説明

無線タグ読取装置、無線タグ読取システムおよび無線タグ読取方法

【課題】 検索に使用する検索情報を容易に入力することができる無線タグ読取装置、無線タグ読取システムおよび無線タグ読取方法を提供する。
【解決手段】 無線タグから無線通信によりID情報を読み出す読出部17,18と、読み出したID情報に関連する関連情報とこれに含まれる検索情報をネットワーク上のサーバ装置から取得する通信部16と、取得した検索情報を表示する表示部15と、表示された検索情報を操作に応じて特定する操作部19と、読出部により新たに読み出したID情報に関連する関連情報と、操作部が特定した検索情報に対応する関連情報とを比較することで、無線タグの検索を行う検索部11をもつ無線タグ読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線タグからEPC(Electronic Product Code)を読み取る無線タグ読取装置に関し、特に、読み取った文字情報を選んで検索に利用する無線タグ読取装置、無線タグ読取システムおよび無線タグ読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、POSシステム(Point Of Sales system)等が利用される物流の分野では、RFID(Radio Frequency Identification)システムの導入が進められている。このRFIDシステムにおいては、取り扱うデータ量が膨大となる上、無数の国をまたぐことがあるため、SGTIN(Serialized Global Trade Item Number)やSSCC(Serial Shipping Container Code)といったグローバルで完全にユニークな物品管理のコード、いわゆるEPC(Electronic Product Code)が活用されている。
【0003】
ちなみに、SGTINコードは、国際標準の商品識別コードであるGTINにシリアル番号を付すことで商品を個別管理するためのコード体系であり、現在、96ビットを使用したSGTIN−96と198ビットとのSGTIN−198とがEPCグローバルで規定されている。SSCCコードは、ケース、ダンボール、パレット等の輸送用の梱包対を個別管理するためのコード体系であり、現在、96ビットを使用したSSCC−96がEPCグローバルで規定されている。
【0004】
特許文献1は、アクティブICタグを仲介してパッシブICタグの製品名、個数、値段、及び店舗内の位置を表示する技術を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、ICタグから読み出した文字情報等を再度利用して、検索する際の具体的な方法については何も記載していない。すなわち、ICタグを検索する際は、検索するためのキーワードを本体に入力する必要があるが、無線タグ読取装置のキーボード等から文字を入力するという操作は、非常に煩雑なものとなる。たとえば、今手に持っている無線タグと同種のものを検索する際は、一度無線タグ読取装置でタグを読み取って文字情報を画面に表示させ、その文字情報を覚えてキーボード等から入力するといった二度手間となる作業が必要になる。
【0006】
本発明は、検索に使用する文字情報を容易に入力することができる無線タグ読取装置、無線タグ読取システムおよび無線タグ読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決する一実施形態は、
無線タグから無線通信によりID情報を読み出す読出部と、
前記読出部から読み出した前記ID情報に関連する関連情報を、ネットワーク上のサーバ装置から取得する通信部と、
前記通信部から取得した前記関連情報に基づく検索情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記検索情報を操作に応じて特定する操作部と、
前記読出部により新たに読み出した前記ID情報に関連する関連情報と、前記操作部が特定した前記検索情報に対応する関連情報とを比較することで、無線タグの検索を行う検索部と、を具備することを特徴とする無線タグ読取装置である。
【発明の効果】
【0008】
無線タグを検索する際に、検索のための文字入力をキーボード等で一つ一つ入力するのではなく、予め記憶された情報に基づいた文字情報を表示することで、検索するための操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線タグ読取システムの構成を示す説明図。
【図2】同じく無線タグ読取システムの外観の一例を示す外観図。
【図3】同じく無線タグ読取システムの検索処理の一例を示すフローチャート。
【図4】同じく無線タグ読取システムの無線タグの読み取りの一例を示す説明図。
【図5】同じく無線タグ読取システムのワード選択の一例を示す説明図。
【図6】同じく無線タグ読取システムの検索方法を選択する操作画面の一例を示す説明図。
