説明

無線タグ通信装置および無線タグ通信方法

【課題】無線タグとより良好に通信することが可能な無線タグ通信装置および無線タグ通信方法を提供する。
【解決手段】無線タグ通信装置101は、識別情報を有する無線タグTと通信する。無線タグ通信装置101は、無線タグTとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナ11と、無線タグ通信装置および無線タグT間の距離を複数のタイミングで測定するための距離測定部18と、距離測定部18によって測定された各距離に基づいて、所定タイミングにおける無線タグ通信装置および無線タグT間の予測距離を算出するための位置予測部21と、位置予測部21によって算出された予測距離に基づいて、各アンテナ11の位置を制御するためのアンテナ駆動部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグ通信装置および無線タグ通信方法に関し、特に、アンテナの位置を調整する無線タグ通信装置および無線タグ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多数の種類のRFID(Radio Frequency Identification)タグが付加されたIC(Integrated Circuit)カードおよび商品が流通しており、その数は増加傾向にある。
【0003】
IDカードなどで使用されている近傍型RFIDシステムに用いられるRFIDリーダ/ライタのアンテナ特性は、以下のようになる。すなわち、縦軸をアンテナ利得とし、横軸を距離とすると、RFIDタグと無線通信を行なうための最適距離を中心とした急峻な山形の特性であり、最適距離を離れると、RFIDリーダ/ライタにおいてRFIDタグの認識率が著しく低下する。
【0004】
IDカード用などのRFIDリーダ/ライタでは、カード接触面がアンテナからの最適距離になるように設定されている。しかしながら、RFIDリーダ/ライタが壁面に備え付けられる場合には、IDカードをRFIDリーダ/ライタの筐体に接触させないことから、IDカードとアンテナの送受信面の距離にばらつきがあり、RFIDの読み書きに失敗することが多い。
【0005】
RFIDタグの読み取り率の向上を図るための方策として、たとえば、特開2007−249488号公報(特許文献1)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、RFIDシステムにおいて、距離センサは、物品に貼り付けられたRFIDタグの位置までの距離を検出し、その検出値を位置検出結果としてRFIDリーダに出力する。RFIDリーダは、距離センサから位置検出結果として入力されたRFIDタグまでの距離の情報と、複数のアンテナの各々のアンテナ構成(位置、読み取り幅)の情報とに基づいて、複数のアンテナの中からRFIDタグを読み取ることができる1以上のアンテナを選択し、選択されたアンテナを優先的に活性化する。具体的には、RFIDリーダは、複数のアンテナの中から、RFIDタグから距離が近く、読み取り幅の範囲内にRFIDタグが位置するアンテナ等を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−249488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、RFIDタグは、固定されていて移動しない場合もあるが、人が身につけているIDカード等のRFIDタグのように移動するものもある。
【0008】
IDカード等のようにRFIDタグが移動するような場合には、特許文献1に記載のRFIDシステムによってRFIDタグまでの距離を検出し、アンテナを選択しても、RFIDの読み書きに失敗する可能性が高い。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、無線タグとより良好に通信することが可能な無線タグ通信装置および無線タグ通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線タグ通信装置は、識別情報を有する無線タグと通信するための無線タグ通信装置であって、上記無線タグとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナと、上記無線タグ通信装置および上記無線タグ間の距離を複数のタイミングで測定するための距離測定部と、上記距離測定部によって測定された各距離に基づいて、所定タイミングにおける上記無線タグ通信装置および上記無線タグ間の予測距離を算出するための位置予測部と、上記位置予測部によって算出された予測距離に基づいて、各上記アンテナの位置を制御するためのアンテナ駆動部とを備える。
【0011】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線タグ通信方法は、識別情報を有する無線タグと通信し、上記無線タグとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナを備える無線タグ通信装置における無線タグ通信方法であって、上記無線タグ通信装置および上記無線タグ間の距離を複数のタイミングで測定するステップと、測定した各上記距離に基づいて、所定タイミングにおける上記無線タグ通信装置および上記無線タグ間の予測距離を算出するステップと、算出した上記予測距離に基づいて、各上記アンテナの位置を制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線タグとより良好に通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタにおけるリーダ/ライタ本体の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタがRFID通信処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタがRFID通信処理を行なう際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタの構成を示す図である。
