説明

無線タグ情報管理システム

【課題】目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を格納したデータベースに容易かつ素早くアクセスし、情報を取得する。
【解決手段】無線タグ情報管理システム1は、カートリッジ100が着脱可能なカートリッジホルダ部、アンテナ14、及び、無線タグ回路素子ToのIC回路部151にアクセスを行う信号処理回路22と高周波回路21を備えたタグラベル作成装置2と、操作者の操作入力に応じた操作信号をタグラベル作成装置2へ出力する操作端末5と、無線タグ回路素子Toに関わる情報を格納保持し、カートリッジホルダ部に装着されたカートリッジ100に関連づけてアクセス可能なデータベース201A〜Dを備えた記憶装置200とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報の無線通信が可能な無線タグに対し情報の読み取り又は書き込みを行うための無線タグ情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio
Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0004】
ここで、無線タグ回路素子のIC回路部の記憶容量はそれほど大きくなく誓願あることから、一般に、IC回路部には所定の識別情報(タグID)を記憶させておき、これに対応する対象物の物品情報自体は別のデータベースに格納保持しておくことが多い。そして、例えば対象物に関わる無線タグ回路素子の識別情報をリーダにて読み取り、その読みとった識別情報に基づきデータベースを検索することにより、当該対象物に関わる物品情報を取得する。
【0005】
このような従来技術の一例としては、例えば特許文献1に記載の情報処理システムがある。この情報処理システムでは、店舗の各売場ごとに設けられた読み取り装置(基地局)と、店舗とは別の場所に設けられたデータベース及びサーバとが通信ネットワークによって接続されている。店舗の各売場に陳列された各商品に添付された無線タグのタグIDが読み取り装置(無線局)によって読みとられると、このタグIDはサーバへ送信される。サーバは当該タグIDに基づきデータベース内に格納保持された情報を検索し、このタグIDに対応する商品の各種物品情報(商品カタログ情報、在庫情報、売上げ記録等)を抽出取得する。こうして取得された当該商品の物品情報は、各売場の基地局を介しサーバに入力される店員が所持する携帯操作端末からの操作信号に基づき、所定の処理が行われるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−147770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、無線タグはラベル状(=無線タグラベル)として対象物である商品や物品とともに取り扱われる(例えば添付、貼り付け、同梱等)場合が多い。このとき、その無線タグ回路素子内部に記憶されたタグIDとは別に、当該タグ情報や対応する物品情報等に関連した情報をラベルに印字して使用するようにすれば、ユーザ側から上記関連情報を視認できて何かと便利である。そこで、近年、無線タグ回路素子への情報読み取り/書き込みとラベルへの印字とを併せて行い無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置が考えられつつある。
【0008】
このタグラベル作成装置では、操作者のタグラベル作成の旨の操作指示信号に基づき、無線タグ回路素子を所定間隔で配置したテープ等のラベル素材をロールから繰り出しつつ、各無線タグ回路素子のIC回路部に対しアクセスして上記タグIDの読み取り/書き込みを行い、さらにその後各ラベルに所定の印字を行い、これによりタグラベルを連続的に生成するようになっている。
【0009】
そこで、上記のようなタグラベル作成装置に上記従来技術の情報処理システムの構成を適用し、タグラベル作成装置、サーバ、データベース、操作端末をネットワークで接続し、上記IC回路部のアクセスにより読み取り/書き込みが行わわれるタグIDとデータベース内の物品情報とを関連づけることが考えられる。この場合、操作端末からの操作信号がタグラベル作成装置に入力されると、タグラベル作成装置のタグアクセス機能によって無線タグ回路素子のID回路部にアクセスしてタグIDの読み取り/書き込みが行われ、また印字機能によって対応する印字情報がタグラベルに印字される。またタグラベル作成装置より当該タグIDに基づく問い合わせ信号がネットワークを介してデータベースへ出力されるとともに、その返答信号(検索結果等)はネットワークを介してタグラベル作成装置側へと入力される。
【0010】
ここで、上記のように、タグラベル作成装置よりタグIDに基づく問い合わせをデータベースへ行う際、検索対象となるデータベースが複数ある場合には、当該タグIDに対応するデータベースがどれであるかを特定できないため、各データベースそれぞれについて問い合わせを行わなければならない。このため、目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を格納したデータベースに容易かつ素早くアクセスして当該情報を取得するのは困難であった。
【0011】
本発明の目的は、目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を格納したデータベースに容易かつ素早くアクセスし、情報を取得できる無線タグ情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明は、無線タグ回路素子を複数個収容した無線タグ回路素子カートリッジが着脱可能なカートリッジホルダ部、前記無線タグ回路素子と無線通信を行うためのアンテナ手段、及び、このアンテナ手段を介し前記無線タグ回路素子のIC回路部にアクセスを行うタグアクセス手段を備えたタグラベル作成装置と、操作者の操作入力に応じた操作信号を前記タグラベル作成装置へ出力する操作端末と、前記無線タグ回路素子に関わる情報を格納保持し、前記カートリッジホルダ部に装着された前記無線タグ回路素子カートリッジに関連づけてアクセス可能なタグ情報データベースを備えたタグ情報記憶装置とを有することを特徴とする。
【0013】
本願第1発明においては、タグラベル作成装置のカートリッジホルダ部に無線タグ回路素子カートリッジが装着されタグラベル作成を行う際には、操作端末からの操作信号に応じ、タグアクセス手段がアンテナ手段を介しアクセス対象の無線タグ回路素子のIC回路部へアクセス(情報読み取り又は書き込み)を行う。このとき、無線タグ回路素子に関わる情報を格納保持するタグ情報記憶装置のタグ情報データベースが、カートリッジホルダ部に装着された無線タグ回路素子カートリッジに対し関連づけられていることにより、その関連づけに基づき、アクセス対象の当該無線タグ回路素子に対応した情報を格納保持したタグ情報データベースをタグラベル作成装置側から容易に特定できる。この結果、タグラベル作成装置側から当該タグ情報データベースに容易かつ素早くアクセスし、目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を確実に取得することができる。
【0014】
第2発明は、上記第1発明において、前記無線タグ回路素子カートリッジに備えられたカートリッジ識別情報とこれに対応する前記タグ情報データベースとのカートリッジ用相関を格納保持した相関記憶手段を有することを特徴とする。
【0015】
相関記憶手段に格納保持されたカートリッジ用相関に基づき、アクセス対象の当該無線タグ回路素子に対応したタグ情報データベースを特定し、目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を確実に取得することができる。
【0016】
第3発明は、上記第2発明において、前記相関記憶手段は、前記カートリッジ用相関を、前記操作端末からの前記操作信号に応じて、書き込み可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
これにより、操作端末における操作者からの操作によって、カートリッジ用相関を相関記憶手段に新たに書き込んだり、更新したりすることができる。
【0018】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記相関記憶手段は、前記タグラベル作成装置に備えられていることを特徴とする。
【0019】
タグラベル作成装置内に設けた相関記憶手段のカートリッジ用相関に基づき、アクセス対象の当該無線タグ回路素子に対応したタグ情報データベースを特定し、目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を確実に取得することができる。
【0020】
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記相関記憶手段は、前記カートリッジ用相関として、前記カートリッジ識別情報とこれに対応する前記タグ情報データベースの特定のデータ群との相関を格納保持することを特徴とする。
【0021】
これにより、相関記憶手段に格納保持されたカートリッジ用相関に基づき、アクセス対象の当該無線タグ回路素子に対応したタグ情報データベースを特定するのみならず、さらにそのデータベース内の特定のデータ群を抽出することができ、さらに目的とする情報を迅速かつ確実に取得することができる。
【0022】
第6発明は、上記第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記タグ情報記憶装置は、前記タグラベル作成装置に備えられていることを特徴とする。
【0023】
タグラベル作成装置側に備えられたタグ情報記憶装置のタグ情報データベースが無線タグ回路素子カートリッジに対し関連づけられ、その関連づけに基づき、アクセス対象の当該無線タグ回路素子に対応した情報を格納保持したタグラベル作成装置側のタグ情報データベースを容易に特定できる。
【0024】
また、タグ情報データベースを装置側に備えることにより、装置外部にタグ情報データベースを備えネットワーク通信を介しデータベースアクセスを行う場合のように、ネットワーク通信環境の良否によりデータベースへのアクセスの円滑性が阻害されることが防止される。
【0025】
第7発明は、上記第6発明において、前記タグ情報記憶装置は、前記タグラベル作成装置本体側に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0026】
これにより、タグ情報記憶装置を必要に応じ自由自在にタグラベル作成装置本体側に取り付けたり、取り外したりすることができる。この結果、例えば、操作者別あるいは用途別にそれぞれタグ情報記憶装置を用意しておき、使用時のつどそれぞれを着脱して使用することが可能となる。また、バックアップも容易に取ることができる。
【0027】
第8発明は、上記第6又は第7発明において、前記タグ情報記憶装置は、対応するタグラベル作成装置外部より、有線又は無線通信回線を介し前記タグ情報データベースへアクセス可能に設けられていることを特徴とする。
【0028】
これにより、当該タグラベル作成装置内からのタグ情報データベース検索のみならず、タグラベル作成装置外からも検索が可能となる。
【0029】
第9発明は、上記第8発明において、前記タグ情報記憶装置は、前記カートリッジホルダ部への前記無線タグ回路素子カートリッジの装着が検出された場合には、複数の前記タグ情報データベースのうちアクセス可能なタグ情報データベースを制限する制限手段を備えることを特徴とする。
【0030】
