説明

無線タグ管理プログラム

【課題】無線タグに書き込まれた情報が利用者間で漏洩することなく無線タグを複数の利用者で共同利用すること。
【解決手段】無線タグに複数のデータ領域および各データ領域に対応する鍵を記憶する領域を設け、契約管理部130が契約情報DB110を用いてデータ領域ごとに利用者を管理し、データ領域を利用するための鍵を鍵管理部140が鍵情報DB120を用いて利用者に発行するよう構成し、利用者は鍵を用いて無線タグIDを使用することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のデータ領域を有する無線タグを管理する無線タグ管理プログラムに関し、特に、複数の利用者で無線タグを共同利用する場合にも、無線タグに書き込んだ情報が他の利用者に漏れることを防ぐことができる無線タグ管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを応用したシステムの開発が様々な分野で進められている。例えば、特許文献1には、無線タグを用いて商品のライフサイクルを管理するシステムが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−285170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一つの無線タグを複数の利用者で共同利用する場合には、無線タグに記憶された全ての情報を全ての利用者が読み出すことができるため、利用者間で情報が漏洩するという問題がある。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、複数の利用者で無線タグを共同利用する場合にも、無線タグに書き込んだ情報が他の利用者に漏れることを防ぐことができる無線タグ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る無線タグ管理プログラムは、無線タグの複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用を可能とする鍵の発行要求を受け付ける発行要求受付手順と、前記発行要求受付手順により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する鍵発行手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0007】
この請求項1の発明によれば、無線タグの複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用を可能とする鍵の発行要求を受け付け、受け付けた鍵の発行要求に応答して鍵を発行するよう構成したので、鍵を取得したデータ領域だけをアクセス可能とすることができる。
【0008】
また、請求項2の発明に係る無線タグ管理プログラムは、請求項1の発明において、前記鍵発行手順により発行された鍵の返却を受け付け、該返却された鍵の返却処理を行う鍵返却手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
この請求項2の発明によれば、発行された鍵の返却を受け付け、返却された鍵の返却処理を行うよう構成したので、鍵が返却されたデータ領域を再利用することができる。
【0010】
また、請求項3の発明に係る無線タグ管理プログラムは、請求項2の発明において、前記鍵発行手順は、鍵の使用に関する契約条件を定めて鍵を発行し、前記鍵返却手順は、返却された鍵に対して契約条件を満たしているか否かを判定し、契約条件を満たしていない場合には、契約違反に関する処理を行うことを特徴とする。
【0011】
この請求項3の発明によれば、鍵の使用に関する契約条件を定めて鍵を発行し、返却された鍵に対して契約条件を満たしているか否かを判定し、契約条件を満たしていない場合には、契約違反に関する処理を行うよう構成したので、契約が守られているか否かを管理することができる。
【0012】
また、請求項4の発明に係る無線タグ管理プログラムは、請求項1、2または3の発明において、前記鍵発行手順は、有効期限を設けて鍵を発行し、発行した鍵の有効期限が切れた場合に期限切れに対処する処理を行う期限切れ処理手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
この請求項4の発明によれば、有効期限を設けて鍵を発行し、発行した鍵の有効期限が切れた場合に期限切れに対処する処理を行うよう構成したので、有効期限を経過した鍵が返却されないまま放置されることを防ぐことができる。
【0014】
また、請求項5の発明に係る無線タグ管理プログラムは、請求項4の発明において、前記期限切れ処理手順は、鍵の期限切れを利用者に通知するとともに該利用者を期限切れ者を管理する期限切れ者リストに登録し、前記鍵発行手順は、前記発行要求受付手順により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する際に、前記期限切れ者リストに利用者が登録されていないことを確認することを特徴とする。
