説明

無線タグシステム

【課題】所定時間間隔で識別情報を送信する無線タグを備えたシステムにおいて、受信装置側での無線タグの監視精度を低下させることなく、無線タグの消費電力を低減する。
【解決手段】無線タグは、タグ情報を送信すると(S110)、受信装置からの応答信号を受信できたか否かを判断し(S130)、応答信号を受信できないときには、次にタグ情報を送信するまでの送信間隔として、標準待機時間△T2を設定する(S140)。また、応答信号を受信できているときには、受信装置側でのタグ情報の受信レベルL1及び無線タグ側での応答信号の受信レベルL2を取得して、これらの前回値からの変化量△L1、△L2を算出し(S160)、変化量△L1、△L2が共に閾値以上である場合には、送信間隔に最小待機時間△T1(<△T2)を設定し(S180)、そうでなければ、送信間隔に最大待機時間△T3(>△T2)を設定する(S190)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象に付与された無線タグから無線送信される識別情報を受信する受信装置を備え、その受信した識別情報から、監視対象を認識したり、監視対象の監視対象の位置や移動を監視するのに利用される無線タグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグとしては、通信相手から電源供給を受けて動作し、予め記憶された識別情報を送信するパッシブ型のものと、電池を内蔵し、通信相手から電源供給を受けることなく識別情報等を送信することのできるアクティブ型のものが知られている。
【0003】
このうち、アクティブ型の無線タグは、識別情報を定期的に送信させることができるので、その送信信号を受信する受信装置を監視領域に複数分散配置し、各受信装置による識別情報の受信状態を監視することで、無線タグ(延いては、監視対象となる物品や人)の位置や移動を簡単に把握することができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−268837号公報
【特許文献2】特開2010−130028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように無線タグの位置や移動を監視できるようにするには、無線タグから定期的に識別情報を送信しなければならず、その定期送信によって電池の電力が頻繁に消費され、電池寿命が短くなるという問題があった。
【0006】
また、電池寿命を延ばすには、無線タグからの定期送信間隔を長くすればよいが、定期送信間隔を単に長くしたのでは、監視対象の移動の検出遅れが生じ、場合によっては、監視対象の位置や移動方向を把握できなくなることも考えられる。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、識別情報を自発的に送信する無線タグを備えた無線タグシステムにおいて、無線タグからの識別情報の送信間隔を調整することで、無線タグの監視精度を低下させることなく、無線タグの電池の電力消費量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、
無線通信を行うための第1無線通信部、所定の時間間隔で前記第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる送信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電池を備えた無線タグと、
無線通信を行うための第2無線通信部、該第2無線通信部にて前記無線タグから送信された識別情報が受信されると、該識別情報を、前記無線タグを監視する監視手段に出力する受信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電源供給手段を備えた受信装置と、
を備えた無線タグシステムであって、
前記受信装置は、
前記第2無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第1レベル検出手段を備え、
前記受信手段における前記受信制御手段は、
前記第2無線通信部にて前記無線タグから送信された前記識別情報が受信されると、前記第1レベル検出手段にて検出された該識別情報の受信レベルを含む応答信号を、前記第2無線通信部から前記無線タグに送信させ、
前記無線タグは、
前記第1無線通信部にて前記受信装置から送信された前記応答信号が受信されると、該応答信号に含まれる受信レベルの前回値からの変化量を算出し、該算出した変化量が所定の閾値以上であれば、前記送信間隔が短くなり、該算出した変化量が前記閾値未満であれば、前記送信間隔が長くなるよう、前記送信制御手段による前記識別情報の送信間隔を設定する送信間隔設定手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、
