説明

無線タグ装置、無線通信システムおよび再送制御方法

【課題】 無線リーダ装置との通信が失敗したときに、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定し、その優先度に基づいて適切な再送制御をすることのできる無線タグ装置を提供する。
【解決手段】 無線タグ装置2は、無線リーダ装置3からの応答要求信号を受信し、その受信強度を測定する。また、その応答要求信号に応答して、無線リーダ装置3との通信の成否を判定する。さらに、受信強度の増減に基づいて移動判定を行い、受信強度と閾値を比較して遠近判定を行って、移動判定と遠近判定の判定結果に基づいてエリア判定を行う。無線タグ装置2は、無線リーダ装置3との通信が失敗した場合に、エリア判定の判定結果に基づいて、エリアごとに定められた優先度(遠距離離脱:最高、近距離離脱:高、近距離接近:中、遠距離接近:低)に応じて再送タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リーダ装置との通信が失敗したときに再送制御を行う機能を備えた無線タグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路の道路脇などにセンサを設置しておき、そのセンサで測定したセンサ情報(計測データ)をセンサの近傍に設置した路側ユニットで記録し、車両に搭載された車載ユニットで近傍を通過する際に、車両を走行させながら、その路側ユニットからセンサ情報を無線通信で収集するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、車載ユニットが無線リーダ装置に相当し、路側ユニットが無線タグ装置に相当する。
【0003】
このようなシステムでは、高速道路に沿って多数のセンサが設置される。無線リーダ装置の通信可能エリアの圏内に多数の無線タグ装置が存在すると、無線リーダ装置からの応答要求信号(ビーコン信号)に対して複数の無線タグ装置から応答信号が送信され、それらが衝突(コリジョン)することもあり得る。無線タグ装置からの応答で衝突(コリジョン)が発生すると、ある無線タグ装置は、無線リーダ装置との通信に成功するが、他の無線タグ装置は、無線リーダ装置との通信に失敗する結果となる。
【0004】
無線リーダ装置との通信に失敗した場合、一般に、応答信号を再送する再送制御が行われる(例えば、特許文献2参照)。例えば、従来の再送制御方法では、無線通信装置(無線リーダ装置)で、無線端末装置(無線タグ装置)の送信失敗回数に応じたタイムスロットをランダムに割り当てて、無線タグ装置に通知する。無線タグ装置では、無線リーダ装置により割り当てられたタイムスロットで再送が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−117837号公報
【特許文献2】特開2009−218672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、再送制御の主たる制御が無線リーダ装置側で行われており、無線タグ装置の台数が多くなると、無線リーダ装置側の処理が重くなるという問題があった。
【0007】
また、高速道路を走行する車両の速度は、高速(例えば時速80km)である。無線リーダ装置が高速で移動する場合、無線タグ装置がすぐに通信可能エリアの圏外に出てしまうため、再送可能な期間が短い。ところが、再送可能な期間が短い場合には、再送タイミング(タイムスロット)をランダムに割り当てると、再コリジョンが発生する可能性が高くなるという問題があった。
【0008】
無線リーダ装置が高速で移動する(無線タグ装置がすぐに通信可能エリアの圏外に出てしまう)ということは、今後、その無線タグ装置から再送できる機会が少ないともいえる。それにも関わらず、再コリジョンが発生してしまうと、少ない機会を逃してしまう結果となるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、無線リーダ装置との通信が失敗したときに、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定し、その優先度に基づいて適切な再送制御をすることのできる無線タグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線タグ装置は、無線リーダ装置から送信される応答要求信号を受信する受信部と、前記応答要求信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定する通信成否判定部と、以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行う移動判定部と、前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行う遠近判定部と、前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行うエリア判定部と、前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御する再送タイミング制御部と、を備え、前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度である構成を有している。
【0011】