【0015】
この請求項5の発明によれば、鍵の期限切れを利用者に通知するとともにその利用者を期限切れ者を管理する期限切れ者リストに登録し、鍵を発行する際に、期限切れ者リストに利用者が登録されていないことを確認するよう構成したので、期限切れ者に対する新たな鍵の発行を止めることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、鍵を取得したデータ領域だけをアクセス可能とするので、複数の利用者で無線タグを共同利用する場合にも、無線タグに書き込んだ情報が他の利用者に漏れることを防ぐことができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、鍵が返却されたデータ領域を再利用することができるので、データ領域を有効に利用することができるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、契約が守られているか否かを管理するので、契約違反者に対して鍵の発行を行わないなどの処置を講ずることができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、有効期限を経過した鍵が返却されないまま放置されることを防ぐので、データ領域を有効に利用することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項5の発明によれば、期限切れ者に対する新たな鍵の発行を止めるので、鍵が返却されないまま放置される危険性を低下させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る無線タグ管理プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
まず、本実施例に係る無線タグシステムのシステム構成について説明する。図1は、本実施例に係る無線タグシステムのシステム構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この無線タグシステムは、複数の無線タグ10と、複数のリーダ/ライタ20、30および40と、固定ネットワーク60で接続された複数の無線タグ管理装置100と、固定ネットワーク60およびリーダ/ライタ30に接続するモバイルネットワーク70とから構成される。
【0023】
無線タグ管理装置100は、無線タグサービス(RFIDサービス)を提供するRSP(RFIDサービスプロバイダ)が、無線タグ10の情報を無線タグDBに記憶して管理するために使用する装置であり、RSPネットワーク50を介して多数のリーダ/ライタ20を制御し、リーダ/ライタ20経由で無線タグ10の情報をリード/ライトすることができる。
【0024】
ここで、RSPは、利用者との契約に基づいて、無線タグ10を供給し、そのデータ領域の利用権限を与える。また、無線タグ10は、複数のデータ領域を有し、データ領域ごとに利用者に利用権限が与えられる。すなわち、無線タグ10を複数の利用者が共同利用することができる。なお、利用者が希望する場合には、RSPは、リーダ/ライタ20、無線タグ管理装置100、RSPネットワーク50の利用権限を利用者に与えることもできる。また、RSPは、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)80に無線タグ10などを提供することもできる。
【0025】
また、無線タグ管理装置100は、固定ネットワーク60を介して他のRSPの無線タグ管理装置100と連携して他のRSPのリーダ/ライタ20を制御することができ、他のRSPの無線タグ10とデータを授受することもできる。
【0026】
リーダ/ライタ20は、小規模なシステムでは、一つの小売り店舗内に配置される場合もあるが、大規模なシステムでは、地球全域に分散した多国籍企業内に分散配置される場合もある。大規模なシステムでは、複数の無線タグ管理装置100が分散配置されることもある。
【0027】
リーダ/ライタ30や40は、個人が所有するリーダ/ライタを示す。リーダ/ライタ30は、例えば、携帯電話に内蔵されたものを示し、モバイルネットワーク70および固定ネットワーク60を介して無線タグ管理装置100に接続される。リーダ/ライタ40は、例えば、家庭のパソコンに接続して使用するようなものを示し、固定ネットワーク60を介して無線タグ管理装置100に接続される。これらのリーダ/ライタを用いて個人が自分の所有している物品の無線タグ10の情報の読み取りや無線タグ10への情報の書き込みを行うことができる。
【0028】
本実施例に係る無線タグシステムの利用者は、まずRSPと契約して、無線タグ10の供給を受け、そのデータ領域の中で利用を許可されたデータ領域の鍵を取得する。なお、利用者は、自分が所有するリーダ/ライタやコンピュータシステムを用いて無線タグ応用システムを構築することができるが、必要ならば、リーダ/ライタ20、無線タグ管理装置100、RSPネットワーク50などを用いて無線タグ応用システムを構築することもできる。
