説明

無線システム及び通信方法

【課題】無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、無線端末の電池寿命を大幅に延長させる。
【解決手段】端末40〜44は、所定の時間間隔でデータを送信している。例えば、端末44の信号は、基地局32と基地局33とに受信される。基地局32、33では、過去の受信状態(受信成功回数など)から、端末44の処理担当として、距離が近い基地局33を特定する。ここで、同じ周波数帯を用いる他の無線システムからの信号が到来すると、監視局1は、測位サーバ50に格納された履歴から干渉を与えるであろう端末44を検索し、その基地局33に対し、端末44への送信停止命令を送信する。端末44は、基地局33から送信停止命令を受信すると、送信を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にセンサネット用途に用いられるUWB(Ultra Wideband)無線システム、あるいは無線周波数を共用する2つ以上の無線システムが存在する場合を対象とし、特に、利用周波数帯がオーバーラップするUWB無線システムと他無線システムとを共用可能にする無線システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
UWBとは、500MHz以上の広い帯域を利用する通信と定義されている。このため、他無線システムとの周波数共用利用が懸念されている。即ち、日本では、3.4〜4.8GHzと7.25〜10.25GHzの帯域を、出力−41.3dBm/MHzまで割り当てられているが、3.4〜4.8GHzの所謂Low Bandにおいては、第四世代携帯電話の周波数が割り当てられる可能性があり、相互に干渉する恐れがある。これを受け、2006年8月告示のUWB法規制では、Low Bandにおいて、干渉軽減技術なる機能実装が義務付けられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
干渉軽減技術としてDAA(Detect And Avoid)が代表的であるが、これはUWBデバイスが送信前に他無線システムを検知し、検知されたた場合には、送信を控えるというプロトコルである。この干渉軽減を実現するためには、少なくとも他無線システムを検知するために十分な受信性能を、該当システムの各々に搭載する必要がある。
【0004】
一方、干渉軽減技術としてのDAAは、受信機に対する仕様を厳しくするため、センサネットなどをターゲットとした、低消費電力の無線端末には、実装が困難である。これを受け、欧州では、送信のDutyを制限することで干渉量を軽減する、LDC(Low Duty Cycle)を干渉軽減技術の1つとして認可した。このとき、一回の駆動時間<5ms、Duty=5%/秒、かつ、0.5%/時間などとなっている。
【非特許文献1】「干渉軽減技術について」[online]、平成18年2月2日、総務省、インターネット、<URL:http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060202_2.html#sa>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、干渉軽減技術としてDAAを全ての無線端末に実装するのは、受信機の回路規模、消費電力が上昇するため、安価で、電池を主電源とするセンサネット端末では、コスト、電池寿命の観点から実用的でない。一方、LDCでは、送信量を制限することで、他無線システムへの影響を軽減するものであるが、送信されている時間は、互いに影響を与える恐れがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができる無線システム及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、データを送信する1つまたは複数の無線端末と、1つまたは複数の前記無線端末からの信号を受信する基地局と、前記無線端末からの情報を前記基地局経由で収集し、データ管理するサーバとからなる無線システムにおいて、当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知する検知手段と、前記検知手段により他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記検知手段により検知されてから所定の時間内、自無線システム内の送信を停止させる制御手段とを具備することを特徴とする無線システムである。
【0008】
本発明は、上記の発明において、前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、他無線システムに干渉を与える無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう指示する指示手段を更に具備することを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記の発明において、前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、過去の通信履歴、あるいは予め登録された所定の情報に基づいて、所定の時間内に送信を実行するであろう無線端末を特定する特定手段を更に具備し、前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう指示することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記の発明において、前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、所定の時間内に送信を実行するであろう無線端末と通信が可能なエリアに存在する基地局の中から、他システムへの干渉を軽減可能か、もしくは干渉無く無線伝送可能な基地局を選択する選択手段を更に具備し、前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう前記選択手段により選択された基地局を介して指示することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記の発明において、前記選択手段は、前記無線端末の位置及び前記基地局の位置が既知である場合、それらの位置に基づいて、他システムへの干渉を軽減可能か、もしくは干渉無く無線伝送可能な基地局を選択することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記の発明において、前記選択手段は、無線端末からの信号を複数受信した場合、当該無線端末の過去の受信時刻情報に基づいて、最近傍の基地局を選択することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記の発明において、前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末の受信時間内に、所定の時間内、送信を停止するよう指示することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記の発明において、回避すべき無線信号の到来方向を検知する到来方向検知手段を更に具備し、前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末に対して指示する際に、前記到来方向と前記無線端末の位置及び前記基地局の位置とに基づいて、前記指示の送信制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、定期的に無線信号を送信する基地局と、該無線信号を受信することで自己データを送信する無線端末とから構成され、定期的な無線信号の受信により、自システム内の時刻同期や送信タイミング制御を行う無線システムにおいて、当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知する検知手段と、前記検知手段により他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記定期的に無線信号を送信する基地局に対して、その送信を停止させる制御手段とを具備し、前記無線端末は、前記基地局から定期的に無線信号が受信されなくなる、もしくは本来受信されるべきタイミングで受信されない場合、間接的に他無線システムへの干渉が懸念されると判断し、自身の送信を停止することを特徴とする無線システムである。
また、基地局からの信号をトリガーとし、自無線端末の情報を送信するシステム、即ち、基地局が情報を取得したい端末IDなどを含んだデータを発信し、各端末は基地局からの信号を受信、復調後、自局情報の送信命令かを判断し、該当すれば送信するシステムにおいては、当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知する検知手段と、前記検知手段により他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記基地局からのトリガー信号を停止させることで、干渉を低減することを特長とする無線システム。
【0016】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、データを送信する1つまたは複数の無線端末と、該1つまたは複数の無線端末からの信号を受信する基地局との間での通信方法において、当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知するステップと、前記他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定するステップと、前記他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記検知されてから所定の時間内、自無線システム内の送信を停止させるステップとを含むことを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定し、他無線システムに干渉を与えると判定された場合、検知されてから所定の時間内、自無線システム内の送信を停止させる。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、省電力化を図り、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【0018】
また、本発明によれば、他無線システムに干渉を与えると判定された場合、他無線システムに干渉を与える無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう指示する。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、省電力化を図り、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【0019】
また、本発明によれば、他無線システムに干渉を与えると判定された場合、過去の通信履歴、あるいは予め登録された所定の情報に基づいて、所定の時間内に送信を実行するであろう無線端末を特定し、該特定された無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう指示する。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、省電力化を図り、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【0020】
