説明

無線システムにおけるノードと、ノードの時刻同期及び周波数同期をとる方法

【課題】無線ネットワーク内のノードにおけるスロット同士でのスロット長の変化を低減又は回避する。
【解決手段】ノード間の通信に送信スロット及び受信スロットを用いる無線システムにおけるノードは、無線システム内の送信ノードから同期信号を受信し、該同期信号から、自ノード内のクロック発生器と送信ノード内のクロック発生器との間の時間オフセット及び周波数オフセットを導き出す受信ブロック206を備えている。さらに、クロック発生器226を有するスロット同期ブロック212が設けられている。クロック発生器は、導き出された時間オフセット及び周波数オフセットに基づいて更新される。加えて、データを送信する送信ブロック208が設けられている。スロット同期ブロック212は、導き出された時間オフセットに基づいてスロットのスロット開始を設定し、導き出された周波数オフセットに基づいて後続のスロットを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、ネットワークにおける同期の分野に関し、具体的には分散ネットワークにおける同期の分野に関する。本発明の実施の形態はそのようなネットワークにおける周波数同期に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身の回りにある多くの物が無線機能を有するようになり、それにより電子デバイス間の無線通信がより一般的になり普及してきている。電子デバイス間のこのような無線通信のための1つの手法は、アドホックネットワーク又はピアツーピアネットワーク、すなわち分散ネットワーク内でデバイスを組織することである。
【0003】
図1は、矢印によって示すように互いに直接的に通信を行う複数の無線デバイスMSによって形成されるアドホックネットワークの概略を示している。アドホックネットワークでは、無線デバイスMSのうちのいくつかが互いに直接的に通信する一方で、無線デバイス100及び102のように、離れている無線デバイスMS間の通信は中間的な無線デバイスを通して行われる。無線デバイスは、無線通信機能を有する移動局若しくはPDA、又はその環境における無線通信が可能な任意の他の電子デバイスとすることができる。図1に示した無線デバイスは、無線ネットワークの「ノード」とも呼ばれる。
【0004】
このようなネットワークにおいては、各デバイス間の通信の同期が必要となる。本技術分野において既知の同期方式は、無線ネットワーク内のノードが完全にメッシュ化されたネットワークを形成することを前提としている。しかし、一般的には、この前提は以下の2つの理由から成立しない。第1に、ノードが広域に分散しているか又は送信電力が小さいと考えると、図1を参照して述べたように、ノードはその送信範囲内にあるノード、すなわち近傍のノードとしか通信することができない。さらに、ピアツーピア形式でのノード間の通信の場合には、完全にメッシュ化されたネットワークにおいては、ノードが非常に大きな電力で送信を行うことが必要である。しかし、これはノードが非常に離れている場合には必ずしも可能ではなく、大きな干渉も生じるため、送信電力を小さくすることが好ましい。このように、多くのケースにおいて、図1に示したような無線ネットワークのトポロジは完全なメッシュ型ではない。電子デバイス100及び102といったネットワーク内の2つのデバイスは必ずしも送信範囲内にはないが、近傍のノードを用いて通信し、それによりマルチホップネットワークが形成される。
【0005】
従来の手法は、このようなネットワークにおける分散方式での時刻同期を提案するものである。時刻同期は、全てのノードに共通のスロット構造を定めるべく、ローカルな時間単位の調整(aligning local time units)として定められる。基本的には、それぞれの無線デバイスMS間のスロット同期は、同期マルチキャストサービス及び協調マルチポイント(coordinated multipoint, CoMP)方式を可能にするので有利である。さらに、干渉制御アルゴリズムの設計は、同期が協調の基本形式であるために単純化することができる。
【0006】
図1に示したネットワークはフェムトセルのネットワークと考えることができ、各フェムトセルは通常、クロックの性能が悪い安価なローカル発振器を有している。マクロセルからのクロック信号は屋内で取得するのが困難な場合があるため、既知の手法によれば、同期はフェムトセル間で行われる。しかし、クロック発生器及びそのクロック発生器によって提供されるクロックは本質的に不完全である。すなわち、時刻及び周波数の経時的で完全な追跡を維持することができるクロックは存在しない。つまり、クロック発生器及びその特性は時間とともに変化し、その特性は、環境条件、例えば気温の変動によっても変化する。これにより、時間及び周波数においてクロックのジッタが発生するため、クロックは定期的に再同期をとる必要がある。この問題は、高性能のクロック発生器よりも特性が急速に変化する性能の低いクロック発生器を用いた上述のフェムトネットワークにおいてより一層深刻である。その一方で、クロック発生器が高性能であっても完全なクロックはないことに言及しなくてはならない。
【0007】
本技術分野において、主としてマスタースレーブ型のアーキテクチャに応じた様々な方式のネットワーク内同期が提案されている。マスタークロックは、そのタイミング及び周波数をスレーブクロックに指示する。しかし、この解決法は、マスターについて非常に高いクロック性能が必要であり、スレーブクロックがマスタークロックに完全に依存するため、単一障害点となりやすい。
【0008】
既知の代替的な手法は、分散方式で同期を実行することである。このようなシナリオにおいて、各ノードは、検出した近傍のクロックに基づいて自己のクロックを更新し、その引き換えに自己の近傍にも影響を与える。したがって、このような手法において、ネットワーク内同期をもたらすローカルな更新規則を設計する必要がある。分散ネットワークにおける同期の方法が提案されている。パルスを用いた発振器(pulse-covered oscillator)の理論に基づいて、非特許文献1及び特許文献1に記載されている方法は時刻同期に焦点を当てている。この既知の手法は、無線ネットワークにおいて分散方式のスロット同期を実行するために、生物学的な着想に基づいた方法を適用する。この既知の手法によれば、各ノードは位相関数φ(t)を保持し、この位相関数は所与の周波数φ(t)/dt=1/Tで変動する。クロックの位相は、パケットを受信したときに、パケットが検出されたタイミング
【数1】

