説明

無線スター型ネットワークにおいてパケットを通信するための方法

【課題】マスターノード(マスター)と、スレーブノード(スレーブ)のセットとを含む直交周波数分割多元接続(OFDMA)スター型ネットワークの性能を改善する。
【解決手段】スレーブのセットは、2つの別個のサブセットに分割される。第一のサブセット内のノードが送信し、一方でマスター及び第2のサブセット内のスレーブが受信する。次に、第2のサブセット内のスレーブが送信し、一方でマスター及び第1のサブセット内のスレーブが受信する。このようにして、各サブセット内のスレーブは、他方のサブセット内のスレーブによって送信されるパケットがマスターによって受信されていない場合、該他方のサブセット内のスレーブのための中継ノード(中継器)として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはスター型ネットワークにおける無線通信に関し、特に、OFDMAスター型ネットワークにおけるマスターノードとスレーブノードとの間の協調通信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線スター型ネットワークは、マスターノード(マスター)と、スレーブノード(スレーブ)のセットとを含む。スレーブは、時分割多重を使用してマスターにパケットを順次送信するか、又は周波数分割多重が使用される場合には同時に送信する。送信が失敗した場合、パケットは再送信される。スター型ネットワークの性能を改善することが望ましい。
【0003】
1つの改善は、時間ダイバーシティ、空間ダイバーシティ、又は周波数ダイバーシティを使用する。この結果、異なる受信状態が生じる。直交周波数分割多元接続(OFDMA)は、信頼性のあるマルチパスチャネル、並びに周波数ダイバーシティ及び時間ダイバーシティを使用する高いデータレートを提供する。IEEE802.16m(WiMAX)標準規格、IEEE802.22標準規格、及び3GPP LTE標準規格を参照されたい。
【0004】
OFDMAスター型ネットワークでは、トラフィッククラスの優先度及び各パケットの緊急度を、パスダイバーシティを利用することなく高優先度トラフィックに関して低いレイテンシを達成するための、周波数(チャネル)選択の判断基準として使用することができる。OFDMAネットワークにおける、周波数選択性低速フェージングチャネルにわたる最適なサブキャリア配分が説明されてきた。
【0005】
OFDMAネットワークにおけるパスダイバーシティは、複数のノードを、分散アンテナの集合として使用し、より高い信号対雑音(SBR)比を得ることによって物理層における信頼性を高める。バックオフメカニズムを用いたOFDMAのための分散したオポチュニスティック(opportunistic)アクセス方式は、チャネル状態情報を使用して衝突を回避する。リンク層において空間ダイバーシティを提供することもできる。
【0006】
協調ノードの対は、OFDMAに半複信協調を使用して、前回受信したパケットに「ピギーバックする」ことによって各OFDMAスーパーフレーム内でデータを順次送信し、パスダイバーシティを達成することができる。しかしながら、協調しているノードの対は、単一のOFDMAフレーム内で、送信状態と受信状態との間で複数回切り換えなくてはならない。さらに、信頼性のあるチャネルが利用可能であるとき、無条件の中継は効率を低下させる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施の形態は、マスターノード(マスター)と、スレーブノード(スレーブ)のセットとを含む直交周波数分割多元接続(OFDMA)スター型ネットワークの性能を改善するための方法を立証した。スレーブのセットは、2つの別個のサブセットに分割される。第一のサブセット内のノードが送信し、一方でマスター及び第2のサブセット内のスレーブが受信する。次に、第2のサブセット内のスレーブが送信し、一方でマスター及び第1のサブセット内のスレーブが受信する。このようにして、各サブセット内のスレーブは、他方のサブセット内のスレーブによって送信されるパケットがマスターによって受信されていない場合、該他方のサブセット内のスレーブのための中継ノード(中継器)として機能することができる。
【0008】
実施の形態は、2つの分割モードを提供する。階層型中継送信(HRT)モードは、明示的なシグナリングを使用して中継能力を示す。確率型中継送信(SRT)モードは、明示的なシグナリングを使用せず、送信と受信との間で切り換えるための追加のオーバーヘッド時間を必要とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施の形態は、パスダーバーシティを利用して、マスターノードとスレーブノードのセットとを含む時間制約のあるOFDMAスター型ネットワークにおける信頼性を改善する、階層型中継送信モード及び確率型中継送信モードを提供する。
【0010】
スレーブノードは2つのセットに分割される。第1のサブセットが送信する間、マスター及び第2のサブセットは受信モードで動作する。このようにして、第1のサブセット内のスレーブによる失敗した送信を、中継ノードとして機能する第2のサブセット内のスレーブによって再送信することができる。
【0011】
HRTモード及びSRTモードは、IEEE802.15.4e標準規格に従って定義される従来の反復直接送信モードよりも大幅に良好な性能を有する。パケット損失率は、約2桁小さい。
【0012】
HRTモードは、いくつかの追加のシグナリングオーバヘッドで最高の全体性能を有する。SRTは、スーパーフレームの間、追加の送信/受信所要時間を要する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態によって使用されるOFDMAスター型ネットワークの概略図である。
【図2】本発明の実施の形態によって使用されるスーパーフレームのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態による、スレーブノードのセットを順次送信のためにサブセットに分割する概略図である。
【図4】本発明の実施の形態による、スレーブノードのセットを順次送信のためにサブセットに分割する概略図である。
【図5】本発明の実施の形態による、スレーブノードのセットを順次送信のためにサブセットに分割する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態を使用する直交周波数分割多元接続(OFDMA)スター型ネットワーク100を示している。ネットワークは、マスター(M)ノード(マスター)101と、N個のスレーブ(S)ノード(スレーブ)のセット102とを含む。スレーブは無線チャネル103上でマスターと通信する。各チャネルは、マスターからスレーブへのダウンリンク(DL)104と、スレーブからマスターへのアップリンク(UL)105とを含む。ネットワークは周波数多重及び時分割多重を使用して干渉を回避する。
【0015】
周波数リソースrは、M=aN個のブロックに分割される。ここで、aは定数である。パケット送信は、時間にわたって互いから独立している。異なるスレーブからマスターへのアップリンクチャネルも独立している。各リソースブロックの送信は、同じ送信電力、変調、及びチャネル符号化を使用することができる。
【0016】
各アップリンクパケット110は、Lビットのデータ111と、Qビットのオプションのプロトコル固有のオーバーヘッド112とを含む。ビットレートは毎秒Rビットである。チャネル経路損失指数がαである場合、単一リソースブロックを使用したL+Qビットの送信のためのパケット成功率はexp(−cdα)である。ここで、cは定数であり、dはスレーブとマスターとの間の距離である。送信時間は(L+Q)/Rである。代替的に、リソースブロック多重が使用される場合、送信は、2つのリソースブロックを使用して、同じパケット成功率で、Ttx(Q)=(L+Q)/2R秒にL+Qビットを送信することができる。
【0017】
ソースノードと宛先ノードとの同じ対に関して、チャネルは最大D個の独立したリソースブロックを可能にする。これは最大ダイバーシティ次数である。このため、スレーブが2Ttx(Q)秒にr≧2個のリソースブロックを使用してL+Qビットを送信するとき、ダイバーシティ次数が増大することによって、成功確率が以下まで高められる。
【0018】
【数1】

