説明

無線タグ通信装置、無線タグ作成装置、及び無線タグの音声管理システム

【課題】対象物の特定を容易とし、利便性を向上する。
【解決手段】無線タグ通信装置300は、無線タグラベルTに備えられ、情報を記憶するIC回路部150と情報を送受信可能なタグアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toに対し、無線通信を行うためのリーダアンテナ302と、少なくとも1つの無線タグ回路素子ToのタグIDを指定し、リーダアンテナ302を介し、指定された無線タグ回路素子Toより情報取得を図り、その情報取得の完了前に、情報取得の対象である無線タグ回路素子Toに対応した音声データを再生するスピーカ328とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子との間で無線通信を行う無線タグ通信装置、無線タグ回路素子を有する無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置、及びこれら無線タグ通信装置及びタグラベル作成装置を有する無線タグの音声管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定の情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うタグアンテナを備えた無線タグ回路素子を有する小型の無線タグと、リーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが提唱されており、様々な分野において実用化されつつある。
【0003】
このように種々の分野において活用されつつあるRFIDシステムの1つとして、無線タグ回路素子に対し無線通信により情報の読み取りを行う無線タグ通信装置がある(例えば、特許文献1参照)。この無線タグ通信装置(印刷物検証装置)は表示手段(表示部)を有しており、無線タグ回路素子(ICチップ部)に対し無線通信を行い、情報の取得に成功すると、表示手段で取得した情報に対応する表示を行うようになっている。
【特許文献1】特開2001−134672号公報(第9頁、第15図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、無線タグ通信装置を用いて探索対象である物品の探索を行う場合、操作者は対象物が無線タグ通信装置の通信範囲内に入るように対象物の近傍に移動する必要がある。さらに、無線タグ通信装置においては、対象物からある程度離れた位置において情報が取得され対象物が検出されるため、検出後における対象物の最終的な特定は操作者が行う必要がある。このとき、上記従来技術の無線タグ通信装置では、無線タグ回路素子からの情報取得に成功した際に表示手段で対応する表示を行うが、情報取得前には何ら表示が行われない。このため、操作者は目視等によって対象物を探し、対象物近傍に移動する必要があった。さらに検出後においても、例えば対象物の近傍に当該対象物と外観の似た物品等が存在するような場合には、対象物の最終的な特定が容易ではないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、対象物の特定が容易となり、利便性を向上することができる無線タグ通信装置、タグラベル作成装置、及び無線タグの音声管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、無線タグに備えられ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し、無線通信を行うための無線通信手段と、少なくとも1つの前記無線タグ回路素子の識別情報を指定し、前記無線通信手段を介し、前記指定された前記無線タグ回路素子より情報取得を図るタグ情報取得手段と、前記タグ情報取得手段における前記識別情報を指定した前記情報取得の完了前に、前記情報取得の対象である前記無線タグ回路素子に対応した音声データを再生する音声再生手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明の無線タグ通信装置においては、無線通信手段を介した無線通信によって、探索対象である物品等に設けられた無線タグの無線タグ回路素子に対する情報読み取りを行う。探索時には、タグ情報取得手段が、対象となる無線タグ回路素子の識別情報を指定し、無線通信手段を介し、上記指定した無線タグ回路素子からの情報取得を図る。このとき、タグ情報取得手段が情報取得を開始すると、(情報取得完了より前に)その情報取得対象の無線タグ回路素子に対応する無線タグの音声データが音声再生手段で再生される。これにより、操作者は、探そうとする対象物に対応した無線タグに関する所定の音声データを、無線タグが見つかる前から聴覚的に認識しつつ、当該対象物を探索することができる。この結果、対象物の特定が容易となり、利便性を向上することができる。
【0008】
第2発明は、上記第1発明において、少なくとも1つの前記無線タグ回路素子を特定するための情報を操作入力するための操作入力手段を有し、前記タグ情報取得手段は、前記操作入力手段の操作入力に基づき対応する前記無線タグ回路素子の識別情報を指定し、前記無線タグ回路素子より情報取得を図り、前記音声再生手段は、前記操作入力手段より複数の無線タグ回路素子を特定するための情報が操作入力された場合、前記複数の無線タグ回路素子それぞれに対応する音声データの代表音声を再生することを特徴とする。
【0009】
本願第2発明においては、探索時には、操作者が、操作入力手段に対し探索対象物に対応した無線タグ回路素子を特定するための情報(対象物の名称、無線タグ回路素子の識別情報、データベースの検索条件等)を操作入力する。タグ情報取得手段は、その操作入力に応じて対象となる無線タグ回路素子の識別情報を指定することで、無線通信手段を介して情報取得を図ることができる。ここで、操作者が複数の対象物の探索を意図して複数の無線タグ回路素子を特定する情報を操作入力した場合には、それら複数の対象物には使用用途や属性等の共通点がある可能性が高い。これに対応して、本願第2発明においては、このような場合に、すべての音声データをばらばらに再生するのでなく、それらの総称や共通部分等の代表音声のみを再生するようにする。これにより、上記操作者の意図に合致したわかりやすい音声データの再生を行うことができ、複数対象物探索時において、利便性をさらに向上することができる。
【0010】
第3発明は、上記第2発明において、前記無線タグの音声データと対応する前記無線タグ回路素子の前記識別情報との対応付けを格納保持したデータベースより、音声関連情報の取得を行う音声関連情報取得手段を有し、前記音声再生手段は、前記操作入力手段の操作入力に応じ、前記音声関連情報取得手段で取得された前記音声関連情報に基づき、前記無線タグの音声データを再生することを特徴とする。
【0011】
本願第3発明においては、予め、無線タグの音声データと、対応する無線タグ回路素子の識別情報(いわゆるタグID)との対応付けを生成し、その対応付けをデータベースに格納保持しておく。探索の際には、音声関連情報取得手段がそのデータベースより音声関連情報(上記対応付けそのものや上記対応付けに基づく音声データ等)を取得することで、これに応じて音声再生手段で無線タグの音声データを再生する。このような方式とすることで、無線タグ作成時において無線タグ作成装置(又は無線タグ作成装置に接続される無線タグ編集装置)からの音声データを用いてデータベースに情報を蓄積しておき、探索時にはそのデータベース化して蓄積した情報を元に無線タグの音声データを再生しつつ探索を行うことができる。
【0012】
第4発明は、上記第3発明において、前記音声再生手段による前記音声データの再生を手動指示するための操作指示手段を有し、前記タグ情報取得手段は、前記無線通信手段を介し、前記指定された無線タグ回路素子に対し応答を要求する問い合わせ信号を送信する問い合わせ信号送信手段と、前記問い合わせ信号に対応した前記無線タグ回路素子からの応答信号を、前記無線通信手段を介し受信する応答信号受信手段と、前記操作指示手段による前記手動指示があった場合には、前記問い合わせ信号送信手段が前記無線通信手段を介し前記問い合わせ信号を送信するより前に、前記無線タグの前記音声データを再生するように、前記音声再生手段を制御する再生制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
探索時において、問い合わせ信号送信手段から無線通信手段を介し問い合わせ信号を送信し、これに対応する応答信号を無線通信手段を介し応答信号受信手段で受信することにより、指定された無線タグ回路素子に対する情報読み取りを図ることができる。また、操作指示手段での手動指示に基づき、探索時の問い合わせ信号の送信より前に音声データが再生されるので、操作者は、探そうとする対象物に対応した無線タグに関する所定の音声データを、無線タグが見つかる前から確実に聴覚的に認識することができる。また、操作指示手段を用いることで操作者は、所望のタイミングで、音声データの再生を行うことができる。この結果、無線タグの探索開始の際に始まった音声データの再生がいったん終了したとしても、操作者の手動指示により再び音声データを再生させることが可能である。したがって、利便性をさらに向上することができる。
【0014】
第5発明は、上記第4発明において、前記音声再生手段による前記音声データの再生中に、再生開始後の経過時間又は再生終了前の残り時間を表す再生時間表示を行う再生表示手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
これにより、その時点で再生されている音声が、音声データ全体のどのあたりに相当するのか、あるいは音声があとどれくらい続くのか等を操作者が把握しやすくなる。この結果、さらに利便性を向上することができる。
【0016】