この構成により、無線リーダ装置からの応答要求信号の受信強度(例えば、RSSI)に基づいて移動判定と遠近判定が行われ、無線タグ装置の属するエリアが「遠距離離脱エリア」「近距離離脱エリア」「近距離接近エリア」「遠距離接近エリア」のいずれであるかが判定される。無線リーダ装置との通信が失敗したと判定されると、各エリアごとに定められた優先度に応じて、応答信号を再送する再送タイミングが制御される。例えば、遠距離離脱エリアは、無線リーダ装置と無線タグ装置が遠距離にあり互いに離脱している(遠ざかっている)ため、今後の再送の機会が最も少ない(間もなく通信可能エリアの圏外に出てしまう)と考えられるので、最も高い優先度(第1優先度)に設定され、最優先で応答信号が再送される。また、近距離離脱エリアは、無線リーダ装置と無線タグ装置が近距離にあるものの互いに離脱している(遠ざかっている)ため、今後の再送の機会が遠距離離脱エリアの次に少ないと考えられるので、その次に高い優先度(第2優先度)に設定される。さらに、近距離接近エリアは、無線リーダ装置と無線タグ装置が近距離にあり互いに接近している(近づいている)ため、近距離離脱エリアより再送の機会が多いと考えられるので、その次の優先度(第3優先度)に設定される。そして、遠距離接近エリアは、無線リーダ装置と無線タグ装置が遠距離にあり互いに接近している(近づいている)ため、今後の再送の機会が最も多い(しばらく通信可能エリアの圏内に滞在する)と考えられるため、最も低い優先度(第4優先度)に設定される。このように、本発明によれば、無線タグ装置側で、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定することができ、その優先度に基づいて再送タイミングを適切に制御することができる。
【0012】
また、本発明の無線タグ装置では、前記再送タイミング制御部は、前記優先度が高いほど所定期間あたりの再送回数が多くなるように、前記応答信号の再送タイミングを制御する構成を有している。
【0013】
この構成により、優先度が高いほど所定期間(例えば1フレーム)あたりの再送回数が多くなるように、応答信号の再送タイミングの制御(再送制御)が行われる。例えば、1つのフレームが、2つのユニット(第1ユニットおよび第2ユニット)で構成され、1つのユニットが45個のサブフレーム(第1サブフレーム〜第45サブフレーム)で構成されている場合に、第1ユニットで無線リーダ装置との通信が失敗したとする。その場合、遠距離離脱エリアであれば、第2ユニットの45個のサブフレームすべて(第1サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送し、近距離離脱エリアであれば、第2ユニットの30個のサブフレーム(例えば、第16サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送する。また、近距離接近エリアであれば、第2ユニットの20個のサブフレーム(例えば、第26サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送し、遠距離接近エリアであれば、第2ユニットの10個のサブフレーム(例えば、第36サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送する。このように、本発明によれば、今後の再送の機会の多寡に応じた再送回数となるように、再送タイミングを適切に制御することができる。
【0014】
また、本発明の無線タグ装置は、前記遠近判定で遠距離と判定された場合には、前記再送タイミング制御部で決定される再送タイミングより前のタイミングで、前記応答信号を事前に送信する事前送信制御部を備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、遠近判定で遠距離と判定されると、上記の再送タイミング制御部で決定される再送タイミングより前のタイミングで、応答信号が事前に送信される。例えば、無線リーダ装置の通信可能エリアの縁(フリンジ)の部分をかするように無線タグ装置が通過する場合、今後の再送の機会が最も少ない(間もなく通信可能エリアの圏外に出てしまう)と考えられる。本発明によれば、そのような場合に、再送タイミングより前のタイミングで応答信号が事前に再送されるので、無線リーダ装置との通信の成功率を更に高めることができる。
【0016】
本発明の再送制御方法は、無線タグ装置で用いられる再送制御方法であって、無線リーダ装置から送信される応答要求信号を受信し、前記応答要求信号の受信強度を測定し、前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定し、以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行い、前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行い、前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行い、前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御するものであり、前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度である。
【0017】
