−1′、第2′ユーザ端末UE2′ 1−2′、第3′ユーザ端末UE3′ 1−3′が存在している場合を示している。
【0055】
つまり、図6に示すように、データベースサーバ3内の小エリア管理テーブル4として、隣接する複数の無線基地局のセルに跨って、小エリアを管理するように構成すれば、単一の無線基地局のセルの場合と同様、隣接する周辺セル内における小エリアについても、移動体通信サービスを提供する際の移動先としての能力を付与することも容易に考えることができる。
【0056】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本発明による実施形態においては、次のような効果を得ることができる。
【0057】
すなわち、無線基地局2が収容する無線アクセスエリアすなわちセル内で無線特性品質が不均一な場合、従来技術においては、ユーザ自身が、体感で通信状態が悪いことを認識し、試行錯誤しながら受信場所を移動するなどして、通信状態の品質確保を行うことが必要であったが、本発明による実施形態においては、移動体通信サービスを享受しようとするユーザは、当該ユーザのユーザ端末UEが存在している無線アクセスエリアすなわちセルを収容する無線基地局2から、当該無線アクセスエリア内を1ないし複数に細分化した小エリアのうち、当該ユーザのユーザ端末UEが存在している小エリアおよび該小エリア周辺の小エリアごとの品質情報を受け取ることによって、当該ユーザ端末UEのユーザは所望の品質を確保することができる小エリアを判別して、判別した小エリアへの移動を誘導することが可能になり、所望の品質による移動体通信サービスを享受することができる。
【0058】
また、所望の品質を確保することができる小エリアへの移動を誘導することによって、統計効果により、セル内のユーザトラヒックを均一にすることができ、不特定多数のユーザに対して均一のサービス品質の移動体通信サービスを提供することができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0060】
1−1 第1ユーザ端末UE1
1−1′ 第1′ユーザ端末UE1′
1−2 第2ユーザ端末UE2
1−2′ 第2′ユーザ端末UE2′
1−3 第3ユーザ端末UE3
1−3′ 第3′ユーザ端末UE3′
2 無線基地局
2′ 無線基地局
3 データベースサーバ
4 小エリア管理テーブル
41 エリア番号
42 エリア中心位置情報
43 エリア半径
44 品質情報(スループット)
45 更新時刻
UE ユーザ端末
Area#1−1 第1エリア
Area#1−2 第2エリア
Area#1−3 第3エリア
Area#1−4 第4エリア
Area#1−5 第5エリア
Area#1−6 第6エリア
Area#1−7 第7エリア
Cell#1 第1セル
Cell#2 第2セル
Cell#3 第3セル
Cell#4 第4セル
Cell#5 第5セル
Cell#6 第6セル
Cell#7 第7セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信システムを構築する無線アクセスシステムにおいて、無線基地局が収容する無線アクセスエリアを任意の個数および任意のサイズに1ないし複数に細分化した小エリアに関して、前記無線基地局は、1ないし複数の前記小エリアのいずれかに存在するユーザ端末から、あらかじめ定めた周期ごとに定期的に、当該ユーザ端末が存在する前記小エリアの無線特性品質情報と当該ユーザ端末の位置情報とを含む測定報告メッセージを受信して、前記小エリアに関する無線特性品質情報として一旦保存し、あらかじめ定めた特定時間間隔が経過する都度、当該特定時間間隔の間に保存されている各前記小エリアごとの無線特性品質情報を集計して、各前記小エリアにおける最新の通信品質情報として、各前記小エリアが位置する場所およびエリアサイズを示すエリア情報とともに、当該無線基地局が接続されたデータベースサーバの小エリア管理テーブルに更新登録しておき、移動体通信サービスを享受しようとする或るユーザ端末から前記無線基地局に対して当該ユーザ端末の位置情報を含む新規の無線ベアラ接続確立要求があった際に、前記無線基地局は、前記データベースサーバの前記小エリア管理テーブルを参照して、当該ユーザ端末が存在している前記小エリアを特定するとともに、当該小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアそれぞれに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答として、前記無線ベアラ接続確立要求の要求元の前記ユーザ端末に返送することを特徴とする無線アクセスシステム。
【請求項2】
前記無線ベアラ接続確立要求の送信元の前記ユーザ端末は、前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答として前記無線基地局から受信した、当該ユーザ端末が存在している前記小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアそれぞれに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、当該ユーザ端末の表示部に表示して、ユーザに対して通知することを特徴とする請求項1に記載の無線アクセスシステム。
【請求項3】
前記無線基地局は、前記無線ベアラ接続確立要求の送信元の前記ユーザ端末が存在する前記小エリアの通信品質情報が、当該ユーザ端末が所望する通信品質を満たしていない場合には、当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアのうち、所望する該通信品質を満たす前記小エリアを検索して、当該ユーザ端末が存在する位置および検索した該小エリアの中心位置および該小エリアのエリアサイズに関する移動情報、あるいは、当該ユーザ端末が存在する位置から、検索した該小エリアの中心位置まで移動する方角および距離を算出し、算出した該方角および距離に関する移動情報、あるいは、地図情報と連携して、当該ユーザ端末が存在する位置から、検索した該小エリアの中心位置まで移動する経路情報が含まれた移動情報、のうち、いずれかの移動情報を前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答に含む形式で当該ユーザ端末に対して返送し、該移動情報を受け取った当該ユーザ端末は、当該ユーザ端末の表示部に出力することを特徴とする請求項1または2に記載の無線アクセスシステム。
