説明

無線センサネットワークおよびその設置方法

【課題】 簡易な構成で複数の無線センサ間の通信レベルを測定することができる無線センサネットワークを提供する。
【解決手段】 無線センサネットワーク1は、各々に識別情報を有する複数の無線センサ2と、複数の無線センサ2のうち任意の2つを選択し、一方を第1テストセンサ8、他方を第2テストセンサ9として設定する通信レベル表示装置3とを備え、この通信レベル表示装置3は、第1テストセンサ8に通信レベルテスト指令21を無線送信して、第1テストセンサ8から第2テストセンサ9にテスト信号22を無線送信させ、第2テストセンサ9は、テスト信号22の受信における通信レベルを測定し通信レベル測定結果23として通信レベル表示装置3に無線送信し、通信レベル表示装置3は、選択された無線センサ2の識別情報とともに通信レベル測定結果23を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線センサによって無線通信を行う無線センサネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の原子力発電所をはじめとする発電プラントのプラント監視においては、プラント内に複数の無線センサを設置して無線センサネットワークを構築し、プラント内の各所に設置した温度計や圧力計等によって測定したプラント情報を無線センサネットワークを介して制御盤や中央監視室に収集し、装置異常の早期発見やプラントの挙動監視等に役立てることが想定されている。
【0003】
無線通信によってデータ伝送を行う無線センサは、信号の障害物となる壁や配管などの構造物の影響によって、受信強度や受信成功率といった通信レベルが低下し、信号の再送信や送信出力等の制御、他の無線センサへのデータの迂回等の対応が必要となる。さらに動作に必要な電源の負荷が増大し、特に無線センサが電池駆動の場合は駆動期間への影響も懸念される。そこで、無線センサの位置変更やアンテナの角度変更といった無線センサの設置調整に関する以下の技術が開発されている。
【0004】
無線親機と複数の無線子機からなる無線テレメータシステムにおいて、無線親機から無線子機に受信レベル測定電文を送信させ、無線子機に受信レベル測定電文の通信レベルを測定させ、表示装置等に測定した通信レベルを表示させることによって、無線親機および無線子機の設置調整を行う技術が公開されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
複数の無線センサを仮設置し、特定の無線センサに複数の他の無線センサから通信レベルの測定用信号を一斉送信し、特定の無線センサが測定用信号を受信して他の無線センサとの各々の通信レベルの測定を行い、さらに特定の無線センサを順次切替えて同様の測定を行い、計測用PCに全ての無線センサ間の通信レベルをマトリクス状に表示させ、これを無線センサの設置調整に用いる技術が公開されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−151062号公報
【特許文献2】特開2010−45701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、無線センサの設置位置の調整は、センサ設置員が複数の無線センサが仮設置されている現場において、位置調整すべき2つの無線センサ間の通信レベルを確認しながら設置調整を行うことが一般的である。しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、親機から子機への一方向の通信レベルを測定するものであり、複数の無線センサ同士が相互に通信を行う無線センサネットワークにおいて、設置調整すべき任意の2つの無線センサ間の通信レベルを測定することはできない。
【0008】
さらに、上述した特許文献2に記載の技術は、1つの特定の無線センサに対して複数の他の無線センサから一斉に測定用信号を送信し、特定の無線センサは各々の通信レベルを測定しており、設置調整すべき任意の2つの無線センサ間のみの通信レベルを測定することはできない。さらに、特定の無線センサが複数の他の無線センサから測定用信号を受信して通信レベルを測定し、各々の通信レベル測定結果を集約して計測用PCに送信し、さらに計測用PCは全ての無線センサ間の通信レベルをマトリクス状に表示させているため、各無線センサおよび計測用PCの設定やプログラミングに係るコストが増大し、設備が冗長する可能性がある。
【0009】
