無線アクセス制御方法およびシステム
【課題】無線リソースの利用効率が可能であり、かつマルチホップ通信にも適用できる集中制御型の無線アクセス制御方法およびシステムを提供する。
【解決手段】無線基地局1が複数の無線端末2との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法において、無線基地局1がトラヒック量通知期間(CP)を各ユーザ端末2へ周期的に告知する第1手順と、送信データを有するユーザ端末2がトラヒック量通知期間内に送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知する第2手順と、無線基地局1が各ユーザ端末2に割り当てる上り送信時間Tを、各ユーザ端末2のトラヒック量Mに基づいて決定する第3手順と、無線基地局1が、上り送信時間Tの割当結果を各ユーザ端末2へ通知する第4手順と、各ユーザ端末2が、自身に割り当てられた上り送信時間を利用して送信データを送信する第5手順とを含む。
【解決手段】無線基地局1が複数の無線端末2との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法において、無線基地局1がトラヒック量通知期間(CP)を各ユーザ端末2へ周期的に告知する第1手順と、送信データを有するユーザ端末2がトラヒック量通知期間内に送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知する第2手順と、無線基地局1が各ユーザ端末2に割り当てる上り送信時間Tを、各ユーザ端末2のトラヒック量Mに基づいて決定する第3手順と、無線基地局1が、上り送信時間Tの割当結果を各ユーザ端末2へ通知する第4手順と、各ユーザ端末2が、自身に割り当てられた上り送信時間を利用して送信データを送信する第5手順とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセス制御方法およびシステムに係り、特に、無線基地局が無線端末との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11で標準化された無線LANは、アクセス制御方式としてCSMA(Carrier Sense Multiple Access :キャリア感知多重アクセス方式)を採用し、基本的には自律分散制御を行う。しかしながら、CSMA方式では偶発的にパケット同士が無線上で衝突してしまう可能性があるため、ポーリング機能に基づく集中制御によるアクセス制御として、PCF (Point Coordination Function )と呼ばれる集中制御型のMACがオプションで規定されている。
【0003】
ポーリングとは、基地局がユーザ端末に送信の問い合わせを順次行い、応答のあった端末に送信権を与える集中制御方式であり、各ユーザ端末は、ポーリングで自局が指定されたときのみ送信の有(ACK)/無(NAK)を返答し、送信すべきデータが存在する場合のみ、データを付与したACKを返す。このようなポーリングを利用した無線中継アクセスシステムは特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−128829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PCFでは、無線基地局は各ユーザ端末が送信データを所有しているか否かにかかわらず、全てのユーザ端末にPollingを送信しなければならないので、無線リソースの利用効率が低くなるという技術課題があった。また、PCFではマルチホップ通信が不可能であったために、回線品質が良好なマルチホップの経路が確立可能であっても、この経路を使用して通信を行うことができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、無線リソースの利用効率が可能であり、かつマルチホップ通信にも適用できる集中制御型の無線アクセス制御方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、無線基地局が複数の無線端末との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0007】
(1)無線基地局が、トラヒック量通知期間を各無線端末へ周期的に告知する第1手順と、送信データを有する無線端末が、前記告知されたトラヒック量通知期間内に当該送信データのトラヒック量を前記無線基地局へ通知する第2手順と、前記無線基地局が、各無線端末に割り当てる上り送信時間を、前記通知されたトラヒック量に基づいて決定する第3手順と、前記無線基地局が、前記決定結果を各無線端末へ通知する第4手順と、前記各無線端末が、自身に割り当てられた上り送信時間を利用して前記送信データを送信する第5手順とを含むことを特徴とする。
【0008】
(2)無線端末がデータ送信後のトラヒック残量を予め検知する手順をさらに含み、前記第5手順では、前記トラヒック残量が送信データと共に無線基地局へ送信され、前記トラヒック残量が解消されるまで上記した各手順を繰り返し、前記トラヒック残量を通知した無線端末は前記第2手順を実施せず、前記第3手順では、各無線端末から通知されるトラヒック量またはトラヒック残量に基づいて、各無線端末に割り当てる上り送信時間が決定されることを特徴とする。
【0009】
(3)前記第3手順の前に、送信データを有する無線端末と無線基地局との間に、他の無線端末を中継するマルチホップの経路を確立する手順と、前記経路上の各無線端末が、当該経路のツリー情報を無線基地局へ通知する手順と、前記無線基地局が、前記経路上の各無線端末から通知されたツリー情報に基づいて、当該経路のツリー構造を判別する手順とをさらに含み、前記第3手順では、前記経路上の全ての無線端末に、当該各無線端末のトラヒック量と前記ツリー構造とに基づいて、自端末のトラヒック量および中継する無線端末のトラヒック量に応じた上り送信時間が割り当てられ、前記第5手順では、前記経路を利用して送信データが送信されることを特徴とする。
【0010】
(4)前記マルチホップ経路を確立する手順は、送信データを有する無線端末が無線基地局へ経路確立要求を送信する手順と、前記無線基地局が、前記経路確立要求に対して経路確立応答を返信する手順とを含み、前記無線端末は、前記送信データのトラヒック量を前記経路確立要求とともに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)送信データを有する無線端末のみが無線基地局へデータ送信を要求し、無線基地局では、データ送信を要求している無線端末に対してのみ上り送信時間を割り当てるので、送信データを有していない無線端末への無線基地局からの問い合わせが不要となって無線リソースの有効利用が可能になる。
(2)無線端末は、データ送信後のトラヒック残量を予め検知し、これを送信データと共に無線基地局へ送信して通知するので、トラヒック残量を通知するためだけの無線基地局へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
(3)マルチホップ通信では、経路上の各無線端末に対して、経路のツリー構造、各無線端末自身の送信データのトラヒック量、および各無線端末が中継する経路上の他の無線端末のトラヒック量に基づいて上り送信時間が割り当てられるので、各無線端末に適正な上り送信時間を割り当てられる。
(4)マルチホップ通信では、経路を確立するために無線端末から無線基地局へ送信される経路確立要求メッセージに送信データのトラヒック量が登録されるので、トラヒック量を通知するためだけの無線基地局へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る無線アクセス制御システムの第1実施形態のブロック図であり、無線基地局(AP)1と、この無線基地局1の通信有効範囲4に位置する複数のユーザ端末(無線端末)2とを主要な構成とし、前記無線基地局1はインターネット等の広域ネットワーク3と接続されている。第1実施形態では、無線基地局1の通信有効範囲4に移動した各ユーザ端末2と無線基地局1とが、中継局を介さずにシングルホップで直接通信を行う。
【0013】
図3、4は、本実施形態の動作を示したフローチャートであり、図3はユーザ端末2のデータ送信動作を示し、図4は無線基地局1のデータ受信動作を示している。図5は、本実施形態の動作を示したシーケンスフローである。ここでは、図6に示したように、通信有効範囲4にユーザ端末2aが新規に移動してデータ通信を開始し、その後、さらに他のユーザ端末2bが移動してデータ通信を開始する場合を例にして説明する。
【0014】
無線基地局1と各ユーザ端末2とは、無線基地局1により管理される通信フレームを利用してデータを周期的に送受信する。この通信フレームは、図2に一例を示したように、CP(Contention Period:衝突を前提としたアクセス制御期間)とCFP(Contention -Free Period:衝突を発生させないアクセス制御期間)とを含み、前記無線基地局1は、CPとCFPとの間でビーコンを送信する。
【0015】
