無線ネットワークの保守端末および保守システム
【課題】プラントのような構造の複雑な構造の建物内では、保守員自身の所在,復旧の必要となる無線装置の所在の確認が困難となることがあり、迅速な復旧の妨げとなる。特に目に見えない無線通信に対してどこに障害が発生しているのかを判断する必要がある。
【解決手段】本発明は、無線ネットワークを構成する複数の無線装置と、無線装置と通信する手段を有し、無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する保守端末を有する通信ネットワーク保守システムであって、表示画面に、保守端末の場所を表す図面と、無線装置の位置を図面上に表示させ、無線装置の通信状態と、無線装置間の障害発生箇所を重畳して表示する。
【解決手段】本発明は、無線ネットワークを構成する複数の無線装置と、無線装置と通信する手段を有し、無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する保守端末を有する通信ネットワーク保守システムであって、表示画面に、保守端末の場所を表す図面と、無線装置の位置を図面上に表示させ、無線装置の通信状態と、無線装置間の障害発生箇所を重畳して表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークの保守・管理に係り、特に、プラント等の産業施設の監視・制御に用いる高信頼な無線ネットワークの保守端末および保守システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線局間で通信を行う技術の1つに、無線局間の中継局として複数の無線局を設置し、マルチホップによりデータの授受を行うマルチホップ無線ネットワーク通信技術がある。近年、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信機器の低コスト化やBluetooth,ZigBeeなどのセンサネット技術の標準化が進み、産業分野における無線技術応用の期待が高まり、応用事例が増えつつある。
【0003】
マルチホップ無線ネットワーク通信技術は、産業分野の製造業、例えば電力,交通などの社会インフラ事業やFA(Factory Automation),PA(Process Automation)などの製造業の監視・制御ネットワークに適用することにより、監視・制御用ケーブルを削減できると期待されている。無線ネットワーク通信技術は、有線ケーブルを敷設する必要がなく、ケーブルの敷設コストや定期点検時のメンテナンスコストの低減を計ることができる。また、無線技術を活用することで、事業者は機器の追加や機器の構成の変更といった運用の変化に対して、より柔軟に対応することが可能となる。
【0004】
リアルタイム通信では、高い信頼性が要求され、無線ネットワークに障害が発生した場合でも迅速な対応が要求される。例えば、マルチホップ通信で複数系統の経路を確保することで要求を満たすようなネットワークを構築した場合でも、片方経路に障害が起きた時点で、一経路の信頼性に落ちてしまうため、障害が起きた経路の迅速な復旧が必要となる。
【0005】
〔特許文献1〕には、特定施設の敷地内での入場者をガイドすることを目的とし、携帯情報端末と無線通信可能なサーバを、特定地域内に複数配置された既知のマーカと、画像を撮影するための画像撮像手段と、画像撮像手段で撮影した画像内に存在する既知のマーカを検出するマーカ検出手段と、マーカ検出手段によって検出された既知のマーカを特定し、その特定された既知のマーカと画像撮像手段との間の位置姿勢関係を演算する位置姿勢関係演算手段と、位置姿勢関係演算手段によって特定された既知のマーカに関連付けられた所定の情報を入手する関連情報入手手段と、関連情報入手手段で入手された所定の情報を、位置姿勢関係演算手段で演算された位置姿勢関係に基づいて加工処理する情報加工処理手段と、画像撮像手段で撮影した画像に、情報加工処理手段によって加工処理された情報を重畳して表示する表示手段で構成し、撮影画像上に、位置に関連付けられた情報を重ね合わせて表示する携帯情報端末が開示されている。
【0006】
〔非特許文献1〕では、アレイアンテナによって無線LANの電波の到来方向を検出して、カメラ画像に合成して表示することで、視覚的に電波発射源を特定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−48674号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「無線LAN用電波発射源可視化装置」東芝レビュー vol.64 No.10 pp.58-61 野沢達哉,下牧裕和2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、プラントのような複雑な構造物が設置される建物内では、上記従来技術では、保守員自身の所在位置、及び復旧に必要となる無線装置の所在位置の確認が困難な場合が多く、迅速な復旧の妨げとなる。特に、目に見えない無線通信に対してどこに障害が発生しているのかを判断する必要がある。
【0010】
〔特許文献1〕に記載の携帯情報端末では、無線ネットワークの状態を診断することはできない。また、〔非特許文献1〕に記載の電波発射源特定装置と組み合わせることで、電波の発射状態を視認することが可能であるが、測定装置に到来する電波状態のみを測定しているため、無線ネットワーク診断に必要な、無線装置間のリンクに関する電波状態は得ることができないという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、無線ネットワークを構成する無線装置間の通信状態を取得し、通信障害の発生箇所を判断して、復旧方法を保守端末の表示画面上に表示し、保守員が迅速に通信障害を解消できる無線ネットワークの保守端末および保守システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、無線ネットワークを構成する複数の無線装置と、無線装置と通信する手段を有し、無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する保守端末を有する通信ネットワーク保守システムであって、保守端末の場所を表す図面と、無線装置の位置を図面上に表示させ、無線装置の通信状態と、無線装置間の障害発生箇所を重畳して表示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保守員が、プラント等の複雑な構造の建屋内で必要以上に動き回ることなく、無線ネットワークの接続状態を判断、障害箇所を把握し、迅速に通信障害を解消する手掛かりを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1である無線ネットワーク保守システムの構成図。
【図2】本実施例の建屋内図面の一例を示す平面図。
【図3】本実施例の無線装置の配置情報の構成例を示す図。
【図4】本実施例の接続情報テーブルの構成例を示す図。
【図5】本実施例の制御部による通信情報を取得するための処理フローを示す図。
【図6】本実施例の建屋内の3次元図形情報の一例を示す斜視図。
【図7】本実施例の通信状態情報を保持する通信状態テーブルの例を示す図。
【図8】本実施例の障害判定処理フローを示す図。
【図9】本実施例の障害発生テーブルの一例を示す図。
【図10】本実施例の表示部の処理フローを示す図。
【図11】本実施例の表示部による表示の一例を示す図。
【図12】本発明の実施例2である相違点入力手段の一例を示す図。
【図13】本実施例の保守端末の一例を示す図。
【図14】本実施例の表示部による表示の一例を示す図。
【図15】本発明の実施例3である保守端末の一例を示す図。
【図16】本発明の実施例4であるホスト装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の各実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1を図1から図11により説明する。図1は、本実施例の無線ネットワーク保守システムの構成例図である。
【0017】
保守端末1として、携帯情報端末型の装置や、ノートPCと無線装置を組み合わせたものが適用される。
【0018】
保守端末1には、制御部2,記憶部3,無線通信手段5,障害判定部6,表示部7,位置特定部8が設けられており、制御部2と記憶部3,無線通信手段5,障害判定部6は、パラレルもしくはシリアル接続のバス4により互いに接続され、無線通信手段5はアンテナ9に接続されている。制御部2と記憶部3はバス4を介さず直接接続されていても良い。バス4として、例えばPCI,PCIExpress,USB,Ethernet(登録商標)などが用いられる。記憶部3には、例えばフラッシュメモリやDRAMなどが用いられる。
【0019】