そこで本発明は、簡易な構成で任意の2つの無線センサ間の通信レベルを測定することができる無線センサネットワークの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の無線センサネットワークは、各々に識別情報を有する複数の無線センサと、複数の無線センサのうち任意の2つを選択し、一方を第1テストセンサ、他方を第2テストセンサとして設定することができる通信レベル表示装置とを備え、この通信レベル表示装置は、第1テストセンサに通信レベルテスト指令を無線送信して、第1テストセンサから第2テストセンサにテスト信号を無線送信させ、第2テストセンサは、テスト信号の受信における通信レベルを測定し通信レベル測定結果として通信レベル表示装置に無線送信し、通信レベル表示装置は、第2テストセンサから通信レベル測定結果を無線受信し、少なくとも第2テストセンサの識別情報とともに通信レベル測定結果を表示することを特徴とする。
【0011】
さらに上記目的を達成するために、本発明の無線センサの設置方法は、各々に識別情報を有する複数の無線センサのうち任意の2つを選択し、一方を第1テストセンサ、他方を第2テストセンサとして設定する工程と、第1テストセンサから第2テストセンサにテスト信号を無線送信させる工程と、第2テストセンサによってテスト信号を受信して通信レベルを通信レベル測定結果として測定する工程と、通信レベル測定結果を無線受信しディスプレイに少なくとも第2テストセンサの識別情報とともに通信レベル測定結果を表示する工程と、通信レベル測定結果に基づいて第1テストセンサおよび第2テストセンサの設置位調整する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成で無線センサネットワークにおける任意の2つの無線センサ間の通信レベルを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線センサネットワークの概略構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線センサネットワークの通信レベル表示装置の表示例を示す概略図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る無線センサネットワークの概略構成図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る無線センサネットワークの通信アンテナの回転動作を示す概略構成図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る無線センサネットワークの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る無線センサネットワークについて図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線センサネットワークの概略構成図である。
【0016】
無線センサネットワーク1は、複数の無線センサ2と、通信レベル表示装置3とから構成される。図2は、本発明の第1の実施形態に係る無線センサネットワークの通信レベル表示装置の表示例を示す概略図である。通信レベル表示装置3は、センサ指定部4と、テスト信号送信指令部5と、通信レベル測定結果受信部6と、通信レベル測定結果表示部7とから構成される。通信レベル表示装置3は可搬性を有し、表示およびタッチ操作による入力操作が可能なタッチパネルディスプレイによってセンサ指定部4および通信レベル測定結果受信部6を表示させることができる。さらにテスト信号送信指令部5および通信レベル測定結果表示部7には、無線センサ2と相互に通信可能な無線装置が適用される。
【0017】
複数の無線センサ2は、相互の無線通信によってデータの送受信をすることができる。無線センサ2の通信方式として、Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)など、複数の無線センサ2によって無線PAN(Personal Area Network)を構築することができる通信方式を適用することができる。
【0018】
さらに、複数の無線センサ2には各々識別情報が付加される。識別情報として、製造番号やシリアル番号を適用することができる。さらに無線センサ2の設置場所や用途についての情報を付加してもよい。送信元および受信先の無線センサ2の識別情報を送信データに付加することによって特定の無線センサ2に送信データを受信させ、送信元の無線センサ2を受信先の無線センサ2に認識させることができる。さらに各無線センサ2は、通信レベル測定機能を有し、後述するテスト信号22の通信レベルの測定を行うことができる。
【0019】
また、図1に示すように複数の無線センサ2に対して中継局11や基地局12を介して基幹ネットワーク13を接続することで、複数の無線センサ2が伝送するデータを基幹ネットワーク13において送受信することができる。さらに基幹ネットワーク13はインターネット14やデータ収集を行うサーバ15に接続され、インターネット14やサーバ15と複数の無線センサ2とのデータの送受信が可能となる。この構成によって、例えば図1に示すように、遠方に設置された温度計の測定データを複数の無線センサ2および基幹ネットワーク13を介してサーバ15に受信させ、基幹ネットワーク13から複数の無線センサ2を介して遠方に設置されたアクチュエータに動作指令を送信して動作させることができる。