また、この発明によれば、他無線システムに干渉を与えると判定された場合、所定の時間内に送信を実行するであろう無線端末と通信が可能なエリアに存在する基地局の中から、他システムへの干渉を軽減可能か、もしくは干渉無く無線伝送可能な基地局を選択し、特定された無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう選択された基地局を介して指示する。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、省電力化を図り、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、無線端末の位置及び基地局の位置が既知である場合、それらの位置に基づいて、他システムへの干渉を軽減可能か、もしくは干渉無く無線伝送可能な基地局を選択する。選択された基地局は、自システム内で与干渉の影響が最も少なく無線端末へ制御信号を送信可能な局、もしくは影響が十分小さい局であることから、与干渉の影響が少ないという利点が得られる。
【0022】
また、本発明によれば、無線端末からの信号を複数受信した場合、当該無線端末の過去の受信時刻情報に基づいて、最近傍の基地局を選択する。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、省電力化を図り、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【0023】
また、この発明によれば、特定された無線端末の受信時間内に、所定の時間内、送信を停止するよう指示する。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、より省電力化を図ることができ、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、回避すべき無線信号の到来方向を検知し、特定された無線端末に対して指示する際に、到来方向と無線端末の位置及び基地局の位置とに基づいて、指示の送信制御を行う。送信制御として、例えば、周波数、電力制御(減衰)を制御することで、他無線システムとの干渉を軽減することができるという利点が得られる。
【0025】
また、この発明によれば、当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定し、他無線システムに干渉を与えると判定された場合、定期的に無線信号を送信する基地局に対して、その送信を停止させ、無線端末は、基地局から定期的に無線信号が送信されなくなると、自身の送信を停止する。したがって、無線端末側にDAA機能を実装することなく、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、より省電力化を図ることができ、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
[本発明の原理]
センサネット向けの無線システムは、端末と基地局から構成され、端末においては小型、低消費電力などの要求が高い。一方、基地局はPCやコンセントなどから電源供給されていることが多く、消費電力やサイズに対する要求が、端末に比べて低い。また、センサネットなどでは、基地局と端末間の通信エリアが、数m〜30m程度に限られているため、基地局位置での無線環境は、端末位置での無線環境との相関が期待される。
【0028】
よって、本発明では、DAA機能を、無線システム内の1つ以上の基地局に実装、もしくはDAA機能だけを実現する局を設け(以降、DAA機能が実装された局を監視局と呼ぶ)、その監視局が端末や基地局などの送信を制御することにより、端末などにDAA機能を実装することなく、同じ周波数を利用する他無線システムとの共用を実現する。特に、監視局は、基地局と直接もしくはネットワークなどを介して、有線接続されているケースが一般的で、監視局からの制御信号は、与干渉無く基地局に伝達される。
【0029】
また、測位システムなどでは、3つ以上の複数の基地局を利用して、端末の位置測定を行うが、この際、1つの監視局を設け、監視しておけば、有線接続された複数の基地局の送信制御も与干渉無く実施される。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による監視局の構成を示すブロック図である。図において、監視局1は、受信部2及び制御部10から構成されている。受信部2は、AFE(アナログ・フロントエンド)部3と、LPF(Low Pass Filter)8と、検出部9とを備えている。AFE部3は、アンテナ4と、LNA(Low Noise Amplifier)5と、MIX(Mixer)回路6と、PLL(Phase Locked Loop)回路7とを備えている。アンテナ4は、他無線システムの信号を含む、無線信号を受信する。
【0031】
LNA5は、アンテナ4より受信された受信信号を増幅する。MIX回路6は、後述するPLL回路7からの10MHzのステップでスイープ(掃引)される出力信号と、上記LNA5からの出力信号とを混合し、LPF8に供給する。PLL回路7は、自システムの仕様帯域内(3.4〜4.8GHz)を、後述するCPU11からの制御信号S2に従って、10MHzのステップでスイープ(掃引)する出力信号をMIX回路6に供給する。
【0032】
LPF8は、10MHzの帯域の信号だけを通過させるフィルタであり、MIX回路6の出力信号をフィルタリングする。検出部9は、ダイオード検波などにより、LPF8からの出力信号の電力、すなわち、受信電力値S1を測定し、制御部10のCPU11に供給する。
【0033】
制御部10は、CPU11と記憶媒体12とを備えている。CPU11は、所定のプログラムを実行し、記憶媒体12に記憶されている閾値に基づいて、検知周波数と受信部2により測定された受信電力S1とから、干渉回避アルゴリズムを実行するか否かを判定し、該判定結果に基づく制御信号S3を自システムの基地局に送出する。また、CPU11は、PLL回路7に対して、周波数掃引のための制御信号S2を送出する。
【0034】
なお、他無線システムが既知の場合には、該当受信機自体を監視局として用いても良いし、図示するように、LPF8と検出部9とを実装し、PLL回路7からの出力信号と連携させ、自システムの利用帯域内において、周波数と受信電力値とを測定するスペクトラムアナライザの如く、信号検波しても良い。
【0035】