【図7】同じく無線タグ読取システムの無線タグの読み取りの一例を示す説明図。
【図8】同じく無線タグ読取システムの検索処理の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る無線タグ読取装置の要旨を説明するにあたり、インターネットの検索サイトでウェブページを検索する場合を想定する。ウェブページを検索する際は、一番関係の深そうなキーワードを検索欄に入力する。キーワード一つでは絞りきれない場合は続けてアンド検索等を用いることで検索対象を絞っていく。例えば、東芝テックのホームページを閲覧したい場合を考えると、キーワードとして『東芝テック』という単語を入力すると検索上位にその結果が表示される。『東芝テック』、『POS』とアンド検索を用いれば、ほぼ最上位に目的のウェブページが現れる。
【0011】
こういったキーワード入力を、無線タグ(RFIDタグ)を読取らせた際の文字情報で行うということが、本発明の一実施形態である。例えば、家電量販店の倉庫で全ての家電製品にRFIDタグが貼り付けられており、今新たにテレビが入荷されてきて倉庫に搬入するという状況を考える。本発明の一実施形態を用いると、まず入荷されたテレビの情報を、梱包箱に貼り付けられたRFIDタグから無線タグ読取装置(ハンディリーダ装置等)で読取る。その後、読み取った文字情報を検索ワードとして特定し、このワードを用いて検索することで、目的の商品を簡単に検索することができる。
【0012】
次に、本発明の一実施形態に係る無線タグ読取装置1の具体的な構成の一例を説明する。無線タグ読取装置1は、図1に示すように、ネットワーク等を介して外部装置の一例であるホストコンピュータ2に接続されており、全体の動作を制御する制御部であるCPU11と、CPU11に接続されておりアプリケーションプログラム等を記憶しているFROM12と、過去に使用したEPC情報等を記憶している記憶領域であるRAM13を有している。
【0013】
さらに、無線タグ読取装置1は、上述したCPU11にそれぞれ接続される、表示制御回路14と、表示制御回路14により表示が制御され操作情報やラベル情報を表示する表示部15と、上述したホストコンピュータ2と通信を行なってEPC情報に応じて文字情報等を取得する通信部16と、読出部でありRFIDタグTと無線通信を行なってID情報等を読み取るアンテナ17と、読出部でありRFIDタグTとアンテナ17を介して無線通信を行なってID情報等を読み取るRFID送受信部18と、ユーザにより操作情報等が入力される操作部19と、各部への電源を供給する電源回路22と、電源回路22に電源を供給するバッテリ23と、スキャナ制御回路24と、スキャナ制御回路24に制御されバーコード等を読み取るための読取部であるスキャナ25を有している。なお、図2に無線タグ読取装置1の外観を示している。
【0014】
このような構成をもつ無線タグ読取装置1は、次のような手順で無線タグ(RFIDタグ)の検索処理を行う。図3は同じく無線タグ読取システムの検索処理の一例を示すフローチャート、図4は無線タグの読み取りの一例を示す説明図、図5はワード選択の一例を示す説明図、図6は検索方法を選択する操作画面の一例を示す説明図、図7は無線タグの読み取りの一例を示す説明図、図8は検索処理の他の例を示すフローチャートである。
【0015】
(第1検索方法)
すなわち、無線タグ読取装置1において、図3のフローチャートが示すように、初期画面から検索モードを選択する(ステップS11)。そして、図4に示すように、入荷されたテレビを梱包するダンボールDに貼り付けられている1個の無線タグTから、RFID送受信部18によりアンテナ17を介して情報を読み取る(ステップS12)。すなわち、無線タグ読取装置1のCPU11は、読取部であるアンテナ17、RFID送受信部18により、無線タグTのID情報を読み取る(ステップS13)。CPU11および通信部16は、無線通信でサーバすなわちホストコンピュータ2にアクセスして、読み取ったID情報と紐付けされて記憶されているEPC情報を取り込み、このEPC情報の中から文字情報、ワードを表示部15に表示する(ステップS14)。
【0016】
ユーザは、ここで図5に示すように、読み込んだ無線タグTに対応した複数の文字情報から、検索に使用する検索情報として任意の複数の文字情報を操作部19のキー等を用いて特定する(ステップS15)。このように物品管理のために記憶されている情報の一部を検索に利用することにより、従来行われていたように、操作部19の文字キーを操作して検索のためのキーワードを入力するという煩雑な作業が不要となる。次にユーザは図6に示すような画面において、『完全一致検索』、『あいまい検索』、『対応製品検索』等のように検索の種類を決定する(ステップS16)。ここでは、全く同じテレビを検索したいので『完全一致検索』を選択する。次に、CPU11および通信部16は、サーバすなわちホストコンピュータ2にアクセスして、検索に用いるべく特定されたワードと同一のワードが記憶された商品の商品コードを取得する(ステップS17)。