これにより、カートリッジ非装着時には、アクセス可能なデータベースを制限しないようにして例えば有線又は無線ネットワークで接続された無線タグ情報読み取り装置(リーダ)からのアクセス(検索)に対し全てのデータベースで応じるが、無線タグ回路素子カートリッジが装着され情報読み取り(又は書き込み)が行われる際には、当該カートリッジに適合したデータベースのみにアクセスを制限し他のデータベースにはアクセスさせないようにすることが可能となる。
【0031】
第10発明は、上記第1乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記タグ情報記憶装置の前記タグ情報データベースは、少なくとも、前記無線タグ回路素子を備えたタグラベルの取り付け対象物の識別情報とこれに対応する前記無線タグ回路素子の識別情報とのタグ用相関を格納保持することを特徴とする。
【0032】
これにより、タグ情報記憶装置内のタグ情報データベースにアクセスすることで、タグラベルの取り付け対象物の識別情報とこれに対応する無線タグ回路素子の識別情報とのタグ用相関(いわゆるひも付け情報)を取得しあるいは書き込むことができる。
【0033】
第11発明は、上記第1乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記タグラベル作成装置は、前記操作端末の前記操作信号に基づき、前記タグ情報データベースにアクセスを行うデータアクセス手段と、前記無線タグ回路素子と関連づけられる被印字媒体を繰り出す駆動手段と、前記被印字媒体に所定の印字を行う印字手段とを有することを特徴とする。
【0034】
無線タグ回路素子カートリッジに備えられた無線タグ回路素子のIC回路部に対し、タグアクセス手段が、アンテナ手段を介しアクセスを行い、これに対応してデータアクセス手段がタグ情報記憶装置内のタグ情報データベースにアクセスして無線タグ回路素子に関わる情報を取得し、さらに印字手段が被印字媒体に所定の印字を行う。このようにして、情報読み取り又は書き込みが行われた無線タグ回路素子と、これに対応して印字が行われた被印字媒体を用いて、無線タグラベルを作成することが可能となる。
【0035】
第12発明は、上記第11発明において、前記タグラベル作成装置は、前記操作端末から前記操作信号として所定条件の複数のラベルの連続作成を指示する連続作成指示信号が入力された場合、対応する前記被印字媒体への印字と前記無線タグ回路素子の前記IC回路部へのアクセスとを、当該複数のラベルに関して一括して行うように、前記印字手段及び前記タグアクセス手段を連携制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0036】
これにより、操作端末からの連続作成指示ワンタッチで、所定条件をみたす複数の無線タグラベルを連続して作成することができる。
【0037】
第13発明は、上記第11又は第12発明において、前記タグラベル作成装置は、前記タグアクセス手段による前記IC回路部へのアクセスの成否を判定するタグアクセス判定手段を有し、前記データアクセス手段は、前記タグアクセス判定手段でアクセス成功と判定された場合には、前記タグ情報データベース内の対応する記憶情報を更新することを特徴とする。
【0038】
このように、タグアクセス手段によるタグアクセスの結果をタグ情報データベース側の情報へ反映させ、最新の情報管理を確実に実現することができる。
【0039】
第14発明は、上記第11又は12発明において、前記タグラベル作成装置は、前記タグアクセス手段による前記IC回路部へのアクセスの成否を判定するタグアクセス判定手段を有し、前記タグアクセス手段は、前記タグアクセス判定手段でアクセス失敗と判定された場合には、アクセスの再試行を行うことを特徴とする。
【0040】
これにより、通信不良等によって一度タグアクセス手段によるタグアクセスが失敗に終わってもアクセスを再試行することで最終的なアクセス成功の確率を増大させ、信頼性の高い情報管理を実現することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、目的とする無線タグ回路素子に対応した情報を格納したデータベースに容易かつ素早くアクセスし、情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0043】
図1は、本実施形態の無線タグ情報管理システムを含むシステム構成図である。
【0044】
図1において、無線タグ情報管理システム1は、タグラベル作成装置(無線タグ情報管理装置)2と、操作端末5とを備えている。これらタグラベル作成装置2及び操作端末5は、互いに有線あるいは無線による通信回線3を介し接続されているとともに、さらにこの通信回線3を介し、ルートサーバ4、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等にも接続されている。
【0045】
操作端末5は、例えばいわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、RAM、マウス・キーボード等の操作手段、ディスプレイ等の表示手段等から構成され、操作手段の操作に基づき、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、また表示手段に所定の表示を行うようになっている。
【0046】
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
【0047】
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部に、カートリッジ100が着脱可能に取り付けられている。
【0048】
装置本体8は、第2ロール104から繰り出されるカバーフィルム(被印字媒体)103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(サーマルヘッド、印字手段)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム103と第1ロール(タグテープロール)102から繰り出される基材テープ(タグテープ)101とを貼り合わせつつ印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すための圧着ローラ駆動軸(駆動手段)12と、印字済タグラベル用テープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の送受を行うアンテナ(アンテナ手段)14と、上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ15と、無線タグラベルTを搬出口(排出口)16へと搬送し送出する送出ローラ17と、それらを収納するように外郭を構成し、カートリッジ100を着脱可能に嵌合させる上記カートリッジホルダ部及び上記搬出口16を備える筐体(ハウジング)9とを有する。
【0049】
アンテナ14は、一方側(この例では図2の紙面に向かって手前側)に指向性を備えた指向性アンテナ(この例では周知であり、図示および詳細な説明を省略するパッチアンテナ)で構成されるとともに上記第1ロール102の軸方向(図2の紙面に向かって奥側)近傍に配置されており、第1ロール102の基材テープ101の送り出し部分近傍領域Xと通信可能となるように配置されている。なお、この例では第1ロール102の一部が領域Xからはずれているが、第1ロール102のすべてが領域Xに含まれるようにしてもよい。
【0050】
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11、圧着ローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、カートリッジ100に設けた被検出部190(詳細は後述)に備えられたパラメータ情報(カートリッジ識別情報、詳細は後述)を検出するセンサ20と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路30と、複数(この例では4つ)の各種データベース201A〜201D(この例では社員管理データベース201Aと、備品管理データベース201Bと、図書管理データベース201Cと、顧客管理データベース201D)を備え、例えば不揮発性のハードディスク等からなる記憶装置200(タグ情報記憶装置)と を有する。
【0051】
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31(操作信号入力手段)を介し上記通信回線3に接続され、この通信回線3に接続された前述のルートサーバ4、操作端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報や信号のやりとり(操作端末5からの操作信号の入力等を含む)が可能となっている。
【0052】
図3は、上記カートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
【0053】
この図3において、カートリッジ100は、筐体100Aと、この筐体100A内に配置され帯状の上記基材テープ101が巻回された上記第1ロール102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された上記第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープとしつつテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ107とを有する。
【0054】
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
【0055】
基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、ロール内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層され構成されている。
【0056】
ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、情報の送受信を行うアンテナ(タグ側アンテナ)152がこの例では一体的に設けられており、これに接続するように情報を更新可能に(書き換え可能rewritableに)記憶するIC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。
【0057】
ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
【0058】
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール111及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
【0059】
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記圧着ローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
【0060】
上記構成のカートリッジ100において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が上記印字ヘッド10に押圧されて当該カバーフィルム103の裏面に当接させられる。
【0061】