この方法によっても、上記と同様に、無線タグ装置側で、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定することができ、その優先度に基づいて再送タイミングを適切に制御することができる。
【0018】
本発明の無線通信システムは、無線タグ装置と無線リーダ装置とを備えた無線通信システムであって、前記無線タグ装置は、前記無線リーダ装置から送信される応答要求信号を受信する受信部と、前記応答要求信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定する通信成否判定部と、以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行う移動判定部と、前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行う遠近判定部と、前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行うエリア判定部と、前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御する再送タイミング制御部と、を備え、前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度である構成を有している。
【0019】
この方法によっても、上記と同様に、無線タグ装置側で、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定することができ、その優先度に基づいて再送タイミングを適切に制御することができる。
【0020】
本発明の再送制御方法は、無線通信システムで用いられる再送制御方法であって、無線リーダ装置から送信される応答要求信号を無線タグ装置で受信し、前記無線タグ装置において、前記応答要求信号の受信強度を測定し、前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定し、以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行い、前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行い、前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行い、前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御するものであり、前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度である。
【0021】
この方法によっても、上記と同様に、無線タグ装置側で、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定することができ、その優先度に基づいて再送タイミングを適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、無線リーダ装置との通信が失敗したときに、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定し、その優先度に基づいて適切な再送制御をすることができるという効果を有する無線タグ装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態における無線通信システムのブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態における無線通信システムの説明図
【図3】本発明の第1の実施の形態における4つのエリア(遠距離接近エリア、近距離接近エリア、近距離離脱エリア、遠距離離脱エリア)およびそれらの優先度の説明図
【図4】本発明の第1の実施の形態における無線フレーム構成の説明図
【図5】本発明の第1の実施の形態における再送制御を説明するためのシーケンス図
【図6】本発明の第2の実施の形態における無線通信システムのブロック図
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるフリンジ通過の説明図
【図8】本発明の第2の実施の形態における無線フレーム構成の説明図
【図9】本発明の第2の実施の形態における事前送信制御を説明するためのシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態の無線タグ装置および無線通信システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、高速道路などの構造物の点検や監視のためのセンサーネットワーク等に適用される場合を例示する。
【0025】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の無線タグ装置および無線通信システムの構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の無線通信システムのブロック図であり、図2は、本実施の形態の無線通信システムの説明図である。図1および図2に示すように、無線通信システム1は、無線タグ装置2と無線リーダ装置3で構成されている。
【0026】