【0017】
そして、CPU11は、図7に示すように複数の無線タグTに対して読み出しを行い、ホストコンピュータ2から読み出したID情報に紐付けされ関連付けられた関連情報であるEPC情報を取得する。そして、検索部であるCPU11は、この取得した複数の商品コードそれぞれと、検索用ワードに基づいてホストコンピュータ2から取得したEPC情報の商品コード(同一のテレビ)とを比較判断する(ステップS18)。CPU11は、この比較判断の結果を、目的の物品に付された無線タグの検索結果として表示部15に表示し(ステップS19)、ユーザは、この検索結果により目的の物品(例えばテレビ)がどこにどれだけ存在するかを知ることができる。このように、本発明の一実施形態によれば、検索のためのキーワードの入力操作をキーボードから文字入力することなく容易に行うことができる。
【0018】
なお、ステップS15において、図5に示すように、複数の無線タグTから読み込んだ文字情報『a、b、c、ア、イ、ウ、い、ろ、は』から、任意に例えば、『a、b、イ』を選び、さらに、これらの文字情報について、アンド検索、オワ検索が可能である。これらを任意に組み合わせることで、多彩な無線タグTの検索が可能となる。
【0019】
(第2検索方法)
また、本発明の実施形態である無線タグ読取装置を用いることで対応製品等の物品を検索することも可能になる。例えばあるテレビの梱包箱等に貼られているRFIDタグを読み取り、そのテレビに対応したDVDデッキ等を検索することも可能である。第2実施形態として具体的なフローチャートを下記に記す。図8のフローチャートにおいて、初期画面から検索モードを選択する(ステップS11)。そして、図4に示すように、テレビを梱包するダンボールDに貼り付けられている無線タグTおよびDVDデッキに貼り付けられている無線タグTから、RFID送受信部18によりアンテナ17を介して情報を読み取る(ステップS12’)。すなわち、無線タグ読取装置1のCPU11、アンテナ17、RFID送受信部18により、無線タグTのID情報を読み取る(ステップS13)。CPU11および通信部16は、無線通信でサーバすなわちホストコンピュータ2にアクセスして、読み取ったID情報と紐付けされているEPC情報を取り込み、EPC情報の中から文字情報、ワードを表示部15に表示する(ステップS14)。
【0020】
ユーザは、ここで図5に示すように、読み込んだ無線タグTに応じた複数の文字情報から、検索に使用する検索情報として任意の複数の文字情報を操作部19のキー等を用いて特定する(ステップS15)。
【0021】
ここで、検索ワードとして『テレビ』を選択し(ステップS15)、図6に示すような画面において『対応製品検索』を選択したとする(ステップS16’)。すると、CPU11および通信部16は、サーバすなわちホストコンピュータ2にアクセスして、テレビに関する対応製品のEPC情報を取得する。この方法ではテレビに関する対応製品なので、当然DVDデッキ以外のもの例えばハードディスクやヘッドフォン、外部スピーカ等の雑多な製品のEPC情報が取得される。
【0022】
ここでオペレータが検索ワードとして新たに『テレビ』と『DVD』を操作部19を介して選択し、同じように『対応製品検索』を行ったとする。この場合はテレビとDVDに関するEPC情報が取得されるので必然的にDVDデッキに関するEPC情報に偏った情報が取得できる。さらに検索ワードとして『テレビ』ではなく例えば『テレビの型番や種類(レグザ等)』を選択するとさらに情報を選別することが可能となり、レグザに対応したDVDデッキというような製品の検索が可能となり検索対象のEPC情報が取得できる(ステップS17)。
【0023】
そして、CPU11は、図7に示すように複数の無線タグTに対して読み出しを行い、ホストコンピュータ2から読み出したID情報に紐付けされた関連情報であるEPC情報の商品コードを取得する。そして、検索部であるCPU11は、取得した商品コードのそれぞれと、検索用ワードに基づいてホストコンピュータ2から取得したEPC情報の商品コード(テレビに対応するDVDデッキ)とを比較判断する(ステップS18)。CPU11は、この比較判断の結果を、目的の物品に付された無線タグの検索結果として表示部15に表示し(ステップS19)、ユーザは、この検索結果により目的の物品(テレビに対応するDVDデッキ)を見つけることができる。
【0024】
(他の実施形態)
上述したように、無線タグTから読み出したID情報に紐付けされた関連情報であるEPC情報に含まれる文字情報は、無線タグ読取装置1において検索用のキーワードに使用することができる。しかし、無線タグTに応じて取得した文字情報は検索処理に使用するだけでなく、図示しないパーソナルコンピュータにおいて棚卸データを作成する際に用いることも可能である。すなわち、任意に複数の無線タグTに応じて取得した複数の文字情報を操作部19の操作により選択して、通信部16を介してネットワーク上のパーソナルコンピュータに転送することが可能である。こうすることで、パーソナルコンピュータからのキーボードから商品名等を入力するという煩雑な作業を行うことなく、棚卸データを作成することが可能となる。