に基づいて更新される。しかし、この手法では時刻同期しか提供されないため、用いられる発振器において同時に存在する周波数のオフセットについては対処できない。
【0009】
既知の別の解決策が非特許文献2に記載されている。この手法は、UMTS車両通信を対象とするが、周波数同期を実行する前にまず時刻同期を実行することが必要である。さらに詳細には、第1のステップにおいてGPS(Global Positioning System)を用いて、粗いか又はワンショットの時刻同期が実行される。これに続いて、精緻な時刻同期が実行される。時刻同期のためのこれらの2つのステップが完了して初めて、粗い周波数同期と、それに続く精緻な周波数同期が実行される。しかし、この手法は周波数同期を実行する前にまず時刻同期を実行することを必要とする。すなわち、この手法では、第1のステップがなければ、初期のタイミングのずれに一切対処することができない。さらに、時刻同期はフェムトセルの場合に屋内で利用できないGPSを用いて行われる。さらに、非特許文献3に記載されているように、GPSクロックは非常に正確であるため、GPS手法を用いることにより、周波数同期にも用いることができるマイクロ秒単位の時刻同期の精度が既に保証されている。
【0010】
次に図2を参照して、例えば図1に示したような、分散ネットワークにおける周波数同期の欠如の問題をさらに詳細に説明する。図2は、一例として、図1に示したようなネットワーク内の3つのノード、すなわちノード1、ノード2、ノード3の送信スロットを示している。当然、このようなネットワークはより多くのノード又はより少ないノードを有しており、図2はそのようなネットワークにおける周波数同期の欠如の問題を説明するための概略図に過ぎない。ノードにおいては、スロットの開始及びその存続時間がスロットクロックφ(t)によって与えられる。同期ワード(synchronization word)を受信すると、φ(t)=0であるスロットの開始時点が全てのノードにおいて同じ時点に設定され、ノードにおけるスロットの存続時間が、
【数2】