【0016】
図1を参照して、RFIDリーダ/ライタ(無線タグ通信装置)101は、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11と、リーダ/ライタ本体12と、アンテナ駆動部13と、接続線14,16,17と、距離測定部18と、筐体Kとを備える。
【0017】
筐体Kは、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11と、リーダ/ライタ本体12と、アンテナ駆動部13と、接続線14,16,17と、距離測定部18とを収容する。
【0018】
RFIDリーダ/ライタ101は、たとえば電磁誘導方式を採用したRFIDシステムに用いられる。RFIDリーダ/ライタ101は、たとえば、筐体Kと非接触のRFIDタグTと通信するために用いられる。RFIDリーダ/ライタ101は、RFIDタグTと非接触でデータ交信を行なうことが可能である。
【0019】
RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11は、RFIDタグTとの間で無線信号を送受信するために設けられる。具体的には、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11は、RFIDタグTに対して電力供給およびデータの送受信を行なうために磁界を放射する。RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11は、リーダ/ライタ本体12と接続線16により接続される。
【0020】
リーダ/ライタ本体12は、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を動作させるとともに、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を介してRFIDタグTとデータを送受信し、また、送受信データの処理を行なう。
【0021】
RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11は、アンテナ駆動部13に結合されている。アンテナ駆動部13は、ステッピングモータ等で構成され、リーダ/ライタ本体12と接続線14により接続され、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11をリーダ/ライタ本体12から任意の距離移動させることが可能である。
【0022】
より詳細には、アンテナ駆動部13は、筐体Kの複数の面のうち、RFIDタグTが向けられる筐体面SF1に対して略垂直にRFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を移動させる。すなわち、アンテナ駆動部13は、リーダ/ライタ本体12の制御に基づいてRFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を駆動することにより、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11のアンテナ面すなわち無線信号の送受信面を、筐体面SF1に対して略垂直方向に移動させる。
【0023】
距離測定部18は、三角測量方式を採用した光学センサを含み、接続線17によりリーダ/ライタ本体12と接続され、RFIDタグTまでの距離を測定する。距離測定部18は、当該距離の測定結果をリーダ/ライタ本体12に通知する。
【0024】
また、距離測定部18は、RFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を複数のタイミングで測定する。たとえば、距離測定部18は、RFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を定期的に測定する。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタにおけるリーダ/ライタ本体の構成を示す図である。
【0026】
図2を参照して、リーダ/ライタ本体12は、位置予測部21と、識別情報取得部22とを含む。
【0027】
位置予測部21は、距離測定部18によって測定された各距離に基づいて、所定タイミングにおけるRFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の予測距離を算出する。
【0028】
識別情報取得部22は、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11経由でRFIDタグTから受信した無線信号に基づいて、RFIDタグTのRFIDを取得する。
【0029】
アンテナ駆動部13は、位置予測部21によって算出された予測距離に基づいて、各RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11の位置を制御する。