【0020】
図2に示すように、センサ指定部4は、複数の無線センサ2の識別情報を一覧表示し、タッチパネルディスプレイのタッチ操作によって複数の無線センサ2から任意の2つを、一方を第1テストセンサ8、他方を第2テストセンサ9として選択することができる。
【0021】
テスト信号送信指令部5は、後述する通信レベルテスト指令21を第1テストセンサ8に送信することができる。また、通信レベル測定結果受信部6は、後述する通信レベル測定結果23を受信することができる。さらに通信レベル測定結果表示部7は、タッチパネルディスプレイ上に無線センサ2の識別情報とともに通信レベル測定結果23を表示させることができる。
【0022】
(作用)
以下、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。センサ設置員は、通信レベル表示装置3を用いて無線センサ2の設置位置の調整を行う。最初に、複数の無線センサ2の仮設置を行う。無線センサ2の仮設置は、無線センサ2の無線信号の伝播距離や信号強度を考慮して行われる。以下、図1に示すように無線センサ2a、2b、2c、2d、2eが各所に仮設置されたものとする。
【0023】
無線センサ2の設置位置の調整は、2つの無線センサ2間の通信レベルを測定することによって行われる。センサ設置員は、通信レベル表示装置3を位置調整すべき2つの無線センサ2と通信可能な位置に配置する。さらに通信レベル表示装置3が2つの無線センサ2の両方と通信できるように、通信レベル表示装置3は2つの無線センサ2の間に挟まれる位置に配置することが望ましい。以下、複数の無線センサ2のうち、無線センサ2cと無線センサ2eとの間の通信レベルを測定する場合について説明する。
【0024】
図2に示すように、通信レベル表示装置3のセンサ指定部4には、仮設置された無線センサ2a、2b、2c、2d、2eが、識別情報をそれぞれセンサa、センサb、センサc、センサd、センサeとして一覧表示されている。ここで、仮設置された無線センサ2の識別情報を一覧表示させる方法として、あらかじめ通信レベル表示装置3に仮設置する無線センサ2の識別情報を入力する方法を適用する。または、通信レベル表示装置3によって仮設置された無線センサ2を探索する探索信号を送信し、仮設置された無線センサ2がこの探索信号に応答して自己の識別情報を通信レベル表示装置3に送信することによって通信レベル表示装置3が無線センサ2の識別情報を収集してもよい。
【0025】
センサ設置員は、通信レベル表示装置3のセンサ指定部4を用いて、複数の無線センサ2のうち無線センサ2cを第1テストセンサ8、無線センサ2eを第2テストセンサ9として選択する。無線センサ2の選択の後、通信レベル表示装置3は、第1テストセンサ8に通信レベルテスト指令21を送信する。
【0026】
第1テストセンサ8は、通信レベル表示装置3から通信レベルテスト指令21を受信して、第2テストセンサ9にテスト信号22を送信する。ここで、テスト信号22とは2つの無線センサ2間の通信レベルを測定するための信号である。通信レベルの測定は、第2テストセンサ9によるテスト信号22の受信強度やテスト信号22の受信成功率を測定することによって測定される。
【0027】
ここで、第1テストセンサ8がテスト信号22を得て、第2テストセンサ9に送信する方法として、通信レベル表示装置3が通信レベルテスト指令21にテスト信号22を付加して送信し、第1テストセンサ8が通信レベル表示装置3から受信したテスト信号22を用いて第2テストセンサ9に送信する方法を適用する。または、各々の無線センサ2において記憶装置にあらかじめテスト信号22を記憶しておき、通信レベルテスト指令21の受信に伴ってテスト信号22を読み込み、第2テストセンサ9に送信してもよい。
【0028】
第2テストセンサ9は、テスト信号22を受信して通信レベル測定機能によって通信レベルの測定を行う。例えば、テスト信号22の受信強度やテスト信号22の受信成功率を通信レベルとして測定することができる。
【0029】