第6発明は、上記第5発明において、前記再生制御手段は、前記応答信号受信手段が前記無線通信手段を介し前記応答信号を受信した場合、再生している前記無線タグの前記音声データの再生態様を前記受信に対応して変化させるように、前記音声再生手段を制御することを特徴とする。
【0017】
探索中において音声再生手段で再生されている無線タグの音声データが、対応する無線タグ回路素子からの応答信号が受信されると、音声制御手段により、音声態様が変更される。これにより、探索が成功したことを操作者に対し聴覚的に確実に認識させることができる。
【0018】
上記目的を達成するために、本願第7発明は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子を配置したタグ媒体を搬送するための搬送手段と、前記無線タグ回路素子と無線通信による情報送受信を行うための装置側アンテナとを有する無線タグ作成装置であって、作成される無線タグと対応付けて音声データとして記録するために、操作者が肉声を入力可能な第1音声入力手段を有することを特徴とする。
【0019】
本願第7発明の無線タグ作成装置では、搬送手段によってタグ媒体が搬送され、また、装置側アンテナを介し無線タグ回路素子と情報送受信が行われて、無線タグが作成される。このとき、操作者が第1音声入力手段を介し肉声で入力を行うことで、その入力した肉声が、作成された無線タグと対応付けられた音声データとして、例えばデータベースに格納される。このようにして作成された無線タグが、対象となる物品等に設けられる。
【0020】
一方、そのようにして無線タグが設けられた物品等の探索時には、例えば、無線タグ通信装置により、探索対象である物品等に設けた無線タグに対し、情報読み取りが行われる。ここで、本願第7発明においては、上記のように、無線タグ作成時に、音声データが(例えばデータベースに)予め格納されている。これにより、無線タグ通信装置の上記探索時において、情報読み取りの開始時にデータベースにアクセスし、その情報読み取り対象の無線タグに対応する音声データを再生させることが可能となる。この結果、操作者は、探そうとする対象物に対応した無線タグに関する上記音声データを、無線タグが見つかる前から聴覚的に認識しつつ、当該対象物を探索することができる。したがって、対象物の特定が容易となり、利便性を向上することができる。
【0021】
第8発明は、上記第7発明において、前記音声入力手段の入力に基づく音声データを、対応する前記無線タグ回路素子の識別情報と対応付けて出力する音声データ出力手段と、前記タグ媒体又は前記タグ媒体に貼り合わせる被印字媒体に印字を行う印字手段とを有することを特徴とする。
【0022】
音声入力手段での肉声入力に基づく音声データが、無線タグ回路素子の識別情報と対応付ける形で、音声データ出力手段から出力され、例えばデータベースに格納される。そして、例えば無線タグ通信装置による物品等の探索時には、情報読み取り対象の無線タグ回路素子の識別情報をキーとしてデータベースにアクセスし、対応する無線タグの音声データを取得して音声データを再生させることが可能となる。また、印字手段により印字付きの無線タグを作成することができる。この結果、探索時において操作者が視覚的に無線タグやその無線タグ回路素子の記憶情報を認識しやすくなり、さらに利便性が向上する。
【0023】
上記目的を達成するために、本願第9発明は、タグ媒体に備えられ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子と無線通信による情報送受信を行うための装置側アンテナを有し、無線タグを作成する無線タグ作成装置と、前記無線タグ作成装置で作成される前記無線タグと対応付けて音声データとして記録するために、操作者が肉声を入力可能な第2音声入力手段と、前記無線タグ作成装置で作成された前記無線タグに備えられた前記無線タグ回路素子より、無線通信を介し情報取得を図る情報取得手段と;前記情報取得手段における前記情報取得の完了前に、前記情報取得の対象である前記無線タグ回路素子に対応した前記音声データを再生する音声再生手段と;を有する無線タグ通信装置とを有することを特徴とする。
【0024】
本願第9発明の音声管理システムでは、無線タグ作成装置において、装置側アンテナを介し無線タグ回路素子と情報送受信が行われて無線タグが作成される。このとき、操作者が第2音声入力手段を介し肉声で入力を行うことで、その入力した肉声が、作成された無線タグと対応付けられた音声データとして記録(例えばデータベースに格納)される。このようにして作成された無線タグが、対象となる物品等に設けられる。
【0025】
一方、そのようにして無線タグが設けられた物品等の探索は、無線タグ通信装置を用いて行われる。無線タグ通信装置では、無線通信手段を介した無線通信によって、探索対象である物品等に設けられた無線タグの無線タグ回路素子に対する情報読み取りを行う。探索時には、情報取得手段が、無線通信手段を介し、上記無線タグに備えられた無線タグ回路素子からの情報取得を図る。このとき、情報取得手段が情報取得を完了するより前に、情報取得対象の無線タグ回路素子に対応する音声データが音声再生手段で再生される。これにより、操作者は、探そうとする対象物に対応した無線タグに関する上記音声データを、無線タグが見つかる前から聴覚的に認識しつつ、当該対象物を探索することができる。したがって、対象物の特定が容易となり、利便性を向上することができる。
【0026】
第10発明は、上記第9発明において、前記無線タグ作成装置で作成された前記無線タグに備えられた前記無線タグ回路素子の識別情報を、前記第2音声入力手段で入力された前記音声データと対応付けて格納保持するデータベースを有し、前記無線タグ通信装置の前記音声再生手段は、前記データベースへのアクセスに基づき取得した、前記無線タグ回路素子に対応する前記音声データを再生することを特徴とする。
【0027】
本願第10発明においては、予め、無線タグの作成時に第2音声入力手段での肉声入力に基づく音声データと、対応する無線タグ回路素子の識別情報(いわゆるタグID)とを対応付けた対応付けを生成し、その対応付けをデータベースに格納保持しておく。探索の際には、そのデータベースにアクセスすることで取得した無線タグの音声データを、音声再生手段で再生する。このような方式とすることで、無線タグ作成時において無線タグ作成装置(又は無線タグ作成装置に接続される無線タグ編集装置)からの音声データを用いてデータベースに情報を蓄積しておき、探索時にはそのデータベース化して蓄積した情報を元に無線タグの音声データを再生しつつ探索を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、対象物の特定が容易となるので、操作者の利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1に、本実施形態の無線タグ通信装置300を有する無線タグの音声管理システム1の全体構成を示す。
【0031】
図1に示すように、無線タグ通信装置300は、適宜の通信回線等からなる通信ネットワークNWを介して、タグラベル作成装置100(無線タグ作成装置。但し、後述のマイク120は図示省略している)と、PC200(無線タグ編集装置)と、データベースDBを有するサーバ400などに接続されている。なお、上記無線タグ通信装置300と通信回線NWとは無線接続(無線LAN等)されているため、図中では破線で示している(後述する図3も同様)。
【0032】
上記PC200は、表示部201及び操作部202を有し、操作者は表示部201に表示された表示画面を参照しつつ、タグラベル作成装置100に対し作成する無線タグラベルTについて、操作部202を用いて各種指令の入力や情報の入力を行うことが可能となっている。
【0033】
上記無線タグ通信装置300は、上記タグラベル作成装置100で作成される無線タグラベルT(無線タグ)が貼り付けられた物品等を、無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toを介して探索するのに使用される。本実施形態では、無線タグ通信装置300は、後述するように、この探索の利便性を向上するために、無線タグ回路素子Toに対応した音声データ(無線タグラベルTに関する音声データ)を再生するスピーカ328等を備えている。
【0034】
すなわち、無線タグ通信装置300は、図2に示すように、筐体301を有する。そして、その筐体301には、図中上側より、検出ランプ311及び送信出力インジケータ312と、各種表示を行う表示部313と、左右方向に略一直線状に配置され、5つの処理モードの中からモード選択を行うモード選択キー321,322,323,324,325と、上下方向にそれぞれ対応する方向キー326U,326D及びこれらの間に配置された決定キー327と、これらのキー326,327の右側に配置された音声データを再生するためのスピーカ328(音声再生手段)と、このスピーカ328による音声データの再生を手動指示するための再生ボタン330(操作指示手段)と、上記各処理モードにおける処理開始・停止を行う開始/停止キー329とを有している。そしてこれら各部のうち、モード選択キー321,322,323,324,325と、2つの方向キー326U,326D、決定キー327、及び開始/停止キー329が、特許請求の範囲各項記載の少なくとも1つの無線タグ回路素子を特定するための情報を操作入力するための操作入力手段を構成する。なお、以下適宜、これらのキー321,322,323,324,325,326U,326D,327,329及び再生ボタン330を「操作部」と記載する。
【0035】
上記表示部313は、無線タグ通信装置300が行う各種の処理モードの切換状況や各処理モードにおける詳細内容(各種情報やメッセージ)を文字や記号で表示すると共に、所定の処理モード(後述するシングルサーチモード、マルチサーチモード)においては、探索対象である物品等(人物等も含む。以下同様)の名称を表示するようになっており、例えば液晶や有機EL等を用いたパネルで構成されている。図示する例では、無線タグ通信装置300による探索対象の物品名が「第12回審判 弁論資料」であることを表示している。表示部313内の下部には、再生時間バー315(再生表示手段)が表示されるようになっている。この再生時間バー315は、スピーカ328による音声データの再生中に、再生開始後の経過時間又は再生終了前の残り時間を表す再生時間表示を行うようになっている。