無線通信を行うための第1無線通信部、所定の時間間隔で前記第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる送信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電池を備えた無線タグと、
無線通信を行うための第2無線通信部、該第2無線通信部にて前記無線タグから送信された識別情報が受信されると、該識別情報を、前記無線タグを監視する監視手段に出力する受信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電源供給手段を備えた受信装置と、
を備えた無線タグシステムであって、
前記受信手段における前記受信制御手段は、
前記第2無線通信部にて前記無線タグから送信された前記識別情報が受信されると、前記第2無線通信部から前記無線タグに応答信号を送信させ、
前記無線タグは、
前記第1無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第2レベル検出手段と、
前記第1無線通信部にて前記受信装置から送信された前記応答信号が受信されると、前記第2レベル検出手段にて検出された該応答信号の受信レベルの前回値からの変化量を算出し、該算出した変化量が所定の閾値以上であれば、前記送信間隔が短くなり、該算出した変化量が前記閾値未満であれば、前記送信間隔が長くなるよう、前記送信制御手段による前記識別情報の送信間隔を設定する送信間隔設定手段と、
を備えたことを特徴とする無線タグシステム。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、
無線通信を行うための第1無線通信部、所定の時間間隔で前記第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる送信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電池を備えた無線タグと、
無線通信を行うための第2無線通信部、該第2無線通信部にて前記無線タグから送信された識別情報が受信されると、該識別情報を、前記無線タグを監視する監視手段に出力する受信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電源供給手段を備えた受信装置と、
を備えた無線タグシステムであって、
前記受信装置は、
前記第2無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第1レベル検出手段を備え、
前記受信装置における前記受信制御手段は、
前記第2無線通信部にて前記無線タグから送信された前記識別情報が受信されると、前記第1レベル検出手段にて検出された該識別情報の受信レベルを含む応答信号を、前記第2無線通信部から前記無線タグに送信させ、
前記無線タグは、
前記第1無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第2レベル検出手段と、
前記第1無線通信部にて前記受信装置から送信された前記応答信号が受信されると、前記第2レベル検出手段にて検出された該応答信号の受信レベルの前回値からの変化量と、該応答信号に含まれる受信レベルの前回値からの変化量とをそれぞれ算出し、該算出した2つの変化量が共に所定の閾値以上であれば、前記送信間隔が短くなり、該算出した2つの変化量の少なくとも一方が前記閾値未満であれば、前記送信間隔が長くなるよう、前記送信制御手段による前記識別情報の送信間隔を設定する送信間隔設定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、本発明(請求項1〜3)の無線タグシステムは、無線タグと、受信装置とを備える。そして、無線タグは、電池から電源供給を受けて動作し、送信制御手段が、所定の時間間隔で第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる。
【0012】
また、受信装置は、受信装置に設けられた電源供給手段から電源供給を受けて動作し、第2無線通信部にて無線タグから送信された識別情報が受信されると、受信制御手段が、その識別情報を、無線タグを監視する監視手段に出力する。
【0013】
なお、無線タグは電池を備えるが、受信装置の電源供給手段は、電池であっても、外部の商用電源から電源供給を受けて、内部回路駆動用の電源電圧を生成する電源回路であってもよい。
【0014】
また、本発明(請求項1〜3)の無線タグシステムにおいては、無線タグに、送信制御手段が第1無線通信部から識別情報を送信させる際の送信間隔を設定する送信間隔設定手段が設けられている。