【0029】
例えば、パソコンメーカは、供給された無線タグ10をパソコンの半製品、あるいは製品に貼り付けて、製造工程でのカスタマイズや生産管理、さらに在庫管理のために無線タグ10を用いる。そして、無線タグ10を取り付けた商品を出荷する際は、無線タグ10内のデータ領域の情報を消去し、そのデータ領域の鍵をRSPに返却することで、契約に基づく利用は終了する。また、該当のデータ領域は、商品の次の所有者が前の利用者と同様な無線タグ利用契約をRSPと結ぶことによって利用することができる。
【0030】
なお、商品のトレーサビリティのために、商品のライフサイクル全体に渡って保存すべき情報については、無線タグ10内の一部のデータ領域を誰でも読取可能な領域として設定し、メーカが出荷する際にも消去しないようにすることも可能である。
【0031】
また、本実施例に係る無線タグシステムでは、商品に関する情報を複数企業間や個人で共有することが可能である。例えば、商品に関する不具合を消費者がメーカに伝える場合には、消費者は無線タグ10に不具合の状況を書き込んで、宅配業者に預けてメーカあるいは販売店の苦情受付窓口に届けることができる。
【0032】
すなわち、メーカは、無線タグ10のデータ領域の一つを不具合書込用の領域として、また別のデータ領域を誰でも読める共通領域として確保しておき、クレームの連絡があると、不具合書込用領域に不具合が書き込めるように消費者には鍵を開示する。消費者はその鍵を使って無線タグ10に不具合の情報を書き込むと同時に、配送用の情報を共通領域に書き込んで、宅配業者に預けてメーカに送る。宅配業者は配送に必要な情報を無線タグ10から読み取れるので、配送はできるが、不具合情報は読み取れない。
【0033】
このようにして、メーカはデータ領域の鍵を商品の所有者だけと共有することにより、消費者からの不具合情報を他者に漏らすことなく入手することが可能である。同様の利用形態で、複数企業間で無線タグ10のデータ領域を共用することが可能である。
【0034】
次に、本実施例に係る無線タグ管理装置100の構成について説明する。図2は、本実施例に係る無線タグ管理装置100の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この無線タグ管理装置100は、契約情報DB110と、鍵情報DB120と、契約管理部130と、鍵管理部140と、鍵期限管理部150と、外部I/F160と、全体制御部170とを有する。ここで、契約情報DB110と鍵情報DB120が図1に示した無線タグDBと対応する。
【0035】
契約情報DB110は、利用者との間の無線タグ利用に関する契約情報を記憶する記憶部である。図3は、契約情報DB110の一例を示す図である。同図に示すように、この契約情報DB110は、利用者ごとに、利用者を識別するためのユーザIDと、利用者を認証するためのユーザパスワードと、利用者が使用可能な無線タグ10およびデータ領域を示す無線タグIDおよび領域番号と、データ領域への書込み回数など無線タグ10の使用契約締結に際しての契約条件と、鍵の貸し出し期間が永久であるか有限期間であるかを示す鍵要求モードと、無線タグ10の利用の決済に利用する決済用情報と、利用者のメイルアドレスを示す連絡先とを記憶する。
【0036】
例えば、ユーザIDが「userid−x」であり、ユーザパスワード「pwd−x」である利用者は、無線タグIDが「uid−a」で領域番号「0」のデータ領域を使用し、契約条件は「contract−x」であり、鍵要求モードは「貸与」であり、決済用情報は「account−x」であり、連絡先は「address−x」である。
【0037】
図4は、無線タグ10のデータ領域を示す図である。同図に示すように、この無線タグ10は、UIDなどが書き込まれるシステムエリアと四つのデータ領域「領域0」〜「領域3」を有する。また、各データ領域に対応して領域鍵IDを記憶する領域「領域0鍵ID」〜「領域3鍵ID」があり、リード/ライト要求で指定された鍵IDと領域鍵IDが一致した場合にのみ各データ領域に対してリード/ライトが可能となる。ただし、無線タグ10が記憶する領域鍵IDを特定の値にすることによって、その領域鍵IDに対応するデータ領域に対して自由にリード/ライトを可能とすることもできる。
【0038】
また、この無線タグ10には、4バイトごとにデータの書き込みを制御するLOCKビットとWORM(Write Once Read Many)ビットがある。LOCKビットが「0」の場合にはデータを書き込むことができるが、LOCKビットが「1」の場合にはデータを書き込むことができない。また、WORMビットが「0」の場合には書込回数に制限はないが、WORMビットが「1」の場合には一度書込みが行われるとLOCKビットが「1」に書き換えられ、上書きができなくなる。
【0039】