さらに第2テストセンサ9は、通信レベルの測定結果を通信レベル測定結果23としてデータ化し、通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果受信部6に通信レベル測定結果23を送信する。通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果表示部7は、図2に示すように通信レベル測定結果受信部6が受信した通信レベル表示装置3を用いてタッチパネルディスプレイ上に選択した無線センサ2の識別情報とともに通信レベル測定結果23を表示する。ここで、無線センサ2の設置位置調整は、信号の送信元の無線センサ2を固定し、信号の受信先の無線センサ2を位置調整することが一般的である。したがって、タッチパネルディスプレイ上に表示する無線センサ2の識別情報は、第1テストセンサ8と第2テストセンサ9のうち少なくとも第2テストセンサ9として選択した無線センサ2を表示させればよい。
【0030】
センサ設置員は、タッチパネルディスプレイ上で選択した無線センサ2の識別情報とともに通信レベル測定結果23を確認し、選択した2つの無線センサ2の設置位置の変更や通信アンテナの角度変更といった設置調整を行う。調整を行った後、再び通信レベルの測定を行い、あらかじめ定めた通信レベルの基準値を満たすことを確認して設置調整を完了する。
【0031】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、通信レベル表示装置3によって設置調整すべき2つの無線センサ2を選択し、通信レベルを測定させて、タッチパネルディスプレイ上に表示させることによって、センサ設置員が無線センサ2の設置現場において無線センサ2の通信レベルを確認し、無線センサ2の設置調整を行うことができる。
【0032】
なお、無線センサネットワーク1において全ての無線センサ2が相方向のデータ伝送を行うだけでなく、無線センサ2の設置位置や用途によっては一方向のデータ伝送を行うものも存在する。このときは、データの送信元の無線センサ2を第1テストセンサ8、受信先の無線センサ2を第2テストセンサ9として選択し、通信レベルの測定を行うものとする。
【0033】
(第2の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第2の実施形態に係る無線センサネットワークについて図3を参照して説明する。第1の実施形態に係る無線センサネットワークの各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0034】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る無線センサネットワークの概略構成図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果受信部6が第2テストセンサ9に代えて、第1テストセンサ8から通信レベル測定結果23を受信する点である。
【0035】
図3に示すように、第2テストセンサ9は通信レベル測定結果23を第1テストセンサ8に送信する。さらに第1テストセンサ8は、第2テストセンサ9から受信した通信レベル測定結果23を通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果受信部6に送信する。
【0036】
(作用)
以下、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。第1の実施形態と同様に、無線センサ2a、2b、2c、2d、2eが仮設置され、無線センサ2cと無線センサ2eとの間の通信レベルを測定する場合について説明する。また、第1テストセンサ8および第2テストセンサ9の選択までの作用は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0037】
本実施形態において通信レベル表示装置3は、第1テストセンサ8に通信レベルテスト指令21を送信し、第1テストセンサ8から通信レベル測定結果23を受信する。したがってセンサ設置員は、通信レベル表示装置3を第1テストセンサ8と通信可能な位置に配置する。
【0038】
センサ指定部4で無線センサ2cが第1テストセンサ8として、無線センサ2eが第2テストセンサ9として選択された後、通信レベル表示装置3は第1テストセンサ8に通信レベルテスト指令21を送信する。
【0039】
第1テストセンサ8は、通信レベル表示装置3から通信レベルテスト指令21を受信して、第2テストセンサ9にテスト信号22を送信する。第2テストセンサ9は、第1の実施形態と同様に、テスト信号22を受信して通信レベルを測定する。
【0040】
さらに第2テストセンサ9は、通信レベルの測定結果を通信レベル測定結果23としてデータ化し、第1テストセンサ8に通信レベル測定結果23を送信する。第1テストセンサ8は、通信レベル測定結果23を受信し、これを通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果受信部6に送信する。
【0041】