として定められるクロック発生器の周波数によって与えられる。図2では、時刻tにおいて同期ワードSをノード1、2、3のそれぞれが受信する。同期ワード又は同期信号Sに基づいて、各ノードにおけるスロットの開始が再調整される。同期ワードSは、定期的に、例えば既知の基準の1つによれば、5スロット後に、再びスロットの開始を再調整するために受信される。つまり、時刻同期の結果、各ノードにおいて第1のスロットが開始する共通の開始時点、すなわち時点tがもたらされる。上述したように、スロットの存続時間はローカルのクロック発生器の周波数によって与えられる。図からわかるように、ノード1、2、3はそれぞれT、T、Tという各スロットの存続時間を有している。しかし、各クロック発生器の周波数は同期がとられず、すなわち、各クロック発生器が自己の独自の周波数に基づいて動作するため、図2からわかるように、ノード1の第1のスロット存続時間Tは、ノード2のスロット存続時間Tより長いが、ノード3のスロット存続時間Tよりは短い。このため、最初に、ノード2のスロットが時刻Tにおいて終了する。2番目に、ノード1のスロットが時刻Tにおいて終了する。最も長いスロットは、最後に時刻Tにおいて終了するノード3のスロットである。つまり、時刻同期Sの受信に続く第1のスロットの後に、それに続くスロットの開始時刻はもはやそろっておらず、むしろ、図からわかるように経時的に拡散する。すなわち、ノード2の第2のスロットの開始とノード1の第2のスロットの開始との間にt−tのオフセットが存在する。また、ノード2の第2のスロットの開始と、ノード3の第2のスロットの開始との間には、t−tのオフセットが存在する。最も短いスロットすなわちノード2のスロットと、最も長いスロットすなわちノード3のスロットとの間にある最大のオフセットを図2ではOとして示している。ノード間のこのようなオフセットに起因して、後続のスロットの開始時刻はもはやそろっていないため、周波数同期を用いない場合には、スロット開始における隔たりが時間とともに大きくなる。これは、5スロット後の、最も短いスロットすなわちノード2のスロットと、最も長いスロットすなわちノード3のスロットとの間にあるオフセットを示した図2からわかる。これを図2ではOとして示している。図からわかるように、このオフセットは著しく増加する。実際に、このシナリオにおいて、ノード2は既に5スロットを処理している一方で、ノード3は4スロットしか処理していない。
【0011】
このため、ノードの周波数同期がとれていない場合には、スロット長が多様となり、すなわち後続のスロットの開始が時間とともにずれてゆく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1852998 A1号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Tyrrell, A.、Auer, G.、及びBettstetter, C.「Emergent Slot Synchronization in Wireless Networks」(IEEE Transactions on Mobile Computing, 2010, vol. 9, pp. 719-732)
【非特許文献2】Ebner, A.、Rohling, H.、Halfmann、R.、及びLott, M.「Synchronization in ad hoc networks based on UTRA TTD」(Proceedings IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications (PIMRC), 2002)
【非特許文献3】Lewandowski, W.、Petit, G.、及びThomas, C.「Precision and accuracy of GPS time transfer」(IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement, 1993, vol. 42, pp. 474-479)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、無線ネットワーク内のノードにおけるスロット同士でのスロット長の変化を低減又は回避するべく、無線ネットワークのための改善された同期スキームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、請求項1に記載のノード及び請求項11に記載の方法によって達成される。
【0016】
一実施形態によれば、無線システムにおけるノードが提供される。前記無線システムは、当該無線システム内のノード間の通信に送信スロット及び受信スロットを用いるものである。このノードは、前記無線システム内の送信ノードから同期信号を受信し、自ノード内のクロック発生器と前記送信ノード内のクロック発生器との間の時間オフセットと周波数オフセットとを前記同期信号から導き出す受信ブロックと、クロック発生器を備えており、導き出された前記時間オフセット及び前記周波数オフセットに基づいて前記クロック発生器を更新するスロット同期ブロックと、データを送信する送信ブロックとを備えている。前記スロット同期ブロックは、導き出された前記オフセットに基づいてスロットのスロット開始を設定し、導き出された前記周波数オフセットに基づいて後続のスロットのスロット開始を設定する。
【0017】
一実施形態によれば、無線システムにおいてノードの時刻同期及び周波数同期を行う方法が提供される。前記無線システムは、当該無線システム内の前記ノード間の通信に送信スロット及び受信スロットを用いるものである。この方法は、ある受信ノードが、前記無線システム内の送信ノードから同期信号を受信するステップと、前記同期信号から、前記受信ノード内のクロック発生器と前記送信ノード内のクロック発生器との間の時間オフセット及び周波数オフセットを導き出すステップと、導き出された前記時間オフセットと導き出された前記周波数オフセットとに基づいて、前記受信ノード内のクロック発生器を更新するステップとを含む。そして、スロットのスロット開始は、導き出された前記時間オフセットに基づいて設定され、後続のスロットのスロット開始は、導き出された前記周波数オフセットに基づいて設定される。
【0018】
他の実施形態によれば、前記クロック発生器はデジタル発振器を有しており、前記スロット同期ブロックは、前記クロック発生器を更新することにより、前記デジタル発振器のクロック信号の位相を変更する。クロック同期ブロックは、さらに、時刻同期をもたらすべく、時間オフセットに基づいて前記デジタル発振器のクロック信号の位相のインクリメントを遅延させることにより当該位相を変更し、前記周波数同期をもたらすべく、前記周波数オフセットに基づいて前記位相の勾配を変更することができる。
【0019】
他の実施形態によれば、前記スロット同期ブロックは、所定数のスロットごとに、導き出された前記時間オフセットに基づいてスロットのスロット開始を設定し、導き出された前記周波数オフセットに基づいて別のスロットのスロット開始を設定することができる。例えば、標準規格又はプロトコルによれば、5スロットごとに時刻同期を行うことができる一方で、周波数同期は、第1のスロットの後と、第2のスロットの後と、第3のスロットの後と、第4のスロットの後とに行われる。他の標準規格によれば、スロット数を変えることができ、例えばその数は、5スロットよりも多くするか又は5スロットよりも少なくすることができ、例えば10個〜100個とすることができる。
【0020】
他の実施形態によれば、前記受信ブロックは、前記同期信号に含まれる、前記送信ノード内のクロック発生器に関する周波数情報に基づいて、前記周波数オフセットを導き出すことができる。
【0021】
他の実施形態によれば、前記同期信号は、前記ノードが続いて受信する複数の部分を含んでいる。前記受信ブロックは、前記同期信号内の後続の部分から前記周波数オフセットを導き出すことができる。前記同期信号は同期ワードとすることができ、前記周波数オフセットは、前記ノードが受信する後続の2つの同期ワードから導き出すことができる。