鍵情報DB120は、利用者に貸し出す鍵に関する情報を記憶する記憶部である。図5は、鍵情報DB120の一例を示す図である。同図に示すように、この鍵情報DB120は、無線タグ10のデータ領域ごとに、無線タグIDと、領域番号と、利用者に貸し出す鍵の鍵IDを記憶する。また、貸し出された鍵については、有効期限を記憶し、貸し出されていない鍵については、有効期限として「返却済」を記憶する。
【0040】
例えば、無線タグIDが「uid−a」で領域番号が「0」のデータ領域の鍵は、鍵IDが「key0」であり、有効期限が2005年4月11日である。なお、ここでは、無線タグ10には、鍵情報DB120に登録されている鍵IDが領域鍵IDとして書き込まれているものとする。
【0041】
契約管理部130は、契約情報DB110を用いて利用者との間で使用契約を交わした無線タグ10およびデータ領域の管理を行う処理部である。また、この契約管理部130は、利用者への鍵の提供や利用者からの鍵の返却などに関する処理を行う。なお、この契約管理部130は、過去の契約を守っていない利用者などには、鍵の発行を行わない。
【0042】
この契約管理部130が、契約情報DB110を用いて利用者との間で使用契約を交わした無線タグ10およびデータ領域の管理を行うことによって、無線タグ10をデータ領域ごとに異なる利用者に利用させることができる。
【0043】
鍵管理部140は、利用者に貸し出す鍵を鍵情報DB120を用いて管理する処理部であり、鍵情報DB120から鍵を取得して利用者に鍵を発行するとともに有効期限を鍵情報DB120に登録する処理や、返却された鍵に関して鍵情報DB120の有効期限を「返却済」とする返却処理などを行う。
【0044】
鍵期限管理部150は、利用者に貸し出した鍵の期限を管理する処理部であり、具体的には、定期的に鍵情報DB120を検索して有効期限が切れた鍵を探し出す。この鍵期限管理部150が有効期限が切れた鍵を探し出すことによって、利用者に鍵の返却を促すことができる。
【0045】
外部I/F160は、固定ネットワーク60やRSPネットワーク50を介して利用者やリーダ/ライタ20などと通信する処理部であり、例えば、利用者から鍵発行要求を受信し、発行された鍵を利用者に送信する。
【0046】
全体制御部170は、無線タグ管理装置100全体の制御を行う処理部であり、具体的には、機能部間の制御の移動や機能部と記憶部の間のデータの受け渡しなどを行うことによって、無線タグ管理装置100を一つの装置として機能させる。
【0047】
次に、本実施例に係る無線タグ管理装置100による契約および鍵発行処理の処理手順について説明する。図6は、本実施例に係る無線タグ管理装置100による契約および鍵発行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
同図に示すように、この無線タグ管理装置100は、外部I/F160が契約および鍵発行要求とパラメータとを受信して全体制御部170に渡す(ステップS101)。ここで、パラメータには、利用者の認証情報と、鍵の発行対象となるデータ領域の無線タグIDおよび領域番号と、鍵要求モードと、有効期限と、契約条件と、決済用情報と、連絡先とが含まれる。
【0049】
そして、全体制御部170が契約管理部130に契約および鍵発行要求をパラメータとともに転送し(ステップS102)、契約管理部130がパラメータおよび契約不履行者を登録したブラックリストに基づいて契約可能か否かをチェックし、契約可能であればパラメータに基づいて契約情報を契約情報DB110に登録する(ステップS103)。
【0050】
そして、契約管理部130が全体制御部170に対して鍵発行チケットを応答し(ステップS104)、全体制御部170が鍵管理部140に対して鍵発行チケットを示して鍵を要求する(ステップS105)。ここで、鍵発行チケットには、鍵の発行を要求する無線タグIDおよび領域番号と、鍵の有効期限とが含まれる。
【0051】
そして、鍵管理部140が鍵を発行するとともに鍵情報DB120に有効期限を登録し(ステップS106)、全体制御部170に鍵を渡す(ステップS107)。ここで、全体制御部170に渡す鍵とは、具体的には、鍵IDである。そして、全体制御部170が鍵を外部I/F160に渡し(ステップS108)、外部I/F160が鍵を利用者に渡す(ステップS109)。
【0052】
このように、契約管理部130が契約情報を契約情報DB110に登録し、鍵管理部140がデータ領域ごとに鍵を発行して鍵情報DB120に有効期限を登録することによって、無線タグ10の各データ領域に利用者と鍵を対応させて管理することができる。
【0053】
次に、本実施例に係る無線タグ管理装置100による鍵返却処理の処理手順について説明する。図7は、本実施例に係る無線タグ管理装置100による鍵返却処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