前記CPでは、各ユーザ端末2から無線基地局1へ、各ユーザ端末2(2a,2b…)が送信しようとするデータパケットのトラヒック量M(Ma,Mb…)が通知される。CFPでは、各ユーザ端末2が無線基地局1によって割り当てられた上り送信時間T(Ta,Tb…)を利用して無線基地局1へデータパケットを送信すると共に、同じく無線基地局1によって割り当てられた下り送信時間を利用して無線基地局1から各ユーザ端末2へデータパケットが送信される。前記ビーコンには、前記CPを特定する時刻情報や、各ユーザ端末2に割り当てる上り送信時間Tおよび下り送信時間を指定する時刻情報が、当該ビーコンの送信時刻を基準とした相対的な時刻として、あるいは絶対的な時刻として登録されている。
【0016】
無線基地局1の通信有効範囲4に移動したユーザ端末2aは、図3のステップS1で前記ビーコンを受信すると、ステップS2では、送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みであるか否かが判定される。最初は通知済みではないと判定されるのでステップS3へ進み、前記ビーコンに登録されている時刻情報に基づいて前記CPのタイミングが検知される。ステップS4では、送信データの有無が判別され、送信データが生じるまではステップS1へ戻って上記した各処理が繰り返される。
【0017】
その後、送信データが生じ、これがステップS4で検知されるとステップS5へ進み、当該送信データのトラヒック量M(Ma)が求められる。ステップS6では、前記CPに入ったか否かが判定される。CPに入るとステップS7へ進み、RTS(Request To Send)信号の所定フィールドに前記トラヒック量Maを登録されたRTS_M信号が無線基地局1へ送信される。
【0018】
図4へ進み、無線基地局1は、ステップS41で前記ビーコンを送信すると、ステップS42では、各ユーザ端末2がCFPの各上り送信時間Tを利用して送信するデータの受信に備える。最初は通信有効範囲4にユーザ端末2が存在せず、データパケットが受信されないのでステップS46へ進み、CFPの終了を待ってステップS47へ進む。
【0019】
無線基地局1は、ステップS47において、前記ユーザ端末2aから送信されたRTS_M信号を受信すると、ステップS48では、このRTS_M信号の所定フィールドに登録されているトラヒック量Maが検知される。ステップS49では、受信したRTS_M信号に応答してCTS(Confirmation To Send)_M信号が返信される。ステップS50では、前記ユーザ端末2aから通知されたトラヒック量Maに基づいて、前記CFP内でユーザ端末2aに割り当てる上り送信時間T(Ta)が決定される。本実施形態では、トラヒック量Mの多いユーザ端末に対して、より長い上り送信時間Tが割り当てられる。
【0020】
ステップS51では、今回のCPが終了したか否かが判定され、CP中は、各ユーザ端末2から送信される全てのRTS_M信号に対して上記した各処理が繰り返される。前記CPが終了するとステップS41へ戻り、前記上り送信時間の割当結果が前記ビーコンの所定フィールドに登録されて送信される。
【0021】
図3へ戻り、ユーザ端末2aは、図3のステップS1で次のビーコンを受信すると、ステップS2では、送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みであるか否かが判定される。前記ステップS7で送信したRTS_M信号に応答して無線基地局1からCTS_M信号が返信されていれば、トラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みと判定されてステップS8へ進む。ステップS8では、未送信データの有無が判別され、ここでは未だデータパケットが送信されていないので、未送信データがあると判定されてステップS9へ進む。ステップS9では、前記ビーコンに登録されている自端末の上り送信時間Taに関する割当結果が抽出される。ステップS10では、この上り送信時間Taを利用してデータを送信した後のトラヒック残量maが予め検知される。ステップS11において、前記自端末に割り当てられた上り送信時間Taを迎えると、ステップS12ではデータパケットが無線基地局1へ送信される。このデータパケットには、前記トラヒック残量maに関する情報も登録されている。
【0022】
図4へ戻り、無線基地局1は、ステップS41においてビーコンを送信した後、ステップS42において、ユーザ端末2aが上り送信時間Taを利用して送信したデータを受信すると、ステップS43では、受信データに所定の受信処理が実行される。ステップS44では、当該データにトラヒック残量mが登録されているか否かが判定され、登録されていればステップS45へ進み、当該トラヒック残量mが検知される。ステップS46では、今回のCFPが終了したか否かが判定され、CFPが終了するまで、各上り送信時間で送信されるデータが受信される。
【0023】
ステップS46において、今回のCFPが終了したと判定されるとステップS47へ進み、RTS_M信号の受信の有無が判定される。ここではRTS_M信号が受信されないのでステップS50へ進み、前記ユーザ端末2aから通知されたトラヒック残量maに基づいて次の上り送信時間Taが決定される。ステップS51において、今回のCPが終了したと判定されるとステップS41へ戻り、前記上り送信時間の割当結果がビーコンの所定フィールドに登録されて送信される。
【0024】
ユーザ端末2aは、ステップS1で次のビーコンを受信すると、ステップS2を経由してステップS3へ進み、前記と同様に未送信データの有無を判別する。前回のステップS12において全てのデータを送信済みであれば、未送信データが存在しないのでステップS3へ戻り、新たに送信データが生じるまでステップS1〜S4の各処理が繰り返される。
【0025】
これに対して、前回のステップS12において全てのデータを送信し終えていなければ、未送信データが存在するのでステップS9へ進み、今回のビーコンで指定された上り送信時間Taを利用して残りのデータを送信する。このデータにも、直前のステップS10で検知されたトラヒック残量maが登録される。
【0026】
その後、他のユーザ端末2bが通信有効範囲4に移動し、当該ユーザ端末2bから送信されたトラヒック量Mbが、図4のステップS48で無線基地局1により検知されると、ステップS50では、前記ステップS45で検知されたユーザ端末2aのトラヒック残量maと、前記ステップS48で新たに検知されたユーザ端末2bのトラヒック量Mbとに基づいて、各ユーザ端末2a,2bに割り当てる上り送信時間Ta,Tbが決定される。
【0027】
図7は、上記した本発明の第1実施形態におけるユーザ端末2の機能ブロック図であり、無線信号を送受信する無線通信部10と、各ユーザ端末の種別に応じた固有の機能として、例えば携帯電話機能やPDA機能を発揮する無線端末機能部11と、送信データのトラヒック量Mを検知するトラヒック量検知部12と、未送信データのトラヒック残量mを検知するトラヒック残量検知部13と、無線基地局1から送信されるビーコンに基づいて前記CP(Contention Period)を検知するCP検知部14と、無線基地局1によって自端末に割り当てられた上り送信時間Tを識別する上り送信時間識別部15とを含む。
【0028】
図8は、上記した本発明の第1実施形態における無線基地局1の機能ブロック図であり、無線信号を送受信する無線通信部30と、ビーコンを周期的に送信するビーコン送信部31と、各ユーザ端末2から通知されるトラヒック量Mあるいはトラヒック残量mに基づいて、各ユーザ端末に上り送信時間Tを割り当てる上り送信時間割当部32と、前記割当結果を各ユーザ端末2へ通知する割当結果通知部33とを含む。
【0029】
本実施形態によれば、送信データを有するユーザ端末2のみが無線基地局2へデータ送信を要求し、無線基地局1では、データ送信を要求しているユーザ端末2に対してのみ上り送信時間Tを割り当てるので、送信データを有していないユーザ端末2への無線基地局1からの無駄な問い合わせ(ポーリング)が不要となって無線リソースの有効利用が可能になる。
【0030】
また、本実施形態ではユーザ端末2が、データ送信後のトラヒック残量mを予め検知し、これを送信データと共に無線基地局1へ送信して通知するので、トラヒック残量mを通知するためだけの無線基地局1へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
【0031】
図9は、本発明に係る無線アクセス制御システムの第2実施形態のブロック図であり、無線基地局1と、当該無線基地局1の通信有効範囲内に位置する複数のユーザ端末(無線端末)2とを主要な構成とし、前記無線基地局1はインターネット等の広域ネットワーク3と接続されている。本実施形態では、無線基地局1の通信有効範囲4に位置している各ユーザ端末2と無線基地局1とが他のユーザ端末2を介してマルチホップで間接的に通信を行うことが可能である。
【0032】
図10,11,12,13は、本発明の第2実施形態の動作を示したフローチャートであり、図10,11はユーザ端末2の動作を示し、図12は中継局として機能する他のユーザ端末の動作を示し、図13は無線基地局1の動作を示している。いずれにおいても、前記と同じ番号を付したステップでは同一または同等の処理が実行される。図14は、本実施形態の動作を示したシーケンスフローである。
【0033】