通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果表示部7は、通信レベル測定結果受信部6が受信した通信レベル測定結果23をタッチパネルディスプレイ上に無線センサ2の識別情報とともに表示する。
【0042】
さらに上述した第1テストセンサ8から第2テストセンサ9へのテスト信号22の送信による通信レベルの測定に加え、第1テストセンサ8によって通信レベル測定結果23の受信時における通信レベルを測定してもよい。この場合、第1テストセンサ8の通信レベル測定結果23の受信における通信レベルを第2通信レベル測定結果24としてデータ化し、第1テストセンサ8は第2通信レベル測定結果24を通信レベル表示装置3に送信し、通信レベル表示装置3は通信レベル測定結果23に加えて第2通信レベル測定結果24を表示させることができる。
【0043】
なお、第2通信レベル測定結果24の通信レベルの測定は、通信レベル測定結果23の受信時における通信レベルを測定するだけでなく、第2テストセンサ9から第1テストセンサ8に新たに第2テスト信号を送信させ、第1テストセンサ8が第2テスト信号の通信レベルを測定することによって行ってもよい。
【0044】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、通信レベル表示装置3が第1テストセンサ8のみと通信することによって、第1テストセンサ8と第2テストセンサ9との通信レベルを測定することができる。したがって、例えば2つの無線センサ2が隣り合うビルの高層階同士に設けられる場合など、第1テストセンサ8と第2テストセンサ9との間にセンサ設置員が向かうことができない場所において、2つの無線センサ2間の通信レベルを測定することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第3の実施形態に係る無線センサネットワークについて図4を参照して説明する。第1の実施形態に係る無線センサネットワークの各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0046】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る無線センサネットワークの通信アンテナの回転動作を示す概略構成図である。第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、無線センサ2は通信アンテナを回転させる駆動機構を新たに備え、通信レベル表示装置3は通信アンテナ駆動指令25を新たに送信する機能を備える点である。
【0047】
(作用)
以下、本発明の第3の実施形態の作用について説明する。無線センサ2の通信アンテナから送信される信号は全方位に伝播せず、指向性を持って伝播する場合がある。そして、無線センサ2の通信レベルの低下は、送信元の無線センサ2の信号の伝播範囲から受信先の無線センサ2が外れることによって生じる場合がある。
【0048】
したがって上述した実施形態における通信レベルの測定を行った結果、通信レベルが基準値より低い場合には、通信レベル表示装置3は無線センサ2のうち第1テストセンサ8に通信アンテナ駆動指令25を送信する。
【0049】
無線センサ2cは、通信アンテナ駆動指令25を受信して駆動機構によって通信アンテナを回転させる。さらに、通信レベル表示装置3によって異なる通信アンテナの回転位置において通信レベルの測定を行う。通信レベル表示装置3は通信レベル測定結果23を受信し、通信レベルが基準値を満たすとき、または通信レベルが最高となったときに通信アンテナ駆動指令25の送信を停止して通信アンテナの回転を停止させる。
【0050】
さらに、受信先の無線センサ2も受信感度に指向性を有する場合がある。この場合、第2テストセンサ9として選択した無線センサ2eに通信アンテナ駆動指令25を送信して通信アンテナを回転させ、通信レベルが基準値を満たす位置に通信アンテナを調整する。
【0051】
さらに、上述した無線センサ2の仮設置をする工程、通信レベルの測定を行う工程、通信アンテナを回転させる工程を含む無線センサ2の設置から位置調整までの一連の工程についてタッチパネルディスプレイ上にナビゲーションを表示させても良い。この場合、タッチパネルディスプレイには各工程の説明や、通信レベルが低いため通信アンテナの回転調整が必要である旨の通知等が表示されるものとする。
【0052】
(効果)
本発明の第3の実施形態によれば、通信レベル表示装置3によって無線センサ2の無線アンテナを回転させ通信レベルを測定することによって、通信レベルの良好な位置に無線アンテナを調整することができる。なお無線センサ2の駆動機構には、通信アンテナを回転させるだけでなく、通信アンテナを伸縮、または屈折させる駆動機構を適用してもよい。
【0053】
