無線アクセス制御方法および無線通信システム
【課題】 無線通信システムで、端末が高速移動し、かつ使用する周波数帯の干渉信号が存在するとき、干渉の影響を低減して通信の信頼性を向上すること。
【解決手段】 所定の経路上を移動する複数の移動局と、経路沿線に設置された基地局1、2と、基地局と通信手段を持つ管理局を有する無線通信システムにおいて、基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を管理局へ通知する。管理局は、測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、基地局へ該チャネルへの変更を通知し、1つの移動局に対して複数基地局がタイムスロットTSi、TSjを使用して通信するように通信タイムスロットを割り当てる。また基地局と移動局が送受信した信号の受信電力が低下したとき、移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている基地局の周波数チャネルへ変更する。
【解決手段】 所定の経路上を移動する複数の移動局と、経路沿線に設置された基地局1、2と、基地局と通信手段を持つ管理局を有する無線通信システムにおいて、基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を管理局へ通知する。管理局は、測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、基地局へ該チャネルへの変更を通知し、1つの移動局に対して複数基地局がタイムスロットTSi、TSjを使用して通信するように通信タイムスロットを割り当てる。また基地局と移動局が送受信した信号の受信電力が低下したとき、移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている基地局の周波数チャネルへ変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線システムにおいて移動局と基地局が高品質な無線通信を行うためのアクセス制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の列車(移動局)から基地局への各バースト波が重なることなく短時間に多数の列車と通信できる列車無線通信システムとして、無線局をノードとする同期した時分割多重ネットワークを形成し、軌道沿いに配置されるそれぞれの無線基地局に対し、軌道に沿った一方向へ中継するための送信用タイムスロットと、その反対方向へ中継するための送信用タイムスロットとを割り当てる毎に、移動局送信用のタイムスロットを高々1つ割り当てるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特再WO98/51110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道通信は輸送業務を支える情報伝達の手段として発展を続けており、列車の運行管理を行うために、1区域に1個列車のみの運転を許可する「閉そく方式」を施行する通信システムが利用されている。現行の閉そくシステムは、軌道装置、信号機、これらを接続する通信線などの各種地上装置で構成されている。より高密度で高速な運行管理への要求は、地上設備の増加で対応されてきたが、保守作業も増加するためコストが増大するという問題があった。この問題に対し、無線通信システムを導入することでコスト低減を図ろうという動きがある。列車無線方式は、空間波方式とLCX(Leakage Coaxial Cable)方式の2つに大別される。空間波方式は車上の移動局と地上の基地局間で無線通信を行うもので、一般の無線と同じものである。LCX方式は、一定間隔でスリットが入った同軸ケーブル(漏えい同軸ケーブル)を線路沿線に張り、このケーブルと列車との間で無線通信を行うものである。空間波方式に比べ、長いトンネル内などの電波が届きにくい環境でも安定して通信できる利点がある。日本国内では、150及び400MHz帯を使用した空間波方式の無線システムがJRなどで使用されている。LCX方式は東北・上越新幹線の開業に合わせて実用化された。海外でも、無線ベースの閉そくシステムを導入する動きが活発になっている。海外では、通信プロトコルや安全性に関する国際的な規格を策定し、ベンダーは規格に準拠したシステムを提供する形が一般的である。米国や中国では、CBTC(Communication Based Train Control)と呼ばれる閉そくシステムの導入が進められている。CBTCは無線通信方式を規定していないが、2.4G帯の無線(IEEE802.11など)を利用したシステムが主流である。一方欧州圏ではETCS/ERTMSと呼ばれるシステムの導入が進められている。ETCS/ERTMSは、無線システムにGSM網をベースとしたGSM-R(GSM-Railway)を使用している。
【0005】
このように、閉そくシステムは無線通信システムをベースとしたものが主流となりつつあるが、閉そくシステムは列車の安全確保を目的とするものであり人命に関わるものであることから、誤り率が十分小さく高品質な無線通信が求められる。日本国内における150及び400Mhzの周波数帯は、列車無線のために法律によって割り当てられた専用の周波数帯域であり、他の無線システムからの干渉電波による妨害の影響がなく、高品質な無線通信を行うことができる。そのような列車無線システムとしては上記の特許文献1がある。同文献に開示されたシステム構成によれば、基地局に予め割り当てられた周波数チャネルを使用し、基地局と車両に搭載された無線機の間で通信を行う。一方で、近年主流となりつつあるCBTCシステムでは2.4G帯の電波を使用している。2.4G帯はISM(Industry Science Medical)帯とも呼ばれ、近年急速に普及が進んでいる近距離無線通信システム(IEEE802.11b/g,Bluetooth,Zigbeeなど)や電子レンジ、レーザーメスといった産業機器など、あらゆる分野の機器がこの周波数帯を利用している。また機器の利用エリアを規制していないため、機器同士の電波が干渉し無線通信システムの通信品質を劣化させる要因となっている。このためISM帯を利用する列車無線システムでは、高品質な無線通信を実現するために、他機器からの干渉電波の影響による通品品質の劣化を抑制するための技術が不可欠となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的なものの一例を示せば、以下の通りである。すなわち、本発明の無線アクセス制御方法は、所定の経路上を移動する複数の移動局と、前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局とを具備して成る無線通信システムにおける無線アクセス制御方法であって、前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信し、前記基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を前記管理局へ通知し、前記管理局は、前記測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、前記基地局へ前記周波数チャネルへの変更を通知し、1つの前記移動局に対して複数の前記基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、前記基地局と前記移動局とが送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の無線通信システムは、所定の経路上を移動する複数の移動局と、前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局とを具備して成る無線通信システムであって、前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信するアクセス制御方法を実行可能に構成され、前記基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を前記管理局へ通知し、前記管理局は、測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該チャネルへの変更を通知し、1つの前記移動局に対して前記複数の基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、前記基地局と前記移動局が送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば列車無線等のように基地局と移動局とが無線で通信を行うシステムにおいて、他のシステムからの干渉状況に応じた最適な周波数チャネルを選択することが可能となり、以って高品質の無線通信を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における実施例を、図を用いて説明する。図2は、無線通信システム全体のブロック構成図を示している。システムは管理局210と、基地局220、移動局230で構成され、管理局と基地局は通信ケーブル200で接続されている。管理局、基地局、移動局のそれぞれは、複数台が存在していても良い。管理局はプロセッサ211と、メモリ212と、メモリ上に格納されている管理局ソフトウェア213と、有線通信コントローラ214と、プロセッサ211とメモリ212と有線通信コントローラ214を接続するデータバス215で構成される。基地局はプロセッサ221と、メモリ222と、メモリ上に格納されている基地局ソフトウェア223と、有線通信コントローラ224と、無線通信装置226と、プロセッサ221とメモリ222と有線通信コントローラ224と無線通信装置226を接続するデータバス225で構成される。無線通信装置226には無線アンテナ227が接続されている。移動局はプロセッサ231と、メモリ232と、メモリ上に格納されている移動局ソフトウェア233と、状態監視装置234と、無線通信装置236と、プロセッサ231とメモリ232と有線通信コントローラ234と無線通信装置236を接続するデータバス235で構成される。無線通信装置236には無線アンテナ237が接続されている。状態監視装置234は、例えば移動局の位置情報や、移動速度情報など、移動局の現在状態を計測する装置を指す。