ユーザ端末2aでは、図10のステップS1においてビーコンを受信すると、ステップS2では、送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みであるか否かが判定される。最初は通知済みではないと判定されるのでステップS3へ進み、ビーコンに登録されている時刻情報に基づいて前記CPが検出される。ステップS4では、送信データの有無が判別され、送信データが生じるまではステップS1へ戻って上記した各処理が繰り返される。
【0034】
その後、送信データが生じ、これがステップS4で検知されるとステップS5へ進み、当該送信データのトラヒック量Maが検知される。ステップS6において、前記CPに入ったかことが検知されるとステップS13へ進み、宛先(無線基地局1)までの経路情報がルーティングテーブルに既登録であるか否かが判定される。経路情報が既登録であればステップS7へ進み、前記第1実施形態と同様にトラヒック量Maが無線基地局1へ通知される。経路情報が未登録であればステップS14へ進み、「経路確立処理」が実行される。
【0035】
図11は、前記「経路確立処理」の手順を示したフローチャートであり、ステップS131では、RTS(Request To Send)信号の所定フィールドに、前記トラヒック量Ma、リンク品質メトリックQ、および経路確立要求(RREQ)の登録されたRTS_RREQ信号が無線基地局1へ送信される。前記リンク品質メトリックQは、当該RTS_RREQ信号が経由するリンクの品質を代表する情報であり、送信元のユーザ端末2aから送信されるRTS_RREQ信号では、初期値「0」が登録されている。ステップS132では、前記RTS_RREQ信号への応答であるCTS_RREP信号の受信に備える。
【0036】
図12は、中継局として機能する他のユーザ端末の中継処理の手順を示したフローチャートである。
【0037】
ステップS21において前記RTS_RREQ信号を隣接端末から受信すると、ステップS22では、前記RTS_RREQ信号の受信強度に基づいて隣接端末と自端末との間のリンク品質メトリックQxが求められる。ステップS23では、前記RTS_RREQ信号に登録されている、送信元のユーザ端末2aから前記隣接端末までのリンク品質メトリックQに、前記隣接端末と自端末との間のリンク品質メトリックQxを加算することにより、送信元のユーザ端末から自端末までのリンク品質メトリックQが算出される。なお、上記したリンク品質メトリックQの求め方は、本出願人による特許出願(特願2003−196727号)で詳細に説明されている。
【0038】
ステップS24では、前記RTS_RREQ信号に登録されている送信元ユーザ端末のMACアドレスと隣接端末のMACアドレスとの組み合わせが、経路情報としてルーティングテーブルに登録される。従来技術のように、経路確立をネットワーク層(一般には、IP層)で実現しようとすれば、送信元アドレスや宛先アドレスとしてIPアドレスを用いることになるために「MAC層でのアドレス」および「IP層でのアドレス」といった二種類のアドレスが必要となるが、本実施形態では、経路確立をリンク層(MAC層)で実現するので、従来のようにIP層で確立する場合に較べて、無線リソースの有効利用が可能になる。
【0039】
ステップS25では、前記算出したリンク品質メトリックQが前記RTS_RREQ信号に更新登録され、ブロードキャストで送信される。上記した中継処理は、前記RTS_RREQ信号を受信した全てのユーザ端末において実行される。
【0040】
図13へ進み、無線基地局1は、ステップS41において前記ビーコンを送信し、その後、ステップS61において前記RTS_RREQ信号を受信すると、ステップS62では、エンド端末が同一のRTS_RREQ信号を別経路で受信済みであるか否かが判定される。本実施形態では、全てのユーザ端末2が通信有効範囲4に位置しているので、無線基地局1は前記ユーザ端末2aから送信されたRTS_RREQ信号を、当該ユーザ端末2aから直接受信すると共に、他のユーザ端末からも間接的に受信する。
【0041】
ステップS62において、今回の受信が最初であると判定されればステップS63へ進み、当該RTS_RREQ信号の所定領域に登録されている前記トラヒック量Mおよびリンク品質メトリックQが検出される。ステップS64では、前記RTS_RREQ信号に基づいて経路情報が作成され、前記検出されたトラヒック量Mおよびリンク品質メトリックQと共にルーティングテーブルに登録される。ステップS65では、前記RTS_RREQ信号に対してCTS_RREP信号がユニキャストで返信される。ステップS66では、後述するツリー情報の受信に備えて待機する。
【0042】
一方、前記ステップS62において、エンド端末が同一のRTS_RREQ信号を別経路で受信済みと判定されればステップS70へ進み、ルーティングテーブルに登録されているリンク品質メトリックQ(1)と今回受信されたRTS_RREQ信号に登録されているリンク品質メトリックQ(2)とが比較される。ここで、Q(2)>Q(1)であれば、これまでで最もリンク品質が優れていた経路よりも今回の経路のリンク品質の方が優れていることになるのでステップS71へ進む。ステップS71では、ルーティングテーブルに既登録の経路情報が今回受信されたRTS_RREQ信号に基づいて更新される。ステップS72では、今回のRTS_RREQ信号に対して、シーケンス番号の更新されたCTS_RREP信号がユニキャストで再び返信される。
【0043】
図12へ戻り、中継局として機能するユーザ端末は、ステップS26において前記CTS_RREP信号を受信すると、ステップS27では、その宛先アドレスと隣接端末のアドレスとのペアが経路情報としてルーティングテーブルに登録される。この際、同一経路に関する経路情報が既登録であれば、受信したCTS_RREP信号に登録されているシーケンス番号と既登録情報のシーケンス番号とに基づいて両者の鮮度が比較され、鮮度の新しい経路情報が優先される。ステップS28では、前記CTS_RREP信号がユニキャストで宛先のユーザ端末2へ中継される。ステップS29では、更新された経路情報に基づいて、当該経路上での隣接端末に関する情報がツリー情報として無線基地局1へユニキャストで送信される。
【0044】
図11へ戻り、ユーザ端末2はステップS132において、前記無線基地局1から直接あるいは中継端末を経由して間接的に返信されたCTS_RREP信号を受信するとステップS133へ進み、経路情報をルーティングテーブルへ登録する。この際、同一経路に関する経路情報が既登録であれば、受信したCTS_RREP信号に登録されているシーケンス番号と既登録情報のシーケンス番号とに基づいて両者の鮮度を比較し、鮮度の新しい経路情報を優先する。ステップS134では、CTS_RREP信号の受信期間がタイムアウトしたか否かが判定される。タイムアウトするまではステップS132へ戻り、シーケンス番号の新しいCTS_RREP信号が受信されるごとに経路情報が更新される。
【0045】
図13へ戻り、前記無線基地局1は、前記中継端末から返信された前記ツリー情報をステップS66で受信すると、ステップS67へ進んで当該ツリー情報を登録する。ステップS68では、経路上の全ての中継端末からツリー情報が返信されたか否かが判定される。全てのツリー情報が揃うとステップS69へ進み、経路のツリー構造が識別される。ステップS70では、経路上の各ユーザ端末から通知されたトラヒック量M(または、トラヒック残量)とツリー構造の識別結果とに基づいて、経路上の各ユーザ端末に上り送信時間が割り当てられる。
【0046】
図15は、本実施形態における上り送信時間Tの割当方法を模式的に表現した図であり、ここでは図9に示したように、送信元のユーザ端末2aから他の2つのユーザ端末2b,2cを経由して無線基地局1へ至る第1経路と、他の送信元であるユーザ端末2dと無線基地局1とを直接結ぶ第2経路とが確立されている場合を例にして説明する。
【0047】
無線基地局1は、前記ツリー構造に基づいて経路上での各ユーザ端末の配列を認識する。そして、送信データを中継しないユーザ端末2a,2dには、それぞれのトラヒック量Ma,Mdに応じた上り送信時間Ta,Tdが割り当てられる。ユーザ端末2aの送信データを中継するユーザ端末2bには、当該ユーザ端末2bのトラヒック量Mbと、当該ユーザ端末2bが中継するユーザ端末2aのトラヒック量Maとの加算値に応じた上り送信時間Tbが割り当てられ。同様に、2つのユーザ端末2a,2bの送信データを中継するユーザ端末2cには、当該ユーザ端末2cのトラヒック量Mcと、当該ユーザ端末2cが中継する2つのユーザ端末2a,2bのトラヒック量Ma,Mbとの加算値に応じた上り送信時間Tcが割り当てられる。無線基地局1は、第1経路上の各ユーザ端末2a,2b,2cから送信されたデータを、上り送信時間Tcで一括して受信する。
【0048】
ステップS51では、今回のCPが終了したか否かが判定され、CP中は、各ユーザ端末2から送信される全てのRTS_RREQ信号に対して上記した各処理が繰り返される。前記CPが終了するとステップS41へ戻り、前記上り送信時間の割当結果が前記ビーコンの所定フィールドに登録されて送信される。
【0049】
図16は、上記した本発明の第2実施形態におけるユーザ端末2の機能ブロック図であり、図7と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0050】