【0036】
上記処理モードには、上記モード選択キー321,322,323,324,325にそれぞれ対応するシングルサーチモード、マルチサーチモード、インベントリモード、リストアップモード、及びオプションモードがある。
【0037】
シングルサーチモードとは、1つの探索対象を指定し、当該探索対象(に対応する無線タグラベルT。以下同様)が無線タグ通信装置300の通信可能領域の範囲内に存在しているか否かを常に問いかけるよう通信し続ける処理モードである。また、マルチサーチモードとは、複数の探索対象を指定し、当該複数の探索対象が無線タグ通信装置300の通信可能領域の範囲内に存在しているか否かを常に問いかけるよう通信し続ける処理モードである。
【0038】
また、インベントリモードとは、予め指定しておいた複数の探索対象が検出できるか否かだけを試行する処理モードである。このモードは、存在の有無だけを問題としているため、指定した複数の探索対象を全て検出した時点で処理を終了する。また、リストアップモードとは、探索対象の指定は行わず、無線タグ通信装置300の通信可能領域の範囲内に存在する探索対象と無線通信を行い、検出した探索対象を全てリストアップする処理モードである。さらに、オプションモードとは、無線タグ通信装置300における各種機能を操作者が設定するための処理モードである。スピーカ328による音声データの再生は、これらインベントリモード、リストアップモード、オプションモードでは行われず、シングルサーチモード及びマルチサーチモードにおいてのみ行われる。
【0039】
また、上記検出ランプ311は、LEDなどの発光素子を用いた表示機能部であり、点灯・非点灯の区別によって指定した探索対象の検出の有無を表示するものである。また、送信出力インジケータ312は、図中の上下方向に並ぶ3つのLED312a,312b,312c(発光素子)で構成されており、それらの点灯個数によって送信出力の大きさを段階的に表示(図示する例では3段階で表示)するものである。
【0040】
また、上下方向にそれぞれ配置されている2つの方向キー326U,326Dは、それぞれの位置関係に対応して上下の方向を指示可能に割り当てられたキースイッチであり、表示部313中に表示されるカーソルの移動指示や、複数の選択肢の選択指示などに用いられる。また、2つの方向キー326U,326Dの中心に配置されている決定キー327はそのような選択の決定指示などに用いられる。
【0041】
また、開始/停止キー329は、探索対象の無線タグラベルTに対して各種の指示コマンドや情報の送信の開始(無線通信の開始)及び停止を指示するために用いられるキースイッチである。
【0042】
図3に無線タグの音声管理システム1のシステム全体の概念的機能構成を示す。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0043】
上記タグラベル作成装置100は、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるタグアンテナ151とを有する無線タグ回路素子To(後述の図6参照)を備えた上記無線タグラベルTを作成するためのものである。タグラベル作成装置100は、図3に示すように、上記無線タグ回路素子Toが所定間隔で備えられたタグテープ103(タグ媒体)を巻回したタグテープロール104(本来は渦巻状であるが簡略化して同心円で図示している)を備えたカートリッジ110を着脱可能なカートリッジホルダ111と、上記カートリッジ110内のタグテープロール104から繰り出されたタグテープ103のうち各無線タグ回路素子Toに対応した領域に所定の印字を行う印字ヘッド105(印字手段)と、タグテープ103を搬送する搬送ローラ108(搬送手段)と、タグテープ103に備えられる無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行い無線タグ情報の書き込みを行う装置側アンテナ106及び高周波回路102と、タグテープ103への印字及び無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが終了したタグテープ103を所定の長さに切断して前述の無線タグラベルTとするカッタ107と、作成される無線タグラベルTに関する情報を音声データとして無線タグラベルTと対応付けてサーバ400のデータベースDB等に記録するために、操作者が無線タグラベルTに関する情報を肉声で入力することができるマイク120(第1音声入力手段。なお、第2音声入力手段として、タグラベル作成装置100とは別体に設けてもよい)と、このマイク120から入力される操作者の肉声を符号化・データ圧縮して音声データ化する音声エンコーダ122と、操作者が操作入力可能な操作部112と、上記PC200、無線タグ通信装置300、及びサーバ400と通信回線NWを介して行われる通信の制御を行うネットワーク通信制御部109と、以上の高周波回路102、印字ヘッド105、カッタ107、搬送ローラ108、ネットワーク通信制御部109、及び音声エンコーダ122等を含むタグラベル作成装置100全体の動作制御を行う制御回路101とを有する。
【0044】
PC200は、各種操作・入力画面等の表示を行うための上記表示部201と、操作者が操作入力を行うための適宜のボタン、キー、マウス等を備えた上記操作部202と、上記タグラベル作成装置100、無線タグ通信装置300、及びサーバ400との間で通信回線NWを介して行われる通信の制御を行うネットワーク通信制御部204と、これら表示部201、操作部202、及びネットワーク通信制御部204を含むPC200全体の動作を制御する制御回路205とを有する。
【0045】
無線タグ通信装置300は、上記表示部313及び操作部321〜327,329,330と、上記無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により信号の授受を行うリーダアンテナ302(無線通信手段)と、このリーダアンテナ302を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路331と、上記タグラベル作成装置100、PC200、及びサーバ400と通信回線NWを介して行われる通信の制御を行うネットワーク通信制御部332と、サーバ400のデータベースDB等から取得した音声データを復号・再生する音声デコーダ336と、この音声デコーダ336からの出力を増幅するアンプ338と、アンプ338で増幅された出力で駆動される上記スピーカ328と、上記高周波回路331、ネットワーク通信制御部332、及びスピーカ328等を含む無線タグ通信装置300全体の制御を行う制御回路333とを有する。
【0046】
図4に、上記無線タグ通信装置300の制御回路333の機能構成を示す。なお、特に図示はしないが、タグラベル作成装置100の制御回路101もここに示す制御回路333とほぼ同等の機能構成となっている。
【0047】
図4に示すように、制御回路333は、CPU333Aと、ROM333Bと、RAM333Cと、上記高周波回路331及び上記リーダアンテナ302を介し行う無線タグ回路素子Toとの無線通信の制御を行う無線タグ通信制御部333Dとを備えている。上記CPU333Aは、RAM333Cの一時記憶機能を利用しつつROM333Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって無線タグ通信装置300全体の各種制御を行うものである。
【0048】
図5に、上記無線タグ通信装置300の高周波回路331の機能構成を示す。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0049】
図5に示すように、高周波回路331は、上記リーダアンテナ302を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスするものであり、また無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すと共に無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成するものである。
【0050】
高周波回路331は、リーダアンテナ302を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部142と、リーダアンテナ302により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部143と、送受分離器144とから構成される。
【0051】
送信部142は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部142は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子145Aと、制御回路333の制御により水晶振動子145Aの出力を分周/逓倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)145B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)145Cと、上記制御回路333から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路333からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路146(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路146により変調された変調波を増幅(この例では制御回路333からの「TX_PWR」信号によって増幅率が決定される増幅)して所望の質問波を生成する可変送信アンプ147とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数を用いており、上記可変送信アンプ147の出力は、送受分離器144を介しリーダアンテナ302に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0052】