【0010】
図3は、図2で示したシステム構成において、管理局311と、軌道に沿って設置された複数の基地局321、322、323と、1台の移動局331が通信している状態を表している。移動局は上り線301と下り線302を、それぞれ逆方向に一方通行で移動する。管理局311は、移動局331に対して制御電文を一定周期で送信する。制御電文には、進入許可区間の情報および移動局を制御するための情報が含まれている。移動局は、制御電文を受信後、応答電文を管理局へ返信する。応答電文には、移動局の現在位置の情報および現在の状態を表す情報が含まれている。管理局は受信した応答電文の情報を元に、新たな制御電文を作成し、再び移動局へ送信する。このように制御/応答電文が往復する制御周期にもとづく通信により、移動局の制御を行う。
【0011】
図3で示した状態において、制御周期に基づき処理される通信フローを、図4を用いて具体的に説明する。縦軸は時間の経過を示しており、1回の制御周期をタイムスロットTS0からTS10まで時分割している。各タイムスロットには電文作成、有線通信、無線通信が管理局によって割り当てられる。横軸は、図3で示した管理局311、基地局321、322、323、移動局331を示している。また実線の矢印が通信ケーブル300上の通信を示し、点線の矢印が基地局と移動局間の無線通信を示している。基地局321には周波数チャネルF1、基地局322には周波数チャネルF2、基地局323には周波数チャネルF3、移動局331は基地局322の近辺に存在している間は周波数チャネルF2が設定されており、それぞれ設定された周波数チャネルを使用して無線通信を行う。
【0012】
次に、時系列に沿って処理フローを説明する。タイムスロットTS0で、管理局311は基地局321、322、323へ制御電文を送信する。制御電文を受信した基地局は、自分の無線セル内に移動局が存在しているかどうかの情報を持っており、その情報を元に受信した制御電文を移動局へ無線送信するか否かを判断する。図中では、基地局322が移動局有りと判断し、タイムスロットTS1の間に移動局331へ制御電文を無線送信する。移動局331は制御電文を受信後、応答電文を基地局322へ無線送信する。更に、無線通信の信頼性を上げるため、移動局331の進行方向に隣接する基地局323とも制御電文と応答電文の送受信を行う。そのために、移動局331はTS1で制御電文、応答電文を送受信した後、周波数チャネルを基地局323の周波数チャネルF3へと変更し、基地局323からの制御電文を待ち受ける。その後TS5において、基地局323は制御電文を周波数チャネルF3を使用して無線送信し、移動局331は周波数チャネルF3を使用して制御電文を受信し、応答電文を基地局323へ送信する。移動局は2回目の応答電文を送信後、周波数チャネルをF2へ再設定する。移動局は、2回受信した制御電文のうち、エラー検出などによって正しいと判断した制御電文を使用する。同様に、管理局は受信した2回の応答電文から正しいと判断とした応答電文を使用する。これにより、制御電文と応答電文の送受信を2回行い、正しいと判断された電文を使用することで、通信の信頼性を上げることができる。また基地局は、無線通信を割り当てられていないタイムスロットを使用して干渉波の電力を測定する。図中では、基地局321のTS1からTS8、基地局322のTS2からTS8、基地局323のTS6からTS8において、それぞれが設定可能な全周波数チャネルにおいて、干渉信号の電力を測定する。これらの測定結果はTS9において管理局へ報告される。また移動局と電文を送受した基地局322は、基地局322と移動局331で測定した制御/応答電文の受信電力値も報告する。管理局は、報告されたそれぞれの測定結果を元に、干渉波の電力が最も小さな周波数チャネルを決定する。TS10において、管理局はTS9で決定した周波数チャネルを処理結果として各基地局へ通知する。また基地局322は、移動局331へ次回の制御周期で使用する周波数チャネルを通知する。例えば、測定された電文の受信電力が閾値を超えて低かった場合は、その基地局から遠ざかっているものと判断し、進行方向に隣接する次の基地局の周波数を通知する。移動局331は通知された周波数チャネルへと変更し、次回からの新しい周波数チャネルを使用して電文の送受信を行う。これにより、移動局は通信すべき基地局を高速に切り替えながら通信を行うことができる。また全ての基地局は、干渉信号のスキャン結果にもとづき、最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択しているため、高品質な無線通信を行うことができる。以上に述べた通信フローによって、基地局と移動局は、ノイズの状況に即した最適な通信環境下で、次回周期の通信を実施可能となる。
【0013】
図5、6、7は、図2で示した構成図における、管理局、基地局、移動局ソフトウェアの処理内容をフローチャートで示している。図4で説明した通信フローを、管理局、基地局、移動局で分割し、それぞれの詳細な処理内容を説明するものである。以下にフローチャートの説明を行う。
【0014】
図5は、管理局の処理フローを示している。ステップ500から処理を開始し、以後電源がOFFとなるまで、ステップ501から514を繰り返すものである。ステップ501で、管理局は制御電文を作成し、基地局へ送信する。ステップ502で、管理局は応答電文が返信されるのを待つ。応答電文を受信したら、ステップ503で、受信した電文にエラーが含まれているかを検証する。検証後、ステップ504で、受信回数が2回以上であるかを判定し、そうでない場合は、ステップ505で受信回数のカウントを1回増やし、ステップ502へ戻る。受信回数が2回以上であるなら、ステップ506でエラーが無い応答電文を選択し、制御処理に使用する。次にステップ507で、管理局は基地局から干渉信号のスキャン結果が送信されてくるのを待つ。全ての基地局からスキャン結果を受信したら、ステップ508で、スキャン結果にもとづいて、各基地局の周波数チャネルを決定する。周波数チャネルは、干渉信号の電力値が最も小さく、かつ隣接する基地局と重ならないような周波数チャネル選択する。このように周波数チャネルを選択することで、全ての基地局及び移動局が、最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを使用して無線通信を行うことができ、通信品質を向上させることができる。次にステップ509で、干渉スキャン結果報告が、直前の制御周期において制御/応答電文の送受信を行った基地局からの報告であるか否かを判定する。制御/応答電文の送受信を行った基地局からの報告である場合は、ステップ510で、制御/応答電文の受信電力値が閾値以下であるかどうかを判定する。受信電力値が閾値以下である場合は、ステップ511で、移動局の周波数チャネルを、今回通信をした基地局の周波数チャネルから、移動局の進行方向に隣接する基地局の周波数チャネルへ変更する。この判定処理により、移動局は、高速に通信する基地局を切り替えることができる。ステップ512で、次回の制御周期で通信するスロットを指定する。ステップ513で、全基地局のスキャン結果報告を処理したかを判定し、未処理の報告がある場合はステップ508へ戻る。全基地局のスキャン結果報告を処理したら、その処理結果を全基地局へ送信する。図6で説明するが、基地局はこの処理結果をもとに次回周期で使用する周波数チャネルへ変更し、割り当てられたタイムスロットに通信を行う。これにより、干渉信号の状況に即した周波数チャネルを使用し、かつ移動局に対して複数回の通信を行うことができ、通信品質を向上させることができる。
【0015】