同図に示すように、この無線タグ管理装置100は、外部I/F160が鍵返却要求を受信して鍵返却要求に含まれる鍵および関連情報を全体制御部170に渡し(ステップS201)、全体制御部170が鍵管理部140に対して鍵および関連情報を返却する(ステップS202)。ここで、関連情報には、無線タグID、領域番号、データ領域の書込み回数など契約条件に関する情報が含まれる。
【0055】
そして、鍵管理部140が鍵情報DB120の有効期限を「返却済」とする鍵返却処理を行い(ステップS203)、全体制御部170に対して鍵消去チケットを発行する(ステップS204)。ここで、鍵消去チケットには、関連情報が含まれる。
【0056】
そして、全体制御部170が契約管理部130に対して鍵消去チケットを送付し(ステップS205)、契約管理部130が鍵消去チケットに含まれる関連情報について契約情報DB110をチェックし(ステップS206)、返却された鍵がデータ領域の書込み回数などの契約条件を満たしているか否かを判定する(ステップS207)。
【0057】
その結果、契約条件を満たしていない場合には、契約管理部130が全体制御部170に対して利用者への契約違反処理を依頼し(ステップS208)、全体制御部170が契約違反処理を行って契約管理部130に契約違反処理の完了を通知する(ステップS209)。ここで、契約違反処理としては、利用者をブラックリストへ登録するなどの処理を行う。
【0058】
そして、契約管理部130が契約情報DB110から返却された鍵に対応する情報を消去するなどの契約完了処理を行い(ステップS210)、全体制御部170に対して契約完了を通知する(ステップS211)。そして、全体制御部170が外部I/F160を介して利用者に契約完了を通知する(ステップS212)。
【0059】
このように、鍵管理部140が返却された鍵について鍵情報DB120の有効期限を「返却済」とし、契約管理部130が契約情報DB110から返却された鍵に対応する情報を消去することによって、契約が完了したデータ領域を他の利用者に開放することができる。
【0060】
次に、本実施例に係る無線タグ管理装置100による鍵の期限切れ処理の処理手順について説明する。図8は、本実施例に係る無線タグ管理装置100による鍵の期限切れ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0061】
同図に示すように、この無線タグ管理装置100は、鍵期限管理部150が有効期限が過ぎた鍵を見つけるとその鍵IDおよび期限切れ情報を全体制御部170に通知する(ステップS301)。そして、全体制御部170が外部I/F160へ鍵回収要求を通知し(ステップS302)、外部I/F160が利用者に鍵回収要求を通知する(ステップS303)。
【0062】
そして、鍵が直ちに返却された場合には(ステップS304、Yes)、図7に示したような鍵返却処理を行う(ステップS309)。一方、鍵が直ちに返却されない場合には(ステップS304、No)、全体制御部170が契約管理部130に対して利用者をブラックリストへ登録するように指示し(ステップS305)、利用者に返却の督促を行う(ステップS306)。そして、外部I/F160が利用者から返却された鍵を受信すると(ステップS307)、全体制御部170が契約管理部130に対して利用者をブラックリストから削除するように指示し(ステップS308)、図7に示したような鍵返却処理を行う(ステップS309)。
【0063】
このように、鍵期限管理部150が有効期限の切れた鍵を全体制御部170に通知し、全体制御部170が外部I/F160を介して利用者に鍵の返却要求を通知することによって、有効期限の切れた鍵が未返却のまま放置されることを防ぐことができる。
【0064】
上述してきたように、本実施例では、無線タグ10に複数のデータ領域および各データ領域に対応する鍵を記憶する領域を設け、契約管理部130が契約情報DB110を用いてデータ領域ごとに利用者を管理し、データ領域を利用するための鍵を鍵管理部140が鍵情報DB120を用いて利用者に発行し、利用者は鍵を用いて無線タグIDを使用することとしたので、利用者は鍵を取得したデータ領域だけにアクセスすることが可能となり、複数の利用者で無線タグ10を共同利用する場合にも、無線タグ10に書き込んだ情報が他の利用者に漏れることを防ぐことができる。
【0065】
なお、本実施例では、無線タグ管理装置について説明したが、無線タグ管理装置が有する構成をソフトウェアによって実現することで、同様の機能を有する無線タグ管理プログラムを得ることができる。そこで、この無線タグ管理プログラムを実行するコンピュータについて説明する。
【0066】
図9は、本実施例に係る無線タグ管理プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このコンピュータ200は、RAM210と、CPU220と、HDD230と、LANインタフェース240と、入出力インタフェース250と、DVDドライブ260とを有する。
【0067】
RAM210は、プログラムやプログラムの実行途中結果などを記憶するメモリであり、CPU220は、RAM210からプログラムを読み出して実行する中央処理装置である。