制御部2は、記憶部3からプログラムを読み出して制御を実行し、無線通信手段5や障害判定部6へデータを相互に転送する機能を有する。記憶部3は、無線通信手段5が送受信するデータや制御部2が処理するデータを保存する。
【0020】
無線ネットワーク11は、複数の無線装置10によって構成される。無線装置10は、保守端末1及び他の無線装置10と互いに無線通信が可能な無線通信手段5とアンテナ9を有する。
【0021】
図1に示す例では、3つの無線装置10a,10b,10cによって無線ネットワーク11を構成している。予め指定された無線装置10間を互いに接続することで無線ネットワークを構成できるようになっている。各無線装置10間は、無線通信手段5によって決定される通信方式や通信プロトコルにより接続され、データ通信を行う。無線通信手段5は、アンテナ9を介して無線電波を送受信し、この無線信号は、例えば、IEEE802.11,IEEE802.15.1,IEEE802.15.4で規定されたMACや物理層を有する。
【0022】
無線ネットワーク11は、例えば、図1に示す無線装置10aと無線装置10b、無線装置10bと無線装置10cが互いに常時接続されることで、無線装置10aと無線装置10b間のデータの送受信や、無線装置10bを経由して無線装置10aと無線装置10c間のデータ送受信を行うマルチホップ通信が可能となっている。
【0023】
また、無線装置10bのように、複数の無線通信手段5a,5bと、無線通信手段5a,5bにそれぞれに接続する複数のアンテナ9a,9bを具備し、無線通信手段毎に接続チャンネルを切り替えて接続することも可能である。
【0024】
保守端末1の記憶部3は、図2に示す無線ネットワーク11の配置に関するプラント等の建屋の図面情報20、図3に示す各無線装置の配置情報30、図4に示す各無線装置間の接続情報テーブル40を記憶している。
【0025】
図2は、図面情報20の例である。図面情報20は、建屋内に定義される3次元座標系(以下、建屋座標系と呼ぶ)で記述される2次元画像情報、又は3次元図形情報を含んで構成される。建屋座標系は、任意に設定可能であり、例えば、建屋内に座標系の原点となる1点を決定し、原点から建屋の壁に沿って水平にx軸とし、x軸に直交する壁面に沿って水平にy軸とする。さらに原点から垂直方向にz軸を設定することで、建屋内の任意の点をx座標,y座標,z座標の3つの数値(x,y,z)で表すことができる。
【0026】
図2に2次元画像情報例として、それぞれ建屋の1Fおよび2Fの2次元画像情報21,22を示す。1Fの2次元画像情報21は、建屋座標系内の原点を含むxy平面上に建屋の壁面をx軸,y軸に沿って配置したもので、2Fの2次元画像情報22は、同様に、(x,y,z)=(0,0,3)を含むxy平面上に配置したものである。
【0027】
図6に3次元図形情報例として、3次元図形情報61を示すが、3次元図形情報の場合は、各壁面や機器の高さ情報も含まれる。これらの図形情報にはCAD等によって作成した情報等が利用可能である。
【0028】
図2の符号23は、建屋内のどの位置に無線装置が配置されているかを示す情報であり、無線装置の配置情報30と共通する。
【0029】
図3に無線装置の配置情報30の構成例を示す。配置情報ID31は、各無線装置の配置位置を識別するための識別子を表す。但し、無線装置が複数のアンテナを有する場合は、アンテナ毎に一つの配置情報IDを割り当てるものとする。無線装置ID32は、無線装置を識別するIDを示す。このIDとしてネットワークアドレスや、機器の製造番号等を利用することが可能である。
【0030】
設置場所33は、建屋座標系内におけるアンテナの配置位置を示す座標である。図2の符号23で示す位置に対応する座標が記載されている。アンテナ種別34は、アンテナの種類を表す。アンテナ種別毎のアンテナ利得や、指向特性等の情報テーブルを別途持つことで、無線の送受信特性を把握することができる。出力35は、無線電力の送信出力を示す。例えば、10dBm(10mW)等の数値により定義する。アンテナ方向36は、アンテナの設置場所33において、アンテナがどのような姿勢で配置されているかを示す数値である。例えば、基準の姿勢からの2つの傾き角度θ,φを指定している。
【0031】
図4は、接続情報テーブル40の一例である。接続情報テーブル40は、既定の接続を表し、接続情報テーブル40に記載された通信状態であれば、無線ネットワークが健全であることを示す。接続情報テーブル40は、このように無線ネットワーク11に関する全ての接続に関する情報を表すテーブルである。
【0032】
各テーブルのエントリは、次のような項目を含む。接続ID41は、接続を識別するIDである。異なる接続には異なるIDを付与する。接続は、接続元42と接続先43に指定する2つの配置情報IDによって決まる。
【0033】
障害判定条件44は、接続チャンネル44a,平均電力44b,許容マージン44c,許容時間44dのような、無線通信の状態を表す一つ以上の項目で構成される。無線ネットワークの要件によって、項目を省略したり、通信のビットレート,パケットエラーレート,ビットエラーレート,累積再送回数,CN値,SN値などの項目を含んでもよい。
【0034】
接続CH44aは、接続に使用する無線周波数の接続チャンネル番号を示す。使用する無線規格によって具体的な周波数と帯域幅などが異なる。
【0035】
平均電力44bは、接続間で送受信される無線信号における受信電力値の期待値を示す。この値は、接続のアンテナ間の距離や、周囲の構造物の形状,材質等の条件によって異なるが、初期の設置状態における測定値や、Maxwell方程式の数値計算手法である有限要素法や、モーメント法,FDTD法などの計算手法や、Maxwell方程式の近似解法であるレイトレーシング法などの計算手法、あるいは、ITU−RのP.1238やP.1411等に示される統計近似手法等により算出した値が利用可能である。
【0036】
許容マージン44cは、平均電力からの変動幅の下限値を示す。建屋内や、建屋付近の人や、物体の動き等によって接続間の受信電力も変動が発生する。接続間の受信感度によって許容できる受信電力の下限値が規定され、平均電力から許容マージン以上の電力低下が発生すると正常な通信ができなくなる。
【0037】
許容時間44dは、受信感度以下の状態の発生が許容できる時間を示し、通信周期や、最大遅延時間等の無線ネットワークの要件によって定められる。
【0038】
位置特定部8は、保守端末1の建屋内における位置を特定する。例えば、画像撮影手段により周辺画像を撮影し、既知のマーカを認識して保守端末1の位置および姿勢を検出する方法が利用可能である。この他、位置特定部8は、建屋図面の特定の位置を入力するユーザーインターフェースを有し、保守端末1を保守員が操作し、直接建屋内の位置を指定するとしてもよい。
【0039】
このようにすることにより、保守端末1は、建屋内の位置を認識し、表示部7に保守端末1の周辺の図面を表示することが可能となる。
【0040】
保守端末1の制御部2は、各無線装置10と無線通信手段5およびアンテナ9を介して接続し、各無線装置10とデータ通信を行い、各無線装置10の通信状態を取得する。
【0041】
図5に、制御部2における通信情報を取得するための処理フローを示す。
【0042】
ステップ500で、定期的なトリガー又は保守員の操作により処理を開始する。ステップ501で、チャンネルサーチ処理を行う。この処理では、無線通信手段5を介して無線周波数の各チャンネルのサーチを行い、受信可能なチャンネルを抽出する。
【0043】
ステップ502では、ステップ501で抽出した各チャンネルについて、ステップ503からステップ507の処理を繰り返し行う。
【0044】
ステップ503で、当該チャンネルでの接続要求を送信し、当該チャンネルを利用している無線装置10への接続を試み、接続できたか否かを判断する処理を行う。接続不可であった場合は、ステップ502の処理にもどり、次のチャンネルの処理とする。接続可能となった場合は、ステップ504の処理を行う。
【0045】
ステップ504は、無線通信手段5を介して接続した無線装置に対して、通信状態情報を要求する処理を行う。ここで通信状態情報は、接続情報テーブル40のいずれかの接続ID41と対応づけられる情報であり、一つの接続ID41に対して、接続元42および接続先43の両方の無線装置から得られる情報である。通信状態情報は、接続情報テーブル40に記憶される障害判定条件44に対応した各無線装置の実測値を含む。
【0046】
図7に各通信状態情報を保持する通信状態情報テーブル70の例を示す。通信情報ID701は、各通信状態情報の識別子を示す値である。
【0047】
接続テーブル識別ID702は、当該通信状態情報に対応づけられる接続情報テーブル40のエントリに対する識別子を示す値である。
【0048】
要求無線装置ID703は、無線装置のIDを表し、接続情報テーブル40のエントリに示される接続元もしくは接続先の無線装置IDである。配置情報ID704は、当該無線装置のアンテナの配置情報の識別IDを示す。接続CH705は、保守端末1が通信状態情報を取得する際に使用したCH番号を示す。