本実施形態では第1実施形態の構成に加えて更に、経路確立要求の送信および経路確立応答の受信に基づいて無線基地局1との間にマルチホップ経路を確立する経路確立部16と、経路のリンク品質を監視するリンク品質監視部17と、中継した経路確立要求および経路確立応答に基づいて経路情報を生成し、これをルーティングテーブル19に登録すると共に、この経路情報に基づいてルーティングを行うルーティング部18と、前記経路確立応答を中継した際に、無線基地局1へ前記ツリー情報を返信するツリー情報返信部20とを含む。
【0051】
図17は、上記した本発明の第2実施形態におけるユーザ端末2の機能ブロック図であり、図8と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0052】
本実施形態では第1実施形態の構成に加えて更に、経路確立要求の受信および経路確立応答の送信に基づいてユーザ端末2との間にマルチホップ経路を確立する経路確立部34と、受信した経路確立要求に基づいて経路情報を生成し、これをルーティングテーブル36に登録すると共に、この経路情報に基づいてルーティングを行うルーティング部35と、前記ツリー情報を受信して経路のツリー構造を判別するツリー構造判別部37とを含み、上り送信時間割当部32は、各ユーザ端末2から送信されたトラヒック量および経路のツリー構造に基づいて、各ユーザ端末に上り送信時間を適正に割り当てる。
【0053】
本実施形態によれば、マルチホップ通信において、経路上の各ユーザ端末に対して、経路のツリー構造、各ユーz端末自身の送信データのトラヒック量、および各ユーザ端末が中継する経路上の他のユーザ端末のトラヒック量に基づいて上り送信時間が割り当てられるので、各ユーザ端末に適正な上り送信時間を割り当てられる。
【0054】
また、本実施形態では、経路を確立するために無線端末から無線基地局へ送信される経路確立要求メッセージに送信データのトラヒック量が登録されるので、トラヒック量を通知するためだけの無線基地局へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る無線アクセス制御システムの第1実施形態のブロック図である。
【図2】無線基地局により管理される通信フレームの一例を示した図である。
【図3】ユーザ端末のデータ送信動作を示したフローチャートである。
【図4】無線基地局のデータ受信動作を示したフローチャートである。
【図5】第1実施形態の動作を示したシーケンスフローである。
【図6】ユーザ端末の配置の一例を示した図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるユーザ端末の機能ブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態における無線基地局の機能ブロック図である。
【図9】本発明に係る無線アクセス制御システムの第2実施形態のブロック図である。
【図10】ユーザ端末のデータ送信動作を示したフローチャートである。
【図11】ユーザ端末における経路確立処理のフローチャートである。
【図12】中継局における中継処理のフローチャートである。
【図13】無線基地局のデータ受信動作を示したフローチャートである。
【図14】第2実施形態の動作を示したシーケンスフローである。
【図15】第2実施形態における上り送信時間の割当方法を模式的に表した図である。
【図16】第2実施形態におけるユーザ端末の機能ブロック図である。
【図17】第2実施形態における無線基地局の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1…無線基地局,2…ユーザ端末,3…広域ネットワーク,4…通信有効範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセス制御方法およびシステムに係り、特に、無線基地局が無線端末との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11で標準化された無線LANは、アクセス制御方式としてCSMA(Carrier Sense Multiple Access :キャリア感知多重アクセス方式)を採用し、基本的には自律分散制御を行う。しかしながら、CSMA方式では偶発的にパケット同士が無線上で衝突してしまう可能性があるため、ポーリング機能に基づく集中制御によるアクセス制御として、PCF (Point Coordination Function )と呼ばれる集中制御型のMACがオプションで規定されている。
【0003】
ポーリングとは、基地局がユーザ端末に送信の問い合わせを順次行い、応答のあった端末に送信権を与える集中制御方式であり、各ユーザ端末は、ポーリングで自局が指定されたときのみ送信の有(ACK)/無(NAK)を返答し、送信すべきデータが存在する場合のみ、データを付与したACKを返す。このようなポーリングを利用した無線中継アクセスシステムは特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−128829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PCFでは、無線基地局は各ユーザ端末が送信データを所有しているか否かにかかわらず、全てのユーザ端末にPollingを送信しなければならないので、無線リソースの利用効率が低くなるという技術課題があった。また、PCFではマルチホップ通信が不可能であったために、回線品質が良好なマルチホップの経路が確立可能であっても、この経路を使用して通信を行うことができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、無線リソースの利用効率が可能であり、かつマルチホップ通信にも適用できる集中制御型の無線アクセス制御方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、無線基地局が複数の無線端末との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0007】
(1)無線基地局が、トラヒック量通知期間を各無線端末へ周期的に告知する第1手順と、送信データを有する無線端末が、前記告知されたトラヒック量通知期間内に当該送信データのトラヒック量を前記無線基地局へ通知する第2手順と、前記無線基地局が、各無線端末に割り当てる上り送信時間を、前記通知されたトラヒック量に基づいて決定する第3手順と、前記無線基地局が、前記決定結果を各無線端末へ通知する第4手順と、前記各無線端末が、自身に割り当てられた上り送信時間を利用して前記送信データを送信する第5手順とを含むことを特徴とする。
【0008】
(2)無線端末がデータ送信後のトラヒック残量を予め検知する手順をさらに含み、前記第5手順では、前記トラヒック残量が送信データと共に無線基地局へ送信され、前記トラヒック残量が解消されるまで上記した各手順を繰り返し、前記トラヒック残量を通知した無線端末は前記第2手順を実施せず、前記第3手順では、各無線端末から通知されるトラヒック量またはトラヒック残量に基づいて、各無線端末に割り当てる上り送信時間が決定されることを特徴とする。
【0009】
(3)前記第3手順の前に、送信データを有する無線端末と無線基地局との間に、他の無線端末を中継するマルチホップの経路を確立する手順と、前記経路上の各無線端末が、当該経路のツリー情報を無線基地局へ通知する手順と、前記無線基地局が、前記経路上の各無線端末から通知されたツリー情報に基づいて、当該経路のツリー構造を判別する手順とをさらに含み、前記第3手順では、前記経路上の全ての無線端末に、当該各無線端末のトラヒック量と前記ツリー構造とに基づいて、自端末のトラヒック量および中継する無線端末のトラヒック量に応じた上り送信時間が割り当てられ、前記第5手順では、前記経路を利用して送信データが送信されることを特徴とする。
【0010】
(4)前記マルチホップ経路を確立する手順は、送信データを有する無線端末が無線基地局へ経路確立要求を送信する手順と、前記無線基地局が、前記経路確立要求に対して経路確立応答を返信する手順とを含み、前記無線端末は、前記送信データのトラヒック量を前記経路確立要求とともに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)送信データを有する無線端末のみが無線基地局へデータ送信を要求し、無線基地局では、データ送信を要求している無線端末に対してのみ上り送信時間を割り当てるので、送信データを有していない無線端末への無線基地局からの問い合わせが不要となって無線リソースの有効利用が可能になる。
(2)無線端末は、データ送信後のトラヒック残量を予め検知し、これを送信データと共に無線基地局へ送信して通知するので、トラヒック残量を通知するためだけの無線基地局へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
(3)マルチホップ通信では、経路上の各無線端末に対して、経路のツリー構造、各無線端末自身の送信データのトラヒック量、および各無線端末が中継する経路上の他の無線端末のトラヒック量に基づいて上り送信時間が割り当てられるので、各無線端末に適正な上り送信時間を割り当てられる。