【0030】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタが無線タグ通信処理を行なう際の動作について図面を用いて説明する。本発明の実施の形態では、RFIDリーダ/ライタ101を動作させることによって、本発明の実施の形態に係る無線タグ通信方法が実施される。よって、本発明の実施の形態に係る無線タグ通信方法の説明は、以下のRFIDリーダ/ライタ101の動作説明に代える。なお、以下の説明においては、適宜図1および図2を参照する。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタがRFID通信処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0032】
図3を参照して、RFIDリーダ/ライタ101とRFIDタグTとのデータ交信を行なうために、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11の上方にRFIDタグTを位置させた状態を考える。
【0033】
この状態において、まず、リーダ/ライタ本体12は、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11から磁界を放射させる(ステップS1)。
【0034】
次に、リーダ/ライタ本体12における距離測定部18は、RFIDタグTの位置測定すなわちRFIDタグTまでの距離測定を行なう(ステップS2)。より詳細には、距離測定部18は、RFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を複数のタイミングで測定する。
【0035】
次に、位置予測部21は、距離測定部18から初めてRFIDタグTの位置を取得した場合には、当該位置をRFIDタグTの予測位置とする。また、位置予測部21は、2回目以降にRFIDタグTの位置を取得した場合には、今回および前回の測定時間の差ΔTと、今回および前回の測定距離の差ΔSと、RFIDタグTとの間で次にRFIDコマンドを送受信するまでにかかる時間Δtとに基づいて、RFIDタグTの予測位置を算出する。
【0036】
具体的には、位置予測部21は、以下の式に従い、補正距離Δsを算出する。
Δs=ΔS/ΔT×Δt
【0037】
そして、位置予測部21は、測定位置+補正距離Δsを、次のRFIDコマンド送受信時におけるRFIDタグTの位置とする。すなわち、位置予測部21は、次のRFIDコマンド送受信時における筐体面SF1からRFIDタグTまでの予測距離を算出する。そして、位置予測部21は、算出した予測距離に基づいて、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11の最適位置を算出する(ステップS3)。
【0038】
具体的には、距離測定部18は、第1のタイミングおよび第1のタイミングの後の第2のタイミングにおいてRFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を測定する。そして、位置予測部21は、第2のタイミングにおいて測定した距離が第1のタイミングにおいて測定した距離よりも大きい場合には、第2のタイミングにおいて測定した距離より大きい距離を予測距離として算出する。また、位置予測部21は、第2のタイミングにおいて測定した距離が第1のタイミングにおいて測定した距離よりも小さい場合には、第2のタイミングにおいて測定した距離より小さい距離を予測距離として算出する。
【0039】
次に、アンテナ駆動部13は、位置予測部21によって算出されたRFIDリーダ/ライタ用アンテナ11の最適位置に基づいて、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11から設計上で強い磁界強度が得られる領域である交信エリアにRFIDタグTが位置するように、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を移動させる(ステップS4)。
【0040】
次に、リーダ/ライタ本体12は、RFIDコマンドを含むデータをRFIDリーダ/ライタ用アンテナ11経由でRFIDタグTへ送信する(ステップS5)。
【0041】
上記交信エリア内にRFIDタグTが位置していれば、RFIDタグTでは、強い磁束による起電力によって内部のICチップが駆動され、リーダ/ライタ本体12からのRFIDコマンドが受信されて、予め設定されたデータがRFIDタグTのアンテナを介してRFIDリーダ/ライタ101へ送信される。
【0042】
次に、RFIDリーダ/ライタ101がRFIDタグTからのデータ受信に成功した場合には(ステップS6でYES)、識別情報取得部22は、RFIDタグTのRFIDを取得することができる(ステップS7)。
【0043】
このような構成により、RFIDタグTが筐体面SF1から多少離れた位置に存在しても、アンテナ駆動部13によって設定された交信エリア内に位置していれば、RFIDリーダ/ライタ101からの強い磁界を受けることができる。これにより、RFIDリーダ/ライタ101においてRFIDタグTからのデータを受信することができ、RFIDを取得することができる。
【0044】
一方、RFIDリーダ/ライタ101は、RFIDタグTからのデータ受信に失敗した場合には(ステップS6でNO)、RFIDタグTの位置測定以降の動作を繰り返し行なう(ステップS2〜S5)。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタがRFID通信処理を行なう際の動作手順の他の例を定めたフローチャートである。
【0046】
図4を参照して、RFIDリーダ/ライタ101とRFIDタグTとの間のデータ交信において、複数種類のコマンドの送信/応答が定義されている場合には、RFIDリーダ/ライタ101は、複数のコマンドを連続して送受信する。