【0049】
受信電力706は、当該無線装置から得られた、接続情報テーブル40で示される接続先からの受信電力の平均値である。ここで、受信電力は、当該無線装置が接続元なら接続先からの受信電力のことであり、当該無線装置が接続先であれば、接続元からの受信電力のことである。
【0050】
標準偏差707は、当該無線装置における受信電力の標準偏差を示す。期間708は、受信電力706および標準偏差707をサンプリングした期間を表す。端末受信電力710は、保守端末1が当該無線装置から通信状態情報を得るための通信を行う間の受信電力である。
【0051】
受信位置710は、通信中の保守端末1の建屋座標系における受信位置を示す。例えば、図4に示すように、接続ID41が1で、接続元42が無線装置10aであり、接続先43が無線装置10bである場合、接続CH44aは12であるため、保守端末1はチャンネル12で無線装置10aもしくは無線装置10bに対し通信状態情報の要求を行う。
【0052】
また、無線装置10aが無線装置10bから受信した受信電力の実測値を通信状態情報に含む。実測値は、一定期間の平均値および最大値,最小値,分散値などの統計値として取得してもよい。無線ネットワークの通信速度と記憶部3の容量に余裕がある場合は、一定期間の取得値のデータ列を用いてもよい。
【0053】
図5のステップ505で、要求した接続状態が得られたか否かを確認する。この処理は、例えば一定時間内に応答が得られたか否かによって成否を判定する。通信状態が得られれば、ステップ506の処理を行い、そうでなければ、次のチャンネルの処理に移る。
【0054】
ステップ506で、得られた通信状態を記憶部3に保存する処理を行う。制御部2は、得られた通信状態情報テーブル70を記憶部3に保存する。
【0055】
以上のようにして、保守端末1は、当該受信位置における通信状態情報テーブル70を取得する。
【0056】
図8は、障害判定部6における障害判定処理フローを示す図である。障害判定処理は、通信状態情報テーブル70が得られた時点で実行する処理である。
【0057】
ステップ800で、処理を開始し、ステップ801で、通信状態情報テーブル70の各エントリについて、ステップ802からステップ807の処理を繰り返して行う。
【0058】
ステップ802で、通信状態情報に含まれる接続テーブル識別ID702から、接続情報テーブル40に含まれる接続情報を参照する処理を行う。ステップ803で、接続CH75と、接続CH44aが不一致の場合は、接続CH異常障害と判定する。
【0059】
ステップ804では、P=受信電力706とσ=標準偏差707,R=期間708,T=周期709を用いて、Pm=平均電力44bと、Mt=許容マージン44cから得られる下限値を下回る推定時間tを数1を用いて求める。
【0060】
【数1】
【0061】
ここで、erf(x)は、xに対する誤差関数の値を表す。この結果、図7の通信情報IDが1である通信状態の接続では、推定時間tは0.098となり、許容時間44dの値0.05を下回るため、接続ID1の接続は電力変動障害が発生していると判断する。
【0062】
ステップ805で、各判定ステップで障害発生と判定された場合に、各障害内容を障害発生テーブル90にエントリする処理を行う。障害内容に応じて障害発生テーブル90のエントリを作成して登録し、記憶部3に保存する。
【0063】
図9に障害発生テーブル90の一例を示す。
【0064】
障害情報ID91は、障害発生テーブル90における識別IDを示す。接続ID92は、接続情報テーブル40における、アンテナ間の接続を識別するIDを示す。配置情報ID93は、当該障害情報において、通信状態情報を取得したアンテナの配置情報30における識別IDを示す。障害種別94は、発生した障害の種別を示す。接続CHの異常か、受信電力変動のほか、接続情報テーブル40の障害判定条件および通信状態情報テーブル70の両者に項目を追加して、同様の処理を行う。SN比低下,CN比低下,ビットエラーレート低下,再送回数増加,保守端末位置での測定値低下などが、障害判定結果として記述可能である。通信状態情報ID95は、判定結果を与える通信情報テーブルにおける識別IDを示す。
【0065】
ステップ806で、各障害判定の結果、通信障害なしと判定された場合に、当該接続情報が障害発生テーブルに登録されているか否かを判定する。登録されていればステップ807を実行し、そうでない場合は、次の通信状態情報テーブルのエントリ処理を行う。
【0066】
通信障害なしと判定された場合は、ステップ807で、障害発生テーブルから当該エントリを削除する。
【0067】
図10に表示部7の処理フローを示す。
【0068】
ステップ1001で、表示部7は、記憶部3に記憶される保守端末の位置情報を取得する。ステップ1002で、取得した保守端末の位置情報にもっとも合致する図面情報を取得し、保守端末上に表示する。ステップ1003で、図面情報上に重ねて、保守端末の位置を表示する。
【0069】
ステップ1004で、通信状態情報テーブル70の各エントリに対して処理を行う。
【0070】
ステップ1005で、通信状態情報の配置情報IDから、配置情報テーブル30のアンテナの設置場所33を取得し、当該設置場所を、図面情報上に重ねて表示する。この時、配置情報テーブル30に記載のアンテナ種別やアンテナ方向,無線装置IDなども合わせて表示することも可能である。
【0071】
ステップ1006で、障害発生テーブル90の各エントリに対して処理を行う。
【0072】
ステップ1007で、配置情報IDから配置情報テーブル30のアンテナの設置場所を取得し、図面上にアンテナの設置場所を表示する。この際、ステップ1005におけるアンテナ位置表示とは、表示色を変えるなど、表示方法を変えることで、障害発生個所であることを強調表示する。
【0073】
ステップ1008で、接続IDから接続情報テーブル40の接続元位置および接続先の配置情報及び各アンテナの設置場所を取得し、接続両端をなすアンテナ位置を取得して両端を結ぶラインを図面上に表示する処理を行う。
【0074】
ステップ1009で、障害種別を図面上に表示する処理を行う。障害種別が接続の両端に関連する場合は、接続を結ぶラインに対して障害種別を表示する。一方で、障害種別が、一方の端点にのみ関連する場合は、当該アンテナ位置に対して障害種別を表示する。
【0075】
図11は、表示部による表示の一例である。表示部には、液晶画面や、有機EL画面など、携帯端末向けの表示装置が利用可能である。
【0076】
図11に示す例では、保守端末の表示画面1100に、保守端末の存在するフロアの図面情報1101,フロア内の保守端末位置を示す情報1102,アンテナ位置を示す情報1103,アンテナ間の接続情報1104,障害種別1105が表示されている。アンテナ間の接続情報1104は、接続元と接続先アンテナ位置を図面上に示したものである。画面上に示された障害種別1105は、障害の発生した箇所を合わせて図面上に示している。図11に示す例では、障害種別1106,障害種別1107も障害種別1105と同様に、画面上に示し、発生した箇所を合わせて図面上に示している。
【0077】
以上のように、実施例1によれば、無線ネットワークのいずれかの接続状態に通信障害が発生した場合に、保守端末1において障害発生場所と障害の発生種別を把握し、保守員に対し提示することが可能となる。
【実施例2】
【0078】
本発明の実施例2を図12から図14により説明する。図12は、本実施例における保守端末の表示画面例を示す。
【0079】
実施例2は実施例1と同様に構成されているが、保守端末の表示画面1100が異なっている。実施例2では、図12に示すように、相違点1201,ポインタ1202,詳細入力手段1203が、図13に示すように、復旧配置生成部1300が具備されている。
【0080】
相違点1201は、保守端末1が記憶部3に記憶している図面には存在しない、もしくは図面には存在していても、現実の建屋内には存在していない部分を示したものである。表示画面上1101のポインタ1202は、保守端末1の図示しない入力装置により、保守員が表示画面内を自由に移動させることができる図形である。入力装置としては、マウス,十字方向キーや、タッチパッド,タッチポイントなどのマンマシン入力インターフェースが用いられる。
【0081】
保守員は、ポインタ1202を利用して、図面と現実の建屋内の様子を比較し、相違点があれば、ポインタで当該部分を指示する。現実に存在しているものが図面内になければ追加する。
【0082】
追加する場合は、図12に示すような、詳細入力手段1203を用いて、追加する部分の大きさ,回転角度や、材質を指定する。ここで、材質とは、無線特性に係るものであり、誘電率や、透磁率や、導電率等である。予めいくつかの値のセットにコンクリートや、スチールなど名前を付けてライブラリ化し、その中から最も近いものを選択してもよい。