無線タグ装置2は、高速道路の道路脇などに設置され、センサ4に接続されている。センサ4としては、種々のセンサを利用することができる。図1に示すように、無線タグ装置2には、センサ4から測定データが入力されるセンサインターフェース5(センサI/F)が設けられている。センサ4の測定データは、無線リーダ装置3に送信されるまでの間、未送信データとして、記憶部6に記憶される。
【0027】
また、無線タグ装置2は、無線リーダ装置3から送信される信号を受信する受信部7と、無線リーダ装置3へ信号を送信する送信部8を備えている。受信部7では、無線リーダ装置3から送信される応答要求信号(ビーコン信号)などが受信される。送信部8からは、応答要求信号に対する応答信号(ACK信号)などが送信される。受信部7で受信したデータ(受信データ)は、制御部9へ送られる。
【0028】
また、無線タグ装置2には、無線リーダ装置3からビーコン信号を受信したときに、その受信電界強度(RSSI)を測定する受信強度測定部10が備えられている。受信強度測定部10で測定したRSSIのデータは、制御部9へ送られる。さらに、制御部9へ送られたRSSIのデータは、記憶部6へ送られて記憶される。
【0029】
制御部9は、例えばCPUなどで構成され、無線タグ装置2の装置全体の制御を行う機能を備えている。制御部9へ送られた受信データは、通信成否判定部11へ送られる。通信成否判定部11は、ビーコン信号に対する応答として無線リーダ装置3へ送信したACK信号が、無線リーダ装置3で受け付けられたか否か、すなわち、無線リーダ装置3との通信が成功したか否かを、受信データに基づいて判定する機能を備えている。無線リーダ装置3との通信が成功し、記憶部6に記憶されている未送信データの送信が完了すると、記憶部6から未送信データが削除される。
【0030】
また、無線タグ装置2には、RSSIに基づいた各種の判定(移動判定、遠近判定、エリア判定)を行う判定処理部12が備えられている。ここで、図3を参照しながら、これらの判定について詳しく説明する。
【0031】
図3に示すように、移動判定では、以前に受信したビーコン信号のRSSI(記憶部6に記憶されている)と今回受信したビーコン信号のRSSIに基づいて、RSSIが増加している場合には「接近(近づく)」と判定し、RSSIが減少している場合には「離脱(遠のく)」と判定する。
【0032】
また、遠近判定では、今回受信したビーコン信号のRSSIと閾値を比較して、RSSIが閾値以上である場合には「近距離(近い)」と判定し、RSSIが閾値未満である場合には「遠距離(遠い)」と判定する。
【0033】
そして、エリア判定では、上記の移動判定と遠近判定の判定結果に基づいて、タグ装置が「遠距離離脱エリア」「近距離離脱エリア」「近距離接近エリア」「遠距離接近エリア」のいずれのエリアに属するかを判定する。これらのエリアには、それぞれ優先度が設定されている。この場合、「遠距離離脱エリア:最高(即座に再送)」「近距離離脱エリア:高(早く再送)」「近距離接近エリア:中(やや早く再送)」「遠距離接近エリア:低(ゆっくり再送)」という優先度が設定されている。
【0034】
図1に戻って、無線タグ装置2の構成の説明を続ける。無線タグ装置2には、送信タイミング制御部13が備えられている。送信タイミング制御部13は、ビーコン信号に対するACK信号を送信するタイミング(どのタイムスロットで送信するか)を決定する機能を備えている。この無線タグ装置2には、乱数生成部14が備えられている。乱数生成部14では、ランダム制御を行うための乱数が生成される。送信タイミング制御は、乱数生成部14で生成された乱数に基づいて、ACK信号を送信するタイムスロットをランダムに割り当てるランダム制御が行われる。
【0035】
また、送信タイミング制御部13は、無線リーダ装置3との通信に失敗した場合に、エリア判定の判定結果に基づいて、そのエリアの優先度に応じてACK信号を再送する再送制御を行う機能を備えている。この場合、優先度が高いほど1フレーム期間あたりの再送回数(再送頻度)を多くするように、ACK信号の再送タイミングが制御される。
【0036】
ここで、図4を参照して、ACK信号の再送タイミングの制御について、詳しく説明しておく。図4には、無線フレーム構成の一例が示される。図4に示すように、例えば、1フレームが、2つのユニット(第1ユニットおよび第2ユニット)で構成され、1つのユニットが45個のサブフレーム(第1サブフレーム〜第45サブフレーム)で構成され、1フレームに、n個のタイムスロットが含まれているとする。
【0037】
この場合、第1ユニットで無線リーダ装置3との通信が失敗したとすると、遠距離離脱エリアであれば、第2ユニットの45個のサブフレームすべて(第1サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送し、近距離離脱エリアであれば、第2ユニットの30個のサブフレーム(例えば、第16サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送する。また、近距離接近エリアであれば、第2ユニットの20個のサブフレーム(例えば、第26サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送し、遠距離接近エリアであれば、第2ユニットの10個のサブフレーム(例えば、第36サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送する。