図6は、基地局の処理フローを示している。ステップ600から処理を開始し、以後電源がOFFとなるまで、ステップ601から612を繰り返すものである。基地局は電源投入後、ステップ601で、制御電文が送信されてくるのを待ち受ける。制御電文を受信したら、ステップ602で接続している移動局が存在しているかどうかを判定する。移動局が存在しておらず、通信を行わない場合は、ステップ607で、干渉信号の電力値を測定する。移動局が存在する場合、ステップ603で、管理局から指定されたタイムスロット時間に、制御電文を送信する。その後、ステップ604で、応答電文の受信待ちを行う。応答電文を受信したら、ステップ605で、その応答電文の受信電力値を測定する。次にステップ606で、受信した応答電文を管理局へ送信する。ステップ607で、通信を行わないタイムスロットがあれば、干渉信号のスキャンを行う。ステップ608で、測定した制御/応答電文の受信電力値、及びスキャン結果を、管理局へ報告する。ステップ609で、管理局の処理結果の受信待ちを行う。処理結果を受信したら、ステップ610で、処理結果に従って周波数チャネルを設定する。更にステップ611で移動局が接続している場合は、ステップ612で、移動局へ管理局の処理結果を送信する。以上に説明したとおり、基地局は制御周期ごとに干渉信号のスキャンを行い、管理局へ報告する。この報告結果を元に、管理局は最適な周波数チャネルの選択を行うことができる。また選択処理結果を元に、基地局は最適な周波数チャネルを設定することができる。また、移動局が接続されている場合は、制御/応答電文の送受信における受信電力値を測定することで、現在の通信状況を監視し、基地局を切り替える必要がある場合は、周波数チャネルの変更を移動局へ通知する。この処理により、移動局は最適な通信ができる基地局に高速に切り替えることができる。
【0016】
図7は、移動局の処理フローを示している。ステップ700から処理を開始し、以後電源がOFFとなるまで、ステップ701から709を繰り返すものである。移動局は電源投入後、ステップ701で制御電文を待ち受ける。制御電文を受信したら、ステップ702でその受信電力値を測定する。ステップ703で応答電文を作成し、基地局へ送信する。このとき、制御電文の受信電力値も合わせて送信する。ステップ704で2回以上制御電文を受信したかを判定し、2回以上受信していない場合は、ステップ705で受信回数のカウントを1増やし、その後ステップ706で、周波数チャネルを、直前に通信した基地局の進行方向に隣接する基地局が設定している周波数チャネルへと変更する。そして再度、制御電文を待ち受ける。この処理により、移動局は2回同じ制御電文を受信する機会を与えられる。この2つの制御電文のうち、エラーが無い電文を制御に使用することで、通信の信頼性を向上することができる。次にステップ708で管理局からの処理結果の受信待ちを行う。処理結果を受信したら、ステップ709で、処理結果に従い周波数チャネルを変更する。この処理により、干渉の影響が少ない周波数チャネルを使い、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0017】
図8は、これまでの通信処理フローの中でやりとりされるデータフレームを示している。フレーム800は、図4のTS9タイムスロット、図6のステップ608で示されている基地局から管理局へ送信されるスキャン報告結果を示している。制御/応答電文の受信電力値、干渉信号の電力値、基地局が現在設定されている周波数チャネルの情報を含む。フレーム801は、図4のTS10タイムスロット、図5のステップ514で示されている管理局から基地局へ送信される処理結果を示している。移動局のファーストチャネルとは、移動局が最も大きい受信電力値で通信できる基地局の周波数チャネルであり、移動局のセカンドチャネルとは、移動局についてファーストチャネルの基地局の進行方向に隣接する基地局の周波数チャネルのことを意味する。また、次回周期で使用する基地局チャネルを情報として含む。フレーム802は、図4のTS10タイムスロット、図6のステップ612で示されている基地局から移動局へ送信される処理結果を示している。フレーム802と同様の、移動局のファーストチャネル、セカンドチャネルの情報を含んでいる。
【0018】
次に図9、10を用いて、基地局1台辺りの移動局の通信台数が8台になったときの処理フローを説明する。図9では、基地局921に対して移動局931、932、937、936が接続し、基地局922に対して933、934、939、940が接続し、基地局923に対して移動局935、936、941、942が接続し、各基地局に最大4台の移動局が接続している。図10に通信フローを示す。移動局933と934は、それぞれ基地局922と923へ2回電文の送受信を行う。また移動局939と940は、それぞれ基地局922と921へ2回電文の送受信を行う。同様に他の基地局も、最寄の基地局と、進行方向の次の基地局とで2回の電文の送受信を行う。2つの電文の中から正しく送受信が行われたと判断されたほうの電文を使用することで、通信の信頼性を向上させることができる。この状況では通信を行わないタイムスロットがないため、干渉信号のスキャンは行わない。
【0019】
ここまでは、基地局1台辺りの移動局の最大接続数が4台、タイムスロット数が8台の実施例を用いて説明した。しかし、本発明における制御方式は、移動局の接続台数やタイムスロット数を制限するものではなく、何台、何スロットでも実現可能である。また、制御周期の中で毎回スキャンを行い、周波数チャネルの再割り当てを実施しているが、必ずしも毎回実施する必要はない。図11に、複数回の制御周期を実施後、スキャンと再割り当てを行う場合の通信フローを示している。図中では、n回の制御周期を実施後、干渉信号のスキャンと周波数チャネルの再割り当てを行っている。干渉信号が少ない地域などにおいては、このような方法をとることで、システムの処理負荷を軽減させることができる。このように、スキャンと再割り当ての頻度を地域に応じて調整することで、状況に応じた最適なシステムを構築することができる。
【0020】
また、ここまでは図2に示すシステム構成の元で説明を行ったが、例えば図12に示すように、管理局と基地局の間に中継局が接続されているような構成でも良い。図12は、中継局1240が管理局1210と基地局1220の間に接続されている。中継局1240はプロセッサ1241と、メモリ1242と、メモリ上に格納されている中継局ソフトウェア1243と、有線通信コントローラ1244と、プロセッサ1241とメモリ1242と有線通信コントローラ1244を接続するデータバス1245で構成されている。図6で説明した基地局の処理フローを、中継局ソフトウェア1243で実施し、管理局1210は制御アプリケーションの処理のみを行う構成をとることも可能である。また、図2の通信ケーブル200を無線通信に置き換えたのが図13に示す構成図である。管理局1310、基地局1320がお互いに通信するための無線通信装置を持ち、管理局と基地局間の通信を無線で実施する構成をとることも可能である。また、図2、12、13で示した構成の中で、管理局、基地局、移動局の処理フローを実施しているのはプロセッサ、メモリとメモリに格納されているソフトウェアであるが、この処理フローを、プログラマブルロジックや専用ICを用いて実施しても良い。また干渉信号の測定及び周波数変更を、移動局側で行っても良い。
【0021】
また、図5のステップ510において、制御/応答電文の受信電力値が閾値以下の場合、移動局の周波数チャネルを切り替える処理を実施している。この判定処理は、例えば電文のS/N比を測定しておき、S/N比が悪化した場合、移動局の周波数チャネルを切り替える方法でも良い。もしくは、電文のBER(Bit Error Rate)値を測定しておき、BER値が悪化した場合、移動局の周波数チャネルを切り替える方法など、通信品質の指標にもとづいた判定を行う方法でも良い。
【0022】
また図3では、移動局が移動する媒体として列車の軌道を用いた説明をしている。しかし、移動局が移動する媒体としては、軌道の他に、例えば工場内の生産ラインや、航空機の経路など所定の経路上を移動するシステムにおいても、本発明を適用できる。図14は、工場内の生産ラインに本発明を適用した場合の構成図を示している。システムは管理局1411、基地局1421、1422、1423、移動局1431と、それらを接続する通信ケーブル1400で構成されている。移動局1431は、生産ライン1402上を移動する生産物1401に取り付けられている。基地局1421は周波数チャネルF1、基地局1422は周波数チャネルF2、基地局1423は周波数チャネルF3が設定されており、移動局1431は最も強い受信電力値で通信できる基地局1422の周波数チャネルF2を用いて通信する。作業員1403が通信機1404を用いている場合、通信機1404の周波数チャネルF4が本発明におけるシステムの干渉信号源となるが、前述した処理フローによりF4とは異なる周波数チャネルを選択し、干渉の影響を抑制して高品質な通信を実施できる。
【0023】
以上、本発明の各実施例によれば、列車無線において高品質な無線通信を行うことができる。干渉波の電力を測定し、影響の少ない周波数チャネルを選択して使用することで、干渉の影響を低減し、通信の信頼性を向上させることができる。次回の通信を、干渉信号の状態に即した最適な状態で実施することが可能となる。また1つの移動局が複数の基地局と同一の電文を送受信し、正しく送受信された電文を使用することで、より通信の信頼性を向上させることができる。また電文の受信電力値に応じて移動局の周波数チャネルを変更することで、常に最適な基地局を選択し、高速な基地局切替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の基本処理フローを示す図である。
【図2】本発明のシステム構成ブロック図の一例を示す図である。
【図3】移動局の接続台数が1台の場合の本発明の構成の一例を示す図である。
【図4】移動局の接続台数が1台の場合の本発明の通信フローの一例を示す図である。
【図5】本発明の処理フロー(管理局)の一例を示す図である。
【図6】本発明の処理フロー(基地局)の一例を示す図である。
【図7】本発明の処理フロー(移動局)の一例を示す図である。