【0083】
図面内に記載されているものが現実に存在しなければ、ポインタ1202を操作して、図面の中で当該部分を選択し、削除して図面を更新する。
【0084】
図13に本実施例の保守端末1の一例を示す。実施例2の保守端末は、実施例1の保守端末と比較して、復旧配置生成部1300を有している。
【0085】
復旧配置生成部1300は、図面と現実のものとの相違点が与えられると、当初の図面を更新し、更新された図面の情報に従い、障害の発生している配置情報テーブル20のエントリをパラメタとして変更したときの新しい接続情報テーブル40の障害判定条件を算出する。すなわち、パラメタの値を複数変更してアンテナ間の電波の伝搬状況を算出し、許容条件を満たすパラメタを探索する。電波の伝搬状況は、前述の有限要素法,モーメント法,FDTD法,レイトレーシング法等を用いることができる。
【0086】
このようにして得られた新しい配置情報を、保守端末の表示画面に表示した例を図14に示す。無線装置1103の新しい配置1401が示され、保守員にどの無線装置の配置を変更すべきかを示すポインタ1402が示されている。
【0087】
以上のように、実施例2によれば、無線ネットワークのいずれかの接続状態に通信障害が発生した場合に、図面の現実との相違点を更新するとともに、これに伴う障害発生に対する復旧対策を、保守端末の表示画面によって、保守員に対し提示することが可能となる。
【実施例3】
【0088】
本発明の実施例3を図15により説明する。図15は、本実施例における保守端末の構成例を示す図である。
【0089】
実施例3は、実施例1と同様に構成されているが、実施例3では、撮影部1500と、差分判定部1501が具備されている。
【0090】
撮影部1500は、撮像素子とレンズ,シャッター,絞りなどから構成され、保守端末の周辺の映像を撮影する。撮影したデータは記憶部3に保存される。
【0091】
差分判定部1501は、撮影した映像と、図面情報を比較し、相違点を認識する。映像と図面情報を比較するためには、既知のマーカが映像に映るように撮影を行い、撮影部側の位置と姿勢を計測することで、図面の座標系との変換マトリクスを得ることが可能である。
【0092】
差分判定部1501は、撮影画像から形状情報を画像認識によって抽出することで、図面との比較を行うことが可能である。差分判定部1501の代わりに、図12に示すような保守員による入力手段により、保守員が画像と図面との差分情報を記述するようにしてもよい。なお、差分情報に対して、材料特性を与えるためには、保守員による入力手段が必要である。
【0093】
以上のように、実施例3によれば、撮影画像を用いることにより、差分情報の取得がより確実で簡易にとなる効果がある。
【実施例4】
【0094】
本発明の実施例4を図16により説明する。実施例4は、実施例1と同様に構成されているが、実施例4では、実施例1の構成に加え、図16に示すホスト装置1600を設置している。
【0095】
ホスト装置1600は、保守員が持ち運ぶ可搬型の端末よりも大型で、計算速度,記憶容量に余裕がある装置構成とすることができる。このため、実施例1,実施例2,実施例3で説明した保守端末1における機能を、ホスト装置1600と分担することが可能である。
【0096】
以上により、実施例4によれば、保守端末に必要なコストを削減することが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1 保守端末
2 制御部
3 記憶部
4 バス
5 無線通信手段
6 障害判定部
7 表示部
8 位置特定部
9 アンテナ
10,10a,10b,10c 無線装置
11 無線ネットワーク
20 図面情報
30 配置情報
40 接続情報テーブル
70 通信状態情報テーブル
90 障害発生テーブル
1100 表示画面
1300 復旧配置生成部
1500 撮影部
1501 差分判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークの保守・管理に係り、特に、プラント等の産業施設の監視・制御に用いる高信頼な無線ネットワークの保守端末および保守システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線局間で通信を行う技術の1つに、無線局間の中継局として複数の無線局を設置し、マルチホップによりデータの授受を行うマルチホップ無線ネットワーク通信技術がある。近年、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信機器の低コスト化やBluetooth,ZigBeeなどのセンサネット技術の標準化が進み、産業分野における無線技術応用の期待が高まり、応用事例が増えつつある。
【0003】
マルチホップ無線ネットワーク通信技術は、産業分野の製造業、例えば電力,交通などの社会インフラ事業やFA(Factory Automation),PA(Process Automation)などの製造業の監視・制御ネットワークに適用することにより、監視・制御用ケーブルを削減できると期待されている。無線ネットワーク通信技術は、有線ケーブルを敷設する必要がなく、ケーブルの敷設コストや定期点検時のメンテナンスコストの低減を計ることができる。また、無線技術を活用することで、事業者は機器の追加や機器の構成の変更といった運用の変化に対して、より柔軟に対応することが可能となる。
【0004】
リアルタイム通信では、高い信頼性が要求され、無線ネットワークに障害が発生した場合でも迅速な対応が要求される。例えば、マルチホップ通信で複数系統の経路を確保することで要求を満たすようなネットワークを構築した場合でも、片方経路に障害が起きた時点で、一経路の信頼性に落ちてしまうため、障害が起きた経路の迅速な復旧が必要となる。
【0005】
〔特許文献1〕には、特定施設の敷地内での入場者をガイドすることを目的とし、携帯情報端末と無線通信可能なサーバを、特定地域内に複数配置された既知のマーカと、画像を撮影するための画像撮像手段と、画像撮像手段で撮影した画像内に存在する既知のマーカを検出するマーカ検出手段と、マーカ検出手段によって検出された既知のマーカを特定し、その特定された既知のマーカと画像撮像手段との間の位置姿勢関係を演算する位置姿勢関係演算手段と、位置姿勢関係演算手段によって特定された既知のマーカに関連付けられた所定の情報を入手する関連情報入手手段と、関連情報入手手段で入手された所定の情報を、位置姿勢関係演算手段で演算された位置姿勢関係に基づいて加工処理する情報加工処理手段と、画像撮像手段で撮影した画像に、情報加工処理手段によって加工処理された情報を重畳して表示する表示手段で構成し、撮影画像上に、位置に関連付けられた情報を重ね合わせて表示する携帯情報端末が開示されている。
【0006】
〔非特許文献1〕では、アレイアンテナによって無線LANの電波の到来方向を検出して、カメラ画像に合成して表示することで、視覚的に電波発射源を特定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−48674号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「無線LAN用電波発射源可視化装置」東芝レビュー vol.64 No.10 pp.58-61 野沢達哉,下牧裕和2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、プラントのような複雑な構造物が設置される建物内では、上記従来技術では、保守員自身の所在位置、及び復旧に必要となる無線装置の所在位置の確認が困難な場合が多く、迅速な復旧の妨げとなる。特に、目に見えない無線通信に対してどこに障害が発生しているのかを判断する必要がある。
【0010】
〔特許文献1〕に記載の携帯情報端末では、無線ネットワークの状態を診断することはできない。また、〔非特許文献1〕に記載の電波発射源特定装置と組み合わせることで、電波の発射状態を視認することが可能であるが、測定装置に到来する電波状態のみを測定しているため、無線ネットワーク診断に必要な、無線装置間のリンクに関する電波状態は得ることができないという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、無線ネットワークを構成する無線装置間の通信状態を取得し、通信障害の発生箇所を判断して、復旧方法を保守端末の表示画面上に表示し、保守員が迅速に通信障害を解消できる無線ネットワークの保守端末および保守システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、無線ネットワークを構成する複数の無線装置と、無線装置と通信する手段を有し、無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する保守端末を有する通信ネットワーク保守システムであって、保守端末の場所を表す図面と、無線装置の位置を図面上に表示させ、無線装置の通信状態と、無線装置間の障害発生箇所を重畳して表示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保守員が、プラント等の複雑な構造の建屋内で必要以上に動き回ることなく、無線ネットワークの接続状態を判断、障害箇所を把握し、迅速に通信障害を解消する手掛かりを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1である無線ネットワーク保守システムの構成図。