(4)マルチホップ通信では、経路を確立するために無線端末から無線基地局へ送信される経路確立要求メッセージに送信データのトラヒック量が登録されるので、トラヒック量を通知するためだけの無線基地局へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る無線アクセス制御システムの第1実施形態のブロック図であり、無線基地局(AP)1と、この無線基地局1の通信有効範囲4に位置する複数のユーザ端末(無線端末)2とを主要な構成とし、前記無線基地局1はインターネット等の広域ネットワーク3と接続されている。第1実施形態では、無線基地局1の通信有効範囲4に移動した各ユーザ端末2と無線基地局1とが、中継局を介さずにシングルホップで直接通信を行う。
【0013】
図3、4は、本実施形態の動作を示したフローチャートであり、図3はユーザ端末2のデータ送信動作を示し、図4は無線基地局1のデータ受信動作を示している。図5は、本実施形態の動作を示したシーケンスフローである。ここでは、図6に示したように、通信有効範囲4にユーザ端末2aが新規に移動してデータ通信を開始し、その後、さらに他のユーザ端末2bが移動してデータ通信を開始する場合を例にして説明する。
【0014】
無線基地局1と各ユーザ端末2とは、無線基地局1により管理される通信フレームを利用してデータを周期的に送受信する。この通信フレームは、図2に一例を示したように、CP(Contention Period:衝突を前提としたアクセス制御期間)とCFP(Contention -Free Period:衝突を発生させないアクセス制御期間)とを含み、前記無線基地局1は、CPとCFPとの間でビーコンを送信する。
【0015】
前記CPでは、各ユーザ端末2から無線基地局1へ、各ユーザ端末2(2a,2b…)が送信しようとするデータパケットのトラヒック量M(Ma,Mb…)が通知される。CFPでは、各ユーザ端末2が無線基地局1によって割り当てられた上り送信時間T(Ta,Tb…)を利用して無線基地局1へデータパケットを送信すると共に、同じく無線基地局1によって割り当てられた下り送信時間を利用して無線基地局1から各ユーザ端末2へデータパケットが送信される。前記ビーコンには、前記CPを特定する時刻情報や、各ユーザ端末2に割り当てる上り送信時間Tおよび下り送信時間を指定する時刻情報が、当該ビーコンの送信時刻を基準とした相対的な時刻として、あるいは絶対的な時刻として登録されている。
【0016】
無線基地局1の通信有効範囲4に移動したユーザ端末2aは、図3のステップS1で前記ビーコンを受信すると、ステップS2では、送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みであるか否かが判定される。最初は通知済みではないと判定されるのでステップS3へ進み、前記ビーコンに登録されている時刻情報に基づいて前記CPのタイミングが検知される。ステップS4では、送信データの有無が判別され、送信データが生じるまではステップS1へ戻って上記した各処理が繰り返される。
【0017】
その後、送信データが生じ、これがステップS4で検知されるとステップS5へ進み、当該送信データのトラヒック量M(Ma)が求められる。ステップS6では、前記CPに入ったか否かが判定される。CPに入るとステップS7へ進み、RTS(Request To Send)信号の所定フィールドに前記トラヒック量Maを登録されたRTS_M信号が無線基地局1へ送信される。
【0018】
図4へ進み、無線基地局1は、ステップS41で前記ビーコンを送信すると、ステップS42では、各ユーザ端末2がCFPの各上り送信時間Tを利用して送信するデータの受信に備える。最初は通信有効範囲4にユーザ端末2が存在せず、データパケットが受信されないのでステップS46へ進み、CFPの終了を待ってステップS47へ進む。
【0019】
無線基地局1は、ステップS47において、前記ユーザ端末2aから送信されたRTS_M信号を受信すると、ステップS48では、このRTS_M信号の所定フィールドに登録されているトラヒック量Maが検知される。ステップS49では、受信したRTS_M信号に応答してCTS(Confirmation To Send)_M信号が返信される。ステップS50では、前記ユーザ端末2aから通知されたトラヒック量Maに基づいて、前記CFP内でユーザ端末2aに割り当てる上り送信時間T(Ta)が決定される。本実施形態では、トラヒック量Mの多いユーザ端末に対して、より長い上り送信時間Tが割り当てられる。
【0020】
ステップS51では、今回のCPが終了したか否かが判定され、CP中は、各ユーザ端末2から送信される全てのRTS_M信号に対して上記した各処理が繰り返される。前記CPが終了するとステップS41へ戻り、前記上り送信時間の割当結果が前記ビーコンの所定フィールドに登録されて送信される。
【0021】
図3へ戻り、ユーザ端末2aは、図3のステップS1で次のビーコンを受信すると、ステップS2では、送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みであるか否かが判定される。前記ステップS7で送信したRTS_M信号に応答して無線基地局1からCTS_M信号が返信されていれば、トラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みと判定されてステップS8へ進む。ステップS8では、未送信データの有無が判別され、ここでは未だデータパケットが送信されていないので、未送信データがあると判定されてステップS9へ進む。ステップS9では、前記ビーコンに登録されている自端末の上り送信時間Taに関する割当結果が抽出される。ステップS10では、この上り送信時間Taを利用してデータを送信した後のトラヒック残量maが予め検知される。ステップS11において、前記自端末に割り当てられた上り送信時間Taを迎えると、ステップS12ではデータパケットが無線基地局1へ送信される。このデータパケットには、前記トラヒック残量maに関する情報も登録されている。
【0022】
図4へ戻り、無線基地局1は、ステップS41においてビーコンを送信した後、ステップS42において、ユーザ端末2aが上り送信時間Taを利用して送信したデータを受信すると、ステップS43では、受信データに所定の受信処理が実行される。ステップS44では、当該データにトラヒック残量mが登録されているか否かが判定され、登録されていればステップS45へ進み、当該トラヒック残量mが検知される。ステップS46では、今回のCFPが終了したか否かが判定され、CFPが終了するまで、各上り送信時間で送信されるデータが受信される。
【0023】
ステップS46において、今回のCFPが終了したと判定されるとステップS47へ進み、RTS_M信号の受信の有無が判定される。ここではRTS_M信号が受信されないのでステップS50へ進み、前記ユーザ端末2aから通知されたトラヒック残量maに基づいて次の上り送信時間Taが決定される。ステップS51において、今回のCPが終了したと判定されるとステップS41へ戻り、前記上り送信時間の割当結果がビーコンの所定フィールドに登録されて送信される。
【0024】
ユーザ端末2aは、ステップS1で次のビーコンを受信すると、ステップS2を経由してステップS3へ進み、前記と同様に未送信データの有無を判別する。前回のステップS12において全てのデータを送信済みであれば、未送信データが存在しないのでステップS3へ戻り、新たに送信データが生じるまでステップS1〜S4の各処理が繰り返される。
【0025】
これに対して、前回のステップS12において全てのデータを送信し終えていなければ、未送信データが存在するのでステップS9へ進み、今回のビーコンで指定された上り送信時間Taを利用して残りのデータを送信する。このデータにも、直前のステップS10で検知されたトラヒック残量maが登録される。
【0026】
その後、他のユーザ端末2bが通信有効範囲4に移動し、当該ユーザ端末2bから送信されたトラヒック量Mbが、図4のステップS48で無線基地局1により検知されると、ステップS50では、前記ステップS45で検知されたユーザ端末2aのトラヒック残量maと、前記ステップS48で新たに検知されたユーザ端末2bのトラヒック量Mbとに基づいて、各ユーザ端末2a,2bに割り当てる上り送信時間Ta,Tbが決定される。
【0027】
図7は、上記した本発明の第1実施形態におけるユーザ端末2の機能ブロック図であり、無線信号を送受信する無線通信部10と、各ユーザ端末の種別に応じた固有の機能として、例えば携帯電話機能やPDA機能を発揮する無線端末機能部11と、送信データのトラヒック量Mを検知するトラヒック量検知部12と、未送信データのトラヒック残量mを検知するトラヒック残量検知部13と、無線基地局1から送信されるビーコンに基づいて前記CP(Contention Period)を検知するCP検知部14と、無線基地局1によって自端末に割り当てられた上り送信時間Tを識別する上り送信時間識別部15とを含む。
【0028】
図8は、上記した本発明の第1実施形態における無線基地局1の機能ブロック図であり、無線信号を送受信する無線通信部30と、ビーコンを周期的に送信するビーコン送信部31と、各ユーザ端末2から通知されるトラヒック量Mあるいはトラヒック残量mに基づいて、各ユーザ端末に上り送信時間Tを割り当てる上り送信時間割当部32と、前記割当結果を各ユーザ端末2へ通知する割当結果通知部33とを含む。
【0029】