【0022】
他の実施形態によれば、前記スロット同期ブロックは、それまでの補正項と、前記周波数オフセットを入力とする更新用関数とにより計算される補正項を用いて前記クロック発生器の周波数を補正することにより、前記クロック発生器を更新することができる。ここで、入力の関数は、前記クロック発生器及び前記無線システムが収束する周波数を定めるものである。
【0023】
一実施形態によれば、前記無線システムのノード内のコンピュータに対し本発明の方法を実行させるプログラムコードを機械可読な担体上に格納したコンピュータプログラム製品が提供される。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明の実施形態は、経時的にかつ環境の変化と共に変動するクロックに起因したクロックの不完全性に対処するための手法を提供するとともに、ローカル発振器の同期をもたらす。ここで、ネットワークにおけるローカルのスロットのクロックを受け持つ周波数同期は、ローカルの周波数オフセットに基づいてクロックを更新することにより、完全に分散した方式で行われる。そのため、無線ネットワークにおける分散された周波数スロットの同期のための方法が提供される。この方法は、実施形態によれば、マクロセルネットワークを監視(sniff)することによる同期が不可能であるか又は困難なフェムトセルネットワークに特に適している。実施形態による手法は、時間スロット化された送信の開始及び終了を定めるスロットのクロックの周波数同期の上述した問題に対処することができる。分散方式で周波数同期を実現するためのローカルな規則についても説明する。本発明の実施形態によれば、同期信号のような受信信号に基づいて計算される周波数オフセットを用いて、内部スロットのクロックの実行周波数が更新される一方で、本発明の実施形態の手法によれば、スロットのクロックの時刻同期及び周波数同期がともに実行される。
【0025】
従来の手法と比較して、本発明の実施形態によれば、以下のような複数の利点が提供される。
・周波数同期は時刻同期と同時に実行され、すなわち連続的に実行されるわけではない。
・時刻同期に用いられる既存の同期シーケンスは、周波数同期に必要な情報を提供するのに十分でもあるため、さらなるオーバーヘッドは必要とされない。
・周波数同期を実行することによって、クロックが経時的により安定するため、必要な再同期の周期性が減少する。
・任意の初期の周波数オフセットについて同期が達成される。
・時刻同期及び周波数同期の双方がともに完了するため、全体として同期がより迅速になされる。
・上述した従来技術による手法と比較して、時刻同期及び周波数同期の双方がより高速にかつより単純な方式で実行される。
・同期が自律的な方式でなされ、外部のタイミング源には全く依存しない。
【0026】
本発明の実施形態による手法のさらなる利点は、周波数スロット同期が、クロックを更新するためのリンクレベルの同期から得られた周波数オフセットを用いて行われることである。さらに、周波数同期はステップごとに行われるため、送信に関する所定のプロトコルは必要ない。依然として同期を保証しつつ、多岐にわたる関数から任意の形式の更新用関数を選択することができる。一例として、スロットのクロックの周波数の測定を、同期信号又は同期ワード(synchronization word, sync word)の連続した2回の送信に基づいて行うことができる。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】複数の無線デバイスMSによって形成されるアドホックネットワークの概略図である。
【図2】図1に示した分散ネットワークにおける周波数同期の欠如の問題を示す説明図である。
【図3】クロックドリフト(クロックプロセスの勾配)及びクロック雑音を受けた不完全なクロックt(t)の、時間tによる変化を示す説明図である。
【図4】無線内のノードの概略的なブロック図である。
【図5】15クロックのローカルな周波数の、時間tによる変化を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に基づいて周波数同期を適用した結果を示す、図2に類似した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の以下の実施形態の記載において、同一の要素又は類似した要素は同一の参照符号で示す。
【0030】
本発明の実施形態をさらに詳細に説明する前に、クロックドリフト(クロック処理の勾配)及びクロック雑音を受けた不完全なクロックt(t)の、時間tによる変化を示す図3を参照する。図3において、理想的な時間を線104として示している。図からわかるように、理想的なローカル発振器であれば、ローカル発振器の完全なクロックは秒単位で所望の時刻に対応する。例えば、5秒後にクロックt(t)も5秒を示す。しかし、クロックタイミングのオフセットにより時間のカウントがずれ、クロックドリフトにより周波数がずれるため、クロックは完全ではなく、発振器の定期的な同期が必要となる。オフセット及びドリフトに起因する不完全な時間を示す線106からわかるように、所望の時刻はクロックによって示される時刻とは対応していない。例えば、5秒後の線104と線106との比較からわかるように、発振器は実際には13秒と14秒の間の時刻を示しており、線104と比較して線106のより急な勾配からわかるようにオフセットは増加してゆく。開始から15秒後の時刻において、発振器は実際には30秒以上進んだ時刻を示している。本発明の実施形態によれば、時刻及び周波数の双方の同期によりこのようなクロックオフセット及びクロックドリフトを回避することができる。時刻同期はクロックの値を調整するものである。スロット同期の場合には、時間が一定長のスロットに分割され、図2を参照して述べたように、ノードはスロットの開始及び終了に関して調整される。ここで、スロットの開始は同期ワード(sync word)を用いて同期がとられる。周波数同期は、クロックドリフトを補償するためにクロックの勾配を調整するものである。時刻及び周波数の同期により、ローカル発振器の実際の挙動(図3における線106を参照されたい)は、図3の符号104に示す理想的な挙動と整合するように、又は少なくとも可能な限り近づくように調整される。
【0031】
図4は、例えば図2に示したようなネットワーク内のノードの概略的なブロック図である。図2において、ノード200は、セルラー電話ネットワーク内の移動局か、PDAデバイスか、無線機能を有する任意の他の電子デバイスかとすることができる。ノード200は、ネットワークにおいてノード200と別のノードとの間で信号を送受信するためのアンテナ202を備えている。さらに、例えばデュプレクサーなどのスイッチ204が、前記アンテナを受信ブロック206又は送信ブロック208へ選択的に接続するために設けられている。スイッチ204は、スロット同期ブロック212から提供され、制御線210を通して受信する信号により制御される。受信ブロック206は、復調部214と、復号部116と、同期ワード検出部218とを有している。送信ブロック208は、フレーム生成部220と変調部222とを有している。スロット同期ブロック212は、遅延素子224と、ローカル発振器226と、サンプルホールド回路228とを有している。
【0032】
受信ブロック206において、アンテナ202から到来したベースバンド信号は復調ユニット214へと渡される。復調ユニット214においては、ダウンコンバートとサンプリングと整合フィルタリングとが信号に適用される。さらに、ベースバンド信号が同期ワード検出部218に送られる。同期ワード検出部218は、ベースバンド信号内に同期ワードが存在する場合にはその同期ワードを検出し、当該同期ワードから、送信ノードと受信ノード200との間のタイミングオフセット及び周波数オフセットを導き出す。ここで、タイミングオフセットを
【数3】