(第4の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第4の実施形態に係る無線センサネットワークについて図5を参照して説明する。第1の実施形態に係る無線センサネットワークの各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0054】
図5は、本発明の第4の実施形態に係る無線センサネットワークを示す概略構成図である。第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、通信レベル表示装置3が測定した通信レベル測定結果23を時系列に記憶する通信レベル記憶装置10を備える点である。
【0055】
(作用)
以下、本発明の第4の実施形態の作用について説明する。無線センサ2は、設置調整後も周囲の構造物の変化や、温度や湿度等の条件によって通信レベルが変化するおそれがある。
【0056】
そこで、センサ設置員は定期的に通信レベル表示装置3によって無線センサ2の通信レベルを測定する。通信レベル表示装置3は、通信レベルの測定毎に内部の通信レベル記憶装置10に通信レベル測定結果23を時系列に記憶する。通信レベル表示装置3の通信レベル測定結果表示部7は、通信レベル記憶装置10に記憶されている時系列の通信レベル測定結果23をタッチパネルディスプレイ上にグラフ表示し、さらにあらかじめ定めた通信レベルの基準値を下回ったときに通信レベル低としてアラームを通知する。
【0057】
さらに、無線センサ2に異常判定機能を持たせてもよい。異常判定の方法として、内蔵電池の容量低下の検出や、模擬信号の発信確認等の方法を適用することができる。この異常判定機能は、自己の無線センサ2の異常時に異常を示す異常判定信号を送信する。異常判定信号の送信は、通信レベル測定時の通信レベル測定結果23とともに、または自発的に送信するものとする。
【0058】
通信レベル表示装置3は、異常判定信号を受信してタッチパネルディスプレイ上に異常ある無線センサ2の識別情報とともに異常を表示する。この場合、通信レベル表示装置3において上述した周囲の構造物等の影響による通信レベルの低下と、無線センサ2自身の故障や劣化による通信レベルの低下を区別して確認することができる。
【0059】
(効果)
本発明の第4の実施形態によれば、通信レベル表示装置3の通信レベル記憶装置10に時系列の通信レベル測定結果23を記憶させ、通信レベル測定結果表示部7によってタッチパネルディスプレイ上に表示させることによって、無線センサ2の設置後の通信レベルの経過を監視し、通信レベルに悪影響をもたらす構造物や温度条件等を特定することができる。
【0060】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限られないことは言うまでもない。例えば、無線センサ2の数や通信方式、通信データは無線センサ2が構築するネットワークの規模や目的によって適宜変更され得るものである。
【0061】
さらに、センサ指定部4および通信レベル測定結果表示部7は、タッチパネルディスプレイによる表示とタッチ操作によって構成するだけでなく、ディスプレイと入力装置を備えた汎用的なパーソナルコンピュータによって構成してもよい。この場合、パーソナルコンピュータは無線センサ2と相互に通信可能な通信機能を有するものとする。なお、上述した第1から第4の実施形態は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・無線センサネットワーク
2・・・無線センサ
3・・・通信レベル表示装置
4・・・センサ指定部
5・・・テスト信号送信指令部
6・・・通信レベル測定結果受信部
7・・・通信レベル測定結果表示部
8・・・第1テストセンサ
9・・・第2テストセンサ
10・・・通信レベル測定結果記憶装置
11・・・中継局
12・・・基地局
13・・・基幹ネットワーク
14・・・インターネット
15・・・サーバ
21・・・通信レベルテスト指令
22・・・テスト信号
23・・・通信レベル測定結果
24・・・第2通信レベル測定結果
25・・・通信アンテナ駆動指令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々に識別情報を有する複数の無線センサと、
複数の前記無線センサのうち任意の2つを選択し、一方を第1テストセンサ、他方を第2テストセンサとして設定することができる通信レベル表示装置とを備え、
この通信レベル表示装置は、前記第1テストセンサに通信レベルテスト指令を無線送信して、前記第1テストセンサから前記第2テストセンサにテスト信号を無線送信させ、
前記第2テストセンサは、前記テスト信号の受信における通信レベルを測定し通信レベル測定結果として前記通信レベル表示装置に無線送信し、