【0019】
ここで、関数expは指数関数であり、関数minは最小値を返す。Ttx(Q)秒に2r≧4個のリソースブロックを使用してLビットを送信する成功確率を同じであると想定する。
【0020】
ダイバーシティ次数を増大させる代わりに、より良好なチャネル符号、及び増大したデータレートで送信するための多重リソースブロックを使用して送信することが可能である。
【0021】
スレーブノードiとマスターとの間の距離はdであり、スレーブi及びjの対間の距離はdijである。単一リソースブロックを使用した、スレーブノードiからマスターへのパケット送信の成功確率はP(d,1)であり、スレーブjが同じパケットを受信する成功確率はP(dij,1)である。マスターはこれらの確率を使用してスレーブをサブセットに割り当て、それに応じて、後述するようにアップリンク送信をスケジューリングする。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態によって使用されるスーパーフレーム200を示している。各スーパーフレームは、リソース配分及び同期のためのビーコン201から開始する。ビーコンの後には、競合アクセス期間(CAP)202と、無競合期間(CFP)203と、グループ肯定応答(GACK)204と、第1の拡張CFP(ECFP)205及び第2のECFP206とが続く。ECFPの後にもGACKが続き得る。このため、成功率を高めるための3回の送信機会(TxOP)が存在する。
【0023】
第1の送信は約2Ttx(Q)秒であり、第2の送信及び第3の送信はTtx(0)秒である。送信モードと受信モードとを切り換えるのに必要な時間はTta秒である。GACKにはTfb秒かかる。
【0024】
送信方式
反復直接送信モード
従来の反復直接送信(RDT)モードでは、第1のTxOPの間、各スレーブは周波数ダイバーシティ次数a=M/N、及びオーバーヘッドQ=0を使用して送信する。スレーブiに関する成功確率はP(d,a)である。送信時間は以下である。
【0025】
【数2】