と表し、周波数オフセットを
【数4】

と表す。タイミングオフセット及び周波数オフセットは復調部214に送られ、復調信号が復号部214に送られる。復号部214は受信した信号からデータを復号し、図示していないノードの他の要素においてさらに処理するためのデータを出力する。スロット同期ブロック212は、スロットのクロックを提供するローカル発振器226を有している。スロットのクロックは、検出された時間オフセット
【数5】

と周波数オフセット
【数6】

とに基づいて更新される。同期ワード検出部218によって検出される周波数オフセット
【数7】

は、受信ブロック206内の復調部214のみならず、スロット同期ブロック212内のローカル発振器226にも送られる。同期ワード検出部218によって検出されたタイミングオフセット
【数8】

は、受信ブロック206内の復調部214及び復号部216に提供されるだけでなく、スロット同期ブロック212内の遅延素子224にも提供される。時刻同期に関しては、任意の規則、例えば特許文献1に記載のものに類似した規則を用いることができる。送信の開始は、クロックの位相の別のインクリメント(discrete increment)が適用される前にT秒にわたり遅延させることができる。遅延素子224はローカル発振器226に遅延信号を出力し、ローカル発振器226はサンプルホールド回路228に信号を出力する前に上述した規則によって遅延を受ける。サンプルホールド回路228は、送信モードであるか又は受信モードであるかを示すさらなる入力信号を受信する。この信号は、制御線Tx/Rxを通して送られる。サンプルホールド回路228からの出力信号は線210上の制御信号であり、スイッチ204を受信ブロック206又は送信ブロック208のいずれかに切り替えることにより、アンテナを各ブロックに接続するためのものである。周波数同期の規則を以下により詳細に説明する。ローカル発振器206から提供されるスロットのクロックと、ノードのスケジューラーから送られるTx信号またはRx信号とに基づいて、送信スロット及び受信スロットが決められる。
【0033】
送信ブロック208は、データが送信に利用できるようになるとアクティブになる。送信ブロック208は、データ線を通してデータ信号を受信するとともに、同期ワード線を通して同期ワードも受信する。データはフレーム生成ユニット220内の同期ワードとともに多重化される。本発明の実施形態によれば、同期ワードはネットワーク内の全てのノードに共通であり、ノードの受信ブロック206内の同期ワード検出部218によって利用されるものでもある。送信フレームが生成されると変調部ユニット222に送られ、変調部ユニット222においては、アンテナ202からの送信の前に変調及びアップコンバートが行われる。
【0034】
本発明の実施形態においては、特許文献1に記載されている既知のスロット同期方式が拡張されている。本発明の実施形態によれば、得られた周波数オフセットがローカル発振器226により提供される内部のスロットクロックの実行周波数を更新するために利用されるので、周波数同期は時刻同期とともに行われる。本発明の実施形態の手法によれば、スロット発振器226の周波数が更新され、発振器の周波数は位相関数の一次導関数によって表され、これは理想的には定数1/Tに等しく、公称周波数f=1/Tとも呼ぶ。ローカル発振器226によってもたらされる内部クロックのドリフトは、f(t)と表す。このドリフトにより理想的な内部クロックが損なわれるものの、本発明の実施形態の手法によれば、ネットワーク内の全てのノードのローカルクロックは受信信号に基づいて反復的に更新されるため、ネットワーク内の全てのクロックは共通した周波数になる。時刻tにおいて、ノードがアンテナ202を通してパケットを受信すると、補正項fc,i(t)により発振器の周波数が以下のように更新される。
【数9】

ただし、
【数10】

はクロックiの周波数であり、fは公称周波数であり、fd,i(t)は周波数ドリフトであり、fc,i(t)は周波数の補正項である。
【0035】
補正項fc,i(t)はパケットが受信されるたびに更新され、推定されたローカルオフセットに基づいて計算されるものである。
【数11】