本実施形態によれば、送信データを有するユーザ端末2のみが無線基地局2へデータ送信を要求し、無線基地局1では、データ送信を要求しているユーザ端末2に対してのみ上り送信時間Tを割り当てるので、送信データを有していないユーザ端末2への無線基地局1からの無駄な問い合わせ(ポーリング)が不要となって無線リソースの有効利用が可能になる。
【0030】
また、本実施形態ではユーザ端末2が、データ送信後のトラヒック残量mを予め検知し、これを送信データと共に無線基地局1へ送信して通知するので、トラヒック残量mを通知するためだけの無線基地局1へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
【0031】
図9は、本発明に係る無線アクセス制御システムの第2実施形態のブロック図であり、無線基地局1と、当該無線基地局1の通信有効範囲内に位置する複数のユーザ端末(無線端末)2とを主要な構成とし、前記無線基地局1はインターネット等の広域ネットワーク3と接続されている。本実施形態では、無線基地局1の通信有効範囲4に位置している各ユーザ端末2と無線基地局1とが他のユーザ端末2を介してマルチホップで間接的に通信を行うことが可能である。
【0032】
図10,11,12,13は、本発明の第2実施形態の動作を示したフローチャートであり、図10,11はユーザ端末2の動作を示し、図12は中継局として機能する他のユーザ端末の動作を示し、図13は無線基地局1の動作を示している。いずれにおいても、前記と同じ番号を付したステップでは同一または同等の処理が実行される。図14は、本実施形態の動作を示したシーケンスフローである。
【0033】
ユーザ端末2aでは、図10のステップS1においてビーコンを受信すると、ステップS2では、送信データのトラヒック量Mを無線基地局1へ通知済みであるか否かが判定される。最初は通知済みではないと判定されるのでステップS3へ進み、ビーコンに登録されている時刻情報に基づいて前記CPが検出される。ステップS4では、送信データの有無が判別され、送信データが生じるまではステップS1へ戻って上記した各処理が繰り返される。
【0034】
その後、送信データが生じ、これがステップS4で検知されるとステップS5へ進み、当該送信データのトラヒック量Maが検知される。ステップS6において、前記CPに入ったかことが検知されるとステップS13へ進み、宛先(無線基地局1)までの経路情報がルーティングテーブルに既登録であるか否かが判定される。経路情報が既登録であればステップS7へ進み、前記第1実施形態と同様にトラヒック量Maが無線基地局1へ通知される。経路情報が未登録であればステップS14へ進み、「経路確立処理」が実行される。
【0035】
図11は、前記「経路確立処理」の手順を示したフローチャートであり、ステップS131では、RTS(Request To Send)信号の所定フィールドに、前記トラヒック量Ma、リンク品質メトリックQ、および経路確立要求(RREQ)の登録されたRTS_RREQ信号が無線基地局1へ送信される。前記リンク品質メトリックQは、当該RTS_RREQ信号が経由するリンクの品質を代表する情報であり、送信元のユーザ端末2aから送信されるRTS_RREQ信号では、初期値「0」が登録されている。ステップS132では、前記RTS_RREQ信号への応答であるCTS_RREP信号の受信に備える。
【0036】
図12は、中継局として機能する他のユーザ端末の中継処理の手順を示したフローチャートである。
【0037】
ステップS21において前記RTS_RREQ信号を隣接端末から受信すると、ステップS22では、前記RTS_RREQ信号の受信強度に基づいて隣接端末と自端末との間のリンク品質メトリックQxが求められる。ステップS23では、前記RTS_RREQ信号に登録されている、送信元のユーザ端末2aから前記隣接端末までのリンク品質メトリックQに、前記隣接端末と自端末との間のリンク品質メトリックQxを加算することにより、送信元のユーザ端末から自端末までのリンク品質メトリックQが算出される。なお、上記したリンク品質メトリックQの求め方は、本出願人による特許出願(特願2003−196727号)で詳細に説明されている。
【0038】
ステップS24では、前記RTS_RREQ信号に登録されている送信元ユーザ端末のMACアドレスと隣接端末のMACアドレスとの組み合わせが、経路情報としてルーティングテーブルに登録される。従来技術のように、経路確立をネットワーク層(一般には、IP層)で実現しようとすれば、送信元アドレスや宛先アドレスとしてIPアドレスを用いることになるために「MAC層でのアドレス」および「IP層でのアドレス」といった二種類のアドレスが必要となるが、本実施形態では、経路確立をリンク層(MAC層)で実現するので、従来のようにIP層で確立する場合に較べて、無線リソースの有効利用が可能になる。
【0039】
ステップS25では、前記算出したリンク品質メトリックQが前記RTS_RREQ信号に更新登録され、ブロードキャストで送信される。上記した中継処理は、前記RTS_RREQ信号を受信した全てのユーザ端末において実行される。
【0040】
図13へ進み、無線基地局1は、ステップS41において前記ビーコンを送信し、その後、ステップS61において前記RTS_RREQ信号を受信すると、ステップS62では、エンド端末が同一のRTS_RREQ信号を別経路で受信済みであるか否かが判定される。本実施形態では、全てのユーザ端末2が通信有効範囲4に位置しているので、無線基地局1は前記ユーザ端末2aから送信されたRTS_RREQ信号を、当該ユーザ端末2aから直接受信すると共に、他のユーザ端末からも間接的に受信する。
【0041】
ステップS62において、今回の受信が最初であると判定されればステップS63へ進み、当該RTS_RREQ信号の所定領域に登録されている前記トラヒック量Mおよびリンク品質メトリックQが検出される。ステップS64では、前記RTS_RREQ信号に基づいて経路情報が作成され、前記検出されたトラヒック量Mおよびリンク品質メトリックQと共にルーティングテーブルに登録される。ステップS65では、前記RTS_RREQ信号に対してCTS_RREP信号がユニキャストで返信される。ステップS66では、後述するツリー情報の受信に備えて待機する。
【0042】
一方、前記ステップS62において、エンド端末が同一のRTS_RREQ信号を別経路で受信済みと判定されればステップS70へ進み、ルーティングテーブルに登録されているリンク品質メトリックQ(1)と今回受信されたRTS_RREQ信号に登録されているリンク品質メトリックQ(2)とが比較される。ここで、Q(2)>Q(1)であれば、これまでで最もリンク品質が優れていた経路よりも今回の経路のリンク品質の方が優れていることになるのでステップS71へ進む。ステップS71では、ルーティングテーブルに既登録の経路情報が今回受信されたRTS_RREQ信号に基づいて更新される。ステップS72では、今回のRTS_RREQ信号に対して、シーケンス番号の更新されたCTS_RREP信号がユニキャストで再び返信される。
【0043】
図12へ戻り、中継局として機能するユーザ端末は、ステップS26において前記CTS_RREP信号を受信すると、ステップS27では、その宛先アドレスと隣接端末のアドレスとのペアが経路情報としてルーティングテーブルに登録される。この際、同一経路に関する経路情報が既登録であれば、受信したCTS_RREP信号に登録されているシーケンス番号と既登録情報のシーケンス番号とに基づいて両者の鮮度が比較され、鮮度の新しい経路情報が優先される。ステップS28では、前記CTS_RREP信号がユニキャストで宛先のユーザ端末2へ中継される。ステップS29では、更新された経路情報に基づいて、当該経路上での隣接端末に関する情報がツリー情報として無線基地局1へユニキャストで送信される。
【0044】
図11へ戻り、ユーザ端末2はステップS132において、前記無線基地局1から直接あるいは中継端末を経由して間接的に返信されたCTS_RREP信号を受信するとステップS133へ進み、経路情報をルーティングテーブルへ登録する。この際、同一経路に関する経路情報が既登録であれば、受信したCTS_RREP信号に登録されているシーケンス番号と既登録情報のシーケンス番号とに基づいて両者の鮮度を比較し、鮮度の新しい経路情報を優先する。ステップS134では、CTS_RREP信号の受信期間がタイムアウトしたか否かが判定される。タイムアウトするまではステップS132へ戻り、シーケンス番号の新しいCTS_RREP信号が受信されるごとに経路情報が更新される。
【0045】
図13へ戻り、前記無線基地局1は、前記中継端末から返信された前記ツリー情報をステップS66で受信すると、ステップS67へ進んで当該ツリー情報を登録する。ステップS68では、経路上の全ての中継端末からツリー情報が返信されたか否かが判定される。全てのツリー情報が揃うとステップS69へ進み、経路のツリー構造が識別される。ステップS70では、経路上の各ユーザ端末から通知されたトラヒック量M(または、トラヒック残量)とツリー構造の識別結果とに基づいて、経路上の各ユーザ端末に上り送信時間が割り当てられる。
【0046】
図15は、本実施形態における上り送信時間Tの割当方法を模式的に表現した図であり、ここでは図9に示したように、送信元のユーザ端末2aから他の2つのユーザ端末2b,2cを経由して無線基地局1へ至る第1経路と、他の送信元であるユーザ端末2dと無線基地局1とを直接結ぶ第2経路とが確立されている場合を例にして説明する。