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述の圧着ローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、圧着ローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され(矢印A1参照)、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される(矢印A2参照)とともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字R(後述の図8参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープとして形成され、カートリッジ100外へと搬出される(矢印C参照)。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。また、第1ロール102の繰り出し近傍にはガイドローラ120が設けられており、第1ロール102の残量により外径が変化しても装置側のアンテナ14と無線タグラベルTの位置関係が所定の範囲となるように規制して、無線タグ回路素子Toとの通信条件を一定に保つようになっている。
【0062】
被検出部190は、この例では、略L字状に配置されて穿設された複数(この例では6個)のセンサ孔190A,190B,190C,190D,190E,190Fを備えており、これらセンサ孔190A〜Fの有無(孔があいているかいないか)によって、カートリッジホルダ部に装着されたカートリッジ100に関する所定の情報を表す。
【0063】
具体的には、カートリッジ100に備えられた上記無線タグ回路素子Toのタグ属性パラメータ(無線タグ回路素子Toを貼り付ける基材テープ101の幅情報、基材テープ101の色情報、印字するのに好適な色情報や、その他、基材テープ101上の無線タグ回路素子Toの配置間隔・アンテナ152の感度・IC回路部151のメモリ容量等の情報)や、無線タグ回路素子Toに最適な通信パラメータ(タグ識別情報ID長のビット情報、無線通信に使用する通信プロトコル情報や、その他電波の周波数情報等)等を含むパラメータ情報を表している。
【0064】
ここで、通常、1つのカートリッジ100内に備えられるすべての無線タグ回路素子Toについて、上記タグ属性パラメータ及び通信パラメータはすべて同一、共通となっている。したがって、被検出部190の備える上記パラメータ情報は、言い換えればカートリッジ100の種類情報(カートリッジ識別情報)を表すこととなり、この情報が上記センサ20によって検出される。
【0065】
図4は、上記被検出部190とセンサ20との協働による上記カートリッジ種類情報の検出手法を説明するための説明図である。なおこの例では説明の簡略化のために4つのセンサ孔190A,190B,190C,190Dが設けられる場合を例にとって説明する。
【0066】
図4において、この例では、上記4つのセンサ孔190A,190B,190C,190Dに対応して、センサ20にはプッシュ式の4つのメカニカルスイッチ20A,20B,20C,20Dが備えられている。
【0067】
各メカニカルスイッチ20A〜20Dは、それぞれバネ部材により付勢されるプランジャ20aとマイクロスイッチ(接点)20bとから構成される公知の機械式スイッチである。各メカニカルスイッチ20A〜20Dのプランジャ20aは、その先端部(図4中上端部)が上記センサ孔190A〜190Dへ向かって突き出るように設けられており、各センサ孔190A〜190Dが有るか否かに応じて、マイクロスイッチ20bからオン信号又はオフ信号が選択的に出力される。すなわち、各プランジャ20aは、初期状態としては上記マイクロスイッチ20bが離れるように図4中上方へ突き出し、マイクロスイッチ20bがオフ状態になっている。そして、カートリッジ装着時にその装着されたカートリッジ100のセンサ孔190A〜190Dが各メカニカルスイッチ20A〜20Dに対向する位置にそれぞれ存在する場合にはプランジャ20aが押下されずマイクロスイッチ20bがオフ状態に維持されるためオフ信号「0」が出力される一方、センサ孔190A〜190Dが各メカニカルスイッチ20A〜20Dに対向する位置にない場合には上記プランジャ20aが押下されてマイクロスイッチ20bがオン状態になり、オン信号「1」が出力される。
【0068】
上記の結果、センサ20は、メカニカルスイッチ20A〜20Dに4つのセンサ孔190A〜190Dの有無の検出結果を関連づけ、ひとつひとつのセンサ孔の有無を「1」と「0」に対応させることで、カートリッジホルダ部に装着されたカートリッジ100の種類を4ビットの符号によって(言い換えれば16通りを区別して)表した検出信号を出力することができる。例えば、カートリッジ100にセンサ孔190A,190B,190C,190Dがすべて存在する場合には「1,1,1,1」の検出信号が出力され、センサ孔190A,190B,190Cのみが存在する場合には「1,1,1,0」の検出信号が出力され、センサ孔190A,190B,190Dのみが存在する場合には「1,1,0,1」の検出信号が出力され、センサ孔190Bのみが存在する場合には「0,1,0,0」の検出信号が出力され、センサ孔190C,190Dのみが存在する場合には「0,0,1,1」の検出信号が出力される。
【0069】
以上のようにして、カートリッジホルダ部にカートリッジ100が挿入配置された際、センサ20のメカニカルスイッチ20A〜20Dで各センサ孔190A〜190Dの有無を検出することで、カートリッジ100の種類(言い換えれば基材テープ101や無線タグ回路素子Toの種類)が検出可能となっている。
【0070】
なお、センサ20は上記のメカニカルスイッチ方式には限られず、他の方式、例えばバーコード情報として設けられた被検出部190を読みとるバーコードスキャナでもよいし、その他光学的・磁気的に情報が設けられた被検出部に対し光学的・磁気的に当該情報を読みとるセンサであってもよい。
【0071】
図5は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図5において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
【0072】
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(書き込み又は読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波(無線タグ情報)を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を、制御回路30からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定し増幅する可変送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0073】
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移送器49で位相を90°遅らせた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を入力するとともに増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
【0074】
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、このタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0075】
図6は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。 この図6において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
【0076】
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部151の駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
【0077】
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
【0078】
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0079】
図7(a)及び図7(b)は、上述のようにして無線タグ回路素子Toの情報書き込み及び印字済タグラベル用テープ110の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は下面図である。また図8は、図7中VIII−VIII′断面による横断面図である。
【0080】
これら図7(a)、図7(b)、及び図8において、無線タグラベルTは、図3に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図8中上側)よりその反対側(図8中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101bの裏側に設けられたアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toが粘着層101c内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
【0081】
図9は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(書き込み又は読み取り)に際して、上記した操作端末5(又は汎用コンピュータ6でもよい)に表示される画面の一例を表す図である。
【0082】
図9において、この例では、タグラベル種別、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有のタグIDであるアクセス(読み取り又は書き込み)ID、上記記憶装置200のデータベース201に記憶された(詳細は後述)物品情報(対象物情報)のアドレス、及び上記情報サーバ7やルートサーバ4におけるそれらの関連情報(後述の図13、図14参照)の格納先アドレス等が上記操作端末5(又は汎用コンピュータ6でもよい)に表示可能となっている。
【0083】
そして、操作端末5の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、後述するようにIC回路部151に上記書き込みIDが書き込まれる(あるいはさらにこれに対応する物品情報等の対象物情報が書き込まれる)か、若しくはIC回路部151に予め記憶されたタグIDが読みとられる。
【0084】
上記のような書き込み(又は読み取り)の際、書き込まれた(又は読み取られた)無線タグラベルTのタグID(識別情報)と、その無線タグラベルTの対象物(無線タグラベルTが添付、貼着、取り付け、同梱される物品・商品・部材・機械・設備等)の情報(=物品情報等の対象物情報)等との対応関係(=タグ用相関;いわゆるひも付け情報)は、前述の記憶装置200のデータベース201に記憶され(なお、さらにルートサーバ4に記憶させてもよい)、必要に応じて参照できるようになっている。あるいはこの相関情報に加えて、上記対象物情報等についても併せて上記データベース201に記憶格納してもよい(後述の図13、図14参照)。なお、相関情報(いわゆるひも付け情報)のみを記憶装置200のデータベース201に記憶させる場合には、対象物情報等は例えば情報サーバ7(装置外データベース)に参照可能に記憶させればよい。
【0085】
上記構成のタグラベル作成装置2を備えた無線タグ情報管理システム1において、その要部は、カートリッジホルダ部に装着されたカートリッジ100のそれぞれに対し、記憶装置200のデータベース201に備えられた複数のデータベース201A,201B,201C,201Dが(この例では被検出部190に備えられたカートリッジ識別情報を用いて)関連づけられ、カートリッジ100装着時にその関連づけを用いて対応するデータベースがいずれであるかを特定してデータアクセスを行うことにある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0086】