【0038】
無線リーダ装置3は、無線タグ装置2へ信号を送信する送信部15と、無線タグ装置2からの信号を受信する受信部16を備えている。送信部15からは、無線タグ装置2へのビーコン信号などが送信される。受信部16では、無線タグ装置2から送信されるACK信号などが受信される。受信部16で受信したデータ(受信データ)は、制御部17へ送られる。さらに、制御部17へ送られたデータは、記憶部18へ送られて記憶される。
【0039】
以上のように構成された無線通信システム1について、図5のシーケンス図を参照してその動作を説明する。ここでは、本発明の特徴的な動作である再送制御を中心に説明する。
【0040】
図5に示すように、本実施の形態の無線通信システム1では、まず、第1ユニットの第0タイムロット(TS0)で、無線リーダ装置3から無線タグ装置2へブロードキャストビーコンが送信される。この場合、無線リーダ装置3の通信可能エリア内に、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)が存在していたとする。ブロードキャストビーコンは、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)で受信され、それぞれの無線タグ装置2でRSSIの測定が行われる。
【0041】
同様に、第1タイムスロット(TS1)でも、無線リーダ装置3から無線タグ装置2へブロードキャストビーコンが送信される。このブロードキャストビーコンも、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)でそれぞれ受信され、RSSIの測定が行われる。
【0042】
第2タイムスロット(TS2)では、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)からブロードキャストビーコンに対する応答としてACK信号が送信される。この場合、二つの無線タグ装置2から同じタイミングでACK信号が送信されるので、ACK信号の受信時に衝突(コリジョン)が発生する。無線リーダ装置3は、一方のACK信号(タグAからのACK信号)のみを受信し、他方のACK信号(タグBからのACK信号)を破棄する。
【0043】
そうすると、第3タイムスロット(TS3)で、無線タグ装置2からのACK信号に対する応答として、無線リーダ装置3から「タグAとの通信に成功した」ことを通知するユニキャストビーコン信号が送信される。これにより、一方の無線タグ装置2(タグA)は、無線リーダ装置3との通信に成功したことを認識し、他方の無線タグ装置2(タグB)は、無線リーダ装置3との通信に失敗したことを認識する。無線リーダ装置3との通信に成功した無線タグ装置2(タグA)は、消費電力を抑えるためのセービング制御を行う。
【0044】
第5タイムスロット(TS5)と第7タイムスロット(TS7)で、無線リーダ装置3からブロードキャストビーコン信号が送信される。このビーコン信号は、セービング制御が行われていない(無線リーダ装置3との通信に失敗した)無線タグ装置2(タグB)で受信され、RSSIの測定が行われる。
【0045】
その後、無線タグ装置2(タグB)では、TS7で受信したブロードキャストビーコン信号(直近に受信したビーコン信号)のRSSIと閾値とを比較して遠近判定が行われ、また、TS0で受信したブロードキャストビーコン信号(最初に受信したビーコン信号)とTS7で受信したブロードキャストビーコン信号(直近に受信したビーコン信号)からRSSIの増減に基く移動判定が行われる。そして、遠近判定と移動判定の判定結果に基づいてエリア判定が行われ、エリア判定の判定結果に基づいて、そのエリアの優先度に応じた再送タイミング(例えば、第2ユニットの第n−1タイムスロット(TSn−1)など)が決定される。その後、無線タグ装置2(タグB)でも、消費電力を抑えるためのセービング制御が行われる。
【0046】
そして、無線タグ装置2(タグB)は、第2ユニットの第n−2タイムスロットで無線リーダ装置3からのブロードキャストビーコン信号を受信すると、次の第n−1タイムスロット(TSn−1)でACK信号を無線リーダ装置3に再送する。無線リーダ装置3は、無線タグ装置2(タグB)からのACK信号を受信すると、「タグBとの通信に成功した」ことを通知するユニキャストビーコン信号を送信する。これにより、無線タグ装置2(タグB)は、無線リーダ装置3との通信に成功したことを認識する。無線リーダ装置3との通信に成功した無線タグ装置2(タグB)は、消費電力を抑えるためのセービング制御を行う。
【0047】
このような第1の実施の形態の無線タグ装置2によれば、無線リーダ装置3との通信が失敗したときに、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定し、その優先度に基づいて適切な再送制御をすることができる。
【0048】
すなわち、本実施の形態では、無線リーダ装置3からのビーコン信号のRSSIに基づいて移動判定と遠近判定が行われ、無線タグ装置2の属するエリアが「遠距離離脱エリア」「近距離離脱エリア」「近距離接近エリア」「遠距離接近エリア」のいずれであるかが判定される。無線リーダ装置3との通信が失敗したと判定されると、各エリアごとに定められた優先度に応じて、ACK信号を再送する再送タイミングが制御される。
【0049】