受信部143は、リーダアンテナ302で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路148と、そのI相受信乗算回路148の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ149と、このI相バンドパスフィルタ149の出力を増幅するI相受信アンプ162と、このI相受信アンプ162の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ163と、上記リーダアンテナ302で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波が移相器167により位相を90°遅らせた信号とを乗算するQ相受信乗算回路172と、そのQ相受信乗算回路172の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ173と、このQ相バンドパスフィルタ173の出力を増幅するQ相受信アンプ175と、このQ相受信アンプ175の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ176とを備えている。そして、上記I相リミッタ163から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ176から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路333に入力されて処理される。
【0053】
また、I相受信アンプ162及びQ相受信アンプ175の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路178にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路333に入力されるようになっている。このようにして、無線タグ通信装置300では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの応答波の復調が行われる。
【0054】
図6に、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を示す。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0055】
図6に示すように、無線タグ回路素子Toは、上述したように無線タグ通信装置300のリーダアンテナ302と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0056】
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波(質問信号)を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0057】
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記無線タグ通信装置300のリーダアンテナ302からの質問波の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0058】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0059】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0060】
図7(a)及び図7(b)に、上記タグラベル作成装置100で作成された無線タグラベルTの一例を示す。
【0061】
無線タグラベルTは、図7(b)に示すように、表面側(図7(b)中上側)よりその反対側(図7(b)中下側)へ向かって、感熱紙103c、粘着層103b、剥離紙103aの順で積層し構成されている。そして感熱紙103cの裏側に、IC回路部150及びタグアンテナ151からなる上記無線タグ回路素子Toが備えられている。この無線タグラベルTの感熱紙103cの表面の所定の印字領域Sには、図7(a)に示すように、印字Rがなされている。この例では、無線タグラベルTの印字Rは「第12回審判 弁論資料」の文字であり、無線タグラベルTは、第12回審判弁論資料を綴じた例えばファイルに貼り付けられる。無線タグラベルTのファイルへの貼り付けは、剥離紙103aを除去して露出した粘着層103bによって行われる。
【0062】
ここで、本実施形態の最大の特徴の一つは、探索対象の探索時に情報取得対象の無線タグ回路素子Toから情報取得を完了する前から、その情報取得対象の無線タグ回路素子Toに対応した音声データ、言い換えれば探索対象に関する音声データをスピーカ328で再生し音声ガイドを行うことにある。このことを図8及び図9により説明する。
【0063】
図8に、上記のような無線タグラベルTの音声データの再生による音声ガイドを行わない場合の例(比較例)を示す。本比較例は、無線タグ通信装置300Aによって所定の文書ファイルFを探索し、探索対象の無線タグ回路素子Toを検出したときに、探索完了表示を行う例である。
【0064】
無線タグ通信装置300Aを用いて文書ファイルFの探索を行う場合、操作者は、文書ファイルFに貼り付けられている無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toからタグ情報(タグIDを含む)を取得するべく、探索文書ファイルFに対応するタグIDを指定して通信を開始する。その後、図8(A)に示すように、無線タグ通信装置300Aを文書ファイルFの列に沿って移動する。そして、図8(B)に示すように、上記の移動により文書ファイルFが無線タグ通信装置300Aの通信範囲C内に入り、無線タグ回路素子Toからタグ情報を取得して文書ファイルFが検出されると、表示部313Aに適宜の探索完了表示が行われる。操作者は、上記のような表示部313Aの探索完了表示を見て、文書ファイルFが検出された位置で、目視によって文書ファイルFの中から目的の文書ファイルFを探す(全ての文書ファイルFの背表紙には、ファイルFの書類名が印字された無線タグラベルTが貼り付けられている)。これにより、操作者は、文書ファイルFの最終的な特定を行う。
【0065】
上述したように、上記比較例の場合、以下のような問題がある。すなわち、探索対象の文書ファイルFの探索中には、探索対象に関するガイドが何も行われないので、操作者は目視等によって文書ファイルFを探しながら近傍に移動する必要がある。さらに検出後においても、図8に示すように文書ファイルFの近傍に外観の似たファイルが複数存在するような場合には、文書ファイルFの最終的な特定が容易ではない(目的のファイルが見つかったこと、それが近くにあること、はわかっても、一体どのファイルなのかは特定しづらい)。
【0066】
これに対し、本実施形態では、図9(A)に示すように、無線タグ通信装置300を文書ファイルFの列に沿って移動して文書ファイルFを探索する際、文書ファイルFの無線タグ回路素子Toからタグ情報取得を完了する前から、探索対象に関する音声データをスピーカ328で再生し、例えば「第12回審判弁論資料を探しています」の音声を流す。そして、無線タグ通信装置300の移動により、目的の文書ファイルFの無線タグ回路素子Toが無線タグ通信装置300の通信範囲C内に入り、目的の文書ファイルFが検出されると、スピーカ32から例えば「第12回審判弁論資料が発見されました」の音声を流す。
【0067】
なお、別個の音声録音が煩雑な場合は、(音声の文言の不自然さは度外視して)もっと簡易な音声の用意の仕方でもよい。すなわち、探索対象を表す本体用文言の録音「第12回審判弁論資料です」と、末尾用文言(動作に応じた説明句)の録音「を探しています」「が発見されました」とを(末尾用文言は例えばテーブル形式で)用意しておく。そして、文書ファイルFの無線タグ回路素子Toからタグ情報取得を完了する前は「第12回審判弁論資料です」「を探しています」とつなげて再生する(すなわち、”第12回審判弁論資料ですを探しています”という音声となる)ようにし、目的の文書ファイルFが検出されると「第12回審判弁論資料です」「が発見されました」とつなげて再生する(すなわち、”第12回審判弁論資料ですが発見されました”という音声となる)ようにしてもよい。
【0068】
以上により、操作者は、探そうとする文書ファイルF(第12回審判弁論資料)が見つかる前から、無線タグラベルTに関する音声データ、つまり探索対象に関する音声データをガイドとして視覚的に認識しつつ、当該文書ファイルFを探索することができる。その結果、上記探索時に探索対象に関する音声データによるガイドのない比較例の場合に比べ、検出前から探索対象を確実に認識でき、文書ファイルF、(この例では第12回審判弁論資料)の最終的な特定が容易となる。以下、この内容の詳細について説明する。
【0069】
図10は、無線タグラベルTを作成する際にタグラベル作成装置100の制御回路101によって実行される制御手順を示すフローチャートである。
【0070】
まずステップS110では、制御回路101は、PC200(の制御回路205)より通信回線NW及びネットワーク通信制御部109を介して作成する無線タグラベルTの印字データ、及びタグ書き込みデータ(タグID、及び上記の例のファイルの名称等の対象物情報を含む)を受信したか否かの判定を行う。PC200より印字データ等を受信するまで本ステップを繰り返し、受信した場合には次のステップS115に移る。
【0071】