【0047】
図4におけるステップS11〜S14の動作は、図3におけるステップS1〜S4の動作と同様である。
【0048】
次に、リーダ/ライタ本体12は、1番目のコマンドであるRFID検索コマンドを含むデータをRFIDリーダ/ライタ用アンテナ11経由でRFIDタグTへ送信する(ステップS15)。
【0049】
上記交信エリア内にRFIDタグTが位置していれば、RFIDタグTでは、強い磁束による起電力によって内部のICチップが駆動され、リーダ/ライタ本体12からのRFID検索コマンドが受信されて、当該コマンドに対する応答を含むデータがRFIDタグTのアンテナを介してRFIDリーダ/ライタ101へ送信される。
【0050】
次に、リーダ/ライタ本体12は、RFIDタグTからの応答受信に成功した場合には(ステップS16でYES)、RFIDタグTが最適位置に存在していることから、続いてRFIDカード書き込みコマンドをRFIDタグTへ送信する(ステップS17)。
【0051】
ところで、IDカード等のようにRFIDタグが移動するような場合には、特許文献1に記載のRFIDシステムによってRFIDタグまでの距離を検出し、アンテナを選択しても、RFIDの読み書きに失敗する可能性が高い。
【0052】
これに対して、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、距離測定部18は、RFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を複数のタイミングで測定する。位置予測部21は、距離測定部18によって測定された各距離に基づいて、所定タイミングにおけるRFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の予測距離を算出する。そして、アンテナ駆動部13は、位置予測部21によって算出された予測距離に基づいて、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11の位置を制御する。
【0053】
このように、RFIDタグTとの距離を複数のタイミングで測定し、各タイミングでの距離測定結果を用いてRFIDタグTの位置予測を行なう構成により、IDカード等のように移動するRFIDタグに対する読み書きを安定して行なうことができる。
【0054】
また、従来のRFIDリーダ/ライタでは、アンテナの能力によってRFIDタグの読み取り可能範囲が限定されていたため、アンテナの交換等が困難であった。
【0055】
本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、RFIDタグの位置を距離測定によって取得し、次の通信タイミングにおけるRFIDタグの位置を予測する。そして、予測位置に基づいてアンテナ面を移動させることにより、RFIDタグとアンテナ面とを最適距離に保つ。これにより、広範囲の距離でRFIDタグに対する読み書きを安定して行なうことができる。
【0056】
より詳細には、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を移動させることにより、広い交信エリアを確保できる、すなわちRFIDタグの読み取り可能範囲を広げることができる。これにより、壁面等に取り付けられたRFIDリーダ/ライタのRFIDカードに対するリード/ライトの成功率を上げることができる。
【0057】
すなわち、RFIDタグをRFIDリーダ/ライタの筐体に接触させないような使用形態であり、アンテナ面とRFIDタグとの距離にばらつきがある場合において、アンテナ面をRFIDタグ位置に合わせて移動させる。これにより、アンテナ面をRFIDタグとの最適距離に位置させることができるため、RFIDの読み取り特性を向上させることができる。
【0058】
ここで、特許文献1に記載のRFIDシステムでは、複数のアンテナを使用しているため、あるアンテナとRFIDタグとの間に他のアンテナが位置する場合には、無線信号に対する干渉が発生する。このため、アンテナ間の干渉を防ぐためには大型の装置が必要となってしまい、弱電界を扱う近傍RFID用のシステムには不適である。
【0059】
これに対して、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、RFIDリーダ/ライタ101は、RFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を1つ備える。
【0060】
このように、アンテナを1つだけ用いる構成により、アンテナ間の干渉を防ぐことができる。また、装置の小型化を図り、近傍RFID用に適したシステムを構築することができる。
【0061】
また、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、距離測定部18は、RFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を定期的に測定する。
【0062】
このように、定期的な距離測定結果を用いる構成により、RFIDタグの予測距離を簡易な計算で求めることができる。
【0063】