ただし、tは近い時刻であり、例えば時刻tにおいて同期ワードを含むパケットを受信してから1μs後の時刻を表す。もちろん、他の時間差を用いることもできる。例えば、時間差はデジタル発振器のインクリメントステップの範囲内とすることができ、すなわちデジタル発振器はスロット存続時間Tを100〜1000個の複数のステップに分割する。
【0036】
係数γは、全てのノードについて同じものとすることができる、スカラーを組み合わせた係数(scalar coupling factor)であり、gは更新用関数である。様々な形式の更新用関数gを用いることができる。例えば、一次フィルタ(g(x)=x)を用いて単純な平均化を適用することができ、忘却係数を含んだ、より洗練された関数を適用することもできる。平均化関数を用いることによって、それまでに導き出された周波数オフセットの全て又は一部を平均化し、それにより無線システム内のクロック発生器の周波数の平均値に向けた収束がもたらされる。忘却係数を含んだ関数は、それまでに導き出された周波数オフセットの一部しか考慮しないものである。また、この更新用関数に基づき、ネットワーク内のノードは全ての発振器の平均の周波数に収束する。別の実施形態では、更新用関数は、補正項を更新するために、それまでに導き出された周波数オフセットの最小値又は最大値を選択する最小化関数または最大化関数とすることができる。これにより、最小の周波数又は最大の周波数を有する無線システム内のクロック発生器の周波数に向けた高速な収束がもたらされる。
【0037】
スカラー関数のスカラーを組み合わせた係数は、更新用関数に重みを付けるために用いられる。ただし、スカラー関数又はスカラーを組み合わせた係数は、収束までの所望の時間又は無線システムのトポロジに基づいて選択される。ノード内で用いられるローカル発振器は、上述したようなデジタル発振器とすることができ、スロット同期ブロックは、上述した式に従ってクロック発生器の周波数を求め、求めた周波数に従ってクロック発生器内のデジタル発振器の位相信号の勾配を設定する。スカラー係数γは0と1の間の値であり、高速の収束(γは1に近い)と同期の安定性(γは0に近い)との間のバランスがとれるように選択される。
【0038】
図5は、15クロックのローカルの周波数の、時間tに対する変化を示している。図からわかるように、本発明の実施形態の手法によれば、ローカル発振器の周波数は非常に高速に同期がとられる。
【0039】
図6は、図2に類似しており、ここでは本発明の実施形態の手法の結果、すなわち周波数の同期を示している。図2に示したのと類似した方法により、時点tにおいて、ノード1、2、3が同期ワードSを受信する。この同期ワードから、図4に示したような時間のオフセット
【数12】

と、周波数のオフセット
【数13】

とが導き出される。1つの実施形態によれば、時刻tにおいて、
【数14】

に基づいて、少なくともスロットの開始時刻の同期がとられる。実施形態によっては、時刻tにおいて、スロットの開始時刻しか調整されない場合があるが、他の実施形態によれば、時刻tにおいて、導き出された周波数のオフセット
【数15】

に基づいて、周波数も調整することができる。スロットの開始のみが設定されるか、又はスロットの開始及び存続時間、すなわちローカル発振器の周波数が設定されるかに関しては、各ノードが配置されている無線ネットワークの仕様に依存する。いずれの場合においても、第1のスロットに関して、存続時間T〜Tは実質的に等しいため、3つある第1のスロットは時刻tにおいて終了するものと想定される。一実施形態によれば、時刻tにおいて再び、同期ワードSから導き出された周波数のオフセットに基づいて周波数の同期が行われ、それにより、後続のスロットのスロット長が確保され、それぞれある第2のスロットも、3つ全てのノードについて同じであるか又は少なくとも実質的に同じである。各スロットの最後か、または後続の各スロットの開始時に、すなわち時刻t、t、t、tにおいて周波数の同期を実行することができる。しかし、本発明の実施形態の手法はこの方式に限定されるものではない。むしろ、各ノードの仕様及び各発振器のデータシートからわかるローカル発振器の性能に応じて、図6に示した各時刻において各ノード1、2、3内のローカル発振器の周波数の同期又は更新を行う必要がない場合がある。むしろ、各ノードにおいて用いられている発振器の安定性が、指定された許容度に従って必要とされる時間にわたって一定のスロット長を維持するのに十分であれば、2つおきのスロット又は3つおきのスロット、例えば時刻t又は時刻tにおいてのみ周波数の同期を行えば十分とすることができる。また、用いる発振器の性能及び信頼性に応じ、ノードによって異なる周波数同期を適用することができる。例えば、ノード1は、全ての時刻t、t、t、t、tにおいて周波数に関して更新される場合がある一方で、ノード2は、2つおきの時刻、すなわち時刻t及びtにおいてのみ更新される。このような場合、後続の時刻tにおいて新たな同期ワードSを全てのノードが受信すると仮定すると、ノード2では、開始時刻の設定のみが調整されるが、周波数の同期はこのとき行われない。なぜならば、ローカル発振器の信頼性によっては、次の周波数同期は時刻t、すなわち図6の第2の同期ワードを受信した後の第1のスロットに続く時刻(図示せず)においてのみ必要であるとみなされるためである。ノード3は、3つおきのスロット、すなわち時刻tにおいてのみ周波数の更新すなわち周波数の同期が必要となるような、より一層信頼性のあるローカル発振器を有している場合がある。このとき、ノード2の場合と同様に、次の同期ワークすなわち後続の同期ワークを受信すると、時刻tにおいて、その同期ワードから導き出された情報に基づいて次のスロット開始の更新のみが行われる一方で、次の周波数同期はこの次のスロットに続いて、すなわち時刻tにおいて行われる。
【0040】
実施形態によれば、ノードにとって周波数同期が必要な時刻は、例えば規則的に又は定期的に周波数を比較してそのドリフトを求めることにより、例えばノードの内部でローカル発振器のドリフトを表す測定値を求めることによって、ノードの内部で動的に制御することができるため、現時点のスロットの最後に所定の閾値を超えている場合に周波数オフセットの情報
【数16】