ステップS115では、前述の操作部112を介し、マイク120を介した録音を開始する旨の所定の録音開始操作があったかを判定する。録音開始操作があるまでループ待機し、録音開始操作があったら判定が満たされて、ステップS120に移る。
【0072】
ステップS120では、制御回路101は、エンコーダ122等に制御信号を出力して、作成される無線タグラベルTに関し操作者がマイク120から肉声で吹き込んだ音声により音声データを作成する。なお、この音声データは、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の記憶内容に対する情報(前述の例では「これは第12回審判弁論資料です」等)でもよいし、このようなファイル名称の音声だけでなく、そのファイル内容のページ内容を詳細に読み上げるようにしてもよい。すなわち、音声データとして無線タグ回路素子ToのIC回路部150の記憶内容そのものを再生する場合である。この場合には、操作者に対し、より詳細なかつ具体的な情報を与えることができ、利便性が向上する。また、音声データとして、無線タグラベルTが取り付けられる対象物の配置場所等に対するガイド情報(「戸棚の3段目の左端にあります」等)を吹き込んでもよい。この場合、探索方向や探索位置の道しるべとして直接操作者をガイドすることができる。この結果、探索時間の短縮を図ることができる。
【0073】
さらには、音声データとして、無線タグラベルTが取り付けられる対象物の視認情報(色、大きさ、厚さ、形、見える文字、古い新しい、等の外見。例えば「赤いファイルで古い、厚いファイルです」「背表紙に○○と書いてあります」等)であってもよい。この場合、前述した本体用文言と末尾用文言とを分けて用意する場合は、例えば、探索対象を表す本体用文言の録音「第12回審判弁論資料は赤色です」と、末尾用の部分文言の録音「を探しています」「が発見されました」とを用意しておく。そして、発見前は「第12回審判弁論資料は赤色です」「を探しています」とつなげて再生する(すなわち、”第12回審判弁論資料は赤色ですを探しています”という音声となる)ようにし、発見後は「第12回審判弁論資料は赤色です」「が発見されました」とつなげて再生する(すなわち、”第12回審判弁論資料は赤色ですが発見されました”という音声となる)ようにすれば足りる。
【0074】
ステップS125では、前述の操作部112を介し、録音を終了する旨の所定の録音終了操作があったかを判定する。録音終了操作があるまではステップS120に戻って音声データ作成処理を継続する。録音終了操作があったら判定が満たされて、ステップS130に移る。
【0075】
次のステップS130では、制御回路101は、上記ステップS110でPC200より受信した印字データに基づき、印字ヘッド105でタグテープ103の所定の印字領域Sに印字Rを行う。また、高周波回路102によりアクセス情報を生成して装置側アンテナ106を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150へ上記タグIDを含む対象物情報の書き込みを行う。
【0076】
次のステップS140では、制御回路101は、上記ステップS130で行った印字・情報書き込みが正常に終了したか否かの判定を行う。例えば情報書き込みが正常に終了したか否かの判定は、具体的には、高周波回路102により無線タグ回路素子ToのIC回路部150の内容を確認する確認信号に応じたアクセス情報を生成して、装置側アンテナ106を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、それに対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号に基づき、上記タグID等の書き込みが正常に完了したか否かを判定することにより行う。印字・情報書き込みが正常に終了していない場合には、ステップS150に移る。
【0077】
ステップS150では、制御回路101は、ネットワーク通信制御部109及び通信回線NWを介してPC200の制御回路205に制御信号を送信し、表示部201にその旨の表示(例えば「印字が正常に終了しませんでした」「タグ書き込みが正常に終了しませんでした」等)を行わせるエラー処理を行う。また、併せてデータベースDB内の対応する音声データを消去あるいは無効化するようにしてもよい。一方、印字・情報書き込みが正常に終了した場合には、ステップS170に移る。
【0078】
ステップS160では、制御回路101は、カッタ107でタグテープ103の切断を行って無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルTを作成する。
【0079】
次のステップS170では、制御回路101は、作成した無線タグラベルTのタグ書き込み情報(タグID、対象物情報等)、及び音声データをそれぞれ対応付けた対応付け情報を生成し、ネットワーク通信制御部109、通信回線NWを介してサーバ400のデータベースDBにその対応付け情報を送信し(音声データ出力手段)、格納保持する。そして、本フローを終了する。
【0080】
以上において、上記対応付け情報は、特許請求の範囲各項記載の音声関連情報に相当する。
【0081】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば、タグラベル作成装置100においてマイク120で音声を入力して音声データを作成しデータベースDBに送信したのに代えて、例えばPC200において付属のマイク(第2音声入力手段)で音声を入力し、PC200に付属又は取り込んだエンコーダソフトウエアを利用して音声データを作成しデータベースDBに送信するようにしてもよい。
【0082】
図11は、上記のようにしてタグラベル作成を行った後のデータベースDBのデータ内容の一例を概念的に示す図である。
【0083】
図11に示すように、データベースDBには、作成された無線タグラベルTについて、無線タグ回路素子Toに書き込まれたタグID、物品名(この例では文書名「第12回審判 弁論資料」)等のテキストデータからなる対象物情報、音声データ(以下適宜、「個別音声データ」という)、及び必要に応じて代表音声データがそれぞれ対応付けられ、対応付け情報として格納保持されている。
【0084】
ここで、代表音声データとは、複数の無線タグラベルTどうしで互いに音声データの共通性がある場合(例えば対象物が同一のグループに属する、対象物の配置箇所が同一のグループあるいは近傍箇所である等)において、その共通性に対応した内容の(同一の)音声データを、それら複数の無線タグラベルTのそれぞれの無線タグ回路素子Toに記憶させたものである。
【0085】
一例としては、各無線タグ回路素子Toの共通性を表すために、それぞれの個別音声データとは別に録音した音声データがある。例えば、上記の例で第12回審判の資料に係る代表音声データを、個別音声データに共通する部分を別途に総称して録音した「第12回審判です」とし、弁論資料に設けられる無線タグラベルTに係る個別音声データが「弁論資料です」、補足資料に係る代表音声データが「補足資料です」とする場合が考えられる。なお、この場合の個別音声には、前述のガイド情報や、視認情報等が入っていてもよい。
【0086】
代表音声データの他の例としては、各無線タグ回路素子Toの音声データどうしのうち共通する部分の抜粋データが考えられる。例えば、第12回審判の資料のうち、弁論資料に設けられる無線タグラベルTに係る個別音声データが「第12回審判の弁論資料です」であり、補足資料に設けられる無線タグラベルTに係る代表音声データが「第12回審判の補足資料です」であった場合に、代表音声データをそれらに共通する部分を抜粋した「第12回審判」とする場合が考えられる。
【0087】
次に、無線タグ通信装置300と無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号とその送受方法について、国際規格ISO/IEC18000−6 TypeCのプロトコルを例に挙げて説明する。図12は、無線タグ通信装置300と1つの上記無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を示す図である。なお、この図12に示す信号の送受方法は、公知のSlotted Random方式に基づくものであり、図中では左側から右側に向かって時系列変化するよう示している。また、無線タグ通信装置300と無線タグ回路素子Toとの間に記載されている矢印は信号の送信方向を示しており、送信相手が不特定である場合には破線で示し、送信相手が特定されている場合には実線で示している。
【0088】
この図12において、無線タグ通信装置300はまず最初に通信可能領域内に存在する全ての無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンドを送信する。この「Select」コマンドは、それ以降に無線タグ通信装置300が無線通信を行う無線タグ回路素子Toの条件を指定するコマンドであり、各種の条件を指定して情報の読み取り対象とする無線タグ回路素子Toの個数を限定し、無線通信の効率化を図ることができる。そして、この「Select」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toのうちで、指定された条件を満たす無線タグ回路素子Toだけがその後に無線通信を行える状態となる(図中ではこの条件を満たす一つ無線タグ回路素子Toのみを示している)。
【0089】
次に無線タグ通信装置300は、同じ無線タグ群に対してそれぞれのタグ情報(識別情報であるタグIDを含む)を応答発信させるよう要求する「Query」コマンド(読み取りコマンド)を送信する。この「Query」コマンドは、応答すると予想される無線タグ回路素子Toの数が不確定な条件下において探索を行うための探索指令である。この「Query」コマンドには、所定の数(例えばこの例で0から15までのいずれかの値)で指定するスロット数指定値Qが含まれている。高周波回路331からリーダアンテナ302を介し「Query」コマンドが送信されると、各無線タグ回路素子Toは0から2−1(=2のQ乗−1)までの乱数を乱数発生器158により生成し、スロットカウント値Sとして保持する。