【0068】
HDD230は、プログラムやデータを格納するディスク装置であり、LANインタフェース240は、コンピュータ200をLAN経由で他のコンピュータに接続するためのインタフェースである。
【0069】
入出力インタフェース250は、マウスやキーボードなどの入力装置および表示装置を接続するためのインタフェースであり、DVDドライブ260は、DVDの読み書きを行う装置である。
【0070】
そして、このコンピュータ200において実行される無線タグ管理プログラム211は、DVDに記憶され、DVDドライブ260によってDVDから読み出されてコンピュータ200にインストールされる。
【0071】
あるいは、この無線タグ管理プログラム211は、LANインタフェース240を介して接続された他のコンピュータシステムのデータベースなどに記憶され、これらのデータベースから読み出されてコンピュータ200にインストールされる。
【0072】
そして、インストールされた無線タグ管理プログラム211は、HDD230に記憶され、RAM210に読み出されてCPU220によって無線タグ管理プロセス221として実行される。
【0073】
また、本実施例では、利用者が無線タグとデータ領域を指定して鍵の発行を要求する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、利用者が必要な領域のサイズを指定して無線タグの利用を要求すると無線タグ管理装置が無線タグおよびデータ領域を鍵とともに利用者に提供する場合にも同様に適用することができる。
【0074】
(付記1)無線タグの複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用を可能とする鍵の発行要求を受け付ける発行要求受付手順と、
前記発行要求受付手順により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する鍵発行手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする無線タグ管理プログラム。
【0075】
(付記2)前記鍵発行手順により発行された鍵の返却を受け付け、該返却された鍵の返却処理を行う鍵返却手順
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の無線タグ管理プログラム。
【0076】
(付記3)前記鍵発行手順は、鍵の使用に関する契約条件を定めて鍵を発行し、
前記鍵返却手順は、返却された鍵に対して契約条件を満たしているか否かを判定し、契約条件を満たしていない場合には、契約違反に関する処理を行うことを特徴とする付記2に記載の無線タグ管理プログラム。
【0077】
(付記4)前記契約条件には、データ領域へのデータの書き込み回数の上限値が含まれ、
前記鍵返却手順は、返却された鍵に対応するデータ領域への書き込み回数が上限値を超えているか否かを判定し、上限値を超えている場合には、契約違反に関する処理を行うことを特徴とする付記3に記載の無線タグ管理プログラム。
【0078】
(付記5)前記鍵発行手順は、有効期限を設けて鍵を発行し、
発行した鍵の有効期限が切れた場合に期限切れに対処する処理を行う期限切れ処理手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の無線タグ管理プログラム。
【0079】
(付記6)前記期限切れ処理手順は、鍵の期限切れを利用者に通知するとともに該利用者を期限切れ者を管理する期限切れ者リストに登録し、
前記鍵発行手順は、前記発行要求受付手順により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する際に、前記期限切れ者リストに利用者が登録されていないことを確認することを特徴とする付記5に記載の無線タグ管理プログラム。
【0080】
(付記7)無線タグの複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用を可能とする鍵の発行要求を受け付ける発行要求受付工程と、
前記発行要求受付工程により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する鍵発行工程と、
を含んだことを特徴とする無線タグ管理方法。
【0081】
(付記8)無線タグの複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用を可能とする鍵の発行要求を受け付ける発行要求受付手段と、
前記発行要求受付手段により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する鍵発行手段と、
を備えたことを特徴とする無線タグ管理装置。
【0082】
(付記9)複数のデータ領域を有し、該複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用に必要な鍵との照合に用いる鍵を記憶する鍵記憶領域を有することを特徴とする無線タグ。