図10は、上記カートリッジ識別情報と上記データベース201A〜201Dとの関連づけ(=対応関係、カートリッジ用相関)を表すテーブル(対応表)である。このテーブルは、例えば、タグラベル作成装置2の制御回路30(相関記憶手段として機能する)に格納保持されている。なお、これに限られず、タグラベル作成装置2の他の箇所、あるいはタグラベル作成装置2外の例えば情報サーバ7、ルートサーバ4、操作端末5等に備えられていてもよい。
【0087】
図10において、この例では、前述のセンサ20により検出される被検出部190が12個のセンサ孔190A,190B,…,190Lを備え、これに対応して設けられたセンサ20の12個のメカニカルスイッチ20A,20B,…,20Lからカートリッジ識別情報が12ビットの符号を介して検出される場合を例にとって示しており、その12ビット符号の情報をさらに16進法のカートリッジ識別コードに書き直して示している。
【0088】
図示のように、この例ではカートリッジ識別コードは6種類が存在しており、装着されたカートリッジ100の識別コードが「0x648(16進法表記、以下同様)」「0x548」である場合には(当該カートリッジ内の無線タグ回路素子Toに対応する対象物情報が社員管理データベース201Aに格納保持されていることに基づき)社員管理データベース201Aが対応づけられ、同様に識別コードが「0x8C8」「0xB48」である場合には備品管理データベース201Bが対応づけられ、識別コードが「0x008」「0x088」である場合には顧客管理データベース201Bが対応づけられる。
【0089】
図11は、操作端末5からの操作信号に基づき、上記したタグラベル作成装置2が実行する基本動作(記憶装置200へのアクセス、無線タグ回路素子Toへのアクセス機能、印字ヘッド10による印字機能)の概念的なタイムチャートである。
【0090】
この図11において、実際のデータのやりとりの前に、まず操作端末5からカートリッジ種別を問い合わせるステータス問い合わせ信号が出力される(ステップSS501)。前述したようにカートリッジ100は、基材テープ101に備えられる無線タグ回路素子Toに関連するタグ属性パラメータ(テープ幅等)又は通信パラメータ(通信プロトコル等)が異なるごとに、それぞれ別の種類のカートリッジとして構成されており、被検出部190に備えられたそのカートリッジ種類情報がセンサ20によって検出されている。この検出結果は制御回路30に入力され、制御回路30ではこの検出結果に基づくカートリッジ種類情報(識別情報)を取得する(ステップSS502)。なお、このカートリッジ種類情報を操作端末5に出力して表示するようにしてもよい。
【0091】
このようにしてカートリッジ種類情報を取得した制御回路30は、図10を用いて上述したカートリッジ種類情報とデータベース201A〜201Dとの関連づけ(カートリッジ用相関)を表すテーブルに、当該取得したカートリッジ種類情報があるか(言い換えれば、取得したカートリッジ種類情報に対し既に所定のデータベースが関連づけられているかどうか)を判定する(ステップSS530)。関連づけられていれば当該関連づけに基づき参照すべきデータベース201A〜201Dを決定し(ステップSS531)、その旨を操作端末5に通知し、操作端末5の上記表示手段に当該決定されたデータベース201A〜201Dを表示させる(ステップSS532)。
【0092】
一方、上記カートリッジ用相関を表すテーブル(対応表)に制御回路30が取得したカートリッジ種類情報がない(言い換えれば、取得したカートリッジ種類情報に対し既に所定のデータベースが関連づけられていない)場合には、その旨を操作端末5に通知し、操作端末5の上記表示手段にデータベース201A〜201Dを一覧表示して、取得したカートリッジ種類情報に対してどのデータベースを新たに関連づけさせるかの選択入力を促す(ステップSS533、後述の図 10参照)。
【0093】
操作者が上記表示を見て、操作端末5を介しデータベース201A〜201Dのいずれかを選択する操作をすると、これに応じたデータベース指定信号が制御回路30へ出力され(ステップSS534)、制御回路30では、上記ステップSS502で入力されたカートリッジ種類情報と上記データベース指定信号により指定されたデータベースとを新たな関連づけ(カートリッジ用相関)として登録する(ステップSS535)。例えば図10の例では、上記カートリッジ種類情報に対応したカートリッジ識別コード(16進法)とデータベース201A〜201Dのいずれかが並んで記載された欄が追設されて上書き更新されて格納される。このように登録が終了したら、上記のステップSS351に移って改めてその更新された対応表に基づき参照すべきデータベース201A〜201Dを決定した後、当該決定されたデータベース201A〜201Dを表示させる(ステップSS532)。なお、前述のように既にカートリッジ種類情報がテーブルに登録されていた場合(ステップSS530の判定が満たされた場合)であっても、その登録内容を変更したい場合にはそのような変更後の内容で上書き更新できるようにしてもよい。
【0094】
操作者が上記表示を見て、操作端末5を介し当該決定されたデータベースを確認した旨の操作をすると、これに応じたデータベース参照指令信号が制御回路30を介して記憶装置200へと出力され(ステップSS503)、これに応じてデータベースに既に登録されたデータ(=この例では無線タグラベルTの対象物情報データ等)のデータレコード(群)が記憶装置200から抽出されて参照データとして制御回路30を介して操作端末5の上記表示手段に例えば一覧表示される(ステップSS504)。
【0095】
操作者は、上記表示手段に表示された参照データを見て、例えばこれから当該データに係わるタグラベルTを発行するあるいはデータ編集のみを行う等、自分が取り扱おうとしているデータが既に登録されている場合には、その登録データ一覧から当該データの選択を行う(ステップSS505)。未登録である場合には、新たに対応するデータベースに当該データの入力を行って登録する(ステップSS506)。
【0096】
このようにしてデータ選択あるいはデータ登録が終了したデータについて、無線タグラベルT(但し無線タグ回路素子Toのない単なる印字ラベルの発行も可能である)の発行(=作成)を行わない場合は、そのまま操作終了となるが(ステップSS507)、発行を行う場合は、操作端末5において対応する適宜の操作を行うことにより、作成される無線タグラベルTの外観(印字態様)のイメージがタグラベル作成装置2の制御回路20にて作成され、操作端末5の表示手段に表示される(ステップSS508)。プレビュー表示された無線タグラベルTの外見イメージは当該データ(対象物情報等)あるいはタグIDと関連づけて対応するデータベースに格納保持される(ステップSS513)。
【0097】
そして、以上の段階をふまえて操作者が操作端末5においてタグ作成(発行)開始の旨を操作(指示)入力すると、前述したようにタグ情報アクセス(=この例ではデータ書き込み)指令、印字指令、記憶装置アクセス(発行データ登録)指令からなる1つの操作信号がタグラベル作成装置2側へ出力される。印字指令信号は制御回路30を介し印刷駆動回路25へ入力され(ステップSS514)、印字ヘッド10を駆動してカバーフィルム103に対し対応する印字が行われる。データ書き込み指令信号は制御回路30を介し信号処理回路22及び高周波回路21へ入力され(ステップSS515)、アンテナ14を介しタグID等の情報書き込みが行われる。発行データ登録指令は制御回路30へ入力され、上記データ書き込みが成功した旨の報告信号(ステップSS517)及び上記印字が成功した旨の報告信号(ステップSS518)が制御回路30へ入力されるのを待って、これを確認して制御回路30から当該書き込んだタグIDと対象物情報等との相関(ひも付け)情報(あるいはさらに併せて対象物情報も)を記憶装置200のデータベース201へ発行データとして登録する(ステップSS519)。そして、登録した旨のデータ書き込み成功報告信号が制御回路30側より操作端末5へ出力される(ステップSS520)。なお、印字又は書き込みが失敗した場合には、その旨のデータ書き込み失敗報告信号(ステップSS521A)及び印字失敗報告信号(ステップSS521B)が制御回路30側より操作端末5へ出力される。そして、操作端末5の表示手段において、それら報告信号に対応する結果表示(成功表示又はエラー表示)が行われる(ステップSS522)。
【0098】
図12は、上記図11のステップSS533にて制御回路30からの通知信号に基づき操作端末5の上記表示手段においてデータベース201A〜201Dが一覧表示されるデータベース選択用の画面である。図示のように、タグラベル作成装置2の上記記憶装置200のデータベース201として、社員管理データベース201Aを選択するためのボタン210A、備品管理データベース201Bを選択するためのボタン210B、図書管理データベース201Cを選択するためのボタン210C、顧客管理データベース201Dを選択するためのボタン210Dの4つが表示される。これら4つのうち選択したデータベース201について、前述したようにステップSS534にてデータベース指定信号が制御回路30へ出力され、当該選択されたデータベースが対応表(テーブル)に登録される。
【0099】
図13は図11のステップSS504において操作端末5の上記表示手段に表示されたデータレコードの一例を表す図である。この例では、例えば無線タグラベルTの取扱対象物として社員の名札を作成するために、前述のステップSS503で上記社員管理データベース201Aの参照を指示した場合に参照データとして操作端末5に表示されるレコードを示している。図示のように、この例では、レコード項目として「社員コード」「氏名」「フリガナ」「性別コード」「所属部門コード」「内線番号」「電子メールアドレス」「顔写真ファイル名」「カートリッジ識別コード(16進法表記)」「ラベルイメージファイル名」「タグID(16進法表記)」「発行日」「発行理由コード」「有効/無効フラグ」の各欄が設けられている。
【0100】
これらのうち、「社員コード」「氏名」「フリガナ」「性別コード」「所属部門コード」「内線番号」「電子メールアドレス」「顔写真ファイル名」がいわゆる対象物情報(名札を着用する社員の情報)であり、これら対象物情報と「タグID」とがこの横一列の表によって関連づけられていることがこれら対象物情報とタグIDとの相関情報(ひも付け情報)を実質的に形成している。
【0101】
また「カートリッジ識別コード」「ラベルイメージファイル名」「発行日」「発行理由コード」「有効/無効フラグ」はその他この無線タグラベルTに関して付随する情報である。
【0102】
それらのうち「カートリッジ識別コード」は、前述したようにカートリッジ100の種類情報を表しており、前述したように実質的にタグ属性パラメータ(この例では基材テープ101の幅情報、基材テープ101の色情報、印字するのに好適な色情報)や通信パラメータ(この例では、タグID長ビット情報、無線通信に使用する通信プロトコル情報)を含んでいる。
【0103】
「発行理由コード」は「0」であると初回発行(=新規発行)を表しており、「1」であると故障(タグ不良)による不良再発行を表しており、「2」であると紛失再発行を表している。
【0104】
また「有効/無効フラグ」は「1」であると無線タグ回路素子Toが正常に機能しており、「0」であると無線タグ回路素子Toが正常に機能していない(タグラベル作成装置2側のコマンド送信により機能が無効化・休眠化されている場合と、読み取り・書き込みや印字が失敗した状態の場合とを含む)ことを表している。読み取り・書き込みや印字失敗時には、例えばこの「有効/無効フラグ」が「0」となるとともに、発行日も「000000」となる。