例えば、遠距離離脱エリアは、無線リーダ装置3と無線タグ装置2が「遠距離」にあり互いに「離脱」している(遠ざかっている)ため、今後の再送の機会が最も少ない(間もなく通信可能エリアの圏外に出てしまう)と考えられるので、最も高い優先度(第1優先度:最高)に設定され、最優先で応答信号が再送される。また、近距離離脱エリアは、無線リーダ装置3と無線タグ装置2が「近距離」にあるものの互いに「離脱」している(遠ざかっている)ため、今後の再送の機会が遠距離離脱エリアの次に少ないと考えられるので、その次に高い優先度(第2優先度:高)に設定される。さらに、近距離接近エリアは、無線リーダ装置3と無線タグ装置2が「近距離」にあり互いに「接近」している(近づいている)ため、近距離離脱エリアより再送の機会が多いと考えられるので、その次の優先度(第3優先度:中)に設定される。そして、遠距離接近エリアは、無線リーダ装置3と無線タグ装置2が「遠距離」にあり互いに「接近」している(近づいている)ため、今後の再送の機会が最も多い(しばらく通信可能エリアの圏内に滞在する)と考えられるため、最も低い優先度(第4優先度:低)に設定される。
【0050】
このように、本実施の形態の無線通信システム1によれば、無線タグ装置2側で、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定することができ、その優先度に基づいて再送タイミングを適切に制御することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、優先度が高いほど所定期間(例えば1フレーム)あたりの再送回数が多くなるように、応答信号の再送タイミングの制御(再送制御)が行われる。
【0052】
例えば、図4に示すように、1つのフレームが、2つのユニット(第1ユニットおよび第2ユニット)で構成され、1つのユニットが45個のサブフレーム(第1サブフレーム〜第45サブフレーム)で構成されている場合に、第1ユニットで無線リーダ装置3との通信が失敗したとする。その場合、遠距離離脱エリアであれば、第2ユニットの45個のサブフレームすべて(第1サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送し、近距離離脱エリアであれば、第2ユニットの30個のサブフレーム(例えば、第16サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送する。また、近距離接近エリアであれば、第2ユニットの20個のサブフレーム(例えば、第26サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送し、遠距離接近エリアであれば、第2ユニットの10個のサブフレーム(例えば、第36サブフレーム〜第45サブフレーム)で応答信号を再送する。
【0053】
このように、本実施の形態によれば、今後の再送の機会の多寡に応じた再送回数(再送頻度)となるように、再送タイミングを適切に制御することができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の無線タグ装置2について説明する。ここでは、第2の実施の形態の無線タグ装置2が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0055】
図6は、本実施の形態の無線通信システム1のブロック図である。図6に示すように、本実施の形態の無線タグ装置2には、事前送信制御部19が追加されている。事前送信制御部19は、遠近判定で「遠距離」であると判定された場合に、再送制御で決定される再送タイミングより前のタイミングで、ACK信号を無線リーダ装置3に事前に送信する制御(事前送信制御)を行う機能を備えている。
【0056】
この事前送信制御は、図7に示すように、無線リーダ装置3の通信可能エリアの縁(フリンジ)の部分をかするように無線タグ装置2が通過する場合を想定したものである。すなわち、無線リーダ装置3の通信可能エリアの縁(フリンジ)の部分をかするように無線タグ装置2が通過する場合には、今後の再送の機会が最も少ない(間もなく通信可能エリアの圏外に出てしまう)と考えられるため、再送制御の送信タイミングより前に、ACK信号を送信する。
【0057】
図8は、無線フレーム構成の一例を示す図である。図8に示すように、例えば、1つのフレームが、8つのユニット(第1ユニット〜第8ユニット)で構成され、後半のユニット(第5ユニット〜第8ユニット)で、第1の実施形態と同様の再送制御が行われるとする。この場合、事前送信制御は、前半のユニット(例えば、第2ユニットと第4ユニット)で行われる。
【0058】
ここで、本実施の形態の無線通信システム1で行われる事前送信制御を、図9のシーケンス図を参照して詳しく説明する。
【0059】
図9に示すように、本実施の形態の無線通信システム1では、まず、第1ユニットの第0タイムロット(TS0)と第1タイムスロット(TS1)で、無線リーダ装置3から無線タグ装置2へブロードキャストビーコンが送信される。この場合も、無線リーダ装置3の通信可能エリア内に、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)が存在していたとする。ブロードキャストビーコンは、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)で受信され、それぞれの無線タグ装置2でRSSIの測定が行われる。