【図2】本実施例の建屋内図面の一例を示す平面図。
【図3】本実施例の無線装置の配置情報の構成例を示す図。
【図4】本実施例の接続情報テーブルの構成例を示す図。
【図5】本実施例の制御部による通信情報を取得するための処理フローを示す図。
【図6】本実施例の建屋内の3次元図形情報の一例を示す斜視図。
【図7】本実施例の通信状態情報を保持する通信状態テーブルの例を示す図。
【図8】本実施例の障害判定処理フローを示す図。
【図9】本実施例の障害発生テーブルの一例を示す図。
【図10】本実施例の表示部の処理フローを示す図。
【図11】本実施例の表示部による表示の一例を示す図。
【図12】本発明の実施例2である相違点入力手段の一例を示す図。
【図13】本実施例の保守端末の一例を示す図。
【図14】本実施例の表示部による表示の一例を示す図。
【図15】本発明の実施例3である保守端末の一例を示す図。
【図16】本発明の実施例4であるホスト装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の各実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1を図1から図11により説明する。図1は、本実施例の無線ネットワーク保守システムの構成例図である。
【0017】
保守端末1として、携帯情報端末型の装置や、ノートPCと無線装置を組み合わせたものが適用される。
【0018】
保守端末1には、制御部2,記憶部3,無線通信手段5,障害判定部6,表示部7,位置特定部8が設けられており、制御部2と記憶部3,無線通信手段5,障害判定部6は、パラレルもしくはシリアル接続のバス4により互いに接続され、無線通信手段5はアンテナ9に接続されている。制御部2と記憶部3はバス4を介さず直接接続されていても良い。バス4として、例えばPCI,PCIExpress,USB,Ethernet(登録商標)などが用いられる。記憶部3には、例えばフラッシュメモリやDRAMなどが用いられる。
【0019】
制御部2は、記憶部3からプログラムを読み出して制御を実行し、無線通信手段5や障害判定部6へデータを相互に転送する機能を有する。記憶部3は、無線通信手段5が送受信するデータや制御部2が処理するデータを保存する。
【0020】
無線ネットワーク11は、複数の無線装置10によって構成される。無線装置10は、保守端末1及び他の無線装置10と互いに無線通信が可能な無線通信手段5とアンテナ9を有する。
【0021】
図1に示す例では、3つの無線装置10a,10b,10cによって無線ネットワーク11を構成している。予め指定された無線装置10間を互いに接続することで無線ネットワークを構成できるようになっている。各無線装置10間は、無線通信手段5によって決定される通信方式や通信プロトコルにより接続され、データ通信を行う。無線通信手段5は、アンテナ9を介して無線電波を送受信し、この無線信号は、例えば、IEEE802.11,IEEE802.15.1,IEEE802.15.4で規定されたMACや物理層を有する。
【0022】
無線ネットワーク11は、例えば、図1に示す無線装置10aと無線装置10b、無線装置10bと無線装置10cが互いに常時接続されることで、無線装置10aと無線装置10b間のデータの送受信や、無線装置10bを経由して無線装置10aと無線装置10c間のデータ送受信を行うマルチホップ通信が可能となっている。
【0023】
また、無線装置10bのように、複数の無線通信手段5a,5bと、無線通信手段5a,5bにそれぞれに接続する複数のアンテナ9a,9bを具備し、無線通信手段毎に接続チャンネルを切り替えて接続することも可能である。
【0024】
保守端末1の記憶部3は、図2に示す無線ネットワーク11の配置に関するプラント等の建屋の図面情報20、図3に示す各無線装置の配置情報30、図4に示す各無線装置間の接続情報テーブル40を記憶している。
【0025】
図2は、図面情報20の例である。図面情報20は、建屋内に定義される3次元座標系(以下、建屋座標系と呼ぶ)で記述される2次元画像情報、又は3次元図形情報を含んで構成される。建屋座標系は、任意に設定可能であり、例えば、建屋内に座標系の原点となる1点を決定し、原点から建屋の壁に沿って水平にx軸とし、x軸に直交する壁面に沿って水平にy軸とする。さらに原点から垂直方向にz軸を設定することで、建屋内の任意の点をx座標,y座標,z座標の3つの数値(x,y,z)で表すことができる。
【0026】
図2に2次元画像情報例として、それぞれ建屋の1Fおよび2Fの2次元画像情報21,22を示す。1Fの2次元画像情報21は、建屋座標系内の原点を含むxy平面上に建屋の壁面をx軸,y軸に沿って配置したもので、2Fの2次元画像情報22は、同様に、(x,y,z)=(0,0,3)を含むxy平面上に配置したものである。
【0027】
図6に3次元図形情報例として、3次元図形情報61を示すが、3次元図形情報の場合は、各壁面や機器の高さ情報も含まれる。これらの図形情報にはCAD等によって作成した情報等が利用可能である。
【0028】
図2の符号23は、建屋内のどの位置に無線装置が配置されているかを示す情報であり、無線装置の配置情報30と共通する。
【0029】
図3に無線装置の配置情報30の構成例を示す。配置情報ID31は、各無線装置の配置位置を識別するための識別子を表す。但し、無線装置が複数のアンテナを有する場合は、アンテナ毎に一つの配置情報IDを割り当てるものとする。無線装置ID32は、無線装置を識別するIDを示す。このIDとしてネットワークアドレスや、機器の製造番号等を利用することが可能である。
【0030】
設置場所33は、建屋座標系内におけるアンテナの配置位置を示す座標である。図2の符号23で示す位置に対応する座標が記載されている。アンテナ種別34は、アンテナの種類を表す。アンテナ種別毎のアンテナ利得や、指向特性等の情報テーブルを別途持つことで、無線の送受信特性を把握することができる。出力35は、無線電力の送信出力を示す。例えば、10dBm(10mW)等の数値により定義する。アンテナ方向36は、アンテナの設置場所33において、アンテナがどのような姿勢で配置されているかを示す数値である。例えば、基準の姿勢からの2つの傾き角度θ,φを指定している。
【0031】
図4は、接続情報テーブル40の一例である。接続情報テーブル40は、既定の接続を表し、接続情報テーブル40に記載された通信状態であれば、無線ネットワークが健全であることを示す。接続情報テーブル40は、このように無線ネットワーク11に関する全ての接続に関する情報を表すテーブルである。
【0032】
各テーブルのエントリは、次のような項目を含む。接続ID41は、接続を識別するIDである。異なる接続には異なるIDを付与する。接続は、接続元42と接続先43に指定する2つの配置情報IDによって決まる。
【0033】
障害判定条件44は、接続チャンネル44a,平均電力44b,許容マージン44c,許容時間44dのような、無線通信の状態を表す一つ以上の項目で構成される。無線ネットワークの要件によって、項目を省略したり、通信のビットレート,パケットエラーレート,ビットエラーレート,累積再送回数,CN値,SN値などの項目を含んでもよい。
【0034】
接続CH44aは、接続に使用する無線周波数の接続チャンネル番号を示す。使用する無線規格によって具体的な周波数と帯域幅などが異なる。
【0035】
平均電力44bは、接続間で送受信される無線信号における受信電力値の期待値を示す。この値は、接続のアンテナ間の距離や、周囲の構造物の形状,材質等の条件によって異なるが、初期の設置状態における測定値や、Maxwell方程式の数値計算手法である有限要素法や、モーメント法,FDTD法などの計算手法や、Maxwell方程式の近似解法であるレイトレーシング法などの計算手法、あるいは、ITU−RのP.1238やP.1411等に示される統計近似手法等により算出した値が利用可能である。
【0036】
許容マージン44cは、平均電力からの変動幅の下限値を示す。建屋内や、建屋付近の人や、物体の動き等によって接続間の受信電力も変動が発生する。接続間の受信感度によって許容できる受信電力の下限値が規定され、平均電力から許容マージン以上の電力低下が発生すると正常な通信ができなくなる。
【0037】
許容時間44dは、受信感度以下の状態の発生が許容できる時間を示し、通信周期や、最大遅延時間等の無線ネットワークの要件によって定められる。