【図8】本発明のデータフレームの一例を示す図である。
【図9】移動局の接続台数8台の場合の本発明の構成の一例を示す図である。
【図10】移動局の接続台数が8台の場合の本発明の通信フローの一例を示す図である。
【図11】複数制御周期後に干渉信号スキャンを行う本発明の一実施例の通信フローを示す図である。
【図12】中継局を含めた本発明の構成の一例を示す図である。
【図13】通信ケーブルを無線化した本発明の一実施例の構成図である。
【図14】本発明を生産ラインに適用した場合のシステム構成図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
200:ケーブル
210:管理局、211:プロセッサ、212:メモリ、213:管理局ソフトウェア、214:有線通信コントローラ、215:バス
220:基地局、221:プロセッサ、222:メモリ、223:基地局ソフトウェア、224:有線通信コントローラ、225:バス、226:無線通信装置、227:アンテナ
230:移動局、231:プロセッサ、232:メモリ、233:移動局ソフトウェア、234:状態監視装置、235:バス、226:無線通信装置、227:アンテナ
300:ケーブル、301:上り線、302:下り線
311:管理局、321:322:323:基地局、331:移動局
F1:F2:F2:周波数チャネル
SCAN:干渉信号の電力測定
800:801:802:データフレーム
900:ケーブル、901:上り線、902:下り線
911:管理局、921:322:323:基地局、931: 932: 933: 934: 935: 936: 937: 938: 939: 940: 941: 942:移動局
1200:ケーブル
1210:管理局、1211:プロセッサ、1212:メモリ、1213:管理局ソフトウェア、1214:有線通信コントローラ、1215:バス
1220:基地局、1221:プロセッサ、1222:メモリ、1223:基地局ソフトウェア、1224:有線通信コントローラ、1225:バス、1226:無線通信装置、1227:アンテナ
1230:移動局、1231:プロセッサ、1232:メモリ、1233:移動局ソフトウェア、1234:状態監視装置、1235:バス、1226:無線通信装置、1227:アンテナ
1240:中継局、1241:プロセッサ、1242:メモリ、1243:中継局ソフトウェア、1244:有線通信コントローラ、1245:バス
1310:管理局、1311:プロセッサ、1312:メモリ、1313:管理局ソフトウェア、1315:バス、1316:管理局-基地局間無線通信装置、1317:アンテナ
1320:基地局、1321:プロセッサ、1322:メモリ、1323:基地局ソフトウェア、1325:バス、1326:管理局-基地局間無線通信装置、1327:アンテナ、1328:基地局-移動局間無線通信装置、1329:アンテナ
1330:移動局、1331:プロセッサ、1332:メモリ、1333:移動局ソフトウェア、1334:状態監視装置、1335:バス、1338:基地局-移動局間無線通信装置、1339:アンテナ
1400: ケーブル、1401:生産物、1402:生産ライン、1403:作業員、1404:通信機
1411:管理局、1421:1422:1423:基地局、1431:移動局。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線システムにおいて移動局と基地局が高品質な無線通信を行うためのアクセス制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の列車(移動局)から基地局への各バースト波が重なることなく短時間に多数の列車と通信できる列車無線通信システムとして、無線局をノードとする同期した時分割多重ネットワークを形成し、軌道沿いに配置されるそれぞれの無線基地局に対し、軌道に沿った一方向へ中継するための送信用タイムスロットと、その反対方向へ中継するための送信用タイムスロットとを割り当てる毎に、移動局送信用のタイムスロットを高々1つ割り当てるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特再WO98/51110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道通信は輸送業務を支える情報伝達の手段として発展を続けており、列車の運行管理を行うために、1区域に1個列車のみの運転を許可する「閉そく方式」を施行する通信システムが利用されている。現行の閉そくシステムは、軌道装置、信号機、これらを接続する通信線などの各種地上装置で構成されている。より高密度で高速な運行管理への要求は、地上設備の増加で対応されてきたが、保守作業も増加するためコストが増大するという問題があった。この問題に対し、無線通信システムを導入することでコスト低減を図ろうという動きがある。列車無線方式は、空間波方式とLCX(Leakage Coaxial Cable)方式の2つに大別される。空間波方式は車上の移動局と地上の基地局間で無線通信を行うもので、一般の無線と同じものである。LCX方式は、一定間隔でスリットが入った同軸ケーブル(漏えい同軸ケーブル)を線路沿線に張り、このケーブルと列車との間で無線通信を行うものである。空間波方式に比べ、長いトンネル内などの電波が届きにくい環境でも安定して通信できる利点がある。日本国内では、150及び400MHz帯を使用した空間波方式の無線システムがJRなどで使用されている。LCX方式は東北・上越新幹線の開業に合わせて実用化された。海外でも、無線ベースの閉そくシステムを導入する動きが活発になっている。海外では、通信プロトコルや安全性に関する国際的な規格を策定し、ベンダーは規格に準拠したシステムを提供する形が一般的である。米国や中国では、CBTC(Communication Based Train Control)と呼ばれる閉そくシステムの導入が進められている。CBTCは無線通信方式を規定していないが、2.4G帯の無線(IEEE802.11など)を利用したシステムが主流である。一方欧州圏ではETCS/ERTMSと呼ばれるシステムの導入が進められている。ETCS/ERTMSは、無線システムにGSM網をベースとしたGSM-R(GSM-Railway)を使用している。
【0005】
このように、閉そくシステムは無線通信システムをベースとしたものが主流となりつつあるが、閉そくシステムは列車の安全確保を目的とするものであり人命に関わるものであることから、誤り率が十分小さく高品質な無線通信が求められる。日本国内における150及び400Mhzの周波数帯は、列車無線のために法律によって割り当てられた専用の周波数帯域であり、他の無線システムからの干渉電波による妨害の影響がなく、高品質な無線通信を行うことができる。そのような列車無線システムとしては上記の特許文献1がある。同文献に開示されたシステム構成によれば、基地局に予め割り当てられた周波数チャネルを使用し、基地局と車両に搭載された無線機の間で通信を行う。一方で、近年主流となりつつあるCBTCシステムでは2.4G帯の電波を使用している。2.4G帯はISM(Industry Science Medical)帯とも呼ばれ、近年急速に普及が進んでいる近距離無線通信システム(IEEE802.11b/g,Bluetooth,Zigbeeなど)や電子レンジ、レーザーメスといった産業機器など、あらゆる分野の機器がこの周波数帯を利用している。また機器の利用エリアを規制していないため、機器同士の電波が干渉し無線通信システムの通信品質を劣化させる要因となっている。このためISM帯を利用する列車無線システムでは、高品質な無線通信を実現するために、他機器からの干渉電波の影響による通品品質の劣化を抑制するための技術が不可欠となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的なものの一例を示せば、以下の通りである。すなわち、本発明の無線アクセス制御方法は、所定の経路上を移動する複数の移動局と、前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局とを具備して成る無線通信システムにおける無線アクセス制御方法であって、前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信し、前記基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を前記管理局へ通知し、前記管理局は、前記測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、前記基地局へ前記周波数チャネルへの変更を通知し、1つの前記移動局に対して複数の前記基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、前記基地局と前記移動局とが送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の無線通信システムは、所定の経路上を移動する複数の移動局と、前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局とを具備して成る無線通信システムであって、前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信するアクセス制御方法を実行可能に構成され、前記基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を前記管理局へ通知し、前記管理局は、測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該チャネルへの変更を通知し、1つの前記移動局に対して前記複数の基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、前記基地局と前記移動局が送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば列車無線等のように基地局と移動局とが無線で通信を行うシステムにおいて、他のシステムからの干渉状況に応じた最適な周波数チャネルを選択することが可能となり、以って高品質の無線通信を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における実施例を、図を用いて説明する。