【0015】
そして、請求項1に記載の無線タグシステムにおける送信間隔設定手段は、第1無線通信部にて受信装置から送信された応答信号が受信されると、その応答信号に含まれる受信レベルの前回値からの変化量を算出し、その算出した変化量が所定の閾値以上であれば、送信間隔が短くなり、その算出した変化量が閾値未満であれば、送信間隔が長くなるよう、送信制御手段による識別情報の送信間隔を設定する。
【0016】
これは、請求項1に記載の無線タグシステムにおいては、受信装置に、第2無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第1レベル検出手段が備えられており、第2無線通信部にて無線タグから送信された識別情報が受信されると、受信制御手段が、第1レベル検出手段にて検出された識別情報の受信レベルを含む応答信号を、第2無線通信部から無線タグに送信させるからである。
【0017】
つまり、受信装置が送信する応答信号には、無線タグからの送信信号の受信レベルが付与されており、無線タグの位置が変化しなければ、その受信レベルは略一定となり、逆に、無線タグが受信装置に対して移動し、無線タグの位置が変化すれば、その受信レベルが変化する。
【0018】
そこで、請求項1に記載の無線タグシステムにおいては、無線タグが、受信装置側での識別情報の受信レベルを取得し、その受信レベルの変化量が閾値以上であるか否かによって、無線タグ自身が移動したか否かを判断し、無線タグ自身が移動しているときには、その移動に伴う位置変化を監視手段側で把握できるように、識別情報の送信間隔を短くし、逆に、無線タグが停止若しくは略停止しているときには、識別情報の送信間隔を長くして、電池の電力消費量を低減するようにしているのである。
【0019】
よって、請求項1に記載の無線タグシステムによれば、監視手段による無線タグの監視精度を低下させることのないよう、第1無線通信部からの識別情報を送信させつつ、その送信間隔が必要以上に短くなることのないよう、送信間隔を適正に設定することができる。このため、本発明によれば、無線タグにおける電池の電力消費量を低減して、電池の寿命を延ばすことができる。
【0020】
一方、請求項2に記載の無線タグシステムにおける送信間隔設定手段は、第1無線通信部にて受信装置から送信された応答信号が受信されると、第2レベル検出手段にて検出された応答信号の受信レベルの前回値からの変化量を算出し、その算出した変化量が所定の閾値以上であれば、送信間隔が短くなり、その算出した変化量が閾値未満であれば、送信間隔が長くなるよう、送信制御手段による識別情報の送信間隔を設定する。
【0021】
これは、請求項2に記載の無線タグシステムにおいては、無線タグに、第1無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第2レベル検出手段が備えられており、第1無線通信部にて受信装置から送信された応答信号が受信されると、第2レベル検出手段にてその応答信号の受信レベルが検出されるからである。
【0022】
つまり、無線タグにおいて、第2レベル検出手段にて検出される応答信号の信号レベルは、受信装置に対する無線タグの位置が変化しなければ略一定となり、逆に、受信装置に対し無線タグが移動し、無線タグの位置が変化すれば、応答信号の信号レベルが変化する。
【0023】
そこで、請求項2に記載の無線タグシステムにおいては、無線タグ側で、受信装置からの応答信号を受信する度に、その応答信号の受信レベルを取得し、その取得した受信レベルの変化量が閾値以上であるか否かによって、無線タグ自身が移動したか否かを判断する。
【0024】
そして、請求項1に記載の無線タグシステムと同様、無線タグ自身が移動しているときには、その移動に伴う位置変化を監視手段側で把握できるように、識別情報の送信間隔を短くし、逆に、無線タグが停止若しくは略停止しているときには、識別情報の送信間隔を長くして、電池の電力消費量を低減する。
【0025】
よって、請求項2に記載の無線タグシステムによれば、請求項1に記載のものと同様の効果を得ることができる。
次に、請求項3に記載の無線タグシステムは、上述した請求項1に記載の構成と請求項2に記載の構成とを組み合わせたものである。
【0026】
そして、送信間隔設定手段は、第1無線通信部にて受信装置から送信された応答信号が受信されると、第2レベル検出手段にて検出された応答信号の受信レベルの前回値からの変化量と、その応答信号に含まれる受信レベルの前回値からの変化量とをそれぞれ算出し、その算出した2つの変化量が共に所定の閾値以上であれば、送信間隔が短くなり、その算出した2つの変化量の少なくとも一方が閾値未満であれば、送信間隔が長くなるよう、送信制御手段による識別情報の送信間隔を設定する。
【0027】