また、図1に示すように、制御部10は、自システムの仕様帯域内(3.4〜4.8GHz)で、10MHzのステップでスイープして受信した他の無線システムからの受信信号の受信電力値が閾値より大であるか小であるかによって、干渉回避アルゴリズムを実行するか否かを判定するようになっている。
【0036】
次に、図2(a)、(b)は、本第1実施形態による監視局1の機能をより詳細に説明するための概念図である。図2(a)に示すように、監視局1は、受信電力値が閾値を超えた場合、すなわち、送信を回避すべき帯域20、20が確認された場合、監視局1に接続された基地局は、その情報に基づいて、
・帯域制限をかけたUWB信号、
・干渉が回避されるほど十分に電力を低減させたUWB信号、
・その他の帯域の信号、
などを、UWB制御信号21として、該当端末に送信する。
【0037】
上記UWB制御信号21は、図2(b)に示すように、同期用信号(プリアンブル)、データ部(DATA)、エラーチェック(CRC)からなり、データ部には、送信可否、送信電力、送信帯域などの情報が格納される。端末は、その情報に基づいて、自局の送信を判定する。なお、制御信号の帯域幅切替の実装形態に関しては、例えば、波形生成回路の調整、もしくはフィルタなどによる帯域幅変更等、公知の方法を用いることもできる。
【0038】
A.制御信号を送出する対象
次に、上述したUWB制御信号21を送出する対象について説明する。
(a1)過去のデータや予め登録した情報に基づき、送信が想定され干渉が懸念される端末。
(a2)干渉を与えない制御用の特別な帯域を有しているか、もしくは、UWB帯域の中でも干渉を回避し、UWB信号として通信が成立するチャンネルを確保でき、通信が成立する全端末。この場合、ブロードキャストによる送信を行う。
(a3)監視局に、他無線システムの到来方向を検知する手法、例えば、スマートアンテナなどの指向性を持たせたものや、アンテナのダイバーシティなどを利用した場合、影響が懸念されるエリアを対象とする。このとき、端末位置を調べ、その方向にある場合のみ、制御信号を送信してもよいし、同試行を省き、該当方向にだけ送信してもよい。
【0039】
B.特定のターゲットだけに無線送信する方法
また、本第1実施形態では、UWB制御信号21を特定のターゲットだけに無線送信する場合には、以下の条件を想定している。
(b1)近接局からの低電力送信。
(b2)アンテナの指向性などを利用して所望のエリアに通知。
【0040】
C.端末に対して、監視局からの制御信号を通知するチャンネル
次に、本第1実施形態による、端末に対して、監視局1からの制御信号を通知するチャンネルについて説明する。ここで、図3(a)、(b)は、監視局1からのUWB制御信号21を通知するチャンネルを説明するための概念図である。
【0041】
(c1)制御チャンネルとして、他システムが利用する周波数以外の帯域を利用する。
具体例として、帯域制限されたUWB信号(図3(a))や、完全に別周波数、例えば、400MHz帯の特定小電力などを利用しても良い。
(c2)他無線システムとのオーバーラップ(同一帯域を利用)するものの、近接の基地局から専用の短いパケットで低電力送信することで、与干渉量を軽減する(図3(b))。
(c3)基地局や、監視局などの許可を受けて、初めて送信する無線システムにおいては、許可を出さないことで無線端末の送信を制御する。
(c4)有線接続されている場合には、有線チャンネル(監視局−基地局間など)を利用する。
【0042】
D.制御信号を送出する局
次に、本第1実施形態において、UWB制御信号21を送出する局について説明する。
(d1)監視局1からブロードキャストする。(この場合、他システムに影響を与えないチャンネルを利用)
(d2)過去のデータに基づき、当該端末との通信品質(通信エラー率など)が良好な基地局を用いる。
(d3)過去のデータに基づき、当該端末が無線電波を発した場合に、複数の基地局が受信する場合には、その受信タイミングを所定の場所に格納しておくことにより、最近接の基地局を判断可能にする。
(d4)所望の端末に対して、予めペアリングされた基地局を選定する。
【0043】
E.制御信号を送出するタイミング
次に、本第1実施形態において、UWB制御信号21を送出するタイミングについて説明する。
(e1)他無線システムを検知している間に、他無線システムに影響を与えない手法で送出する。
(e2)過去のデータや、予め登録した情報に基づいて端末の送信タイミングを把握し、端末がキャリアセンスを実施のタイミング(送信前に主に自システムの電波を受信するタイミング)内で、通知されるように送信する。
【0044】
F.保持データ
本第1実施形態では、端末ID、どの基地局に属するかの所属情報、端末の送信タイミング、所定の端末からの受信時刻情報、通信成功確率、位置情報などを保持し、本発明に適用することも可能である。
【0045】
G.データの保持場所
上記保持データは、図1に示す監視局1の記憶媒体12、図示しない、端末、基地局、測位サーバなど、いずれかの好適な場所に保持する。例えば、基地局には、自局の管理する端末を保持する。基地局が自局の担当と判定し、管理する基準は、以下の通りとする。
【0046】
(1)ユーザが予め設定する。
(2)複数の基地局のうちで、当該端末からの無線信号を一番早く受信した局とする。
(3)測位・測距などで距離が判断できる場合、それら情報から設定する。
(4)上記内容に加えて通信成功確率などから判定する。
また、即時応答性が要求されるものは、監視局1(例えば、記憶媒体12)に格納する。監視局1は、後述する測位サーバと兼用としてもよい。
【0047】
次に、本第1実施形態による通信システムについて説明する。
図4は、本第1実施形態による通信システムの構成を示す概念図である。また、図5は、本第1実施形態による通信システムの時系列の動作を示すシーケンス図である。図4において、30、31(1)、32、33は、ネットワーク29に接続された基地局であり、40〜44は、端末であり、50は、測位サーバである。本第1実施形態では、基地局31と上述した監視局1とを兼用している。
【0048】