図2は、無線通信システム全体のブロック構成図を示している。システムは管理局210と、基地局220、移動局230で構成され、管理局と基地局は通信ケーブル200で接続されている。管理局、基地局、移動局のそれぞれは、複数台が存在していても良い。管理局はプロセッサ211と、メモリ212と、メモリ上に格納されている管理局ソフトウェア213と、有線通信コントローラ214と、プロセッサ211とメモリ212と有線通信コントローラ214を接続するデータバス215で構成される。基地局はプロセッサ221と、メモリ222と、メモリ上に格納されている基地局ソフトウェア223と、有線通信コントローラ224と、無線通信装置226と、プロセッサ221とメモリ222と有線通信コントローラ224と無線通信装置226を接続するデータバス225で構成される。無線通信装置226には無線アンテナ227が接続されている。移動局はプロセッサ231と、メモリ232と、メモリ上に格納されている移動局ソフトウェア233と、状態監視装置234と、無線通信装置236と、プロセッサ231とメモリ232と有線通信コントローラ234と無線通信装置236を接続するデータバス235で構成される。無線通信装置236には無線アンテナ237が接続されている。状態監視装置234は、例えば移動局の位置情報や、移動速度情報など、移動局の現在状態を計測する装置を指す。
【0010】
図3は、図2で示したシステム構成において、管理局311と、軌道に沿って設置された複数の基地局321、322、323と、1台の移動局331が通信している状態を表している。移動局は上り線301と下り線302を、それぞれ逆方向に一方通行で移動する。管理局311は、移動局331に対して制御電文を一定周期で送信する。制御電文には、進入許可区間の情報および移動局を制御するための情報が含まれている。移動局は、制御電文を受信後、応答電文を管理局へ返信する。応答電文には、移動局の現在位置の情報および現在の状態を表す情報が含まれている。管理局は受信した応答電文の情報を元に、新たな制御電文を作成し、再び移動局へ送信する。このように制御/応答電文が往復する制御周期にもとづく通信により、移動局の制御を行う。
【0011】
図3で示した状態において、制御周期に基づき処理される通信フローを、図4を用いて具体的に説明する。縦軸は時間の経過を示しており、1回の制御周期をタイムスロットTS0からTS10まで時分割している。各タイムスロットには電文作成、有線通信、無線通信が管理局によって割り当てられる。横軸は、図3で示した管理局311、基地局321、322、323、移動局331を示している。また実線の矢印が通信ケーブル300上の通信を示し、点線の矢印が基地局と移動局間の無線通信を示している。基地局321には周波数チャネルF1、基地局322には周波数チャネルF2、基地局323には周波数チャネルF3、移動局331は基地局322の近辺に存在している間は周波数チャネルF2が設定されており、それぞれ設定された周波数チャネルを使用して無線通信を行う。
【0012】
次に、時系列に沿って処理フローを説明する。タイムスロットTS0で、管理局311は基地局321、322、323へ制御電文を送信する。制御電文を受信した基地局は、自分の無線セル内に移動局が存在しているかどうかの情報を持っており、その情報を元に受信した制御電文を移動局へ無線送信するか否かを判断する。図中では、基地局322が移動局有りと判断し、タイムスロットTS1の間に移動局331へ制御電文を無線送信する。移動局331は制御電文を受信後、応答電文を基地局322へ無線送信する。更に、無線通信の信頼性を上げるため、移動局331の進行方向に隣接する基地局323とも制御電文と応答電文の送受信を行う。そのために、移動局331はTS1で制御電文、応答電文を送受信した後、周波数チャネルを基地局323の周波数チャネルF3へと変更し、基地局323からの制御電文を待ち受ける。その後TS5において、基地局323は制御電文を周波数チャネルF3を使用して無線送信し、移動局331は周波数チャネルF3を使用して制御電文を受信し、応答電文を基地局323へ送信する。移動局は2回目の応答電文を送信後、周波数チャネルをF2へ再設定する。移動局は、2回受信した制御電文のうち、エラー検出などによって正しいと判断した制御電文を使用する。同様に、管理局は受信した2回の応答電文から正しいと判断とした応答電文を使用する。これにより、制御電文と応答電文の送受信を2回行い、正しいと判断された電文を使用することで、通信の信頼性を上げることができる。また基地局は、無線通信を割り当てられていないタイムスロットを使用して干渉波の電力を測定する。図中では、基地局321のTS1からTS8、基地局322のTS2からTS8、基地局323のTS6からTS8において、それぞれが設定可能な全周波数チャネルにおいて、干渉信号の電力を測定する。これらの測定結果はTS9において管理局へ報告される。また移動局と電文を送受した基地局322は、基地局322と移動局331で測定した制御/応答電文の受信電力値も報告する。管理局は、報告されたそれぞれの測定結果を元に、干渉波の電力が最も小さな周波数チャネルを決定する。TS10において、管理局はTS9で決定した周波数チャネルを処理結果として各基地局へ通知する。また基地局322は、移動局331へ次回の制御周期で使用する周波数チャネルを通知する。例えば、測定された電文の受信電力が閾値を超えて低かった場合は、その基地局から遠ざかっているものと判断し、進行方向に隣接する次の基地局の周波数を通知する。移動局331は通知された周波数チャネルへと変更し、次回からの新しい周波数チャネルを使用して電文の送受信を行う。これにより、移動局は通信すべき基地局を高速に切り替えながら通信を行うことができる。また全ての基地局は、干渉信号のスキャン結果にもとづき、最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択しているため、高品質な無線通信を行うことができる。以上に述べた通信フローによって、基地局と移動局は、ノイズの状況に即した最適な通信環境下で、次回周期の通信を実施可能となる。
【0013】
図5、6、7は、図2で示した構成図における、管理局、基地局、移動局ソフトウェアの処理内容をフローチャートで示している。図4で説明した通信フローを、管理局、基地局、移動局で分割し、それぞれの詳細な処理内容を説明するものである。以下にフローチャートの説明を行う。
【0014】
図5は、管理局の処理フローを示している。ステップ500から処理を開始し、以後電源がOFFとなるまで、ステップ501から514を繰り返すものである。ステップ501で、管理局は制御電文を作成し、基地局へ送信する。ステップ502で、管理局は応答電文が返信されるのを待つ。応答電文を受信したら、ステップ503で、受信した電文にエラーが含まれているかを検証する。検証後、ステップ504で、受信回数が2回以上であるかを判定し、そうでない場合は、ステップ505で受信回数のカウントを1回増やし、ステップ502へ戻る。受信回数が2回以上であるなら、ステップ506でエラーが無い応答電文を選択し、制御処理に使用する。次にステップ507で、管理局は基地局から干渉信号のスキャン結果が送信されてくるのを待つ。全ての基地局からスキャン結果を受信したら、ステップ508で、スキャン結果にもとづいて、各基地局の周波数チャネルを決定する。周波数チャネルは、干渉信号の電力値が最も小さく、かつ隣接する基地局と重ならないような周波数チャネル選択する。このように周波数チャネルを選択することで、全ての基地局及び移動局が、最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを使用して無線通信を行うことができ、通信品質を向上させることができる。次にステップ509で、干渉スキャン結果報告が、直前の制御周期において制御/応答電文の送受信を行った基地局からの報告であるか否かを判定する。制御/応答電文の送受信を行った基地局からの報告である場合は、ステップ510で、制御/応答電文の受信電力値が閾値以下であるかどうかを判定する。受信電力値が閾値以下である場合は、ステップ511で、移動局の周波数チャネルを、今回通信をした基地局の周波数チャネルから、移動局の進行方向に隣接する基地局の周波数チャネルへ変更する。この判定処理により、移動局は、高速に通信する基地局を切り替えることができる。ステップ512で、次回の制御周期で通信するスロットを指定する。ステップ513で、全基地局のスキャン結果報告を処理したかを判定し、未処理の報告がある場合はステップ508へ戻る。全基地局のスキャン結果報告を処理したら、その処理結果を全基地局へ送信する。図6で説明するが、基地局はこの処理結果をもとに次回周期で使用する周波数チャネルへ変更し、割り当てられたタイムスロットに通信を行う。これにより、干渉信号の状況に即した周波数チャネルを使用し、かつ移動局に対して複数回の通信を行うことができ、通信品質を向上させることができる。