【0047】
無線基地局1は、前記ツリー構造に基づいて経路上での各ユーザ端末の配列を認識する。そして、送信データを中継しないユーザ端末2a,2dには、それぞれのトラヒック量Ma,Mdに応じた上り送信時間Ta,Tdが割り当てられる。ユーザ端末2aの送信データを中継するユーザ端末2bには、当該ユーザ端末2bのトラヒック量Mbと、当該ユーザ端末2bが中継するユーザ端末2aのトラヒック量Maとの加算値に応じた上り送信時間Tbが割り当てられ。同様に、2つのユーザ端末2a,2bの送信データを中継するユーザ端末2cには、当該ユーザ端末2cのトラヒック量Mcと、当該ユーザ端末2cが中継する2つのユーザ端末2a,2bのトラヒック量Ma,Mbとの加算値に応じた上り送信時間Tcが割り当てられる。無線基地局1は、第1経路上の各ユーザ端末2a,2b,2cから送信されたデータを、上り送信時間Tcで一括して受信する。
【0048】
ステップS51では、今回のCPが終了したか否かが判定され、CP中は、各ユーザ端末2から送信される全てのRTS_RREQ信号に対して上記した各処理が繰り返される。前記CPが終了するとステップS41へ戻り、前記上り送信時間の割当結果が前記ビーコンの所定フィールドに登録されて送信される。
【0049】
図16は、上記した本発明の第2実施形態におけるユーザ端末2の機能ブロック図であり、図7と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0050】
本実施形態では第1実施形態の構成に加えて更に、経路確立要求の送信および経路確立応答の受信に基づいて無線基地局1との間にマルチホップ経路を確立する経路確立部16と、経路のリンク品質を監視するリンク品質監視部17と、中継した経路確立要求および経路確立応答に基づいて経路情報を生成し、これをルーティングテーブル19に登録すると共に、この経路情報に基づいてルーティングを行うルーティング部18と、前記経路確立応答を中継した際に、無線基地局1へ前記ツリー情報を返信するツリー情報返信部20とを含む。
【0051】
図17は、上記した本発明の第2実施形態におけるユーザ端末2の機能ブロック図であり、図8と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0052】
本実施形態では第1実施形態の構成に加えて更に、経路確立要求の受信および経路確立応答の送信に基づいてユーザ端末2との間にマルチホップ経路を確立する経路確立部34と、受信した経路確立要求に基づいて経路情報を生成し、これをルーティングテーブル36に登録すると共に、この経路情報に基づいてルーティングを行うルーティング部35と、前記ツリー情報を受信して経路のツリー構造を判別するツリー構造判別部37とを含み、上り送信時間割当部32は、各ユーザ端末2から送信されたトラヒック量および経路のツリー構造に基づいて、各ユーザ端末に上り送信時間を適正に割り当てる。
【0053】
本実施形態によれば、マルチホップ通信において、経路上の各ユーザ端末に対して、経路のツリー構造、各ユーz端末自身の送信データのトラヒック量、および各ユーザ端末が中継する経路上の他のユーザ端末のトラヒック量に基づいて上り送信時間が割り当てられるので、各ユーザ端末に適正な上り送信時間を割り当てられる。
【0054】
また、本実施形態では、経路を確立するために無線端末から無線基地局へ送信される経路確立要求メッセージに送信データのトラヒック量が登録されるので、トラヒック量を通知するためだけの無線基地局へのアクセスが不要となって無線リソースの更なる有効利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る無線アクセス制御システムの第1実施形態のブロック図である。
【図2】無線基地局により管理される通信フレームの一例を示した図である。
【図3】ユーザ端末のデータ送信動作を示したフローチャートである。
【図4】無線基地局のデータ受信動作を示したフローチャートである。
【図5】第1実施形態の動作を示したシーケンスフローである。
【図6】ユーザ端末の配置の一例を示した図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるユーザ端末の機能ブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態における無線基地局の機能ブロック図である。
【図9】本発明に係る無線アクセス制御システムの第2実施形態のブロック図である。
【図10】ユーザ端末のデータ送信動作を示したフローチャートである。
【図11】ユーザ端末における経路確立処理のフローチャートである。
【図12】中継局における中継処理のフローチャートである。
【図13】無線基地局のデータ受信動作を示したフローチャートである。
【図14】第2実施形態の動作を示したシーケンスフローである。
【図15】第2実施形態における上り送信時間の割当方法を模式的に表した図である。
【図16】第2実施形態におけるユーザ端末の機能ブロック図である。
【図17】第2実施形態における無線基地局の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1…無線基地局,2…ユーザ端末,3…広域ネットワーク,4…通信有効範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局が複数の無線端末との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法において、
無線基地局が、トラヒック量通知期間を各無線端末へ周期的に告知する第1手順と、
送信データを有する無線端末が、前記告知されたトラヒック量通知期間内に当該送信データのトラヒック量を前記無線基地局へ通知する第2手順と、
前記無線基地局が、各無線端末に割り当てる上り送信時間を、前記通知されたトラヒック量に基づいて決定する第3手順と、
前記無線基地局が、前記上り送信時間に関する決定結果を各無線端末へ通知する第4手順と、
前記各無線端末が、自身に割り当てられた上り送信時間を利用して前記送信データを送信する第5手順とを含むことを特徴とする集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項2】
前記無線端末が、データ送信後のトラヒック残量を予め検知する手順をさらに含み、
前記第5手順では、前記トラヒック残量が送信データと共に無線基地局へ送信され、
前記トラヒック残量が解消されるまで上記した各手順を繰り返し、
前記トラヒック残量を通知した無線端末は前記第2手順を実施せず、
前記第3手順では、各無線端末から通知されるトラヒック量またはトラヒック残量に基づいて、各無線端末に割り当てる上り送信時間が決定されることを特徴とする請求項1に記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項3】
前記第3手順の前に、
送信データを有する無線端末と無線基地局との間に、他の無線端末を中継するマルチホップの経路を確立する手順と、
前記経路上の各無線端末が、当該経路のツリー情報を無線基地局へ通知する手順と、
前記無線基地局が、前記経路上の各無線端末から通知されたツリー情報に基づいて、当該経路のツリー構造を判別する手順とをさらに含み、
前記第3手順では、前記経路上の全ての無線端末に、当該各無線端末のトラヒック量と前記ツリー構造とに基づいて、自端末のトラヒック量および中継する無線端末のトラヒック量に応じた上り送信時間が割り当てられ、
前記第5手順では、前記経路を利用して送信データが送信されることを特徴とする請求項1に記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項4】
前記マルチホップ経路を確立する手順は、
送信データを有する無線端末が無線基地局へ経路確立要求を送信する手順と、
前記無線基地局が、前記経路確立要求に対して経路確立応答を返信する手順とを含み、
前記無線端末は、前記送信データのトラヒック量を前記経路確立要求とともに送信することを特徴とする請求項4に記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項5】
前記無線基地局が、各無線端末に割り当てる下り送信時間を決定する手順と、
前記無線基地局が、前記下り送信時間に関する決定結果を各無線端末へ通知する手順と、
前記各無線端末が、自身に割り当てられた下り送信時間を利用して前記無線基地局からデータを受信する手順とをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項6】
無線基地局が自身の通信有効範囲内に位置する複数の無線端末とのシングルホップ通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御システムにおいて、
前記無線端末が、
送信データのトラヒック量を検知する手段と、
無線基地局から送信されるビーコンに基づいてトラヒック量通知期間を認識する手段と、
前記トラヒック量通知期間内に、前記送信データのトラヒック量を無線基地局へ通知する手段と、
前記無線基地局により自端末に割り当てられた上り送信時間を認識する手段と、
前記上り送信時間を利用して前記送信データを送信する手段とを含み、
前記無線基地局が、
前記ビーコンを周期的に送信する手段と、