本第1実施形態で想定している、センサネットなどの無線システムでは、温度センサなどを実装した端末40〜44が、所望の位置、物品に添付され、その取得情報を基地局30〜33に定期送信する。基地局30〜33は、端末40〜44からの情報を収集し、データベースとして測位サーバ50に情報を格納する。
【0049】
このとき、各々の端末40〜44は、例えば、5分毎に温度データを送信している。例えば、端末44の信号は、基地局32と基地局33とに受信される。それぞれの基地局32、33では、過去の受信状態(受信成功回数など)から、端末44の処理担当が決定され(この場合、距離が近い基地局33が担当となる)、担当基地局のみがデータを自局に格納しつつ、測位サーバ50に端末44の情報を送信する。測位サーバ50では、端末44の情報と担当局(この場合、基地局33)とがペアリングされて保存される。
【0050】
ここで、同じ周波数帯を用いる他の無線システムからの信号が、図示する自システムに到来するか、もしくは自システム内で送信された場合を考える。このとき、自システムの信号が端末40〜44のいずれかから送信されると、干渉し、いずれか、もしくは両方の通信が成立しない恐れが生じる。そこで、自システムの利用帯域内の信号を検知する監視局1(基地局31)が、自システムの無線と干渉を起こす恐れがある無線を検知し、自システムの送信を控えるよう当該端末に制御信号を送信する。
【0051】
このとき、監視局1の動作は、図5に示すように、他無線システムの信号が検知された場合には、測位サーバ50に格納された履歴から区間α内の時間で送信される端末を探査し、該当端末(端末44)が確認された場合、その担当基地局(基地局33)に対し、端末44への送信停止命令を送信する。監視局1からの命令を受けた基地局(基地局33)は、端末44に対して、干渉が軽微、もしくは干渉が無い送信電力、帯域、指向性を持ったアンテナなどを用いて送信停止命令を送信する。
【0052】
一方、端末44は、送信前に、自システムの無線検波を行うようプログラムされており、送信停止命令が出ているかどうか判定可能となる。他無線システムを検波するための受信機が不要であること、さらに他無線システムを検波するための受信電力が、自システムの電波を受信するための電力より十分小さくなり得ることから、本実施は有効となる。
【0053】
なお、上述した第1実施形態では、監視局1は、測位サーバ50から所望のデータを取得したが、即時応答を実現すべく、過去の履歴から他無線システムが検知された場合の対処方法を、監視局1の記憶媒体12などに格納するようにしてもよい。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本第2実施形態による通信システムの構成を示す概念図である。なお、図4に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。本第2実施形態では、図6に示すように、監視局31(1)が一定間隔、ないし固定のパターンで無線信号をブロードキャストする。同無線信号には、取得したい端末のIDが格納され、端末40〜44は、ブロードキャスト信号から自局の情報要求が来ているかを判断し、該当信号であれば、自局のデータを送信する。このとき、データは、通常のデータでもよいし、データ量を低減させるべく、前回情報との差分データでもよいし、データに変化がない場合には、データを送信しないことで、変化が無いことを通知することも可能である。
【0055】
また、他無線システムが検知された場合には、監視局31(1)は、ブロードキャストを行わないため、端末40〜44も返送することはない。このとき、端末40〜44は、監視局31(1)の送信タイミングと同期して、ブロードキャスト信号の受信待ちを行うことで、低電力化を実現する。同信号を定期受信することで、端末40〜44の時間を逐次補正することが可能となる。
【0056】
上述した第2実施形態では、端末40〜44は、監視局31(1)のブロードキャスト毎に受信状態に入らなければならないが、例えば、自局の送信タイミングが分かっている場合には、図7に示すように、そのタイミングで駆動するようにしてもよく、これにより、消費電力を低減することができる。
【0057】
あるいは、全部のブロードキャストを捕らえるのではなく、何回かに一回を捕らえることで、時刻補正を定期的に行い、自局の呼び出しタイミングを同期させるようにしてもよい。これら受信頻度は、端末の性能、消費電力、時刻同期の重要性との兼ね合いで決定すればよい。
【0058】
[変形例]
次に、本発明の変形例について説明する。
本発明の変形例として、以下の例を挙げることが可能である。
(1)基地局側に詳細なDAAを実装し、端末側では、簡易なDAA(Power Detect)を実装するようにしてもよい。本変形例の効果としては、自システムの受信機に同等な機能を実現する回路が実装されている、もしくは、ダイオード検波などで簡易に実装することが可能であり、監視局1と端末40〜44の位置が離れている場合であっても、相補的に干渉を軽減することが可能となる。
(2)測位サーバ50に監視局1を設けるようにしてもよい。この場合、即座に反応ができるよう基地局や、端末座標等、必要な情報を、定期的に監視局1の記憶媒体12にアップデートする。
(3)基地局30〜33において、収容する端末のIDを記憶媒体に保持し、アップデートし、監視局1からの要求に対して即座に応答可能にするようにしてもよい。
【0059】
上述した第1または第2実施形態によれば、DAA機能を実装した基地局(監視局)をシステム毎に1つ、もしくは必要最小数実装すれば、無線端末側にDAA機能を実装する必要が無くなり、他無線システムとの周波数共用を図りつつ、無線端末の電池寿命を大幅に延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態による監視局の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態による監視局1の機能をより詳細に説明するための概念図である。
【図3】監視局1からの制御信号を通知するチャンネルを説明するための概念図である。
【図4】本第1実施形態による通信システムの構成を示す概念図である。