【請求項4】
前記無線基地局が収容する前記無線アクセスエリアを前記小エリアに細分化する際に、前記無線アクセスエリアを平面的に細分化するだけではなく、垂直方向に対しても細分化することが可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線アクセスシステム。
【請求項5】
隣接する前記無線基地局それぞれが収容する前記無線アクセスエリアそれぞれについて細分化された前記小エリアに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、前記無線基地局それぞれが収容する前記無線アクセスエリアを跨って互いの前記小エリアを移動先として許容する形式で、前記データベースサーバの前記小エリア管理テーブルに更新登録することが可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無線アクセスシステム。
【請求項6】
移動体通信システムを構築する無線アクセスシステムにおける無線アクセス方法であって、無線基地局が収容する無線アクセスエリアを任意の個数および任意のサイズに1ないし複数に細分化した小エリアに関して、前記無線基地局は、1ないし複数の前記小エリアのいずれかに存在するユーザ端末から、あらかじめ定めた周期ごとに定期的に、当該ユーザ端末が存在する前記小エリアの無線特性品質情報と当該ユーザ端末の位置情報とを含む測定報告メッセージを受信して、前記小エリアに関する無線特性品質情報として一旦保存し、あらかじめ定めた特定時間間隔が経過する都度、当該特定時間間隔の間に保存されている各前記小エリアごとの無線特性品質情報を集計して、各前記小エリアにおける最新の通信品質情報として、各前記小エリアが位置する場所およびエリアサイズを示すエリア情報とともに、当該無線基地局が接続されたデータベースサーバの小エリア管理テーブルに更新登録しておき、移動体通信サービスを享受しようとする或るユーザ端末から前記無線基地局に対して当該ユーザ端末の位置情報を含む新規の無線ベアラ接続確立要求があった際に、前記無線基地局は、前記データベースサーバの前記小エリア管理テーブルを参照して、当該ユーザ端末が存在している前記小エリアを特定するとともに、当該小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアそれぞれに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答として、前記無線ベアラ接続確立要求の要求元の前記ユーザ端末に返送することを特徴とする無線アクセス方法。
【請求項7】
前記無線ベアラ接続確立要求の送信元の前記ユーザ端末は、前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答として前記無線基地局から受信した、当該ユーザ端末が存在している前記小エリアおよび当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアそれぞれに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、当該ユーザ端末の表示部に表示して、ユーザに対して通知することを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス方法。
【請求項8】
前記無線基地局は、前記無線ベアラ接続確立要求の送信元の前記ユーザ端末が存在する前記小エリアの通信品質情報が、当該ユーザ端末が所望する通信品質を満たしていない場合には、当該小エリアの周辺に位置する1ないし複数の前記小エリアのうち、所望する該通信品質を満たす前記小エリアを検索して、当該ユーザ端末が存在する位置および検索した該小エリアの中心位置および該小エリアのエリアサイズに関する移動情報、あるいは、当該ユーザ端末が存在する位置から、検索した該小エリアの中心位置まで移動する方角および距離を算出し、算出した該方角および距離に関する移動情報、あるいは、地図情報と連携して、当該ユーザ端末が存在する位置から、検索した該小エリアの中心位置まで移動する経路情報が含まれた移動情報、のうち、いずれかの移動情報を前記無線ベアラ接続確立要求に対する応答に含む形式で当該ユーザ端末に対して返送し、該移動情報を受け取った当該ユーザ端末は、当該ユーザ端末の表示部に出力することを特徴とする請求項6または7に記載の無線アクセス方法。
【請求項9】
前記無線基地局が収容する前記無線アクセスエリアを前記小エリアに細分化する際に、前記無線アクセスエリアを平面的に細分化するだけではなく、垂直方向に対しても細分化することが可能であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の無線アクセス方法。
【請求項10】
隣接する前記無線基地局それぞれが収容する前記無線アクセスエリアそれぞれについて細分化された前記小エリアに関する前記エリア情報と前記通信品質情報とを、前記無線基地局それぞれが収容する前記無線アクセスエリアを跨って互いの前記小エリアを移動先として許容する形式で、前記データベースサーバの前記小エリア管理テーブルに更新登録することが可能であることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の無線アクセス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58948(P2013−58948A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196662(P2011−196662)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】