に従って周波数の同期が行われる。あるいは、この動的な手法は、周波数同期のために所定かつ固定の「更新間隔」を設けることなく各ノードにおいて用いることができ、むしろ各ノードがローカル発振器のドリフトを求め、周波数同期が必要なそれぞれの時刻を動的に設定する。
【0041】
周波数オフセットの情報は、受信ノードにおいて同期ワードから、例えば送信ノードの周波数を示す、同期ワード内で伝達される情報に基づいて導き出すことができる。受信ノードは、同期ワードが送信された時刻を知ると、当該受信ノード内のローカル発振器と送信ノード内のローカル発振器との間の周波数のオフセットを求めることができる。あるいは、同期ワードは、送信ノード内の発振器の周波数を示すデータを含んでいてもよい。さらに、同期ワードが2つの部分を含んでいるか、又は2つの同期ワードを受信することができ、連続した2つのワードからスロット長を導き出して周波数のオフセットを求めることができる。
【0042】
このように、上記で説明した本発明の実施形態の手法は、マルチノード無線通信ネットワークにおける各スロットの信頼性のある開始時刻を提供するため有利である。ここで、スロットは実質的に一定の存続時間を有するため、所定の数のスロットが送信または受信された後であっても、すなわち次の同期ワードが受信されるまでの間隔(例えば毎秒)内においては、図6に示したように全てのスロットが実質的に同じ時刻において終了する。
【0043】
装置との関係でいくつかの態様を説明したが、これらの態様はそれらに対応する方法の説明でもあり、ここでブロック又はデバイスは方法のステップ又は方法のステップの特徴に相当することが明らかである。これに類似して、方法のステップに関連して説明した態様も、それに対応する装置内の相当するブロック又はアイテム又は特徴の説明にあたる。
【0044】
ある実施態様要件に応じて、本発明の実施形態はハードウェア又はソフトウェアにより実施することができる。実施態様は、電子的に読取り可能な制御信号が格納されたデジタルストレージ媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、DVD、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリを用いて実行することができ、それらは、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携する(又は連携可能な)ものである。
【0045】
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載した方法のうちの1つが実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携することができる電子的に読取り可能な制御信号を有するデータ担体を含む。
【0046】
概して、本発明の実施形態は、プログラムコードを含むコンピュータプログラム製品として実装することができる。このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、方法のうちの1つを実行するように動作可能である。プログラムコードは、例えば機械可読な担体上に格納することができる。
【0047】
他の実施形態は、機械可読な担体上に格納された、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを含む。
【0048】
したがって、換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するプログラムコードを含むコンピュータプログラムである。
【0049】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、データ担体(又はデジタルストレージ媒体若しくはコンピュータ可読媒体)であって、そのデータ担体上に記録された、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを含むデータ担体である。
【0050】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを表すデータストリーム又は信号シーケンスである。データストリーム又は信号シーケンスは、例えば、データ通信接続により、例えばインターネットを通して転送されるように構成することができる。
【0051】
さらに別の実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成又は適合した処理手段、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスを含む。
【0052】
さらに別の実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、プログラム可能な論理デバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、本明細書に記載の方法の機能のうちのいくつか又は全てを実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと連携することができる。概して、本方法は好ましくは任意のハードウェア装置によって実行される。
【0054】
上述した実施形態は、単に本発明の原理を示すものである。本明細書に記載の構成及び詳細の変更及び変形は当業者にとって明らかであることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の記載によってのみ限定され、本明細書における実施形態の説明及び説明のために提示した特定の詳細によって限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線システムにおけるノードであって、前記無線システムは、当該無線システム内のノード間の通信に送信スロット及び受信スロットを用いるものであり、
前記無線システム内の送信ノードから同期信号(S)を受信し、自ノード内のクロック発生器と前記送信ノード内のクロック発生器との間の時間オフセット(
【数1】

)と周波数オフセット(
【数2】

)とを前記同期信号(S)から導き出す受信ブロック(206)と、
クロック発生器(226)を備えており、導き出された前記時間オフセット(
【数3】

)及び前記周波数オフセット(
【数4】

)に基づいて前記クロック発生器(226)を更新するスロット同期ブロック(212)と、
データを送信する送信ブロック(208)と
を備えており、
前記スロット同期ブロック(212)が、導き出された前記オフセット(
【数5】

)に基づいてスロットのスロット開始を設定し、導き出された前記周波数オフセット(
【数6】

)に基づいて後続のスロットのスロット開始を設定するものである、ノード。
【請求項2】
前記スロット同期ブロック(212)は、導き出された前記周波数オフセット(
【数7】

)に基づいて、後続のスロットのうちの1つ又は複数のために前記クロック発生器を更新するものである、請求項1に記載のノード。
【請求項3】
前記ノード(200)は所定の時間間隔で同期信号(S)を受信するものであり、
導き出された前記時間オフセット(
【数8】

)に基づいて、前記同期信号(S)の受信に続く第1のスロットの開始が更新され、
導き出された前記周波数オフセット(
【数9】

)に基づいて、後続の複数の同期信号(S)間の間隔にある少なくとも1つのスロットの開始が設定される、請求項1又は2に記載のノード。
【請求項4】
後続の複数の同期信号(S)間の間隔にある一部のスロットについて、各スロットの開始は、導き出された前記周波数オフセット(
【数10】