【0038】
位置特定部8は、保守端末1の建屋内における位置を特定する。例えば、画像撮影手段により周辺画像を撮影し、既知のマーカを認識して保守端末1の位置および姿勢を検出する方法が利用可能である。この他、位置特定部8は、建屋図面の特定の位置を入力するユーザーインターフェースを有し、保守端末1を保守員が操作し、直接建屋内の位置を指定するとしてもよい。
【0039】
このようにすることにより、保守端末1は、建屋内の位置を認識し、表示部7に保守端末1の周辺の図面を表示することが可能となる。
【0040】
保守端末1の制御部2は、各無線装置10と無線通信手段5およびアンテナ9を介して接続し、各無線装置10とデータ通信を行い、各無線装置10の通信状態を取得する。
【0041】
図5に、制御部2における通信情報を取得するための処理フローを示す。
【0042】
ステップ500で、定期的なトリガー又は保守員の操作により処理を開始する。ステップ501で、チャンネルサーチ処理を行う。この処理では、無線通信手段5を介して無線周波数の各チャンネルのサーチを行い、受信可能なチャンネルを抽出する。
【0043】
ステップ502では、ステップ501で抽出した各チャンネルについて、ステップ503からステップ507の処理を繰り返し行う。
【0044】
ステップ503で、当該チャンネルでの接続要求を送信し、当該チャンネルを利用している無線装置10への接続を試み、接続できたか否かを判断する処理を行う。接続不可であった場合は、ステップ502の処理にもどり、次のチャンネルの処理とする。接続可能となった場合は、ステップ504の処理を行う。
【0045】
ステップ504は、無線通信手段5を介して接続した無線装置に対して、通信状態情報を要求する処理を行う。ここで通信状態情報は、接続情報テーブル40のいずれかの接続ID41と対応づけられる情報であり、一つの接続ID41に対して、接続元42および接続先43の両方の無線装置から得られる情報である。通信状態情報は、接続情報テーブル40に記憶される障害判定条件44に対応した各無線装置の実測値を含む。
【0046】
図7に各通信状態情報を保持する通信状態情報テーブル70の例を示す。通信情報ID701は、各通信状態情報の識別子を示す値である。
【0047】
接続テーブル識別ID702は、当該通信状態情報に対応づけられる接続情報テーブル40のエントリに対する識別子を示す値である。
【0048】
要求無線装置ID703は、無線装置のIDを表し、接続情報テーブル40のエントリに示される接続元もしくは接続先の無線装置IDである。配置情報ID704は、当該無線装置のアンテナの配置情報の識別IDを示す。接続CH705は、保守端末1が通信状態情報を取得する際に使用したCH番号を示す。
【0049】
受信電力706は、当該無線装置から得られた、接続情報テーブル40で示される接続先からの受信電力の平均値である。ここで、受信電力は、当該無線装置が接続元なら接続先からの受信電力のことであり、当該無線装置が接続先であれば、接続元からの受信電力のことである。
【0050】
標準偏差707は、当該無線装置における受信電力の標準偏差を示す。期間708は、受信電力706および標準偏差707をサンプリングした期間を表す。端末受信電力710は、保守端末1が当該無線装置から通信状態情報を得るための通信を行う間の受信電力である。
【0051】
受信位置710は、通信中の保守端末1の建屋座標系における受信位置を示す。例えば、図4に示すように、接続ID41が1で、接続元42が無線装置10aであり、接続先43が無線装置10bである場合、接続CH44aは12であるため、保守端末1はチャンネル12で無線装置10aもしくは無線装置10bに対し通信状態情報の要求を行う。
【0052】
また、無線装置10aが無線装置10bから受信した受信電力の実測値を通信状態情報に含む。実測値は、一定期間の平均値および最大値,最小値,分散値などの統計値として取得してもよい。無線ネットワークの通信速度と記憶部3の容量に余裕がある場合は、一定期間の取得値のデータ列を用いてもよい。
【0053】
図5のステップ505で、要求した接続状態が得られたか否かを確認する。この処理は、例えば一定時間内に応答が得られたか否かによって成否を判定する。通信状態が得られれば、ステップ506の処理を行い、そうでなければ、次のチャンネルの処理に移る。
【0054】
ステップ506で、得られた通信状態を記憶部3に保存する処理を行う。制御部2は、得られた通信状態情報テーブル70を記憶部3に保存する。
【0055】
以上のようにして、保守端末1は、当該受信位置における通信状態情報テーブル70を取得する。
【0056】
図8は、障害判定部6における障害判定処理フローを示す図である。障害判定処理は、通信状態情報テーブル70が得られた時点で実行する処理である。
【0057】
ステップ800で、処理を開始し、ステップ801で、通信状態情報テーブル70の各エントリについて、ステップ802からステップ807の処理を繰り返して行う。
【0058】
ステップ802で、通信状態情報に含まれる接続テーブル識別ID702から、接続情報テーブル40に含まれる接続情報を参照する処理を行う。ステップ803で、接続CH75と、接続CH44aが不一致の場合は、接続CH異常障害と判定する。
【0059】
ステップ804では、P=受信電力706とσ=標準偏差707,R=期間708,T=周期709を用いて、Pm=平均電力44bと、Mt=許容マージン44cから得られる下限値を下回る推定時間tを数1を用いて求める。
【0060】
【数1】
【0061】
ここで、erf(x)は、xに対する誤差関数の値を表す。この結果、図7の通信情報IDが1である通信状態の接続では、推定時間tは0.098となり、許容時間44dの値0.05を下回るため、接続ID1の接続は電力変動障害が発生していると判断する。
【0062】
ステップ805で、各判定ステップで障害発生と判定された場合に、各障害内容を障害発生テーブル90にエントリする処理を行う。障害内容に応じて障害発生テーブル90のエントリを作成して登録し、記憶部3に保存する。
【0063】
図9に障害発生テーブル90の一例を示す。
【0064】
障害情報ID91は、障害発生テーブル90における識別IDを示す。接続ID92は、接続情報テーブル40における、アンテナ間の接続を識別するIDを示す。配置情報ID93は、当該障害情報において、通信状態情報を取得したアンテナの配置情報30における識別IDを示す。障害種別94は、発生した障害の種別を示す。接続CHの異常か、受信電力変動のほか、接続情報テーブル40の障害判定条件および通信状態情報テーブル70の両者に項目を追加して、同様の処理を行う。SN比低下,CN比低下,ビットエラーレート低下,再送回数増加,保守端末位置での測定値低下などが、障害判定結果として記述可能である。通信状態情報ID95は、判定結果を与える通信情報テーブルにおける識別IDを示す。
【0065】
ステップ806で、各障害判定の結果、通信障害なしと判定された場合に、当該接続情報が障害発生テーブルに登録されているか否かを判定する。登録されていればステップ807を実行し、そうでない場合は、次の通信状態情報テーブルのエントリ処理を行う。
【0066】
通信障害なしと判定された場合は、ステップ807で、障害発生テーブルから当該エントリを削除する。
【0067】
図10に表示部7の処理フローを示す。
【0068】
ステップ1001で、表示部7は、記憶部3に記憶される保守端末の位置情報を取得する。ステップ1002で、取得した保守端末の位置情報にもっとも合致する図面情報を取得し、保守端末上に表示する。ステップ1003で、図面情報上に重ねて、保守端末の位置を表示する。
【0069】
ステップ1004で、通信状態情報テーブル70の各エントリに対して処理を行う。
【0070】
ステップ1005で、通信状態情報の配置情報IDから、配置情報テーブル30のアンテナの設置場所33を取得し、当該設置場所を、図面情報上に重ねて表示する。この時、配置情報テーブル30に記載のアンテナ種別やアンテナ方向,無線装置IDなども合わせて表示することも可能である。
【0071】
ステップ1006で、障害発生テーブル90の各エントリに対して処理を行う。
【0072】
ステップ1007で、配置情報IDから配置情報テーブル30のアンテナの設置場所を取得し、図面上にアンテナの設置場所を表示する。この際、ステップ1005におけるアンテナ位置表示とは、表示色を変えるなど、表示方法を変えることで、障害発生個所であることを強調表示する。
【0073】
ステップ1008で、接続IDから接続情報テーブル40の接続元位置および接続先の配置情報及び各アンテナの設置場所を取得し、接続両端をなすアンテナ位置を取得して両端を結ぶラインを図面上に表示する処理を行う。
【0074】