【0015】
図6は、基地局の処理フローを示している。ステップ600から処理を開始し、以後電源がOFFとなるまで、ステップ601から612を繰り返すものである。基地局は電源投入後、ステップ601で、制御電文が送信されてくるのを待ち受ける。制御電文を受信したら、ステップ602で接続している移動局が存在しているかどうかを判定する。移動局が存在しておらず、通信を行わない場合は、ステップ607で、干渉信号の電力値を測定する。移動局が存在する場合、ステップ603で、管理局から指定されたタイムスロット時間に、制御電文を送信する。その後、ステップ604で、応答電文の受信待ちを行う。応答電文を受信したら、ステップ605で、その応答電文の受信電力値を測定する。次にステップ606で、受信した応答電文を管理局へ送信する。ステップ607で、通信を行わないタイムスロットがあれば、干渉信号のスキャンを行う。ステップ608で、測定した制御/応答電文の受信電力値、及びスキャン結果を、管理局へ報告する。ステップ609で、管理局の処理結果の受信待ちを行う。処理結果を受信したら、ステップ610で、処理結果に従って周波数チャネルを設定する。更にステップ611で移動局が接続している場合は、ステップ612で、移動局へ管理局の処理結果を送信する。以上に説明したとおり、基地局は制御周期ごとに干渉信号のスキャンを行い、管理局へ報告する。この報告結果を元に、管理局は最適な周波数チャネルの選択を行うことができる。また選択処理結果を元に、基地局は最適な周波数チャネルを設定することができる。また、移動局が接続されている場合は、制御/応答電文の送受信における受信電力値を測定することで、現在の通信状況を監視し、基地局を切り替える必要がある場合は、周波数チャネルの変更を移動局へ通知する。この処理により、移動局は最適な通信ができる基地局に高速に切り替えることができる。
【0016】
図7は、移動局の処理フローを示している。ステップ700から処理を開始し、以後電源がOFFとなるまで、ステップ701から709を繰り返すものである。移動局は電源投入後、ステップ701で制御電文を待ち受ける。制御電文を受信したら、ステップ702でその受信電力値を測定する。ステップ703で応答電文を作成し、基地局へ送信する。このとき、制御電文の受信電力値も合わせて送信する。ステップ704で2回以上制御電文を受信したかを判定し、2回以上受信していない場合は、ステップ705で受信回数のカウントを1増やし、その後ステップ706で、周波数チャネルを、直前に通信した基地局の進行方向に隣接する基地局が設定している周波数チャネルへと変更する。そして再度、制御電文を待ち受ける。この処理により、移動局は2回同じ制御電文を受信する機会を与えられる。この2つの制御電文のうち、エラーが無い電文を制御に使用することで、通信の信頼性を向上することができる。次にステップ708で管理局からの処理結果の受信待ちを行う。処理結果を受信したら、ステップ709で、処理結果に従い周波数チャネルを変更する。この処理により、干渉の影響が少ない周波数チャネルを使い、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0017】
図8は、これまでの通信処理フローの中でやりとりされるデータフレームを示している。フレーム800は、図4のTS9タイムスロット、図6のステップ608で示されている基地局から管理局へ送信されるスキャン報告結果を示している。制御/応答電文の受信電力値、干渉信号の電力値、基地局が現在設定されている周波数チャネルの情報を含む。フレーム801は、図4のTS10タイムスロット、図5のステップ514で示されている管理局から基地局へ送信される処理結果を示している。移動局のファーストチャネルとは、移動局が最も大きい受信電力値で通信できる基地局の周波数チャネルであり、移動局のセカンドチャネルとは、移動局についてファーストチャネルの基地局の進行方向に隣接する基地局の周波数チャネルのことを意味する。また、次回周期で使用する基地局チャネルを情報として含む。フレーム802は、図4のTS10タイムスロット、図6のステップ612で示されている基地局から移動局へ送信される処理結果を示している。フレーム802と同様の、移動局のファーストチャネル、セカンドチャネルの情報を含んでいる。
【0018】
次に図9、10を用いて、基地局1台辺りの移動局の通信台数が8台になったときの処理フローを説明する。図9では、基地局921に対して移動局931、932、937、936が接続し、基地局922に対して933、934、939、940が接続し、基地局923に対して移動局935、936、941、942が接続し、各基地局に最大4台の移動局が接続している。図10に通信フローを示す。移動局933と934は、それぞれ基地局922と923へ2回電文の送受信を行う。また移動局939と940は、それぞれ基地局922と921へ2回電文の送受信を行う。同様に他の基地局も、最寄の基地局と、進行方向の次の基地局とで2回の電文の送受信を行う。2つの電文の中から正しく送受信が行われたと判断されたほうの電文を使用することで、通信の信頼性を向上させることができる。この状況では通信を行わないタイムスロットがないため、干渉信号のスキャンは行わない。
【0019】
ここまでは、基地局1台辺りの移動局の最大接続数が4台、タイムスロット数が8台の実施例を用いて説明した。しかし、本発明における制御方式は、移動局の接続台数やタイムスロット数を制限するものではなく、何台、何スロットでも実現可能である。また、制御周期の中で毎回スキャンを行い、周波数チャネルの再割り当てを実施しているが、必ずしも毎回実施する必要はない。図11に、複数回の制御周期を実施後、スキャンと再割り当てを行う場合の通信フローを示している。図中では、n回の制御周期を実施後、干渉信号のスキャンと周波数チャネルの再割り当てを行っている。干渉信号が少ない地域などにおいては、このような方法をとることで、システムの処理負荷を軽減させることができる。このように、スキャンと再割り当ての頻度を地域に応じて調整することで、状況に応じた最適なシステムを構築することができる。
【0020】
また、ここまでは図2に示すシステム構成の元で説明を行ったが、例えば図12に示すように、管理局と基地局の間に中継局が接続されているような構成でも良い。図12は、中継局1240が管理局1210と基地局1220の間に接続されている。中継局1240はプロセッサ1241と、メモリ1242と、メモリ上に格納されている中継局ソフトウェア1243と、有線通信コントローラ1244と、プロセッサ1241とメモリ1242と有線通信コントローラ1244を接続するデータバス1245で構成されている。図6で説明した基地局の処理フローを、中継局ソフトウェア1243で実施し、管理局1210は制御アプリケーションの処理のみを行う構成をとることも可能である。また、図2の通信ケーブル200を無線通信に置き換えたのが図13に示す構成図である。管理局1310、基地局1320がお互いに通信するための無線通信装置を持ち、管理局と基地局間の通信を無線で実施する構成をとることも可能である。また、図2、12、13で示した構成の中で、管理局、基地局、移動局の処理フローを実施しているのはプロセッサ、メモリとメモリに格納されているソフトウェアであるが、この処理フローを、プログラマブルロジックや専用ICを用いて実施しても良い。また干渉信号の測定及び周波数変更を、移動局側で行っても良い。
【0021】
また、図5のステップ510において、制御/応答電文の受信電力値が閾値以下の場合、移動局の周波数チャネルを切り替える処理を実施している。この判定処理は、例えば電文のS/N比を測定しておき、S/N比が悪化した場合、移動局の周波数チャネルを切り替える方法でも良い。もしくは、電文のBER(Bit Error Rate)値を測定しておき、BER値が悪化した場合、移動局の周波数チャネルを切り替える方法など、通信品質の指標にもとづいた判定を行う方法でも良い。
【0022】
また図3では、移動局が移動する媒体として列車の軌道を用いた説明をしている。しかし、移動局が移動する媒体としては、軌道の他に、例えば工場内の生産ラインや、航空機の経路など所定の経路上を移動するシステムにおいても、本発明を適用できる。図14は、工場内の生産ラインに本発明を適用した場合の構成図を示している。システムは管理局1411、基地局1421、1422、1423、移動局1431と、それらを接続する通信ケーブル1400で構成されている。移動局1431は、生産ライン1402上を移動する生産物1401に取り付けられている。基地局1421は周波数チャネルF1、基地局1422は周波数チャネルF2、基地局1423は周波数チャネルF3が設定されており、移動局1431は最も強い受信電力値で通信できる基地局1422の周波数チャネルF2を用いて通信する。作業員1403が通信機1404を用いている場合、通信機1404の周波数チャネルF4が本発明におけるシステムの干渉信号源となるが、前述した処理フローによりF4とは異なる周波数チャネルを選択し、干渉の影響を抑制して高品質な通信を実施できる。