このため、請求項3に記載の無線タグシステムによれば、請求項1及び請求項2に記載のものと同様の効果を得ることができる。
また特に、請求項3に記載の無線タグシステムによれば、無線タグは、受信装置側での識別情報の受信レベル、及び、無線タグ側での応答信号の受信レベルが、共に閾値以上になったときに、無線タグが移動したと判断して、識別情報の送信間隔を短くするので、外乱の栄光を受けて何れかの受信レベルが変動したときに、無線タグの移動を誤判断して、識別情報の送信間隔を短くしてしまうのを防止できる。
【0028】
よって、請求項3に記載の無線タグシステムによれば、請求項1及び請求項2に記載のものに比べて、無線タグにおける電池の電力消費量をより良好に低減して、電池の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態の無線タグシステムの構成を表すブロック図である。
【図2】無線タグ及び受信装置で実行される送信処理及び受信処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示すように、本実施形態の無線タグシステムは、監視対象となる人や物品に付与される複数の無線タグ10と、監視領域に分散配置されて、無線タグ10から無線送信される識別情報(所謂IDであり、以下、タグ情報という)を受信する複数の受信装置30と、監視装置(図示せず)と、から構成される。
【0031】
そして、監視装置が、各受信装置10にて受信されたタグ情報に基づき、監視領域内での無線タグ10(延いては、無線タグ10が取り付けられた人や物品)の位置や移動を監視する。
【0032】
ここで、無線タグ10は、アンテナを介して受信装置30との間で無線通信を行うための無線通信部12と、無線通信部12により受信された受信信号の信号レベルを検出するレベル検出部14と、これら各部12、14に接続されて無線通信部12による無線通信を制御する制御部20と、を備える。
【0033】
制御部20は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されており、所定の時間間隔でタグ情報を無線通信部12から送信させる送信処理(図2参照)を実行する。
【0034】
また無線タグ10には、無線タグ10自身のタグ情報が記憶された記憶部16、及び、無線タグ10を構成する上記各部に電源供給を行うための電池18が備えられている。なお、電池18は、ボタン電池等、軽量で小型(薄型)の電池にて構成されている。
【0035】
一方、受信装置30は、アンテナを介して無線タグ10との間で無線通信を行うための無線通信部32と、無線通信部32により受信された受信信号の信号レベルを検出するレベル検出部34と、通信線を介して外部の監視装置との間で通信を行うための有線通信部36と、これら各部32、34、36に接続されて各通信部32、36による通信を制御する制御部40と、を備える。
【0036】
制御部40は、制御部20と同様、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されており、無線タグ10から送信されてきたタグ情報を、無線通信部12を介して取得し、無線タグ10に応答信号を送信する後述の受信処理(図2参照)や、有線通信部36を介して監視装置との間でデータ通信を行う通信処理を実行する。
【0037】
そして、受信装置30には、無線タグ10や監視装置との間で無線通信を行うのに必要な自己の識別情報(受信端末情報)が記憶された記憶部38、及び、受信装置30を構成する構成する上記各部に電源供給を行うための電源部42が備えられている。なお、電源部42は、乾電池や充電可能な二次電池、若しくは外部電源(商用電源等)から電源供給を受けて、電源電圧を生成し、上記各部に電源電圧を供給するものである。
【0038】
次に、無線タグ10及び受信装置30の制御部20、40において、タグ情報を送受信するために実行される送信処理及び受信処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0039】
図2に示すように、無線タグ10側の送信処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、記憶部16から自身の識別情報であるタグ情報を読み込み、無線通信部12から、このタグ情報を含む送信信号を送信させる。
【0040】
一方、受信装置30側の受信処理では、S210にて、無線通信部32にて無線タグ10から送信されたタグ情報が受信されたか否かを判断することにより、無線通信部32で無線タグ10からのタグ情報が受信されるのを待ち、無線タグ10から送信されたタグ情報が受信されると、S220に移行する。
【0041】
S220では、無線タグ10からタグ情報を含む送信信号を受信したときの受信レベルL1を、レベル検出部34から読み込み、その受信レベルL1や当該受信装置30のタグ情報を含む応答信号を送信する。