また、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、距離測定部18は、第1のタイミングおよび第1のタイミングの後の第2のタイミングにおいてRFIDリーダ/ライタ101およびRFIDタグT間の距離を測定する。そして、位置予測部21は、第2のタイミングにおいて測定した距離が第1のタイミングにおいて測定した距離よりも大きい場合には、第2のタイミングにおいて測定した距離より大きい距離を予測距離として算出する。また、位置予測部21は、第2のタイミングにおいて測定した距離が第1のタイミングにおいて測定した距離よりも小さい場合には、第2のタイミングにおいて測定した距離より小さい距離を予測距離として算出する。
【0064】
このように、前回および今回の測定タイミングにおけるRFIDタグまでの測定距離の大小関係を用いる構成により、RFIDタグの予測距離を適切に算出することができる。
【0065】
また、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、アンテナ駆動部13は、筐体Kの複数の面のうち、RFIDタグTが向けられる筐体面SF1に対して略垂直にRFIDリーダ/ライタ用アンテナ11を移動させる。
【0066】
このような構成により、アンテナを適切に移動させ、RFIDタグとの広い交信エリアを確保することができる。
【0067】
また、本発明の実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタでは、RFIDリーダ/ライタ101は、筐体Kと非接触のRFIDタグTと通信するために用いられる。
【0068】
このように、RFIDタグをRFIDリーダ/ライタの筐体に接触させないような使用形態に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0069】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0070】
上記実施の形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載されうるが、本発明の範囲は、以下の付記に限定されるものではない。
【0071】
[付記1]
識別情報を有する無線タグと通信するための無線タグ通信装置であって、
前記無線タグとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナと、
前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を複数のタイミングで測定するための距離測定部と、
前記距離測定部によって測定された各距離に基づいて、所定タイミングにおける前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の予測距離を算出するための位置予測部と、
前記位置予測部によって算出された予測距離に基づいて、各前記アンテナの位置を制御するためのアンテナ駆動部とを備える、無線タグ通信装置。
【0072】
[付記2]
前記無線タグ通信装置は、前記アンテナを1つ備える、付記1に記載の無線タグ通信装置。
【0073】
[付記3]
前記距離測定部は、前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を定期的に測定する、付記1または2に記載の無線タグ通信装置。
【0074】
[付記4]
前記距離測定部は、第1のタイミングおよび前記第1のタイミングの後の第2のタイミングにおいて前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を測定し、
前記位置予測部は、前記第2のタイミングにおいて測定した距離が前記第1のタイミングにおいて測定した距離よりも大きい場合には、前記第2のタイミングにおいて測定した距離より大きい距離を前記予測距離として算出し、前記第2のタイミングにおいて測定した距離が前記第1のタイミングにおいて測定した距離よりも小さい場合には、前記第2のタイミングにおいて測定した距離より小さい距離を前記予測距離として算出する、付記1から3のいずれかに記載の無線タグ通信装置。
【0075】
[付記5]
前記無線タグ通信装置は、さらに、前記アンテナを収容するための筐体を備え、
前記アンテナ駆動部は、前記筐体の複数の面のうち、前記無線タグが向けられる面に対して略垂直に前記アンテナを移動させる、付記1から4のいずれかに記載の無線タグ通信装置。
【0076】
[付記6]
前記無線タグ通信装置は、前記筐体と非接触の前記無線タグと通信するために用いられる、付記1から5のいずれかに記載の無線タグ通信装置。
【0077】
[付記7]
識別情報を有する無線タグと通信し、前記無線タグとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナを備える無線タグ通信装置における無線タグ通信方法であって、
前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を複数のタイミングで測定するステップと、
測定した各前記距離に基づいて、所定タイミングにおける前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の予測距離を算出するステップと、
算出した前記予測距離に基づいて、各前記アンテナの位置を制御するステップとを含む、無線タグ通信方法。
【0078】
[付記8]
前記無線タグ通信装置は、前記アンテナを1つ備える、付記7に記載の無線タグ通信方法。
【0079】
[付記9]
前記距離を測定するステップにおいては、前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を定期的に測定する、付記7または8に記載の無線タグ通信方法。
【0080】
[付記10]