【0025】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0026】
1…RFID読取装置、2…ホストコンピュータ、11…CPU、12…FROM、13…RAM、14…表示制御回路、15…表示部、16…通信部、17…アンテナ、18…RFID送受信部、19…操作部、22…電源回路、23…バッテリ、24…スキャナ制御回路、25…スキャナ、D…ダンボール、T…無線タグ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2008−299813号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグから無線通信によりID情報を読み出す読出部と、
前記読出部から読み出した前記ID情報に関連する関連情報を、ネットワーク上のサーバ装置から取得する通信部と、
前記通信部から取得した前記関連情報に基づく検索情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記検索情報を操作に応じて特定する操作部と、
前記読出部により新たに読み出した前記ID情報に関連する関連情報と、前記操作部が特定した前記検索情報に対応する関連情報とを比較することで、無線タグの検索を行う検索部と、を具備することを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記通信部が取得した複数の関連情報に対応する複数の検索情報から任意の複数の検索情報を特定することを特徴とする請求項1記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記通信部は、複数の無線タグに基づいて複数の関連情報を取得し、前記操作部は検索のために複数の検索情報を特定することを特徴とする請求項2記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記通信部が取得した複数の関連情報に対応する複数の検索情報から任意の複数の検索情報を特定して、この複数の検索情報のアンド検索またはオワ検索を行うことを特徴とする請求項1記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
前記検索部は、前記操作部の操作により複数の検索方法から一つの検索方法を特定した後に検索処理を行うことを特徴とする請求項1記載の無線タグ読取装置。
【請求項6】
サーバ装置と無線タグ読取装置をもつ無線タグ読取システムであって、
前記サーバ装置は、前記無線タグに格納されているID情報に関連する関連情報を格納する格納手段を有しており、前記関連情報は検索情報を含んでおり、
前記無線タグ読取装置は、
無線タグから無線通信により前記ID情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段から読み出した前記ID情報に関連する前記関連情報とこの関連情報に含まれる検索情報を、ネットワークを介して前記サーバ装置の格納手段から取得する通信手段と、
前記通信手段から取得した前記検索情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記検索情報を操作に応じて特定する特定手段と、
前記読出手段により新たにID情報を読み出し、読み出した新たなID情報に関連する関連情報から、前記特定手段が特定した前記検索情報に対応する関連情報を検出することで無線タグの検索を行う検索手段と、を具備することを特徴とする無線タグ読取システム。
【請求項7】
サーバ装置と無線タグ読取装置とにより無線タグ読取を行う無線タグ読取方法であって、
前記無線タグ読取装置は、無線タグから無線通信によりID情報を読み出し、
前記読み出した前記ID情報に関連する関連する関連情報と、この関連情報に含まれる検索情報をネットワークを介して前記サーバ装置から取得し、
前記取得した前記検索情報を画面に表示し、
前記表示された検索情報を操作に応じて特定し、
前記無線タグから新たにID情報を読み出し、
前記読み出したID情報に関連する関連情報から、前記特定した検索情報に対応する関連情報を検出することで無線タグの検索を行うことを特徴とする無線タグ読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−180760(P2011−180760A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43042(P2010−43042)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】