【0042】
そして、続くS230では、今回受信した無線タグ10のタグ情報やその受信時刻等を表す受信データをメモリ(RAM等)に記憶し、再度S210に移行する。
なお、S230にてメモリに記憶された受信データは、監視装置との間でデータ通信を行う通信処理にて、監視装置に送信される。
【0043】
この結果、監視装置側では、受信装置30から送信される受信データに基づき、監視対象となる複数の無線タグ10の位置や移動を監視することができる。
このように、無線タグ10からタグ情報を含む送信信号を送信すると、その信号を受信した受信装置30が、無線タグ10に対し、その信号の受信レベルL1を含む応答信号を送信する。
【0044】
このため、無線タグ10側の送信処理では、S110にて、無線通信部12からタグ情報を含む送信信号を送信させた後は、S120に移行し、無線通信部12にて受信装置30から送信された応答信号が受信されるのを、一定時間待機する。
【0045】
そして、続くS130では、その一定時間内に応答信号が受信されたか否かを判断し、一定時間内に応答信号が受信されなかった場合には、S140に移行する。
S140では、S110にてタグ情報を送信してから次にタグ情報を送信するまでの待機時間(換言すれば、送信間隔)として、予め設定された標準待機時間△T2を設定し、その標準待機時間△T2が経過するのを待機する。そして、標準待機時間△T2が経過すると、再度S110に移行する。
【0046】
なお、標準待機時間△T2には、S120にて受信装置30からの応答信号を受信する際の待機時間(一定時間:少なくとも1秒以下)に比べて充分長い時間(例えば、10秒)が設定されている。
【0047】
一方、S130にて、一定時間内に応答信号を受信できたと判断されると、S150に移行して、その応答信号に含まれる受信データをメモリ(RAM等)に記憶し、S160に移行する。
【0048】
S160では、応答信号の受信レベルL2をレベル検出部14から読み込み、この応答信号の受信レベルL2と、応答信号に含まれている受信レベルL1(詳しくは、S110でタグ情報を送信した送信信号の受信装置30側での受信レベル)とについて、それぞれ、前回S150、S160の処理を実行した際に得られた受信レベルL2、L1(つまり前回値)からの変化量を算出する。
【0049】
そして、続くS170では、S160にて算出した各受信レベルL1、L2の前回値からの変化量△L1、△L2は、それぞれ、予め設定された移動判定用の閾値以上であるか否かを判断する。
【0050】
S170にて、変化量△L1、△L2が共に閾値以上であると判断された場合、つまり、無線タグ10が受信装置30に対し移動している場合には、S180に移行する。
S180では、S110にてタグ情報を送信してから次にタグ情報を送信するまでの待機時間として、予め設定された最短待機時間△T1を設定し、その最短待機時間△T1が経過するのを待機する。
【0051】
そして、最短待機時間△T1が経過すると、再度S110に移行する。なお、最短待機時間△T1には、S120にて受信装置30からの応答信号を受信する際の待機時間(一定時間)よりは長く、標準待機時間△T2よりも短い時間(例えば、3秒)が設定されている。
【0052】
次に、S170にて、変化量△L1、△L2が共に閾値以上ではない(換言すれば、変化量△L1、△L2の少なくとも一方は閾値未満である)と判断された場合には、無線タグ10は受信装置30に対し移動していないと判断して、S190に移行する。
【0053】
S190では、S110にてタグ情報を送信してから次にタグ情報を送信するまでの待機時間として、標準待機時間△T2よりも長い時間となるよう予め設定された最長待機時間△T3(例えば、30秒)を設定し、その最長待機時間△T3が経過するのを待機する。そして、最長待機時間△T3が経過すると、再度S110に移行する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態では、無線タグ10が所定の時間間隔でタグ情報を送信するが、その送信間隔には、タグ情報の送信に対し受信装置30が返信してくる応答信号を受信できたときと、応答信号を受信できないときとで、異なる時間が設定される。
【0055】
つまり、無線タグ10側で受信装置30からの応答信号を受信できないとき(換言すれば、無線タグ10が受信装置30から遠く離れている場合や、無線タグ10と受信装置30との間で通信不良が発生している場合等)には、標準待機時間△T2(例えば、10秒)が設定される。
【0056】