【0105】
図14はデータレコードの他の表示例を表す図である。この例では、例えば無線タグラベルTの取扱対象物として社内管理備品の管理ラベルを作成するために、前述のステップSS503で上記備品管理データベース201Bの参照を指示した場合に参照データとして操作端末5に表示されるレコードを示している。図示のように、この例では、レコード項目として「物品コード」「品名」「型番」「購入日」「管理部門コード」「管理者コード」「写真ファイル名」「(購入)金額」「カートリッジ識別コード(16進法表記)」「ラベルイメージファイル名」「タグID(16進法表記)」「発行日」「発行理由コード」「有効/無効フラグ」の各欄が設けられている。
【0106】
これらのうち、「物品コード」「品名」「型番」「購入日」「管理部門コード」「管理者コード」「写真ファイル名」「金額」がいわゆる対象物情報(ラベルを貼る物品の情報)であり、前述と同様、これら対象物情報と「タグID」とがこの横一列の表によって関連づけられていることがこれら対象物情報とタグIDとの相関情報(ひも付け情報)を実質的に形成している。
【0107】
また前述と同様「カートリッジ識別コード」「発行日」「発行理由コード」「有効/無効フラグ」は無線タグラベルTに関して付随する情報である。
【0108】
なお、「カートリッジ識別コード」の意義や「発行日」「発行理由コード」等の取扱いは前述と同様であるので、説明を省略する。
【0109】
一方、図11のステップSS514の印字指令信号、ステップSS515のデー タ書き込み指令信号、ステップSS516のデータ登録指令信号に応じて、 タグラベル作成装置2では、アンテナ14から無線タグ回路素子ToのIC回路部151への情報(タグID)書き込み、印字ヘッド10による印字、さらにデータベース201A〜201Dへのデータ(上記タグIDを含む図13や図14に例示したデータレコード)の登録を行う。図15は、これらを行う際に、制御回路30によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0110】
この図15において、操作端末5における所定の操作により上記印字指令信号、データ書き込み指令信号、及びデータ登録指令信号を含む前述の操作信号が通信回線3及び入出力インターフェイス31を介し制御回路30に入力(識別)されると(上記図11のステップSS514、ステップSS515、ステップSS516参照)このフローが開始される。そして、まずステップS10において、上記操作端末5からのデータ書き込み指令信号に基づく、アンテナ14より無線タグ回路素子ToのIC回路部151へ書き込むべき情報(タグID等)と、印字ヘッド10により無線タグラベルTへ印字すべき印字情報(例えば対応する無線タグ回路素子ToのタグIDそのもの又は無線タグラベルTの用途に応じた情報等)とが取得される。
【0111】
その後、ステップS15に移り、無線タグ回路素子Toからの応答がない場合にリトライ(再試行)を行う回数をカウントする変数N、及び通信良好か不良かを表すフラグFを0に初期化する。
【0112】
そして、ステップS20において、カートリッジ駆動回路24に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107を回転駆動させる。これにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され圧着ローラ107へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。さらに送出ローラ駆動回路29を介して送出ローラ用モータ28に制御信号を出力し、送出ローラ17を回転駆動させる。以上の結果、前述したように基材テープ101と(後述のように印刷が終了した)カバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ体100外方向へと搬送されていくように、各テープ101,103,110が駆動開始される。
【0113】
次に、ステップS30において、書き込みたい所定の無線タグ情報(タグID等)を無線タグ回路素子Toに送信し書き込む書き込み処理を行う(詳細は後述の図16を参照)。
【0114】
そして、ステップS35に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力し、印字ヘッド10を通電して、カバーフィルム103のうち所定の領域(例えば基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面に貼り合わせることとなる領域)に、ステップS10で取得した文字、記号、バーコード等の印字Rを印刷させる。ステップS35が終了すると、ステップS39に移る。
【0115】
ステップS39では、フラグF=0であるかどうかが判定される。書き込み処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図16に示すフローのステップS38参照)であるので、この判定が満たされ、ステップS50に移る。
【0116】
ステップS50では、カバーフィルム103のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域への印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS60へ移る。
【0117】
なお、何らかの理由で書き込み処理が正常に完了していない場合はF=1とされている(後述の図16に示すフローのステップS38参照)ので前述のステップS39の判定が満たされず、ステップS45に移り、印刷駆動回路25に制御信号を出力して印字ヘッド10を通電を中止し印字を停止させる。このように印字中途停止によって当該無線タグ回路素子Toが正常品でないことを明らかに表示するようにした後、上記ステップS60へ移る。
【0118】
ステップS60では、印字済タグラベル用テープ110がカッタ15で切断されるべき所定位置にまで搬送されたかどうかを判定する。具体的には、例えば、対象とする無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を所定の長さ(余白量)分だけ越えたかどうかを、基材テープ101(詳細には例えば剥離紙101d、あるいはカバーフィルム103等でもよい)に対し各無線タグ回路素子Toに対応して設けた適宜の識別用マークをカートリッジ100外(例えばカッタ15のさらに搬送方向下流側)に設けた公知のテープセンサで検出することにより行えば足りる。またこのような検出を行わず、印字Rの印字文字長に所定の余白領域分を加えた長さが無線タグ回路素子Toの全長を超えているかどうかを印字情報に基づき判定する(超えていれば、少なくともカバーフィルム103の印字が完了した段階でその余白領域外をカッタ15で切断するようにすれば、貼り合わせられる無線タグ回路素子Toを切断することは回避できるため)ことで代用してもよい。
【0119】
この判定が満たされたら、ステップS70に移る。ステップS70では、カートリッジ駆動回路24及び送出ローラ駆動回路29に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ23及び送出ローラ用モータ28の駆動を停止して、リボン巻取りローラ106、圧着ローラ107、送出ローラ17の回転を停止する。これにより、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び送出ローラ17による印字済タグラベル用テープ110の搬送が停止する。
【0120】
その後、ステップS80でソレノイド駆動回路27に制御信号を出力してソレノイド26を駆動し、カッタ15によって印字済タグラベル用テープ110の切断を行う。前述したように、この時点で、例えば処理対象の無線タグ回路素子To及びこれに対応するカバーフィルム103の印字領域のすべてがカッタ15を十分に越えており、このカッタ15の切断によって、無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が読み取られかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
【0121】
その後、ステップS90に移り、送出ローラ用駆動回路29に制御信号を出力し、送出ローラ用モータ28の駆動を再開して、送出ローラ17を回転させる。これにより、送出ローラ17による搬送が再開されて上記ステップS150でラベル状に生成された無線タグラベルTが搬出口16へ向かって搬送され、搬出口16から装置2外へと排出される。
【0122】
そして、ステップS100において、カートリッジ100内の通信範囲(前述の領域X)に残存する無線タグラベル回路素子Toに備えられたIC回路部151の全無線タグ情報を消去(初期化)する。詳細には、無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記憶された情報を初期化する「Erase」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Erase」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介し通信範囲(上記領域X)内の全無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157を初期化する。
【0123】
その後、ステップS110に移り、フラグF=0であるかどうかが判定される。書き込み処理が正常に完了していればF=0のまま(後述の図16に示すフローのステップS38参照)であって判定が満たされ(上記図11のステップS517に対応)、またこの場合はステップS39における判定が満たされてステップS50において印字が正常に完了している(上記図11のステップS518に対応)ことから、ステップS120に移り、上記ステップS30で無線タグ回路素子Toへ書き込んだ無線タグ情報(タグID等)と、これに対応して印字ヘッド10により印字された印字情報との組み合わせを、他の関連情報(この例では無線タグラベルTの対象物情報も含む)とともに、既に図11のステップSS531で決定されている、対応するデータベース201A〜201Dに書き込み登録する(上記図11のステップSS519に対応;なお既に登録されている場合は上書き更新する)。この記憶データは必要に応じて操作端末5より参照可能にデータベース201A〜201D内に格納保持される。
【0124】
なお、何らかの理由で書き込み処理が正常に完了していない場合はF=1とされている(後述の図16に示すフローのステップS38参照)ので前述のステップS110の判定が満たされず、ステップS130に移り、エラー表示信号を入出力インターフェイス31及び通信回線3を介し上記操作端末5へ出力し(上記図11のステップSS520,ステップSS521に対応)、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ(ステップSS522対応)、このフローを終了する。
【0125】
図16は、上記ステップS30の詳細手順を表すフローチャートである。
【0126】
図16において、図15における前述のステップS20が終了すると、まずステップS31に移り、所望のデータをメモリ部157に書き込む「Program」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で本来書き込みたいタグIDを含む無線タグ情報としての「Program」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して通信可能エリア内(前述の領域X内)にあるすべての無線タグ回路素子Toに送信され、そのメモリ部157に情報が書き込まれる。