前記各無線端末から送信されたトラヒック量に基づいて、各無線端末に上り送信時間を割り当てる手段と、
前記上り送信時間の割当結果を各無線端末へ通知する手段とを含むことを特徴とする無線アクセス制御システム。
【請求項7】
前記無線端末が、
トラヒック残量を検知する手段と、
前記トラヒック残量を無線基地局へ通知する手段とを更に含み、
前記無線基地局では、前記各無線端末から送信されたトラヒック量およびトラヒック残量に基づいて、各無線端末に上り送信時間が割り当てられることを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス制御システム。
【請求項8】
前記無線端末がさらに、
経路確立要求の送信および経路確立応答の受信に基づいて無線基地局との間にマルチホップの経路を確立する手段と、
中継した経路確立要求および経路確立応答に基づいて経路情報を登録する手段と、
前記経路確立応答を中継した際に、無線基地局へ経路のツリー情報を返信する手段とを含み、
前記無線基地局がさらに、
前記経路確立要求の受信および経路確立応答の返信に基づいて無線端末との間にマルチホップの経路を確立する手段と、
前記経路上の各無線端末から返信されるツリー情報に基づいて当該経路のツリー構造を判別する手段とを含み、
前記上り送信時間を割り当てる手段は、前記経路上の全ての無線端末に、当該各無線端末のトラヒック量と前記ツリー構造とに基づいて、自端末のトラヒック量および中継する無線端末のトラヒック量に応じた上り送信時間が割り当てることを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス制御システム。
【請求項9】
前記無線端末は、前記送信データのトラヒック量を前記経路確立要求に登録して送信することを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス制御システム。
【請求項10】
前記無線基地局が、前記上り送信時間の割当結果を前記ビーコンに登録して送信することを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の無線アクセス制御システム。
【請求項11】
前記無線基地局がさらに、
前記各無線端末に下り送信時間を割り当てる手段と、
前記下り送信時間の割当結果を各無線端末へ通知する手段とを含むことを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の無線アクセス制御システム。
【請求項1】
無線基地局が複数の無線端末との通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御方法において、
無線基地局が、トラヒック量通知期間を各無線端末へ周期的に告知する第1手順と、
送信データを有する無線端末が、前記告知されたトラヒック量通知期間内に当該送信データのトラヒック量を前記無線基地局へ通知する第2手順と、
前記無線基地局が、各無線端末に割り当てる上り送信時間を、前記通知されたトラヒック量に基づいて決定する第3手順と、
前記無線基地局が、前記上り送信時間に関する決定結果を各無線端末へ通知する第4手順と、
前記各無線端末が、自身に割り当てられた上り送信時間を利用して前記送信データを送信する第5手順とを含むことを特徴とする集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項2】
前記無線端末が、データ送信後のトラヒック残量を予め検知する手順をさらに含み、
前記第5手順では、前記トラヒック残量が送信データと共に無線基地局へ送信され、
前記トラヒック残量が解消されるまで上記した各手順を繰り返し、
前記トラヒック残量を通知した無線端末は前記第2手順を実施せず、
前記第3手順では、各無線端末から通知されるトラヒック量またはトラヒック残量に基づいて、各無線端末に割り当てる上り送信時間が決定されることを特徴とする請求項1に記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項3】
前記第3手順の前に、
送信データを有する無線端末と無線基地局との間に、他の無線端末を中継するマルチホップの経路を確立する手順と、
前記経路上の各無線端末が、当該経路のツリー情報を無線基地局へ通知する手順と、
前記無線基地局が、前記経路上の各無線端末から通知されたツリー情報に基づいて、当該経路のツリー構造を判別する手順とをさらに含み、
前記第3手順では、前記経路上の全ての無線端末に、当該各無線端末のトラヒック量と前記ツリー構造とに基づいて、自端末のトラヒック量および中継する無線端末のトラヒック量に応じた上り送信時間が割り当てられ、
前記第5手順では、前記経路を利用して送信データが送信されることを特徴とする請求項1に記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項4】
前記マルチホップ経路を確立する手順は、
送信データを有する無線端末が無線基地局へ経路確立要求を送信する手順と、
前記無線基地局が、前記経路確立要求に対して経路確立応答を返信する手順とを含み、
前記無線端末は、前記送信データのトラヒック量を前記経路確立要求とともに送信することを特徴とする請求項4に記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項5】
前記無線基地局が、各無線端末に割り当てる下り送信時間を決定する手順と、
前記無線基地局が、前記下り送信時間に関する決定結果を各無線端末へ通知する手順と、
前記各無線端末が、自身に割り当てられた下り送信時間を利用して前記無線基地局からデータを受信する手順とをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の集中制御型の無線アクセス制御方法。
【請求項6】
無線基地局が自身の通信有効範囲内に位置する複数の無線端末とのシングルホップ通信を集中管理する集中制御型の無線アクセス制御システムにおいて、
前記無線端末が、
送信データのトラヒック量を検知する手段と、
無線基地局から送信されるビーコンに基づいてトラヒック量通知期間を認識する手段と、
前記トラヒック量通知期間内に、前記送信データのトラヒック量を無線基地局へ通知する手段と、
前記無線基地局により自端末に割り当てられた上り送信時間を認識する手段と、
前記上り送信時間を利用して前記送信データを送信する手段とを含み、
前記無線基地局が、
前記ビーコンを周期的に送信する手段と、
前記各無線端末から送信されたトラヒック量に基づいて、各無線端末に上り送信時間を割り当てる手段と、
前記上り送信時間の割当結果を各無線端末へ通知する手段とを含むことを特徴とする無線アクセス制御システム。
【請求項7】
前記無線端末が、
トラヒック残量を検知する手段と、
前記トラヒック残量を無線基地局へ通知する手段とを更に含み、
前記無線基地局では、前記各無線端末から送信されたトラヒック量およびトラヒック残量に基づいて、各無線端末に上り送信時間が割り当てられることを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス制御システム。
【請求項8】
前記無線端末がさらに、
経路確立要求の送信および経路確立応答の受信に基づいて無線基地局との間にマルチホップの経路を確立する手段と、
中継した経路確立要求および経路確立応答に基づいて経路情報を登録する手段と、
前記経路確立応答を中継した際に、無線基地局へ経路のツリー情報を返信する手段とを含み、
前記無線基地局がさらに、
前記経路確立要求の受信および経路確立応答の返信に基づいて無線端末との間にマルチホップの経路を確立する手段と、
前記経路上の各無線端末から返信されるツリー情報に基づいて当該経路のツリー構造を判別する手段とを含み、
前記上り送信時間を割り当てる手段は、前記経路上の全ての無線端末に、当該各無線端末のトラヒック量と前記ツリー構造とに基づいて、自端末のトラヒック量および中継する無線端末のトラヒック量に応じた上り送信時間が割り当てることを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス制御システム。
【請求項9】
前記無線端末は、前記送信データのトラヒック量を前記経路確立要求に登録して送信することを特徴とする請求項6に記載の無線アクセス制御システム。
【請求項10】
前記無線基地局が、前記上り送信時間の割当結果を前記ビーコンに登録して送信することを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の無線アクセス制御システム。
【請求項11】
前記無線基地局がさらに、
前記各無線端末に下り送信時間を割り当てる手段と、
前記下り送信時間の割当結果を各無線端末へ通知する手段とを含むことを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の無線アクセス制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−5653(P2006−5653A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179851(P2004−179851)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]