)に基づいて設定される、請求項3に記載のノード。
【請求項5】
前記第1のノードの開始は、導き出された前記周波数オフセット(
【数11】

)に基づいてさらに設定されるものである、請求項3又は4に記載のノード。
【請求項6】
自ノード内のクロック発生器(226)の周波数ドリフトを求め、導き出された前記周波数オフセット(
【数12】

)に基づいてスロットの開始を設定することが必要となるスロット間の間隔を、前記周波数ドリフトに基づいて求める請求項1〜5のいずれか1項に記載のノード。
【請求項7】
前記クロック発生器(226)がデジタル発振器を有しており、
前記スロット同期ブロック(212)が、前記クロック発生器(226)を更新するために前記デジタル発振器のクロック信号の位相を変更するものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のノード。
【請求項8】
前記スロット同期ブロック(212)は、時刻同期をもたらすべく、時間オフセット(
【数13】

)に基づいて前記デジタル発振器のクロック信号の位相のインクリメントを遅延させることにより当該位相を変更し、前記周波数同期をもたらすべく、前記周波数オフセット(
【数14】

)に基づいて前記位相の勾配を変更するものである、請求項7に記載のノード。
【請求項9】
前記受信ブロック(206)は、前記同期信号(S)に含まれる、前記送信ノード内のクロック発生器(226)に関する周波数の情報に基づいて、前記周波数オフセット(
【数15】

)を導き出すものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のノード。
【請求項10】
前記同期信号は、前記ノードが続いて受信する複数の部分を含むものであり、
前記受信ブロック(206)は、前記ノードが受信した前記同期信号(S)内の後続の部分又は後続の同期信号(S)から前記周波数オフセット(
【数16】

)を導き出すものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のノード。
【請求項11】
前記スロット同期ブロック(212)は、それまでの補正項と、前記周波数オフセット(
【数17】

)を入力とする更新用関数(g)とから計算される補正項を用いて前記クロック発生器(226)の周波数を補正することにより当該クロック発生器(226)を更新するものであり、
ここで、前記更新用関数(g)は、前記クロック発生器(226)が収束することになる周波数を定めるものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のノード。
【請求項12】
前記更新用関数(g)が、
前記補正項を更新するべく、それまでに導き出された周波数オフセットの最小値または最大値を選択する最小化関数または最大化関数であって、前記無線システム内で最小の周波数または最大の周波数を有するクロック発生器の周波数へ向けた高速な収束がもたらされる、最小化関数または最大化関数と、
それまでに導き出された周波数オフセットの全て又はその一部の平均をとる平均化関数であって、前記無線システム内のクロック発生器の平均周波数に向けた収束がもたらされる、平均化関数と、
それまでに導き出された周波数オフセットの一部を考慮する忘却係数を含む関数と
のうちのいずれかである、請求項11に記載のノード。
【請求項13】
前記スロット同期ブロック(212)は、スカラーを組み合わせた係数(γ)を用いて前記更新用関数(g)に重み付けを行うものであり、ここで、前記スカラーを組み合わせた係数(γ)が、収束までの所望の時間又は前記無線システムのトポロジに基づいて選択されるものである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記スロット同期ブロック(212)は、次式すなわち
【数18】

により前記クロック発生器(226)の周波数を求め、求められた周波数に基づいて前記クロック発生器(226)内のデジタル発振器の位相信号の勾配を設定するものであり、ここで、
【数19】

はクロックiの周波数であり、fは公称周波数であり、fd,i(t)は周波数ドリフトであり、fc,i(t)は周波数の補正項であり、
前記補正項は同期信号が受信されるたびに更新され、推定されたローカルのオフセットに基づいて計算され、つまり、
【数20】

であり、ここで、tは、前記同期ワード(S)が受信された時刻t以後の近い時刻を表し、γはスカラーを組み合わせた係数であり、gは前記更新用関数であり、
【数21】

は導き出された前記周波数オフセットである、請求項13に記載のノード。
【請求項15】
無線システムにおいてノード(200)の時刻同期及び周波数同期を行う方法であって、前記無線システムは、当該無線システム内の前記ノード(200)間の通信に送信スロット及び受信スロットを用いるものであり、
ある受信ノード(200)が、前記無線システム内の送信ノードから同期信号(S)を受信するステップと、
前記同期信号(S)から、前記受信ノード内のクロック発生器(226)と前記送信ノード内のクロック発生器(226)との間の時間オフセット(
【数22】

)及び周波数オフセット(
【数23】

)を導き出すステップと、
導き出された前記時間オフセット(
【数24】

)と導き出された前記周波数オフセット(
【数25】

)とに基づいて、前記受信ノード内のクロック発生器(226)を更新するステップと
を含み、
スロットのスロット開始は、導き出された前記時間オフセット(
【数26】

)に基づいて設定され、後続のスロットのスロット開始は、導き出された前記周波数オフセット(
【数27】

)に基づいて設定される、方法。
【請求項16】
機械可読な担体に格納されたプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコードは、無線システム内のコンピュータ又はノードに対し請求項15に記載の方法を実行させるものである、コンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−90260(P2012−90260A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−199264(P2011−199264)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】