【0023】
以上、本発明の各実施例によれば、列車無線において高品質な無線通信を行うことができる。干渉波の電力を測定し、影響の少ない周波数チャネルを選択して使用することで、干渉の影響を低減し、通信の信頼性を向上させることができる。次回の通信を、干渉信号の状態に即した最適な状態で実施することが可能となる。また1つの移動局が複数の基地局と同一の電文を送受信し、正しく送受信された電文を使用することで、より通信の信頼性を向上させることができる。また電文の受信電力値に応じて移動局の周波数チャネルを変更することで、常に最適な基地局を選択し、高速な基地局切替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の基本処理フローを示す図である。
【図2】本発明のシステム構成ブロック図の一例を示す図である。
【図3】移動局の接続台数が1台の場合の本発明の構成の一例を示す図である。
【図4】移動局の接続台数が1台の場合の本発明の通信フローの一例を示す図である。
【図5】本発明の処理フロー(管理局)の一例を示す図である。
【図6】本発明の処理フロー(基地局)の一例を示す図である。
【図7】本発明の処理フロー(移動局)の一例を示す図である。
【図8】本発明のデータフレームの一例を示す図である。
【図9】移動局の接続台数8台の場合の本発明の構成の一例を示す図である。
【図10】移動局の接続台数が8台の場合の本発明の通信フローの一例を示す図である。
【図11】複数制御周期後に干渉信号スキャンを行う本発明の一実施例の通信フローを示す図である。
【図12】中継局を含めた本発明の構成の一例を示す図である。
【図13】通信ケーブルを無線化した本発明の一実施例の構成図である。
【図14】本発明を生産ラインに適用した場合のシステム構成図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
200:ケーブル
210:管理局、211:プロセッサ、212:メモリ、213:管理局ソフトウェア、214:有線通信コントローラ、215:バス
220:基地局、221:プロセッサ、222:メモリ、223:基地局ソフトウェア、224:有線通信コントローラ、225:バス、226:無線通信装置、227:アンテナ
230:移動局、231:プロセッサ、232:メモリ、233:移動局ソフトウェア、234:状態監視装置、235:バス、226:無線通信装置、227:アンテナ
300:ケーブル、301:上り線、302:下り線
311:管理局、321:322:323:基地局、331:移動局
F1:F2:F2:周波数チャネル
SCAN:干渉信号の電力測定
800:801:802:データフレーム
900:ケーブル、901:上り線、902:下り線
911:管理局、921:322:323:基地局、931: 932: 933: 934: 935: 936: 937: 938: 939: 940: 941: 942:移動局
1200:ケーブル
1210:管理局、1211:プロセッサ、1212:メモリ、1213:管理局ソフトウェア、1214:有線通信コントローラ、1215:バス
1220:基地局、1221:プロセッサ、1222:メモリ、1223:基地局ソフトウェア、1224:有線通信コントローラ、1225:バス、1226:無線通信装置、1227:アンテナ
1230:移動局、1231:プロセッサ、1232:メモリ、1233:移動局ソフトウェア、1234:状態監視装置、1235:バス、1226:無線通信装置、1227:アンテナ
1240:中継局、1241:プロセッサ、1242:メモリ、1243:中継局ソフトウェア、1244:有線通信コントローラ、1245:バス
1310:管理局、1311:プロセッサ、1312:メモリ、1313:管理局ソフトウェア、1315:バス、1316:管理局-基地局間無線通信装置、1317:アンテナ
1320:基地局、1321:プロセッサ、1322:メモリ、1323:基地局ソフトウェア、1325:バス、1326:管理局-基地局間無線通信装置、1327:アンテナ、1328:基地局-移動局間無線通信装置、1329:アンテナ
1330:移動局、1331:プロセッサ、1332:メモリ、1333:移動局ソフトウェア、1334:状態監視装置、1335:バス、1338:基地局-移動局間無線通信装置、1339:アンテナ
1400: ケーブル、1401:生産物、1402:生産ライン、1403:作業員、1404:通信機
1411:管理局、1421:1422:1423:基地局、1431:移動局。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の経路上を移動する複数の移動局と、
前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、
前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局と
を具備して成る無線通信システムにおける無線アクセス制御方法であって、
前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信し、
前記基地局は、
通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、
測定結果を前記管理局へ通知し、
前記管理局は、
前記測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、
前記基地局へ前記周波数チャネルへの変更を通知し、
1つの前記移動局に対して複数の前記基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、
前記基地局と前記移動局とが送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更する
ことを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、通信が割り当てられていないタイムスロットを使用して、前記基地局が設定可能な全ての周波数帯域における干渉信号の電力を測定し、電力値および自局が現在使用している周波数チャネルを前記管理局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記管理局が前記基地局より通知された干渉信号の電力値および前記複数の基地局がそれぞれ使用している周波数チャネルを元に、干渉信号の電力値が最も小さく、かつ隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルから最も離れた周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該周波数チャネルを通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記移動局と無線通信した前記基地局はその受信電力値を測定し、該受信電力値を前記管理局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からの受信電力値が閾値以下であるかどうかを判定し、閾値以下である場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記管理局は1つの前記移動局に対して前記複数の基地局と通信するように、タイムスロットに複数回の通信時間を重ならないように割り当てることを特徴とする無線アクセス制御方法
【請求項7】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのS/N比が劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項8】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのビットエラーレートが劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項9】
所定の経路上を移動する複数の移動局と、
前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、
前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局と
を具備して成る無線通信システムであって、
前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信するアクセス制御方法を実行可能に構成され、
前記基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を前記管理局へ通知し、