【0083】
(付記10)複数のデータ領域を有し、該複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用に必要な鍵との照合に用いる鍵を記憶する鍵記憶領域を有する無線タグと、
前記無線タグの利用者からの鍵の発行要求に応答して鍵を発行する鍵発行手段を有する無線タグ管理装置と、
を備えたことを特徴とする無線タグシステム。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係る無線タグ管理プログラムは、無線タグを利用するシステムに有用であり、特に、無線タグを複数の利用者で共同利用する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施例に係る無線タグシステムのシステム構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施例に係る無線タグ管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】契約情報DBの一例を示す図である。
【図4】無線タグのデータ領域を示す図である。
【図5】鍵情報DBの一例を示す図である。
【図6】本実施例に係る無線タグ管理装置による契約および鍵発行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施例に係る無線タグ管理装置による鍵返却処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施例に係る無線タグ管理装置による鍵の期限切れ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施例に係る無線タグ管理プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
10 無線タグ
20,30,40 リーダ/ライタ
50 RSPネットワーク
60 固定ネットワーク
70 モバイルネットワーク
80 ASP
100 無線タグ管理装置
110 契約情報DB
120 鍵情報DB
130 契約管理部
140 鍵管理部
150 鍵期限管理部
160 外部I/F
170 全体制御部
200 コンピュータ
210 RAM
211 無線タグ管理プログラム
220 CPU
221 無線タグ管理プロセス
230 HDD
240 LANインタフェース
250 入出力インタフェース
260 DVDドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグの複数のデータ領域それぞれに対応してそれぞれのデータ領域の利用を可能とする鍵の発行要求を受け付ける発行要求受付手順と、
前記発行要求受付手順により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する鍵発行手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする無線タグ管理プログラム。
【請求項2】
前記鍵発行手順により発行された鍵の返却を受け付け、該返却された鍵の返却処理を行う鍵返却手順
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ管理プログラム。
【請求項3】
前記鍵発行手順は、鍵の使用に関する契約条件を定めて鍵を発行し、
前記鍵返却手順は、返却された鍵に対して契約条件を満たしているか否かを判定し、契約条件を満たしていない場合には、契約違反に関する処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の無線タグ管理プログラム。
【請求項4】
前記鍵発行手順は、有効期限を設けて鍵を発行し、
発行した鍵の有効期限が切れた場合に期限切れに対処する処理を行う期限切れ処理手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1、2または3に記載の無線タグ管理プログラム。
【請求項5】
前記期限切れ処理手順は、鍵の期限切れを利用者に通知するとともに該利用者を期限切れ者を管理する期限切れ者リストに登録し、
前記鍵発行手順は、前記発行要求受付手順により受け付けられた鍵の発行要求に応答して該鍵を発行する際に、前記期限切れ者リストに利用者が登録されていないことを確認することを特徴とする請求項4に記載の無線タグ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−318291(P2006−318291A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141480(P2005−141480)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】