【図5】本第1実施形態による通信システムの時系列の動作を示すシーケンス図である。
【図6】本第2実施形態による通信システムの構成を示す概念図である。
【図7】本第2実施形態による通信システムでの各端末の送信タイミングを示す概念図である。
【符号の説明】
【0061】
1 監視局
2 受信部(到来方向検知手段)
3 AFE部
4 アンテナ
5 LNA
6 MIX回路
7 PLL回路
8 LPF
9 検出部(検知手段)
10 制御部
11 CPU(判定手段、制御手段)
12 記憶媒体
29 ネットワーク
30〜33 基地局(指示手段)
40〜44 無線端末
50 測位サーバ(特定手段、選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信する1つまたは複数の無線端末と、1つまたは複数の前記無線端末からの信号を受信する基地局と、前記無線端末からの情報を前記基地局経由で収集し、データ管理するサーバとからなる無線システムにおいて、
当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知する検知手段と、
前記検知手段により他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記検知手段により検知されてから所定の時間内、自無線システム内の送信を停止させる制御手段と
を具備することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、他無線システムに干渉を与える無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう指示する指示手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、過去の通信履歴、あるいは予め登録された所定の情報に基づいて、所定の時間内に送信を実行するであろう無線端末を特定する特定手段を更に具備し、
前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう指示することを特徴とする請求項2記載の無線システム。
【請求項4】
前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、所定の時間内に送信を実行するであろう無線端末と通信が可能なエリアに存在する基地局の中から、他システムへの干渉を軽減可能か、もしくは干渉無く無線伝送可能な基地局を選択する選択手段を更に具備し、
前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末に対して、所定の時間内、送信を停止するよう前記選択手段により選択された基地局を介して指示することを特徴とする請求項3記載の無線システム。
【請求項5】
前記選択手段は、前記無線端末の位置及び前記基地局の位置が既知である場合、それらの位置に基づいて、他システムへの干渉を軽減可能か、もしくは干渉無く無線伝送可能な基地局を選択することを特徴とする請求項4記載の無線システム。
【請求項6】
前記選択手段は、無線端末からの信号を複数受信した場合、当該無線端末の過去の受信時刻情報に基づいて、最近傍の基地局を選択することを特徴とする請求項4記載の無線システム。
【請求項7】
前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末の受信時間内に、所定の時間内、送信を停止するよう指示することを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の無線システム。
【請求項8】
回避すべき無線信号の到来方向を検知する到来方向検知手段を更に具備し、
前記指示手段は、前記特定手段により特定された無線端末に対して指示する際に、前記到来方向と前記無線端末の位置及び前記基地局の位置とに基づいて、前記指示の送信制御を行うことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の無線システム。
【請求項9】
基地局からの信号をもとに、端末が送信する無線システムにおいて、
当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知する検知手段と、
前記検知手段により他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記定期的に無線信号を送信する基地局に対して、その送信を停止させる制御手段と
を具備し、
前記無線端末は、前記基地局から無線信号を受信しない場合、自身の送信を停止することを特徴とする無線システム。
【請求項10】
データを送信する1つまたは複数の無線端末と、該1つまたは複数の無線端末からの信号を受信する基地局との間での通信方法において、
当該無線システムが利用する帯域の中で、他無線システムの信号を検知するステップと、
前記他無線システムの信号が検知された場合、予め設定された基準に基づいて、自無線システムが他無線システムに干渉を与えるか否かを判定するステップと、
前記他無線システムに干渉を与えると判定された場合、前記検知されてから所定の時間内、自無線システム内の送信を停止させるステップと
を含むことを特徴とする通信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−33628(P2009−33628A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197477(P2007−197477)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、「総務省ユビキタスネットワーク技術の研究開発・超小型チップネットワーキング技術」の委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(397065136)株式会社横須賀テレコムリサーチパーク (28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】