また、無線タグ10側で受信装置30からの応答信号を受信できているときには、受信装置30側でのタグ情報の受信レベルL1、及び、無線タグ10側での応答信号の受信レベルL2の、前回値からの変化量△L1、△L2に応じて、変化量△L1、△L2が共に閾値以上である場合には、無線タグ10が受信装置30に対し移動しているものとして、タグ情報の次回の送信間隔に、最小待機時間△T1(例えば、3秒)が設定される。
【0057】
また、変化量△L1、△L2の少なくとも一方が閾値未満である場合には、無線タグ10が受信装置30に対し移動していないものとして、タグ情報の次回の送信間隔に、最大待機時間△T3(例えば、30秒)が設定される。
【0058】
従って、本実施形態の無線タグシステムによれば、無線タグ10(延いては、無線タグ10が付与された人若しくは物品)が移動しているときには、その移動に伴う位置変化を受信装置30(延いては監視装置)側で把握できるように、タグ情報の送信間隔を短くすることができる。
【0059】
また、無線タグ10が停止若しくは略停止しているときには、無線タグ10からのタグ情報の送信間隔を長くして、無線タグ10の電池18の電力消費量を低減し、電池18の寿命を延ばすことができる。
【0060】
また、無線タグ10からのタグ情報の送信間隔を長くすれば、受信装置30からの応答信号の送信間隔も長くすることができるので、受信装置30側で応答信号の送信によって生じる電力消費量を低減することもできる。
【0061】
ここで、本実施形態の無線タグシステムは、請求項3に記載の発明を適用したものであり、無線タグ10における無線通信部12が、本発明の第1無線通信部に相当し、制御部20が、本発明の送信制御手段及び送信間隔設定手段に相当し、レベル検出部14が、本発明の第2レベル検出手段に相当する。
【0062】
そして、本発明の送信制御手段としての機能は、無線タグ10の制御部20にて実行される送信処理のS110にて実現され、送信間隔設定手段としての機能は、同じくS160〜S190にて実現される。
【0063】
また、受信装置30における無線通信部32は、本発明の第2無線通信部に相当し、制御部40が、本発明の受信制御手段に相当し、レベル検出部34が、本発明の第1レベル検出手段し、電源部42が、本発明の電源供給手段に相当する。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、無線タグ10及び受信装置30に、それぞれ、レベル検出部14、34を設け、無線タグ10側では、各レベル検出部14、34にて検出されたタグ情報及び応答信号の受信レベルに基づき、無線タグ10が受信装置30に対し移動したか否かを判断するものとして説明した。
【0065】
これに対し、受信レベル検出用のレベル検出手段は、無線タグ10及び受信装置30の一方にだけ設け、無線タグ10側では、その一つのレベル検出部14又は34にて検出された受信レベルに基づき、無線タグ10が受信装置30に対し移動したか否かを判断するようにしてもよい。
【0066】
そして、このためには、無線タグ10側で実行される送信処理のS160にて、受信レベルL1又はL2の変化量△L1又は△L2を算出し、S170にて、その算出した変化量△L1又は△L2が閾値以上か否かを判断するようにすればよい。
【0067】
また、上記実施形態では、無線タグ10からの送信信号を受信する受信装置30が、監視領域に分散配置され、監視装置が、各受信装置30から無線タグ10からの受信データを収集することにより、複数の無線タグ10の位置や移動を監視するように構成された無線タグシステムについて説明した。
【0068】
しかし、本発明は、受信装置としての機能を有する一つの監視装置で、監視装置付近を通過する無線タグ10(延いては無線タグ10を付与した人や物品)を検出する無線タグシステムであっても、上記実施形態と同様に適用して、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
10…無線タグ、12…無線通信部、14…レベル検出部、16…記憶部、18…電池、20…制御部、30…受信装置、32…無線通信部、34…レベル検出部、36…有線通信部、38…記憶部、40…制御部、42…電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行うための第1無線通信部、所定の時間間隔で前記第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる送信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電池を備えた無線タグと、
無線通信を行うための第2無線通信部、該第2無線通信部にて前記無線タグから送信された識別情報が受信されると、該識別情報を、前記無線タグを監視する監視手段に出力する受信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電源供給手段を備えた受信装置と、