【0090】
そして無線タグ通信装置300がリーダアンテナ302を介して該「Query」コマンドを送信後、所定の識別スロットで無線タグ回路素子Toからの応答を待ち受ける。この識別スロットとは、この「Query」コマンド、又は後述する「QueryRep」コマンドを始めに送信してから所定の期間で区分される時間枠である。識別スロットは、通常、所定回数(「Query」コマンドの第1識別スロット1回と「QueryRep」コマンドの第2以降の識別スロット2−1回の計2回)が連続して繰り返される。
【0091】
そして、図示の例のように無線タグ回路素子Toでスロットカウント値Sとして値0を生成したものは、この「Query」コマンドを含んだ第1識別スロットで応答する。このとき、当該無線タグ回路素子Toはタグ情報を送信する許可を得るための例えば16ビットの擬似乱数を用いた「RN16」コマンドを応答信号として無線タグ通信装置300へ送信する。
【0092】
そして、この「RN16」コマンドを受信した無線タグ通信装置300は、この「RN16」コマンドに対応する内容でタグ情報の送信を許可する「Ack」コマンドを送信する。この「Ack」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toは、その無線タグ回路素子To自身が先に送信した「RN16」コマンドと受信した「Ack」コマンドが対応していると判断した場合に、当該無線タグ回路素子Toの個体がタグ情報の送信を許可されたものとみなしてタグ情報(タグID含む)を送信する。このようにして、一つの識別スロットにおける信号の送受信が行われる。
【0093】
その後、さらに2番目以降の識別スロットでは、無線タグ通信装置300は「Query」コマンドの代わりに「QueryRep」コマンドを送信し、その直後に設けられる識別スロット時間枠で他の無線タグ回路素子To(特に図示せず)の応答を待つ。「QueryRep」コマンドを受信した各無線タグ回路素子Toは自身の上記スロットカウント値Sの値を一つだけ減算して保持し、該スロットカウント値Sが値0になった時点の識別スロットで「RN16」コマンドを初めとした信号の送受信を無線タグ通信装置300との間で行う。
【0094】
なお、各識別スロットで該当する無線タグ回路素子To(当該識別スロットでスロットカウント値Sが0となるもの)がない場合には、「Query」コマンド又は「QueryRep」コマンド以外の送受信が行われないまま所定の時間枠でその識別スロットを終了する。
【0095】
このように各無線タグ回路素子Toが異なる識別スロットで応答信号を返信することで、リーダアンテナ302を介し、無線タグ通信装置300は混信を受けることなく一つ一つの無線タグ回路素子Toのタグ情報を明確に受信し取り込むことができる。そして以上のように「Select」コマンドが送信されてから、「Query」コマンドの送信で始まる第1識別スロット(1回)と、その後の第2識別スロット以降の「QueryRep」コマンドの送信で始まる識別スロットを所定数(通常2−1回)繰り返して行うまでの処理単位を読み取り試行処理という(識別スロットは全部で通常2個である)。また、無線タグ通信装置300がこの読み取り試行処理を行う回数を読み取り試行回数という。
【0096】
図13は、探索対象を探索する際に無線タグ通信装置300の制御回路333によって行われる制御手順を示すフローチャートである。
【0097】
まずステップS205では、制御回路333は、通信回線NWを介してサーバ400のデータベースDBにアクセスし、データベースDBに格納された全て(又は一部でもよい)の無線タグラベルTに関する対応付け情報(タグID、対象物情報、及び音声データを含む)を取得する。なお、これらのデータは制御回路333が有するRAM333Cに一時的に記憶される。
【0098】
次のステップS210では、制御回路333は、上記取得したデータのうちの対象物情報に含まれる物品名情報に基づき、表示部313に制御信号を出力して物品名の一覧を表示させる。なお、ここでは物品名の一覧を表示するようにしたが、これに限られず、タグIDの一覧を表示させてもよいし、音声データの一覧を表示させてもよい。
【0099】
次のステップS215では、制御回路333は、処理モードが上記シングルサーチモードであるか上記マルチサーチモードであるかを判定する。操作者がモード選択キー321を用いてシングルサーチモードを選択した場合には、次のステップS220に移ってシングルサーチモードに移行し、さらに次のステップS225で上記ステップS210で表示した物品名一覧の中から操作者が操作部326,327を用いて探索対象である1つの物品名を選択したか否かを判定する。1つの物品が選択されるまで本ステップを繰り返し、選択されたら次のステップS230に移る。
【0100】
なお、上記では操作者が物品名一覧の中から物品名を選択入力するようにしたが、これに限られず、上述したように例えばタグIDや音声データの一覧を表示させる場合には、それらの一覧の中から所望のタグIDや音声データを選択入力するようにしてもよい。また、物品名一覧が多数であるような場合には、効率の良い検索を行うために、操作者が検索条件を入力して検索できるようにしてもよい。
【0101】
ステップS230では、制御回路333は、上記ステップS225で選択された物品に係るタグID及び音声データを取得する(RAM333Cに記憶されている)。
【0102】
次のステップS300では、1つの物品の探索を行うシングルサーチモード処理(詳細手順は後述の図14参照)を行う。そして、本フローを終了する。
【0103】
一方、上記ステップS215において、操作者がモード選択キー322を用いてマルチサーチモードを選択した場合には、次のステップS235に移ってマルチサーチモードに移行し、さらに次のステップS240で上記ステップS210で表示した物品名一覧の中から操作者が操作部326,327を用いて探索対象である複数の物品を選択したか否かを判定する。複数の物品が選択されるまで本ステップを繰り返し、選択されたら次のステップS245に移る。
【0104】
ステップS245では、制御回路333は、上記ステップS240で選択された複数の物品に係るタグID、音声データ(個別音声データ)、及び必要に応じて上記代表音声データを取得する(RAM333Cに記憶されている)。
【0105】
次のステップS400では、複数の物品の探索を行うマルチサーチモード処理(詳細手順は後述の図15参照)を行う。そして、本フローを終了する。
【0106】
以上において、上記ステップS205の手順は、各請求項記載の音声関連情報取得手段を構成する。
【0107】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば、上記ではステップS205で全タグラベルに関する音声データについてもデータベースDBから無線タグ通信装置300にダウンロードするようにしたが、これに限られず、例えばステップS205では音声データを除くタグIDや物品名等の情報のみダウンロードしておき、これらタグIDのリスト又は物品名のリストから対象物が選択されて初めて、当該対象物に対応する無線タグラベルTの音声データをデータベースDBから取得するようにしてもよい。このようにすることで、無線タグ通信装置300が有する記憶手段(RAM等)の容量を節減できる。
【0108】
図14は、上記ステップS300のシングルサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0109】
まずステップS305では、制御回路333は、上記ステップS230で取得した音声データを音声デコーダ336に出力し、これにより復号化した音声をアンプ338で増幅してスピーカ328へ出力させる。これにより、探索対象である文書ファイルFに関する音声データ、例えば「第12回審判弁論資料を探しています」がスピーカ328より再生される。
【0110】
次のステップS310では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ302を介し、上記ステップS230で取得した1つのタグIDを指定して「Select」コマンド信号を送信する。
【0111】
次のステップS320では、制御回路333は、上記「Select」コマンド信号と同様に「Query」コマンド信号を送信する。なおこのとき、スロット数指定値Qは2(=1)に指定されている。
【0112】
次のステップS330では、制御回路333は、リーダアンテナ302及び高周波回路331を介し、所定の時間の間だけ無線タグ回路素子Toからの応答信号を受信する。その後、ステップS340において、制御回路333は、その受信時間の間に応答信号として「RN16」コマンドを受信したか否かを判定する。この判定において、「RN16」コマンドが受信されていない場合、判定が満たされず、すなわち当該識別スロット(ここでは第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toがないものとみなされて、上記ステップS310へ戻る。一方、「RN16」コマンドが受信された場合、判定が満たされ、すなわち当該識別スロット(第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toが存在するとみなして、次のステップS350へ移る。
【0113】
ステップS350では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ302を介し、上記ステップS330で受信された「RN16」コマンドに含まれている疑似乱数に対応する内容の「Ack」コマンドを送信する。その後、ステップS360において、制御回路333は、リーダアンテナ302及び高周波回路331を介し、無線タグ回路素子Toからタグ情報を受信する。その後、ステップS370において、制御回路333は、その受信したタグ情報中にタグIDが含まれるか否か(言い換えればタグIDの受信に成功したか否か)を判定する。タグIDが含まれていない場合には、判定が満たされずに先のステップS310に戻る。一方、タグIDが含まれている場合には、判定が満たされてステップS380に移る。