【0026】
マスターがスレーブからのパケットの受信に失敗した場合、マスターはGACK204において再送信を要求する。後続のECFPの間のTtx(0)秒の時間割当量に適合するように、最大M/2個のスレーブが再送信する。
【0027】
失敗パケットの個数はKである。K<M/2の場合、M/2個のスレーブのみが、ダイバーシティ次数1でそれぞれ2つのリソースブロックを使用して再送信する。K<M/2の場合、各スレーブは、ダイバーシティ次数1で送信するための少なくとも2つのリソースブロックを有する。続いて、最も小さい成功確率を有するスレーブのダイバーシティ次数を増大させるために、2つのリソースブロックが一度に配分される。
【0028】
RDT初期化
送信が失敗したスレーブがセットE内で特定される。リソースブロックの残り個数はr=M−2Kである。スレーブiの成功確率は以下であり、
【0029】
【数3】

【0030】
スレーブiのためのダイバーシティ次数はD=I{i∈E}である。ここで、I{・}はインジケーター関数である。
【0031】
ステップ(1) 以下に従って、最小成功確率を有するスレーブを確定する。
【0032】
【数4】

【0033】
<Dの場合、以下に従って最小ダイバーシティ次数を有するスレーブを確定する。
【0034】
【数5】

【0035】
ステップ(2) スレーブiのダイバーシティ次数を増大させるようにリソースブロックを配分する。次のように更新する。P←D+1)、及びD←+1、及びr←−2。
【0036】
ステップ(3) r>0の場合、ステップ(1)に進む。そうでない場合、
【0037】
ステップ(4) スレーブiがダイバーシティ次数Dで2D個のリソースブロックを使用して再送信する。
【0038】
スレーブiからの再送信の成功確率はP(d,D)である。後続の送信のための時間は以下である。
【0039】
【数6】

【0040】
RDTモードを上回って成功率を高めることが所望されている。
【0041】
階層型中継送信モード
図3〜図5に示すように、RDTモードの場合のように、全てのスレーブノードに第1のTxOP中に同時に送信させるのではなく、マスターはN個のスレーブのセット311を、複数のサブセット、たとえば第1のサブセットA(i)301及び第2のサブセットB(j)302に分割することができる。第1のサブセット及び第2のサブセットは別個である。マスターはスレーブを複数のサブセットにわたって均等に分散し、スレーブはサブセットで順次送信する。
【0042】
第1のサブセットAからのスレーブiのみがパケットを送信し、一方でサブセットBからのマスター及びスレーブjは受信モードにある。次に、スレーブjのみがパケットを送信し、一方で第1のサブセット内のマスター及びスレーブiは受信モードにある。以下において、変数i及びj上のシンボル「^」は推定値を表す。
【0043】
図5は、ネットワークが見通し障壁(line-of-sight barrier)400を含む別の分割を示している。このように、分割は、距離、又は通常、成功確率に基づくことができる。
【0044】
本着想は、サブセットA内のスレーブiからのパケットの受信に成功したサブセットB内のスレーブjが、中継ノード(中継器)として動作することができるということである。パケットがマスターによって受信されず、かつスレーブjがマスターに送信する際、高い成功確率を有する場合、後の再送信期間中にスレーブiではなくスレーブjにパケットを再送信させることが理にかなっている。スレーブjがスレーブiよりもマスターに近いとき、又はマスターへのより良好なチャネル、すなわち通常、マスターがパケットを受信する、より高い成功確率を有するときにこれは起こり得る。
【0045】
したがって、第1の送信期間の間、サブセットA内のスレーブiが送信し(311)、一方でサブセットB内のスレーブはサブセットA内のスレーブから送信を受信する(312)。次に、サブセットBが送信し(322)、一方でサブセットAが受信する(321)。
【0046】
サブセットA内のスレーブiは、2a個のリソースブロックを使用して、ダイバーシティ次数a=M/Nで、パケットをTtx(0)秒で送信する。マスターは確率P(d,a)でパケットの受信に成功し、サブセットB内のスレーブjは、確率P(dij,a)でパケットの受信に成功する。
【0047】
スレーブjは、マスターに送信しているとき、スレーブiからの受信に成功したパケットを明示的に指示する。マスターはこの指示を使用して、後述するように再送信をスケジューリングする。
【0048】
サブセットB内のスレーブjは、2a個のリソースブロックを使用して、ダイバーシティ次数a=M/Nで、パケットをTtx(N/2)秒で送信する。マスターは確率P(d,a)でパケットの受信に成功する。第1のCFPの間のHRTのための時間は以下である。
【0049】
【数7】