【0127】
その後、ステップS32において、メモリ部157の内容を確認する「Verify」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で「Verify」信号が生成されて高周波回路21の送信部32及びアンテナ14を介して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0128】
そして、ステップS33に移り、上記「Verify」信号に対応して上記通信可能エリア内の全無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ(応答)信号をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21の受信部33及び信号処理回路22を介し取り込む。
【0129】
次に、ステップS34において、上記ステップS33の受信結果に基づき、上記通信エリア内の全無線タグ回路素子Toのうち、少なくとも1つから何らかの有効なリプライ信号(メモリ部157に正常に記憶されたことを表す信号)が受信されたかどうかを判定する。
【0130】
判定が満たされたら、上記領域X内の少なくとも1つの無線タグ回路素子Toには正しく書き込まれており、領域X内の全無線タグ回路素子Toへの書き込み失敗は回避されていることから、このルーチンを終了する。判定が満たされない場合はステップS35に移ってNに1を加え、さらにステップS36においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS31に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合は前述したステップS38でフラグF=1としてこのルーチンを終了する。このようにして情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われる。このように、アンテナ14から領域X内における無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが万が一不調であった場合でも、所定回数N回(上記の例ではN=5)までは再試行を行うので、書き込み信頼性の確保上、万全を期すことができる。また、上記において、前述のリトライN回の間、書き込み送信パワーを順次増大させるようにしてもよい。また、N回リトライに失敗して図16のステップS38でフラグF=1にした後、図15のステップS45で印字を停止するのではなく、その書き込み(リトライ)失敗の旨の何らかの(警告)印字等を行うようにしてもよい。
【0131】
以上において、制御回路30、信号処理回路22、及び高周波回路送信部32が、各請求項記載の、アンテナ手段を介し無線タグ回路素子のIC回路部にアクセスを行うタグアクセス手段を構成する。
【0132】
また、制御回路30の実行する図15のフローのステップS120が、操作端末の操作信号に基づき、タグ情報データベースにアクセスを行うデータアクセス手段を構成し、図16のフローのステップS34、ステップS35、及びステップS36が、タグアクセス手段によるIC回路部へのアクセスの成否を判定するタグアクセス判定手段を構成する。
【0133】
以上説明した本実施形態の無線タグ情報管理システム1においては、上述したように、タグラベル作成を行う際、無線タグ回路素子Toに関わる情報を格納保持する記憶装置200のデータベース200A〜200Dが、カートリッジ100に対し関連づけられている(この例ではカートリッジ100の被検出部190に備えられたカートリッジ識別情報に基づき図10に示したカートリッジ用相関を介して関連づけられる)。これにより、タグラベル作成装置2のカートリッジホルダ部にカートリッジ100が装着された際、当該関連づけ(この例では図10に示したカートリッジ用相関)によってアクセス対象の当該無線タグ回路素子Toに対応した情報を格納保持したデータベース201A〜201Dを容易に特定することができる(図11のステップSS531参照)。この結果、制御回路30から当該データベース201A〜201Dに容易かつ素早くアクセスし(図11のステップSS503参照)、目的とする無線タグ回路素子Toに対応した情報を確実に取得することができる(図11のステップSS504参照)。
【0134】
また本実施形態では特に、カートリッジ用相関がタグラベル作成装置2内の制御回路30に記憶されることにより、装置外部の記憶装置に記憶されたカートリッジ用相関をネットワーク通信を介して取得する場合のように、ネットワーク通信環境の良否によりカートリッジ用相関を取得するときのデータ通信の円滑性が阻害されることが防止される。またこのとき、操作端末5における操作者からの操作によって、制御回路2内にカートリッジ用相関を新たに書き込んだり、更新したりすることも可能である。
【0135】
また本実施形態では特に、データベース201A〜201Dを備えた記憶装置200がタグラベル作成装置2に備えられていることにより、上記同様、装置2外部にタグ情報データベースを備えネットワーク通信を介しデータベースアクセスを行う場合のように、ネットワーク通信環境の良否によりデータベースへのアクセスの円滑性が阻害されることが防止される。但し、タグラベル作成装置2内のこれらデータベース201A〜201Dに対し、上記通信回線3を介し、当該無線タグ情報管理システム1の操作端末5や、あるいは別の無線タグ情報管理システム1や、さらには回線3に接続された適宜の無線タグ情報読み取り装置(図示せず)等からアクセスして装置2外からのデータベース検索は可能としてもよい。このときさらに、上記のように通常は(上記無線タグ情報読み取り装置等からも)記憶装置200内の全データベース201A〜201Dに対しフリーアクセス可能としておいて、カートリッジ装着時(例えばカートリッジホルダ部への無線タグ回路素子カートリッジ100の装着がセンサ20により検出された場合)には、上記データベース201A〜201Dのうちの一部(例えば、少なくとも被検出部190のカートリッジ識別情報にて特定されるデータベースを含む1つ以上のデータベース)にのみアクセス可能となるように制御回路30で制御してもよい(=制限手段)。
【0136】
また本実施形態では特に、前述したように、タグアクセスの結果又は印字の結果に応じて、記憶装置200のデータベース201A〜201D内の記憶情報を上書き更新し、最新の情報管理を確実に実現することができる(図11のステップSS517、ステップSS518、ステップSS519)。またこのように、タグアクセスの結果又は印字結果を、装置2内のみの信号経路を介しデータベース201側の情報へ反映させることにより、タグアクセス機能及び印字機能のみを装置内に有し装置外部にデータベースを備えネットワーク通信を介しデータベースアクセスを行う場合のように、ネットワーク通信環境の良否によりタグアクセス結果や印字結果とデータベース内データとのリンク付けに支障が生じることが防止される。この結果、円滑、迅速、かつ信頼性の高い無線タグ情報の管理を確実に実現することができる。
【0137】
さらに、本実施形態では特に、無線タグラベルTの発行開始前に、制御回路30においてタグラベルTの印字態様のイメージが作成され操作端末5にプレビュー表示される(図11のステップSS513)、さらに記憶装置200のデータベース201A〜201Dが、このイメージ画像を、対応するデータと関連づけて格納保持する(上記ステップSS513参照)。また上記のようにデータベース201に格納保持されたイメージ画像は、操作端末5からの適宜の操作で制御回路30にて取得されて対応するイメージ画像表示信号が生成され、操作端末5の表示手段へ出力されて対応する表示が行われる。これらにより、操作者が作成後の無線タグラベルTの外観態様を容易に認識することができるので、操作者の利便性を向上することができる。
【0138】
なお、本発明は、上記実施形態以外にも、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
【0139】
(1)データベースより複数データ群の連続発行を行う場合
すなわち、相関記憶手段(前述の例では制御回路30)が、カートリッジ用相関として、カートリッジ識別情報とこれに対応するデータベース201A〜201Dのいずれかとの相関のみならず、さらに当該データベース201A〜201 Dに含まれる特定のデータ群との相関を格納保持し、それらデータ群に関わる複数の無線タグラベルTを自動的に連続発行する場合である。
【0140】
図17は、上記カートリッジ識別情報と上記データベース201A〜201Dの特定データ群との関連づけ(=対応関係、カートリッジ用相関)を表すテーブル(対応表)であり、上記実施形態の図10に対応するものである。このテーブルは、上記同様、タグラベル作成装置2の制御回路30(相関記憶手段)に格納保持されていてもよいし、他の箇所、情報サーバ7、ルートサーバ4、操作端末5等に備えられていてもよい。
【0141】
図17において、この例では、上記図17と同様、センサ20の12個のメカニカルスイッチ20A,20B,…,20Lからカートリッジ識別情報が12ビットの符号を介して検出され、その12ビット符号の情報がさらに16進法のカートリッジ識別コードにて表されている。
【0142】
また「データベース」欄には上記図10と同様、カートリッジ識別コードに対応するデータを格納したデータベース名が示されており、「項目条件」欄には、上記特定のデータ群に共通な特質(言い換えれば特定のデータ群をデータベース全体から検索抽出するための検索抽出条件)が示されている。
【0143】
図示のように、この例ではカートリッジ識別コードは6種類が存在している。装着されたカートリッジ100の識別コードが「0x648(16進法表記、以下同様)」である場合には、社員管理データベース201Aに格納され、性別が男性でかつまだ無線タグラベルTが未発行である社員に関するデータのみが対応づけられる。またカートリッジ識別コードが「0x548」である場合には、社員管理データベース201Aに格納され無線タグラベルTが未発行である女性社員に関するデータのみが対応づけられる。
【0144】
同様に、識別コードが「0x8C8」である場合には備品管理データベース201Bに格納され購入金額が20万円未満で無線タグラベルTが未発行である備品に関するデータが対応づけられ、「0xB48」である場合には備品管理データベース201Bに格納され購入金額が20万円以上で無線タグラベルTが未発行である備品に関するデータが対応づけられる。識別コードが「0x008」である場合には顧客管理データベース201Dに格納され取引回数が10回以上で無線タグラベルTが未発行である顧客に関するデータが対応づけられ、「0x088」である場合には顧客管理データベース201Dに格納され取引回数が10回未満で無線タグラベルTが未発行である顧客に関するデータが対応づけられる。
【0145】
図18は、操作端末5からの操作信号に基づき、本変形例のタグラベル作成装置2が実行する基本動作の概念的なタイムチャートであり、上記実施形態の図11に対応する図である。図11と同等の手順には適宜同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0146】
この図18において、ステータス問い合わせ信号の出力(ステップSS501)、及びセンサ20の検出結果に基づく制御回路30のカートリッジ種類情報(識別情報)の取得(ステップSS502)は図11と同様である。
【0147】