【0114】
ステップS380では、制御回路333は、上記ステップS305で再生を開始した音声データを一部変更した(見つかったことに対応した内容の)音声データを音声デコーダ336に出力し、これにより復号化した音声をアンプ338で増幅してスピーカ328より再生させる。これにより、例えばスピーカ328からは「第12回審判弁論資料が見つかりました」の音声データが再生される。なお、前述のように本体用文言と末尾用文言とを分けて用意しておく場合には、例えば「第12回審判弁論資料です」「が見つかりました」、あるいは、「棚の上にある第12回審判弁論資料です」「を見つけました」等のように、それぞれつなげて再生される。
【0115】
以上において、上記ステップS310〜ステップS360が、各請求項記載のタグ情報取得手段を構成する。それらのうち、上記ステップS320は、問い合わせ信号送信手段を構成し、ステップS340は、応答信号受信手段を構成する。さらに、上記ステップS305及びステップS380は、再生制御手段を構成する。
【0116】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えばステップS380において、上記では再生制御手段により音声データの内容を変更して、内容を強調した音声データにより「第12回審判弁論資料が見つかりました」の音声を再生したが、その他にも、「第12回審判弁論資料です」「第12回審判弁論資料です」「第12回審判弁論資料です」と連呼する音声を再生するようにしてもよい。
【0117】
図15は、上記ステップS400のマルチサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0118】
まずステップS405では、制御回路333は、リストに含まれる複数のタグIDをカウントするための変数Nの値を0にリセットする。
【0119】
次のステップS407では、制御回路333は、上記ステップS245で取得した代表音声データを音声デコーダ336に出力し、これにより復号化した音声をアンプ338で増幅してスピーカ328へ出力させる。これにより、複数の探索対象である物品等にそれぞれ設けられた複数の無線タグラベルTに共通する代表音声がスピーカ328より再生される。なお、この代表音声データの再生は、探索対象の全部が発見されるまで所定の時間間隔で繰り返し行われるように、制御回路333が制御することが好ましい。
【0120】
ステップS410では、制御回路333は、変数Nの値に1を加え、その後にステップS415でこの変数Nの値がNmax(探索対象であるタグIDの数)以下であるか否か、すなわち複数のタグIDのうちの最後のタグIDの探索を終了したか否かを判定する。変数Nの値がNmaxより大きい場合、全タグIDの探索が終了したものとみなされて、ステップS460へ移る。
【0121】
ステップS460では、制御回路333は、上記ステップS407で再生を開始した代表音声データを一部変更した(見つかったことに対応した内容の)代表音声データを音声デコーダ336に出力し、これにより復号化した音声(例えば、前述と同様、語尾を「〜が全て見つかりました」等)をアンプ338で増幅してスピーカ328より再生させ、本ルーチンを終了する。一方、変数Nの値がNmax以下である場合、全タグIDの探索処理が終了していないものとみなされて、次のステップS420へ移る。
【0122】
ステップS420では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ302を介し、N番目の無線タグ回路素子Toに対しタグIDを指定して「Select」コマンド信号を送信する。
【0123】
次のステップS425では、制御回路333は、上記「Select」コマンド信号と同様に「Query」コマンド信号を送信する。なおこのとき、スロット数指定値Qは2(=1)に指定されている。
【0124】
次のステップS430では、制御回路333は、リーダアンテナ302及び高周波回路331を介し、所定の時間の間だけ無線タグ回路素子Toからの応答信号を受信する。その後、ステップS435において、制御回路333は、その受信時間の間に応答信号として「RN16」コマンドを受信したか否かを判定する。この判定において、「RN16」コマンドが受信されていない場合、当該識別スロット(ここでは第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toがないものとみなされて、上記ステップS410へ戻る。一方、「RN16」コマンドが受信された場合、当該識別スロット(第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toが存在するとみなして、次のステップS440へ移る。
【0125】
ステップS440では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ302を介し、上記ステップS430で受信された「RN16」コマンドに含まれている疑似乱数に対応する内容の「Ack」コマンドを送信する。その後、ステップS445において、制御回路333は、リーダアンテナ302及び高周波回路331を介し、無線タグ回路素子Toからタグ情報を受信する。その後、ステップS450において、制御回路333は、その受信したタグ情報中にタグIDが含まれるか否か(言い換えればタグIDの受信に成功したか否か)を判定する。タグIDが含まれていない場合には、判定が満たされずに先のステップS410に戻る。一方、タグIDが含まれている場合には、判定が満たされてステップS455に移る。
【0126】
ステップS455では、制御回路333は、上記ステップS407で再生を開始した代表音声データを一部変更した(全ファイルは見つかっていないが一部のファイルが新たに見つかったことに対応した内容の)代表音声データを音声デコーダ336に出力し、これにより復号化した音声(例えば「〜のうち〜が見つかりました」等)をアンプ338で増幅してスピーカ328より再生させる。なお、前述のように本体用文言と末尾用文言とを分けて用意しておく場合には、この場合は「のうち」「が見つかりました」を末尾用文言として(テーブル等に)用意しておいて用いればよい。その後、ステップS407に戻り、もとの代表音声データの再生から同様の手順を繰り返す。
【0127】
なお、無線タグ通信装置300では、前述したように、手動指示により音声をさせる音声再生ボタン330を備えている。そして、上記フローを用いて説明したタイミング以外にも、操作者の希望する所望のタイミングで、音声データの再生を行えるようになっている。これにより、無線タグラベルTの探索開始の際に始まった音声データの再生が(例えば予め設定した繰り返し回数が終了し)いったん終了したとしても、操作者の音声再生ボタン330の手動指示により再び音声データを再生させることも可能である。これにより、利便性をさらに向上できる。
【0128】
以上において、上記ステップS420〜ステップS445が、各請求項記載のタグ情報取得手段を構成する。それらのうおち、上記ステップS425は、問い合わせ信号送信手段を構成し、ステップS435は、応答信号受信手段を構成する。さらに、上記ステップS407、ステップS455、及びステップS460は、再生制御手段を構成する。
【0129】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。
【0130】
以上説明したように、本実施形態の無線タグ通信装置300においては、リーダアンテナ302を介した無線通信によって、探索目的の対象物(この例では文書ファイルF)に設けられた無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに対する情報読み取りを行う。無線タグ通信装置300で探索が行われる際は、対象となる無線タグ回路素子ToのタグIDを指定し、リーダアンテナ302を介し、上記指定した無線タグ回路素子Toからの情報取得を図る。
【0131】
このとき、各無線タグラベルTは、タグラベル作成装置100による作成時に、無線タグ回路素子ToのタグIDと音声データとが対応付けとして予め対応付けられており、その対応付け情報がサーバ400のデータベースDBに格納保持されている。そして、上記探索時において無線タグ回路素子Toから情報取得を完了する前(上記の例では探索を開始する前。ステップS230及びステップS245参照)に、データベースDBより上記対応付け情報が取得され、これに基づき、情報取得対象の無線タグ回路素子Toに対応する音声データが取得され、スピーカ328により対応する音声(前述の例では文書ファイルFの名称等)が再生される。これにより、操作者は、探そうとする文書ファイルFに対応した無線タグラベルTを、見つかる前から聴覚的に認識しつつ、当該文書ファイルFを探索することができる。この結果、対象物である文書ファイルFの特定が容易となり、利便性を向上することができる。特に、音声であることから操作者による入力が容易であり、また、肉声であることから誰の声であるかが容易に識別できるという効果もある。
【0132】
また、本実施形態では特に、無線タグ通信装置300の表示部313に再生時間バー315を設けて、スピーカ328による音声データの再生中に、再生開始後の経過時間又は再生終了前の残り時間を表す再生時間表示を行う。これにより、その時点で再生されている音声が、音声データ全体のどのあたりに相当するのか、あるいは音声があとどれくらい続くのか等を操作者が把握しやすくなる。この結果、さらに利便性を向上することができる。
【0133】