【0050】
後続の再送信の間、リソースは、最小成功確率を有するスレーブの送信を改善するために、各失敗した送信が1つの直接再送信又は間接(中継)再送信を有するように配分される。
【0051】
HRTリソース配分
サブセットAについて、マスターへの送信に成功しなかったスレーブiは、最大M/2個のノードのセットE内にある。K≦M/2の場合、セットEは前回の送信に成功しなかった全てのノードを含む。K>M=2の場合、マスターは最大成功確率を有するノードを選択する。これは、フレーム構成が全てのスレーブが再送信するのに十分なリソースを有せず、それにも関わらず別の送信機会が必要であるためである。このため、本方法は、可能な限り多くの送信を解消し、それによって次の送信機会において残りのノードのためにより多くのリソースを残すことを試みる。
【0052】
スレーブiからマスターへの失敗した送信を受信したサブセットB内のスレーブjはセットY(i)内にある。セットE内のスレーブ毎に、マスターは、以下に従って、2つのリソースブロック及びダイバーシティ次数1を使用して再送信するためのセットY内のスレーブを選択する。
【0053】
【数8】

【0054】
上述したように、残りのリソースブロックはr=M−2Kであり、かつ以下である。
【0055】
【数9】

【0056】
再送信のダイバーシティ次数は以下である。
【0057】
【数10】

【0058】
次に、以下のステップが実行される。
【0059】
ステップ(1) 最小成功確率を有するスレーブはi=arg min:Dij<Piである。ij<Dの場合、マスターは以下の最小ダイバーシティ次数を有するスレーブを選択する。
【0060】
【数11】

【0061】
ステップ(2) マスターは、スレーブiからのパケットを再送信するためのスレーブjを以下のように選択する。
【0062】
【数12】

【0063】
ステップ(3) マスターは以下に従ってリソースブロックを配分する。
【0064】
【数13】

【0065】
ステップ(4) r>0の場合、ステップ(1)に進む。そうでない場合、
【0066】
ステップ(5) スレーブjがダイバーシティ次数Dijで、2Dij個のリソースブロックを使用して、スレーブiから受信したパケットを再送信する。
【0067】
送信のための時間は以下である。
【0068】
【数14】

【0069】
確率型中継送信モード
確率型中継送信(SRT)モードでは、スレーブはHRTの場合のように成功した受信を明示的に指示しない。そうではなく、マスターはスレーブが中継器として機能することができる尤度を求める。
【0070】
第1の送信のための時間は以下である。
【0071】
【数15】

【0072】
スレーブjがスレーブiから、マスターによって受信されなかったf個のパケットを受信した場合、ダイバーシティ次数Dの送信を用いた条件付き中継成功確率は以下である。
【0073】
【数16】