前記管理局は、測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該チャネルへの変更を通知し、1つの前記移動局に対して前記複数の基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、前記基地局と前記移動局が送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、通信が割り当てられていないタイムスロットを使用して、前記基地局が設定可能な全ての周波数帯域における干渉信号の電力を測定し、電力値および自局が現在使用している周波数チャネルを前記管理局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記管理局が前記基地局より通知された干渉信号の電力値および前記複数の基地局がそれぞれ使用している周波数チャネルを元に、干渉信号の電力値が最も小さく、かつ隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルから最も離れた周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該周波数チャネルを通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記移動局と無線通信した前記基地局はその受信電力値を測定し、該受信電力値を前記管理局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項13】
請求項12において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からの受信電力値が閾値以下であるかどうかを判定し、閾値以下である場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項14】
請求項9において、
管理局は1つの前記移動局に対して前記複数の基地局と通信するように、タイムスロットに複数回の通信時間を重ならないように割り当てることを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのS/N比が劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項16】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのビットエラーレートが劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
所定の経路上を移動する複数の移動局と、
前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、
前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局と
を具備して成る無線通信システムにおける無線アクセス制御方法であって、
前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信し、
前記基地局は、
通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、
測定結果を前記管理局へ通知し、
前記管理局は、
前記測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、
前記基地局へ前記周波数チャネルへの変更を通知し、
1つの前記移動局に対して複数の前記基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、
前記基地局と前記移動局とが送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更する
ことを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、通信が割り当てられていないタイムスロットを使用して、前記基地局が設定可能な全ての周波数帯域における干渉信号の電力を測定し、電力値および自局が現在使用している周波数チャネルを前記管理局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記管理局が前記基地局より通知された干渉信号の電力値および前記複数の基地局がそれぞれ使用している周波数チャネルを元に、干渉信号の電力値が最も小さく、かつ隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルから最も離れた周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該周波数チャネルを通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記移動局と無線通信した前記基地局はその受信電力値を測定し、該受信電力値を前記管理局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からの受信電力値が閾値以下であるかどうかを判定し、閾値以下である場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記管理局は1つの前記移動局に対して前記複数の基地局と通信するように、タイムスロットに複数回の通信時間を重ならないように割り当てることを特徴とする無線アクセス制御方法
【請求項7】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのS/N比が劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項8】
請求項1において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのビットエラーレートが劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線アクセス制御方法。
【請求項9】
所定の経路上を移動する複数の移動局と、
前記所定の経路に沿って設置され、前記複数の移動局と無線通信可能に構成された複数の基地局と、
前記複数の基地局と所定の通信手段を介して接続され、該通信手段を用いて前記複数の基地局を管理する管理局と
を具備して成る無線通信システムであって、
前記基地局と前記移動局とが前記管理局に割り当てられたタイムスロットに従い通信するアクセス制御方法を実行可能に構成され、
前記基地局は、通信タイムスロットが割り当てられない時は干渉信号の測定を行い、測定結果を前記管理局へ通知し、
前記管理局は、測定結果を元に最も干渉の影響が少ない周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該チャネルへの変更を通知し、1つの前記移動局に対して前記複数の基地局が通信するように通信タイムスロットを割り当て、前記基地局と前記移動局が送受信した信号の通信品質が低下したとき、前記移動局の周波数チャネルを、該信号を送受信した前記基地局の周波数チャネルから、進行方向に設置されている前記基地局の周波数チャネルへ変更する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、通信が割り当てられていないタイムスロットを使用して、前記基地局が設定可能な全ての周波数帯域における干渉信号の電力を測定し、電力値および自局が現在使用している周波数チャネルを前記管理局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記管理局が前記基地局より通知された干渉信号の電力値および前記複数の基地局がそれぞれ使用している周波数チャネルを元に、干渉信号の電力値が最も小さく、かつ隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルから最も離れた周波数チャネルを選択し、前記基地局へ該周波数チャネルを通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記移動局と無線通信した前記基地局はその受信電力値を測定し、該受信電力値を前記管理局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項13】
請求項12において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からの受信電力値が閾値以下であるかどうかを判定し、閾値以下である場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項14】
請求項9において、
管理局は1つの前記移動局に対して前記複数の基地局と通信するように、タイムスロットに複数回の通信時間を重ならないように割り当てることを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのS/N比が劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項16】
請求項9において、
前記管理局が割り当てたタイムスロットに従って通信する前記基地局が、前記管理局が前記基地局より通知された前記移動局からのビットエラーレートが劣化したことを判定し、劣化した場合は前記移動局の進行方向に隣接する前記基地局が使用している周波数チャネルを、前記移動局の周波数チャネルとして選択し、前記移動局へ通知することを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−329695(P2007−329695A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159238(P2006−159238)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]