ステップ1009で、障害種別を図面上に表示する処理を行う。障害種別が接続の両端に関連する場合は、接続を結ぶラインに対して障害種別を表示する。一方で、障害種別が、一方の端点にのみ関連する場合は、当該アンテナ位置に対して障害種別を表示する。
【0075】
図11は、表示部による表示の一例である。表示部には、液晶画面や、有機EL画面など、携帯端末向けの表示装置が利用可能である。
【0076】
図11に示す例では、保守端末の表示画面1100に、保守端末の存在するフロアの図面情報1101,フロア内の保守端末位置を示す情報1102,アンテナ位置を示す情報1103,アンテナ間の接続情報1104,障害種別1105が表示されている。アンテナ間の接続情報1104は、接続元と接続先アンテナ位置を図面上に示したものである。画面上に示された障害種別1105は、障害の発生した箇所を合わせて図面上に示している。図11に示す例では、障害種別1106,障害種別1107も障害種別1105と同様に、画面上に示し、発生した箇所を合わせて図面上に示している。
【0077】
以上のように、実施例1によれば、無線ネットワークのいずれかの接続状態に通信障害が発生した場合に、保守端末1において障害発生場所と障害の発生種別を把握し、保守員に対し提示することが可能となる。
【実施例2】
【0078】
本発明の実施例2を図12から図14により説明する。図12は、本実施例における保守端末の表示画面例を示す。
【0079】
実施例2は実施例1と同様に構成されているが、保守端末の表示画面1100が異なっている。実施例2では、図12に示すように、相違点1201,ポインタ1202,詳細入力手段1203が、図13に示すように、復旧配置生成部1300が具備されている。
【0080】
相違点1201は、保守端末1が記憶部3に記憶している図面には存在しない、もしくは図面には存在していても、現実の建屋内には存在していない部分を示したものである。表示画面上1101のポインタ1202は、保守端末1の図示しない入力装置により、保守員が表示画面内を自由に移動させることができる図形である。入力装置としては、マウス,十字方向キーや、タッチパッド,タッチポイントなどのマンマシン入力インターフェースが用いられる。
【0081】
保守員は、ポインタ1202を利用して、図面と現実の建屋内の様子を比較し、相違点があれば、ポインタで当該部分を指示する。現実に存在しているものが図面内になければ追加する。
【0082】
追加する場合は、図12に示すような、詳細入力手段1203を用いて、追加する部分の大きさ,回転角度や、材質を指定する。ここで、材質とは、無線特性に係るものであり、誘電率や、透磁率や、導電率等である。予めいくつかの値のセットにコンクリートや、スチールなど名前を付けてライブラリ化し、その中から最も近いものを選択してもよい。
【0083】
図面内に記載されているものが現実に存在しなければ、ポインタ1202を操作して、図面の中で当該部分を選択し、削除して図面を更新する。
【0084】
図13に本実施例の保守端末1の一例を示す。実施例2の保守端末は、実施例1の保守端末と比較して、復旧配置生成部1300を有している。
【0085】
復旧配置生成部1300は、図面と現実のものとの相違点が与えられると、当初の図面を更新し、更新された図面の情報に従い、障害の発生している配置情報テーブル20のエントリをパラメタとして変更したときの新しい接続情報テーブル40の障害判定条件を算出する。すなわち、パラメタの値を複数変更してアンテナ間の電波の伝搬状況を算出し、許容条件を満たすパラメタを探索する。電波の伝搬状況は、前述の有限要素法,モーメント法,FDTD法,レイトレーシング法等を用いることができる。
【0086】
このようにして得られた新しい配置情報を、保守端末の表示画面に表示した例を図14に示す。無線装置1103の新しい配置1401が示され、保守員にどの無線装置の配置を変更すべきかを示すポインタ1402が示されている。
【0087】
以上のように、実施例2によれば、無線ネットワークのいずれかの接続状態に通信障害が発生した場合に、図面の現実との相違点を更新するとともに、これに伴う障害発生に対する復旧対策を、保守端末の表示画面によって、保守員に対し提示することが可能となる。
【実施例3】
【0088】
本発明の実施例3を図15により説明する。図15は、本実施例における保守端末の構成例を示す図である。
【0089】
実施例3は、実施例1と同様に構成されているが、実施例3では、撮影部1500と、差分判定部1501が具備されている。
【0090】
撮影部1500は、撮像素子とレンズ,シャッター,絞りなどから構成され、保守端末の周辺の映像を撮影する。撮影したデータは記憶部3に保存される。
【0091】
差分判定部1501は、撮影した映像と、図面情報を比較し、相違点を認識する。映像と図面情報を比較するためには、既知のマーカが映像に映るように撮影を行い、撮影部側の位置と姿勢を計測することで、図面の座標系との変換マトリクスを得ることが可能である。
【0092】
差分判定部1501は、撮影画像から形状情報を画像認識によって抽出することで、図面との比較を行うことが可能である。差分判定部1501の代わりに、図12に示すような保守員による入力手段により、保守員が画像と図面との差分情報を記述するようにしてもよい。なお、差分情報に対して、材料特性を与えるためには、保守員による入力手段が必要である。
【0093】
以上のように、実施例3によれば、撮影画像を用いることにより、差分情報の取得がより確実で簡易にとなる効果がある。
【実施例4】
【0094】
本発明の実施例4を図16により説明する。実施例4は、実施例1と同様に構成されているが、実施例4では、実施例1の構成に加え、図16に示すホスト装置1600を設置している。
【0095】
ホスト装置1600は、保守員が持ち運ぶ可搬型の端末よりも大型で、計算速度,記憶容量に余裕がある装置構成とすることができる。このため、実施例1,実施例2,実施例3で説明した保守端末1における機能を、ホスト装置1600と分担することが可能である。
【0096】
以上により、実施例4によれば、保守端末に必要なコストを削減することが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1 保守端末
2 制御部
3 記憶部
4 バス
5 無線通信手段
6 障害判定部
7 表示部
8 位置特定部
9 アンテナ
10,10a,10b,10c 無線装置
11 無線ネットワーク
20 図面情報
30 配置情報
40 接続情報テーブル
70 通信状態情報テーブル
90 障害発生テーブル
1100 表示画面
1300 復旧配置生成部
1500 撮影部
1501 差分判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークを構成する、無線通信手段及びアンテナを有する複数の無線装置と、該無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する保守端末を備えた無線ネットワーク保守システムであって、前記保守端末は、無線ネットワークの配置に関する図面情報,各無線装置の配置情報,前記保守端末が取得した無線装置の通信状態から保守端末の配置場所を表す図面と、無線装置の配置位置を前記図面上に表示させ、前記無線装置の通信状態を重畳して表示することを特徴とする無線ネットワーク保守システム。
【請求項2】
無線ネットワークを構成する、無線通信手段及びアンテナを有する複数の無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する無線ネットワークの保守端末であって、該保守端末が記憶している無線ネットワークの配置に関する図面情報,各無線装置の配置情報,前記保守端末が取得した無線装置の通信状態から保守端末の配置場所を表す図面と、無線装置の配置位置を前記図面上に表示させ、前記無線装置の通信状態を重畳して表示することを特徴とする無線ネットワークの保守端末。
【請求項3】
前記通信状態から通信障害の有無を判断し、前記図面上に通信障害の有無を重畳して表示する請求項2に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項4】
前記通信状態から通信障害の種別を判断し、前記図面上に通信障害の種別を重畳して表示する請求項3に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項5】
前記図面と、現実との相違点を入力する手段を備える請求項2〜4のいずれかに記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項6】
周囲を撮影する撮影手段を備え、該撮影手段で撮影した映像と前記図面とを比較する手段により、前記図面と現実との相違点を抽出し、抽出された前記図面と現実との相違点を入力する請求項5に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項7】