このようにしてカートリッジ種類情報を取得した制御回路30は、図17を用いて上述したカートリッジ種類情報とデータベース201A〜201D内の特定のデータ群との関連づけ(カートリッジ用相関)を表すテーブルに基づき、参照すべきデータベース201A〜201D及びその参照したデータベースから抽出検索すべきデータ(レコード)を決定する(ステップSS531′)。そして、データベースに既に登録されたデータ(=この例では無線タグラベルTの対象物情報データ等)の中から上記決定された内容に相当するデータレコード(群)が記憶装置200のデータベース201A〜201Dから抽出されて参照データ(群)として制御回路30を介して操作端末5の上記表示手段に例えば一覧表示される(ステップSS504)。
【0148】
操作者は、上記表示手段に表示された参照データ群を見て、それらに関する複数枚の無線タグラベルTを一括して発行する場合は、操作端末5においてその旨の適宜の操作(連続作成指示)入力することにより、タグ情報アクセス(=この例ではデータ書き込み)指令、印字指令、記憶装置アクセス(発行データ登録)指令からなる1つの操作信号(=連続作成指示信号)がタグラベル作成装置2側へ出力される。
【0149】
この操作信号(連続作成指示信号)に含まれる印字指令信号は上記図11と同様に制御回路30を介し印刷駆動回路25へ入力されて印字ヘッド10によりカバーフィルム103に対し複数の無線タグラベルTのそれぞれ対応する印字が1枚分ずつ順次行われ(ステップSS514)、操作信号(連続作成指示信号)に含まれるデータ書き込み指令信号は制御回路30を介し信号処理回路22及び高周波回路21へ入力されてアンテナ14を介し複数の無線タグラベルTのそれぞれ対応する情報書き込みが1枚分ずつ順次行われる(ステップSS515)。操作信号(連続作成指示信号)に含まれる発行データ登録指令信号は制御回路30へ入力され、上記データ書き込みが成功した旨の(1枚分の)報告信号(ステップSS517)及び上記印字が成功した旨の(1枚分の)報告信号(ステップSS518)が制御回路30へ入力されるのを待って、これを確認して制御装置30から当該データ(無線タグラベルTの1枚分の対象物情報データ等)を記憶装置200のデータベース201へ発行データとして登録する(ステップSS519)。そして、登録した旨のデータ書き込み成功報告信号が制御回路30側より操作端末5へ出力される(ステップSS520)。その後、操作端末5の表示手段において、その報告信号に対応する結果表示(この場合は成功表示)が行われる(ステップSS522)。そして、上記のようにデータベース201A〜201Dから抽出されたすべての参照データ(群)の登録処理が終了するまでは、再び同様の手順に戻って(ステップSS523及びステップSS524、あるいは、ステップSS525及びステップSS526)次の無線タグラベルTに係わる情報書き込み及び印字が行われる。
【0150】
一方、印字又は書き込みが失敗した場合には、その旨のデータ書き込み失敗報告信号(ステップSS521A)及び印字失敗報告信号(ステップSS521B)が制御回路30側より操作端末5へ出力され、操作端末5の表示手段において対応するエラー表示が行われる(上記ステップSS522)。さらに、上記同様、印字及び書き込みの両方が揃って成功するまで、再び同様の手順に戻って(上記ステップSS524、あるいは、上記ステップSS526)同一の無線タグラベルTに係わる情報書き込み及び印字の再試行(リトライ)が行われる。
【0151】
なお、上記において、制御回路30が、各請求項記載の、操作端末から操作信号として所定条件の複数のラベルの連続作成を指示する連続作成指示信号が入力された場合、対応する被印字媒体への印字と無線タグ回路素子のIC回路部へのアクセスとを、当該複数のラベルに関して一括して行う(ステップSS514、ステップSS515参照)ように、印字手段及び前記タグアクセス手段を連携制御する制御手段を構成する。
【0152】
本変形例においても、上記実施形態と同様、カートリッジ100内のアクセス 対象の無線タグ回路素子Toに対応した情報を格納保持したデータベース201を容易に特定して容易かつ素早くアクセスし、目的とする無線タグ回路素子Toに対応した情報を確実に取得できるという、本発明本来の効果を得ることができる。
【0153】
また、上記したように、操作端末5からの連続作成指示ワンタッチ操作のみで、図17に例示したカートリッジ用相関に基づき、アクセス対象の無線タグ回路素子Toに対応したデータベース201A〜201Dを特定するのみならず、さらにそのデータベース201A〜201D内の特定のデータ群を抽出し、目的とする情報を迅速かつ確実に取得して、所定の(検索抽出)条件をみたす複数の無線タグラベルTを連続して作成することができる。
【0154】
さらに、アンテナ14による情報書き込み時において、通信不良等によって一度書き込み失敗に終わっても再試行する(ステップSS524)ので、最終的な書き込み成功の確率を増大させ、信頼性の高い情報管理を実現することができる。
【0155】
(2)装置内データベースを省略し、装置外データベースを用いる場合
上記実施形態では、書き込まれた(又は後述の変形例では読み取られた、以下同様)無線タグラベルTのタグIDとその無線タグラベルTの対象物情報等との相関情報を(あるいは併せて対象物情報をも)タグラベル作成装置2に設けた記憶装置200のデータベース201に記憶させたが、これに限られず、装置2外の情報サーバ7やルートサーバ4にその機能を代用させ、それらに必要に応じて参照可能に記憶させてもよい。
【0156】
本変形例においても、上記実施形態同様、カートリッジ100内のアクセス対象の無線タグ回路素子Toに対応した情報を格納保持したデータベース201を容易に特定して容易かつ素早くアクセスし、目的とする無線タグ回路素子Toに対応した情報を確実に取得できるという、本発明本来の効果を得ることができる。
【0157】
(3)局所的なネットワークを用いる場合
以上は、図1に最初に示したように、タグラベル作成装置2及び操作端末5等が通信回線3を介して(広域の)ネットワークに組み込まれた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、上述したようにデータベース201A〜201Dを備えた記憶装置200がタグラベル作成装置2側に備えられていることを利用して、操作端末5とタグラベル作成装置2のみが局所ネットワークにて接続されて無線タグ情報管理システムを形成する構成(広域ネットワークには接続されない閉じたシステム構成)も可能となる。図19はそのような場合の一例を表しており、タグラベル作成装置2と操作端末5が(その他の外部回線とは接続しない)局所的なネットワーク(いわゆるLAN等)によって接続され、これらによって無線タグ情報管理装置システム1′が形成されている。
【0158】
この場合、操作端末5及びタグラベル作成装置2内における各種信号の流れは基本的に上記実施形態や上述の変形例におけるそれと同様であるので説明を省略する。
【0159】
本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果を得ることができる。
【0160】
(4)タグラベル作成装置が単体ですべての機能を備える場合
すなわち、上記実施形態における操作端末5の機能を、すべてタグラベル作成装置2側に別途設けた操作手段(キーボード、マウス等)及び表示手段(ディスプレイ等)に備えるようにしてもよい(例えばタッチパネルであれば両方を兼用できる)。図20はこのときのタグラベル作成装置2′の詳細構造を表す概念的構成図を表しており、上記実施形態の図2に相当する図である。この例では上記操作・表示手段(タッチパネル等)250を設けている。この場合の操作信号は、上記操作・表示手段で生成されて出力され、同じタグラベル作成装置2′内の制御回路30へ入力される。
【0161】
図21は、このときタグラベル作成装置2′で実行される概念的なタイムチャートを表しており、上記図11に対応する図である。図11と同等の手順を同一の符号で表している。なお、図示の場合は、タグラベル作成装置2′単体(いわゆるスタンドアローン)においても、上記実施形態のように操作端末5とタグラベル作成装置2と同様の機能を果たす場合を例にとって示しているが、これに限られず、制御回路30のCPUの演算機能や各種メモリの記憶容量を簡素化・低減化するために一部の機能を簡素化してもよい。例えば、記憶装置200のデータベース201A〜201Dのデータは既に登録済のもののみを使用することを前提とし、データ編集・データ新規入力はできないようにしてもよい。
【0162】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0163】
(5)読み取り専用の無線タグ回路素子を用いる場合
また、以上においては、無線タグ回路素子Toに対し無線タグ情報(タグID等)を送信しIC回路部151に情報書き込みを行う場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、予め所定の無線タグ情報(タグID等)が書き換え不可に記憶保持されている読み取り専用の無線タグ回路素子Toから無線タグ情報を読み取りながら、これに対応する印字を行って無線タグラベルTを作成する場合があり、このような場合にも本発明は適用可能である。
【0164】
この場合には、前述の図3に示すカートリッジ構造においてロール102内に領域Xが入り込まないように(ロール102内の無線タグ回路素子Toとは通信しないように)適宜のシールド手段等を設けた上で、図15におけるステップS10においては印字情報のみを読み込み、ステップS30で無線タグ情報の読み込み処理を行うようにすればよい(詳細は後述の図22参照)。その後ステップS120では印字情報とその読み込んだ無線タグ情報との組み合わせを保存する。
【0165】
図22は、上記無線タグ読み込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0166】
図22において、情報読み取り対象とする無線タグ回路素子Toがアンテナ14近傍に搬送されてきたら、ステップS101において、無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll
All ID」コマンドを信号処理回路22に出力する。これに基づき信号処理回路22で無線タグ情報としての「Scroll All ID」信号が生成されて高周波回路21を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
【0167】
次に、ステップS102において、上記「Scroll All ID」信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグID等を含む無線タグ情報)をアンテナ14を介して受信し、高周波回路21及び信号処理回路22を介し取り込む。
【0168】
次に、ステップS103において、上記ステップS102で受信したリプライ信号に誤りがないか否かを公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて判定する。
【0169】
判定が満たされない場合はステップS104に移ってNに1を加え、さらにステップS105においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS101に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS107に移り、フラグF=1としてこのルーチンを終了する。このように、情報読み取りが不調でも5回までは再試行が行われることにより、読み取り確保上、万全を期すことができる。
【0170】
ステップS103の判定が満たされた場合、読み取り対象とする無線タグ回路素子Toからの無線タグ情報の読み取りが完了し、このルーチンを終了する。
【0171】