【0060】
第2タイムスロット(TS2)では、二つの無線タグ装置2(タグA、タグB)からブロードキャストビーコンに対する応答としてACK信号が送信される。この場合にも、二つの無線タグ装置2から同じタイミングでACK信号が送信されるので、ACK信号の受信時に衝突(コリジョン)が発生する。無線リーダ装置3は、一方のACK信号(タグAからのACK信号)のみを受信し、他方のACK信号(タグBからのACK信号)を破棄する。
【0061】
そうすると、第3タイムスロット(TS3)で、無線タグ装置2からのACK信号に対する応答として、無線リーダ装置3から「タグAとの通信に成功した」ことを通知するユニキャストビーコン信号が送信される。これにより、一方の無線タグ装置2(タグA)は、無線リーダ装置3との通信に成功したことを認識し、他方の無線タグ装置2(タグB)は、無線リーダ装置3との通信に失敗したことを認識する。無線リーダ装置3との通信に成功した無線タグ装置2(タグA)は、消費電力を抑えるためのセービング制御を行う。
【0062】
第5タイムスロット(TS5)で、無線リーダ装置3からブロードキャストビーコン信号が送信されると、このビーコン信号は、セービング制御が行われていない(無線リーダ装置3との通信に失敗した)無線タグ装置2(タグB)で受信され、RSSIの測定が行われる。
【0063】
この場合、無線タグ装置2(タグB)では、TS5で受信したブロードキャストビーコン信号(直近に受信したビーコン信号)のRSSIと閾値とを比較して遠近判定が行われ、事前送信を行う送信タイミング(例えば、第2ユニットの第m−1タイムスロット(TSm−1)など)が決定される。その後、無線タグ装置2(タグB)でも、消費電力を抑えるためのセービング制御が行われる。
【0064】
そして、無線タグ装置2(タグB)は、第2ユニットの第m−2タイムスロットで無線リーダ装置3からのブロードキャストビーコン信号を受信すると、次の第m−1タイムスロット(TSm−1)でACK信号を無線リーダ装置3に事前送信する。無線リーダ装置3は、無線タグ装置2(タグB)からのACK信号を受信すると、「タグBとの通信に成功した」ことを通知するユニキャストビーコン信号を送信する。これにより、無線タグ装置2(タグB)は、無線リーダ装置3との通信に成功したことを認識し、消費電力を抑えるためのセービング制御を行う。
【0065】
このような第2の実施の形態の無線タグ装置2によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0066】
その上、本実施の形態では、無線リーダ装置3との通信が失敗したと判定された場合に、遠近判定で遠距離と判定されると、上記の再送制御で決定される再送タイミングより前のタイミングで、ACK信号が事前に送信される。例えば、無線リーダ装置3の通信可能エリアの縁(フリンジ)の部分をかするように無線タグ装置2が通過する場合、今後の再送の機会が最も少ない(間もなく通信可能エリアの圏外に出てしまう)と考えられるが、本実施の形態によれば、そのような場合に、再送タイミングより前のタイミングでACK信号が事前に再送されるので、無線リーダ装置3との通信の成功率を更に高めることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0068】
例えば、以上の説明では、無線リーダ装置3が移動し無線タグ装置2が固定されるシステムについて説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、無線タグ装置2が移動し無線リーダ装置3が固定されるシステムにも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる無線タグ装置は、無線リーダ装置との通信が失敗したときに、今後の再送の機会の多寡に応じて適切な優先度を設定し、その優先度に基づいて適切な再送制御をすることができるという効果を有し、高速道路などの構造物の点検や監視のためのセンサーネットワークに適用され、有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 無線通信システム
2 無線タグ装置
3 無線リーダ装置
4 センサ
5 センサインターフェース
6 記憶部
7 受信部
8 送信部
9 制御部
10 受信強度測定部
11 通信成否判定部
12 判定処理部
13 送信タイミング制御部
14 乱数生成部
15 送信部
16 受信部
17 制御部
18 記憶部
19 事前送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線リーダ装置から送信される応答要求信号を受信する受信部と、
前記応答要求信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、
前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定する通信成否判定部と、
以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行う移動判定部と、
前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行う遠近判定部と、