前記通信レベル表示装置は、前記第2テストセンサから前記通信レベル測定結果を無線受信し、少なくとも前記第2テストセンサの前記識別情報とともに前記通信レベル測定結果を表示することを特徴とする無線センサネットワーク。
【請求項2】
各々に識別情報を有する複数の無線センサと、
複数の前記無線センサのうち任意の2つを選択し、一方を第1テストセンサ、他方を第2テストセンサとして設定することができる通信レベル表示装置とを備え、
この通信レベル表示装置は、前記第1テストセンサに通信レベルテスト指令を無線送信して、前記第1テストセンサから前記第2テストセンサにテスト信号を無線送信させ、
前記第2テストセンサは、前記テスト信号の受信における通信レベルを測定し、通信レベル測定結果を前記第1テストセンサに無線送信し、
前記第1テストセンサは、前記通信レベル測定結果を前記通信レベル表示装置に無線送信し、
前記通信レベル表示装置は、前記第1テストセンサから前記通信レベル測定結果を無線受信し、少なくとも前記第2テストセンサの前記識別情報とともに表示することを特徴とする無線センサネットワーク。
【請求項3】
前記第1テストセンサは、前記第2テストセンサからの前記通信レベル測定結果の受信における前記通信レベルを測定し、第2通信レベル測定結果として前記通信レベル表示装置に送信し、
前記通信レベル表示装置は、前記通信レベル測定結果および前記第2通信レベル測定結果を表示させることを特徴とする請求項2に記載の無線センサネットワーク。
【請求項4】
前記通信レベルは、前記第2テストセンサが受信した前記テスト信号の受信強度であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の無線センサネットワーク。
【請求項5】
前記通信レベルは、前記第2テストセンサが受信した前記テスト信号の通信成功率であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の無線センサネットワーク。
【請求項6】
前記無線センサは、データ通信を行う通信アンテナを駆動する駆動機構を有し、
前記通信レベル表示装置は、前記無線センサに通信アンテナ駆動指令を送信して前記駆動機構によって通信アンテナ駆動をさせて前記通信レベルの測定を行い、基準値を満たす位置に前記通信アンテナを調整することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の無線センサネットワーク。
【請求項7】
前記通信レベル表示装置は、前記通信レベル測定結果を時系列で記録する通信レベル記憶装置をさらに備え、
前記通信レベル表示装置は、前記通信レベル記憶装置に記録された前記通信レベルを時系列で表示し、あらかじめ定めた前記通信レベルの基準値を下回るときにアラームを通知することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の無線センサネットワーク。
【請求項8】
前記無線センサは、自己の異常時に異常を示す異常判定信号を送信する異常判定機能をさらに有し、
前記通信レベル表示装置は、前記異常判定信号を受信して異常ある前記無線センサを前記識別情報とともに表示することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の無線センサネットワーク。
【請求項9】
前記通信レベル表示装置は、複数の前記無線センサを探知する探索信号を送信し、
前記無線センサは、前記探索信号の応答として前記識別情報を前記通信レベル表示装置に送信し、
前記通信レベル表示装置は、前記無線センサの前記識別情報を表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の無線センサネットワーク。
【請求項10】
各々に識別情報を有する複数の無線センサのうち任意の2つを選択し、一方を第1テストセンサ、他方を第2テストセンサとして設定する工程と、
前記第1テストセンサから前記第2テストセンサにテスト信号を無線送信させる工程と、
前記第2テストセンサによって前記テスト信号を受信して通信レベルを通信レベル測定結果として測定する工程と、
前記通信レベル測定結果を無線受信しディスプレイに少なくとも前記第2テストセンサの前記識別情報とともに前記通信レベル測定結果を表示する工程と、
前記前記通信レベル測定結果に基づいて前記第1テストセンサおよび前記第2テストセンサの設置調整する工程とを備えることを特徴とする無線センサの設置方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−31014(P2013−31014A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166078(P2011−166078)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】