前記距離を測定するステップにおいては、第1のタイミングおよび前記第1のタイミングの後の第2のタイミングにおいて前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を測定し、
前記予測距離を算出するステップにおいては、前記第2のタイミングにおいて測定した距離が前記第1のタイミングにおいて測定した距離よりも大きい場合には、前記第2のタイミングにおいて測定した距離より大きい距離を前記予測距離として算出し、前記第2のタイミングにおいて測定した距離が前記第1のタイミングにおいて測定した距離よりも小さい場合には、前記第2のタイミングにおいて測定した距離より小さい距離を前記予測距離として算出する、付記7から9のいずれかに記載の無線タグ通信方法。
【0081】
[付記11]
前記無線タグ通信装置は、さらに、前記アンテナを収容するための筐体を備え、
前記アンテナの位置を制御するステップにおいては、前記筐体の複数の面のうち、前記無線タグが向けられる面に対して略垂直に前記アンテナを移動させる、付記7から10のいずれかに記載の無線タグ通信方法。
【0082】
[付記12]
前記無線タグ通信装置は、前記筐体と非接触の前記無線タグと通信するために用いられる、付記7から11のいずれかに記載の無線タグ通信方法。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、IDカード用などのRFIDリーダ/ライタにおいて、無線タグの識別情報をより確実に取得することを可能とする。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0084】
11 RFIDリーダ/ライタ用アンテナ
12 リーダ/ライタ本体
13 アンテナ駆動部
14,16,17 接続線
18 距離測定部
21 位置予測部
22 識別情報取得部
101 RFIDリーダ/ライタ(無線タグ通信装置)
K 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を有する無線タグと通信するための無線タグ通信装置であって、
前記無線タグとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナと、
前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を複数のタイミングで測定するための距離測定部と、
前記距離測定部によって測定された各距離に基づいて、所定タイミングにおける前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の予測距離を算出するための位置予測部と、
前記位置予測部によって算出された予測距離に基づいて、各前記アンテナの位置を制御するためのアンテナ駆動部とを備える、無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記無線タグ通信装置は、前記アンテナを1つ備える、請求項1に記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記距離測定部は、前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を定期的に測定する、請求項1または2に記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記距離測定部は、第1のタイミングおよび前記第1のタイミングの後の第2のタイミングにおいて前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を測定し、
前記位置予測部は、前記第2のタイミングにおいて測定した距離が前記第1のタイミングにおいて測定した距離よりも大きい場合には、前記第2のタイミングにおいて測定した距離より大きい距離を前記予測距離として算出し、前記第2のタイミングにおいて測定した距離が前記第1のタイミングにおいて測定した距離よりも小さい場合には、前記第2のタイミングにおいて測定した距離より小さい距離を前記予測距離として算出する、請求項1から3のいずれかに記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記無線タグ通信装置は、さらに、前記アンテナを収容するための筐体を備え、
前記アンテナ駆動部は、前記筐体の複数の面のうち、前記無線タグが向けられる面に対して略垂直に前記アンテナを移動させる、請求項1から4のいずれかに記載の無線タグ通信装置。
【請求項6】
前記無線タグ通信装置は、前記筐体と非接触の前記無線タグと通信するために用いられる、請求項1から5のいずれかに記載の無線タグ通信装置。
【請求項7】
識別情報を有する無線タグと通信し、前記無線タグとの間で無線信号を送受信するための1または複数のアンテナを備える無線タグ通信装置における無線タグ通信方法であって、
前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の距離を複数のタイミングで測定するステップと、
測定した各前記距離に基づいて、所定タイミングにおける前記無線タグ通信装置および前記無線タグ間の予測距離を算出するステップと、
算出した前記予測距離に基づいて、各前記アンテナの位置を制御するステップとを含む、無線タグ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−150641(P2012−150641A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8685(P2011−8685)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】