以上のルーチンにより、カートリッジ内の読み取り対象の無線タグ回路素子Toに対し、IC回路部の無線タグ情報(タグID情報等)にアクセスし、これを読み出すことができる。
【0172】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0173】
(6)その他
(a)記憶装置の他形態
以上においては、記憶装置200として、ハードディスクを例にとって説明したが、これに限られず、いわゆるSD(Secure Digital)メモリカード等の不揮発性のメモリ媒体を用いてもよい。また、記憶装置200を、タグラベル作成装置2,2′の装置本体8に対し着脱可能に設けてもよい。この場合、必要に応じ自由自在に装置本体8側に取り付けたり、取り外したりすることができるので、例えば、操作者別あるいは用途別にそれぞれ記憶装置を用意しておき、使用時のつどそれぞれを着脱して使用することが可能となる。また、バックアップも容易に取ることができる。
【0174】
(b)テープや被印字媒体の他形態
以上においては、印字後の被印字媒体としてのカバーフィルム103と基材テープ101とを貼り合わせて印字済タグラベル用テープ110としこれを切断して無線タグラベルTとする場合を例にとって説明したが、これに限られない。印字済の被印字媒体とこれに貼り合わせるべき(=関連づけられる)無線タグ回路素子To入りテープとを別々に作成して装置外へ排出し、ユーザがその別々に作成された被印字媒体とタグ入りテープとを貼り合わせるようなタグラベル作成装置に本発明を適用してもよい。また例えば被印字媒体自体に無線タグ回路素子Toを配置し、この被印字媒体に印字ヘッドで印字を行うとともにそれに含まれる無線タグ回路素子Toに対し情報読み取り又は書き込みを行って無線タグラベルTを作成してもよい。
【0175】
さらに、以上においては、被印字媒体として、第2ロール104から繰り出されるテープ状のカバーフィルム103を例にとって説明したが、これに限られず、いわゆる平紙(シート)状のラベル素材をトレイ状のカートリッジから適宜の駆動ローラ(駆動手段)にて供給し、これに印字を行うようにしてもよい。
【0176】
なお、既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合 わせて利用しても良い。
【0177】
以上で用いた「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号とは、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0178】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の一実施形態の無線タグ情報管理システムを含むシステム構成図である。
【図2】図1に示したタグラベル作成装置の詳細構造を表す概念的構成図である。
【図3】図2に示したカートリッジの詳細構造を説明するための説明図である。
【図4】図2に示した被検出部とセンサとの協働によるカートリッジ種類情報の検出手法を説明するための説明図である。
【図5】図3に示した高周波回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図6】無線タグ回路素子の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図7】無線タグラベルの外観の一例を表す上面図及び下面図である。
【図8】図7中VIII−VIII′断面による横断面図である。
【図9】無線タグ情報へのアクセスに際し、操作端末に表示される画面の一例を表す図である。
【図10】カートリッジ識別情報とデータベースとの関連づけ(カートリッジ用相関)を表すテーブルである。
【図11】端末からの操作信号に基づき、タグラベル作成装置が実行する基本動作の概念的なタイムチャートである
【図12】図11のステップSS533にて制御回路からの通知信号に基づき操作端末の表示手段においてデータベースが一覧表示されるデータベース選択用の画面を表す図である。
【図13】図11のステップSS504において操作端末の表示手段に表示されたデータレコードの一例を表す図である。
【図14】図11のステップSS504において操作端末の表示手段に表示されたデータレコードの他の例を表す図である。
【図15】制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図16】図15のステップS30の詳細手順を表すフローチャートである。
【図17】データベースより複数データ群の連続発行を行う変形例においてカートリッジ識別情報とデータベースの特定データ群との関連づけ(カートリッジ用相関)を表すテーブルである。
【図18】タグラベル作成装置で実行される概念的なタイムチャートである。
【図19】操作端末と無線タグ情報管理装置のみが局所ネットワークにて接続された変形例を表す図である。
【図20】タグラベル作成装置が単体ですべての機能を備える変形例における概念的構成図である。
【図21】タグラベル作成装置で実行される概念的なタイムチャートである。
【図22】読み取り専用の無線タグ回路素子を用いる変形例においてタグラベル作成装置の制御回路が実行する無線タグ読み込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0180】
1 無線タグ情報管理システム
2 タグラベル作成装置
10 印字ヘッド(印字手段)
12 圧着ローラ駆動軸(駆動手段)
14 アンテナ(アンテナ手段)
20 センサ
21 高周波回路
22 信号処理回路(タグアクセス手段)
30 制御回路(タグアクセス手段、データアクセス手段;制御手段;
相関記憶手段)
32 送信部(タグアクセス手段)
100 カートリッジ(無線タグ回路素子カートリッジ)
101 基材テープ
102 第1ロール
103 カバーフィルム(被印字媒体)
151 IC回路部
152 アンテナ
190 被検出部
200 記憶装置(タグ情報記憶装置)
201A〜D データベース(タグ情報データベース)
T 無線タグラベル
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグ回路素子を複数個収容した無線タグ回路素子カートリッジが着脱可能なカートリッジホルダ部、前記無線タグ回路素子と無線通信を行うためのアンテナ手段、及び、このアンテナ手段を介し前記無線タグ回路素子のIC回路部にアクセスを行うタグアクセス手段を備えたタグラベル作成装置と、
操作者の操作入力に応じた操作信号を前記タグラベル作成装置へ出力する操作端末と、
前記無線タグ回路素子に関わる情報を格納保持し、前記カートリッジホルダ部に装着された前記無線タグ回路素子カートリッジに関連づけてアクセス可能なタグ情報データベースを備えたタグ情報記憶装置とを有することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記無線タグ回路素子カートリッジに備えられたカートリッジ識別情報とこれに対応する前記タグ情報データベースとのカートリッジ用相関を格納保持した相関記憶手段を有することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記相関記憶手段は、前記カートリッジ用相関を、前記操作端末からの前記操作信号に応じて、書き込み可能に構成されていることを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記相関記憶手段は、前記タグラベル作成装置に備えられていることを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記相関記憶手段は、前記カートリッジ用相関として、前記カートリッジ識別情報とこれに対応する前記タグ情報データベースの特定のデータ群との相関を格納保持することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグ情報記憶装置は、前記タグラベル作成装置に備えられていることを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグ情報記憶装置は、前記タグラベル作成装置本体側に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項8】
請求項6又は7記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグ情報記憶装置は、対応するタグラベル作成装置外部より、有線又は無線通信回線を介し前記タグ情報データベースへアクセス可能に設けられていることを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項9】
請求項8記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグ情報記憶装置は、前記カートリッジホルダ部への前記無線タグ回路素子カートリッジの装着が検出された場合には、複数の前記タグ情報データベースのうちアクセス可能なタグ情報データベースを制限する制限手段を備えることを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグ情報記憶装置の前記タグ情報データベースは、少なくとも、前記無線タグ回路素子を備えたタグラベルの取り付け対象物の識別情報とこれに対応する前記無線タグ回路素子の識別情報とのタグ用相関を格納保持することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグラベル作成装置は、
前記操作端末の前記操作信号に基づき、前記タグ情報データベースにアクセスを行うデータアクセス手段と、
前記無線タグ回路素子と関連づけられる被印字媒体を繰り出す駆動手段と、
前記被印字媒体に所定の印字を行う印字手段とを有することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグラベル作成装置は、
前記操作端末から前記操作信号として所定条件の複数のラベルの連続作成を指示する連続作成指示信号が入力された場合、対応する前記被印字媒体への印字と前記無線タグ回路素子の前記IC回路部へのアクセスとを、当該複数のラベルに関して一括して行うように、前記印字手段及び前記タグアクセス手段を連携制御する制御手段を有することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項13】
請求項11又は12記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグラベル作成装置は、
前記タグアクセス手段による前記IC回路部へのアクセスの成否を判定するタグアクセス判定手段を有し、
前記データアクセス手段は、前記タグアクセス判定手段でアクセス成功と判定された場合には、前記タグ情報データベース内の対応する記憶情報を更新することを特徴とする無線タグ情報管理システム。
【請求項14】
請求項11又は12記載の無線タグ情報管理システムにおいて、
前記タグラベル作成装置は、
前記タグアクセス手段による前記IC回路部へのアクセスの成否を判定するタグアクセス判定手段を有し、
前記タグアクセス手段は、前記タグアクセス判定手段でアクセス失敗と判定された場合には、アクセスの再試行を行うことを特徴とする無線タグ情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−209263(P2006−209263A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17435(P2005−17435)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】