【0074】
スレーブjがスレーブiから受信したパケットの中継に失敗する回数は、変数fijに保持される。ここで、各スーパーフレームについて全ての要素がゼロに初期化される。SRTモードでは、セットY(i)が、スレーブiから潜在的にパケットを受信した全てのスレーブjを特定する。すなわち、Y(i)=BかつY(i)=Aである。
【0075】
失敗した送信へのリソース配分
各スレーブi∈Eについて、マスターは以下に従って、スレーブiから受信したパケットを2つのリソースブロック及びダイバーシティ次数1を使用して中継するためのスレーブjを選択する。
【0076】
【数17】

【0077】
残りのリソースブロックの個数はr=M−2Kであり、以下である。
【0078】
【数18】

【0079】
また、以下をセットする。
【0080】
【数19】

【0081】
次に、以下のステップが実行される。
【0082】
ステップ(1) マスターは、以下に従って、最小成功確率を有するスレーブを確定する。
【0083】
【数20】

【0084】
ij<Dの場合、マスターは、以下に従って、最小ダイバーシティ次数を有するスレーブjを確定する。
【0085】
【数21】

【0086】
ステップ(2) マスターは、スレーブiから受信したパケットを再送信するためのスレーブjを以下に従って確定する。
【0087】
【数22】

【0088】
ステップ(3) マスターは以下に従ってリソースブロックを配分する。
【0089】
【数23】

【0090】
ステップ(4) r>0の場合、ステップ(1)に進む。そうでない場合、
【0091】
ステップ(5) スレーブiがダイバーシティ次数Dijで2Dij個のリソースブロックを使用して、スレーブiから受信したパケットを再送信する。
【0092】
SRTモードにおいて、各後続の送信の後、送信していないスレーブが送信しているスレーブからパケットを受信することができるため、セットY(i)を更新することができる。後続の送信のそれぞれにかかる時間は以下である。
【0093】
【数24】

【0094】
ネットワーク分割
HRTノード分割
スレーブjがスレーブiへの再送信に失敗する回数はfijである。マスターは全てのスレーブについて確率P(d,1)を保持する。サブセットB内のスレーブのみがサブセットA内のスレーブiから受信したパケットを再送信することができるため、セットB内のスレーブjがサブセットA内のスレーブiよりも高い成功確率を有する場合のみ性能を改善することができる。したがって、マスターは、最小成功確率を有するスレーブをサブセットAに割り当て、より高い成功確率を有する他のスレーブをサブセットBに割り当てる。
【0095】
SRTノード分割
マスターは確率P(d,1)及びP(dij,1)を保持する。マスターは、直接送信及び間接送信の成功確率を検討して分割を確定する。マスターは、最小累積成功確率を有するスレーブiを確定する。各スレーブjは、1つのスレーブiのための中継器として機能することができ、各スレーブノードiは中継器として2つのスレーブjを有することができると想定される。
【0096】
スレーブi及び全ての中継スレーブjがダイバーシティ次数1で1回パケットを送信するとき、成功確率はz(i)に保持される。スレーブi又は中継スレーブjによる再送信の場合、成功確率はv(i)に保持される。
【0097】
中継スレーブjに関連付けられるスレーブiはセットS内にある。中継器に関連付けられないスレーブノードはセットR内にある。
【0098】
ステップ(1) マスターはz(i)=v(i)=P(d,1)を初期化し、S及びR、並びに有向エッジセットUをセットする。マスターはセットUに従ってスレーブを分割する。
【0099】
ステップ(2) マスターは、以下に従って、最小成功確率を有するスレーブを確定し、
【0100】
【数25】

【0101】
セットSが空である場合、ステップ(7)に進む。
【0102】
ステップ(3) マスターは、以下に従って、最大成功確率を有するスレーブを確定し、
【0103】
【数26】

【0104】
ここで、関数maxは最大値を返す。
【0105】
ステップ(4) 中継スレーブを使用することによって再送信の成功確率が高まらない場合、すなわちq(i,j,0,1)≦v(i)である場合、スレーブiは追加の中継スレーブに関連付けられる必要がない。したがって、スレーブiをセットSから取り除き、ステップ(2)に進む。
【0106】
ステップ(5) 有向エッジ(i,j)をセットUに追加する。スレーブjをセットRから除去する。セットUがスレーブiから発生する2つのエッジを有する場合、スレーブiをセットSから除去する。
【0107】
ステップ(6) 以下のようにz(i)及びv(i)を更新し、
【0108】
【数27】