を備えた無線タグシステムであって、
前記受信装置は、
前記第2無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第1レベル検出手段を備え、
前記受信手段における前記受信制御手段は、
前記第2無線通信部にて前記無線タグから送信された前記識別情報が受信されると、前記第1レベル検出手段にて検出された該識別情報の受信レベルを含む応答信号を、前記第2無線通信部から前記無線タグに送信させ、
前記無線タグは、
前記第1無線通信部にて前記受信装置から送信された前記応答信号が受信されると、該応答信号に含まれる受信レベルの前回値からの変化量を算出し、該算出した変化量が所定の閾値以上であれば、前記送信間隔が短くなり、該算出した変化量が前記閾値未満であれば、前記送信間隔が長くなるよう、前記送信制御手段による前記識別情報の送信間隔を設定する送信間隔設定手段、
を備えたことを特徴とする無線タグシステム。
【請求項2】
無線通信を行うための第1無線通信部、所定の時間間隔で前記第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる送信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電池を備えた無線タグと、
無線通信を行うための第2無線通信部、該第2無線通信部にて前記無線タグから送信された識別情報が受信されると、該識別情報を、前記無線タグを監視する監視手段に出力する受信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電源供給手段を備えた受信装置と、
を備えた無線タグシステムであって、
前記受信手段における前記受信制御手段は、
前記第2無線通信部にて前記無線タグから送信された前記識別情報が受信されると、前記第2無線通信部から前記無線タグに応答信号を送信させ、
前記無線タグは、
前記第1無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第2レベル検出手段と、
前記第1無線通信部にて前記受信装置から送信された前記応答信号が受信されると、前記第2レベル検出手段にて検出された該応答信号の受信レベルの前回値からの変化量を算出し、該算出した変化量が所定の閾値以上であれば、前記送信間隔が短くなり、該算出した変化量が前記閾値未満であれば、前記送信間隔が長くなるよう、前記送信制御手段による前記識別情報の送信間隔を設定する送信間隔設定手段と、
を備えたことを特徴とする無線タグシステム。
【請求項3】
無線通信を行うための第1無線通信部、所定の時間間隔で前記第1無線通信部から自己の識別情報を繰り返し送信させる送信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電池を備えた無線タグと、
無線通信を行うための第2無線通信部、該第2無線通信部にて前記無線タグから送信された識別情報が受信されると、該識別情報を、前記無線タグを監視する監視手段に出力する受信制御手段、及び、これら各部に電源供給を行う電源供給手段を備えた受信装置と、
を備えた無線タグシステムであって、
前記受信装置は、
前記第2無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第1レベル検出手段を備え、
前記受信装置における前記受信制御手段は、
前記第2無線通信部にて前記無線タグから送信された前記識別情報が受信されると、前記第1レベル検出手段にて検出された該識別情報の受信レベルを含む応答信号を、前記第2無線通信部から前記無線タグに送信させ、
前記無線タグは、
前記第1無線通信部により受信された受信信号の信号レベルを検出する第2レベル検出手段と、
前記第1無線通信部にて前記受信装置から送信された前記応答信号が受信されると、前記第2レベル検出手段にて検出された該応答信号の受信レベルの前回値からの変化量と、該応答信号に含まれる受信レベルの前回値からの変化量とをそれぞれ算出し、該算出した2つの変化量が共に所定の閾値以上であれば、前記送信間隔が短くなり、該算出した2つの変化量の少なくとも一方が前記閾値未満であれば、前記送信間隔が長くなるよう、前記送信制御手段による前記識別情報の送信間隔を設定する送信間隔設定手段と、
を備えたことを特徴とする無線タグシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−115509(P2013−115509A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258051(P2011−258051)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】