前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、前記図面を更新する請求項6に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項8】
前記相違点に基づき、前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、通信障害を復旧するための前記無線装置の配置の変更場所を前記図面に重畳して表示する請求項6又は7に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項9】
前記保守端末は、携帯端末である請求項2〜請求項8のいずれかに記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項10】
前記無線ネットワークを介して保守端末と通信を行うホスト装置を有し、前記保守端末の場所を受信し、前記ホスト装置において保守端末の場所を表す図面を保守端末に送信する請求項1に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項11】
前記保守端末が取得した無線装置の通信状態を前記ホスト装置にて受信し、該通信状態から通信障害の有無を判断し、前記図面上に通信障害の有無を重畳して、前記ホスト装置もしくは前記保守端末上に表示する請求項10に記載の無線ネットワークの保守システム。
【請求項12】
前記通信状態から通信障害の種別を判断し、前記図面上に通信障害の種別を重畳して表示する請求項11に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項13】
前記図面と、現実との相違点を入力する手段を備える保守端末を有する請求項10〜12のいずれかに記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項14】
周囲を撮影する撮影手段を備え、該撮影手段で撮影した映像と前記図面とを比較する手段により、前記図面と現実との相違点を抽出し、抽出された前記図面と現実との相違点を入力する保守端末を有する請求項13に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項15】
前記保守端末が、前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、前記図面を更新する保守端末である請求項13又は14に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項16】
前記保守端末が、前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、通信障害を復旧するための前記無線装置の配置の変更場所を、前記図面に重畳して表示する保守端末である請求項13〜15のいずれかに記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項17】
前記保守端末は、携帯端末である請求項1,10〜16のいずれかに記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項1】
無線ネットワークを構成する、無線通信手段及びアンテナを有する複数の無線装置と、該無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する保守端末を備えた無線ネットワーク保守システムであって、前記保守端末は、無線ネットワークの配置に関する図面情報,各無線装置の配置情報,前記保守端末が取得した無線装置の通信状態から保守端末の配置場所を表す図面と、無線装置の配置位置を前記図面上に表示させ、前記無線装置の通信状態を重畳して表示することを特徴とする無線ネットワーク保守システム。
【請求項2】
無線ネットワークを構成する、無線通信手段及びアンテナを有する複数の無線装置とデータ通信を行い無線装置の通信状態を取得する無線ネットワークの保守端末であって、該保守端末が記憶している無線ネットワークの配置に関する図面情報,各無線装置の配置情報,前記保守端末が取得した無線装置の通信状態から保守端末の配置場所を表す図面と、無線装置の配置位置を前記図面上に表示させ、前記無線装置の通信状態を重畳して表示することを特徴とする無線ネットワークの保守端末。
【請求項3】
前記通信状態から通信障害の有無を判断し、前記図面上に通信障害の有無を重畳して表示する請求項2に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項4】
前記通信状態から通信障害の種別を判断し、前記図面上に通信障害の種別を重畳して表示する請求項3に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項5】
前記図面と、現実との相違点を入力する手段を備える請求項2〜4のいずれかに記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項6】
周囲を撮影する撮影手段を備え、該撮影手段で撮影した映像と前記図面とを比較する手段により、前記図面と現実との相違点を抽出し、抽出された前記図面と現実との相違点を入力する請求項5に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項7】
前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、前記図面を更新する請求項6に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項8】
前記相違点に基づき、前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、通信障害を復旧するための前記無線装置の配置の変更場所を前記図面に重畳して表示する請求項6又は7に記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項9】
前記保守端末は、携帯端末である請求項2〜請求項8のいずれかに記載の無線ネットワークの保守端末。
【請求項10】
前記無線ネットワークを介して保守端末と通信を行うホスト装置を有し、前記保守端末の場所を受信し、前記ホスト装置において保守端末の場所を表す図面を保守端末に送信する請求項1に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項11】
前記保守端末が取得した無線装置の通信状態を前記ホスト装置にて受信し、該通信状態から通信障害の有無を判断し、前記図面上に通信障害の有無を重畳して、前記ホスト装置もしくは前記保守端末上に表示する請求項10に記載の無線ネットワークの保守システム。
【請求項12】
前記通信状態から通信障害の種別を判断し、前記図面上に通信障害の種別を重畳して表示する請求項11に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項13】
前記図面と、現実との相違点を入力する手段を備える保守端末を有する請求項10〜12のいずれかに記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項14】
周囲を撮影する撮影手段を備え、該撮影手段で撮影した映像と前記図面とを比較する手段により、前記図面と現実との相違点を抽出し、抽出された前記図面と現実との相違点を入力する保守端末を有する請求項13に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項15】
前記保守端末が、前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、前記図面を更新する保守端末である請求項13又は14に記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項16】
前記保守端末が、前記抽出された前記図面と現実との相違点を入力して、通信障害を復旧するための前記無線装置の配置の変更場所を、前記図面に重畳して表示する保守端末である請求項13〜15のいずれかに記載の無線ネットワーク保守システム。
【請求項17】
前記保守端末は、携帯端末である請求項1,10〜16のいずれかに記載の無線ネットワーク保守システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−134894(P2012−134894A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286915(P2010−286915)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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