また、操作者がマルチサーチモードを選択し、複数の文書ファイルFの探索を意図して複数の無線タグ回路素子を特定する情報Toを操作入力した場合には、それら複数の対象物には使用用途や属性等の共通点がある可能性が高い。この場合、対応する複数の無線タグラベルTの音声データそれぞれにも、上記使用用途や属性に対応した共通部分が含まれる場合がある。これに対応して、本実施形態では特に、各無線タグラベルTに関わる音声データ(個別音声データ)をばらばらに再生するのでなく、その共通性に関わる代表音声データを再生する。これにより、上記操作者の意図に合致したわかりやすい音声データの再生を行うことができ、複数の文書ファイルTの探索時において、利便性をさらに向上することができる。
【0134】
また、本実施形態では特に、無線タグ通信装置300による探索中において、対応する無線タグ回路素子Toからの応答信号が受信されると、スピーカ328で再生されている無線タグラベルTの音声データは強調された内容に態様が変わ
る。これにより、探索が成功したことを操作者に対し聴覚的に確実に認識させることができる。
【0135】
なお、以上では音声データをデータベースDB内に格納したが、これに限られず、無線タグ通信装置300内に格納するようにしてもよい。この場合、再生時に、ネットワークを介さなくてすむことから音声再生処理が迅速となるという効果がある。
【0136】
なお、以上においては、無線タグとして、タグラベル作成装置300で作成した無線タグラベルTを用いる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば無線タグとして、その他の態様のもの、例えばカード状のタグカード(ICカード)を用いる場合等についても本発明を適用でき、前述と同様の効果を得ることができる。
【0137】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0138】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本実施形態の無線タグ通信装置を有する無線タグラベルの音声管理システムの全体構成を表すシステム構成図である。
【図2】無線タグ通信装置の全体的な外観を表す平面図である。
【図3】音声管理システムのシステム全体の機能構成を概念的に表すシステム構成図である。
【図4】無線タグ通信装置の制御回路の機能構成を表す機能ブロック図である。
【図5】無線タグ通信装置の高周波回路の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】無線タグ回路素子の機能的構成の一例を示す図である。
【図7】タグラベル作成装置で作成された無線タグラベルの外観の一例を表す平面図及び断面図である。
【図8】無線タグラベルの音声データの再生が何もない比較例の場合の探索の様子を示す説明図である。
【図9】情報取得完了前の無線タグラベルの音声データの再生がある本実施形態の場合の探索の様子を示す説明図である
【図10】無線タグラベルを作成する際にタグラベル作成装置の制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】タグラベル作成を行った後におけるデータベースのデータ内容の一例を概念的に表す図である。
【図12】無線タグ通信装置と1つの上記無線タグ回路素子との間で送受される信号のタイムチャートの一例を表す図である。
【図13】探索対象を探索する際に無線タグ通信装置の制御回路によって行われる制御手順を表すフローチャートである。
【図14】ステップS300のシングルサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図15】ステップS400のマルチサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートである
【符号の説明】
【0140】
1 無線タグの音声管理システム
100 タグラベル作成装置
103 タグテープ(タグ媒体)
105 印字ヘッド(印字手段)
106 装置側アンテナ
108 搬送ローラ(搬送手段)
120 マイク(音声入力手段)
150 IC回路部
151 タグアンテナ
200 PC
300 無線タグ通信装置
302 リーダアンテナ(無線通信手段)
313 表示部
321〜327 キー(操作手段)
328 スピーカ(音声再生手段)
329 開始/停止キー(操作手段)
DB データベース
T 無線タグラベル
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに備えられ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し、無線通信を行うための無線通信手段と、
少なくとも1つの前記無線タグ回路素子の識別情報を指定し、前記無線通信手段を介し、前記指定された前記無線タグ回路素子より情報取得を図るタグ情報取得手段と、
前記タグ情報取得手段における前記識別情報を指定した前記情報取得の完了前に、前記情報取得の対象である前記無線タグ回路素子に対応した音声データを再生する音声再生手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記無線タグ回路素子を特定するための情報を操作入力するための操作入力手段を有し、
前記タグ情報取得手段は、
前記操作入力手段の操作入力に基づき対応する前記無線タグ回路素子の識別情報を指定し、前記無線タグ回路素子より情報取得を図り、
前記音声再生手段は、
前記操作入力手段より複数の無線タグ回路素子を特定するための情報が操作入力された場合、前記複数の無線タグ回路素子それぞれに対応する音声データの代表音声を再生する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記無線タグの音声データと対応する前記無線タグ回路素子の前記識別情報との対応付けを格納保持したデータベースより、音声関連情報の取得を行う音声関連情報取得手段を有し、
前記音声再生手段は、
前記操作入力手段の操作入力に応じ、前記音声関連情報取得手段で取得された前記音声関連情報に基づき、前記無線タグの音声データを再生する
ことを特徴とする請求項2記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記音声再生手段による前記音声データの再生を手動指示するための操作指示手段を有し、
前記タグ情報取得手段は、
前記無線通信手段を介し、前記指定された無線タグ回路素子に対し応答を要求する問い合わせ信号を送信する問い合わせ信号送信手段と、
前記問い合わせ信号に対応した前記無線タグ回路素子からの応答信号を、前記無線通信手段を介し受信する応答信号受信手段と、
前記操作指示手段による前記手動指示があった場合には、前記問い合わせ信号送信手段が前記無線通信手段を介し前記問い合わせ信号を送信するより前に、前記無線タグの前記音声データを再生するように、前記音声再生手段を制御する再生制御手段と
を有することを特徴とする請求項3記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記音声再生手段による前記音声データの再生中に、再生開始後の経過時間又は再生終了前の残り時間を表す再生時間表示を行う再生表示手段を設けた
ことを特徴とする請求項4記載の無線タグ通信装置。
【請求項6】
前記再生制御手段は、
前記応答信号受信手段が前記無線通信手段を介し前記応答信号を受信した場合、再生している前記無線タグの前記音声データの再生態様を前記受信に対応して変化させるように、前記音声再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項5記載の無線タグ通信装置。
【請求項7】
情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子を配置したタグ媒体を搬送するための搬送手段と、
前記無線タグ回路素子と無線通信による情報送受信を行うための装置側アンテナとを有する無線タグ作成装置であって、
作成される無線タグと対応付けて音声データとして記録するために、操作者が肉声を入力可能な第1音声入力手段
を有することを特徴とする無線タグ作成装置。
【請求項8】
前記第1音声入力手段の入力に基づく音声データを、対応する前記無線タグ回路素子の識別情報と対応付けて出力する音声データ出力手段と、
前記タグ媒体又は前記タグ媒体に貼り合わせる被印字媒体に印字を行う印字手段と
を有することを特徴とする請求項7記載の無線タグ作成装置。
【請求項9】
タグ媒体に備えられ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子と無線通信による情報送受信を行うための装置側アンテナを有し、無線タグを作成する無線タグ作成装置と、
前記無線タグ作成装置で作成される前記無線タグと対応付けて音声データとして記録するために、操作者が肉声を入力可能な第2音声入力手段と、
前記無線タグ作成装置で作成された前記無線タグに備えられた前記無線タグ回路素子より、無線通信を介し情報取得を図る情報取得手段と;前記情報取得手段における前記情報取得の完了前に、前記情報取得の対象である前記無線タグ回路素子に対応した前記音声データを再生する音声再生手段と;を有する無線タグ通信装置と
を有することを特徴とする無線タグの音声管理システム。
【請求項10】
前記無線タグ作成装置で作成された前記無線タグに備えられた前記無線タグ回路素子の識別情報を、前記第2音声入力手段で入力された前記音声データと対応付けて格納保持するデータベースを有し、
前記無線タグ通信装置の前記音声再生手段は、
前記データベースへのアクセスに基づき取得した、前記無線タグ回路素子に対応する前記音声データを再生する
ことを特徴とする請求項9記載の無線タグの音声管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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