前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行うエリア判定部と、
前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御する再送タイミング制御部と、
を備え、
前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度であることを特徴とする無線タグ装置。
【請求項2】
前記再送タイミング制御部は、前記優先度が高いほど所定期間あたりの再送回数が多くなるように、前記応答信号の再送タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の無線タグ装置。
【請求項3】
前記遠近判定で遠距離と判定された場合には、前記再送タイミング制御部で決定される再送タイミングより前のタイミングで、前記応答信号を事前に送信する事前送信制御部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線タグ装置。
【請求項4】
無線タグ装置で用いられる再送制御方法であって、
無線リーダ装置から送信される応答要求信号を受信し、
前記応答要求信号の受信強度を測定し、
前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定し、
以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行い、
前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行い、
前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行い、
前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御し、
前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度であることを特徴とする再送制御方法。
【請求項5】
無線タグ装置と無線リーダ装置とを備えた無線通信システムであって、
前記無線タグ装置は、
前記無線リーダ装置から送信される応答要求信号を受信する受信部と、
前記応答要求信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、
前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定する通信成否判定部と、
以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行う移動判定部と、
前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行う遠近判定部と、
前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行うエリア判定部と、
前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御する再送タイミング制御部と、
を備え、
前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度であることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
無線通信システムで用いられる再送制御方法であって、
無線リーダ装置から送信される応答要求信号を無線タグ装置で受信し、
前記無線タグ装置において、
前記応答要求信号の受信強度を測定し、
前記応答要求信号に対する応答として送信した応答信号が前記無線リーダ装置で受け付けられて前記無線リーダ装置との通信が成功したか否か判定し、
以前の応答要求信号の受信強度と今回の応答要求信号の受信強度とに基づいて、前記受信強度が増加している場合には接近と判定し、前記受信強度が減少している場合には離脱と判定する移動判定を行い、
前記今回の応答要求信号の受信強度に基づいて、前記受信強度が所定の閾値以上である場合には近距離と判定し、前記受信強度が前記閾値未満である場合には遠距離と判定する遠近判定を行い、
前記移動判定と前記遠近判定の判定結果に基づいて、遠距離離脱エリア、近距離離脱エリア、近距離接近エリア、遠距離接近エリアのいずれのエリアに属するかを判定するエリア判定を行い、
前記無線リーダ装置との通信が失敗したと判定された場合に、前記エリア判定の判定結果に基づいて、前記エリアごとに定められた優先度に応じて、前記応答信号を再送する再送タイミングを制御し、
前記遠距離離脱エリアの優先度は最も高い第1優先度であり、前記近距離離脱エリアの優先度は前記第1優先度より低い第2優先度であり、前記近距離接近エリアの優先度は前記第2優先度より低い第3優先度であり、前記遠距離接近エリアの優先度は前記第3優先度より低い第4優先度であることを特徴とする再送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97408(P2013−97408A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236670(P2011−236670)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】