【0109】
ステップ(2)に進む。
【0110】
ステップ(7) マスターは、有向エッジセットUに従って、スレーブをサブセットに割り当てる。
【0111】
有向エッジセットUは、ツリー構造及び周期を形成する。ツリー構造の場合、ツリーの隣接するレベルのスレーブは、交互のサブセットに割り当てられる。周期が偶数のノードを含む場合、ノードを交互のサブセットに割り当てることができる。ノードの個数が奇数である場合、エッジが削除され、周期がツリーになる。
【0112】
本発明を好ましい実施の形態の例として説明してきたが、本発明の精神及び範囲内で様々な他の適応及び変更を行うことができることは理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲内に入るすべての変形及び変更を包含することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターノードと、N個のスレーブノードのセットとを含む無線スター型ネットワークにおいてパケットを通信するための方法であって、前記ネットワークは直交周波数分割多元接続を使用し、
前記マスターノードによって、第1のサブセットA(i)及び第2のサブセットB(j)内の前記スレーブノードのセットを分割するステップであって、前記第1のサブセット及び前記第2のサブセットは別個である、分割するステップと、
前記マスターノード及び前記スレーブノードの第2のサブセットが受信モードで動作している間のみ前記スレーブノードの第1のサブセットによってパケットを送信するステップと、
前記マスターノード及び前記スレーブノードの第1のサブセットが受信モードで動作している間のみ前記スレーブノードの第2のサブセットによってパケットを送信するステップと
を含む、無線スター型ネットワークにおいてパケットを通信するための方法。
【請求項2】
前記第1のサブセット及び前記第2のサブセットにわたって前記N個のスレーブノードを均等に分散するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
各パケットは、Lビットのデータと、Qビットのオプションのプロトコル固有のオーバーヘッドとを含み、ビットレートは毎秒Rビットであり、チャネル経路損失指数はαであり、単一リソースブロックを使用したL+Qビットの送信のパケット成功率はexp(−cdα)であり、ここで、cは定数であり、dは前記スレーブノードと前記マスターノードとの間の距離であり、送信時間は(L+Q)/Rであり、前記マスターノードと前記スレーブノードとの間のチャネルによって、最大D個の独立リソースブロックが可能になり、前記スレーブノードは2Ttx(Q)秒にr≧2個のリソースブロックを使用してL+Qビットを送信し、ダイバーシティ次数が増大することによって、成功確率が以下まで高まり、
【数1】

ここで、関数expは指数関数であり、関数minは最小値を返す、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記スレーブノードiと前記マスターノードとの間の距離はdであり、前記スレーブノードiと前記スレーブノードjとの間の距離はdijであり、単一リソースブロックを使用して前記スレーブノードiから前記マスターノードに前記パケットを送信する成功確率はP(d,1)であり、前記スレーブノードjが前記パケットを受信する成功確率はP(dij,1)である、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記マスターノードによって、前記スレーブノードの第1のサブセットから前記パケットを受信する成功確率に基づいて、前記スレーブノードを前記第2のサブセットに割り当てるステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記分割するステップは、前記マスターノードと前記スレーブノードのセットとの間の距離に従う、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記スレーブノードの第2のサブセットは、前記マスターノードが前記スレーブノードの第1のサブセットからの前記パケットの受信に成功しなかった場合、前記スレーブノードの第1のサブセットからの受信に成功した前記パケットを送信する、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記スレーブノードの第2のサブセットは、前記スレーブノードの第1のサブセットからの前記パケットの受信に成功したとき、前記マスターノードに明示的に指示する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記マスターノードが前記スレーブノードの第1のサブセットからの前記パケットの受信に成功しなかった場合、前記マスターノードによって、前記スレーブノードの第2のサブセットから、前記スレーブノードの第1のサブセットからの受信に成功した前記パケットを送信する最大成功確率を有するスレーブノードを選択するステップをさらに含む、
請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−139460(P2011−139460A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−285951(P2010−285951)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】